説明

液体組成物

【課題】キク、ポインセチア、アザレア、ハボタン、ペチュニア、アサガオ、ハイドランジア、シャクナゲなどの植物の伸長抑制効果を有し、スプレー散布に好適で、且つ保存安定性に優れる液体組成物を提供する。
【解決手段】ダミノジッドと、ジアルキルスルホコハク酸塩やポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルなどの界面活性剤と、リン酸三ナトリウムなどのpH調整剤と、パラベン類などの防腐剤と、ジメチルポリシロキサンなどを含有する消泡剤と、食用黄色4号などの着色剤とを水に添加し溶解させて、pHが6.5〜9.5の範囲に調整された液体組成物を得る。該液体組成物からなる植物成長調整剤を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体組成物に関する。より具体的に、本発明は、キク、ポインセチア、アザレア、ハボタン、ペチュニア、アサガオ、ハイドランジア、シャクナゲなどの植物の伸長抑制効果を有し、スプレー散布に好適で、且つ保存安定性に優れた液体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から植物の矮化は各方面で注目され、研究されてきた。例えば、鉢物は鉢と植物体とのバランスが大切であり、一般的には生育状態のしまった、草丈の短い植物体の鉢が高品質とされており、鉢物の高品質生産のためには適切な矮化技術が必須である。
植物の矮化技術には、矮化剤の使用、肥料成分の減少、潅水の制限、送風や接触刺激、塩分ストレスなどがあるが、手間やコストそして効果の再現性、さらには実施の際の簡便性を考慮すると矮化剤の使用が有利である。
【0003】
現在、植物の矮化によく使用される薬剤には、ダミノジット剤、クロルメコート液剤、パクロブトラゾール粒剤、ウニコナゾール剤などがある。これらのうち、ダミノジット剤は、節間伸長抑制の効果に優れ、キク、ポインセチア、アザレア、ハボタン、ペチュニア、アサガオ、ハイドランジア、シャクナゲなどの花卉類の栽培において使用されている。
【0004】
ダミノジット剤は、ダミノジッド(別名:N−(ジメチルアミノ)スクシンアミド酸)を約80%含有する粒状製剤(日本曹達社製、「ビーナイン水溶剤」)として市販されている。該粒状製剤は、水で所定倍率に希釈され、それを植物の茎葉に散布したり、土壌に潅注したりなどして、使用される(特許文献1または2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−200121号公報
【特許文献2】特開平3−285618号公報
【特許文献3】特開2008−301753号公報
【特許文献4】特開2001−151604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ダミノジット剤は、調製された希釈液を長期間放置していると、ダミノジットが分解して伸長抑制効果が低下するおそれがあるので、農林水産省登録第12842号の注意書きに記載されているように、該希釈液はすべて使いきることになっている。そのため、従来、ダミノジット剤は粒状製剤としてしか供給されていなかった。
そこで、本発明は、植物の伸長抑制効果を有し、スプレー散布に好適で、且つ保存安定性に優れた液体組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ダミノジッドを水に溶解させ、該水溶液のpHを6.5〜9.5の範囲に調整することによって、ダミノジットの分解が抑制され、伸長抑制効果が低下するおそれがない、スプレー散布に好適な液体組成物が得られることを見出した。本発明は、この知見に基づきさらに検討を重ねた結果、完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の態様を包含するものである。
〔1〕水と、ダミノジッドとを含有し、pHが6.5〜9.5の範囲にある液体組成物。
〔2〕pHが7.0〜8.0の範囲にある、前記〔1〕に記載の液体組成物。
〔3〕pH調整剤をさらに含有する、前記〔1〕または〔2〕に記載の液体組成物。
〔4〕組成物中のpH調整剤の量が0.1〜1.0重量%の範囲にある、前記〔3〕に記載の液体組成物。
〔5〕リン酸塩化合物をさらに含有する、前記〔1〕または〔2〕に記載の液体組成物。
〔6〕リン酸塩化合物がリン酸三ナトリウムまたはその水和物である、前記〔5〕に記載の液体組成物。
〔7〕界面活性剤、防腐剤、消泡剤、および着色剤からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の液体組成物。
【0009】
〔8〕前記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の液体組成物からなる植物成長調整剤。
〔9〕前記〔8〕に記載の植物成長調整剤が充填されたスプレー容器。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体組成物は、54℃の状態で放置していても、組成物中のダミノジットの分解がほとんど起きず、伸長抑制効果が低下するおそれがない。
本発明の液体組成物を、キク、ポインセチア、アザレア、ハボタン、ペチュニア、アサガオ、ハイドランジア、シャクナゲなどの植物の茎葉に散布または土壌に潅注することによって、花卉類などの節間の伸長を抑制できる。本発明の液体組成物は、節間伸長だけを抑制するので、開花の時期、花や葉 の大きさ、結実などにはほとんど影響がない。そのため、枝や腋芽の節間伸びすぎによる草姿の乱れを抑え、コンパクトでプロポーションのよい草花を育てることができる。
本発明の液体組成物は、人体や環境への負荷が低く、農園芸業者による使用のみならず、一般家庭での使用も可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の液体組成物は、水と、ダミノジッドとを含有するものである。
ダミノジッドは、別名、N−(ジメチルアミノ)スクシンアミド酸と呼ばれ、式(I)で表される化合物である。ダミノジッドは、節間伸長抑制効果を有することで知られている。
【0012】
【化1】

【0013】
ダミノジッドの量は、液体組成物に対して、好ましくは0.02〜1.5重量%、より好ましくは0.05〜1.1重量%である。
【0014】
本発明の液体組成物は、pHが6.5〜9.5の範囲、好ましくは7.0〜8.0の範囲にある。pHがこの範囲にあると、54℃の状態で放置していても、組成物中のダミノジットの分解がほとんど起きず、伸長抑制効果が低下するおそれがない。
【0015】
ダミノジッド剤を水に溶解させただけの溶液は、pHが6以下である。そこで、pHを上記の範囲にするために、本発明の液体組成物には、pH調整剤を含有させることができる。
pH調整剤としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウムなど水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウムなどの炭酸塩;クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムなどのクエン酸塩;リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、トリポリリン酸アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、トリポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸三カルシウムなどのリン酸塩;モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン塩などが挙げられる。これらの内、リン酸塩化合物が好ましく、リン酸三ナトリウムまたはその水和物がより好ましい。
pH調整剤の量は、葉枯れなどの薬害の発生を抑制する観点から、液体組成物に対して、好ましくは0.1〜5.0重量%、より好ましくは0.1〜1.0重量%、さらに好ましくは0.5〜1.0重量%である。
【0016】
本発明の液体組成物には、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
【0017】
ノニオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル(C12〜18)、POEソルビタン脂肪酸エステル(C12〜18)、スクロース脂肪酸エステルなどの糖エステル型界面活性剤;POE脂肪酸エステル(C12〜18)、POE樹脂酸エステル、POE脂肪酸ジエステル(C12〜18)などの脂肪酸エステル型界面活性剤;POEアルキルエーテル(C12〜18)等のアルコール型界面活性剤;POEアルキル(C8〜12)フェニルエーテル、POEジアルキル(C8〜12)フェニルエーテル、POEアルキル(C8〜12)フェニルエーテルホルマリン縮合物などのアルキルフェノール型界面活性剤;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー;アルキル(C12〜18)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテルなどのポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー型界面活性剤;POEアルキルアミン(C12〜18)、POE脂肪酸アミド(C12〜18)などのアルキルアミン型界面活性剤;POE脂肪酸ビスフェニルエーテルなどのビスフェノール型界面活性剤;POAベンジルフェニル(又はフェニルフェニル)エーテル、POAスチリルフェニル(又はフェニルフェニル)エーテルなどの多芳香環型界面活性剤;POEエーテル及びエステル型シリコン及びフッ素系界面活性剤などのシリコン系、フッ素系界面活性剤;POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油などの植物油型界面活性剤;等を挙げることができる。
【0018】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルサルフェート(C12〜18、Na、NH4、アルカノールアミン)、POEアルキルエーテルサルフェート(C12〜18、Na、NH4、アルカノールアミン)、POEアルキルフェニルエーテルサルフェート(C12〜18、NH4、アルカノールアミン)、POEベンジル(又はスチリル)フェニル(又はフェニルフェニル)エーテルサルフェート(Na、NH4、アルカノールアミン)、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンブロックポリマーサルフェート(Na、NH4、アルカノールアミン)などのサルフェート型界面活性剤;パラフィン(アルカン)スルホネート(C12〜22、Na、Ca、アルカノールアミン)、AOS(C14〜16、Na、アルカノールアミン)、ジアルキルスルホサクシネート(C8〜12、Na、Ca、Mg)、アルキルベンゼンスルホネート(C12、Na、Ca、Mg、NH4、アルキルアミン、アルカノール、アミン、シクロヘキシルアミン)、モノ又はジアルキル(C3〜6)ナフタレンスルホネート(Na、NH4、アルカノールアミン、Ca、Mg)、ナフタレンスルホネート・ホルマリン縮合物(Na、NH4)、アルキル(C8〜12)ジフェニルエーテルジスルホネート(Na、NH4)、リグニンスルホネート(Na、Ca)、POEアルキル(C8〜12)フェニルエーテルスルホネート(Na)、POEアルキル(C12〜18)エーテルスルホコハク酸ハーフエステル(Na)などのスルホネート型界面活性剤;カルボン酸型脂肪酸塩(C12〜18、Na、K、NH4、アルカノールアミン)、N-メチル-脂肪酸サルコシネート(C12〜18、Na)、樹脂酸塩(Na、K)などPOEアルキル(C12〜18)エーテルホスフェート(Na、アルカノールアミン)、POEモノ又はジアルキル(C8〜12)フェニルエーテルホスフェート(Na、アルカノールアミン)、POEベンジル(又はスチリル)化フェニル(又はフェニルフェニル)エーテルホスフェート(Na、アルカノールアミン)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(Na、アルカノールアミン)、ホスファチジルコリン・ホスファチジルエタノールイミン(レシチン)、アルキル(C8〜12)ホスフェートなどのホスフェート型界面活性剤;等を挙げることができる。
【0019】
カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド(C12〜18)、メチル・ポリオキシエチレン・アルキルアンモニウムクロライド(C12〜18)、アルキル・N-メチルピリジウムブロマイド(C12〜18)、モノ又はジアルキル(C12〜18)メチル化アンモニウムクロライド、アルキル(C12〜18)ペンタメチルプロピレンジアミンジクロライドなどのアンモニウム型界面活性剤;アルキルジメチルベンザルコニウムクロライド(C12〜18)、ベンゼトニウムクロライド(オクチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド)などのベンザルコニウム型界面活性剤;等を挙げることができる。
【0020】
両性界面活性剤としては、ジアルキル(C8〜12)ジアミノエチルベタイン、アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルベタイン等のベタイン型界面活性剤;ジアルキル(C8〜12)ジアミノエチルグリシン、アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルグリシンなどのグリシン型界面活性剤;等を挙げることができる。
【0021】
これらの界面活性剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤としては、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体、アルキルベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、またはポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルが好ましく、ジアルキルスルホコハク酸塩とポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルとを組み合わせたものがより好ましい。
【0022】
界面活性剤の量は、液体組成物に対して、好ましくは0.005〜0.1重量%、より好ましくは0.01〜0.04重量%である。
【0023】
本発明の液体組成物には、消泡剤を含有させることができる。消泡剤は、シリコーン系消泡剤と有機系消泡剤に大別される。本発明においては、シリコーン系消泡剤が好ましい。
シリコーン系消泡剤には、溶液型、オイルコンパウンド型、オイル型、自己乳化型およびエマルジョン型がある。これらのうち、オイルコンパウンド型、自己乳化型およびエマルジョン型が好ましく、エマルジョン型がより好ましい。
消泡剤の量は、有効成分換算で、液体組成物に対して、好ましくは0.001〜0.02重量%、より好ましくは0.001〜0.01重量%である。
【0024】
本発明の液体組成物には、防腐剤を含有させることができる。防腐剤としては、安息香酸塩、ソルビン酸塩、パラヒドロキシ安息香酸エステル類、1,2−ベンツチアゾリン−3−オン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、3−ヨード−2−プロピニル ブチル カーバメイト、クロロ−イソチアゾリノン、メチル−イソチアゾリノン、イソチアゾリン−3−オン、グルコノラクトン、グルコン酸塩、などが挙げられる。これらの防腐剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、イソチアゾリン系防腐剤が好ましく、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンがより好ましい。市販のイソチアゾリン系防腐剤としては、「レジェンドMK」ローム&ハース社製、「デニサイドBIT−20N」ナガセケムテックス社製などが挙げられる。
防腐剤の量は、有効成分換算で、液体組成物に対して、好ましくは0.000075〜0.03重量%、より好ましくは0.000225〜0.003重量%である。
【0025】
本発明の液体組成物には、着色剤を含有させることができる。着色剤としては、水溶性のものが好ましく、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号等が挙げられる。これらの着色剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0026】
本発明の液体組成物には、凍結復元剤(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、有機溶剤(例えば、アルキルベンゼン、ノルマルパラフィン、アルコール等)、粘度調整剤などを必要に応じて含有させることができる。
【0027】
本発明の液体組成物に使用する水としては、例えば、水道水、その他に蒸留水や濾過処理した水、滅菌処理した水等を使用することができる。
【0028】
本発明の液体組成物は、公知の方法によって製造することができる。例えば、攪拌機を用いて、水に、ダミノジッドを、並びに必要に応じて、pH調整剤、界面活性剤、防腐剤、消泡剤、着色剤、凍結復元剤、有機溶剤などを溶解または分散させることで製造することができる。本発明の液体組成物の製造に際しては、必要に応じ、減圧脱気を実施してもよい。
【0029】
本発明の液体組成物は植物成長調整剤として用いられる。本発明の液体組成物は、スプレー散布に好適である。スプレー散布に使用するスプレー装置としては、特に限定されないが、例えば、人力噴霧器、動力噴霧器、ブームスプレーヤ、パンクルスプレーヤ、スプリンクラ、ミスト機、スピードスプレーヤ、常温煙霧機、スーパースパウタ・スプレーヤなどが挙げられる。
【0030】
また、本発明の液体組成物は、例えば、スプレー容器に充填した状態で提供することができる。かかるスプレー容器としては、特に限定されないが、例えば、ポンプ式ノズルを装着したディスペンサー式噴霧器、容器にピストル状のトリガー式スプレー装置が装着されたトリガー式噴霧器、容器内に噴射剤を充填するエアゾール式噴霧器、これらの改良型の噴霧器などが挙げられる。
【0031】
本発明における植物成長調整剤の対象植物としては、キク、ポインセチア、アザレア、ハボタン、ペチュニア、アサガオ、ハイドランジア、シャクナゲ、ゼラニウム、ペンタス、ユリ、ホウセンカ、センニチコウなどの花卉類;ハクサイ、キャベツ、にんじん、ネギ、玉ネギ、チンゲンサイ、大根、レタス、さやえんどう、カリフラワー、ブロッコリー、ごぼう、二十日大根、蕪、トマト、きゅうり、ナス、かぼちゃ、スイカ、プリンスメロン、まくわうり、メロンなどの野菜類や果実類が挙げられる。これらのうち、花卉類が好ましい。
【0032】
本発明の植物成長調整剤の使用量は特に制限されず、また効果的な使用量は植物の種類によって異なる。使用量が多すぎると植物の成育に悪い影響を与える場合があり、少なすぎると十分な効果が発揮されない場合がある。
【実施例】
【0033】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中の「部」または「%」は重量基準である。
【0034】
本実施例で使用した薬剤等を以下に示す。
〔界面活性剤〕
ルノックスP65L:アルキルベンゼンスルホン酸60%と芒硝40%との混合物、東邦化学工業社製
ニューカルゲンFS−26:ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル2重量部と、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム1重量部との混合物、竹本油脂社製
デモールN:ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、花王社製
〔防腐剤〕
Legend MK:5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを含有するイソチアゾリン系防腐剤、ローム&ハース社製
〔消泡剤〕
SILFOAM SE39:エマルジョン型シリコーン系消泡剤(有効成分33%、ノニオン性)、旭化成ワッカーシリコーン社製
〔pH調整剤〕
Na3PO4・12H2O : リン酸三ナトリウム12水和物
Na2HPO4・12H2O : リン酸二ナトリウム12水和物
Na5310 : トリポリリン酸ナトリウム
〔着色剤〕
食用黄色4号:3−カルボナート−5−ヒドロキシ−1−(4−スルホナートフェニル)−1H−ピラゾール−4−アゾ−(4’−ベンゼンスルホン酸)三ナトリウム
【0035】
〔実施例1〜8、比較例1〜3〕
ダミノジットを水に添加し溶解させた。これに、界面活性剤、防腐剤、消泡剤、pH調整剤、および着色剤を、表1および表2に示した処方A〜Kの割合となるように、添加して淡黄色の液体組成物A〜Kを得た。
【0036】
液体組成物約420mlを、ポリエチレン容器に入れ、54℃の恒温器の中に14日間放置した。放置後の液体組成物中のダミノジッド含有量をHPLCで測定し、放置前のダミノジッド含有量に対する割合、すなわち残存率を求めた。残存率を表1および表2に示す。
また、放置後の液体組成物の外観を肉眼観察した。放置後の液体組成物A〜Hは淡黄色であった。一方、放置後の液体組成物Iは黄赤色に変色していた。放置後の液体組成物JおよびKは黄赤色に変色し、析出物が認められた。
【0037】
処方Cの液体組成物約420mlを、ポリエチレン容器に入れ、40℃の恒温器の中に4ヶ月間放置した。放置後の液体組成物中のダミノジッド含有量をHPLCで測定し、放置前のダミノジッド含有量に対する割合(残存率)を求めた。残存率は約98.7%であった。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
〔試験例1〕
液体組成物をディスペンサー式噴霧器に充てんし、キク苗(寒咲き大輪 クリスマスホワイト、葉齢:8〜12生葉、草丈:18〜24cm)の頂部から斜め上方に約20cm離れたところから、苗全体に向けて10回噴霧した。
噴霧した日から3日、6日、10日および14日経過した日に、葉枯れなどの薬害状況を以下の指標で評価した。結果を表3に示す。
◎:薬害が全く示されない 薬害指数0〜1
○:薬害が殆ど示されない 薬害指数1〜2 葉縁葉枯れ
△:薬害が若干示される 薬害指数2〜3
×:薬害が示される 薬害指数3〜4 新葉全体葉枯れ
【0041】
【表3】

【0042】
以上の結果から、本発明の液体組成物は、54℃の状態で放置していても、組成物中のダミノジットの分解がほとんど起きず、伸長抑制効果が低下するおそれがないことがわかる。また、本発明の液体組成物、特にpH調整剤の量が0.1〜1.0重量%の液体組成物は、葉枯れなどの薬害を起こし難いことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、ダミノジッドとを含有し、pHが6.5〜9.5の範囲にある液体組成物。
【請求項2】
pHが7.0〜8.0の範囲にある、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
pH調整剤をさらに含有する、請求項1または2に記載の液体組成物。
【請求項4】
組成物中のpH調整剤の量が0.1〜1.0重量%の範囲にある、請求項3に記載の液体組成物。
【請求項5】
リン酸塩化合物をさらに含有する、請求項1または2に記載の液体組成物。
【請求項6】
リン酸塩化合物がリン酸三ナトリウムまたはその水和物である、請求項5に記載の液体組成物。
【請求項7】
界面活性剤、防腐剤、消泡剤、および着色剤からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体組成物からなる植物成長調整剤。

【公開番号】特開2011−251913(P2011−251913A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124857(P2010−124857)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】