説明

液体経口用組成物

【課題】コラーゲンペプチド等のタンパク質分解ペプチドの独特の異味・異臭を抑制し、服用感に優れた液体経口用組成物を提供する。
【解決手段】下記(A)、(B)及び(C)を含有する液体経口用組成物。
(A)タンパク質分解ペプチド
(B)マルトール、エチルマルトール、バニリン、エチルバニリン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、リナロール、ネロール、ゲラニオール、イオノン、フェニルエチルアルコール又はシス−3−ヘキセノール
(C)カテキン、プロアントシアニジン、オリゴメリックプロアントシアニジン、アントシアニン又はアントシアニジン

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質分解ペプチドを含有する液体経口用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンペプチド等のタンパク質分解ペプチドは、肌の弾力性を高めシワを防ぐ美肌効果や、血液流動性改善効果等の機能を有する優れた成分であり、これを含有する外用剤、経口製剤が市販されている。しかしタンパク質分解ペプチドは独特の異味・異臭を有しているため、経口用とする場合は、嗜好性の点で課題がある。
【0003】
コラーゲンペプチドの臭みを低減する手段として、コラーゲン含有飲食品にスクラロース及びステビア抽出物を、さらにアセスルファムカリウムを配合することにより、コラーゲンの呈味の改善をする技術が提案されている(特許文献1:特開2006−204287号公報参照)。また、ハトムギ等のエキスと、コラーゲン加水分解物と、ビタミンと、梅果汁と、フルーツフレーバーよりなる飲料が提案されている(特許文献2:特開平5−199855号公報参照)。さらに、フェニルメチルエーテルによる異味・異臭を改善する技術(特許文献3:特開2008−167672号公報参照)、ジンジャー抽出物によるコラーゲン特有の臭気や風味をマスキングする技術が提案されている(特許文献4:特開2007−185109号公報参照)。しかしながら、コラーゲンペプチドの異味・異臭のさらなる改善が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−204287号公報
【特許文献2】特開平5−199855号公報
【特許文献3】特開2008−167672号公報
【特許文献4】特開2007−185109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、コラーゲンペプチド等のタンパク質分解ペプチドの独特の異味・異臭を抑制し、服用感に優れた液体経口用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、コラーゲンペプチド等のタンパク質分解ペプチドを含有する液体経口用組成物に、(B)特定の香料成分と、(C)特定のフラボノイドとを併用することにより、タンパク質分解ペプチドの独特の異味・異臭を顕著に抑制できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は下記液体経口用組成物を提供する。
[1].下記(A)、(B)及び(C)を含有する液体経口用組成物。
(A)タンパク質分解ペプチド
(B)マルトール、エチルマルトール、バニリン、エチルバニリン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、リナロール、ネロール、ゲラニオール、イオノン、フェニルエチルアルコール又はシス−3−ヘキセノール
(C)カテキン、プロアントシアニジン、オリゴメリックプロアントシアニジン、アントシアニン又はアントシアニジン
[2].(A)成分が、コラーゲンペプチドである請求項1記載の液体経口用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コラーゲンペプチド等のタンパク質分解ペプチドの独特な異味・異臭が抑制され、服用感に優れた液体経口用組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液体経口用組成物は、下記(A)、(B)及び(C)を含有するものである。
(A)タンパク質分解ペプチド
(B)マルトール、エチルマルトール、バニリン、エチルバニリン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、リナロール、ネロール、ゲラニオール、イオノン、フェニルエチルアルコール又はシス−3−ヘキセノール
(C)カテキン、プロアントシアニジン、オリゴメリックプロアントシアニジン、アントシアニン又はアントシアニジン
【0010】
(A)タンパク質分解ペプチド
タンパク質分解ペプチドとしては、コラーゲンペプチド、エラスチンペプチド等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、コラーゲンペプチドが好ましい。
【0011】
コラーゲンペプチドは、コラーゲン又はそれから得られたゼラチンを、酸又は酵素で加水分解することにより得ることができる。コラーゲンは、動物の結合組織を構成する主要タンパク質で、骨、腱、皮膚、血管壁等に多く含まれる。ゼラチンは、コラーゲンを含む原料を温水抽出することにより得られる水溶性タンパク質である。タンパク質分解ペプチドの重量平均分子量は、500〜10000が好ましく、より好ましくは800〜7500、さらに好ましくは1000〜5000である。なお、重量平均分子量の測定はゲルろ過クロマトグラフィ法(パギイ法:特開2002−51734号公報参照)で測定する。
【0012】
(A)成分の含有量は、組成物中10〜20000mg/50mLが好ましく、より好ましくは100〜15000mg/50mL、さらに好ましくは200〜10000mg/50mLである。(A)成分の含有量が10mg/50mL未満だと独特の異味・異臭は抑制されるものの、美肌効果等が十分に得られないことがあり、また、20000mg/50mLを超えると、(B)成分、(C)成分を配合してもコラーゲン独特の異味・異臭抑制効果が不十分になるおそれがある。
【0013】
本発明の(B)成分は、マルトール、エチルマルトール、バニリン、エチルバニリン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、リナロール、ネロール、ゲラニオール、イオノン、フェニルエチルアルコール又はシス−3−ヘキセノールであり、これら1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、マルトール、エチルマルトール、リナロール、シス−3−ヘキセノール、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトンが好ましく、マルトール、エチルマルトール、シス−3−ヘキセノール、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトンがより好ましい。
【0014】
(B)成分の含有量は、組成物中0.005〜300mg/50mLが好ましく、0.05〜150mg/50mLがより好ましい。(B)成分の含有量が0.005mg/50mL未満だと、(A)成分独特の異味・異臭を抑制する効果を十分に得ることができない場合があり、300mg/50mLを超えると、(B)成分自体の風味が強くなりすぎて不都合が生じる場合がある。
【0015】
本発明の(C)成分は、カテキン、プロアントシアニジン、オリゴメリックプロアントシアニジン、アントシアニン又はアントシアニジンであり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、プロアントシアニジン又はその2〜4量体、オリゴメリックプロアントシアニジン、アントシアニン、アントシアニジンが好ましい。これらは植物抽出物を配合してもよく、精製された単体として配合してもよい。植物抽出物としては、ブルーベリー、ビルベリー、ブドウ、ブドウ種子、イチゴ、クランベリー、カシス、赤キャベツ、ナス、黒米、黒豆(黒大豆)、黒ゴマ、紫芋、緑茶等の茶から抽出されたエキス又は精製物が挙げられる。この中でも、ブルーベリー、ビルベリー、ブドウ、ブドウ種子、イチゴ、カシス、緑茶から抽出された上記化合物が好ましい。
【0016】
(C)成分の含有量は、組成物中1〜500mg/50mLが好ましく、5〜300mg/50mLがより好ましく、10〜100mg/50mLがさらに好ましい。(C)成分の含有量が1mg/50mL未満だと(A)成分独特の異味・異臭を抑制する効果を十分に得ることができない場合があり、500mg/50mLを超えると、(C)成分自体による苦味やエグ味が強く生じてくることがあるために、飲用しにくくなる場合がある。
【0017】
その他、本発明の液体経口用組成物には、ビタミン、ミネラル、保湿剤、新陳代謝向上剤等の美肌成分、増粘多糖類、リン酸又はその塩を配合することができる。
【0018】
ビタミンとしては、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、A、D、E、K、ナイアシン、葉酸、パントテンン酸、ビオチン、ユビキノン及びこれらの誘導体が挙げられる。この中でも、B1、B2、B6、B12、Cが好ましい。ビタミンの液体経口用組成物中の適切な配合量は、各々栄養機能食品の栄養素の配合限度量に従うのが好ましい。
【0019】
ミネラルとしては、カルシウム、鉄、リン、マグネシウム、カリウム、セレン、亜鉛等が挙げられる。最適な配合量は、栄養機能食品の栄養素の配合限度量に従うのが好ましい。ミネラルの液体経口用組成物中の最適な含有量は、各々栄養機能食品の栄養素の配合限度量に従うのが好ましい。
【0020】
美肌成分としては、肌の保湿力を高めたり、肌の新陳代謝を向上させる成分を配合することができる。例えば、ヒアルロン酸、エラスチン、コエンザイムQ10、α−リポ酸、アロエ、セラミド、ローヤルゼリー、アスタキサンチン、アミノ酸類、グルコサミン、グルクロノラクトン、エラグ酸、補酵素等が挙げられる。
【0021】
増粘多糖類としては、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、キサンタンガム、カードラン(β−1,3−グルカン)、ヒアルロン酸等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0022】
リン酸又はその塩としては、正リン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、メタリン酸塩、トリポリリン酸塩等が挙げられ、塩としてはナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、正リン酸、ピロリン酸、メタリン酸塩が好ましく、より好ましくはメタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム等の酸性メタリン酸塩である。
【0023】
本発明の液体経口用組成物には、通常、液体経口用組成物に使用される他の薬物や、甘味剤、クエン酸等の酸味剤、安定化剤、キレート剤、防腐剤、香料、色素等を、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに配合することができる。本発明の液体経口用組成物は、上記成分、及び水(残部)を混合して水性の液体経口用組成物として得ることができる。
【実施例】
【0024】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0025】
[実施例1〜25、比較例1,2]
表1〜4のドリンク剤(液体経口用組成物)を調製し、下記方法に基づいて評価を行った。結果を表中に併記する。
【0026】
〈異味・異臭のなさ〉
ドリンク剤の製造直後と35℃・8週間保存後の異味・異臭について、下記評価基準に基づいて、パネラー20名にて評価した。
〈評価基準〉
5:タンパク質分解ペプチドの異味・異臭がよく抑えられている
4:タンパク質分解ペプチドの異味・異臭はほとんど感じない
3:タンパク質分解ペプチドの異味・異臭をやや感じる
2:タンパク質分解ペプチドの異味・異臭を感じる
1:タンパク質分解ペプチドの異味・異臭を非常に感じる
結果は、パネラー20名の平均値が、4.5以上を「◎」、4.0以上4.5未満を「○」、3.0以上4.0未満を「△」、3.0未満を「×」として示す。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
【表4】

【0031】
表1、表2、表3及び表4に示すように、(A)タンパク質分解ペプチドに、(B)成分及び(C)成分を添加することにより、独特な異味・異臭が抑制され、服用感に優れた液体経口用組成物を得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)及び(C)を含有する液体経口用組成物。
(A)タンパク質分解ペプチド
(B)マルトール、エチルマルトール、バニリン、エチルバニリン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、リナロール、ネロール、ゲラニオール、イオノン、フェニルエチルアルコール又はシス−3−ヘキセノール
(C)カテキン、プロアントシアニジン、オリゴメリックプロアントシアニジン、アントシアニン又はアントシアニジン
【請求項2】
(A)成分が、コラーゲンペプチドである請求項1記載の液体経口用組成物。

【公開番号】特開2010−222287(P2010−222287A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70400(P2009−70400)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】