説明

液体製剤と組み合わせて製剤化した薬物デポー剤で急性疼痛を治療するための方法

疼痛を治療するのに有効な方法を提供する。有効成分を含んでなる液体製剤の注射と、それに続く、有効成分を含んでなる薬物デポー剤の標的部位又はその付近での投与により、疼痛を有効に治療することができる。この方法論は、急性神経根性疼痛を治療するのに特に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、2009年3月4日に出願されて「Method for Treating Acute Pain with a Formulated Drug Depot in Combination with a Liquid Formulation(液体製剤と組み合わせて製剤化した薬物デポー剤で急性疼痛を治療するための方法)」と題する米国特許出願番号12/397,869;2008年4月18日に出願されて「Clonidine Formulations In a Biodegradable Polymer Carrier(生分解性ポリマー担体中のクロニジン製剤)」と題する米国仮特許出願番号61/046,201;及び、2009年2月19日に出願されて「Method for Treating Acute Pain with a Formulated Drug Depot in Combination with a Liquid Formulation(液体製剤と組み合わせて製剤化した薬物デポー剤で急性疼痛を治療するための方法)」と題する米国仮特許出願番号61/153,817の出願日の利益を特許請求する。米国特許出願番号12/397,869と米国仮特許出願番号61/046,201及び61/153,817は、それへの参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 疼痛は、典型的には、疼痛受容体の自由神経終末が機械的、熱的、化学的、又は他の有害な刺激へ処されるときに体験される。これらの疼痛受容体は、種々のシグナルを求心性ニューロンに沿って中枢神経系とさらに脳へ伝えることができる。ヒトが疼痛を感じるときは、限定されないが、機能低下、運動能の低下、睡眠パターンの合併症、及び生命の質の低下が含まれる、いくつかの諸問題の1以上がこの感覚に関連する可能性がある。
【0003】
[0003] 1つの知られた疼痛の種類は、神経の皮膚分節に沿って放射される疼痛のことを指す、急性神経根性疼痛である。この疼痛は、神経根の脊柱へのその連結部分での炎症又は他の刺激による場合がある。神経根炎の一般的な形態は、坐骨神経痛、又は坐骨神経に沿って下位脊椎から背下部、臀筋、上位大腿の裏、腓腹、及び肢へ放射される神経根性疼痛であり、椎間板ヘルニアからか又は脊椎の腰領域での骨の棘突起又は骨棘からの神経根刺激にしばしば続発する。
【0004】
[0004] 疼痛の原因には、限定されないが、炎症、損傷、疾患、筋肉ストレス、ニューロパシー性のイベント又は症候群の発症、及び外科又は不都合な物理的、化学的、又は熱的イベントからか又は生物学的作用体による感染から生じ得る傷害が含まれる。組織が傷害されると、一群の内因性の疼痛誘導物質、例えば、ブラジキニンとヒスタミンが損傷組織より放出され得る。この疼痛誘導物質は、感覚神経終末上の受容体へ結合して、それにより求心性の疼痛シグナルを始動させることができる。この最初の求心性感覚ニューロンの活性化の後で、投射ニューロンが活性化され得る。これらのニューロンは、そのシグナルを脊髄視床管から中枢神経系の高次部分へ運ぶ。
【0005】
[0005] 急性神経根性疼痛が含まれる疼痛を治療するのに有効成分を最も有効であるようにする、数多くの提起がなされてきた。しかしながら、概してこれまでの治療法は、唯一種の製剤において投与される個々の有効成分に注目している。異なる有効成分と、それらを投与するための異なる担体は異なる利益及びリスクを有するので、異なる有効成分を異なる担体で投与して疼痛を同一の標的部位で治療するためのよりよい方法を開発することへのニーズがある。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 疼痛を標的部位で治療するために液体製剤と薬物デポー剤を投与することを含んでなる方法を提供する。1つの態様によれば、疼痛に罹患している哺乳動物を治療するための方法があり、前記方法は、液体製剤の治療有効量を標的部位又はその付近に注射することを含んでなり、ここで前記液体製剤は、疼痛を治療するのに有効である第一の有効成分を含み、そして前記液体製剤を注射後、薬物デポー剤を標的部位又はその付近に局所注射することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は、第二の有効成分の治療有効量を含む。第一の有効成分と第二の有効成分は、同じであっても、互いに異なっていてもよい。例えば、第一の有効成分はステロイドであってよくて、第二の有効成分はクロニジンであってよい、又はいずれの有効成分もクロニジンであってよい。いくつかの態様では、有効成分の片方又は両方が鎮痛薬である。
【0007】
[0007] 別の側面によれば、疼痛に罹患している哺乳動物を治療するための方法があり、該方法は、液体製剤の治療有効量を標的部位又はその付近に注射すること(ここで前記液体製剤は、クロニジン及び/又は疼痛を治療するのに有効であるステロイドを含む)、そして前記液体製剤を注射後、薬物デポー剤を標的部位又はその付近に局所注射することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は、治療有効量のクロニジンを、疼痛の緩和を少なくとも3日の期間の間もたらす製剤に含む。
【0008】
[0008] 様々な態様の追加の特徴及び利点は、以下に続く記載において一部は示されて、一部はその記載より明らかになるか、又は様々な態様の実施より理解され得る。様々な態様の目的と他の利点は、本明細書の記載と付帯の特許請求項において特に指摘される種々の構成要素(elements)と組合せによって実現及び達成されよう。
【0009】
[0009] 一部は、以下の記載、付帯の特許請求項、及び付帯の図面に関連して、本発明の態様の他の側面、特徴、利益、及び利点が明らかになる。ここで:
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、疼痛が生じ得る部位であり得る、患者内のいくつかの一般的な位置と、液体製剤と薬物デポー剤をともにそこへ局所的に投与して、疼痛を治療するために使用し得る位置を図解する。
【図2】図2は、注射用製剤と薬物デポー剤をそこへ局所投与し得る脊椎及び部位の概略断面図を図解する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0012] 図面は、一定比例で描かれてはいないことを理解されたい。さらに、図中の対象間の関係も一定比例ではなく、実のところ、大きさに関して逆の関係を有する場合もある。この図面は、示される各対象の構造への理解と明確性をもたらすように企図されているので、構造の具体的な特徴を例解するために、ある特徴が誇張される場合もある。
【0012】
[0013] 本明細書と付帯の特許請求の目的のために、他に示さなければ、本明細書及び特許請求項において使用される、成分量、材料の百分率又は比率、反応条件、及び他の数値を表すすべての数字は、すべての例において「約」という用語によって修飾されていると理解されたい。従って、反対に示さなければ、以下の明細書と付帯の特許請求項に示す数的変数は、本発明により得られるように求められる所望の特性に依存して変動し得る概数である。少なくとも、そして均等論の適用を特許請求の範囲へ制限する試みとしてではなく、それぞれの数的変数は、少なくとも報告される有効数字の数に照らして、そして通常の丸め方法を適用することによって解釈されるべきである。
【0013】
[0014] 本発明の広い範囲を示す数的範囲及び変数が概数であるにもかかわらず、以下に示す数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、どの数値も、本来的には、そのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差より必然的に生じるある種の誤差を含有するものである。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲には、そこに包含されるありとあらゆるサブ範囲が含まれると理解されたい。例えば、「1〜10」の範囲には、最小値の1と最大値の10の間(及び、含まれる)のありとあらゆるサブ範囲、即ち、1以上の最小値と10以下の最大値を有するありとあらゆるサブ範囲(例えば、5.5〜10)が含まれる。
【0014】
[0015] 定義
[0016] 他に特定されなければ、又は文脈より明らかでなければ、以下の用語及び句は、下記に特定する意味を有する。
【0015】
[0017] 本明細書と付帯の特許請求項に使用されるように、単数形の「a」、「an」(不定冠詞)及び「the」(定冠詞)には、明白かつ明確に1つの指示物へ限定されなければ、複数の指示物が含まれることに留意されたい。従って、例えば、「薬物デポー剤(a drug depot)」への言及には、1、2、3以上の薬物デポー剤(drug depots)が含まれる。
【0016】
[0018] 「デポー剤」には、限定されないが、カプセル剤、(マイクロ)スフェア剤、(微)粒子剤、(マイクロ)カプセル剤、(マイクロ)ファイバー剤、粒子剤、ナノスフェア剤、ナノ粒子剤、コーティング剤、マトリックス剤、ウェハー剤、シート剤、ストリップ剤、リボン様ファイバー剤、リボン剤、ピル剤、ペレット剤、エマルジョン剤、リポソーム剤、ミセル剤、ゲル剤、又は他の医薬送達組成物、又はこれらの組合せが含まれる。デポー剤に適した材料は、理想的には、好ましくはFDA承認されている医薬的に許容される生分解性及び/又はあらゆる生体吸収性の材料、又はGRAS(一般に安全と認められている)材料である。これらの材料は、ポリマー性又は非ポリマー性であり、並びに、合成品又は天然に存在するもの、又はこれらの組合せであり得る。いくつかの態様において、デポー剤は、固体組成物である。
【0017】
[0019] 「生分解性」という用語には、薬物デポー剤の全体又は部分が酵素の作用によって、加水分解作用によって、及び/又は身体中の他の類似の機序によって経時的に分解されることが含まれる。様々な態様において、「生分解性」には、治療薬剤が放出された後で、又は放出されている間に、デポー剤(例、微粒子剤、マイクロスフェア剤、等)が身体内で無毒の成分へ崩壊又は分解され得ることが含まれる。「生侵食性」は、デポー剤が、少なくとも一部は、周囲組織に見出される物質、体液との接触によるか又は細胞の作用によって経時的に侵食又は分解されることを意味する。「生体吸収性」は、デポー剤が人体内で、例えば細胞又は組織によって崩壊されて吸収されることを意味する。「生体適合性」は、デポー剤が標的組織部位で実質的な組織刺激又は壊死を引き起こさないことを意味する。
【0018】
[0020] 本明細書に使用される「薬物デポー剤」という句は、その中でクロニジンのような治療薬剤が身体へ投与されて、身体中に埋め込むことができる組成物を意味する。従って、薬物デポー剤は、所望の部位(例えば、特に、外科の部位又はその付近にある患者の椎間板腔、脊柱管、組織、等)における埋込み及び保持を促進する物理構造を含んでよい。薬物デポー剤は、薬物そのものも含む。本明細書に使用する「薬物」という用語は、一般に、患者の生理機能を改変させるあらゆる物質を意味するとする。「薬物」という用語は、本明細書において、「治療薬剤」、「治療有効量」、及び「活性医薬成分」又は「API」という用語と交換可能的に使用してよい。他に特定されなければ、「薬物」製剤には、1より多い治療薬剤が含まれてよく、ここで治療薬剤の例示の組合せには、2以上の薬物の組合せが含まれると理解される。薬物は、その部位への送達のためにその治療薬剤の濃度勾配を提供する。様々な態様において、薬物デポー剤は、埋込み部位より約0.1cmまで、約1cmまで、約2cmまで、約3cmまで、約4cmまで、又は約5cmまでの距離で治療薬剤の最適な薬物濃度勾配を提供して、クロニジンを含む。
【0019】
[0021] 「即時放出」という句は、本明細書において、身体へ導入されて、それが投与される位置において溶解するか又はそこで吸収されることが可能であり、薬物の溶解又は吸収を遅延又は延長させる意図がない、1以上の治療薬剤(複数)へ言及するために使用される。例えば、いくつかの態様では、疼痛を治療するための即時放出有効成分を含んでなる液体製剤を標的組織部位又はその付近に投与することができる。この即時放出液体製剤は、すべて又は実質的にすべての有効成分(複数)を24時間の期間内に放出することができる。例えば、即時放出製剤は、1〜12時間、4〜6時間、2〜3時間の間、又は薬物デポー剤がその有効成分(複数)を放出しはじめるまで有効であり得る。
【0020】
[0022] 様々な態様において、デポー剤がゲル剤であるとき、この薬物デポー剤は、埋込み後の最初の24時間以内に治療薬剤の初期バースト投薬を引き起こすように設計することができる。「初期バースト」又は「バースト効果」又は「ボーラス用量」は、デポー剤が水性の体液(例、滑液、脳脊髄液、等)と接触した後の最初の24時間の間に治療薬剤がデポー剤より放出されることを意味する。この「バースト効果」は、デポー剤が凝固又は硬化しながら固体又は半固体(ゴム状)のインプラントを形成している間、ゲル剤がまだ流動可能な状態にある間に、治療薬剤のデポー剤(例、ゲル剤)からの放出が高まるによると考えられている。代わりの態様では、この初期バースト効果を回避するようにデポー剤(例、ゲル剤)が設計される。二重API系の場合は、より良好な初期疼痛緩和を達成するために、流体を利用してデポー剤からの限定されたバーストを誘導してよい。このことは、ポリマーに含まれる薬物の溶解性を高める、エタノール又は界面活性剤のような薬剤を流動相へ加えることによって達成され得る。
【0021】
[0023] 「局在化送達」という句には、1以上の薬物が組織内に、神経系の神経根又は脳の領域の付近に、又はそれらのごく近傍(約10cm以内、又は好ましくは、例えば約5cm以内)に沈積される送達が含まれる。「標的指向される送達系」という句は、1以上の薬物デポー剤、ゲル剤、又は沈積され得る量の治療薬剤を有するゲルに分散したデポー剤の、疼痛、炎症、又は他の疾患又は状態の治療に必要とされるような標的部位又はその付近への送達を提供することを意味する。「局所に」という用語は、薬物が放出されるときに有効量のクロニジンがその部位に達するような、目的の部位の近傍に言及する。
【0022】
[0024] 「哺乳動物」という用語は、「哺乳動物」という命名法の群からの生物を意味し、限定されないが、ヒト、チンパンジー、ヒトニザル、オランウータン、及びサルのような他の霊長動物、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、等が含まれる。
【0023】
[0025] 「疼痛管理医薬品」という用語には、疼痛を予防、軽減、又は完全に取り除くために投与される1以上の治療薬剤が含まれる。これらには、抗炎症剤、筋弛緩薬、鎮痛薬、麻酔薬、麻薬、等とこれらの組合せが含まれる。
【0024】
[0026] 「放出速度プロフィール」という句は、一定の単位時間にわたり放出される有効成分の割合、例えば、mcg/時間、mcg/日、10日間10%/日、等を意味する。当業者が知っているように、放出速度プロフィールは、線形であってもなくてもよい。非限定的な例によれば、薬物デポー剤は、クロニジンをある時間帯にわたり放出するリボン様ファイバー剤(a ribbon-like fiber)であり得る。
【0025】
[0027] 「固体」という用語は、堅い材料を意味すると企図されるが、一方「半固体」は、ある度合いの柔軟性を有することにより、デポー剤が曲がって、周囲の組織要求性に従うことを可能にする材料を意味すると企図される。
【0026】
[0028] 「持続(sustained)放出」及び「継続(sustain)放出」(延長放出又は制御放出とも呼ばれる)という句は、ヒト又は他の哺乳動物の身体へ導入されて、1以上の治療薬剤の量を所定の時間帯にわたり、そしてその所定の時間帯を通して所望の治療効果を達成するのに十分な治療レベルで連続的又は間欠的に放出する、1以上の治療薬剤(複数)に言及するために本明細書で使用される。連続的な放出の流れへの言及には、薬物デポー剤又はそのマトリックス若しくは成分の in vivo での生物分解の結果として、又は治療薬剤(複数)又は治療薬剤(複数)のコンジュゲートの代謝変換又は溶解の結果として生じる放出が含まれると企図される。
【0027】
[0029] 「標的部位」という句は、疼痛が引き起こされるか又は感じられる、生物内の部位を意味する。標的部位又はその付近に局所投与される治療薬は、有効成分が標的部位で所望される結果を引き起こすことを可能にする距離内で投与される。
【0028】
[0030] 疾患又は状態に関して「治療すること」又は「治療」という用語は、疾患の徴候又は症状を軽減する努力において、患者(正常又は他の状態のヒト)へ1以上の薬物を投与することが含まれ得るプロトコールを実行することを意味する。軽減は、疾患又は状態の徴候又は症状が出現する前に、並びにその出現の後に起こり得る。このように、「治療すること」又は「治療」には、疾患又は望まれない状態を「予防すること」又はその「予防」が含まれる。加えて、「治療すること」又は「治療」は、徴候又は症状の完全な軽減を必要とせず、治癒を必要とせず、そして具体的には、患者に対してわずかな効果しか及ぼさないプロトコールも含まれる。提供される組成物及び方法は、限定されないが、外科、慢性炎症性疾患、慢性炎症性腸疾患、有痛性膀胱症候群及び慢性前立腺炎のような慢性の骨盤疼痛状態、骨関節炎、骨溶解、腱炎、坐骨神経痛、椎間板ヘルニア、狭窄、ミオパシー、脊椎すべり症、腰痛、椎間関節痛、手根管症候群、足根管骨症候群、腰下肢痛、等に続く炎症及び/又は疼痛が含まれる、炎症及び/又は疼痛を抑制、予防、又は治療するために使用することができる。
【0029】
[0031] 「治療有効量」又は「有効量」は、投与されるときに、薬物が、例えば、炎症の阻害、疼痛又は痙性の抑制又は軽減、筋弛緩による状態の改善、等といった生物活性の改変をもたらすような量である。患者へ投与される投与量は、薬物の投与される薬物動態及び薬力学特性、投与経路、患者の状態及び特性(性別、年齢、体重、健康、サイズ、等)、症状の程度、併用治療法、治療の頻度、及び所望される効果が含まれる多様な要因に依って、単用量又は多用量であり得る。
【0030】
[0032] 以下に、その実施例が付帯の図面に図解される、本発明のある態様について詳細に言及する。本発明を例解の態様とともに記載するが、それらは本発明をその態様へ制限することを企図しないと理解されよう。むしろ、本発明には、付帯の特許請求項により規定されるような、本発明内に含まれ得る、すべての代替物、修飾物、及び等価物が含まれると企図される。
【0031】
[0033] 以下の見出しは、本開示を決して制限するものではなく;ある見出し下の態様を他の見出し下の態様とともに使用してよい。
【0032】
[0034] 本発明は、急性神経根性疼痛のような疼痛又は狭窄に関連した疼痛、及び腱炎を、第一の有効成分を含有する液体製剤を投与する工程と第二の有効成分を含有する薬物デポー剤を投与する工程の2工程法を通して治療するための方法を提供する。液体製剤と薬物デポー剤のいずれも、疼痛部位に局所投与してよい。いくつかの態様では、液体製剤が疼痛からの即時緩和を提供し得るのに対して、薬物デポー剤は、埋め込むと即座に、又は薬物デポー剤の製剤に依っているある時間量の後で始まる持続放出を提供し得る。この二部品系の利点は、流動相が急性疼痛を治療して、デポー剤からのバーストの必要性を回避することである。これにより、デポー剤に保存された薬物が持続効力を提供するために準備されることが可能になり、それによって薬物が放出されて疼痛が治療される時間の全体量が高められる。
【0033】
[0035] さらに、そして以下のいくつかの態様においてより完全に記載するように、液体製剤は、患者へ初めの時に物理的に導入してよく、薬物デポー剤は、液体製剤の導入の直後であるか又は特定の時間間隔の後である第二の遅い時に患者へ導入してよい。他の態様では、薬物デポー剤と同じ時か又は薬物デポー剤の後で液体製剤を患者へ導入するが、薬物デポー剤の製剤のために、液体製剤が即時放出をもたらす一方で、有効成分は延長された時間にわたり放出される。本発明の方法は、ニューロパシー疼痛及び炎症性疼痛を治療するためにも使用してよい。
【0034】
[0036] 液体製剤
[0037] 液体製剤は、疼痛からの即時緩和を提供するように設計してよく、いくつかの態様では、注射してよい。例えば、液体製剤は、硬膜外ステロイド注射剤、硬膜外クロニジン注射剤、又はクロニジンとステロイドの両方の硬膜外注射剤であってよい。他の例示の液体製剤には、リドカイン、ブピバカイン、及びケトロラクトロメタミンのようなNSAIDの1以上を含めてよい。
【0035】
[0038] 本発明との併用において有用であり得る例示のステロイドには、限定されないが、グルココルチコイド、血管形成抑制(angiostatic)ステロイド、及びコルチコステロイドが含まれる。利用し得る好適なグルココルチコイドには、限定されないが、デキサメタゾン、フルオロメタロン、メドリソン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、プレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコーチゾン、リメキソロン、プレドニカルベート、デフラザコート、ハロメタゾン、チキソコルトール、プレドニリデン、プレドニバル、パラメタゾン、メチルプレドニゾン、メプレドニゾン、マジプレドン、イソフルプレドン、酢酸ハロプレドン、ハルシノニド、フォルモコルタール、フルランドレノリド、フルプレドニゾン、酢酸フルプレドニジン、酢酸フルペロロン、フルオコルトロン、フルオコルチンブチル、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルニソリド、フルメタゾン、フルドロコーチゾン、フルクロリニド、エノキソロン、ジフルプレドネート、ジフルコルトロン、二酢酸ジフロラゾン、デソキシメタゾン、デソニド、デスシノロン、コルチバゾール、コルチコステロン、コーチゾン、クロプレドノール、クロコルトロン、クロベタゾン、クロベタゾール、クロロプレドニゾン、カフェストール、ブデソニド、ベクロメタゾン、アムシノニド、アロプレグナンアセトニド、アルドメタゾン、21−アセトキシプレグネノロン、トラロニド、酢酸ジフロラゾン、デアシルコルチバゾール、RU−26988、及びデアシルコルチバゾールオクセタノンが含まれる。ステロイドは、先述のいずれもの医薬的に許容される塩であってもよいが、この場合、ステロイド塩は、好ましくは、水に溶けないか、又はより好ましくは、水にほとんど溶けない。
【0036】
[0039] 例示の血管形成抑制ステロイドには、限定されないが、ヒドロコーチゾン、テトラヒドロコルチゾール−S、11α−エピヒドロコルチゾール、コルテキソロン、17α−ヒドロキシ−プロゲステロン、コルチコステロン、デオキシコルチコステロン、テストステロン、エストロン、デキサメサゾン、6α−フルオロ−17,21−ジヒドロキシ−16β−メチル−プレグナ−4,9,(11)−ジエン−3,20−ジオン、及び酢酸アネコルタブが含まれる。
【0037】
[0040] 本明細書に使用するように、「ステロイド」には、ステロイド又はその医薬的に許容される塩;ステロイドの薬理学的に活性な誘導体又はステロイドの活性代謝産物が含まれる。本明細書に使用するように、「医薬的に許容される塩」は、開示化合物(例、エステル又はアミン)の誘導体を意味し、ここで親化合物は、その酸性又は塩基性の塩を作製することによって修飾してよい。医薬的に許容される塩の例には、限定されないが、アミンのような塩基性残基の鉱酸又は有機酸塩;カルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩又は有機塩が含まれる。医薬的に許容される塩には、例えば、無毒の無機酸又は有機酸より生成される、親化合物の慣用的な無毒の塩又は四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような慣用の無毒の塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、又は硝酸のような無機酸より誘導される塩;又は、酢酸、フオル酸(fuoric)、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸のような有機酸より製造される塩が含まれる。医薬的に許容される塩には、ラセミ混合物((+)−R及び(−)−Sエナンチオマー)、又は上記ステロイドの右旋性及び左旋性異性体のそれぞれも含まれる。ステロイドは、遊離酸又は塩基の形態であっても、長期作用活性のためにペジル化されてもよい。
【0038】
[0041] 上記の1以上のステロイドは、例えば、約2.2〜約10ミクロンの平均粒径を有し得る。いくつかの態様において、ステロイド粒子は、約2.2ミクロン、又は約2.5ミクロン、又は約3ミクロン、又は約4ミクロンの最小平均粒径を有する。この粒子はまた、約10ミクロン、又は約8ミクロン、又は約7ミクロン、又は約5ミクロンの最大平均粒径を有する場合もある。さらに、ステロイド粒子は、単相分布を有してよい。追加的に、いくつかの態様では、デポー剤が提供していない急性の抗炎症/鎮痛効果をもたらすために、水溶性ステロイドを有することが好ましい場合がある。
【0039】
[0042] ステロイドを含有する液体製剤の適用のための単位用量バイアルは、好ましくは、ヒトに対して療法的に有効であるのに十分なステロイドを含有して、治療される適応症は、どの好適な状態でもよい。ある好ましい適用では、脳脊髄系又は筋骨格系のいずれかへ本医薬組成物を投与するときの使用に、本発明の医薬組成物の単ユニット用量バイアル又は前負荷シリンジが適している。医薬組成物は、約10マイクロリットル〜約2ml、好ましくは約100マイクロリットル〜約1mlの全量で投与してよい。この用量は、約50マイクロリットル以下の全量も有してよい。用量は、好ましくは、約10マイクロリットル、15マイクロリットル、20マイクロリットル、25マイクロリットル、30マイクロリットル、35マイクロリットル、40マイクロリットル、45マイクロリットル、50マイクロリットル、55マイクロリットル、60マイクロリットル、65マイクロリットル、70マイクロリットル、75マイクロリットル、80マイクロリットル、85マイクロリットル、90マイクロリットル、95マイクロリットル、100マイクロリットル、200マイクロリットル、300マイクロリットル、400マイクロリットル、500マイクロリットル、600マイクロリットル、700マイクロリットル、800マイクロリットル、900マイクロリットル、又は1mlまでの全量、又は中間投与量を有してよい。用量は、1.1ml、1.2ml、1.3ml、1.4ml、1.5ml、1.6ml、1.7ml、1.8ml、1.9ml、2ml、又は約2ml以上より多い全量、並びに中間投与量を有してよい。医薬組成物は、好ましくは、単回注射で、あるいは、頻回注射で投与し、ここで多数の単位用量は、患者のサイズ、医学的状態、又は適正な投与量を決定するときの他の重要な判断基準に基づく治療担当医の裁量で患者へ投与され得る。好ましくは、患者は単用量を受ける。ある事例では、患者が単一の治療において多用量を受けてよい。いくつかの態様において、液剤は、薬物デポー剤を埋め込む前の4時間以内に、又は薬物デポー剤を埋め込む5分以内、10分以内、15分以内、20分以内、25分以内、30分以内、35分以内、40分以内、45分以内、50分以内、55分以内、又は60分以内に投与されてよい。
【0040】
[0043] いくつかの態様では、約10マイクログラム〜約160マイクログラムのステロイドを、例えば水溶液剤において、1回以上の注射で投与する。いくつかの態様では、約10マイクログラム〜約30マイクログラムのステロイドを1回以上の注射剤で投与する。いくつかの態様では、約30マイクログラム〜約50マイクログラムのステロイドを1回以上の注射剤で投与する。いくつかの態様では、約50マイクログラム〜約70マイクログラムのステロイドを1回以上の注射で投与する。いくつかの態様にでは、約70マイクログラム〜約90マイクログラムのステロイドを1回以上の注射で投与する。いくつかの態様では、約90マイクログラム〜約110マイクログラムのステロイドを1回以上の注射で投与する。いくつかの態様では、約110マイクログラム〜約130マイクログラムのステロイドを1回以上の注射で投与する。いくつかの態様では、約130マイクログラム〜約160マイクログラムのステロイドを1回以上の注射で投与する。
【0041】
[0044] 液体製剤がクロニジンを含むとき、クロニジンは、例えば、水中にほぼ0.1〜0.5mg/mL又は0.5〜1.0mg/mL又は1.0〜2.0mg/mLのクロニジン塩酸塩、例えば、1.5mg/mLのクロニジン塩酸塩である製剤中にあってよい。注射可能なクロニジンの例示の投与量は、例えば、以下のクロニジンの量:約10マイクログラム〜約20マイクログラム、約20マイクログラム〜約30マイクログラム、及び約30マイクログラム〜約40マイクログラムを含有し得る。
【0042】
[0045] 当業者が知っているように、硬膜外のクロニジンは、脊髄中のシナプス前及びシナプス後のα2アドレナリン作動性受容体で脳への疼痛シグナル伝達を妨げることによって鎮痛効果をもたらすことができる。
【0043】
[0046] さらに、他のα2アドレナリン作動性アゴニストも、クロニジンに代わる有効成分として、又はそれとの組合せにおいて使用してよい。本出願に有用なα2アドレナリン作動性受容体アゴニストの例には、限定されないが、L−ノルエピネフリン、デクスメデトミジン、アプラクロニジン、メチルドーパ、チザニジン、ブリモニジン、キシロメタゾリン、テトラヒドロゾリン、オキシメタゾリン、グアンファシン、グアナベンズ、グアノキサベンズ、グアネチジン、キシラジン、モキソニジン、ミバゼロール、リルメニジン、UK 14,304、B−HT 933、B−HT 920、オクトパミン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0044】
[0047] 他に特定されなければ、又は文脈より明らかでなければ、本明細書と以下に続く特許請求項のセットがクロニジンに言及する場合、本発明者は、クロニジンの医薬的に許容される塩にも言及している。医薬的に許容される塩のいくつかの例には、化合物の毒性を実質的には高めない、塩生成の酸及び塩基が含まれる。好適な塩のいくつかの例には、マグネシウム、カリウムのようなアルカリ金属とアンモニウムの塩、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、及び硫酸のような鉱酸の塩、並びに、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、グロン酸、コハク酸、アリールスルホン酸、例えば、p−トルエンスルホン酸、等のような有機酸の塩が含まれる。例示の製剤は、クロニジンの塩基又は塩酸塩のいずれも使用してよい。
【0045】
[0048] いくつかの態様によれば、液体製剤の単用量だけを与える。他の態様によれば、液体製剤の多用量を与えてよい。多用量が与えられる場合、それらは、例えば、約1〜約24時間又は約1〜約2時間、又は約2時間〜約3時間、又は約3時間〜約4時間、又は約4時間〜約5時間又は約5時間〜約6時間又は約6時間〜約7時間又は約7時間〜約8時間又は約8時間〜約9時間又は約9時間〜約10時間又は約10時間〜約11時間又は約11時間〜約12時間又は約12時間〜約13時間又は約13時間〜約14時間又は約14時間〜約15時間又は約15時間〜約16時間又は約16時間〜約17時間又は約17時間〜約18時間又は約18時間〜約19時間又は約19時間〜約20時間又は約20時間〜約21時間又は約21時間〜約22時間又は約22時間〜約23時間又は約23時間〜約24時間にわたり与えてよい。
【0046】
[0049] いくつかの態様において、液体製剤は、典型的な保存剤を含まない、及び/又は分散剤を含まない。いくつかの態様において、液体製剤は、有効成分(又はその医薬的に許容される塩)、水、及び任意選択的に好適な賦形剤を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる。
【0047】
[0050] 液体製剤のための例示の賦形剤には、限定されないが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、及びポリエチレングリコールが含まれる。いくつかの態様において、液体製剤は、例えば、少なくとも約0.2%、又は少なくとも約0.35%、又は少なくとも約0.5%の最小賦形剤濃度を含有してよく、ここでその百分率は、重量/容量で測定される。追加的に、いくつかの態様において、液体製剤は、約5%、又は約2%、又は約1%の賦形剤の最大賦形剤濃度を含有してよく、ここでこれらの百分率は、重量/容量で測定される。
【0048】
[0051] いくつかの態様において、液体製剤中の有効成分がステロイドであるとき、該ステロイドと賦形剤は、塩と水の組合せであり得る、水性担体によって担われてよい。どの好適な塩も利用することができるが、その塩は、利用される濃度での医薬使用に受け容れられるべきであり、より好ましくは、利用される濃度での脳脊髄系及び/又は筋骨格系での使用に適している。塩は、例えば、塩化ナトリウムであってよい。医薬組成物は、好ましくは、少なくとも約0.7%(w/v)の塩化ナトリウムと約1.1%(w/v)以下の塩化ナトリウム(例、約0.8〜1%(w/v))を含有する。より好ましくは、医薬組成物は、約0.9%の塩化ナトリウムを含有する。追加的に、塩濃度又は賦形剤濃度又はその両方は、好ましくは、必要ならば、約200mOsm〜約400mOsmのモル浸透圧濃度を提供するように調整される。
【0049】
[0052] いくつかの態様において、有効成分(例、ステロイド、クロニジン、等)は、散剤型であってよく、水性であり得る1以上の液体希釈剤で復元することができる。例えば、水性の液体希釈剤は、水、医薬的に許容される水溶液、水性の生理食塩水溶液(NS、1/2NS、等)、リンゲル液、乳酸加リンゲル液、重炭酸塩溶液、又は水性デキストロース溶液、又はこれらの組合せであってよい。液体希釈剤は、抗酸化薬のBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)のような1以上の賦形剤を含有してよい。
【0050】
[0053] 別の態様において、液体希釈剤は非水性であり、1以上の界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤を含む。一般に、有効成分又はその塩と非イオン性界面活性剤(複数)の間の重量対重量比(w/w)は、約1:10,000〜約1:1であってよい。有用な非イオン性界面活性剤には、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びエトキシル化脂肪酸を含めることができる。
【0051】
[0054] 他の態様において、液体希釈剤は、水性希釈剤と非水性希釈剤の組合せであってよい。例えば、1以上の非イオン性界面活性剤を含んでなる非水性液体希釈剤には、水、医薬的に許容される水溶液、水性の生理食塩水溶液、リンゲル液、乳酸加リンゲル液、重炭酸塩溶液、水性デキストロース溶液、又はこれらの組合せのような水性希釈剤がさらに含めてよい。特定の態様において、「非イオン性界面活性剤」対「水性希釈剤」の容量対容量比(v/v)は、約100:1〜約1:20,000であってよい。
【0052】
[0055] 液体製剤がステロイドとクロニジンをともに含む場合、上記製剤のそれぞれの画分は、同一のシリンジ中で合わせても、又は異なるシリンジにより同時投与してもよい。
【0053】
[0056] 薬物デポー剤
[0057] いくつかの態様において、薬物デポー剤は、クロニジン、デカドロン、ブピバカイン、又はリドカインの1以上、又は、限定されないが、アセトアミノフェン;ブプレノルフィン、ブトルファノール、デキストロモラミド、デゾシン、デキストロプロポキシフェン、ダイアモルフィン、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ケトベミドン、レボメタジル、メピリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、アヘン、オキシコドン、パパベレタム、ペンタゾシン、ペチジン、フェノペリジン、ピリトラミド、デキストロプロポキシフェン、レミフェンタニル、チリジン、トラマドール、コデイン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、デゾシン、エプタゾシン、フルピルチン、又はこれらの組合せのようなオピオイド鎮痛薬が含まれる鎮痛薬のような、疼痛を緩和するための他の薬剤を含む。鎮痛薬には、例えば、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ガバペンチン、プレガバリン、又はこれらの組合せのような、鎮痛特性のある薬剤も含まれる。
【0054】
[0058] 薬物デポー剤は、筋弛緩薬と同時投与してよい。例示の筋弛緩薬には、例によれば、そして限定せずに、塩化アルクロニウム、アトラクリウムベシラート、バクロフェン、カルボロニウム、カリソプロドール、カルバミン酸クロルフェネシン、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、ダントロレン、臭化デカメトニウム、ファザジニウム、ガラミントリエチオジド、ヘキサフルオレニウム、メラドラジン、メフェンシン、メタキサロン、メトカルバモール、ヨウ化メトクリン、パンクロニウム、メシル酸プリジノール、スチラメート、スキサメトニウム、スキセトニウム、チオコルチコシド、チザニジン、トルペリゾン、ツボクラリン、ベクロニウム、又はこれらの組合せが含まれる。
【0055】
[0059] 薬物デポー剤は、他の治療薬剤をさらに含んでよい。治療薬剤は、様々な態様において、炎症カスケード中のTNF−α又は他のタンパク質の転写又は翻訳を阻止する。好適な治療薬剤には、限定されないが、インテグリンアンタゴニスト、α4,β7インテグリンアンタゴニスト、細胞接着阻害剤、γインターフェロンアンタゴニスト、CTLA4−Igアゴニスト/アンタゴニスト(BMS−188667)、CD40リガンドアンタゴニスト、ヒト化抗IL−6 mAb(MRA、トシリズマブ、中外製薬)、HMGB−1 mAb(Critical Therapeutics 社)、抗IL2R抗体(ダクリズマブ、バシリシマブ)、ABX(抗IL−8抗体)、組換えヒトIL−10、又はHuMax IL−15(抗IL15抗体)、グルココルチコイドのようなNFκB阻害剤、ジチオカルバメートのような抗酸化薬、並びに、例えば、スルファサラジン、ヒトのインターロイキン−1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)の組換え非グリコシル型である、Kineret(登録商標)(アナキンラ)のようなIL−1阻害剤又は、IL−1の作用を阻止するモノクローナル抗体であるAMG108、グルタミン酸及びアスパラギン酸のような興奮性アミノ酸のアンタゴニスト、又はNMDA受容体、AMPA受容体、及び/又はカイニン酸受容体へのグルタミン酸結合の阻害剤、インターロイキン−1受容体アンタゴニスト、サリドマイド(TNF−α放出阻害剤)、サリドマイド類似体(マクロファージによるTNF−α産生を抑制する)、骨形成タンパク質(BMP)2型又はBMP−4(カスパーゼ8、TNF−αアクチベータの阻害剤)、キナプリル(TNF−αをアップレギュレートする、アンジオテンシンIIの阻害剤)、IL−11のようなインターフェロン(TNF−α受容体発現を調節する)、ペントキシフィリン(低分子TNF阻害剤)、及びオーリントリカルボン酸(TNF−αを阻害する)のような他の化合物が含まれる。望まれる場合は、上記のペジル化型も使用してよいと考慮される。
【0056】
[0060] 上記の有効成分とともに使用し得る治療薬剤の群には、限定されないが、抗炎症剤、又は骨誘導成長因子、又はこれらの組合せが含まれる。抗炎症剤には、限定されないが、サリチル酸塩、ジフルニサール、スルファサラジン、インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン、トルメチン、ケトロラク、ジクロフェナク、ケトプロフェン、フェナム酸(メフェナム酸、メクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、メロキシカム)、ナブメトン、セレコキシブ、エトドラク、ニメスリド、アパゾン、金、スリンダク、又はテポキサリン;ジチオカルバメートのような抗酸化薬、並びに、スルファサラジン[2−ヒドロキシ−5−[−4−[C2−ピリジニルアミノ]スルホニル]アゾ]安息香酸、フルオシノロン、コルチゾール、コーチゾン、ヒドロコーチゾン、フルドロコーチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、フルチカゾンのようなステロイド、又はこれらの組合せが含まれる。
【0057】
[0061] 好適な同化成長又は抗異化成長因子には、限定されないが、骨形成タンパク質、成長分化因子、LIM鉱化作用タンパク質、CDMP又は前駆細胞、又はこれらの組合せが含まれる。
【0058】
[0062] 薬物デポー剤の有効成分は、非有効成分とともに投与してもよい。これらの非有効成分は、治療薬剤(複数)を運搬すること、安定化させること、その放出を制御すること(即ち、それらに持続放出特性を与えること)が含まれる、多機能の目的を有する場合がある。例えば、持続放出プロセスは、溶解拡散機序によっても、あるいはそれは、浸食−持続プロセスによって支配されてもよい。典型的には、デポー剤は、生分解性であり得る生体適合性材料からなる、固体又は半固体の製剤であろう。
【0059】
[0063] 様々な態様において、非有効成分は、薬物送達の予定期間に(生分解性の成分では)等しいか、又は(非生分解性の成分では)それより長い時間帯の間、組織部位の内側で耐久可能である。例えば、デポー剤の材料は、体温に近いか又はそれより高いが、治療薬剤の崩壊又は分解温度よりは低い、融点又はガラス遷移温度を有し得る。しかしながら、デポー剤の材料の所定の侵食は、負荷した治療薬剤(複数)の遅い放出をもたらすためにも使用し得る。
【0060】
[0064] 本出願における使用に適した薬物デポー剤は、米国仮特許出願番号61/046,246(2008年4月18日出願)、米国仮特許出願番号61/046,218(2008年4月18日出願)、米国仮特許出願番号61/046,218(2008年4月18日出願)、米国仮特許出願番号61/046,201(2008年4月18日出願)、米国シリアル番号12/105,864(2008年4月18日出願)、及び米国シリアル番号12/105,375(2008年4月18日出願)に記載されている。これらの出願の全体の開示は、本明細書において、参照により本出願に組み込まれる。
【0061】
例示の医薬有効成分
フルオシノロン
[0065] 1つの態様において、抗炎症剤は、液体型及び/又は薬物デポー剤にあり、フルオシノロン又は、アセトニド塩のようなその医薬的に許容される塩を含む。フルオシノロンは、様々な医薬品製造業者より入手可能である。フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.0005〜ほぼ100μg/日であってよい。フルオシノロンの追加の投与量には、ほぼ0.0005〜ほぼ50μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ25μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ10μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ5μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ1μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.75μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.5μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.25μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.1μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.075μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.05μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.025μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.01μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.0075μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.005μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.025μg/日;及び、ほぼ0.002μg/日が含まれる。別の態様において、フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.001〜ほぼ15μg/日である。別の態様において、フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.001〜ほぼ10μg/日である。別の態様において、フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.001〜ほぼ5μg/日である。別の態様において、フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.001〜2.5μg/日である。いくつかの態様において、フルオシノロンの量は、40μg/日と600μg/日の間にある。いくつかの態様において、フルオシノロンの量は、200μg/日と400μg/日の間にある。
【0062】
デキサメタゾン
[0066] 1つの態様において、抗炎症剤は、液体型及び/又は薬物デポー剤にあり、8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R,17R−9−フルオロ−11,17−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16−トリメチル−6,7,8,11,12,14,15,16−オクタヒドロシクロペンタ[a]−フェナントレン−3−オンとも呼ばれる、デキサメタゾン遊離塩基又は酢酸デキサメタゾン又はその医薬的に許容される塩を含み、これは、様々な製造業者より入手可能である。
【0063】
[0067] 様々な態様において、デキサメタゾンは、デポー剤より、約10pg〜約80mg/日、約2.4ng/日〜約50mg/日、約50ng/日〜約2.5mg/日、約250ng/日〜約250μg/日、約250ng/日〜約50μg/日、約250ng/日〜約25μg/日、約250ng/日〜約1μg/日、約300ng/日〜約750ng/日、又は約0.50μg/日の用量で放出され得る。様々な態様において、この用量は、約0.01〜約10mg/日又は約1ng〜約120mg/日であってよい。1つの例示の態様において、デキサメタゾンは、リン酸デキサメタゾンナトリウムである。
【0064】
GED
[0068] 1つの態様において、治療薬剤は、液体型及び/又は薬物デポー剤にあり、抗炎症特性を有する誘導性一酸化窒素シンターゼ阻害剤であるGED(グアニジノエチルジスルフィド)を含む。GEDは、その炭酸水素塩の形態でよい。
【0065】
[0069] GEDの投与量は、ほぼ0.0005μg/日〜ほぼ100mg/日であってよい。GEDの追加の投与量には、ほぼ0.0005μg/日〜ほぼ50mg/日;ほぼ0.0005μg/日〜ほぼ10mg/日;ほぼ0.0005μg/日〜ほぼ1mg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ800μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ50μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ45μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ40μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ35μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ30μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ25μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ20μg/日;及び、ほぼ0.0025〜ほぼ15μg/日が含まれる。別の態様において、GEDの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ15μg/日である。別の態様において、GEDの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ10μg/日である。別の態様において、GEDの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ5μg/日である。別の態様において、GEDの投与量は、ほぼ0.005〜2.5μg/日である。いくつかの態様において、GEDの量は、40μg/日と600μg/日の間にある。いくつかの態様において、GEDの量は、200μg/日と400μg/日の間にある。
【0066】
[0070] 1つの例示の態様において、GEDの投与量は、0.5mg/日と4mg/日の間にある。別の例示の態様において、GEDの投与量は、0.75mg/日と3.5mg/日の間にある。
【0067】
ロバスタチン
[0071] 1つの例示の態様において、抗炎症剤は、液体型及び/又はデポー剤にあり、ロバスタチンを含む。ロバスタチンは、様々な製造業者より様々な形態(例、注射剤、散剤、等)で入手し得るスタチンである。例えば、ロバスタチンは、メルクより、Mevacor(登録商標)(米国特許第4,231,938号を参照のこと、その全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)として入手し得る。ロバスタチンの好適な医薬的に許容される塩には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、1−デオキシ−2−(メチルアミノ)−D−グルシトール、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化第一鉄若しくは第二鉄、水酸化アンモニウム、又はN−メチルグルカミン、コリン、アルギニン、等のような有機アミン、又はこれらの組合せのような塩基より誘導される1以上の化合物が含まれる。ロバスタチンの好適な医薬的に許容される塩には、そのリチウム、カルシウム、ヘミカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、第一鉄、又は第二鉄の塩、又はこれらの組合せが含まれる。
【0068】
[0072] 様々な態様において、ロバスタチンの治療有効量は、1日につき約0.1pg〜約2000mg、例えば、0.1ng〜1000mg、500mg、100mg、50mg、25mg、10mg、1mg、50μg、25μg、10μg、1μg、500ng、250ng、100ng、75ng、50ng、25ng、15ng、10ng、5ng、又は1ngのロバスタチンを含む。様々な態様において、投与量は、例えば、約3ng/日〜0.3μg/日であってよい。
【0069】
モルヒネ
[0073] 本発明の1つの態様において、鎮痛剤は、液体型及び/又はデポー剤にあり、モルヒネを含む。モルヒネは、(5α,6α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−17−メチルモルヒナン−3,6−ジオールとも呼ばれて、化学式:C1719NOを有する。モルヒネとその医薬的に許容される塩は、様々な製造業者より入手可能である。1つの例示の態様において、モルヒネは、硫酸モルヒネ又は塩酸モルヒネを含む。
【0070】
[0074] モルヒネの投与量は、1日につき0.1mg〜1000mgであり得る。例えば、モルヒネの投与量は、例えば、1日につき0.1mg〜2mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mgのモルヒネであってよい。
【0071】
トラマドール
[0075] 1つの態様において、鎮痛剤は、液体型及び/又はデポー剤にあり、トラマドールを含む。トラマドールは、(±)cis−2−[(ジメチルアミノ)メチル]−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサノール塩酸塩とも呼ばれて、化学式:C1625NOを有する。トラマドール又はその医薬的に許容される塩は、様々な製造業者より入手可能である。様々な態様では、トラマドールHCLを使用する。
【0072】
[0076] トラマドールの投与量は、1日につき0.01mg〜500mgであってよい。例えば、トラマドールの投与量は、例えば、1日につき0.1mg〜2mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、又は500mgのトラマドールであってよい。
【0073】
[0077] 1つの態様において、薬物デポー剤は、2.5mg/kg/日と30mg/kg/日の間で放出するのに十分なトラマドールを含有する。別の態様において、薬物デポー剤は、3mg/kg/日と27.5mg/kg/日の間で放出するのに十分なトラマドールを含有する。
【0074】
[0078] 様々な態様において、薬物デポー剤の有効成分は、治療薬剤がデポー剤の約5〜99重量%、又はデポー剤の30〜95重量%、又はデポー剤の50〜95重量%を含むように、高い薬物ローディングを有してよい。いくつかの態様において、このバランスは、任意選択の不活性材料が含まれる、デポー剤材料であってよい。
【0075】
[0079] ある例では、薬物デポー剤を使用後に取り除くことを回避することが望ましい場合がある。これらの例において、デポー剤は、生分解性材料を含む場合がある。この目的に利用可能で、標的組織又はその付近に位置づけられるときに、延長された時間帯にわたり分解又は崩壊することが可能であるという特徴を有する、数多くの材料がある。生分解性材料の化学の関数として、この分解プロセスの機序は、本質において加水分解的又は酵素的、又はその両方であり得る。様々な態様において、分解は、薬物送達系デポー剤の表面(不均一又は表面侵食)で、又はその全体で均質に(均一又はバルク侵食)起こり得る。
【0076】
[0080] 様々な態様において、デポー剤は、有効成分の即時放出又は持続放出をもたらすことができる、生体吸収性及び/又は生分解性のバイオポリマーを含んでよい。好適な持続放出バイオポリマーの例には、限定されないが、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチドコグリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)のポリエチレングリコール(PEG)コンジュゲート、ポリオルトエステル、ポリアスピリン、ポリホスファゲン、コラーゲン、デンプン、ゼラチン化デンプン、ヒアルロン酸、キトサン、ゼラチン、アルギン酸塩、アルブミン、フィブリン、αトコフェリルアセテート、d−αトコフェリルスクシネートのようなビタミンE類似体、D,L−ラクチド、又はL−ラクチド、−カプロラクトン、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA−g−PLGA、PEGT−PBT共重合体(ポリアクティブ)、メタクリレート、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、PEO−PPO−PEO(プルロニック)、PEO−PPO−PAA共重合体、PLGA−PEO−PLGA、PEG−PLG、PLA−PLGA、ポロキサマー407、PEG−PLGA−PEGトリブロック共重合体、SAIB(スクロースアセテートイソブチレート)、又はこれらの組合せが含まれる。
【0077】
[0081] デポー剤は、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、又はリン酸ナトリウムのような緩衝剤及びpH調整剤;分解/放出修飾剤;薬物放出調整剤;乳化剤;塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、酢酸フェニル水銀、及び硝酸フェニル水銀、重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チメロサール、メチルパラベン、ポリビニルアルコール、及びフェニルエチルアルコールのような保存剤;溶解調整剤;安定化剤;及び/又は接着修飾剤のような不活性材料を含有してもよい。典型的には、どのそのような材料も、0〜75重量%の範囲内に、そしてより典型的には0〜30重量%の範囲内に存在するものである。デポー剤を脊椎領域に配置するならば、様々な態様において、デポー剤は、無菌で保存剤なしの材料を含む場合がある。
【0078】
[0082] デポー剤は、様々なサイズ、形状、及び配置であり得る。薬物デポー剤のサイズ、形状、及び配置を決定するときに考慮に容れるべきいくつかの因子がある。例えば、サイズと形状は、ともに埋込み又は注射の部位として選択される標的組織部位に薬物デポー剤を位置づけるときの容易さを考慮する場合がある。加えて、その系の形状及びサイズは、薬物デポー剤が埋込み又は注射の後で動くことを最小にするか又は防ぐように選択すべきである。様々な態様において、薬物デポー剤は、スフェア、ロッド又はファイバーのようなシリンダー、ディスク、フィルム、又はシート(例、リボン様)のような平坦表面、等のように成形することができる。柔軟性は、薬物デポー剤の布置を容易にするための考慮事項であり得る。様々な態様において、薬物デポー剤は、異なるサイズであり得て、例えば、薬物デポー剤は、約0.5mm〜5mmの長さであってよく、約0.01〜約2mmの直径を有してよい。様々な態様において、薬物デポー剤は、例えば、0.05〜0.75mmのような、約0.005〜1.0mmの層厚を有してよい。
【0079】
[0083] 様々な態様において、薬物デポー剤がリボン様ファイバー剤を含むとき、それは、切開部位に、その部位が閉じられる前に、置かれてよい。リボン様ファイバー剤は、例えば、熱可塑性材料から作ってよい。追加的に、リボン様ファイバー剤としての使用に有利であり得る特殊材料には、限定されないが、持続放出バイオポリマーとして上記に同定した化合物が含まれる。リボン様ファイバー剤は、クロニジンをこのポリマーと混合することによって成形してよい。
【0080】
[0084] 使用者が薬物デポー剤を患者の標的部位中へ正確に位置づけることを可能にするために、X線撮影用マーカーをデポー剤の上に含めることができる。これらのX線撮影用マーカーはまた、使用者がデポー剤のその部位での動き及び分解を経時的に追跡することも可能にする。この態様において、使用者は、数多くの診断造影手法のいずれを使用しても、デポー剤をその部位において正確に位置づけることができる。そのような診断造影手法には、例えば、X線造影法又は蛍光透視法が含まれる。そのようなX線撮影用マーカーの例には、限定されないが、バリウム、リン酸カルシウム、及び/又は金属のビーズ及び粒子が含まれる。様々な態様において、X線撮影用マーカーは、デポー剤周囲の球体形状又はリングであり得る。
【0081】
[0085] 様々な態様において、薬物デポー剤は、投薬前粘度を約1〜約500センチポアズ(cps)、1〜約200cps、又は1〜約100cpsの範囲に有するゲル剤の形態である。ゲル剤を標的部位へ投与した後で、ゲル剤の粘度は増加して、ゲル剤は、弾性係数(ヤング率)を約1x10〜約6x10ダイン/cm、又は2x10〜約5x10ダイン/cm、又は5x10〜約5x10ダイン/cmの範囲に有するものである。
【0082】
[0086] 1つの態様では、デポー剤がゲル剤全体に一様分布されるクロニジンを含んでなる付着性ゲル剤を含む。ゲル剤は、先に示したような、どの好適なタイプであってもよく、一度配置されたならばゲル剤がその標的指向された送達部位より移動することを防ぐほどに十分粘稠であるべきであり;ゲル剤は、標的指向された組織部位へ実効的に粘着又は付着するべきである。ゲル剤は、例えば、標的指向された組織との接触時に、又は標的指向された送達系からの配置の後で固化してよい。標的指向される送達系は、例えば、シリンジ、カテーテル、針、又はカニューレ、又は他の好適なデバイスであってよい。標的指向される送達系は、標的指向された組織部位の中又は上にゲル剤を注入することができる。治療薬剤は、標的指向された組織部位にゲル剤が配置される前にゲル剤へ混合してよい。様々な態様において、ゲル剤は、2成分送達系の一部であってよくて、2つの成分が混合されるときには、ゲル剤を成形してそれが標的組織へ粘着又は付着することを引き起こすように化学プロセスが活性化される。
【0083】
[0087] 様々な態様において、送達後に硬くなるか又は堅くなるゲル剤を提供する。典型的には、硬化ゲル製剤は、投薬前弾性係数を約1x10〜約3x10ダイン/cm、又は2x10〜約2x10ダイン/cm、又は5x10〜約1x10ダイン/cmの範囲に有してよい。投薬後(送達後)硬化ゲル剤は、ゴム粘度を有して、弾性係数を約1x10〜約2x10ダイン/cm、又は1x10〜約7x10ダイン/cm、又は2x10〜約5x10ダイン/cmの範囲に有してよい。
【0084】
[0088] 様々な態様において、ポリマーを含有するゲル製剤では、ゲル剤が硬化する速度にポリマー濃度が影響を及ぼす場合がある(例えば、より高濃度のポリマーを有するゲル剤は、より低濃度のポリマーを有するゲル剤より速やかに凝固し得る)。様々な態様において、ゲル剤が硬化するとき、得られるマトリックスはしっかりとしているが、組織の不規則な表面(例えば、骨の窪み及び/又は突起)に従うことも可能である。
【0085】
[0089] ゲル剤に存在するポリマーの百分率は、ポリマー組成物の粘度にも影響を及ぼす場合がある。例えば、より高いポリマー重量百分率を有する組成物は、典型的には、より低いポリマー重量百分率を有する組成物よりも濃厚でより粘稠である。より粘稠な組成物は、よりゆっくり流動する傾向がある。故に、いくつかの事例では、より低い粘度を有する組成物が好ましい場合がある。
【0086】
[0090] 様々な態様において、ゲル剤の分子量は、当該技術分野で知られている多くの方法によって変化させることができる。分子量を変化させる方法の選択は、典型的には、ゲル剤の組成(例、ポリマー対非ポリマー)によって決定される。例えば、様々な態様において、ゲル剤が1以上のポリマーを含む場合、重合化の度合いは、ポリマー開始剤(例、過酸化ベンゾイル)、有機溶媒又はアクチベータ(例、DMPT)、架橋連結剤、重合化剤の量、及び/又は反応時間を変化させることによって制御することができる。
【0087】
[0091] 好適なゲルポリマーは、有機溶媒に溶けてよい。ポリマーの溶媒中の溶解性は、ポリマーの結晶性、疎水性、水素結合、及び分子量に依って変動する。より低分子量のポリマーは、通常、有機溶媒中で高分子量のポリマーより容易に溶ける。高分子量ポリマーが含まれるポリマーゲル剤は、低分子量ポリマーが含まれるポリマー組成物より速やかに凝固又は固化する傾向がある。高分子量ポリマーが含まれるポリマーゲル製剤は、低分子量ポリマーが含まれるポリマーゲル剤より高い溶液粘度を有する傾向がある。
【0088】
[0092] 流動可能なゲル剤であるようにゲル剤を設計するとき、それは、ゲル剤に使用するポリマーの分子量及び濃度に依って、水のそれに似た低粘度からペーストのそれに似た高粘度まで変化する可能性がある。ゲル剤の粘度は、ポリマー組成物がどの慣用の技術によっても(例えば、ブラッシング、滴下、注射、又は塗布によって)患者の組織へ適用し得るように変化させることができる。ゲル剤の様々な粘度は、組成物を適用するために使用する技術に依存するものである。
【0089】
[0093] 様々な態様において、ゲル剤は、ゲル剤の分子量と分解時間の測定値である、インヘレント粘度(「I.V.」と略されて、単位は、デシリットル/グラムである)を有する(例えば、高いインヘレント粘度のゲル剤は、より高い分子量とより長い分解時間を有する)。典型的には、高分子量のゲル剤は、より強いマトリックスを提供して、そのマトリックスは、分解するのにより多くの時間がかかる。対照的に、低分子量のゲル剤は、より速やかに分解して、より軟らかなマトリックスを提供する。様々な態様において、ゲル剤は、約0.10dL/g〜約1.2dL/g又は約0.10dL/g〜約0.40dL/gのインヘレント粘度によって示されるような分子量を有する。
【0090】
[0094] 様々な態様において、ゲル剤は、約300〜約5,000センチポアズ(cp)の粘度を有し得る。他の態様において、ゲル剤は、室温で、約5〜約300cps、約10cps〜約50cps、約15cps〜約75cpsの粘度を有し得る。ゲル剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースとその塩、Carbopol、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエトキシエチルメタクリレート)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート(MMA)、ゼラチン、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、PEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 500、PEG 600、PEG 700、PEG 800、PEG 900、PEG 1000、PEG 1450、PEG 3350、PEG 4500、PEG 8000、又はこれらの組合せのような粘度増強剤を有してもよい。
【0091】
[0095] ある適用では、より高い粘度のゲル剤が望ましい場合があり、例えば、骨再生の適用では、パテ様の堅さを有するゲル剤がより好ましい場合がある。様々な態様において、ゲル剤にポリマーが利用されるとき、ポリマー組成物には、約10重量%〜約90重量%又は約30重量%〜約60重量%のポリマーが含まれる。
【0092】
[0096] 様々な態様において、ゲル剤は、合成又は天然起源の高分子量の生体適合性エラストマーポリマーより作られるヒドロゲル剤である。ヒドロゲル剤が有する望ましい特性は、人体において、機械応力(特に、剪断と荷重)へ迅速に対応する能力である。
【0093】
[0097] 天然源より得られるヒドロゲル剤が特に興味深いのは、それらが in vivo での適用のために生分解性で生体適合性である可能性がより高いからである。好適なヒドロゲル剤には、例えば、ゼラチン、コラーゲン、シルク、エラスチン、フィブリンのような天然ヒドロゲル剤とアガロースのような多糖由来ポリマー、及びキトサン、グルコマンナンゲル、ヒアルロン酸、架橋連結カルボキシル含有多糖のような多糖、又はこれらの組合せが含まれる。合成ヒドロゲル剤には、限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸及びポリ(アクリロニトリル−アクリル酸)のようなアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレングリコール(例、PEG 3350、PEG 4500、PEG 8000)、シリコーン、ポリイソブチレン及びポリイソプレンのようなポリオレフィン、シリコーン及びポリウレタンの共重合体、ネオプレン、ニトリル、硫化ゴム、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)のようなアクリレート、N−ビニルピロリドンとアクリレートの共重合体、N−ビニルラクタム、ポリアクリロニトリル、又はこれらの組合せより生成されるものが含まれる。ヒドロゲル剤の材料は、必要に応じてさらに架橋連結して、さらなる強度を提供してよい。異なる種類のポリウレタンの例には、熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタン、脂肪族又は芳香族ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリカーボネート−ウレタン、又はシリコーンポリエーテル−ウレタン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0094】
[0098] 様々な態様では、治療薬剤をゲル剤中へ直に混合するのではなく、マイクロスフェア剤をゲル剤の内側に分散させてよく、マイクロスフェア剤には、有効成分、例えばクロニジンが負荷される。1つの態様において、マイクロスフェア剤は、クロニジンの持続放出をもたらす。なお別の態様において、生分解性であるゲル剤は、マイクロスフェア剤がクロニジンを放出することを妨げるので、マイクロスフェア剤は、それがゲル剤より放出されてしまうまで、クロニジンを放出しない。例えば、標的組織部位(例、神経根)の周囲にゲル剤を配置してよい。ゲル剤の内側には、所望の治療薬剤を被包化する複数のマイクロスフェア剤が分散している。これらマイクロスフェア剤のあるものは、一度ゲル剤より放出されたならば分解して、それにより有効成分を放出する。
【0095】
[0098] マイクロスフェア剤は、周囲の組織タイプに依って、体液と同様に、比較的速やかに分散して、それによりクロニジンを分散させることができる。ある状況では上記が望ましいかもしれないが、他の状況では、有効成分を明確に定義された標的部位へ緊密に束縛したままにすることがより望ましいかもしれない。本発明では、治療薬剤の分散を束縛するような付着ゲル剤の使用も考慮する。これらのゲル剤は、例えば、椎間板腔に、脊柱管に、又は周囲組織に配置してよい。
【0096】
[00100] 導入の時機
[00101] ある態様では、初めに液体製剤を患者の体内へ標的部位又はその付近へ導入して、次に薬物デポー剤を投与する。液体製剤は、投与時に即時放出を提供するように設計してよい。薬物デポー剤は、即時放出と持続放出の能力をともに提供するように設計される製剤の一部であっても、それは、持続放出だけを提供するように設計される製剤の一部であってもよい。
【0097】
[00102] さらに、薬物デポー剤の製剤に依って、持続放出プロフィールは、ある時間量の後で、例えば、液体製剤からの有効成分がもはや所望の結果をもたらさない時点の後で、又はそれらがもはや所望の結果をもたらさなくなる直前に、始まってよい。例えば、注射可能な製剤が有効な疼痛緩和を24時間提供するならば、薬物デポー剤の製剤は、注射可能な製剤が導入されるのと同時に、その約2時間後、約4時間後、約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、約14時間後、約16時間後、約18時間後、約20時間後、約22時間後、又は約24時間後にその放出を始めるように設計してよい。
【0098】
[00103] 有効成分の放出の時機はまた、有効成分の効果の持続時間の百分率に依存するように設計してよい。例えば、薬物デポー剤は、埋め込み後すぐに、液体製剤中の有効成分が有効である期間の約10%後に、液体製剤中の有効成分が有効である期間の約20%後に、液体製剤中の有効成分が有効である期間の約30%後に、液体製剤中の有効成分が有効である期間の約40%後に、液体製剤中の有効成分が有効である期間の約50%後に、液体製剤中の有効成分が有効である期間の約60%後に、液体製剤中の有効成分が有効である期間の約70%後に、液体製剤中の有効成分が有効である期間の約80%後に、液体製剤中の有効成分が有効である期間の約90%後に、液体製剤中の有効成分が有効である期間の約95%後に、又は液体製剤中の有効成分が有効である期間の約99%後にその放出を始めるように製剤化してよい。
【0099】
[00104] 薬物デポー剤の有効成分の放出は、例えば、有効成分の延長放出を促進することが知られているある種のポリマーの包含により制御され得るので、いくつかの態様では、薬物デポー剤中の有効成分の放出を所望の時点(液体製剤の注射後が含まれる)で開始する能力を維持しながら、液体製剤を投与するのに先立って薬物デポー剤を埋め込むことができる。
【0100】
[00105] 追加的に、いくつかの態様では、液体製剤の導入の少なくとも10秒後に、液体製剤の導入の少なくとも1分後に、液体製剤の導入の少なくとも1時間後に、液体製剤の導入の少なくとも2時間後に、液体製剤の導入の少なくとも3時間後に、液体製剤の導入の少なくとも4時間後に薬物デポー剤を患者へ投与する。いくつかの態様では、液体製剤の導入後10秒未満、液体製剤の導入後20秒未満、液体製剤の導入後1分未満、液体製剤の導入後5分未満、液体製剤の導入後10分未満、液体製剤の導入後15分未満、液体製剤の導入後20分未満、液体製剤の導入後25分未満、液体製剤の導入後30分未満、液体製剤の導入後35分未満、液体製剤の導入後40分未満、液体製剤の導入後45分未満、液体製剤の導入後55分未満、液体製剤の導入後60分未満、液体製剤の導入後1時間未満、液体製剤の導入後2時間未満、液体製剤の導入後3時間未満、又は液体製剤の導入後4時間未満で薬物デポー剤を生物へ導入する。
【0101】
[00106] カニューレ又は針
[00107] 当業者には、デポー剤を、薬物送達デバイス(例えば、シリンジ、銃式(gun)薬物送達デバイス、又は指向された臓器又は解剖領域への薬物の適用に適したあらゆる医療用デバイス)の一部であり得るカニューレ又は針を使用して標的部位へ投与し得ることが理解されよう。薬物デポー剤デバイスのカニューレ又は針は、患者に対して肉体的及び精神的な外傷をほとんど引き起こさないように設計される。
【0102】
[00108] カニューレ又は針には、例えば、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性エラストマーオレフィン、コポリエステル、及びスチレン熱可塑性エラストマー、鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、高含量の非鉄金属と低相対比率の鉄を有する金属合金、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック、セラミックス、又はこれらの組合せのような材料より作製され得るチューブが含まれる。カニューレ又は針には、1以上の先細り領域が含まれてもよい。様々な態様において、カニューレ又は針は、斜めに切られてよい。カニューレ又は針は、埋込みの部位に依っては、患者の正確な治療に必須の先端形状を有してもよい。先端形状の例には、例えば、Trephine、Cournand、Veress、Huber、Seldinger、Chiba、Francine、Bias、Crawford、偏向チップ、Hustead、Lancet、又はTuohey が含まれる。様々な態様において、カニューレ又は針はまた、ノンコアリングであって、望まれない針突きを避けるためにそれをカバーする鞘を有してよい。
【0103】
[00109] 中空のカニューレ又は針の寸法は、とりわけ、埋込みの部位に依存する。例えば、硬膜外腔の幅は、胸領域では約3〜5mmにすぎず、腰領域では約5〜7mmである。このように、針又はカニューレは、様々な態様において、これらの特殊領域用に設計することができる。様々な態様において、カニューレ又は針は、経椎間孔アプローチを使用して、、例えば炎症した神経根に沿って脊椎孔空間に挿入してよく、薬物デポー剤は、その状態を治療するためにこの部位に埋め込んでよい。典型的には、経椎間孔アプローチは、椎間孔を通って椎間腔に接近することを伴う。
【0104】
[00110] カニューレ又は針の長さのいくつかの例には、限定されないが、約50〜150mmの長さ(例えば、硬膜外の小児使用では約65mm、標準成人用では約85mm、そして肥満の成人患者では約110mm)を含めてよい。カニューレ又は針の厚さは、埋込みの部位にも依存する。様々な態様において、その厚さには、限定されないが、約0.05〜約1.655が含まれる。カニューレ又は針のゲージは、ヒト又は動物の身体への挿入のために、最も広い直径又は最も狭い直径でも、その間の直径でもよい。最も広い直径は、典型的には約14ゲージであり、一方、最も狭い直径は、約22ゲージである。様々な態様において、針又はカニューレのゲージは、約18〜約22ゲージである。
【0105】
[00111] 様々な態様において、薬物デポー剤及び/又はゲル剤と同じように、カニューレ又は針には、使用者が数多くの診断造影手法のいずれかを使用してデポー剤を皮膚の下の部位又はその付近へ正確に位置づけられるように、その部位又はその付近での位置を示すX線撮影用マーカーが含まれる。そのような診断造影手法には、例えば、X線造影法又は蛍光透視法が含まれる。そのようなX線撮影用マーカーの例には、限定されないが、バリウム、リン酸カルシウム、及び/又は金属のビーズ又は粒子が含まれる。
【0106】
[00112] 様々な態様において、針又はカニューレには、超音波、蛍光透視法、X線、又は他の造影技術によって可視化し得る透明又は半透明の部分を含めてよい。そのような態様において、透明又は半透明の部分には、その材料又はトポグラフィーの非存在時に比べて針又はカニューレのコントラストを高める、放射線不透過性材料又は超音波応答性トポグラフィーを含めてよい。
【0107】
[00113] 薬物デポー剤、及び/又は薬物を投与するための医療用デバイスは、滅菌可能であり得る。様々な態様において、薬物デポー剤、及び/又は薬物を投与するための医療用デバイスの1以上の成分は、最終包装時の最終滅菌工程において放射線によって滅菌される。製品の最終滅菌は、個々の製品成分を別々に滅菌して、最終包装を無菌環境で組立てることが求められる防腐法のような方法より大きな無菌状態の保証を提供する。
【0108】
[00114] 典型的には、様々な態様において、デバイスに深く透過するγ線由来のイオン化エネルギーを利用することを伴う、最終滅菌工程においてγ放射線を使用する。γ線は、微生物を殺すのにきわめて有効であり、それらは、残留物を残さないし、デバイスへ放射活性を付与するほど十分なエネルギーは有さない。γ線は、デバイスが包装状態にあって、γ線滅菌が高圧も真空条件も必要とせず、包装シールと他の成分に応力がかからないときに、利用することができる。加えるに、γ放射線は、透過可能な包装材料の必要性を一掃する。
【0109】
[00115] 様々な態様では、デバイスの1以上の成分を滅菌するために電子ビーム(e−ビーム)放射線を使用してよい。e−ビーム放射線は、一般に低い透過率と高い線量率を特徴とするイオン化エネルギーの形態を含む。e−ビーム照射は、微生物の生殖細胞を含めて、様々な化学及び分子の結合を接触時に変化させる点では、γ線処理に似ている。e−ビーム滅菌のために産生されるビームは、電気の加速及び変換によって産生される、濃縮された高荷電の電子流である。e−ビーム滅菌は、例えば、薬物デポー剤がゲル剤に含まれるときに使用してよい。
【0110】
[00116] デポー剤及び/又はデバイスの1以上の成分を滅菌するのに他の方法も使用してよく、限定されないが、ガス滅菌(例えば、酸化エチレンを用いるような)又は蒸気滅菌が含まれる。
【0111】
[00117] 様々な態様において、キットを提供するが、それには、薬物デポー剤、及び/又は薬物デポー剤(例、リボン様ファイバー剤)を埋め込むために使用される、一緒に組み合わされた医療用デバイス、並びに液体製剤、及び/又はそれを注射するためのシリンジのような医療用デバイスとともに、追加のパーツを含めてよい。キットには、第一のコンパートメントに薬物デポー剤デバイスを含めてよい。第二のコンパートメントには、薬物デポー剤を保持するケースと局所化薬物送達に必要とされる他のあらゆる機器を含めてよい。第三のコンパートメントには、埋め込み法の無菌状態を維持するためのグローブ、ドレープ、創傷包帯剤、及び他の手技用具、並びに説明用冊子を含めてよい。第四のコンパートメントには、追加のカニューレ及び/又は針を含めてよい。第五のコンパートメントには、液体製剤を含めてよい。各ツールは、放射線滅菌したプラスチックの小袋に別々に包装してよい。キットのカバーには、埋め込み手技の図解を含めてよく、無菌状態を維持するために、このコンパートメント全体に透明なプラスチックカバーをかけてよく、液体製剤を投与する方法及び場所についての図解を含めてよい。
【0112】
[00118] 薬物送達
[00119] 様々な態様において、治療薬剤を患者の疼痛の部位へ送達するための方法を提供し、該方法は、シリンジを標的組織部位又はその付近に挿入すること、シリンジより液体製剤を分与すること、カニューレを標的組織部位又はその付近に挿入して薬物デポー剤を患者の皮膚の下の標的部位に埋め込むこと、そして薬物デポー剤を保持するか又は標的部位へ付着させるために、ゲル剤を標的部位にブラッシング、滴下、注射、又は塗布することを含んでなる。このようにして、薬物デポー剤が標的部位から離れる望まれない移動を抑えるか又はなくす。
【0113】
[00120] 様々な態様において、薬物デポー剤がその中に分散したゲル剤を所望の部位へ投与するには、初めにカニューレ又は針を皮膚及び柔組織を介して標的組織部位へ挿入して、ゲル剤を標的部位又はその付近に投与する(例えば、ブラッシング、滴下、注射、又は塗布、等)ことができる。薬物デポー剤がゲル剤から分離している態様では、初めにカニューレ又は針を皮膚及び柔組織を介して注射の部位へ挿入することができて、ゲルの1以上の基層(複数)を標的部位へ投与することができる。1以上の基層(複数)の投与に続き、ゲル剤がデポー剤を適所に保持するか又は移動を抑えることができるように、薬物デポー剤を基層(複数)の上又は中に埋め込むことができる。必要とあれば、薬物デポー剤を囲んでそれをさらに適所に保持するために、単数又は複数の後続ゲル層をそのデポー剤の上に適用することができる。あるいは、薬物デポー剤を初めに埋め込んでから、それを適所に保持するために、薬物デポー剤の周りにゲル剤を配置してよい(例えば、ブラッシング、滴下、注射、又は塗布、等)。ゲル剤を使用することによって、患者に対して肉体的及び精神的な外傷をほとんど与えずに、薬物デポー剤の正確かつ精密な埋込みを達成することができる。ゲル剤はまた、薬物デポー剤を標的部位へ縫合する必要性を回避して、患者に対する肉体的及び精神的な外傷を抑える。
【0114】
[00121] 様々な態様において、標的部位が脊椎領域を含むとき、初めに体液(例、脊髄液、等)の一部をカニューレ又は針を介して標的部位より吸引してから、デポー剤を投与する(例えば、布置、滴下、注射、又は埋込み、等)ことができる。標的部位を再水和させて(例えば、体液の補充)、この水性環境によって、薬物がデポー剤より放出されるようにする。
【0115】
[00122] 図1は、疼痛が生じ得る(例えば、外科に随伴して)部位であり得る、患者内のいくつかの一般的な位置を図解する。図1に図解する位置は、外科処置が起こり得る、患者内の多くの異なる位置を単に例示していると理解されたい。例えば、外科は、患者の膝(21)、股関節(22)、指(23)、親指(24)、首(25)、及び脊椎(26)で求められる場合がある。このように、これらの外科処置の間、又はその後で、患者は筋肉痙性になる場合がある。
【0116】
[00123] 疼痛の管理(例、ニューロパシー疼痛の管理)における使用に、及び/又は状態(例、坐骨神経痛)を治療するのに液体製剤と薬物デポー剤が適している1つの例示の態様を図2に例解する。図2に概略的に示すのは、カニューレ又は針を皮膚(34)の下から脊椎部位(32)(例えば、椎間板腔、脊柱管、脊椎周囲の柔組織、神経根、等)へ使用して液体製剤と薬物デポー剤を挿入し得る、脊椎及び部位の側面図であり、1以上の薬物デポー剤(28及び32)が脊椎に沿った様々な部位へ送達される。このようにして、液体製剤と数個の薬物デポー剤が埋め込まれるとき、それらは、位置、正確なスペーシング、及び薬物分布を最適化するやり方で埋め込まれる。
【0117】
[00124] 上記のように脊椎部位を示したが、薬物デポー剤は、限定されないが、少なくとも1つの筋肉、靭帯、腱、軟骨、椎間板、脊髄神経根付近の脊椎孔空間、又は脊柱管が含まれる、皮膚の下のどの部位へも送達することができる。同様に、液体製剤も、これらの位置又はその付近に投与することができる。さらに、いくつかの態様において、液体製剤は、薬物デポー剤が配置される場所よりも標的部位に近い位置で投与される。
【0118】
[00125] いくつかの態様では、望まれない効果(例えば、クロニジンによって引き起こされ得る血圧低下)に対抗するアンタゴニストとクロニジンを同時投与することが好ましい。例示のアンタゴニストには、限定されないが、フェントラミン、ヨヒンビン、トラゾリン、及びピペロキサンが含まれ、これらは、局所鎮痛効果を阻止することを避けるために全身投与してよい。追加的に、5−フルオロデオキシウリジン(FUDR)及び3,4−デヒドロプロレンのような化合物も含めてよい。これらの化合物は、ある種の外科手技と関連した神経膠及び線維芽細胞の瘢痕形成を防ぐか又は抑える可能性がある。
【0119】
[00126] いくつかの態様において、薬物デポー剤の治療有効量と放出速度プロフィールは、疼痛を約3〜12日の期間の間治療するのに十分であり;他の態様において、放出速度プロフィールは、筋線維を約5〜10日の期間の間弛緩させるのに十分であり;他の態様において、放出速度プロフィールは、筋線維を約7〜9日の期間の間弛緩させるのに十分である。例えば、放出プロフィールは、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約8日、少なくとも約9日、少なくとも約10日、又は少なくとも約11日の期間のものであろう。
【0120】
[00127] いくつかの態様において、薬物デポー剤の有効成分は、(微)粒子剤、(マイクロ)スフェア剤、(マイクロ)カプセル剤、及び/又は(マイクロ)ファイバー剤を含んでなる複数のデポー剤に被包化される。
【0121】
[00128] いくつかの態様では、ステロイド又はクロニジン又はそれらの組合せを含んでなる液体製剤と埋込型薬物デポー剤があり、ここで薬物デポー剤は、(i)クロニジン又はその医薬的に許容される塩のボーラス用量を皮膚の下の部位で放出する1以上の即時放出層と(ii)クロニジン又はその医薬的に許容される塩の有効量を約3〜12日又は約5〜約10日の期間にわたり放出する1以上の持続放出層を含む。1以上の即時放出層は、例えばポリ(ラクチドコグリコリド)(PLGA)を含んでよく、1以上の持続放出層は、例えばポリラクチド(PLA)を含んでよい。
【0122】
[00129] いくつかの態様には、埋込型薬物デポー剤を作製するための方法もある。この方法は、生体適合性ポリマーとクロニジン又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を組み合わせる工程と、その組合せより埋込型薬物デポー剤を成形する工程を含む。
【0123】
[00130] いくつかの態様では、初めにクロニジンをポリマーとともに調合して、薬物デポー剤の第一成分を作製する。この第一の調合産物において、クロニジンは、例えば、製剤の0.5重量%〜20重量%、製剤の1重量%〜15重量%、又は製剤の2.5重量%〜10重量%を含む。製剤の残りは、専らポリマーであり得るか、又は賦形剤、界面活性剤、又は他の非有効成分を含む。
【0124】
[00131] いくつかの態様において、薬物デポー剤中のクロニジンの投与量は、ほぼ0.0005〜ほぼ100μg/kg/日である。追加のクロニジンの投与量には、ほぼ0.0005〜ほぼ95μg/kg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ90μg/kg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ85μg/kg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ80μg/kg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ75μg/kg/日;ほぼ0.001〜ほぼ70μg/kg/日;ほぼ0.001〜ほぼ65μg/kg/日;ほぼ0.001〜ほぼ60μg/kg/日;ほぼ0.001〜ほぼ55μg/kg/日;ほぼ0.001〜ほぼ50μg/kg/日;ほぼ0.001〜ほぼ45μg/kg/日;ほぼ0.001〜ほぼ40μg/kg/日;ほぼ0.001〜ほぼ35μg/kg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ30μg/kg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ25μg/kg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ20μg/kg/日;及び、ほぼ0.0025〜ほぼ15μg/kg/日を含めることができる。別の態様において、クロニジンの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ15μg/kg/日である。別の態様において、クロニジンの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ10μg/kg/日である。別の態様において、クロニジンの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ5μg/kg/日である。別の態様において、クロニジンの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ20μg/kg/日である。いくつかの態様において、用量は200〜600mg/日であり、ヒトへ適用される。
【0125】
[00132] いくつかの態様では、1キログラムの体重につき少なくとも1マイクログラム、そして好ましくは1キログラムの体重につき2〜8マイクログラムの量で、そしてなおより好ましくは、1キログラムの体重につき3〜6マイクログラムで血中に検出されるのに十分な量のクロニジンを薬物デポー剤において使用することが望ましい。さらに、いくつかの態様では、このレベルを12日間まで、例えば、5〜12日又は7〜10日の間持続するのに十分な量のクロニジンを単一の持続放出製剤において投与することが望ましい。いくつかの態様では、0.1ng/mL以下のクロニジンが血中にあることが望ましい。
【0126】
[00133] いくつかの態様において、薬物デポー剤は、非経口的に、例えば注射によって投与される。本明細書に使用する「非経口」という用語は、胃腸管を迂回する投与の形式を意味し、例えば、局所化された静脈内、筋肉内の連続的又は間欠的な注入、腹腔内、胸骨内、皮下、術中、髄腔内、椎間板内、椎間板周囲、硬膜外、脊椎周囲、関節内の注射、又はこれらの組合せが含まれる。
【0127】
[00134] いくつかの態様において、注射は、髄腔内又は硬膜外注射であり、これは、脊柱管(脊髄を囲む髄腔スペース)への注射を意味する。注射は、筋肉又は他の組織中でもよい。他の態様において、クロニジンは、外科それ自体の間に、患者の開腹部への布置によって投与される。
【0128】
[00135] いくつかの態様では、はじめに、造影剤をステロイド及び局所鎮痛薬と組み合わせて硬膜外注射により患者へ投与して、局所鎮痛薬の投与を続ける。
【0129】
[00136] 当業者には、本明細書に記載の様々な態様に対して、本明細書の教示の精神又は範囲より逸脱することなく様々な修飾及び変形を作製し得ることが明らかであろう。従って、様々な態様には、本教示の範囲内の様々な態様の他の修飾及び変形も含まれると企図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疼痛に罹患している哺乳動物を治療するための方法であって、液剤の治療有効量を皮膚の下の標的部位又はその付近に注射することを含んでなり、ここで前記液剤は、疼痛を治療するのに有効である第一の有効成分を含み、そして前記液剤を注射後、薬物デポー剤を標的部位又はその付近に局所投与することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は、疼痛を治療するのに少なくとも3日間有効である第二の有効成分の治療有効量を含む、前記方法。
【請求項2】
第一の有効成分が即時放出液剤であり、第二の有効成分が同じ有効成分を含有する持続放出薬物デポー剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一の有効成分と第二の有効成分が異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第一の有効成分を標的部位又はその付近に局所投与して、第一の有効成分はステロイドである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第一の有効成分が即時放出液剤であり、クロニジンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第二の有効成分がクロニジンである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第二の有効成分がクロニジンである、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
第二の有効成分がクロニジンである、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
薬物デポー剤がペレット剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記薬物デポー剤がクロニジンを少なくとも5日の期間の間放出する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記薬物デポー剤がクロニジンを少なくとも7日の期間の間放出する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記放出の前記治療有効量がクロニジンの治療量を少なくとも9日の期間の間放出するのに十分である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
疼痛が、急性神経根性疼痛、ニューロパシー疼痛、又は炎症性疼痛の少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
疼痛が腱炎によって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ステロイドがコルチコステロイドである、請求項4に記載の方法。
【請求項16】
ステロイドがグルココルチコイドである、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
約10マイクログラム〜約160マイクログラムのステロイドを標的部位又はその付近に注射する、請求項4に記載の方法。
【請求項18】
クロニジンが約10〜約40マイクログラムのクロニジン塩酸塩を含有する溶液剤の形態にある、請求項5に記載の方法。
【請求項19】
クロニジンの量が約200〜約400mgである、請求項6に記載の方法。
【請求項20】
疼痛に罹患している哺乳動物を治療するための方法であって、液剤の治療有効量を標的部位又はその付近に注射することを含んでなり、ここで前記液剤は、クロニジンと疼痛を治療するのに有効であるステロイドを含み、そして前記液剤を注射後、薬物デポー剤を標的部位又はその付近に局所注射することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は、治療有効量のクロニジンを、疼痛の緩和を少なくとも3日の期間の間もたらす製剤に含む、前記方法。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−518183(P2011−518183A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505229(P2011−505229)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/040961
【国際公開番号】WO2009/129464
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【出願人】(591007804)メドトロニック,インコーポレイテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】