説明

液体試料の処理のためのシステムおよび方法

【課題】全体寸法は小型で、新たな試薬容器の頻繁な再補充を必要とせず液体試料の高速の同時処理とを提供する。
【解決手段】試料と流体との混合を含む液体試料の自動処理のためのシステムに関し、流体容器を収容するように適合された複数の保管位置を設けた少なくとも1つの保管部であって、その各々が平面に延伸し、前記平面に対して直角に配列した方向に積み重ねられた少なくとも2つの保管段を有する保管部材103と、少なくとも前記保管位置に対して流体容器を自動的に移送するように適合された操作部117と、を含む。個々の流体容器は、液体試料の処理に応じて同一または異なる保管段の保管位置の間に移送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料と試薬などの流体との混合を含む液体試料の処理のためのシステムおよび方法に関する。さらに、本発明は、試薬容器の保管および操作のための保管および操作装置と、該保管および操作装置を操作するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、血液、血清および尿などの生物学的液体を自動的に分析するための種々の臨床分析機器が実用化されている。生物学的液体の分析は、基本的に、液体試料と試薬とを混合し、試料中に含まれる特定の物質の存在およびその量または非存在を判定するための化学反応または免疫化学反応を可能にする。たとえば、ウイルス量は、血清試料と特定の試薬とを混合し、その後、得られた血清試薬混合物を所定の温度プロフィールにて循環させてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施することにより自動的に定量化可能である。
【0003】
幅広い分析機能を提供する強い要望の存在と試料処理の有効性を改善する観点とから、最新の分析機器は、ほとんどの場合において試料を同時に処理し、および/または異なる分析技術を配備する際は試料の同時処理のために各々の試料を多くのアリコートに分割する。その結果、より高い試料処理量と提供される分析オプション数に対する依存性とのために、最新の分析機器は試薬の消費が増加し、これは分析機器に適当な数の試薬容器を事前搭載するか、手動での試薬容器の再補充作業を行うことにより充足される。最初の場合において、分析機器は快適な独立様式にて使用可能であるが、より多くの数の保管試薬容器は多くの保管空間を必要とし、分析機器の全体的な寸法を増加する。後者の場合において、分析機器は小さく小型化が可能であるが、頻繁な試薬容器の再補充作業は、とりわけ短時間の間隔の連続した再補充作業の場合において分析機器を操作する技術者の作業量を増加する。さらに、各々の再補充作業は次の稼動開始を遅らせるため、頻繁な再補充作業は試料処理において有効性を低下させる。さらに悪いことに、技術者が試薬容器を適時に再補充しない場合、試薬の不在は、通常、進行中の稼動を中断することになり、現在処理中の試料の廃棄が必要になることもある。しかしながら、いくつかの試料は、一定の法医学的な場合などにおいて、ほとんど再補充をしない場合や再補充しなくてよいという意味で独特である。
【0004】
試料の同時処理を可能にし、種々の分析オプションを供する小さく小型の分析機器を実験作業台または他の適当な面に設置するという増加傾向の観点から、保管試薬容器の数と日々の分析機器の操作の際の手動の再補充作業の頻度との間には便宜的な二律背反が見出される。換言すれば、可能な限り多くの試薬容器を事前搭載(保管)する強い必要性と、他方においては小さく小型の分析機器に対する必要性とがある。
【0005】
試料分析のために準備された比較的多くの数の試薬容器を保持するために、最新の臨床分析機器は、たとえば欧州特許出願公開第1498734明細書に開示された補足試薬容器ラックなどの補足的な保管空間を備える。この文献は、試料分析のための試薬容器を保管する第1の保管ケースと、補助的な使用のための試薬容器を保管する補足的な第2の保管ケースと、第2の保管ケースから第1の保管ケースに試薬容器を搬送するための搬送ユニットとを含む自動分析機器を示す。第1の保管ケースは回転駆動される試薬ディスクであるが、第2の保管ケースは箱状または円状を有してよく、第1の保管ケースから第2の保管ケースへ試薬容器を移送するために使用される試薬容器搭載開口部に面する位置に試薬容器を配置するために回転駆動される。したがって、補足的な第2の保管ケースは、有利には、試料分析のために第1の保管ケースに移送するよう準備された試薬容器をより多く保管することを可能にするが、両方の保管ケースは多くの構造上の空間を必要とし、小さく小型の分析機器を製造することとは一致しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述の問題を考慮して達成された。したがって、本発明の目的は、液体試料の自動処理のための改善されたシステムを提供することであり、これは、全体寸法は小型であるが、種々の分析オプションと、新たな試薬容器の頻繁な再補充を必要とせず液体試料の高速の同時処理とを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の特徴によると、本発明は、基本的に試料と試薬などの流体との混合を含む液体試料の自動処理のための新たなシステムを提案する。
【0008】
したがって、液体試料の自動処理のためのシステムが提案され、これは、液体試料と混同するための試薬などの流体を含む流体容器の保管および操作のための少なくとも1つの保管および操作装置を備える。該保管および操作装置は、液体試料の自動処理のためのシステムに統合化されたシステムの構成要素として構成され得る。また、これは液体試料の自動処理のためのシステムのモジュール式システムの構成要素としても構成可能であり、たとえば、有利には、保管および操作装置を種々のシステムサイズに容易に適合することを可能にする。そのため、モジュール式保管および操作装置は、モジュール式筐体に収容され得る。
【0009】
保管および操作装置は、流体容器(たとえば、試薬容器)を保管するように適合された複数の保管位置を有する少なくとも1つの保管部材を含む。より詳細には、保管部材には少なくとも2つの保管段が設けられ、その各々は第1および第2の方向に及ぶ平面に延伸し、該第1の方向は第2の方向に対して直角に配列されており、また該段は第3の方向に積み重ねられ、該第3の方向は平面、すなわち第1および第2の方向に対して直角に配列される。保管段は、たとえば水平面に延伸し、互いに対して垂直関係に積み重ね可能である。
【0010】
各々の保管段は、複数の一次元または二次元配列の流体容器を保管するように適合される。したがって、流体容器は、たとえば流体容器の(たとえば、水平)列を形成する第1の方向に沿って配列するように互いに対して連続して配置可能であり、あるいは、たとえば第2の方向に列が配置され、第1の方向に沿って延伸する複数の(たとえば、水平)列の各々において互いに対して連続して配置可能である。
【0011】
保管および操作装置は、特に保管位置に対して流体容器を自動的に操縦(操作)するように適合された操縦部をさらに含むため、各々の流体容器はある保管位置から別の保管位置に移送され得る。
【0012】
さらに、システムは、保管および操作装置の制御を含む、試料の処理を制御するための制御部を含む。
【0013】
したがって、前述のようにきわめて密集したユニットの流体容器によって、本発明のシステムは、液体試料の処理において比較的高い流体消費の場合でも新たな流体容器の再補充のための頻繁な再装填作業を必要とすることなく、その寸法において有利には小型化が可能である。
【0014】
本発明のシステムの好ましい実施の形態によると、保管および操作装置は、冷蔵機能を有し、すなわち流体容器をその保管位置において冷却可能である。きわめて密集したユニットの流体容器のため、有利には、流体容器の効率的な冷却が実施可能である。
【0015】
本発明のシステムの別の好ましい実施の形態によると、保管部材には複数の搭載部が設けられ、その各々は、少なくとも1つの流体容器を支持するパレットなどの支持部材を取り外し可能に支持するように適合される。このような実施の形態は、有利には、個々の支持部材を保管部材に挿入することまたはそこから除去することを可能にするため、支持部材はある保管位置から別の保管位置に移送可能となり、よって保管位置の個別的適合を必要とせずに、個々の流体容器の寸法および形状を有利には変更できる。
【0016】
本発明のシステムのさらに別の好ましい実施の形態によると、システムは、少なくとも1つの流体容器を初回に開口するように適合されたヒンジ接続されたレバーまたはスパイクなどの少なくとも1つの初回開口部を含み、流体容器を最初に開ける初回開口部の操作は、好ましくは、操作部による流体容器および/または初回開口部の移動と連動しているため、駆動部または位置決め装置などのさらなる構成要素は必要ない。
【0017】
本発明のシステムのさらに別の好ましい実施の形態によると、システムは、さらに1つ以上の装置を含み、その各々の操作は、好ましくは、操作部による少なくとも1つの流体容器および/または装置の移動と連動され、これは次の装置の群から選択される。
【0018】
(a)容器本体に可逆的に固定可能なヒンジ接続されたキャップを設けた少なくとも1つの流体容器のキャップを上昇または下降するように適合された開口部/閉鎖部と、
(b)流体容器に含まれた流体を撹拌するように適合された撹拌器と、
(c)少なくとも1つの流体容器に設けられた機械可読情報(たとえば、バーコードレベルおよび/またはRFIDタグに含まれる)を読み取るように適合された読取機と、
(d)流体容器に含まれた磁性粒子などの流体を振動させるように適合された振動器と、
(e)撹拌器を洗浄するように適合された洗浄機。
【0019】
流体容器を選択的に移動するために操作部が使用されるため、前述の装置の操作は、有利には、さらなる駆動部または位置決め装置を必要とすることなく実行される。
【0020】
本発明のシステムのさらに別の好ましい実施の形態によると、システムは、システムへ/から流体容器を搭載/除去するように適合された少なくとも1つの投入/出力位置(たとえば、投入/出力ステーション)をさらに含み、これは、有利には、液体試料処理を停止する必要なしに手動または自動化された搭載および/または除荷操作を可能にする。
【0021】
本発明のシステムのさらに別の好ましい実施の形態によると、保管および操作装置は2つの保管部材を含み、そのそれぞれに、互いに対して反対の関係に配置された流体容器を保管するための保管位置が設けられており、流体容器を特に両方の保管部材の保管位置に対して自動的に移送するために保管部材の間に操作部が配置される。このような実施の形態は、有利には、流体容器の操作のための個々の操作部を設けることを必要とせずにきわめて密集したユニットの流体容器を可能にし、このことは、有利には、構造上の空間および費用の削減を可能にする。
【0022】
本発明のシステムのさらに別の好ましい実施の形態によると、保管部材は、少なくとも1つの流体容器に含まれた流体をピペット採取するように適合された少なくとも1つの保管位置を設けており、以下において「ピペット位置」と称す。少なくとも1つのピペット位置が保管部材の最上保管段に配置されるのが好ましい。したがって、流体のピペット採取はピペット位置にて実施可能であるため、流体容器を保管位置以外のピペット位置に移送する際の流体の流出および/または汚染の危険性が有利には回避される。さらに、流体容器は、ピペット位置にて継続して冷却可能であるため、流体の冷却がピペット作業中またはピペット作業間であっても可能であり、流体の劣化が高効率で回避可能であるため、システムの精度を向上する。
【0023】
本発明の前述の実施の形態において、システムは、ピペット位置に保管された流体容器に含まれた流体を液体試料に移送するように適合された、使い捨て式または再使用可能なピペット先端部を設けた少なくとも1つのピペットを含む少なくとも1つのピペット装置をさらに含む。
【0024】
本発明のシステムのさらに別の好ましい実施の形態によると、流体容器の保管のための保管部材は、保管部材に追加または保管部材から除去され得る複数のモジュール式保管副部材から構成される。このような実施の形態は、有利には、保管部材の寸法をユーザの特定のニーズおよび/またはシステムの寸法に容易に適合可能にする。特に、個々の保管副部材は、流体容器の搭載/除荷操作のために、またはシステムの外側に配置された冷却装置に保管副部材を配置して流体容器の冷却をするために保管部材から除去され得る。個々の保管副部材は、たとえば、保管部材の保管段に対応可能である。
【0025】
第2の特徴によると、本発明は、試料と試薬などの流体との混合を含む液体試料の自動処理のためのシステムにおいて使用される、流体容器の保管および操作のための新たなモジュール式保管および操作装置を提案する。
【0026】
したがって、流体容器の保管および操作のためのモジュール式の保管および操作装置が提案され、これは、流体容器(たとえば、試薬容器)を保管するための複数の保管位置を有する少なくとも1つの保管部材を備える。該保管部材は、保管部材には少なくとも2つの保管段が設けられ、その各々は第1および第2の方向に及ぶ平面に延伸し、該第1の方向は第2の方向に対して直角に配列されており、また該段は第3の方向に積み重ねられ、該第3の方向は平面に対して直角に配列される。保管および操作装置は、流体容器を保管位置に対して自動的に移送するように適合された操作部をさらに含む。
【0027】
第3の特徴によると、本発明は、試料と流体容器に含まれた流体との混合を含む液体試料の自動処理のためのシステムの流体容器を保管するための保管位置を設けた保管および操作装置を操作する新たな方法を提案するものであり、保管および操作装置には、その各々が平面に延伸した少なくとも2つの保管段が設けられ、これらは平面に対して垂直方向に積み重ねられる。
【0028】
したがって、保管および操作装置の操作方法が提案され、液体試料の処理に合わせて、少なくとも1つの流体容器をある保管位置から同一または異なる段にある別の保管位置に選択的に移送する工程を含む。
【0029】
本発明の方法の好ましい実施の形態によると、これは、液体試料の処理に合わせて、少なくとも1つの流体容器を、流体容器に含まれた流体をピペット採取するように適合された、好ましくは最上の保管段にある保管位置に選択的に移送する工程を含む。
【0030】
本発明の方法の別の好ましい実施の形態によると、次の工程の群から選択された1以上の工程が実施され、該群は次を含む。
【0031】
(a)少なくとも1つの流体容器を初回に開口する工程と、
(b)少なくとも1つの流体容器の少なくとも1つのヒンジ接続されたキャップを上昇/下降する工程と、
(c)少なくとも流体容器に含まれた流体を撹拌する工程と、
(d)撹拌器を洗浄する工程と、
(e)流体容器に含まれた流体を混合するために、少なくとも1つの流体容器を振動させる工程と、
(f)少なくとも1つの流体容器に標識された少なくとも1つの機械可読情報を読み取る工程。
【0032】
第4の特徴によると、本発明は、前述の保管および操作装置の操作方法を含む、試料と流体容器に含まれた流体との混合を含む液体試料の自動処理のためのシステムを操作する新たな方法を提案する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1の実施の形態の保管および操作装置を備えた本発明のシステムの例示的実施の形態の立面図である。
【図2A】パレットの挿入/除去を示す図1の保管および操作装置の部分立面図である。
【図2B】パレットの挿入/除去を示す図1の保管および操作装置の部分立面図である。
【図3】初回開口部を示す図1の保管および操作装置の別の部分立面図である。
【図4A】図3の初回開口部の動作を示す部分立面図である。
【図4B】図3の初回開口部の動作を示す部分立面図である。
【図5】第2の実施の形態の保管および操作装置を備えた本発明のシステムの別の例示的実施の形態の立面図である。
【図6】別の初回開口部を示す図5のシステムの部分立面図である。
【図7】図5のシステムの変形例の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の別のさらなる目的、特徴および利点は、以下の説明からより完全なものになる。明細書に組み入れられてその一部をなす添付の図面は、本発明の好ましい実施の形態を示すものであり、前述の概要および以下の詳細な説明と合わせて本発明の原理を説明するものである。
【0035】
本発明を添付の図面を参照して以下に詳細に説明し、図面において類似の記号表示は類似または同様の構成要素を示す。
【0036】
図1〜4を特に参照して、試薬容器の保管および操作のための保管および操作装置の第1の実施の形態を含む、本発明のシステムの例示的な第1の実施の形態を説明する。
【0037】
以下の説明において、互いに対して直角に向いた(X,Y,Z方向)第1から第3の方向を参照するが、本発明にいかなる限定を与えることなしに、第1および第2の方向(X,Y方向)は水平面におよび、第3の方向(Z方向)は垂直に配列される。
【0038】
したがって、液体試料と試薬容器に含まれた特定試薬との混合を含み、得られた試料試薬混合物において化学または免疫化学反応を開始する液体試料の処理のためのシステム100が開示される。液体処理において使用される液体試料は、生物学的流体(たとえば、血液、血清、尿、脳脊髄液および核酸(DNA/RNA)含有流体など)、非生物学的流体(たとえば、化合物および薬品)およびその処理が試薬との混合に関与する限りにおいて重要な他のすべての流体を含み得る。液体試料の処理のためのシステム100は、液体試料中の特定物質の存在/量または非存在を判定する液体試料の分析のための、たとえば、臨床分析機器(たとえば、化学および/または免疫化学分析機器)として具現化される。
【0039】
液体試料の処理のためのシステム100は、液体試料の処理のためにこれと混合される試薬を含む複数の試薬容器102を保管するための少なくとも1つの保管および操作装置101を含む。保管および操作装置101は、システム100のモジュール式または統合化されたシステムの構成要素として具現化され得る機能的要素として考慮される。
【0040】
保管および操作装置101には、ラック103(導入部においては保管部材と称された)が設けられ、これは、たとえば、水平の基板105に支持された垂直の後板104に固定される。ラック103には、2つの別のラック段106,107が設けられ、垂直のZ方向において一方が他方の上に位置決めされており、以下において、下方ラック段106および上方ラック段107と識別する。各々のラック段106,107はモジュール式ラック構成要素であり、たとえば後板104に取り外し可能に固定されて、個々のラック段106,107をラック103から所望のとおりに追加または除去することができる。
【0041】
各々のラック段106,107には、試薬容器102を支持するパレット109を収容する複数の箱様のラック搭載部108が設けられ、これは水平のY方向において互いに対して連続的に配置される。各々のラック段106,107は、水平のX方向に延伸し、水平のY方向において互いに対して連続的に配置された複数の垂直の搭載板110と、水平のY方向に延伸し、その垂直端面が配向する後板104にて垂直の搭載板110に接続された垂直の後方パネル111とを含む。隣接する搭載板110の各々の対は、後方パネル111とともに、それぞれ側壁および後壁として機能し、互いに個々の箱様ラック搭載部108を構成する。
【0042】
ラック搭載部108の側壁として機能する各々の搭載板110には、その下方の水平端面に形成されて水平のX方向に延伸するリブ112が設けられる。図示していないが、ラック搭載部108の後壁として機能する後方パネル111にも、その下方の水平端面に形成されて水平のY方向に延伸するリブが設けられ得る。
【0043】
システム100の保管および操作装置101において、試薬容器102はパレット109(導入部においては支持部材と称された)により支持され、その各々は、試薬容器102を支持するパレット底部113と試薬容器102をその間に挟持してこれを直立位置に保持する2つのパレット側壁114とを有する。
【0044】
ラック搭載部108を構成する各々の対の隣接した垂直の搭載板110は、個々のパレット109の挿入を可能にし、ラック搭載部108は、専用の摺動機構に基づきパレット109を摺動可能に支持するように適合される。図2Aおよび2Bに示されるとおり、個々のパレット109をラック搭載部108に挿入する際に、パレット側壁114の下方端面115は搭載板110により形成されたリブ112とスライド係合するため、パレット109は、パレットの底部113の垂直の接触面116がラック搭載部108の後方パネル111に対して接触するまで、後板104に向けて水平のX方向に沿って摺動可能に移動できる。他方において、各々のパレット109は、ラック103からパレット109を除去するために後板104から摺動可能に離れるように移動可能である。ラック搭載部108に収容されると、各々のパレット109は、パレット109により支持された試薬容器102を保管するための保管位置を特定する。
【0045】
図示されていないが、パレット109を支持する各々のリブ112には、垂直のZ方向に延伸するカムとしての(たとえば、半円の)突起が設けられており、これはパレット109がラック搭載部108に完全に挿入された場合に、パレット側壁114の水平端面115に形成された凹所と係合するため、パレット109は保管位置に固定され、振動などの場合であってもパレット109の意図していない緩みを妨げる。
【0046】
システム100の保管および操作装置101は、さらに、保管位置に対して試薬容器102を操縦(操作)するための操作部117を含む。操作部117には、2レールの並進機構により、2方向の移動(Y方向およびZ方向)に沿って移送ヘッド119を位置決めするための位置決め装置118が設けられる。より詳細には、位置決め装置118は、移送ヘッド119を支持する担体120を含み、これは水平のY方向に沿って延伸する第1のガイドレール121によって摺動可能に支持される。ギアベルト122および第1のDC電気モータ123を含むギアベルト駆動部により駆動されると、担体120は、水平のY方向に沿って移送ヘッド119を位置決めするように第1のガイドレール121に沿って自由に移動可能である。位置決め装置118は、垂直のZ方向に沿って延伸する第2のガイドレール124をさらに含み、これは移送ヘッド119を摺動可能に支持する。スピンドル125および第2のDC電気モータ126を含むスピンドル駆動部の駆動により、移送ヘッド119は垂直のZ方向に自由に移動可能であり、移送ヘッド119と担体120との間の距離を増加または減少させる。2レールの並進機構に基づき、移送ヘッド119は、垂直のY−Z面において自由に移動可能であり、各々の試薬容器102に選択的に面する。
【0047】
移送ヘッド119には、把持ピン(図示せず)によって個々の試薬容器102を把持するための把持機構127が設けられる。第3のDC電気モータ128の駆動により、把持ピンは、ここではより詳細には説明しないレバー機構129により、水平のX−Y方向に自由に移動可能である。特に、把持ピンは、両方のラック段106,107の間の間隙130に進入するように後板104に向けてまたは後板104から移動可能であり、ラック搭載部108へ/から個々のパレット109を搭載/除去する。この目的のために、把持ピンは、たとえば、各々のパレット109のパレット底部113の底側端面に形成された切り下げ凹所と係合させられ、このことは当業者には既知であるため、ここにおいてより詳細には説明しない。
【0048】
前述の説明のように把持機構127により個々のパレット109を把持すると、パレット109は(試薬容器102の有無にかかわらず)、パレット109を収容するように適合された移送ヘッド搭載部131を設けた移送ヘッド119上に引き出され得る。移送ヘッド搭載部131は、2つの垂直のヘッド搭載部側壁132を含み、これらには、ラック搭載部108と同様に、パレットの側壁114を摺動可能に支持するために水平のX方向に延伸するリブ(詳細に図示せず)が設けられる。ヘッド搭載部側壁132は、パレット109により支持された試薬容器102を直立位置に保持する。
【0049】
2段ラック103でのパレット109の垂直配列は、ここに保管された試薬容器102への自由なアクセス(すなわち、ランダムアクセス)を可能にするため、試薬容器102は、ラック搭載部111により画定されたいかなる保管位置にも任意に配置可能であり、あるいは操作部117によりここから除去可能である。さらに、きわめて密集したユニットの試薬容器102が実現され、隣接した試薬容器102の間の間隙を小さくすることができ、または摩擦力がパレット109をこれらの保管位置に対して摺動可能な移動を許容するのであれば無くしてもよい。同様に、両方のラック段106,107の間の間隙130は、試薬容器102の垂直の高さに応じてラック搭載部108間の垂直の距離を適当に選択することで小さくできる。
【0050】
液体試料の処理のためのシステム100において、保管および操作装置101は、保管された試薬容器102を冷却するための冷却保管部として機能させることができ、試薬容器102の冷却は、たとえば冷気を循環させることにより実施可能である。きわめて密集したユニットの試薬容器102により、試薬容器102の冷却は高効率に実施可能である。
【0051】
システム100の保管および操作装置101は、少なくとも1つの投入/出力位置133をさらに含み、これは試薬容器102の保管のための保管位置と構造的に類似しており、操作部117を使用して試薬容器102の操作が可能であるため、液体試料の処理中に、試薬容器102の手動または自動での搭載/除去が可能である。
【0052】
システム100の保管および操作装置101において、各々の試薬容器102は機械可読のラベル(図示せず)を有することができ、これは、たとえばラベルに付されたバーコード状の機械可読情報を読み取るための読取機134によって自動的に読み取り可能であり、該読取機は、試薬容器102の側面に面した操作部117に配置される。ラベル上の機械可読形態の情報は個々の試薬容器102を特定し、またたとえば、ロット番号のコードまたは試薬容器102の識別に適したあらゆる他の情報であり得る。また、含有された試薬の使用に関係し得る使用期限などのさらなる情報をも含み得る。移送ヘッド119に固定されることにより、読取機134は、ラック103に保管された各々の試薬容器102の機械可読ラベルに選択的に面する位置に移動可能となる。
【0053】
各々の試薬容器102は、互いに対して連続的に配置された3つの別個の(試薬)区画135を含み、これは、液体試料の処理に対する特定の要求に応じて同一または異なる試薬を含み得る。試薬容器102は、たとえば、特定の分析機能を選択的に実施するために必要な試薬を含む試薬キットとして具現化可能である。個々の試薬容器102は、必要に応じてより多くのまたはより少ない数の区画135を有し得ることは言うまでもない。各々の区画135には、ヒンジ部138にて、3つの空洞を形成する(共通の)区画本体137に枢動的に取り付けられたキャップ136が設けられる。新しい試薬容器102は、通常密封されているため、初回に区画135を開ける際には封を開けなければならない。開封後には、ヒンジ接続されたキャップ136は、少なくとも部分的に閉じられるように、区画本体137から可逆的に上昇または下降できる。
【0054】
システム100の保管および操作装置101は、個々の試薬容器102の区画135を初回に開口(開封)するための3つの初回開口部139をさらに含む。初回開口部139は、保管および操作装置101の垂直の側壁140に取り付けられており、水平のX方向に互いに対して連続的に配置されて、操作部117により移動した試薬容器102による自由なアクセスが可能である。
【0055】
図4Aおよび4Bに示されているように、試薬容器102の区画135を初回に開口する場合、関連する試薬容器102は、操作部117により把持されて、各々の初回開口部139のレバー141がキャップ136の突出する突起142と区画本体137の頂上端面143との間の間隙に貫入可能になるように位置決めされる。Z方向に沿った上昇移動の際に、各々のレバー141はレバー軸144の周りで回転し、これによりキャップ136を区画本体137から上昇させて区画135を開封する。試薬容器102が初回開口部139から除去されると、各々のレバー141をそれぞれ付勢するばね力により、図4Aに示されるようにレバー141は開始位置に戻る。
【0056】
図示されていないが、システム100の保管および操作装置101は、水平棒などの開閉装置をさらに含むことができ、これは、操作部117により移動した試薬容器102によって自由にアクセス可能なように配置され、キャップ136にて棒を位置決めする際に区画本体137に対してキャップ136を上昇または下降し、操作部117による試薬容器の上昇または下降移動のために使用され得る。
【0057】
図示されていないが、液体試料の処理のためのシステム100は、好ましくはラック103の上方のラック段107にある専用の保管位置に保管される際に、試薬容器102の区画135へまたは区画から流体を移送するための、使い捨て式のピペット先端部または再使用可能なピペット針を有する少なくとも1つのピペットを含む少なくとも1つのピペット装置をさらに含み得る。
【0058】
図1に示されるように、保管および操作装置101には、少なくとも1つ(たとえば、4つ)のピペット位置、すなわち試薬のピペット採取に適合された保管位置がラック103の上方のラック段107に設けられ、ここに収容された試薬容器102の区画135に含まれた試薬をピペット採取するために使用可能である。図1において、上方のラック段107のピペット位置は、4つのヒンジ接続された板145により示され、これはヒンジ146による後板104への接続により、X方向に延伸する軸の周りで回転可能である。より詳細には、各々のヒンジ接続された板145には水平のX方向に延伸した溝147が設けられ、これは、試薬容器102を支持するパレット109が挿入されると、試薬容器102の各々の区画135のキャップ136の突出する突起142と係合する。各々のヒンジ接続された板145には、X方向に突出するニップル148が設けられ、これは、操作部117の移送ヘッド119に固定された持上部149により、区画本体137に対してキャップ136を上昇または下降するためにヒンジ接続された板145を回転するよう作動され得る。したがって、各々の試薬容器102の区画135は、試薬容器102をピペット位置に保管する際に、操作部117を使用して所望のとおりに選択的に開閉可能(最初の開封後)となる。
【0059】
さらに、保管および操作装置101には、試薬容器102の区画135に含まれた試薬を撹拌するための撹拌器150が設けられる。より詳細には、試薬を撹拌するために、操作部117を使用して、撹拌パドル151がその中に含まれた試薬を撹拌するよう区画135に進入可能となる位置に、試薬容器102を移動する。撹拌器150は、第4のDC電気モータ152により駆動される。
【0060】
ここで、試薬容器の保管のための第2の実施の形態の保管および操作装置を含む、液体試料の処理のためのシステムの第2の実施の形態を示す図5および6を参照する。不要な繰り返しを回避するために、本発明の第1の実施の形態に対する相異点のみを説明し、他は図1〜4に関連した前述の説明を参照する。
【0061】
したがって、液体試料の処理のためのシステム200は、液体試料の処理のためにこれと混合される試薬を含む複数の試薬容器202を保管するための少なくとも1つの保管および操作装置201を含む。該保管および操作装置201は、システム200のモジュール式または統合化されたシステムである。
【0062】
保管および操作装置201は、垂直のZ方向において一方が他方の上に位置決めされた3つの別個のラック段204〜206を設けたラック203を含み、以下において下方ラック段204、中間ラック段205および上方ラック段206と識別される。各々のラック段204〜206はモジュール式ラック構成要素であり、ラック203に追加またはラックから除去可能である。ラック段204〜206には、試薬容器202を保管するための保管位置を特定するパレット208を収容するための複数の箱様のラック搭載部207が設けられる。個々のパレット208は、所望のとおりにラック搭載部207に挿入またはラック搭載部から除去され得る。
【0063】
システム200の保管および操作装置201は、保管位置に対して試薬容器を操縦(操作)するための操作部209を含む。操作部209には、2レールの並進機構により、2方向の移動(Y方向およびZ方向)に沿って移送ヘッド211を位置決めするための位置決め装置210が設けられる。
【0064】
移送ヘッド211には、個々の試薬容器202を把持するための把持ピンを含む把持機構212(詳細には図示せず)が設けられ、該機構は、ラック203に保管された試薬容器202へ向けてまたは試薬容器から離れるよう移動可能である。個々のパレット208を把持すると、パレット208は、その各々がパレット208を収容するように適合された3つの移送ヘッド搭載部213を設けた移送ヘッド211上に引き出し可能となる。試薬容器202の把持のための把持ピンは、個々の試薬容器202を挿入/除去するための各々の移送ヘッド搭載部213に移動可能となる(詳細には図示せず)。したがって、最大3つまでの試薬容器202が移送ヘッド211上に同時に搭載可能となり、これらは特に保管位置に対して共通して移送可能となる。
【0065】
パレット208を3段ラック203に垂直に配列することにより、ここに保管された試薬容器202に自由にアクセスすることが可能となり、そのため試薬容器202は、ラック搭載部207により画定されたあらゆる保管位置に任意に配置可能となり、または操作部209によりここから除去可能となる。
【0066】
システム200の保管および操作装置201は、少なくとも1つの投入/出力位置213を含み、これは、試薬容器202の保管のための保管位置に類似した構造で、操作部209を使用して試薬容器202の操作を可能にしており、液体試料の処理中に試薬容器202の手動および自動的な搭載/除荷を可能にする。投入/出力位置213は、保管および操作装置201により摺動可能に支持されているため、側壁217の開口部221を通じて保管および操作装置201に容易に挿入または保管および操作装置から除去可能である。
【0067】
各々の試薬容器202は、2つの別個の(試薬)区画214を含み、これは、液体試料処理の特定の要求に応じて同一または異なる試薬を含むことが可能であり、その各々には、事前穿孔された閉鎖部215が設けられる。
【0068】
図6に示されるように、システム200の保管および操作装置210は、個々の試薬容器202の区画214を最初に開口(開封)するためのスパイク216をさらに含む。スパイク216は、保管および操作装置210の垂直の側壁217に取り付けられ、操作部209により移動した試薬容器202による自由なアクセスが可能である。試薬容器202の区画を初回に開口するために、関連の試薬容器202が操作部209により把持されて、スパイク216の下に個々の区画214の閉鎖部215を位置決めした後に、試薬容器が上方に移動させられてスパイク216が閉鎖部215を貫通可能となる。
【0069】
システム200の保管および操作装置201において、各々の試薬容器202は、その頂上端面219に配置されたRFIDタグ218状(RFID=radio frequency identification)の機械可読ラベルを有し、これは試薬容器202に関する情報を含み、たとえば、投入/出力位置213に隣接する側壁217に取り付けられたRFID読取機(図示せず)により読取可能である。
【0070】
図5および6のシステム200の変形例を示す図7を参照する。たとえば臨床分析機器などの分析機器を具現化するシステム200は、モジュール式筐体220に収容されたモジュール式の保管および操作装置201と、保管および操作装置201に属さず、ここではより詳細には説明しない種々の分析機器構成要素223とを含む。
【0071】
保管および操作装置201は、図5に示されるように、その各々に3つの別個のラック段が設けられた2つの別個のラック203を有する。図5に示されるように、これは、両方のラックの保管位置に対して試薬容器202を操縦(操作)するために両方のラック203の間に配置された操作部209をさらに含む。またこれは、好ましくはラック203の最上のラック段にある専用の保管位置に保管される際に、試薬容器202の区画へまたは区画から流体を移送するためのピペット装置222をさらに含む。試薬容器202は、ピペット採取中は保管および操作装置201に留まる。試薬容器202へのアクセスは、モジュール式筐体220の上方の壁225の孔226を通じて供される。
【0072】
両方のラックの投入/出力位置213(投入/出力ステーション)は、保管および操作装置201(図7においては詳細に図示せず)により摺動可能に支持されるため、各々の投入/出力位置213は、システムの筐体224の開口部221を通じて保管および操作装置201に容易に挿入または保管および操作装置から除去される。
【0073】
液体試料を処理するための前述のシステム100,200において、制御部(図示せず)が、操作部117,209による試薬容器102,202の操作を含む、液体処理を制御するために使用される。制御部は、たとえば、液体試料処理のための所定の工程作業計画に応じて操作を実行する指示を供する機械可読プログラムを実行するプログラムロジック制御部として具現化可能である。ここで、制御部は制御を要するシステムの構成要素に電気的に接続されるため、制御部は、工程作業計画に応じて、異なるシステム構成要素から情報を受領し、特に、ラック103,203の保管位置に対して試薬容器を移送する操作部117,209ならびに投入/出力位置133,213を含む構成要素を制御するために対応する制御信号を伝達することができる。
【0074】
より詳細には、液体試料の処理のためのシステム100,200において、個々の試薬容器102,202は、液体試料の処理に応じて要求されるとおりに操作部117,209によって、同一のラック段および/または異なるラック段106〜107,204〜206の間に移送可能である。個々の試薬容器102,202は、ピペット装置により液体試料を処理するために試薬容器102,202に含まれた試薬をピペット採取可能にするために、たとえば下方のラック段106,204〜205から、好ましくは最上のラック段107,206に位置するピペット位置(試薬のピペット採取に適合された保管位置)に移送可能である。そうでなければ、液体試料の処理のために試薬がもはや必要でない場合に、関連する試薬容器102,202は、後の使用のために、ピペット位置から下方のラック段のうちの1つに移送することができる。より一般的には、個々の試薬容器102,202は、各々のラック段の間におよび/またはあるラック段から別のラック段へ任意に移送可能であるため、保管される試薬容器102,202の自動的な収容保管が可能である。最も有利には、投入/出力位置133,213は、液体試料の処理時に処理を中断する必要なしに、システム100,200へ/から試薬容器102,202を主導的または自動的に搭載/除荷するために使用可能である。液体試料の処理のための試薬を使用する前に、試薬容器102,202の各々の区画135,214は、初回開口部139,216を使用して自動的に初回開口可能であり、この動作は、操作部により各々の試薬容器102,202を適当に移動するよう連動される。スナップ式の閉鎖可能なキャップ136を有する試薬容器102を使用する場合は、区画本体137に対するキャップ136の自動的な開閉、すなわち上昇および下降は、たとえばヒンジ接続された板145を使用することにより実施可能である。試薬容器102,202に含まれた試薬は、撹拌器150を使用して自動的に撹拌されるため、たとえば、磁性粒子の懸濁液は適切な場合に再懸濁可能である。また、撹拌器の洗浄は洗浄装置を使用して自動的に実施可能であるため、試薬の汚染が回避され得る。機械可読情報を含むRFIDタグ218などのラベルを試薬容器102,202に付すことと読取機による情報の自動的な読み取りとの組合せは、液体試料の処理において使用前に試薬を特定することを可能にする。ラック段などの保管副部材の選択的な追加/除去は、有利には、必要に応じてラック103,203の寸法を容易に変更することを可能にする。さらに、個々の保管副部材は、必要に応じて、保管および交換される試薬容器102,202の冷却のための、システム100,200の外側に配置された冷却装置に移送可能である。
【0075】
さらに、各々のシステム100,200において、2つのラック103,203は、単一の操作部117,209をラック間に配置して、互いに対して反対関係に配置可能であるため、少なくとも保管位置に対して試薬容器102,202を選択的に操作する(図7に示されるように)。
【0076】
したがって、本発明は、液体試料の自動処理のための改善されたシステムを提供することで先行技術の問題を回避し、これは比較的高い試薬の消費の場合であっても、試薬容器のきわめて密集したユニットにより試薬容器の頻繁な再補充作業を必要とすることなく小型化が可能である。さらに、試薬容器のきわめて密集したユニットにより、その効率的な冷却が可能である。保管および操作装置は、保管される試薬容器数に対して容易に拡張であるため、液体試料の処理のための異なる寸法のシステムに容易に適合され得る。他方において、保管および操作装置は、ユーザの特定の要求に応じて、試薬容器数に対して容易に縮小または拡大され得る。
【0077】
明らかに、前述の説明に照らし合わせて本発明の多くの修正および変形が可能である。したがって、特定の考案ではなく、本発明は添付の請求項の範囲内において実施されることが理解される。
【符号の説明】
【0078】
100 システム
101 保管および操作装置
102 試薬容器
103 ラック
104 後板
105 基板
106 下方ラック段
107 上方ラック段
108 ラック搭載部
109 パレット
110 搭載板
111 後方パネル
112 リブ
113 パレット底部
114 パレット側壁
115 端面
116 接触面
117 操作部
118 位置決め装置
119 移送ヘッド
120 担体
121 第1のガイドレール
122 ギアベルト
123 第1のDC電気モータ
124 第2のガイドレール
125 スピンドル
126 第2のDC電気モータ
127 把持機構
128 第3のDC電気モータ
129 レバー機構
130 間隙
131 移送ヘッド搭載部
132 ヘッド搭載部側壁
133 投入/出力位置
134 読取機
135 区画
136 キャップ
137 区画本体
138 ヒンジ部
139 初回開口部
140 側壁
141 レバー
142 ラグ
143 頂上端面
144 レバー軸
145 ヒンジ接続された板
146 上方のラック段
147 溝
148 ニップル
149 持上部
150 撹拌器
151 撹拌パドル
152 第4のDC電気モータ
200 システム
201 保管および操作装置
202 試薬容器
203 ラック
204 下方ラック段
205 中間ラック段
206 上方ラック段
207 ラック搭載部
208 パレット
209 操作部
210 位置決め装置
211 移送ヘッド
212 把持機構
213 投入/出力位置
214 区画
215 閉鎖部
216 スパイク
217 側壁
218 RFIDタグ
219 頂上端面
220 モジュール式筐体
221 開口部
222 ピペット装置
223 分析機器構成要素
224 システム筐体
225 上方の壁
226 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体容器(102;202)の保管および操作のための少なくとも1つの保管および操作装置(101;201)を備えた、試料と流体との混合を含む液体試料の自動処理のためのシステム(100;200)であって、
前記流体容器(102;202)を収容するように適合された複数の保管位置(108;207)を設けた少なくとも1つの保管部材(103;203)であって、前記保管部材(103;203)が、その各々が平面(X,Y)に延伸し、前記平面(X,Y)に対して直角に配列した方向(Z)に積み重ねられた少なくとも2つの保管段(106〜107;204〜206)を有する保管部材と、
少なくとも前記保管位置(108,207)に対して流体容器(102;202)を自動的に移送するように適合された操作部(117;209)と、
を含むシステム。
【請求項2】
前記保管および操作装置(101;201)が、流体容器(102;202)を冷却可能である請求項1記載のシステム(100;200)。
【請求項3】
前記保管部材(103;203)が複数の搭載部(108;207)を含み、その各々が、少なくとも1つの流体容器(102;202)を支持するための保持部材(109;208)を取り外し可能に保持するように適合されてなる請求項1または2記載のシステム(100;200)。
【請求項4】
前記流体容器(102;202)を初回に開口するように適合された初回開口部(139;216)をさらに含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム(100;200)。
【請求項5】
容器本体(137)に対して少なくとも1つの流体容器(102;202)のヒンジ接続されたキャップ(136)を上昇または下降するように適合された開口部/閉鎖部(145)と、少なくとも1つの流体容器(102,202)に含まれた流体を撹拌するように適合された撹拌器(150)と、少なくとも1つの流体容器(102;202)に設けられた機械可読情報を読み取るように適合された読取機(134)と、少なくとも1つの流体容器(102;202)に含まれた磁性粒子などの流体を振動させるように適合された振動器と、撹拌器(150)を洗浄するように適合された洗浄機とを含む群から選択される少なくとも1つの装置をさらに含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム(100;200)。
【請求項6】
流体容器(102;202)の保管および操作のための前記保管および操作装置(101;201)が、モジュール式装置である請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム(100;200)。
【請求項7】
システムへ/から流体容器(102;202)を搭載/除荷するための少なくとも1つの投入/出力位置(133;213)をさらに含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステム(100;200)。
【請求項8】
前記保管および操作装置(101;201)が、互いに対して反対関係にある2つの保管部材(103;203)を含み、前記操作部(117;209)が、両方の保管部材の少なくとも保管位置に対して流体容器を自動的に移送するように適合された、保管部材の間に配置される請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム(100;200)。
【請求項9】
前記保管部材(103,203)が、そこに保管された少なくとも1つの流体容器(102;202)に含まれた流体をピペット採取するように適合された少なくとも1つの保管位置を設けてなる請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム(100;200)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのピペット位置に保管される際に、少なくとも流体容器(102;202)に含まれた流体をピペット採取するように適合された少なくとも1つのピペットを設けたピペット装置をさらに含む請求項9記載のシステム(100;200)。
【請求項11】
前記保管部材(103;203)が、複数のモジュール式副部材(106〜107;204〜206)を備えてなる請求項1〜10のいずれか1項に記載のシステム(100;200)。
【請求項12】
試料と流体容器に含まれた流体との混合を含む液体試料の自動処理のためのシステム(100;200)において使用する流体容器(102;202)を保管および操作するためのモジュール式保管および操作装置(101;201)であって、前記流体容器を収容するように適合された複数の保管位置(108;207)を設けた少なくとも1つの保管部材(103;203)であって、前記保管部材(103;203)が、その各々が平面(X,Y)に延伸し、前記平面(X,Y)に対して直角に配列した方向(Z)に積み重ねられた少なくとも2つの保管段(106〜107;204〜206)を有する保管部材と、少なくとも前記保管位置(108,207)に対して流体容器(102;202)を自動的に移送するように適合された操作部(117;209)と、を備えた保管および操作装置(101;201)。
【請求項13】
試料と流体容器に含まれた流体との混合を含む液体試料の自動処理のためのシステム(100;200)において使用する流体容器(102;202)の保管および操作のための保管および操作装置(101;201)を操作するための方法であって、前記保管および操作装置(101;201)が、前記流体容器を収容するように適合された複数の保管位置(108;207)を設けた少なくとも1つの保管部材(103;203)を備え、前記保管部材が、少なくとも2つの保管段(106〜107;204〜206)を有し、その各々が平面(X,Y)延伸して前記平面(X,Y)に対して直角に配置された方向(Z)に積み重ねられ、該方法において、個々の流体容器(102;202)が液体試料の処理に応じて同一または異なる保管段の保管位置の間に移送される方法。
【請求項14】
個々の流体容器(102;202)が、液体試料の処理のために流体容器に含まれた流体をピペット採取するように適合された少なくとも1つのピペット位置に移送される請求項13記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの流体容器(102;202)を初回に開口する工程と、少なくとも1つの流体容器(102;202)の少なくとも1つのヒンジ接続されたキャップ(136)を上昇させる工程と、少なくとも1つの流体容器(102;202)の少なくとも1つのヒンジ接続されたキャップ(136)を下降させる工程と、少なくとも1つの流体容器(102;202)に含まれた流体を撹拌する工程と、撹拌器(150)を洗浄する工程と、流体容器に含まれた流体を混合するために、少なくとも1つの流体容器(102;202)を振動させる工程と、少なくとも1つの流体容器(102;202)に標識された少なくとも1つの機械可読情報を読み取る工程からなる群から選択される少なくとも1つの工程が実施される請求項13または14記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−127936(P2010−127936A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−266775(P2009−266775)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】