説明

液体試料分析方法及び分析装置

【課題】内部に液体試料を保持し且つ上端内部に可動式濾過材が保持され当該可動式濾過材により液体試料を濾過可能な密閉型液体試料容器を用いて自動分析を実施する。
【解決手段】内部に液体試料を保持し且つ上端内部に可動式濾過材が保持され当該可動式濾過材により液体試料を濾過可能な密閉型液体試料容器の上端に、先端が所定の角度で尖鋭化された吸引ノズルの上記所定の角度で尖鋭化された先端を刺し、所定時間保持する。その後、吸引ノズルの先端により可動式濾過材を液体試料の液面以下の所定位置に所定速度で押下げる。そして、吸引ノズルを引き上げた後、可動式濾過材より上の濾過後の液体試料を吸引する。上で述べたような動作を実施すれば、液体試料の吹き出しを防止でき、適切な位置まで可動式濾過材を確実に押下げることができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の液体試料を採取し、分析するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な採便容器が用いられてきた。例えば、特開平10−160728号公報には、上向きに開口した採便容器に収納した便懸濁濾液を、上方からノズルで吸引して検査機に取り込み、便の潜血判定をする自動分析機等に使用するため、便懸濁液室からフィルタ部を通して便懸濁濾液を重力に逆らって下から上に注出して液溜部に溜めるようにする採便容器が開示されている。具体的には、本公報に係る採便容器は、採便スチックにより採取した糞便を懸濁させる便懸濁溶液を収容した便懸濁液室に、便懸濁液室内に没入するフィルタ部と液溜部を有する濾液受容体を押し込み自在に装着し、濾液受容体を便懸濁液室に押し込むと同時に便懸濁液室からフィルタ部を通して便懸濁濾液を重力に逆らって下から上に注出して液溜部に溜めることができる押し込み強制濾過構造を有する。このような構造を有する採便容器では、便懸濁濾液を重力に逆らって下から上に抽出するため便懸濁液室を押圧する必要があり、またノズルで濾過された便懸濁液を吸引する必要もあるため、自動分析機の機械的な構造は複雑になってしまう。また、通常状態において便懸濁液室と液溜部とを分離しておき、さらに液溜部と容器外部とを遮断するため、2ヶ所にシール材を付す必要がある場合もあり、このような場合には構造が複雑で採便容器のコストが高くなってしまう。
【0003】
また、特開2000−258308号公報には、容器本体の外部を押圧することによって液体試料が容器本体内に形成されたガイド部を有する栓体部を通過してこの栓体部の上部に設けられた液溜部に収容されるようにし、上方から直接ノズルを挿入して定量的に自動分析機に吸引した後、押圧をなくすことによって液溜部に残存する液体試料を再度容器本体内に戻すことによって、余分な液体試料を廃棄するという煩雑な操作を必要とない検診用容器が開示されている。しかしながら、容器本体の外部を押圧して押し出した液体試料をノズルで吸引するという点については、上で述べた公報と同じであり、自動分析機の機械的な構造は複雑になる。また、液溜部に残存する液体試料を再度容器本体内に戻す必要があるため、容器自体もその構造は複雑である。さらに、通常状態において便懸濁液室と液溜部とを分離しておき、さらに液溜部と容器外部とを遮断するため、2ヶ所にシール材を付す必要がある場合もあり、このような場合には構造が複雑で採便容器のコストが高くなってしまうという問題も同様である。
【0004】
また、実際に使用されている採便容器には、採便容器の一部を切断することによって便懸濁液を抽出するような構成も採用されている。しかし、自動分析機に切断機構が必要となるなど構造が複雑化する。
【0005】
一方、特開2005−114654号公報には、自動分析機に適用する採便容器において、側面に圧力を加える必要がないため容器側面部分を柔らかい材質にする必要がなく、また側面に物理的な圧力を加えたり、あるいは、圧力を加えるための装置を自動分析機内部に備える必要もなしに、採便容器内の便懸濁液試料を濾過できるような単純な構造の採便容器が開示されている。具体的には、本公報には、容器本体内に可動式濾過材を有し、当該濾過材を押し下げることで容器内の便懸濁液が濾過され、かつ、濾過された試料検体の吸引サンプリングができる構造を備えている。このような構造であれば、試料検体吸引ノズルにより、容器本体上端被覆部を穿刺して該濾過材を押し下げることで容器内の便懸濁液を濾過すると同時に、濾過された試料検体を吸引サンプリングする。この際、ノズルの濾液吸引孔の位置は、ノズル先端部または先端寄り側面に設置するというものである。
【特許文献1】特開平10−160728号公報
【特許文献2】特開2000−258308号公報
【特許文献3】特開2005−114654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上で述べたように、第1及び第2の公報記載の技術では、採便容器の構造の問題及び当該採便容器を使用する自動分析機の構造の問題が存在している。これに対して第3の公報記載の技術では、上で述べたような問題は存在していないが、この公報では自動分析機側の問題については考察されていない。また、第3の公報開示の方法で容器内部の液体試料(便懸濁液)を採取しようとすると、便懸濁液をうまく濾過できない等の問題が生じ、実現するのが困難である。従って、第3の公報記載の事項だけでは、適切且つ確実な分析を行う自動分析機を提供できない。
【0007】
従って、本発明の目的は、内部に液体試料を保持し且つ上端内部に可動式濾過材が保持され当該可動式濾過材により液体試料を濾過可能な密閉型液体試料容器を用いて自動分析を実施するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る液体試料分析方法は、内部に液体試料を保持し且つ上端内部に可動式濾過材が保持され当該可動式濾過材により液体試料を濾過可能な密閉型液体試料容器(例えば、内部の液体試料が外部に漏出することのないように密閉された状態となる容器)の上端に、先端が所定の角度で尖鋭化された吸引ノズルの上記所定の角度で尖鋭化された先端を刺し、所定時間保持するステップと、吸引ノズルの先端により可動式濾過材を液体試料の液面以下の所定位置に所定速度で押下げる押下げステップと、吸引ノズルを引き上げた後、可動式濾過材より上の濾過後の液体試料を吸引する吸引ステップとを含む。
【0009】
上記第3の公報には、単にノズルを容器上端部に刺し入れるといった事項しか開示されていないが、これではノズルを刺し入れた際に液体試料が吹き出したり、可動式濾過材を濾過された液体試料をノズルが吸引可能となる適切な位置まで押下げられなかったりという問題が発生する。上で述べたような最初のステップを実施すれば、液体試料の吹き出しを防止でき、さらに押下げステップにより適切な位置まで可動式濾過材を上記のように確実に押下げることができるようになる。
【0010】
なお、上で述べた所定時間は、液体試料容器内部において可動式濾過材の上部気圧と下部気圧とが平衡状態になる前に上記押下げステップが実施されるように設定される場合もある。液体試料容器内部において可動式濾過材の上部気圧と下部気圧とが平衡状態になってしまうと、押下げステップで適切に可動式濾過材を押下げできない場合があるためである。
【0011】
また、上で述べた所定速度は、可動式濾過材に穴を空けることなく押下げ可能な速度と規定される場合もある。速度が遅すぎると、可動式濾過材を上端内部に保持したまま吸引ノズルの先端が可動式濾過材を突き抜けてしまい、速すぎても可動式濾過材に穴が空いてしまい(或いは可動式濾過材を押しのけて吸引ノズルが下がってしまい)、可動式濾過材の押下げ位置が不適切となる。但し、可動式濾過材の素材及び液体試料の内容などによって、上記所定速度は異なる表現にて規定される場合もある。
【0012】
さらに、上で述べた所定の角度が、45°又は実質的に45°(例えばプラスマイナス5°)である場合もある。このようにすれば、吸引ノズルの重要な機能である可動式濾過材の押下げを適切に行うことができるようになる。
【0013】
さらに、上記押下げステップにおける可動式濾過材の押下げ完了時に吸引ノズルに設けられたテーパー部によって液体試料容器の上端の穴を広げるようにしてもよい。これによって、吸引ステップにおいて安定的な状態にて液体試料を吸引することができるようになる。尚、ここで言うテーパー部とは、吸引ノズルに設けられたテーパー形状の部分のことであり、ノズル全体がテーパー形状となっていることを意味するものではない。尤も、吸引ノズル全体をテーパー形状としたものも本発明に係る吸引ノズルに含まれる。
【0014】
また、上で述べた吸引ステップが、吸引ノズルを引き上げるステップと、吸引ノズルの先端を、押下げステップにおける位置と同じ位置まで下げるステップと、吸引ノズルを引き上げ、可動式濾過材より上の液体試料を吸引するステップを含むようにしてもよい。このように2度押しを行うことによって、確実に可動式濾過材を上記のような適切な位置まで下ろすことができる。また、容器上端に形成される穴の縁で、吸引ノズルに付着する液体試料をぬぐい取ることができるようになり、吸引ノズルの洗浄を容易にすることができる。
【0015】
さらに、下面から上面に向けて最小の径又は上部の一部の径を液体試料容器の上部の径に合わせた先細りの穴を有する液体試料容器固定部と液体試料容器とのうち少なくともいずれかを、相対的に液体試料容器の上部が先細りの穴の下から上に移動し且つ最小の径の部分又は内部の一部の径を液体試料容器の上部の径に合わせた部分にて液体試料容器の上部の動きを制限するように移動させるステップをさらに含むようにしてもよい。このようにすれば、吸引ノズルの先端を、液体試料容器の上端に確実に刺すことができるようになる。
【0016】
一方で、下面から上面に向けて最小の径を液体試料容器の上部の径に合わせた先細りの穴を有する液体試料容器固定部を上から下に移動させて、最小の径の部分で液体試料容器の上部の動きを制限するステップをさらに含むようにしてもよい。
【0017】
さらに、吸引した濾過後の液体試料を反応部に排出した後に、ノズル内部を例えば蒸留水、イオン交換水、適当な緩衝液等のこの分野で用いられている適当な洗浄液で洗浄するステップや、下部から洗浄液を湧出させる内側容器と当該内側容器からあふれた洗浄液を排出するための外側容器とを有する洗浄部の内側容器に吸引ノズルを差し込み、洗浄するステップをさらに含むようにしてもよい。これにより吸引ノズルの洗浄を確実に行うことができる。これら2つのステップを行う際の洗浄部は、同一でもよいし別々でもよい。
【0018】
本発明の第2の態様に係る分析装置は、先端が所定の角度で尖鋭化された吸引ノズルを含む吸引ノズルを含む穿刺部と、穿刺部の動作を制御する制御部とを有する。そして、上記制御部は、内部に液体試料を保持し且つ上端内部に可動式濾過材が保持され当該可動式濾過材により液体試料を濾過可能な密閉型液体試料容器の上端に、吸引ノズルの所定の角度で尖鋭化された先端を刺し、所定時間保持する動作と、吸引ノズルの先端により可動式濾過材を液体試料の液面以下の所定位置に所定速度で押下げる動作と、吸引ノズルを引き上げた後、可動式濾過材より上の濾過後の液体試料を吸引する吸引動作と実施させる。
【0019】
吸引ノズルを上で述べたように適切に動作させれば、従来技術のような押圧機構などが不要となり、分析装置としての構造が単純化できるようになる。
【0020】
なお、上で述べた吸引動作が、吸引ノズルを引き上げる動作と、吸引ノズルの先端を、押下げ動作における位置と同じ位置まで下げる動作と、吸引ノズルを引き上げ、可動式濾過材より上の液体試料を吸引する動作を含むようにしてもよい。
【0021】
さらに、上記分析装置が、下面から上面に向けて最小の径又は内部の一部の径を液体試料容器の上部の径に合わせた先細りの穴を有する液体試料容器固定部をさらに有するようにしてもよい。その場合、上記制御部は、液体試料容器固定部と液体試料容器とのうち少なくともいずれかを、相対的に液体試料容器の上部が上記先細りの穴の下から上に移動し且つ上記最小の径の部分又は内部の一部の径を液体試料容器の上部の径に合わせた部分にて液体試料容器の上部の動きを制限するように移動させる動作をさらに実施させるようにしてもよい。
【0022】
また、上記分析装置が、下面から上面に向けて最小の径を液体試料容器の上部の径に合わせた先細りの穴を有する液体試料容器固定部をさらに有するようにしてもよい。この場合、上記制御部は、液体試料容器固定部を上から下に移動させて、最小の径の部分で液体試料容器の上部の動きを制限する動作を実施させるようにしてもよい。
【0023】
また、上記分析装置は、吸引した液体試料を反応部に排出した後に、ノズル内部を例えば蒸留水、イオン交換水、適当な緩衝液等のこの分野で用いられている適当な洗浄液で洗浄するための洗浄部や、下部から洗浄液を湧出させる内側容器と当該内側容器からあふれた洗浄液を排出するための外側容器とを有する洗浄部をさらに有するようにしてもよい。これら2つの洗浄部は、同一でもよいし別々でもよい。この場合、上記制御部は、これら洗浄部に吸引ノズルを差し込み、洗浄する動作を実施させるようにしてもよい。
【0024】
本発明に係る方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを作成することができ、当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体又は記憶装置に格納される。また、ネットワークを介してディジタル信号にて頒布される場合もある。なお、処理途中のデータについては、コンピュータのメモリ等の記憶装置に一時保管される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、内部に液体試料を保持し且つ上端内部に可動式濾過材が保持され当該可動式濾過材により液体試料を濾過可能な密閉型液体試料容器を用いて自動分析を適切且つ確実に実施することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1に、本発明の一実施の形態に係る自動分析機の斜視図を示す。なお、本実施の形態に係る構造を示すため、通常は付されているカバーをはずした状態を示している。本実施の形態に係る自動分析機100は、様々な機能を有しているが本実施の形態に関連する部分としては、穿刺部1、穿刺部1の支柱2、吸引ノズル3、採便容器の固定部4、固定部4の支柱5、採便容器の搬送部6、反応部7、反応部7内に設けられた、吸引ノズル3による吸引サンプル(便懸濁液を濾過したもの。以下、「濾過後の便懸濁液」と表記する場合もある。)の分析を行うための分析容器への注入孔8、ノズル洗浄部9、搬送部6が移動するレール10と、自動分析機100の制御を行う情報処理部11、プリンタ12、表示部13、採便容器に付されたバーコードを読み取るバーコードリーダ14、試薬保冷部16、試薬保冷部16に保持されている試薬を分析容器に注入する試薬分注部15、分析容器に注入されたサンプルに対する計測を行う測光部17、分析容器を洗浄する洗浄部18などを有する。
【0027】
ここで図1に示した自動分析機100の動作の概要を述べておく。タッチパネル式の表示部13に対するユーザの指示に応じて情報処理部11は、以下の動作を実施するように各部を制御する。すなわち、1又は複数の採便容器を載せた搬送部6は、レール10に沿って固定部4が設置されている位置に移動する。なお、移動させる際には、バーコードリーダ14が採便容器に付されているバーコードを読み取り、情報処理部11に出力する。情報処理部11は、バーコードリーダ14からのバーコード・データを保持しておき、後に実施する分析処理の結果と結び付ける。搬送部6が固定部4の下に今回の分析対象となる採便容器を移動させると、固定部4の支柱5を下に下ろし、採便容器の上部を固定する。次に、穿刺部1の支柱2を吸引ノズル3の先端が採便容器の上端の中心に位置するように回転させ、さらに支柱2を下ろして以下で詳細に述べる、穿孔動作、吸引動作等を行う。吸引後は、支柱2を引き上げ、さらに吸引ノズル3の先端が注入孔8の中心に位置するように回転させる。なお、反応部7では、今回の吸引サンプルについて分析を行うための分析容器を注入孔8の位置に回転させる。その後、吸引ノズル3で吸引されたサンプルは、所定量の第一試薬とともに、注入孔8を介して反応部7の分析容器に注入される。(このステップにより、吸引ノズル内部の洗浄は実質的に行われたとして後の内部洗浄ステップは省略することも可能である。)所定量の第一試薬とともに、サンプルが注入された分析容器には、試薬分注部15により試薬保冷部16に保持されている試薬が注入され、測光部17により計測が行われ、当該計測結果が情報処理部11に出力される。情報処理部11は、計測結果によって分析処理を行い、分析結果を上で読み取ったバーコード・データと結び付け、記憶装置に格納し、表示部13に表示する。ユーザの指示があれば、プリンタ12から分析結果を印刷出力する。また、適切なタイミングで、洗浄部18は、反応部7の使用済み分析容器を洗浄する。
【0028】
次に図2を用いて、図1に示した自動分析機100における、本実施の形態の主要部をさらに説明する。穿刺部1及びその先端に下向きに固定されている吸引ノズル3は、矢印Bに示すように支柱2を中心に、少なくとも固定部4の先端部に設けられている固定穴4aから反応部7の注入孔8までの角度回転する。また、固定部4の固定穴4aの位置、ノズル洗浄部9の内部容器9aの位置、反応部7の注入孔8の位置において、矢印Aに示すように、支柱2を上下させることにより、穿刺部1及び穿刺部1の先端に下向きに固定されている吸引ノズル3は上下動する。支柱2には、このような動作を実施させるための駆動部(図示せず)が接続されている。さらに、穿刺部1は、吸引ノズル3により採便容器20からサンプルを吸引し、さらに吸引したサンプルを注入孔8に位置する分析容器に排出することができるように、吸引排出機構(図示せず)に接続されている。
【0029】
固定部4は、回転することはなく、矢印Cで示すように、支柱5を上下させることにより、上下に動く。支柱5には、このような上下動を行わせるための駆動部(図示せず)に接続されている。固定部4は、その先端に設けられている固定穴4aを採便容器20の上部にかぶせるようにして、採便容器20の動きを制限する。
【0030】
また、ノズル洗浄部9は、内部容器9aの底部から洗浄液(例えば水、この分野で用いられる適当な緩衝液等)を湧出させ、内部容器9aの上端からあふれさせた状態で、吸引ノズル3を洗浄する。なお、ノズル洗浄部9の外部容器9bと内部容器9aとの間に、使用後の洗浄液を排出する機構を有する。なお、ノズル内部は、吸引サンプルを反応部7に排出した後に、ノズル内部を例えば蒸留水、イオン交換水、適当な緩衝液等のこの分野で用いられている適当な洗浄液で洗浄する等により洗浄する。
【0031】
反応部7は、複数の分析容器を有しており、これを回転させる駆動部を有する。個々の分析容器には、注入孔8からサンプルが注入される。
【0032】
次に採便容器20の構成を図3を用いて説明する。図3は、採便容器20の側断面図である。容器本体21内には、便懸濁液23を濾過する可動式濾過材22(例えばスポンジ、グラスウール等)が、例えばストッパ25にて上端内部に保持されている。なお、図3においては、容器本体21の上端部は、少々窪んでいるが、後に述べる本実施の形態における方法により液体試料を採取するのを妨げない形状であればよく特に限定されない。当該上端部は、穿刺可能なように薄肉膜状に形成されているか、または、適当なシールフィルム(例えばアルミ箔、合成樹脂膜等)で被覆されている。また、容器本体21の下部には、中央が空洞になっており、採便棒24で採取した糞便を一定量採取するための余剰糞便摺り切りのために最上部が狭くなっている摺り切り部26が設けられている。さらに、採便棒ハンドル部27がねじで容器本体21に固定されるようになっている。採便棒ハンドル部27には、細長い採便棒24が形成されており、この採便棒24にはブラシ24aが付されている。このブラシ24aによって糞便をこすって採取するようになっている。このような採便容器20は従来の採便容器に比べて大幅に単純な構造であり、使用時の不具合発生頻度が少なく、便潜血の免疫化学的定量分析における分析精度が向上する。
【0033】
また、容器本体21内部には、可動式濾過材22の上部の空間22aと、可動式濾過材22の下部の空間22bとが存在する。採便後に、採便棒ハンドル部27を容器本体21にねじ込む際に容器内部の気圧は外部の気圧より通常高くなる。また、採便容器20の輸送中、図3に示すような状態が保持されるわけではなく、便懸濁液23は、可動式濾過材22に浸透してしまう場合が多い。
【0034】
なお、図3に示した採便容器20は、密閉型の液体試料容器であり、便を採取して便懸濁液を調製することができ、その際に内部の便懸濁液が外部に漏出することのないよう密閉された状態となる容器である。
【0035】
次に吸引ノズル3の構造を側面図である図4(a)を用いて説明する。吸引ノズル3は、基本部31と、テーパー部32と、細管部33と、先端部34とを含む。先端部34は、細管部33を角度αで切断することによって形成された斜めの部分である。角度αは、実験的に45°±5°程度が好ましいことが分かっている。また、テーパー部32は、採便容器20に刺し込んだ際に、その一部が採便容器20の上端部に押し込まれ、採便容器20の上端部に空けられた穴を広げるものである。テーパー部32から先端部34までの長さは、可動式濾過材22を押下げる長さに依存して決定される。細管部33については、吸引すべき濾過後の便懸濁液の量の精度によってその径が決定される。また、細管部33は、更に何段階かに分かれて、先端に行くに従って細く作られていてもよい。その場合、管径が異なる部分を繋ぐ部分はテーパー部32と同様にテーパー形状となっているのが望ましい(例えば図4(b))。また、吸引ノズル3は図4(c)に示すように全体がテーパー形状となっていてもよい。
【0036】
図5乃至図9を用いて、自動分析機100における、本実施の形態の主要部の動作(制御方法)を説明する。図5及び図8の処理フローに従って各工程を説明する。まず、初期化動作を実施する(ステップS1)。例えば搬送部6をレール10に沿って動かすことによって、搬送部6に搭載されている採便容器20のバーコードを読み取って分析対象を特定すると共に、採便容器20の個数を特定する。また、その他必要なキャリブレーション動作を行う。次に、今回分析対象となる採便容器20を特定し、当該採便容器20を搬送部6によりレール10に沿って固定部4の真下に移動させる(ステップS3)。
【0037】
そして、固定部4の支柱5を下げ、固定部4の固定穴4aを採便容器20の上部にかぶせる形で採便容器20の上部の動きを制限する(ステップS5)。この様子を図6(a)及び(b)に示す。図6(a)は上面図であり、図6(b)は、図6(a)におけるDD’線における断面図である。図6(a)及び(b)に示されるように、固定穴4aの径は、固定部4の下面から上面に向かって小さくなっており、固定穴4aは下面から上面に向かって先細り型の穴となっている。これは、採便容器20の容器本体21は、多少歪んでいる場合やラックに立てる際に直立していない場合もあり、このような場合であっても固定穴4aの傾斜に沿って採便容器20の上部が正しい位置に制限されるようにするためである。なお、図6(b)では固定部4と採便容器20の上部が接する状態を示しているが、吸引ノズル3を採便容器20の上端に刺す際の押下げ力による変形や、固定部4から採便容器20が離れる際に採便容器20が持ち上がるのを防止する等を考慮して少々空間を持たせる場合もある。
【0038】
次に、穿刺部1の支柱2を回転し、穿刺部1の先端に接続された吸引ノズル3の中心を、採便容器20の上端の中心まで回転させる(ステップS7)。そして、穿刺部1の支柱2を下ろすことにより、吸引ノズル3による第1穿孔動作を実施する(ステップS9)。このステップS9の動作を図7(a)を用いて説明する。図7(a)に示すように、吸引ノズル3の先端部34の部分のみを、採便容器20の上端部に刺し、一定時間その状態を保持する。これは、容器本体21における、可動式濾過材22の上部の空間22aの気圧を緩やかに下げて、可動式濾過材22に浸透している便懸濁液が吹き出すのを防止するためである。一定時間は、可動式濾過材22の上部の空間22aの気圧を下げるのに必要な時間であるが、可動式濾過材22の上部の空間22aと下側の空間22bとの気圧差がなくなるまで長くしてしまうと、次のステップを実施する段階でうまく可動式濾過材22を押下げることができなくなってしまう。そこで、可動式濾過材22の上部の空間22aにおける気圧と下側の空間22bにおける気圧とが平衡状態になる前に次のステップが実施されるように設定される。また、容器本体21内部における気圧と外部の気圧とが同一となる前に次のステップが実施されるように設定されるとも言える。さらに、容器本体21内部と外部とで気圧差を保ったまま次のステップが実施されるように設定されるとも言える。
【0039】
その後、穿刺部1の支柱2を下ろすことにより、吸引ノズル3による第2穿孔動作を実施する(ステップS11)。このステップS11の動作を図7(b)を用いて説明する。図7(b)に示すように、吸引ノズル3のテーパー部32が採便容器20の上端にかかるまで所定の速度で吸引ノズル3を下げる。このようにすると、吸引ノズル3の先端部34により、可動式濾過材22を便懸濁液23の液面より下で、図7(b)の例では採便棒24の上部に可動式濾過材22の下部が接触するまで押下げることができ、可動式濾過材22により便懸濁液23の濾過が行われる。この動作により、吸引ノズル3のテーパー部32により、採便容器20の上端における穴が広げられる。なお、所定の速度は、本ステップの動作にて可動式濾過材22を便懸濁液23の液面より下で採便棒24の上部に可動式濾過材22の下部が接するまで適切に押下げるための条件であって、可動式濾過材22に穴を空けずに押下げ可能な速度である。この速度は可動式濾過材22の材料及び内部の気圧に依存するが、遅すぎても容器本体21のストッパ25で可動式濾過材22が止まったまま吸引ノズル3の先端が突き抜けてしまい、速すぎても可動式濾過材22を押下げるが図7(b)のような状態になる前に吸引ノズル3の先端が突き抜けてしまう。よって、可動式濾過材22の材料などに応じて調整する必要がある。
【0040】
そして、穿刺部1の支柱2を上げることにより、吸引ノズル3の第1引抜き動作を実施する(ステップS13)。このステップS13の動作を図7(c)を用いて説明する。図7(c)に示すように、一旦吸引ノズル3を引き上げる。吸引ノズル3のテーパー部32により、採便容器20の上端における穴は、当初のものより広げられており、吸引ノズル3を引き上げることにより、穴の広げられた部分によって容器本体21内部の気圧が下がり、外部と内部の気圧を平衡状態にする。なお、ステップS11で可動式濾過材22を押下げているが、場合によっては多少浮き上がる場合もあり、次のステップで再押下げ動作を行う。従って、可動式濾過材22の浮き上がる可能性のある高さに応じて、吸引ノズル3の引き上げ高さが決定される場合もある。
【0041】
その後、穿刺部1の支柱2を下げることにより、吸引ノズル3の押下げ動作を実施する(ステップS15)。このステップS15の動作を図7(d)を用いて説明する。図7(d)に示すように、再度、図7(b)に示すのと同様の位置まで吸引ノズル3の先端34を下げて、可動式濾過材22の下部が採便棒24の上部に接触するように押す。本動作はステップS11の実施を確実化させるための動作であり、ステップS11で既に可動式濾過材22が図7(b)に示す位置まで押下げられ、浮き上がらなければ、本ステップを実施しなくても良い場合もある。この場合、図7(b)の次に図7(e)の状態となるように吸引ノズルを位置させる(詳細後述)。
【0042】
そして、穿刺部1の支柱2を上げることにより、吸引ノズル3の第2引抜き動作を実施する(ステップS17)。このステップS17の動作を図7(e)を用いて説明する。図7(e)に示すように、吸引ノズル3の先端34を、濾過後の便懸濁液23の液面の下であって、次のステップで実施するサンプル吸引によって液面が低下することを考慮してサンプル吸引終了時にも先端34が液面下にあることが確実である高さに位置させる。すなわち、吸引ノズル3は濾過後の便懸濁液23を目的量吸引可能な位置に保持される。
【0043】
その後、吸引ノズル3の先端34から、濾過後の便懸濁液23を所定量吸引するサンプル吸引動作を実施する(ステップS19)。吸引動作については従来技術と同様であるから、これ以上説明しない。そして、端子Aを介して図8のフローに移行する。
【0044】
図8の説明に移行して、サンプル吸引動作終了後に、穿刺部1の支柱2を上げることにより、吸引ノズル3の第3引抜き動作を実施する(ステップS21)。この動作は基本的には、吸引された濾過後の便懸濁液の排出及び吸引ノズル3の洗浄が目的であるが、付随的に吸引ノズル3の側部に付着した濾過後の便懸濁液を、採便容器20の上端における穴の縁に触れつつ吸引ノズル3を引き上げてぬぐい取るという作用も期待されている。この効果はステップS13においても同様に生ずる場合がある。これによって以下で述べる吸引ノズル3の洗浄の容易化と共にコンタミネーションの防止を図るものである。
【0045】
そして、支柱2を回転させ吸引ノズル3及び穿刺部1を、反応部7の注入孔8の位置まで回転させ、支柱2を下げて吸引ノズル3の先端34を分析容器内に下げるように移動する(ステップS23)。移動完了後、吸引サンプル(吸引した濾過後の便懸濁液)を分析容器に排出する(ステップS25)。排出完了後、支柱2を引き上げ、さらに回転させることによって、吸引ノズル3及び穿刺部1をノズル洗浄部9の位置まで移動させ、さらに支柱2を下げることによって、吸引ノズル3をノズル洗浄部9内に下ろす(ステップS27)。そして、吸引ノズルの洗浄を実施する(ステップS29)。この洗浄動作を図9を用いて説明する。図9に示すように、ノズル洗浄部9は、内部容器9aと外部容器9bとを含み、吸引ノズル3を内部容器9a内に下ろした後に、内部容器9aの下部から洗浄液91を湧出させ、内部容器9aから当該洗浄液91をあふれさせ、内部容器9aと外部容器9bとの間の排出口(図示せず)からあふれた洗浄液91を排出する。所定時間後、吸引ノズル3を引き上げ、洗浄液91の湧出を停止させる。これによって洗浄液91の廃液量を低減させる。また、図9で示す洗浄操作の前若しくは後に、吸引ノズル3内部の洗浄操作が行われる。この操作は、例えば吸引ノズルの後端に電磁弁を介して接続された試薬1(R−1)を洗浄液として用いて、吸引ノズル3後端から先端方向にR−1を適当量通過させることにより行われる。尚、このようにして排出された洗浄液は、例えば内部容器9aと外部容器9bとの間に排出され、排出口(図示せず)から排出される。
【0046】
ステップS29の後又はステップS29と並行して、分析容器に注入された吸引サンプルの分析処理などを実施する(ステップS31)。試薬分注部15による試薬注入、測光部17による計測などを実施して、分析処理を実施し、分析結果を、ステップS1で読み取ったバーコード・データと関連付けて、記憶装置に格納する。この処理については、本実施の形態の主要部ではないので、これ以上述べない。そして、情報処理部11は、全ての採便容器20について分析を行ったか判断する(ステップS33)。そして、分析未了の採便容器20が存在する場合には端子Bを介してステップS3(図5)に戻る。一方、全ての採便容器20についての分析が完了していれば、動作完了で終了する。なお、ステップS31は、全ての採便容器20についての分析が完了してから実施される場合もある。
【0047】
以上のような動作を実施することにより、図3に示したような採便容器20を用いる場合にも、内部の便懸濁液が吹き出すこともなく、可動式濾過材22が便懸濁液を濾過する機能を果たすことができない位置で止まってしまったりすることなく、適切に濾過後の便懸濁液を吸引して分析することができるようになる。さらに、吸引ノズル3の洗浄も適切に行うことができるため、コンタミネーションを防止でき、適切な分析を連続して実施できる。
【0048】
なお、吸引ノズル3は、吸引するだけではなく、採便容器20の容器本体21内部の気圧を下げるための穴空け(ピアッシング)機能、さらに可動式濾過材22の押下げ機能を果たしており、通常の単なる吸引ノズルや穴空け(ピアッシング)部材とは異なる。特に先端部34の形状は、穴空け機能、押下げ機能及び吸引機能を一本のノズル(部材)に行わせる際に重要な役割を果たしている。
【0049】
また、上で述べたような動作を自動分析機100に実施させるように制御を行う情報処理部11は、記憶装置に格納されたプログラムに従って処理を行う。
【0050】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、採便容器について本発明を適用した例を示しているが、図3に示すような構造を有する他の容器に対して適用することも可能である。
【0051】
また、本実施の形態における主要部以外の部分については、他の構成にて実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動分析機の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る主要部の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態において使用される採便容器の構造を示す図である。
【図4】(a)乃至(c)は、本発明の実施の形態における吸引ノズルの構造を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における動作のフローの第1の部分を示す図である。
【図6】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態における固定部の構造を示す図である。
【図7】(a)乃至(e)は、本発明の実施の形態における動作のフローを説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態における動作のフローの第2の部分を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるノズル洗浄部の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 穿刺部 2 支柱 3 吸引ノズル 4 固定部
5 支柱 6 搬送部 7 反応部 8 注入孔
9 ノズル洗浄部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体試料を保持し且つ上端内部に可動式濾過材が保持され当該可動式濾過材により前記液体試料を濾過可能な密閉型液体試料容器の上端に、先端が所定の角度で尖鋭化された吸引ノズルの前記所定の角度で尖鋭化された先端を刺し、所定時間保持するステップと、
前記吸引ノズルの前記先端により前記可動式濾過材を前記液体試料の液面以下の所定位置に所定速度で押下げる押下げステップと、
前記吸引ノズルを引き上げた後、前記可動式濾過材より上の濾過後の前記液体試料を吸引する吸引ステップと、
を含む液体試料分析方法。
【請求項2】
前記所定時間が、前記液体試料容器内部において前記可動式濾過材の上部気圧と下部気圧とが平衡状態になる前に前記押下げステップが実施されるように設定されることを特徴とする請求項1記載の液体試料分析方法。
【請求項3】
前記所定速度が、前記可動式濾過材に穴を空けることなく押下げ可能な速度であることを特徴とする請求項1記載の液体試料分析方法。
【請求項4】
前記所定の角度が、45°又は実質的に45°であることを特徴とする請求項1記載の液体試料分析方法。
【請求項5】
前記押下げステップにおける前記可動式濾過材の押下げ完了時に前記吸引ノズルに設けられたテーパー部によって前記液体試料容器の上端の穴を広げる
ことを特徴とする請求項1記載の液体試料分析方法。
【請求項6】
前記吸引ステップが、
前記吸引ノズルを引き上げるステップと、
前記吸引ノズルの先端を、前記押下げステップにおける位置と同じ位置まで下げるステップと、
前記吸引ノズルを引き上げ、前記可動式濾過材より上の濾過後の前記液体試料を吸引するステップ
を含む請求項1記載の液体試料分析方法。
【請求項7】
最小の径を前記液体試料容器の上部の径に合わせた、下面から上面に向けて先細りの穴を有する液体試料容器固定部と前記液体試料容器とのうち少なくともいずれかを、相対的に前記液体試料容器の上部が前記先細りの穴の下から上に移動し且つ前記最小の径の部分にて前記液体試料容器の上部の動きを制限するように移動させるステップ
をさらに含む請求項1記載の液体試料分析方法。
【請求項8】
最小の径又は上部の一部の径を前記液体試料容器の上部の径に合わせた、下面から上面に向けて先細りの穴を有する液体試料容器固定部と前記液体試料容器とのうち少なくともいずれかを、相対的に前記先細りの穴の下から上に移動させて、前記液体試料容器の上部の動きを制限するステップ
をさらに含む請求項1記載の液体試料分析方法。
【請求項9】
吸引した前記液体試料を反応部に排出した後に、前記吸引ノズル内部を洗浄するステップ
をさらに含む請求項1記載の液体試料分析方法。
【請求項10】
下部から洗浄液を湧出させる内側容器と当該内側容器からあふれた前記洗浄液を排出するための外側容器とを有する洗浄部の前記内側容器に前記吸引ノズルを差し込み、洗浄するステップ
をさらに含む請求項1記載の液体試料分析方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか記載の液体試料分析方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
先端が所定の角度で尖鋭化された吸引ノズルを含む穿刺部と、
前記穿刺部の動作を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
内部に液体試料を保持し且つ上端内部に可動式濾過材が保持され当該可動式濾過材により前記液体試料を濾過可能な密閉型液体試料容器の上端に、前記吸引ノズルの前記所定の角度で尖鋭化された先端を刺し、所定時間保持する動作と、
前記吸引ノズルの前記先端により前記可動式濾過材を前記液体試料の液面以下の所定位置に所定速度で押下げる動作と、
前記吸引ノズルを引き上げた後、前記可動式濾過材より上の濾過後の前記液体試料を吸引する吸引動作と、
を実施させる分析装置。
【請求項13】
前記吸引動作が、
前記吸引ノズルを引き上げる動作と、
前記吸引ノズルの先端を、前記押下げ動作における位置と同じ位置まで下げる動作と、
前記吸引ノズルを引き上げ、前記可動式濾過材より上の濾過後の前記液体試料を吸引する動作
を含む請求項12記載の分析装置。
【請求項14】
最小の径又は上部の一部の径を前記液体試料容器の上部の径に合わせた、下面から上面に向けて先細りの穴を有する液体試料容器固定部をさらに有し、
前記制御部は、
前記液体試料容器固定部と前記液体試料容器とのうち少なくともいずれかを、相対的に前記先細りの穴の下から上に移動させて、前記液体試料容器の上部の動きを制限するように移動させる動作
をさらに実施させる請求項12記載の分析装置。
【請求項15】
最小の径を前記液体試料容器の上部の径に合わせた、下面から上面に向けて先細りの穴を有する液体試料容器固定部をさらに有し、
前記制御部は、
前記液体試料容器固定部と前記液体試料容器とのうち少なくともいずれかを、相対的に前記先細りの穴の下から下に移動させて、前記最小の径の部分で前記液体試料容器の上部の動きを制限する動作
をさらに実施させる請求項12記載の分析装置。
【請求項16】
吸引した前記液体試料を反応部に排出した後に、前記ノズルの内部を洗浄するための洗浄部をさらに有し、
前記制御部は、
前記洗浄部に前記吸引ノズルを移動させて、前記吸引ノズル内部を洗浄する動作
をさらに実施させる請求項12記載の分析装置。
【請求項17】
下部から洗浄液を湧出させる内側容器と当該内側容器からあふれた前記洗浄液を排出するための外側容器とを有する洗浄部をさらに有し、
前記制御部は、
前記洗浄部の前記内側容器に前記吸引ノズルを差し込み、洗浄する動作
を実施させる請求項12記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−127436(P2007−127436A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318330(P2005−318330)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(000252300)和光純薬工業株式会社 (105)
【Fターム(参考)】