説明

液体試料用容器蓋

【課題】尿のような液体医学試料を採取し移送するための容器の頂部開口の蓋をピペット鈍端により容易に開裂でき、かつ自己再封止できるようにする。
【解決手段】蓋に設けたエラストマー材料性の隔膜が比較的鈍端を有するサンプル分取具例えば使い捨てプラスチック製検査ピペットの鈍端により開裂して穿孔可能であり、穿孔に続いて実質的に自己再封鎖により液体流に対して封止を行う。かくして、分析サンプルは鈍端サンプル分取具により容器を開放しないで試料容器から吸引し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は臨床検査の分野に関し、医学的な尿試料を採取し処理するのに使用される試料容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
尿試料は外来患者及び診療施設の両方で臨床検査中に日常的に採取されている。立ち会い医師の指示の下に一旦採取された個々の試料は、試料採取個所から遠隔の臨床検査個所に送られる。
典型的な採取手順では、試料容器は患者に渡され、患者は試料を自分で入れる。容器はねじ付きの蓋を備えることが多く、患者は試料を入れた後に蓋を元の位置に戻す。閉鎖された容器は次に看護婦又は他の臨床要員に渡され、そして彼らは容器を検査個所へ移送する手配をする。
【0003】
病院の場合には検査個所は同一の建物内や同一の総合施設内にあることもあり、あるいは医師の個人診療所で試料が採取される場合には町外あるいは市外のようなかなり遠隔の場所にあったりする。いずれの場合でも試料容器のある程度の移送が伴い、その間に試料を汚染から守ること、及び試料が容器から漏出しないようにすることが重要である。これら両者の目的には、蓋と容器の間に信頼性のおける液密封止が必要である。
【0004】
臨床検査個所で受け取られたとき、試料容器は検査技術者に渡され、容器内の試料からサンプルが分取される。サンプルは次に立ち会い医師により要求される検査処理にかけられる。
臨床検査室の現在の慣行は、分析サンプルを試料容器から一回使用型のプラスチック製ピペットで吸引することである。ピペットは、保持管の上端に取り付けた押出しつぶしバルブ(squeeze bulb)を含む目薬差しに類似している。その下端からは開放した先端に終端する、直径が減少した細長いチップ部を形成するように引き延ばされている。検査技術者は容器の蓋を手動でねじ戻し又はその他の方法で外し、次いでピペットの先端を開放した容器の中に挿入し、先端を液体試料に浸し、次いで分析サンプルをピペットのバルブを押しつぶして離すことにより保持管の中に分析サンプルを吸引させる。
【0005】
この目的に通常使用されるプラスチック製移送ピペットは、一回だけ使用されたその後に廃棄されるが、これは検査室で次々に処理される試料間の汚染を防ぐためである。従って、経済性を考えて、これらのピペットは比較的可撓性の高い軟質の熱可塑性プラスチック材料から成形される。このような材料は押出バルブを保持管及び引き出しチップと一体に成形することを可能にする。その結果ピペットのチップ部分は可撓性となり容易に横に曲がる。この型の代表的なピペットは長さが6.35cmで直径が6.35mmであり、保持管の下端部でのテーパ部分の長さが2.87cmであり、長さが2.54cmで外径が約3.3mmのチップ部分に終端する。チップの開口はほぼ円形であり、チップ端はチップ部の軸線に対して直角に切断される。保持管の上端部には長さが約2.35cmで直径が約1.18cmの押出バルブが設けられる。ピペットの保持管部は2つの指で容易に押しつぶすことができ、細いチップ部は横に容易に曲げることができ、離すとほぼ原形に復することができる。チップ部の開口部の壁は厚さ約1.0mmである。もしもピペットが保持管部に沿った中間部で握持され、チップ端部が硬い表面に押しつけられると、ピペットのチップ部はピペットの軸線に沿って且つ硬い表面に直角に加えられたわずかな力で横に曲がる。これらの一回使用型の軟質プラスチック製移送用ピペットは臨床検施設で広く使用されており、経済性及びその意図した目的に対する機能性が適当であることが確認されている。
【0006】
若干の臨床検査施設は使い捨て型のピぺッターを使用することを好む。ピペッターはプランジャーを有する注射器型のものであり、押されると予め定められた量の流体を、ピペッターの吸入管の端部に嵌めたプラスチックチップを通してピペッターの胴内に吸引する。チップはハンドル又はレバーを押すことにより使用者が手で触れることなくピペッターから取り外される。新たなプラスチック製チップをピペッターにはめ次のサンプルを吸引するために使用する。こうして引き続くサンプル間の汚染が回避できる。このようなピペッターは臨床検査施設で広く使用されており、又、多くのメーカーから入手可能である。使い捨てプラスチックチップは典型的には細長い円錐形のものであり、円形のチップ開口へとテーパしている。開放端はチップの軸線を横断するように切断されて鈍端を形成し、それにより軸線を横断するチップの全体の壁厚が露出される。
開放しているチップ端の直径は約2.4mmであり、チップの開口は約0.8mmである。使い捨てチップの長さは約8.6cmであり、チップ端部の長さは約7.9mmである。
【0007】
使い捨てプラスチック製ピペッターのチップの開放チップ端は、一回使用の使い捨てサンプル分取ピペットの開放したチップ端の寸法と同様にし得る。主な違いはプラスチック製ピペッターのチップが比較的剛性が高くて硬い表面に押しつけたときに横に簡単には撓まない点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
臨床検査用の尿サンプルは大量に処理され分析される。大きな検査施設では一日に数千のサンプルを処理する。現在のところ、個々の試料容器は分析サンプルを吸引するために検査施設の職員により手で開放されなければならない。多くのこのような容器の開放と蓋による再封鎖は検査施設における臨床検査試料の処理に関係した全労力の大きな部分を占めている。又、蓋のねじを外し、再び蓋をする繰り返し動作は検査職員の手や手首に対して作業できなくなるほどの大きいストレスを及ぼすことが知られている。更に、開放した試料容器は試料の汚染、検査環境の汚染、試料の偶発的なこぼれ、及び職員への感染の危険がある。
【0009】
従って、臨床検査施設において試料容器の開閉の必要をなくした尿その他の臨床検査用液試料を取り扱うための方法を提供することが望まれる。又この目的を、最小の費用で、検査機関の職員が慣れ親しんだ現存装置、備品及び手順を変更することなく達成することが望ましい。特に、現在広く使用されているプラスチック製のピペッター用チップ或いは使い捨てプラスチック製移送用ピペットの蓋を外すことなく内容物に接近できる試料容器を提供することが望まれる。
分析サンプルが一旦尿試料から引き出されたら、残りの試料を有する容器はそれ以上必要がなければ廃棄されるか、更なる分析の必要があれば凍結保存される。この理由で、閉鎖された試料容器は、こうした取扱中はもちろんのこと、最初のサンプルが液体内容物から分取された後にも、こぼれたり漏れたりしないように効果的な封止状態に保持されることが重要である。
【0010】
多くの試料ビンや容器は、注射針のような鋭い尖った金属針で刺し通すことができ、針で刺通した後にも良好な封止を行うことができるエラストマー材料隔膜のような蓋を有する。これらの蓋はしかし一回使用型の軟質の使い捨てピペットや使い捨てのプラスチック製ピペッター等のチップが有する鈍端では刺通することができない。
このようなチップにより穿孔でき、穿孔に続いて漏洩のないように再封止でき、検査施設での残存試料の安全な取扱及び貯蔵のために十分効果的な液密封止を行えるエラストマー隔膜を有する容器は知られていない。
これら及びその他の理由により、この目的及び尿検査試料の取扱に使用できる試料容器の改良が必要である。
上記の必要に応えて、本発明は医学的な液体試料。特に尿試料を採取し且つ移送するための改良された試料容器を提供する。更に本発明は改良された試料容器を使用して試料を取り扱う方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
改良された試料容器は、頂部開口を形成する頂部を有する容器本体と、前記頂部に係止して液密封止により前記頂部開口を閉鎖するため、前記頂部に手動で着脱できる蓋とよりなり、前記蓋は、使い捨てプラスチック製ピペッターチップの鈍端により又は手動で一回使用型の軟質プラスチック製検査用移送ピペッターチップにより穿孔可能なエラストマー材料製の隔膜を有し、それにより前記チップが前記容器内に挿入されて液体試料のサンプルを吸引できるようにする。前記エラストマー材料は、更に前記ピペットを穿孔した隔膜から抜いた後に前記隔膜を通る液体に対して実質的に自己再封止状態とするように選択され且つ構成されている。
【0012】
本発明は特に、容器の開孔を閉鎖するように支持されたエラストマー材料の隔膜を有し、前記隔膜は、最小厚さの領域を有するほぼ凹入した凹入部を有し、前記凹入部は前記最小厚さの領域から該領域を取り囲む遙かに厚いエラストマー材料の部分へ向けて半径方向に厚さが増大しており、前記凹入部と前記最小厚さの領域は、前記最小厚さの領域の開裂部よりも大きい幅を有する具が前記隔膜を貫通することを許すように弾性的に拡張し、前記具が前記開裂部から引き抜かれた場合に該対向縁部が封止状態に復元するような形状及び寸法に構成されている、自己再封止性の容器蓋を提供する。
【0013】
すなわち本発明のエラストマー製隔膜は2つの特徴を有する。その一つは、従来から検査血液サンプルの吸引に使用されている試薬ビンや殺菌したガラス管に使用される、比較的硬いゴム製の隔膜を、開放した比較的鈍い端部(鈍端)を有する管状サンプル分取具により穿孔できることである。こうした硬いゴム製隔膜は鋭い金属針で刺通できるが、公知のプラスチック製管状サンプル分取具、特に使い捨てプラスチック製ピペッターのチップや使い捨ての軟質プラスチック製移送ピペットでは穿孔できない。一般に本発明の隔膜は、プラスチック、金属その他の材料よりなり従来の硬いゴム製隔膜を刺通するのに使用された型のチップに鋭い針状尖端を有さない比較的大径の液体サンプル分取具におけるチップ鈍端で穿孔可能である。ここでチップの鈍端とは鋭い針状先端を形成するような斜めカットを有しない任意のチップ端を指すものである。
【0014】
本発明の新規な隔膜の第2の特徴は、このような鈍端で比較的大径の管状サンプル分取具による穿孔に続いて十分な自己再封止を行う能力を有することであり、穿孔の後に隔膜が試料容器を検査施設での通常の取扱中にこぼれたりしないように実質的に閉鎖状態に再封止する。
【0015】
穿孔し得る隔膜の弾性材料は、薄い中央部の周りに厚い周辺部を有するように形成されたシリコンゴムであり得る。この厚い周辺部は移送ピペットのチップにより容易には穿孔できないが、薄い中央部はサンプル分取具にわずかな又は中位の力を手で加えることによりチップにより容易に穿孔される。
【0016】
容器の蓋は隔膜を形成する弾性材料から全体を形成しても良いし、或いは蓋の開口に支持された穿孔可能な弾性材料よりなる隔膜とその周りの比較的硬い材料のリムを有しても良い。容器の蓋は容器頂部にスナップ嵌め或いは圧嵌めにより液密封止を可能にするように構成できる。容器が硬いプラスチック製の外側リムを有する場合には、穿孔可能な隔膜は好ましくは硬い外側部分の直径の半分以下の直径を有する。
【0017】
隔膜の薄い中央部分は厚さが比較的厚い周辺部から最小厚さに向けて漸減する凹入部で構成できる。別法として、隔膜の厚さに部分的に切り込んだ1つ以上のスリットを有することにより弱い部分を形成することができる。この弱い部分はサンプル分取具の鈍端を有するチップにより隔膜の残りの比較的厚い部分よりも容易に穿孔できる。
【0018】
本発明は又、改良された試料容器を使用して尿試料を採取するための改良された方法を提供する。この方法は、試料提供者に本発明の改良された試料容器を提供する段階を含む。試料提供者は開放した試料容器中に尿試料を入れ、そして試料容器の頂部に蓋をすることにより液密に封止される。尿試料を有する容器は検査個所に運ばれる。そこで、ピペッター用の使い捨てプラスチック製チップ、又は一回使用型の軟質プラスチック移送ピペット等の一般に管状のサンプル分取具の鈍端を手動により前記隔膜を穿孔するに充分な力で押して前記チップを容器に差し通し、尿試料をサンプル分取具に吸引し、前記チップを後退させて引き抜き前記隔膜を自己再封止させる。
【0019】
本発明によると、尿試料は試料採取個所で一旦閉じられると、閉鎖された試料容器の開放することなく分析のためにサンプル分取することができる。検査サンプルを取得した後、尿の残部を有する試料容器は同一試料の追加の分析用サンプルの将来の必要に備えて冷蔵されるか、或いは更なる分析の必要がなければ廃棄できる。
【0020】
本発明の改良された試料容器は又、試料容器内の液体試料に滴下するための一本以上の金属性ピペットを有する型の自動サンプル分取分析器において有利に使用でき、液体サンプルを吸引し、それを分析のために移送する。この場合、臨床検査試料を収容している閉じた容器は容器の蓋を外すことなく金属製ピペッターにより試料容器の隔膜の自動穿孔のために分析器にかけられる。自動分析器が自動的に隔膜からピペットを引き抜いた後、隔膜のエラストマー材料は穿孔を実質的に自己再封止する。その結果、医学試料の分析試料は容器頂部を容器本体から取り外すことなく自動機械により穿孔される。
【0021】
これら及び他の利益、改良及び特徴は図面に関連して説明する以下の好ましい実施例の詳細な説明により良く理解されるである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図面を参照するに、同様な部材は同一の参照数字で示してある。図1は全体を1で示した改良された試料容器を例示する。例えば円筒形の試料容器10は円筒形試料容器本体12と、容器本体12の開放頂部15に嵌められて図2のように容器本体に対して液体封止を行う容器蓋14とを含む。蓋14は例えば比較的剛性の高いポリエチレンのような熱可塑性樹脂より構成される半径方向外側の周辺リム部と、中央に配置された隔膜18を有する。蓋14の周辺部は又、容器本体の開放頂部15直下に雄ねじ38にねじ込まれる雌ねじを有する環状垂下壁36を具備している。ねじは蓋を容器頂部に締め付けることにより液密な封止が達成できるように形成される。一般に容器本体12及び蓋14の材料の選択は臨界的ではなく、いずれも適当な射出成形プラスチック材料から製作できる。
【0023】
試料容器10は図1に示したような市販のサンプル分取又は輸送ピペットPと関連して使用される。ピペットPは保持管Sよりなる中間部と、保持管Sの上端と一体に形成されている押出しバルブBと保持管Sから下方に延びるテーパ移行部と、相対的に小さいほぼ一定の直径を有するチップ部Tとよりなる。チップ部Tはチップ部の長手に対して直角に(つまり、針先を規定するような傾斜角度でなく)切断されているチップ端Eに終端する。ピペット全体は保持管に固着した押出バルブと共に一体に成形されている。押出し作用を可能にするためにバルブ部に可撓性の壁を与える必要があるので、保持管Sはかなり可撓性となる。小さい直径のチップ部Tは特に可撓性を有し、例えばチップ端Eを硬い面に押しつけるとわずかな力で横に曲がる。この型の一回使用型の軟質プラスチック移送ピペットは米国1050 Arroyo Ave., San Fernando, California 913 所在のCorning Samco社等の多くの製造業者により市販されている。これらの業者から入手できる移送ピペットは広範囲な流体容量を有し、各種の長さの小径チップ部Tを有している。本発明の目的には、比較的長いチップ部Tを有するピペットが好ましい。なぜなら、チップ端が隔膜を穿孔した後に試料容器の内部に十分に届き、それにより必要なときに臨床検査試料のほぼ全量が吸引できる必要があるからである。
【0024】
このような小径の長いチップは、相当に可撓性であり、直角に切断された鈍端を有するチップとして販売されている。これらのピペットチップは容器蓋を穿孔するための使用が意図されたことはなく、本発明以前にはこのように使用された例は存在しない。先に述べたように、従来臨床検査で行われている手順は尿試料容器の蓋を手で開け、分析サンプルをピペットで吸引し、次いで容器に手で蓋をするという手順であった。従って、試料容器10が、臨床検査機関の間で広く知られ且つ多くの販売業者から広く入手できる現存する一回使用の軟質プラスチックピペットと共に使用されるように、穿孔可能な隔膜を有することは本発明の重要な特徴である。更に、同一のピペットPは、従来及び本発明の新規な試料容器を開放し閉鎖する通常の使用方法に従って、臨床試料と関連して使用することができる。同じピペットは両種の方法に使用することができれば、試料があるものは開閉を必要とする容器あるものはピペットで穿孔できる容器の混在状態で入手される場合に、臨床検査施設での作業を単純化することが可能である。これは又、検査施設による改良された試料容器の利用を、最小限度の不便と費用で、減少した人件費と汚染の危険の減少という直接の利益を得ながら、実施することを可能にする。
【0025】
隔膜18はシリコンゴムのようなエラストマー材料から製作され、蓋14に形成された中央孔20に保持される。例えば密嵌めが隔膜18の重畳した内外部22、24で蓋の内縁26を捕捉することにより形成される。この好ましい形態の隔膜18は比較的厚い周部28と、図示の例ではほぼ球面状の凹入又は皿状領域30より形成される厚さの薄い中央部を有する。隔膜の厚さは凹入領域30の中心32又はその近傍で最小厚さとなる。この最小厚みの中央凹入領域30の幅又は半径は、隔膜18に相通されるべきピペットのチップEの外径に等しいか又は若干大きく作られる。すなわち、ピペット先端により容易に穿孔できる凹入部の領域はチップ端の外径よりはあまり広くなく、急に厚くなる移行周辺部33により囲まれている。凹入部30は隔膜の穿孔可能な領域32より遙かに厚い周辺部28により囲まれているが、この領域は実際上ピペットEにより穿孔されることはない。
【0026】
もしも隔膜が現在のところ好ましいエラストマー材料で製作されると、最小厚さの穿孔可能な領域32は最初にピペットのチップ先端Eがそれに対して押し当てられると伸張しようとするが、最後には弾性限界に達するので、領域32は切り裂かれ、ピペットのチップTは図3のように切れ目42を貫通する。穿孔部32のエラストマー材料の開裂の寸法及び程度は、そのすぐ外側を取り囲んでいる凹入部30の転移領域33における増大した厚みにより制限されるので、ピペットのテーパ部Rの増大した直径、或いは更に保持管Sの直径を受け入れるように強制されたとき、開裂の代わりに弾性的に拡張される。これはチップの端Eが容器本体12中の試料液体Uの液面Lに達することができない場合に必要になる。
【0027】
復元した再封止状態では、最小厚さ32の領域は薄いエラストマーシートを通して小さい切れ目を有するが、切れ目の縁部は隔膜を液体の有意な流れ又は漏れを生じない程度に再閉鎖状態にもたらされ一緒に保持される。切れ目の小さい寸法、切れ目の縁部を再閉鎖状態にもたらし一緒に保持することにより隔膜を再封止する傾向、典型的な医学試料の比較的小さい液体容積の全ては、共同して開裂した隔膜による液体の汚染を防止し、実際上、検査施設での試料容器の通常の取扱の際に隔膜を通して流れ出そうとする液体を閉じこめるに十分な再封止条件まで隔膜を復元させる。試料容器が横に傾斜され、場合により逆さまにされても、開裂した隔膜は代表的には液体を蓋をした試料容器10からの有意な液漏れを封じ込める。
【0028】
一般に、ピペット先端Eにより穿孔可能な領域を小さく保持し、更にその領域をピペット先端Eにより容易には穿孔できないがピペットPが隔膜から引き抜かれた後に切れ目42を再閉鎖するに十分な弾性を有するエラストマー材料の領域を設けることにより、隔膜は実際上自己再封止性になる。この隔膜構造は鋭い金属先端により穿孔することが意図されている従来の試薬ビン等に設けてある厚い隔膜とは異なることに注意すべきである。このような従来の隔膜はプラスチック製のサンプル分取ピペットの鈍端により穿孔できない。このようなサンプル分取ピペット及び類似のサンプル分取具の従来は未知の用途及び利用であるピペット先端Eでの穿孔を可能としたのは、特にこの目的のために隔膜材料の選択と隔膜構造の設計及び構成が採用されたからである。
【0029】
本発明の好ましい実施例では、内径が約5cmで対応した寸法の蓋14を有する100mlの容器部分12は、重畳部22、24を持つ直径2.5cmの外径を有する隔膜18を備える。隔膜は約1.6cmの直径の孔20を有することにより、隔膜の厚い周辺部28が同様な直径を持ちこの孔に収容される。凹入部30は直径約1.6cmの半球状の凹入穴を有し、半球面の曲率半径は約6.35mmである。凹入部30は比較的狭いエラストマー材料の環状体により囲まれている。環状体は蓋の孔20の円形縁部により半径方向に拘束されている。凹入部を囲むエラストマー材料のこの半径方向の拘束は、ピペットの挿入により引き起こされる半径方向の拡張に続いてこの材料の内方柔軟性の付与に寄与し、開裂した隔膜が実質的に閉鎖した状態に復元するのを助ける。
【0030】
凹入部30を取り囲む周辺部の厚さは約4.8mmであり、凹入部の穿孔可能な中央領域32の最小厚さは約0.23mmのような千分の数インチ程度である。隔膜18のための現在好ましいエラストマー材料はDuPont社のKraton 及び/又はTPE Hytrel DuPont Engineering Polymer Grade 5555HSである。本発明のこれらの特定のエラストマー材料に限定されず他の市販のエラストマー材料も本発明の目的に適当であろう。
【0031】
本発明の試料容器を使用して臨床検査用尿試料を採取し取り扱うには、次のようにすることができる。適当なラベルを貼った容器10を試料採取個所で試料提供者例えば病院で患者に渡して尿試料を試料容器に入れてもらう。通常提供者は蓋14をして容器10を閉じるか、又は係員が蓋をする。立ち会いの係員は次いで試料入りの容器10を検査施設に移送する。容器10の受領が記録され、容器は処理のために検査機関の職員に渡される。検査機関の技術者は一回使用型の軟質プラスチック製のサンプル分取ピペットPを取り、それを指間例えば親指と人差し指の間で保持し、チップ端Eを、隔膜18の穿孔可能領域32の開裂が生じ、チップ部Tが生じた孔を貫通し、そのチップ端部Eが試料液Uに浸されるまで隔膜に押しつける。チップ部を隔膜に対して押しつけている間に、二本の指をチップ端Eに必要なだけ近づけて加圧下のチップ部Tの有意な横方向の曲がりを回避する。但し、チップ部の中間部の周りの快適な保持位置が通常はこの目的に適当である。ピペットのバルブBを次に押しつぶして排気し、次いで十分な量の分析サンプルを保持管Sに吸引し、チップEを容器12から引き抜くことにより隔膜の孔42から抜き、それにより隔膜を初期の拡張しない状態に復元させ、それにより孔42を実質的に再封止させる。得られる封止の品質は郵送その他の通常の輸送媒体による移送前の穿孔する前の試料容器の隔膜よりは劣るかもしれない。しかし、残存試料液体を検査個所で保管する目的には、復元した封止は試料採取容器の穿孔した隔膜に存在する穿孔部を通してサンプル分取ピペットPで2〜3回程度の後続のサンプル分取でも適当なことが分かった。しかし、穿孔が多数回例えば3〜4回程度拡張されると、隔膜のエラストマーは弾性を喪失する傾向があり、穿孔された隔膜の封止性が低下する。低下の程度は隔膜材料がピペットにより伸張される程度に一部依存するもので、そのため良好な再封止能力はチップ部Tのみが隔膜に挿入されるときに期待できる。一方で、再封止性は大径のテーパ部R又は保持管Sが穿孔された隔膜を挿通するとなくなる。更に、通常は与えられた尿試料容器からのごく少数回の尿試料の反復サンプル分取しか必要としないので、このような短い使用寿命は差し支えがなく且つ適当である。とにかく、再封止された隔膜の目的は、検査個所での試料容器10の通常の処理期間中に容器の内容物が実質的にこぼれないようにすること、及びこの能力を、蓋を取り外さないで容器から引き続いて少数回引き出すことができる期間中保持できることである。
【0032】
改良された試料容器の他の利点は、同じ容器を使用して、最近に検査施設で使用されるようになっている自動尿分析器で処理できることである。装置は高価であり、近い将来では最大規模の検査施設のみがかかる投資を行うであろうことが期待される。小規模の検査施設はおそらくしばらくの間は上記のように尿試料の手動処理を続けるであろう。このような事情で、自動尿分析器のメーカーは現在使用されている尿試料容器と両立できる機械を設計することが工業的に有利であると考えている。現在製造されているように、このような尿分析器は試料容器の蓋を外すことにより容器を開け、そしてサンプルを吸引した後には容器を再封鎖するといった、自動装置のない臨床検査設備で実施されている手動操作を事実上模倣するように設計された自動装置である。自動臨床分析器の典型的なピペット装置は図4に示されている。細い金属管102が試料容器10からの分析サンプルを吸引して小貯器104に入れるためのサンプル分取ピペットとして使用される。ピペットの上端110は分析サンプルを容器10から吸引するための真空ライン(図示せず)に結合されている。ピペットの下端112は針先にようにカットされておらず、代わりにピペットの長さに対して直角に切断されている。
【0033】
標準の鈍端を有する金属ピペット102を使用する分析器での尿サンプル自動処理は、従来の隔膜のない尿試料容器に代えて本発明の改良型試料容器を使用することにより相当に能率化できる。現存する分析器の、試料容器の蓋を着脱する装置(図示せず)は休止し、その代わりに分析器が、蓋14を所定位置に有する試料容器10を金属ピペットに露出させるように構成する。現存する分析器において、金属ピペットを空気又は油圧作動器106により図4のように点線位置から実線位置に下げて試料容器にもたらす。作動器106は通常新規の試料容器10の隔膜18の中央32の最小厚領域に穿孔するに十分な駆動力を有する。新規な試料容器10の使用により、従来の自動サンプル分取器の機械サイクルは、容器蓋14の取り外しと再取り付けの必要性を回避することにより相当に短縮される。
【0034】
尿試料のために使用される容器、特に尿試料提供者が直接容器に尿試料を入れる場合の容器には、特別の条件がある。容器は十分に広い開口部を有することにより、尿の流れが男女を問わず比較的容易に容器内に差し向けられなければならない。実際にはこれには少なくとも3.2cm、好ましくは約5cm以上の直径の開口が必要である。しかし、本発明は試薬ビン或いは試験管程度の小径開口を有する容器にも適応できる。図5は本発明のこのような応用を例示するもので、蓋14の周辺部に相当するものがなく、容器の蓋50の全体がエラストマー材料から製作されている。蓋50では隔膜は蓋の周辺部28’と一体に形成され、この周辺部は試薬ビン又は検査管又はその他の狭口容器本体12”の開放頂部54に圧嵌め又は係止されている。蓋50は図1〜4に示した数字にプライムを付して指示した部材は同図の元の部材と等価な特徴を保存している。すなわち隔膜18’は、手で押された一回使用型の軟質プラスチック製検査用ピペットPのチップ鈍端により容易に穿孔される中央部32’と、それを取り囲む、このようにしては容易に穿孔されない周辺部28’とを有する。蓋50はピペット102により穿孔された後に実質的に自己再封止されるように選択された材料と構造を有する。
【0035】
尿検査試料の採取の際に、試料提供者は往々にして容器の蓋14のねじ締めを忘れることがある。この事実は立ち会いの係員が気づかない場合があり、図6に示したように移送中に内容物が漏れる。この困難は、容器蓋14”と容器本体12”との間で特に圧嵌め閉鎖手段により蓋の積極的な圧嵌め封止を行えば、かなりの程度軽減される。図6を参照すると、容器蓋14”は持ち上がったリム62を有し、このリムは容器本体12”の内面と圧嵌めを行う寸法を有する。環状リップ64がリム62の上端から半径方向外方に突出していて蓋14”が容器本体12”に圧嵌めできる距離を規定している。指掛けタブ66がリム62から水平方向に延びていて、蓋を容器本体から蓋を持ち上げるときの指掛けを提供している。リム62の内部の比較的剛性の高い内部円板16’が図1〜3に関連して説明した隔膜18に類似のエラストマー材料製の隔膜18を支持している。圧嵌め蓋14”は、一般に蓋の全周と環状リップ64とが露出されて見えるので、不適当な封鎖はねじ嵌め蓋14よりも容易に判別できる。
従って、不適正な閉鎖は輸送前に試料採取個所で容易に検出でき、輸送中の漏出を回避するように修正できる。しかし、本発明の試料容器は蓋の係合手段に限定されたり、又は容器本体の特定の寸法や形状に限定されない。
【0036】
図7〜8は図1〜3に関連して説明したサンプル分取ピペッター用チップPに代わる、エラストマー隔膜70を穿孔するために使用される他の典型的な使い捨てピペッターチップP’を示し、新規なエラストマー製の隔膜に関連した試料容器の変形例を例示する。ピペッターチップP’は管状であり、比較的広い開放上端Vとチップ端E’を有する。上端は従来のピペッターの吸引管Dの下端に嵌合係止するような寸法に形成されている。チップ端E’は液体試料をチップを通してピペッターの吸引管Dに吸い上げる小径のチップ開口を有する。チップ端E’はチップP7の軸線に対して垂直にカットされているため鈍端となっており、ほぼ平坦な管状端面がプラスチックチップ壁の厚みのために比較的大きい断面積を有する。移送ピペット及び使い捨てピペットチップは例示であり、本発明のエラストマー製隔膜に挿通できる全てのサンプル分取具を尽くしているわけではない。
【0037】
本発明の別の形態では、エラストマー製隔膜の穿孔可能領域は図1〜3の凹入部又は皿状部以外の手段により構成できる。例えば、図7〜8に例示のように、隔膜は蓋14”’の下面に固定したエラストマー製隔膜板70で構成することができる。隔膜70には複数の切れ目又はスリット72が形成されて局所的に隔膜板を弱化し、この弱化した領域を使い捨てプラスチック製ピペッターチップP’のチップ端E’で穿孔可能にする一方で、厚さが厚く且つ穿孔により隔膜に形成される裂け目を再閉鎖できる復元性の弾性を提供する周りの隔膜部74を維持している。弱化の程度は図7のように例えば切れ目72の深さを調整する等により調整できる。例えば、好ましくは隔膜板の内面75に形成され且つ星形形状の共通点で会合する複数の短い切れ目72を有する部分が、凹入部30の代わりにこの目的に役立つ。隔膜板は、ピペッターチップP’の先端E’が図7のように隔膜の中央部に押しつけられた場合に、切れ目72の交差部で最も弱くてこの部分で切り裂かれる。ピペッターチップはこれらの切れ目72により形成されたリング状に並ぶ尖った葉片76を押し下げることによりこれら葉片の中央に開口を生じ、容器10に受け入れられる。ピペッターチップが隔膜から引き出されると、尖った葉片は平面状態に復元し、実質的に隔膜の開口を閉鎖して液体の有意な漏洩を防止する。弱化した隔膜板の復元力は切り込み領域72の隔膜板の厚みを増すことにより向上することができる。一方、この厚みの大部分の深さに及ぶ切り込み72は穿孔に対して隔膜を十分に弱化させる。厚さが大きい程葉片76の剛性は増し、押圧後の平面位置への復元性が向上する。
【0038】
以上の説明から分かるように、本発明の改良された尿試料容器は、一旦試料採取箇所で閉鎖されると、同じ試料採取容器を用いる在来の手動のプラスチックサンプル分取ピペット又は従来の自動サンプル分取分析器を使用することにより、容器を開放しないで尿試料を処理することを初めて可能にした。従って、本発明の改良された試料容器は、現存の尿試料容器の特徴を犠牲にすることなく現存の試料容器よりも大きい利点と大きい融通性を提供する。本発明は臨床尿検査の分野での現在の要求に主として応えるものであるが、ここに記載した試料容器は尿試料の使用に限定されるものではなく、医学又は非医学的な他の液体試料に対しても同様な利点を以て使用できるものである。
【0039】
本発明の各種の実施例を例示と明確化のために説明したが、例えば他の隔膜設計、配置及び構造を含む記載の実施例の変形例、修正例及び代替例であって、記載例と機能的に同等なものも本発明の範囲内で可能なことは当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明により改善された試料容器、及び穿孔できる隔膜を通じて容器の内容物をサンプル抽出するのに適した型の一回使用型プラスチック移送ピペットを示す斜視図である。
【図2】容器蓋中の穿孔できる隔膜を示す図1の線2−2に沿った断面図である。
【図3】図1のピペットにより穿孔される隔膜を示す図2と同様な図である。
【図4】臨床検査試料の分析用サンプル吸引するための図1〜2に示した改良型試料容器の隔膜を通して駆動される自動サンプル分取分析器の金属ピペットを示す図である。
【図5】本発明の一体型エラストマー隔膜を有するエラストマー圧嵌め隔膜を備えた管の部分断面図である。
【図6】圧嵌め容器蓋を有する試料容器の部分断面図であり、蓋は図2〜3のようなエラストマー隔膜を有する。
【図7】移送ピペットにより穿孔したエラストマー隔膜を有する蓋を備えた試料容器の上面図であり、隔膜は切れ目により形成された穿孔領域を有することにより、移送チップにより穿孔できる弱い領域を有する。
【図8】図7の容器蓋の断面図であるが、移送チップで穿孔する前の状態を示す。
【符号の説明】
【0041】
10 試料容器
12、12”容器本体
14、14”、14”’ 容器蓋
15 開放頂部
16’内部円板
18、18’ 隔膜
20 中央孔
22、24 内外部
26 内縁
28、28’ 厚い周部
30 凹入部又は皿状領域
32 穿孔可能な中心領域
32’中央部
33 移行周辺部または転移領域
36 環状垂下壁
38 雄ねじ
42 切れ目
50 蓋
54 開放頂部
62 リム
64 環状リップ
66 タブ
70 隔膜
72 切れ目又はスリット
74 隔膜部
75 隔膜板の内面
76 葉片
102 ピペット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開孔を閉鎖するように支持されたエラストマー材料の隔膜を有し、前記隔膜は、最小厚さの領域を有するほぼ凹入した凹入部を有し、前記凹入部は前記最小厚さの領域から該領域を取り囲む遙かに厚いエラストマー材料の部分へ向けて半径方向に厚さが増大しており、前記凹入部と前記最小厚さの領域は、前記最小厚さの領域の開裂部よりも大きい幅を有する具が前記隔膜を貫通することを許すように弾性的に拡張し、前記具が前記開裂部から引き抜かれた場合に該対向縁部が封止状態に復元するような形状及び寸法に構成されている、自己再封止性の容器蓋。
【請求項2】
更に容器のリムに係合できる蓋周部を有する蓋を含み、前記隔膜が前記蓋内に形成された開孔内に支持されている請求項1の容器蓋。
【請求項3】
前記蓋周部が比較的剛性である請求項2の容器蓋。
【請求項4】
前記凹入部が初めは未破断であり、前記開裂は前記凹入部に前記最小厚さよりも大きい先端幅を有する鈍端付き具を挿通することにより形成されるものである請求項1の容器蓋。
【請求項5】
前記先端幅は前記最小厚さよりも大きい請求項4の容器蓋。
【請求項6】
前記最小厚さの領域の最小厚さは数ミルである請求項1の容器蓋。
【請求項7】
前記凹入部は前記最小厚さの領域とその領域を取り囲む前記厚いエラストマー材料との間で半径方向に連続的に彎曲している請求項1の容器蓋。
【請求項8】
前記凹入部はほぼ半球状凹入部である請求項1の容器蓋。
【請求項9】
容器とエラストマー材料製の隔膜とに対して閉鎖係合するように構成された比較的弾性の低い材料より成る蓋周部を有し、前記隔膜は前記蓋周部により半径方向に囲まれた比較的厚い外側部分と、前記外側部分から半径方向に最小厚さの領域まで厚さを次第に減じる凹入部とを有し、前記隔膜は、前記最小厚さの領域の開裂部の対向縁部よりも大きい先端幅を有する具の該先端による前記隔膜の貫通による恒久的な該開裂部の対向する縁部を封止状態に弾性復元させるような形状及び寸法に構成されている、特定幅の鈍端を有する管状具により穿孔可能な自己再封止性の容器蓋。
【請求項10】
前記最小厚さの領域は数ミルである請求項9の容器蓋。
【請求項11】
前記最小厚さの領域はそれを穿孔する前記鈍端付き具の先端幅とほぼ同等な又はそれより小さい直径を有し、それにより前記比較的厚い外側部分が前記鈍端付き具が前記隔膜を挿通するときに前記蓋周部に対して弾性的に圧縮され、前記鈍端付き具が引き抜かれたときに前記開裂部の対向縁部が実質的に閉鎖した封止状態に復元するようになっている請求項9の容器蓋。
【請求項12】
前記外側部と前記凹入部は保護同心円上である請求項9の容器蓋。
【請求項13】
前記凹入部は前記最小厚さの領域とその領域を取り囲む前記厚いエラストマー材料との間を半径方向に連続的に彎曲している請求項9の容器蓋。
【請求項14】
凹入部はほぼ半球状凹入部である請求項9の容器蓋。
【請求項15】
容器の開孔を閉鎖するように支持されたエラストマー材料の隔膜を有し、前記隔膜は、凹入部を取り囲む比較的厚い外側部分を有し、前記凹入部は、前記比較的厚い外側部分から該外側部分よりも遙かに薄い最小厚さの中央部分へと厚さが次第に減少しており、前記中央部分は、前記中央部分の最小厚さの領域よりも大きい幅を有する鈍端付き具が前記隔膜を穿孔したとき恒久的に開裂するように構成され、前記凹入部及び前記外側部は、前記具が前記開裂部から引き抜かれた場合に前記恒久的な開裂部の対向縁部を実質的に封止状態に復元するような形状及び寸法に構成されている、自己再封止性の容器蓋。
【請求項16】
前記凹入部はほぼ球面曲率を有する請求項15の容器蓋。
【請求項17】
容器を閉鎖する比較的弾性の低い材料より成る蓋周部と該蓋周部内の孔に支持されたエラストマー材料製の未破断の隔膜とからなり、前記隔膜は前記蓋周部により半径方向に取り囲まれた比較的厚い外側部分とその内部の凹入部を有し、前記凹入部は前記外側部分から最小厚さの領域まで厚さを次第に減じており、前記最小厚さは前記外側部分よりも薄く、前記隔膜は、前記最小厚さの領域がそれよりも大きい先端幅を有する鈍端付き具の該先端による前記隔膜の貫通により開裂した後に、前記隔膜を通して前記容器からの液体漏れを実質的に封止する状態に弾性復元させるような形状及び寸法に構成されている、特定幅の鈍端を有する管状具により穿孔可能な自己再封止性の容器蓋。
【請求項18】
前記最小厚さの領域は千分の数インチの厚さを有する請求項17の容器蓋。
【請求項19】
前記外側部分及び前記最小厚さの領域はほぼ同心円状をなしている請求項17の容器蓋。
【請求項20】
前記凹入部はほぼ球面曲率を有する請求項17の容器蓋。
【請求項21】
前記凹入部はほぼ半球状をなす請求項17の容器蓋。
【請求項22】
前記蓋周部は前記容器に対して圧嵌めされるように構成されている請求項17の容器蓋。
【請求項23】
前記蓋周部は前記容器に対してスナップ嵌めされるように構成されている請求項17の容器蓋。
【請求項24】
前記蓋周部は前記容器にねじ嵌めされるように構成されている請求項17の容器蓋。
【請求項25】
前記最小厚さの領域は前記鈍端付き具の先端と同等又は小さい直径を有し、前記鈍端付き具が挿入されたときに前記蓋周部に対して半径方向の圧縮されるように構成されている請求項17の容器蓋。
【請求項26】
容器を閉鎖する比較的弾性の低い材料より成る蓋周部と該蓋周部により半径方向に囲まれる比較的厚い外側部を有するエラストマー材料製の隔膜とからなり、前記外側部は外側表面と内側表面とを有し、前記表面のうちの一方の面には皿状の凹入部が形成され、前記皿状凹入部は、前記皿状の凹入部と前記他方の方面との間で測って前記最小厚さの中央領域を含み、前記隔膜は前記最小膜厚さの領域が当該最小膜厚よりも実質的に大きい先端を有する鈍端付き具により穿孔されることにより形成される前記隔膜の恒久的な開裂部の両縁部を実質的に互いに弾性的に係止させる自己閉鎖性を有する、自己再封止性の容器蓋。
【請求項27】
前記中央領域は、前記恒久的な開裂部を引き起こす前記鈍端付き具の前記チップの鈍端の直径とほぼ同一又はそれより小さい直径を有し、前記鈍端を有する穿孔具の前記隔膜への挿通の際に前記蓋周部に対して弾性的に圧縮され、前記鈍端を有する穿孔具の引き抜きに際して、前記外側部分が復元して前記対向縁部を実質的に閉鎖封止状態にするようになっている請求項26の容器蓋。
【請求項28】
前記最小厚さの領域は前記隔膜の全領域に比較して前記凹入した表面の一部である請求項26の容器蓋。
【請求項29】
前記皿状の凹入部はほぼ球面状に彎曲している請求項26の容器蓋。
【請求項30】
第一の直径を有する容器と閉鎖係合するように構成された蓋と、前記蓋に支持された比較的弾性的であり且つ圧縮性のエラストマ材料の単一隔膜とを含み、前記隔膜は第1表面と凹入した皿状の第2表面を有し、前記隔膜は半径方向外側部分で比較的厚く最小厚さの中心領域へ向けて厚さを減じており、前記エラストマー材料は開裂して前記最小厚さよりも実質的に大きい幅の先端を有する鈍端付き具が前記最小厚さの領域を貫通させるように拡張し、更に前記エラストマー材料は前記鈍端付き具による穿孔により前記隔膜に形成される開裂部の縁部が前記鈍端付き具が前記隔膜から引き抜かれたときに閉鎖状態へ弾性的に復元するように定められている自己最封止性の容器蓋。
【請求項31】
前記最小厚さの領域は半径方向に増大して連続的に湾曲した断面を形成している請求項30の容器蓋。
【請求項32】
前記皿状の第2表面はほぼ半球状の空洞形成し、前記半径方向外側部分は前記空洞を囲むほぼ等しい厚さを有する請求項30の容器蓋。
【請求項33】
前記第1表面は下側表面であり、前記第2表面は上側表面である請求項30の容器蓋。
【請求項34】
前記蓋は比較的弾性のない材料である請求項30の容器蓋。
【請求項35】
前記最小厚さの領域は千分の数インチの厚さを有する請求項30の容器蓋。
【請求項36】
容器(10)を閉鎖するように支持されたエラストマー材料の隔膜(18)を有し、前記隔膜は、外側部(28)と該外側部により取り囲まれた凹入部(30)とを有し、前記凹入部は前記外側部から最小厚さの中央領域(32)に向けて厚さを減じており、前記最小厚さは前記外側部の厚さより遙かに薄く、前記隔膜は、前記最小厚さの中央領域が前記厚さよりも大きい先端幅の鈍端付き具により前記隔膜に形成される開裂部を通しての前記容器から液体の有意な漏れに対する実質的な封止状態に復元するような形状及び寸法に構成されている、自己再封止性の容器蓋。
【請求項37】
前記最小厚さの中央領域は千分の数インチ程度である請求項36の容器蓋。
【請求項38】
前記外側部と中央領域はほぼ円形で互いに同心である請求項36の容器蓋。
【請求項39】
前記凹部はほぼ球面曲率を有する請求項36の容器蓋。
【請求項40】
前記凹部はほぼ半球面状である請求項36の蓋。
【請求項41】
前記最小厚さの領域は半径方向に厚さを増すことにより連続して彎曲した断面を形成している請求項36の容器蓋。
【請求項42】
前記凹部は前記隔膜の頂部表面にあり、前記隔膜はほぼ平面状の底面を有する請求項36の容器蓋。
【請求項43】
前記最小厚さの領域は前記隔膜の全領域よりも小さく前記凹部の一部である請求項36の蓋。
【請求項44】
前記エラストマ材料は弾性で圧縮性である請求項36の容器蓋。
【請求項45】
更に開口を形成する蓋周部を有し、前記隔膜の外側部は前記蓋周部により囲まれ、前記隔膜は前記開口を閉鎖するように支持されている請求項36の容器蓋。
【請求項46】
前記蓋周部は弾性材料から構成される請求項45の容器蓋。
【請求項47】
前記蓋周部は前記容器に前記容器に対して圧嵌めされる構造を有する請求項45の容器蓋。
【請求項48】
前記蓋周部は前記容器に対してスナップ嵌めされる構造を有する請求項45の容器蓋。
【請求項49】
前記蓋周部は前記容器に対してねじ嵌めされる構造を有する請求項45の容器蓋。
【請求項50】
前記隔膜は最初には未開裂であり、その後に開裂されたときに開裂部の対向した縁部を実質的に自己再閉鎖状態に保持するように形成されている請求項36〜49のいずれか一項に記載の容器蓋。
【請求項51】
前記隔膜は最初には未開裂であり、その後に最小厚さの領域が前記鈍端で開裂されたときに開裂部の対向した縁部を実質的に自己再閉鎖状態に復帰させるように形成されている請求項36〜49のいずれか一項に記載の容器蓋。
【請求項52】
前記最小厚さの領域は前記鈍端の先端直径と同一又は小さい直径を有する請求項51の容器蓋。
【請求項53】
前記隔膜は外側表面と内側表面とを有し、前記凹部は前記表面のうちの一方にあって皿状に凹入し、前記最小厚さの領域は前記皿状に凹入した部分の中央部にあり、前記最小厚さは前記皿状の凹入部と前記表面の他方との間の厚さであり、前記隔膜は前記最小膜厚の領域が、前記隔膜の恒久的に開裂部の両縁部を実質的に互いに弾性的に係止させることによる自己閉鎖性を有する、請求項36〜49のいずれか一項に記載の容器蓋。
【請求項54】
前記恒久的な開裂部が前記最小厚さの領域をそれよりも実質的に大きい幅の先端を有する鈍端付き具による穿孔により形成される請求項53の容器蓋。
【請求項55】
前記皿状の凹入部は前記隔膜の外側表面に存在する請求項53の容器蓋。
【請求項56】
前記最小厚さの領域は前記恒久的な開裂を生じる前記鈍端付き具の先端幅よりも小さい直径を有し、前記外側部分は、前記鈍端の前記隔膜への挿入時に前記蓋の周部に対して弾性的に圧縮され、前記鈍端付き具の引き抜きにより前記外側部分が前記対向した縁部を実質的に閉鎖した状態に復元する請求項54の容器蓋。
【請求項57】
前記隔膜はほぼ平坦な第1表面と皿状に凹入した第2表面を有し、前記隔膜が半径方向外側において相対的に厚く、最小膜厚の部分に向けて厚みを減じ、前記弾性材料は前記最小厚さよりも実質的に大きい先端幅の鈍端付き具を前記最小厚さの領域に通過させるように開裂し且つ拡張するように設定され、前記弾性材料は更に前記隔膜の開裂の縁部が実質的な閉鎖状態に弾性的に復元し、前記第1表面が実質的に平面状態に復元するように選択されている請求項36〜49のいずれか一項に記載の容器蓋。
【請求項58】
前記凹入部はほぼ半球状の空洞を有する請求項57の容器蓋。
【請求項59】
前記最小厚さの領域は千分の数インチの厚さを有する請求項57記載の容器蓋。
【請求項60】
特定の先端幅を有する鈍端付管状具により穿孔可能な自己再封止性容器蓋であって、容器に係合して閉鎖するように形成された比較的剛性の蓋周部と、前記蓋周部により形成された孔部に支持された弾性材料の隔膜とよりなり、前記隔膜にはほぼ半球状の凹入部が、前記隔膜の厚さが半径方向外側部分から連続的な曲線を描いて最小厚さの中央領域へと減じるように形成され、前記最小厚さは前記隔膜の前記半径方向外側部分の厚さよりも遙かに薄く、それにより前記最小厚さの領域が前記隔膜の前記対向する縁部が弾性的に合体保持されることにより実質的に自己閉鎖性である、自己再封止性の容器蓋。
【請求項61】
前記最小厚さの領域は千分の数インチの厚さを有する請求項60に記載の容器蓋。
【請求項62】
容器(10)を閉鎖するように支持されたエラストマー材料の隔膜(18)を有し、前記隔膜は、外側部(28)と該外側部により取り囲まれた凹入部(30)とを有し、前記凹入部は前記外側部から最小厚さの中央領域(32)に向けて厚さを減じており、前記最小厚さは前記環状の外側部の厚さより遙かに薄く形成され、前記隔膜は、前記最小厚さの中央領域が前記厚さよりも大きい先端幅の鈍端付き具により開裂されときに前記容器から前記隔膜を通る液体の有意な漏れに対する実質的に封止状態に復元するような配置、形状及び寸法に構成されており、前記最小厚さの領域は千分の数インチの厚さを有する自己再封止性の容器蓋。
【請求項63】
前記最小厚さは約0.23mmである請求項62に記載の容器蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−89604(P2008−89604A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292327(P2007−292327)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【分割の表示】特願2000−534848(P2000−534848)の分割
【原出願日】平成10年4月20日(1998.4.20)
【出願人】(500414903)
【Fターム(参考)】