説明

液体試料解析用容器及び液体試料の解析方法。

【課題】種々の液量の液体試料を移液することなく、複数種類の解析を高精度に行うことができる、汎用性の高い解析用容器、及び該容器を使用する液体試料の解析方法の提供。
【解決手段】液体試料を収容するためのウェル112が表面111に形成された基板11と、ウェルの開口部112cを封止する蓋10とを備え、蓋10には、ウェル112内に嵌合する凸部102が設けられ、凸部102は、嵌合時にウェル112内でその容積の50体積%以上の空間を占め、蓋10の凸部102が設けられた部位の厚さ方向における、波長400〜750nmの光の透過率が60%以上である液体試料解析用容器1を使用して、液体試料を解析する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料解析用容器、及び該容器を使用する液体試料の解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトゲノムの解読は、1980年代後半にその計画の議論が始まり、1990年頃から国際協力の下に進められてきた。そして2003年には、最初のゴールである全ゲノムの構造決定がほぼ終わり、本格的なゲノム研究時代に突入した。ゲノム研究時代を迎え、タンパク質や糖の構造・機能解析や、疾患と関連したSNPs解析等の研究が促進されている。そして近年は、微量な検体(液体試料)を使用して、核酸の抽出、増幅及び検出、あるいはタンパク質の検出等を小容量の容器中で行なう、所謂μ−Total Analysis System技術やLab−on−a−chip技術について、盛んに研究されている。
【0003】
一方、近年は、ゲノム、タンパク質、糖鎖等について、それぞれの構造及び機能を別々に解析することの限界が議論されており、システムバイオロジーの必要性が強調されている。そのような中で、個々の細胞の機能や形状の違いを、個々の細胞における遺伝子やタンパク質の発現に関する時間的空間挙動の解析等に基づいて、一細胞レベルで包括的にとらえようとする試みがなされている。
上記技術分野では、これまでに様々な解析技術が提供されてきている。具体的には、細胞内の画像解析を3次元的に行なう共焦点光学顕微鏡を使用する解析方法、一個の細胞から数個程度の細胞等、微量な細胞で遺伝子解析を行なうポリメラーゼ連鎖反応(以下、PCRと略記する)デバイスを使用した解析方法、微量溶液中の核酸やタンパク質等の生体分子間の相互作用解析を可能とする蛍光相関分光法を使用した解析方法等が例示できる。
しかし、これらの解析技術に使用する解析用容器は、それぞれ目的に応じて形状に制約があるだけでなく、必要とされる光学特性、耐熱性等に応じて材質にも制約があり、共通の容器を使用して複数種類の解析を連続的に行なうことが困難であった。さらに、その結果として、複数種類の高度な機能を複合化した解析技術や装置の開発が進展しないという問題点があった。
【0004】
小容量の容器として従来は、ガラス製や樹脂製等の基板表面に、各種反応を行うこともできる、ウェルと呼ばれる微小な凹部を形成したものが知られている。
例えば、特許文献1には、検体を反応させるための複数のウェルが基板表面に形成され、該ウェルの開口部に、保護フィルムがヒートシールにより貼り合わされた容器が開示されている。しかし、この容器は、極微量の液体試料への適用には不向きであり、ウェル内に極微量の液体試料を収容し、基板を加熱して反応を行うと、液体試料中の水分がウェル内で蒸発することがある。この場合、液体試料中の成分の組成比が変化してしまうため、正確な反応結果が得られなかったり、ウェル内で液体試料中の水分が全て蒸発してしまうことで、反応が起こらないという問題点があった。
【0005】
そこで、特許文献2では、ウェル内の水分の蒸発を防止するために、ミネラルオイル等で液体試料を被覆し、さらにウェルの開口部を保護フィルムで封止する方法が開示されている。しかし、この方法は、ミネラルオイルの使用により種々の制約が加わってしまう。例えば、ウェル内の液体試料を加熱するためには、ウェルが形成されていない裏面から基板を加熱することになるが、この場合液体試料はウェルの上方から検出する必要があり、ウェル毎のミネラルオイル量のばらつきにより、検出結果もばらついてしまうという問題点があった。また、液体試料中の蛍光を検出する際には、ミネラルオイルが励起光や蛍光を減衰させ、検出感度を低下させることがあるという問題点があった。また、ミネラルオイルのウェル内への添加が必要になり、作業が煩雑になるという問題点があった。さらに、基板の材質として、ミネラルオイルに耐性のあるものを選ぶ必要があり、材質が制限されるという問題点があった。
【0006】
これに対して、特許文献3では、表面にウェルが形成された基板と、前記ウェルに嵌合し、その空間の一部を占める凸部が形成された蓋とを備える容器が開示されている。この容器を使用すれば、ウェル内に極微量の液体試料を収容し、基板を加熱する場合、ミネラルオイルを使用しなくても、液体試料中の水分の蒸発を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−189960号公報
【特許文献2】特開2007−263812号公報
【特許文献3】特開2007−143406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献3で開示されている容器は、凸部も含めて蓋の形状が複雑であるため、ウェル上方からの液体試料の光学的な検出には不向きな構造であり、正確に解析できないという問題点があった。
このように従来は、種々の液量の液体試料に適用でき、液体試料を移液することなく、複数種類の解析を高精度に行うことができる容器や解析方法が無いのが現状であった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、種々の液量の液体試料を移液することなく、複数種類の解析を高精度に行うことができる、汎用性の高い解析用容器、及び該容器を使用する液体試料の解析方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、
請求項1に記載の発明は、液体試料を収容するためのウェルが表面に形成された基板と、前記ウェルの開口部を封止する蓋とを備えた液体試料解析用容器であって、前記蓋には、前記ウェル内に嵌合する凸部が設けられ、該凸部は、嵌合時に前記ウェル内でその容積の50体積%以上の空間を占め、前記蓋の凸部が設けられた部位の厚さ方向における、波長400〜750nmの光の透過率が60%以上であることを特徴とする液体試料解析用容器である。
請求項2に記載の発明は、前記凸部の先端面、及び前記凸部が設けられている部位の蓋の表面の少なくとも一方が平面であることを特徴とする請求項1に記載の液体試料解析用容器である。
請求項3に記載の発明は、前記蓋において、前記凸部がその他の部位と一体成形されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体試料解析用容器である。
請求項4に記載の発明は、前記蓋が、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、メチルペンテン系樹脂又はフッ素系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体試料解析用容器である。
請求項5に記載の発明は、前記ウェルの底面、及び前記ウェルが設けられている部位の基板の裏面の少なくとも一方が平面であり、前記底面と裏面との間の厚さが0.12〜1mmであり、該厚さ方向における、波長400〜750nmの光の透過率が60%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体試料解析用容器である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体試料解析用容器を使用することを特徴とする液体試料の解析方法である。
請求項7に記載の発明は、前記ウェル内に収容する液体試料の体積Vsを、前記ウェルの容積Vw、及び嵌合時に前記凸部が前記ウェル内で占める体積Vcに対して、下記式(1)で表される関係を満たすようにすることを特徴とする請求項6に記載の液体試料の解析方法である。
Vw−5Vs≦Vc≦Vw−2Vs・・・・(1)
(ただし、Vs、Vw及びVcは、すべて同じ単位とする。)
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、種々の液量の液体試料を移液することなく、複数種類の解析を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の容器を例示する概略図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のI−I線における断面図である。
【図2】本発明の他の容器を例示する概略断面図である。
【図3】実施例1で作成した増幅核酸の検量線を示すグラフである。
【図4】実施例2で使用した液体試料の解析装置を示す概略構成図である。
【図5】実施例2のリアルタイムPCRで得られた核酸増幅曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<液体試料解析用容器>
本発明の液体試料解析用容器(以下、容器と略記することがある)は、液体試料を収容するためのウェルが表面に形成された基板と、前記ウェルの開口部を封止する蓋とを備えた液体試料解析用容器であって、前記蓋には、前記ウェル内に嵌合する凸部が設けられ、該凸部は、嵌合時に前記ウェル内でその容積の50体積%以上の空間を占め、前記蓋の凸部が設けられた部位の厚さ方向における、波長400〜750nmの光の透過率が60%以上であることを特徴とする。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳しく説明する。
【0014】
図1は、本発明の容器を例示する概略図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のI−I線における断面図である。
ここに示す容器1は、基板11及び蓋10を備える。基板11の表面111には、液体試料を収容するためのウェル112が、基板11の裏面113側に複数凸設され、形成されている。また、蓋10には、ウェル112内に嵌合する凸部102が設けられており、ウェル112の開口部112cを封止する。
【0015】
ウェル112は略円錐台状であり、ただし、底面112bは外側へ向けて凸状の曲面となっている。
ウェル112は、側面112aにおける厚さT112a及び底面112bにおける厚さT112bは同一でも異なっていても良く、0.2〜0.8mmであることが好ましく、0.4〜0.6mmであることがより好ましい。厚さT112a及びT112bを下限値以上とすることにより、ウェル112の強度を一層高めることができる。また、上限値以下とすることで、液体試料をウェル112の側面112a側又は基板11の裏面113側(ウェル112の底面112b側)から光学的に検出する際に、一層高精度に検出できる。
【0016】
基板11のウェル112が形成されていない平端部の厚さT11は、特に限定されないが、0.5〜1.5mmであることが好ましい。このようにすることで、基板11の取り扱い製が良好となる。
ウェル112の容積Vwは、目的に応じて適宜設定すれば良いが、通常は、5ml以下であることが好ましく、3ml以下であることがより好ましい。容積Vwの下限値は、ウェル112が形成できる限り特に限定されない。このように、微量な液体試料の解析用とすることで、本発明の効果が一層優れたものとなる。
ウェル112の深さD112は、容積Vw応じて任意に設定でき、特に限定されない。
【0017】
ウェル112の側面112aにおける厚さ方向の、波長400〜750nmの光の透過率τ112a、及び底面112bにおける厚さ方向の、波長400〜750nmの光の透過率τ112bは、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましく、85%以上であることが最も好ましい。光の透過率を下限値以上とすることで、液体試料をウェル112の側面112a側又は基板11の裏面113側から光学的に検出する際に、一層高精度に検出できる。光の透過率τ112a及びτ112bは、基板11(ウェル112)の材質と、当該部位の厚さを適宜選択することで調整できる。
【0018】
蓋10は、表面101が平面であり、表面101の反対側に凸部102が設けられている。
凸部102は略円錐台状であり、ウェル112内への嵌合時に、側面102aがウェル112の側面112aに密着する一方、先端面102bはウェル112の底面112bには接触しないようになっている。これにより、蓋10装着時に、ウェル112内に液体試料を収容するための空間が確保されると共に、ウェル112内の液体試料の蒸発が防止される。
【0019】
凸部102の先端面102bは平面である。本発明においては、先端面102b、及び凸部102が設けられている部位の蓋10の表面101の少なくとも一方が平面であることが好ましく、少なくとも先端面102bが平面であることがより好ましく、図1に示すように、先端面102b、及び凸部102が設けられている部位の蓋10の表面101の両方が共に平面であることが特に好ましい。このようにすることで、液体試料をウェル112の上方側(蓋10の表面101側)から光学的に検出する際に、一層高精度に検出できる。
【0020】
凸部102は、ウェル112内への嵌合時に、ウェル112の容積Vwの50体積%以上の空間を占める。そして、ウェル112内の液体試料の量にもよるが、凸部102は、ウェル112の容積の50〜99.9体積%の空間を占めることが好ましく、60〜99.9体積%の空間を占めることがより好ましく、65〜99.9体積%の空間を占めることが特に好ましい。下限値以上とすることで、ウェル112内に収容された液体試料の蒸発を防止する一層高い効果が得られる。
【0021】
凸部102の高さH102は、ウェル112の深さD112に応じて適宜設定すれば良い。H102を適切に設定することにより、ウェル112内に収容された液体試料の蒸発を防止する高い効果が得られると共に、液体試料をウェル112の上方側から光学的に検出する際に、高精度に検出できる。
【0022】
蓋10の凸部102が設けられていない平坦部の厚さT10、及び蓋10の凸部102が設けられている部位の凸部102を除いた部分の厚さT10’は、同一でも異なっていても良い。ただし、ここに示すように同一であることが好ましく、0.5〜1.5mmであることが好ましく、0.8〜1.2mmであることがより好ましい。T10及びT10’を下限値以上とすることで、蓋10の強度を一層高めることができる。一方、T10を上限値以下とすることで、蓋10の取り扱い性が一層良好となる。さらに、T10’を上限値以下とすることで、液体試料をウェル112の上方側から光学的に検出する際に、一層高精度に検出できる。
【0023】
蓋10の凸部102が設けられた部位の厚さ方向(蓋10の表面101と、凸部102の先端面102bとを結ぶ最短の線分方向、すなわち図1中の矢印Aの方向)における、波長400〜750nmの光の透過率τ10は60%以上であり、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることが特に好ましい。光の透過率τ10を下限値以上とすることで、液体試料をウェル112の上方側から光学的に検出する際に、一層高精度に検出できる。光の透過率τ10は、蓋10の材質と、当該部位の厚さを適宜選択することで調整できる。
【0024】
基板11の大きさ、すなわちX軸方向の長さL及びY軸方向の長さLは、特に限定されない。従来のマイクロタイタープレートで採用されているSBS規格(ANSI/SBS 1)や、スライドガラスで採用されているJIS規格(JIS R 3703)等のいずれかの規格に準拠して設定することが好ましい。既存の解析装置は、上記のような規格に準拠した容器の使用を前提として、容器保持部や駆動部が設計されているものが多い。そこで、大きさをこれら規格に準拠して設定することで、容器1を従来の解析装置にそのまま設置して使用できるようになる。
【0025】
基板11の材質は特に限定されないが、各種ガラス類又は樹脂類が好ましく、成形の容易さ及び取り扱いの容易さから、各種樹脂類がより好ましい。そして、液体試料をウェル112の側面112a側又は基板11の裏面113側(ウェル112の底面112b側)から検出する時は、光の透過率が高く、自家蛍光が少なく、屈折率が低い材質が好ましい。
【0026】
ガラス類の好ましいものとしては、水板ガラス、白板ガラス、ハーフホワイトガラス等が例示できる。
樹脂類の好ましいものとしては、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、メチルペンテン系樹脂又はフッ素系樹脂等が例示できる。例えば、シクロオレフィン系樹脂の市販品としては、ゼオネックス(登録商標、日本ゼオン株式会社製)、ゼオノア(登録商標)、日本ゼオン株式会社製)、メチルペンテン系樹脂の市販品としては、TPX(登録商標)、三井化学株式会社製)が好適である。
【0027】
蓋10の材質も基板11と同様で良い。そして、液体試料をウェル112の上方側(蓋10の表面101側)から検出する時は、光の透過率が高く、自家蛍光が少なく、屈折率が低い材質が好ましい。なかでも、成形の容易さ及び取り扱いの容易さから、各種樹脂類が好ましく、例えば、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、メチルペンテン系樹脂又はフッ素系樹脂等が例示できる。
また、蓋10において、凸部102とその他の部位とは、同じ材質でも良いし、異なる材質でも良い。
【0028】
基板11は、例えば、射出成形、圧縮成形等、材質に応じて公知の方法で作製すれば良い。
蓋10も、基板11の場合と同様に公知の手法で作製すれば良。さらに、凸部をその他の部位と一体成形しても良いし、凸部とその他の部位(例えば、基板状のもの)とを別々に作製した後、凸部をその他の部位に接合しても良い。凸部とその他の部位とが一体成形された蓋10は、気密性に優れるので、ウェル112内の液体試料の蒸発防止効果が最も高い。また、容易に作製できる。一方、凸部をその他の部位に接合して作製された蓋10は、凸部102の差し替えが可能であり、最も汎用性が高い。接合方法は特に限定されず、例えば、接着剤で接合する方法、ねじ止めする方法、凸部及びその他の部位の一方にねじ孔、他方にねじ山を形成し、これらを螺合する方法等いずれでも良い。
【0029】
図1では、凸部102及びウェル112が、略円錐台状のものを示しているが、角錐台状、円柱状、角柱状等、その他の形状でも良い。また、基板11におけるウェル112の配置形態も特に限定されず、ウェル112の数、ウェル112間の距離、配置位置等は、目的に応じて適宜調整すれば良い。
【0030】
図2は、本発明の他の容器を例示する概略断面図である。なお、図2において、図1に示すものと同様の構成要素には、図1の場合と同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す容器2は、ウェルが基板の裏面側に凸設されて形成されている代わりに、より肉厚の基板21の表面211に凹設されて形成され、基板21の裏面213が平面であり、ウェル212の形状が異なる点以外は、図1に示す容器1と同様である。
【0031】
ウェル212は略円錐台状であり、底面212bは平面である。本発明においては、ウェル212の底面212b、及びウェル212が設けられている部位の基板21の裏面213の少なくとも一方が平面であることが好ましく、少なくともウェル212の底面212bが平面であることがより好ましく、図2に示すように、底面212b、及びウェル212が設けられている部位の基板21の裏面213の両方が共に平面であることが特に好ましい。このようにすることで、液体試料を基板21の裏面213側(ウェル212の底面212b側)から光学的に検出する際に、一層高精度に検出できる。
【0032】
ウェル212の底面212bと、基板21の裏面213との間の厚さT212bは、0.12〜1mmであることが好ましく、0.12〜0.5mmであることがより好ましく、0.14〜0.25mmであることが特に好ましい。厚さT212bを下限値以上とすることにより、基板の強度を高めることができ、上限値以下とすることで、液体試料を基板21の裏面213側から光学的に検出する際に、一層高精度に検出できる。
【0033】
ウェル212の容積Vw、深さD212、開口部212cは、ウェル112の場合と同様で良い。
【0034】
基板21のウェル212が形成されていない平端部の厚さT21は、ウェル212の容積Vwに応じて適宜設定すれば良いが、1〜7mmであることが好ましく、1〜5mmであることがより好ましい。
【0035】
ウェル212の底面212bにおける厚さ方向(底面212bと、基板21の裏面213とを結ぶ最短の線分方向、すなわち図2中の線分Bの方向)の、波長400〜750nmの光の透過率τ212は60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましく、85%以上であることが最も好ましい。光の透過率τ212を下限値以上とすることで、液体試料を基板21の裏面213側から光学的に検出する際に、一層高精度に検出できる。光の透過率τ212は、基板21の材質と、当該部位の厚さを適宜選択することで調整できる。
【0036】
本発明の容器は、基板に蓋を装着する時に、蓋に設けられた凸部を、基板に形成されたウェル内に嵌合させ、それぞれの接触面を密着させることで、蒸発防止用のオイルを使用しなくても、ウェル内に収容された液体試料の蒸発を防止できる。この時、凸部は、ウェル内でウェルの容積の50体積%以上の空間を占めるので、ウェル内の空間の容積は、封止時に開放時よりも小さくなり、液体試料の蒸発を防止する一層高い効果が得られる。さらに、凸部の体積を調節することで、封止時のウェル内の空間の容積を調節できる。例えば、複数の工程を組み合わせて解析する時に、いずれかの工程でウェルの容積に対して液体試料が微量である場合には、当該工程では、本発明における蓋を基板に装着して、蒸発を防止すれば良い。そして、その他の工程は、目的に応じた任意の方法で行えば良い。例えば、同じ蓋を装着して行っても良いし、蓋を外して基板を開放した状態で行っても良い。さらには、凸部の体積が異なる別の蓋を基板に装着して行っても良いし、従来の蓋を装着して行っても良い。
また、本発明の容器は、蓋の凸部が設けられた部位の厚さ方向における、波長400〜750nmの光の透過率が60%以上であるので、液体試料をウェルの上方側から光学的に検出する際に、一層高精度に検出できる。
このように、本発明の容器によれば、種々の液量の液体試料を移液することなく、複数種類の解析を連続的に高精度に行うことができる。
【0037】
<液体試料の解析方法>
本発明の液体試料の解析方法は、上記本発明の容器を使用することを特徴とする。すなわち、本発明の解析方法では、ウェル内の空間の容積を、封止時に開放時よりも小さくして解析する。
【0038】
ウェルに収容する液体試料としては、目的に応じて任意のものが選択でき、特に限定されない。例えば、溶液、懸濁液及び分散液のいずれでも良いし、固形物が液体に単に浸漬しただけのものでも良く、溶媒のみでも良い。ただし、容器を劣化させないものが好ましい。なかでも好ましいものとしては、核酸等の生体由来成分、各種生理活性物質、細胞又は微生物等の検出対象物を含む液体が例示でき、溶媒成分としては水が好ましい。
【0039】
核酸は、DNA、RNA、その他のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド等いずれでも良い。具体的には、核酸増幅反応に供するものや、核酸増幅反応で得られたものが例示でき、より具体的には、増幅反応で得られた増幅核酸、増幅反応時に鋳型となる核酸、増幅核酸の原料となる核酸、プライマー等が例示できる。この場合の液体試料とは、酵素などの増幅反応に必要な各成分を含有する増幅反応開始前の反応液や、増幅反応中の反応液、増幅反応後の反応液のことを指す。
核酸増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(以下、PCRと略記する)法等、公知の如何なるものでも良い。
【0040】
本発明において、液体試料の量は、目的に応じて任意に設定でき、特に限定されないが、好ましくは0.1〜1000μl、より好ましくは0.5〜500μl程度の極微量の場合に、特に優れた効果を奏する。
【0041】
本発明の容器を適用する解析は、液体試料のウェル内への収容を必要とするものであれば特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。例えば、ウェル内で液体試料を処理する工程、ウェル内で各種反応を行う工程、ウェル内の液体試料を検出する工程等を有するものが例示できる。
【0042】
本発明の解析方法では、ウェル内に収容する液体試料の体積をVs、嵌合時に凸部がウェル内で占める体積をVcとした場合に、Vsを、Vw及びVcに対して、下記式(1)で表される関係を満たすようにすることが好ましい。Vcを下限値以上とすることで、ウェル内の液体試料の蒸発を防止する一層高い効果が得られる。また、Vcを上限値以下とすることで、ウェル内の液体試料の凸部への付着を抑制する一層高い効果が得られる。
Vw−5Vs≦Vc≦Vw−2Vs・・・・(1)
(ただし、Vs、Vw及びVcは、すべて同じ単位とする。)
【実施例】
【0043】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(1)容器
図1に示す容器1を使用して、下記条件でリアルタイムPCRを行なった。
容器1の基板11としては、市販品のマイクロタイタープレート(MicroAmp Optical 96−Well Reaction Plate(商品名)、Applied Biosystems社製)を使用した。また、側面112aの厚さT112a及び底面112bの厚さT112bは0.6mm、基板11の平端部の厚さT11は0.9mm、ウェル112の開口部112cの半径は2.7mm、ウェル112の深さD112は20mm、ウェル112の容積Vwは330μl、Lは85mm、Lは125mmである。
また、蓋10としては、シリコーン樹脂製で、射出成形により一体成形されたものを使用した。平坦部の厚さT10(T10’)は0.8mm、凸部102の高さH102は16mmである。そして、蓋10の凸部102が設けられた部位の厚さ方向における、波長400〜750nmの光の透過率τ10は85%以上である。
【0044】
(2)液体試料
表1に示す組成の液体試料1〜5を調製した。すなわち、フォワードプライマー、リバースプライマー、TaqManプローブ、TaqMan Universal master mix 2×及び蒸留水(dHO)に、検体1〜5(gDNA水溶液)のいずれかを混合して、液体試料1〜5を調製した。
【0045】
【表1】

【0046】
(3)リアルタイムPCR
容器1のウェル112内に、前記液体試料1〜5を1μlずつ別々に収容し、基板11に蓋10を装着した。この時、凸部102をウェル112に嵌合及び密着させ、液体試料1〜5を封止した時の、凸部102がウェル112内で占める体積Vcは328μlであった。したがって、Vw−5Vs=325μl、Vw−2Vs=328μlであり、前記式(1)で表される関係を満たしていた。また、VcはVwの99.4体積%であった。
次いで、リアルタイムPCR装置として、7900HT Fast((商品名)、Applied Biosystems社製)を使用し、下記温度条件でリアルタイムPCRを行った。この間、液体試料1〜5の温度を60℃に調節している時に、液体試料中の蛍光シグナルを、蓋10の表面101側から検出した。
【0047】
・PCRの温度条件
95℃/10分 → (95℃/15秒 → 60℃/1分)×40サイクル
なお、加熱、冷却時の温度変化の速度は、それぞれ1℃/秒、−1℃/秒とした。
【0048】
(4)結果
液体試料1〜5の全てでPCRが正常に進行し、PCR増幅曲線が得られた。この時の液体試料1〜5のCt値から、図3に示す検量線が作成できた。
このように、1μlという極微量の液体試料に対して、蒸発防止用のオイルを使用することなく水分の蒸発を防止し、PCRを正常に行うことができ、液体試料を高精度に解析できた。
【0049】
[比較例1]
蓋として、市販品でフィルム状のもの(MicroAmp Optical Adhesive Covers(商品名)、Applied Biosystems社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にリアルタイムPCRを行った。なお、蓋は、基板への装着時にウェル内には突出していない。
その結果、PCR増幅曲線が得られず、検量線を作成できなかった。これは、PCRの加熱時に、液体試料の水分がウェル内で蒸発してしまい、PCRが進行しなかったためである。
【0050】
[実施例2]
(1)容器
図2に示す容器2を使用して、下記条件でリアルタイムPCRを行なった。
容器2の基板21としては、ウェル212が32個(4行×8列)形成されたものを使用した。各ウェル212に対して、行についてはA〜Dの符号で、列については1〜12の数字をそれぞれ割り当て、位置を特定できるようにした。
基板21の平端部の厚さT21は3mm、ウェル212の底面212bにおける厚さT212bは0.19mm、底面212bの半径は0.5mm、ウェル212の開口部212cの半径は1.6mm、ウェル212の深さD212は3mm、ウェル212の容積Vwは11μl、Lは25mm、Lは75.6mmである。ウェル212の底面212bにおける厚さ方向の、波長400〜750nmの光の透過率τ212は85%以上である。上記のような形状の基板21を、シクロオレフィン系樹脂ゼオネックス((登録商標)、日本ゼオン株式会社製)を使用して、射出成形により作製した。
また、蓋10としては、シリコーン樹脂製で、射出成形により一体成形されたものを使用した。厚さT10は0.8mm、凸部102の高さH102は2mmである。そして、蓋10の凸部102が設けられた部位の厚さ方向における、波長400〜750nmの光の透過率τ10は85%以上である。
【0051】
(2)液体試料
(2−1)フローサイトメトリーによるバクテリアのソート
PBSを溶媒としたHoechst H33342(3.33μg/ml)を使用して、Staphylococcus属に属するバクテリアを室温で10分間染色した。次いで、1×PBS(pH7.4)で洗浄し、下記条件でフローサイトメーターBD FACSAriaを用意した。そして、基板21のすべてのウェル212内に、バクテリアを1個ずつスポッティングした。次いで、倒立型リサーチ顕微鏡IX 81(オリンパス社製)を使用して、基板21の裏面213側からウェル212内を観察し、各ウェル内のバクテリアの有無を確認し、記録した。
【0052】
・フローサイトメーター;
70μm nozzle、
open FSC−A/SSC−A,FSC−A/FSC−W,FSC−A/Hoechst dot plots(log scale)、
gate on Hoechst positive,small population with low granularity,exclude doublets
【0053】
(2−2)ウェル内のバクテリアの溶解
ウェル212内に、Lyse−N−Go(PIERCE社製)を0.75μl分注した後、基板21に蓋10を装着した。この時、凸部102をウェル212に嵌合及び密着させ、液体試料を封止した時の、凸部102がウェル212内で占める体積Vcは7.5μlであった。したがって、Vw−5Vs=約7.25μl、Vw−2Vs=約9.5μlであり、前記式(1)で表される関係を満たしていた。また、VcはVwの68.2体積%であった。
次いで、容器2をサーマルサイクラーAmpliSpeed(Advalytix社製)に設置し、下記温度条件でプログラムを実行した。
【0054】
・温度条件
65℃/30秒 → 37℃/30秒 → 65℃/90秒 → 97℃/3分 → (37℃/1分 → 65℃/3分 → 97℃/1分)×3サイクル → 65℃/1分
なお、加熱、冷却時の温度変化の速度は、それぞれ1℃/秒、−1℃/秒とした。
【0055】
(3)リアルタイムPCR(バクテリアの16SリボソームDNAの増幅)
表2に示す組成のリアルタイムPCR用master mixを調製した。
そして、基板21から蓋10を取り外し、調製した前記master mixを0.75μlずつウェル212内に分注して液体試料を調製し、再度、基板21に蓋10を装着した。この時、凸部102をウェル212に嵌合及び密着させ、液体試料を封止した時の、凸部102がウェル212内で占める体積Vcは前回と同様、7.5μlであった。したがって、Vw−5Vs=約3.5μl、Vw−2Vs=約8μlであり、前記式(1)で表される関係を満たしていた。
次いで、容器2を、図4に示す解析装置中のサーマルサイクラーAmpliSpeed(Advalytix社製)に設置し、下記温度条件でリアルタイムPCRを行った。この間、45サイクル中で液体試料の温度が72℃の時に、蓋10の表面101側から基板21全体に励起光を照射し、蓋10の表面101側から、CCDカメラにて基板21全体を撮像して、各サイクルにおける液体試料中の蛍光シグナルを検出し、蛍光強度を算出した。
【0056】
【表2】

【0057】
・PCRの温度条件
95℃/10分 → (94℃/30秒 → 63℃/75秒 → 72/75秒)×45サイクル → 72/10分
なお、加熱、冷却時の温度変化の速度は、それぞれ1℃/秒、−1℃/秒とした。
【0058】
図4に示す解析装置9は、光源91、励起フィルタ92、照明用光学系93、ミラー94、サーマルサイクラー95、対物レンズ96、吸収フィルタ97、CCDカメラ98を備える。これらは、例えば、通常の蛍光検出装置において使用されるものであり、光源91以外は、暗箱99内に配置されている。
光源91からの照射光910は、励起フィルタ92によって、特定範囲の波長の光のみが透過して励起光911となり、照明用光学系93を通過後、ミラー94によって反射され、蓋10を介して容器2の基板21全体に、蓋10の表面101側から照射される。
励起光911の照射により生じた蛍光シグナル920は、対物レンズ96を通過し、吸収フィルタ97によって、特定範囲の波長の蛍光のみが透過して、検出すべき検出光921となる。そして、検出光921はCCDカメラ98によって検出される。
【0059】
(4)結果
(4−1)フローサイトメトリーによるバクテリアのソート
前記(2−1)におけるウェル212内のバクテリアの有無の確認結果を、表3に示す。表3中、「○」は「バクテリア有り」を、「×」は「バクテリア無し」をそれぞれ示す。
【0060】
(4−2)リアルタイムPCR(バクテリアの16SリボソームDNAの増幅)
前記(3)におけるバクテリアの16SリボソームDNAの増幅結果を図5に示す。
図5に示すように、リアルタイムPCRの増幅曲線としては、二種類のもの(ライン1、ライン2)が確認された。ライン1は、バクテリアの存在が確認されたウェル212内の液体試料から得られたものであり、蛍光強度はサイクル数の増加に伴って強くなり、その後一定となっている。これは、ソートされた1個のバクテリアがウェル212内で溶解され、16SリボソームDNAが増幅されたことを示している。一方、ライン2は、バクテリアの存在が確認されなかったウェル212内の液体試料から得られたものであり、いずれのサイクルでも蛍光シグナルが検出されなかった。これは、バクテリアがソートされなかったので、16SリボソームDNAが増幅されなかったことを示している。
このように、極微量の液体試料に対して、蒸発防止用のオイルを使用することなく水分の蒸発を防止し、複数の工程に渡って連続的に、液体試料を移液することなく高精度に解析できた。
【0061】
[比較例2]
蓋として、市販品でフィルム状のもの(MicroAmp Optical Adhesive Covers(商品名)、Applied Biosystems社製)を使用したこと以外は、実施例2と同様にリアルタイムPCRを行った。なお、蓋は、基板への装着時にウェル内には突出していない。
【0062】
前記(2−1)におけるウェル212内のバクテリアの有無の確認結果を、表3に示す。
前記(3)におけるバクテリアの16SリボソームDNAの増幅曲線としては、バクテリアの有無に関わらず、図5におけるライン2と同じもののみが得られた。これは、バクテリアの存在が確認されなかったウェル212内の液体試料だけでなく、バクテリアの存在が確認されたウェル212内の液体試料においても、16SリボソームDNAが増幅されなかったことを示している。その原因は、「(2−2)ウェル内のバクテリアの溶解」及び/又は「(3)リアルタイムPCR」の際の加熱時に、液体試料の水分がウェル212内で蒸発してしまい、PCRが進行しなかったためである。
【0063】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、医学、薬学、生化学等の分野における微量成分の解析に利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1,2・・・液体試料解析用容器、10・・・蓋、11,21・・・基板、101・・・蓋の表面、102・・・凸部、102b・・・凸部の先端面、111,211・・・基板の表面、112,212・・・ウェル、112b,212b・・・ウェルの底面、112c,212c・・・ウェルの開口部、113,213・・・基板の裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料を収容するためのウェルが表面に形成された基板と、前記ウェルの開口部を封止する蓋とを備えた液体試料解析用容器であって、
前記蓋には、前記ウェル内に嵌合する凸部が設けられ、該凸部は、嵌合時に前記ウェル内でその容積の50体積%以上の空間を占め、
前記蓋の凸部が設けられた部位の厚さ方向における、波長400〜750nmの光の透過率が60%以上であることを特徴とする液体試料解析用容器。
【請求項2】
前記凸部の先端面、及び前記凸部が設けられている部位の蓋の表面の少なくとも一方が平面であることを特徴とする請求項1に記載の液体試料解析用容器。
【請求項3】
前記蓋において、前記凸部がその他の部位と一体成形されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体試料解析用容器。
【請求項4】
前記蓋が、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、メチルペンテン系樹脂又はフッ素系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体試料解析用容器。
【請求項5】
前記ウェルの底面、及び前記ウェルが設けられている部位の基板の裏面の少なくとも一方が平面であり、前記底面と裏面との間の厚さが0.12〜1mmであり、該厚さ方向における、波長400〜750nmの光の透過率が60%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体試料解析用容器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体試料解析用容器を使用することを特徴とする液体試料の解析方法。
【請求項7】
前記ウェル内に収容する液体試料の体積Vsを、前記ウェルの容積Vw、及び嵌合時に前記凸部が前記ウェル内で占める体積Vcに対して、下記式(1)で表される関係を満たすようにすることを特徴とする請求項6に記載の液体試料の解析方法。
Vw−5Vs≦Vc≦Vw−2Vs・・・・(1)
(ただし、Vs、Vw及びVcは、すべて同じ単位とする。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−249520(P2010−249520A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95915(P2009−95915)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】