液体貯留装置
【課題】容器内に貯留された液体を容易に容器外に排出することができる液体貯留装置を提供する。
【解決手段】取付枠体13,14によって横円筒状に形成された貯留容器本体15の両端部を保持し、前記取付枠体13,14、貯留容器本体15の中心部に形成された挿通孔46に支持軸ユニット17を貫通固定する。前記支持軸ユニット17の両端部にラジアルボールベアリング18を介して吊下ベルト19を連結する。前記液体貯留装置11を吊下ベルト19によって吊り下げた状態で、支持軸ユニット17の中心軸線O1を中心にして、前記貯留容器本体15を回動可能に支持する。液体貯留装置11自体の重心位置P1を前記中心軸線O1よりも下方に設定する。前記液体貯留装置11が中心軸線O1を中心に回動されても貯留容器20内部の液体の重心位置P2が変化しないようにする。
【解決手段】取付枠体13,14によって横円筒状に形成された貯留容器本体15の両端部を保持し、前記取付枠体13,14、貯留容器本体15の中心部に形成された挿通孔46に支持軸ユニット17を貫通固定する。前記支持軸ユニット17の両端部にラジアルボールベアリング18を介して吊下ベルト19を連結する。前記液体貯留装置11を吊下ベルト19によって吊り下げた状態で、支持軸ユニット17の中心軸線O1を中心にして、前記貯留容器本体15を回動可能に支持する。液体貯留装置11自体の重心位置P1を前記中心軸線O1よりも下方に設定する。前記液体貯留装置11が中心軸線O1を中心に回動されても貯留容器20内部の液体の重心位置P2が変化しないようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば山火事において、ヘリコプターにより消火活動を行う際に用いるのに好適な液体貯留装置に関する。
【背景技術】
【0002】
山火事が発生した場合には、ヘリコプターを用いて、水を貯留した液体貯留容器を空輸し、容器に貯留された水を容器から排出することにより消火作業が行われる。この液体貯留容器は、有底縦形円筒状に形成された貯留容器の底面に水の取入口を設けるとともに、この取入口を開閉する開閉弁機構を備えている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開平11−301754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来の液体貯留容器は、貯水量が多くなると前記開閉弁機構を操作して、前記取入口を開放し、容器内に貯留された水を外部へ排出する際に、前記開閉弁機構を操作する力が貯水圧力により非常に大きくなるので、手動操作が非常に難しいという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、容器内に貯留された液体を小動力によって容易に容器の外部に排出することができる液体貯留装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、液体を貯留する貯留容器の左右両側の外壁面に対し支持手段によって支持される左右一対の支持軸を水平方向に突出するように設け、前記貯留容器が支持手段によって空中に保持された状態で、前記貯留容器の重心位置を前記支持軸の中心軸線よりも下方に位置するように設定し、前記貯留容器が前記支持軸を中心に回動されたとき、前記貯留容器内の液体の重心位置が変位しないように該貯留容器を構成したことを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記貯留容器は、消火用の液体を貯留するものであり、前記貯留容器の下部には、支持脚部が設けられ、前記貯留容器の左右両側の外壁面の少なくとも一方には、前記支持軸がヘリコプターにより昇降動作される吊下索によって吊下された状態で、前記貯留容器を前記支持軸を中心に回動操作する回動操作機構が設けられていることを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記貯留容器は、左右一対の取付枠体と、両取付枠体の間に装着され、かつ変形自在な防水シートよりなる貯留容器本体とにより構成され、前記両取付枠体及び貯留容器本体の中心部には、前記支持軸を貫通する貫通孔が形成され、該貫通孔から前記支持軸を取り外した状態で、前記貯留容器本体が前記貫通孔の軸線方向に折り畳み可能に構成されていることを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記貯留容器は前記支持軸によって水平方向に複数個直列に連結可能に構成されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2において、前記回動操作機構は、前記貯留容器の前記外壁面に対し前記支持軸よりも下方位置において上下方向の回動可能に連結された可動アームと、この可動アームの先端部に連結した操作紐と、該可動アームの回動角度の範囲を45〜90度の範囲に規制する回動角規制手段とにより構成されていることを要旨とする。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項2において、前記回動操作機構は、前記貯留容器の前記外壁面に対し前記支持軸よりも下方位置において上下方向の回動可能に連結された可動アームと、この可動アームの先端部に連結した操作紐と、前記支持軸を回転可能に支持する吊下アームの下端部に対し、該支持軸を囲繞するように取り付けられ、かつ外周面に第1係止凹部及び第2係止凹部を有するラッチプレートと、前記可動アームと対応して前記貯留容器の外壁面に対し回動可能に連結され、かつ前記第1係止凹部及び第2係止凹部に係止可能な第1係止爪及び第2係止爪を備えたロックアームと、このロックアームの先端部に設けられたフロートとにより構成され、前記第1係止爪が第1係止凹部に係止された状態で貯留容器を正常姿勢に保持し、前記可動アームの回動によって前記第1係止爪を第1係止凹部から離脱させて、前記貯留容器が正常姿勢から前記支持軸を中心に回動された斜め反転姿勢において、前記第2係止凹部に第2係止爪が係止されて、貯留容器の反転姿勢が保持され、前記フロートが液体中に進入されてその浮力により前記ロックアームが回動されて、前記第2係止凹部から第2係止爪が離脱されてロックアームのロック状態が解除されて、貯留容器が反転姿勢から正常姿勢に回動されるように構成されていることを要旨とする。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項2において、前記回動操作機構は、前記貯留容器の外壁面に対し前記支持軸よりも下方位置において上下方向の回動可能に連結された可動アームと、この可動アームの先端部に連結された操作紐と、前記可動アームの回動角度の範囲を45〜90度の範囲に規制する回動角規制手段と、前記貯留容器の外壁面に取り付けられ、かつ前記吊下索と協働して貯留容器の斜め反転姿勢をロックする傾斜部及び係止部を有するロック部材とにより構成され、前記操作紐が引き上げられて、前記貯留容器が正常姿勢から前記支持軸を中心に斜め反転姿勢に回動されたとき、前記ロック部材の傾斜部が張力付与状態の前記吊下索を潜り抜けて、前記係止部が該吊下索により係止されて前記反転姿勢が保持され、前記貯留容器が液体中に進入されてその浮力により前記吊下索の張力が低下した状態で、前記吊下索による係止部の係止状態が解除されて、貯留容器が反転姿勢から正常姿勢に回動されるように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、貯留容器が支持軸を中心に回動されたとき、貯留容器内の液体の重心位置が変位しないように設定されているので、貯留容器内に貯留された液体を小動力により容易に貯留容器外に排出することができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、ヘリコプターにより貯留容器が吊り上げられた状態で、回動操作機構により貯留容器が正常姿勢から支持軸を中心に斜め反転姿勢又は完全な反転姿勢に回動されると、該容器内の消火用の液体が容器の開口から排出され、山火事等の消火作業を行うことができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、左右一対の取付枠体の間に変形自在な防水シートよりなる貯留容器本体をコンパクトに折り畳むことができ、その収納スペースを小さくすることができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、貯留容器の連結個数を変更することにより液体の貯留量を容易に変更することができる。
請求項5記載の発明は、回動角規制手段によって可動アームの回動範囲を適正に保持することができ、可動アームの回動操作を円滑に行うことができる。又、貯留容器が正常姿勢から液体を排出する完全な反転姿勢に回動された際に、貯留容器の過回動が防止され、貯留容器の反転姿勢を適正に保持することができる。
【0015】
請求項6記載の発明は、第1係止爪が第1係止凹部に係止された状態で貯留容器を正常姿勢に安定して保持することができる。又、貯留容器がヘリコプターにより吊り上げられた状態において、操作者又は自動引き上げ機構により操作紐が引き上げられると、貯留容器が正常姿勢から斜め反転姿勢に回動され、これによりラッチプレートの第2係止凹部にロックアームの第2係止爪が係止されて斜め反転姿勢を保持することができる。さらに、貯留容器が斜め反転姿勢のまま貯水池等に進入されてフロートが液面に浮上した状態において、ロックアームが回動されて第2係止凹部から第2係止爪が離脱されるので、操作紐をフリー状態とすることにより貯留容器が斜め反転姿勢から正常姿勢に回動され、容器内への汲液作業を行うことができる。
【0016】
請求項7記載の発明は、ヘリコプターにより貯留容器が正常姿勢に吊下げられた状態において、操作者又は自動引き上げ機構により操作紐が引き上げられると、貯留容器が正常姿勢から斜め反転姿勢に回動される。そして、ロック部材の傾斜部が張力の付与された吊下索を潜り抜けると、係止部が吊下索に係止されて貯留容器の斜め反転姿勢が保持される。さらに、前記吊下索が下降されて、貯留容器が斜め反転姿勢のまま消火液体に進入されて貯留容器が浮力を受け、吊下索の張力が低下するとロック部材の係止部が吊下索から離脱されるので、操作紐をフリー状態とすることにより貯留容器が斜め反転姿勢から正常姿勢に回動され、容器内への汲液作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を山火事の消火用の液体貯留装置として具体化した第一実施形態を図1〜図11に従って説明する。
最初に、液体貯留装置11の概略構成について説明する。この液体貯留装置11は、図1に示すように地面Gに接地される支持脚部12を備えた左右一対の取付枠体13,14と、両取付枠体13,14の間に装着され、かつ防水シートよりなる折り畳み可能な貯留容器本体15と、該貯留容器本体15の内側中央部に装着され、かつ該貯留容器本体15の姿勢を保持する姿勢保持枠体16とを備えている。前記取付枠体13,14及び貯留容器本体15の中心部には、支持軸ユニット17が水平方向に貫通固定され、この支持軸ユニット17の両端部にはラジアルボールベアリング18を介して、ヘリコプターにより吊り下げられる支持手段及び吊下索としての吊下ベルト19の下端ループ部が取り外し可能に連結されている。この実施形態では、前記取付枠体13,14、貯留容器本体15及び姿勢保持枠体16によって貯留容器20が構成されている。又、この貯留容器20と、該貯留容器20の中心部に貫通した支持軸ユニット17とによって液体貯留装置11が構成されている。
【0018】
次に、前記取付枠体13,14、貯留容器本体15、姿勢保持枠体16及び支持軸ユニット17の構成を順次説明する。
前記両取付枠体13,14は同じ構成となっているので、図1,2に基づいて取付枠体14について説明し、取付枠体13の各部材は同一の符号を付して説明を省略する。前記取付枠体14は、丸棒材よりなる円環状の外側リング21と、その中心部に同心状に配設された板材よりなる円筒状の内側リング22と、前記外側リング21と内側リング22の間に放射状に連結された複数本の連結ロッド23とによって構成されている。なお、前記支持脚部12は前記外側リング21の下部外側に溶接されている。
【0019】
次に、前記取付枠体13,14の間に連結された前記貯留容器本体15について説明する。この貯留容器本体15は、図1に示すように前記左側の取付枠体13の外側リング21に装着された円形状の第1シート31と、前記右側の取付枠体14の外側リング21に装着された円形状の第2シート32と、前記第1及び第2シート31,32の外周縁に接着剤により接着された横円筒状の第3シート33とを備えている。前記第1及び第2シート31,32の中心部には、前記取付枠体13,14の内側リング22,22と対応してこれとほぼ同じ直径の開口31a,32aが形成され、両開口31a,32aには横円筒状の第4シート34の両端縁が接着剤により接着されている。
【0020】
前記第1及び第2シート31,32の外周縁は、前記第3シート33の端縁とともに多数のボルト35によって、前記取付枠体13,14の外側リング21の外周部に締め付け固定されている。前記第3シート33の上部には図3に示すように貯留容器本体15内に水を汲み入れたり、貯留された水を排出したりするための平面長方形状の開口36が形成されている。
【0021】
次に、前記姿勢保持枠体16について説明する。前記第3シート33の中央部外周面には、円環状のリング41が接触され、該リング41は第3シート33の外周面に接着した取付シート42によって所定位置に保持されている。前記リング41によって第3シート33の内面には、前記開口36を除いて円環状の突条部33aが形成されている。前記姿勢保持枠体16は前記突条部33aを係合する横断面が二股状の係合凹部43aを有する円環状の外側リング43と、前記第4シート34の中央部外周面に接着剤により接着された内側リング44と、前記外側リング43及び内側リング44の間に放射状に連結された複数本の連結ロッド45とによって構成されている。そして、前記姿勢保持枠体16の係合凹部43aにより前記突条部33aを所定位置に保持することにより第3シート33の中央部の姿勢を筒状に保持するようになっている。
【0022】
次に、前記取付枠体13,14の内側リング22,22及び第4シート34によって形成された挿通孔46に対し取り外し可能に貫通される前記支持軸ユニット17を図4を中心に説明する。
【0023】
前記挿通孔46に挿入される横円筒状の支持軸筒51の一端部(図4の左端部)には、横円筒状の連結筒52の一端部が嵌入されるようになっている。前記支持軸筒51に直径方向に貫通形成されたボルト挿通孔51aと、前記連結筒52に直径方向に貫通形成されたボルト挿通孔52aにボルト53を貫通することにより、支持軸筒51に連結筒52が取り外し可能に連結されるようになっている。前記支持軸筒51の一端部外周面には、前記取付枠体13の内側リング22が嵌合され、該内側リング22に形成されたボルト挿通孔22aに前記ボルト53を貫通することにより、支持軸筒51の一端部に前記取付枠体13が連結されるようになっている。前記連結筒52の一端部には、軸部54aとフランジ部54bとよりなる支持軸54の前記軸部54aの先端部が挿入されるようになっている。前記連結筒52に直径方向に貫通形成された挿通孔52bと、軸部54aに直径方向に貫通形成された挿通孔54cにボルト55を貫通することにより連結筒52に支持軸54が連結されるようになっている。なお、前記軸部54aの外周面には、図1に示す前記ベアリング18が嵌合される。
【0024】
図4に示すように、前記支持軸筒51の他端部(右端部)には、前記連結筒52と同様に構成された連結筒56の一端部が嵌入され、溶接によって支持軸筒51に連結されている。前記支持軸筒51と連結筒56には、直径方向にボルト挿通孔51b,56aが貫通形成されている。前記取付枠体14の内側リング22を前記支持軸筒51の他端外周部に嵌合した状態で、該内側リング22に直径方向に形成されたボルト挿通孔22a及び前記ボルト挿通孔51b,56aにボルト57を貫通することにより、支持軸筒51の他端部に前記取付枠体14を連結するようになっている。前記連結筒56の外端部には、前記支持軸54と同様の支持軸58が取り外し可能に連結されるようになっている。すなわち、連結筒56に直径方向に形成された挿通孔56bと、支持軸58の軸部58aに直径方向に形成された挿通孔58cにボルト59を貫通することにより、連結筒56に支持軸58が連結されるようになっている。この支持軸58の軸部58aの外周面には、図1に示す前記ベアリング18が嵌合される。この実施形態では前記取付枠体13,14の内側リング22,22が支持軸54,58を支持する貯留容器20の外壁面としての機能を有している。
【0025】
次に、この発明の要部構成について説明する。
図1に示すように、前記支持軸ユニット17の中心軸線O1は、前記取付枠体13,14の中心軸線O2と一致するように設定されている。前記貯留容器本体15に水が貯留されていない空の状態における支持軸ユニット17を含めた液体貯留装置11全体の重心位置P1は、前記中心軸線O1よりも下方に変位量Eだけ変位した位置となるように設定されている。従って、前記支持軸ユニット17及び吊下ベルト19によって、前記液体貯留装置11を図2においてヘリコプターにより吊り上げた状態においては、貯留容器20はその上部の開口36が水平な正常姿勢に保持される。さらに、この発明で重要な点は、液体貯留装置11がヘリコプターにより吊り上げられた状態で、液体貯留装置11が支持軸ユニット17の中心軸線O1を中心に回動しても前記液体貯留装置11の貯留容器20に貯留された水(液体)の重心位置P2(貯水量によって変動)が変位しないように前記貯留容器本体15が横円筒状に構成されている点にある。この構成により液体貯留装置11を吊下ベルト19によって吊り上げた状態で、前記中心軸線O1を中心に貯留容器20を回動して貯留された水を排出する際の操作力が軽減されるようにしている。即ち、装置自体の重心位置P1による正常姿勢への復元モーメントに抗して該装置のみを回動する小さな外力で済み、操作力が軽減される。
【0026】
次に、前記液体貯留装置11を吊り上げた状態で、前記貯留容器20を前記中心軸線O1を中心に回動させるための回動操作機構61について説明する。
図2に示すように、前記取付枠体14の内側リング22の下部外周面には固定アーム62の上端部が溶接によって連結され、該固定アーム62の下端部には、連結ピン63を介して、可動アーム64の基端部が上下方向の回動可能に連結されている。該可動アーム64の先端部にはヘリコプターの乗組員によって昇降操作される操作紐65の下端部が連結されている。前記固定アーム62には、回動角規制手段としてのストッパー66が取り付けられ、前記可動アーム64の連結ピン63を中心とする反時計回り方向の回動角度が規制されるようになっている。前記固定アーム62と対応する前記連結ロッド23には、ブラケット67を介して回動角規制手段としてのストッパー68が取り付けられている。このストッパー68によって、前記可動アーム64が連結ピン63を中心として、時計回り方向に回動する角度を規制するようになっている。前記可動アーム64は前記ストッパー66,68により45〜90度の範囲で回動が許容される。
【0027】
次に、前記のように構成した液体貯留装置11を用いて、山火事の消火活動を行う際の動作について説明する。
図1及び図2は、液体貯留装置11が地面Gに支持されるとともに前記貯留容器本体15の内部に水が貯留されていない空の正常姿勢の状態を示す。この状態において、ヘリコプターから垂下された吊下ベルト19により液体貯留装置11が空中に吊り上げられ、例えば貯水池の上方向に液体貯留装置11が空輸される。この空輸中に前記操作紐65がヘリコプターの乗組員により引き上げられると、図5に示すように、固定アーム62及び可動アーム64によって、液体貯留装置11が反時計回り方向に90度回動される。さらに、図6に示すように、液体貯留装置11が反時計回り方向に45度回動されて斜め反転姿勢となり、前記開口36の一端縁が最下端位置に回動される。この姿勢で、一旦操作紐65の引き上げ操作を停止し、ヘリコプターを降下させて液体貯留装置11を貯水Wの内部に没入する方向に下降動作し、図7に示すように、開口36から貯留容器本体15の内部に水を取り入れる。そして、図7において、液体貯留装置11をさらに下降動作すると共に、操作紐65を弛めることにより、図8に示すように、液体貯留装置11が斜め反転姿勢から時計回り方向に回動されて正常姿勢に変化し、貯留容器本体15の内部に水が満杯に汲み入れられる。
【0028】
図8に示す状態で、ヘリコプターを上昇させることによって、液体貯留装置11を貯水W内から引き揚げて、液体貯留装置11を山火事の現場まで空輸する。その後、図9に示すように操作紐65を引き上げて、液体貯留装置11の貯留容器本体15を180度回動して完全な反転姿勢とすることにより貯留容器本体15内に貯留されていた水を排出して火事現場に供給する。図9に示す状態においては、可動アーム64がストッパー68によって位置規制されるので、液体貯留装置11が180度の反転姿勢を超えて反時計回り方向に惰性回転されることはない。
【0029】
上記実施形態の液体貯留装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記第一実施形態では、横円筒状の貯留容器本体15の上部に開口36を設け、回動操作機構61によって、液体貯留装置11を支持軸ユニット17の中心軸線O1を中心に回動する際に、貯留容器本体15内の水の重心位置P2が変位しないようにした。このため、貯水量とは無関係に回動操作機構61による液体貯留装置11の回動操作を小さい動力によって行うことができ、消火活動作業を容易に行うことができる。
【0030】
(2)上記第一実施形態では、前記液体貯留装置11を支持軸ユニット17の中心軸線O1を中心に回動することによって、貯留容器本体15の開口36から水を貯留容器本体15内に汲み入れるとともに、貯留容器本体15内に貯留された水を開口36から放出することができ、水の汲み取り動作と、放出動作を迅速かつ容易に行うことができる。
【0031】
(3)上記第一実施形態では、固定アーム62に連結ピン63を介して連結された可動アーム64がストッパー66,68によって回動角度が規制されるようにしたので、液体貯留装置11の往復回動を適正角度範囲内で行うことができる。さらに詳述すると、貯留容器20が正常姿勢に保持された状態において、図2に鎖線で示すようにストッパー68によって可動アーム64の回動位置が規制されるので、操作紐65の引き上げによる液体貯留装置11の回動方向を反時計周り方向に設定することができる。又、貯留容器20が図9に示す完全な反転姿勢に回動された際に、ストッパー68が可動アーム64に当たることによって貯留容器20の過回動が防止され、貯留容器20を完全な反転姿勢から正常姿勢に容易に戻すことができる。
【0032】
(4)上記第一実施形態では、前記貯留容器本体15を柔軟性のある防水シートによって形成したので、挿通孔46から支持軸ユニット17を取り外した状態で、図10に示すように、貯留容器本体15を取付枠体13,14及び姿勢保持枠体16とともにコンパクトに折り畳むことができ、収納スペースを低減することができる。
【0033】
(5)上記第一実施形態では、支持軸ユニット17の支持軸筒51の一端部に連結筒52を取り外し可能に連結するようにした。このため、支持軸ユニット17の連結筒56を別の液体貯留装置11に貫通した支持軸ユニット17の支持軸筒51の端部に連結することにより、図11に示すように、例えば3台の液体貯留装置11を直列に連結することができる。このため、液体貯留装置11の連結個数を変更することにより貯水量を容易に変更することができる。
【0034】
(6)上記第一実施形態では、容器の底部に対し背景の技術で述べた開閉弁を設ける必要がないので、シール機構が不要となり容器から水が漏れるのを防止することができる。
次に、この発明の第二実施形態を図12〜図17に基づいて説明する。
【0035】
図12に示すように、左右一対の前記外側リング21の外周部には、連結チェーン69の両端部がボルト70(図13参照)によって連結されている。前記連結チェーン69は、複数箇所(この実施形態では下部の二箇所)に互いに平行に架橋され、前記外側リング21,21が貯留容器本体15とともにコンパクトに折りたたみ可能に構成されている。この実施形態においては、シートよりなる貯留容器本体15は図12に鎖線で示すようにその上端縁及び下端縁と、開口36のみが簡略化して図示されている。
【0036】
前記外側リング21の中心部には、前記内側リング22と同様の機能を有する内側リング71が前記複数本の連結ロッド23の集合部に連結されている。この内側リング71に径方向に形成した貫通孔71aには、上下方向に指向する一本の連結ロッド23が貫通されている。水平方向に指向する左右一対の連結ロッド23の端部は、図13に示すように内側リング71を径方向に貫通して、前記連結ロッド23に当接された状態で溶接によって内側リング71に連結されている。
【0037】
左右一対の前記内側リング71の外周面71bは、吊下アーム72の下端部に形成した取付穴72aに回転可能に挿入されている。吊下アーム72の上端部間には連結バー73が連結されている。前記吊下アーム72の下端部の内側面には、円板状のラッチプレート74が溶接部75によって連結され、その中心穴には、前記内側リング71が回転可能に挿入されている。前記連結ロッド23とラッチプレート74との間には、外周面71bに支持されるリング状のスペーサ76が介在されている。前記内側リング71の両端面には、フランジ金具77,78が接合され、ボルト79及びナット80によって、両フランジ金具77,78を内側リング71の両端面に締め付け固定している。そして、前記吊下アーム72が内側リング71の外周面71bから離脱しないようにしている。
【0038】
従って、ヘリコプターにより吊下アーム72,72が上方へ持ち上げられた状態においては、前記内側リング71を中心に、液体貯留装置11が回転可能となる。
図13に示すように、上下方向に指向する下側の連結ロッド23には、前記連結ピン63を介して前記可動アーム64と同様の可動アーム64が回動可能に連結されている。又、前記連結ロッド23には、ロックアーム81の中間部が連結ピン82を介して上下方向の回動可能に支持されている。前記ロックアーム81の先端部には、第1係止爪83が設けられ、中間部には第2係止爪84が取り付けられ、基端(上端)部にはフロート85が取り付けられている。前記第1係止爪83は、前記ラッチプレート74に設けた第1係止凹部74aに係止可能になっており、前記第2係止爪84は、同じくラッチプレート74の外周縁に設けた第2係止凹部74bに係止可能になっている。図13に示すように前記第1係止凹部74aにロックアーム81の第1係止爪83が係止された状態で、正常姿勢の液体貯留装置11が時計回り方向及び反時計回り方向へ回動不能に保持される。図15に示すように、液体貯留装置11が斜め反転姿勢に回動された状態で、第2係止凹部74bにロックアーム81の第2係止爪84が係止される。この状態で斜め反転姿勢の液体貯留装置11が時計回り方向へ回動不能に、反時計回り方向へ回動可能に保持される。
【0039】
前記ロックアーム81には、前記可動アーム64と対応するように、被作動ロッド86が取り付けられ、可動アーム64の回動運動をロックアーム81に伝達するようにしている。
【0040】
次に、前記第二実施形態の液体貯留装置11についてその動作を説明する。
図13は、地面Gにおいて液体貯留装置11の空の貯留容器本体15が正常姿勢に保持され、ロックアーム81の第1係止爪83が連結ピン82を中心とするロックアーム81の時計回り方向への自重による復元モーメントにより第1係止凹部74aに係止された状態を示す。この状態において、吊下アーム72及び連結バー73がヘリコプターにより上方に持ち上げられると、液体貯留装置11は、前記第1係止爪83が第1係止凹部74aに係止されているので、正常姿勢のまま空輸される。
【0041】
液体貯留装置11が貯水Wの上方に移動された状態で、前記操作紐65を操作して、連結ピン63を中心に可動アーム64を図14に示すように反時計回り方向に回動すると、可動アーム64によって被作動ロッド86が上方向に押されて、ロックアーム81が連結ピン82を中心に反時計回り方向に回動される。これによって、前述した自重によるロックアーム81の復元モーメントに抗して第1係止爪83が第1係止凹部74aから離脱され、第2係止爪84がラッチプレート74の外周面に接触される。
【0042】
図14に示す状態において、前記操作紐65をさらに上方向に引き上げると、図15に示すように、前記貯留容器本体15が正常姿勢から135度回動された斜め反転姿勢となり、貯留容器本体15の開口36が斜め下向きに変位され、第2係止爪84が第2係止凹部74bと対応する位置に移動される。すると、連結ピン82を中心とするロックアーム81の反時計回り方向への自重によるモーメントによりラッチプレート74の第2係止凹部74bに第2係止爪84が係止される。この状態で、操作紐65の引き上げを停止すると、液体貯留装置11が図15において時計回り方向に回動しようとするが、前記第2係止爪84が第2係止凹部74bに係止されているため液体貯留装置11の回動が停止される。なお、前記貯留容器本体15の斜め反転姿勢における開口36の貯水面に対する角度αが110〜170度、望ましくは130〜140度になるように前記第2係止凹部74b及び第2係止爪84の位置を設定している。
【0043】
図15に示す状態で、液体貯留装置11を下降させることにより貯水Wの中に液体貯留装置11を進入させると、開口36から貯留容器本体15の内部に水が取り込まれる。そして、図16に示すように、前記ロックアーム81に連結したフロート85が貯水Wの水面に進入されると、フロート85の浮力によってロックアーム81が自重による反時計回り方向へのモーメントに抗して連結ピン82を中心に時計回り方向に回動されるので、第2係止爪84が第2係止凹部74bから離脱され、第1係止爪83がラッチプレート74の外周面に接触される。これによって、ラッチプレート74に対する液体貯留装置11のロック状態が解除されるので、操作紐65をフリー状態にすることにより、液体貯留装置11が図16において、自身の復元モーメントにより時計回り方向に回動され、これにより貯留容器本体15の上部に存在する空気が排出されて、貯留容器本体15の内部に水が円滑に取り込まれる。
【0044】
液体貯留装置11が正常姿勢(図13参照)に回動されると、ロックアーム81の第1係止爪83が第1係止凹部74aに係止されることになるので、空輸中に受ける空気圧の変動等の予期せぬ現象による液体貯留装置11の回動が阻止される。この姿勢で、液体貯留装置11が火事現場まで空輸され、再び前記操作紐65を引き上げ操作することにより、図17に示すように貯留容器本体15を完全な反転姿勢として、貯留容器本体15内に貯留されていた水を火事現場に供給する。このとき、液体貯留装置11は図15に示す斜め反転姿勢から図17に示す完全な反転姿勢となるが、この動作は前記第2係止爪84が第2係止凹部74bに落ち込んでも反時計回り方向には素通りすることにより許容される。
【0045】
前記貯留容器本体15の内部の貯水が放出された後に、図17において、操作紐65を下げると、液体貯留装置11が完全な反転姿勢から時計回り方向に回動されて、図15に示すようにロックアーム81の第2係止爪84が第2係止凹部74bに係止されて、液体貯留装置11が斜め反転姿勢に保持される。この姿勢のまま次の水の汲み取り作業が行われる。
【0046】
上記の第二実施形態においては、吊下アーム72に取り付けたラッチプレート74の第1係止凹部74a及び第2係止凹部74bに係止可能な第1及び第2係止爪83,84をロックアーム81に取り付けると共に、可動アーム64によって、ロックアーム81を回動操作可能に構成した。このため、第1係止爪83を第1係止凹部74aに係止することにより液体貯留装置11を正常姿勢に安定して保持することができると共に、貯水Wを貯留容器本体15内に汲み取る際に、液体貯留装置11の開口36の姿勢を適正な斜め反転姿勢に安定して保持することができ、汲み取り作業を適正に行うことができる。又、前記ロックアーム81の端部にフロート85を設けたので、フロート85が貯水Wの水面に移動した後は、液体貯留装置11の復元モーメントにより斜め反転姿勢から正常姿勢への回動を許容して前述した水の汲み取り作業を円滑に行うことができる。
【0047】
次に、この発明の第三実施形態を図18〜図23に基づいて説明する。
図18に示すように、前記吊下ベルト19,19は前記連結バー73の両端部に掛止されている。連結バー73の両端部はさらに別の吊下ベルト88を介してヘリコプターにより吊り上げられるようになっている。前記回動操作機構61の操作紐65の中間部は、前記連結バー73の両端部に形成された挿通孔73aに挿通されている。
【0048】
前記外側リング21には、前記吊下ベルト19と協働して貯留容器本体15を斜め反転姿勢にロックするためのロック部材89が取り付けられている。このロック部材89は、図18に示す液体貯留装置11の正常姿勢において、外側リング21の内側から外側に向かって張り出し、下端ほど張り出し量が大きくなる傾斜部89aと、該傾斜部89aの下端部から外側リング21の内側に向かって鋭角状に湾曲形成された係止部89bとにより構成されている。このロック部材89は、先端ほど外側リング21の半径方向の内側に変位するように傾斜状態(図19参照)で取り付けられている。そして、図18に示すように液体貯留装置11が吊り上げられた状態で、このロック部材89の旋回軌跡K上に前記吊下ベルト19が位置するようにしている。
【0049】
次に、上記第三実施形態の動作について説明する。
図18に示す液体貯留装置11をヘリコプターにより空中に吊り上げた状態で、操作紐65を引き上げると、図19に示すように液体貯留装置11が支持軸58を中心に反時計回り方向に回動される。さらに、操作紐65を引き上げると、前記ロック部材89の傾斜部89aが張力が作用している前記吊下ベルト19を押し退けるようにして潜り抜け、図20に示すように係止部89bが吊下ベルト19に係止される。この状態では吊下ベルト19に張力が作用しているので、前記操作紐65をフリー状態にしても液体貯留装置11が時計回り方向に回動されることはない。
【0050】
図20において、液体貯留装置11が貯水Wに向かって降下されると、図21に示すように貯留容器20の開口36から水が容器内に浸入する。そして、貯留容器20が貯水Wに進入すると、液体貯留装置11が水の浮力を受けるので、前記吊下ベルト19の張力が低下し、係止部89bが吊下ベルト19から外れて、ロック部材89のロック状態が解除される。このため、操作紐65を弛めることにより、液体貯留装置11が図21において時計回り方向に回動され、図22に示すように液体貯留装置11が貯水W内において、正常姿勢となり、貯留容器20内に水が汲み取られる。この状態でヘリコプターが上昇されて、液体貯留装置11が貯水Wから引き上げられ、火事現場に空輸される。そして、前記操作紐65が上方に引き上げられると、図23に示すように液体貯留装置11が完全な反転姿勢となり、貯留容器20内の水が排出されて消火に供される。その後、操作紐65が弛められると、液体貯留装置11が時計回り方向に回動され、ロック部材89の係止部89bが張力の付与されている吊下ベルト19に係止され、図20に示す姿勢と同様の斜め反転姿勢に保持され、次の消火活動に備えられる。
【0051】
この第三実施形態では、前記吊下ベルト19と前記ロック部材89との協働により液体貯留装置11の姿勢を図20に示す斜め反転姿勢に保持することができ、反転姿勢のロック機構の構成を簡素化し、製造を容易に行い、コストを低減することができる。又、この第三実施形態では、前記ロック部材89が先端ほど外側リング21の半径方向内側に傾斜するようにしたので、液体貯留装置11が水による浮力を受けて吊下ベルト19の張力が低下したとき、ロック部材89が吊下ベルト19から容易に外れるので、ロック解除動作が円滑に行われる。
【0052】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図24に示すように、内側リング71の外端部に対し、小径部71cを設けるとともに、この小径部71cと対応するように、別の液体貯留装置11の内側リング71の外端部に対し、大径穴部71dを形成する。そして、ボルト79及びナット80によって異なる液体貯留装置11を互いに連結するようにしてもよい。
【0053】
・図25に示すように、支持軸17' の外周面に対し、シール部材91を介して前記内側リング22を支持する。又、前記取付枠体13,14の連結ロッド23に代えて防水側板92,93を使用し、前記外側リング21の外周面に対し、図示しないシール部材を介して、貯留容器本体15を構成する第3シート33の左右両端縁をボルト94によって連結するようにしてもよい。
【0054】
この別例においては、前記第1及び第2シート31,32及び第4シート34を省略することができるので、材料費及び加工費を節減することができる。
・図26に示すように、横円筒状をなす貯留容器101の左右両外壁面に対し支持枠体102に支持される支持軸103を取り付け、貯留容器101を往復回動可能に装着してもよい。前記貯留容器101の開口部101aの一端縁には貯留容器101を回動操作するための操作つまみ104が設けられている。
【0055】
・図27に示すように、別体で形成された支持枠体102,102を貯留容器101の左右両外壁面に支持軸103により連結するとともに、貯留容器101の外周面に操作紐105を連結してもよい。
【0056】
・図26及び図27に示す貯留容器101の支持枠体102及び支持軸103に代えて、図示しないが、貯留容器101の両端外周面を支持台に設けた一対以上のベアリングにより支持するようにしてもよい。
【0057】
上記二つの別例においても、貯留容器101内に貯留された水を小さい動力で、放出することができる。
・図8に示す実施形態において、前記吊下ベルト19に湾曲した板バネを埋設し、液体貯留装置11が水による浮力を受けて吊下ベルト19に作用する張力が低下したとき、板バネの復元作用により吊下ベルト19をロック部材89から離隔する方向に変位させて、ロック部材89が吊下ベルト19から外れ易くしてもよい。
【0058】
・前記手動操作機構を貯留容器20の両外壁面に装着してもよい。
・図示しないが前記貯留容器本体15、貯留容器101の横断面形状を切り欠き円筒形以外に、貯留容器が回動しても貯留された液体の重心位置P2が変動しないように貯留容器を多角形、波形円筒形等に変更してもよい。
【0059】
・前述した手動回動操作機構を、電動回動操作機構、油圧回動操作機構或いはその他の自動回動操作機構に変更してもよい。
・前記各種の回動操作機構を貯留容器20の軸方向の左右両側に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の液体貯留装置を具体化した第一実施形態を示す中央部縦断面図。
【図2】図1の1−1線断面図。
【図3】図1の2−2線断面図。
【図4】支持軸ユニットの分解斜視図。
【図5】液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図6】液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図7】液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図8】液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図9】液体貯留装置を用いた水の放出動作を説明する側面図。
【図10】液体貯留装置を折り畳んだ状態を示す中央部縦断面図。
【図11】複数の液体貯留装置を連結した状態を示す中央部縦断面図。
【図12】この発明の第二実施形態を示す液体貯留装置の中央部縦断面図。
【図13】図12の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図14】図12の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図15】図12の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図16】図12の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図17】図12の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図18】この発明の第三実施形態を示す液体貯留装置の中央部縦断面図。
【図19】図18の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図20】図18の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図21】図18の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図22】図18の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図23】図18の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図24】この発明の別の実施形態を示す液体貯留装置の部分断面図。
【図25】この発明の別の実施形態を示す液体貯留装置の中央部縦断面図。
【図26】この発明の別の実施形態を示す液体貯留装置の斜視図。
【図27】この発明の別の実施形態を示す液体貯留装置の斜視図。
【符号の説明】
【0061】
O1,O2…中心軸線、P1,P2…重心位置、12…支持脚部、13,14…取付枠体、15…貯留容器本体、17,54,58,103…支持軸、20,101…貯留容器、61…回動操作機構、64…可動アーム、65,105…操作紐、71a…貫通孔、71b…外周面、72…吊下アーム、74…ラッチプレート、74a…第1係止凹部、74b…第2係止凹部、81…ロックアーム、83…第1係止爪、84…第2係止爪、85…フロート、89…ロック部材、89a…傾斜部、89b…係止部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば山火事において、ヘリコプターにより消火活動を行う際に用いるのに好適な液体貯留装置に関する。
【背景技術】
【0002】
山火事が発生した場合には、ヘリコプターを用いて、水を貯留した液体貯留容器を空輸し、容器に貯留された水を容器から排出することにより消火作業が行われる。この液体貯留容器は、有底縦形円筒状に形成された貯留容器の底面に水の取入口を設けるとともに、この取入口を開閉する開閉弁機構を備えている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開平11−301754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来の液体貯留容器は、貯水量が多くなると前記開閉弁機構を操作して、前記取入口を開放し、容器内に貯留された水を外部へ排出する際に、前記開閉弁機構を操作する力が貯水圧力により非常に大きくなるので、手動操作が非常に難しいという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、容器内に貯留された液体を小動力によって容易に容器の外部に排出することができる液体貯留装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、液体を貯留する貯留容器の左右両側の外壁面に対し支持手段によって支持される左右一対の支持軸を水平方向に突出するように設け、前記貯留容器が支持手段によって空中に保持された状態で、前記貯留容器の重心位置を前記支持軸の中心軸線よりも下方に位置するように設定し、前記貯留容器が前記支持軸を中心に回動されたとき、前記貯留容器内の液体の重心位置が変位しないように該貯留容器を構成したことを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記貯留容器は、消火用の液体を貯留するものであり、前記貯留容器の下部には、支持脚部が設けられ、前記貯留容器の左右両側の外壁面の少なくとも一方には、前記支持軸がヘリコプターにより昇降動作される吊下索によって吊下された状態で、前記貯留容器を前記支持軸を中心に回動操作する回動操作機構が設けられていることを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記貯留容器は、左右一対の取付枠体と、両取付枠体の間に装着され、かつ変形自在な防水シートよりなる貯留容器本体とにより構成され、前記両取付枠体及び貯留容器本体の中心部には、前記支持軸を貫通する貫通孔が形成され、該貫通孔から前記支持軸を取り外した状態で、前記貯留容器本体が前記貫通孔の軸線方向に折り畳み可能に構成されていることを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記貯留容器は前記支持軸によって水平方向に複数個直列に連結可能に構成されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2において、前記回動操作機構は、前記貯留容器の前記外壁面に対し前記支持軸よりも下方位置において上下方向の回動可能に連結された可動アームと、この可動アームの先端部に連結した操作紐と、該可動アームの回動角度の範囲を45〜90度の範囲に規制する回動角規制手段とにより構成されていることを要旨とする。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項2において、前記回動操作機構は、前記貯留容器の前記外壁面に対し前記支持軸よりも下方位置において上下方向の回動可能に連結された可動アームと、この可動アームの先端部に連結した操作紐と、前記支持軸を回転可能に支持する吊下アームの下端部に対し、該支持軸を囲繞するように取り付けられ、かつ外周面に第1係止凹部及び第2係止凹部を有するラッチプレートと、前記可動アームと対応して前記貯留容器の外壁面に対し回動可能に連結され、かつ前記第1係止凹部及び第2係止凹部に係止可能な第1係止爪及び第2係止爪を備えたロックアームと、このロックアームの先端部に設けられたフロートとにより構成され、前記第1係止爪が第1係止凹部に係止された状態で貯留容器を正常姿勢に保持し、前記可動アームの回動によって前記第1係止爪を第1係止凹部から離脱させて、前記貯留容器が正常姿勢から前記支持軸を中心に回動された斜め反転姿勢において、前記第2係止凹部に第2係止爪が係止されて、貯留容器の反転姿勢が保持され、前記フロートが液体中に進入されてその浮力により前記ロックアームが回動されて、前記第2係止凹部から第2係止爪が離脱されてロックアームのロック状態が解除されて、貯留容器が反転姿勢から正常姿勢に回動されるように構成されていることを要旨とする。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項2において、前記回動操作機構は、前記貯留容器の外壁面に対し前記支持軸よりも下方位置において上下方向の回動可能に連結された可動アームと、この可動アームの先端部に連結された操作紐と、前記可動アームの回動角度の範囲を45〜90度の範囲に規制する回動角規制手段と、前記貯留容器の外壁面に取り付けられ、かつ前記吊下索と協働して貯留容器の斜め反転姿勢をロックする傾斜部及び係止部を有するロック部材とにより構成され、前記操作紐が引き上げられて、前記貯留容器が正常姿勢から前記支持軸を中心に斜め反転姿勢に回動されたとき、前記ロック部材の傾斜部が張力付与状態の前記吊下索を潜り抜けて、前記係止部が該吊下索により係止されて前記反転姿勢が保持され、前記貯留容器が液体中に進入されてその浮力により前記吊下索の張力が低下した状態で、前記吊下索による係止部の係止状態が解除されて、貯留容器が反転姿勢から正常姿勢に回動されるように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、貯留容器が支持軸を中心に回動されたとき、貯留容器内の液体の重心位置が変位しないように設定されているので、貯留容器内に貯留された液体を小動力により容易に貯留容器外に排出することができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、ヘリコプターにより貯留容器が吊り上げられた状態で、回動操作機構により貯留容器が正常姿勢から支持軸を中心に斜め反転姿勢又は完全な反転姿勢に回動されると、該容器内の消火用の液体が容器の開口から排出され、山火事等の消火作業を行うことができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、左右一対の取付枠体の間に変形自在な防水シートよりなる貯留容器本体をコンパクトに折り畳むことができ、その収納スペースを小さくすることができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、貯留容器の連結個数を変更することにより液体の貯留量を容易に変更することができる。
請求項5記載の発明は、回動角規制手段によって可動アームの回動範囲を適正に保持することができ、可動アームの回動操作を円滑に行うことができる。又、貯留容器が正常姿勢から液体を排出する完全な反転姿勢に回動された際に、貯留容器の過回動が防止され、貯留容器の反転姿勢を適正に保持することができる。
【0015】
請求項6記載の発明は、第1係止爪が第1係止凹部に係止された状態で貯留容器を正常姿勢に安定して保持することができる。又、貯留容器がヘリコプターにより吊り上げられた状態において、操作者又は自動引き上げ機構により操作紐が引き上げられると、貯留容器が正常姿勢から斜め反転姿勢に回動され、これによりラッチプレートの第2係止凹部にロックアームの第2係止爪が係止されて斜め反転姿勢を保持することができる。さらに、貯留容器が斜め反転姿勢のまま貯水池等に進入されてフロートが液面に浮上した状態において、ロックアームが回動されて第2係止凹部から第2係止爪が離脱されるので、操作紐をフリー状態とすることにより貯留容器が斜め反転姿勢から正常姿勢に回動され、容器内への汲液作業を行うことができる。
【0016】
請求項7記載の発明は、ヘリコプターにより貯留容器が正常姿勢に吊下げられた状態において、操作者又は自動引き上げ機構により操作紐が引き上げられると、貯留容器が正常姿勢から斜め反転姿勢に回動される。そして、ロック部材の傾斜部が張力の付与された吊下索を潜り抜けると、係止部が吊下索に係止されて貯留容器の斜め反転姿勢が保持される。さらに、前記吊下索が下降されて、貯留容器が斜め反転姿勢のまま消火液体に進入されて貯留容器が浮力を受け、吊下索の張力が低下するとロック部材の係止部が吊下索から離脱されるので、操作紐をフリー状態とすることにより貯留容器が斜め反転姿勢から正常姿勢に回動され、容器内への汲液作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を山火事の消火用の液体貯留装置として具体化した第一実施形態を図1〜図11に従って説明する。
最初に、液体貯留装置11の概略構成について説明する。この液体貯留装置11は、図1に示すように地面Gに接地される支持脚部12を備えた左右一対の取付枠体13,14と、両取付枠体13,14の間に装着され、かつ防水シートよりなる折り畳み可能な貯留容器本体15と、該貯留容器本体15の内側中央部に装着され、かつ該貯留容器本体15の姿勢を保持する姿勢保持枠体16とを備えている。前記取付枠体13,14及び貯留容器本体15の中心部には、支持軸ユニット17が水平方向に貫通固定され、この支持軸ユニット17の両端部にはラジアルボールベアリング18を介して、ヘリコプターにより吊り下げられる支持手段及び吊下索としての吊下ベルト19の下端ループ部が取り外し可能に連結されている。この実施形態では、前記取付枠体13,14、貯留容器本体15及び姿勢保持枠体16によって貯留容器20が構成されている。又、この貯留容器20と、該貯留容器20の中心部に貫通した支持軸ユニット17とによって液体貯留装置11が構成されている。
【0018】
次に、前記取付枠体13,14、貯留容器本体15、姿勢保持枠体16及び支持軸ユニット17の構成を順次説明する。
前記両取付枠体13,14は同じ構成となっているので、図1,2に基づいて取付枠体14について説明し、取付枠体13の各部材は同一の符号を付して説明を省略する。前記取付枠体14は、丸棒材よりなる円環状の外側リング21と、その中心部に同心状に配設された板材よりなる円筒状の内側リング22と、前記外側リング21と内側リング22の間に放射状に連結された複数本の連結ロッド23とによって構成されている。なお、前記支持脚部12は前記外側リング21の下部外側に溶接されている。
【0019】
次に、前記取付枠体13,14の間に連結された前記貯留容器本体15について説明する。この貯留容器本体15は、図1に示すように前記左側の取付枠体13の外側リング21に装着された円形状の第1シート31と、前記右側の取付枠体14の外側リング21に装着された円形状の第2シート32と、前記第1及び第2シート31,32の外周縁に接着剤により接着された横円筒状の第3シート33とを備えている。前記第1及び第2シート31,32の中心部には、前記取付枠体13,14の内側リング22,22と対応してこれとほぼ同じ直径の開口31a,32aが形成され、両開口31a,32aには横円筒状の第4シート34の両端縁が接着剤により接着されている。
【0020】
前記第1及び第2シート31,32の外周縁は、前記第3シート33の端縁とともに多数のボルト35によって、前記取付枠体13,14の外側リング21の外周部に締め付け固定されている。前記第3シート33の上部には図3に示すように貯留容器本体15内に水を汲み入れたり、貯留された水を排出したりするための平面長方形状の開口36が形成されている。
【0021】
次に、前記姿勢保持枠体16について説明する。前記第3シート33の中央部外周面には、円環状のリング41が接触され、該リング41は第3シート33の外周面に接着した取付シート42によって所定位置に保持されている。前記リング41によって第3シート33の内面には、前記開口36を除いて円環状の突条部33aが形成されている。前記姿勢保持枠体16は前記突条部33aを係合する横断面が二股状の係合凹部43aを有する円環状の外側リング43と、前記第4シート34の中央部外周面に接着剤により接着された内側リング44と、前記外側リング43及び内側リング44の間に放射状に連結された複数本の連結ロッド45とによって構成されている。そして、前記姿勢保持枠体16の係合凹部43aにより前記突条部33aを所定位置に保持することにより第3シート33の中央部の姿勢を筒状に保持するようになっている。
【0022】
次に、前記取付枠体13,14の内側リング22,22及び第4シート34によって形成された挿通孔46に対し取り外し可能に貫通される前記支持軸ユニット17を図4を中心に説明する。
【0023】
前記挿通孔46に挿入される横円筒状の支持軸筒51の一端部(図4の左端部)には、横円筒状の連結筒52の一端部が嵌入されるようになっている。前記支持軸筒51に直径方向に貫通形成されたボルト挿通孔51aと、前記連結筒52に直径方向に貫通形成されたボルト挿通孔52aにボルト53を貫通することにより、支持軸筒51に連結筒52が取り外し可能に連結されるようになっている。前記支持軸筒51の一端部外周面には、前記取付枠体13の内側リング22が嵌合され、該内側リング22に形成されたボルト挿通孔22aに前記ボルト53を貫通することにより、支持軸筒51の一端部に前記取付枠体13が連結されるようになっている。前記連結筒52の一端部には、軸部54aとフランジ部54bとよりなる支持軸54の前記軸部54aの先端部が挿入されるようになっている。前記連結筒52に直径方向に貫通形成された挿通孔52bと、軸部54aに直径方向に貫通形成された挿通孔54cにボルト55を貫通することにより連結筒52に支持軸54が連結されるようになっている。なお、前記軸部54aの外周面には、図1に示す前記ベアリング18が嵌合される。
【0024】
図4に示すように、前記支持軸筒51の他端部(右端部)には、前記連結筒52と同様に構成された連結筒56の一端部が嵌入され、溶接によって支持軸筒51に連結されている。前記支持軸筒51と連結筒56には、直径方向にボルト挿通孔51b,56aが貫通形成されている。前記取付枠体14の内側リング22を前記支持軸筒51の他端外周部に嵌合した状態で、該内側リング22に直径方向に形成されたボルト挿通孔22a及び前記ボルト挿通孔51b,56aにボルト57を貫通することにより、支持軸筒51の他端部に前記取付枠体14を連結するようになっている。前記連結筒56の外端部には、前記支持軸54と同様の支持軸58が取り外し可能に連結されるようになっている。すなわち、連結筒56に直径方向に形成された挿通孔56bと、支持軸58の軸部58aに直径方向に形成された挿通孔58cにボルト59を貫通することにより、連結筒56に支持軸58が連結されるようになっている。この支持軸58の軸部58aの外周面には、図1に示す前記ベアリング18が嵌合される。この実施形態では前記取付枠体13,14の内側リング22,22が支持軸54,58を支持する貯留容器20の外壁面としての機能を有している。
【0025】
次に、この発明の要部構成について説明する。
図1に示すように、前記支持軸ユニット17の中心軸線O1は、前記取付枠体13,14の中心軸線O2と一致するように設定されている。前記貯留容器本体15に水が貯留されていない空の状態における支持軸ユニット17を含めた液体貯留装置11全体の重心位置P1は、前記中心軸線O1よりも下方に変位量Eだけ変位した位置となるように設定されている。従って、前記支持軸ユニット17及び吊下ベルト19によって、前記液体貯留装置11を図2においてヘリコプターにより吊り上げた状態においては、貯留容器20はその上部の開口36が水平な正常姿勢に保持される。さらに、この発明で重要な点は、液体貯留装置11がヘリコプターにより吊り上げられた状態で、液体貯留装置11が支持軸ユニット17の中心軸線O1を中心に回動しても前記液体貯留装置11の貯留容器20に貯留された水(液体)の重心位置P2(貯水量によって変動)が変位しないように前記貯留容器本体15が横円筒状に構成されている点にある。この構成により液体貯留装置11を吊下ベルト19によって吊り上げた状態で、前記中心軸線O1を中心に貯留容器20を回動して貯留された水を排出する際の操作力が軽減されるようにしている。即ち、装置自体の重心位置P1による正常姿勢への復元モーメントに抗して該装置のみを回動する小さな外力で済み、操作力が軽減される。
【0026】
次に、前記液体貯留装置11を吊り上げた状態で、前記貯留容器20を前記中心軸線O1を中心に回動させるための回動操作機構61について説明する。
図2に示すように、前記取付枠体14の内側リング22の下部外周面には固定アーム62の上端部が溶接によって連結され、該固定アーム62の下端部には、連結ピン63を介して、可動アーム64の基端部が上下方向の回動可能に連結されている。該可動アーム64の先端部にはヘリコプターの乗組員によって昇降操作される操作紐65の下端部が連結されている。前記固定アーム62には、回動角規制手段としてのストッパー66が取り付けられ、前記可動アーム64の連結ピン63を中心とする反時計回り方向の回動角度が規制されるようになっている。前記固定アーム62と対応する前記連結ロッド23には、ブラケット67を介して回動角規制手段としてのストッパー68が取り付けられている。このストッパー68によって、前記可動アーム64が連結ピン63を中心として、時計回り方向に回動する角度を規制するようになっている。前記可動アーム64は前記ストッパー66,68により45〜90度の範囲で回動が許容される。
【0027】
次に、前記のように構成した液体貯留装置11を用いて、山火事の消火活動を行う際の動作について説明する。
図1及び図2は、液体貯留装置11が地面Gに支持されるとともに前記貯留容器本体15の内部に水が貯留されていない空の正常姿勢の状態を示す。この状態において、ヘリコプターから垂下された吊下ベルト19により液体貯留装置11が空中に吊り上げられ、例えば貯水池の上方向に液体貯留装置11が空輸される。この空輸中に前記操作紐65がヘリコプターの乗組員により引き上げられると、図5に示すように、固定アーム62及び可動アーム64によって、液体貯留装置11が反時計回り方向に90度回動される。さらに、図6に示すように、液体貯留装置11が反時計回り方向に45度回動されて斜め反転姿勢となり、前記開口36の一端縁が最下端位置に回動される。この姿勢で、一旦操作紐65の引き上げ操作を停止し、ヘリコプターを降下させて液体貯留装置11を貯水Wの内部に没入する方向に下降動作し、図7に示すように、開口36から貯留容器本体15の内部に水を取り入れる。そして、図7において、液体貯留装置11をさらに下降動作すると共に、操作紐65を弛めることにより、図8に示すように、液体貯留装置11が斜め反転姿勢から時計回り方向に回動されて正常姿勢に変化し、貯留容器本体15の内部に水が満杯に汲み入れられる。
【0028】
図8に示す状態で、ヘリコプターを上昇させることによって、液体貯留装置11を貯水W内から引き揚げて、液体貯留装置11を山火事の現場まで空輸する。その後、図9に示すように操作紐65を引き上げて、液体貯留装置11の貯留容器本体15を180度回動して完全な反転姿勢とすることにより貯留容器本体15内に貯留されていた水を排出して火事現場に供給する。図9に示す状態においては、可動アーム64がストッパー68によって位置規制されるので、液体貯留装置11が180度の反転姿勢を超えて反時計回り方向に惰性回転されることはない。
【0029】
上記実施形態の液体貯留装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記第一実施形態では、横円筒状の貯留容器本体15の上部に開口36を設け、回動操作機構61によって、液体貯留装置11を支持軸ユニット17の中心軸線O1を中心に回動する際に、貯留容器本体15内の水の重心位置P2が変位しないようにした。このため、貯水量とは無関係に回動操作機構61による液体貯留装置11の回動操作を小さい動力によって行うことができ、消火活動作業を容易に行うことができる。
【0030】
(2)上記第一実施形態では、前記液体貯留装置11を支持軸ユニット17の中心軸線O1を中心に回動することによって、貯留容器本体15の開口36から水を貯留容器本体15内に汲み入れるとともに、貯留容器本体15内に貯留された水を開口36から放出することができ、水の汲み取り動作と、放出動作を迅速かつ容易に行うことができる。
【0031】
(3)上記第一実施形態では、固定アーム62に連結ピン63を介して連結された可動アーム64がストッパー66,68によって回動角度が規制されるようにしたので、液体貯留装置11の往復回動を適正角度範囲内で行うことができる。さらに詳述すると、貯留容器20が正常姿勢に保持された状態において、図2に鎖線で示すようにストッパー68によって可動アーム64の回動位置が規制されるので、操作紐65の引き上げによる液体貯留装置11の回動方向を反時計周り方向に設定することができる。又、貯留容器20が図9に示す完全な反転姿勢に回動された際に、ストッパー68が可動アーム64に当たることによって貯留容器20の過回動が防止され、貯留容器20を完全な反転姿勢から正常姿勢に容易に戻すことができる。
【0032】
(4)上記第一実施形態では、前記貯留容器本体15を柔軟性のある防水シートによって形成したので、挿通孔46から支持軸ユニット17を取り外した状態で、図10に示すように、貯留容器本体15を取付枠体13,14及び姿勢保持枠体16とともにコンパクトに折り畳むことができ、収納スペースを低減することができる。
【0033】
(5)上記第一実施形態では、支持軸ユニット17の支持軸筒51の一端部に連結筒52を取り外し可能に連結するようにした。このため、支持軸ユニット17の連結筒56を別の液体貯留装置11に貫通した支持軸ユニット17の支持軸筒51の端部に連結することにより、図11に示すように、例えば3台の液体貯留装置11を直列に連結することができる。このため、液体貯留装置11の連結個数を変更することにより貯水量を容易に変更することができる。
【0034】
(6)上記第一実施形態では、容器の底部に対し背景の技術で述べた開閉弁を設ける必要がないので、シール機構が不要となり容器から水が漏れるのを防止することができる。
次に、この発明の第二実施形態を図12〜図17に基づいて説明する。
【0035】
図12に示すように、左右一対の前記外側リング21の外周部には、連結チェーン69の両端部がボルト70(図13参照)によって連結されている。前記連結チェーン69は、複数箇所(この実施形態では下部の二箇所)に互いに平行に架橋され、前記外側リング21,21が貯留容器本体15とともにコンパクトに折りたたみ可能に構成されている。この実施形態においては、シートよりなる貯留容器本体15は図12に鎖線で示すようにその上端縁及び下端縁と、開口36のみが簡略化して図示されている。
【0036】
前記外側リング21の中心部には、前記内側リング22と同様の機能を有する内側リング71が前記複数本の連結ロッド23の集合部に連結されている。この内側リング71に径方向に形成した貫通孔71aには、上下方向に指向する一本の連結ロッド23が貫通されている。水平方向に指向する左右一対の連結ロッド23の端部は、図13に示すように内側リング71を径方向に貫通して、前記連結ロッド23に当接された状態で溶接によって内側リング71に連結されている。
【0037】
左右一対の前記内側リング71の外周面71bは、吊下アーム72の下端部に形成した取付穴72aに回転可能に挿入されている。吊下アーム72の上端部間には連結バー73が連結されている。前記吊下アーム72の下端部の内側面には、円板状のラッチプレート74が溶接部75によって連結され、その中心穴には、前記内側リング71が回転可能に挿入されている。前記連結ロッド23とラッチプレート74との間には、外周面71bに支持されるリング状のスペーサ76が介在されている。前記内側リング71の両端面には、フランジ金具77,78が接合され、ボルト79及びナット80によって、両フランジ金具77,78を内側リング71の両端面に締め付け固定している。そして、前記吊下アーム72が内側リング71の外周面71bから離脱しないようにしている。
【0038】
従って、ヘリコプターにより吊下アーム72,72が上方へ持ち上げられた状態においては、前記内側リング71を中心に、液体貯留装置11が回転可能となる。
図13に示すように、上下方向に指向する下側の連結ロッド23には、前記連結ピン63を介して前記可動アーム64と同様の可動アーム64が回動可能に連結されている。又、前記連結ロッド23には、ロックアーム81の中間部が連結ピン82を介して上下方向の回動可能に支持されている。前記ロックアーム81の先端部には、第1係止爪83が設けられ、中間部には第2係止爪84が取り付けられ、基端(上端)部にはフロート85が取り付けられている。前記第1係止爪83は、前記ラッチプレート74に設けた第1係止凹部74aに係止可能になっており、前記第2係止爪84は、同じくラッチプレート74の外周縁に設けた第2係止凹部74bに係止可能になっている。図13に示すように前記第1係止凹部74aにロックアーム81の第1係止爪83が係止された状態で、正常姿勢の液体貯留装置11が時計回り方向及び反時計回り方向へ回動不能に保持される。図15に示すように、液体貯留装置11が斜め反転姿勢に回動された状態で、第2係止凹部74bにロックアーム81の第2係止爪84が係止される。この状態で斜め反転姿勢の液体貯留装置11が時計回り方向へ回動不能に、反時計回り方向へ回動可能に保持される。
【0039】
前記ロックアーム81には、前記可動アーム64と対応するように、被作動ロッド86が取り付けられ、可動アーム64の回動運動をロックアーム81に伝達するようにしている。
【0040】
次に、前記第二実施形態の液体貯留装置11についてその動作を説明する。
図13は、地面Gにおいて液体貯留装置11の空の貯留容器本体15が正常姿勢に保持され、ロックアーム81の第1係止爪83が連結ピン82を中心とするロックアーム81の時計回り方向への自重による復元モーメントにより第1係止凹部74aに係止された状態を示す。この状態において、吊下アーム72及び連結バー73がヘリコプターにより上方に持ち上げられると、液体貯留装置11は、前記第1係止爪83が第1係止凹部74aに係止されているので、正常姿勢のまま空輸される。
【0041】
液体貯留装置11が貯水Wの上方に移動された状態で、前記操作紐65を操作して、連結ピン63を中心に可動アーム64を図14に示すように反時計回り方向に回動すると、可動アーム64によって被作動ロッド86が上方向に押されて、ロックアーム81が連結ピン82を中心に反時計回り方向に回動される。これによって、前述した自重によるロックアーム81の復元モーメントに抗して第1係止爪83が第1係止凹部74aから離脱され、第2係止爪84がラッチプレート74の外周面に接触される。
【0042】
図14に示す状態において、前記操作紐65をさらに上方向に引き上げると、図15に示すように、前記貯留容器本体15が正常姿勢から135度回動された斜め反転姿勢となり、貯留容器本体15の開口36が斜め下向きに変位され、第2係止爪84が第2係止凹部74bと対応する位置に移動される。すると、連結ピン82を中心とするロックアーム81の反時計回り方向への自重によるモーメントによりラッチプレート74の第2係止凹部74bに第2係止爪84が係止される。この状態で、操作紐65の引き上げを停止すると、液体貯留装置11が図15において時計回り方向に回動しようとするが、前記第2係止爪84が第2係止凹部74bに係止されているため液体貯留装置11の回動が停止される。なお、前記貯留容器本体15の斜め反転姿勢における開口36の貯水面に対する角度αが110〜170度、望ましくは130〜140度になるように前記第2係止凹部74b及び第2係止爪84の位置を設定している。
【0043】
図15に示す状態で、液体貯留装置11を下降させることにより貯水Wの中に液体貯留装置11を進入させると、開口36から貯留容器本体15の内部に水が取り込まれる。そして、図16に示すように、前記ロックアーム81に連結したフロート85が貯水Wの水面に進入されると、フロート85の浮力によってロックアーム81が自重による反時計回り方向へのモーメントに抗して連結ピン82を中心に時計回り方向に回動されるので、第2係止爪84が第2係止凹部74bから離脱され、第1係止爪83がラッチプレート74の外周面に接触される。これによって、ラッチプレート74に対する液体貯留装置11のロック状態が解除されるので、操作紐65をフリー状態にすることにより、液体貯留装置11が図16において、自身の復元モーメントにより時計回り方向に回動され、これにより貯留容器本体15の上部に存在する空気が排出されて、貯留容器本体15の内部に水が円滑に取り込まれる。
【0044】
液体貯留装置11が正常姿勢(図13参照)に回動されると、ロックアーム81の第1係止爪83が第1係止凹部74aに係止されることになるので、空輸中に受ける空気圧の変動等の予期せぬ現象による液体貯留装置11の回動が阻止される。この姿勢で、液体貯留装置11が火事現場まで空輸され、再び前記操作紐65を引き上げ操作することにより、図17に示すように貯留容器本体15を完全な反転姿勢として、貯留容器本体15内に貯留されていた水を火事現場に供給する。このとき、液体貯留装置11は図15に示す斜め反転姿勢から図17に示す完全な反転姿勢となるが、この動作は前記第2係止爪84が第2係止凹部74bに落ち込んでも反時計回り方向には素通りすることにより許容される。
【0045】
前記貯留容器本体15の内部の貯水が放出された後に、図17において、操作紐65を下げると、液体貯留装置11が完全な反転姿勢から時計回り方向に回動されて、図15に示すようにロックアーム81の第2係止爪84が第2係止凹部74bに係止されて、液体貯留装置11が斜め反転姿勢に保持される。この姿勢のまま次の水の汲み取り作業が行われる。
【0046】
上記の第二実施形態においては、吊下アーム72に取り付けたラッチプレート74の第1係止凹部74a及び第2係止凹部74bに係止可能な第1及び第2係止爪83,84をロックアーム81に取り付けると共に、可動アーム64によって、ロックアーム81を回動操作可能に構成した。このため、第1係止爪83を第1係止凹部74aに係止することにより液体貯留装置11を正常姿勢に安定して保持することができると共に、貯水Wを貯留容器本体15内に汲み取る際に、液体貯留装置11の開口36の姿勢を適正な斜め反転姿勢に安定して保持することができ、汲み取り作業を適正に行うことができる。又、前記ロックアーム81の端部にフロート85を設けたので、フロート85が貯水Wの水面に移動した後は、液体貯留装置11の復元モーメントにより斜め反転姿勢から正常姿勢への回動を許容して前述した水の汲み取り作業を円滑に行うことができる。
【0047】
次に、この発明の第三実施形態を図18〜図23に基づいて説明する。
図18に示すように、前記吊下ベルト19,19は前記連結バー73の両端部に掛止されている。連結バー73の両端部はさらに別の吊下ベルト88を介してヘリコプターにより吊り上げられるようになっている。前記回動操作機構61の操作紐65の中間部は、前記連結バー73の両端部に形成された挿通孔73aに挿通されている。
【0048】
前記外側リング21には、前記吊下ベルト19と協働して貯留容器本体15を斜め反転姿勢にロックするためのロック部材89が取り付けられている。このロック部材89は、図18に示す液体貯留装置11の正常姿勢において、外側リング21の内側から外側に向かって張り出し、下端ほど張り出し量が大きくなる傾斜部89aと、該傾斜部89aの下端部から外側リング21の内側に向かって鋭角状に湾曲形成された係止部89bとにより構成されている。このロック部材89は、先端ほど外側リング21の半径方向の内側に変位するように傾斜状態(図19参照)で取り付けられている。そして、図18に示すように液体貯留装置11が吊り上げられた状態で、このロック部材89の旋回軌跡K上に前記吊下ベルト19が位置するようにしている。
【0049】
次に、上記第三実施形態の動作について説明する。
図18に示す液体貯留装置11をヘリコプターにより空中に吊り上げた状態で、操作紐65を引き上げると、図19に示すように液体貯留装置11が支持軸58を中心に反時計回り方向に回動される。さらに、操作紐65を引き上げると、前記ロック部材89の傾斜部89aが張力が作用している前記吊下ベルト19を押し退けるようにして潜り抜け、図20に示すように係止部89bが吊下ベルト19に係止される。この状態では吊下ベルト19に張力が作用しているので、前記操作紐65をフリー状態にしても液体貯留装置11が時計回り方向に回動されることはない。
【0050】
図20において、液体貯留装置11が貯水Wに向かって降下されると、図21に示すように貯留容器20の開口36から水が容器内に浸入する。そして、貯留容器20が貯水Wに進入すると、液体貯留装置11が水の浮力を受けるので、前記吊下ベルト19の張力が低下し、係止部89bが吊下ベルト19から外れて、ロック部材89のロック状態が解除される。このため、操作紐65を弛めることにより、液体貯留装置11が図21において時計回り方向に回動され、図22に示すように液体貯留装置11が貯水W内において、正常姿勢となり、貯留容器20内に水が汲み取られる。この状態でヘリコプターが上昇されて、液体貯留装置11が貯水Wから引き上げられ、火事現場に空輸される。そして、前記操作紐65が上方に引き上げられると、図23に示すように液体貯留装置11が完全な反転姿勢となり、貯留容器20内の水が排出されて消火に供される。その後、操作紐65が弛められると、液体貯留装置11が時計回り方向に回動され、ロック部材89の係止部89bが張力の付与されている吊下ベルト19に係止され、図20に示す姿勢と同様の斜め反転姿勢に保持され、次の消火活動に備えられる。
【0051】
この第三実施形態では、前記吊下ベルト19と前記ロック部材89との協働により液体貯留装置11の姿勢を図20に示す斜め反転姿勢に保持することができ、反転姿勢のロック機構の構成を簡素化し、製造を容易に行い、コストを低減することができる。又、この第三実施形態では、前記ロック部材89が先端ほど外側リング21の半径方向内側に傾斜するようにしたので、液体貯留装置11が水による浮力を受けて吊下ベルト19の張力が低下したとき、ロック部材89が吊下ベルト19から容易に外れるので、ロック解除動作が円滑に行われる。
【0052】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図24に示すように、内側リング71の外端部に対し、小径部71cを設けるとともに、この小径部71cと対応するように、別の液体貯留装置11の内側リング71の外端部に対し、大径穴部71dを形成する。そして、ボルト79及びナット80によって異なる液体貯留装置11を互いに連結するようにしてもよい。
【0053】
・図25に示すように、支持軸17' の外周面に対し、シール部材91を介して前記内側リング22を支持する。又、前記取付枠体13,14の連結ロッド23に代えて防水側板92,93を使用し、前記外側リング21の外周面に対し、図示しないシール部材を介して、貯留容器本体15を構成する第3シート33の左右両端縁をボルト94によって連結するようにしてもよい。
【0054】
この別例においては、前記第1及び第2シート31,32及び第4シート34を省略することができるので、材料費及び加工費を節減することができる。
・図26に示すように、横円筒状をなす貯留容器101の左右両外壁面に対し支持枠体102に支持される支持軸103を取り付け、貯留容器101を往復回動可能に装着してもよい。前記貯留容器101の開口部101aの一端縁には貯留容器101を回動操作するための操作つまみ104が設けられている。
【0055】
・図27に示すように、別体で形成された支持枠体102,102を貯留容器101の左右両外壁面に支持軸103により連結するとともに、貯留容器101の外周面に操作紐105を連結してもよい。
【0056】
・図26及び図27に示す貯留容器101の支持枠体102及び支持軸103に代えて、図示しないが、貯留容器101の両端外周面を支持台に設けた一対以上のベアリングにより支持するようにしてもよい。
【0057】
上記二つの別例においても、貯留容器101内に貯留された水を小さい動力で、放出することができる。
・図8に示す実施形態において、前記吊下ベルト19に湾曲した板バネを埋設し、液体貯留装置11が水による浮力を受けて吊下ベルト19に作用する張力が低下したとき、板バネの復元作用により吊下ベルト19をロック部材89から離隔する方向に変位させて、ロック部材89が吊下ベルト19から外れ易くしてもよい。
【0058】
・前記手動操作機構を貯留容器20の両外壁面に装着してもよい。
・図示しないが前記貯留容器本体15、貯留容器101の横断面形状を切り欠き円筒形以外に、貯留容器が回動しても貯留された液体の重心位置P2が変動しないように貯留容器を多角形、波形円筒形等に変更してもよい。
【0059】
・前述した手動回動操作機構を、電動回動操作機構、油圧回動操作機構或いはその他の自動回動操作機構に変更してもよい。
・前記各種の回動操作機構を貯留容器20の軸方向の左右両側に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の液体貯留装置を具体化した第一実施形態を示す中央部縦断面図。
【図2】図1の1−1線断面図。
【図3】図1の2−2線断面図。
【図4】支持軸ユニットの分解斜視図。
【図5】液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図6】液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図7】液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図8】液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図9】液体貯留装置を用いた水の放出動作を説明する側面図。
【図10】液体貯留装置を折り畳んだ状態を示す中央部縦断面図。
【図11】複数の液体貯留装置を連結した状態を示す中央部縦断面図。
【図12】この発明の第二実施形態を示す液体貯留装置の中央部縦断面図。
【図13】図12の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図14】図12の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図15】図12の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図16】図12の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図17】図12の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図18】この発明の第三実施形態を示す液体貯留装置の中央部縦断面図。
【図19】図18の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図20】図18の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図21】図18の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図22】図18の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図23】図18の液体貯留装置を用いた水の取り込み動作を説明する側面図。
【図24】この発明の別の実施形態を示す液体貯留装置の部分断面図。
【図25】この発明の別の実施形態を示す液体貯留装置の中央部縦断面図。
【図26】この発明の別の実施形態を示す液体貯留装置の斜視図。
【図27】この発明の別の実施形態を示す液体貯留装置の斜視図。
【符号の説明】
【0061】
O1,O2…中心軸線、P1,P2…重心位置、12…支持脚部、13,14…取付枠体、15…貯留容器本体、17,54,58,103…支持軸、20,101…貯留容器、61…回動操作機構、64…可動アーム、65,105…操作紐、71a…貫通孔、71b…外周面、72…吊下アーム、74…ラッチプレート、74a…第1係止凹部、74b…第2係止凹部、81…ロックアーム、83…第1係止爪、84…第2係止爪、85…フロート、89…ロック部材、89a…傾斜部、89b…係止部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する貯留容器の左右両側の外壁面に対し支持手段によって支持される左右一対の支持軸を水平方向に突出するように設け、前記貯留容器が支持手段によって空中に保持された状態で、前記貯留容器の重心位置を前記支持軸の中心軸線よりも下方に位置するように設定し、前記貯留容器が前記支持軸を中心に回動されたとき、前記貯留容器内の液体の重心位置が変位しないように該貯留容器を構成したことを特徴とする液体貯留装置。
【請求項2】
請求項1において、前記貯留容器は、消火用の液体を貯留するものであり、前記貯留容器の下部には、支持脚部が設けられ、前記貯留容器の左右両側の外壁面の少なくとも一方には、前記支持軸がヘリコプターにより昇降動作される吊下索によって吊下された状態で、前記貯留容器を前記支持軸を中心に回動操作する回動操作機構が設けられていることを特徴とする液体貯留装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記貯留容器は、左右一対の取付枠体と、両取付枠体の間に装着され、かつ変形自在な防水シートよりなる貯留容器本体とにより構成され、前記両取付枠体及び貯留容器本体の中心部には、前記支持軸を貫通する貫通孔が形成され、該貫通孔から前記支持軸を取り外した状態で、前記貯留容器本体が前記貫通孔の軸線方向に折り畳み可能に構成されていることを特徴とする液体貯留装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、前記貯留容器は前記支持軸によって水平方向に複数個直列に連結可能に構成されていることを特徴とする液体貯留装置。
【請求項5】
請求項2において、前記回動操作機構は、前記貯留容器の前記外壁面に対し前記支持軸よりも下方位置において上下方向の回動可能に連結された可動アームと、この可動アームの先端部に連結した操作紐と、該可動アームの回動角度の範囲を45〜90度の範囲に規制する回動角規制手段とにより構成されていることを特徴とする液体貯留装置。
【請求項6】
請求項2において、前記回動操作機構は、前記貯留容器の前記外壁面に対し前記支持軸よりも下方位置において上下方向の回動可能に連結された可動アームと、この可動アームの先端部に連結した操作紐と、前記支持軸を回転可能に支持する吊下アームの下端部に対し、該支持軸を囲繞するように取り付けられ、かつ外周面に第1係止凹部及び第2係止凹部を有するラッチプレートと、前記可動アームと対応して前記貯留容器の外壁面に対し回動可能に連結され、かつ前記第1係止凹部及び第2係止凹部に係止可能な第1係止爪及び第2係止爪を備えたロックアームと、このロックアームの先端部に設けられたフロートとにより構成され、前記第1係止爪が第1係止凹部に係止された状態で貯留容器を正常姿勢に保持し、前記可動アームの回動によって前記第1係止爪を第1係止凹部から離脱させて、前記貯留容器が正常姿勢から前記支持軸を中心に回動された斜め反転姿勢において、前記第2係止凹部に第2係止爪が係止されて、貯留容器の反転姿勢が保持され、前記フロートが液体中に進入されてその浮力により前記ロックアームが回動されて、前記第2係止凹部から第2係止爪が離脱されてロックアームのロック状態が解除されて、貯留容器が反転姿勢から正常姿勢に回動されるように構成されていることを特徴とする液体貯留装置。
【請求項7】
請求項2において、前記回動操作機構は、前記貯留容器の外壁面に対し前記支持軸よりも下方位置において上下方向の回動可能に連結された可動アームと、この可動アームの先端部に連結された操作紐と、前記可動アームの回動角度の範囲を45〜90度の範囲に規制する回動角規制手段と、前記貯留容器の外壁面に取り付けられ、かつ前記吊下索と協働して貯留容器の斜め反転姿勢をロックする傾斜部及び係止部を有するロック部材とにより構成され、前記操作紐が引き上げられて、前記貯留容器が正常姿勢から前記支持軸を中心に斜め反転姿勢に回動されたとき、前記ロック部材の傾斜部が張力付与状態の前記吊下索を潜り抜けて、前記係止部が該吊下索により係止されて前記反転姿勢が保持され、前記貯留容器が液体中に進入されてその浮力により前記吊下索の張力が低下した状態で、前記吊下索による係止部の係止状態が解除されて、貯留容器が反転姿勢から正常姿勢に回動されるように構成されていることを特徴とする液体貯留装置。
【請求項1】
液体を貯留する貯留容器の左右両側の外壁面に対し支持手段によって支持される左右一対の支持軸を水平方向に突出するように設け、前記貯留容器が支持手段によって空中に保持された状態で、前記貯留容器の重心位置を前記支持軸の中心軸線よりも下方に位置するように設定し、前記貯留容器が前記支持軸を中心に回動されたとき、前記貯留容器内の液体の重心位置が変位しないように該貯留容器を構成したことを特徴とする液体貯留装置。
【請求項2】
請求項1において、前記貯留容器は、消火用の液体を貯留するものであり、前記貯留容器の下部には、支持脚部が設けられ、前記貯留容器の左右両側の外壁面の少なくとも一方には、前記支持軸がヘリコプターにより昇降動作される吊下索によって吊下された状態で、前記貯留容器を前記支持軸を中心に回動操作する回動操作機構が設けられていることを特徴とする液体貯留装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記貯留容器は、左右一対の取付枠体と、両取付枠体の間に装着され、かつ変形自在な防水シートよりなる貯留容器本体とにより構成され、前記両取付枠体及び貯留容器本体の中心部には、前記支持軸を貫通する貫通孔が形成され、該貫通孔から前記支持軸を取り外した状態で、前記貯留容器本体が前記貫通孔の軸線方向に折り畳み可能に構成されていることを特徴とする液体貯留装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、前記貯留容器は前記支持軸によって水平方向に複数個直列に連結可能に構成されていることを特徴とする液体貯留装置。
【請求項5】
請求項2において、前記回動操作機構は、前記貯留容器の前記外壁面に対し前記支持軸よりも下方位置において上下方向の回動可能に連結された可動アームと、この可動アームの先端部に連結した操作紐と、該可動アームの回動角度の範囲を45〜90度の範囲に規制する回動角規制手段とにより構成されていることを特徴とする液体貯留装置。
【請求項6】
請求項2において、前記回動操作機構は、前記貯留容器の前記外壁面に対し前記支持軸よりも下方位置において上下方向の回動可能に連結された可動アームと、この可動アームの先端部に連結した操作紐と、前記支持軸を回転可能に支持する吊下アームの下端部に対し、該支持軸を囲繞するように取り付けられ、かつ外周面に第1係止凹部及び第2係止凹部を有するラッチプレートと、前記可動アームと対応して前記貯留容器の外壁面に対し回動可能に連結され、かつ前記第1係止凹部及び第2係止凹部に係止可能な第1係止爪及び第2係止爪を備えたロックアームと、このロックアームの先端部に設けられたフロートとにより構成され、前記第1係止爪が第1係止凹部に係止された状態で貯留容器を正常姿勢に保持し、前記可動アームの回動によって前記第1係止爪を第1係止凹部から離脱させて、前記貯留容器が正常姿勢から前記支持軸を中心に回動された斜め反転姿勢において、前記第2係止凹部に第2係止爪が係止されて、貯留容器の反転姿勢が保持され、前記フロートが液体中に進入されてその浮力により前記ロックアームが回動されて、前記第2係止凹部から第2係止爪が離脱されてロックアームのロック状態が解除されて、貯留容器が反転姿勢から正常姿勢に回動されるように構成されていることを特徴とする液体貯留装置。
【請求項7】
請求項2において、前記回動操作機構は、前記貯留容器の外壁面に対し前記支持軸よりも下方位置において上下方向の回動可能に連結された可動アームと、この可動アームの先端部に連結された操作紐と、前記可動アームの回動角度の範囲を45〜90度の範囲に規制する回動角規制手段と、前記貯留容器の外壁面に取り付けられ、かつ前記吊下索と協働して貯留容器の斜め反転姿勢をロックする傾斜部及び係止部を有するロック部材とにより構成され、前記操作紐が引き上げられて、前記貯留容器が正常姿勢から前記支持軸を中心に斜め反転姿勢に回動されたとき、前記ロック部材の傾斜部が張力付与状態の前記吊下索を潜り抜けて、前記係止部が該吊下索により係止されて前記反転姿勢が保持され、前記貯留容器が液体中に進入されてその浮力により前記吊下索の張力が低下した状態で、前記吊下索による係止部の係止状態が解除されて、貯留容器が反転姿勢から正常姿勢に回動されるように構成されていることを特徴とする液体貯留装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2007−119062(P2007−119062A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235795(P2006−235795)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(305042611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(305042611)
【Fターム(参考)】
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