説明

液体貯蔵タンクからの放出を軽減及び阻止する方法及びシステム

本発明は、液体の積荷(3)を保管するのに好適な貯蔵タンク(2)の内部で使用することを目的とし、液体の積荷(3)を収容するための少なくとも1つの液体容器(1)を備えるシステムであって、膨張ガス(13)を封じ込めるのに好適な少なくとも1つの膨張可能要素(11)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の積荷を保管するのに好適な貯蔵タンクの内部で使用することを目的とし、液体の積荷を収容するための少なくとも1つの可撓性の液体容器を備えるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
石油や化学製品などの液体生成物用の大型貯蔵タンクは通常、「固定式」または「浮動式」屋根のタンクの様式がある。
【0003】
「固定式の屋根」の貯蔵タンクは内部容積が決まっている。貯蔵タンクは、貯蔵場内のような堅固な土台となる基盤の上に配置することができるか、或いはタンカーまたは貯蔵用の区画を備えたいわゆるFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)など、液体を輸送する目的で構成された船などの浮体機構の上に配置される場合もある。一般にタンク容積の一部が液体生成物によって満たされ、容積の残りの部分は周囲空気によって満たされている。この周囲空気が液体から生じる蒸気と飽和して、最終的にはタンク内の温度に一致する蒸気圧に達する。さらにタンクをいわゆるガス抜きすることによって蒸発作用が終結し、これにより飽和した蒸気がタンクから外に排出され、外部からきれいな空気がタンク内に吸い込まれる。液体生成物を収容するこのタイプの貯蔵タンクを充填する間、タンク内に存在する液体から発生した蒸気を含んだ空気がタンクから逃がされ、吸気されて再利用される以外は周囲空気に対して放出される。
【0004】
「浮動式屋根」の貯蔵タンクは容積を変えることができる。タンクの屋根はタンク内に収容される液体の上に浮かんでいて、その結果通常、このタイプのタンク内には自由空間が存在しないことになる。液体がタンクから外に汲み出される際、屋根は、それが機械的に決められた最小限の高さ(通常タンクの土台となる床よりおよそ1.5メートル上)に達するまで下方に移動し、これにより屋根は、屋根の下面に設置された脚の上で支持される。さらにタンクから徐々に液体を排出する際、その脚の上で支持される屋根と液体の間にある自由空間は周囲空気によって満たされる。さらにこの空気は液体から生じた蒸気と飽和し、最終的にタンク内の温度と一致する蒸気圧に達する。タンクが液体生成物によって再び満たされる間、蒸気と飽和した空気は、いわゆる「リムシール」を介してタンクの外の大気へと逃がされる。この蒸気と空気の混合物は一般に周囲空気より大きな固有の重量を有するため、円筒形状の直立する壁の中に留まり、これにより例えばいわゆる「リム火災」(タンク上での雷撃によって発生する火災)を招き、これにより蒸気と空気の混合物が発火する恐れがある。
【0005】
気相の放出のみならず、両方のタイプのタンクから液体生成物の放出が生じる可能性もある。一般にこのような放出は、例えば完全に密閉されていないフランジ付きの接続部またはバルブ漏れを起こしている弁などの小規模の漏れによって生じる。小規模の漏れによって失われた液体はほとんどタンク付近の土台となる基盤の中に消えてしまう。大規模な液体の損失はタンクの壁が破損した結果生じる。各タンクはしたがって、いわゆる「防壁」によって周囲を囲まれている。これはタンクの周りを囲む障壁であり、これにより障壁の高さ及び内部表面は、液体量の保持力が最大タンク容積に対応するように寸法を決められている。最終的には大部分の液体がタンクから外に汲み出された後でタンクを清浄する際に残りの液体がなくなる。
【0006】
特許文献1〜2により、保管された液体を取り替える際に貯蔵タンクを清浄する必要がなく、かつ自由空間内での蒸気の形成が抑えられるように可撓性の液体容器の仕切りの中で液体を保管することが知られている。しかし、このような可撓性の液体容器内では、掘削された井戸から抽出される一部が脱気された原油のように、例えば液体の蒸発または液体から排出された気体によって気体または気相が形成される。このような作用が原因で可撓性の液体容器は気体または気相によってさらに膨張し、その結果、液相を取り除くことによって液体容器から液体を徐々に排出させた後もかなりの量の気体または蒸気が可撓性の容器の中に留まり、次の液体の充填を汚染したり、或いは望ましくない製品の放出及び/または損失が生じたり、清浄するのに費用がかかる可能性がある。
【0007】
さらに、火災または爆発の危険があることから、引火性の蒸気または気体が(大量に)存在することは望ましくない。
【0008】
本出願人の特許文献3により、液体の積荷を保管及び/または輸送するのに好適な容器の内部で使用することを目的とし、特にタンクローリ、タンクコンテナまたは貯蔵タンクなどの輸送または貯蔵機構の容器のための膨張可能要素(エアバッグとも示される)が知られている。膨張可能要素は、容器内の液体より上の自由空間に対して調節することができ、液跳ね防止機構と蒸気空間の縮小の両方が実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】ドイツ特許第10 2004 009398号
【特許文献2】米国特許第3537608号
【特許文献3】オランダ特許第1030882号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、継続的かつ信頼性があり、低コストで、火災や爆発の危険性が著しく抑えられ、破損する確率が最小限であり、保管された液体の品質に対して何ら影響を及ぼすことなく、貯蔵タンク内に置かれた液体容器内での蒸気または気体の形成が回避されるように貯蔵タンクを作動させることができるシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、タンク内に存在する液体による蒸気及び気体の形成、周辺環境への蒸気及び気体の放出、ならびに液体を充填する際及び空にする際のタンクからの液体の制御不能かつ望ましくない排出も同様に阻止し、これにより火災及び/または爆発の危険性が低下し、貯蔵タンクの壁または液体生成物の容器が破損した場合に、液体生成物または液体の積荷を保持するための障壁や「防壁」が必要なくなるシステムを提供する。
【0012】
それは、膨張ガスを封じ込めるのに好適な少なくとも1つの膨張可能要素をさらに備えるというプリアンブルによるシステムによって達成される。液体容器の中の液体の積荷と膨張可能要素を併用することによって気体と蒸気の形成が抑えられ、膨張ガスを利用して膨張可能要素を膨張させた結果、液体容器内での気体または気相の形成が阻止される。
【0013】
好ましい一実施形態では、膨張可能要素は、膨張ガスを供給または排出することによってその都度広がったり折れ曲がったりする蛇腹式の壁、或いはそうでなければ伸張式または展開式の1つまたは複数の壁を備える。これらの手段によって、膨張可能要素内に高い圧力を加える必要なしに膨張可能要素の容積を容易に変えることが可能になる。
【0014】
好ましくは、可撓性の液体容器は可撓性の壁を備える、及び/または液体の積荷を供給または排出することによってその都度広がったり折れ曲がったりする蛇腹式の壁、或いはそうでなければ伸張式または展開式の1つまたは複数の壁を備える。これらの手段によって、液体の積荷を高圧にする必要なしに液体容器の容積を容易に変えることが可能になる。
【0015】
詳細には、膨張可能要素及び/または液体容器は2つ以上の要素から構成されるか、或いは2つ以上の仕切りを備える。その結果、大型の要素または大型の貯蔵タンク用の容器を容易にかつ低コストで作製することができる。
【0016】
本発明はまた、液体容器の内部に設けられた膨張可能な支持要素を提供し、この支持要素は、その膨張した使用位置において貯蔵タンクの屋根の支持体として、または膨張可能要素の支持体として好適である。液体容器の内部に設けられたこれらの膨張可能支持要素は、液体容器の一部を占めていて、その結果、屋根または液体容器の上に置かれた膨張可能要素を支持することができ、周囲空気の流入が阻止されるまたは強力に抑えられる。
【0017】
別の実施形態において、貯蔵タンク内に配置された液体容器はその上部側に壁がなく、その結果、膨張可能要素は液体の積荷の液面上に載置する。上部側が開放していることにより、上部側が膨張可能要素によって覆われる液体容器となる。この実施形態では、膨張可能要素によって液体より上にある自由空間が縮小され、かつこれに伴う蒸気及び気体の形成が抑えられる。
【0018】
詳細には、可撓性の液体容器の容積が変化する際に、膨張可能要素及び/または支持要素の容積を適合させるための手段が設けられる。
【0019】
好ましくはこの手段は、真空及び加圧手段;エアポンプ、圧縮装置、または他の過剰圧エアシステムによって、圧力またはレベルが調節されたエアシステム;可撓性の液体容器と貯蔵タンクの壁の間に存在する液体の安全、警告または記録システムから選択される。それによって液体容器内で形成される蒸気及び気体が徐々に減少し、液体を充填する際及び徐々に排出する際の貯蔵タンクからの蒸気の放出ならびに液体の制御不能かつ望ましくない排出が阻止される。
【0020】
詳細には、貯蔵タンクの屋根は浮動式屋根であり、膨張可能要素は、その屋根側に、屋根の内部形状に対応する形状が与えられる。
【0021】
好ましくは、中に膨張ガスを封じ込める膨張可能要素は、貯蔵タンク内の使用位置において基本的に膨張可能要素が容器の屋根に対して当接し、可撓性の液体容器が基本的に貯蔵タンクの土台に対して当接するように可撓性の液体容器の上部側に設置される。膨張可能要素は、蒸気及び気体の形成を阻止するために屋根に対して密接に隣接して結合され、その一方で液体容器は土台に対して密接に当接して液体の放出及び漏出を阻止する。
【0022】
別の実施形態において、膨張可能要素及び可撓性の液体容器はそれぞれ例えば流入及び流出手段などの接続手段を備え、これによって膨張ガス及び液体の積荷がそれぞれ貯蔵タンクまたはタンクの壁に接触せずに貯蔵タンク内に供給されるまたはそこから外に出される。
【0023】
詳細には、膨張可能要素は単に、貯蔵タンクの容積と液体容器の容積との容積の差の部分を塞いでいるだけである。接続手段を利用して、液体容器及び膨張可能要素は互いに対して独立して液体が充填されかつ徐々に排出することができる。結果として、所望であれば液体容器と膨張可能要素が協働して、貯蔵タンクの全容積を完全に満たすことがないようにシステムを作動させることもできる。
【0024】
本発明はまた、本発明によるシステムを備えた貯蔵タンクに液体の積荷を供給しかつそこから排出するための方法であって、以下のステップを有する方法に関する。
液体容器の容積が変化するように液体の積荷を可撓性の液体容器に供給しかつそこから排出するステップと、液体容器の容積の変化を記録するステップと、液体容器内の容積の変化が補償されるように、膨張可能要素に膨張ガスを供給しかつそこから排出するステップとを含む方法。
【0025】
詳細には、さらに以下の、貯蔵タンクの屋根の位置を動かすために膨張可能要素及び/または膨張可能支持要素に膨張ガスを供給するまたはそこから排出するステップを含む。
【0026】
本発明はまた、可撓性の液体容器とタンクの壁との間に存在する可能性のある液体を測定する、記録するまたは報告する任意選択の追加部品を提供する。この追加部品は任意選択で、貯蔵タンクはその一部であるタンクターミナルの安全または警告システムに接続されてよい。
【0027】
本発明はまた、膨張可能要素の上部側が常に「固定式屋根」のタンクの屋根と全く等しい同一の位置に保持され、自由な空気がタンク内で利用できない、すなわちタンクの全容積が、液体及び膨張可能要素によって満たされるように膨張可能要素の残りの部分が様々な形状に適合可能であるように、膨張可能要素のこの上部側をタンクの屋根として機能させる可能性を提供する。
【0028】
本発明は、蒸気及び気体を生み出す可能性、ならびにその結果として火災または爆発が起こる可能性を著しく低下させること、ならびに貯蔵タンク内で独立して機能する2つの可撓性の容器、すなわち膨張可能要素と液体容器に大事故が起こったときに代替となる構成の両方に対処していて、これにより現行の貯蔵タンクの外側の壁が外部境界を構成する。結果として、貯蔵タンクを安全な方法で互いにより近接させて組み立てかつ作動させることが可能であり、これにより特定の量の液体を保管するために使用する敷地が小さくなる。
【0029】
図面、ならびに膨張可能要素及び可撓性の液体容器を有する方法及びシステムのいくつかの実施形態を用いて、本発明をさらに説明し特徴及び他の利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明によるシステムを備えた「浮動式屋根」を有する貯蔵タンクの斜視図
【図2】本発明によるシステムを備えた「固定式屋根」を備えた貯蔵タンクの貯蔵タンクの斜視図
【図3】本発明によるシステムを備えた「開放型」貯蔵タンクの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、液体容器1内に膨張可能支持要素10を備え、貯蔵タンク内で垂直方向に位置を変えることができる屋根6(浮動式屋根)を備える貯蔵タンク2を示している。
貯蔵タンク2の右側には、液体の積荷3が中に収容される液体容器1が示されている。液体容器1は、可撓性の壁8、及び/または液体容器内に液体の積荷3が導入されるまたはそこから出される際に、高い内部圧力を加える必要なしに液体容器の容積をその都度容易に拡大したり小さくしたりできるように、蛇腹式の壁7或いはそうでなければ伸張式または展開式の壁を備えることができる。
貯蔵タンク2が空になったとき、屋根6は下方に移動する。屋根6が貯蔵タンク2の基盤となる土台16の上に載置するのを防止し、かつ液体容器内の自由空間を縮小させるために、液体容器1の中に膨張可能支持要素10が設けられる。
図1の貯蔵タンク2の左側の部分では、屋根6の支持体としての膨張可能支持要素10を見ることができるように液体容器1は省略されている。膨張可能支持要素10はまた、液体容器1の頂部に設置された膨張可能要素11(図2参照)のための支持体として使用することもできる。
【0032】
図2は、本発明による膨張可能要素11と液体容器1とを備え、貯蔵タンク内で垂直方向に位置を変えることができない屋根6’(固定式屋根)を有する貯蔵タンク2を示している。
この実施形態において、液体容器1はその上部側が開放されてよいか、または完全に密閉された空間を構成することもできる。液体容器1と膨張可能要素11は両方とも蛇腹式の壁7、12をそれぞれ備えることができる。膨張可能要素11及び/または液体容器1はそれぞれ1つの空間を含むことができるが、2つ以上の要素から形成される及び/または2つ以上の仕切りを備える場合もある。
貯蔵タンク2内及び/または液体容器1内で蒸気または気体が形成されるのを防ぐために、膨張可能要素11と液体容器1が協働して貯蔵タンク2の内部容積を正確にいっぱいの状態になるまで満たす。液体の積荷3が液体容器の中に導入される際、或いは液体容器1内で気体または蒸気の形成が生じる際、液体容器の容積は拡大し、その結果膨張可能要素11の容積が縮小される必要があり、そのため膨張ガス13の量を少なくする必要がある。液体の積荷3が液体容器1から取り出される際、或いは液体容器1内の蒸気または気体の量が減少する際、結果として膨張可能要素11の中の膨張ガス13の体積を増大させる必要がある。
したがってこれを補償するために、本発明によるシステムは、可撓性の液体容器1の容積が変わるとき、膨張可能要素11の容積を正反対に変えることができる手段を提供する。これらの手段は警告または記録システムであってよく、これによって例えば液体容器1及び/または膨張要素11内の圧力が測定される。
他の好適な測定法は、レベル測定または液体の積荷の重量の測定、或いは抵抗ひずみ計または同様の計器による壁の圧力測定である。さらに接続手段9、17において流量測定を行なうこともできる。液体容器1の容積の変化が測定及び/または記録された後、システムの制御部は、液体容器内の容積の変化が補償されるように、膨張可能要素11に膨張ガス13を充填するまたはそこから排出させる。充填または排出はフィードバックループを利用して実行することができるが、特定の量の所望される容積の計算を利用して実行することもできる。爆発、安全性及び蒸気の要件から、貯蔵タンク2の容積が継続的に完全にいっぱいに満たされるようにシステムの制御部を設定することができるが、必要に応じて液体容器1と膨張可能要素11が貯蔵タンク2の容積の一部のみを占めるように設定することもできる。システムは、吸引または過剰圧設備、及びエアポンプまたは圧縮装置15を備えるエアシステムを備えることができる。
【0033】
好ましい実施形態において、膨張可能要素11はその上部側すなわち屋根側において、屋根の内部形状に対応する形状が与えられている。図2では、屋根6’と膨張可能要素11は共に円錐形状が与えられている。結果として膨張可能要素11は屋根6’に緊密に結合し、その結果膨張可能要素11の変形、或いは膨張可能要素11と屋根6’の間での自由空間の形成が阻止される。屋根6の対応する形状には(図1でのように)屋根に作用する力を均等に分配するという有利な作用があり、その結果膨張可能要素11は変形及び/または漏出する可能性が小さく、さらに屋根はその表面全体にわたって均一に支持され、垂直方向に移動することができる。
【0034】
図2における液体容器は、その上部側が開放されてよく、その結果、膨張可能要素11は液体の積荷3の液面上に載置するか、または液面によって支持される。液体容器は容器2の基盤となる土台16の上に載置するか、またはこれによって支持される。膨張可能要素11が液体の積荷3と接触することから、液体の上での蒸気及び気体の形成が阻止される。好ましくは液体容器1は、液体の積荷3が貯蔵タンク2の壁及び膨張可能要素11の壁に接触しないように完全に密閉された空間であり、その結果膨張可能要素11及び/または壁が汚染される恐れはない。
【0035】
好ましくは本システムは、空気または気体供給システムを利用して、或いはそうでなければ空気または気体圧縮装置或いはポンプ15或いは高圧貯蔵容器などの膨張要素11に直接結合された施設を利用して、貯蔵タンク2の位置で利用できる(通常は周囲空気である)気体生成物(さらに膨張ガス13)のための供給システム15、17を備える。
その供給システムは、周囲空気を適用する際に直接排気する施設を備えるか、或いは再利用する目的、または気体生成物を取り出すための別の信頼できる方法のために、清浄施設または他の実現可能な手段が設けられたシステムを備えた気体生成物を排出するシステムを構成する。本システムは、その基本的な構成において圧力が制御される。接続手段9を利用して液体の積荷3によって貯蔵タンク2または容器を充填する際、膨張可能要素11内の圧力が上昇し、その結果膨張可能要素11を備える圧力が制御されたシステムは、そうでなければ結果として生じる圧力の増加を無効にするような方法で、接続手段17を利用して気体充填物を膨張可能要素11から外に排出する。貯蔵タンク2または液体の積荷3の容器から液体の積荷3を取り出す際、膨張可能要素11内の圧力は低下し、その結果膨張可能要素11を備える圧力が制御されたシステムは、そうでなければ結果として生じる圧力の降下を無効にするような方法で膨張可能要素11内に気体生成物を供給する。
液体容器1内での気体または蒸気の形成に備えて、膨張可能要素内の圧力は、このような蒸気または気体の形成を抑えるために例えば0〜1バールのわずかな過剰圧に設定され、好ましくは圧力は0〜0.2バールの範囲の過剰圧から選択される。
【0036】
図3は、膨張可能要素11を有する屋根を持たない貯蔵タンク2を示している。
この実施形態では、膨張可能要素11は「開放型」貯蔵タンク2の屋根として機能する。「開放型」の液体容器1の場合、膨張可能要素の底部側18が液体の積荷3の液面上に載置する。好ましい一実施形態では密閉式の液体容器1が設けられ、これにより膨張可能要素の底部側は同様に液体容器1の上部側に載置する。液体容器の膨張可能要素は、プラスチックまたは金属などの好適な材料(その組み合わせ)から作製することができる。貯蔵タンクは、堅固な土台となる基盤の上に配置することができるが、浮動式貯蔵タンクのタンカーのような浮動する物体の一部である場合もある。
【符号の説明】
【0037】
1 液体容器
2 貯蔵タンク
3 液体の積荷
6 屋根
7、12 蛇腹式の壁
8 可撓性の壁
9 接続手段
10、11 膨張可能要素
13 膨張ガス
15、17 供給システム
16 土台
18 膨張可能要素の底部側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の積荷(3)を収容する少なくとも1つの可撓性の液体容器(1)を備えるシステムであって、
液体の積荷(3)を保管する貯蔵タンク(2)の内部で使用され、膨張ガス(13)を封じ込める少なくとも1つの膨張可能要素(11)を備える
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
膨張可能要素(11)が、膨張ガス(13)を供給または排出することによって広がったり折れ曲がったりする蛇腹式の壁(12)、或いは伸張式または展開式の1つまたは複数の壁を備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
可撓性の液体容器(1)が、可撓性の壁(8)を備え、及び/または液体の積荷(3)を供給または排出することによって広がったり折れ曲がったりする蛇腹式の壁(7)、或いは伸張式または展開式の1つまたは複数の壁を備える
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
膨張可能要素(11)及び/または液体容器(1)が、2つ以上の要素から構成されるか2つ以上の仕切りを備える
請求項1ないし3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
液体容器(1)の内部に膨張可能支持要素(10)が設けられ、その支持要素(10)が、膨張した使用位置において貯蔵タンク(2)の屋根(6)の支持体として、または膨張可能要素(11)の支持体として機能する
請求項1ないし4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
貯蔵タンク(2)の中に配置された液体容器(1)が、その上部に壁を備えず、膨張可能要素(11)が液体の積荷(3)の液面上に載置する
請求項1ないし5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
可撓性の液体容器(1)の容積が変化する際に、膨張可能要素(11)及び/または支持要素(10)の容積を適合させる手段を備える
請求項1ないし6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
膨張可能要素(11)及び/または支持要素(10)の容積を適合させる手段が、真空及び加圧手段;エアポンプ、圧縮装置(15)、または他の過剰圧エアシステムによって、圧力またはレベルが調節されたエアシステム;可撓性の液体容器と貯蔵タンクの壁の間に存在する液体の安全、警告または記録システムから選択される
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
貯蔵タンク(2)の屋根(6)が浮動式屋根であり、膨張可能要素(11)が、その屋根側に、屋根(6)の内部形状に対応する形状を備える
請求項5ないし8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
中に膨張ガス(13)を封じ込める膨張可能要素(11)が、貯蔵タンク(2)内の使用位置において基本的に膨張可能要素(11)が容器(2)の屋根(6)に対して当接し、可撓性の液体容器(1)が基本的に貯蔵タンク(2)の土台(16)に対して当接するように可撓性の液体容器(1)の上部側に設置される
請求項1ないし9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
膨張可能要素(11)及び可撓性の液体容器(1)がそれぞれ、流入及び流出手段などの接続手段(9、17)を備え、それによって膨張ガス(13)及び液体の積荷(3)がそれぞれ貯蔵タンクまたはタンクの壁に接触せずに貯蔵タンク(2)内に供給されるかまたはそこから外に排出される
請求項1ないし10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
膨張可能要素(11)が、貯蔵タンク(2)の容積と液体容器(1)の容積との容積差の部分を塞ぐ
請求項1ないし11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載のシステムを備えた貯蔵タンク(2)に、液体の積荷(3)を供給し、そこから排出する方法であって、
液体容器(1)の容積が変化するように液体の積荷(3)を可撓性の液体容器(1)に供給しそこから排出するステップと、
液体容器(1)の容積の変化を記録するステップと、
液体容器(1)内の容積の変化が補償されるように、膨張可能要素(11)に膨張ガス(13)を供給しそこから排出するステップとを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
貯蔵タンク(2)の屋根(6)の位置を動かすために、膨張可能要素(11)及び/または膨張可能支持要素(10)に膨張ガス(13)を供給するかまたはそこから排出するステップを含む
請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−501415(P2012−501415A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524919(P2011−524919)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【国際出願番号】PCT/NL2009/000163
【国際公開番号】WO2010/024662
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(511042740)アクシード ビー.ヴイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】ACCEDE B.V.
【住所又は居所原語表記】Josink Esweg 31,NL−7545 PN Enschede,Netherlands
【Fターム(参考)】