説明

液体送り装置並びに方法

【課題】本発明の目的は、様々な利用場面で、液体の精密な位置決めを容易に行うことが可能であり、設計並びに製作が容易な送液流路を提供することである。
【解決手段】液体16に連通される上流端部2と、下流端部4とを有する管状の送液流路1を有する液体送り装置。前記下流端部4は、前記送液流路1内のエアを吸引するエア吸引装置に接続される。前記上流端部2と下流端部4との間で、狭窄部6が、前記送液流路1の一部分を細くすることにより形成されている。前記狭窄部6と下流端部4との間で、外部エアと連通する分岐流路12が、前記送液流路1から分岐している。液体16は、前記下流端部4からのエア吸引によって、前記送液流路1内で上流から下流へと移動され、前記狭窄部6内で移動を妨げられ、そして、前記分岐流路12によってエア吸引による減圧が緩和されることにより、前記狭窄部6において位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、微量液体を用いて反応、分析を行うバイオ分析、化学分析、合成などに応用される、液体を所定の位置に正確に送液するための液体送り装置並びに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化学、バイオ分野におけるマイクロ分析又はマイクロ反応システムで、所定の位置に試料を正確に移動させることが、求められている。このため、マイクロシステムに搭載できるような小型で確実なマイクロバルブ又はマイクロポンプを、マイクロ加工技術によって実用化することが試みられている。また、マイクロバルブが複数配置されたマイクロシステムの実用化や、特にバイオ分野で、ディスポーザブルな使用が可能なマイクロシステムの実用化が、試みられている。
【0003】
非特許文献1では、簡単な構造の送液機構が、開示されている。この送液機構では、細管を流れる流体の圧力損失と表面張力とを利用している。この送液機構は、複数の流路が形成された円盤形状のディスクを有し、これら流路の各々は、ディスクの中心付近から、径方向に延びている。そして、これら流路中に、複数の疎水性狭窄部が、直列に配置されている。ディスクが回転されたとき、流路内の液体は、遠心力によって外向きに移動される。そして、液体は、疎水性狭窄部における圧力損失並びに表面張力の効果によって移動を妨げられる。
【0004】
ここで、液体に作用する遠心力は、ディスクの回転中心と液体との間の距離が大きくなるに従って大きくなる。また、この遠心力は、ディスクの回転数が大きくなるに従って大きくなる。一方、狭窄部における液体の圧力損失は、狭窄部の形状によって変化される。
【0005】
従って、この送液機構のディスクでは、液体に作用する圧力損失と遠心力とを、同一流路内の複数の狭窄部の各々においてバランスさせるために、以下の方法を用いている。即ち、ディスクの回転数を一定にする一方で、より外側の狭窄部においてより大きな圧力損失が液体に作用するように各狭窄部間で形状を変化させることによって、液体の回転半径の増大による遠心力の増大の効果を相殺している。このようにして、液体に作用する圧力損失と遠心力とが、バランスされることにより、液体の移動の調節が、可能となっている。
【0006】
以上のように、この送液機構では、圧力損失並びに表面張力を利用した非常にシンプルな構造で、バルブ機能が実現されている。従って、この送液機構は、小型化、アレイ化、ディスポーザブル使用の点で、有利となっている。
【非特許文献1】「MICROFLUIDICS IN A ROTATING CD」,Proceedings of uTAS 2000 Symposium,P311−314,2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1の送液機構については、ディスクを回転する遠心力方式では、局部加熱による反応などが困難で、利用場面が限定されるという問題がある。また、上述したように、より外側の狭窄部においてより大きな圧力損失が液体に作用するように、各狭窄部間で形状を変化させなければならない。このため、狭窄部を多数設ける程、設計の困難性が増加する。さらに、製作上の精度も、必要である。
【0008】
本発明の目的は、上記の課題を解決するために、様々な利用場面で、液体の精密な位置決めを容易に行うことが可能であり、設計並びに製作が容易な液体送り装置を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、様々な利用場面で、液体の精密な位置決めを容易に行うことが可能な液体送り方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、液体に連通される上流端部と、下流端部とを有する管状の送液流路を具備する液体送り装置において、前記下流端部は、前記送液流路内のエアを吸引するエア吸引装置に接続され、前記上流端部と下流端部との間で、狭窄部が、前記送液流路の一部分を細くすることにより形成されており、前記狭窄部と下流端部との間で、外部エアと連通する連通孔が、前記送液流路に設けられており、液体は、前記下流端部からのエア吸引によって、前記送液流路内で上流から下流へと移動され、前記狭窄部内で移動を妨げられ、そして、前記連通孔によってエア吸引による減圧が緩和されることにより、前記狭窄部において位置決めされることを特徴とする液体送り装置である。
【0011】
請求項2の発明は、液体に連通されるメイン上流端部と、メイン下流端部とを有する管状の送液流路を具備する液体送り装置において、前記メイン下流端部は、前記送液流路内のエアを吸引するエア吸引装置に接続され、前記送液流路は、上流端部と下流端部とを有する複数の管状のサブ送液流路を互いに直列に接続することによって形成され、各サブ送液流路において、前記上流端部と下流端部との間で、狭窄部が、前記サブ送液流路の一部分を細くすることにより形成されており、前記狭窄部と下流端部との間で、外部エアと連通する連通孔が、前記サブ送液流路に設けられており、いずれかのサブ送液流路において、液体は、前記下流端部からのエア吸引によって、前記サブ送液流路内で上流から下流へと移動され、前記狭窄部内で移動を妨げられ、そして、前記連通孔によってエア吸引による減圧が緩和されることにより、前記狭窄部において位置決めされることを特徴とする液体送り装置である。
【0012】
請求項3の発明は、液体に連通される上流端部と、下流端部とを有する複数の管状のサブ送液流路と、これらサブ送液流路の下流端部の各々と連通している上流側の合流端部を有する管状の合流路の下流端部に設けられているメイン下流端部とを有する送液流路を具備する液体送り装置において、前記メイン下流端部は、前記送液流路内のエアを吸引するエア吸引装置に接続され、各サブ送液流路において、前記上流端部と下流端部との間で、狭窄部が、前記サブ送液流路の一部分を細くすることにより形成されており、前記狭窄部と下流端部との間で、外部エアと連通する連通孔が、前記サブ送液流路に設けられており、各サブ送液流路において、液体は、前記下流端部からのエア吸引によって、各サブ送液流路内で上流から下流へと移動され、各狭窄部内で移動を妨げられ、そして、各連通孔によってエア吸引による減圧が緩和されることにより、各狭窄部において位置決めされることを特徴とする液体送り装置である。
【0013】
請求項4の発明は、前記エア吸引は、一定量のエア吸引であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1の液体送り装置である。
【0014】
請求項5の発明は、前記液体は、前記送液流路内で、液体の上流側と下流側とにエアが配置された状態で移動されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1の液体送り装置である。
【0015】
請求項6の発明は、上流端部と、下流端部とを有する管状の送液流路内で、液体を移動させる液体送り方法において、前記上流端部を液体に連通させる工程と、前記送液流路内の液体を上流から下流へと移動させるように、前記下流端部からエアを吸引する工程と、前記上流端部と下流端部との間で前記送液流路の一部分を細くすることにより形成された狭窄部内で、液体の移動を妨げる工程と、前記狭窄部と下流端部との間で、前記送液流路内と外部エアとを連通してエア吸引による減圧を緩和することにより、前記狭窄部において液体を位置決めする工程とを具備することを特徴とする液体送り方法である。
【0016】
請求項7の発明は、互いに直列に接続されている、上流端部と下流端部とを有する複数の管状のサブ送液流路と、メイン上流端部と、メイン下流端部とを有する管状の送液流路内で、液体を移動させる液体送り方法において、前記メイン上流端部を液体に連通させる工程と、前記送液流路内の液体を上流から下流へと移動させるように、前記メイン下流端部からエアを吸引する工程と、いずれかの前記サブ送液流路において、前記上流端部と下流端部との間で前記サブ送液流路の一部分を細くすることにより形成された狭窄部内で、液体の移動を妨げる工程と、液体が移動を妨げられている前記サブ送液流路において、前記狭窄部と下流端部との間で、前記サブ送液流路内と外部エアとを連通してエア吸引による減圧を緩和することにより、前記狭窄部において液体を位置決めする工程とを具備することを特徴とする液体送り方法である。
【0017】
請求項8の発明は、上流端部と、下流端部とを有する複数の管状のサブ送液流路と、これらサブ送液流路の下流端部の各々と連通している上流側の合流端部を有する管状の合流路の下流端部に設けられているメイン下流端部とを有する送液流路内で、液体を移動させる液体送り方法において、各上流端部を液体に連通させる工程と、各サブ送液流路内の液体を上流から下流へと移動させるように、前記メイン下流端部からエアを吸引する工程と、各サブ送液流路において、各上流端部と各下流端部との間で各サブ送液流路の一部分を細くすることにより形成された各狭窄部内で、液体の移動を妨げる工程と、各サブ送液流路において、各狭窄部と各下流端部との間で、各サブ送液流路内と外部エアとを連通してエア吸引による減圧を緩和することにより、各狭窄部において液体を位置決めする工程とを具備することを特徴とする液体送り方法である。
【0018】
請求項9の発明は、前記エアを吸引する工程は、一定量のエアを吸引する工程であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1の液体送り方法である。
【0019】
請求項10の発明は、前記液体は、前記送液流路内で、液体の上流側と下流側とにエアが配置された状態で移動されることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1の液体送り方法である。
【発明の効果】
【0020】
以上詳記したように本発明によれば、送液流路を容易に設計並びに製作することが可能とされており、また、様々な利用場面で、液体の厳密な位置決めを容易に行うことが、可能とされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下で、他とは独立して、本発明の液体送り装置並びに方法の基礎となっている原理並びにその原理に関する実験結果について述べる。
【0022】
上流端部と、下流端部とを有する管状の送液流路を考察する。前記上流端部は、液体に連通され、前記下流端部は、前記送液流路内のエアを吸引するエア吸引装置に接続される。前記上流端部と下流端部との間で、狭窄部が、前記送液流路の一部分を細くすることにより形成されている。また、前記狭窄部と下流端部との間で、外部エアと連通する連通孔が、前記送液流路に設けられている。
【0023】
液体は、前記下流端部からのエア吸引によって、前記送液流路内で上流から下流へと移動され、前記狭窄部内で移動を妨げられ、そして、前記連通孔によってエア吸引による減圧が緩和されることにより、前記狭窄部において位置決めされる。
【0024】
前記連通孔が、前記送液流路から分岐された分岐流路の形態である場合について考察する。なお、前記送液流路の、前記狭窄部の下流の部分を、前記分岐流路と区別して下流流路と呼ぶ。
【0025】
前記送液流路において、狭窄部の形状、並びに、外部エアと連通する前記分岐流路の形状をどのようにすれば良いかは、吸引エア量、吸引側の減圧状態、温度並びに液体の粘性等と関連し、一概に定めることは、難しい。
【0026】
前記狭窄部内の圧力損失の大きさは、以下のように見積もることが可能である。前記狭窄部内での液体の流れは層流(低レイノルズ数)となると想定できるので、圧力損失の大きさは、ハーゲン・ポアズイユの法則を用いて計算することができる。前記狭窄部の断面が、円形である場合、ハーゲン・ポアズイユの式は、以下のようになる。
Q=(πR/8μ)・(ΔP/L) (1)
ΔP=LQ・(8μ/πR) (2)
ここで、ΔPは前記狭窄部全体に渡る液体の圧力損失の大きさ、Lは前記狭窄部の長さ、Qは前記狭窄部を通過する単位時間当たりの液体の流量、μは液体の粘度、Rは前記狭窄部の管半径である。
【0027】
式(2)のモデルは、前記狭窄部の断面が、円形である場合を対象としている。以下では、前記狭窄部の断面が、矩形である場合を考察する。ここでは、レイノルズ計算で用いられる円管と矩形管との変換式(表面積/体積比の計算式)を用いることができる。この関係式を以下に示す。
Re=4mV/ν (3)
m=ab/(a+b) (4)
2R=4m (5)
ここで、Reはレイノルズ数、mは変換パラメータ、Vは流れの場の代表速さ、νは液体の動粘度である。また、図1(A)に示されるように、2aが、矩形管の幅、2bが、矩形管の高さである。
【0028】
また、前記狭窄部における実効的な表面張力をPとすると、
P=γ・cosθ(a+b)/ab (6)
である。ここで、γは液体の表面張力、θは液面と前記狭窄部の側面との接触角である。
【0029】
式(2)、(4)、(5)、(6)を用いて、前記狭窄部における圧力損失の大きさと実効的な表面張力との和ΔP+Pを見積もる。送液される液体が、水である場合について計算する。幅500μm、高さ100μmの矩形管の前記送液流路に前記狭窄部を設ける場合について計算する。前記狭窄部の高さ2bを前記送液流路の高さと同じ100μmとし、前記狭窄部の幅2aを変化させる。液体の流速を10mm/secとする。θは、シリコン樹脂等で流路を形成した場合には、約90〜110度である。γは、温度により変化され、10℃で74.2mN/m、30℃で71.15mN/m、50℃で67.90mN/mである。前記狭窄部の幅2aを変化させた場合の、圧力損失の大きさと実効的な表面張力との和ΔP+Pの計算結果を図1(B)に示す。図1(B)では、水温が、10℃、30℃、50℃の各場合について示している。
【0030】
前記狭窄部の形状については、前記狭窄部における液体の圧力損失の大きさが、少なくとも大気圧(約100kPa)以下となるように決定するべきである。なぜなら、大気圧以上の圧力損失の大きさでは、前記狭窄部を通り抜けるためには上流側から加圧する必要があり、実用的ではないからである。ここで、図1(B)に示されるように、前記狭窄部の幅が、約10μm以上の場合に、圧力損失の大きさと実効的な表面張力との和が、大気圧以下になる。
【0031】
ところで、エア吸引による減圧については、大気圧の半分程度が実用的である。この場合、圧力損失の大きさと実効的な表面張力との和が、大気圧の半分程度以下であれば、上流側からさらに加圧する必要はない。ここで、図1(B)に示されるように、前記狭窄部の幅が、約20μm以上の場合に、圧力損失の大きさと実効的な表面張力との和が、大気圧の半分程度以下になる。
【0032】
一方、前記狭窄部の幅を大きくすると、図1(B)に示されるように、圧力損失の大きさと実効的な表面張力との和が、小さくなる。このとき、液体は、前記下流端部からのエア吸引に対して、前記狭窄部内でも容易に移動され得る。このため、液体を狭窄部において位置決めする際、液体を吸引するためのエア吸引の量を精密に調節する必要が生じる。即ち、エア吸引の揺らぎの許容範囲が小さくなる。従って、エア吸引の揺らぎの許容範囲の観点のみから言えば、前記狭窄部の幅は、可能な限り小さいことが好ましい。
【0033】
以上の観点から、実際上、狭窄部の幅は、約20μmが望ましい。
【0034】
さらに、前記分岐流路について考察する。この分岐流路の目的は、前記送液流路内の圧力を緩和することである。従って、前記分岐流路は、外部エアと連通されていれば、その目的を達成することが出来る。エア吸引時の、前記分岐流路並びに前記下流流路内のエアの運動については、エアの密度が温度や圧力によって変化するので、マッハ数が支配的なパラメータになる。また、エアの運動が、膨張波的な圧力変動となるような比較的急速なエア吸引により、液体の移動を行うことを前提としているので、エアの運動を簡単に見積もることは困難である。
【0035】
実際の実験において、前記下流流路に対し、1/10の断面積をもつ分岐流路を形成した。この実験で、前記狭窄部内で液体の移動を妨げ、前記送液流路の下流流路内の残留圧力を緩和し、前記狭窄部において液体を位置決めするという目的を十分に達成することが出来た。即ち、シリンジポンプを用いてエア吸引を行ったところ、幅1mm、高さ100μmの流路に対し、700μlのエア吸引により数μl〜15μlの液体を前記狭窄部において位置決めすることができた。
【0036】
また、エア吸引量を増加させることにより、分岐流路の断面積をさらに大きくすることも可能である。しかし、分岐流路の断面積を大きくすると分岐流路からの吸引量が増え、液体を移動させる効率が減少するので断面積は下流流路と同等以下が望ましい。
【0037】
ところで、前記連通孔の目的は、外部エアを取り入れることである。この目的を達成できれば、前記連通孔は、前記分岐流路の形態である必要はない。残留圧力の緩和を急激に行う必要がなければ、連通孔は、例えば、φ10μm程度のピンホールで十分である。非常に粗い見積もりであるが、100μlのエアを吸引し、10μlの液を移動した場合、残留圧力の緩和に要する時間は数秒である。厳密には液体の粘性、エア吸引速度等を考慮してシミュレーションする必要があるが、ピンホールをφ100μmとした場合には緩和時間はその約1/100になる。このように分岐流路ではなくピンホールを用いれば、不連続的で比較的高速の気体の流れによる分岐流路内の管内摩擦を考慮する必要はなくなる。
【0038】
以上の考察に基づき、本発明の実施形態を以下で説明する。
【0039】
以下、本発明の第1実施形態を図2(A)、(B)、(C)を参照して説明する。図2(A)は、本実施形態の液体送り装置の送液流路1を示している。この送液流路1は、管状の流路であり、上流端部2と、下流端部4とを有する。この上流端部2は、送液される液体に連通される。本実施形態では、前記上流端部2は、リザーバ14に接続され、このリザーバ14内部と連通している。また、図示されていないが、前記リザーバ14の内部は、送液される液体の上流側に大気圧が作用するように、外部エアとも連通している。一方、前記下流端部4に、前記送液流路1内のエアを吸引するためのエア吸引装置が、接続され得る。このエア吸引装置としては、例えば、シリンジポンプやダイヤフラムポンプが、使用される。
【0040】
前記送液流路1の一部に、液体を位置決めするための狭窄部6が、設けられている。この狭窄部6は、前記送液流路1を細くすることによって形成された細管形状の部分である。そして、前記送液流路1において、前記狭窄部6より上流側を上流流路8、下流側を下流流路10と呼ぶ。この下流流路10から、分岐流路12が、分岐されている。この分岐流路12は、一方で前記下流流路10と連通し、他方で外部エアと連通している。前記分岐流路12の内径は、好ましくは、前記下流流路10の内径よりも充分小さい。また、前記分岐流路12には、この分岐流路12を開閉するためのバルブが、設けられ得る。
【0041】
次に、図2(B)、(C)を用いて、本実施形態の送液流路1における液体送り方法について説明する。図2(B)に示されるように、前記リザーバ14内に、液体16を貯留する。そして、図2(C)の矢印18で示されるように、前記下流端部4から、前記送液流路1内のエアを所定の量だけ吸引する。吸引するエアの量は、液体16に作用する吸引力と、前記狭窄部6において液体16に作用する圧力損失及び表面張力とがバランスして、液体16が、前記狭窄部6内で充分に移動を妨げられるように調節される。前記送液流路1からのエアの吸引量は、液体16の移動量より過剰である。従って、エア吸引の後、前記下流流路10は、減圧状態となっている。この残留圧力は、矢印20で示されるように、前記分岐流路12からのエア吸引によって緩和される。この結果、液体16の移動は、停止され、液体16は、前記狭窄部6において位置決めされる。図2(B)、(C)に示されるように、好ましくは、液体16は、上流側と下流側とにエアが配置されている状態で移動される。
【0042】
そこで、上記送液流路1を有する液体送り装置並びにこの送液流路1を用いた液体送り方法にあっては次の効果を奏する。即ち、前記送液流路1内の液体16の移動方法として、前記下流端部4からのエア吸引による方法を採用しているため、前記送液流路1を静置状態で使用することが可能となっている。従って、利用場面が限定されることがなく、例えば、局部的な加熱も可能である。
【0043】
また、液体16の位置決めを前記狭窄部6によって行っているため、圧力損失が大きくとられており、エア吸引圧力の揺らぎに対する許容範囲が、広げられている。従って、エア吸引量を微妙に調整する必要性が、排除されている。
【0044】
なお、前記送液流路1の形状は、長方形、正方形、円形などいかような形状でもよい。また、前記狭窄部6の形状についても同様である。
【0045】
以下、本発明の第2実施形態を図3(A)、(B)、(C)、(D)を参照して説明する。図3(A)は、本実施形態の液体送り装置の送液流路30を示している。この送液流路30は、管状の送液流路であり、第1実施形態の送液流路1と同様な構造を有する3つのサブ流路1a、1b、1cを直列に接続することによって形成されている。即ち、前記送液流路1の下流端部を、別の送液流路1の上流端部に連通させ、この別の送液流路1の下流端部を、さらに別の送液流路1の上流端部に連通させることによって形成されている。従って、各々のサブ流路1a、1b、1cは、第1実施形態の送液流路1と同様な狭窄部6a、6b、6c並びに分岐流路12a、12b、12cを有する。本実施形態の送液流路30の上流端部32は、第1実施形態の前記送液流路1の上流端部2と同様な構成であり、また、下流端部34は、前記送液流路1の下流端部4と同様な構成である。前記上流端部32に、第1実施形態で説明したものと同様なリザーバ14が、接続されている。
【0046】
さらに、前記分岐流路12a、12b、12cの各々には、これら分岐流路を開閉するためのバルブ36a、36b、36cが、設けられている。これらバルブ36a、36b、36cは、好ましくはマイクロバルブである。また、本実施形態の送液流路30内は、後述するように減圧方向である。従って、前記バルブ36a、36b、36cとして、例えば、マイクロ加工によって形成されたシリコン樹脂性のダイヤフラムを用いた、流路内圧が減圧状態の時にシール性を発揮できるような構造のバルブを使用することが可能である。
【0047】
次に、図3(A)、(B)、(C)、(D)を用いて、本実施形態の送液流路30における液体送り方法について説明する。図3(A)に示されるように、前記リザーバ14内に、液体16を貯留する。そして、バルブ36a、36b、36cを、開、閉、閉の状態にする。この状態で、図3(B)の矢印38で示されるように、前記下流端部34から、前記送液流路30内のエアを所定の量だけ吸引し、前記狭窄部6a中へと液体16を移動させる。吸引するエアの量は、第1実施形態の場合と同様に決定される。また、残留圧力の緩和は、矢印40で示されるように、前記分岐流路12aからのエア吸引によって行われる。このようにして、液体16は、前記狭窄部6aにおいて位置決めされる。続いて、前記バルブ36a、36b、36cを、閉、開、閉の状態にする。この状態で、前記狭窄部6aでの位置決めと同様に、図3(C)に示されるように、液体16を前記狭窄部6bによって位置決めする。図3(C)の矢印42で示されるように、残留圧力の緩和は、前記分岐流路12bからのエア吸引によって行われる。さらに続いて、前記バルブ36a、36b、36cを、閉、閉、開の状態にする。この状態で、前記狭窄部6bでの位置決めと同様に、図3(D)に示されるように、液体16を前記狭窄部6cによって位置決めする。図3(D)の矢印44で示されるように、残留圧力の緩和は、前記分岐流路12cからのエア吸引によって行われる。図3(B)、(C)、(D)で示されるように、好ましくは、液体16は、上流側と下流側とにエアが配置されている状態で移動され得る。さらに好ましくは、移動される液体16の量は、所定の狭窄部において位置決めされた際、この狭窄部を有する1つのサブ流路内に収容される量であり得る。
【0048】
そこで、上記送液流路30を有する液体送り装置並びにこの送液流路30を用いた液体送り方法にあっては次の効果を奏する。即ち、本送液流路30においては、前記狭窄部6a、6b、6cを直列に配設し、これら狭窄部6a、6b、6cと分岐流路12a、12b、12cとを夫々組み合わせ、前記下流端部34から、前記送液流路30内のエアを吸引することによって、液体を送液する構成となっている。従って、本送液流路30では、これら狭窄部6a、6b、6cの形状を変える必要はなく、液体を移動したい位置の前記狭窄部に対応した前記分岐流路を外部エアと連通させることにより、容易に位置制御を行うことが可能である。
【0049】
さらに、前記バルブ36a、36b、36cとしてマイクロバルブを用いる場合には次の効果を奏する。即ち、マイクロバルブでは、シールするために必要な密閉性や密着力が十分ではないため、シール性が問題となる。しかしながら、本送液流路30では、送液流路内圧は減圧方向であるので、流路内圧が高い状態を考える必要はない。また、本送液流路30では、マイクロバルブの厳密な開閉位置制御は必要ないので、一般的に必要とされる厳密なバルブ機能を必要としない。このため、マイクロバルブを非常に単純な構造にすることができ、マイクロバルブの小型化、アレイ化が容易になる。従って、マイクロバルブを含む流体回路構築が実現しやすくなっている。
【0050】
なお、本実施の形態では第1実施形態の送液流路1を3つ直列に繋げた構造としたが、個数にとらわれることなく2つでもまた、4つ以上でもよい。
【0051】
以下、本発明の第3実施形態を図4(A)、(B)を参照して説明する。図4(A)は、本実施形態の液体送り装置の送液流路50を示している。この送液流路50は、3つのサブ流路30a、30b、30cを並列に配置することによって形成されている。これらサブ流路30a、30b、30cの各々は、2つのサブ流路を有する第2実施形態の送液流路30と同様な構造を有する。前記サブ流路30aの上流端部32aは、第1実施形態で説明したものと同様なリザーバ14aに接続されている。同様に、前記サブ流路30bの上流端部32bは、リザーバ14bに接続され、また、前記サブ流路30cの上流端部32cは、リザーバ14cに接続されている。一方、これらサブ流路30a、30b、30cの下流端部34a、34b、34cは、管状の合流路56の上流側の合流端部56aに連通している。この合流路56の下流端部56bに、前記送液流路50のメイン下流端部54が、設けられている。このメイン下流端部54は、前記送液流路1の下流端部4と同様な構成である。
【0052】
前記サブ流路30aは、上流側の狭窄部6d、分岐流路12d、バルブ36d、並びに、下流側の狭窄部6e、分岐流路12e、バルブ36eを有する。同様に、前記サブ流路30bは、上流側の狭窄部6f、分岐流路12f、バルブ36f、並びに、下流側の狭窄部6g、分岐流路12g、バルブ36gを有し、前記サブ流路30cは、上流側の狭窄部6h、分岐流路12h、バルブ36h、並びに、下流側の狭窄部6i、分岐流路12i、バルブ36iを有する。
【0053】
次に、図4(A)、(B)を用いて、本実施形態の送液流路50における液体送り方法について説明する。図4(A)に示されるように、前記リザーバ14a、14b、14cの各々内に、液体16a、16b、16cを貯留する。そして、上流側のバルブ36d、36f、36hを開状態、下流側のバルブ36e、36g、36iを閉状態にする。この状態で、図4(B)の矢印58で示されるように、前記メイン下流端部54から、前記送液流路50内のエアを所定の量だけ吸引して、液体16a、16b、16cを、前記狭窄部6d、6f、6h中へと移動させる。また、残留圧力の緩和は、矢印60a、60b、60cで示されるように、前記分岐流路12d、12f、12hからのエア吸引によって行われる。このようにして、液体16a、16b、16cを、前記狭窄部6d、6f、6hにおいて夫々位置決めする。続いて、上流側のバルブ36d、36f、36hを閉状態、下流側のバルブ36e、36g、36iを開状態して、液体16a、16b、16cの各々を次の前記狭窄部6e、6g、6iに移動させることができる。
【0054】
そこで、上記送液流路50を有する液体送り装置並びにこの送液流路50を用いた液体送り方法にあっては次の効果を奏する。即ち、本実施形態の送液流路50では、前記3つのサブ流路30a、30b、30cを並列に配置し、これらサブ流路30a、30b、30cの下流端部34a、34b、34cを前記合流路56の上流側の合流端部56aに連通させ、この合流路56の下流端部に、前記送液流路50のメイン下流端部54を設けた構成となっている。また、第1実施形態の効果において述べたように、前記サブ流路30a、30b、30cの各々において、吸引量の許容範囲が広げられている。このため、前記送液流路50自体の吸引量の許容範囲が、広げられている。従って、前記サブ流路30a、30b、30cの各々にエア吸引装置を配置して、これら吸引装置を独立に制御する構成とする必要はなく、1つのエア吸引装置を用いて、全てのサブ流路をまとめて吸引することが可能となっている。この結果、エア吸引装置が1つで済み、送液システムが、簡単になるという効果を奏する。
【0055】
なお、本実施形態は、第2実施形態の送液流路を3つ並列に配置した構成となっているが、個数にとらわれることなく2つでもまた、4つ以上でもよい。
【0056】
上述した3つの実施形態では、連通孔として分岐流路を用いているが、連通孔は、このような分岐流路の形態に限られず、前記下流流路を外部エアに連通することが可能な様々な形態で実施され得る。
【0057】
また、上述した3つの実施形態では、管状の送液流路を用いているが、シリコン基盤に微細加工を施すことにより、送液流路を形成することも可能である。
【0058】
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。

(付記項1) 前記連通孔は、前記送液流路から分岐している分岐流路の形態であることを特徴とする請求項1の液体送り装置。
【0059】
(付記項2) 前記連通孔は、前記サブ送液流路から分岐している分岐流路の形態であることを特徴とする請求項2又は3の液体送り装置。
【0060】
(付記項3) 前記分岐流路には、バルブが設けられていることを特徴とする付記項1又は2の液体送り装置。
【0061】
(付記項4) 前記分岐流路の少なくとも1つには、バルブが設けられていることを特徴とする付記項2の液体送り装置。
【0062】
(付記項5) 前記バルブは、マイクロバルブであることを特徴とする付記項3又は4の液体送り装置。
【0063】
(付記項6) 前記減圧の緩和は、前記狭窄部と下流端部との間で前記送液流路に設けられ、外部エアと連通する連通孔によって行われることを特徴とする請求項6の液体送り方法。
【0064】
(付記項7) 前記残存圧力の緩和は、各サブ送液流路において、前記狭窄部と下流端部との間で前記サブ送液流路に設けられ、外部エアと連通する連通孔によって行われることを特徴とする請求項7又は8の液体送り方法。
【0065】
(付記項8) 前記連通孔は、前記送液流路から分岐している分岐流路の形態であることを特徴とする付記項6の液体送り方法。
【0066】
(付記項9) 前記連通孔は、前記サブ送液流路から分岐している分岐流路の形態であることを特徴とする付記項7の液体送り方法。
【0067】
(付記項10) 前記分岐流路には、バルブが設けられていることを特徴とする付記項8又は9の液体送り方法。
【0068】
(付記項11) 前記分岐流路の少なくとも1つには、バルブが設けられていることを特徴とする付記項9の液体送り方法。
【0069】
(付記項12) 前記バルブは、マイクロバルブであることを特徴とする付記項10又は11の液体送り方法。
【0070】
(付記項13) 前記狭窄部において液体に作用する圧力損失の大きさは、大気圧の半分程度以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1の液体送り装置。
【0071】
(付記項14) 前記狭窄部において液体に作用する圧力損失の大きさは、大気圧の半分程度以下であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1の液体送り方法。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】(A)は、レイノルズ計算で用いられる円管と矩形管との変換式を説明するための説明図、(B)は、本発明の狭窄部における圧力損失の大きさと実効的な表面張力との和の計算結果を示すグラフ。
【図2】(A)は、本発明の第1実施形態の液体送り装置の送液流路の全体の概略構成を示す断面図、(B)は、同実施形態の送液流路における液体送りの第1段階を示す説明図、(C)は、同実施形態の送液流路における液体送りの第2段階を示す説明図。
【図3】(A)は、本発明の第2実施形態の送液装置の送液流路の全体の概略構成を示し、同実施形態の送液流路における液体送りの第1段階を示す説明図、(B)は、同実施形態の送液流路における液体送りの第2段階を示す説明図、(C)は、同実施形態の送液流路における液体送りの第3段階を示す説明図、(D)は、同実施形態の送液流路における液体送りの第4段階を示す説明図。
【図4】(A)は、本発明の第3実施形態の液体送り装置の送液流路の全体の概略構成を示し、同実施形態の送液流路における液体送りの第1段階を示す説明図、(B)は、同実施形態の送液流路における液体送りの第2段階を示す説明図。
【符号の説明】
【0073】
1…送液流路、2…上流端部、4…下流端部、6…狭窄部、12…連通孔(分岐流路)、16…液体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に連通される上流端部と、下流端部とを有する管状の送液流路を具備する液体送り装置において、
前記下流端部は、前記送液流路内のエアを吸引するエア吸引装置に接続され、
前記上流端部と下流端部との間で、狭窄部が、前記送液流路の一部分を細くすることにより形成されており、
前記狭窄部と下流端部との間で、外部エアと連通する連通孔が、前記送液流路に設けられており、
液体は、前記下流端部からのエア吸引によって、前記送液流路内で上流から下流へと移動され、前記狭窄部内で移動を妨げられ、そして、前記連通孔によってエア吸引による減圧が緩和されることにより、前記狭窄部において位置決めされることを特徴とする液体送り装置。
【請求項2】
液体に連通されるメイン上流端部と、メイン下流端部とを有する管状の送液流路を具備する液体送り装置において、
前記メイン下流端部は、前記送液流路内のエアを吸引するエア吸引装置に接続され、
前記送液流路は、上流端部と下流端部とを有する複数の管状のサブ送液流路を互いに直列に接続することによって形成され、各サブ送液流路において、前記上流端部と下流端部との間で、狭窄部が、前記サブ送液流路の一部分を細くすることにより形成されており、前記狭窄部と下流端部との間で、外部エアと連通する連通孔が、前記サブ送液流路に設けられており、
いずれかのサブ送液流路において、液体は、前記下流端部からのエア吸引によって、前記サブ送液流路内で上流から下流へと移動され、前記狭窄部内で移動を妨げられ、そして、前記連通孔によってエア吸引による減圧が緩和されることにより、前記狭窄部において位置決めされることを特徴とする液体送り装置。
【請求項3】
液体に連通される上流端部と、下流端部とを有する複数の管状のサブ送液流路と、
これらサブ送液流路の下流端部の各々と連通している上流側の合流端部を有する管状の合流路の下流端部に設けられているメイン下流端部とを有する送液流路を具備する液体送り装置において、
前記メイン下流端部は、前記送液流路内のエアを吸引するエア吸引装置に接続され、
各サブ送液流路において、前記上流端部と下流端部との間で、狭窄部が、前記サブ送液流路の一部分を細くすることにより形成されており、前記狭窄部と下流端部との間で、外部エアと連通する連通孔が、前記サブ送液流路に設けられており、
各サブ送液流路において、液体は、前記下流端部からのエア吸引によって、各サブ送液流路内で上流から下流へと移動され、各狭窄部内で移動を妨げられ、そして、各連通孔によってエア吸引による減圧が緩和されることにより、各狭窄部において位置決めされることを特徴とする液体送り装置。
【請求項4】
前記エア吸引は、一定量のエア吸引であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1の液体送り装置。
【請求項5】
前記液体は、前記送液流路内で、液体の上流側と下流側とにエアが配置された状態で移動されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1の液体送り装置。
【請求項6】
上流端部と、下流端部とを有する管状の送液流路内で、液体を移動させる液体送り方法において、
前記上流端部を液体に連通させる工程と、
前記送液流路内の液体を上流から下流へと移動させるように、前記下流端部からエアを吸引する工程と、
前記上流端部と下流端部との間で前記送液流路の一部分を細くすることにより形成された狭窄部内で、液体の移動を妨げる工程と、
前記狭窄部と下流端部との間で、前記送液流路内と外部エアとを連通してエア吸引による減圧を緩和することにより、前記狭窄部において液体を位置決めする工程とを具備することを特徴とする液体送り方法。
【請求項7】
互いに直列に接続されている、上流端部と下流端部とを有する複数の管状のサブ送液流路と、メイン上流端部と、メイン下流端部とを有する管状の送液流路内で、液体を移動させる液体送り方法において、
前記メイン上流端部を液体に連通させる工程と、
前記送液流路内の液体を上流から下流へと移動させるように、前記メイン下流端部からエアを吸引する工程と、
いずれかの前記サブ送液流路において、前記上流端部と下流端部との間で前記サブ送液流路の一部分を細くすることにより形成された狭窄部内で、液体の移動を妨げる工程と、
液体が移動を妨げられている前記サブ送液流路において、前記狭窄部と下流端部との間で、前記サブ送液流路内と外部エアとを連通してエア吸引による減圧を緩和することにより、前記狭窄部において液体を位置決めする工程とを具備することを特徴とする液体送り方法。
【請求項8】
上流端部と、下流端部とを有する複数の管状のサブ送液流路と、これらサブ送液流路の下流端部の各々と連通している上流側の合流端部を有する管状の合流路の下流端部に設けられているメイン下流端部とを有する送液流路内で、液体を移動させる液体送り方法において、
各上流端部を液体に連通させる工程と、
各サブ送液流路内の液体を上流から下流へと移動させるように、前記メイン下流端部からエアを吸引する工程と、
各サブ送液流路において、各上流端部と各下流端部との間で各サブ送液流路の一部分を細くすることにより形成された各狭窄部内で、液体の移動を妨げる工程と、
各サブ送液流路において、各狭窄部と各下流端部との間で、各サブ送液流路内と外部エアとを連通してエア吸引による減圧を緩和することにより、各狭窄部において液体を位置決めする工程とを具備することを特徴とする液体送り方法。
【請求項9】
前記エアを吸引する工程は、一定量のエアを吸引する工程であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1の液体送り方法。
【請求項10】
前記液体は、前記送液流路内で、液体の上流側と下流側とにエアが配置された状態で移動されることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1の液体送り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−263611(P2006−263611A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86571(P2005−86571)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】