説明

液体食品および飲料の安定化

【課題】本発明は、官能化イオン交換樹脂を使用して、退色を最小限にしつつ、ヘイズ形成化合物を除去する有効な方法を提供することにより、当該技術分野の課題を解決する。
【解決手段】本発明は飲料安定化に関し、より詳細には、イオン交換樹脂技術を用いてヘイズ形成物質を除去することによる飲料の安定化方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体食品および飲料安定化に関し、より詳細には、イオン交換樹脂技術を用いたヘイズ形成物質を除去することによる液体食品および飲料の安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘイズは、飲料および液体食品産業において一般的に共有されている主要な問題である。しかし、産業に応じて、ヘイズは異なる方法で生じる。ビール産業においては、ヘイズは「コールドまたはチルヘイズ」と称される。ヘイズは、タンパク質が低温で不安定になることにより生じる曇りとして定義される。このヘイズ問題は、ビールの品質および保存期限に悪影響をもたらす表面的な問題を提供する。逆に、白ワインヘイズは不安定なタンパク質が、常温からより高い温度の範囲の温度のような、より高い貯蔵温度に反応することに由来する。「コールドヘイズ」と同様に、これは表面的なおよび保存期限の安定性問題を生じさせる。
【0003】
ヘイズ形成物質の量、およびそれがヘイズを形成する傾向はいくつかの要因に依存する。ビールの場合には、例えば、それぞれのビールは、プロセス変数、ホップおよび大麦の品質などの醸造所の選択に依存して、組成が固有のものである。これは、一般的に受け入れられている試験によって測定される場合に、許容できる水準の安定性/安定化が、ビールの種類および/または醸造所の間で変化する場合があり、よってそれ故に安定化についての固定された限界は設定するのが困難であることを意味する。
【0004】
液体食品および飲料におけるヘイズに関連した問題を修正し、それによりサンプルを安定化する試みが当該技術分野において存在する。そのような試みの一つが米国特許第6,001,406号に開示されており、その特許はポリフェノールおよびタンパク質物質をポリマー系物質を用いて除去することによる飲料の安定化方法を開示する。米国特許第6,001,406号は液体食品および/または飲料を安定化する方法を開示するが、それはポリフェノールをサンプルから除去することによる退色という別の問題を生じさせる。ヘイズを効果的に取り除くことが多くの液体食品および飲料についての課題であるのと同様に、退色も課題である。飲料の色を保持することは、とりわけ、多くの飲料製造業者に望まれる特性である。多くの場合、どの程度の色がサンプルから除かれるかが不確かである場合には、製造業者はヘイズ除去またはサンプル安定化のための方法を使用しないであろう。よって、退色を最小限にしつつ、ヘイズ形成化合物を除去することによる液体食品および飲料を安定化する方法についての必要性が依然として存在している。
【0005】
飲料、特にワインからヘイズ形成タンパク質を除去する別の試みはタンパク質分解酵素またはベントナイトの使用によるものであった。ベントナイトは微細なクレイ粉体であり、これは一旦使用され、次いでろ過して除去される。ベントナイトの使用は、ワイン製造者がそれを除去するために珪藻土(DE)フィルターを使用することも要求する。ベントナイトおよびDEを使用して退色が最小化されうるが、ベントナイトおよびDEの使用は、結果としてワイン製造者に別の様々な問題をもたらす。このような問題には、ワインに対する悪い味、ワインの品質の悪化、およびベントナイトを使用することにより時間がかかることによるプロセスの非効率性が挙げられる。ベントナイト方法は沈降についていくつかの弱点を有しうる。多くの場合、多大な在庫がタンク容量に拘束され、よってプラントスループットが限定される。さらに、ベントナイトおよびDEの廃棄が高価であり、環境問題をもたらし、DEの使用は収率損失を生じさせる。さらに、ベントナイトは、特定のろ過技術、例えば、残留する濁りをろ過するのに好適な最終仕上げ限外ろ過の使用を妨げる。ベントナイトは限外過膜に損傷を与える場合もあり、限外ろ過技術ほど有効ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,001,406号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、官能化イオン交換樹脂を使用して、退色を最小限にしつつ、ヘイズ形成化合物を除去する有効な方法を提供することにより、当該技術分野の課題を解決する。この方法は、ベントナイトおよびDE単独よりも低い濁りまたはヘイズ含有生成物を生じさせる限外ろ過の使用も可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従って、
ヘイズ形成タンパク質(haze−forming protein)を含む少なくとも1種の液体食品または飲料を提供し;並びに
60オングストローム〜300オングストロームの平均細孔直径、250m/g〜900m/gの乾燥樹脂の表面積、および0.8ml/g〜1.8ml/gの範囲の細孔容積を有する官能化イオン交換樹脂と、液体食品または飲料を接触させることにより、ヘイズ形成タンパク質の少なくとも一部分を除去すること;
を含む、液体食品および飲料を安定化する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において使用される場合、「安定化」はヘイズ形成(haze formation)をより困難にするために、潜在的なヘイズ形成物質を除去することを意味する。
本明細書において使用される場合、「液体食品および/または飲料」は、安全で、非毒性で、生物種による摂取が可能な、ありのままの状態で室温で液体である任意の生産物を意味する。本発明の液体食品および/または飲料の例としては、ワイン、ビール、フルーツジュースおよびシロップが挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において使用される場合、ヘイズ(haze)は加速加熱(accelerated heat)ヘイズ試験法(NTU単位)を用いて測定される。「低ヘイズ」の安定化されていない(unstabilized)ワインは、25NTU未満の加速加熱ヘイズ値を有するワインとして定義される。「高ヘイズ」の安定化されていないワインは、25NTU以上の加速加熱ヘイズ値を有するワインとして定義される。
【0010】
本発明のヘイズ形成化合物を除去するのに好適なイオン交換樹脂は、官能化されたスチレン類のポリマー、例えばスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーである。典型的には、官能化イオン交換樹脂はスルホン化されている。
【0011】
本発明のイオン交換樹脂は、60〜300オングストローム;あるいは100〜200オングストロームの平均細孔直径を有する。イオン交換樹脂はMicromeritics Surface Area and Porosity AnalyzerモデルTristar3000により、窒素を用いて測定される場合に、250〜900m/g、あるいは250〜450m/gの範囲の乾燥樹脂の表面積を有する。また、本発明の樹脂は、0.8〜1.8ml/g、あるいは0.9〜1.4ml/gの範囲の細孔容積を有する。本発明の樹脂は予想外にも単独で充分に機能するが、他の既存のタンパク質除去技術と組み合わせて使用されることもできる。
【0012】
イオン交換樹脂の多孔度は、液体食品または飲料ヘイズ形成タンパク質の浸透を可能にするのに充分高い。よって、イオン交換樹脂はヘイズ形成タンパク質を浸透可能であるべきである。
【0013】
イオン交換基はカチオン交換性またはアニオン交換性であることができる。カチオン交換基の例には、カルボキシ基(−COO)、スルホン酸基(−SO)、ホスホン酸基などがある。アニオン交換基の例には、第4級、第3級、第2級および第1級アミノ基(−N(R,R,R))がある。フリーの原子価はマトリックスへの共有結合を示し、典型的には有機スペーサー構造、例えば、他のものを含まないアルキレン(pure alkylene)、またはヒドロキシアルキレンを経由する。R1−3は典型的には水素、または一以上のヒドロキシ基で置換されうる低級アルキル(C1−6)である。
【0014】
本発明の方法は、液体食品または飲料を、少なくとも1種のイオン交換樹脂と接触させて、ヘイズ形成タンパク質を除去し、それにより安定化を達成することを含む。この接触は当業者に公知の形態で起こりうる。非限定的な例には、カラムまたは混合タンク内での接触が挙げられる。さらに、この方法は連続的にまたは回分様式で行われうる。本発明に従って、単一のまたは複数のイオン交換樹脂段階が使用されてもよい。
【0015】
さらに、イオン交換樹脂は、それを再生用溶液と接触させることにより再生されうる。好適な溶液には塩基性溶液が挙げられる。このような塩基性溶液には、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムが挙げられるがこれらに限定されない。再生は、上記形態のいずれかのイオン交換樹脂を含む容器(例えば、カラム)に飲料を通過させることにより行われうる。このプロセスは連続または回分形式で行われうる。
【0016】
本発明の目的はヘイズ形成タンパク質化合物を除くことであるが、退色を最小限にすることも本発明の目的である。この目標は液体食品または飲料内の発色化合物の除去を最小限にすることにより達成される。このような発色化合物には、ポリフェノールが挙げられるがこれらに限定されない。例えば、低ヘイズの安定化されていないワインについては、許容可能な退色のパーセンテージ割合は0〜10%の範囲であり、0%の退色が理想である。
本発明の方法は、単独でまたは他のタンパク質除去技術と組み合わせて使用されうる。
【実施例】
【0017】
材料および試験方法
樹脂
ロームアンドハースカンパニーから入手可能な、Amberlite(商標)FPX62イオン交換樹脂(樹脂1)およびAmberlite(商標)FPX66吸着剤樹脂(比較2)、並びにPurolite Internationalから商業的に入手可能なPurolite(商標)MN500(比較1)が次の実施例に使用された。
【0018】
ワインおよびビール
安定化されていないゲヴュルツトラミネール(Gewurztraminer)ワインがカリフォルニアのフィルシンガー(Filsinger)ワイナリーから得られた。安定化されていないシャルドネワインがペンシルベニア州モンゴメリービルのキーストーンホームブリュー(Keystone Homebrew)から購入した冷蔵カリフォルニアグレープジュースから製造された。安定化されていないビールはオーストラリア、アデレードのクーパーズカンパニー(Coopers Company)によりキーストーンに供給され、キーストーンホームブリューから得られた醸造キットから製造された。完成した安定化ワインおよびビール製品は地元の小売店から購入した。
【0019】
プレろ過ビールおよびワイン
ビールおよびワインは、典型的にはろ過され、消費者のための透明な液体を生じさせるが、この作業における試験のためのビールおよびワインは最終製品ではなく、ろ過されていなかった。よって、ポールコーポレーション(Pall Corporation)から入手可能な0.45ミクロン ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)カートリッジAcrodisc(商標)フィルターを通して、常温ワインおよびビールをポンプ輸送することにより、濁りはワインおよびビールから除去された。この工程はワインシェルフ(shelf)またはビールチルヘイズ潜在性を取り除かず、残留している濁りとヘイズ潜在性が区別されることを可能にした。
【0020】
樹脂プレコンディショニング
樹脂から漏出しワイン中で検出可能であり得る潜在的な呈味成分を除去するために、樹脂は100%エタノールでの大規模な洗浄によりプレコンディショニングされた。次いで、脱イオン水を用いてエタノールは洗浄除去された。ある場合には、樹脂は希水酸化カリウムの使用と、それに続く脱イオン水リンスによって前処理もされた。
【0021】
振とう試験−ワイン
実施例2の表に示されるように、様々な重量のAmberlite(商標)FPX62イオン交換樹脂(樹脂1)およびPurolite(商標)MN500(比較1)およびAmberlite(商標)FPX66(比較2)がOhaus(商標)GT4800はかりで測定され、112mlガラスボトルに添加された。樹脂1および比較1は酸(H)またはカリウム(K)形態で使用された。比較2はジビニルベンゼンに基づく吸着剤樹脂であり、それはイオン形態を有さない。そのボトルはプレろ過されたワインで満たされた。次いで、そのボトルはミネソタ州アナーバーのEberbach Corporationにより供給される振とう機上で一晩振とうされた。次の日、サンプルを静置し、樹脂を沈降させた。上澄みのワインを取出した。NTU濁度を測定した。ある場合には、振とう試験で生じた濁りがその後の加速加熱ヘイズ試験を妨げるのを防止するために、ワインは、フィルターディスクに取り付けられた0.45ミクロンシリンジフィルターを通してろ過された。pHはOakton(商標)pHメーター100シリーズおよびOakton(商標)プローブを用いて測定した。このpH装置はFisher−ScientificブランドpH4および7緩衝液で較正された。第2ラウンドの振とう試験中に使用された樹脂は酸形態であった。酸形態樹脂はワインのpHを低下させた。加熱ヘイズ発現試験が行われる前に、分けられたワインは2%水酸化カリウムを滴下添加することによりその元の供給物pHに戻された。
【0022】
振とう試験−ビール
振とう時間が3時間であったことを除き、同じ手順を用いてビール振とう試験が繰り返された。さらに、使用された樹脂はカリウム形態のみであった。
【0023】
ワインについての加速ヘイズ発現方法
28グラムを測定したワインサンプルがガラスバイアル中で、Precision scientificにより供給される水浴(280シリーズ)中で85℃に加熱された。温度は5時間維持された。次いで、水道水の水流下で、ワインは素早く周囲温度まで冷却された。周囲温度で1時間後、HF scientific inc,により供給される濁度計、モデルマイクロ100NTUを用いて、Nephelometric Turbidity Units(NTU)が測定された。NTU標準0.01、10、および1000NTUはその装置と共に供給され、較正に使用された。
【0024】
ビールについての加速ヘイズ発現方法
ろ過されたビールをフルガラス28mlバイアルに入れ、そのバイアルを50℃に保たれたオーブン中に配置した。72時間後、サンプルをオーブンから取り出し、4℃の冷蔵庫内に入れた。次いで、次の日にNTU測定がその冷たいビールについてなされた。
【0025】
ワインカラム試験
樹脂1を、ニュージャージー州のAce Glassにより供給される15mmガラスジャケット付きカラムに入れた。エンドフィッティングはテフロン(登録商標)であった。ワインおよび他の流体が通過する間に樹脂をその場に保持するために、これらのエンドフィッティングは60メッシュポリプロピレンスクリーンを含んでいる。Rainin(商標)Instrument Companyにより製造されたラビット(Rabbit)ペリスタルティックポンプが、流体流れを提供するために使用された。カラムジャケットは加熱器および冷却器水バッチに連結されて、樹脂再生のためのサーモスタット温度制御(加熱)を可能にした。使用された樹脂ベッドサイズは8mlであった。ワインの流速は典型的には、0.4ml/分であり、これは1時間あたり3ベッド体積に等しかった。フィルシンガーおよびキーストーンワインを用いていくつかの試験が行われた。試験期間は連続操作で1週間までであった。供給および製品ワイン容器は氷中に保たれ、空気を除くために窒素ブランケットされた。
【0026】

退色の最小化は重量なパラメータである。1センチメートルのセルを備えた分光光度計、モデルSpectronic Genisys2を用いて吸光度測定がなされた。
【0027】
タンパク質測定
ブラッドフォード法が使用された。分析用消耗品はBio−Rad Companyから購入された。結果は牛血清アルブミンBSAタンパク質標準に対するmg/lタンパク質によって提供される。
【0028】
実施例1:市販の安定化ワインについての加速ヘイズ試験潜在性を評価し、利用できる安定化されていないワインの加速ヘイズ含量を評価する。
市販のワイン
その加速ヘイズ潜在性を評価して、参照目標を定めるために、地元の酒屋から2種のヘイズ安定化ワインを購入した。酒屋で購入したその2種のワインはGewurztraminer Fetzer 05 Valley Oaks CaおよびGewurztraminer Chateau Stu Michelle Wa 05であった。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
安定化されていないフィルシンガーおよびキーストーンワインは、市販の製品に対して高い加速ヘイズ値を有しており、樹脂を試験するために選択された。市販のワインによって示されるように、製品NTU加速ヘイズ潜在性についての妥当な最大目標は約2.5NTU単位である。
【0032】
実施例2:振とう試験結果−ワイン
【表3】

【0033】
ヘイズ潜在性は酸およびカリウム双方の形態の樹脂1イオン交換樹脂によって低減される。測定される幾分かの色除去が樹脂1に関して起こったが、ワイン対樹脂比が318まで増大した場合に、ワインの色除去は未処理のワインと区別できなくなった。比較2は官能化されていない疎水性吸着剤の例であるが、それは非常に多量の色を除去したので、この用途には適していない。
【0034】
第2ラウンド振とう試験。処理されたワインのpHは元のpHに調整して戻される。
【表4】

【0035】
双方の高ヘイズワインは、酸(H)形態の樹脂1を用いて<2.5NTUまで低減された。樹脂1は樹脂比較1が取り除いたよりも、より効果的にフィルシンガーワインからヘイズを取り除いた。
【0036】
実施例3:カラム試験結果−ワイン
試験1:フィルシンガーゲヴュルツトラミネールワイン;カリウム(K)形態の樹脂
安定化されていないフィルシンガーワインである、その供給ワインがカリウム形態の樹脂1を通された。148ベッド体積(BV)が集められた(サンプル1)。次いで、さらに85BVが集められた(サンプル2)。最終的に、合わせたものが両サンプルから造られた。加速加熱ヘイズ(NTU)、退色およびMg/lタンパク質の結果が以下に示される。
【0037】
【表5】

【0038】
試験2:フィルシンガーゲヴュルツトラミネールワイン;酸(H)形態の樹脂
安定化されていないフィルシンガーワインである、その供給ワインが、水素形態の樹脂1を通され、27ベッド体積(BV)が集められた(サンプル1)。次いで、さらに36BVが集められた(サンプル2)。加熱ヘイズ(NTU)、退色およびMg/lタンパク質の結果が以下に示される。
【0039】
【表6】

【0040】
実施例3の試験1は加速加熱ヘイズが低減されるが、実施例1の目標まで低減されないことを示す。実施例3の試験2は加速加熱ヘイズおよびタンパク質の低減の点でより有効であった。これは樹脂が酸形態であることに起因すると考えられうる。
【0041】
実施例4:カラム試験−ワイン
安定化されていないシャルドネワインが、カリフォルニアの起源から得られたキーストーングレープジュースから製造された。このワインはカリウム形態の樹脂1に通され、合計443ベッド体積が通された。合計10サンプルが分析のために集められた。加速加熱ヘイズ(NTU)、退色、およびMg/lタンパク質の結果が以下に示される。
【0042】
【表7】

【0043】
加速ヘイズ潜在性の有効な除去および低い退色(421nmで10%未満)であった。
【0044】
実施例6
市販のラガースタイルビール、Coors(商標)ライトおよび安定化されていない自家製ビールがろ過され、次いで加速チルヘイズビール法により試験した。安定化されていないビールは22.4の加速チルヘイズ潜在性を有していた。市販の安定化製品は4.4の加速ヘイズ値を有していた。
【0045】
実施例7
ろ過された安定化されていない自家製ビールと、樹脂1および比較1を用いて振とう試験が行われた。112mlのビールが、表に示されるような様々な重量のカリウム(K)形態の樹脂1と共に3時間振とうされた。樹脂処理されたビールサンプルは加速ヘイズ発現チルヘイズ手順にかけられた。
【0046】
【表8】

【0047】
樹脂1は加速チルヘイズを1.5まで効果的に低減させた。比較1樹脂は有効性がより低かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘイズ形成タンパク質を含む少なくとも1種の液体食品または飲料を提供し;並びに
60オングストローム〜300オングストロームの平均細孔直径、250m/g〜900m/gの乾燥樹脂の表面積、および0.9ml/g〜1.4ml/gの範囲の細孔容積を有する官能化イオン交換樹脂と、液体食品または飲料を接触させることにより、ヘイズ形成タンパク質の少なくとも一部分を除去すること;
を含む、液体食品および飲料を安定化する方法。
【請求項2】
液体食品または飲料がビールである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
液体食品または飲料がフルーツジュースである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
液体食品または飲料がワインである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
イオン交換樹脂がスルホン化されている請求項1に記載の方法。
【請求項6】
官能化イオン交換樹脂が他のタンパク質除去技術と一緒に使用されない請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2013−55952(P2013−55952A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−253081(P2012−253081)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【分割の表示】特願2009−96066(P2009−96066)の分割
【原出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】