説明

液体/気体搬送用波形燃料管および方法

【構成】
浅い角度の側壁(24)で相互連結した複数の頂部(20)および谷部(22)を交互に有する波形加工部または包旋形加工部をもつ燃料搬送管である。燃料搬送管の外面から頂部を外側半径方向に突出させる。燃料搬送管(10)は、カーボンブラックを含有する導電性アクリロニトリル-ブタジエンゴム内側層(12)、フッ化テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンターポリマーか、あるいは少なくとも1種の共重合体がフッ素系エラストマー特性を示すフッ素系共重合体配合物からなるフッ素系熱可塑性バリヤ層(14)、エラストマー系アクリロニトリル-ブタジエンゴム支持層(16)、およびクロロポリエチレンカバー層(18)で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体としてはゴム管、具体的には、燃料補給管、燃料通気管や燃料補給口管などの燃料搬送管に関する。より具体的には、自動車の燃料管として使用できる波形構造をもつ多層管およびこのような波形管の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料管、特に自動車の燃料補給口と燃料タンクとの間に配設する燃料搬送管は、一般に、燃料蒸気に対する透過性が小さい材料から構成されている。例えば、Shifmanなどを発明者とするUSP6,203,873には、エラストマー特性をもつ第1のフッ素共重合体(fluorointerpolymer)と熱可塑性をもつ第2のフッ素共重合体との配合物から製造した燃料搬送ホースが開示されている。この燃料搬送管は、燃料蒸気に対して標準的な低透過性を満足するだけでなく、製造コストが比較的低く、耐久性もよく、また封止性も高く、低温特性がすぐれ、プッシュオン(push−on)値も大きい。Shifmanの燃料搬送管は通常の成形加工時の耐縮れ性や耐皺性はよいが、管製品の可撓性が比較的小さい。
【0003】
燃料管を製造するためによく利用されている材料がこのように可撓性が小さいため、特にまっすぐな管についていえることだが、装着時に必然的に縮みが発生し、燃料路が詰まる問題が発生する。この問題を避ける一つ方法は、きわめて複雑な形状に予めホースをプレフォームすることである。これは、利用できるスペースが限られているため、これを満足するために必要な角度や曲率でホースに複数の曲部を形成する必要があるからである。この種の管を製造する一般的な方法では、所望のホース製品の形状をもつピンまたはマンドレルに未硬化管を押出している。管が押出されているマンドレルを次に加硫装置に装入し、ここで管を加硫処理または硬化処理する。加硫処理または硬化処理した、所望の形状に形成した管をピンまたはマンドレルから取り外してから、自動車に装着すると、装着の実施が容易になるが、管のプレフォーム方法には、未硬化管をマンドレルまたはピンに押出すさいに、またマンドレルまたはピンから硬化処理管を取り外すさいに、管の曲部に応力が作用することが多く、管製品の内壁に裂けや穴が発生する大きな欠点がある。
【0004】
上記問題を避ける別な方法は、波形加工しやすい材料を利用して、管に波形構造を加工する方法である。波形ホースは公知であり、このようなホースはかなり前から真空掃除機に使用されている。これら真空掃除機用ホースの場合、スパイラル状の金属補強ワイヤで補強してもよく、あるいは補強しなくてもよい。例えば、Dillonを発明者とするUSP4,490,200、Keithを発明者とするUSP5,927,757、そしてSchaerflを発明者とするUSP6,142,188にはこのような真空掃除機用波形ホースが開示されている。
【0005】
また、管の少なくとも一つがベローズ形構成をもつ二重管構造のホースも既に開発されている。例えば、実公平1−31839には、ベローズ状の金属製可撓性管および外側のプラスチック製管からなり、これら管を端部で密接した可撓性管が開示されている。また、実開昭58−42484には、ベローズ状外側管およびこの外側管と同心円状に配設したベローズ状内側管からなり、外側管よりも内側管を小さく波形加工した可撓性管が開示されている。さらに、実開昭50−80621には、まっすぐな管状案内ホースおよびこの案内ホースの外周面を被覆するベローズ状保護ホースからなる自動車用燃料補給ホースが開示されている。即ち、上記問題のない燃料管を提供することが望まれている。
【0006】
上記の実用新案公報は、塚原などを発明者とするUSP5,829,483に引用されている。また、塚原などを発明者とするこのUSP5,829,483には、15の実施態様が開示され、いずれも外端部をもつ外側ゴムホース部材および樹脂製内側ホースからなり、内側ホースを外側ゴムホースと同軸配置したホースである。2つのホースを封止加工し、外側ゴムホースと樹脂製の内側ホースとの間に管状の空気層を形成している。
【0007】
以上言及した従来のホース構造の場合、いずれも外側層と内側層との封着処理が不十分になる可能性がある。さらに、このような構成のホースの場合、多数のホースを個々に製造する必要があり、次の工程で内側ホースと外側層を精度よく同軸配置し、封着処理する必要がある。即ち、すぐれた耐易燃性をもち、耐燃料透過性を示し、かつ特定の形状にプレフォームする必要なく自動車に装着できる十分な可撓性をもつ単一構造の管が望まれている。
【特許文献1】USP6,203,873
【特許文献2】USP4,490,200
【特許文献3】USP5,927,757
【特許文献4】USP6,142,188
【特許文献5】USP5,829,483
【特許文献6】実公平1−31839
【特許文献7】実開昭58−42484
【特許文献8】実開昭50−80621
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主目的は、燃料管の構成に多く利用されている材料から形成したにもかかわらず、従来燃料管の問題を引き起こすことなく製造できる燃料管、特に燃料搬送管を提供することである。
【0009】
自動車産業に課せられている環境規制は、自動車の燃料システムから漏れる燃料蒸気の量を制限している。コストを許容レベルに維持した状態で、高い性能、すぐれた耐久性、すぐれた耐燃料漏出性を実現する適正なポリマーを選択することは、自動車デザイナーにとってますます難しくなってきている。燃料搬送/燃料蒸気管の場合、代表例を挙げれば、管としてブタジエン-アクリロニトリルゴムで製造しているが、このような管は、燃料が漏出する可能性が高い。他の管の場合、管内壁としてフッ素系エラストマーを使用して製造しているが、これらの管も燃料蒸気が漏出する恐れが大きい。液体および蒸気の両者の漏出を抑えた燃料搬送管を製造する試みでは、波形ポリアミド/フッ化炭素熱可塑性管を使用している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の好適な実施態様では、管構造は、導電性ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)内側層、この導電性NBR内側層の外面を取り囲むテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロエチレン-テトラフルオロビニリデン(THV)共重合体層、THV層の外面円周方向に隣接する第2NBR支持層、および第2NBR支持層の外面の保護カバー層からなる多層構造である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、燃料蒸気の漏出を防止、あるいはおおきく抑えた管構造の液体燃料および気体燃料を搬送する単一構成の管部材を提供するものである。この管部材は、燃料管として働くために必要な強度をもつにかかわらず、予め設定された形状に成形する必要なく、製造するために十分な可撓性をもつ波形構造または包旋形構造管部材である。
【0012】
本発明の波形管または包旋形管は、波形または包旋形に簡単に成形でき、蒸気漏出に関する現行基準を満足し、かつすぐれた耐易燃性をもつ材料(複数材料の場合もある)から製造する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の燃料搬送管、燃料補給管や燃料通気管などの燃料管は、管構造の少なくとも一部を波形加工または包旋形加工してこれに可撓性を付与し、自動車に装着するさいに、特定の形状にプレフォームする必要のないことを特徴とするものである。管を波形加工または包旋形加工したため、製造時に管をプレフォームする余計な工程を必要とすることなく、可撓性のある管を許されたスペースに装着できるように簡単に折り曲げ処理、あるいは成形処理が可能である。波形管の頂部は、管の外面から交互に約0.254cm〜約2.54cm(0.1〜1.0インチ)外側に突出する。
【0014】
図1に示すように、本発明の管10は、導電性内側層12、バリヤ層14、エラストマー系支持層16およびカバー層18として示す4つの材料層を有する。さらに図1に示すように、管の波形加工部または包旋形加工部は交互に頂部20と谷部22を有し、この間を浅い角度の側壁24で連結している。これらの波形加工部または包旋形加工部が所定量の可撓性を管に付与しているため、管を各種の形状に簡単に折り曲げ成形できる。波形の場合、波形加工部の管構造体の強度は、少なくとも非波形加工部の強度と同じである。
【0015】
管10の場合、マンドレル26に組み込んだ角度のある側壁24aによって相互連結した頂部20aおよび谷部22aをもつ波形加工ピン(図2)に未硬化管構造体を装着することによって製造する。次に、マンドレルに装着した管構造体を硬化処理し、硬化処理管に波形部または包旋形部を形成する。
【0016】
鋭意行った試験を通して、波形加工管構造体または包旋形加工管構造体の特性は、標準的な硬化処理管製品と同じであることが判明した。
【0017】
図1に戻って説明を続けると、本発明の管10は、管の最内側壁になる最内側層12を有する。最内側層12の材料としては、ニトリルゴム、フッ化ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンやフッ化ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデン-テトラフルオロエチレンターポリマー、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性フルオロエラストマーを単独で使用するか、併用すればよい。最適な最内側管層12は、ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)層などのエラストマー系ニトリルゴム層である。自動車工業で通常行われているように、管の内面にそって流れる燃料流れによって発生する静電気の蓄積を防止するために、最内側層12を導電性化する。静電気がこのように経時的に蓄積すると、管にピンホールが発生し、これから燃料が漏出する。例えば、最内側層を形成するために使用する材料中によく知られている導電剤を配合することによって最内側層12を導電性化する。カーボンブラックが好ましい導電剤であるが、最内側エラストマー層を導電性化するためには、公知の任意の導電剤を使用することができる。導電剤の配合量には特に制限はないが、カーボンブラックなどの一部の導電剤の場合、過剰に配合すると上記材料が加工しにくくなる。蒸気管や通気管では、管の最内側層を導電性化する必要はない。
【0018】
バリヤ層14としては、フッ化テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンターポリマーなどのフッ素系熱可塑性ターポリマーで構成するのが好ましい。例えば、フッ素系熱可塑性ターポリマーのフッ化物含有量は約70〜75重量%である。Dyneon社の製品であるDyneonTHVなどのフッ化テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンターポリマーを利用した場合に、すぐれた結果が得られることが判明した。
【0019】
バリヤ層14としては、少なくとも2つのフッ素系共重合体からなり、これらフッ素系共重合体のうち少なくとも一つがフッ素系熱可塑性共重合体であることを特徴とする配合物も使用することができる。例えば、この配合物は、一つかそれ以上の熱可塑性を有するフッ素系共重合体約20〜80重量%を一つかそれ以上のエラストマー特性を有するフッ素系共重合体約80〜20重量%に配合したものである。例えば、フッ素系共重合体の配合物の場合、フッ化テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンからなるフッ素系熱可塑性ターポリマーをテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよび/またはフッ化ビニリデンを含有するフッ素系エラストマー共重合体またはターポリマーと配合する。バリヤ層14として配合物を使用する場合、配合物のフッ素系可塑性成分としてテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンターポリマーを使用し、そしてフッ素系エラストマー成分としてフッ化ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンターポリマーあるいはフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレンターポリマーを使用するのが好ましい。フッ素系エラストマー成分の塩素含有量としては約65〜73%が好ましい。フッ化ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフッ素系エラストマーとしては、DuPont社の製品であるViton A、Viton E45、Viton 60を使用することができる。フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレンフッ素系エラストマーとしては、3M社の製品であるFluorel FT2350、FE5830QDを使用することができる。
【0020】
エラストマー系支持層16については、例えば、特に加硫処理したときに、外側カバー層およびバリヤTHV層の両者に簡単に接着する特性をもつ材料で構成する。管状支持層16としては、ホースに耐熱性、耐燃料性、可撓性を付与するエラストマーを使用するのが好ましい。このようなエラストマー系材料は公知である。例えば、ブタジエン-アクリロニトリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン-アクリレートゴムなどからなる群から選択した非導電性材料でエラストマー系支持層16を構成する。好ましいエラストマー系支持層16の材料はブタジエン-アクリロニトリルゴムである。
【0021】
ホースの外側カバー18は、この用途に市販されている任意の材料、例えばエラストマー、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーなどからなる保護層である。例えば、すぐれた耐熱性、耐油性、耐候性および耐炎性をもつ合成エラストマーで保護層18を構成する。スチレン-ブタジエンゴム(SBR);ブタジエン-アクリロニトリルゴムなどのブタジエン-ニトリルゴム(NBR);塩素化ポリエチレン;ビニリデン-アクリルゴム;アクリルゴム;Hydrin200などのエピクロロヒドリン;DuPont社のエピクロロヒドリン-エチレンオキシド共重合体;ポリクロロプレンゴム(CR);ポリ塩化ビニル;エチレン-プロピレン共重合体;エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM);超高分子量ポリエチレン;およびこれらの配合物から選択する合成エラストマーで外側カバー18を構成するのが好ましい。本発明の好ましい態様における合成エラストマーは、クロロポリエチレンである。
【0022】
本発明の管構造体には、さらに、管製品に物理的強度を与える補強層28を設層することができる。この補強層には、例えば、ガラス繊維、綿繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維およびレーヨン繊維からなる群から選択した材料の層を使用する。いずれもDuPont社の製品であるKevlarまたはNormexなどの芳香族ポリアミドを補強層に使用するのが好ましい。補強層を形成するために、編成加工、編組(braid)加工、あるいは螺旋加工を行うこともできる。本発明の好適な態様では、補強層を螺旋加工する。例えば、補強層は、バリヤTHV層14とエラストマー系支持層16との間に設層してもよく、あるいはエラストマー系支持層16とカバー層18との間に設層してもよく、また導電性層12とTHVバリヤ層14との間に設層してもよい。条件にもよるが、複数の補強層を設層することも可能である。補強層は管構造体の好ましい成分であるが、必須成分ではなく、管によっては必要条件に応じて設層してもよく、あるいは設層しなくてもよい。
【0023】
本発明の管構造体10は、過酸化物、ポリオールやポリアミンなどの、既に当業界で確立されている任意の加硫化剤を利用して加硫処理することができる。過酸化物加硫化剤には、例えば、ジクミルペルオキシドや2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3などがある。ポリオール加硫化剤には、例えば、ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヒドロキノンやイソプロピリデン-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヒドロキノンなどがある。また、ポリアミド加硫化剤には、例えば、ヘキサメチレンジアミンカルバメートやアクリルジアミンカルバメートなどがある。加硫化剤の使用量については、通常使用されている量であればよい。例えば、加硫化剤にもよるが、約0.5〜10%である。
【0024】
以上、好ましい実施態様について本発明を詳しく説明してきたが、特許請求の範囲に記載した発明の範囲および精神から逸脱しなくても、多くの変更などが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付図面は、本発明の特徴および作用効果を示すものである。
【図1】本発明の好適な実施態様による多層管構成を示す部分斜視図である。なお、管の各層については、破断して図示する。
【図2】図1の波形管を形成するマンドレルを示す図である。
【符号の説明】
【0026】
10:管、
12:導電性内側層、
14:バリヤ層、
16:エラストマー系支持層、
18:カバー層、
20、20a:頂部、
22,22a:谷部、
24、24a:側壁、
26:マンドレル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の燃料搬送管として使用する管構造体(10)において、
導電性内側層(12)、
バリヤ層(14)、
支持層(16)、および
カバー層(18)を有し、
上記管部材(10)の外面の少なくとも一部を波形加工または包旋形加工したことを特徴とする管構造体(10)。
【請求項2】
上記波形加工部または包旋形加工部が、管構造体(10)の外面から外側に突出する、浅い角度の側壁(24)によって相互連結した頂部(20)および谷部(22)を交互に有し、これら頂部(20)を管構造体の外面から約0.254〜2.54cm半径方向に突出させた請求項1記載の管構造体。
【請求項3】
上記導電性内側層(12)がニトリルゴム、熱可塑性プラスチックまたはポリ塩化ビニルあるいはこれらの配合物からなり、あるいは上記導電性内側層(12)をアクリロニトリル-ブタジエンゴムから構成し、この内側層(12)にさらにカーボンブラックなどの導電性材料を含有させた請求項1または2記載の管構造体。
【請求項4】
上記バリヤ層(14)が、フッ素系熱可塑性を示し、かつ塩素含有量を適宜約70〜75重量%に設定したフッ化テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンターポリマー層か、あるいは上記バリヤ層が、少なくとも2種類のフッ素系共重合体の配合物であって、これらフッ素系共重合体の少なくとも一つがフッ素系熱可塑性を示すことを特徴とする配合物からなり、あるいは上記バリヤ層(14)が、約20〜80重量%のフッ素系熱可塑性を示す第1フッ素系共重合体と約80〜20重量%のフッ素系エラストマー特性を示す第2フッ素系共重合体とを配合したものであって、第1フッ素系共重合体がフッ化テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンからなるフッ素系熱可塑性ターポリマーで、第2共重合体がテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデンの2種以上を含有するフッ素系エラストマー性共重合体またはターポリマーであり、第1フッ素系熱可塑性ターポリマーのフッ素含有量を約70〜75重量%に設定するとともに第2フッ素系エラストマー性共重合体またはターポリマーのフッ素含有量を約65〜73重量%に設定した請求項1〜3のいずれか1項記載の管構造体。
【請求項5】
上記エラストマー系支持層(16)が、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエン-アクリロニトリルゴム、塩素化ポリエチレン、ビニリデン-アクリルゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エピクロロヒドリン-エチレンオキシド共重合体、ポリクロロプレンゴム、ポリ塩化ビニル、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、超高分子量ポリエチレンおよびこれらの配合物から選択する合成エラストマーの層か、あるいはアクリロニトリル-ブタジエンゴムの層であり、および/または上記カバー層(18)がスチレン-ブタジエンゴム、ブタジエン-ニトリルゴム、塩素化ポリエチレン、ビニリデン-アクリルゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリ塩化ビニル、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、超高分子量ポリエチレンおよびこれらの配合物からなる群から選択した合成エラストマーの層か、あるいはクロロポリエチレンの層である請求項1〜4のいずれか1項記載の管構造体。
【請求項6】
ガラス繊維、綿繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、あるいはレーヨン繊維からなり、芳香族ポリアミドで構成した螺旋構造体を有する少なくとも一つの補強層(28)を有し、この少なくとも一つの補強層(28)をバリヤ層(14)とエラストマー系支持層(16)との間および/またはエラストマー系支持層(16)とカバー層(18)との間に設層した請求項1〜5のいずれか1項記載の管構造体。
【請求項7】
浅い角度の側壁(24)で相互連結した複数の頂部(10)および谷部(22)を交互に有する波形加工部または包旋形加工部をもつ燃料搬送管において、
燃料搬送管(10)の外面から外側半径方向に上記頂部(20)を突出させ、
上記燃料搬送管が、
カーボンブラックを含有する、導電性のアクリロニトリル-ブタジエンゴム内側層(12)、
フッ素系熱可塑性を有するフッ化テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンターポリマーからなり、フッ素含有量を約70〜75重量%に設定したフッ素系共重合体バリヤ層(14)、
エラストマー系アクリロニトリル-ブタジエンゴム支持層(16)、および
クロロポリエチレンカバー層(18)を有することを特徴とする燃料搬送管。
【請求項8】
少なくとも一つの補強層(28)を有し、この層として、上記導電性層(12)とバリヤ層(14)との間か、バリヤ層(14)とカバー層(18)との間に螺旋加工芳香族ポリアミド層を設層した請求項7記載の燃料搬送管。
【請求項9】
波形加工または包旋形加工燃料搬送管(10)の製造方法において、
複数の頂部(20a)および谷部(22a)を交互に有し、これらの頂部および谷部を複数の浅い角度の側壁(24a)で相互連結したマンドレル(26)を用意し、
未硬化多層管構造体を用意し、
このマンドレル(26)上に上記の未硬化多層管構造体を押し付け、上記マンドレルの波形部または包旋形部に対応する波形加工部または包旋形加工部を有する管構造体を形成し、
マンドレル(26)上で上記多層構造体を加硫処理し、そして
マンドレル(26)から、管構造体の外面から外側半径方向に複数の交互構成の頂部(20)および谷部(22)を有し、波形加工部または包旋形加工部をもつ加硫処理多層管構造体(10)と取り出すことからなることを特徴とする製造方法。
【請求項10】
マンドレル(26)上の交互構成の頂部(20a)をこのマンドレルの外面から外側半径方向に約0.254〜2.54cm突出させ、および/または多層構造体(10)が、
カーボンブラックを含有する、導電性のアクリロニトリル-ブタジエンゴム内側層(12)、
フッ素系熱可塑性を有するフッ化テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンターポリマーからなり、フッ素含有量を約70〜75重量%に設定したフッ素系共重合体バリヤ層(14)、
エラストマー系アクリロニトリル-ブタジエンゴム支持層(16)、および
クロロポリエチレンカバー層(18)を有し、かつ適宜少なくとも一つの補強層(28)を有し、この層として、上記導電性層(12)とバリヤ層(14)との間か、バリヤ層(14)とカバー層(18)との間に螺旋加工芳香族ポリアミド層を設層した、請求項9記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−504036(P2006−504036A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546869(P2004−546869)
【出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2003/032642
【国際公開番号】WO2004/037591
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(390023766)デイコ プロダクツ,エルエルシー (18)
【Fターム(参考)】