液体/蒸気堆積方法による基体の金属被覆
【課題】実質的に純粋な、同形の金属層を1以上の基体上に金属含有前駆体の分解によって堆積する方法を提供する。
【解決手段】堆積プロセスの間、一または複数の基体は前駆体の分解温度より高い温度に維持され、一方、周囲の環境は前駆体の分解温度より低い温度に維持される。前駆体は輸送媒体、たとえば蒸気相の中に分散される。蒸気相はその中に液体も含有し、該蒸気相中の金属含有前駆体(一または複数の金属含有前駆体)の濃度は、金属前駆体(一または複数の金属前駆体)について飽和またはそれに近い状態にある。輸送媒体と基体との間の上述の温度の制御を確保することによって、かつ輸送媒体について飽和状態を維持することによって、堆積された金属薄膜の品質は顕著に改善され、かつ副生金属粉塵の生成は大きく低減されまたは実質的になくされる。
【解決手段】堆積プロセスの間、一または複数の基体は前駆体の分解温度より高い温度に維持され、一方、周囲の環境は前駆体の分解温度より低い温度に維持される。前駆体は輸送媒体、たとえば蒸気相の中に分散される。蒸気相はその中に液体も含有し、該蒸気相中の金属含有前駆体(一または複数の金属含有前駆体)の濃度は、金属前駆体(一または複数の金属前駆体)について飽和またはそれに近い状態にある。輸送媒体と基体との間の上述の温度の制御を確保することによって、かつ輸送媒体について飽和状態を維持することによって、堆積された金属薄膜の品質は顕著に改善され、かつ副生金属粉塵の生成は大きく低減されまたは実質的になくされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本出願は、2003年9月19日に出願された米国特許出願連続番号第60/504,641号に基づいて優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野は、化学蒸着(「CVD」)によって堆積された金属コーティングおよびその製品およびその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
化学蒸着(CVD)法によって形成された堆積された金属膜は、多様な半導体およびマイクロエレクトロニクスの用途に一般に実施されるものである。CVD法を使用して金属薄膜をコーティングとして堆積しようとする試みは、困難であることが判明している。困難な状況は、(1〜2ミクロン以上の厚さの)厚い膜、例として保護コーティングたとえば耐食性コーティングを製造するときに特に顕著でありうる。
【0004】
固形、液状および気体状の金属前駆体を使用するいくつかの金属堆積手法が公表されており、金属前駆体は揮発されそして反応室内に導入され、そこで前駆体は分解されてその構成成分となり、その金属部分が目標基体上に堆積される。基体の金属被覆は達成されはしたけれども、薄膜構成の不十分な品質は、このようなコーティングの経済的に魅力のある利用を妨げていた。
【0005】
アルミニウム金属は、基体の腐食防止のための薄膜コーティングについての論理にかなう選択候補である。アルミニウムコーティングを付与する典型的な方法は、物理蒸着(PVD)法、たとえばイオン蒸着(IVD)であった。これらの方法は、アルミニウムコーティングを与えはしたが、高価な堆積装置を必要とし、そして運転し維持することが困難である。
【0006】
他の方法、たとえばCVDは、アルミニウムコーティングを与えはしたが、堆積室全域でのアルミニウム前駆体の分解が輸送媒体中にそしてその後に目標基体の表面上にアルミニウム粉塵を生じさせるので、制御が困難であった。粉塵粒子の生成は、腐食防止、表面形態(モルホロジー)、および美観の点から基体上の薄膜の品質に有害であることが判明している。
【0007】
液相めっき法が、米国特許第3,449,144号、第3,449,150号、第3,464,844号、第3,578,494号、および第3,707,136号に記載されており、これらにおいては、目標金属の対流加熱およびその後の液状金属アルキル前駆体を使用する方法を用いる金属めっきによって、アルミニウムの堆積が達成される。これらの手法は、温度の調節、堆積層厚さの調節、およびプロセス設計の装置上の要件についての問題を抱えている。
【0008】
P.Pawlykへの米国特許第2,700,365号は、液体含有蒸気を用いる気相法ではなくて、カルボニルまたは他の金属含有揮発性化合物を使用することによって表面をめっきする気相法を教示する。
【0009】
J.C.Withersは米国特許第3,702,780号を付与され、これは、金属含有前駆体が、誘導加熱された基体をめっき膜で被覆することを含む噴霧化スプレーの使用方法を教示する。この特許は、基体の温度を監視することを記載している。「分解的スプレー法」と称されるこの技術は、さらに「Chem.Vapor Deposition,Int.Conf.」、第2回1970年、393〜407ページに記載されている。
【0010】
アルミニウムコーティングをCVDの実験室装置から大量生産用のより大規模な装置へ移そうとするこれまでの試みは、困難であることが判明している。コーティングの完全無欠さは、より大きいCVD反応器で達成することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第3,449,144号公報
【特許文献2】米国特許第3,449,150号公報
【特許文献3】米国特許第3,464,844号公報
【特許文献4】米国特許第3,578,494号公報
【特許文献5】米国特許第3,707,136号公報
【特許文献6】米国特許第2,700,365号公報
【特許文献7】米国特許第3,702,780号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】「Chem.Vapor Deposition,Int.Conf.」、第2回1970年、393〜407ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、実質的に純粋な、等角的な(コンフォーマルな)金属層を、1以上の基体上に金属含有前駆体の分解によって堆積する改善された方法に関する。この堆積プロセスの間、基体(一または複数の基体)は前駆体の分解温度よりも高い温度に維持され、一方、周囲の環境は前駆体の分解温度よりも低い温度に維持される。前駆体は、輸送媒体中、たとえば気相中に分散される。気相はその中に液体も含有し、該気相中の金属含有前駆体(一または複数の金属含有前駆体)の濃度は、金属前駆体(一または複数の金属前駆体)について飽和またはそれに近い状態を与えるレベルにあることができる。
【発明の効果】
【0014】
輸送媒体と基体との間の上述の温度の制御を確保することによって、かつ輸送媒体について少なくとも飽和状態に近く維持することによって、堆積された金属薄膜の品質は顕著に改善され、かつ副生金属粉塵の生成が大きく低減されまたは実質的になくされる。本発明の実施態様は、従来技術の手法と比較して、より多くの基体温度制御、よりよい堆積層厚さの制御、およびより都合のよいプロセス装置の設計を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、コーティングを基体上に堆積するための典型的なプロセスのフロー図である。
【図2】図2は、コーティングを基体上に堆積するための他の典型的なプロセスを例示するフロー図である。
【図3】図3は、反応容器の内の被覆された基体の拡大見取図である。
【図4】図4は、本発明の反応プロセスの好まれる実施態様の間のプロセス構成要素の温度プロフィールである。
【図5】図5は、他の反応プロセスの間のプロセス構成要素の温度プロフィールである。
【図6】図6は、IVD方法によって被覆されたリベットのSEM写真である。
【図7】図7は、IVD方法によってアルミニウム被覆されたリベットのSEM写真である。
【図8】図8は、他のIVD方法によってアルミニウム被覆されたリベットのSEM写真である。
【図9】図9は、他のIVD方法によって被覆されたリベットのSEM写真である。
【図10】図10は、本発明の好まれる実施態様に従ってCVD方法を使用して被覆された基体のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好まれる実施態様は、輸送媒体を用いて輸送空間を通って基体まで前駆体を輸送する。輸送空間内の温度は、前駆体の分解温度よりも低い。金属層は、前駆体が基体上に分解することによって基体上に堆積される。基体の温度は、前駆体分解温度よりも高く、また輸送空間内の前駆体の温度は、直接に測定されそして調節される。基体の温度とは、その上へコーティングが最終的に堆積される、前駆体と接触するべく意図された基体の表面のそのような部分の温度であることは、正しく理解されるであろう。
【0017】
他の好まれる実施態様は、基体を誘導エネルギー源を用いて加熱することによって、かつアルミニウムを基体の表面上に堆積するアルミニウム含有前駆体を含む液体含有蒸気相を使用することによって、アルミニウムを基体上に堆積する。基体の表面温度は、アルミニウム含有前駆体の分解温度より上で、かつ蒸気相は、輸送空間内でその分解温度より下に維持される。
【0018】
大量の小部品またはその他の基体の被覆を許す反応環境を作り出すことによって、小規模実験室装置からより大規模の製造装置に移行することができるCVDプロセスを提供することが、本発明の他の目的である。
【0019】
金属含有前駆体の分解によって、各種の基体上に金属、たとえばアルミニウムの層を堆積する改善された方法を提供することが、本発明の他の目的である。1の実施態様は有機アルミニウム前駆体の使用に係わるけれども、本発明の方法は、他の金属含有前駆体、たとえば他の有機金属化合物、カルボニル化合物、およびアセチルアセトネートを単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0020】
好まれる実施態様では、アルミニウム層の源は、例として液状金属アルキル化合物、たとえばトリメチルアルミニウム、ジメチルアルミニウム水素化物、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウム水素化物、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウム水素化物、または式R1R2R3Alの他のトリアルキルアルミニウム若しくはジアルキルアルミニウム水素化物であることができ、ここでR1、R2、およびR3は、分岐、直鎖、若しくは環状のヒドロカルビル配位子または水素であり、かつR1、R2、およびR3中の炭素原子の数はC1〜約C12の範囲にある。選ばれる配位子は2官能性であって、かつ2〜3個のアルミニウム原子に結合するブタジエニルまたはイソプレニルのようなものを含むこともできる。選択された液状/蒸気状前駆体組成物は、任意のまたはすべての上述の化学種の混合物を含有することができる。好ましくは、上述のR1、R2、およびR3は、エチル、イソブチル、および水素から選ばれ、もっとも好まれる化合物は、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウム水素化物、またはこの2つの混合物である。
【0021】
輸送媒体は、約60℃〜約200℃超の沸点の範囲を持つ多様な非反応性の溶媒中の、約5%〜約95%の範囲のアルミニウムアルキルの濃度で金属アルキルの希薄溶液を含有することもできる。アルミニウムアルキルを溶液で導入することの利益は、(1)基体(一または複数の基体)の表面への前駆体のより均一な分布を与えること、(2)供給原料液体の自然発火性を下げること、および(3)反応帯域内で液体と蒸気との適切な熱バランスを維持する助けとなることである。
【0022】
基体に堆積された金属コーティングを与えることが本発明の他の目的であり、ここで輸送媒体および基体の温度を調節することの結果として、該金属コーティングは均一で、かつでこぼこがない。
【0023】
好まれる実施態様では、好適な基体は、小さい組み立て部品、たとえば留め具、ナット、ボルト、ネジ、釘、リベット、およびピンを包含する(が、これらに限定されない)。コーティングに適した他の基体は、クランプ、フェルール、クリップ、およびタグを包含する。基体の大きさに、手もとの装置によって課される大きさを除いて制限はない。好まれる基体は、3次元の物体であり、任意のまたはすべてのその次元においてセンチメートル台の寸法を持ち、単純および複雑な形状を持つものである。
【0024】
非CVDの別方法に関する本発明の方法の実施態様の有意に有利な点は、開口部、割れ目、線、くぼみ、小さいくぼみ、穴、およびぎざぎざのような小さい造作および様式を持つ複雑な形状物の有効な被覆を、蒸気相中の前駆体拡散の特質の故に、本方法が許すことである。
【0025】
基体が前駆体の分解温度以上の温度に耐える能力は、被覆されるべき基体の組成の関数である。純粋な金属、たとえば鉄、銅、およびアルミニウム、金属合金および変性物、たとえば鋼鉄、青銅等、並びにこれらの混成および複合物質を包含する(が、これらに限定されない)多様な物質から、好適な基体はつくられることができる。他の好適な基体は、広い範囲の官能性を持つ重合体物質、たとえばポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ポリアルキルアミド、ポリアラミド、ポリオレフィン、ポリエステル等を包含する。
【0026】
1の実施態様では、一連の表面変性された基体が、所望の金属で被覆されることができる。これらは、有機、無機、および混成の組成物を包含し、これらの上には表面変換、たとえば無電解金属析出、硬化、架橋、または任意の適当な方法が、前駆体の分解温度以上の表面温度に耐える所望の能力を与えている。
【0027】
好まれる実施態様では、本発明の方法は、金属層を基体上に堆積し、その場合に金属層が、液体含有蒸気相中で金属含有前駆体組成物によって形成され、堆積プロセスの期間中、輸送空間内で液体含有蒸気相の温度が前駆体分解温度より下に維持され、かつ金属基体が前駆体分解温度より上に維持されるように、基体および蒸気相の温度が調節される。該温度間の関係は、以下の式で表されることができる。
【数1】
ここで、Tvaporは輸送空間内の蒸気の温度であり、TDecompositionは前駆体分解温度であり、またTSubstrateは被覆されるべき基体の表面上の温度である。
【0028】
図3は、反応容器内で被覆された基体の拡大図を例示する。輸送空間(301)は、反応が観察されることができるように、実質的に透明な物質、たとえばPYREX(パイレックス)ガラスを包含する任意の適当な物質から構成された容器の内側の空間であることができる。基体(300)は反応容器の内側にあり、そして堆積された金属膜(310)は基体の表面に結合される。基体を加熱する任意の適当な手段(313)が使用されることができて、基体温度を前駆体分解温度より高く保つ。輸送媒体(330)が、輸送媒体(330)の内部で飽和に近いレベルにある前駆体物質(340)とともに本図に示される。輸送空間の内部の輸送媒体(330)と基体(300)との温度は、任意の適当な手段、たとえば熱電対(350)によって測定されることができる。
【0029】
好まれる実施態様では、輸送空間内の前駆体の温度は直接に測定される。前駆体供給ライン中の温度測定とは対照的に、熱電対、熱センサーまたは他の適当な手段によって、該温度は輸送空間内で直接に測定される。一定のプロセス媒介変数、たとえば一定の誘導電圧または前駆体の一定の流量による不精密で間接的な制御とは対照的に、輸送空間内の温度の直接測定は、輸送空間内の前駆体の温度に対する直接的かつ精密な制御を許すことができる。他の好まれる実施態様では、輸送空間内の前駆体の温度の直接測定は、±10℃の精度で、より好ましくは±5℃の精度で調節されることができる。輸送空間内の前駆体温度に対するこのような精密な制御は、より高い品質のコーティング、より少ない廃棄物、およびより厚いコーティングをもたらすことができる。精密な温度制御なしでは、大きな温度変動が結果として生じうる。温度が高くなり過ぎると、前駆体は不安定になり、ひょっとしたらコーティング中への不純物、たとえば黒い粉塵の生成につながるかも知れない。温度が低過ぎると、堆積の動力学は好ましくない様式に変わり、ひょっとしたら望ましくない結果、たとえば液体の溜まりにつながるかも知れない。
【0030】
別の好まれる実施態様では、金属コーティングはアルミニウムを含み、また輸送媒体は蒸気である。最適化された温度範囲は、アルミニウム源として使用された前駆体金属アルキル(一または複数の前駆体金属アルキル)に従って変動する。基体(一または複数の基体)の温度範囲は、誘導かあるいはマイクロ波のエネルギーによって約270℃〜約400℃に維持されることができ、トリエチルアルミニウム(TEAL)およびTEALとジエチルアルミニウム水素化物(DEAL−H)との混合物についての基体温度範囲は、約290℃〜約360℃の範囲にある。これらの前駆体の蒸気温度は、約180℃〜約280℃でいろいろであることができ、好まれる範囲は約220℃〜約235℃である。トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)およびジイソブチルアルミニウム水素化物(DIBAL−H)については、これらの前駆体の、より低い分解温度の故に、基体および蒸気の温度はより低いであろう。純粋なTIBALまたはDIBAL−Hについての基体温度は、約210℃という低さから約350℃という高さまでであることができ、この温度媒介変数の好まれる範囲は約290℃〜約330℃である。反応空間内の蒸気温度は、高い品質の層を確保するために約180℃〜約270℃に調節される必要があり、好まれる範囲は約185℃〜約260℃の範囲にある。
【0031】
洗浄剤、たとえば標準的な石けんと水との溶液を用いての基体の前処理およびそれに続く基体を乾燥するためのたとえばアセトンすすぎは、特に基体が金属でつくられているならば、通常望まれる。ビーズブラスト処理のような手段による金属基体からのスケールおよび/または酸化物の層の除去も、同様に望まれる。被覆前の付随的な酸化を防ぐために加えられたある種の薄い化学コーティングは、高品質で付着力のあるアルミニウム層の形成を妨げないことも確立されている。
【0032】
基体の最外層を加熱する数多くの方法が、前駆体の分解を達成するために使用されることができる。好まれる実施態様では、間接的な「非接触」加熱方法が使用され、同方法では基体の加熱が電磁誘導またはマイクロ波、紫外線、または赤外線のエネルギーの照射によって誘起される。他の実施態様では、誘導加熱方法、たとえば電磁誘導が、基体内に電流を誘起して熱を発生することによって基体を加熱する魅力的な手段であることが見出された。
【0033】
好まれる実施態様では、金属被覆工程の間、前駆体を含有する適当な輸送媒体によって、基体は取り囲まれる。好まれる輸送媒体は、実質的に飽和した蒸気、液滴を含有する実質的に飽和した蒸気、または液滴を含有する飽和していない蒸気を包含する。特に好まれる輸送媒体は、気体/液体平衡相を包含する。均質および不均質の混合物、たとえば溶液、エマルション、分散物、および懸濁物、並びにコロイド相およびミセル相も適切な輸送媒体である。
【0034】
前駆体に加えて、輸送媒体は前駆体の送達媒体、たとえば不活性ガス、溶媒等、並びに分解生成物、たとえば飽和または不飽和の炭化水素、水素、および他の揮発性化合物を含むことができる。混合および平衡相は、任意のまたはすべての上述の成分を含むことができる。好まれる実施態様では、輸送媒体は不活性ガスを含有する蒸気相中にあり、また前駆体は液相および気相中に同時に存在するアルミニウム含有前駆体である。他の実施態様では、輸送媒体は気体/液体の相平衡にある。もう1つの他の実施態様では、輸送媒体は蒸気相である。
【0035】
前駆体が液体である実施態様では、前駆体は、反応帯域内に直接注入によって、たとえば導入されることができ、そして加熱された部品によってその後蒸発される。所望であれば、液状前駆体は、反応帯域中に噴霧化スプレーの形で導入され、そして加熱された部品によって蒸発されることができる。好ましくは、液状前駆体は、該液体がまだ輸送空間内にある間に、加熱された基体からの熱によって蒸発される。ある実施態様では、外部蒸発器、たとえば流下膜蒸発器、撹拌膜(ワイプトフィルム)蒸発器、または加熱されたボイラーから反応帯域内へ、前駆体の飽和蒸気が注入されることができる。
【0036】
純粋で、高密度で、平坦な金属層を形成するのに貢献する1の因子は、基体および輸送空間内の輸送媒体の両方についての適切な温度制御を達成することである。これはいくつかの別々の方法で成し遂げることができる。たとえば、基体は所望の反応温度まで加熱されることができ、そして反応性前駆体(たとえば、アルミニウムアルキル)の噴霧化スプレーは熱い基体(一または複数の基体)上に直接導入されることができる。基体温度は、誘導電力を変えることによって調節されることができ、また輸送媒体の蒸気温度は、前駆体組成物を吸引するのに使用される任意の不活性ガスの流量を調整することによって輸送空間内で調節されることができる。高いガス流量では、反応性ガスの平均滞留時間は低いだろう。そしてその結果、出口ガスの平均温度も低いだろう。基体および輸送媒体の温度の追加的な調節は、本発明のプロセスに供給される前駆体の濃度を変えることによって得ることができる。
【0037】
図6〜10は、異なる諸方法を用いて被覆された物体のSEM写真を示す。図6〜9は、IVD方法を用いて被覆された物体を示す。図10は、本発明の好まれる実施態様のSEM写真を示し、これは均一な、比較的純粋なコーティングを実証する。
【0038】
反応効率は、本発明のプロセスに供給される前駆体の量に基づいて上げられまたは下げられることができる。通り抜ける前駆体は、出口ガス流から凝縮されそしてなんら有害な影響なく本発明のプロセス中に再循環されることができる。反応帯域内の熱い反応性ガスの滞留時間を増加するであろうところのより低いガス流量において、より高い効率が期待されることができる。輸送媒体が蒸気である場合には、ガス流量を下げることは蒸気温度を増加する効果も持つだろう。そしてそれは蒸気温度を金属含有前駆体についての最適な範囲内に容易に調節することを許す。輸送空間内の蒸気温度を調節する他の手段は、反応容器内に供給される不活性ガスの温度を調節すること、または金属含有前駆体を揮発性溶媒中の溶液として系内に供給することによって蒸気中の担体ガスのいくらか若しくはすべてを置換することによってであろう。熱い基体と前駆体溶液との接触は、溶液の急速な蒸発を引き起こし、その結果、前駆体の微粒子化が達成される。この溶液中の前駆体の濃度を変えることは、出口ガス温度を調節する効果を持つ。これらの方法の組み合わせが、輸送空間内の蒸気温度を調節するのに使用されることもできる。
【0039】
本発明のプロセスの間、堆積の速度と得られる層の品質とを調節するような様式でプロセス条件を制御することが、非常に望ましいことが見出された。堆積の速度は、基体温度の調節に主として依存し、一方、層品質は、それよりもっと輸送媒体温度および前駆体の飽和状態の維持の関数である。好まれる実施態様では、活性な堆積の間、過剰の前駆体が反応帯域内に維持される。分解反応から生成される副生ガスの速度を動的に測定することによって、分解による前駆体消費量の速度を計算することが可能である。したがって、既知の過剰の反応物が反応帯域内に常時あるように、前駆体注入の速度は変えられることができる。調節可能な堆積速度で高品質の層を生成する最適の堆積状態を、この手順は許す。
【0040】
直接に制御可能なすべての関係する入力変数が、予測可能な堆積速度で高品質の層を生成することがわかっている一組の出力変数を計算するのに使用されるように、系をモデル化することによって、優れた結果を達成する最適のプロセス制御が導き出されることができる。該モデルへの入力変数は、(1)被覆されるべき基体の全表面積、(2)目標基体温度、(3)反応容器の内容積、(4)反応器内への不活性ガス注入の速度、(5)不活性ガスの初期温度、および(6)吸引の間の前駆体の注入速度、を包含する。該モデルからの出力変数は、(1)堆積の速度、(2)輸送空間内の輸送媒体温度、および(3)分解反応から副生ガスが生成される速度、を包含する。1の実施態様では、基体温度は、堆積前および堆積中の誘導電力を変えることによって主として調節される。輸送媒体温度は、金属アルキルを吸引するのに使用される不活性ガスの体積流量を調整することによって、および不活性ガスの温度を変えることによって調節されることができる。高いガス流量では、反応性ガスの平均滞留時間は比較的低く、したがって出口ガスの平均温度は低い。堆積の間、最適の蒸気温度条件が達成されるように不活性ガスの温度を下げまたは上げることによって、出口ガスの平均温度はさらに変更されることができる。出口ガスの平均温度は、反応帯域内で加熱された部品の全表面積の関数でもある。最後に、反応帯域内への前駆体の注入の速度は、反応器内の平衡輸送媒体温度に大きい影響を持ち、より高い前駆体注入速度で、より高い輸送媒体温度が該モデルによって予測される。
【0041】
好まれる実施態様では、最適の金属堆積物の品質が、前駆体(たとえば、アルミニウムアルキル)で飽和しているかまたは飽和に近い輸送媒体から生み出される。系が前駆体反応物質に、より欠乏していると、より不満足な品質の、より黒ずんだ層が一般に観察される。視覚的に、これは堆積が起きる反応器内に見られることができる。フラスコの壁が乾いているときは、十分ではない前駆体が輸送媒体中に存在している。さらに、基体上に成長する層の外観が白亜質になりうる。反応器の壁上に液体の薄層が存在することは、飽和または飽和に近い状態を達成するのに十分な前駆体が輸送媒体中にあることを示しうる。好まれる実施態様は飽和状態で運転されるけれども、輸送媒体中の大過剰量の前駆体は有害になりうる。基体および輸送媒体のより不十分な温度制御、部品上のより不満足な品質の金属層、および黒ずんだ金属粉塵の生成を、この状態は生み出す。
【0042】
本発明の方法によって生成された金属層の品質は、基体および蒸気の温度、蒸気中の前駆体の濃度、並びに反応物質が熱い基体と接触する様式の複雑な関数でありうる。熱い表面と接触する液滴の大きさを減少することによって、または蒸気が基体と接触するように基体を覆ってまたその間を通して飽和前駆体蒸気流を導入することによって、望ましくない不均一ででこぼこの表面は、最小化されまたはなくされることができる。反応器内の蒸気温度の制御は、調節型熱交換器を通して循環蒸気流を調整することによって維持されることができ、一方、新しい液体が蒸気流中に蒸発させられて、堆積による減損または排出ガス中への減損を補償する。
【0043】
好まれる実施態様では、輸送媒体の温度が前駆体の分解温度の少なくとも1℃下に保たれると、本発明の金属被覆プロセスは所望の金属層を与える。反応器内の好まれる輸送媒体温度は、前駆体の分解が基体の表面以外の場所では起きないようなものである。
【0044】
他の好まれる実施態様では、本発明の金属堆積プロセスは、数多くのプロセス媒介変数の相互作用および制御に係わる。基体の温度および前駆体の環境の温度は、本発明のプロセスの間、前者が後者より上にあり続けるように、両者とも監視されそして調節される必要がある。さらに、輸送媒体中の前駆体の飽和度は十分に高くなければならず、また前駆体を含有する輸送媒体の温度は、輸送媒体の安定点を超えないような十分に低いものでなければならない。蒸気安定点を超えると、前駆体が時期尚早の分解を始める原因となり、粉塵の生成および劣った堆積層の品質を引き起こすかもしれない。
【0045】
本発明の実施態様に記載された金属被覆プロセスの改善された特徴の1つは、基体の温度および輸送空間内の輸送媒体の温度に対する独立した制御の概念である。1の実施態様では、不活性ガスまたは輸送媒体の他の成分中への意図的な希釈、供給速度の調整、または外部調節剤、たとえば非反応性液体若しくはガスの添加を通して輸送媒体中の前駆体濃度を調整することによって、輸送空間内の輸送媒体の温度は、選択的に調節されることができる。
【0046】
反応の帯域を通り抜ける前駆体は、凝縮されそしてガス状副生物から分離され、凝縮した前駆体はプロセス中に再循環されて、前駆体中の金属から部品上に堆積された単体金属への半定量的な転化を維持することができる。所望であれば、発生したガス状副生物は反応室から放出されることができる。
【0047】
系の蒸気圧は、1気圧にほぼ等しい、その上またはその下の圧力に維持されることができる。
【0048】
室内の圧力は脈動されて、物質移動を改善し、また孔、導管、溝、または蒸気の侵入が制限されるかもしれないその他の領域中への本発明のアルミニウム堆積プロセスの「つきまわり性」も改善することができる。
【0049】
所望であれば、加熱電力、たとえば誘導コイルへ供給される加熱電力は、オン−オフ式に脈動されまたは別なふうに変動されて、本発明の堆積プロセスの間、コーティングの特性に影響を与えることができる。同様に、堆積された金属の厚さのような特性は、基体の温度および堆積帯域内の基体の滞留時間を変えることによって調節されることができる。
【0050】
本発明の実施態様は、バッチ、半バッチ、連続、および半連続の運転での使用方法に用いられることができる。高品質のアルミニウムおよび他の金属の層が、粉体、小から中サイズの部品、電線、管、シート、金属、および複雑な形状を持つ比較的大きい固定された部品の上にめっきされることができるように、プロセス装置および条件の変種が採用されることができる。
【0051】
図1は、薄い金属、たとえばアルミニウムの膜がその上に堆積されている基体を製造するための好まれる実施態様の装置を描いている。主要な反応器アッセンブリは、回転堆積装置(100)、バッフル付きPYREX(パイレックス)ガラス製反応容器(101)、噴霧化端子(102)、基体および輸送媒体の温度測定端子(103)および(104)、冷凍装置(117)を装備された凝縮器(116)、並びに凝縮物受器(118)を含む。液状前駆体は、加圧供給原料筒(105)から液体流調節装置(106A)および(106B)を通って噴霧化端子(102)に入って反応容器内に供給される。不活性吸引ガスは、加圧供給源からガス流調節器(107)を通って噴霧化端子(102)に供給される。反応容器内に導入された小部品の形をした基体(115)は、誘導電力供給源(111)、遠隔熱ステーション(112)、および回転容器の直下に置かれた誘導コイル(113)によって発生された誘導場によって加熱される。反応容器からの出口ガスは、凝縮器(116)を通りそしてデミスター(119)内に行く。デミスター内で凝集した液状前駆体は、再使用のために受器(120)内に回収される。系内で生成されたガスの流量は、流量計(108)によって測定されそして体積ガス計量計(109)内で積算され、その後ガスは放出ライン(110)を通って系から出て行く。
【0052】
表1Aは、本発明のいくつかの実施態様に存在する条件のおおよその範囲を示す。表1Bは、さまざまなアルミニウムコーティング厚さについてASTM B−117標準試験法によって測定された腐食成績のおおよその範囲を示す。表中に0分間と示された「運転時間」の範囲の下端では、運転はほんの数秒間で実施される。これらの記載された範囲および最終結果は限定的ではないこと、および表1Aに示された範囲の外で実施態様を実行することが可能でありうることは理解されるべきである。
【0053】
【表1A】
【0054】
【表1B】
【0055】
以下の実施例は、本発明の非限定的なある実施態様を示す。表2は、以下の実施例の条件をまとめる。
【実施例1】
【0056】
全部で5055gの重さがあり7576cm2の全表面積を持つ620個の呼び径M6の六角の、きざみ目のついたフランジボルトが、図1に示されたバッフル付きの10リットルの円筒型反応容器(101)内に置かれた。ボルトは予め、徹底的に洗浄されそして乾燥されて、外側の油を除かれ、そしてガラスビーズブラストされて、スケールおよび酸化物を除かれていた。反応容器(101)は、回転堆積系(100)に固定されそして該系は窒素で徹底的に洗い流されて、残留する酸素が吸引端子(102)を通して除かれた。反応系は、部品温度を測定するために熱電対TC1(103)を、また蒸気温度を測定するために熱電対TC2(104)を装備された。
【0057】
運転の開始前に、供給原料筒(105)からの液状トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)が準備されて、較正されたロータメーター(106A)および流量調節器(106B)を通して反応帯域内に噴霧化ミストとして毎分19.5gの初期速度で供給された。担体ガスとして毎分10リットルの窒素を供給された同軸吸引端子(102)によって、噴霧化は行われた。ガス流量は、ガス流量計(107)によって調節されかつ監視され、そして放出ライン(110)に置かれた体積ガス計量計(108)および第2のガス流量計(109)によって確認された。炭素鋼ボルトの加熱は、誘導電力供給源(111)によって、遠隔熱ステーション(112)および効率的なエネルギー移動のために反応帯域の直下に置かれた水冷された銅製誘導コイル(113)を用いて与えられた。電子回路および誘導コイルの冷却は、再循環する冷凍装置(114)によって与えられた。
【0058】
全体の反応容器は、約15RPMで回転されて、堆積の間、部品の効率的な混合を与えた。図4に示されたように熱平衡が達成されるまで、部品(115)は4分間298〜312℃の温度まで加熱された。この時点で、液状TIBALを毎分19.5gで微細なミストとして反応容器内に吸引することによって、反応が開始された。ミストが熱い部品に接触した後30〜40秒以内に、薄い銀色の一様に輝くアルミニウム層が、部品を被覆しているのが観察された。電力供給源の誘導電圧を調整することによって、部品および蒸気の温度は、それぞれ272〜312℃および192〜215℃の範囲に厳密に維持された。輸送空間内の蒸気温度間の温度差は活性な堆積の期間を通して維持され、一方、輸送空間内の蒸気温度は輸送空間内の前駆体の分解温度より下に保たれたことを、図4は示す。
【0059】
反応帯域から排出されるガスおよび残留アルミニウムアルキル蒸気は、ガラス製アダプター(116)および冷凍された冷油凝縮器系(117)を通過した。蒸気中の残留アルミニウムアルキルは、凝縮されそしてガラス製受器(118)に回収された。凝縮器から出たガスは、それからデミスター(119)および捕集器(120)を通り、その後続けてガス流量計(109)および体積ガス計量計(108)を通り放出口へ行った。TIBALが室に導入された後じきに、流量計(109)を通るガス流量は増加するのが観察された。これは一部には、副生物すなわち分解反応からの「反応」ガスの増加した生成の故でありうる。反応ガス体積の微分増加は、分解の速度を監視しそして反応をいつ止めるかを決定するのに使用された。
【0060】
目標としたアルミニウム堆積厚さは15μmであった。蒸気温度は、20分間の活性な堆積の間、215℃の最大値に到達するのが観察された。堆積の開始時に観察された乳白光性の銀色の外観は、運転を通して維持された。所定量の反応ガスが生成された時点(注入の開始後20分間)で、TIBAL供給および誘導電力は止められそして毎分10リットルの窒素流を維持しながら系の温度は放置冷却された。いくらかのさらなる反応が、加熱の停止後2〜3分間観察された。
【0061】
部品が250℃より下まで冷却すると、さらなる反応は観察されなかった。部品の温度が150℃に達した時点で、ヘプタンが噴霧化ノズルを通して系に導入された。生じたヘプタン蒸気は、部品を冷却しそして部品の表面から残留アルミニウムアルキルをすすぎ落とす役目をした。部品は、ヘプタンで2回すすがれその後窒素でパージされて残留ヘプタンが除かれた。
【0062】
部品上のアルミニウムの厚さは、15.3μmであると(重量増によって)計算された。堆積の速度は、0.76μm/分であると計算され、全アルミニウム使用効率は、運転の間供給されたTIBAL量基準で66%であると計算された。顕微鏡下で検査された部品は、層の分離またはピンホールの形跡なく、層が均一に被覆されていることを示した。
【実施例2】
【0063】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、この運転では、吸引ガス流は5.5L/分に下げられ、そして部品温度は運転の最後に向かって315℃の最大値に達することが許された。輸送空間内で蒸気温度を前駆体の分解温度より下に維持する試みは、なされなかった。TIBAL供給は、運転の最初の13分間は19g/分で開始された。TIBALが導入された後30秒間以内に、すべての部品は均一な銀色の外観を帯びていた。運転に入って8分間でかつ232℃の蒸気温度で、薄い灰色の霧が容器内で最初に観察された。部品はその乳白光性の銀色の外観を失い始めたが、目視できる粉塵が反応器の壁上に生成中するのが観察されることはなく、また液状前駆体が反応器壁上に依然として存在していた。運転に入って13分間で、TIBAL供給速度は11.5g/分に下げられた。次の5分間に、部品はより黒ずみ、また黒いアルミニウム粉塵が、反応器の壁上に生成し始めそして積もり始めるのが観察された。過剰の前駆体液体が反応器の壁から消え始め、そして反応ガス速度が急速に落ちた。これは反応が前駆体に欠乏するようになったことを示している。この時点で、実施例1に記載されたように、反応は停止された。運転後に顕微鏡下で検査されたアルミニウム層は、目に見えてより黒ずみ、より多孔性であり、かつ微視的な黒い粉塵粒子で被覆されていた。図5は、この運転からのさらなるデータを示す。
【実施例3】
【0064】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、高品質のアルミニウム層を生成するのに要求される条件を決定するために、トリエチルアルミニウム(TEAL)を前駆体として用いて、運転が実施された。表2に示されたように、3972cm2の全表面積を持つ222個の部品が、322〜366℃の範囲まで加熱された。TEALは、6L/分の窒素流中への噴霧化によって8〜9g/分で供給された。これらの条件において、観察された蒸気温度は247〜268℃の範囲にあった。初期のアルミニウム堆積物はつや消し銀状であったが、その後直ぐに、黒い粉塵が壁上および部品上に生成しそして積もっているのが観察された。あったとしても僅かの過剰TEALが、フラスコの壁上に液膜として観察された。運転は14分間後に停止された。8.0μmの層厚さが平均重量増によって計算され、堆積の速度が0.57μm/分と計算された。顕微鏡下で検査されると、層はかなり黒ずみ、多孔性であり、かつ黒い粉塵で汚染されていた。部品を真鍮製ワイヤーブラシでこすると、有意の量の黒い残渣が生じ、これは脆い低品質のコーティングを示している。ASTM B−117に規定された条件下に塩霧室内に置かれた標本の部品は、より高品質の層を生成する運転で同じような厚さに被覆された他のサンプルと比較すると、早すぎるうちに耐食性不合格になることが観察された。50時間の曝露以内に、部品は激しく汚染されそして全表面上にかなりの白錆腐食を示した。赤錆腐食による不合格は275時間以内に起きた。
【実施例4】
【0065】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、実施例3で直面された制御の問題を手直しするために、トリエチルアルミニウム(TEAL)を前駆体として用いて、運転が実施された。この運転の間、吸引ガス流は10L/分に増加されかつ注入の速度は10g/分に増加された。反応の制御は、上限設定温度を230℃として輸送媒体内の蒸気温度の厳格な調節に向けられた。部品温度の調節は2次的であり、その結果、より低い温度が運転の間観察された。反応ガスが生成される速度を測定することによって、反応の速度は監視された。これらの条件下に、高品質のアルミニウムの堆積が達成された。薄い銀色の層が全反応の間存在し、かつ黒い粉塵が生成するのは観察されなかった。少量の液体が反応容器の壁上に観察された。全堆積速度は、前駆体の使用効率50%で0.39μm/分であると決定された。顕微鏡下で検査された部品は、表面にくぼみまたは割れ目がない均一な層の無欠さを示した。
【実施例5】
【0066】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、5084cm2の全表面積を持つ400個の部品を用いて、運転が実施された。目標とした層厚さは8μmであった。運転の最初の4分間、噴霧化によるTIBAL注入は21g/分の高速度に維持された。噴霧化されたミストが室内に観察された後40秒以内に、すべての部品が薄い、乳白光性の銀色の輝きを帯びまた液体がフラスコの壁上に観察された。運転の最初の5分間、反応ガス発生の速度によって判断されるように、高い反応速度が明らかであった。同時に、輸送空間内の蒸気温度が、193℃から218℃に上がるのが観察された。6分間目に、TIBAL注入速度は、10g/分に下げられそして運転の残りの間その速度に維持された。生成される反応ガスの速度は有意に減少し、また蒸気温度はゆっくりと減少し始めた。
【0067】
運転の間いつでも、粉塵が生成するのは観察されず、また部品は薄い銀色を維持した。11.5分間で運転は停止された。層厚さは、目標とした厚さと良く一致して7.4μmであると計算された。最終の層品質は高品質なものであると判断された。
【実施例6】
【0068】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、約10μmの目標厚さを持つ高品質のアルミニウム層を製造するために運転が実施された。部品および輸送空間内の蒸気の温度をそれぞれ295〜314℃および158〜198℃の範囲に維持しながら、4856cm2の表面積を持つ全部で450個の部品が、10g/分の供給速度の噴霧化されたTIBALに曝露された。反応は順調に進み、16分間の運転の期間にわたって部品上に薄い銀色のアルミニウム層が製造された。該運転から得られた部品は、11.8μmの計算された層厚さを持つ高品質なものであった。運転から取り出された部品は、ASTM B−117に規定された条件下に塩霧室内に置かれ、764時間の曝露までは赤錆腐食に耐えることが観察された。
【実施例7】
【0069】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、約4μmの目標とした厚さを持つ高品質のアルミニウム層を製造するために運転が実施された。6474cm2の全表面積を持つ全部で600個の部品が、僅かに6分間の運転時間であることを除いて実施例6の条件と同様な条件で被覆された。運転停止後得られた部品は、3.6μmと計算された層厚さを持つことが見出された。運転から取り出された部品は、ASTM B−117に規定された条件下に塩霧室内に置かれ、耐食性不合格になる前68時間まで赤錆腐食に耐えることが観察された。
【実施例8】
【0070】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、8μmの目標とした厚さを持つ高品質のアルミニウム層を製造するために、小部品を充填して運転が実施された。16,234cm2の計算された全表面積を持つ全充填量5000gの呼び径M3の部品が、被覆のために反応容器内に置かれた。輸送空間内の蒸気温度が、飽和蒸気状態で220℃より下に維持される限り、高品質のアルミニウム層がこの運転で達成されることができるであろうと考えられた。これを達成するためには、より低い部品温度およびより低い反応の速度が必要であろう。20分間の運転の間、層の成長速度は、反応ガス生成の速度を観察することによって動的に監視された。主要な反応の制御は蒸気温度であり、一方、部品温度は、310℃から始まって255℃で終わる(通常よりも低い)範囲を確立することを許された。この様式の反応の制御を使用すると、反応ガス発生の速度は比較的一定であることが観察されかつ部品の外観は均一に薄い銀色であった。運転から得られた部品は分析されそして8.0μmの目標層厚さを達成したと決定された。
【実施例9】
【0071】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、10μmの目標とする厚さを持つ高品質のアルミニウム層を製造するために、運転が実施された。5985cm2の表面積を持つ全充填量3876gが、反応容器内に置かれそして通常の運転条件によって被覆された。運転によって得られた部品は、11.5μmの計算された層厚さを持つ高品質のものであることが見出された。運転から取り出された部品は、ASTM B−117に規定された条件下に塩霧室内に置かれ、764時間の曝露まで僅かに小さい白錆腐食だけで赤錆腐食はなく、赤錆腐食に耐えることが観察された。
【実施例10】
【0072】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、10μmの目標とする厚さを持つ高品質のアルミニウム層を製造するために、2重量部のTIBALと1重量部のn−ヘプタンとの前駆体供給原料組成物を用いて、運転が実施された。吸引ガスの流量は15L/分に増加されかつTIBAL/ヘプタン溶液が19gTIBAL/分の速度で注入されるように設定された。運転はいくつかの例外を除いて普通通りに進んだ。大量の液体が凝縮しそして受器(118)内に回収されるのが観察された。平坦な、乳白光性の薄い銀色のコーティングが、TIBAL/ヘプタンスプレーの導入後非常に速やかに観察された。
【0073】
部品および蒸気の温度は一般的に許された範囲内に維持されそして運転は順調に進んだ。運転から得られた部品は、平坦な薄い銀色のアルミニウムの層で均一に被覆されていた。堆積の速度は1.0μm/分であり、層厚さは10.2μmと計算された。運転から取り出された部品は、ASTM B−117に規定された条件下に塩霧室内に置かれ、600時間の曝露まで赤錆腐食に耐えることが観察された。
【実施例11】
【0074】
図2に示された装置および実施例1に記載された手順と実質的に同様な手順を使用して、トリ−n−ブチルアルミニウム(TNBAL)とジエチル亜鉛(DEZ)との混合物を用いて、共堆積によってアルミニウム/亜鉛合金を製造する意図を持って運転が実施された。TNBAL44.7g(0.225モル)とDEZ1.07g(0.0087モル)との混合物が、注入端子(202)を通して噴霧化によって注入するために調製された。2Lのバッフル付きガラス製反応容器(201)、冷凍凝縮器(213)および受器(214)を装備された回転堆積装置(200)が大気放出口に取り付けられ、該大気放出口へは装置からのガスが最初にガス流量計(203)、次に体積ガス計量計(204)を通って送られることができた。2つの熱電対、TC1(211)およびTC2(212)が、反応容器内に挿入されて、それぞれ部品および蒸気の温度を測定した。
【0075】
加圧びん(210)内に入れられた前駆体液体が、ロータメーター(209)およびニードル弁(208)からなる液体流調節系を通して噴霧化注入器(202)内に供給された。噴霧化ガスとして使用された窒素は、(203)および(204)によって測定された2L/分の所定の速度でニードル弁を通して供給された。864.4gの総重量および1295cm2の表面積を持つ全部で106個の呼び径M6のボルトが、反応容器内に置かれた。誘導電力供給源(205)および誘導コイル(201)からの誘導加熱を使用して、部品が326℃まで加熱されるまでの間、噴霧化ノズルを通して供給された窒素が系から空気をパージする役目をした。この温度で、液状前駆体が、3.1mL/分の速度で噴霧化スプレーとして反応容器に供給された。運転の間、部品温度は324〜338℃の範囲に維持され、一方、輸送空間内の蒸気温度は139〜190℃の範囲にあることが観察された。噴霧化スプレーが部品に当っているのが観察された後じきに、銀色の層が部品上に生成するのが見られた。17.5分間後に、運転が停止されそして部品がヘプタンで徹底的にすすがれた後に回収された。全部で4.47gのアルミニウム/亜鉛合金が部品上に堆積されていたことが重量によって見出され、これは約12μmの計算された層厚さを与えた。コーティングの外観は平坦で、僅かに青みがかった銀色を帯びて光沢があった。アルミニウム/亜鉛層は、物理的および微視的証拠によって決定されたように、同様に被覆されたアルミニウム化された部品よりも硬くかつ平坦であるようである。運転中に供給された44.0gの前駆体および部品上に見出されたアルミニウムと亜鉛との重量を基準として、全使用効率は73.7%であると計算された。
【実施例12】
【0076】
図2に示された装置および実施例11に記載された手順と実質的に同様な手順を使用して、ジ−n−ブチル亜鉛(DNBZ)を用いて、炭素鋼の部品上への亜鉛金属の堆積を実証する目的で運転が実施された。1222cm2の表面積を持つ全部で100個の呼び径M6の部品が、2Lのバッフル付き反応容器(201)内に置かれた。窒素ガスで洗い流すことによって空気が置換された後、部品は203℃まで加熱された。前駆体液体、DNBZが噴霧化ミストとして1g/分の所定の速度で反応帯域内に供給された。約275℃の部品温度および125℃の蒸気温度が到達されるまで、亜鉛金属の堆積は観察されなかった。部品および蒸気の温度がそれぞれ262〜290℃および125〜155℃の範囲に維持されて、堆積がさらに14分間続けられ、その時点で反応が停止されそして徹底的なヘプタンすすぎの後に部品が回収された。灰色がかった銀色の亜鉛金属の薄い、付着した層が、部品上にめっきされたのが見出された。
【0077】
本発明の好まれる実施態様が上述されたけれども、本発明はこれらに限定されないで、請求項の範囲内で実施するためにさまざまに具体化されることができることは理解されるべきである。これらの詳細についてのさまざまな変更および代案は、本発明の開示の全教示に照らして当業者には明らかであることが認識されるであろう。
【0078】
【表2】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本出願は、2003年9月19日に出願された米国特許出願連続番号第60/504,641号に基づいて優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野は、化学蒸着(「CVD」)によって堆積された金属コーティングおよびその製品およびその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
化学蒸着(CVD)法によって形成された堆積された金属膜は、多様な半導体およびマイクロエレクトロニクスの用途に一般に実施されるものである。CVD法を使用して金属薄膜をコーティングとして堆積しようとする試みは、困難であることが判明している。困難な状況は、(1〜2ミクロン以上の厚さの)厚い膜、例として保護コーティングたとえば耐食性コーティングを製造するときに特に顕著でありうる。
【0004】
固形、液状および気体状の金属前駆体を使用するいくつかの金属堆積手法が公表されており、金属前駆体は揮発されそして反応室内に導入され、そこで前駆体は分解されてその構成成分となり、その金属部分が目標基体上に堆積される。基体の金属被覆は達成されはしたけれども、薄膜構成の不十分な品質は、このようなコーティングの経済的に魅力のある利用を妨げていた。
【0005】
アルミニウム金属は、基体の腐食防止のための薄膜コーティングについての論理にかなう選択候補である。アルミニウムコーティングを付与する典型的な方法は、物理蒸着(PVD)法、たとえばイオン蒸着(IVD)であった。これらの方法は、アルミニウムコーティングを与えはしたが、高価な堆積装置を必要とし、そして運転し維持することが困難である。
【0006】
他の方法、たとえばCVDは、アルミニウムコーティングを与えはしたが、堆積室全域でのアルミニウム前駆体の分解が輸送媒体中にそしてその後に目標基体の表面上にアルミニウム粉塵を生じさせるので、制御が困難であった。粉塵粒子の生成は、腐食防止、表面形態(モルホロジー)、および美観の点から基体上の薄膜の品質に有害であることが判明している。
【0007】
液相めっき法が、米国特許第3,449,144号、第3,449,150号、第3,464,844号、第3,578,494号、および第3,707,136号に記載されており、これらにおいては、目標金属の対流加熱およびその後の液状金属アルキル前駆体を使用する方法を用いる金属めっきによって、アルミニウムの堆積が達成される。これらの手法は、温度の調節、堆積層厚さの調節、およびプロセス設計の装置上の要件についての問題を抱えている。
【0008】
P.Pawlykへの米国特許第2,700,365号は、液体含有蒸気を用いる気相法ではなくて、カルボニルまたは他の金属含有揮発性化合物を使用することによって表面をめっきする気相法を教示する。
【0009】
J.C.Withersは米国特許第3,702,780号を付与され、これは、金属含有前駆体が、誘導加熱された基体をめっき膜で被覆することを含む噴霧化スプレーの使用方法を教示する。この特許は、基体の温度を監視することを記載している。「分解的スプレー法」と称されるこの技術は、さらに「Chem.Vapor Deposition,Int.Conf.」、第2回1970年、393〜407ページに記載されている。
【0010】
アルミニウムコーティングをCVDの実験室装置から大量生産用のより大規模な装置へ移そうとするこれまでの試みは、困難であることが判明している。コーティングの完全無欠さは、より大きいCVD反応器で達成することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第3,449,144号公報
【特許文献2】米国特許第3,449,150号公報
【特許文献3】米国特許第3,464,844号公報
【特許文献4】米国特許第3,578,494号公報
【特許文献5】米国特許第3,707,136号公報
【特許文献6】米国特許第2,700,365号公報
【特許文献7】米国特許第3,702,780号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】「Chem.Vapor Deposition,Int.Conf.」、第2回1970年、393〜407ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、実質的に純粋な、等角的な(コンフォーマルな)金属層を、1以上の基体上に金属含有前駆体の分解によって堆積する改善された方法に関する。この堆積プロセスの間、基体(一または複数の基体)は前駆体の分解温度よりも高い温度に維持され、一方、周囲の環境は前駆体の分解温度よりも低い温度に維持される。前駆体は、輸送媒体中、たとえば気相中に分散される。気相はその中に液体も含有し、該気相中の金属含有前駆体(一または複数の金属含有前駆体)の濃度は、金属前駆体(一または複数の金属前駆体)について飽和またはそれに近い状態を与えるレベルにあることができる。
【発明の効果】
【0014】
輸送媒体と基体との間の上述の温度の制御を確保することによって、かつ輸送媒体について少なくとも飽和状態に近く維持することによって、堆積された金属薄膜の品質は顕著に改善され、かつ副生金属粉塵の生成が大きく低減されまたは実質的になくされる。本発明の実施態様は、従来技術の手法と比較して、より多くの基体温度制御、よりよい堆積層厚さの制御、およびより都合のよいプロセス装置の設計を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、コーティングを基体上に堆積するための典型的なプロセスのフロー図である。
【図2】図2は、コーティングを基体上に堆積するための他の典型的なプロセスを例示するフロー図である。
【図3】図3は、反応容器の内の被覆された基体の拡大見取図である。
【図4】図4は、本発明の反応プロセスの好まれる実施態様の間のプロセス構成要素の温度プロフィールである。
【図5】図5は、他の反応プロセスの間のプロセス構成要素の温度プロフィールである。
【図6】図6は、IVD方法によって被覆されたリベットのSEM写真である。
【図7】図7は、IVD方法によってアルミニウム被覆されたリベットのSEM写真である。
【図8】図8は、他のIVD方法によってアルミニウム被覆されたリベットのSEM写真である。
【図9】図9は、他のIVD方法によって被覆されたリベットのSEM写真である。
【図10】図10は、本発明の好まれる実施態様に従ってCVD方法を使用して被覆された基体のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好まれる実施態様は、輸送媒体を用いて輸送空間を通って基体まで前駆体を輸送する。輸送空間内の温度は、前駆体の分解温度よりも低い。金属層は、前駆体が基体上に分解することによって基体上に堆積される。基体の温度は、前駆体分解温度よりも高く、また輸送空間内の前駆体の温度は、直接に測定されそして調節される。基体の温度とは、その上へコーティングが最終的に堆積される、前駆体と接触するべく意図された基体の表面のそのような部分の温度であることは、正しく理解されるであろう。
【0017】
他の好まれる実施態様は、基体を誘導エネルギー源を用いて加熱することによって、かつアルミニウムを基体の表面上に堆積するアルミニウム含有前駆体を含む液体含有蒸気相を使用することによって、アルミニウムを基体上に堆積する。基体の表面温度は、アルミニウム含有前駆体の分解温度より上で、かつ蒸気相は、輸送空間内でその分解温度より下に維持される。
【0018】
大量の小部品またはその他の基体の被覆を許す反応環境を作り出すことによって、小規模実験室装置からより大規模の製造装置に移行することができるCVDプロセスを提供することが、本発明の他の目的である。
【0019】
金属含有前駆体の分解によって、各種の基体上に金属、たとえばアルミニウムの層を堆積する改善された方法を提供することが、本発明の他の目的である。1の実施態様は有機アルミニウム前駆体の使用に係わるけれども、本発明の方法は、他の金属含有前駆体、たとえば他の有機金属化合物、カルボニル化合物、およびアセチルアセトネートを単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0020】
好まれる実施態様では、アルミニウム層の源は、例として液状金属アルキル化合物、たとえばトリメチルアルミニウム、ジメチルアルミニウム水素化物、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウム水素化物、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウム水素化物、または式R1R2R3Alの他のトリアルキルアルミニウム若しくはジアルキルアルミニウム水素化物であることができ、ここでR1、R2、およびR3は、分岐、直鎖、若しくは環状のヒドロカルビル配位子または水素であり、かつR1、R2、およびR3中の炭素原子の数はC1〜約C12の範囲にある。選ばれる配位子は2官能性であって、かつ2〜3個のアルミニウム原子に結合するブタジエニルまたはイソプレニルのようなものを含むこともできる。選択された液状/蒸気状前駆体組成物は、任意のまたはすべての上述の化学種の混合物を含有することができる。好ましくは、上述のR1、R2、およびR3は、エチル、イソブチル、および水素から選ばれ、もっとも好まれる化合物は、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウム水素化物、またはこの2つの混合物である。
【0021】
輸送媒体は、約60℃〜約200℃超の沸点の範囲を持つ多様な非反応性の溶媒中の、約5%〜約95%の範囲のアルミニウムアルキルの濃度で金属アルキルの希薄溶液を含有することもできる。アルミニウムアルキルを溶液で導入することの利益は、(1)基体(一または複数の基体)の表面への前駆体のより均一な分布を与えること、(2)供給原料液体の自然発火性を下げること、および(3)反応帯域内で液体と蒸気との適切な熱バランスを維持する助けとなることである。
【0022】
基体に堆積された金属コーティングを与えることが本発明の他の目的であり、ここで輸送媒体および基体の温度を調節することの結果として、該金属コーティングは均一で、かつでこぼこがない。
【0023】
好まれる実施態様では、好適な基体は、小さい組み立て部品、たとえば留め具、ナット、ボルト、ネジ、釘、リベット、およびピンを包含する(が、これらに限定されない)。コーティングに適した他の基体は、クランプ、フェルール、クリップ、およびタグを包含する。基体の大きさに、手もとの装置によって課される大きさを除いて制限はない。好まれる基体は、3次元の物体であり、任意のまたはすべてのその次元においてセンチメートル台の寸法を持ち、単純および複雑な形状を持つものである。
【0024】
非CVDの別方法に関する本発明の方法の実施態様の有意に有利な点は、開口部、割れ目、線、くぼみ、小さいくぼみ、穴、およびぎざぎざのような小さい造作および様式を持つ複雑な形状物の有効な被覆を、蒸気相中の前駆体拡散の特質の故に、本方法が許すことである。
【0025】
基体が前駆体の分解温度以上の温度に耐える能力は、被覆されるべき基体の組成の関数である。純粋な金属、たとえば鉄、銅、およびアルミニウム、金属合金および変性物、たとえば鋼鉄、青銅等、並びにこれらの混成および複合物質を包含する(が、これらに限定されない)多様な物質から、好適な基体はつくられることができる。他の好適な基体は、広い範囲の官能性を持つ重合体物質、たとえばポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ポリアルキルアミド、ポリアラミド、ポリオレフィン、ポリエステル等を包含する。
【0026】
1の実施態様では、一連の表面変性された基体が、所望の金属で被覆されることができる。これらは、有機、無機、および混成の組成物を包含し、これらの上には表面変換、たとえば無電解金属析出、硬化、架橋、または任意の適当な方法が、前駆体の分解温度以上の表面温度に耐える所望の能力を与えている。
【0027】
好まれる実施態様では、本発明の方法は、金属層を基体上に堆積し、その場合に金属層が、液体含有蒸気相中で金属含有前駆体組成物によって形成され、堆積プロセスの期間中、輸送空間内で液体含有蒸気相の温度が前駆体分解温度より下に維持され、かつ金属基体が前駆体分解温度より上に維持されるように、基体および蒸気相の温度が調節される。該温度間の関係は、以下の式で表されることができる。
【数1】
ここで、Tvaporは輸送空間内の蒸気の温度であり、TDecompositionは前駆体分解温度であり、またTSubstrateは被覆されるべき基体の表面上の温度である。
【0028】
図3は、反応容器内で被覆された基体の拡大図を例示する。輸送空間(301)は、反応が観察されることができるように、実質的に透明な物質、たとえばPYREX(パイレックス)ガラスを包含する任意の適当な物質から構成された容器の内側の空間であることができる。基体(300)は反応容器の内側にあり、そして堆積された金属膜(310)は基体の表面に結合される。基体を加熱する任意の適当な手段(313)が使用されることができて、基体温度を前駆体分解温度より高く保つ。輸送媒体(330)が、輸送媒体(330)の内部で飽和に近いレベルにある前駆体物質(340)とともに本図に示される。輸送空間の内部の輸送媒体(330)と基体(300)との温度は、任意の適当な手段、たとえば熱電対(350)によって測定されることができる。
【0029】
好まれる実施態様では、輸送空間内の前駆体の温度は直接に測定される。前駆体供給ライン中の温度測定とは対照的に、熱電対、熱センサーまたは他の適当な手段によって、該温度は輸送空間内で直接に測定される。一定のプロセス媒介変数、たとえば一定の誘導電圧または前駆体の一定の流量による不精密で間接的な制御とは対照的に、輸送空間内の温度の直接測定は、輸送空間内の前駆体の温度に対する直接的かつ精密な制御を許すことができる。他の好まれる実施態様では、輸送空間内の前駆体の温度の直接測定は、±10℃の精度で、より好ましくは±5℃の精度で調節されることができる。輸送空間内の前駆体温度に対するこのような精密な制御は、より高い品質のコーティング、より少ない廃棄物、およびより厚いコーティングをもたらすことができる。精密な温度制御なしでは、大きな温度変動が結果として生じうる。温度が高くなり過ぎると、前駆体は不安定になり、ひょっとしたらコーティング中への不純物、たとえば黒い粉塵の生成につながるかも知れない。温度が低過ぎると、堆積の動力学は好ましくない様式に変わり、ひょっとしたら望ましくない結果、たとえば液体の溜まりにつながるかも知れない。
【0030】
別の好まれる実施態様では、金属コーティングはアルミニウムを含み、また輸送媒体は蒸気である。最適化された温度範囲は、アルミニウム源として使用された前駆体金属アルキル(一または複数の前駆体金属アルキル)に従って変動する。基体(一または複数の基体)の温度範囲は、誘導かあるいはマイクロ波のエネルギーによって約270℃〜約400℃に維持されることができ、トリエチルアルミニウム(TEAL)およびTEALとジエチルアルミニウム水素化物(DEAL−H)との混合物についての基体温度範囲は、約290℃〜約360℃の範囲にある。これらの前駆体の蒸気温度は、約180℃〜約280℃でいろいろであることができ、好まれる範囲は約220℃〜約235℃である。トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)およびジイソブチルアルミニウム水素化物(DIBAL−H)については、これらの前駆体の、より低い分解温度の故に、基体および蒸気の温度はより低いであろう。純粋なTIBALまたはDIBAL−Hについての基体温度は、約210℃という低さから約350℃という高さまでであることができ、この温度媒介変数の好まれる範囲は約290℃〜約330℃である。反応空間内の蒸気温度は、高い品質の層を確保するために約180℃〜約270℃に調節される必要があり、好まれる範囲は約185℃〜約260℃の範囲にある。
【0031】
洗浄剤、たとえば標準的な石けんと水との溶液を用いての基体の前処理およびそれに続く基体を乾燥するためのたとえばアセトンすすぎは、特に基体が金属でつくられているならば、通常望まれる。ビーズブラスト処理のような手段による金属基体からのスケールおよび/または酸化物の層の除去も、同様に望まれる。被覆前の付随的な酸化を防ぐために加えられたある種の薄い化学コーティングは、高品質で付着力のあるアルミニウム層の形成を妨げないことも確立されている。
【0032】
基体の最外層を加熱する数多くの方法が、前駆体の分解を達成するために使用されることができる。好まれる実施態様では、間接的な「非接触」加熱方法が使用され、同方法では基体の加熱が電磁誘導またはマイクロ波、紫外線、または赤外線のエネルギーの照射によって誘起される。他の実施態様では、誘導加熱方法、たとえば電磁誘導が、基体内に電流を誘起して熱を発生することによって基体を加熱する魅力的な手段であることが見出された。
【0033】
好まれる実施態様では、金属被覆工程の間、前駆体を含有する適当な輸送媒体によって、基体は取り囲まれる。好まれる輸送媒体は、実質的に飽和した蒸気、液滴を含有する実質的に飽和した蒸気、または液滴を含有する飽和していない蒸気を包含する。特に好まれる輸送媒体は、気体/液体平衡相を包含する。均質および不均質の混合物、たとえば溶液、エマルション、分散物、および懸濁物、並びにコロイド相およびミセル相も適切な輸送媒体である。
【0034】
前駆体に加えて、輸送媒体は前駆体の送達媒体、たとえば不活性ガス、溶媒等、並びに分解生成物、たとえば飽和または不飽和の炭化水素、水素、および他の揮発性化合物を含むことができる。混合および平衡相は、任意のまたはすべての上述の成分を含むことができる。好まれる実施態様では、輸送媒体は不活性ガスを含有する蒸気相中にあり、また前駆体は液相および気相中に同時に存在するアルミニウム含有前駆体である。他の実施態様では、輸送媒体は気体/液体の相平衡にある。もう1つの他の実施態様では、輸送媒体は蒸気相である。
【0035】
前駆体が液体である実施態様では、前駆体は、反応帯域内に直接注入によって、たとえば導入されることができ、そして加熱された部品によってその後蒸発される。所望であれば、液状前駆体は、反応帯域中に噴霧化スプレーの形で導入され、そして加熱された部品によって蒸発されることができる。好ましくは、液状前駆体は、該液体がまだ輸送空間内にある間に、加熱された基体からの熱によって蒸発される。ある実施態様では、外部蒸発器、たとえば流下膜蒸発器、撹拌膜(ワイプトフィルム)蒸発器、または加熱されたボイラーから反応帯域内へ、前駆体の飽和蒸気が注入されることができる。
【0036】
純粋で、高密度で、平坦な金属層を形成するのに貢献する1の因子は、基体および輸送空間内の輸送媒体の両方についての適切な温度制御を達成することである。これはいくつかの別々の方法で成し遂げることができる。たとえば、基体は所望の反応温度まで加熱されることができ、そして反応性前駆体(たとえば、アルミニウムアルキル)の噴霧化スプレーは熱い基体(一または複数の基体)上に直接導入されることができる。基体温度は、誘導電力を変えることによって調節されることができ、また輸送媒体の蒸気温度は、前駆体組成物を吸引するのに使用される任意の不活性ガスの流量を調整することによって輸送空間内で調節されることができる。高いガス流量では、反応性ガスの平均滞留時間は低いだろう。そしてその結果、出口ガスの平均温度も低いだろう。基体および輸送媒体の温度の追加的な調節は、本発明のプロセスに供給される前駆体の濃度を変えることによって得ることができる。
【0037】
図6〜10は、異なる諸方法を用いて被覆された物体のSEM写真を示す。図6〜9は、IVD方法を用いて被覆された物体を示す。図10は、本発明の好まれる実施態様のSEM写真を示し、これは均一な、比較的純粋なコーティングを実証する。
【0038】
反応効率は、本発明のプロセスに供給される前駆体の量に基づいて上げられまたは下げられることができる。通り抜ける前駆体は、出口ガス流から凝縮されそしてなんら有害な影響なく本発明のプロセス中に再循環されることができる。反応帯域内の熱い反応性ガスの滞留時間を増加するであろうところのより低いガス流量において、より高い効率が期待されることができる。輸送媒体が蒸気である場合には、ガス流量を下げることは蒸気温度を増加する効果も持つだろう。そしてそれは蒸気温度を金属含有前駆体についての最適な範囲内に容易に調節することを許す。輸送空間内の蒸気温度を調節する他の手段は、反応容器内に供給される不活性ガスの温度を調節すること、または金属含有前駆体を揮発性溶媒中の溶液として系内に供給することによって蒸気中の担体ガスのいくらか若しくはすべてを置換することによってであろう。熱い基体と前駆体溶液との接触は、溶液の急速な蒸発を引き起こし、その結果、前駆体の微粒子化が達成される。この溶液中の前駆体の濃度を変えることは、出口ガス温度を調節する効果を持つ。これらの方法の組み合わせが、輸送空間内の蒸気温度を調節するのに使用されることもできる。
【0039】
本発明のプロセスの間、堆積の速度と得られる層の品質とを調節するような様式でプロセス条件を制御することが、非常に望ましいことが見出された。堆積の速度は、基体温度の調節に主として依存し、一方、層品質は、それよりもっと輸送媒体温度および前駆体の飽和状態の維持の関数である。好まれる実施態様では、活性な堆積の間、過剰の前駆体が反応帯域内に維持される。分解反応から生成される副生ガスの速度を動的に測定することによって、分解による前駆体消費量の速度を計算することが可能である。したがって、既知の過剰の反応物が反応帯域内に常時あるように、前駆体注入の速度は変えられることができる。調節可能な堆積速度で高品質の層を生成する最適の堆積状態を、この手順は許す。
【0040】
直接に制御可能なすべての関係する入力変数が、予測可能な堆積速度で高品質の層を生成することがわかっている一組の出力変数を計算するのに使用されるように、系をモデル化することによって、優れた結果を達成する最適のプロセス制御が導き出されることができる。該モデルへの入力変数は、(1)被覆されるべき基体の全表面積、(2)目標基体温度、(3)反応容器の内容積、(4)反応器内への不活性ガス注入の速度、(5)不活性ガスの初期温度、および(6)吸引の間の前駆体の注入速度、を包含する。該モデルからの出力変数は、(1)堆積の速度、(2)輸送空間内の輸送媒体温度、および(3)分解反応から副生ガスが生成される速度、を包含する。1の実施態様では、基体温度は、堆積前および堆積中の誘導電力を変えることによって主として調節される。輸送媒体温度は、金属アルキルを吸引するのに使用される不活性ガスの体積流量を調整することによって、および不活性ガスの温度を変えることによって調節されることができる。高いガス流量では、反応性ガスの平均滞留時間は比較的低く、したがって出口ガスの平均温度は低い。堆積の間、最適の蒸気温度条件が達成されるように不活性ガスの温度を下げまたは上げることによって、出口ガスの平均温度はさらに変更されることができる。出口ガスの平均温度は、反応帯域内で加熱された部品の全表面積の関数でもある。最後に、反応帯域内への前駆体の注入の速度は、反応器内の平衡輸送媒体温度に大きい影響を持ち、より高い前駆体注入速度で、より高い輸送媒体温度が該モデルによって予測される。
【0041】
好まれる実施態様では、最適の金属堆積物の品質が、前駆体(たとえば、アルミニウムアルキル)で飽和しているかまたは飽和に近い輸送媒体から生み出される。系が前駆体反応物質に、より欠乏していると、より不満足な品質の、より黒ずんだ層が一般に観察される。視覚的に、これは堆積が起きる反応器内に見られることができる。フラスコの壁が乾いているときは、十分ではない前駆体が輸送媒体中に存在している。さらに、基体上に成長する層の外観が白亜質になりうる。反応器の壁上に液体の薄層が存在することは、飽和または飽和に近い状態を達成するのに十分な前駆体が輸送媒体中にあることを示しうる。好まれる実施態様は飽和状態で運転されるけれども、輸送媒体中の大過剰量の前駆体は有害になりうる。基体および輸送媒体のより不十分な温度制御、部品上のより不満足な品質の金属層、および黒ずんだ金属粉塵の生成を、この状態は生み出す。
【0042】
本発明の方法によって生成された金属層の品質は、基体および蒸気の温度、蒸気中の前駆体の濃度、並びに反応物質が熱い基体と接触する様式の複雑な関数でありうる。熱い表面と接触する液滴の大きさを減少することによって、または蒸気が基体と接触するように基体を覆ってまたその間を通して飽和前駆体蒸気流を導入することによって、望ましくない不均一ででこぼこの表面は、最小化されまたはなくされることができる。反応器内の蒸気温度の制御は、調節型熱交換器を通して循環蒸気流を調整することによって維持されることができ、一方、新しい液体が蒸気流中に蒸発させられて、堆積による減損または排出ガス中への減損を補償する。
【0043】
好まれる実施態様では、輸送媒体の温度が前駆体の分解温度の少なくとも1℃下に保たれると、本発明の金属被覆プロセスは所望の金属層を与える。反応器内の好まれる輸送媒体温度は、前駆体の分解が基体の表面以外の場所では起きないようなものである。
【0044】
他の好まれる実施態様では、本発明の金属堆積プロセスは、数多くのプロセス媒介変数の相互作用および制御に係わる。基体の温度および前駆体の環境の温度は、本発明のプロセスの間、前者が後者より上にあり続けるように、両者とも監視されそして調節される必要がある。さらに、輸送媒体中の前駆体の飽和度は十分に高くなければならず、また前駆体を含有する輸送媒体の温度は、輸送媒体の安定点を超えないような十分に低いものでなければならない。蒸気安定点を超えると、前駆体が時期尚早の分解を始める原因となり、粉塵の生成および劣った堆積層の品質を引き起こすかもしれない。
【0045】
本発明の実施態様に記載された金属被覆プロセスの改善された特徴の1つは、基体の温度および輸送空間内の輸送媒体の温度に対する独立した制御の概念である。1の実施態様では、不活性ガスまたは輸送媒体の他の成分中への意図的な希釈、供給速度の調整、または外部調節剤、たとえば非反応性液体若しくはガスの添加を通して輸送媒体中の前駆体濃度を調整することによって、輸送空間内の輸送媒体の温度は、選択的に調節されることができる。
【0046】
反応の帯域を通り抜ける前駆体は、凝縮されそしてガス状副生物から分離され、凝縮した前駆体はプロセス中に再循環されて、前駆体中の金属から部品上に堆積された単体金属への半定量的な転化を維持することができる。所望であれば、発生したガス状副生物は反応室から放出されることができる。
【0047】
系の蒸気圧は、1気圧にほぼ等しい、その上またはその下の圧力に維持されることができる。
【0048】
室内の圧力は脈動されて、物質移動を改善し、また孔、導管、溝、または蒸気の侵入が制限されるかもしれないその他の領域中への本発明のアルミニウム堆積プロセスの「つきまわり性」も改善することができる。
【0049】
所望であれば、加熱電力、たとえば誘導コイルへ供給される加熱電力は、オン−オフ式に脈動されまたは別なふうに変動されて、本発明の堆積プロセスの間、コーティングの特性に影響を与えることができる。同様に、堆積された金属の厚さのような特性は、基体の温度および堆積帯域内の基体の滞留時間を変えることによって調節されることができる。
【0050】
本発明の実施態様は、バッチ、半バッチ、連続、および半連続の運転での使用方法に用いられることができる。高品質のアルミニウムおよび他の金属の層が、粉体、小から中サイズの部品、電線、管、シート、金属、および複雑な形状を持つ比較的大きい固定された部品の上にめっきされることができるように、プロセス装置および条件の変種が採用されることができる。
【0051】
図1は、薄い金属、たとえばアルミニウムの膜がその上に堆積されている基体を製造するための好まれる実施態様の装置を描いている。主要な反応器アッセンブリは、回転堆積装置(100)、バッフル付きPYREX(パイレックス)ガラス製反応容器(101)、噴霧化端子(102)、基体および輸送媒体の温度測定端子(103)および(104)、冷凍装置(117)を装備された凝縮器(116)、並びに凝縮物受器(118)を含む。液状前駆体は、加圧供給原料筒(105)から液体流調節装置(106A)および(106B)を通って噴霧化端子(102)に入って反応容器内に供給される。不活性吸引ガスは、加圧供給源からガス流調節器(107)を通って噴霧化端子(102)に供給される。反応容器内に導入された小部品の形をした基体(115)は、誘導電力供給源(111)、遠隔熱ステーション(112)、および回転容器の直下に置かれた誘導コイル(113)によって発生された誘導場によって加熱される。反応容器からの出口ガスは、凝縮器(116)を通りそしてデミスター(119)内に行く。デミスター内で凝集した液状前駆体は、再使用のために受器(120)内に回収される。系内で生成されたガスの流量は、流量計(108)によって測定されそして体積ガス計量計(109)内で積算され、その後ガスは放出ライン(110)を通って系から出て行く。
【0052】
表1Aは、本発明のいくつかの実施態様に存在する条件のおおよその範囲を示す。表1Bは、さまざまなアルミニウムコーティング厚さについてASTM B−117標準試験法によって測定された腐食成績のおおよその範囲を示す。表中に0分間と示された「運転時間」の範囲の下端では、運転はほんの数秒間で実施される。これらの記載された範囲および最終結果は限定的ではないこと、および表1Aに示された範囲の外で実施態様を実行することが可能でありうることは理解されるべきである。
【0053】
【表1A】
【0054】
【表1B】
【0055】
以下の実施例は、本発明の非限定的なある実施態様を示す。表2は、以下の実施例の条件をまとめる。
【実施例1】
【0056】
全部で5055gの重さがあり7576cm2の全表面積を持つ620個の呼び径M6の六角の、きざみ目のついたフランジボルトが、図1に示されたバッフル付きの10リットルの円筒型反応容器(101)内に置かれた。ボルトは予め、徹底的に洗浄されそして乾燥されて、外側の油を除かれ、そしてガラスビーズブラストされて、スケールおよび酸化物を除かれていた。反応容器(101)は、回転堆積系(100)に固定されそして該系は窒素で徹底的に洗い流されて、残留する酸素が吸引端子(102)を通して除かれた。反応系は、部品温度を測定するために熱電対TC1(103)を、また蒸気温度を測定するために熱電対TC2(104)を装備された。
【0057】
運転の開始前に、供給原料筒(105)からの液状トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)が準備されて、較正されたロータメーター(106A)および流量調節器(106B)を通して反応帯域内に噴霧化ミストとして毎分19.5gの初期速度で供給された。担体ガスとして毎分10リットルの窒素を供給された同軸吸引端子(102)によって、噴霧化は行われた。ガス流量は、ガス流量計(107)によって調節されかつ監視され、そして放出ライン(110)に置かれた体積ガス計量計(108)および第2のガス流量計(109)によって確認された。炭素鋼ボルトの加熱は、誘導電力供給源(111)によって、遠隔熱ステーション(112)および効率的なエネルギー移動のために反応帯域の直下に置かれた水冷された銅製誘導コイル(113)を用いて与えられた。電子回路および誘導コイルの冷却は、再循環する冷凍装置(114)によって与えられた。
【0058】
全体の反応容器は、約15RPMで回転されて、堆積の間、部品の効率的な混合を与えた。図4に示されたように熱平衡が達成されるまで、部品(115)は4分間298〜312℃の温度まで加熱された。この時点で、液状TIBALを毎分19.5gで微細なミストとして反応容器内に吸引することによって、反応が開始された。ミストが熱い部品に接触した後30〜40秒以内に、薄い銀色の一様に輝くアルミニウム層が、部品を被覆しているのが観察された。電力供給源の誘導電圧を調整することによって、部品および蒸気の温度は、それぞれ272〜312℃および192〜215℃の範囲に厳密に維持された。輸送空間内の蒸気温度間の温度差は活性な堆積の期間を通して維持され、一方、輸送空間内の蒸気温度は輸送空間内の前駆体の分解温度より下に保たれたことを、図4は示す。
【0059】
反応帯域から排出されるガスおよび残留アルミニウムアルキル蒸気は、ガラス製アダプター(116)および冷凍された冷油凝縮器系(117)を通過した。蒸気中の残留アルミニウムアルキルは、凝縮されそしてガラス製受器(118)に回収された。凝縮器から出たガスは、それからデミスター(119)および捕集器(120)を通り、その後続けてガス流量計(109)および体積ガス計量計(108)を通り放出口へ行った。TIBALが室に導入された後じきに、流量計(109)を通るガス流量は増加するのが観察された。これは一部には、副生物すなわち分解反応からの「反応」ガスの増加した生成の故でありうる。反応ガス体積の微分増加は、分解の速度を監視しそして反応をいつ止めるかを決定するのに使用された。
【0060】
目標としたアルミニウム堆積厚さは15μmであった。蒸気温度は、20分間の活性な堆積の間、215℃の最大値に到達するのが観察された。堆積の開始時に観察された乳白光性の銀色の外観は、運転を通して維持された。所定量の反応ガスが生成された時点(注入の開始後20分間)で、TIBAL供給および誘導電力は止められそして毎分10リットルの窒素流を維持しながら系の温度は放置冷却された。いくらかのさらなる反応が、加熱の停止後2〜3分間観察された。
【0061】
部品が250℃より下まで冷却すると、さらなる反応は観察されなかった。部品の温度が150℃に達した時点で、ヘプタンが噴霧化ノズルを通して系に導入された。生じたヘプタン蒸気は、部品を冷却しそして部品の表面から残留アルミニウムアルキルをすすぎ落とす役目をした。部品は、ヘプタンで2回すすがれその後窒素でパージされて残留ヘプタンが除かれた。
【0062】
部品上のアルミニウムの厚さは、15.3μmであると(重量増によって)計算された。堆積の速度は、0.76μm/分であると計算され、全アルミニウム使用効率は、運転の間供給されたTIBAL量基準で66%であると計算された。顕微鏡下で検査された部品は、層の分離またはピンホールの形跡なく、層が均一に被覆されていることを示した。
【実施例2】
【0063】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、この運転では、吸引ガス流は5.5L/分に下げられ、そして部品温度は運転の最後に向かって315℃の最大値に達することが許された。輸送空間内で蒸気温度を前駆体の分解温度より下に維持する試みは、なされなかった。TIBAL供給は、運転の最初の13分間は19g/分で開始された。TIBALが導入された後30秒間以内に、すべての部品は均一な銀色の外観を帯びていた。運転に入って8分間でかつ232℃の蒸気温度で、薄い灰色の霧が容器内で最初に観察された。部品はその乳白光性の銀色の外観を失い始めたが、目視できる粉塵が反応器の壁上に生成中するのが観察されることはなく、また液状前駆体が反応器壁上に依然として存在していた。運転に入って13分間で、TIBAL供給速度は11.5g/分に下げられた。次の5分間に、部品はより黒ずみ、また黒いアルミニウム粉塵が、反応器の壁上に生成し始めそして積もり始めるのが観察された。過剰の前駆体液体が反応器の壁から消え始め、そして反応ガス速度が急速に落ちた。これは反応が前駆体に欠乏するようになったことを示している。この時点で、実施例1に記載されたように、反応は停止された。運転後に顕微鏡下で検査されたアルミニウム層は、目に見えてより黒ずみ、より多孔性であり、かつ微視的な黒い粉塵粒子で被覆されていた。図5は、この運転からのさらなるデータを示す。
【実施例3】
【0064】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、高品質のアルミニウム層を生成するのに要求される条件を決定するために、トリエチルアルミニウム(TEAL)を前駆体として用いて、運転が実施された。表2に示されたように、3972cm2の全表面積を持つ222個の部品が、322〜366℃の範囲まで加熱された。TEALは、6L/分の窒素流中への噴霧化によって8〜9g/分で供給された。これらの条件において、観察された蒸気温度は247〜268℃の範囲にあった。初期のアルミニウム堆積物はつや消し銀状であったが、その後直ぐに、黒い粉塵が壁上および部品上に生成しそして積もっているのが観察された。あったとしても僅かの過剰TEALが、フラスコの壁上に液膜として観察された。運転は14分間後に停止された。8.0μmの層厚さが平均重量増によって計算され、堆積の速度が0.57μm/分と計算された。顕微鏡下で検査されると、層はかなり黒ずみ、多孔性であり、かつ黒い粉塵で汚染されていた。部品を真鍮製ワイヤーブラシでこすると、有意の量の黒い残渣が生じ、これは脆い低品質のコーティングを示している。ASTM B−117に規定された条件下に塩霧室内に置かれた標本の部品は、より高品質の層を生成する運転で同じような厚さに被覆された他のサンプルと比較すると、早すぎるうちに耐食性不合格になることが観察された。50時間の曝露以内に、部品は激しく汚染されそして全表面上にかなりの白錆腐食を示した。赤錆腐食による不合格は275時間以内に起きた。
【実施例4】
【0065】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、実施例3で直面された制御の問題を手直しするために、トリエチルアルミニウム(TEAL)を前駆体として用いて、運転が実施された。この運転の間、吸引ガス流は10L/分に増加されかつ注入の速度は10g/分に増加された。反応の制御は、上限設定温度を230℃として輸送媒体内の蒸気温度の厳格な調節に向けられた。部品温度の調節は2次的であり、その結果、より低い温度が運転の間観察された。反応ガスが生成される速度を測定することによって、反応の速度は監視された。これらの条件下に、高品質のアルミニウムの堆積が達成された。薄い銀色の層が全反応の間存在し、かつ黒い粉塵が生成するのは観察されなかった。少量の液体が反応容器の壁上に観察された。全堆積速度は、前駆体の使用効率50%で0.39μm/分であると決定された。顕微鏡下で検査された部品は、表面にくぼみまたは割れ目がない均一な層の無欠さを示した。
【実施例5】
【0066】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、5084cm2の全表面積を持つ400個の部品を用いて、運転が実施された。目標とした層厚さは8μmであった。運転の最初の4分間、噴霧化によるTIBAL注入は21g/分の高速度に維持された。噴霧化されたミストが室内に観察された後40秒以内に、すべての部品が薄い、乳白光性の銀色の輝きを帯びまた液体がフラスコの壁上に観察された。運転の最初の5分間、反応ガス発生の速度によって判断されるように、高い反応速度が明らかであった。同時に、輸送空間内の蒸気温度が、193℃から218℃に上がるのが観察された。6分間目に、TIBAL注入速度は、10g/分に下げられそして運転の残りの間その速度に維持された。生成される反応ガスの速度は有意に減少し、また蒸気温度はゆっくりと減少し始めた。
【0067】
運転の間いつでも、粉塵が生成するのは観察されず、また部品は薄い銀色を維持した。11.5分間で運転は停止された。層厚さは、目標とした厚さと良く一致して7.4μmであると計算された。最終の層品質は高品質なものであると判断された。
【実施例6】
【0068】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、約10μmの目標厚さを持つ高品質のアルミニウム層を製造するために運転が実施された。部品および輸送空間内の蒸気の温度をそれぞれ295〜314℃および158〜198℃の範囲に維持しながら、4856cm2の表面積を持つ全部で450個の部品が、10g/分の供給速度の噴霧化されたTIBALに曝露された。反応は順調に進み、16分間の運転の期間にわたって部品上に薄い銀色のアルミニウム層が製造された。該運転から得られた部品は、11.8μmの計算された層厚さを持つ高品質なものであった。運転から取り出された部品は、ASTM B−117に規定された条件下に塩霧室内に置かれ、764時間の曝露までは赤錆腐食に耐えることが観察された。
【実施例7】
【0069】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、約4μmの目標とした厚さを持つ高品質のアルミニウム層を製造するために運転が実施された。6474cm2の全表面積を持つ全部で600個の部品が、僅かに6分間の運転時間であることを除いて実施例6の条件と同様な条件で被覆された。運転停止後得られた部品は、3.6μmと計算された層厚さを持つことが見出された。運転から取り出された部品は、ASTM B−117に規定された条件下に塩霧室内に置かれ、耐食性不合格になる前68時間まで赤錆腐食に耐えることが観察された。
【実施例8】
【0070】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、8μmの目標とした厚さを持つ高品質のアルミニウム層を製造するために、小部品を充填して運転が実施された。16,234cm2の計算された全表面積を持つ全充填量5000gの呼び径M3の部品が、被覆のために反応容器内に置かれた。輸送空間内の蒸気温度が、飽和蒸気状態で220℃より下に維持される限り、高品質のアルミニウム層がこの運転で達成されることができるであろうと考えられた。これを達成するためには、より低い部品温度およびより低い反応の速度が必要であろう。20分間の運転の間、層の成長速度は、反応ガス生成の速度を観察することによって動的に監視された。主要な反応の制御は蒸気温度であり、一方、部品温度は、310℃から始まって255℃で終わる(通常よりも低い)範囲を確立することを許された。この様式の反応の制御を使用すると、反応ガス発生の速度は比較的一定であることが観察されかつ部品の外観は均一に薄い銀色であった。運転から得られた部品は分析されそして8.0μmの目標層厚さを達成したと決定された。
【実施例9】
【0071】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、10μmの目標とする厚さを持つ高品質のアルミニウム層を製造するために、運転が実施された。5985cm2の表面積を持つ全充填量3876gが、反応容器内に置かれそして通常の運転条件によって被覆された。運転によって得られた部品は、11.5μmの計算された層厚さを持つ高品質のものであることが見出された。運転から取り出された部品は、ASTM B−117に規定された条件下に塩霧室内に置かれ、764時間の曝露まで僅かに小さい白錆腐食だけで赤錆腐食はなく、赤錆腐食に耐えることが観察された。
【実施例10】
【0072】
実施例1に記載された装置および手順と同様なものを使用して、10μmの目標とする厚さを持つ高品質のアルミニウム層を製造するために、2重量部のTIBALと1重量部のn−ヘプタンとの前駆体供給原料組成物を用いて、運転が実施された。吸引ガスの流量は15L/分に増加されかつTIBAL/ヘプタン溶液が19gTIBAL/分の速度で注入されるように設定された。運転はいくつかの例外を除いて普通通りに進んだ。大量の液体が凝縮しそして受器(118)内に回収されるのが観察された。平坦な、乳白光性の薄い銀色のコーティングが、TIBAL/ヘプタンスプレーの導入後非常に速やかに観察された。
【0073】
部品および蒸気の温度は一般的に許された範囲内に維持されそして運転は順調に進んだ。運転から得られた部品は、平坦な薄い銀色のアルミニウムの層で均一に被覆されていた。堆積の速度は1.0μm/分であり、層厚さは10.2μmと計算された。運転から取り出された部品は、ASTM B−117に規定された条件下に塩霧室内に置かれ、600時間の曝露まで赤錆腐食に耐えることが観察された。
【実施例11】
【0074】
図2に示された装置および実施例1に記載された手順と実質的に同様な手順を使用して、トリ−n−ブチルアルミニウム(TNBAL)とジエチル亜鉛(DEZ)との混合物を用いて、共堆積によってアルミニウム/亜鉛合金を製造する意図を持って運転が実施された。TNBAL44.7g(0.225モル)とDEZ1.07g(0.0087モル)との混合物が、注入端子(202)を通して噴霧化によって注入するために調製された。2Lのバッフル付きガラス製反応容器(201)、冷凍凝縮器(213)および受器(214)を装備された回転堆積装置(200)が大気放出口に取り付けられ、該大気放出口へは装置からのガスが最初にガス流量計(203)、次に体積ガス計量計(204)を通って送られることができた。2つの熱電対、TC1(211)およびTC2(212)が、反応容器内に挿入されて、それぞれ部品および蒸気の温度を測定した。
【0075】
加圧びん(210)内に入れられた前駆体液体が、ロータメーター(209)およびニードル弁(208)からなる液体流調節系を通して噴霧化注入器(202)内に供給された。噴霧化ガスとして使用された窒素は、(203)および(204)によって測定された2L/分の所定の速度でニードル弁を通して供給された。864.4gの総重量および1295cm2の表面積を持つ全部で106個の呼び径M6のボルトが、反応容器内に置かれた。誘導電力供給源(205)および誘導コイル(201)からの誘導加熱を使用して、部品が326℃まで加熱されるまでの間、噴霧化ノズルを通して供給された窒素が系から空気をパージする役目をした。この温度で、液状前駆体が、3.1mL/分の速度で噴霧化スプレーとして反応容器に供給された。運転の間、部品温度は324〜338℃の範囲に維持され、一方、輸送空間内の蒸気温度は139〜190℃の範囲にあることが観察された。噴霧化スプレーが部品に当っているのが観察された後じきに、銀色の層が部品上に生成するのが見られた。17.5分間後に、運転が停止されそして部品がヘプタンで徹底的にすすがれた後に回収された。全部で4.47gのアルミニウム/亜鉛合金が部品上に堆積されていたことが重量によって見出され、これは約12μmの計算された層厚さを与えた。コーティングの外観は平坦で、僅かに青みがかった銀色を帯びて光沢があった。アルミニウム/亜鉛層は、物理的および微視的証拠によって決定されたように、同様に被覆されたアルミニウム化された部品よりも硬くかつ平坦であるようである。運転中に供給された44.0gの前駆体および部品上に見出されたアルミニウムと亜鉛との重量を基準として、全使用効率は73.7%であると計算された。
【実施例12】
【0076】
図2に示された装置および実施例11に記載された手順と実質的に同様な手順を使用して、ジ−n−ブチル亜鉛(DNBZ)を用いて、炭素鋼の部品上への亜鉛金属の堆積を実証する目的で運転が実施された。1222cm2の表面積を持つ全部で100個の呼び径M6の部品が、2Lのバッフル付き反応容器(201)内に置かれた。窒素ガスで洗い流すことによって空気が置換された後、部品は203℃まで加熱された。前駆体液体、DNBZが噴霧化ミストとして1g/分の所定の速度で反応帯域内に供給された。約275℃の部品温度および125℃の蒸気温度が到達されるまで、亜鉛金属の堆積は観察されなかった。部品および蒸気の温度がそれぞれ262〜290℃および125〜155℃の範囲に維持されて、堆積がさらに14分間続けられ、その時点で反応が停止されそして徹底的なヘプタンすすぎの後に部品が回収された。灰色がかった銀色の亜鉛金属の薄い、付着した層が、部品上にめっきされたのが見出された。
【0077】
本発明の好まれる実施態様が上述されたけれども、本発明はこれらに限定されないで、請求項の範囲内で実施するためにさまざまに具体化されることができることは理解されるべきである。これらの詳細についてのさまざまな変更および代案は、本発明の開示の全教示に照らして当業者には明らかであることが認識されるであろう。
【0078】
【表2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送媒体中の金属含有前駆体を室を通して基体まで輸送し、ここで輸送空間内の温度が、金属含有前駆体の分解温度よりも低いこと、および
基体における金属含有前駆体の分解によって、基体上に金属層を堆積し、ここで基体における温度が、金属含有前駆体の分解温度よりも高いこと
を含む方法において、
輸送空間内の金属含有前駆体の温度が、直接測定され、
かつ輸送空間内の金属含有前駆体の温度が、該直接測定を使用して調節される、上記方法。
【請求項2】
輸送媒体が蒸気である、請求項1に従う方法。
【請求項3】
輸送媒体が噴霧化スプレーである、請求項1に従う方法。
【請求項4】
噴霧化スプレー蒸気が、金属含有前駆体で実質的に飽和している、請求項3に従う方法。
【請求項5】
蒸気が、金属含有前駆体で実質的に飽和している、請求項2に従う方法。
【請求項6】
基体の温度が、誘導加熱源によって調節される、請求項2に従う方法。
【請求項7】
金属含有前駆体の温度が、誘導加熱源の電力を脈動させることによって調節される、請求項2に従う方法。
【請求項8】
輸送媒体が不活性ガスを含有し、かつ金属含有前駆体の温度が輸送媒体中の不活性ガスの流量を変更することによって調節される、請求項2に従う方法。
【請求項9】
金属含有前駆体の温度が、輸送媒体中の金属含有前駆体の濃度を変化させることによって調節される、請求項2に従う方法。
【請求項10】
輸送空間が不活性ガスを含有し、かつ金属含有前駆体の温度が輸送空間内の不活性ガスの流量を変更することによって調節される、請求項2に従う方法。
【請求項11】
金属含有前駆体の温度が、誘導加熱源の電力を脈動させること、輸送媒体中の不活性ガスの流量を変化させること、輸送空間内の不活性ガスの流量を変化させること、および輸送媒体中の前駆体の濃度を変化させることからなる変数の組み合わせによって調節される、請求項2に従う方法。
【請求項12】
輸送空間内の金属含有前駆体の温度が±10℃の精度で調節される、請求項1に従う方法。
【請求項13】
金属含有前駆体が有機アルミニウム化合物を含む、請求項1に従う方法。
【請求項14】
基体が金属基体を含み、ここで該基体が誘導によって加熱され、かつ金属含有前駆体が有機アルミニウム化合物を含む、請求項1に従う方法。
【請求項15】
基体が金属を含有する、請求項1に従う方法。
【請求項16】
反応ガスの量を測定すること、および
所定量の反応ガスが測定された後、金属含有前駆体が輸送空間に入るのを止めること
をさらに含む、請求項1に従う方法。
【請求項17】
金属層が金属層上に堆積される時間量を測定し、ここで金属層が少なくとも1分間堆積されること、
所定量の時間後、金属含有前駆体が輸送空間に入るのを止めること、および
金属含有前駆体を止めた後、基体を冷却すること
をさらに含む、請求項1に従う方法。
【請求項18】
活性な堆積の期間を決定すること、
基体と輸送空間内の輸送媒体との温度差を測定すること、および
活性な堆積の該期間、温度差を維持すること
をさらに含む、請求項1に従う方法。
【請求項19】
温度差が少なくとも1℃である、請求項16に従う方法。
【請求項20】
輸送媒体が、金属含有前駆体で実質的に飽和している、請求項1に従う方法。
【請求項21】
アルミニウム層を基体上に堆積する方法において、
基体を誘導エネルギー源で加熱すること、
液体含有蒸気中のアルミニウム含有前駆体を輸送空間へ輸送すること、
アルミニウムを基体上に堆積して、基体の表面上にアルミニウム層を形成すること、
輸送空間内の蒸気の温度を測定すること、
基体の温度がアルミニウム含有前駆体の分解温度より上であるように、基体の温度を調節すること、
蒸気の温度が輸送空間内における上記分解温度より下に維持されるように、蒸気の温度を調節すること
を含む、上記方法。
【請求項22】
基体が金属を含む、請求項21に従う方法。
【請求項23】
基体の温度を調節することが、誘導エネルギー源の電力を脈動させることによって達成される、請求項21に従う方法。
【請求項24】
液体含有蒸気が、アルミニウム含有前駆体で実質的に飽和している、請求項21に従う方法。
【請求項25】
アルミニウム含有前駆体が噴霧化スプレーの形をしている、請求項21に従う方法。
【請求項26】
基体の温度を調節することが、誘導加熱源によって実施される、請求項21に従う方法。
【請求項27】
蒸気の温度を調節することが、誘導加熱源の電力を脈動させることによって達成される、請求項21に従う方法。
【請求項28】
蒸気相が不活性ガスを含有し、かつ蒸気の温度を調節することが、蒸気中の不活性ガスの流量を変更することによって達成される、請求項21に従う方法。
【請求項29】
輸送空間が不活性ガスを含有し、かつ輸送媒体の温度を調節することが、輸送空間内の不活性ガスの流量を変更することによって達成される、請求項21に従う方法。
【請求項30】
蒸気相の温度を調節することが、蒸気中のアルミニウム含有前駆体の濃度を変化させることを包含する、請求項21に従う方法。
【請求項31】
蒸気相の温度を調節することが、誘導加熱源の電力を脈動させること、輸送媒体中の不活性ガスの流量を変化させること、輸送空間内の不活性ガスの流量を変化させること、および輸送媒体中の前駆体の濃度を変化させることからなる変数の組み合わせによって達成される、請求項21に従う方法。
【請求項32】
輸送空間内の金属含有前駆体の温度が10℃以内に調節される、請求項21に従う方法。
【請求項33】
反応ガスの量を測定すること、および
所定量の反応ガスが蓄積された後、アルミニウム含有前駆体が輸送空間に入るのを止めること
をさらに含む、請求項21に従う方法。
【請求項34】
アルミニウム層が金属層上に堆積される時間量を測定し、ここで金属層が少なくとも1分間堆積されること、
所定量の時間後、アルミニウム含有前駆体が輸送空間に入るのを止めること、および
アルミニウム含有前駆体を止めた後、基体を冷却すること
をさらに含む、請求項21に従う方法。
【請求項35】
活性な堆積の期間を決定すること、
基体と輸送空間内の輸送媒体との温度差を測定すること、および
活性な堆積の該期間、温度差を維持すること
をさらに含む、請求項21に従う方法。
【請求項36】
温度差が少なくとも1℃である、請求項34に従う方法。
【請求項37】
均一に被覆されている基体であって、
基体、
該基体上に配置された金属コーティングであって、該金属コーティングが金属粉塵粒子を実質的に有さず、かつ該金属コーティングが、ASTM B−117基準によって測定される赤錆腐食に少なくとも24時間耐えることができるような耐食性であるもの、
分解温度より下に保たれた前駆体化合物と該分解温度より上に保たれた基体との間の化学反応の結果として、該基体に結合された該金属コーティングであって、該金属コーティングが実質的に純粋であるもの
を含んでいる、上記基体。
【請求項38】
基体が金属を含んでいる、請求項37に従う基体。
【請求項39】
金属コーティングがアルミニウムを含んでいる、請求項37に従う基体。
【請求項40】
前駆体が輸送媒体中に含有され、かつ該輸送媒体が液体を含有している、請求項37に従う基体。
【請求項41】
液体含有輸送媒体を用意し、ここで該輸送媒体が金属含有前駆体を含有すること、
該金属含有前駆体の分解温度より下の温度まで、輸送媒体を加熱すること、
輸送媒体を輸送空間へ輸送すること、
前駆体を基体上に堆積して、金属層を形成すること、
輸送空間内の輸送媒体の温度を測定すること
基体の温度が金属含有前駆体の分解温度より上であるように、基体の温度を調節すること、および
輸送媒体の温度が金属含有前駆体の分解温度より下に維持されるように、輸送空間内の輸送媒体の温度を調節すること
のプロセスによって製造された製品。
【請求項42】
基体を誘導エネルギー源を用いて加熱すること
液体含有蒸気中のアルミニウム含有前駆体を輸送空間に輸送すること
アルミニウムを基体上に堆積して、基体の表面上にアルミニウム層を形成すること
輸送空間内の蒸気の温度を測定すること
基体の温度がアルミニウム含有前駆体の分解温度より上であるように、基体の温度を調節すること、および
蒸気相の温度が輸送空間における上記分解温度より下に維持されるように、蒸気相の温度を調節すること
のプロセスによって製造された製品。
【請求項1】
輸送媒体中の金属含有前駆体を室を通して基体まで輸送し、ここで輸送空間内の温度が、金属含有前駆体の分解温度よりも低いこと、および
基体における金属含有前駆体の分解によって、基体上に金属層を堆積し、ここで基体における温度が、金属含有前駆体の分解温度よりも高いこと
を含む方法において、
輸送空間内の金属含有前駆体の温度が、直接測定され、
かつ輸送空間内の金属含有前駆体の温度が、該直接測定を使用して調節される、上記方法。
【請求項2】
輸送媒体が蒸気である、請求項1に従う方法。
【請求項3】
輸送媒体が噴霧化スプレーである、請求項1に従う方法。
【請求項4】
噴霧化スプレー蒸気が、金属含有前駆体で実質的に飽和している、請求項3に従う方法。
【請求項5】
蒸気が、金属含有前駆体で実質的に飽和している、請求項2に従う方法。
【請求項6】
基体の温度が、誘導加熱源によって調節される、請求項2に従う方法。
【請求項7】
金属含有前駆体の温度が、誘導加熱源の電力を脈動させることによって調節される、請求項2に従う方法。
【請求項8】
輸送媒体が不活性ガスを含有し、かつ金属含有前駆体の温度が輸送媒体中の不活性ガスの流量を変更することによって調節される、請求項2に従う方法。
【請求項9】
金属含有前駆体の温度が、輸送媒体中の金属含有前駆体の濃度を変化させることによって調節される、請求項2に従う方法。
【請求項10】
輸送空間が不活性ガスを含有し、かつ金属含有前駆体の温度が輸送空間内の不活性ガスの流量を変更することによって調節される、請求項2に従う方法。
【請求項11】
金属含有前駆体の温度が、誘導加熱源の電力を脈動させること、輸送媒体中の不活性ガスの流量を変化させること、輸送空間内の不活性ガスの流量を変化させること、および輸送媒体中の前駆体の濃度を変化させることからなる変数の組み合わせによって調節される、請求項2に従う方法。
【請求項12】
輸送空間内の金属含有前駆体の温度が±10℃の精度で調節される、請求項1に従う方法。
【請求項13】
金属含有前駆体が有機アルミニウム化合物を含む、請求項1に従う方法。
【請求項14】
基体が金属基体を含み、ここで該基体が誘導によって加熱され、かつ金属含有前駆体が有機アルミニウム化合物を含む、請求項1に従う方法。
【請求項15】
基体が金属を含有する、請求項1に従う方法。
【請求項16】
反応ガスの量を測定すること、および
所定量の反応ガスが測定された後、金属含有前駆体が輸送空間に入るのを止めること
をさらに含む、請求項1に従う方法。
【請求項17】
金属層が金属層上に堆積される時間量を測定し、ここで金属層が少なくとも1分間堆積されること、
所定量の時間後、金属含有前駆体が輸送空間に入るのを止めること、および
金属含有前駆体を止めた後、基体を冷却すること
をさらに含む、請求項1に従う方法。
【請求項18】
活性な堆積の期間を決定すること、
基体と輸送空間内の輸送媒体との温度差を測定すること、および
活性な堆積の該期間、温度差を維持すること
をさらに含む、請求項1に従う方法。
【請求項19】
温度差が少なくとも1℃である、請求項16に従う方法。
【請求項20】
輸送媒体が、金属含有前駆体で実質的に飽和している、請求項1に従う方法。
【請求項21】
アルミニウム層を基体上に堆積する方法において、
基体を誘導エネルギー源で加熱すること、
液体含有蒸気中のアルミニウム含有前駆体を輸送空間へ輸送すること、
アルミニウムを基体上に堆積して、基体の表面上にアルミニウム層を形成すること、
輸送空間内の蒸気の温度を測定すること、
基体の温度がアルミニウム含有前駆体の分解温度より上であるように、基体の温度を調節すること、
蒸気の温度が輸送空間内における上記分解温度より下に維持されるように、蒸気の温度を調節すること
を含む、上記方法。
【請求項22】
基体が金属を含む、請求項21に従う方法。
【請求項23】
基体の温度を調節することが、誘導エネルギー源の電力を脈動させることによって達成される、請求項21に従う方法。
【請求項24】
液体含有蒸気が、アルミニウム含有前駆体で実質的に飽和している、請求項21に従う方法。
【請求項25】
アルミニウム含有前駆体が噴霧化スプレーの形をしている、請求項21に従う方法。
【請求項26】
基体の温度を調節することが、誘導加熱源によって実施される、請求項21に従う方法。
【請求項27】
蒸気の温度を調節することが、誘導加熱源の電力を脈動させることによって達成される、請求項21に従う方法。
【請求項28】
蒸気相が不活性ガスを含有し、かつ蒸気の温度を調節することが、蒸気中の不活性ガスの流量を変更することによって達成される、請求項21に従う方法。
【請求項29】
輸送空間が不活性ガスを含有し、かつ輸送媒体の温度を調節することが、輸送空間内の不活性ガスの流量を変更することによって達成される、請求項21に従う方法。
【請求項30】
蒸気相の温度を調節することが、蒸気中のアルミニウム含有前駆体の濃度を変化させることを包含する、請求項21に従う方法。
【請求項31】
蒸気相の温度を調節することが、誘導加熱源の電力を脈動させること、輸送媒体中の不活性ガスの流量を変化させること、輸送空間内の不活性ガスの流量を変化させること、および輸送媒体中の前駆体の濃度を変化させることからなる変数の組み合わせによって達成される、請求項21に従う方法。
【請求項32】
輸送空間内の金属含有前駆体の温度が10℃以内に調節される、請求項21に従う方法。
【請求項33】
反応ガスの量を測定すること、および
所定量の反応ガスが蓄積された後、アルミニウム含有前駆体が輸送空間に入るのを止めること
をさらに含む、請求項21に従う方法。
【請求項34】
アルミニウム層が金属層上に堆積される時間量を測定し、ここで金属層が少なくとも1分間堆積されること、
所定量の時間後、アルミニウム含有前駆体が輸送空間に入るのを止めること、および
アルミニウム含有前駆体を止めた後、基体を冷却すること
をさらに含む、請求項21に従う方法。
【請求項35】
活性な堆積の期間を決定すること、
基体と輸送空間内の輸送媒体との温度差を測定すること、および
活性な堆積の該期間、温度差を維持すること
をさらに含む、請求項21に従う方法。
【請求項36】
温度差が少なくとも1℃である、請求項34に従う方法。
【請求項37】
均一に被覆されている基体であって、
基体、
該基体上に配置された金属コーティングであって、該金属コーティングが金属粉塵粒子を実質的に有さず、かつ該金属コーティングが、ASTM B−117基準によって測定される赤錆腐食に少なくとも24時間耐えることができるような耐食性であるもの、
分解温度より下に保たれた前駆体化合物と該分解温度より上に保たれた基体との間の化学反応の結果として、該基体に結合された該金属コーティングであって、該金属コーティングが実質的に純粋であるもの
を含んでいる、上記基体。
【請求項38】
基体が金属を含んでいる、請求項37に従う基体。
【請求項39】
金属コーティングがアルミニウムを含んでいる、請求項37に従う基体。
【請求項40】
前駆体が輸送媒体中に含有され、かつ該輸送媒体が液体を含有している、請求項37に従う基体。
【請求項41】
液体含有輸送媒体を用意し、ここで該輸送媒体が金属含有前駆体を含有すること、
該金属含有前駆体の分解温度より下の温度まで、輸送媒体を加熱すること、
輸送媒体を輸送空間へ輸送すること、
前駆体を基体上に堆積して、金属層を形成すること、
輸送空間内の輸送媒体の温度を測定すること
基体の温度が金属含有前駆体の分解温度より上であるように、基体の温度を調節すること、および
輸送媒体の温度が金属含有前駆体の分解温度より下に維持されるように、輸送空間内の輸送媒体の温度を調節すること
のプロセスによって製造された製品。
【請求項42】
基体を誘導エネルギー源を用いて加熱すること
液体含有蒸気中のアルミニウム含有前駆体を輸送空間に輸送すること
アルミニウムを基体上に堆積して、基体の表面上にアルミニウム層を形成すること
輸送空間内の蒸気の温度を測定すること
基体の温度がアルミニウム含有前駆体の分解温度より上であるように、基体の温度を調節すること、および
蒸気相の温度が輸送空間における上記分解温度より下に維持されるように、蒸気相の温度を調節すること
のプロセスによって製造された製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−236507(P2011−236507A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162303(P2011−162303)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【分割の表示】特願2006−527027(P2006−527027)の分割
【原出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【分割の表示】特願2006−527027(P2006−527027)の分割
【原出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】
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