液供給装置およびその起動方法
【課題】装置の起動時におけるシールリングの摩耗や振動を抑えるとともに、容器の殺菌やすすぎのための液を効率よく利用することのできる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】昇降機構210を備えることにより、装置起動時においては、シールリング14を下降させ、シールリング14のシール壁14a、14aをマニホールド11の下面から離間した状態とし、シールリング14のシール壁14a、14aの上部を液で濡らす。この後に、シールリング14を上昇させてマニホールド11に密着させ、シールリング14とマニホールド11の下面との接触部分の摩擦が大きくなるのを防ぐ。また、シール部材203および固定リング200により、シールリング14とマニホールド11との隙間から液の漏出を塞ぐ。
【解決手段】昇降機構210を備えることにより、装置起動時においては、シールリング14を下降させ、シールリング14のシール壁14a、14aをマニホールド11の下面から離間した状態とし、シールリング14のシール壁14a、14aの上部を液で濡らす。この後に、シールリング14を上昇させてマニホールド11に密着させ、シールリング14とマニホールド11の下面との接触部分の摩擦が大きくなるのを防ぐ。また、シール部材203および固定リング200により、シールリング14とマニホールド11との隙間から液の漏出を塞ぐ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の殺菌、すすぎ等を行うときに用いるのに適した液供給装置およびその起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水等の液体をPETボトルやガラス瓶、ボトル缶等の容器に充填する装置として、回転式充填装置が用いられている。この回転式充填装置は、回転する円板の外周部に複数の充填バルブを備えており、円板がほぼ1回転する間に、充填バルブから容器内への充填を行う。そして、容器への液体の充填が終了した後、キャッパ(打栓機)により容器へのキャップの装着が行われる。
【0003】
ところで、飲料水等の場合、雑菌等の容器内への混入を防ぐことが必須であり、このため、クリーンルーム内で、容器殺菌とすすぎ、キャップ殺菌とすすぎ、殺菌された製品液の充填及びキャップ装着といった一連の工程を行ういわゆる無菌充填方式や、充填する液体を高温に加熱しておき、搬送工程でキャッピングされた容器全体を横又は上下倒立させた状態に転倒させて、容器内の液体未接触部位の殺菌をこの液体自体の熱によって行う、高温充填方式が採用されている。
【0004】
前者の無菌充填方式において、容器殺菌、すすぎを行う装置には、スターホイールと称される回転式の容器搬送機構が備えられ、回転するスターホイールによって容器を周方向に搬送している間に、容器の殺菌・すすぎを行うようになっている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
図11に示すように、回転体1は、図示しないベース上に立設され、モータ等によって回転駆動される回転軸3と、この回転軸3の上部に設けられた全体として円盤状のホイール4と、を備えており、回転軸3を回転駆動させることで、ホイール4がほぼ水平面内で回転するようになっている。ホイール4の外周部には、PETボトル100を保持するグリッパ5が、ホイール4の周方向に一定間隔ごとに配置されている。
【0006】
殺菌装置、すすぎ装置においては、このような回転体1のグリッパ5でPETボトル100を上下逆さまに保持した状態で、PETボトル100の口部に対向するように配置されたノズル10から殺菌あるいはすすぎのための液を噴出し、PETボトル100内の洗浄・殺菌あるいはすすぎを行うようにしている。
【0007】
このようにグリッパ5に保持されるPETボトル100と対向するように設けられたノズル10から液を噴出するための機構として、殺菌装置、すすぎ装置は以下のような構成を備えている。
すなわち、回転体1の下方に、回転体1と同様、回転軸3に保持された円盤状のマニホールド11が設けられている。このマニホールド11の外周部に、前記のノズル10が、周方向所定間隔ごとに設けられている。マニホールド11には、ノズル10に液を送り込むためのポート12が、周方向所定間隔ごとに形成されている。各ポート12は、マニホールド11の外周面と下面とを連通するように形成されており、マニホールド11の外周面側の開口部にノズル10が接続されている。
【0008】
マニホールド11の下方には、各ポート12に液を供給するための液供給リング13が配置されている。液供給リング13の上面には、リング状の溝13aが形成されている。この溝13aは上方に開口した略U字状の断面形状を有している。
溝13aには、シールリング14がはめ込まれるようになっている。シールリング14は、下部が溝13aに対応した断面形状・寸法を有し、上部には液供給リング13よりも上方に突出する一対のシール壁14a、14aによって形成された液溝14bが形成されている。液溝14bの底面には、上下に貫通する孔14cが、液溝14bが連続する方向において所定間隔ごとに複数形成されている。
【0009】
このような液供給リング13は、バネ等の付勢部材16によって、マニホールド11の下面側に押し付けられ、シールリング14のシール壁14a、14aの上面がマニホールド11の下面に密着するようになっている。
そして、溝13aには、外部の送液機構17から、供給孔13bを通して液が送り込まれるようになっている。溝13aに液が送り込まれると、この液はシールリング14の孔14cおよび液溝14bを通ってポート12に流れ込み、ノズル10から噴出するようになっている。
【0010】
このとき、前述のごとく、マニホールド11は、回転体1と同様に回転軸3に保持されている。これにより、マニホールド11は、回転体1と一体的に回転する。これに対し、液供給リング13およびシールリング14は、図示しない固着手段によって固定されており、マニホールド11とともに回転せず、これら液供給リング13およびシールリング14とマニホールド11は相対的に回転することになる。これにより、シールリング14のシール壁14a、14aの上面はマニホールド11の下面と摺接することになるため、樹脂等、マニホールド11との間に生じる摩擦を抑制できる材質で形成されている。
【0011】
このような殺菌装置、すすぎ装置においては、回転体1が回転しながら、前段側の装置からPETボトル100を受け取り、グリッパ5で保持した後、所定の位置でノズル10から液をPETボトル100に向けて噴出し始め、このPETボトル100が所定の位置まで回転した時点でノズル10からの液の噴出を停止するようになっている。このため、シールリング14の液溝14bは、液供給リング13において全周ではなく、その一部の所定角度の範囲に形成されている。これにより、マニホールド11の回転により、PETボトル100に対向したノズル10が、液溝14bが形成されている範囲の一端に到達したときに、液が液溝14bからポート12に流れ込んでノズル10からの液の噴出を開始し、液溝14bが形成されている範囲の他端に到達してポート12が液溝14bから外れたときに、液の噴出を終了する。
【0012】
【特許文献1】特開平6−262154号公報
【特許文献2】特開2004−98020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記のような従来の回転機構を備えた殺菌装置、すすぎ装置においては、以下に示すような問題が存在した。
液供給リング13およびシールリング14は、バネ等の付勢部材16によって、マニホールド11の下面に押し付けられている。このとき、殺菌装置やすすぎ装置が運転している状態であれば、供給される液が、相対的に回転するシールリング14のシール壁14a、14aの上面とマニホールド11の下面との接触部分に入り込み、これによって双方間の潤滑性が保たれている。ところが、殺菌装置やすすぎ装置が長時間停止すると、シール壁14a、14aとマニホールド11の接触部分は乾燥した状態となる。この後、殺菌装置やすすぎ装置を立ち上げる時には、マニホールド11が回転体1とともに回転しはじめても、液が液溝14bに送り込まれシール壁14a、14aとマニホールド11との接触部分に届くまでの間は液が介在しないため、シールリング14の上面とマニホールド11の下面との接触部分の摩擦が大きくなる。その結果、シールリング14の過大な摩耗を招いたり、シールリング14とマニホールド11との接触部分でびびるような振動を生じることもある。
【0014】
また、液が供給された状態では、その液圧により、液供給リング13とシールリング14との間にも液が入り込もうとする。すると、液供給リング13とシールリング14との隙間を通り、液が外部に溢れ出すことになり、これによってシールリング14によるシール力を液圧によってコントロールするのが困難となる。また、この漏れにより、液溝14bを通りノズル10へと供給される液量が減少することになる。漏れが生じても、ノズル10から十分な量の液を吹き出すには、液圧あるいは液量を増大させるしかなく、液の消費量が増えることになり、不経済である。
【0015】
さらに、前述したように、シールリング14において、液溝14bは、シールリング14の周方向の一部のみに形成されている。ノズル10から液を噴出しているときには、液の圧力により、付勢部材16によって上方に付勢されているシールリング14をマニホールド11から下方に押し下げるような力が発生するが、液溝14bの無い部分ではこの液の圧力は発生しないため、シールリング14の周方向において、不均一な力が作用することになる。これにより、シールリング14はマニホールド11に対して傾くような状態となって、シールリング14とマニホールド11との隙間が周方向の一部で開き、ここから液が漏れてしまうという問題がある。この現象によっても、ノズル10から十分な量の液を吹き出すには液圧あるいは液量を増大させるしかなく、液の消費量が増えることになり、不経済であるという問題が伴う。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、装置の起動時におけるシールリングの摩耗や振動を抑えるとともに、容器の殺菌やすすぎのための液を効率よく利用することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる目的のもとになされた本発明は、回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、回転体を回転させて容器を搬送しながら容器内に液を供給する液供給装置であり、殺菌やすすぎのために用いるのに適したものである。このような液供給装置は、回転体と一体に回転し、それぞれの保持具に保持された容器に液を供給するためのノズルおよびノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、リング状部材の溝に収容され、上部がリング状部材よりも上方に突出してリング状部材とマニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、マニホールドに設けられたポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、シール壁の内側に外部から供給された液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、液供給装置の起動時に、シールリングのマニホールドに対する接触部分を液で濡らすため、シールリングをマニホールドに対して昇降させる昇降機構と、を備えることを特徴とする。
このような昇降機構を備えることで、液供給装置の起動時にはシールリングをマニホールドに対して下降させ、非接触の状態としておき、外部から供給された液を、リング状部材の溝を介し、シールリングの液溝に満たして溢れさせると、シールリングのマニホールドに対する接触部分が液で濡れ、潤滑性が確保される。この状態で昇降機構によりシールリングを上昇させてマニホールドに密着させれば、回転体とともに回転するマニホールドとシールリングとの間の摩擦を低減できる。
【0017】
昇降機構としては、様々なものを用いることが可能であるが、リング状部材およびシールリングをマニホールドに対して昇降させるため、リング状部材の周方向複数箇所に設けられた伸縮シリンダを用いることができる。
また、リング状部材の溝内にシールリングを上下動可能に収容し、溝とシールリングとの間に供給した液の圧力によりシールリングを溝内でマニホールドに対して昇降させる構成とすることもできる。
【0018】
シールリングに形成された液溝が、シールリングの周方向の一部のみに形成されているときには、シールリングをマニホールドに押し付ける力の周方向における分布を調整できる押し付け力調整機構を備えれば、液溝が形成されている部分と液溝が形成されていない部分におけるシールリングのマニホールドに対する密着力を均一化することができる。液が液溝に供給された状態では、液圧によりシールリングをマニホールドから引き離そうとする方向の力が作用し、液溝が形成されていない部分ではこの力が作用しないために、結果的にシールリングのマニホールドに対する押し付け力が不均一となってしまうが、これを、押し付け力調整機構で調整し、均一化することで、シールリングとマニホールドとの間からの液漏れを防止するのである。
リング状部材をマニホールド側に付勢する付勢部材が、リング状部材の周方向に間隔を隔てて複数設けられる場合、押し付け力調整機構として、付勢部材のそれぞれにおける付勢力を独立して調整可能な構成とすることもできる。
この他、液溝が形成されていない部分にも、液圧が作用するよう、ダミーの液溝等を設けることも有効である。
【0019】
また、リング状部材の溝内に収容されたシールリングのマニホールド側への変位を規制するためのシール固定部材をさらに備えるのも好ましい。これにより、リング状部材の溝とシールリングとの間に入り込んだ液の圧力によってシールリングがリング状部材の溝から浮き上がるのを防止でき、この部分からの液漏れが防止できる。
さらに、リング状部材の溝とシールリングとの間に、液の漏出を防ぐためのシール部材を備えるのも好ましい。
【0020】
本発明は、回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、回転体を回転させて容器を搬送しながら容器内に液を供給する液供給装置であって、回転体と一体に回転し、それぞれの保持具に保持された容器に液を供給するためのノズルおよびこのノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、リング状部材の溝に収容され、上部がリング状部材よりも上方に突出してリング状部材とマニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、マニホールドに設けられたポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、シール壁の内側に外部から供給された液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、液供給装置の起動時に、シールリングのマニホールドに対する接触部分を液で濡らすため、シールリングとマニホールドの隙間から液を外部に流出させるブローアウト溝と、を備えることを特徴とする液供給装置とすることもできる。
このような構成では、液供給装置の起動時に、ブローアウト溝を通し、シールリングとマニホールドの隙間から液を外部に流出させる。すると、このブローアウト溝から流出する液に、相対的に回転するシールリングまたはマニホールドが接触し、シールリングのマニホールドに対する接触部分を液で濡らすことができる。これによって、シールリングのマニホールドに対する接触部分の潤滑性が確保される。この状態で昇降機構によりシールリングを上昇させてマニホールドに密着させれば、回転体とともに回転するマニホールドとシールリングとの間の摩擦を低減できる。
【0021】
本発明は、回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、回転体を回転させて容器を搬送しながら容器内に液を供給する液供給装置の起動方法とすることもできる。ここで、この方法の対象となる液供給装置は、回転体と一体に回転し、それぞれの保持具に保持された容器に液を供給するためのノズルおよびノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、リング状部材の溝に収容され、上部がリング状部材よりも上方に突出してリング状部材とマニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、マニホールドに設けられたポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、シール壁の内側に外部から供給された液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、を備えたものである。このような液供給装置を起動するとき、シールリングをマニホールドから離間させるステップと、シールリングの液溝に液を供給し、液溝から液を溢れさせるステップと、シールリングをマニホールドに密着させ、液溝からポートに液を送り込み、ノズルから容器内への液の供給を開始するステップと、を含むことを特徴とする。
このような一連の動作は、オペレータの手動操作によって行っても良いが、液供給装置のコントローラに予めプログラミングしておき、起動時に自動的に行われるようにするのが好ましい。
また、マニホールドとシールリングは、相対的に離間・接近すればよいのであって、シールリング側を昇降させる構成に限らず、マニホールド側を昇降させることで上記動作を実現しても良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、装置の起動時に、シールリングのマニホールドに対する接触部分を液で濡らすことで、シールリングとマニホールドが乾燥状態で接触するのを防ぎ、シールリングのマニホールドに対する摩擦を低減してシールリングの摩耗や振動を抑えることができる。また、リング状部材の溝からのシールリングの浮き上がりを防止することで、リング状部材とシールリングとの間からの液漏れを防止でき、またシールリングのマニホールドに対する密着力の均一化を図ることでシールリングとマニホールドとの間からの液漏れを防止でき、その結果、殺菌や洗浄のための液を効率よく利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
〔第一の実施の形態〕
図1は、本実施の形態における飲料充填機の全体構成を説明するための図である。図1に示す飲料充填機は、主に無菌充填方式に適用されるものである。
図1に示すように、飲料充填機は、容器を殺菌する殺菌装置(液供給装置)20、容器をすすぐすすぎ装置(液供給装置)30、容器に液体を充填する充填装置40、液体が充填された容器にキャップを装着するキャッパ(図示省略)を主に備えている。
これら殺菌装置20、すすぎ装置30、充填装置40、キャッパ間には、搬送スターホイール60等が設けられ、これによって、容器の受け渡し等が行われるようになっている。
無菌充填方式の場合、このような飲料充填機は、その全体が所定以上のクリーン度に維持されたクリーンルーム内に設置される。
【0024】
殺菌装置20、すすぎ装置30においては、PETボトル(容器)100は上下反転させた状態で殺菌・すすぎが行われるようになっており、このため、殺菌装置20の入口側、すすぎ装置30の出口側には、容器を上下反転させる機構が備えられている。このような機構としては、前記特許文献1、2に示されたような構成を採用すればよい。
そして、殺菌装置20、すすぎ装置30は、それぞれ、以下に示すような回転機構を備えている。ここで、図11に示した構成と共通する構成については、同符号を付してその説明を省略する。
図2、図3に示すように、PETボトル100を保持するグリッパ5が周方向に一定間隔ごとに設けられた回転体1の下方に、円盤状のマニホールド11が設けられている。これら回転体1とマニホールド11は、図示しないモータ等によって回転駆動される回転軸3に取り付けられている。
マニホールド11の外周部には、グリッパ(保持具)5と対向する位置に、グリッパ5に保持されたPETボトル100に液を噴出するノズル10が設けられており、このノズル10は、マニホールド11に形成されたポート12に接続されている。
【0025】
マニホールド11の下方には、各ポート12に液を供給するための液供給リング(リング状部材)13が配置されている。液供給リング13の上面には、リング状の溝13aが形成されている。この溝13aは上方に開口した略U字状の断面形状を有している。
溝13aには、樹脂等からなるシールリング14がはめ込まれるようになっている。シールリング14は、下部が溝13aに対応した断面形状・寸法を有し、上部には液供給リング13よりも上方に突出する一対のシール壁14a、14aによって形成された液溝14bが形成されている。シールリング14の液溝14bは、前述したように、ノズル10から一定角度の範囲内のみで液の噴出を行い、残る範囲では液の噴出を停止するため、周方向の一定角度の範囲のみに形成されていて、残る範囲には形成されていない。液溝14bの底面には、上下に貫通する孔14cが、液溝14bが連続する方向において所定間隔ごとに複数形成されている。
【0026】
ここで、シールリング14は、図4に示すように、周方向において複数に分割しておくのも好ましい。これにより、メンテナンス時等に、回転体1やマニホールド11等を外すことなく、シールリング14を回転軸3から横方向に引き抜いて交換等を行うことが可能となる。このとき、シールリング14の分割位置は、液溝14bの形成されていない部分とするのが好ましい。液溝14bが形成されている部分で分割する場合、そのジョイント部分においてはシール性を確保するためシール材等を配するのが好ましい。
【0027】
そして、マニホールド11には、シールリング14を液供給リング13に固定するための固定リング(シール固定部材)200が設けられている。この固定リング200は、シールリング14のシール壁14a、14aを上方に突出させた状態で、シールリング14を保持・固定できるよう、内外二重の内側リング201、外側リング202からなり、これら内側リング201、外側リング202は、断面略逆L字状で、シール壁14a、14aの両側でシールリング14を押さえ、液供給リング13の溝13aの内外周上面にボルト等によって固定されるようになっている。
【0028】
また、図2に示したように、シールリング14には、マニホールド11との隙間から液の漏出を塞ぐシール部材203が、溝13aの内周側、外周側とシールリング14の底面との間に設けられている。
【0029】
このような液供給リング13は、図示しないベースとの間に設けられたバネ等の付勢部材16によって、マニホールド11の下面側に押し付けられ、シールリング14のシール壁14a、14aの上面がマニホールド11の下面に密着するようになっている。
【0030】
このような付勢部材16は、液供給リング13の周方向においてほぼ等間隔に複数が配置されている。このとき、複数の付勢部材16間において、その付勢力を独立して調整できる押し付け力調整機構を備えるようにするのが好ましい。
複数の付勢部材16間において、その付勢力を独立して調整できるようにするには、付勢部材16のバネのセット長さを調整し、プリロードを調整可能とすればよい。これには、図5に示すように、付勢部材16のセット長さを調整する調整ネジ16a(図5(a)参照)やシム16b(図5(b)参照)を用いればよい。
【0031】
シールリング14の液溝14bは一定角度の範囲内に形成されていて、残る範囲には形成されておらず、これによって、従来であればシールリング14の周方向において不均一な力が液体によって作用するが、これを前記のように付勢部材16ごとに付勢力を調整する構成を採用することによって、シールリング14のマニホールド11に対する密着力を周方向において均一化することができる。その結果、シールリング14がマニホールド11に対して傾くようなこともなくなり、規定以上の漏れ(潤滑液としての漏れは必要)を防止できるので、液を効率よく使用することが可能となる。
【0032】
さて、図2に示したように、液供給リング13の上面は、図示しないベースとの間に設けられた昇降機構210によって、昇降可能となっている。このような昇降機構210としては、油圧やエア圧等によって駆動される伸縮シリンダ211や、モータによって駆動されるボールねじ機構等を用いることができる。
本実施の形態においては、昇降機構210により、液供給リング13をマニホールド11の下面に対して昇降させ、シールリング14のシール壁14a、14aをマニホールド11に接触させたり離間させたりできるようになっている。
【0033】
ここで、マニホールド11は、回転体1と同様に回転軸3に保持されており、回転体1と一体的に回転する。これに対し、液供給リング13およびシールリング14は、図示しないベース側に固設されており、マニホールド11とともに回転しないようになっている。
【0034】
このような構成において、溝13aには、外部の送液機構17から、供給孔13bを通して液が送り込まれるようになっている。溝13aに液が送り込まれると、この液はシールリング14の孔14cから液溝14bを通ってポート12に流れ込み、ノズル10から噴出するようになっている。
【0035】
そして、回転体1が回転しながら、前段側の装置からPETボトル100を受け取り、グリッパ5で保持した後、所定の位置でノズル10から液をPETボトル100に向けて噴出し始め、このPETボトル100が所定の位置まで回転した時点でノズル10からの液の噴出を停止するようになっている。このためシールリング14の液溝14bは、液供給リング13において全周ではなく、その一部の所定角度の範囲に形成されている。これにより、マニホールド11の回転により、PETボトル100を保持したグリッパ5が、液溝14bが形成されている範囲の一端に到達したときに、液が液溝14bからポート12に流れ込んでノズル10からの液の噴出を開始し、液溝14bが形成されている範囲の他端に到達してポート12が液溝14bから外れたときに、液の噴出を終了する。
【0036】
このとき、シールリング14とマニホールド11との間には、シール部材203が設けられているため、シールリング14とマニホールド11との隙間から規定量以上の液の漏出を塞ぐことができる。さらに、固定リング200により液供給リング13に固定されているため、シール部材203によるシール性を確実に発揮することができ、液の圧力によって液がシールリング14と液供給リング13の隙間に入り込み、シールリング14を必要以上の力で押し上げるような現象も防止できる。
【0037】
このような殺菌装置20、すすぎ装置30においては、装置起動時においては、装置のコントローラに予めプログラミングされたプログラムに基づき、以下のような動作を行う。
まず、図6に示すように、昇降機構210により液供給リング13を下降させ、シールリング14のシール壁14a、14aをマニホールド11の下面から離間した状態としておく。そして、まず液の供給を開始し、外部の送液機構17から液が溝13aに送り込まれ、シールリング14の液溝14bから溢れ出すまでその状態を維持する。これにより、シールリング14のシール壁14a、14aの上部が液によって濡れる。この後、昇降機構210により液供給リング13を上昇させ、シールリング14のシール壁14a、14aを、回転を開始しているマニホールド11の下面に密着させるようにする。すると、液はシールリング14の液溝14bを通ってポート12に流れ込み、ノズル10から噴出する。
【0038】
上述したように、シール部材203および固定リング200により、シールリング14とマニホールド11との隙間から液の漏出を塞ぐことができるので、液溝14bを通りノズル10へと供給される液が無駄に流出することもなく、液を効率よく使用することができる。
また、昇降機構210を備えることにより、装置起動時においては、マニホールド11を下降させ、シールリング14のシール壁14a、14aをマニホールド11の下面から離間した状態とすることで、シールリング14のシール壁14a、14aの上部を液で濡らした後に、これを上昇させてマニホールド11に密着させることができる。これにより、装置起動時に、シールリング14とマニホールド11の下面との接触部分の摩擦が大きくなるのを防ぎ、シールリング14の過大な摩耗や、シールリング14とマニホールド11との接触部分でのびびるような振動の発生を抑えることができる。
【0039】
なお、上記第一の実施の形態において、固定リング200およびシール部材203を備えるようにしたが、固定リング200、シール部材203のいずれか一方のみで、液供給リング13とシールリング14との隙間からの液の漏出を十分に防ぐことができるのであれば、固定リング200、シール部材203の一方のみを備えるようにしても良い。
また、固定リング200を硬質ゴム製等とし、シールリング14を固定する機能と、液の漏出を防ぐ機能の双方を満たすような構成とすることも可能である。
【0040】
〔第二の実施の形態〕
次に、第二の実施の形態について説明する。ここでは、上記第一の実施の形態で示した構成と異なる構成についてのみ説明し、上記第一の実施の形態と共通する構成についてはその説明を省略する。
図7に示すように、本実施の形態においては、液供給リング13の溝13aに収容されたシールリング14の下面にピストンプレート220が一体に設けられている。このピストンプレート220は、溝13aの平面形状に対応した外形形状を有しており、中央部には液を通すための貫通孔が形成されたドーナツ状とされている。ピストンプレート220の外周部にはシール部材221が設けられ、ピストンプレート220の外周面と溝13aの内周面との間のシール性を保つようになっている。
ここで、溝13aの幅は、溝13aの底部から所定の高さの部分までがピストンプレート220の幅より小さく形成され、これによってピストンプレート220は、溝13a内で上下方向に移動可能とされてはいるものの、溝13a内で一定の深さ以上への移動が規制されている。これにより、溝13a内において、ピストンプレート220の下方には、断面積がシールリング14の孔14cよりも大きなチャンバー部222が形成された構成となっている。このチャンバー部222には、ポンプ等により、液が供給管223を介して送り込まれるようになっている。
【0041】
また、第一の実施の形態における固定リング200とほぼ同様の構成を有した規制リング230が、マニホールド11に設けられている。ただし、本実施の形態における規制リング230は、前記固定リング200と同様、シールリング14のシール壁14a、14aを上方に突出させることができるよう、それぞれ断面逆L字状の内外二重の内側リング231、外側リング232からなるが、この規制リング230の下側において、シールリング14は、上下方向に一定寸法移動可能となっている。つまり規制リング230は、シールリング14の上方への一定寸法以上の移動を規制する機能を果たしている。
【0042】
このような構成を有する殺菌装置20、すすぎ装置30においては、図8に示すように、装置起動時には、ピストンプレート220およびシールリング14の自重により、これらは溝13a内で下降し、シールリング14のシール壁14a、14aがマニホールド11の下面から離間した状態となっている。
この状態で液の供給を開始すると、外部の送液機構17から液が溝13aに送り込まれる。このとき、溝13a内のピストンプレート220の下側のチャンバー部222に液が溜まると、シールリング14の孔14cの断面積がチャンバー部222よりも小さいために、シールリング14の下面に液圧が作用し、ピストンプレート220およびシールリング14を押し上げる。これによってピストンプレート220上のシールリング14のシール壁14a、14aがマニホールド11の下面に密着する。このとき、シールリング14のシール壁14a、14aがマニホールド11の下面に接触するまでの間に、送り込まれた液はシールリング14の液溝14bから溢れ出し、シール壁14a、14aの上部が液によって濡れるようになっている。
そして、シールリング14のシール壁14a、14aがマニホールド11の下面に密着した状態となった後、最終的には、液はポート12に流れ込み、ノズル10から噴出し、PETボトル100内の殺菌やすすぎが行われる。
【0043】
このようにして、ピストンプレート220およびシールリング14を上下動可能としておき、液圧を用いてピストンプレート220およびシールリング14を持ち上げてマニホールド11の下面に密着させることで、シールリング14によるシール性を高めることができる。
また、ピストンプレート220に設けられたシール部材221により、シールリング14と液供給リング13との隙間から液の漏出を塞ぐことができるので、液溝14bを通りノズル10へと供給される液が無駄に流出することもなく、液を効率よく使用することができる。
また、装置起動時においては、シールリング14のシール壁14a、14aをマニホールド11の下面から離間した状態とし、シールリング14のシール壁14a、14aの上部を液で濡らした後に、これを上昇させてマニホールド11に密着させることができるようになっている。これにより、装置起動時に、シールリング14とマニホールド11の下面との接触部分の摩擦が大きくなるのを防ぎ、シールリング14の過大な摩耗や、シールリング14とマニホールド11との接触部分でのびびるような振動の発生を抑えることができる。
【0044】
なお、上記実施の形態においては、ピストンプレート220を上下動させるための液圧として、殺菌やすすぎのためにノズル10から噴出する液の圧力を用いるようにしたが、この液とは別系統の液圧付与機構を備えるようにしても良い。すなわち、別途に設けたシリンダ機構等により、ピストンプレート220の下側に供給する液圧をコントロールすることで、ピストンプレート220を上下動させるのである。
この場合、ピストンプレート220を、周方向に間隔を隔てて設けた複数本のシリンダ機構によって支持し、それぞれのシリンダ機構でピストンプレート220に圧力をポンプ等で個別にコントロールする。
このような構成とすれば、ピストンプレート220に付与する圧力の分布を周方向において調整することができる。液溝14bが一定角度の範囲内のみに形成されるためにシールリング14の周方向において不均一な力が作用してしまうのを防ぎ、シールリング14とマニホールド11との間の力を周方向において均一化することができる。その結果、シールリング14がマニホールド11に対して傾くようなこともなくなり、液を効率よく使用することが可能となる。
【0045】
〔第三の実施の形態〕
次に、第三の実施の形態について説明する。ここでは、上記第一、第二の実施の形態で示した構成と異なる構成についてのみ説明し、上記第一、第二の実施の形態と共通する構成についてはその説明を省略する。
図9に示すように、本実施の形態においては、第一の実施の形態と同様、液供給リング13の溝13aにシールリング14が収容され、このシールリング14のシール壁14a、14aの上面にマニホールド240の下面が所定の圧力によって密着するようになっている。ここで、液供給リング13、シールリング14は、図示しないベース側に固定されており、上記第一の実施の形態とは異なり昇降しないようになっている。
マニホールド240は、第一の実施の形態で示したマニホールド11と同様の構成に加え、ブローアウト溝241を備えている。このブローアウト溝241は、シールリング14とマニホールド240との間から液を敢えて外部に流出させるためのものである。このため、ブローアウト溝241は、マニホールド240の下面において、一端がシール壁14a、14aよりも内側に位置するように設けられ、そこからシール壁14a、14aよりも外側に至るように形成されている。このようなブローアウト溝241は、マニホールド240の周方向において複数箇所設けても良いが、少なくとも1箇所に設ければ良い。
【0046】
このような構成を有する殺菌装置20、すすぎ装置30においては、装置起動時に、液の供給を開始すると、外部の送液機構17から溝13aに送り込まれた液は、シールリング14のシール壁14a、14aの上端レベルにまで到達すると、ブローアウト溝241から外部に流出する。この状態で、マニホールド240が回転し始めると、ブローアウト溝241もマニホールド240と一体に回転し、これによってシールリング14のシール壁14a、14aの上部が、回転しながらブローアウト溝241から流れ出る液によって濡れるようになっている。
これにより、装置起動時に、シールリング14とマニホールド11の下面との接触部分の摩擦が大きくなるのを防ぎ、シールリング14の過大な摩耗や、シールリング14とマニホールド11との接触部分でのびびるような振動の発生を抑えることができる。
【0047】
〔第四の実施の形態〕
次に、第四の実施の形態について説明する。ここでは、上記第一〜第三の実施の形態で示した構成と異なる構成についてのみ説明し、上記第一〜第三の実施の形態と共通する構成についてはその説明を省略する。
シールリング14のマニホールド11に対する密着力を周方向において均一化するため、上記第一の実施の形態では、付勢部材16の付勢力を調整する機構、上記第二の実施の形態では、液供給リング13の溝13aを複数に分割して区分し、各区分ごとでピストンプレート220に付与する液圧を個別にコントロール構成を提案したが、本実施の形態においては、これらに代わる構成を示す。
【0048】
すなわち、図10に示すように、シールリング14には、液溝14bが、前述したように、ノズル10から一定角度の範囲内のみで液の噴出を行い、残る範囲では液の噴出を停止するため、周方向の一定角度の範囲のみに形成されていて、残る範囲には形成されていない。本実施の形態においては、この、液溝14bが形成されていない範囲に、ダミー溝14dを形成する。このダミー溝14dは、マニホールド11に対し、ポート12の外周側または内周側にオフセットした位置に形成されている。
そして、ダミー溝14dの底面には、液溝14bと同様、上下に貫通する孔14eが、ダミー溝14dが連続する方向において所定間隔ごとに複数形成されている。
【0049】
このような構成を有する殺菌装置20、すすぎ装置30においては、外部の送液機構17から液が溝13aに送り込まれた液は、シールリング14の孔14c、14eを通り、液溝14b、ダミー溝14dに供給される。そして、液溝14bに供給された液はポート12に流れ込み、ノズル10から噴出する。
このとき、液溝14bが形成されていない範囲にはダミー溝14dが形成されているため、マニホールド11とシールリング14との間においては、この部分でも液圧が作用する。このとき、ダミー溝14dは、マニホールド11のポート12に対しオフセットした位置に形成されているため、ダミー溝14dからポート12に液が供給されることは無く、ダミー溝14dにおける液圧は、ポート12以外の部分でマニホールド11に作用する。これによって液溝14bが形成されていない範囲においても液圧をマニホールド11に作用させることができ、周方向において液圧が平均的に作用するようになっている。
その結果、シールリング14がマニホールド11に対して傾くようなこともなくなり、漏れを防止できるので、液を効率よく使用することが可能となる。
【0050】
なお、上記各実施の形態で示した構成は、適宜組み合わせたり、機能的に不要な構成は省略することが可能である。また、殺菌装置20、すすぎ装置30の他の部分の構成については本実施の形態で示した構成に何ら限定する意図はない。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施の形態における充填装置の概略構成を示す図である。
【図2】第一の実施の形態における構成を示す図である。
【図3】図2で示した装置の要部の構成を示す展開図である。
【図4】シールリングを分割した例を示す図である。
【図5】シールリングの押し付け力調整機構の例を示す図である。
【図6】図2で示した装置において、起動時の状態を示す図である。
【図7】第二の実施の形態における装置構成を示す図である。
【図8】図7で示した装置において、起動時の状態を示す図である。
【図9】第三の実施の形態における装置構成を示す図である。
【図10】第四の実施の形態におけるシールリングの構成、装置の要部の構成を示す図である。
【図11】従来の装置構成を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1…回転体、5…グリッパ(保持具)、10…ノズル、11…マニホールド、12…ポート、13…液供給リング(リング状部材)、13a…溝、14…シールリング、14a…シール壁、14b…液溝、14c…孔、14d…ダミー溝、16…付勢部材、16a…調整ネジ(押し付け力調整機構)、16b…シム(押し付け力調整機構)、17…送液機構、20…殺菌装置(液供給装置)、30…すすぎ装置(液供給装置)、100…PETボトル(容器)、200…固定リング(シール固定部材)、203…シール部材、210…昇降機構、211…伸縮シリンダ、220…ピストンプレート、221…シール部材、222…チャンバー部、223…供給管、230…規制リング、240…マニホールド、241…ブローアウト溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の殺菌、すすぎ等を行うときに用いるのに適した液供給装置およびその起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水等の液体をPETボトルやガラス瓶、ボトル缶等の容器に充填する装置として、回転式充填装置が用いられている。この回転式充填装置は、回転する円板の外周部に複数の充填バルブを備えており、円板がほぼ1回転する間に、充填バルブから容器内への充填を行う。そして、容器への液体の充填が終了した後、キャッパ(打栓機)により容器へのキャップの装着が行われる。
【0003】
ところで、飲料水等の場合、雑菌等の容器内への混入を防ぐことが必須であり、このため、クリーンルーム内で、容器殺菌とすすぎ、キャップ殺菌とすすぎ、殺菌された製品液の充填及びキャップ装着といった一連の工程を行ういわゆる無菌充填方式や、充填する液体を高温に加熱しておき、搬送工程でキャッピングされた容器全体を横又は上下倒立させた状態に転倒させて、容器内の液体未接触部位の殺菌をこの液体自体の熱によって行う、高温充填方式が採用されている。
【0004】
前者の無菌充填方式において、容器殺菌、すすぎを行う装置には、スターホイールと称される回転式の容器搬送機構が備えられ、回転するスターホイールによって容器を周方向に搬送している間に、容器の殺菌・すすぎを行うようになっている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
図11に示すように、回転体1は、図示しないベース上に立設され、モータ等によって回転駆動される回転軸3と、この回転軸3の上部に設けられた全体として円盤状のホイール4と、を備えており、回転軸3を回転駆動させることで、ホイール4がほぼ水平面内で回転するようになっている。ホイール4の外周部には、PETボトル100を保持するグリッパ5が、ホイール4の周方向に一定間隔ごとに配置されている。
【0006】
殺菌装置、すすぎ装置においては、このような回転体1のグリッパ5でPETボトル100を上下逆さまに保持した状態で、PETボトル100の口部に対向するように配置されたノズル10から殺菌あるいはすすぎのための液を噴出し、PETボトル100内の洗浄・殺菌あるいはすすぎを行うようにしている。
【0007】
このようにグリッパ5に保持されるPETボトル100と対向するように設けられたノズル10から液を噴出するための機構として、殺菌装置、すすぎ装置は以下のような構成を備えている。
すなわち、回転体1の下方に、回転体1と同様、回転軸3に保持された円盤状のマニホールド11が設けられている。このマニホールド11の外周部に、前記のノズル10が、周方向所定間隔ごとに設けられている。マニホールド11には、ノズル10に液を送り込むためのポート12が、周方向所定間隔ごとに形成されている。各ポート12は、マニホールド11の外周面と下面とを連通するように形成されており、マニホールド11の外周面側の開口部にノズル10が接続されている。
【0008】
マニホールド11の下方には、各ポート12に液を供給するための液供給リング13が配置されている。液供給リング13の上面には、リング状の溝13aが形成されている。この溝13aは上方に開口した略U字状の断面形状を有している。
溝13aには、シールリング14がはめ込まれるようになっている。シールリング14は、下部が溝13aに対応した断面形状・寸法を有し、上部には液供給リング13よりも上方に突出する一対のシール壁14a、14aによって形成された液溝14bが形成されている。液溝14bの底面には、上下に貫通する孔14cが、液溝14bが連続する方向において所定間隔ごとに複数形成されている。
【0009】
このような液供給リング13は、バネ等の付勢部材16によって、マニホールド11の下面側に押し付けられ、シールリング14のシール壁14a、14aの上面がマニホールド11の下面に密着するようになっている。
そして、溝13aには、外部の送液機構17から、供給孔13bを通して液が送り込まれるようになっている。溝13aに液が送り込まれると、この液はシールリング14の孔14cおよび液溝14bを通ってポート12に流れ込み、ノズル10から噴出するようになっている。
【0010】
このとき、前述のごとく、マニホールド11は、回転体1と同様に回転軸3に保持されている。これにより、マニホールド11は、回転体1と一体的に回転する。これに対し、液供給リング13およびシールリング14は、図示しない固着手段によって固定されており、マニホールド11とともに回転せず、これら液供給リング13およびシールリング14とマニホールド11は相対的に回転することになる。これにより、シールリング14のシール壁14a、14aの上面はマニホールド11の下面と摺接することになるため、樹脂等、マニホールド11との間に生じる摩擦を抑制できる材質で形成されている。
【0011】
このような殺菌装置、すすぎ装置においては、回転体1が回転しながら、前段側の装置からPETボトル100を受け取り、グリッパ5で保持した後、所定の位置でノズル10から液をPETボトル100に向けて噴出し始め、このPETボトル100が所定の位置まで回転した時点でノズル10からの液の噴出を停止するようになっている。このため、シールリング14の液溝14bは、液供給リング13において全周ではなく、その一部の所定角度の範囲に形成されている。これにより、マニホールド11の回転により、PETボトル100に対向したノズル10が、液溝14bが形成されている範囲の一端に到達したときに、液が液溝14bからポート12に流れ込んでノズル10からの液の噴出を開始し、液溝14bが形成されている範囲の他端に到達してポート12が液溝14bから外れたときに、液の噴出を終了する。
【0012】
【特許文献1】特開平6−262154号公報
【特許文献2】特開2004−98020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記のような従来の回転機構を備えた殺菌装置、すすぎ装置においては、以下に示すような問題が存在した。
液供給リング13およびシールリング14は、バネ等の付勢部材16によって、マニホールド11の下面に押し付けられている。このとき、殺菌装置やすすぎ装置が運転している状態であれば、供給される液が、相対的に回転するシールリング14のシール壁14a、14aの上面とマニホールド11の下面との接触部分に入り込み、これによって双方間の潤滑性が保たれている。ところが、殺菌装置やすすぎ装置が長時間停止すると、シール壁14a、14aとマニホールド11の接触部分は乾燥した状態となる。この後、殺菌装置やすすぎ装置を立ち上げる時には、マニホールド11が回転体1とともに回転しはじめても、液が液溝14bに送り込まれシール壁14a、14aとマニホールド11との接触部分に届くまでの間は液が介在しないため、シールリング14の上面とマニホールド11の下面との接触部分の摩擦が大きくなる。その結果、シールリング14の過大な摩耗を招いたり、シールリング14とマニホールド11との接触部分でびびるような振動を生じることもある。
【0014】
また、液が供給された状態では、その液圧により、液供給リング13とシールリング14との間にも液が入り込もうとする。すると、液供給リング13とシールリング14との隙間を通り、液が外部に溢れ出すことになり、これによってシールリング14によるシール力を液圧によってコントロールするのが困難となる。また、この漏れにより、液溝14bを通りノズル10へと供給される液量が減少することになる。漏れが生じても、ノズル10から十分な量の液を吹き出すには、液圧あるいは液量を増大させるしかなく、液の消費量が増えることになり、不経済である。
【0015】
さらに、前述したように、シールリング14において、液溝14bは、シールリング14の周方向の一部のみに形成されている。ノズル10から液を噴出しているときには、液の圧力により、付勢部材16によって上方に付勢されているシールリング14をマニホールド11から下方に押し下げるような力が発生するが、液溝14bの無い部分ではこの液の圧力は発生しないため、シールリング14の周方向において、不均一な力が作用することになる。これにより、シールリング14はマニホールド11に対して傾くような状態となって、シールリング14とマニホールド11との隙間が周方向の一部で開き、ここから液が漏れてしまうという問題がある。この現象によっても、ノズル10から十分な量の液を吹き出すには液圧あるいは液量を増大させるしかなく、液の消費量が増えることになり、不経済であるという問題が伴う。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、装置の起動時におけるシールリングの摩耗や振動を抑えるとともに、容器の殺菌やすすぎのための液を効率よく利用することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる目的のもとになされた本発明は、回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、回転体を回転させて容器を搬送しながら容器内に液を供給する液供給装置であり、殺菌やすすぎのために用いるのに適したものである。このような液供給装置は、回転体と一体に回転し、それぞれの保持具に保持された容器に液を供給するためのノズルおよびノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、リング状部材の溝に収容され、上部がリング状部材よりも上方に突出してリング状部材とマニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、マニホールドに設けられたポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、シール壁の内側に外部から供給された液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、液供給装置の起動時に、シールリングのマニホールドに対する接触部分を液で濡らすため、シールリングをマニホールドに対して昇降させる昇降機構と、を備えることを特徴とする。
このような昇降機構を備えることで、液供給装置の起動時にはシールリングをマニホールドに対して下降させ、非接触の状態としておき、外部から供給された液を、リング状部材の溝を介し、シールリングの液溝に満たして溢れさせると、シールリングのマニホールドに対する接触部分が液で濡れ、潤滑性が確保される。この状態で昇降機構によりシールリングを上昇させてマニホールドに密着させれば、回転体とともに回転するマニホールドとシールリングとの間の摩擦を低減できる。
【0017】
昇降機構としては、様々なものを用いることが可能であるが、リング状部材およびシールリングをマニホールドに対して昇降させるため、リング状部材の周方向複数箇所に設けられた伸縮シリンダを用いることができる。
また、リング状部材の溝内にシールリングを上下動可能に収容し、溝とシールリングとの間に供給した液の圧力によりシールリングを溝内でマニホールドに対して昇降させる構成とすることもできる。
【0018】
シールリングに形成された液溝が、シールリングの周方向の一部のみに形成されているときには、シールリングをマニホールドに押し付ける力の周方向における分布を調整できる押し付け力調整機構を備えれば、液溝が形成されている部分と液溝が形成されていない部分におけるシールリングのマニホールドに対する密着力を均一化することができる。液が液溝に供給された状態では、液圧によりシールリングをマニホールドから引き離そうとする方向の力が作用し、液溝が形成されていない部分ではこの力が作用しないために、結果的にシールリングのマニホールドに対する押し付け力が不均一となってしまうが、これを、押し付け力調整機構で調整し、均一化することで、シールリングとマニホールドとの間からの液漏れを防止するのである。
リング状部材をマニホールド側に付勢する付勢部材が、リング状部材の周方向に間隔を隔てて複数設けられる場合、押し付け力調整機構として、付勢部材のそれぞれにおける付勢力を独立して調整可能な構成とすることもできる。
この他、液溝が形成されていない部分にも、液圧が作用するよう、ダミーの液溝等を設けることも有効である。
【0019】
また、リング状部材の溝内に収容されたシールリングのマニホールド側への変位を規制するためのシール固定部材をさらに備えるのも好ましい。これにより、リング状部材の溝とシールリングとの間に入り込んだ液の圧力によってシールリングがリング状部材の溝から浮き上がるのを防止でき、この部分からの液漏れが防止できる。
さらに、リング状部材の溝とシールリングとの間に、液の漏出を防ぐためのシール部材を備えるのも好ましい。
【0020】
本発明は、回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、回転体を回転させて容器を搬送しながら容器内に液を供給する液供給装置であって、回転体と一体に回転し、それぞれの保持具に保持された容器に液を供給するためのノズルおよびこのノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、リング状部材の溝に収容され、上部がリング状部材よりも上方に突出してリング状部材とマニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、マニホールドに設けられたポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、シール壁の内側に外部から供給された液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、液供給装置の起動時に、シールリングのマニホールドに対する接触部分を液で濡らすため、シールリングとマニホールドの隙間から液を外部に流出させるブローアウト溝と、を備えることを特徴とする液供給装置とすることもできる。
このような構成では、液供給装置の起動時に、ブローアウト溝を通し、シールリングとマニホールドの隙間から液を外部に流出させる。すると、このブローアウト溝から流出する液に、相対的に回転するシールリングまたはマニホールドが接触し、シールリングのマニホールドに対する接触部分を液で濡らすことができる。これによって、シールリングのマニホールドに対する接触部分の潤滑性が確保される。この状態で昇降機構によりシールリングを上昇させてマニホールドに密着させれば、回転体とともに回転するマニホールドとシールリングとの間の摩擦を低減できる。
【0021】
本発明は、回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、回転体を回転させて容器を搬送しながら容器内に液を供給する液供給装置の起動方法とすることもできる。ここで、この方法の対象となる液供給装置は、回転体と一体に回転し、それぞれの保持具に保持された容器に液を供給するためのノズルおよびノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、リング状部材の溝に収容され、上部がリング状部材よりも上方に突出してリング状部材とマニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、マニホールドに設けられたポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、シール壁の内側に外部から供給された液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、を備えたものである。このような液供給装置を起動するとき、シールリングをマニホールドから離間させるステップと、シールリングの液溝に液を供給し、液溝から液を溢れさせるステップと、シールリングをマニホールドに密着させ、液溝からポートに液を送り込み、ノズルから容器内への液の供給を開始するステップと、を含むことを特徴とする。
このような一連の動作は、オペレータの手動操作によって行っても良いが、液供給装置のコントローラに予めプログラミングしておき、起動時に自動的に行われるようにするのが好ましい。
また、マニホールドとシールリングは、相対的に離間・接近すればよいのであって、シールリング側を昇降させる構成に限らず、マニホールド側を昇降させることで上記動作を実現しても良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、装置の起動時に、シールリングのマニホールドに対する接触部分を液で濡らすことで、シールリングとマニホールドが乾燥状態で接触するのを防ぎ、シールリングのマニホールドに対する摩擦を低減してシールリングの摩耗や振動を抑えることができる。また、リング状部材の溝からのシールリングの浮き上がりを防止することで、リング状部材とシールリングとの間からの液漏れを防止でき、またシールリングのマニホールドに対する密着力の均一化を図ることでシールリングとマニホールドとの間からの液漏れを防止でき、その結果、殺菌や洗浄のための液を効率よく利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
〔第一の実施の形態〕
図1は、本実施の形態における飲料充填機の全体構成を説明するための図である。図1に示す飲料充填機は、主に無菌充填方式に適用されるものである。
図1に示すように、飲料充填機は、容器を殺菌する殺菌装置(液供給装置)20、容器をすすぐすすぎ装置(液供給装置)30、容器に液体を充填する充填装置40、液体が充填された容器にキャップを装着するキャッパ(図示省略)を主に備えている。
これら殺菌装置20、すすぎ装置30、充填装置40、キャッパ間には、搬送スターホイール60等が設けられ、これによって、容器の受け渡し等が行われるようになっている。
無菌充填方式の場合、このような飲料充填機は、その全体が所定以上のクリーン度に維持されたクリーンルーム内に設置される。
【0024】
殺菌装置20、すすぎ装置30においては、PETボトル(容器)100は上下反転させた状態で殺菌・すすぎが行われるようになっており、このため、殺菌装置20の入口側、すすぎ装置30の出口側には、容器を上下反転させる機構が備えられている。このような機構としては、前記特許文献1、2に示されたような構成を採用すればよい。
そして、殺菌装置20、すすぎ装置30は、それぞれ、以下に示すような回転機構を備えている。ここで、図11に示した構成と共通する構成については、同符号を付してその説明を省略する。
図2、図3に示すように、PETボトル100を保持するグリッパ5が周方向に一定間隔ごとに設けられた回転体1の下方に、円盤状のマニホールド11が設けられている。これら回転体1とマニホールド11は、図示しないモータ等によって回転駆動される回転軸3に取り付けられている。
マニホールド11の外周部には、グリッパ(保持具)5と対向する位置に、グリッパ5に保持されたPETボトル100に液を噴出するノズル10が設けられており、このノズル10は、マニホールド11に形成されたポート12に接続されている。
【0025】
マニホールド11の下方には、各ポート12に液を供給するための液供給リング(リング状部材)13が配置されている。液供給リング13の上面には、リング状の溝13aが形成されている。この溝13aは上方に開口した略U字状の断面形状を有している。
溝13aには、樹脂等からなるシールリング14がはめ込まれるようになっている。シールリング14は、下部が溝13aに対応した断面形状・寸法を有し、上部には液供給リング13よりも上方に突出する一対のシール壁14a、14aによって形成された液溝14bが形成されている。シールリング14の液溝14bは、前述したように、ノズル10から一定角度の範囲内のみで液の噴出を行い、残る範囲では液の噴出を停止するため、周方向の一定角度の範囲のみに形成されていて、残る範囲には形成されていない。液溝14bの底面には、上下に貫通する孔14cが、液溝14bが連続する方向において所定間隔ごとに複数形成されている。
【0026】
ここで、シールリング14は、図4に示すように、周方向において複数に分割しておくのも好ましい。これにより、メンテナンス時等に、回転体1やマニホールド11等を外すことなく、シールリング14を回転軸3から横方向に引き抜いて交換等を行うことが可能となる。このとき、シールリング14の分割位置は、液溝14bの形成されていない部分とするのが好ましい。液溝14bが形成されている部分で分割する場合、そのジョイント部分においてはシール性を確保するためシール材等を配するのが好ましい。
【0027】
そして、マニホールド11には、シールリング14を液供給リング13に固定するための固定リング(シール固定部材)200が設けられている。この固定リング200は、シールリング14のシール壁14a、14aを上方に突出させた状態で、シールリング14を保持・固定できるよう、内外二重の内側リング201、外側リング202からなり、これら内側リング201、外側リング202は、断面略逆L字状で、シール壁14a、14aの両側でシールリング14を押さえ、液供給リング13の溝13aの内外周上面にボルト等によって固定されるようになっている。
【0028】
また、図2に示したように、シールリング14には、マニホールド11との隙間から液の漏出を塞ぐシール部材203が、溝13aの内周側、外周側とシールリング14の底面との間に設けられている。
【0029】
このような液供給リング13は、図示しないベースとの間に設けられたバネ等の付勢部材16によって、マニホールド11の下面側に押し付けられ、シールリング14のシール壁14a、14aの上面がマニホールド11の下面に密着するようになっている。
【0030】
このような付勢部材16は、液供給リング13の周方向においてほぼ等間隔に複数が配置されている。このとき、複数の付勢部材16間において、その付勢力を独立して調整できる押し付け力調整機構を備えるようにするのが好ましい。
複数の付勢部材16間において、その付勢力を独立して調整できるようにするには、付勢部材16のバネのセット長さを調整し、プリロードを調整可能とすればよい。これには、図5に示すように、付勢部材16のセット長さを調整する調整ネジ16a(図5(a)参照)やシム16b(図5(b)参照)を用いればよい。
【0031】
シールリング14の液溝14bは一定角度の範囲内に形成されていて、残る範囲には形成されておらず、これによって、従来であればシールリング14の周方向において不均一な力が液体によって作用するが、これを前記のように付勢部材16ごとに付勢力を調整する構成を採用することによって、シールリング14のマニホールド11に対する密着力を周方向において均一化することができる。その結果、シールリング14がマニホールド11に対して傾くようなこともなくなり、規定以上の漏れ(潤滑液としての漏れは必要)を防止できるので、液を効率よく使用することが可能となる。
【0032】
さて、図2に示したように、液供給リング13の上面は、図示しないベースとの間に設けられた昇降機構210によって、昇降可能となっている。このような昇降機構210としては、油圧やエア圧等によって駆動される伸縮シリンダ211や、モータによって駆動されるボールねじ機構等を用いることができる。
本実施の形態においては、昇降機構210により、液供給リング13をマニホールド11の下面に対して昇降させ、シールリング14のシール壁14a、14aをマニホールド11に接触させたり離間させたりできるようになっている。
【0033】
ここで、マニホールド11は、回転体1と同様に回転軸3に保持されており、回転体1と一体的に回転する。これに対し、液供給リング13およびシールリング14は、図示しないベース側に固設されており、マニホールド11とともに回転しないようになっている。
【0034】
このような構成において、溝13aには、外部の送液機構17から、供給孔13bを通して液が送り込まれるようになっている。溝13aに液が送り込まれると、この液はシールリング14の孔14cから液溝14bを通ってポート12に流れ込み、ノズル10から噴出するようになっている。
【0035】
そして、回転体1が回転しながら、前段側の装置からPETボトル100を受け取り、グリッパ5で保持した後、所定の位置でノズル10から液をPETボトル100に向けて噴出し始め、このPETボトル100が所定の位置まで回転した時点でノズル10からの液の噴出を停止するようになっている。このためシールリング14の液溝14bは、液供給リング13において全周ではなく、その一部の所定角度の範囲に形成されている。これにより、マニホールド11の回転により、PETボトル100を保持したグリッパ5が、液溝14bが形成されている範囲の一端に到達したときに、液が液溝14bからポート12に流れ込んでノズル10からの液の噴出を開始し、液溝14bが形成されている範囲の他端に到達してポート12が液溝14bから外れたときに、液の噴出を終了する。
【0036】
このとき、シールリング14とマニホールド11との間には、シール部材203が設けられているため、シールリング14とマニホールド11との隙間から規定量以上の液の漏出を塞ぐことができる。さらに、固定リング200により液供給リング13に固定されているため、シール部材203によるシール性を確実に発揮することができ、液の圧力によって液がシールリング14と液供給リング13の隙間に入り込み、シールリング14を必要以上の力で押し上げるような現象も防止できる。
【0037】
このような殺菌装置20、すすぎ装置30においては、装置起動時においては、装置のコントローラに予めプログラミングされたプログラムに基づき、以下のような動作を行う。
まず、図6に示すように、昇降機構210により液供給リング13を下降させ、シールリング14のシール壁14a、14aをマニホールド11の下面から離間した状態としておく。そして、まず液の供給を開始し、外部の送液機構17から液が溝13aに送り込まれ、シールリング14の液溝14bから溢れ出すまでその状態を維持する。これにより、シールリング14のシール壁14a、14aの上部が液によって濡れる。この後、昇降機構210により液供給リング13を上昇させ、シールリング14のシール壁14a、14aを、回転を開始しているマニホールド11の下面に密着させるようにする。すると、液はシールリング14の液溝14bを通ってポート12に流れ込み、ノズル10から噴出する。
【0038】
上述したように、シール部材203および固定リング200により、シールリング14とマニホールド11との隙間から液の漏出を塞ぐことができるので、液溝14bを通りノズル10へと供給される液が無駄に流出することもなく、液を効率よく使用することができる。
また、昇降機構210を備えることにより、装置起動時においては、マニホールド11を下降させ、シールリング14のシール壁14a、14aをマニホールド11の下面から離間した状態とすることで、シールリング14のシール壁14a、14aの上部を液で濡らした後に、これを上昇させてマニホールド11に密着させることができる。これにより、装置起動時に、シールリング14とマニホールド11の下面との接触部分の摩擦が大きくなるのを防ぎ、シールリング14の過大な摩耗や、シールリング14とマニホールド11との接触部分でのびびるような振動の発生を抑えることができる。
【0039】
なお、上記第一の実施の形態において、固定リング200およびシール部材203を備えるようにしたが、固定リング200、シール部材203のいずれか一方のみで、液供給リング13とシールリング14との隙間からの液の漏出を十分に防ぐことができるのであれば、固定リング200、シール部材203の一方のみを備えるようにしても良い。
また、固定リング200を硬質ゴム製等とし、シールリング14を固定する機能と、液の漏出を防ぐ機能の双方を満たすような構成とすることも可能である。
【0040】
〔第二の実施の形態〕
次に、第二の実施の形態について説明する。ここでは、上記第一の実施の形態で示した構成と異なる構成についてのみ説明し、上記第一の実施の形態と共通する構成についてはその説明を省略する。
図7に示すように、本実施の形態においては、液供給リング13の溝13aに収容されたシールリング14の下面にピストンプレート220が一体に設けられている。このピストンプレート220は、溝13aの平面形状に対応した外形形状を有しており、中央部には液を通すための貫通孔が形成されたドーナツ状とされている。ピストンプレート220の外周部にはシール部材221が設けられ、ピストンプレート220の外周面と溝13aの内周面との間のシール性を保つようになっている。
ここで、溝13aの幅は、溝13aの底部から所定の高さの部分までがピストンプレート220の幅より小さく形成され、これによってピストンプレート220は、溝13a内で上下方向に移動可能とされてはいるものの、溝13a内で一定の深さ以上への移動が規制されている。これにより、溝13a内において、ピストンプレート220の下方には、断面積がシールリング14の孔14cよりも大きなチャンバー部222が形成された構成となっている。このチャンバー部222には、ポンプ等により、液が供給管223を介して送り込まれるようになっている。
【0041】
また、第一の実施の形態における固定リング200とほぼ同様の構成を有した規制リング230が、マニホールド11に設けられている。ただし、本実施の形態における規制リング230は、前記固定リング200と同様、シールリング14のシール壁14a、14aを上方に突出させることができるよう、それぞれ断面逆L字状の内外二重の内側リング231、外側リング232からなるが、この規制リング230の下側において、シールリング14は、上下方向に一定寸法移動可能となっている。つまり規制リング230は、シールリング14の上方への一定寸法以上の移動を規制する機能を果たしている。
【0042】
このような構成を有する殺菌装置20、すすぎ装置30においては、図8に示すように、装置起動時には、ピストンプレート220およびシールリング14の自重により、これらは溝13a内で下降し、シールリング14のシール壁14a、14aがマニホールド11の下面から離間した状態となっている。
この状態で液の供給を開始すると、外部の送液機構17から液が溝13aに送り込まれる。このとき、溝13a内のピストンプレート220の下側のチャンバー部222に液が溜まると、シールリング14の孔14cの断面積がチャンバー部222よりも小さいために、シールリング14の下面に液圧が作用し、ピストンプレート220およびシールリング14を押し上げる。これによってピストンプレート220上のシールリング14のシール壁14a、14aがマニホールド11の下面に密着する。このとき、シールリング14のシール壁14a、14aがマニホールド11の下面に接触するまでの間に、送り込まれた液はシールリング14の液溝14bから溢れ出し、シール壁14a、14aの上部が液によって濡れるようになっている。
そして、シールリング14のシール壁14a、14aがマニホールド11の下面に密着した状態となった後、最終的には、液はポート12に流れ込み、ノズル10から噴出し、PETボトル100内の殺菌やすすぎが行われる。
【0043】
このようにして、ピストンプレート220およびシールリング14を上下動可能としておき、液圧を用いてピストンプレート220およびシールリング14を持ち上げてマニホールド11の下面に密着させることで、シールリング14によるシール性を高めることができる。
また、ピストンプレート220に設けられたシール部材221により、シールリング14と液供給リング13との隙間から液の漏出を塞ぐことができるので、液溝14bを通りノズル10へと供給される液が無駄に流出することもなく、液を効率よく使用することができる。
また、装置起動時においては、シールリング14のシール壁14a、14aをマニホールド11の下面から離間した状態とし、シールリング14のシール壁14a、14aの上部を液で濡らした後に、これを上昇させてマニホールド11に密着させることができるようになっている。これにより、装置起動時に、シールリング14とマニホールド11の下面との接触部分の摩擦が大きくなるのを防ぎ、シールリング14の過大な摩耗や、シールリング14とマニホールド11との接触部分でのびびるような振動の発生を抑えることができる。
【0044】
なお、上記実施の形態においては、ピストンプレート220を上下動させるための液圧として、殺菌やすすぎのためにノズル10から噴出する液の圧力を用いるようにしたが、この液とは別系統の液圧付与機構を備えるようにしても良い。すなわち、別途に設けたシリンダ機構等により、ピストンプレート220の下側に供給する液圧をコントロールすることで、ピストンプレート220を上下動させるのである。
この場合、ピストンプレート220を、周方向に間隔を隔てて設けた複数本のシリンダ機構によって支持し、それぞれのシリンダ機構でピストンプレート220に圧力をポンプ等で個別にコントロールする。
このような構成とすれば、ピストンプレート220に付与する圧力の分布を周方向において調整することができる。液溝14bが一定角度の範囲内のみに形成されるためにシールリング14の周方向において不均一な力が作用してしまうのを防ぎ、シールリング14とマニホールド11との間の力を周方向において均一化することができる。その結果、シールリング14がマニホールド11に対して傾くようなこともなくなり、液を効率よく使用することが可能となる。
【0045】
〔第三の実施の形態〕
次に、第三の実施の形態について説明する。ここでは、上記第一、第二の実施の形態で示した構成と異なる構成についてのみ説明し、上記第一、第二の実施の形態と共通する構成についてはその説明を省略する。
図9に示すように、本実施の形態においては、第一の実施の形態と同様、液供給リング13の溝13aにシールリング14が収容され、このシールリング14のシール壁14a、14aの上面にマニホールド240の下面が所定の圧力によって密着するようになっている。ここで、液供給リング13、シールリング14は、図示しないベース側に固定されており、上記第一の実施の形態とは異なり昇降しないようになっている。
マニホールド240は、第一の実施の形態で示したマニホールド11と同様の構成に加え、ブローアウト溝241を備えている。このブローアウト溝241は、シールリング14とマニホールド240との間から液を敢えて外部に流出させるためのものである。このため、ブローアウト溝241は、マニホールド240の下面において、一端がシール壁14a、14aよりも内側に位置するように設けられ、そこからシール壁14a、14aよりも外側に至るように形成されている。このようなブローアウト溝241は、マニホールド240の周方向において複数箇所設けても良いが、少なくとも1箇所に設ければ良い。
【0046】
このような構成を有する殺菌装置20、すすぎ装置30においては、装置起動時に、液の供給を開始すると、外部の送液機構17から溝13aに送り込まれた液は、シールリング14のシール壁14a、14aの上端レベルにまで到達すると、ブローアウト溝241から外部に流出する。この状態で、マニホールド240が回転し始めると、ブローアウト溝241もマニホールド240と一体に回転し、これによってシールリング14のシール壁14a、14aの上部が、回転しながらブローアウト溝241から流れ出る液によって濡れるようになっている。
これにより、装置起動時に、シールリング14とマニホールド11の下面との接触部分の摩擦が大きくなるのを防ぎ、シールリング14の過大な摩耗や、シールリング14とマニホールド11との接触部分でのびびるような振動の発生を抑えることができる。
【0047】
〔第四の実施の形態〕
次に、第四の実施の形態について説明する。ここでは、上記第一〜第三の実施の形態で示した構成と異なる構成についてのみ説明し、上記第一〜第三の実施の形態と共通する構成についてはその説明を省略する。
シールリング14のマニホールド11に対する密着力を周方向において均一化するため、上記第一の実施の形態では、付勢部材16の付勢力を調整する機構、上記第二の実施の形態では、液供給リング13の溝13aを複数に分割して区分し、各区分ごとでピストンプレート220に付与する液圧を個別にコントロール構成を提案したが、本実施の形態においては、これらに代わる構成を示す。
【0048】
すなわち、図10に示すように、シールリング14には、液溝14bが、前述したように、ノズル10から一定角度の範囲内のみで液の噴出を行い、残る範囲では液の噴出を停止するため、周方向の一定角度の範囲のみに形成されていて、残る範囲には形成されていない。本実施の形態においては、この、液溝14bが形成されていない範囲に、ダミー溝14dを形成する。このダミー溝14dは、マニホールド11に対し、ポート12の外周側または内周側にオフセットした位置に形成されている。
そして、ダミー溝14dの底面には、液溝14bと同様、上下に貫通する孔14eが、ダミー溝14dが連続する方向において所定間隔ごとに複数形成されている。
【0049】
このような構成を有する殺菌装置20、すすぎ装置30においては、外部の送液機構17から液が溝13aに送り込まれた液は、シールリング14の孔14c、14eを通り、液溝14b、ダミー溝14dに供給される。そして、液溝14bに供給された液はポート12に流れ込み、ノズル10から噴出する。
このとき、液溝14bが形成されていない範囲にはダミー溝14dが形成されているため、マニホールド11とシールリング14との間においては、この部分でも液圧が作用する。このとき、ダミー溝14dは、マニホールド11のポート12に対しオフセットした位置に形成されているため、ダミー溝14dからポート12に液が供給されることは無く、ダミー溝14dにおける液圧は、ポート12以外の部分でマニホールド11に作用する。これによって液溝14bが形成されていない範囲においても液圧をマニホールド11に作用させることができ、周方向において液圧が平均的に作用するようになっている。
その結果、シールリング14がマニホールド11に対して傾くようなこともなくなり、漏れを防止できるので、液を効率よく使用することが可能となる。
【0050】
なお、上記各実施の形態で示した構成は、適宜組み合わせたり、機能的に不要な構成は省略することが可能である。また、殺菌装置20、すすぎ装置30の他の部分の構成については本実施の形態で示した構成に何ら限定する意図はない。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施の形態における充填装置の概略構成を示す図である。
【図2】第一の実施の形態における構成を示す図である。
【図3】図2で示した装置の要部の構成を示す展開図である。
【図4】シールリングを分割した例を示す図である。
【図5】シールリングの押し付け力調整機構の例を示す図である。
【図6】図2で示した装置において、起動時の状態を示す図である。
【図7】第二の実施の形態における装置構成を示す図である。
【図8】図7で示した装置において、起動時の状態を示す図である。
【図9】第三の実施の形態における装置構成を示す図である。
【図10】第四の実施の形態におけるシールリングの構成、装置の要部の構成を示す図である。
【図11】従来の装置構成を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1…回転体、5…グリッパ(保持具)、10…ノズル、11…マニホールド、12…ポート、13…液供給リング(リング状部材)、13a…溝、14…シールリング、14a…シール壁、14b…液溝、14c…孔、14d…ダミー溝、16…付勢部材、16a…調整ネジ(押し付け力調整機構)、16b…シム(押し付け力調整機構)、17…送液機構、20…殺菌装置(液供給装置)、30…すすぎ装置(液供給装置)、100…PETボトル(容器)、200…固定リング(シール固定部材)、203…シール部材、210…昇降機構、211…伸縮シリンダ、220…ピストンプレート、221…シール部材、222…チャンバー部、223…供給管、230…規制リング、240…マニホールド、241…ブローアウト溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、前記回転体を回転させて前記容器を搬送しながら前記容器内に液を供給する液供給装置であって、
前記回転体と一体に回転し、それぞれの前記保持具に保持された前記容器に前記液を供給するためのノズルおよび前記ノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、
周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、
前記リング状部材の前記溝に収容され、上部が前記リング状部材よりも上方に突出して前記リング状部材と前記マニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、前記マニホールドに設けられた前記ポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、前記シール壁の内側に外部から供給された前記液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、
前記液供給装置の起動時に、前記シールリングの前記マニホールドに対する接触部分を前記液で濡らすため、前記シールリングを前記マニホールドに対して昇降させる昇降機構と、
を備えることを特徴とする液供給装置。
【請求項2】
前記昇降機構は、前記リング状部材および前記シールリングを前記マニホールドに対して昇降させるため前記リング状部材の周方向複数箇所に設けられた伸縮シリンダであることを特徴とする請求項1に記載の液供給装置。
【請求項3】
前記昇降機構として、前記リング状部材の前記溝内に前記シールリングを上下動可能に収容し、前記溝と前記シールリングとの間に供給した前記液の圧力により前記溝内で前記シールリングを前記マニホールドに対して昇降させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の液供給装置。
【請求項4】
前記シールリングに形成された前記液溝が、前記シールリングの周方向の一部のみに形成されているとき、前記シールリングを前記マニホールドに押し付ける力の周方向における分布を調整できる押し付け力調整機構を備え、前記液溝が形成されている部分と前記液溝が形成されていない部分における前記シールリングの前記マニホールドに対する密着力を均一化することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液供給装置。
【請求項5】
前記リング状部材の前記溝内に収容された前記シールリングの前記マニホールド側への変位を規制するためのシール固定部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液供給装置。
【請求項6】
前記リング状部材の前記溝と前記シールリングとの間に、前記液の漏出を防ぐためのシール部材を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の液供給装置。
【請求項7】
回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、前記回転体を回転させて前記容器を搬送しながら前記容器内に液を供給する液供給装置であって、
前記回転体と一体に回転し、それぞれの前記保持具に保持された前記容器に前記液を供給するためのノズルおよび前記ノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、
周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、
前記リング状部材の前記溝に収容され、上部が前記リング状部材よりも上方に突出して前記リング状部材と前記マニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、前記マニホールドに設けられた前記ポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、前記シール壁の内側に外部から供給された前記液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、
前記液供給装置の起動時に、前記シールリングの前記マニホールドに対する接触部分を前記液で濡らすため、前記シールリングと前記マニホールドの隙間から前記液を外部に流出させるブローアウト溝と、
を備えることを特徴とする液供給装置。
【請求項8】
回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、前記回転体を回転させて前記容器を搬送しながら前記容器内に液を供給する液供給装置であって、
前記回転体と一体に回転し、それぞれの前記保持具に保持された前記容器に前記液を供給するためのノズルおよび前記ノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、
周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、
前記リング状部材の前記溝に収容され、上部が前記リング状部材よりも上方に突出して前記リング状部材と前記マニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、前記マニホールドに設けられた前記ポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、前記シール壁の内側に外部から供給された前記液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、
前記リング状部材の前記溝内に収容された前記シールリングの前記マニホールド側への変位を規制するためのシール固定部材と、
を備えることを特徴とする液供給装置。
【請求項9】
前記リング状部材の前記溝と前記シールリングとの間に、前記液の漏出を防ぐためのシール部材を備えることを特徴とする請求項8に記載の液供給装置。
【請求項10】
回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、前記回転体を回転させて前記容器を搬送しながら前記容器内に液を供給する液供給装置であって、
前記回転体と一体に回転し、それぞれの前記保持具に保持された前記容器に前記液を供給するためのノズルおよび前記ノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、
周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、
前記リング状部材の前記溝に収容され、上部が前記リング状部材よりも上方に突出して前記リング状部材と前記マニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、前記マニホールドに設けられた前記ポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、前記シール壁の内側に外部から供給された前記液が満たされる液溝が周方向の一部のみに形成されたシールリングと、
前記シールリングの前記液溝が形成されている部分と前記液溝が形成されていない部分における、前記シールリングの前記マニホールドに対する押し付け力を均一化するための押し付け力調整機構が備えられていることを特徴とする液供給装置。
【請求項11】
前記リング状部材を前記マニホールド側に付勢する付勢部材が、前記リング状部材の周方向に間隔を隔てて複数設けられるとともに、
前記押し付け力調整機構として、前記付勢部材のそれぞれにおける付勢力が独立して調整可能とされていることを特徴とする請求項10に記載の液供給装置。
【請求項12】
回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、前記回転体を回転させて前記容器を搬送しながら前記容器内に液を供給する液供給装置の起動方法であって、
前記回転体と一体に回転し、それぞれの前記保持具に保持された前記容器に前記液を供給するためのノズルおよび前記ノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、
周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、
前記リング状部材の前記溝に収容され、上部が前記リング状部材よりも上方に突出して前記リング状部材と前記マニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、前記マニホールドに設けられた前記ポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、前記シール壁の内側に外部から供給された前記液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、を備えた前記液供給装置を起動するとき、
前記シールリングを前記マニホールドから離間させるステップと、
前記シールリングの前記液溝に前記液を供給し、前記液溝から前記液を溢れさせるステップと、
前記シールリングを前記マニホールドに密着させ、前記液溝から前記ポートに前記液を送り込み、前記ノズルから前記容器内への前記液の供給を開始するステップと、
を含むことを特徴とする液供給装置の起動方法。
【請求項1】
回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、前記回転体を回転させて前記容器を搬送しながら前記容器内に液を供給する液供給装置であって、
前記回転体と一体に回転し、それぞれの前記保持具に保持された前記容器に前記液を供給するためのノズルおよび前記ノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、
周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、
前記リング状部材の前記溝に収容され、上部が前記リング状部材よりも上方に突出して前記リング状部材と前記マニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、前記マニホールドに設けられた前記ポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、前記シール壁の内側に外部から供給された前記液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、
前記液供給装置の起動時に、前記シールリングの前記マニホールドに対する接触部分を前記液で濡らすため、前記シールリングを前記マニホールドに対して昇降させる昇降機構と、
を備えることを特徴とする液供給装置。
【請求項2】
前記昇降機構は、前記リング状部材および前記シールリングを前記マニホールドに対して昇降させるため前記リング状部材の周方向複数箇所に設けられた伸縮シリンダであることを特徴とする請求項1に記載の液供給装置。
【請求項3】
前記昇降機構として、前記リング状部材の前記溝内に前記シールリングを上下動可能に収容し、前記溝と前記シールリングとの間に供給した前記液の圧力により前記溝内で前記シールリングを前記マニホールドに対して昇降させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の液供給装置。
【請求項4】
前記シールリングに形成された前記液溝が、前記シールリングの周方向の一部のみに形成されているとき、前記シールリングを前記マニホールドに押し付ける力の周方向における分布を調整できる押し付け力調整機構を備え、前記液溝が形成されている部分と前記液溝が形成されていない部分における前記シールリングの前記マニホールドに対する密着力を均一化することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液供給装置。
【請求項5】
前記リング状部材の前記溝内に収容された前記シールリングの前記マニホールド側への変位を規制するためのシール固定部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液供給装置。
【請求項6】
前記リング状部材の前記溝と前記シールリングとの間に、前記液の漏出を防ぐためのシール部材を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の液供給装置。
【請求項7】
回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、前記回転体を回転させて前記容器を搬送しながら前記容器内に液を供給する液供給装置であって、
前記回転体と一体に回転し、それぞれの前記保持具に保持された前記容器に前記液を供給するためのノズルおよび前記ノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、
周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、
前記リング状部材の前記溝に収容され、上部が前記リング状部材よりも上方に突出して前記リング状部材と前記マニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、前記マニホールドに設けられた前記ポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、前記シール壁の内側に外部から供給された前記液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、
前記液供給装置の起動時に、前記シールリングの前記マニホールドに対する接触部分を前記液で濡らすため、前記シールリングと前記マニホールドの隙間から前記液を外部に流出させるブローアウト溝と、
を備えることを特徴とする液供給装置。
【請求項8】
回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、前記回転体を回転させて前記容器を搬送しながら前記容器内に液を供給する液供給装置であって、
前記回転体と一体に回転し、それぞれの前記保持具に保持された前記容器に前記液を供給するためのノズルおよび前記ノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、
周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、
前記リング状部材の前記溝に収容され、上部が前記リング状部材よりも上方に突出して前記リング状部材と前記マニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、前記マニホールドに設けられた前記ポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、前記シール壁の内側に外部から供給された前記液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、
前記リング状部材の前記溝内に収容された前記シールリングの前記マニホールド側への変位を規制するためのシール固定部材と、
を備えることを特徴とする液供給装置。
【請求項9】
前記リング状部材の前記溝と前記シールリングとの間に、前記液の漏出を防ぐためのシール部材を備えることを特徴とする請求項8に記載の液供給装置。
【請求項10】
回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、前記回転体を回転させて前記容器を搬送しながら前記容器内に液を供給する液供給装置であって、
前記回転体と一体に回転し、それぞれの前記保持具に保持された前記容器に前記液を供給するためのノズルおよび前記ノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、
周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、
前記リング状部材の前記溝に収容され、上部が前記リング状部材よりも上方に突出して前記リング状部材と前記マニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、前記マニホールドに設けられた前記ポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、前記シール壁の内側に外部から供給された前記液が満たされる液溝が周方向の一部のみに形成されたシールリングと、
前記シールリングの前記液溝が形成されている部分と前記液溝が形成されていない部分における、前記シールリングの前記マニホールドに対する押し付け力を均一化するための押し付け力調整機構が備えられていることを特徴とする液供給装置。
【請求項11】
前記リング状部材を前記マニホールド側に付勢する付勢部材が、前記リング状部材の周方向に間隔を隔てて複数設けられるとともに、
前記押し付け力調整機構として、前記付勢部材のそれぞれにおける付勢力が独立して調整可能とされていることを特徴とする請求項10に記載の液供給装置。
【請求項12】
回転体の周方向に複数備えた保持具のそれぞれで容器を保持し、前記回転体を回転させて前記容器を搬送しながら前記容器内に液を供給する液供給装置の起動方法であって、
前記回転体と一体に回転し、それぞれの前記保持具に保持された前記容器に前記液を供給するためのノズルおよび前記ノズルに連続したポートを周方向に複数備えた円盤状のマニホールドと、
周方向に連続した溝を備えたリング状部材と、
前記リング状部材の前記溝に収容され、上部が前記リング状部材よりも上方に突出して前記リング状部材と前記マニホールドとの間に挟みこまれるように設けられるとともに、前記マニホールドに設けられた前記ポートの内周側と外周側とにおいてそれぞれ周方向に連続するように設けられたシール壁を有し、前記シール壁の内側に外部から供給された前記液が満たされる液溝が形成されたシールリングと、を備えた前記液供給装置を起動するとき、
前記シールリングを前記マニホールドから離間させるステップと、
前記シールリングの前記液溝に前記液を供給し、前記液溝から前記液を溢れさせるステップと、
前記シールリングを前記マニホールドに密着させ、前記液溝から前記ポートに前記液を送り込み、前記ノズルから前記容器内への前記液の供給を開始するステップと、
を含むことを特徴とする液供給装置の起動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−100130(P2008−100130A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282555(P2006−282555)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】
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