説明

液冷抵抗装置

【課題】抵抗器からの放熱の効率及び効果が向上させた液冷抵抗装置を提供する。
【解決手段】液体入口4と、液体出口5と、同液体入口4及び液体出口5の間に位置する内部液体流路6を備える空隙と、を有するブロック3を備える液冷抵抗装置1。空隙は、熱伝導性及び電気絶縁性を有する平坦層7により閉鎖される開放辺を有し、平坦層7は同平坦層7の主平面と平坦状の抵抗器2の主平面とが互いに平行であるように同平坦状の抵抗器2を支持する。液冷抵抗装置1は、電気絶縁性の遮断板をさらに備える。遮断板は、平坦層7上に抵抗器2を設置すべく抵抗器2に対向する状態にてブロック3に対して堅固に固定可能である。空隙は、抵抗器2に向かって平坦層7を加圧するように構成された弾性加圧手段を収容している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液冷抵抗装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来周知である液冷抵抗装置は様々な用途に用いられている。用途の一例としては、発電機としても機能し得るインバータ駆動電気モータを用いて行う、装置の回生制動が挙げられる。
【0003】
特許文献1は、電気自動車用の液冷抵抗装置を開示している。この装置においては、電気的に絶縁された2つの液冷ブロックの間に平坦状の抵抗器が配置されている。この抵抗器は、単に2つのブロックの堅固な連結によって所定の位置に保持されている。特許文献2は、電気自動車用の液冷ブレーキ抵抗装置を開示している。この装置においては、電気絶縁性の液冷ブロックと、遮断板又は別の液冷ブロックとの間に平坦状の抵抗器が配置されている。この抵抗器は、ブロックと遮断板の堅固な連結、もしくは2つのブロックの堅固な連結、及び膨張ガイド手段により所定の位置に保持される。膨張ガイド手段は、抵抗器の膨張をその主平面のみに制限すべく抵抗器の少なくとも一部を包囲しているものである。
【0004】
従来装置の短所のひとつは、抵抗器とブロックの接触面、もしくは抵抗器と絶縁層の接触面における熱接触抵抗により、熱伝導の効率及び効果が制限されることである。さらに、冷却液に対してブロックの熱容量が低いため、抵抗器からの全体的な放熱率が制限される。
【0005】
インバータ駆動電気モータを制御する装置に使用する場合、必要とされる高い程度の放熱を実現するためには比較的大型の抵抗器及び液冷ブロックが必要となる。このため、実施において装置が大型化するとともに重量が増す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許発明第3933956号明細書
【特許文献2】英国特許第2478547号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術課題は、従来技術の技術的な欠点を解消する液冷抵抗装置を抵抗することである。
この技術課題の範囲において、本発明の目的は、抵抗器からの放熱の効率及び効果が向上されている液冷抵抗装置を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、小型かつ軽量の液冷抵抗装置を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、安全で経済的な液冷抵抗装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の技術課題、上記の目的、及び他の目的は、請求項1に記載の液冷抵抗装置により達成される。
熱伝導性及び電気絶縁性の平坦層を抵抗器に向かって加圧する弾性加圧手段を設けることにより、抵抗器と平坦層の間の熱伝導が向上する。さらに、ブロックの空隙を平坦層により閉鎖すること、及び空隙に弾性加圧手段を配置することにより、平坦層から液体への熱伝導が向上する。全体的な熱伝導の効率及び効果が高くなることにより、本発明による装置は従来の装置に比べて小型化及び軽量化されている。
【0010】
さらに、弾性加圧手段を設けることにより、抵抗器の平面に直交する方向において装置の剛性が増加する。その結果、自動車及び車両の固有振動数を実質的に上回ることになるため、使用において装置の耐振動性及び耐衝撃性が向上する。
【0011】
本発明の他の特徴は特許請求の範囲にさらに定義する。本発明の他の特徴及び効果は、添付の例示的な図面を参照して、以下に記載する本発明による液冷抵抗装置の好適な実施形態の説明により明らかとなるであろう。なお、以下に記載する好適な実施形態は本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示す分解図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図に示すように、液冷抵抗装置1は抵抗器2を有する。好適には、抵抗器2は、平坦な格子状の電気抵抗材である。好適には、抵抗器2は端子を介して電源回路に接続される。端子は、抵抗器2の一部であってもよいし、抵抗器2に接続されていてもよい。
【0014】
抵抗器2は、熱伝導性及び電気絶縁性である平坦層7の上に、抵抗器2及び平坦層7の主平面が互いに平行となるように配置される。平坦層7は好適には窒化アルミニウムセラミックスから形成され、剛性シートを含む。
【0015】
少なくとも1つのブロック3が配されるが、このブロック3は好適には電気的絶縁性及び熱的絶縁性を有する材料により形成される。特に好適には、ブロック3は、型成形された熱硬化プラスチックである。ブロック3は液体入口4及び液体出口5を有する。好適には、入口4及び出口5は互いに平行に配置され、ブロックの幅に応じて配置される。ブロックは、入口4及び出口5の間の液体流路6を含む空隙をさらに有する。この空隙は、ブロック3の、抵抗器2に対向する面に形成することができ、このように構成することにより、熱伝導性及び電気絶縁性の平坦層7により閉じることができる開放辺を空隙が有することなる。
【0016】
好適には、空隙は周囲肩部を有し、平坦層7がこの周囲肩部上に配置される。このように構成することにより、液体流路6が閉じ、液体が抵抗器2に接触することがない。
好適には、エネルギー放散を最大にするために、流路6が抵抗器2の最大面積と同じ占有面積を有する。冷却用の液体としては水を用いることができる。好適には、流路全体において乱流を維持できる速さの流速にて、水が流路6に導入される。
【0017】
好適には、空隙内にて液体流路6を区画する隔壁の最高部は平坦層7から離間され、最高部の上に小さなバイパス流路が設けられる。このように構成することにより、抵抗器2が配置される部分の平坦層7において、乾燥する領域が発生することがない。その結果、装置の熱伝導及び整合性を損なう虞のある高温領域の発生が防止される。
【0018】
電気絶縁性の遮断板が設けられ、抵抗器2が遮断板及び平坦層7の間に配置された状態にて、遮断板がブロック3に対して固定される。好適には、図1に示すように、遮断板が別のブロック3であり、熱伝導性及び電気絶縁性を有する別の平坦層7が、抵抗器2及び別のブロック3の間に配置される。好適には、2つのブロック3は固定リベット9を用いて互いに固定される。
【0019】
弾性加圧手段が、ブロック3と熱伝導性及び電気絶縁性の平坦層7との間に配置され、抵抗器2に向かう力を平坦層7に付与する。弾性加圧手段はブロック3の空隙内に収容される。好適には、弾性加圧手段が、平坦層7と抵抗器2の接触面においてほぼ均等な接触圧がかかるように抵抗器2に向かって平坦層7に力を加えるべく構成される。本装置の一実施形態において、弾性手段は、ブロック3内部の液体流路6内に配置された複数のばね8である。
【0020】
図1に示すように抵抗器2の両側にブロック3が配置される場合、各平坦層7の全面にわたって配分された力を供するようにばね8が構成される。このため、抵抗器2と各平坦層7との間の接触が密にされる。ブロック3の内部液体流路6にばねを配置することにより、抵抗器2と平坦層7の間の熱伝導が向上されるだけでなく、液流における乱流が増加する。その結果、平坦層7から液体への熱伝導も向上する。さらに、ばねを配置することにより内部液体流路6の断面積が減少するため、液流の速度が増加する。その結果、必要とされる体積流量を増加させることなく、平坦層7から液体への熱伝導率を増加させることができる。
【0021】
弾性加圧手段を配置することにより、抵抗器2からの熱伝導を全体で200〜300%増加させることができる。このため、装置を従来のものよりも小型及び軽量にすることができる。ブロック3に熱硬化プラスチックを用いることにより、装置をさらにコンパクト化及び軽量化することが可能となる。
【0022】
また、装置は、抵抗器2のフィン間に配置される膨張ガイド手段(図示しない)を備えていてもよい。膨張ガイド手段は、フィン同士が接触して短絡が発生することを防止するために、抵抗器の膨張をその主平面に制限するものである。好適には、膨張ガイド手段は、少なくとも1つのマイカ紙片を含む。このマイカ紙片の厚さは抵抗器2の厚さを超えないため、抵抗器2と平坦層7の接触が阻害されない。
【0023】
本発明による液冷抵抗装置は、本発明の趣旨を逸脱すること無く様々に変形することができる。また、詳細な部分は、技術的に同等の他の要素に置き換えてもよい。
実施時においては、用途及び実施時の技術水準に応じて、いかなる材料及び寸法を採用してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体入口(4)と、液体出口(5)と、同液体入口(4)及び液体出口(5)の間に位置する内部液体流路(6)を備える空隙と、を有するブロック(3)を備え、
前記空隙は、熱伝導性及び電気絶縁性を有する平坦層(7)により閉鎖される開放辺を有し、
前記平坦層(7)は同平坦層(7)の主平面と平坦状の抵抗器(2)の主平面とが互いに平行であるように同平坦状の抵抗器(2)を支持し、
電気絶縁性の遮断板をさらに備え、
前記遮断板が、前記平坦層(7)上に前記抵抗器(2)を設置すべく抵抗器(2)に対向する状態にて前記ブロック(3)に対して堅固に固定可能であり、
前記空隙が、前記抵抗器(2)に向かって前記平坦層(7)を加圧するように構成された弾性加圧手段を収容する液冷抵抗装置(1)。
【請求項2】
前記弾性加圧手段が、前記平坦層(7)と前記抵抗器(2)とが接触する領域において均等な接触圧を供するよう前記抵抗器(2)に向かって前記平坦層(7)を加圧するように構成される請求項1に記載の液冷抵抗装置(1)。
【請求項3】
前記弾性加圧手段が、前記ブロック(3)の前記内部液体流路(6)に位置する複数のばね(8)を含む請求項1又は2に記載の液冷抵抗装置(1)。
【請求項4】
前記複数のばね(8)のそれぞれが、ばね(8)の軸線が前記内部液体流路(6)に対して直交するように配置される請求項3に記載の液冷抵抗装置(1)。
【請求項5】
前記複数のばね(8)がステンレス鋼から形成される請求項3又は4に記載の液冷抵抗装置(1)。
【請求項6】
前記電気絶縁性の遮断板が別のブロック(3)を備え、
前記別のブロック(3)が、
同別のブロック(3)及び前記抵抗器(2)の間に位置するとともに熱伝導性及び電気絶縁性を有する別の平坦層(7)と、
前記別のブロック(3)の空隙に収容されるとともに前記抵抗器(2)に向かって前記別の平坦層(7)を加圧するように構成された弾性加圧手段と、を有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液冷抵抗装置(1)。
【請求項7】
前記ブロック(3)が電気絶縁性及び熱絶縁性を有する材料から形成される請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液冷抵抗装置(1)。
【請求項8】
前記ブロック(3)が熱硬化プラスチックから形成される請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液冷抵抗装置(1)。
【請求項9】
前記平坦層(7)が窒化アルミニウムセラミックスから形成される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液冷抵抗装置(1)。
【請求項10】
前記抵抗器(2)のフィンの間に配置された膨張ガイド手段を備える請求項1乃至9のいずれか一項に記載の液冷抵抗装置(1)。
【請求項11】
前記膨張ガイド手段が少なくとも1つのマイカ紙片を有する請求項10に記載の液冷抵抗装置(1)。

【図1】
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【公開番号】特開2013−106046(P2013−106046A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−249386(P2012−249386)
【出願日】平成24年11月13日(2012.11.13)
【出願人】(512293792)クレサル レジスターズ リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CRESSAL RESISTORS LIMITED
【Fターム(参考)】