説明

液処理装置、液処理方法

【課題】液処理の工程に応じて基板の上方における気流の状態を最適化可能な液処理装置、および液処理方法を提供すること。
【解決手段】基板Wを液処理する液処理装置1において、基板Wを水平に支持し、回転可能な支持部材10と、支持部材10の外周部13との間に環状間隙GPを形成する間隙形成部材20と、基板Wに上方から処理液を供給する液供給部材30と、環状間隙GPを取り囲み、環状間隙GPを介して、回転する基板Wから振り切られる処理液を回収するカップ40と、間隙形成部材20を昇降させる昇降機構122とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を液処理する液処理装置、液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造工程において、半導体ウエハやガラス基板などの基板を液処理する液処理装置が使用されている。液処理装置としては、基板を水平に支持して回転させ、回転する基板に処理液を供給するものがある。
【0003】
この液処理装置は、基板を回転させることにより、基板上に供給した処理液を外側に広げて液膜を形成し、処理液を基板の外方に離脱させる。回転する基板から遠心力で振り切られた処理液は、カップ内に回収される。
【0004】
ところで、基板を回転させた状態で、基板表面に処理液を供給すると、基板の上方に処理液のミストや蒸気が飛散する。飛散したミストや蒸気は、再度基板上に付着し、基板にパーティクルが発生する原因となる。
【0005】
そこで、カップ内を排気することで、基板の上方からカップに向かう気流を形成し、基板の上方におけるミストや蒸気の発生を抑制する液処理装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−38083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基板の上方における気流の最適な状態は、液処理の工程毎に異なる。例えば、基板の液処理においては、基板に処理液を供給する各種の処理液供給工程と、基板を高速回転させて基板から処理液を遠心力で振り切る乾燥工程とがあるが、各種の処理液供給工程と乾燥工程では、基板の上方における気流の最適な状態が異なる。
【0008】
しかしながら、従来の構成では、液処理の工程毎に、基板の上方における気流の状態を最適化するため、条件を変えることが困難であった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、液処理の工程に応じて基板の上方における気流の状態を最適化可能な液処理装置、および液処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、
基板を液処理する液処理装置において、
前記基板を水平に支持し、回転可能な支持部材と、
該支持部材を回転させる回転機構と、
前記支持部材により支持される前記基板に上方から処理液を供給する液供給部材と、
前記支持部材の上方に配置され、前記支持部材と一体的に回転可能に連結され、前記支持部材の外周部との間に環状間隙を形成する間隙形成部材と、
前記環状間隙を介して、前記回転する基板から振り切られる処理液を回収するカップと、
前記間隙形成部材を昇降させる昇降機構とを有する液処理装置を提供する。
【0011】
また、本発明の第2の態様は、
基板を液処理する液処理方法において、
前記基板を支持部材により水平に支持する工程と、
前記支持部材、前記支持部材に支持される前記基板、および前記支持部材の外周部との間に環状間隙を形成する間隙形成部材を一体的に回転させる工程と、
前記回転する基板の上方に配置される液供給部材から、前記基板に処理液を供給する工程と、
前記環状間隙を介して、前記回転する基板から振り切られる処理液をカップに回収すると共に、前記カップ内を排気する工程と、
前記間隙形成部材を前記支持部材に対して相対的に上昇または下降させることにより、前記環状間隙を調節する工程とを有する液処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液処理の工程に応じて基板の上方における気流の状態を最適化可能な液処理装置、および液処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による液処理装置を含む基板処理装置を示す上面図
【図2】本発明の一実施形態による液処理装置を示す断面図
【図3】図2の要部を示す断面図
【図4】ウエハ支持部材10と、カバー20の連結ピン26との位置関係を示す上面図
【図5】第1変形例による液処理装置の要部を示す断面図
【図6】第2変形例による液処理装置の環状間隙を拡大して示す断面図
【図7】第3変形例による液処理装置の要部を示す断面図
【図8】液供給部材30Cを示す上面図
【図9】第4変形例による液処理装置を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一のまたは対応する構成については同一のまたは対応する符号を付して説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態による液処理装置を含む基板処理装置を示す上面図である。
【0016】
基板処理装置100は、複数のウエハWを収容する複数の(図1では、4つの)ウエハキャリアCが載置されるキャリアステーションS1と、キャリアステーションS1と後述の液処理ステーションS3との間でウエハWを受け渡す搬出入ステーションS2と、本発明の一実施形態による液処理装置1が配置される液処理ステーションS3とを備える。
【0017】
搬出入ステーションS2には、ウエハキャリアCからウエハWを搬出してステージ101に載置し、また、ステージ101のウエハWを取り上げてウエハキャリアCへ搬入する搬送機構102を有している。搬送機構102は、ウエハWを保持する保持アーム103を有している。搬送機構102は、ウエハキャリアCの配列方向(図中のX方向)に延びるガイド104に沿って保持アーム103を移動することができる。また、搬送機構102は、X方向に垂直な方向(図中のY方向)および上下方向に保持アーム103を移動させることができ、水平面内で保持アーム103を回転させることができる。
【0018】
液処理ステーションS3は、Y方向に延びる搬送室105と、搬送室105の両側に設けられた複数の液処理装置1とを有している。搬送室105には、搬送機構106が設けられ、搬送機構106は、ウエハWを保持する保持アーム107を有している。搬送機構106は、搬送室105に設けられY方向に延びるガイド108に沿って保持アーム107を移動することがでる。また、搬送機構106は、保持アーム107をX方向に移動することができ、水平面内で回転させることができる。搬送機構106は、搬出入ステーションS2の受け渡しステージ101と各液処理装置1との間でウエハWを搬送する。
【0019】
上記構成の基板処理装置100においては、キャリアステーションS1に載置されるウエハキャリアCから搬送機構102によってウエハWが取り出されてステージ101に載置される。ステージ101上のウエハWは、液処理ステーションS3内の搬送機構106により液処理装置1に搬入され、ウエハWの表面が液処理される。液処理後に、ウエハWは、搬入時と逆の経路(手順)によりウエハキャリアCへ戻される。また、一のウエハWが液処理される間に、他のウエハWが他の液処理装置1へ順次搬送され、他のウエハWに対して液処理が行われる。このため、高いスループットで、ウエハWを液処理することができる。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態による液処理装置を示す断面図である。図3は、図2の要部を示す断面図である。図4は、ウエハ支持部材10と、カバー20の連結ピン26との位置関係を示す上面図である。
【0021】
液処理装置1は、ウエハWを水平に支持するウエハ支持部材10と、ウエハ支持部材10を回転させるモータMと、ウエハ支持部材10と一体的に回転可能に連結され、ウエハ支持部材10と共にウエハWを液処理するための処理室Sを形成するカバー20とを有する。また、液処理装置1は、処理室S内においてウエハWに上方から処理液を供給する液供給部材30と、ウエハ支持部材10の外周部13とカバー20の外周部23との間に形成される環状間隙GPを取り囲むカップ40とを備える。カップ40内は、例えば工場側の設備として設けられる排気機構Eによって排気される。排気機構Eが液処理装置1から排気する気体の流量は一定である。
【0022】
この液処理装置1では、ウエハ支持部材10およびカバー20が処理室Sを形成した状態で、モータMがウエハ支持部材10、ひいては、カバー20やウエハWを回転させる。液供給部材30は、回転するウエハWに上方から処理液を供給する。回転するウエハWに供給された処理液は、遠心力でウエハWの外方に振り切られ、環状間隙GPを通って、カップ40内に回収される。このとき、排気機構Eがカップ40内を排気することで、環状間隙GPを介して、処理室S内のウエハWの上方空間からカップ40に向かう気流を形成する。この気流は、処理液をカップ40へ搬送する役割を果たす。以下、液処理装置1の各構成について説明する。
【0023】
ウエハ支持部材10は、ウエハWを水平に支持し、ウエハWと共に回転可能なものである。ウエハ支持部材10は、水平に配置される板形状のプレート部11と、プレート部11の下面側に取り付けられる回転軸部12と、プレート部11の外縁から上方に延びる筒形状の外周部13とを有している。外周部13は、例えば円筒形状に形成されており、ウエハWの外径よりも僅かに大きい内径を有する。
【0024】
図4に示すように、ウエハ支持部材10の外周部13には、内方に延びる爪部14が設けられている。爪部14は外周部13の内縁に沿って間隔をおいて複数(図4では12個)設けられている。爪部14はウエハWの下面周縁部に接して、ウエハWを水平に支持する。爪部14に支持されるウエハWの上面と、外周部13の上面とは略同一平面上に位置している。
【0025】
図3に示すように、ウエハ支持部材10の外周部13の側部からは、気流を案内するガイド部15が外側斜め下方に伸びている。ガイド部15は略円環形状を有し、ガイド部15には、切り欠き16が間隔をおいて複数(図4では6個)設けられている。切り欠き16に後述するカバー20の連結ピン26が挿入されると、カバー20とウエハ支持部材10が一体的に回転可能となる。
【0026】
カバー20は、図2に示すように、ウエハ支持部材10に一体的に回転可能に連結され、ウエハ支持部材10の上方を覆い、ウエハ支持部材10と共にウエハWを液処理するための処理室Sを形成する。処理室Sは略密閉されるので、液処理を安定して行うことができる。また、処理室Sの壁面を構成するウエハ支持部材10およびカバー20が、ウエハWと一体的に回転するので、ウエハWから飛散した処理液が、処理室Sの壁面で跳ね返り難い。
【0027】
カバー20は、処理室S内に気体を流入させる開口部24を有する環形状のプレート部21と、開口部24の外周部(プレート部21の内周部)から上方に延びる筒形状のダクト部22と、プレート部21の外縁から下方に延びる筒形状の外周部23とを有している。外周部23には、複数の切り欠き16に挿抜可能な複数の連結ピン26が固定されている。連結ピン26は、切り欠き16に対応する位置で、後述のガイド部25に取り付けられている。
【0028】
カバー20のダクト部22は円筒形状を有し、ダクト部22の上方には、ファンフィルターユニット(FFU)などの気体供給機構Fが設けられている。気体供給機構Fによって液処理装置1に供給される気体の流量は一定であって、排気機構Eによって液処理装置1から排出される気体の流量と略同じである。本実施形態では、このように、液処理装置1に対する気体の流出入量を一定としたうえで、処理室S内で液処理されるウエハWの上方における気流の状態(流量、流速などを含む)を最適化する。
【0029】
気体供給機構Fにおいて不純物を除去した気体は、ダクト部22内においてダウンフローとなり、水平に配置されるプレート部21の開口部24から処理室Sに流入し、図3に示すように、ウエハWの上方を通り、後述の環状間隙GPを介して、処理室Sから外部に流出する。処理室Sへ流入する気体の流量は、主に、環状間隙GPを介して、処理室Sから流出する気体の流量などで決まり、環状間隙GPの大きさなどで決まる。
【0030】
カバー20の外周部23は、例えば筒形状に形成されており、ウエハWの外径よりも僅かに大きい内径を有する。外周部23は、ウエハ支持部材10の外周部13との間に、環状間隙GPを形成する。環状間隙GPは、ウエハ支持部材10に支持されるウエハWの外周に沿う形状を有している。
【0031】
図3に示すように、カバー20の外周部23の側部からは、気流を案内するガイド部25が外側斜め下方に延びている。ガイド部25と、ウエハ支持部材10のガイド部15とにより、環状間隙GPを通る気流が外側斜め下方に案内される。
【0032】
図2に示すように、カバー20は、カバー支持部材121を介して、カバー昇降機構122に接続されており、カバー昇降機構122によって上下に移動可能である。カバー20は、液処理装置1にウエハWが搬入されるとき、カバー昇降機構122によって待機位置まで上昇され、連結ピン26が切り欠き16から抜け出る。ウエハ支持部材10によりウエハWが支持されると、カバー昇降機構122によってカバー20が下降し、連結ピン26が切り欠き16に挿入され、ウエハ支持部材10とカバー20が一体的に回転可能に連結される。
【0033】
カバー昇降機構122は、カバー20とウエハ支持部材10とが一体的に回転可能に連結され処理室Sを形成した状態で、環状間隙GPを調節する役割を果たす。カバー昇降機構122がカバー20を上方に移動させると、カバー20がウエハ支持部材10に対して離間し、環状間隙GPが広がる。一方、カバー昇降機構122がカバー20を下方に移動させると、カバー20がウエハ支持部材10に対して接近し、環状間隙GPが狭くなる。環状間隙GPを調節することで、環状間隙GPを介して、処理室Sから外部へ流出する気流の状態(流速、流量などを含む)を調節することができる。
【0034】
モータMは、ウエハ支持部材10の回転軸部12を回転可能に保持している。モータMが作動すると、ウエハ支持部材10、ウエハ支持部材10に支持されるウエハW、およびウエハ支持部材10に連結されるカバー20が一体的に回転する。
【0035】
液供給部材30は、処理室S内において、ウエハ支持部10により支持されるウエハWの上方に配置され、ウエハWに上方から処理液を供給する。液供給部材30は、図3に示すように、円形状の開口部24の直径よりも大きい直径の円板形状の本体部31を有している。本体部31は、ダクト部22(開口部24)に対し対向配置され、開口部24から処理室Sに流入する気流がウエハW上に形成される処理液の液膜を乱さないように、気流の向きを変える役割を果たす。
【0036】
液供給部材30は、図2に示すように、バルブV1、V2が途中に設けられる配管P1を介し、液供給源S1、S2と接続されている。液供給源S1は薬液を供給するものであり、液供給源S2は薬液を洗い流すリンス液を供給するものである。薬液と、リンス液とは、切り替え可能に、ノズル32(図3参照)からウエハWに向けて供給される。
【0037】
ウエハWの洗浄処理においては、薬液として、例えばSPM(HSO+H)、SC1(NHOH+H+HO)、SC2(HCl+H+HO)、またはDHF(希フッ酸)などが用いられる。複数種類の薬液が用いられてもよく、複数の液供給源S1が設けられてもよい。リンス液としては、例えば脱イオン水(DIW)などが用いられる。
【0038】
エッチング処理においては、フッ酸(HF)、バッファードフッ酸(BHF)、または硝酸(HNO)などを処理液として使用しても良い。
【0039】
なお、現像処理においては、薬液として、現像液が用いられる。
【0040】
ノズル32は、本体部31から下方に突出していてもよいし、本体部31の内部に埋設されていてもよい。ノズル32は、ウエハ支持部材10により支持されるウエハWに向けて開口しており、ウエハWの上面に薬液またはリンス液を供給する。ノズル32は、ウエハWの径方向に沿って間隔をおいて複数設置される(図3には、2つのみ図示)。ノズル32の設置数は1つでもよい。
【0041】
ノズル32の設置数に関係なく、1つのノズル32は、ウエハWの中央部に向けて開口しており、ウエハWの中央部に薬液またはリンス液を供給する。ウエハWの中央部に供給された処理液は外側に広がり液膜を形成する。
【0042】
液供給源S1と、液供給部材30とを接続する配管P1の出口付近には、薬液の処理能力を高めるため、薬液を所定の温度に加熱する加熱装置Hが設けられている。加熱装置Hは、液供給源S1に設置されてもよい。
【0043】
また、液供給部材30は、バルブV3が途中に設けられる配管P3を介し、液供給源S3と接続されている。液供給源S3は、リンス液の乾燥溶媒として、例えばイソプロピルアルコール(IPA)などのアルコールを液供給部材30に供給する。乾燥溶媒は、液供給部材30のノズル33(図3参照)からウエハWに向けて供給される。
【0044】
ノズル33は、本体部31から下方に突出していてもよいし、本体部31の内部に埋設されていてもよい。ノズル33は、ウエハ支持部材10により支持されるウエハWに向けて開口しており、ウエハWの上面に乾燥溶媒を供給する。ノズル33は、ウエハWの径方向に沿って間隔をおいて複数設置されている(図3には、2つのみ図示)。ノズル33の設置数は1つでもよい。
【0045】
ノズル33の設置数に関係なく、1つのノズル33は、ウエハWの中央部に向けて開口しており、ウエハWの中央部に乾燥溶媒を供給する。ウエハWの中央部に供給された処理液は外側に広がり液膜を形成する。
【0046】
液供給部材30は、支持部材131を介して、液供給部材昇降機構132に接続されており、液供給部材昇降機構132によって上下に移動可能である。液供給部材30は、液処理装置1にウエハWが搬入、搬出されるとき、液供給部材昇降機構132によって待機位置まで上昇され、ウエハ支持部材10によりウエハWが支持された後、液供給部材昇降機構132によって下降し、ウエハWに処理液を供給する位置で停止する。
【0047】
液供給部材昇降機構132は、ウエハ支持部材10とカバー20とが処理室Sを形成した状態で、液供給部材30を上昇または下降させて、カバー20のプレート部21に対し接近または離間させる。よって、プレート部21の開口部24から処理室Sに流入する気流の状態(流量、流速、向き)を調節することができる。
【0048】
液供給部材30からウエハWに供給された処理液は、遠心力でウエハWの外方に振り切られ、環状間隙GPを通る気流と共にカップ40へ回収される。なお、ウエハ支持部材10のプレート部11に落下した処理液は、ウエハ支持部材10の外周部13に形成された流出口17(図3参照)から遠心力で流出し、カップ40へ回収される。
【0049】
カップ40は、円環形状のプレート部41と、プレート部41の内縁から上方に延びる円筒形状の内壁部42と、プレート部41の外縁から上方に延びる円筒形状の外壁部43とを有している。外壁部43は環状間隙GPを取り囲んでおり、外壁部43の上端部からは円環形状の庇部44が内側斜め上方に延びている。
【0050】
カップ40は、処理液を気流の流れから分離するため、カップ40内の下部空間を外側環状空間45と内側環状空間46とに区画する円筒形状の仕切り部47を有している。外側環状空間45には、処理液を外部に排出する排液管48が接続されている。内側環状空間46には、排気管49を介して、排気機構Eが接続されている。
【0051】
排気機構Eは、真空ポンプなどで構成され、カップ40内を排気することで、環状間隙GPを介して、処理室S内のウエハWの上方空間から、カップ40の外壁部43へ向かう気流を形成する。この気流は、回転するウエハWから振り切られる処理液をカップ40内へ回収する役割を果たす。
【0052】
液処理装置1の所定の装置(例えば、モータM、バルブV1〜V3、カバー昇降機構122、液供給部材昇降機構132)は、図2に示すように、液処理装置1の動作を制御する制御部60に、信号ラインを介して接続されている。制御部60は、CPU、記録媒体などを含むコンピュータとして構成されている。制御部60は、記録媒体に格納された各種プログラムをCPUに実行させることで、信号ラインを介して接続される装置を制御し、後述の液処理装置1の各種動作を実行させる。
【0053】
次に、上記構成の液処理装置の動作(液処理方法)について説明する。
【0054】
先ず、カバー昇降機構122がカバー20を待機位置まで上昇させると共に、液供給部材昇降機構132が液供給部材30を待機位置まで上昇させると、図1に示す搬送機構106の保持アーム107により保持されたウエハWが液処理装置1に搬入される。ウエハWがウエハ支持部材10に受け渡され、保持アーム107が液処理装置1から退出すると、液供給部材昇降機構132によって液供給部材30がウエハWの上面近傍の位置まで下降される。また、カバー昇降機構122によってカバー20が下降し、カバー20の連結ピン26がウエハ支持部材10の切り欠き16に挿入され、カバー20とウエハ支持部材10が一体的に回転可能に連結される。カバー20は、ウエハ支持部材10の上方を覆い、ウエハ支持部材10と共にウエハWを液処理するための処理室Sを形成する。続いて、モータMがウエハ支持部材10、カバー20およびウエハWを一体的に回転させる。
【0055】
次いで、回転するウエハWの上面に液供給部材30から処理液が供給される。具体的には、例えば、液供給部材30のノズル32から薬液(例えば、SPM)がウエハWに所定時間供給される。続いて、薬液を洗い流すリンス液が、液供給部材30のノズル32からウエハWに所定時間供給される。次いで、液供給部材30のノズル33から乾燥溶媒(例えば、IPA)がウエハWの上面に向けて所定時間吐出される。乾燥溶媒の供給が停止された後、ウエハWが高速回転され、遠心力でリンス液が振り切られ、ウエハWの回転が停止される。
【0056】
ここで、回転するウエハWから振り切られた処理液は、ウエハ支持部材10の外周部13と、カバー20の外周部23との間に形成される環状間隙GPを介して、カップ40内に回収される。排気機構Eは、カップ40内を排気することにより、環状間隙GPを介して、処理室S内のウエハWの上方空間からカップ40へ向かう気流を形成する。この気流は、回転するウエハWから振り切られる処理液をカップ40へ回収する役割を果たす。
【0057】
最後に、ウエハWを液処理装置1に搬入したときと、逆の手順で、ウエハWが液処理装置1から搬出され、ウエハWの液処理が終了する。
【0058】
本実施形態では、ウエハ支持部材10およびカバー20がウエハWを液処理するための処理室Sを形成する。処理室Sは略密閉されているので、液処理を安定して行うことができる。また、処理室Sの壁面を構成するウエハ支持部材10およびカバー20が、ウエハWと一体的に回転するので、ウエハWから飛散した処理液が、処理室Sの壁面で跳ね返り難い。
【0059】
また、本実施形態では、ウエハWの液処理の工程に応じて、環状間隙GPを調節する。よって、環状間隙GPを介して、処理室Sから外部へ流出する気流の状態を最適化することができる。排気機構Eの排気量が一定の場合、環状間隙GPが広がるほど、環状間隙GPを通る気流の流量が増える。環状間隙GPの調節は、例えばカバー昇降機構122によるカバー20の上昇または下降で実現される。
【0060】
なお、本実施形態では、環状間隙GPの調節は、カバー20の上昇または下降により実現されるが、ウエハ支持部材10の下降または上昇により実現されてもよく、カバー20とウエハ支持部材10の両方の移動により実現されてもよい。
【0061】
さらに、本実施形態では、ウエハWの液処理の工程に応じて、液供給部材30と、カバー20とを接近または離間させ、液供給部材30の本体部31と、カバー20のプレート部21との間に形成される隙間OG(図2参照)を調節する。よって、プレート部21の開口部24から処理室Sへ流入する気流の状態を最適化することができる。処理室Sに流入する気流の流量が一定の場合(即ち、処理室Sから流出する気流の流量が一定の場合)、開口部24と液供給部材30とが接近するほど、即ち、隙間OGが狭くなるほど、気流が絞られるので、気流の流速が速くなる。開口部24と液供給部材30との接近または離間は、例えば液供給部材昇降機構132による液供給部材30の上昇または下降により実現される。
【0062】
次いで、隙間OG、環状間隙GPの調節例について説明する。ここでは、回転するウエハWに対し、薬液、リンス液、乾燥溶媒をこの順で供給し、その後、乾燥溶媒を振り切るため、ウエハWを高速回転させる場合について説明する。
【0063】
先ず、薬液であるSPMの供給工程では、SPMは他の薬液よりも高温で使用されるので、回転するウエハWの上方にヒュームが発生しやすい。そこで、発生したヒュームが開口部24から上方に逆流するのを防止するため、隙間OGが基準よりも狭く設定される。
【0064】
また、SPMの供給工程では、回転するウエハWの近傍で発生する旋回気流によって、SPMが冷却されないように、ウエハWを低速回転させる。この状態で、環状間隙GPから外部にヒュームを効率的に排出するため、環状間隙GPは基準よりも狭く設定される。環状間隙GPが狭くなると、環状間隙GPを通る気流の流速が速くなるので、環状間隙GPを介して処理室Sから外部に向かう気流の流れが安定化するからである。
【0065】
続く、リンス液の供給工程では、処理室S内の雰囲気を、薬液を含む雰囲気から、清浄な雰囲気に速やかに置換するため、隙間OGおよび環状間隙GPは基準のサイズに戻される。
【0066】
続く、乾燥溶媒であるIPAの供給工程では、IPAによるリンス液の置換効率を向上するため、処理室S内のIPA濃度を高めることが重要になる。そこで、隙間OGおよび環状間隙GPは、それぞれ、SPMの供給時よりもさらに狭く設定される。
【0067】
最後に、ウエハWを高速回転させ、乾燥させる工程では、処理室S内の雰囲気を速やかに置換するため、隙間OGおよび環状間隙GPは、それぞれ、基準のサイズに戻される。
【0068】
なお、薬液であるDHFの供給工程では、DHFによってウエハWの酸化膜が除去されウエハWが疎水化する。そのため、良好な液膜が形成されるように、ウエハWを高速回転させる必要があり、ウエハW近傍で発生する旋回気流が速くなる。高速の旋回気流を環状間隙GPから外部に排出させるため、環状間隙GPは基準の大きさに設定される。また、DHFの供給工程では、薬液が開口部24から上方に逆流しないように、隙間OGは基準よりも狭く設定される。
【0069】
このように、本実施形態によれば、ウエハWの処理液の工程に応じて、環状間隙GPおよび/または隙間OGを調節する。よって、処理室Sに流出入する気流の状態を最適化することができ、ウエハWの上方における気流の状態を最適化することができる。
【0070】
なお、環状間隙GP、隙間OGの調節は、ウエハWの回転中に実施されてもよいし、回転前に実施されてもよい。
【0071】
[第1変形例]
図5は、第1変形例による液処理装置の要部を示す断面図である。
【0072】
液処理装置1Aは、図5に示すように、環状間隙GPを上下に区画する環状の仕切り壁71Aを有する。仕切り壁71Aの外周部からは、気流を案内するガイド部73Aが処理室Sに対して外側斜め下方に延びている。
【0073】
また、液処理装置1Aは、仕切り壁71Aとウエハ支持部材10の外周部13とを連結する連結部材72Aを有する。連結部材72Aは、環状間隙GPの周方向に間隔をおいて複数設けられている。
【0074】
ウエハ支持部材10の外周部13と、仕切り壁71Aとの間には、処理室Sを外部と連通する間隙G1が形成されている。間隙G1を通る気流は、仕切り壁71Aのガイド部73Aと、ウエハ支持部材10のガイド部15とにより、処理室Sに対して外側斜め下方に案内される。
【0075】
また、カバー20の外周部23と、仕切り壁71Aとの間には、処理室Sを外部と連通する間隙G2が形成されている。間隙G2を通る気流は、仕切り壁71Aのガイド部73Aと、カバー20のガイド部25とにより、外側斜め下方に案内される。
【0076】
カバー20は、図2に示すように、カバー支持部材121を介して、カバー昇降機構122に接続されている。そのため、カバー昇降機構122によるカバー20の昇降によって、環状間隙GPのうち、上側の間隙G2を調節することが可能である。よって、環状間隙GPを介して、処理室S内のウエハWの上方空間からカップ40に向かう気流の状態を最適化することができる。
【0077】
また、本変形例では、環状間隙GPを調節する際に、下側の間隙G1が変化しないので、環状間隙GPを介して、所定量以上の気体や処理液を処理室Sから外に流出させることができる。
【0078】
なお、本変形例では、連結部材72Aが、仕切り壁71Aとウエハ支持部材10の外周部13とを連結するとしたが、仕切り壁71Aとカバー20の外周部23とを連結してもよい。この場合、カバー20の昇降によって、環状間隙GPのうち、下側の間隙G1が変化する。
【0079】
[第2変形例]
図6は、第2変形例による液処理装置の環状間隙を拡大して示す断面図である。
【0080】
液処理装置1Bは、第1変形例と同様に、環状間隙GPを上下に区画する環状の仕切り壁71Bを有する。仕切り壁71Bの外周部からは、気流を案内するガイド部73Bが処理室Sに対して外側斜め下方に延びている。
【0081】
また、液処理装置1Bは、第1変形例と同様に、仕切り壁71Bとウエハ支持部材10を連結する連結部材(不図示)を有する。連結部材は、環状間隙GPの周方向に間隔をおいて複数設けられている。
【0082】
第2変形例では、仕切り壁71Bと、カバー20Bの外周部23Bとが、間隙G1を流れる気流を絞るラビリンス構造を形成している。
【0083】
例えば、仕切り壁71Bの上面には、環状突起74Bが形成されており、外周部23Bの下面には、環状溝27Bが形成されている。環状突起74Bの先端部は、環状溝27B内に挿入されると共に、環状溝27Bの壁面から離間して、環状溝27Bと共にラビリンス構造を形成する。環状突起74Bおよび環状溝27Bは、それぞれ、同心円状に複数(図6では3つ)設けられている。
【0084】
ラビリンス構造は、間隙G1を流れる気流を絞るので、処理室Sから外部へ流出する気流の流出量が少ない液処理の工程、例えば処理室S内を窒素雰囲気として液処理する工程に有効である。
【0085】
なお、本変形例では、仕切り壁71Bと、カバー20Bの外周部23Bとがラビリンス構造を形成しているとしたが、仕切り壁71Bと、ウエハ支持部材10の外周部13とがラビリンス構造を形成していてもよい。また、ラビリンス構造を図2などに示す液処理装置1に示す環状間隙に適用してもよく、ウエハ支持部材10の外周部13と、カバー20の外周部23とがラビリンス構造を形成していてもよい。
【0086】
[第3変形例]
図7は、第3変形例による液処理装置の要部を示す断面図である。図8は、液供給部材30Cを示す上面図である。
【0087】
液処理装置1Cは、図2に示す液処理装置1と、液供給部材の構成が異なる。液供給部材30C以外の構成は同様であるので、説明を省略する。
【0088】
液供給部材30Cは、図7および図8に示すように、本体部31の外周面から延びる2つの延長部34C、35Cをさらに有している。延長部34C、35CはウエハWの径方向と平行に延びており、先端がウエハWの外縁部の上方に位置する。延長部34C、35Cには延びる方向に沿って間隔をおいて複数のノズル32、33が設けられている。よって、ウエハWの中心部から外縁部まで均一に処理液を供給することができる。
【0089】
[第4変形例]
図9は、第4変形例による液処理装置を示す断面図である。
【0090】
液処理装置1Dは、ウエハWを水平に支持し、ウエハWと共に回転可能なウエハ支持部材10Dと、ウエハ支持部材10Dと一体的に回転可能に連結され、ウエハ支持部材10Dの外周部10Daとの間に環状間隙GPDを形成する間隙形成部材20Dとを有する。
【0091】
この液処理装置1Dでは、モータMがウエハ支持部材10D、ひいては、間隙形成部材20DやウエハWを回転させる。液供給部材30は、回転するウエハWに上方から処理液を供給する。回転するウエハWに供給された処理液は、遠心力でウエハWの外方に振り切られ、環状間隙GPDを通って、カップ40内に回収される。このとき、排気機構50がカップ40内を排気することで、環状間隙GPDを介して、ウエハWの上方空間からカップ40に向かう気流を形成する。この気流は、処理液をカップ40へ搬送する役割を果たす。以下、液処理装置1Dの各構成について説明するが、ウエハ支持部材10Dおよび間隙形成部材20D以外の構成については図2と同様であるので、説明を省略する。
【0092】
ウエハ支持部材10Dは、ウエハWを水平に支持し、ウエハWと共に回転可能な部材である。ウエハ支持部材10Dは、水平に配置される板形状のプレート部11と、プレート部11の下面側に取り付けられる回転軸部12と、プレート部11の上面側に取付けられる爪部14Dとを有する。
【0093】
爪部14Dは、プレート部11から上方に延びており、先端部でウエハWの下面周縁部に接してウエハWを水平に支持する。爪部14Dの先端部には、ウエハWの厚さと略同じ高さの段差部が形成されており、高さの低い部分にウエハWの下面周縁部が接している。爪部14Dは、回転軸部12の軸線の延長線を中心とする周方向に沿って間隔をおいて複数設けられている。
【0094】
プレート部11の外周部には、回転軸部12と平行な連結孔16Dが、回転軸部12を中心とする周方向に間隔をおいて複数設けられている。複数の連結孔16Dには、間隙形成部材20Dの下面側に取り付けられる複数の連結ピン26Dが上下に移動可能に支持されており、ウエハ支持部材10Dと間隙形成部材20Dとが一体的に回転可能に連結されている。
【0095】
間隙形成部材20Dは、ウエハ支持部材10Dの上方に配置され、ウエハ支持部材10Dと一体的に回転可能に連結され、ウエハ支持部材10Dの外周部10Daとの間に環状間隙GPDを形成する部材である。
【0096】
間隙形成部材20Dは、ウエハ支持部材10Dにより支持されるウエハWの外周を取り囲むように環形状に形成されている。間隙形成部材20Dは、ウエハWの外径よりも僅かに大きい内径を有している。そのため、ウエハWの上面全体が上方に開放されており、ウエハWの上面全体に、ファンフィルターユニットなどの気体供給機構において不純物が除去された気体がダウンフローで供給される。
【0097】
間隙形成部材20Dは、外側に行くほど下方に向かうように傾斜しており、回転するウエハWから振り切られた処理液、および処理液を運ぶ気流を、斜め下方向に案内し、カップ40内に導く。
【0098】
間隙形成部材20Dは、間隙形成部材20Dを回転軸部12の延長線を中心に回転可能に支持する支持部材121Dを介して、昇降機構122に接続されており、昇降機構122によって上下に移動可能である。
【0099】
昇降機構122は、間隙形成部材20Dを上昇または下降させて、環状間隙GPDを調節する役割を果たす。昇降機構122が間隙形成部材20Dを上方に移動させると、環状間隙GPDが広がる。一方、昇降機構122が間隙形成部材20Dを下方に移動させると、環状間隙GPDが狭くなる。環状間隙GPDを調節することで、環状間隙GPDを介して、内側から外側へ流れる気流の状態(流速、流量などを含む)を調節することができる。
【0100】
従って、図2に示す液処理装置1と同様に、ウエハWの処理液の工程に応じて、環状間隙GPDを調節し、ウエハWの上方における気流の状態を最適化することができる。気流の状態の最適化は、ウエハWの回転中に実施されてもよいし、回転前に実施されてもよい。
【0101】
なお、液処理装置1Dは、第1変形例と同様に、環状間隙GPDを上下に区画する環状の仕切り壁を有してもよく、また、第2変形例と同様に、ラビリンス構造を有してもよい。
【0102】
以上、本発明の実施形態および変形例について説明したが、本発明は、上記の実施形態および変形例に制限されない。本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変形や置換が可能である。
【0103】
例えば、上記の液処理装置1〜1Dは、ウエハWの上面に処理液を供給して、ウエハWの上面を液処理する装置であるが、ウエハWの上面および下面のそれぞれに処理液を同時に供給して、ウエハWの上面および下面の両面を同時に液処理する装置であってもよい。
【0104】
また、ウエハWは半導体ウエハに限らず、例えばFPD用のガラス基板であってもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 液処理装置
10 ウエハ支持部材
13 外周部
20 カバー(間隙形成部材)
23 外周部
24 開口部
30 液供給部材
40 カップ
50 排気機構
71A 仕切り壁
72A 連結部材
122 カバー昇降機構
W ウエハ(基板)
M モータ(回転機構)
GP 環状間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を液処理する液処理装置において、
前記基板を水平に支持し、回転可能な支持部材と、
該支持部材を回転させる回転機構と、
前記支持部材により支持される前記基板に上方から処理液を供給する液供給部材と、
前記支持部材の上方に配置され、前記支持部材と一体的に回転可能に連結され、前記支持部材の外周部との間に環状間隙を形成する間隙形成部材と、
前記環状間隙を介して、前記回転する基板から振り切られる処理液を回収するカップと、
前記間隙形成部材を昇降させる昇降機構とを有する液処理装置。
【請求項2】
前記支持部材の外周部には、前記環状間隙を通り外方に流出する気流を案内するガイド部が設けられる請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記液供給部材は、複数種類の処理液を前記基板に順次供給し、
前記液処理装置は、前記昇降機構を制御する制御装置を有し、該制御装置は、前記処理液の種類に応じて、前記間隙形成部材を上昇または下降させることにより、前記環状間隙を調節する請求項1または2に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記液供給部材は、薬液、および該薬液を除去するためのリンス液を前記基板に順次供給し、
前記リンス液よりも高温の前記薬液が前記基板に供給されるときの前記環状間隙は、前記リンス液が前記基板に供給されるときの前記環状間隙よりも狭く設定される請求項3に記載の液処理装置。
【請求項5】
前記環状間隙を上下に区画する環状の仕切り壁と、
該仕切り壁と、前記支持部材の外周部または前記間隙形成部材とを連結する連結部材とをさらに有し、
前記仕切り壁と、前記支持部材の外周部または前記間隙形成部材との間には、気流を通過させる間隙が形成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項6】
基板を液処理する液処理方法において、
前記基板を支持部材により水平に支持する工程と、
前記支持部材、前記支持部材に支持される前記基板、および前記支持部材の外周部との間に環状間隙を形成する間隙形成部材を一体的に回転させる工程と、
前記回転する基板の上方に配置される液供給部材から、前記基板に処理液を供給する工程と、
前記環状間隙を介して、前記回転する基板から振り切られる処理液をカップに回収すると共に、前記カップ内を排気する工程と、
前記間隙形成部材を前記支持部材に対して相対的に上昇または下降させることにより、前記環状間隙を調節する工程とを有する液処理方法。
【請求項7】
前記支持部材の外周部には、前記環状間隙を通り外方に流出する気流を案内するガイド部が設けられる請求項6に記載の液処理方法。
【請求項8】
前記液供給部材は、複数種類の処理液を前記基板に順次供給し、
前記環状間隙は、前記処理液の種類に応じて調節される請求項6または7に記載の液処理方法。
【請求項9】
前記液供給部材は、薬液、および該薬液を除去するためのリンス液を前記基板に順次供給し、
前記リンス液よりも高温の前記薬液が前記基板に供給されるときの前記環状間隙は、前記リンス液が前記基板に供給されるときの前記環状間隙よりも狭く設定される請求項8に記載の液処理方法。
【請求項10】
前記環状間隙を上下に区画する環状の仕切り壁と、
該仕切り壁と、前記支持部材の外周部または前記間隙形成部材とを連結する連結部材とをさらに有し、
前記仕切り壁と、前記支持部材の外周部または前記間隙形成部材との間には、気流を通過させる間隙が形成されている請求項6〜9のいずれか一項に記載の液処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−244129(P2012−244129A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116216(P2011−116216)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】