説明

液処理装置および液処理方法

【課題】ノズル支持アームに複数設けられたノズルの全体の投影面積を小さくすること。
【解決手段】液処理装置は、基板(W)を保持する基板保持部と、基板保持部に保持された基板に流体を供給する複数のノズル(82a,82a’)と、複数のノズルを支持するノズル支持アーム(82)と、ノズル支持アームを当該ノズル支持アームの長手方向軸線周りに回転させる回転機構(86A)と、を備え、複数のノズルの吐出口(82a1,82a1’)は、ノズル支持アーム長手方向軸線周りの異なる周方向位置に配置され、ノズル支持アームの回転位相に依存して前記複数のノズルうちのいずれか一つの吐出口が基板保持部により保持された基板の方を向くように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に処理液を供給することにより基板の洗浄処理やエッチング処理、メッキ処理、現像処理、塗布処理等の液処理を行う液処理装置および液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体ウエハ等の基板(以下、ウエハともいう)を水平状態に保持した状態で回転させながら当該基板の表面や裏面に処理液を供給することにより基板の洗浄処理やエッチング処理、メッキ処理、現像処理、塗布処理等の液処理を行う液処理装置として、様々な種類のものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。特許文献1には、基板をスピンチャックにより水平に保持して回転させ、スピンチャックにより保持されて回転する基板の表面に処理液を供給するような、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の液処理装置が開示されている。また、このような枚葉式の液処理装置において、処理室の上方にFFU(ファンフィルタユニット)を設け、このFFUからNガス(窒素ガス)やクリーンエア等のガスをダウンフローで処理室内に送るような技術が知られている。
【0003】
処理室の上方にFFUが設けられた液処理装置の構成について図14および図15を用いて説明する。図14は、従来の液処理装置の概略的な構成を示す側面図であり、図15は、図14に示す従来の液処理装置の上面図である。従来の液処理装置200は、ウエハWが収容され、この収容されたウエハWの液処理が行われる処理室(チャンバー)210を備えている。処理室210内には、ウエハWを保持して回転させるための保持部220が設けられており、この保持部220の周囲にはカップ230が配設されている。また、従来の液処理装置200では、保持部220に保持されたウエハWに対してカップ230の上方から処理液を供給するための複数のノズル240およびこれらの複数のノズル240を支持する1つのアーム241が処理室210内に設けられている。また、アーム241には略鉛直方向に延びるアーム支持部242が設けられており、このアーム支持部242によりアーム241が支持されている。そして、アーム支持部242は図示しない駆動機構により正逆両方向に回転駆動させられるようになっている。このことにより、アーム241はアーム支持部242を中心として正逆両方向に回転可能となり、このアーム241は、保持部220により保持されたウエハWに処理液を供給する進出位置(図15の実線参照)とカップ230から退避した退避位置(図15の二点鎖線参照)との間でアーム支持部242を中心として回転移動を行うようになる(図15の矢印参照)。なお、1つの液処理装置内に上述したようなアームが複数例えば2本設けられるとともに各アームにそれぞれ複数のノズルが支持されている場合もある。
【0004】
また、図14に示すように、処理室210の上方にはFFU(ファンフィルタユニット)250が設けられており、このFFU250からNガス(窒素ガス)やクリーンエア等のガスが常にダウンフローで処理室210内に送られるようになっている。また、処理室210の底部には排気部260が設けられており、この排気部260により処理室210内の雰囲気の排気が行われるようになっている。このように、FFU250から処理室210内にクリーンエア等のガスがダウンフローで送られ、このガスが排気部260により排気されることにより、処理室210内の雰囲気の置換が行われるようになっている。
【0005】
1本のアーム241に複数のノズル240が設けられている場合には、アーム先端部が図15において破線243で示すように大型化し、上方投影面積が大きくなる。投影面積が大きければ大きいほど、前述したFFUからのダウンフローへの影響は大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−94525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、複数のノズルを1つのノズル支持アームに設けた場合でも、ノズルの全体の投影面積を小さくすることができる構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された基板に流体を供給する複数のノズルと、前記複数のノズルを支持するノズル支持アームと、前記ノズル支持アームを、前記ノズル支持アームの長手方向軸線周りに回転させる回転機構と、を備え、前記複数のノズルの吐出口は、前記長手方向軸線周りの異なる周方向位置に配置され、前記ノズル支持アームの回転位相に依存して前記複数のノズルうちのいずれか一つの吐出口が前記基板保持部により保持された基板の方を向くように設けられている液処理装置を提供する。
【0009】
これによれば、ノズル全体の投影面積を小さくすることができる。
【0010】
好ましくは、前記複数のノズルの吐出口は、前記長手方向軸線に関して、同じ軸線方向位置に設けられている。
【0011】
これによれば、ノズル支持アームの駆動機構の教示の手間を省くことができる。
【0012】
また、本発明は、少なくとも第1のノズル及び第2のノズルを支持するノズル支持アームを有する液処理装置を用いて基板を液処理する液処理方法であって、前記第1のノズルを基板に向けた状態で前記第1のノズルから第1の処理液を基板に供給する工程と、前記ノズル支持アームを回転させて前記第2のノズルを基板に向け、この状態で前記第2のノズルから第2の処理液を基板に供給する工程と、を備えた方法を提供する。
【0013】
好ましくは、前記ノズル支持アームの回転は、前記ノズル支持アームを移動させずに行われる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のノズルを1つのノズル支持アームに設けた場合でも、ノズルの全体の投影面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態による液処理装置を含む液処理システムを上方から見た上面図である。
【図2】本発明の実施の形態による液処理装置の概略的な構成を示す上面図である。
【図3】図2に示す液処理装置の側面図である。
【図4】図2に示す液処理装置の構成の詳細を示す縦断面図であって、カップ外周筒が下方位置にあるときの状態を示す図である。
【図5】図2に示す液処理装置の構成の詳細を示す縦断面図であって、カップ外周筒が上方位置にあるときの状態を示す図である。
【図6】図4等に示す液処理装置におけるカップ外周筒の構成を示す斜視図である。
【図7】図2等に示す液処理装置における処理室および6つのノズル支持アームを示す斜視図である。
【図8】図7に示すノズル支持アームの拡大斜視図である。
【図9】図7等に示す各ノズル支持アームを、これらのノズル支持アームの後方から処理室に向かって見たときの構成を示す図である。
【図10】図7等に示すノズル支持アームの構成の詳細を示す側断面図である。
【図11】ノズル支持アームの別の構成例を示す側断面図である。
【図12】図11に示すノズル支持アームの軸線方向後方から渦巻き配管を見た背面図である。
【図13】図11に示すノズル支持アームを旋回可能として液処理装置に組み込んだ例を示す概略側断面図である。
【図14】従来の液処理装置の概略的な構成を示す側面図である。
【図15】図14に示す従来の液処理装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。まず、図1を用いて、液処理装置を含む液処理システムについて説明する。図1に示すように、液処理システムは、外部から被処理基板としての半導体ウエハ等の基板W(以下、ウエハWともいう)を収容したキャリアを載置するための載置台101と、キャリアに収容されたウエハWを取り出すための搬送アーム102と、搬送アーム102によって取り出されたウエハWを載置するための棚ユニット103と、棚ユニット103に載置されたウエハWを受け取り、当該ウエハWを液処理装置10内に搬送する搬送アーム104と、を備えている。図1に示すように、液処理システムには、複数(図1に示す態様では4個)の液処理装置10が設けられている。
【0017】
次に、液処理装置10の概略的な構成について図2および図3を用いて説明する。
【0018】
図2および図3に示すように、液処理装置10は、ウエハWが収容され、この収容されたウエハWの液処理が行われる処理室(チャンバー)20を備えている。図3に示すように、処理室20内には、ウエハWを水平状態で保持して回転させるための保持部21が設けられており、この保持部21の周囲にはリング状の回転カップ40が配設されている。また、図2および図3に示すように、処理室20内において回転カップ40の周囲には円筒状のカップ外周筒50が配設されている。後述するように、このカップ外周筒50はウエハWの処理状況に応じて昇降可能となっている。これらの保持部21、回転カップ40およびカップ外周筒50の構成の詳細については後述する。
【0019】
また、液処理装置10には、保持部21に保持されたウエハWに対してウエハWの上方から処理液やNガス等の流体を供給するためのノズル82aおよびこのノズル82aを支持するノズル支持アーム82が設けられている。図2に示すように、1つの液処理装置10には複数(具体的には例えば6つ)のノズル支持アーム82が設けられており、各ノズル支持アーム82の先端にノズル82aが設けられている。また、図3に示すように、各ノズル支持アーム82にはアーム支持部84が設けられており、各アーム支持部84は後述するアーム駆動機構85によって図3における左右方向に駆動されるようになっている。このことにより、各ノズル支持アーム82は、ノズル82aが処理室20内に進出した進出位置と、ノズル82aが処理室20から退避した退避位置との間で水平方向に直線運動を行うようになっている(図2および図3における各ノズル支持アーム82に設けられた矢印参照)。また、図3に示すように、各ノズル支持アーム82には表面処理流体供給管82mが設けられており、各表面処理流体供給管82mは表面処理流体供給部89に接続されている。そして、表面処理流体供給部89から各表面処理流体供給管82mを介して各ノズル支持アーム82のノズル82aに処理液やNガス等の流体が供給されるようになっている。
【0020】
図2および図3に示すように、液処理装置10において、アーム待機部80が処理室20に隣接して設けられている。このアーム待機部80において、処理室20から退避したノズル支持アーム82が待機するようになっている。また、アーム待機部80と処理室20との間には鉛直方向に延びる壁90が設けられている。この壁90は、各ノズル支持アーム82が通過可能な開口88pが設けられたアーム洗浄部88を有している。このアーム洗浄部88により各ノズル支持アーム82の洗浄が行われるようになっている。アーム洗浄部88の構成の詳細については後述する。
【0021】
また、図3に示すように、処理室20の上方にはFFU(ファンフィルタユニット)70が設けられており、このFFU70からNガス(窒素ガス)やクリーンエア等のガスがダウンフローで処理室20内に送られるようになっている。また、図2および図3に示すように、処理室20の底部におけるカップ外周筒50の内側には排気部54が設けられており、この排気部54により処理室20内の雰囲気の排気が行われるようになっている。このように、FFU70から処理室20内にクリーンエア等のガスがダウンフローで送られ、このガスが排気部54により排気されることにより、処理室20内の雰囲気の置換が行われるようになっている。
【0022】
また、図2および図3に示すように、処理室20の底部におけるカップ外周筒50の外側には排気部56が設けられており、この排気部56により処理室20内の雰囲気の排気が行われるようになっている。この排気部56により、処理室20内におけるカップ外周筒50の外側の雰囲気の排気を行うことができるようになっている。具体的には、排気部56により、アーム待機部80内の雰囲気がカップ外周筒50内に入り込むことが抑止される。また、この排気部56により、カップ外周筒50内の雰囲気がアーム待機部80に出てしまうことが抑止される。
【0023】
また、図2および図3に示すように、アーム待機部80の底部には排気部58が設けられており、この排気部58によりアーム待機部80内の雰囲気の排気が行われるようになっている。具体的には、各ノズル支持アーム82を駆動するためのアーム駆動機構85(後述)から発生するパーティクルを排気部58により吸引して除去することができるようになっている。
【0024】
また、図2に示すように、液処理装置10の処理室20およびアーム待機部80の出入口にはそれぞれメンテナンス用のシャッター60、62が設けられている。処理室20およびアーム待機部80にそれぞれメンテナンス用のシャッター60、62が設けられていることにより、これらの処理室20内やアーム待機部80内の機器を個別にメンテナンスすることができる。また、処理室20内でウエハWを処理している最中でも、シャッター62を開くことによりアーム待機部80内の機器をメンテナンスすることができるようになる。
【0025】
また、図2に示すように、液処理装置10の側壁には、搬送アーム104により処理室20内へウエハWを搬入したり処理室20からウエハWを搬出したりするための開口94aが設けられており、この開口94aには、当該開口94aを開閉するためのシャッター94が設けられている。
【0026】
なお、図2に示す液処理装置10において、処理室20内におけるカップ外周筒50の内部の領域はクリーンルームに対して微陽圧となっており、一方、処理室20内におけるカップ外周筒50の外側の領域はクリーンルームに対して微陰圧となっている。このため、処理室20内において、カップ外周筒50の内部の領域の気圧はカップ外周筒50の外側の領域の気圧よりも高くなっている。
【0027】
次に、図2および図3に示すような液処理装置10の構成の詳細について図4および図5を用いて説明する。
【0028】
図4および図5に示すように、保持部21は、ウエハWを保持するための円板形状の保持プレート26と、保持プレート26の上方に設けられた円板形状のリフトピンプレート22とを備えている。リフトピンプレート22の上面には、ウエハWを下方から支持するためのリフトピン23が周方向に等間隔で3つ設けられている。なお、図4および図5では2つのリフトピン23のみを表示している。また、リフトピンプレート22にはピストン機構24が設けられており、このピストン機構24によりリフトピンプレート22が昇降するようになっている。より具体的には、搬送アーム104(図1参照)によりウエハWをリフトピン23上に載置したりリフトピン23上からウエハWを取り出したりするときには、ピストン機構24によりリフトピンプレート22が図4等に示すような位置から上方に移動させられ、このリフトピンプレート22は回転カップ40よりも上方に位置するようになる。一方、処理室20内でウエハWの液処理を行う際には、ピストン機構24によりリフトピンプレート22が図4等に示すような下方位置に移動させられ、ウエハWの周囲に回転カップ40が位置するようになる。
【0029】
保持プレート26には、ウエハWを側方から支持するための保持部材25が周方向に等間隔で3つ設けられている。なお、図4および図5では2つの保持部材25のみを表示している。各保持部材25は、リフトピンプレート22が上方位置から図4および図5に示すような下方位置に移動したときにこのリフトピン23上のウエハWを保持し、このウエハWをリフトピン23からわずかに離間させるようになっている。各保持部材25はウエハWを受け取る受け取り位置およびウエハWを保持する保持位置に移動可能な構造を有しており、リフトピンプレート22の昇降と連動して動くようになっている。すなわちリフトピンプレート22が情報位置に移動したときには各保持部材25は受け取り位置に移動し、下方位置に移動したときは保持位置に移動するように構成されている。
【0030】
また、リフトピンプレート22および保持プレート26の中心部分にはそれぞれ貫通穴が形成されており、これらの貫通穴を通るよう処理液供給管28が設けられている。この処理液供給管28は、保持プレート26の各保持部材25により保持されたウエハWの裏面に薬液や純水等の処理液を供給するようになっている。また、処理液供給管28はリフトピンプレート22と連動して昇降するようになっている。処理液供給管28の上端には、リフトピンプレート22の貫通穴を塞ぐよう設けられたヘッド部分28aが形成されている。また、図4等に示すように、処理液供給管28には処理液供給部29が接続されており、この処理液供給部29により処理液供給管28に処理液が供給されるようになっている。
【0031】
図4および図5に示すように、保持部21の周囲にはリング状の回転カップ40が配設されている。この回転カップ40は保持プレート26に取り付けられており、保持プレート26と一体的に回転するようになっている。より詳細には、回転カップ40は、保持プレート26の各保持部材25により支持されたウエハWを側方から囲うよう設けられており、ウエハWの液処理を行う際にこのウエハWから側方に飛散した処理液を受けるようになっている。
【0032】
また、回転カップ40の周囲には、ドレインカップ42、第1案内カップ43、第2案内カップ44および第3案内カップ45が上方から順に設けられている。ドレインカップ42および各案内カップ43、44、45はそれぞれリング状に形成されている。ここで、ドレインカップ42は処理室20において固定されている。一方、各案内カップ43、44、45にはそれぞれ昇降シリンダ(図示せず)が連結されており、これらの案内カップ43、44、45は対応する昇降シリンダにより互いに独立して昇降自在となっている。
【0033】
図4および図5に示すように、ドレインカップ42や各案内カップ43、44、45の下方には、第1処理液回収用タンク46a、第2処理液回収用タンク46b、第3処理液回収用タンク46cおよび第4処理液回収用タンク46dがそれぞれ設けられている。そして、各案内カップ43、44、45の上下方向における位置により、ウエハWの液処理を行う際にこのウエハWから側方に飛散した処理液が、この処理液の種類に基づいて、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうちいずれか一つの処理液回収用タンクに選択的に送られるようになっている。具体的には、全ての案内カップ43、44、45が全て上方位置にあるときには(図4および図5に示すような状態)、ウエハWから側方に飛散した処理液は第4処理液回収用タンク46dに送られるようになっている。一方、第3案内カップ45のみが下方位置にあるときには、ウエハWから側方に飛散した処理液は第3処理液回収用タンク46cに送られるようになっている。また、第2案内カップ44および第3案内カップ45が下方位置にあるときには、ウエハWから側方に飛散した処理液は第2処理液回収用タンク46bに送られるようになっている。また、全ての案内カップ43、44、45が下方位置にあるときには、ウエハWから側方に飛散した処理液は第1処理液回収用タンク46aに送られるようになっている。
【0034】
また、図4および図5に示すように、第4処理液回収用タンク46dの内側には排気部48が設けられている。そして、各案内カップ43、44、45の上下方向における位置が所定の位置となることにより、ウエハWの周囲の雰囲気が、排気部48により排気されるようになっている。
【0035】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、処理室20内においてドレインカップ42や各案内カップ43、44、45の周囲にカップ外周筒50が設けられている。このカップ外周筒50は、図4に示すような下方位置と図5に示すような上方位置との間で昇降可能となっている。また、図2および図3に示すように、カップ外周筒50には、ノズル支持アーム82が通過可能な開口50mが設けられている。カップ外周筒50は、図5に示すような上方位置にあるときに、カップ外周筒50内の領域を外部に対して隔離するようになっている。
【0036】
このようなカップ外周筒50の構成の詳細について図6を用いて説明する。図6は、カップ外周筒50の構成を示す斜視図である。図6に示すように、カップ外周筒50の側面には、ノズル支持アーム82が通過可能な開口50mが、ノズル支持アーム82の本数に応じて設けられている(例えばノズル支持アーム82が6本の場合、6つの開口50mが設けられる)。また、カップ外周筒50の上部には、このカップ外周筒50を支持するための支持部材50aが連結されており、支持部材50aには当該支持部材50aを昇降させる駆動機構50bが設けられている。そして、駆動機構50bにより支持部材50aを昇降させることにより、この支持部材50aに支持されるカップ外周筒50も昇降するようになっている。
【0037】
また、図4および図5に示すように、FFU70にはガイド部材51が取り付けられている。このガイド部材51は、図5に示すようにカップ外周筒50が上方位置にあるときに、このカップ外周筒50から内側にわずかに距離を隔てて位置するよう配置されている。また、本実施の形態の液処理装置10においては、図5に示すようにカップ外周筒50が上方位置にあるときには、カップ外周筒50内の気圧はカップ外周筒50の外側の気圧よりも高くなるようになっている。このため、カップ外周筒50が上方位置にあるときには、FFU70により生じる処理室20内のダウンフローのガスが、ガイド部材51によりカップ外周筒50の上端近傍において当該カップ外周筒50の内側から外側に案内されるようになっている。
【0038】
また、図4および図5に示すように、処理室20内には、カップ外周筒50を洗浄するための洗浄部52が設けられている。この洗浄部52は、純水等の洗浄液を貯留するための貯留部分52aを有しており、図4に示すようにカップ外周筒50が下方位置にあるときにこのカップ外周筒50が貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになっている。洗浄部52は、貯留部分52aに貯留された洗浄液にカップ外周筒50が浸されることにより、このカップ外周筒50の洗浄を行うようになっている。
【0039】
図4に示すように、カップ外周筒50が下方位置にあるときにはこのカップ外周筒50の大部分が貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになる。また、図5に示すように、カップ外周筒50が上方位置にあるときにもこのカップ外周筒50の下部が貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになる。このため、カップ外周筒50が上方位置にあるときには、貯留部分52aに貯留された洗浄液とカップ外周筒50の下部との間で水シールを行うとともに、カップ外周筒50の上部とガイド部材51との間が狭くなるので、カップ外周筒50内の領域を外部から隔離することができるようになる。
【0040】
また、図4および図5に示すように、処理室20内において、洗浄部52の内側には処理室20内の雰囲気の排気を行うための排気部54が設けられており、また、洗浄部52の外側には処理室20内の雰囲気の排気を行うための排気部56が設けられている。このような排気部54および排気部56が設けられていることにより、カップ外周筒50が図4に示すような下方位置にあるときには、これらの排気部54および排気部56により処理室20内全体の雰囲気の排気を行うことができる。一方、カップ外周筒50が図5に示すような上方位置にあるときには、カップ外周筒50内の領域が外部から隔離されるので、排気部54によりカップ外周筒50の内部の雰囲気の排気を行うことができ、また、排気部56によりカップ外周筒50の外側の雰囲気の排気を行うことができる。
【0041】
前述のように、本実施の形態においては、1つの液処理装置10に複数(具体的には例えば6つ)のノズル支持アーム82が設けられており、各ノズル支持アーム82の先端にノズル82aが設けられている。具体的には、各ノズル82aは、それぞれ、第1の薬液(具体的には、例えば酸性の薬液)、第2の薬液(具体的には、例えばアルカリ性の薬液)、純水、Nガス、IPA(イソプロピルアルコール)、純水のミストをウエハWの上面に供給するようになっている。
【0042】
以下にノズル支持アーム82の構成について図7乃至図10を用いて詳述する。ここで、図7は、図2等に示す液処理装置10における処理室20および6つのノズル支持アーム82p〜82uを示す斜視図であり、図8は、図7に示す各ノズル支持アーム82p〜82uの拡大斜視図である。また、図9は、図7等に示す各ノズル支持アーム82p〜82uを、これらのノズル支持アーム82p〜82uの後方から処理室20に向かって見たときの構成を示す図であり、図10は、図7等に示す各ノズル支持アーム82p〜82uの構成の詳細を示す側断面図である。
【0043】
図7に示すように、6つのノズル支持アーム82は、例えば純水供給用アーム82p、第1の薬液供給用アーム82q、Nガス供給用アーム82r、第2の薬液供給用アーム82s、純水のミスト供給用アーム82tおよびIPA供給用アーム82uから構成されている。前述のように、これらのアーム82p〜82uの先端にはノズル82aが設けられている。このようにして、純水供給用アーム82pの先端に設けられたノズル82aからは純水がウエハWの上面に供給され、第1の薬液供給用アーム82qの先端に設けられたノズル82aからは第1の薬液(具体的には、例えば酸性の薬液)がウエハWの上面に供給され、Nガス供給用アーム82rの先端に設けられたノズル82aからはNガスがウエハの上面に供給されるようになっている。また、第2の薬液供給用アーム82sの先端に設けられたノズル82aからは第2の薬液(具体的には、例えばアルカリ性の薬液)がウエハWの上面に供給され、純水のミスト供給用アーム82tの先端に設けられたノズル82aからは純水のミストがウエハWの上面に供給され、IPA供給用アーム82uの先端に設けられたノズル82aからはIPAがウエハWの上面に供給されるようになっている。
【0044】
図8および図10に示すように、各ノズル支持アーム82には、当該ノズル支持アーム82を直進運動させるためのアーム駆動機構85が設けられている。アーム駆動機構85は、ベース部材85dに取り付けられ正逆両方向に回転するモータ85aと、モータ85aに対向するようベース部材85dに取り付けられたプーリ85bと、モータ85aおよびプーリ85bに巻き掛けられた循環ベルト85cと、循環ベルト85cに取り付けられたベルト取付部材85eとを有している。ここで、ベルト取付部材85eは、ノズル支持アーム82を支持するアーム支持部84の下部に取り付けられており、ベルト取付部材85eおよびアーム支持部84は一体的に移動するようになっている。そして、このようなアーム駆動機構85において、モータ85aが回転することにより循環ベルト85cが図10における右方向または左方向に移動し、この循環ベルト85cに取り付けられたベルト取付部材85eが図10における右方向または左方向に移動することにより、アーム支持部84が図10における左右方向に直進運動を行うようになる。このようにして、アーム支持部84に支持されるノズル支持アーム82も図10における左右方向に直進運動を行う。
【0045】
液処理装置10においては、アーム駆動機構85が処理室20の外部に設けられていることにより、このアーム駆動機構85から発生するゴミ等が処理室20内に入ってしまうことを抑制することができる。また、処理室20内の雰囲気がアーム駆動機構85に到達してしまうことを抑制することができる。
【0046】
また、図9に示すように、上述した6つのアーム82p〜82uのうち、純水供給用アーム82p、Nガス供給用アーム82rおよび純水のミスト供給用アーム82tは同じ高さレベルに設置されている。より具体的には、図9において、これらのアーム82p、82r、82tは、図9における二点鎖線Aで囲まれる領域の高さレベルに設置されている。一方、上述した6つのアーム82p〜82uのうち、第1の薬液供給用アーム82q、第2の薬液供給用アーム82sおよびIPA供給用アーム82uも同じ高さレベルに設置されている。より具体的には、図9において、これらのアーム82q、82s、82uは、図9における二点鎖線Bで囲まれる領域の高さレベルに設置されている。そして、図9に示すように、純水供給用アーム82p、Nガス供給用アーム82rおよび純水のミスト供給用アーム82tは、それぞれ、第1の薬液供給用アーム82q、第2の薬液供給用アーム82sおよびIPA供給用アーム82uよりも高い位置に設置されている。
【0047】
また、高さレベルが互いに異なる複数のアーム82p〜82uが同時に処理室20内に進出したときにアーム同士が衝突または干渉しないようになっている。
【0048】
図10に示すように、各アーム82p〜82uは二重配管構造となっている。より詳細には、各アーム82p〜82uは内部配管82bおよび外部配管82cから構成されている。内部配管82bはノズル82aに連通しており、この内部配管82bからノズル82aに流体が送られるようになっている。内部配管82bは例えばフッ素系樹脂から構成されている。また、内部配管82bは外部配管82cに覆われるようになっており、この外部配管82cは例えばステンレス鋼パイプにフッ素系樹脂をコーティングしたものからなる。
【0049】
また、図8および図10等に示すように、各アーム82p〜82uの後端側におけるこれらのアーム82p〜82uの外側には、各内部配管82bに連通する渦巻き形状配管83(83p〜83u)がそれぞれ設けられている。各渦巻き形状配管83p〜83uは可撓性材料から形成されている。具体的には、各渦巻き形状配管83p〜83uは例えばフッ素系樹脂等のチューブが渦巻き形状に曲げられたものから形成されている。図7、図8および図10に示すように、各渦巻き形状配管83p〜83uは、対応するアーム82p〜82uが退避位置にあるときに、これらのアーム82p〜82uの延びる方向に直交する平面(すなわち、鉛直方向に延びる平面)上で渦巻き形状となるよう構成されている。そして、各渦巻き形状配管83p〜83uに薬液等の流体が送られることにより、各アーム82p〜82uの内部に設けられた内部配管82bを経てノズル82aから流体が下方に噴射されるようになっている。また、各渦巻き形状配管83p〜83uは可撓性材料から形成されているため、対応するアーム82p〜82uが処理室20内に進出した場合には、渦巻き形状配管83p〜83uは図8に示すような渦巻き形状から変形して円錐螺旋形状(先端が徐々に細くなるような螺旋形状)となる。
【0050】
また、各アーム82p〜82uは、当該アーム82p〜82uの移動方向に沿った長手方向軸を中心として回転可能となっている。具体的には、図8に示すように、各アーム82p〜82uには回転機構86が設けられており、この回転機構86により各アーム82p〜82uは図8における矢印方向に回転するようになっている。各アーム82p〜82uを回転させることにより、ノズル82aの向きを図10に示すような下向きから他の方向に変えることができるようになる。また、各渦巻き形状配管83p〜83uは渦巻き形状となっているとともに可撓性材料から形成されているため、回転機構86により各アーム82p〜82uを回転させた場合でも、対応する渦巻き形状配管83p〜83uはアーム82p〜82uの回転に合わせてスムーズに変形するようになり、アーム82p〜82uの回転が各渦巻き形状配管83p〜83uにより妨げられることはない。
【0051】
回転機構86は、保持部21に保持されたウエハWに対してノズル82aにより流体を供給する際に、このノズル82aを支持するアーム82p〜82uを選択的に長手方向軸を中心として回転させるようになっている。具体的には、保持部21に保持されたウエハWの周縁部にノズル82aが近づくと、このノズル82aの向きは下向きから斜めに傾斜するようアーム82p〜82uが回転するようになっている。このことにより、保持部21に保持されたウエハWの周縁部において、ノズル82aから斜め下方に流体が噴射されることによって、ノズル82aからウエハWに供給された流体、具体的には薬液等の液体について、ウエハWの周縁部上での液ハネを抑制することができるようになる。このように、回転機構86は、ノズル82aがウエハWの中心に位置する場合とノズル82aがウエハWの周縁部に位置する場合とで、ノズル82aの向きを変えることができるようになっている。
【0052】
また、図7および図10に示すように、各アーム82p〜82uには、これらのアーム82p〜82uの洗浄を行うためのアーム洗浄部88がアーム82p〜82u毎に位置固定で設けられている。各アーム洗浄部88は、それぞれ対応するアーム82p〜82uが移動する際に当該アーム82p〜82uの洗浄を行うようになっている。このような各アーム洗浄部88による各アーム82p〜82uの洗浄のタイミングは自由に設定できるようになっており、具体的には、各アーム82p〜82uの洗浄は例えば処理毎に、または一日一回、あるいは月に一回行われるようになっている。
【0053】
アーム洗浄部88の構成の詳細について図10を用いて説明する。図10に示すように、アーム洗浄部88には、ノズル支持アーム82(82p〜82u)が通過する貫通穴が水平方向(図10における左右方向)に延びるよう設けられている。この貫通穴の断面は、ノズル支持アーム82の断面よりもわずかに大きくなっている。また、この貫通穴には、洗浄液が収容される収容部分88aが設けられている。また、収容部分88aには洗浄液供給管88bが接続されており、洗浄液供給管88bから収容部分88aに洗浄液が供給されるようになっている。収容部分88aに洗浄液が供給されると、この収容部分88a内でノズル支持アーム82の外周面上に液膜が張られるようになる。そして、アーム洗浄部88において、収容部分88aに収容された洗浄液にノズル支持アーム82(82p〜82u)の一部が接触しながら当該ノズル支持アーム82が移動することによりノズル支持アーム82の洗浄が行われるようになっている。
【0054】
また、アーム洗浄部88において、ノズル支持アーム82の移動方向(図10における左右方向)における収容部分88aよりも処理室20に近い前方位置および収容部分88aよりも処理室20から遠い後方位置にはそれぞれ吸引機構88c、88dが設けられている。これらの吸引機構88c、88dは、収容部分88aに収容された洗浄液がこの収容部分88aから外部に漏れたときに漏れた分の洗浄液を吸引して排液するようになっている。なお、吸引機構は、必ずしもノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも前方位置および後方位置の両方に設ける必要はなく、代わりに、ノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも前方位置または後方位置のうちいずれか一方にのみ吸引機構が設けられるようになっていてもよい。
【0055】
また、吸引機構88c、88dは、ノズル支持アーム82が洗浄された後に、このノズル支持アーム82に付着した液滴を吸引することにより、ノズル支持アーム82の乾燥を行うようになっている。
【0056】
また、アーム洗浄部88において、ノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも後方位置には、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留した薬液等の液体を排出するための排液部分88eが設けられている。また、排液部分88eにはドレン管88fが接続されており、排液部分88eに送られた液体はドレン管88fにより排出されるようになっている。そして、ノズル82aが排液部分88eの真上に位置するようノズル支持アーム82が移動して、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留した薬液等の液体がノズル82aから排液部分88eに吐出されるようになっている。このような排液部分88eが設けられていることにより、ウエハWの液処理が終了した後、ノズル支持アーム82の内部配管82bに液体が残留してしまった場合でも、このノズル支持アーム82に設けられたノズル82aを用いて次の液処理を行う際に、内部配管82bに残留した液体を予めこの内部配管82bから排出することができるようになる。とりわけ、ウエハWに高温の薬液等をノズル82aから供給するときには、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留している液体は冷めている場合が多いため、この残留している冷めた液体を排液部分88eにより予め内部配管82bから排出することが望ましい。
【0057】
なお、排液部分88eは、ノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも後方位置ではなく収容部分88aよりも前方位置に設けられていてもよい。この場合でも、ノズル82aが排液部分88eの真上に位置するようノズル支持アーム82が移動し、ノズル82aから薬液を吐出することにより、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留した薬液等の液体がノズル82aから排液部分88eに送られるようになる。
【0058】
図7および図10に示すように、各アーム82p〜82uに対応する各アーム洗浄部88は、処理室20とアーム待機部80との間に設けられた壁90の外側に取り付けられるようになっている。このため、各アーム洗浄部88はカップ外周筒50の外側に設けられるようになる。なお、各アーム洗浄部88は壁90の外側に取り付けられる代わりに壁90の内側に取り付けられるようになっていてもよい。この場合には、各アーム洗浄部88は、回転カップ40とアーム待機部80との間の領域に位置するようになる。
【0059】
アーム洗浄部88はノズル支持アーム82の全体(全長)を洗浄するようになっていてもよく、あるいはノズル支持アーム82の一部分のみを洗浄するようになっていてもよい。また、アーム洗浄部88はノズル支持アーム82の全周を洗浄するようになっているが、これに限定されるものではない。
【0060】
また、図2および図10に示すように、各アーム82p〜82uは、アーム待機部80で待機しているときに、処理室20とアーム待機部80との間に設けられた壁90のアーム洗浄部88の開口88pを塞ぐようになっている。このことにより、各アーム82p〜82uは、壁90のアーム洗浄部88の開口88pを塞ぐ蓋として機能するようになり、処理室20内の領域とアーム待機部80の領域とを隔離することができるようになる。
【0061】
また、各アーム82p〜82uは、図5に示すような上方位置にあるカップ外周筒50の開口50mも塞ぐことができるようになっている。このことにより、カップ外周筒50内の領域とアーム待機部80の領域とを隔離することができるようになる。
【0062】
次に、液処理装置10の動作について説明する。
【0063】
まず、保持部21におけるリフトピンプレート22および処理液供給管28を図4に示す位置から上方に移動させることと、処理室20の開口94aに設けられたシャッター94をこの開口94aから退避させることにより開口94aを開くことを行う。そして、液処理装置10の外部からウエハWが搬送アーム104により開口94aを介して処理室20内に搬送され、このウエハWがリフトピンプレート22のリフトピン23上に載置され、その後、搬送アーム104は処理室20から退避する。この際に、カップ外周筒50は図4に示すような下方位置に位置している。また、各ノズル支持アーム82は処理室20から退避した退避位置に位置している。すなわち、各ノズル支持アーム82はアーム待機部80で待機している。また、FFU70から処理室20内にクリーンエア等のガスが常にダウンフローで送られ、このガスが排気部54により排気されることにより、処理室20内の雰囲気の置換が行われるようになっている。
【0064】
次に、リフトピンプレート22および処理液供給管28を下方に移動させ、これらのリフトピンプレート22および処理液供給管28を図4に示すような下方位置に位置させる。この際に、保持プレート26に設けられた各保持部材25が、リフトピン23上のウエハWを支持し、このウエハWをリフトピン23からわずかに離間させる。
【0065】
その後に、またはリフトピンプレート22の下降中に、カップ外周筒50に設けられた駆動機構50bにより、このカップ外周筒50を上方に移動させ、カップ外周筒50を図5に示すような上方位置に位置させる。そして、カップ外周筒50が上方位置に移動した後、アーム待機部80で待機している6つのノズル支持アーム82のうち一または複数のノズル支持アーム82が壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に進出する(図5の二点鎖線参照)。この際に、アーム駆動機構85によりノズル支持アーム82は直線運動を行う。
【0066】
そして、保持部21における保持プレート26およびリフトピンプレート22を回転させる。このことにより、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWも回転する。
【0067】
その後、まず、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対して酸性の薬液により処理を行い、その後引き続いてリンス処理を行う。具体的には、図5に示すような状態で、アーム待機部80で待機している6つのノズル支持アーム82のうち第1の薬液供給用アーム82qおよび純水供給用アーム82pがそれぞれ壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に同時に進出する。このとき、第1の薬液供給用アーム82qのノズル82aをウエハWの中心の真上に位置するようにさせ、純水供給用アーム82pのノズル82aをウエハの中心の真上のやや手前に位置させるようにする。なお、第1の薬液供給用アーム82qおよび純水供給用アーム82pは互いに高さレベルが異なるようになっているので、第1の薬液供給用アーム82qおよび純水供給用アーム82pを処理室20内に同時に進出させる際にこれらのアーム82q、82pが互いに干渉することはない。
【0068】
そして、ウエハWが回転した状態で、処理室20内に進出した第1の薬液供給用アーム82qのウエハWの中心の真上に位置するノズル82aからウエハWの上面に酸性の薬液を供給する。また、この際に、ウエハWの下面(裏面)に向かって処理液供給管28から酸性の薬液を供給してもよい。このようにして、ウエハWの少なくとも上面に酸性の薬液が供給され、ウエハWの薬液処理が行われる。ウエハWに供給された酸性の薬液は、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第1処理液回収用タンク46aに送られて回収される。また、上述のような薬液処理が行われる際に、純水供給用アーム82pは、第1の薬液供給用アーム82qのノズル82aによる酸性の薬液の吐出位置からわずかに後退した位置に当該純水供給用アーム82pのノズル82aが位置するよう、処理室20内で待機している。
【0069】
そして、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対して酸性の薬液が供給された後に中断することなく引き続きこのウエハWに純水が供給される。具体的には、処理室20内に進出した第1の薬液供給用アーム82qに設けられたノズル82a(ウエハの中心の真上に位置している)からウエハWに対して酸性の薬液を供給した後に、第1の薬液供給用アーム82qのノズル82aがウエハWの中心の真上から待避し、これと同時に処理室20内に進出して待機していた純水供給用アーム82pがわずかに前進して純水供給用アーム82pのノズル82aがウエハWの中心の真上に位置し、純水の供給を開始する。ウエハWに供給された純水は、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第3処理液回収用タンク46cに送られて回収される。このようにして、カップ外周筒50内でウエハWに対して酸性の薬液により処理が行われ、その後引き続いてリンス処理が行われるようになる。この際に、処理室20内において純水供給用アーム82pと第1の薬液供給用アーム82qは互いに高さレベルが異なっているのでこれらのアーム82p、82qが互いに干渉することはない。そして、ウエハWに対する酸性の薬液による処理が終了すると、処理室20に進出した第1の薬液供給用アーム82qはこの処理室20から退避してアーム待機部80で待機するようになる。一方、純水供給用アーム82pは処理室20内に残ったままとなる。また、リンス処理が行われる間に、第2の薬液供給用アーム82sが壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に進出する。より詳細には、上述のようなリンス処理が行われる際に、第2の薬液供給用アーム82sは、純水供給用アーム82pのノズル82aによる純水の吐出位置からわずかに後退した位置に当該第2の薬液供給用アーム82sのノズル82aが位置するよう、処理室20内で待機している。
【0070】
その後、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対してアルカリ性の薬液により処理を行い、その後引き続いてリンス処理を行う。具体的には、処理室20内に進出している第2の薬液供給用アーム82sおよび純水供給用アーム82pにより、ウエハWに対してアルカリ性の薬液による処理およびリンス処理が行われる。この際に、第2の薬液供給用アーム82sおよび純水供給用アーム82pは互いに高さレベルが異なるようになっているので、これらのアーム82s、82pが互いに干渉することはない。
【0071】
具体的に説明すると、ウエハWが回転した状態で、処理室20内に進出した第2の薬液供給用アーム82sのノズル82aからウエハWの上面にアルカリ性の薬液を供給する。また、この際に、ウエハWの下面(裏面)に向かって処理液供給管28からアルカリ性の薬液を供給してもよい。このようにして、ウエハWの少なくとも上面にアルカリ性の薬液が供給され、ウエハWの薬液処理が行われる。ウエハWに供給されたアルカリ性の薬液は、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第2処理液回収用タンク46bに送られて回収される。また、上述のような薬液処理が行われる際に、純水供給用アーム82pは、第2の薬液供給用アーム82sのノズル82aによるアルカリ性の薬液の吐出位置からわずかに後退した位置に当該純水供給用アーム82pのノズル82aが位置するよう、処理室20内で待機している。
【0072】
そして、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対してアルカリ性の薬液が供給された後に中断することなく引き続きこのウエハWに純水が供給される。具体的には、処理室20内に進出した第2の薬液供給用アーム82sに設けられたノズル82aからウエハWに対してアルカリ性の薬液を供給した後に、処理室20内に進出している純水供給用アーム82pに設けられたノズル82aから純水を中断することなく引き続きウエハWに供給する。ウエハWに供給された純水は、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第3処理液回収用タンク46cに送られて回収される。このようにして、カップ外周筒50内でウエハWに対してアルカリ性の薬液により処理が行われ、その後引き続いてリンス処理が行われるようになる。そして、ウエハWに対するアルカリ性の薬液による処理およびリンス処理が終了すると、処理室20に進出した第2の薬液供給用アーム82sおよび純水供給用アーム82pはこの処理室20から退避してアーム待機部80で待機するようになる。また、上述のようなリンス処理が行われる間に、IPA供給用アーム82uが壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に進出する。より詳細には、上述のようなリンス処理が行われる際に、IPA供給用アーム82uは、純水供給用アーム82pのノズル82aによる純水の吐出位置からわずかに後退した位置に当該IPA供給用アーム82uのノズル82aが位置するよう、処理室20内で待機している。
【0073】
その後、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対してIPAにより乾燥処理が行われる。具体的には、アーム待機部80で待機している6つのノズル支持アーム82のうちNガス供給用アーム82rが壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に進出する。このようにして、処理室20内にNガス供給用アーム82rおよびIPA供給用アーム82uがそれぞれ進出した状態となる。この際に、Nガス供給用アーム82rおよびIPA供給用アーム82uは互いに高さレベルが異なるようになっているので、これらのアーム82r、82uが互いに干渉することはない。
【0074】
そして、ウエハWが回転した状態で、処理室20内に進出したIPA供給用アーム82uに設けられたノズル82aからウエハWに対してIPAを供給した後に、このウエハWにおけるIPAが供給された箇所に対して処理室20内に進出したNガス供給用アーム82rに設けられたノズル82aからNガスを供給する。具体的には、処理室20内において、IPA供給用アーム82uに設けられたノズル82aによりウエハWの中心にIPAが供給される。その後、IPA供給用アーム82uがウエハWの中心から周縁部に移動し、IPAが供給された後のウエハW上の領域に対して、Nガス供給用アーム82rに設けられたノズル82aによりガスが噴射されるウエハW上の領域が後を追うように、これらのIPA供給用アーム82uおよびNガス供給用アーム82rをウエハW上で移動させる。このようにして、ウエハWの表面において、IPAが供給された箇所にNガスがすぐに供給されるようになり、ウエハWの乾燥処理を適切に行うことができるようになる。なお、ウエハWに供給されたIPAは、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第4処理液回収用タンク46dに送られて回収される。ウエハWの乾燥処理が終了すると、処理室20に進出したIPA供給用アーム82uおよびNガス供給用アーム82rはこの処理室20から退避してアーム待機部80で待機するようになる。
【0075】
ウエハの乾燥処理が終了すると、カップ外周筒50に設けられた駆動機構50bにより、このカップ外周筒50を下方に移動させ、カップ外周筒50を図4に示すような下方位置に位置させる。
【0076】
その後、保持部21におけるリフトピンプレート22および処理液供給管28を図4に示す位置から上方に移動させる。この際に、保持プレート26の保持部材25により支持されたウエハWがリフトピンプレート22のリフトピン23上に受け渡される。次に、処理室20の開口94aに設けられたシャッター94をこの開口94aから退避させることにより開口94aを開き、液処理装置10の外部から開口94aを介して搬送アーム104を処理室20内に進出させ、この搬送アーム104によりリフトピンプレート22のリフトピン23上のウエハWを取り出す。搬送アーム104により取り出されたウエハWは液処理装置10の外部に搬送される。このようにして、一連のウエハWの液処理が完了する。
【0077】
なお、各ノズル支持アーム82の洗浄は、ノズル支持アーム82が処理室20からアーム待機部80における退避位置に移動する際にアーム洗浄部88により行ってもよい。また、各ノズル支持アーム82の洗浄は、ウエハWに対する各処理後に行ってもよいし、あるいは定期的に行ってもよい。
【0078】
液処理装置10においては、アーム洗浄部88がアーム待機部80に位置固定で設けられており、このアーム洗浄部88は、ノズル支持アーム82が移動する際に当該ノズル支持アーム82の洗浄を行えるようになっている。このように、アーム洗浄部88によりノズル支持アーム82を洗浄することによって、汚れが付着していない状態でノズル支持アーム82が処理室20内に進入することができるようになり、ノズル支持アーム82に付着した汚れにより処理室20内のウエハWが汚れてしまうことを防止することができる。さらに、アーム洗浄部88が処理室20の外部に設けられることにより、処理室20内の気流が乱れてしまうことを防止することができる。
【0079】
また、液処理装置10においては、アーム洗浄部88は、洗浄液が収容される収容部分88aを有しており、アーム洗浄部88において、収容部分88aに収容された洗浄液にノズル支持アーム82の一部が接触しながらノズル支持アーム82が移動することによりノズル支持アーム82の洗浄が行われるようになっている。この場合には、アーム洗浄部88を移動させることなく、位置が固定された収容部分88aに収容された洗浄液によりノズル支持アーム82の洗浄を行うことができるので、アームの洗浄を行うための機構をシンプルなものとすることができる。
【0080】
また、液処理装置10においては、ノズル支持アーム82は、ノズル82aに流体を送るための内部配管82bを有しており、アーム洗浄部88において、ノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも後方位置に、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留した液体を排出するための排液部分88eが設けられている。そして、ノズル82aが排液部分88eの真上に位置するようノズル支持アーム82が移動することにより、ノズル支持アーム82の内部配管82bから排出された液体がノズル82aから排液部分88eに送られるようになっている。このことにより、ウエハWの液処理が終了した後、ノズル支持アーム82の内部配管82bに不要な液体が残留してしまった場合でも、このノズル支持アーム82に設けられたノズル82aを用いて次の液処理を行う際に、内部配管82bに残留した液体を予めこの内部配管82bから排出することができるようになる。とりわけ、ウエハWに高温の薬液等をノズル82aから供給するときには、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留している液体は冷めている場合が多いため、この残留している冷めた液体を排液部分88eにより予め内部配管82bから排出することが望ましい。
【0081】
また、液処理装置10においては、アーム洗浄部88はカップ外周筒50の外側に設けられている。このことにより、カップ外周筒50内の気流がアーム洗浄部88により乱れてしまうことを防止することができる。
【0082】
なお、液処理装置は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、処理室20内に進出したノズル支持アーム82のノズル82aおよび処理液供給管28によりウエハWの上面および下面の両方に処理液を供給する必要はなく、ノズル支持アーム82のノズル82aによりウエハWの上面のみに処理液を供給するようになっていてもよい。
【0083】
また、1本のノズル支持アーム82に複数のノズルを設けることができる。このような構成例について図11および図12を参照して説明する。なお、図11および図12に示す構成例において、図7〜図10に示した構成例に含まれる構成要素と同一の部材については同一符号を付して(同一部材が2つある場合には一方にダッシュを付けた)重複説明は省略する。
【0084】
図11に示すように、本構成例では、1つのノズル支持アーム82に2つのノズル82a、82a’が設けられている。ノズル82a、82a’の各々の吐出口である開口端82a1、82a1’は、ノズル支持アーム82の軸線方向(長手方向)で同じ位置にあることが好ましい。そうすれば、アーム駆動機構85に対してノズルの吐出口がウエハWの中心の真上に位置する基準位置をティーチングする作業が、1本のノズル支持アーム82に対して一回で済む。また、好ましくは、ノズル82a、82a’の吐出口は180度反対方向を向いている。
【0085】
ノズル支持アーム82の外部配管(外筒)82c内には、2つのノズル82a、82a’にそれぞれ連通する2つの内部配管82b、82b’が設けられている。この構成例では、回転機構86Aは、ステップモータまたはサーボモータ等のモータ86aと、モータ86aの回転軸に設けられた駆動プーリ86bと、外部配管82cに設けられた従動プーリ86cと、プーリ86b,86c間に巻きかけられたタイミングベルト86dから構成されている。回転機構86Aを動作させることにより、2つのノズル82a、82a’のいずれか一方を、処理液の吐出に適した回転方向位置、具体的には当該ノズルの吐出口が真下を向くような回転方向位置に位置させることができる。なお、図8に示した回転機構86と図11に示した回転機構86Aとは相互に置換することが可能である。
【0086】
また、外部配管82cのノズル82a,82a’側の端部とは反対側の端部の外側において、2つの内部配管82b、82b’にそれぞれ連通する2つの渦巻き形状配管83、83’が設けられている。渦巻き形状配管83、83’には、表面処理流体供給管82m、82m’がそれぞれ接続されており、また表面処理流体供給管82m、82m’には互いに異なる表面処理流体を供給する表面処理流体供給部89、89’がそれぞれ接続されている。各表面処理流体供給管82m、82m’にはそれぞれ、図示しないフローメータ、流量調整弁等の流量制御手段が設けられている。
【0087】
図12に示すように、ノズル支持アーム82の軸線方向から見ると、2つの渦巻き形状配管83、83’は二重渦巻きをなすように配置されている。渦巻き形状配管83、83’は可撓性材料からなるので、ノズル支持アーム82がアーム駆動機構85により処理室20内に進出した場合には、2つの渦巻き形状配管83、83’の各々が円錐螺旋形状(先端が徐々に細くなるような螺旋形状)となる。また、回転機構86Aによりノズル支持アーム82を軸線周りに回転させたときにおいても、その回転に合わせて渦巻き形状配管83、83’はスムーズに変形する。
【0088】
このように、1つのノズル支持アーム82に2つのノズル82a,82a’を設けることにより、ノズル支持アーム82の本数を減らすことができるので、アーム待機部80のスペースを削減することができ、ひいては液処理装置10のフットプリントを削減することができる。1つのノズル支持アーム82に設けるノズルの数は2つに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。この場合、ノズルの数に応じた数の内部配管および渦巻き形状配管が設けられる。3つ以上のノズルを1つのノズル支持アームに設ける場合も、各ノズルの吐出口である開口端は、ノズル支持アームの軸線方向(長手方向)で同じ位置にあることが好ましい。また、複数のノズルの吐出口は、円周をN分割、好ましくはN等分(Nはノズルの個数)した位置に設けることが好ましい。
【0089】
図11および図12に示した2つのノズル82a、82a’を支持するノズル支持アーム82を備えた液処理装置における液処理について説明する。なお、ノズル82a、82a’(以下、「第1のノズル82a」、「第2のノズル82a’」と称する。)、ノズル支持アーム82およびその周辺部品が図11および図12に示すように構成されている点を除いて、液処理装置の構成は図1〜図10に示されたものと同じである。
【0090】
まずウエハWを処理室20内に搬入し、保持部21によりウエハWを保持する(図4を参照)。次いで、図11に示すノズル支持アーム82を、第1のノズル82aを下方に向けた状態で、この第1のノズル82aがウエハの中心の真上に位置するように、ノズル支持アーム82を処理室20内に進出させる。次にウエハを所定の回転数で回転させ、第1のノズル82aから第1の処理液例えば酸性の薬液をウエハに吐出してウエハWに薬液洗浄処理を施す。その後、第1のノズル82aからの酸性の薬液の吐出を停止し、ノズル支持アーム82を進退させることなく(長手方向に移動させることなく)ノズル支持アーム82を回転させて第2のノズル82a’を下方に向け、第2のノズル82a’から第2の処理液例えばリンス液(DIW(純水))をウエハに吐出してウエハにリンス処理を施す。その後、ノズル支持アーム82を処理室20から退出させる。次に、先に説明したのと同じ手順により、Nガス供給用アーム82rのノズル82aおよびIPA供給用アーム82uのノズル82aを用いてウエハWの乾燥処理を行う。乾燥処理の終了後、ウエハWを処理室20から搬出する。
【0091】
なお、液処理装置に図11に示す構成を有するノズル支持アームをさらに1つ追加して設け、この追加したノズル支持アームの第1のノズル(82a)からアルカリ性の薬液を供給できるようにし、かつ、第2のノズル(82a’)からリンス液を供給できるようにしてもよい。この場合、例えば、酸性の薬液による薬液洗浄処理およびその後のリンス処理の後、上記の追加したノズル支持アームを処理室20内に進出させて(事前に処理室20内で待機させておくことが好ましい)その第1のノズルからアルカリ性の薬液をウエハWの中心に吐出することによりウエハWに薬液洗浄処理を施し、その後、上記の追加したノズル支持アームを180度回転させてその第2のノズルからリンス液(DIW)をウエハWの中心に吐出することによりウエハにリンス処理を施してもよい。
【0092】
なお、1つのノズル支持アームに複数のノズルを設ける構成は、これまでに説明してきたノズル支持アームがアームの軸線方向に進退する形式のものへの適用に限定されるものではなく、背景技術において図14および図15を参照して説明したようなノズル支持アームが旋回する形式のものにも適用することができる。すなわち、図13に示すように、図11に示した構成からアーム駆動機構85を取り除き、アーム支持部84を図11中に概略的に示した回動機構91により支持する。回動機構91はノズル支持アーム82を鉛直方向に延びる回動軸線91a周りに回動(旋回)させる。図13に示したノズル支持アーム82および回動機構91を、図14および図15に示す構成におけるアーム241およびアーム支持部242に代えて設けることができる。図13において、符号92で示す部材は基板保持部によりウエハWを水平姿勢で保持してウエハWを回転させるスピンチャック、符号93で示す部材はウエハWから飛散する処理液を受け止めるカップ、そして符号94で示す部材は処理チャンバ内にダウンフローを形成するFFU(ファンフィルターユニット)であり、これらは概略的に示されている。図13に示す構成例によれば、(ノズル支持アームがアームの軸線方向に進退する形式のものに限らず)ノズル支持アームが旋回する従来型の液処理装置においても、1つのノズル支持アームに支持されるノズルの数が増えてもノズル全体の上方投影面積が増大することはない。このため、ノズル支持アームの先端に複数設けられたノズルによりFFUからのダウンフローが乱されることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0093】
21、92 基板保持部
82a,82a’ (複数の)ノズル
82a1,82a1’吐出口
82 ノズル支持アーム
86,86A 回転機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板に流体を供給する複数のノズルと、
前記複数のノズルを支持するノズル支持アームと、
前記ノズル支持アームを、前記ノズル支持アームの長手方向軸線周りに回転させる回転機構と、
を備え、
前記複数のノズルの吐出口は、前記長手方向軸線周りの異なる周方向位置に配置され、前記ノズル支持アームの回転位相に依存して前記複数のノズルうちのいずれか一つの吐出口が前記基板保持部により保持された基板の方を向くように設けられている
ことを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
前記複数のノズルの吐出口は、前記長手方向軸線に関して、同じ軸線方向位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
少なくとも第1のノズル及び第2のノズルを支持するノズル支持アームを有する液処理装置を用いて基板を液処理する液処理方法であって、
前記第1のノズルを基板に向けた状態で前記第1のノズルから第1の処理液を基板に供給する工程と、
前記ノズル支持アームを回転させて前記第2のノズルを基板に向け、この状態で前記第2のノズルから第2の処理液を基板に供給する工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記ノズル支持アームの回転は、前記ノズル支持アームを移動させずに行うことを特徴とする請求項3に記載の液処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−4623(P2013−4623A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132495(P2011−132495)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】