説明

液処理装置および液処理方法

【課題】薬液処理後の雰囲気の置換効率を向上させることができる液処理装置を提供する。
【解決手段】本発明による液処理装置10は、基板Wを水平に保持する基板保持部21と、基板保持部21に保持された基板Wを上方から覆い、基板保持部21に保持された基板を覆う処理空間30を形成する天板32と、を備えている。処理空間30においては、薬液ノズル82aにより、基板保持部21に保持された基板Wに対して薬液が供給され、置換ノズル82cにより、処理空間30の雰囲気を置換するための置換ガスが処理空間30に供給されるようになっている。また、置換ノズル82cは、処理空間30内に進出した進出位置と処理空間30から外方に退避した退避位置との間で水平方向に移動する置換ノズル支持アーム82rによって支持されると共に、置換ガスを上方に吐出するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を水平状態に保持した状態で回転させながら当該基板に処理液を供給することにより基板に洗浄処理やエッチング処理等の所定の液処理を行う液処理装置および液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、半導体ウエハ等の基板(以下、単に「ウエハ」ともいう)に形成された処理対象膜の上に所定のパターンでレジスト膜が形成され、このレジスト膜をマスクとしてエッチング、イオン注入等の処理が処理対象膜に施されるようになっている。処理後、不要となったレジスト膜はウエハ上から除去される。
【0003】
レジスト膜の除去方法として、SPM処理がよく用いられている。SPM処理は、硫酸と過酸化水素水とを混合して得た薬液としてのSPM(Sulfuric Acid Hydrogen Peroxide Mixture)液をレジスト膜に供給することにより行われる。
【0004】
SPM処理においては、一般に、高温のSPM液がウエハに向けて吐出される。このため、SPM液が蒸発しヒューム(fume)が発生する場合がある。このヒュームは、レジスト除去装置のチャンバ内の広範囲に拡散して、チャンバ内壁およびチャンバ内部品を汚染し、ウエハ汚染の原因物質を発生させ得る。
【0005】
ヒュームがチャンバ内の広範囲に拡散して、チャンバ内壁およびチャンバ内部品を汚染するのを防ぐため、特許文献1において、ウエハを保持するスピンチャックと、スピンチャックに保持されたウエハの周囲を取り囲むとともに当該ウエハの上方に開口部を有する遮蔽壁と、この遮蔽壁の上方に設けられた遮蔽板と、遮蔽壁と遮蔽板との間の隙間を通して側方から差し入れられ、ウエハに向けてSPM液を吐出するノズルと、を備えたレジスト除去装置が提案されている。特許文献1に記載のレジスト除去装置によれば、遮蔽壁および遮蔽板により、ヒュームがチャンバ内の広範囲に拡散することを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−35866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のレジスト除去装置においては、SPM処理が終了した後であっても、遮蔽壁と遮蔽板とにより形成された空間内にヒュームが残存し得る。そこで、SPM処理後のリンス処理工程では、窒素ガスにより上方から下方への気体の流れを形成することによって当該空間内からヒュームを除去するようにしている。しかしながら、このような方法では、当該空間内の雰囲気の置換効率が低く、十分な置換を行うことが困難であった。すなわち、次の工程に移行するために当該空間を開放するためには、予め当該空間内からヒュームを除去しておく必要があるが、置換効率が低いとヒュームを除去するために多くの時間が費やされる。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、薬液処理後の雰囲気の置換効率を向上させることができる液処理装置および液処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基板を水平に保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された基板を上方から覆い、前記基板保持部に保持された基板を覆う処理空間を形成する回転可能な天板と、前記処理空間において前記基板保持部に保持された基板に対して薬液を供給する薬液ノズルと、前記処理空間の雰囲気を置換するための置換ガスを当該処理空間に供給する置換ノズルと、前記置換ノズルを支持し、前記処理空間内に進出した進出位置と前記処理空間から外方に退避した退避位置との間で水平方向に移動する置換ノズル支持アームと、を備え、前記置換ノズルは、置換ガスを上方に吐出するように構成されていることを特徴とする液処理装置を提供する。
【0010】
本発明は、基板を水平に保持する回転可能な基板保持部と、前記基板保持部に保持された基板を上方から覆い、前記基板保持部に保持された基板を覆う処理空間を形成する回転可能な天板と、前記処理空間において前記基板保持部に保持された基板に対して薬液を供給する薬液ノズルと、前記処理空間の雰囲気を置換するための置換ガスを当該処理空間に供給する置換ノズルと、前記置換ノズルを支持し、前記処理空間内に進出した進出位置と前記処理空間から外方に退避した退避位置との間で水平方向に移動する置換ノズル支持アームと、を備え、前記置換ノズルは、置換ガスを基板の回転方向に沿って水平方向に吐出するように構成されていることを特徴とする液処理装置を提供する。
【0011】
本発明は、基板を水平姿勢で保持する工程と、保持された基板の上方を回転する天板で覆い、基板を覆う処理空間を形成する工程と、前記処理空間において前記基板に薬液を供給することにより基板の薬液処理を行う工程と、薬液処理が行われた前記処理空間の雰囲気を置換するための置換ガスを供給する置換ノズルを支持する置換ノズル支持アームを、前記処理空間の外方に退避した退避位置から前記処理空間内に進出した進出位置に水平方向に移動させる工程と、前記処理空間内に進出した前記置換ノズル支持アームに支持された前記置換ノズルから当該処理空間に置換ガスを供給する工程と、を備えたことを特徴とする液処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液処理装置および液処理方法によれば、薬液処理後の雰囲気の置換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態による液処理装置を含む液処理システムを上方から見た上面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態による液処理装置の側面図である。
【図3】図3は、図2に示す液処理装置のA−A矢視による上面図である。
【図4】図4は、図2に示す液処理装置のB−B矢視による上面図である。
【図5】図5は、図2に示す液処理装置における基板保持部およびその周辺に位置する構成要素を示す縦断面図である。
【図6】図6は、図2に示す液処理装置における天板およびその周辺に位置する構成要素を示す縦断面図である。
【図7】図7は、図2に示す液処理装置におけるエアフードおよびその周辺に位置する構成要素を示す縦断面図である。
【図8】図8は、図2に示す液処理装置における各ノズルおよび各ノズル支持アームの構成を示す説明図である。
【図9】図9(a)〜(f)は、図2に示す液処理装置により行われるウエハの洗浄処理の一連の工程を順次示す説明図である。
【図10】図10(g)〜(j)は、図2に示す液処理装置により行われるウエハの洗浄処理の一連の工程を順次示す説明図である。
【図11】図11は、図2に示す液処理装置により行われる雰囲気置換工程時の処理空間内を示す側面図である。
【図12】図12は、図8に示す置換ノズルおよび置換ノズル支持アームの他の構成を示す説明図である。
【図13】図13は、図2に示す液処理装置における天板の他の構成を示す縦断面図である。
【図14】図14は、図2に示す液処理装置における天板およびカップ外周筒の他の構成を示す縦断面図である。
【図15】図15は、図2に示す液処理装置における天板収納部の他の構成を示す縦断面図である。
【図16】図16(g)〜(l)は、本発明の第2の実施の形態によるウエハの洗浄処理の一連の工程を順次示す説明図である。
【図17】図17(m)、(n)は、本発明の第2の実施の形態によるウエハの洗浄処理の一連の工程を順次示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
まず、図1を用いて、本発明の第1の実施の形態による液処理装置を含む液処理システムについて説明する。図1に示すように、液処理システムは、外部から被処理基板としての半導体ウエハ等の基板W(以下、ウエハWともいう)を収容したキャリアを載置するための載置台101と、キャリアに収容されたウエハWを取り出すための搬送アーム102と、搬送アーム102によって取り出されたウエハWを載置するための棚ユニット103と、棚ユニット103に載置されたウエハWを受け取り、当該ウエハWを液処理装置10内に搬送する搬送アーム104と、を備えている。図1に示すように、液処理システムには、複数(図1に示す態様では4個)の液処理装置10が設けられている。
【0016】
次に、本実施の形態による液処理装置10の概略的な構成について図2乃至図4を用いて説明する。
【0017】
図2乃至図4に示すように、本実施の形態による液処理装置10は、ウエハWが収容され、この収容されたウエハWの液処理が行われるチャンバ20と、チャンバ20に隣接して形成された待機領域80と、を備えている。なお、本実施の形態による液処理装置10では、チャンバ20と待機領域80とを隔てる区画壁は設けられておらず、チャンバ20および待機領域80は連通している。図2に示すように、チャンバ20内には、ウエハWを水平状態で保持して回転させるための基板保持部21が設けられており、この基板保持部21に保持されたウエハWの径方向周囲にはリング状の回転カップ40が配設されている。回転カップ40は、ウエハWの液処理を行う際に当該ウエハWに供給された後の処理液を受けるために設けられている。また、図2および図3に示すように、チャンバ20内において回転カップ40の径方向周囲には円筒状のカップ外周筒50が配設されている。後述するように、このカップ外周筒50はウエハWの処理状況に応じて昇降可能となっている。これらの基板保持部21、回転カップ40およびカップ外周筒50の構成の詳細については後に説明する。
【0018】
また、図2に示すように、液処理装置10には、処理液または後述する置換ガスを供給するためのノズル(進退ノズル)82a〜82cおよびこのノズル82a〜82cを支持するノズル支持アーム82が設けられている。図3に示すように、1つの液処理装置10には複数(具体的には例えば3つ)のノズル支持アーム82が設けられており、各ノズル支持アーム82の先端にそれぞれノズル82a〜82cが設けられている。また、図2および図3に示すように、各ノズル支持アーム82にはアーム支持部82fが設けられており、各アーム支持部82fは図示しない駆動機構によって図2における左右方向に駆動されるようになっている。このことにより、各ノズル支持アーム82は、対応する側面開口50m(後述)を介してカップ外周筒50内に進出した進出位置と、カップ外周筒50から外方退避した退避位置との間で水平方向に直線移動を行うようになっている(図2および図3における各ノズル支持アーム82に設けられた矢印参照)。
【0019】
また、図2および図4に示すように、基板保持部21に保持されたウエハWを上方から覆うための天板32が水平方向に移動自在に設けられている。より具体的には、天板32は、図4の実線に示すような、基板保持部21により保持されたウエハWを上方から覆う進出位置と、図4の二点鎖線に示すような、水平方向において進出位置から退避した位置である退避位置との間で往復移動を行うようになっている。天板32の構成の詳細については後に説明する。
【0020】
また、図2に示すように、チャンバ20内には、基板保持部21に保持されたウエハWを覆う処理空間30を形成する処理空間形成体31が設けられている。本実施の形態においては、処理空間形成体31は、上述した天板32とカップ外周筒50とを有している。すなわち、天板32とカップ外周筒50とにより、処理空間30が形成されるようになっている。そして、この処理空間30内において、ノズル82a〜82cは処理液または置換ガスを供給するようになっている。
【0021】
また、図2に示すように、基板保持部21に保持されたウエハWを上方から覆うためのエアフード70が昇降自在に設けられている。このエアフード70から、N2ガス(窒素ガス)やクリーンエア等の清浄化されたガスが下方向に流されるようになっている。より具体的には、エアフード70は、基板保持部21により保持されたウエハWを上方から覆う下降位置と、下降位置よりも上方に位置する上昇位置との間で昇降自在に設けられている。なお、図2では、エアフード70が上昇位置に位置しているときの状態を示している。エアフード70の構成の詳細については後に説明する。
【0022】
また、図2および図3に示すように、カップ外周筒50の外側における待機領域80の底部には排気部58が設けられており、この排気部58により待機領域80内の雰囲気の排気が行われるようになっている。具体的には、各ノズル支持アーム82を駆動するための駆動機構(図示せず)から発生するパーティクルを排気部58により引くことができるようになっている。
【0023】
また、図3および図4に示すように、液処理装置10のチャンバ20および待機領域80のメンテナンス用の開口にはシャッター60、62がそれぞれ設けられている。チャンバ20および待機領域80にそれぞれメンテナンス用のシャッター60、62が設けられていることにより、これらのチャンバ20内や待機領域80内の機器を個別にメンテナンスすることができる。
【0024】
また、図3に示すように、液処理装置10の側壁には、搬送アーム104によりチャンバ20内へウエハWを搬入したりチャンバ20からウエハWを搬出したりするための開口94aが設けられており、この開口94aには、当該開口94aを開閉するためのシャッター94が設けられている。
【0025】
次に、図2乃至図4に示すような液処理装置10の各構成要素の詳細について図5乃至図8を用いて説明する。
【0026】
まず、図5を参照して、基板保持部21について説明する。図5は、液処理装置10の各構成要素のうち、基板保持部21およびその周辺に位置する構成要素を示す縦断面図である。
【0027】
図5に示すように、基板保持部21は、ウエハWを保持するための円板形状の保持プレート26と、保持プレート26の上方に設けられた円板形状のリフトピンプレート22とを備えている。リフトピンプレート22の上面には、ウエハWを下方から支持するためのリフトピン23が周方向に等間隔で3つ設けられている。なお、図5では2つのリフトピン23のみを表示している。また、リフトピンプレート22の下方にはピストン機構24が設けられており、このピストン機構24によりリフトピンプレート22が昇降するようになっている。より具体的には、搬送アーム104(図1参照)によりウエハWをリフトピン23上に載置したりリフトピン23上からウエハWを取り出したりするときには、ピストン機構24によりリフトピンプレート22が図5に示すような位置から上方に移動させられ、このリフトピンプレート22は回転カップ40よりも上方に位置するようになる。一方、チャンバ20内でウエハWの液処理や乾燥処理等を行う際には、ピストン機構24によりリフトピンプレート22が図5に示すような下降位置に移動させられ、ウエハWの周囲に回転カップ40が位置するようになる。
【0028】
保持プレート26には、ウエハWを側方から支持するための保持部材25が周方向に等間隔で3つ設けられている。なお、図5では2つの保持部材25のみを表示している。各保持部材25は、リフトピンプレート22が上昇位置から図5に示すような下降位置に移動したときにこのリフトピン23上のウエハWを側方から支持し、このウエハWをリフトピン23からわずかに離間させるようになっている。
【0029】
また、リフトピンプレート22および保持プレート26の中心部分にはそれぞれ貫通穴が形成されており、これらの貫通穴を通るよう処理液供給管28が設けられている。この処理液供給管28は、保持プレート26の各保持部材25により保持されたウエハWの裏面に薬液や純水等の様々な種類の処理液を供給するようになっている。また、処理液供給管28はリフトピンプレート22と連動して昇降するようになっている。処理液供給管28の上端には、リフトピンプレート22の貫通穴を塞ぐよう設けられたヘッド部分28aが形成されている。また、図5に示すように、処理液供給管28には処理液供給部29が接続されており、この処理液供給部29により処理液供給管28に様々な種類の処理液が供給されるようになっている。
【0030】
また、保持プレート26にはリング状の回転カップ40が取り付けられており、これによって、図示しない接続部により、回転カップ40は、保持プレート26と一体的に回転するようになっている。回転カップ40は、図5に示すように、保持プレート26の各保持部材25により支持されたウエハWを側方から囲うよう設けられている。このため、回転カップ40は、ウエハWの液処理を行う際にこのウエハWから側方に飛散した処理液を受けることができるようになっている。
【0031】
また、回転カップ40の周囲には、ドレインカップ42が設けられている。ドレインカップ42はリング状に形成されている。また、ドレインカップ42は上部に開口を有している。ここで、ドレインカップ42はチャンバ20内においてその位置が固定されている。
【0032】
図5に示すように、ドレインカップ42の下方には、処理空間30内の雰囲気を排出する排出部46が設けられている。具体的には、処理空間30内の雰囲気と共に、ウエハWから側方に飛散した所定の処理液、例えば後述するSPM液や純水が排出部46に送られるようになっている。また、図5に示すように、排出部46には気液分離部48が接続されている。そして、図5に示すように、気液分離部48において排出部46から送られた処理液およびガスが分離されて排液および排気が行われるようになっている。
【0033】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、チャンバ20内においてドレインカップ42の周囲にカップ外周筒50が設けられている。図5に示すように、カップ外周筒50の上部には、このカップ外周筒50を支持するための支持部材53が連結されており、支持部材53には当該支持部材53を昇降させる駆動機構54が設けられている。そして、駆動機構54により支持部材53を昇降させることにより、カップ外周筒50は、図5に示すような、カップ外周筒50の上端が回転カップ40の上方にあるような上昇位置と、上昇位置よりも下方に位置する下降位置との間で昇降可能となっている。また、図3および図5に示すように、カップ外周筒50の側面には、ノズル支持アーム82が通過可能な複数の側面開口50mが設けられている。また、図5に示すように、カップ外周筒50の上部にも上部開口50nが形成されている。この上部開口50nは、カップ外周筒50が上昇位置にあるとともに天板32が進出位置にあるときに、この天板32により塞がれるようになっている。
【0034】
また、図5に示すように、チャンバ20内には、カップ外周筒50を洗浄するための洗浄部52が設けられている。この洗浄部52は、純水等の洗浄液を貯留するための貯留部分52aを有しており、カップ外周筒50が下降位置にあるときにこのカップ外周筒50が貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになっている。洗浄部52は、貯留部分52aに貯留された洗浄液にカップ外周筒50が浸されることにより、このカップ外周筒50の洗浄を行うようになっている。
【0035】
貯留部分52aには図示しない洗浄液供給管が接続されており、この洗浄液供給管により貯留部分52aに洗浄液が連続的に送られるようになっている。また、貯留部分52aの側部にはドレイン管52bが設けられており、このドレイン管52bにより貯留部分52a内の洗浄液が排出されるようになっている。すなわち、洗浄液供給管により貯留部分52aに洗浄液が連続的に送られ、この貯留部分52a内の洗浄液がドレイン管52bにより排出されることにより、貯留部分52aに貯留される洗浄液が清浄化されるようになっている。
【0036】
図3に示すように、本実施の形態においては、1つの液処理装置10に複数(具体的には例えば3つ)のノズル支持アーム82が設けられており、各ノズル支持アーム82の先端にノズル82a〜82cが設けられている。また、図2に示すように、各ノズル支持アーム82にはアーム支持部82fが設けられており、各アーム支持部82fは図示しない駆動機構によって図2における左右方向に駆動されるようになっている。このことにより、各ノズル支持アーム82は、対応する側面開口50mを通過してカップ外周筒50内に進出した進出位置と、カップ外周筒50内から退避した退避位置との間で水平方向に直線移動を行うようになっている(図2および図3における各ノズル支持アーム82に設けられた矢印参照)。
【0037】
また、図2および図3に示すように、液処理装置10内にはアーム洗浄部88が設けられており、このアーム洗浄部88により各ノズル支持アーム82の洗浄が行われるようになっている。より詳細には、アーム洗浄部88の位置は固定されるとともに、洗浄液が収容される収容部分(図示せず)がアーム洗浄部88に設けられている。そして、各ノズル支持アーム82が進出位置から退避位置に移動するとき、または退避位置から進出位置に移動するときに、収容部分に収容された洗浄液に各ノズル支持アーム82の一部が接触しながら当該ノズル支持アーム82が移動することによりノズル支持アーム82の洗浄が行われるようになっている。
【0038】
3つのノズル支持アーム82(82p〜82r)のノズル82a〜82cの詳細について、図8を参照して以下に説明する。
【0039】
図8(a)に示すように、3つのノズル支持アーム82のうち第1のノズル支持アーム(薬液ノズル支持アーム)82pのノズル(薬液ノズル)82aは下向きとなっており、この第1のノズル支持アーム82pのノズル82aからは硫酸と過酸化水素水とを混合して得たSPM液(薬液)がウエハWに向かって下方に吐出されるようになっている。より詳細には、第1のノズル支持アーム82p内にはノズル82aに接続された処理液供給管83aが設けられており、並列に設けられた過酸化水素水供給部83bおよび硫酸供給部83cがそれぞれ流量調整弁および開閉弁を介して処理液供給管83aに接続されている。また、硫酸供給部83cから供給された硫酸を加熱するためのヒータ83dが設けられている。そして、過酸化水素水供給部83bおよび硫酸供給部83cから供給された過酸化水素水および硫酸が混合され、この硫酸と過酸化水素水とを混合して得たSPM液が処理液供給管83aを介して第1のノズル支持アーム82pのノズル82aに送られるようになっている。また、硫酸供給部83cから供給された硫酸をヒータ83dにより加熱するとともに、硫酸と過酸化水素水とが混合したときの化学反応により反応熱が生じる。それによって、第1のノズル支持アーム82pのノズル82aから吐出されるSPM液は、例えば100℃以上、好ましくは170℃程度の高温となる。
【0040】
また、図8(b)に示すように、3つのノズル支持アーム82のうち第2のノズル支持アーム(リンスノズル支持アーム)82qのノズル(リンスノズル)82bは下向きとなっており、この第2のノズル支持アーム82qのノズル82bからは加熱された純水(リンス液)がウエハWに向かって下方に吐出されるようになっている。より詳細には、第2のノズル支持アーム82q内にはノズル82bに接続された処理液供給管85aが設けられており、並列に設けられた純水供給部85bおよび純水供給部85cがそれぞれ流量調整弁および開閉弁を介して処理液供給管85aに接続されている。また、純水供給部85bから供給された純水を加熱するためのヒータ85dが設けられている。そして、純水供給部85bから供給された純水をヒータ85dにより加熱して、処理液供給管85aを介して第2のノズル支持アーム82qのノズル82bに加熱された純水が送られるようになっている。なお、第2のノズル支持アーム82qのノズル82bから吐出される純水は、第1のノズル支持アーム82pのノズル82aから吐出されるSPM液よりも低温となっており、具体的には例えば80℃未満となっている。また、純水供給部85cから供給された常温の純水を第2のノズル支持アーム82qのノズル82bに送ることもできる。
【0041】
また、図8(c)に示すように、3つのノズル支持アーム82のうち第3のノズル支持アーム(置換ノズル支持アーム)82rのノズル(置換ノズル)82cは上向きとなっており、この第3のノズル支持アーム82rのノズル82cからは処理空間30内の雰囲気を置換するための置換ガス(例えば、空気(AIR)またはN2ガス)が上方に吐出されるようになっている。より詳細には、第3のノズル支持アーム82r内にはノズル82cに接続された置換ガス供給管87aが設けられており、置換ガス供給部87bが流量調整弁および開閉弁を介して置換ガス供給管87aに接続されている。そして、置換ガス供給部87bから供給された空気等の置換ガスが置換ガス供給管87aを介して第3のノズル支持アーム82rのノズル82cに送られるようになっている。
【0042】
また、本実施の形態においては、第3のノズル支持アーム(置換ノズル支持アーム)82rの高さレベルは、第2のノズル支持アーム(リンスノズル支持アーム)82qの高さレベルよりも高くなっており、第3のノズル支持アーム82rおよび第2のノズル支持アーム82qが同時にカップ外周筒50内に進出したときにアーム同士が衝突または干渉しないようになっている。このようにして、第3のノズル支持アーム82rおよび第2のノズル支持アーム82qは、カップ外周筒50内のそれぞれの進出位置に同時に進出可能になっている。このため、第3のノズル支持アーム82rのノズル82cにより処理空間30内に置換ガスを供給する工程と、第2のノズル支持アーム82qのノズル82bによりウエハWに対して純水を供給する工程を同時に行うことができるようになっている。
【0043】
また、各ノズル支持アーム82が退避位置にあるときに、当該ノズル支持アーム82の先端部分が、上昇位置にあるときのカップ外周筒50の対応する側面開口50mを塞ぎ、カップ外周筒50の昇降の妨げにならない程度にカップ外周筒50に近接している。このことにより、カップ外周筒50内の雰囲気が側面開口50mからカップ外周筒50の外部に漏れ出ることを防止することができる。
【0044】
次に、天板32およびその周辺に位置する構成要素の詳細の構造について図6を用いて説明する。図6は、天板32およびその周辺に位置する構成要素の構造を示す側断面図である。
【0045】
図6に示すように、天板32は天板保持アーム35により保持されるようになっている。また、天板32の上部には回転軸34が取り付けられており、この回転軸34と天板保持アーム35との間にはベアリング34aが設けられている。このため、回転軸34は天板保持アーム35に対して回転することができるようになっている。また、回転軸34にはプーリ34bが取り付けられている。一方、天板保持アーム35の基端部にはサーボモータ36が設けられており、このサーボモータ36の先端にもプーリ36bが設けられている。そして、回転軸34のプーリ34bおよびサーボモータ36のプーリ36bには1本の無端状のタイミングベルト36aが張架されており、このタイミングベルト36aにより、サーボモータ36による回転駆動力が回転軸34に伝達され、天板32が回転軸34を中心として回転するようになっている。なお、サーボモータ36にはケーブル36cが接続されており、このケーブル36cにより液処理装置10の筐体の外部からサーボモータ36に電力が供給されるようになっている。これらの回転軸34、タイミングベルト36a、サーボモータ36等により、水平面上で天板32を回転させる天板回転機構が構成されている。
【0046】
また、図4および図6に示すように、天板保持アーム35の基端には旋回軸37が設けられており、天板保持アーム35は旋回軸37を中心として回動するようになっている。このことにより、天板32は、図4の実線に示すような、基板保持部21により保持されたウエハWを上方から覆う進出位置と、図4の二点鎖線に示すような、水平方向において進出位置から退避した位置である退避位置との間で往復移動を行うようになる。
【0047】
また、天板32の外径は、カップ外周筒50の内径よりもわずかに小さくなっている。天板32が進出位置に移動した後、カップ外周筒50が下降位置から上昇位置に上昇すると、カップ外周筒50の上端が天板32よりもわずかに高い位置に上昇することができる。そのため、天板32がカップ外周筒50内に収容されるようになっている。
【0048】
また、図2および図4に示すように、液処理装置10の待機領域80には、天板32が退避位置に退避したときに当該天板32を収納する天板収納部38が設けられている。この天板収納部38の側方には開口が形成されており、天板32が進出位置から退避位置に移動したときにこの天板32は天板収納部38の側方の開口を介して天板収納部38内に完全に収納されるようになっている。また、天板収納部38には排気部39が設けられており、天板収納部38内の雰囲気は常に排気部39により排気されるようになっている。このことにより、ウエハWの液処理を行う際に天板32の下面にSPM液等の処理液の液滴が付着した場合でも、この天板32が天板収納部38内に収納されたときにはSPM液等の処理液の雰囲気は排気部39により排気されるので、処理液の雰囲気が待機領域80やチャンバ20内に流出することはない。
【0049】
次に、エアフード70およびその周辺に位置する構成要素の詳細の構造について図7を用いて説明する。図7は、エアフード70およびその周辺に位置する構成要素の構造を示す側断面図である。
【0050】
図7に示すように、エアフード70は、下部が開口したケーシング72と、ケーシング72の下部に設けられ複数の開口77aを有するパンチング板等の下板77とを備えており、ケーシング72内にはフィルター76が一層または複数層設けられている。また、ケーシング72の上部には可撓性のダクト74が接続されており、このダクト74は液処理装置10の筐体の外部の環境に連通している。また、ダクト74の基端部にはケーシング72内にガスを送り込むためのファン(図示せず)が設けられている。また、下板77には、ケーシング72内のガスを下方に流すための開口77aが設けられている。このことにより、液処理装置10の筐体の外部の環境からダクト74を経由してケーシング72内にガスが送られ、ケーシング72内においてフィルター76によりガスに含まれるパーティクルが除去された後、下板77の開口77aにより清浄化されたガスが下方に流れるようになっている。
【0051】
また、図7に示すように、エアフード70には、当該エアフード70を昇降させるエアフード昇降機構78が設けられている。このエアフード昇降機構78により、エアフード70は、基板保持部21に保持されたウエハWを上方から覆う下降位置と、下降位置よりも上方に位置する上昇位置との間で昇降するようになっている。なお、前述したように、図2では、エアフード70が上昇位置に位置しているときの状態を示している。
【0052】
また、図2に示すように、液処理装置10は、その全体の動作を統括制御するコントローラ200を有している。コントローラ200は、液処理装置10の全ての機能部品(例えば、基板保持部21、ピストン機構24、サーボモータ36、エアフード昇降機構78等)の動作を制御する。コントローラ200は、ハードウエアとして例えば汎用コンピュータと、ソフトウエアとして当該コンピュータを動作させるためのプログラム(装置制御プログラムおよび処理レシピ等)とにより実現することができる。ソフトウエアは、コンピュータに固定的に設けられたハードディスクドライブ等の記憶媒体に格納されるか、あるいはCD−ROM、DVD、フラッシュメモリ等の着脱可能にコンピュータにセットされる記憶媒体に格納される。このような記憶媒体が図2において参照符号201で示されている。プロセッサ202は必要に応じて図示しないユーザーインターフェースからの指示等に基づいて所定の処理レシピを記憶媒体201から呼び出して実行させ、これによってコントローラ200の制御の下で液処理装置10の各機能部品が動作して所定の処理が行われる。コントローラ200は、図1に示す液処理システム全体を制御するシステムコントローラであってもよい。
【0053】
次に、上述した液処理装置10を用いて、ウエハWの上面にある不要なレジスト膜を除去する洗浄処理の一連の工程について図9および図10を用いて説明する。以下に示す洗浄処理の一連の工程は、コントローラ200が液処理装置10の各機能部品の動作を制御することにより行われる。
【0054】
まず、図9(a)に示すように、天板32を退避位置に移動させ、この天板32を天板収納部38に収納させる。また、エアフード70を図2に示す上昇位置から下降させ、下降位置に位置させる。また、カップ外周筒50を下降位置に移動させ、基板保持部21の側方を開くようにする。このような状態で、基板保持部21におけるリフトピンプレート22および処理液供給管28を図5に示す位置から上方に移動させることと、チャンバ20の開口94aに設けられたシャッター94をこの開口94aから退避させることにより開口94aを開くことを行う。そして、液処理装置10の外部からウエハWが搬送アーム104により開口94aを介してチャンバ20内に搬送され、このウエハWがリフトピンプレート22のリフトピン23上に載置され、その後、搬送アーム104はチャンバ20から退避する。この際に、各ノズル支持アーム82はチャンバ20から退避した退避位置に位置している。すなわち、各ノズル支持アーム82は待機領域80で待機している。また、エアフード70からチャンバ20内にクリーンエア等のガスが常にダウンフローで送られ、このガスが排気されることにより、チャンバ20内の雰囲気の置換が行われるようになっている。なお、以下に示す各工程においても、エアフード70からダウンフローでガスが送り続けられている。
【0055】
次に、リフトピンプレート22および処理液供給管28を下方に移動させ、これらのリフトピンプレート22および処理液供給管28を図5に示すような下降位置に位置させる。この際に、保持プレート26に設けられた各保持部材25が、リフトピン23上のウエハWを側方から支持し、このウエハWをリフトピン23からわずかに離間させる。このようにして、基板保持部21によりウエハWが水平姿勢で保持される。
【0056】
その後に、またはリフトピンプレート22が下降した後に、図9(b)に示すように、エアフード70を下降位置から上昇位置に移動させ、その後、天板32を退避位置から進出位置に移動させる。このことにより、基板保持部21により保持されたウエハWは天板32によって覆われるようになる。天板32が進出位置に移動した後、図9(c)に示すように、カップ外周筒50を下降位置から上昇させて上昇位置に位置させる。より詳細には、カップ外周筒50の上端が天板32よりもわずかに高い位置になるよう、天板32をカップ外周筒50内に収容するようにする。このことにより、ウエハWの周囲には、天板32とカップ外周筒50とによってウエハWを覆い、外部から隔離された処理空間30が形成される。その後、サーボモータ36によって天板32に回転駆動力を与えることにより、天板32を水平面に沿って回転軸34を中心として回転させる。
【0057】
そして、カップ外周筒50が上昇位置に移動した後、待機領域80で待機している3つのノズル支持アーム82のうち第1のノズル支持アーム(薬液ノズル支持アーム)82pがカップ外周筒50の対応する側面開口50mを介してチャンバ20内に進出する(図9(d)参照)。この際に、第1のノズル支持アーム82pは直線移動を行う。
【0058】
次に、基板保持部21における保持プレート26およびリフトピンプレート22を回転させる。このことにより、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWも回転する。そして、ウエハWが回転した状態で、カップ外周筒50内に進出した第1のノズル支持アーム82pのノズル(薬液ノズル)82aからウエハWの上面にSPM液を供給する。ここで、ウエハWの上面に供給されるSPM液は高温、具体的には例えば100℃以上、好ましくは170℃程度となっている。このようにして、処理空間30内において、ウエハWの上面にSPM液が供給され、ウエハWのSPM処理(薬液処理)が行われる。この薬液処理工程によって、ウエハWの表面のレジストがSPM液によって剥離され、SPM液とともに剥離されたレジストが、回転するウエハWの遠心力によってウエハWの径方向周囲に飛散し、排出部46に送られて回収される。ここで、第1のノズル支持アーム82pのノズル82aからウエハWに向かってSPM液を吐出させながらこのノズル82aを図9(d)における左右方向に移動させることにより、ウエハWの全域にわたってまんべんなく均一にSPM液を供給することができるようになる。
【0059】
ウエハWに対してSPM処理が行われるときに、天板32およびカップ外周筒50の内側に処理空間30が形成されていることにより、この処理空間30内の雰囲気が外部に出ることを防ぐことができる。また、天板32が水平面に沿って回転していることにより、天板32に付着したSPM液等の処理液の液滴は遠心力によってカップ外周筒50の内壁面に送られ、このカップ外周筒50の内壁面に沿って自重により落下することにより、SPM液等の処理液の液滴がウエハWに再付着することが抑制される。
【0060】
その後、ウエハWに対するSPM処理が終了すると、図9(e)に示すように、カップ外周筒50内に進出した第1のノズル支持アーム82pはこのチャンバ20から退避して待機領域80で待機するようになる。この際に、ウエハWおよび天板32は回転し続けている。また、第1のノズル支持アーム82pがカップ外周筒50内から退避して退避位置に移動する際に、アーム洗浄部88により第1のノズル支持アーム82pの洗浄が行われる。このことにより、第1のノズル支持アーム82pに付着したSPM液等の汚れを除去することができる。
【0061】
次に、待機領域80で待機している3つのノズル支持アーム82のうち第2のノズル支持アーム(リンスノズル支持アーム)82qがカップ外周筒50の対応する側面開口50mを介してチャンバ20内に進出する(図9(f)参照)。この際、第2のノズル支持アーム82qは直線移動を行う。また、第2のノズル支持アーム82qと同時に、第3のノズル支持アーム(置換ノズル支持アーム)82rがカップ外周筒50の対応する側面開口50mを介してチャンバ20内に進出する。この際、第3のノズル支持アーム82rは直線移動を行う。なお、第3のノズル支持アーム82rの高さレベルは、第2のノズル支持アーム82qの高さレベルよりも高くなっており、第3のノズル支持アーム82rおよび第2のノズル支持アーム82qが同時にカップ外周筒50内に進出したときにアーム同士が衝突または干渉しないようになっている(図11参照)。このため、後述するように、第2のノズル支持アーム82qのノズル(リンスノズル)82bによりウエハWに対して加熱された純水を供給して、ウエハWのホットリンス処理を行う工程と、第3のノズル支持アーム82rのノズル(置換ノズル)82cにより処理空間30内に置換ガスを供給して、処理空間30内の雰囲気を置換する工程と、を同時に行うことができる。
【0062】
そして、ウエハWおよび天板32が回転した状態で、カップ外周筒50内に進出した第2のノズル支持アーム82qのノズル82bからウエハWの中心に向けて、加熱された純水(例えば、80℃)を供給する。この際に、ウエハWの下面(裏面)に向かって処理液供給管28から加熱された純水(リンス液)を供給する。このようにして、ウエハWに対してホットリンス処理が行われる。
【0063】
ホットリンス処理が行われている間、カップ外周筒50内に進出した第3のノズル支持アーム82rのノズル82cから処理空間30内に置換ガスを供給する。この際、ノズル82cは、置換ガスを上方に吐出しており、ドレインカップ42の下方に設けられた排出部46によって、処理空間30内の雰囲気が、回転するウエハWの遠心力によってウエハWの径方向周囲に飛散した純水と共に排出される。
【0064】
ウエハWに対するホットリンス処理が終了した後、第3のノズル支持アーム82rがカップ外周筒50内から退避して退避位置に移動する。この際、アーム洗浄部88により第3のノズル支持アーム82rの洗浄が行われる。このことにより、第3のノズル支持アーム82rに付着した汚れを除去することができる。
【0065】
次に、ウエハWおよび天板32が回転した状態で、カップ外周筒50内に進出している第2のノズル支持アーム82qのノズル82bからウエハWの中心に向けて、常温の純水を供給する。この際に、ウエハWの下面(裏面)に向かって処理液供給管28から常温の純水を供給する。このことにより、ウエハWに対してリンス処理が行われる。
【0066】
ウエハWに対するリンス処理が終了した後、図10(g)に示すように、第2のノズル支持アーム82qがカップ外周筒50内から退避して退避位置に移動する。この際、アーム洗浄部88により第2のノズル支持アーム82qの洗浄が行われる。このことにより、第2のノズル支持アーム82qに付着した汚れを除去することができる。その後、ウエハWを高速回転させることにより、処理空間30内でウエハWの乾燥処理が行われる。
【0067】
ウエハWの乾燥処理が終了すると、図10(h)に示すように、天板32の回転を止め、カップ外周筒50が上昇位置から下降して下降位置に位置するようになる。カップ外周筒50が下降位置に移動すると、このカップ外周筒50は洗浄部52の貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになる。このことにより、カップ外周筒50の洗浄が行われ、ウエハWのSPM処理を行う際に飛散したSPM液等の処理液の液滴がカップ外周筒50の内側壁に残留してしまうことを防止することができる。
【0068】
次に、図10(i)に示すように、天板32を進出位置から退避位置に移動させ、この天板32を天板収納部38に収納させる。ここで、天板収納部38内の雰囲気は常に排気部39により排気されるようになっているため、ウエハWのSPM処理を行う際に天板32の下面にSPM液等の処理液の液滴が付着した場合でも、この天板32が天板収納部38内に収納されたときにはSPM液等の処理液の雰囲気は排気部39により排気されるので、SPM液の雰囲気が待機領域80やチャンバ20内に流出することはない。
【0069】
そして、図10(j)に示すように、エアフード70が上昇位置から下降して下降位置に位置し、基板保持部21の側方が開かれるようになる。その後、ウエハWの回転を止め、基板保持部21におけるリフトピンプレート22および処理液供給管28を図5に示す位置から上方に移動させることと、チャンバ20の開口94aに設けられたシャッター94をこの開口94aから退避させることにより開口94aを開くことを行う。そして、開口94aを介して液処理装置10の外部から搬送アーム104がチャンバ20内に入り、リフトピンプレート22のリフトピン23上にあるウエハWが搬送アーム104に移載される。その後、搬送アーム104により取り出されたウエハWは液処理装置10の外部に搬送される。このようにして、本実施の形態による一連のウエハWの液処理が完了する。
【0070】
このように本実施の形態によれば、処理空間30内においてウエハWに対してSPM処理が行われた後、この処理空間30内においてウエハWに対してホットリンス処理が行われ、このホットリンス処理が行われている間、ノズル(置換ノズル)82cによって処理空間30内に置換ガスが供給される。このことにより、処理空間30内の雰囲気を効率良く置換することができる。また、処理空間30内の雰囲気は排出部46によって排出されているため、処理空間30内の雰囲気は、より一層効率良く置換することができる。このため、ホットリンス処理時に、処理空間30内にSPM処理により発生して残存していたヒュームを処理空間30内から迅速に除去することができ、SPM処理後短時間で処理空間30を開放することが可能となり、次の工程に迅速に移行することができる。この結果、ウエハWの液処理時間を全体として短くすることができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、第3のノズル支持アーム(置換ノズル支持アーム)82rのノズル82cは、置換ガスを上方に突出する。また、排出部46は、ウエハWの周囲に設けられたドレインカップ42の下方に設けられている。すなわち、処理空間30の上部に置換ガスが供給されて、処理空間30の下部から処理空間30内の雰囲気が排出される。このことにより、処理空間30内の雰囲気を効率良く置換することができる。また、置換ガスを上方に吐出することにより、置換ガスを天板32にあてて処理空間30内に拡散させることができ、処理空間30内の雰囲気を効率良く置換することができる。とりわけ、天板32の回転により発生する旋回流によって、上方に吐出された置換ガスをより確実に処理空間30内に拡散させることができ、処理空間30内の雰囲気をより一層効率良く置換することができる。さらに、この場合、置換ガスがウエハW上に形成されている純水の液膜に直接吹き付けられることがないため、液膜が乱れることを防止することができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、置換ガスを供給するノズル82cを支持する第3のノズル支持アーム82rが、処理空間30内に進出した進出位置と処理空間30から外方に退避した退避位置との間で水平方向に移動するように構成されている。このことにより、置換ガスを供給する工程以外の工程では、第3のノズル支持アーム82rを退避位置に退避させることができ、第3のノズル支持アーム82rに、ヒュームなどの汚れが付着することを防止することができる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、カップ外周筒50が上昇位置にあるとともに天板32が進出位置にあるときに、ウエハWのSPM処理を行うための処理空間30が形成されるようになっている。このように、ウエハWに対してSPM処理が行われるときに、天板32およびカップ外周筒50の内側に閉じた処理空間30が形成されていることにより、この処理空間30内のヒュームを含む雰囲気が外部に漏れてチャンバ20内に拡散することを防ぐことができる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、第3のノズル支持アーム(置換ノズル支持アーム)82rの高さレベルは、第2のノズル支持アーム(リンスノズル支持アーム)82qの高さレベルより高くなっている。このことにより、第3のノズル支持アーム82rおよび第2のノズル支持アーム82qが同時にカップ外周筒50内に進出した場合であってもアーム同士が衝突または干渉しないようになっている。すなわち、第3のノズル支持アーム82rと第2のノズル支持アーム82qとを同時に処理空間30内に進出させることができ、ウエハWのホットリンス処理時に、処理空間30内の雰囲気を置換することができる。このため、処理空間30内に残存していたヒュームが処理空間30からチャンバ20に拡散されることを防止すると共に、ウエハWの液処理工程を、全体として短縮させることができる。
【0075】
また、本実施の形態によれば、カップ外周筒50の外方にアーム洗浄部88が設けられている。このことにより、処理空間30内の雰囲気の置換工程が終了した後、第3のノズル支持アーム82rを進出位置から退避位置に移動しながらこの第3のノズル支持アーム82rを洗浄することができ、第3のノズル支持アーム82rに付着したヒュームなどの汚れを除去することができる。さらに、第3のノズル支持アーム82rを退避位置から進出位置に進出させる際にも、アーム洗浄部88により第3のノズル支持アーム82rを洗浄することができる。このため、ヒュームなどの汚れがない清浄な第3のノズル支持アーム82rを処理空間30内の進出位置に進出させることができ、処理空間30内の雰囲気の置換効率をより一層向上させることができる。
【0076】
なお、本実施の形態による液処理装置は、上記の態様に限定されるものではなく、様々な変更を加えることができる。
【0077】
例えば、本実施の形態では、高温の処理液はSPM液に限定されることはない。ヒュームが発生する処理液であれば、高温の処理液として他の薬液を用いてもよい。他の薬液として、例えば、硫酸と硝酸を混合させたもの、硫酸とバッファード・フッ酸(BHF)を混合させたもの、あるいは硫酸と希釈されたバッファード・フッ酸(BHF)を混合させたものが用いられる。
【0078】
また、第3のノズル支持アーム82rのノズル82cは、置換ガスを上方に突出させる構成に限られることはない。例えば、ノズル82c図12に示すように、ノズル82cは、置換ガスをウエハWの回転方向に沿って水平方向に吐出するように構成されていてもよい。この場合、吐出された置換ガスは、ウエハWの回転により発生する旋回流に乗って流れるため、処理空間30内の雰囲気を効率良く置換することができる。
【0079】
また、図13に示すように、天板32を加熱するための天板加熱機構として、LEDランプ33が天板保持アーム35に設けられていてもよい。このときに、天板32が回転する際にもLEDランプ33は回転しないようになる。前述したように、SPM液は、ウエハWの上面に設けられたレジスト膜を除去するためにウエハWの上面に吐出されるが、SPM液がレジスト膜を除去する能力は、SPM液の温度が高いほど高められる。このため、天板32近傍にLEDランプ33を設け、このLEDランプ33により天板32を加熱することにより、基板保持部21に保持されたウエハW周囲の雰囲気も加熱され、ウエハWの上面に吐出されるSPM液も加熱される。このことにより、SPM液がレジスト膜を除去する能力を向上させることができるようになる。また、天板32の下面にSPM液が付着した場合でも、LEDランプ33によりこのSPM液を蒸発させることができる。このように、SPM液を加熱してその温度を高めた場合、発生するヒュームが増大して処理空間30内に残存し得るが、この場合であっても、ホットリンス処理時に処理空間30内の雰囲気を効率良く置換することができるため、処理空間30内からヒュームを迅速に除去することができる。
【0080】
また、図14に示すように、天板32の外径がカップ外周筒50の内径よりも大きくなっていてもよい。この場合には、天板32の下面には溝部32aが形成されており、天板32が進出位置に移動した後、カップ外周筒50が下降位置から上昇位置に上昇すると、天板32の下面に形成された溝部32aにカップ外周筒50の上端が入り込むようになる。この場合でも、ウエハWの周囲に、天板32とカップ外周筒50とによって外部から隔離された処理空間30を形成することができる。
【0081】
また、図15に示すように、天板収納部38には、当該天板収納部38に収納された天板32を洗浄するための天板洗浄機構38aが設けられていてもよい。具体的には、天板洗浄機構38aは、上方向を向いた複数のノズルからなり、各ノズルから純水等の洗浄液が上方に吐出されるようになっている。そして、天板32が天板収納部38に収納されたときに、天板洗浄機構38aの各ノズルから洗浄液が上方に吐出されることにより、天板32の下面の洗浄が行われる。また、天板収納部38には排液部38bが設けられており、天板洗浄機構38aの各ノズルから天板32に供給された純水等の洗浄液はこの排液部38bにより排出されるようになっている。
【0082】
また、本実施の形態においては、3つのノズル82a〜82cを支持する各ノズル支持アーム82がカップ外周筒50内の進出位置とこの進出位置から退避した退避位置との間で水平方向に移動する例について説明した。しかしながら、このような構成の代わりに、ウエハWに対してSPM液を供給するノズル(薬液ノズル)82aが天板32の下面に設置されていてもよい。この場合には、SPM液を供給するノズル82aやこのノズル82aを支持するノズル支持アーム(薬液ノズル支持アーム)82の設置を省略することができる。
【0083】
(第2の実施の形態)
次に、図16および図17により、本発明の第2の実施の形態による液処理装置を含む液処理システムについて説明する。
【0084】
図16および図17に示す第2の実施の形態においては、常温の純水を用いたウエハのリンス処理と乾燥処理が、カップ外周筒50とエアフード70とにより形成される第2の処理空間内において行われる点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図15に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図16および図17において、図1乃至図15に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0085】
本実施の形態においては、ウエハWに対するホットリンス処理(図9(f)参照)が終了した後、図16(g)に示すように、カップ外周筒50内に進出した第2のノズル支持アーム(リンスノズル支持アーム)82qはこのカップ外周筒50内から退避して待機領域80で待機するようになる。この際に、ウエハWは回転し続けている。また、第2のノズル支持アーム82qがカップ外周筒50内から退避して退避位置に移動する際に、アーム洗浄部88により第2のノズル支持アーム82qの洗浄が行われる。このことにより、第2のノズル支持アーム82qに付着した汚れを除去することができる。また、第2のノズル支持アーム82qがカップ外周筒50内から退避する前から、固定リンスノズル43によりウエハWの中心に向かって純水(例えば、80℃)が供給されるようになる。固定リンスノズル43によりウエハWの表面に液膜が形成されるので、ウエハWの表面が露出しないようになり、ウエハWの表面にパーティクルが付着することを防止することができるようになる。
【0086】
そして、図16(h)に示すように、天板32の回転を止め、カップ外周筒50が上昇位置から下降して下降位置に位置するようになる。この際に、固定リンスノズル43はウエハWの中心に向かって純水(例えば、80℃)を供給し続けている。カップ外周筒50が下降位置に移動すると、このカップ外周筒50は洗浄部52の貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになる。このことにより、カップ外周筒50の洗浄が行われ、ウエハWのSPM処理を行う際に飛散したSPM液等の処理液の液滴がカップ外周筒50の内側壁に残留してしまうことを防止することができる。
【0087】
その後、図16(i)に示すように、天板32を進出位置から退避位置に移動させ、この天板32を天板収納部38に収納させる。ここで、天板収納部38内の雰囲気は常に排気部39により排気されるようになっているため、ウエハWのSPM処理を行う際に天板32の下面にSPM液等の処理液の液滴が付着した場合でも、この天板32が天板収納部38内に収納されたときにはSPM液等の処理液の雰囲気は排気部39により排気されるので、SPM液の雰囲気が待機領域80やチャンバ20内に流出することはない。
【0088】
そして、図16(j)に示すように、洗浄部52により洗浄されたカップ外周筒50が下降位置から上昇して上昇位置に位置するようになる。この際に、固定リンスノズル43はウエハWの中心に向かって純水(例えば、80℃)を供給し続けている。その後、図16(k)に示すように、エアフード70が上昇位置から下降して下降位置に位置するようになる。より詳細には、カップ外周筒50の上端が、エアフード70の下板77の下面に接触または近接するようにする。このことにより、ウエハWの周囲には、エアフード70とカップ外周筒50とによってウエハWを覆い、外部から隔離された第2の処理空間90が形成される。後述するように、この第2の処理空間90は、エアフード70により清浄化されたガスが下方向に流れる空間である。
【0089】
その後、待機領域80で待機している3つのノズル支持アーム82のうち第2のノズル支持アーム82qがカップ外周筒50の側面開口50mを介してチャンバ20内に進出する(図16(l)参照)。この際に、第2のノズル支持アーム82qは直線移動を行う。そして、ウエハWが回転するとともにエアフード70により清浄化されたガスが第2の処理空間90内で流れている状態で、カップ外周筒50内に進出した第2のノズル支持アーム82qのノズル82bからウエハWの中心に向けて、常温の純水を供給する。この際に、ウエハWの下面(裏面)に向かって処理液供給管28から常温の純水を供給する。このことにより、ウエハWに対してリンス処理が行われる。
【0090】
ウエハWに対するリンス処理が終了した後、図17(m)に示すように、カップ外周筒50内に進出した第2のノズル支持アーム82qはこのカップ外周筒50内から退避して待機領域80で待機するようになる。また、第2のノズル支持アーム82qがカップ外周筒50内から退避して退避位置に移動する際に、アーム洗浄部88により第2のノズル支持アーム82qの洗浄が行われる。このことにより、第2のノズル支持アーム82qに付着した汚れを除去することができる。また、第2のノズル支持アーム82qがカップ外周筒50内から退避した後も、エアフード70により清浄化されたガスが第2の処理空間90内で流れ続けている。その後、ウエハWを高速回転させることにより、第2の処理空間90内でウエハWの乾燥処理が行われる。
【0091】
ウエハWの乾燥処理が終了すると、図17(n)に示すように、カップ外周筒50が上昇位置から下降して下降位置に位置するようになり、基板保持部21の側方が開かれるようになる。その後、ウエハWの回転を止め、基板保持部21におけるリフトピンプレート22および処理液供給管28を図5に示す位置から上方に移動させることと、チャンバ20の開口94aに設けられたシャッター94をこの開口94aから退避させることにより開口94aを開くことを行う。そして、開口94aを介して液処理装置10の外部から搬送アーム104がチャンバ20内に入り、リフトピンプレート22のリフトピン23上にあるウエハWが搬送アーム104に移載される。その後、搬送アーム104により取り出されたウエハWは液処理装置10の外部に搬送される。このようにして、本実施の形態による一連のウエハWの液処理が完了する。
【0092】
このように本実施の形態によれば、ウエハWに対してホットリンス処理が行われている間、処理空間30内の雰囲気が置換される。このことにより、処理空間30内からヒュームを除去することができ、ホットリンス処理後に処理空間30を開放して、カップ外周筒50とエアフード70とによる第2の処理空間90を形成し、この第2の処理空間90内において常温の純水を用いたリンス処理と乾燥処理を行うことができる。すなわち、エアフード70からのクリーンエアのダウンフローをウエハWの上面に向かって下方に流すことにより、リンス処理や乾燥処理の際に、ウエハW上を漂っているパーティクルがウエハWに付着することを防止することができる。このため、ウエハWを汚染させることなく様々な処理を実施することが可能となる。
【符号の説明】
【0093】
10 液処理装置
21 基板保持部
30 処理空間
31 処理空間形成体
32 天板
46 排出部
50 カップ外周筒
50m 側面開口
82 ノズル支持アーム
82a〜82c ノズル
88 アーム洗浄部
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板を上方から覆い、前記基板保持部に保持された基板を覆う処理空間を形成する回転可能な天板と、
前記処理空間において前記基板保持部に保持された基板に対して薬液を供給する薬液ノズルと、
前記処理空間の雰囲気を置換するための置換ガスを当該処理空間に供給する置換ノズルと、
前記置換ノズルを支持し、前記処理空間内に進出した進出位置と前記処理空間から外方に退避した退避位置との間で水平方向に移動する置換ノズル支持アームと、を備え、
前記置換ノズルは、置換ガスを上方に吐出するように構成されていることを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
前記天板は、前記基板保持部に保持された基板を上方から覆う進出位置と、前記進出位置から水平方向に退避した位置である退避位置との間で移動するように構成され、
前記基板保持部に保持された基板の径方向周囲に、筒状のカップ外周筒が配設され、
前記カップ外周筒は、上昇位置と、前記上昇位置よりも下方に位置する下降位置との間で昇降自在に構成されると共に、上部に前記天板により塞がれる上部開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記カップ外周筒の側面には、側面開口が形成されており、
前記置換ノズル支持アームは、前記カップ外周筒が前記上昇位置にあるときに当該カップ外周筒の前記側面開口を介して前記進出位置と前記退避位置との間で水平方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記処理空間において前記基板保持部に保持された基板に対してリンス液を供給するリンスノズルを更に備え、
前記カップ外周筒の側面には、前記側面開口が2つ形成されており、
前記リンスノズルを支持し、前記カップ外周筒が前記上昇位置にあるときに当該カップ外周筒の対応する前記側面開口を介して当該カップ外周筒内に進出した進出位置と前記カップ外周筒から外方に退避した退避位置との間で水平方向に移動するリンスノズル支持アームが設けられ、
前記置換ノズル支持アームの高さレベルは、前記リンスノズル支持アームの高さレベルよりも高くなっており、
前記置換ノズル支持アームと前記リンスノズル支持アームは、前記カップ外周筒内のそれぞれの前記進出位置に同時に進出可能になっていることを特徴とする請求項3に記載の液処理装置。
【請求項5】
前記カップ外周筒の外方に、前記置換ノズル支持アームが前記進出位置から前記退避位置に移動するとき、または前記退避位置から前記進出位置に移動するときに、当該置換ノズル支持アームを洗浄するアーム洗浄部が設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項6】
前記置換ノズルにより前記処理空間に供給される置換ガスは、空気または窒素ガスであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項7】
前記薬液ノズルにより基板に対して供給される薬液は、硫酸と過酸化水素水との混合液であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項8】
基板を水平に保持する回転可能な基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板を上方から覆い、前記基板保持部に保持された基板を覆う処理空間を形成する回転可能な天板と、
前記処理空間において前記基板保持部に保持された基板に対して薬液を供給する薬液ノズルと、
前記処理空間の雰囲気を置換するための置換ガスを当該処理空間に供給する置換ノズルと、
前記置換ノズルを支持し、前記処理空間内に進出した進出位置と前記処理空間から外方に退避した退避位置との間で水平方向に移動する置換ノズル支持アームと、を備え、
前記置換ノズルは、置換ガスを基板の回転方向に沿って水平方向に吐出するように構成されていることを特徴とする液処理装置。
【請求項9】
基板を水平姿勢で保持する工程と、
保持された基板の上方を回転する天板で覆い、基板を覆う処理空間を形成する工程と、
前記処理空間において前記基板に薬液を供給することにより基板の薬液処理を行う工程と、
薬液処理が行われた前記処理空間に置換ガスを供給する置換ノズルを支持する置換ノズル支持アームを、前記処理空間の外方に退避した退避位置から前記処理空間内に進出した進出位置に水平方向に移動させる工程と、
前記処理空間内に進出した前記置換ノズル支持アームに支持された前記置換ノズルから当該処理空間に置換ガスを供給し、当該処理空間の雰囲気を置換する工程と、を備えたことを特徴とする液処理方法。
【請求項10】
前記処理空間において薬液処理が行われた基板にリンス液を供給することにより基板のリンス処理を行う工程を更に備え、
リンス処理を行う工程と、前記処理空間の雰囲気を置換する工程は、同時に行われることを特徴とする請求項9に記載の液処理方法。
【請求項11】
前記処理空間の雰囲気を置換する工程の後、前記置換ノズル支持アームは、前記進出位置から前記退避位置に水平方向に移動し、この際、前記処理空間の外方に設けられたアーム洗浄部により前記置換ノズル支持アームが洗浄されることを特徴とする請求項9または10に記載の液処理方法。
【請求項12】
前記処理空間の雰囲気を置換する工程において前記処理空間に供給される置換ガスは、空気または窒素ガスであることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の液処理方法。
【請求項13】
基板の薬液処理を行う工程において基板に供給される薬液は、硫酸と過酸化水素水との混合液であることを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の液処理方法。
【請求項14】
前記処理空間の雰囲気を置換する工程において、前記置換ノズルは、置換ガスを上方に吐出することを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の液処理方法。
【請求項15】
前記処理空間の雰囲気を置換する工程において、前記置換ノズルは、置換ガスを回転する基板の回転方向に沿って水平方向に吐出することを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の液処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−89637(P2013−89637A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225974(P2011−225974)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】