説明

液処理装置

【課題】液槽上にスラッジ排出装置を設置する制約を受けない液処理装置を提供する。
【解決手段】工作機械11から液槽14に排出したスラッジを含むクーラント液13を汲み上げる循環ポンプ17に、この循環ポンプ17から吐出した液を旋回させてスラッジを液から遠心分離して沈澱させるサイクロンセパレータ23を接続する。このサイクロンセパレータ23にて沈澱したスラッジを濃縮させるスラッジポット27の排出口28に、スラッジ排出用の開閉弁SV2を設ける。この開閉弁SV2を介しスラッジポット27から排出したスラッジおよび液をいったん貯留するスラッジ貯留槽部33およびこのスラッジ貯留槽部33から外部へスラッジのみを排出するスラッジ排出コンベヤ34を有するスラッジ排出装置32を設置する。このスラッジ排出装置32のスラッジ貯留槽部33内に溜った上澄液13cをポンプの吸込側に回収する上澄液回収手段44を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械から排出された液よりスラッジを分離除去する液処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作機械から排出された使用済みのクーラント液よりスラッジを分離除去する液処理装置として、工作機械から液槽に排出されたスラッジを含む液をポンプにより汲み上げてサイクロンフィルタに供給し、このサイクロンフィルタにより液を旋回させてスラッジを液から遠心分離し、清浄な液は工作機械に供給し、スラッジを含む汚れ液は液槽に戻すようにした液処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、工作機械から磁気分離器を経て液槽に排出されたスラッジを含む液をポンプにより汲み上げてサイクロン装置に供給し、このサイクロン装置により液を旋回させてスラッジを液から遠心分離し、清浄な液はクリーンタンクに供給し、スラッジを含む汚れ液は、スラッジ沈澱槽、磁気分離器を経て液槽に循環させるようにしたクーラント清浄装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−138051号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開2003−275938号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の液処理装置は、スラッジを含む汚れ液を液槽に戻すので、スラッジが液循環系の外部に排出されない問題がある。
【0005】
特許文献2のクーラント清浄装置は、スラッジを液循環系の外部に排出できるものの、サイクロン装置の下部から排出されたスラッジを含む汚れ液は、スラッジ沈澱槽に落されて処理され、さらに、このスラッジ沈澱槽からオーバーフローされた液が、磁気分離器に落されて処理され、さらに、この磁気分離器から落された液が液槽に回収される構造であり、処理済み液は順次下降されるので、液槽上に、スラッジ沈澱槽および磁気分離器などのスラッジ排出装置を設置しなければならないという制約を受ける問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、液槽上にスラッジ排出装置を設置する制約を受けない液処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、工作機械から液槽に排出されたスラッジを含む液を汲み上げるポンプと、このポンプから吐出された液を旋回させてスラッジを液から遠心分離して沈澱させるサイクロンセパレータと、このサイクロンセパレータにて沈澱したスラッジを濃縮させ下部の排出口より排出するスラッジポットと、このスラッジポットの排出口に設けられたスラッジ排出用の開閉弁と、この開閉弁を介しスラッジポットから排出されたスラッジおよび液をいったん貯留するスラッジ貯留槽部およびこのスラッジ貯留槽部から外部へスラッジのみを排出するスラッジ排出コンベヤを有するスラッジ排出装置と、このスラッジ排出装置のスラッジ貯留槽部内に溜った上澄液を前記ポンプの吸込側に回収する上澄液回収手段とを具備した液処理装置であり、そして、サイクロンセパレータにて沈澱したスラッジを、スラッジポットで濃縮させてからスラッジ排出用の開閉弁を開いてスラッジ排出装置のスラッジ貯留槽部に溜めるので、スラッジ排出コンベヤによりスラッジのみを効率良く外部へ排出できるとともに、スラッジ貯留槽部内に溜る上澄液を少量に抑えることができるので、この上澄液を短時間のうちに上澄液回収手段によりポンプの吸込側に回収することが可能であり、これに対して、スラッジ貯留槽部内での上澄液の溜り速度が速い場合はこの上澄液を液槽にオーバフローさせる必要があり、その場合は液槽上にスラッジ排出装置を設置する制約を受けるが、上記のようなスラッジポットや上澄液回収手段を有するものは、そのような制約を受けない。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の液処理装置におけるポンプが、ポンプ本体と、ポンプ本体内に回転可能に設けられた羽根車と、羽根車の回転により液槽内の液をポンプ本体内に吸込む液吸込口と、羽根車の回転によりポンプ本体内で昇圧された液を外部へ吐出する液吐出口と、液吸込口に挿入されスラッジ貯留槽部内から上澄液をポンプ本体内に吸込む上澄液吸込管とを具備した渦流ポンプであり、上澄液回収手段は、スラッジ排出装置のスラッジ貯留槽部内からポンプの上澄液吸込管にわたって配設された上澄液回収配管と、この上澄液回収配管を開閉操作する上澄液回収用の開閉弁とを具備したものであり、そして、スラッジ排出装置のスラッジ貯留槽部内から、渦流ポンプの液吸込口に挿入された上澄液吸込管にわたって上澄液回収配管を配設し、この上澄液回収配管を上澄液回収用の開閉弁により開閉操作することで、共通の渦流ポンプを、液槽内の液をサイクロンセパレータに供給するポンプとして、またスラッジ貯留槽部内の上澄液を回収するポンプとして有効利用する。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の液処理装置において、サイクロンセパレータによりスラッジを遠心分離した後の処理済液を吐出する管路中に設けられたサイクロンセパレータ内昇圧用の開閉弁を具備したものであり、そして、サイクロンセパレータ内昇圧用の開閉弁を閉じるとともに、スラッジポットの排出口に設けられたスラッジ排出用の開閉弁を開くことで、サイクロンセパレータ内を昇圧して、スラッジポット内のスラッジをスラッジ排出装置のスラッジ貯留槽部に押出すようにする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、サイクロンセパレータにて沈澱したスラッジを、スラッジポットで濃縮させてからスラッジ排出用の開閉弁を開いてスラッジ排出装置のスラッジ貯留槽部に溜めるので、スラッジ排出コンベヤによりスラッジのみを効率良く外部へ排出できるとともに、スラッジ貯留槽部内に溜る上澄液を少量に抑えることができるので、この上澄液を短時間のうちに上澄液回収手段によりポンプの吸込側に回収することができ、これに対して、スラッジ貯留槽部内での上澄液の溜り速度が速い場合はこの上澄液を液槽にオーバフローさせる必要があり、その場合は液槽上にスラッジ排出装置を設置する制約を受けるが、上記のようなスラッジポットや上澄液回収手段を有するものは、そのような制約を受けず、サイクロンセパレータおよびスラッジ排出装置などを液槽と関わりなく任意の場所に設置できる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、スラッジ排出装置のスラッジ貯留槽部内から、渦流ポンプの液吸込口に挿入された上澄液吸込管にわたって上澄液回収配管を配設し、この上澄液回収配管を上澄液回収用の開閉弁により開閉操作することで、共通の渦流ポンプを、液槽内の液をサイクロンセパレータに供給するポンプとして、またスラッジ貯留槽部内の上澄液を回収するポンプとして有効利用できる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、サイクロンセパレータ内昇圧用の開閉弁を閉じるとともに、スラッジポットの排出口に設けられたスラッジ排出用の開閉弁を開くことで、サイクロンセパレータ内を昇圧して、スラッジポット内のスラッジをスラッジ排出装置のスラッジ貯留槽部に押出すようにして確実に取出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を、図1乃至図6に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1に示されるように、工作機械11から管路12を経て排出されたスラッジを含む液としてのクーラント液13をダーティ槽部14aにいったん溜める液槽14が設置され、この液槽14のダーティ槽部14aから引出された管路15が、手動開閉弁16を介して、クーラント液13を汲み上げるポンプとしての循環ポンプ17の液吸込口18に接続されている。循環ポンプ17はモータM1により駆動され、この循環ポンプ17の液吸込口18には、電磁作動式の開閉弁SV1によって開閉される上澄液吸込管19が挿入されている。
【0015】
この循環ポンプ17の液吐出口21に管路22を介してサイクロンセパレータ23の液導入管24が接続されている。このサイクロンセパレータ23の液導入管24は、円筒容器本体25に対し接線方向に設けられ、循環ポンプ17の液吐出口21から吐出されたクーラント液をこの円筒容器本体25内で旋回させて、スラッジをクーラント液から遠心分離して沈澱させるとともに、円筒容器本体25の中央部に挿入された管26よりスラッジ除去後のクーラント液を取出して、液槽14に戻す。
【0016】
このサイクロンセパレータ23の下部にはスラッジポット27が接続され、サイクロンセパレータ23より沈澱したスラッジを、このスラッジポット27内で濃縮させて下部の排出口28より排出する。このスラッジポット27の排出口28には、スラッジ排出用の電磁作動式の開閉弁SV2が設けられている。
【0017】
サイクロンセパレータ23およびスラッジポット27の下側には、脚フレーム31を有するスラッジ排出装置32が設けられている。このスラッジ排出装置32は、開閉弁SV2を介しスラッジポット27から排出されたスラッジおよび少量の液をいったん貯留するスラッジ貯留槽部33と、このスラッジ貯留槽部33から外部へスラッジのみを排出するスラッジ排出コンベヤ34とを有している。
【0018】
スラッジ貯留槽部33は、V形の底板部35を有し、内部の上段、中段および下段に上澄液13cの液面レベルを検知するためのフロート付きリミットスイッチLS1,LS2,LS3がそれぞれ設けられている。
【0019】
スラッジ排出コンベヤ34は、図2にも示されるようにスラッジ貯留槽部33と一体に形成されたコンベヤケーシング36にモータM2が取付けられ、このモータM2により回動されるスプロケット37が軸支され、一方、スラッジ貯留槽部33の底部内にスプロケット38が回動自在に軸支され、これらのスプロケット37,38に無端チェン39が巻掛けられ、この無端チェン39の一部にスラッジ掻上げ板41が取付けられている。
【0020】
無端チェン39は、スラッジ貯留槽部33の一側の傾斜面42に沿って傾斜状に配設され、スラッジ掻上げ板41は、この傾斜面42に沿って上昇する。この傾斜面42の上端では、下方に向けてスラッジ取出口43が開口されている。
【0021】
このスラッジ排出装置32には、スラッジ貯留槽部33内に溜った上澄液13cを循環ポンプ17の吸込側に回収する上澄液回収手段44が設けられている。
【0022】
前記循環ポンプ17は、図3に示されるような構造を有する渦流ポンプであり、ポンプ本体51内に、外周縁に沿って径方向の小羽根52および羽根溝53が交互に形成された羽根車54が、回転軸55により回転可能に設けられ、この羽根車54に沿ってポンプ本体51内に環状の昇圧通路56が形成され、この昇圧通路56の一端に位置する入口部57と、昇圧通路56の他端に位置する出口部58とが、隔離部59を介して配置され、昇圧通路56の入口部57には、羽根車54の回転により液槽14内からクーラント液13を吸込む液吸込口18が連通され、昇圧通路56の出口部58には、羽根車54の回転によりポンプ本体51内で昇圧されたクーラント液を外部へ吐出する液吐出口21が連通され、液吸込口18には、スラッジ排出装置32のスラッジ貯留槽部33内から上澄液13cをポンプ本体51内に吸込む上澄液吸込管19が挿入され、この上澄液吸込管19の先端は入口部57にて開口されている。
【0023】
そして、この循環ポンプ17は、外部のモータM1によって、羽根車54の中心に嵌着された回転軸55を回動すると、羽根車54の小羽根52および羽根溝53が、羽根車54と同心円の昇圧通路56内を回転し、ポンプ本体51の液吸込口18に吸込まれたクーラント液13は、羽根車54と共に昇圧通路56を移動しながら、羽根車54の各羽根溝内53と昇圧通路56との間で渦流となり、これが各羽根溝53で同時に行なわれながら昇圧通路56内を進み、昇圧通路56を進むにつれて昇圧されて、液吐出口21から吐出される。
【0024】
前記上澄液回収手段44は、図1に示されるようにスラッジ排出装置32のスラッジ貯留槽部33の側面に設けられたエルボ型管継手61から、循環ポンプ17の上澄液吸込管19にわたって上澄液回収配管62が配設され、この上澄液回収配管62中に、この上澄液回収配管62を開閉操作する上澄液回収用の電磁作動式の開閉弁SV1が設けられている。
【0025】
サイクロンセパレータ23によりスラッジを遠心分離した後の処理済液を吐出する管路63には、サイクロンセパレータ内昇圧用の電磁作動式の開閉弁SV3が設けられている。サイクロンセパレータ23からの処理済液は、管路63を経て液槽14のクリーン槽部14bに戻され、さらに管路64中のポンプ65により工作機械に供給される。
【0026】
なお、スラッジ排出装置32のコンベヤケーシング36の上端には、ポンプ設置面66が形成され、このポンプ設置面66に前記循環ポンプ17が設置され、また、このスラッジ排出装置32のスラッジ貯留槽部33の上面には取付ケーシング67が設けられ、この取付ケーシング67を介して前記サイクロンセパレータ23およびスラッジポット27が設けられ、外部に制御盤68が設置されている。
【0027】
次に、図4乃至図6を参照しながら、この実施の形態の作用効果を説明する。
【0028】
図4に示される、ろ過工程Aでは、開閉弁SV1,SV2を閉じるとともに、開閉弁SV3を開いて、液槽14のダーティ槽部14aから循環ポンプ17の吸引力で汲み上げたクーラント液13をサイクロンセパレータ23に供給して、このサイクロンセパレータ23により液中のスラッジを遠心分離し、スラッジは下側のスラッジポット27に沈澱させ、スラッジ除去後のクリーン液は管路63を経て液槽14のクリーン槽部14bに戻し、工作機械11に循環させる。
【0029】
このスラッジポット27内でスラッジの沈澱が進行しているときは、同時に、スラッジ排出装置32のスラッジ貯留槽部33内でも、スラッジの沈澱が進行している。
【0030】
図4に示される、コンベヤ内スラッジ排出工程Bでは、モータM2によりスラッジ排出コンベヤ34のスプロケット37を駆動して、無端チェン39を回行駆動し、スラッジ掻上げ板41を底板部35から傾斜面42に沿って上昇させることで、スラッジ貯留槽部33の底部内に溜まったスラッジを傾斜面42に沿って掻上げ、スラッジ取出口43から系外のスラッジ回収容器(図示せず)に取出す。
【0031】
図4に示される、コンベヤ内上澄液排出工程Cでは、開閉弁SV2を閉じたまま開閉弁SV1,SV3を開いて、循環ポンプ17の液吸込口18に発生する負圧を利用して、スラッジ排出装置32のスラッジ貯留槽部33内に溜まった上澄液13cを、上澄液回収配管62を経て、液吸込口18に挿入された上澄液吸込管19から循環ポンプ17内に吸込むことで、スラッジ貯留槽部33内の上澄液13cを排出する。上澄液吸込管19から循環ポンプ17内に上澄液13cを吸込む吸込圧は、手動開閉弁16の絞りにより調整する。
【0032】
このときは、ポンプ本体51の液吸込口18から昇圧通路56の入口部57にクーラント液13が吸込まれる際に、スラッジ排出装置32のスラッジ貯留槽部33内の上澄液13cも、上澄液吸込管19から昇圧通路56の入口部57に吸込まれ、クーラント液13と上澄液13cとが一緒にサイクロンセパレータ23に供給される。
【0033】
図4に示される、濃縮液取込み工程Dでは、開閉弁SV2を開くとともに、開閉弁SV3を閉じて、循環ポンプ17からの吐出圧によりサイクロンセパレータ23内を昇圧させ、その内圧によりスラッジポット27内に凝縮されたスラッジを、スラッジ排出装置32のスラッジ貯留槽部33内に排出させる。
【0034】
これらの各工程A〜Dを繰返すことで、スラッジを系外へ排出しながらクーラント液をろ過処理する。
【0035】
図5は、図4に示された各工程A〜Dをさらに詳しく表わしたフローチャートであり、そのステップ番号を丸数字で示す。
【0036】
(ステップ1)
ろ過工程Aでは、モータM1を駆動するとともにモータM2を停止し、開閉弁SV1,SV2を閉じるとともに開閉弁SV3を開き、オーバーフロー防止用のフロート付きリミットスイッチLS1をオンにするとともにリミットスイッチLS2,LS3をオフにし、そして、制御盤68内のタイマにより設定された時間TM1が経過するまで、サイクロンセパレータ23によるろ過工程がなされる。
【0037】
(ステップ2〜4)
時間TM1が経過したら、タイマにより時間TM2を設定し、この時間TM2が経過するまでスラッジ排出コンベヤ34のモータM2を駆動し、スラッジ貯留槽部33の底部内に溜まったスラッジを系外へ排出する。
【0038】
(ステップ5〜9)
スラッジ貯留槽部33内の上澄液13cの液面が最下部のリミットスイッチLS3より上側に位置する場合は、リミットスイッチLS3がオフであるから、タイマにより時間TM3を設定し、この時間TM3が経過し、かつリミットスイッチLS3がオンとなるまで、開閉弁SV1が開き、循環ポンプ17の液吸込口18に発生する負圧を利用して、スラッジ排出装置32のスラッジ貯留槽部33内に溜まった上澄液13cを上澄液吸込管19から循環ポンプ17内に吸込むことで、スラッジ貯留槽部33内の上澄液13cを排出する。そして、時間TM3が経過したときに、上澄液13cの液面が最下部のリミットスイッチLS3より下側に下降してリミットスイッチLS3がオンとなっていれば、開閉弁SV1を閉じる。
【0039】
(ステップ10、11)
一方、時間TM3が経過しても、上澄液13cの液面が最下部のリミットスイッチLS3まで下降していない場合は、開閉弁SV1を閉じるとともに、上澄液排出異常を知らせる信号を出力し、例えばブザー、警告灯などを作動させる。
【0040】
(ステップ12〜14)
開閉弁SV2を開くとともに、開閉弁SV3を閉じて、循環ポンプ17からの吐出圧によりサイクロンセパレータ23内を昇圧させ、その内圧によりスラッジポット27内に凝縮されたスラッジを、リミットスイッチLS2のレベルの達するまで、スラッジ排出装置32のスラッジ貯留槽部33内に排出させる。そして、リミットスイッチLS2のレベルの達したら、開閉弁SV2を閉じるとともに、開閉弁SV3を開いて、ステップ1に戻る。
【0041】
(ステップ15〜17)
図6は、運転停止時の状態を示すもので、リミットスイッチLS1がオンの間は上澄液13cがこのリミットスイッチLS1のレベルに達してしないので、運転を継続するが、リミットスイッチLS1がオフとなったら、上澄液13cがこのリミットスイッチLS1の満水レベルまで上昇しているので、運転を停止してオーバーフローを防止するとともに、満水アラームを作動する。
【0042】
以上の説明で述べたように、サイクロンセパレータ23にて沈澱したスラッジを、スラッジポット27で濃縮させてからスラッジ排出用の開閉弁SV2を開いてスラッジ排出装置32のスラッジ貯留槽部33に溜めるので、スラッジ排出コンベヤ34によりスラッジのみを効率良く外部へ排出できるとともに、スラッジ貯留槽部33内に溜る上澄液13cを少量に抑えることができるので、この上澄液13cを短時間のうちに上澄液回収手段44により循環ポンプ17の吸込側に回収することができ、これに対して、スラッジ貯留槽部33内での上澄液13cの溜り速度が速い場合は、この上澄液13cを、より下側の液槽(図示せず)にオーバフローさせる必要があり、その場合は下側の液槽上にスラッジ排出装置32などを設置する制約を受けるが、上記のようなスラッジポット27や上澄液回収手段44を有するものは、そのような制約を受けず、サイクロンセパレータ23およびスラッジ排出装置32などを液槽14と関わりなく任意の場所に設置できる。
【0043】
また、スラッジ排出装置32のスラッジ貯留槽部33内から、循環ポンプ17の液吸込口18に挿入された上澄液吸込管19にわたって上澄液回収配管62を配設し、この上澄液回収配管62を上澄液回収用の開閉弁SV1により開閉操作することで、共通の循環ポンプ17を、液槽14内のクーラント液13をサイクロンセパレータ23に供給する循環ポンプとして、またスラッジ貯留槽部33内の上澄液13cを回収する回収ポンプとして有効利用できる。
【0044】
さらに、サイクロンセパレータ内昇圧用の開閉弁SV3を閉じるとともに、スラッジポット27の排出口28に設けられたスラッジ排出用の開閉弁SV2を開くことで、サイクロンセパレータ23内を昇圧して、スラッジポット27内のスラッジをスラッジ排出装置32のスラッジ貯留槽部33に押出すようにして確実に取出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る液処理装置の一実施の形態を示す正面図である。
【図2】同上液処理装置の一部を切り欠いた側面図である。
【図3】同上液処理装置のポンプを示す断面図である。
【図4】同上液処理装置の作用を示す工程図である。
【図5】同上液処理装置の作用を示すフローチャートである。
【図6】同上液処理装置の運転停止作用を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
11 工作機械
13 液としてのクーラント液
13c 上澄液
14 液槽
17 ポンプとしての循環ポンプ
18 液吸込口
19 上澄液吸込管
21 液吐出口
23 サイクロンセパレータ
27 スラッジポット
28 排出口
32 スラッジ排出装置
33 スラッジ貯留槽部
34 スラッジ排出コンベヤ
44 上澄液回収手段
51 ポンプ本体
54 羽根車
62 上澄液回収配管
63 処理済液を吐出する管路
SV1 上澄液回収用の開閉弁
SV2 スラッジ排出用の開閉弁
SV3 サイクロンセパレータ内昇圧用の開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械から液槽に排出されたスラッジを含む液を汲み上げるポンプと、
このポンプから吐出された液を旋回させてスラッジを液から遠心分離して沈澱させるサイクロンセパレータと、
このサイクロンセパレータにて沈澱したスラッジを濃縮させ下部の排出口より排出するスラッジポットと、
このスラッジポットの排出口に設けられたスラッジ排出用の開閉弁と、
この開閉弁を介しスラッジポットから排出されたスラッジおよび液をいったん貯留するスラッジ貯留槽部およびこのスラッジ貯留槽部から外部へスラッジのみを排出するスラッジ排出コンベヤを有するスラッジ排出装置と、
このスラッジ排出装置のスラッジ貯留槽部内に溜った上澄液を前記ポンプの吸込側に回収する上澄液回収手段と
を具備したことを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
ポンプは、
ポンプ本体と、
ポンプ本体内に回転可能に設けられた羽根車と、
羽根車の回転により液槽内の液をポンプ本体内に吸込む液吸込口と、
羽根車の回転によりポンプ本体内で昇圧された液を外部へ吐出する液吐出口と、
液吸込口に挿入されスラッジ貯留槽部内から上澄液をポンプ本体内に吸込む上澄液吸込管とを具備した渦流ポンプであり、
上澄液回収手段は、
スラッジ排出装置のスラッジ貯留槽部内からポンプの上澄液吸込管にわたって配設された上澄液回収配管と、
この上澄液回収配管を開閉操作する上澄液回収用の開閉弁とを具備した
ことを特徴とする請求項1記載の液処理装置。
【請求項3】
サイクロンセパレータによりスラッジを遠心分離した後の処理済液を吐出する管路中に設けられたサイクロンセパレータ内昇圧用の開閉弁
を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の液処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−75725(P2006−75725A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262331(P2004−262331)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000226002)株式会社ニクニ (25)
【Fターム(参考)】