説明

液処理装置

【課題】処理物を所定の箇所に集約することができる液処理装置を提供すること。
【解決手段】剥離装置1は、部分剥離区間Aと全体剥離・除去区間Bとを有し、部分剥離区間Aは、ローラーとパドル40とを備え、全体剥離・除去区間Bは、ローラーとシャワー部とを備えている。また、パドル40は、剥離液50が液槽部42の両端からオーバーフローする2つの開口部を備える。このため、ガラス基板20は剥離液50が両縁部のみに浸されるので、中央部は剥離されず両端部が先に剥離し始める。そして、全体剥離・除去区間Bへと搬送され、剥離液50がガラス基板20の全体に噴射されるため、両縁部から中央部へとカバーフィルム21の剥離を進行させ、カバーフィルム21をガラス基板20の中央部に集めることができるので、カバーフィルム21が不規則に分散して滞留することを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の処理物に処理液を浸す液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば、プラズマディスプレイパネルや液晶ディスプレイパネルなどのディスプレイパネルの製造工程において、ガラス基板上に電極パターンを形成する際、例えばフォトリソグラフィ法などが用いられている。このフォトリソグラフィ法は、薄膜形成工程、現像処理工程、エッチング処理工程およびレジスト剥離工程の4工程を順に経ることにより、基板上にパターンを形成する方法である。
【0003】
例えばフォトリソグラフィ法によりディスプレイパネルのガラス基板上に電極パターンを形成する場合、薄膜形成工程では、ガラス基板上の全領域にパターニングしたい電極材料の薄膜をスパッタリングなどの方法により形成し、さらに感光性材料であるレジスト層を一様に形成する。現像処理工程では、前工程で形成されたレジストに所望のパターンのUV光を照射・露光し、感光せずに硬化しないまま基板上に残ったレジストのみを現像液で除去することによって現像する。
【0004】
これらの現像されたレジストパターンは、水洗、乾燥した後、基板とレジストとの密着性を向上させるためにポストベーク処理が施される。さらに、エッチング処理工程では、前工程で形成したレジストパターンをマスクとして、電極材料薄膜をエッチング処理液により除去する。
【0005】
レジストはこのエッチング処理液に対して耐性を有するため、電極材料薄膜のレジストパターンに被覆されていない部分のみが除去され、ガラス基板が剥き出しになる。水洗、乾燥後に、レジスト剥離工程では、前工程で残されたレジストパターンがレジスト剥離液により除去され、水洗、乾燥処理が行われる。これにより、ガラス基板上には所望の電極材料のパターンのみが形成される。
【0006】
従来、上述したようなレジスト等のカバーフィルムを剥離するために、カバーフィルムに被膜されたガラス基板に剥離液をシャワーノズルから噴射することにより、カバーフィルムと剥離液との間で化学反応を発生させてカバーフィルムを剥離している。このとき、シャワーノズルがガラス基板の上及びガラス基板の斜め横から噴射することによりカバーフィルムをガラス基板中央部に集めるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−175091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のような剥離装置の場合、剥離液の流れにより剥離したカバーフィルムをガラス基板中央部に集めるので、ガラス基板中央部に向かった剥離液の流れを発生させるためには各々のシャワーノズルの角度の調整が必要である。
また、カバーフィルムに被覆されたガラス基板はディスプレイパネルに用いられるので、その大きさは同一ではなく様々である。このため、剥離されるガラス基板の大きさが異なる度にシャワーノズルの角度調整が必要であり、かつ、困難であるという問題が一例として挙げられる。
【0009】
本発明は、処理物を所定の箇所に集約することができる液処理装置を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、基板上の処理物に対して処理液を浸すことによって、前記処理物に化学反応処理を施す液処置装置において、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の上側に設けられて前記搬送手段により搬送される前記基板に対して前記処理液を吐出する処理液吐出部を備え、前記処理液吐出部は、前記処理液を前記搬送手段で搬送される前記基板上に吐出するための開口部を備え、前記開口部は前記基板上の一部に対向する部分の前記処理液吐出部に設けられる一方、前記基板上の他部に対向する部分の前記処理液吐出部には設けられないことを特徴とする液処理装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
以下、本発明の第1実施形態を図1から図4に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の剥離装置の縦断面図である。図2は、前記実施形態の剥離装置の上面図である。図3は、前記実施形態のパドルを拡大した斜視図である。図4は、前記実施形態のパドルを拡大して示した正面図、上面図及び側面図である。
【0013】
〔本発明の第1実施形態の剥離装置の構成〕
図1、図2に示したように、本発明の第1実施形態の液処理装置としての剥離装置1は、部分剥離区間Aと、全体剥離・除去区間Bとを備えている。
この部分剥離区間Aは、筐体10内に基板としてガラス基板20を搬送する搬送手段としての複数のローラー30と、ガラス基板20が筐体10内へ入る入口に位置するローラー30の上方に設けられたパドル40とを備えている。このパドル40は処理液としての剥離液50をガラス基板20に向けて噴射する処理液吐出部として機能する。
【0014】
そして、筐体10は、剥離処理によって廃棄されるカバーフィルム及び剥離液50を筐体10外へと排出する図示しない排水口と、この排水口へと当該廃棄物を誘導する傾斜部11と、ガラス基板20を搬入するスリット状に開口された搬入口12とを備えている。
【0015】
ガラス基板20はガラス基板20上に被覆されたカバーフィルム21を備えている。ローラー30は、ガラス基板20を回転方向へと搬送する径大部31と、図示しない軸受により軸支されることにより径大部31を軸支する径小部32と、隣接する2個の径大部31を一体に連携するベルト部33とを備えている。
【0016】
パドル40は、剥離液50を供給する処理液供給部としての第一液供給部41と、供給された剥離液50を収容する略直方体箱状に形成された液槽部42と、この液槽部42からオーバーフローする剥離液50をガラス基板20へと誘導する誘導部43とを備えている。
【0017】
全体剥離・除去区間Bは、ガラス基板20を部分剥離区間Aから連続して搬送する複数のローラー30と、これらのローラー30の上方に設けられ剥離液50をガラス基板20に向けて噴射する複数のシャワー部60と、ガラス基板20を筐体10外へと搬出するスリット状に開口された搬出口13とを備えている。
【0018】
そして、このシャワー部60は、シャワー部60へ剥離液50を供給する第二液供給部61と、供給された剥離液50をガラス基板20へと噴射するシャワーヘッド62とを備えている。
また、シャワーヘッド62の先端は、剥離液50を線状に噴射する形状、例えば、外周が円錐状となっており、さらにガラス基板20の搬送方向に対向する向きに設けられ、かつ、剥離したカバーフィルム21がガラス基板20の中央部に集約されるようにガラス基板20の端縁部と対向するシャワーヘッド62はガラス基板20の中央に向かって設けられている。
なお、部分剥離区間Aはガラス基板20の搬送方向の上流側に位置し、全体剥離・除去区間Bはガラス基板20の搬送方向の下流側に位置している。
【0019】
図3、図4に示したように、パドル40は、剥離液50を供給する処理液供給部としての第一液供給部41と、供給された剥離液50を収容する略直方体状に形成された液槽部42と、この液槽部42からオーバーフローする剥離液50をガラス基板20へと誘導する誘導部43と、剥離液50のオーバーフローを一部規制する邪魔板44と、剥離液50を第一液供給部41を介して液槽部42へ搬送する液搬送部45と、剥離液50が液槽部42からオーバーフローする2つの開口部46とを備えている。
【0020】
そして、第一液供給部41は、液搬送部45から延びる円筒状の配管であり液槽部42の内部へと貫通しており、この貫通した部分の第一液供給部41には配管外へ剥離液50を吐出する吐出口41Aが設けられている。
【0021】
液槽部42は、上面が開口された略直方体状に形成されており、4つの側面のうち1つの側面は他の側面より高さ寸法が小さくなっている。そして、この側面と対向する側面の上辺から直方体外側へと垂直に突起した係合部42Aが設けられている。また、この係合部42Aが突起する側面は剥離装置1の筐体10の内側壁面に当接され固定されており、係合部42Aは筐体10の上方より当接し係合している(図1参照)。
【0022】
誘導部43は、液槽部42の高さ寸法の小さい側面の上辺から直方体外側へ円弧状に延びて形成されている。この誘導部43には、オーバーフローする剥離液50を平滑にする液槽部42の幅方向に延びた第一誘導板43Aと、この第一誘導板43Aの両端から垂直に突起した剥離液50の幅方向への広がりを規制する第二誘導板43Bとを備えている。
【0023】
邪魔板44は、その断面がL字状に形成された板状部材であり、幅広の平面と高さ寸法の小さい側面の内側とが当接し固定され、さらに他方の平面が液槽部42の底面と当接し固定されて液槽部42と一体に固定されている。また、この邪魔板44は、加工が容易で剥離液50などに対する耐薬性に優れた素材(例えば、塩化ビニル等)となっている。
【0024】
開口部46は、液槽部42の高さ寸法の小さい側面の上辺のうち、邪魔板44の突起により剥離液50の吐出が規制されない箇所となっている。つまり、開口部46は、液槽部42の高さ寸法の小さい側面の上辺の中央部を除く両縁部に位置している。
【0025】
〔本発明の第1実施形態の液処理方法〕
図1、図2に示したように、剥離装置1のローラー30が回転することにより、ローラー30に載置されるガラス基板20は、搬入口12から部分剥離区間Aへと搬送される。そして、この搬送されたガラス基板20の上に液槽部42の2つの開口部46からオーバーフローする剥離液50が誘導部43を伝って2本の滝状となって落下する。
【0026】
このとき、2つの開口部46からオーバーフローする剥離液50はガラス基板20の両縁部にのみ落下する。つまり、ガラス基板20は両縁部のみ剥離液50に浸され、その中央部には浸されないので、ガラス基板20に被覆されたカバーフィルム21は両端部から剥離し始める。
【0027】
次に、両縁部のカバーフィルム21の剥離が進行したガラス基板20は全体剥離・除去区間Bへと搬送され、シャワーヘッド62から噴出する剥離液50がガラス基板20の全体に噴射されるため、両縁部から中央部へとカバーフィルム21の剥離が進行する。そして、剥離液50の噴射圧力によりガラス基板20の両縁部から中央部へと順にカバーフィルム21が剥離することで、カバーフィルム21はガラス基板20の中央部に集められる。
【0028】
ガラス基板20の中央部に集められたカバーフィルム21は、最終的に全て剥離が完了するとともに、纏まったままガラス基板20から除去される。そして、除去されたカバーフィルム21は、ローラー30の隙間から筐体10の傾斜部11へと落下する。
その後は、使用済みの剥離液50等の排水とともに傾斜部11を流され、図示しない排水口へと廃棄される。
【0029】
〔本発明の第1実施形態の剥離装置の作用効果〕
上記のような構成の第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
【0030】
(1)本発明の第1実施形態の剥離装置1は、部分剥離区間Aと、全体剥離・除去区間Bとを備えている。この部分剥離区間Aは、ガラス基板20を搬送する複数のローラー30と、このローラー30の上方に設けられた剥離液50をガラス基板20に向けて吐出する処理液吐出部としてのパドル40とを備え、全体剥離・除去区間Bは、複数のローラー30と、複数のシャワー部60とを備えている。また、パドル40は、剥離液50が液槽部42の両端からオーバーフローする2つの開口部46を備えている。
【0031】
このため、パドル40の開口部46から落下し浸される剥離液50がガラス基板20の両縁部のみとなるので、最初にガラス基板20の両縁部のカバーフィルム21が剥離され、中央部のカバーフィルム21は剥離されず両端部が先に剥離し始める。
【0032】
そして、両縁部のカバーフィルム21の剥離が進行したガラス基板20は全体剥離・除去区間Bへと搬送され、シャワーヘッド62から剥離液50がガラス基板20の全体に噴射されるため、両縁部から中央部へとカバーフィルム21の剥離が進行し、両縁部から中央部へと順にカバーフィルム21が剥離・除去されることで、カバーフィルム21をガラス基板20の中央部に集めることができる。つまり、先に剥離液50に浸されないガラス基板20の箇所にカバーフィルム21を集めることができる。
【0033】
(2)このため、個々のシャワーヘッド62の向きを調整することによりガラス基板20の上に中央部へ向かう正確な剥離液の流れを作る必要がなく、大きさの異なるガラス基板20に対してもシャワーヘッド62の角度調整をする必要をなくすことができる。
【0034】
(3)さらに、ガラス基板20の中央部に集められたカバーフィルム21は、最終的に全て剥離が完了するとともに、纏まったままガラス基板20から除去される。そして、除去されたカバーフィルム21は、ローラー30の幅方向中央部の隙間から筐体10の傾斜部11へと落下する。その後は、使用済みの剥離液50等の排水とともに傾斜部11に沿って流され、図示しない排水口へと廃棄される。
【0035】
このため、カバーフィルム21がガラス基板20の上を不規則に多方向に流出し、傾斜部11の広域に分散して排水の流れを悪くすることで、カバーフィルム21が滞留し大きな塊に成長してしまい排水口の詰まりの原因となることを防ぐことができる。
【0036】
(4)パドル40の邪魔板44は、その断面がL字状に形成された板状部材であり、幅広の平面と高さ寸法の小さい側面の内側とが当接し固定され、さらに他方の平面が液槽部42の底面と当接し固定されて液槽部42と一体に固定されている。また、この邪魔板44は、加工が容易で剥離液50などに対する耐薬性に優れた素材(例えば、塩化ビニル等)となっている。そして、開口部46は、液槽部42の高さ寸法の小さい側面の上辺のうち、邪魔板44の突起により剥離液50の吐出が規制されない箇所となっている。
【0037】
このため、邪魔板44の幅を任意に設定可能であり、開口部46の幅を任意に設定することができる。従って、ガラス基板20上のカバーフィルム21において、先に剥離液50に浸したい領域を、簡易な方法で、かつ、任意に設定することができるので、製造工程における自由度を増大させることができる。
【0038】
(5)パドル40の誘導部43は、液槽部42の高さ寸法の小さい側面の上辺から直方体外側へ円弧状に延びて形成されている。
このため、剥離液50はパドル40から落下してガラス基板20を浸すので、シャワー噴射によるものに比べて、弱い圧力で均一に剥離液50を吐出することができるので、剥離ムラや一度剥離したカバーフィルム21の再付着を防止することができる。
【0039】
(6)誘導部43には、オーバーフローする剥離液50を平滑にする液槽部42の幅方向に延びた第一誘導板43Aと、この第一誘導板43Aの両端から垂直に突起した剥離液50の幅方向への広がりを規制する第二誘導板43Bとを備えている。
【0040】
このため、液槽部42からオーバーフローした剥離液50は第二誘導板43Bにより水平方向への広がりを規制され、第一誘導板43Aを伝ってガラス基板20へ滝状となって落下するので、シャワー噴射によるものに比べて、所定の箇所に的確に剥離液50を浸すことができる。
【0041】
以下、本発明の第2実施形態を図5に基づいて説明する。
図5は、本発明の第2実施形態のパドルを拡大した斜視図である。
【0042】
〔本発明の第2実施形態の剥離装置の構成〕
図5に示したように、本発明の第2実施形態の剥離装置1のパドル40は、第一液供給部41と、この第一液供給部41に剥離液50を搬送する液搬送部45と、第一液供給部41にスリット状に設けられた開口部46とを備えている。
また、パドル40を除く他の構成は前記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
〔本発明の第2実施形態の剥離装置の作用効果〕
本発明の第2実施形態の剥離装置1は、前記第1実施形態の作用効果(1)〜(5)を奏することができる。
【0044】
(7)パドル40は、第一液供給部41と、この第一液供給部41に剥離液50を搬送する液搬送部45と、第一液供給部41の両縁部にスリット状に設けられた開口部46とを備えている。このため、より簡易な構成で前記第1実施形態の作用効果(1)〜(5)を奏することができ、装置の製造コストを削減することができる。
【0045】
〔本発明の実施形態の剥離装置の変形例〕
本発明は目的を達成する範囲で変形してもよい。本発明の実施形態では、開口部46をガラス基板20の両縁部に対向する箇所としたが、これに限らず、それ以外の箇所に開口部46を設ける構成としてもよい。
【0046】
例えば、排水口の位置が剥離装置1の中央ではなく搬送方向の右側に設けられているような場合、搬送方向の左側にパドル40の開口部46を設けることでカバーフィルム21を右側に集めて搬送方向の右側へ流出させることができる。すなわち、剥離装置1全体の構成に適応させて任意の位置にカバーフィルム21を集めて流出させることができる。
【0047】
例えば、排水口の位置が剥離装置1の中央ではなく搬送方向の左右両側に設けられているような場合、ガラス基板20の中央部に対向する箇所にパドル40の開口部46を設けることでカバーフィルム21をガラス基板20の両端に分割して集めて搬送方向の左右両側へ流出させることができる。
すなわち、剥離装置1全体の構成に適応させて任意の位置にカバーフィルム21を集めて流出させることができる。
【0048】
本発明の実施形態では、1個のパドル40が設けられているが、これに限らずパドル40を搬送方向に沿って複数個並列させて設けてもよい。これにより、カバーフィルム21の所望の箇所への収集能力が更に向上し、分散を防ぐことができる。この場合、開口部46はそれぞれのパドル40で同一対応箇所としてもよいが、搬送方向の下流側へ行く程、開口部46を上記所望の箇所へ徐々に近づける構成にすると更に収集能力を向上させることができる。例えば、開口部46を下流のパドル40へ行く程、両縁部から中央部へ徐々にシフトする構成としてもよい。
【0049】
本発明の実施形態では、ローラー30の径大部31を幅方向に1本で繋がった構成としたが、これに限らない。例えば、径大部31の中央部をカバーフィルム21が集まる所望の箇所とし、その箇所に対向する部分にローラー30を設けない間隙部とし、間隙部の両側にそれぞれ1本ずつの片持のローラー30を設ける構成としてもよい。これにより、カバーフィルム21がローラー30の外周面に付着することを防止することができる。
【0050】
本発明の実施形態では、液処理装置をレジストの剥離装置1とし、処理液を剥離液50としたが、これに限らず、例えば、液処理装置を現像装置とし、処理液を現像液としてもよく、液処理装置をエッチング装置とし、処理液をエッチング液としてもよい。すなわち、処理液によってガラス基板20上の処理物が化学反応処理される構成の装置であれば、いずれにも適応することができる。
【0051】
〔実施形態の作用効果〕
上述したように、上記剥離装置1では、ガラス基板20上のカバーフィルム21に対して剥離液50を浸すことによって、このカバーフィルム21に化学反応処理を施す剥離装置1において、前記ガラス基板20を搬送するローラー30と、このローラー30の上側に設けられて前記ローラー30により搬送される前記ガラス基板20に対して前記剥離液50を吐出するパドル40を備え、前記パドル40は、前記剥離液50を前記ローラー30で搬送される前記ガラス基板20上に吐出するための開口部46を備え、前記開口部46は前記ガラス基板20上の一部に対向する部分の前記パドル40に設けられる一方、前記ガラス基板20上の他部に対向する部分の前記パドル40には設けられない。
このため、パドル40の開口部46から落下し浸される剥離液50がガラス基板20の両縁部のみとなるので、最初にガラス基板20の両縁部のカバーフィルム21が剥離され、中央部のカバーフィルム21は剥離されず両端部が先に剥離し始め、その後、シャワーヘッド62から剥離液50がガラス基板20の全体に噴射されるため、両縁部から中央部へとカバーフィルム21の剥離が進行し、両縁部から中央部へと順にカバーフィルム21が剥離・除去されることで、カバーフィルム21をガラス基板20の中央部に集めることができる。
従って、個々のシャワーヘッド62の向きを調整することによりガラス基板20の上に中央部へ向かう正確な剥離液の流れを作る必要がなく、大きさの異なるガラス基板20に対してもシャワーヘッド62の角度調整をする必要をなくすことができる。
さらに、カバーフィルム21がガラス基板20の上を不規則に多方向に流出し、傾斜部11の広域に分散して排水の流れを悪くすることで、カバーフィルム21が滞留し大きな塊に成長してしまい排水口の詰まりの原因となることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態の剥離装置の縦断面図。
【図2】前記実施形態の剥離装置の上面図。
【図3】前記実施形態のパドルを拡大した斜視図。
【図4】前記実施形態のパドルを拡大して示した正面図、上面図及び側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態のパドルを拡大した斜視図。
【符号の説明】
【0053】
1…剥離装置(液処理装置)
20…ガラス基板(基板)
21…カバーフィルム(処理物)
30…ローラー(搬送手段)
40…パドル(処理液吐出部)
41…第一液供給部(処理液供給部)
42…液槽部
46…開口部
50…剥離液(処理液)
60…シャワー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の処理物に対して処理液を浸すことによって、前記処理物に化学反応処理を施す液処置装置において、
前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の上側に設けられて前記搬送手段により搬送される前記基板に対して前記処理液を吐出する処理液吐出部を備え、
前記処理液吐出部は、前記処理液を前記搬送手段で搬送される前記基板上に吐出するための開口部を備え、前記開口部は前記基板上の一部に対向する部分の前記処理液吐出部に設けられる一方、前記基板上の他部に対向する部分の前記処理液吐出部には設けられないことを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液処理装置であって、前記処理液吐出部は前記処理液を溜める液槽部と、前記液槽部に設けられた前記開口部とを備え、前記開口部は前記基板上の一部に対向する前記液槽部に設けられる一方、前記基板上の他部に対向する前記液槽部には設けられないことを特徴とする液処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液処理装置であって、前記一部は前記基板上の搬送方向に沿った両縁部であり、前記他部は前記基板上の中央部であることを特徴とする液処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の液処理装置であって、前記処理液吐出部には、前記液槽部へ前記処理液を供給する処理液供給部が設けられ、前記処理液供給部から前記液槽部へ供給された前記処理液が前記液槽部内にてオーバーフローして前記開口部を介して前記基板上に吐出されることを特徴とする液処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の液処理装置であって、前記搬送方向における前記処理液吐出部の後側に、前記搬送手段の上側に設けられて前記基板の表面全体に前記処理液を吐出する複数のシャワー部を設けたことを特徴とする液処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の液処理装置であって、前記シャワー部は、前記搬送方向に対して反対方向に前記処理液を吐出する状態で設けられたことを特徴とする液処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の液処理装置であって、前記処理物はカバーフィルムであり、前記処理液は剥離液であり、前記化学反応処理により前記カバーフィルムが前記剥離液と反応して前記基板から剥離することを特徴とする液処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−218261(P2009−218261A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57625(P2008−57625)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】