説明

液処理装置

【課題】処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を向上させることができる液処理装置を提供すること。
【解決手段】ウエハWに処理液を吐出する吐出ノズル51aと、吐出ノズルを保持してウエハW側に移動可能に形成されるノズルアーム60と、ノズルアームと処理液供給源を接続する処理液供給管71aと、ノズルアームに配設され、吐出ノズルと処理液供給管を接続し、気液分離機能を有する部材により形成される気液分離管80aと、ノズルアームに配設され、気液分離管の周囲を密閉する密閉室61と、密閉室内を減圧して脱気する脱気機構85と、を具備する。これにより、脱気機構により密閉室内を減圧して気液分離管を流れるレジスト液Rから気泡Bを除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば半導体ウエハやFPD用ガラス基板等の基板に処理液を供給する液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体ウエハ等の製造ラインにおいては、半導体ウエハやフラットパネルディスプレイ用のガラス基板等の基板(以下にウエハ等という)の表面に、レジストのパターンを形成するために、フォトリソグラフィ技術が用いられている。このフォトリソグラフィ技術は、ウエハ等の表面にレジスト液を塗布するレジスト塗布処理と、形成されたレジスト膜にパターンを露光する露光処理と、露光処理後のウエハ等に現像液を供給する現像処理などの一連の処理が順次行われ、ウエハ等の表面に所定のレジストパターンを形成することができる。このような一連の処理を行う装置として、塗布・現像装置が知られている。塗布・現像装置は、上記処理を行う複数のプロセス処理装置の複合装置であって、例えばレジスト膜をウエハ等に形成するためのレジスト塗布装置、露光後のウエハ等に現像液を供給する現像装置等の液処理装置を備える。
【0003】
上述した液処理装置において、ウエハ等に供給されるレジスト液や現像液等の処理液には、様々な原因によって窒素ガス等の気泡が混入しており、気泡が混在した処理液がウエハ等に供給されると塗布ムラや欠陥が発生するため、処理液中に混在する気泡を除去する必要がある。
【0004】
従来、この種の装置として、基板の表面に処理液を吐出する吐出ノズルに処理液を送給する配管に、気体透過膜材で形成された細管を多数平行に配設し、各細管の両端部を配管にそれぞれ流路接続し、多数の細管を真空チャンバ内に収容して構成される脱気モジュールを介挿するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−153675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものにおいては、処理液が脱気モジュールを構成する気体透過膜材で形成された多数の細管内を流れる間に、処理液中に溶存する気泡が気体透過膜材を通して真空中へ除去することができるが、処理液が脱気モジュールを通過してから吐出ノズルまでの配管を流れる間に、配管の壁面を介して気泡が侵入して、再度処理液中に気泡が混在する懸念がある。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を向上させることができる液処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の液処理装置は、基板に処理液を吐出する吐出ノズルと、 上記吐出ノズルを保持して上記基板側に移動可能に形成されるノズルアームと、 上記ノズルアームと処理液供給源を接続する処理液供給管と、 上記ノズルアームに配設され、上記吐出ノズルと上記処理液供給管を接続し、気液分離機能を有する部材により形成される気液分離管と、 上記ノズルアームに配設され、上記気液分離管の周囲を密閉する密閉室と、 上記密閉室内を減圧して脱気する脱気機構と、を具備する、ことを特徴とする(請求項1)。この場合、気液分離機能とは、液体は透過させず気体のみを透過させる機能をいう。
【0009】
このように構成することにより、ノズルアーム内に形成された密閉室により気液分離管の周囲を密閉し、密閉室内を脱気機構により減圧するため、気液分離管を流れる処理液から気泡を除去することができる。このため、吐出ノズルから吐出される直前の処理液の気泡を除去することができる。
【0010】
この場合、上記ノズルアームは、複数の上記吐出ノズルを保持し、上記密閉室は、上記吐出ノズル毎に接続された複数の上記気液分離管を密閉してもよい(請求項2)。
【0011】
このように構成することにより、1個のノズルアームで、複数の上記吐出ノズル毎に接続された複数の気液分離管を流れる処理液から気泡を除去することができる。
【0012】
この場合、上記気液分離管の一端は、上記吐出ノズルと着脱可能に接続し、上記気液分離管の他端は、上記処理液供給管と着脱可能に接続する方が好ましい(請求項3)。
【0013】
このように構成することにより、気液分離管と吐出ノズル及び気液分離管と処理液供給管を着脱可能に接続するため、気液分離管の取付・交換を容易にしてメンテナンス性を向上することができる。また、気液分離管が複数配設される場合、その内の1本の気液分離管のみを交換することができるため、メンテナンスコストを軽減することができる。
【0014】
この場合、上記気液分離管は、ケースに収納されており、上記ケースには、該ケースの内部と上記密閉室とを連通可能にする連通部が形成される方が好ましい(請求項4)。
【0015】
このように構成することにより、気液分離管の取付・交換時に気液分離管の破損や変形により気液分離機能の低下が生じるのを防止することができるため、気液分離管の取付・交換を容易にしてメンテナンス性を向上することができる。
【0016】
また、上記気液分離管の少なくとも一部の内周面には、長手方向に沿って凹凸面が連続して形成される方がよい(請求項5)。
【0017】
このように構成することにより、気液分離管内の処理液が内周面に形成された凹凸面を通過することにより撹拌することで、処理液内の気泡の移動を促進させ、脱気を促進することができる。
【0018】
また、上記気液分離管内の処理液を超音波振動させる超音波発生部を備える方がよい(請求項6)。
【0019】
このように構成することにより、気液分離管内の処理液に超音波振動を与えて撹拌することで、処理液内の気泡の移動を促進させ、脱気を促進することができる。
【0020】
この場合、上記超音波発生部を制御する制御部を更に具備し、上記制御部は、上記超音波発生部を制御して、少なくとも上記吐出ノズルから処理液を吐出する際に、処理液の超音波振動を停止する方がよい(請求項7)。
【0021】
このように構成することにより、超音波発生部が発生する超音波振動が、吐出ノズルから基板への処理液の吐出動作に影響を及ぼすのを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明の液処理装置によれば、ノズルアーム内に形成された密閉室により気液分離管の周囲を密閉し、密閉室内を脱気機構により減圧するため、気液分離管を流れる処理液から気泡を除去することができる。したがって、吐出ノズルから吐出される直前の処理液の気泡を除去することができるため、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明に係る液処理装置を適用した塗布・現像処理システムの全体を示す概略斜視図である。
【図2】上記塗布・現像処理システムの概略平面図である。
【図3】この発明に係る液処理装置を示す概略断面図である。
【図4】上記液処理装置の概略平面図である。
【図5】この発明に係る液処理装置の第1実施形態におけるノズルアームを示す概略断面図(a)及び(a)のI部拡大断面図(b)である。
【図6】この発明に係る液処理装置の第1実施形態におけるノズルアームの一部を断面で表す概略平面図(a)及び概略底面図(b)である。
【図7】この発明に係る液処理装置の第2実施形態におけるノズルアームを示す概略断面図(a)及び一部を断面で表す概略平面図(b)である。
【図8】密閉室ユニットの接続態様を示す概略断面図(a),(b)である。
【図9】この発明に係る液処理装置の第3実施形態におけるノズルアームを示す概略断面図(a)及び一部を断面で表す概略平面図(b)である。
【図10】この発明に係る液処理装置の第4実施形態におけるノズルアームを示す概略断面図(a)及び概略底面図(b)である。
【図11】この発明に係る液処理装置の第5実施形態におけるノズルアームを示す概略断面図(a)及び(a)のII部拡大断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態について、添付図面に基づいて説明する。ここでは、この発明に係る液処理装置を塗布・現像処理システムに適用した場合について説明する。
【0025】
塗布・現像処理システムは、図1及び図2に示すように、基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)を複数枚例えば25枚密閉収納するキャリア10を搬出入するためのキャリアステーション1と、このキャリアステーション1から取り出されたウエハWにレジスト塗布,現像処理等を施す処理ステーション2と、ウエハWの表面に光を透過する液層を形成した状態でウエハWの表面を液浸露光する露光ステーション4と、処理ステーション2と露光ステーション4との間に接続されて、ウエハWの受け渡しを行うインターフェースステーション3と、を具備している。
【0026】
キャリアステーション1は、キャリア10を複数個並べて載置可能な載置部11と、この載置部11から見て前方の壁面に設けられる開閉部12と、開閉部12を介してキャリア10からウエハWを取り出すための受け渡し手段A1とが設けられている。
【0027】
キャリアステーション1の奥側には筐体20にて周囲を囲まれる処理ステーション2が接続されており、この処理ステーション2には手前側から順に加熱・冷却系のユニットを多段化した棚ユニットU1,U2,U3及び液処理ユニットU4,U5の各ユニット間のウエハWの受け渡しを行う主搬送手段A2,A3が交互に配列して設けられている。また、主搬送手段A2,A3は、キャリアステーション1から見て前後方向に配置される棚ユニットU1,U2,U3側の一面部と、後述する例えば右側の液処理ユニットU4,U5側の一面部と、左側の一面をなす背面部とで構成される区画壁21により囲まれる空間内に配置されている。
【0028】
棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされており、その組み合わせはウエハWを加熱する加熱ユニット(図示せず)、ウエハWを冷却する冷却ユニット(図示せず)等が含まれる。また、液処理ユニットU4,U5は、例えば図1に示すように、レジスト液や現像液などの薬液収納部22の上に、反射防止膜を塗布する反射防止膜塗布ユニット(BCT),ウエハWにレジスト液を塗布する塗布ユニット(COT)、現像ユニット(DEV)等を複数段例えば5段に積層して構成されている。塗布ユニット(COT)は、この発明に係る液処理装置50を備えている。
【0029】
インターフェースステーション3は、処理ステーション2と露光ステーション4との間に前後に設けられる第1の搬送室3A及び第2の搬送室3Bにて構成されており、処理ステーション2と露光ステーション4との間でウエハWの受け渡しを行うように、第1のウエハ搬送部30A及び第2のウエハ搬送部30Bが設けられている。
【0030】
上記のように構成される塗布・現像処理システムにおけるウエハWの流れについて一例について、図1及び図2を参照しながら簡単に説明する。まず、例えば25枚のウエハWを収納したキャリア10が載置部11に載置されると、開閉部12と共にキャリア10の蓋体が外されて受け渡し手段A1によりウエハWが取り出される。そして、ウエハWは棚ユニットU1の一段をなす受け渡しユニット(図示せず)を介して主搬送手段A2へと受け渡され、塗布処理の前処理として例えば反射防止膜形成処理、冷却処理が行われた後、塗布ユニット(COT)にてレジスト液が塗布される。次いで、主搬送手段A2によりウエハWは棚ユニットU1〜U3の一の棚をなす加熱ユニットで加熱され、更に冷却された後棚ユニットU3の受け渡しユニットを経由してインターフェースステーション3へと搬入される。このインターフェースステーション3において、第1の搬送室3A及び第2の搬送室3Bの第1のウエハ搬送部30A及び第2のウエハ搬送部30Bによって露光ステーション4に搬送され、ウエハWの表面に対向するように露光手段(図示せず)が配置されて露光が行われる。露光後、ウエハWは逆の経路で主搬送手段A2まで搬送され、現像ユニット(DEV)にて現像されることでパターンが形成される。そして、所定の処理を行った後、ウエハWは載置部11上に載置された元のキャリア10へと戻される。
【0031】
<第1実施形態>
次に、この発明に係る液処理装置50について説明する。この発明に係る液処理装置50は、図3〜図6に示すように、主に、ウエハWに処理液であるレジスト液及びシンナーを吐出する吐出ノズル51a〜51dと、吐出ノズル51a〜51dを保持してウエハW側に移動可能に形成されるノズルアーム60と、ノズルアーム60と処理液供給源70a〜70dを接続する処理液供給管71a〜71dと、ノズルアーム60に配設され、吐出ノズル51a〜51dと処理液供給管71a〜71dを接続し、気液分離機能を有する部材により形成される気液分離管80a〜80dと、ノズルアーム60に配設され、気液分離管80a〜80dの周囲を密閉する密閉室61と、密閉室61を減圧して脱気する脱気機構85と、を具備する。
【0032】
この場合、図4に示すように、ウエハWに塗布膜(レジスト膜)を形成する処理が行われる処理室52には、ウエハWの搬入出口52aが形成され、搬入出口52aにはシャッタ52bが開閉可能に配設されており、処理室52内を密閉状態にすることができる。
【0033】
また、処理室52内には、図3及び図4に示すように、ウエハWの裏面側中心部を吸引吸着して水平に保持する基板保持部をなすスピンチャック40が備えられている。スピンチャック40は軸部41を介して例えばサーボモータ等の回転駆動機構42に連結されており、この回転駆動機構42によりウエハWを保持した状態で回転可能に構成されている。なお、回転駆動機構42は、この発明における制御部であるコントローラ90に電気的に接続されており、コントローラ90からの制御信号に基づいてスピンチャック40の回転数が制御されるように構成されている。
【0034】
また、スピンチャック40に保持されたウエハWの側方を囲むようにしてカップ43が設けられている。このカップ43は、円筒状の外カップ43aと、上部側が内側に傾斜した筒状の内カップ43bとからなり、外カップ43aの下端部に接続された例えばシリンダ等の昇降機構44により外カップ43aが昇降し、更に内カップ43bは外カップ43aの下端側内周面に形成された段部に押し上げられて昇降可能なように構成されている。なお、昇降機構44はコントローラ90に電気的に接続されており、コントローラ90からの制御信号に基づいて外カップ43aが昇降するように構成されている。
【0035】
また、スピンチャック40の下方側には円形板45が設けられており、この円形板45の外側には断面が凹部状に形成された液受け部46が全周に亘って設けられている。液受け部46の底面にはドレイン排出口47が形成されており、ウエハWから零れ落ちるか、あるいは振り切られて液受け部46に貯留されたレジスト液やシンナーはこのドレイン排出口47を介して装置の外部に排出される。また、円形板45の外側には断面山形のリング部材48が設けられている。なお、図示は省略するが、円形板45を貫通する例えば3本の基板支持ピンである昇降ピンが設けられており、この昇降ピンと図示しない基板搬送手段との協働作用によりウエハWはスピンチャック40に受け渡しされるように構成されている。
【0036】
一方、スピンチャック40に保持されたウエハWの上方側には、ウエハWの表面の中心部と隙間を介して対向するようにして、昇降及び水平移動可能なウエハWに対してレジスト液を吐出する複数例えば3本の吐出ノズル51a〜51c及びウエハWに対してレジスト液の溶剤例えばシンナー液を吐出する1本の吐出ノズル51dからなる計4本の吐出ノズル51a〜51dが配設されている。この場合、吐出ノズル51a〜51dは、ノズル先端部にレジスト液を供給(吐出)する円形状の吐出口53a〜53d(図6(b)参照)を有している。
【0037】
また、図6(b)に示すように、吐出ノズル51a〜51dは、ノズルアーム60のノズル保持部62に、移動方向(X方向)に沿って一直線上に配列されるように着脱可能に保持(固定)されている。このように構成することにより、ノズルアーム60は複数の吐出ノズル51a〜51dを保持することができる。
【0038】
また、図3に示すように、ノズルアーム60は、夫々異なる処理液供給管71a〜71dを介して液処理ユニットU4,U5の薬液収納部22に載置される夫々異なる処理液供給源70a〜70dと接続されている。この場合、処理液供給管71a〜71dは、処理室52に形成される孔部52cから処理室52内に挿入され、ノズルアーム60に接続される(図4参照)。また、夫々の処理液供給管71a〜71dには、流量調節機能を有する開閉弁V1〜V4及びフィルタ72が介設されると共に、処理液供給源70a〜70dから、処理液供給管71a〜71dを介して、ノズルアーム60に保持される吐出ノズル51a〜51dに向けて処理液を供給するポンプP1〜P4が介設されている。
【0039】
この場合、処理液供給源70a〜70cには、例えば夫々種類の異なるレジスト液や、同じ種類であっても粘度等が異なるレジスト液等が処理液として貯留されている。また、処理液供給源70dには、シンナーが処理液として貯留されている。
【0040】
また、図5(a)に示すように、ノズルアーム60と処理液供給管71aの接続については、処理液供給管71aとの間にベアリング(図示せず)を介して処理液供給管71aに対して回転自在に連結されると共に、開口部に雌ねじ部82aが形成された接続部材82を、後述するノズルアーム60の矩形箱体63aに形成される雄ねじ部64aに、パッキン82bを介してねじ結合することにより気水密に接続することができる。なお、他の処理液供給管71b〜71dについても、上述した処理液供給管71aと同様にしてノズルアーム60と接続されている。
【0041】
ノズルアーム60は、図5,図6に示すように、吐出ノズル51a〜51dを保持するノズル保持部62と、吐出ノズル51a〜51dと処理液供給管71a〜71dを接続し、気液分離機能を有する部材により形成される気液分離管80a〜80dと、気液分離管80a〜80dの周囲を密閉する密閉室61と、密閉室61を減圧して脱気する脱気機構85と、を具備する。
【0042】
密閉室61は、図5(a)に示すように、上方に開口部が設けられた矩形箱体63aと、パッキン63bを介して着脱可能かつ気水密に開口部を塞ぐ蓋体63cと、蓋体63cを矩形箱体63aに固定する図示しない固定部材と、により主に構成される。
【0043】
この場合、矩形箱体63aの基端側の側壁には、連通口64が4個形成されており、連通口64の外周側には、連通口64と連通する連通口が形成された雄ねじ部64aが形成されている。また、矩形箱体63aの先端側の外周側の側面には、後述する略矩形ブロック状のノズル保持部62の基端側の側面に形成された嵌合凹部62bと連結するための嵌合凸部63dが突設されており、該嵌合凸部63dには連通口65が4個形成されている。また、蓋体63cの基端側には、通気口66が形成されており、通気口66の上面側には、通気口66と連通する連通口が形成された雄ねじ部66aが形成されている。
【0044】
ノズル保持部62は、上述したように、下面に複数の吐出ノズル51a〜51dを保持するものであって、矩形箱体63aの先端側に突設される嵌合凸部63dに、パッキン62cを介して基端側に形成される嵌合凹部62bを嵌合して気水密に連結されている。ノズル保持部62には、矩形箱体63aの嵌合凸部63dに形成された連通口65と連通すると共に、吐出ノズル51a〜51dと連通する処理液流路62aが4本形成されている。
【0045】
気液分離管80a〜80dは、気液分離機能を有する部材例えば、PMP(ポリ−4−メチルペンテン−1)からなる中空糸膜により形成される。この場合、気液分離機能とは、液体は透過させず気体のみを透過させる機能をいう。気液分離管80aは、図5(a)に示すように、気液分離管80aの一端(先端側)を連通口65に挿入して、ノズル保持部62に保持される吐出ノズル51aと連通する処理液流路62aと接続し、気液分離管80aの他端(基端側)を連通口64に挿入して、処理液供給管71aと接続される。
【0046】
この場合、他の気液分離管80b〜80dについても、上述した気液分離管80aと同様に接続されており、密閉室61には、吐出ノズル51a〜51d毎に接続された複数の気液分離管80a〜80dが密閉される(図6(a)参照)。このように構成することにより、1個のノズルアーム60で、複数の吐出ノズル51a〜51d毎に接続された複数の気液分離管80a〜80dを流れる処理液から気泡を除去することができる。
【0047】
脱気機構85は、密閉室61を減圧して脱気するものであって、図5(a),図6(a)に示すように、上述した蓋体63cに形成される通気口66と連通する排気管85aと、処理室52に形成される孔部52d(図4参照)を通って処理室52の外部に配管された排気管85aに介設される排気用ポンプD1と、により構成される。
【0048】
図5(a)に示すように、密閉室61と排気管85aの接続については、図示しないベアリングを介して排気管85aに対して回転自在に連結されると共に、開口部に雌ねじ部81aが形成された接続部材81を、密閉室61を構成する蓋体63cに形成される雄ねじ部66aに、パッキン81bを介してねじ結合することにより気水密に接続することができる。
【0049】
また、ノズルアーム60は、図4に示すように、基端側が図示しない昇降機構を備えた移動基台54と連結されており、更に移動基台54は例えばボールねじやタイミングベルト等のノズル移動機構55にてX方向に伸びるガイド部材56に沿ってX方向に移動可能なように構成されている。ノズルアーム60は、ノズル移動機構55を駆動することにより、処理室52内をウエハW側に移動することができる。
【0050】
また、図4に示すように、カップ43の一方の外方側には、吐出ノズル51a〜51dの待機部57が設けられており、この待機部57で吐出ノズル51a〜51dのノズル先端部の洗浄などが行われる。
【0051】
なお、上述した開閉弁V1〜V4、ポンプP1〜P4、排気用ポンプD1、ノズル移動機構55は、それぞれコントローラ90に電気的に接続されており、コントローラ90に予め記憶された制御信号に基づいて開閉弁V1〜V4、ポンプP1〜P4、排気用ポンプD1の駆動制御、ノズルアーム60の移動が行われるように構成されている。
【0052】
上記のように構成される液処理装置50の動作態様について説明する。例えば吐出ノズル51aからレジスト液RをウエハWに供給する場合において、ポンプP1の駆動により処理液供給源70aから処理液供給管71aへ送り込まれるレジスト液Rは、処理液供給管71aを通過した後、気液分離管80aに流入する。レジスト液Rが気液分離管80aを通過する際、気液分離管80aの周囲を密閉する密閉室61は、脱気機構85により減圧してあるため、例えば図5(b)に示すように、気液分離管80aを通過するレジスト液Rから、レジスト液Rに混入した気泡Bのみが気液分離管80aの壁面を通過する。気液分離管80aにより気泡Bが除去されたレジスト液Rは、処理液流路62aを介して、吐出ノズル51aからウエハWに供給される。このため、吐出ノズル51aから吐出される直前のレジスト液Rに混入する気泡Bを除去することができる。
【0053】
上述した第1実施形態における液処理装置50によれば、ノズルアーム60内に形成された密閉室61により気液分離管80a〜80dの周囲を密閉し、密閉室61内を脱気機構85により減圧するため、気液分離管80a〜80dを流れる処理液から気泡を除去することができる。したがって、吐出ノズル51a〜51dから吐出される直前の処理液の気泡を除去することができるため、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を向上させることができる。
【0054】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、気液分離管80a〜80dについて、4本の気液分離管80a〜80d全てを、1個の密閉室61により密閉したが、密閉室は気液分離管80a〜80dを1本毎に密閉してもよい。例えば、図7(a),(b)に示すように、ノズルアーム60Aに、気液分離管80a〜80dを1本毎に密閉する密閉室61Aを複数例えば4個配設してもよい。
【0055】
この場合、第2実施形態に係る液処理装置は、図7(a)に示すように、例えば1本の気液分離管80aを密閉室61Aに密閉した密閉室ユニット73を備える。密閉室ユニット73は、気液分離管80aと、気液分離管80aの両端部に配設される鍔状板材73aと、両鍔状板材73aに連結されると共に気液分離管80aを内包する筒体73bと、により形成される気液分離管80aを密閉する密閉室61Aを具備する。図7(a),図8(b)に示すように、密閉室61Aを形成する筒体73bの基端側の上面には、密閉室61Aの内部空間を脱気機構85と連通するための切欠部73eが形成されている。
【0056】
更に、密閉室ユニット73には、図7(a)、図8(a),(b)に示すように、気液分離管80aの先端側の端部に連結され、気液分離管80aと連通する連通口が形成されたプラグ73cと、気液分離管80aの基端側の端部に連結され、気液分離管80aと連通する連通口が形成された雄ねじ部73dを備える。
【0057】
図7(a),(b)に示すように、蓋体63cの裏面側には、脱気機構85の排気管85aが連通する通気口66と連通する気体流路67aを形成するための流路形成部材67が連結されている。流路形成部材67の底面には、4個の連通口67bが形成されており、上述した切欠部73eに流路形成部材67を嵌合して連通口67bと切欠部73eを連通することにより、密閉室61Aと排気機構85と連通する気体流路67aを連通することができる。
【0058】
また、図8(a)に示すように、矩形箱体63aに形成される連通口65の内周側には、連通口65と連通する連通口を有し、上述したプラグ73cとワンタッチで着脱可能なソケット65aが連結されている。この場合、プラグ73cがソケット65aに挿入されると、プラグ73cの先端がソケット65aに備えられたばね65cを押し下げて、ばね65cとプラグ73cの間に介在されるパッキン65bをプラグ73cに押し付けて気水密を保つことができる。このように構成することにより、気液分離管80aと、吐出ノズル51aと連通する処理液流路62aを着脱可能かつ気水密に接続することができる。
【0059】
また、図8(b)に示すように、矩形箱体63aに形成される連通口64から挿入された処理液供給管71aの端部には、処理液供給管71aの端部に連結されたフレキシブルチューブ86bが嵌押される筒体86cに、ベアリング86dを介して接続部材86が回転自在に取り付けられている。また、接続部材86の開口部には雌ねじ部86aが形成されており、上述した雄ねじ部73dは、雌ねじ部86aの底部に配設されたパッキン86eを介して雌ねじ部86aとねじ結合することができる。このように構成することにより、気液分離管80aと、処理液供給管71aを着脱可能かつ気水密に接続することができる。
【0060】
この場合、他の気液分離管80b〜80dについても、図7(b)に示すように、上述した気液分離管80aと同様に密閉室61Aに密閉され密閉室ユニット73を構成している。
【0061】
なお、第2実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0062】
上記のように構成される密閉室ユニット73の取付作業について説明する。作業者は、矩形箱体63aの開口部に図示しない固定部材により固定された蓋体63cを取り外して開放した後、矩形箱体63a内に密閉室ユニット73を切欠部73eが上を向くように配置すると共に、密閉室ユニット73の先端側のプラグ73cを、ソケット65aに連結する。次いで、密閉室ユニット73の基端側の雄ねじ部73dに、処理液供給管71aの端部に連結された接続部材86の雌ねじ部86aをねじ結合する。この際、気液分離管80aの端部には伸縮可能なフレキシブルチューブ86bが介設されているため、容易にねじ結合することができる。その後、矩形箱体63aの開口部を蓋体63cにより閉鎖し、固定部材により固定して、密閉室ユニット73の切欠部73eに蓋体63cの裏面に連結された流路形成部材67を嵌合して、密閉室61A内と排気機構85と連通する気体流路67aを連通する。
【0063】
一方、密閉室ユニット73を取り外す場合は、上述の取付作業とは逆の手順すなわち、密閉室ユニット73の基端側の雄ねじ部73dと、処理液供給管71aの端部に連結された接続部材86の雌ねじ部86aのねじ結合を解除した後、密閉室ユニット73の先端側のプラグ73cを、ソケット65aから引き抜いて連結を解除すればよい。
【0064】
このように、気液分離管80a〜80dを1本毎に密閉室61Aに密閉して密閉室ユニット73を構成することにより、4本の気液分離管80a〜80dのうち、例えば1本の気液分離管80aのみを交換することができる。
【0065】
上述した第2実施形態における液処理装置によれば、ノズルアーム60A内に形成された密閉室61Aにより気液分離管80aの周囲を密閉し、密閉室61A内を脱気機構85により減圧するため、気液分離管80aを流れる処理液から気泡を除去することができる。したがって、吐出ノズル51aから吐出される直前の処理液の気泡を除去することができるため、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を向上させることができる。
【0066】
また、気液分離管80a〜80dの一端は、吐出ノズル51a〜51dと着脱可能に接続し、気液分離管80a〜80dの他端は、処理液供給管71a〜71dと着脱可能に接続することにより、気液分離管80a〜80dと処理液供給管71a〜71d及び気液分離管80a〜80dと吐出ノズル51a〜51dを着脱可能に接続するため、気液分離管80a〜80dの取付・交換を容易にしてメンテナンス性を向上することができる。また、4本の気液分離管80a〜80dのうち、例えば1本の気液分離管80aのみを交換することができるため、メンテナンスコストを軽減することができる。
【0067】
更に、気液分離管80aを1本毎に密閉室61Aに密閉することにより、気液分離管80aの取付・交換時に気液分離管80aの破損や変形により気液分離機能の低下が生じるのを防止することができるため、気液分離管80aの交換を容易にしてメンテナンス性を向上することができる。
【0068】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る液処理装置は、上述した第1実施形態の液処理装置に加えて、ノズルアーム60Bに配設される気液分離管80aを、ケース83に収納し、ケース83には、該ケース83の内部と密閉室61とを連通可能にする連通部である連通孔83eを形成する。
【0069】
この場合、第3実施形態に係る液処理装置は、図9(a)に示すように、1本の気液分離管80aをケース83に収納した気液分離管ユニット84を備える。気液分離管ユニット84は、気液分離管80aと、気液分離管80aの両端部に配設される鍔状板材83aと、両鍔状板材83aに連結されると共に気液分離管80aを内包する筒体83bと、により形成される気液分離管80aを収納するケース83を具備する。
【0070】
また、図9(a),(b)に示すように、ケース83の筒体83bには、ケース83の内部と密閉室61とを連通可能にする連通部である複数の連通孔83eが形成されており、脱気機構85により密閉室61内を減圧することによりケース83の内部を減圧状態にすることができる。
【0071】
更に、気液分離管ユニット84には、第2実施形態と同様にして、気液分離管80aの先端側の端部に連結され、気液分離管80aと連通する連通口が形成されたプラグ73cと、気液分離管80aの基端側の端部に連結され、気液分離管80aと連通する連通口が形成された雄ねじ部73dを備える。
【0072】
図9(a)に示すように、連通口65の内周側には、第2実施形態と同様に、連通口65と連通する連通口を有し、上述したプラグ73cとワンタッチで着脱可能なソケット65aが連結されている。また、連通口64から挿入された処理液供給管71aの端部には、第2実施形態と同様に、処理液供給管71aの端部に連結されたフレキシブルチューブ86bが嵌押される筒体86cに、図示しないベアリングを介して回転自在に取り付けられる接続部材86が連結されている。接続部材86の開口部には雌ねじ部86aが形成されており、上述した雄ねじ部73dとパッキン86eを介して気水密にねじ結合することができる。
【0073】
このように構成することにより、気液分離管80aと、吐出ノズル51aと連通する処理液流路62aを着脱可能かつ気水密に接続することができると共に、気液分離管80aと、処理液供給管71aを着脱可能かつ気水密に接続することができる。
【0074】
また、図9(b)に示すように、他の気液分離管80b〜80dについても、上述した気液分離管80aと同様にケース83に収納され気液分離管ユニット84を構成している。
【0075】
なお、第3実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0076】
上記のように構成される気液分離管ユニット84の取付作業について説明する。作業者は、蓋体63cを取り外して開放した後、気液分離管ユニット84を矩形箱体63a内に配置すると共に、気液分離管ユニット84の先端側のプラグ73cを、ソケット65aに連結する。次いで、気液分離管ユニット84の基端側の雄ねじ部73dに、処理液供給管71aの端部に連結された接続部材86の雌ねじ部86aをねじ結合する。その後、矩形箱体63aの開口部を蓋体63cにより閉鎖する。上記取付作業において、気液分離管80aは、連通孔83cが形成されたケース83に収納してあるため、気液分離管80aに無理な力が加わって、気液分離管80aの破損や変形により気液分離機能の低下が生じるのを防止することができる。
【0077】
一方、気液分離管ユニット84を取り外す場合は、上述の取付作業とは逆の手順すなわち、気液分離管ユニット84の基端側の雄ねじ部73dと、処理液供給管71aの端部に連結された接続部材86の雌ねじ部86aのねじ結合を解除した後、気液分離管ユニット84の先端側のプラグ73cを、ソケット65aから引き抜いて連結を解除すればよい。
【0078】
このように、気液分離管80a〜80dを1本毎にケース83に収納して気液分離管ユニット84を構成することにより、4本の気液分離管80a〜80dのうち、例えば1本の気液分離管80aのみを交換することができる。
【0079】
上述した第3実施形態における液処理装置によれば、第1実施形態と同様に吐出ノズル51a〜51dから吐出される直前の処理液の気泡を除去することができるため、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を向上させることができる。また、気液分離管80a〜80dの一端は、吐出ノズル51a〜51dと着脱可能に接続し、気液分離管80a〜80dの他端は、処理液供給管71a〜71dと着脱可能に接続することにより、気液分離管80a〜80dと処理液供給管71a〜71d及び気液分離管80a〜80dと吐出ノズル51a〜51dを着脱可能に接続するため、気液分離管80a〜80dの取付・交換を容易にしてメンテナンス性を向上することができる。更に、4本の気液分離管80a〜80dのうち、例えば1本の気液分離管80aのみを交換することができるため、メンテナンスコストを軽減することができる。
【0080】
また、気液分離管80aを、連通孔83eが形成されたケース83に収納することにより、気液分離管80aの取付・交換時に気液分離管80aの破損や変形により気液分離機能の低下が生じるのを防止することができるため、気液分離管80aの交換を容易にしてメンテナンス性を向上することができる。
【0081】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る液処理装置は、上述した第1実施形態の液処理装置に加えて、気液分離管80a〜80d内の処理液を超音波振動させる超音波発生部88を備える。
【0082】
この場合、超音波発生部88は、図10(a),(b)に示すように、例えばノズルアーム60Cの底面の基端側に接着される振動板88aと、振動板88aを駆動し、超音波電源88cを具備する超音波発生器88bと、から主に構成されている。超音波発生器88bは、コントローラ90と電気的に接続されており、コントローラ90からの制御信号に基づいて、駆動制御が行われるようになっている。
【0083】
コントローラ90は、超音波発生部88を制御して、吐出ノズル51a〜51dから処理液を吐出する際に、処理液の超音波振動を停止する。このように構成することにより、超音波発生部88が発生する超音波振動が、吐出ノズル51a〜51dからウエハWへの処理液の吐出動作に影響を及ぼすのを防止することができる。
【0084】
なお、第4実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0085】
上述した第4実施形態における液処理装置によれば、第1実施形態と同様に吐出ノズル51a〜51dから吐出される直前の処理液の気泡を除去することができるため、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を向上させることができる。また、気液分離管80a〜80d内の処理液に超音波振動を与えて撹拌することで、処理液内の気泡の移動を促進させ、脱気を促進することができるため、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を向上させることができる。
【0086】
なお、上記第4実施形態では、第1実施形態に係る液処理装置において、超音波発生部88を備える場合について説明したが、第2,3実施形態においても、同様に超音波発生部88を備えることができる。
【0087】
<第5実施形態>
上述した第1実施形態では、気液分離管80a〜80dについて、円筒状の中空糸膜により形成したが、例えば図11(a),(b)に示すように、ノズルアーム60Dに配設される気液分離管91の内周面に、長手方向に沿って凹凸面91aを連続して形成してもよい。
【0088】
この場合、気液分離管91は、図11(b)に示すように、気液分離機能を有する部材例えば、PMP(ポリ−4−メチルペンテン−1)からなり、内周面に長手方向に沿って凹凸面91aが連続して形成された中空糸膜で形成されている。この場合、気液分離機能とは、液体は透過させず気体のみを透過させる機能をいう。
【0089】
なお、第5実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0090】
上記のように構成される第5実施形態における液処理装置の動作態様について説明する。レジスト液Rは、第1実施形態と同様に、処理液供給管71aを通過した後、気液分離管91に流入する。レジスト液Rが気液分離管91を通過する際、気液分離管91の周囲を密閉する密閉室61は、脱気機構85により減圧してあるため、気液分離管91を通過するレジスト液Rから、レジスト液Rに混入した気泡Bのみが気液分離管91の壁面を通過する。この際、図11(b)に示すように、気液分離管91を通過するレジスト液Rは、内周面に長手方向に沿って形成された凹凸面91aを通過することにより撹拌することで、レジスト液R内の気泡Bの移動が促進され、脱気を促進することができる。気液分離管91により気泡Bが除去されたレジスト液Rは、処理液流路62aを介して、吐出ノズル51aからウエハWに供給される。
【0091】
上述した第5実施形態における液処理装置によれば、第1実施形態と同様に吐出ノズル51a〜51dから吐出される直前の処理液の気泡を除去することができるため、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を向上させることができる。また、気液分離管91内の処理液が、気液分離管91の内周面に長手方向に沿って形成された凹凸面91aを通過することにより撹拌することで、処理液内の気泡の移動を促進させ、脱気を促進することができるため、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を向上させることができる。
【0092】
なお、上記第5実施形態では、第1実施形態に係る液処理装置において、気液分離管91の内周面に、長手方向に沿って凹凸面91aを連続して形成する場合について説明したが、第2〜4実施形態においても、同様に気液分離管91の内周面に、長手方向に沿って凹凸面91aを連続して形成することができる。
【0093】
<その他の実施形態>
上述した第1実施形態の液処理装置に加えて、図4に想像線で示すように、密閉された処理室52内を脱気する第2の脱気機構86を更に備えてもよい。この場合、処理室52内に配設される処理液供給管71a〜71dに、気液分離機能を有する部材により形成された第2の気液分離管(図示せず)を介設する。
【0094】
図4に示すように、第2の脱気機構86は、処理室82に設けられた孔部52eに挿入される排気管86aと、処理室52の外部に配管された排気管86aに介設される排気用ポンプD2と、により構成される。
【0095】
このように構成することにより、第1実施形態の効果すなわち吐出ノズル51a〜51dから吐出される直前の処理液の気泡を除去することができるため、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を向上させることができることに加え、第2の気液分離管を流れる処理液から気泡を除去することができるため、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を更に向上させることができる。
【0096】
以上、この発明の実施の形態の一例について説明したが、この発明はこの形態に限らず種々の態様を採りうるものである。例えば、上記実施形態ではレジスト液をウエハWに供給する場合について説明したが、これに限定されることなく、処理液についてはレジスト液のほか、現像液等を使用する場合にも適用することができる。また、基板としてウエハWの液処理装置について説明したが、これに限定されることなく、例えばFPD用ガラス基板の液処理装置であっても適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
B 気泡
R レジスト液(処理液)
W 半導体ウエハ(基板)
51a〜51d 吐出ノズル
60,60A,60B,60C,60D ノズルアーム
61,61A 密閉室
70a〜70d 処理液供給源
71a〜71d 処理液供給管
80a〜80d,91 気液分離管
91a 凹凸面
83 ケース
83c 連通孔(連通部)
85 脱気機構
88 超音波発生部
90 コントローラ(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理液を吐出する吐出ノズルと、
上記吐出ノズルを保持して上記基板側に移動可能に形成されるノズルアームと、
上記ノズルアームと処理液供給源を接続する処理液供給管と、
上記ノズルアームに配設され、上記吐出ノズルと上記処理液供給管を接続し、気液分離機能を有する部材により形成される気液分離管と、
上記ノズルアームに配設され、上記気液分離管の周囲を密閉する密閉室と、
上記密閉室内を減圧して脱気する脱気機構と、を具備する、
ことを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の液処理装置において、
上記ノズルアームは、複数の上記吐出ノズルを保持し、上記密閉室は、上記吐出ノズル毎に接続された複数の上記気液分離管を密閉する、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の液処理装置において、
上記気液分離管の一端は、上記吐出ノズルと着脱可能に接続し、上記気液分離管の他端は、上記処理液供給管と着脱可能に接続する、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の液処理装置において、
上記気液分離管は、ケースに収納されており、上記ケースには、該ケースの内部と上記密閉室とを連通可能にする連通部が形成される、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の液処理装置において、
上記気液分離管の少なくとも一部の内周面には、長手方向に沿って凹凸面が連続して形成される、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の液処理装置において、
上記気液分離管内の処理液を超音波振動させる超音波発生部を更に具備する、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の液処理装置において、
上記超音波発生部を制御する制御部を更に具備し、上記制御部は、上記超音波発生部を制御して、少なくとも上記吐出ノズルから処理液を吐出する際に、処理液の超音波振動を停止する、ことを特徴とする液処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−69949(P2013−69949A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208388(P2011−208388)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】