説明

液剤供給機能を備えた頭額部用空気圧マッサージ器

【課題】頭額部に対するマッサージ中に被施術者の頭額部からエアーヘッドベルトが移動することを防ぐことができ、頭部の毛髪に液剤を供給することのできる携帯性に優れた頭額部用空気圧マッサージ器を提供すること。
【解決手段】両端に固定手段を備えたエアーヘッドベルトと、前記エアーヘッドベルトに設けられた空気袋と、液剤を格納するための液剤容器と、前記液剤容器から前記エアーヘッドベルトに設けられた開口部を通じて液剤を噴霧するための噴霧手段と、前記空気袋および前記液剤容器に空気を供給する空気供給手段と、を有し、
前記エアーヘッドベルトの空気袋が、前記エアーヘッドベルトを環状に接続した際に、前記エアーヘッドベルトの内側となる部分に設けられ、
前記空気袋が、前記エアーヘッドベルトの環状周囲方向に対して垂直方向に前記空気袋の内部を結合する結合部を有することを特徴とする、頭額部用空気圧マッサージ器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤供給機能を備えた頭額部用空気圧マッサージ器に関する。
【背景技術】
【0002】
空気の出し入れにより膨らんだり縮んだりする空気袋を利用して頭額部に刺激を与える頭額部用空気圧マッサージ器がこれまでに提案されている。
具体的には、外被帯によって密封するように覆われた空気が出入りする内袋を頭額部に巻き付け、頭額部をマッサージするエアーヘッドベルトを備えた頭額部用空気圧マッサージ器が提案されている(特許文献1、2等)。
しかしながら、前記エアーヘッドベルトは空気を入れる前は帯状に頭額部に巻き付けることができるが、空気を入れた後は、前記エアーヘッドベルトの全体の形状がいわゆる浮き輪状となり、環状の円筒の両端を接続した構造となる。
空気を入れる前の前記エアーヘッドベルトは帯状であり、頭額部の周囲に一定の面積を持って接触する。
この一方、空気を入れた後の前記エアーヘッドベルトはいわゆる浮き輪状になるために、頭額部に接触する内側部分の面積が小さくなる。
このため、前記エアーヘッドベルトに対して空気の出し入れを繰り返すと、前記エアーヘッドベルトが尺取り虫の様に移動して頭額部から頭頂部側へ外れたり、逆に前記エアーヘッドベルトが目や鼻の部分まで下がってきたりする問題があった。
この問題を解決するために、従来の頭額部用空気圧マッサージ器は前記エアーヘッドベルトに固定するための顎ベルトや、頭額部に被せるキャップを準備して、これらの顎ベルトや、頭額部に被るキャップに前記エアーヘッドベルトを連結することにより、前記エアーヘッドベルトが頭額部の所定の位置から動くことを防止している。
しかし顎ベルトを備えた頭額部用空気圧マッサージ器の場合には、前記頭額部用空気圧マッサージ器の使用者は前記エアーヘッドベルトに対する空気の出し入れに伴い首への圧迫感を受ける。
また頭額部用空気圧マッサージ器により頭額部周囲の血流が改善されると、それに伴い一時的に頭額部が痒くなる場合がある。
しかし頭額部に被せるキャップを備えた頭額部用空気圧マッサージ器の場合には頭額部を直接掻くことができないため、前記頭額部用空気圧マッサージ器の使用時に逆に不快感を感じる場合もある。
【0003】
一方、頭額部に育毛剤を浸透させる装置として、頭額部に被せるキャップを備えた装置が知られている。
具体的には、頭額部にキャップを被せてからキャップ内部を減圧し、次いでこのキャップ内部に薬液を噴霧して毛根部に液剤を浸透させる方法に使用する装置が提案されている(特許文献3〜5)。
これらの装置を使用することにより、頭額部の毛根部に薬液が浸透するとされる。
しかしながらこれらの従来の装置は、頭額部に被せるキャップが減圧の際に変形することがない様に丈夫な素材で形成する必要があり、減圧装置も含めて装置全体の体積が大きくなる場合があった。
また頭額部に被せるキャップの内部を減圧している際には頭額部が痒くなっても頭額部を直接掻くことができず、やはり装置の使用時に逆に不快感を感じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−300632号公報
【特許文献2】特開2008−86563号公報
【特許文献3】特許第3026085号公報
【特許文献4】特開2000−245849号公報
【特許文献5】特開平9−28448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、頭額部に対するマッサージ中に被施術者の頭額部からエアーヘッドベルトが移動することを防ぐことができ、頭部の毛髪に液剤を供給することのできる携帯性に優れた頭額部用空気圧マッサージ器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本発明者が鋭意検討した結果、被施術者の頭額部に巻き付けて使用するエアーヘッドベルトに設置された空気袋の内部に、前記エアーヘッドベルトの長手方向に対して垂直方向に前記空気袋の内部を結合する結合部が設けられ、加えて液剤供給手段を備えた頭額部用空気圧マッサージ器が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
[1]両端に固定手段を備えたエアーヘッドベルトと、
前記エアーヘッドベルトに設けられた空気袋と、
液剤を格納するための液剤容器と、
前記液剤容器から前記エアーヘッドベルトに設けられた開口部を通じて液剤を噴霧するための噴霧手段と、
前記空気袋および前記液剤容器に空気を供給する空気供給手段と、
を有し、
前記エアーヘッドベルトが、前記エアーヘッドベルトの両端に備えられた固定手段により、環状に着脱可能に接続することができ、
前記エアーヘッドベルトの空気袋が、前記エアーヘッドベルトを環状に接続した際に、前記エアーヘッドベルトの内側となる部分に設けられ、
前記空気袋が、前記エアーヘッドベルトの環状周囲方向に対して垂直方向に前記空気袋の内部を結合する結合部を有することを特徴とする、頭額部用空気圧マッサージ器を提供するものである。
【0008】
また本発明の一つは、
[2]前記エアーヘッドベルトを環状に着脱可能に接続した場合の環状周囲方向を基準とし、前記環状周囲方向に対して垂直方向に前記空気袋の内部を結合する結合部が、前記空気袋に、間隔をおいて複数設けられている、上記[1]に記載の頭額部用空気圧マッサージ器を提供するものである。
【0009】
また本発明の一つは、
[3]前記エアーヘッドベルトを環状に着脱可能に接続した場合の環状周囲方向を基準とし、前記環状周囲方向に対して垂直方向に前記空気袋の内部を結合する結合部が、前記空気袋の内面同士を貼着して形成され、
前記空気袋の内部を結合する結合部の外周が、直線および曲線の少なくとも一方を滑らかに連結してなる形状である、上記[1]または[2]に記載の頭額部用空気圧マッサージ器を提供するものである。
【0010】
また本発明の一つは、
[4]前記エアーヘッドベルトが、
前記エアーヘッドベルトを環状に着脱可能に接続した場合の環状周囲方向に沿って配置された空気袋を含む可動部と、
前記エアーヘッドベルトを環状に着脱可能に接続した場合の環状周囲方向に沿って配置された非可動部と、
を有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の頭額部用空気圧マッサージ器を提供するものである。
【0011】
また本発明の一つは、
[5]前記噴霧手段が、
前記液剤容器と、
前記空気供給手段から空気を前記液剤容器に供給するための空気供給管と、
前記液剤容器に設置された空気導入管と、
を備え、
前記空気供給管と前記空気導入管とが接続され、
空気供給手段により前記液剤容器に供給された空気により、前記液剤容器に液剤を、前記エアーヘッドベルトに設けられた開口部を通じて前記液剤容器に入れられた液剤を噴霧する手段である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の頭額部用空気圧マッサージ器を提供するものである。
【0012】
また本発明の一つは、
[6]前記エアーヘッドベルトに設けられた空気袋が、前記空気供給機から空気を前記空気袋に供給するための空気供給管に連結され、
前記空気供給機から断続的に供給された空気により、前記空気袋が拡張および収縮を繰り返す、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の頭額部用空気圧マッサージ器を提供するものである。
【0013】
また本発明の一つは、
[7]前記エアーヘッドベルトを環状に固定した際に、前記エアーヘッドベルトの上部開放部を覆うカバーを備えた、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の頭額部用空気圧マッサージ器を提供するものである。
【0014】
また本発明の一つは、
[8]前記エアーヘッドベルトが、顎ひもを備えた、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の頭額部用空気圧マッサージ器を提供するものである。
【0015】
また本発明は、
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載の頭額部用空気圧マッサージ器を被施術者の頭額部に設置することにより、前記被施術者に対し頭額部のマッサージを行い、および前記被施術者の毛髪に対し、液剤を噴霧することを特徴とする、育毛マッサージ方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の頭額部用空気圧マッサージ器は、前記エアーヘッドベルトに設けられた空気袋に、縦方向、すなわち前記エアーヘッドベルトを環状に着脱可能に接続した場合の環状周囲方向を基準とし、前記環状周囲方向に対して垂直方向に前記空気袋の内部を結合する結合部が形成されている。
このため前記空気袋に前記空気供給手段により空気を供給すると、前記空気袋は前記結合部により区切られた部分毎に縦方向に概略柱形状に膨張する。
従来の頭額部用空気圧マッサージ器の様に、前記空気袋に結合部を設置しない場合には、前記空気袋に対して前記空気供給手段により空気を供給すると、前記空気袋は横方向、すなわち前記エアーヘッドベルトの環状周囲方向に概略浮き輪形状に膨張する。
概略浮き輪形状に膨張した空気袋が被施術者の頭額部に接触する面積は、膨張前の空気袋の形状と比較して減少するため、前記エアーヘッドベルトと被施術者の頭額部との摩擦は減少する。これにより従来のエアーヘッドベルトを使用した場合には被施術者の頭額部で、従来のエアーヘッドベルトがいわゆる尺取り虫の様に移動する現象が生じる。
【0017】
これに対し、本発明の頭額部用空気圧マッサージ器は、膨張した空気袋は縦方向に結合部が設けられているため、膨張した空気袋が被施術者の頭額部の周囲に複数の概略柱形状が縦方向に取り囲む形状となる。
本発明に使用するエアーヘッドベルトが被施術者の頭額部に接触する角度を調整することにより、本発明に使用するエアーヘッドベルトに装着された空気袋は被施術者の頭額部に対して垂直方向に伸縮を繰り返す。これにより本発明の頭額部用空気圧マッサージ器が被施術者の頭額部で、いわゆる尺取り虫の様に移動することを防止することができる。
【0018】
また本発明の頭額部用空気圧マッサージ器は、前記エアーヘッドベルトに設けられた開口部を通じて液剤を噴霧するための噴霧手段を有する。
これにより、被施術者の頭額部に対してマッサージを行いつつ、被施術者の毛髪に対し、育毛剤、発毛剤、育毛料等の液剤を供給することができる。
【0019】
また本発明の頭額部用空気圧マッサージ器は、前記エアーヘッドベルトを環状に固定した際に、前記エアーヘッドベルトの上部開放部を覆うカバーを設置することもできる。
前記カバーと前記エアーヘッドベルトとの隙間から被施術者は自身の毛髪部に触れることができる。
このため頭部に痒い場所が生じた場合でも被施術者は頭部の痒いところを自ら掻くことができる。また毛髪に対する液剤の浸透具合を指により確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は実施例1に使用するエアーヘッドベルトの内面側を例示した模式平面図である。
【図2】図2は実施例1に使用するエアーヘッドベルトの外面側を例示した模式平面図である。
【図3】図3は実施例1に使用するエアーヘッドベルトを環状に着脱可能に固定した状態を説明するための模式斜視図である。
【図4】図4は空気袋内部に設置される結合部の形状を説明するための模式部分拡大図である。
【図5】図5はコントローラ本体の内部を説明するための模式平面図である。
【図6】図6は実施例1に使用する液剤容器を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に実施例に基づいて、図面を参照しつつ本発明について詳細に説明する。なお本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1は実施例1に使用するエアーヘッドベルトの内面側を例示した模式平面図であり、図2は実施例1に使用するエアーヘッドベルトの外面側を例示した模式平面図である。また図3は、実施例1に使用するエアーヘッドベルトを環状に着脱可能に固定した状態を説明するための模式斜視図である。
エアーヘッドベルト1の内面端部2および外面端部2’には固定手段として、それぞれ面ファスナー3,3が配置されている。
前記面ファスナー3はフックを備えた支持体とループ備えた支持体とを組み合わせて使用される。フックを備えた支持体とループ備えた支持体とを接触させることにより、前記フックが前記ループに絡まる。これによりフックを備えた支持体とループ備えた支持体とを互いに固定することができる。
前記エアーヘッドベルト1は、前記エアーヘッドベルト1の内面端部2および外面端部2’に備えられた固定手段により、環状に着脱可能に接続することができる。
【0023】
なお本発明においては、前記エアーヘッドベルト1を環状に着脱可能に固定した際に、内側となる部分を前記エアーヘッドベルト1の内面と表現し、外側となる部分を前記エアーヘッドベルト1の外面と表現する。
【0024】
実施例1に使用した前記固定手段は面ファスナー3,3であるが、本発明に使用される前記固定手段は面ファスナー3に限定されることはなく、例えば、ボタン、ファスナー等、一方を他方に組み合わせて固定することができるものであれば適宜選択して使用することができる。
【0025】
また前記エアーヘッドベルト1の内面には、空気袋10が設けられている。
前記空気袋10は、前記エアーヘッドベルト1の内面本体4と、前記エアーヘッドベルト1の内面本体4に貼着された空気袋用シート11により形成されている。
前記空気袋用シート11の外周部分12が前記エアーヘッドベルト1の内面本体4に貼着されている。
【0026】
また前記空気袋10の内部には結合部20が設けられている。
前記結合部20は、前記エアーヘッドベルト1の内面本体4と、空気袋用シート11とが貼着されて形成されている。
前記エアーヘッドベルト1に対して空気袋10は内側に設置されているため図3の場合は実際には前記空気袋10は見えない位置に設置されている。
なお、前記結合部20の端部と前記空気袋用シート11の外周部分12との間には隙間が設けられている。
このため空気は前記空気袋10の内部で自由に移動することができる。
【0027】
図1に示される通り、前記結合部20は、前記エアーヘッドベルト1の環状周囲方向(図3参照)に対して垂直方向に前記空気袋10の内部を結合している。
前記結合部20が前記エアーヘッドベルト1の環状周囲方向に対して垂直方向に配置されることにより、前記エアーヘッドベルト1の内面本体4と空気袋用シート11との互いに貼着されていない部分が膨らむ。
この膨らんだ部分は前記結合部20を隔てて前記エアーヘッドベルト1の環状周囲方向に並ぶ。
前記結合部20が存在しない場合には、前記空気袋10の内部に空気を供給すると前記空気袋10は浮き輪形状に膨らむ。
これに対し前記結合部20が存在する場合には前記結合部20により前記空気袋10の膨張が制限される。
この結果、膨張した空気袋10と被施術者の頭額部との接触面積が少なくなることを、前記結合部20が存在しない場合と比較して軽減することができる。
これにより、空気袋10に空気を断続的に供給した場合に、前記エアーヘッドベルトが被施術者の頭額部においていわゆる尺取り虫状に動くことを防止することができる。
【0028】
図4は前記結合部20の形状を説明するための模式部分拡大図である。
図4に例示される様に、前記結合部20の外周は、直線および曲線の少なくとも一方を滑らかに連結して形成されている。
前記結合部20の外周の形状を、直線および曲線の少なくとも一方を滑らかに連結して形成することにより、前記結合部20の外周の一部に応力が集中することを防止することができる。
これにより前記空気袋10の膨張と収縮を繰り返した場合に前記結合部20が破損し、空気袋10に孔が生じることを防ぐことができる。
なお図4に例示した前記結合部20の形状に代えて、例えば、楕円形等を使用することもできる。また円形等の結合部を前記エアーヘッドベルト1の環状周囲方向に対して垂直方向に二以上並べて結合部を形成することもできる。
【0029】
前記結合部20は、空気袋10の内部に1〜10cm間隔に10〜30個の範囲で設けることが好ましく、1〜6cm間隔に12〜20個の範囲で設けることが好ましい。
【0030】
次に前記エアーヘッドベルト1に対する空気袋10の設置位置を説明する。
図1における一点破線A−Aにより示される前記エアーヘッドベルト1の幅は100〜300mmの範囲であることが好ましく、120〜250mmの範囲であることがより好ましく、150〜200mmの範囲であればさらに好ましい。
図1に例示される様に、前記エアーヘッドベルト1を環状に着脱可能に固定した形状を基準として、環状周囲方向に沿って空気袋10が設置されている。
前記エアーヘッドベルト1のうち、前記空気袋10が設置されている部分が可動部13であり、前記空気袋10に対して空気供給手段により空気を断続的に供給することにより、前記空気袋10の拡張および収縮を繰り返すことが可能となる。
また前記エアーヘッドベルト1のうち、前記空気袋10が設置されていない部分は非可動部14となる。
前記非可動部13は実施例1に係る頭額部用空気圧マッサージ器を被施術者の頭額部に設置した際に、被施術者の毛髪の周囲に空間を形成する。
この空間に液剤を噴霧することにより、被施術者の頭部に液剤を供給することができる。
【0031】
本発明に使用する液剤としては、例えば、育毛剤、発毛剤、育毛料等を挙げることができる。
【0032】
図1における一点破線A−Aにより示される前記エアーヘッドベルト1の幅のうち、空気袋10の幅は20〜60%の範囲であることが好ましく、30〜50%の範囲であることがより好ましく、35〜45%の範囲であればさらに好ましい。
前記空気袋10の幅が20〜60%の範囲であれば、前記エアーヘッドベルト1は被施術者の頭額部に設置した際に所望の位置からずれることを防止することができる。また被施術者の頭部に液剤を供給するために適した空間を被施術者の頭部上方に確保することができる。
【0033】
また前記エアーヘッドベルト1にはカバー15が設置されている。前記カバー15により、前記エアーヘッドベルト1を環状に着脱可能に固定した際に、環状の前記エアーヘッドベルト1を覆うことができる。
前記エアーヘッドベルト1には面ファスナー3が設置されていて、前記エアーヘッドベルト1の外面に設置された面ファスナー3と組み合わせることにより、前記カバー15を前記エアーヘッドベルト1に固定することができる。
【0034】
本発明に使用する前記エアーヘッドベルト1、前記エアーヘッドベルト1の内面本体4および空気袋用シート11、カバー15は柔軟性のある材料により形成されている。
前記材料としては、合成樹脂が好ましく、具体的にはポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
前記材料は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0035】
前記エアーヘッドベルト1の内面本体4と、空気袋用シート11とを貼着する際には、例えば、熱融着による手段、接着剤等を使用する手段等が使用される。
【0036】
次に図1〜図3および図5により前記エアーヘッドベルト1に設けられた空気袋10に空気を供給する空気供給手段について説明する。
前記空気供給手段の一例としては、例えば、前記空気袋10の内部に設置するための円盤状の空気供給管取付具30、空気導入管31、空気供給管32、およびコントローラ本体50内部に設置された空気供給機40から構成されている。
前記コントローラ本体50には変圧器51が電気ケーブル52により接続されていて、交流電源54に接続されたコンセント53を通じてコントローラ本体50内部の空気供給機40を作動させることができる。
【0037】
図5はコントローラ本体の内部を説明するための模式平面図である。
前記コントローラ本体50の内部には空気供給機40,41、電磁弁42、電源接続部43、ならびに空気供給機40,41、電磁弁42を制御するための電子回路44(破線にて表示)、前記電子回路44を操作するための複数のスイッチ46、電気ケーブル45等が配置されている。
これらの構成要素はそれぞれが電気的に接続されていて、コントローラ本体50に格納されている。また前記スイッチ46は前記コントローラ本体50の表面に設置されていて、前記コントローラ本体50の外部から空気供給機40,41、電磁弁42等を制御することができる構造となっている。
【0038】
前記電源接続部43に対して変圧器51を介して、例えば家庭用コンセント53を備えた電気ケーブル52を交流電源54に接続する。家庭用コンセントから供給された100Vの交流電圧は変圧器51により、空気供給機40,41、電磁弁42等が作動する電圧に下げられた後、空気供給機40,41、電磁弁42、前記電子回路46に供給される。
前記スイッチ46を操作すると前記空気供給機40が一定時間作動する。圧縮された空気は開放された電磁弁42を通じて空気袋10に供給される。
前記空気供給機40,41、および電磁弁42への電力は、電源接続部43に接続された電気ケーブル45を通じて電子回路44から供給される。
空気袋10が膨らんだ後は、電磁弁42が閉鎖されて前記空気供給機40から空気袋10への空気の供給が中断する。次に電磁弁42が一定時間開放されて、空気袋10を満たしていた空気が放出される。
前記空気供給機40からの空気の供給と、前記電磁弁42による空気の放出との間隔は、互いに電気的に接続されたCPU、メモリ、キャパシタ、抵抗器等を搭載した電子回路44により制御される。
【0039】
前記空気供給機40からの空気の供給と、前記電磁弁42による空気の放出とを一定間隔をおいて繰り返すことにより、前記エアーヘッドベルト1を頭額部に装着した被施術者は反復して前記エアーヘッドベルト1に設置された空気袋10の膨張と収縮とにより頭額部にマッサージを受けることができる。
【0040】
次に実施例1に係る頭額部用空気圧マッサージ器が搭載する液剤噴霧手段について説明する。
図6は実施例1に使用する液剤容器を説明するための模式断面図である。
図6に示される様に、液剤容器60の容器本体61は底部62を備えた筒形状となっている。
前記容器本体61の底部62の中央部には上部先端が尖った筒形状の空気導入管63が設置されている。
また前記液剤容器60は、前記容器本体61に固定することのできる蓋部64を備える。
前記容器本体61と前記蓋部64にはそれぞれ螺子山と螺子溝が設置されていて、両者を回転させることにより互いに固定することができる構造となっている。
前記蓋部64には液剤吸引筒65が設置されている。前記液剤吸引筒65の底は前記容器本体61と前記蓋部64とを組み合わせて固定したときに、液剤容器60の容器本体61の底部62に接触する構造となっている。
また前記液剤吸引筒65の底には4箇所の小孔66が設けられている。
この一方、前記液剤吸引筒65の上端部は先が尖った形状となっていて、上端部にも小孔67が設けられている。
また前記液剤吸引筒65の上端部には遮蔽板68が設けられている。
【0041】
空気導入管63には空気供給管32が取り付けられていて、前記コントローラ本体50の前記空気供給機40から空気が供給される。
空気導入管63から液剤容器60に空気が供給されると、前記空気は勢い良く前記液剤吸引筒65内部に吹付ける。
この空気の流れにより前記液剤吸引筒65内部は負圧となり、前記液剤吸引筒65の底の小孔66から前記容器本体61に入れられた液剤が吸い上げられて、前記液剤吸引筒65の上端部の小孔67から遮蔽板68に吹き付けられる。
前記遮蔽板68に吹き付けられた液剤は上部筒69の上端の閉塞材70に当たり、今度は上部筒69から前記容器本体61の底部62方向に吹き付けられる。
さらに供給される空気の流れに乗って液剤は前記容器本体61から、前記蓋部64の上部に設けられた液剤噴霧孔71を通って霧状となって外部に噴霧される。
【0042】
図3に示される様に、前記液剤容器60は前記エアーヘッドベルト1の外面に設置される。前記エアーヘッドベルト1に設けられた貫通孔80に前記液剤容器60の液剤噴霧孔71を挿入して、筒状固定ベルト81により前記液剤容器60を前記エアーヘッドベルト1に固定することができる。前記筒状固定ベルト81は前記エアーヘッドベルト1に設置されていて、前記エアーヘッドベルト1に対して前記液剤容器60を着脱可能に固定することができる。
【0043】
前記エアーヘッドベルト1には前記エアーヘッドベルト1を環状に固定した際に、前記エアーヘッドベルトの上部開放部を覆うカバー15を設置することができる。
また必要に応じて前記エアーヘッドベルト1に顎ひもを設置することもできる。
図3は被施術者100の頭額部に実施例1に係る頭額部用空気圧マッサージ器200を設置した状態を説明するための模式図である。
前記エアーヘッドベルト1にカバー15を設置することにより、前記エアーヘッドベルト1を環状に固定した際に、前記エアーヘッドベルト1の上部開放部を覆うことができる。
前記エアーヘッドベルト1の上部開放部を覆うことにより、前記被施術者100の毛髪に対し、噴霧した液剤が前記被施術者100の毛髪以外の場所に飛散することを防止することができる。
また従来の技術と異なり、本発明に係るの場合は被施術者100の頭部を容器により覆う必要がないため、被施術者100が頭部に痒みを感じた場合には前記エアーヘッドベルト1と前記カバー15との隙間から指を入れて頭部に触れることができる。
このため被施術者100は頭部に痒みを解消することができるため施術中に頭部の痒みによるストレスを感じることがない。また頭部に対する液剤の浸透具合を指による触感により確かめることができる。
【0044】
実施例1に係る頭額部用空気圧マッサージ器200を被施術者100の頭額部に設置することにより、前記被施術者100に対し頭額部のマッサージを行いつつ、前記被施術者の毛髪に対し育毛剤等の液剤を噴霧することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る頭額部用空気圧マッサージ器は育毛マッサージ以外の用途、例えば頭皮に対する治療用液剤の供給等の用途にも使用することができる。また本発明に係る頭額部用空気圧マッサージ器は持ち運びに便利な大きさの形状とすることができることから携帯性に優れる。このため日常生活の使用の他、旅行先等にも持ち運ぶことができる。
【符号の説明】
【0046】
1 エアーヘッドベルト
2 エアーヘッドベルトの内面端部
2’ エアーヘッドベルトの外面端部
3 面ファスナー
4 エアーヘッドベルトの内面本体
4’ エアーヘッドベルトの外面本体
10 空気袋
11 空気袋用シート
12 空気袋用シートの外周部分
13 可動部
14 非可動部
15 カバー
20 結合部
30 空気供給管取付具
31 空気導入管
32 空気供給管
40,41 空気供給機
42 電磁弁
43 電源接続部
44 電子回路
45,52 電気ケーブル
46 スイッチ
50 コントローラ本体
51 変圧器
53 家庭用コンセント
54 交流電源
60 液剤容器
61 容器本体
62 底部
63 空気導入管
64 蓋部
65 液剤吸引筒
66,67 小孔
68 遮蔽板
69 上部筒
70 閉塞材
71 液剤噴霧孔
80 貫通孔
81 筒状固定ベルト
100 被施術者
200 頭額部用空気圧マッサージ器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に固定手段を備えたエアーヘッドベルトと、
前記エアーヘッドベルトに設けられた空気袋と、
液剤を格納するための液剤容器と、
前記液剤容器から前記エアーヘッドベルトに設けられた開口部を通じて液剤を噴霧するための噴霧手段と、
前記空気袋および前記液剤容器に空気を供給する空気供給手段と、
を有し、
前記エアーヘッドベルトが、前記エアーヘッドベルトの両端に備えられた固定手段により、環状に着脱可能に接続することができ、
前記エアーヘッドベルトの空気袋が、前記エアーヘッドベルトを環状に接続した際に、前記エアーヘッドベルトの内側となる部分に設けられ、
前記空気袋が、前記エアーヘッドベルトの環状周囲方向に対して垂直方向に前記空気袋の内部を結合する結合部を有することを特徴とする、頭額部用空気圧マッサージ器。
【請求項2】
前記エアーヘッドベルトを環状に着脱可能に接続した場合の環状周囲方向を基準とし、前記環状周囲方向に対して垂直方向に前記空気袋の内部を結合する結合部が、前記空気袋に、間隔をおいて複数設けられている、請求項1に記載の頭額部用空気圧マッサージ器。
【請求項3】
前記エアーヘッドベルトを環状に着脱可能に接続した場合の環状周囲方向を基準とし、前記環状周囲方向に対して垂直方向に前記空気袋の内部を結合する結合部が、前記空気袋の内面同士を貼着して形成され、
前記空気袋の内部を結合する結合部の外周が、直線および曲線の少なくとも一方を滑らかに連結してなる形状である、請求項1または2に記載の頭額部用空気圧マッサージ器。
【請求項4】
前記エアーヘッドベルトが、
前記エアーヘッドベルトを環状に着脱可能に接続した場合の環状周囲方向に沿って配置された空気袋を含む可動部と、
前記エアーヘッドベルトを環状に着脱可能に接続した場合の環状周囲方向に沿って配置された非可動部と、
を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の頭額部用空気圧マッサージ器。
【請求項5】
前記噴霧手段が、
前記液剤容器と、
前記空気供給手段から空気を前記液剤容器に供給するための空気供給管と、
前記液剤容器に設置された空気導入管と、
を備え、
前記空気供給管と前記空気導入管とが接続され、
空気供給手段により前記液剤容器に供給された空気により、前記液剤容器に液剤を、前記エアーヘッドベルトに設けられた開口部を通じて前記液剤容器に入れられた液剤を噴霧する手段である、請求項1〜4のいずれかに記載の頭額部用空気圧マッサージ器。
【請求項6】
前記エアーヘッドベルトに設けられた空気袋が、前記空気供給機から空気を前記空気袋に供給するための空気供給管に連結され、
前記空気供給機から断続的に供給された空気により、前記空気袋が拡張および収縮を繰り返す、請求項1〜5のいずれかに記載の頭額部用空気圧マッサージ器。
【請求項7】
前記エアーヘッドベルトを環状に固定した際に、前記エアーヘッドベルトの上部開放部を覆うカバーを備えた、請求項1〜6のいずれかに記載の頭額部用空気圧マッサージ器。
【請求項8】
前記エアーヘッドベルトが、顎ひもを備えた、請求項1〜7のいずれかに記載の頭額部用空気圧マッサージ器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の頭額部用空気圧マッサージ器を被施術者の頭額部に設置することにより、前記被施術者に対し頭額部のマッサージを行い、および前記被施術者の毛髪に対し、液剤を噴霧することを特徴とする、育毛マッサージ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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