説明

液剤塗布装置及び液剤塗布装置における空気抜き方法

【課題】無駄になる液剤の量を少なく抑えつつ、液剤流路内に混入した空気を確実に外気に放出させることができる液剤吐出装置及び液剤吐出装置における空気抜き方法を提供することを目的とする。
【解決手段】液剤流路27から分岐して延びて接続部材25のシリンジ26とケーシング21の間の外表面に開口した空気抜き管路28と、空気抜き管路28を閉塞し、液剤流路27内に混入した空気を外部に放出する空気抜きが行われる際に空気抜き管路28から取り外されて空気抜き管路28を外気に開放するめくら栓29を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤吐出口から液剤を吐出させる液剤塗布装置及び液剤塗布装置における空気抜き方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液剤塗布装置は、基板上の所定の位置に樹脂剤等の液剤を吐出する装置であり、液剤圧出部から液剤を圧出するシリンジ、シリンジの液剤圧出部に繋がる液剤流路を有した接続部材、接続部材の液剤流路を通ってシリンジから送られてきた液剤が流入する上下方向に延びた筒状路を有したケーシング、ケーシングの筒状路内に設けられた液剤送出部材(例えばプランジャ)、ケーシングの筒状路内で液剤送出部材を作動(プランジャを往復)させてケーシングの下端の液剤吐出口から液剤を吐出させる液剤送出部材(プランジャ)駆動手段を備えて成る(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような液剤塗布装置では、液剤送出部材の1動作(液剤送出部材がプランジャであればプランジャの1往復)当たりの液剤の吐出量が一定であることを前提として、液剤送出部材の作動速度及び作動時間を規定することによって液剤の吐出量を制御しているが、シリンジ内の液剤がなくなった場合や使用する液剤の種類を変更する場合等において、新たなシリンジを取り付けたときに液剤流路内に空気を混入させてしまうと、液剤送出部材の1動作当たりの液剤の吐出量が少なくなって液剤の吐出量の正確な制御を行うことができなくなることから、シリンジの交換直後には液剤流路から空気を外気に放出させる空気抜きを行うようにしている。この空気抜きは通常、液剤送出部材を筒状路内で作動させてケーシングの下端の液剤吐出口から液剤を吐出させる液剤吐出動作を繰り返し実行することにより、混入した空気を液剤吐出口まで移動させることによって行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4636729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように接続部材に対するシリンジの取り付け部で混入した空気を液剤吐出口から外気に放出させようとすると、空気抜きのために相当な量の液剤を無駄に吐出することとなり、コストがかかるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、無駄になる液剤の量を少なく抑えつつ、液剤流路内に混入した空気を確実に外気に放出させることができる液剤吐出装置及び液剤吐出装置における空気抜き方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の液剤塗布装置は、液剤圧出部から液剤を圧出するシリンジと、シリンジの液剤圧出部に繋がる液剤流路を有した接続部材と、前記接続部材の前記液剤流路を通ってシリンジから送られてきた液剤が流入する上下方向に延びた筒状路を有したケーシングと、ケーシングの前記筒状路内に設けられたプランジャと、ケーシングの前記筒状路内でプランジャを往復させてケーシングの下端の液剤吐出口から液剤を吐出させるプランジャ駆動手段と、前記液剤流路から分岐して延びて前記接続部材のシリンジとケーシングの間の外表面に開口した空気抜き管路と、前記空気抜き管路に取り付けられて前記空気抜き管路を閉塞し、前記液剤流路内に混入した空気を外気に放出する空気抜きが行われる際に前記空気抜き管路から取り外されて前記空気抜き管路を外気に開放する空気抜き管路開閉手段とを備えた。
【0008】
請求項2に記載の液剤塗布装置における空気抜き方法は、液剤圧出部から液剤を圧出するシリンジと、シリンジの液剤圧出部に繋がる液剤流路を有した接続部材と、前記接続部材の前記液剤流路を通ってシリンジから送られてきた液剤が流入する上下方向に延びた筒状路を有したケーシングと、ケーシングの前記筒状路内に設けられたプランジャと、ケーシングの前記筒状路内でプランジャを往復させてケーシングの下端の液剤吐出口から液剤を吐出させるプランジャ駆動手段と、前記液剤流路から分岐して延びて前記接続部材のシリンジとケーシングの間の外表面に開口した空気抜き管路と、前記空気抜き管路に取り付けられて前記空気抜き管路を閉塞する空気抜き管路開閉手段とを備えた液剤塗布装置における空気抜き方法であって、前記プランジャにより前記液剤流路からケーシングの前記筒状路内への液剤の流入を遮断する工程と、前記液剤流路からケーシングの前記筒状路内への液剤の流入を遮断した状態で前記空気抜き管路から空気抜き管路開閉手段を取り外して前記空気抜き管路を外気に開放する工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、液剤流路から分岐して延びて接続部材のシリンジとケーシングの間の外表面に開口した空気抜き管路と、空気抜き管路に取り付けられて空気抜き管路を閉塞し、液剤流路内に混入した空気を外気に放出する空気抜きが行われる際に空気抜き管路から取り外されて空気抜き管路を外気に開放する空気抜き管路開閉手段とを備えており、ケーシングの下端の液剤吐出口を閉止した状態で空気抜き管路から空気抜き管路開閉手段を取り外して空気抜き管路を外気に開放することによって、液剤流路内に混入した空気をケーシングの下端の液剤吐出口よりも手前側のシリンジとケーシングとの間の位置から外気に放出させることができる。このため、混入した空気を液剤吐出口まで移動させるために液剤の吐出動作を何度も繰り返す必要がなく、空気抜きのために無駄になる液剤の量を少なく抑えることができ、また、空気の移動距離が格段に短くなるので、混入した空気を外気に確実に放出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態における液剤塗布機の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態における液剤塗布機の部分斜視図
【図3】本発明の一実施の形態における液剤塗布機が備える液剤塗布装置の拡大側面図
【図4】本発明の一実施の形態における液剤塗布装置の拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1に示す液剤塗布機1は、基板PBに樹脂等の液剤Qを塗布して下流工程側に設置された部品実装機等に受け渡す装置であり、基板PBに液剤Qを塗布する液剤塗布作業を実行する作業実行部2、液剤Qが塗布される前の基板PBの作業実行部2への供給及び作業実行部2において液剤Qの塗布がなされた基板PBの回収を行う基板供給回収部3を備えている。作業実行部2はオペレータOPから見た右方に位置しており、基板供給回収部3はオペレータOPから見た左方に位置している。以下、オペレータOPから見た液剤塗布機1の左右方向をX軸方向とし、オペレータOPから見た前後方向をY軸方向とする。また、上下方向をZ軸方向とする。
【0012】
図1及び図2において、作業実行部2は水平な作業面11aを有する基台11、基台11の作業面11a上に設けられて基板PBの位置決めを行う2つの位置決めコンベア12、これら2つの位置決めコンベア12に基板PBを振り分ける振り分けコンベア13、作業面11a上に設けられたヘッド移動機構14、ヘッド移動機構14によって移動され、2つの位置決めコンベア12それぞれによって位置決めされた基板PBに液剤Qを塗布する液剤塗布装置としての塗布ヘッド15及び基台11内に設けられて各部の作動制御を行う制御装置16を備えている。
【0013】
図1において、位置決めコンベア12は基台11の作業面11a上をY軸方向に並んで設けられており、振り分けコンベア13は2つの位置決めコンベア12の左方領域に設けられている。2つの位置決めコンベア12と振り分けコンベア13はいずれも基板PBをX軸方向に搬送できるように設けられており、振り分けコンベア13は2つの位置決めコンベア12のそれぞれと対向する2位値の間を往復できるように作業面11a上をY軸方向に移動自在となっている(図1中に示す矢印A)。
【0014】
ヘッド移動機構14は、基台11上をY軸方向に延びてX軸方向に対向する一対のY軸テーブル14a、X軸方向に延び、両端が一対のY軸テーブル14aに支持されてY軸方向に移動自在なX軸テーブル14b、X軸テーブル14bに沿ってX軸方向に移動自在に設けられた第1ステージ14c及び第1ステージ14cに対して昇降自在に設けられた第2ステージ14dから成る。
【0015】
塗布ヘッド15はヘッド移動機構14の第2ステージ14dに取り付けられており、ヘッド移動機構14の一対のY軸テーブル14aに対するX軸テーブル14bのY軸方向への移動、X軸テーブル14bに対する第1ステージ14cのX軸方向への移動及び第1ステージ14cに対する第2ステージ14dのZ軸方向への移動の組み合わせによって3次元的に移動される。
【0016】
図3において、塗布ヘッド15は、第2ステージ14dに取り付けられ、内部に上下方向の延びた筒状路21aを有したケーシング21、ケーシング21の筒状路21a内を上下方向に延びて設けられた液剤送出部材としてのプランジャ22、ケーシング21の上部に取り付けられてプランジャ22を筒状路21a内でZ軸方向に往復させる空圧駆動装置等のプランジャ駆動部23、ケーシング21の下端に取り付けられ、ケーシング21の下端に繋がって下方に開口する液剤吐出口24aを有したノズル部24、ケーシング21の中間部に取り付けられて側方(第2ステージ14dとは反対の側。図3における紙面左側)に張り出して延びた接続部材25、接続部材25の上方に設けられて接続部材25に着脱自在に連結されたシリンジ26を備えている。
【0017】
シリンジ26は内部に液剤Qを貯留しており、下端の液剤圧出部26aが接続部材25の内部を延びた液剤流路27に接続されている。液剤流路27は接続部材25内を上下方向に延びてシリンジ26の液剤圧出部26aに繋がる垂直路27aと垂直路27aに対して直交して水平に延びた水平路27bから成り、水平路27bはケーシング21の筒状路21aに繋がる誘導路21bに接続している。
【0018】
接続部材25の内部には液剤流路27の水平路27bの中間部から分岐して上方に延び、接続部材25のシリンジ26とケーシング21の間の外表面(ここでは上側表面であるが、下側表面や側面であってもよい)に開口した空気抜き管路28が設けられている。この空気抜き管路28は後述する空気抜きを行う際に外気に開放されるが、通常は空気抜き管路開閉手段としてのめくら栓29によって塞がれている(図3)。
【0019】
シリンジ26内にはシリンジ26に繋がる正圧供給管26tから正圧が供給されており、シリンジ26内の液剤Qの一部は接続部材25内の液剤流路27を通ってケーシング21の筒状路21a内に流入し得るようになっている。
【0020】
ここで、ケーシング21の筒状路21a内に液剤Qが流入している状態で、プランジャ駆動部23によりプランジャ22が駆動されると、プランジャ22がZ軸方向に往復し(図3中に示す矢印B)、筒状路21a内の液剤Qがノズル部24内からノズル部24の下端の液剤吐出口24aを経て下方に送出される。このとき液剤吐出口24aから送出される液剤Qの量(すなわち塗布ヘッド15からの液剤Qの吐出量)は、プランジャ22の移動速度によって任意に調節することができる。
【0021】
図1において、基板供給回収部3は、基台11の左方領域に設けられた搬入コンベア31、搬出コンベア32、リフタ33及び基板押し引き部34を有して成る。搬入コンベア31は基台11の作業面11aよりも高い領域をY軸方向に延びて設けられており、搬出コンベア32は基台11の作業面11aよりも低い領域をY軸方向に延びて設けられている。基板供給回収部3における作業実行部2への基板PBの供給及び回収には、複数の基板PBを収納できるマガジンMZが用いられ、搬入コンベア31は液剤Qが塗布される前の基板PBが収納された基板供給用のマガジンMZの液剤塗布機1内への搬入を行い、搬出コンベア32は作業実行部2において液剤Qの塗布がなされた基板PBが収納された基板回収用のマガジンMZの液剤塗布機1からの搬出を行う。
【0022】
リフタ33は、基板供給用のマガジンMZ及び基板回収用のマガジンMZを昇降させる動作を行い、基板押し引き部34は、リフタ33によって所定の高さの基板受け渡し位置に位置された基板供給用のマガジンMZから基板PBを右方に押し出して作業実行部2に供給し、作業実行部2から基板受け渡し位置に送られてきた基板PB(液剤Qが塗布された後の基板PB)を左方に引き寄せて基板回収用のマガジンMZ内に収容する動作を行う。
【0023】
このような構成の液剤塗布機1において、オペレータOPが基板供給用のマガジンMZを搬入コンベア31の前端部に載置すると、制御装置16は搬入コンベア31を作動させて載置された基板供給用のマガジンMZを後方に搬送し、リフタ33に受け渡す。制御装置16は、リフタ33により基板供給用のマガジンMZを受け取ったら、リフタ33を作動させて基板供給用のマガジンMZを下降させ、基板受け渡し位置に位置させる。そして、基板押し引き部34を作動させて基板供給用のマガジンMZから基板PBを右方へ押し出し、振り分けコンベア13に受け渡す。これにより作業実行部2に基板PBが供給された状態となる。制御装置16は、振り分けコンベア13により基板PBを受け取ったら、振り分けコンベア13を2つの位置決めコンベア12のうち基板PBを載置していない方と対向する位置に移動させてその位置決めコンベア12に基板PBを受け渡す。
【0024】
制御装置16は、位置決めコンベア12により基板PBを受け取ったら、その位置決めコンベア12を作動させて基板PBを所定の作業位置(この作業位置は2つの位置決めコンベア12それぞれについて定められている)に位置決めする。そして、ヘッド移動機構14を作動させて塗布ヘッド15が作業位置に位置した基板PBの上方に位置させ、そのうえで塗布ヘッド15の作動制御(具体的にはプランジャ駆動部23の作動制御)を行って、基板PB上の目標塗布位置に液剤Qを塗布する。
【0025】
制御装置16は、塗布ヘッド15による基板PBへの液剤Qの塗布作業が終了したら、基板PBを載置している位置決めコンベア12と振り分けコンベア13の作動制御を行って位置決めコンベア12から振り分けコンベア13に基板PBを受け渡させつつ、リフタ33によって基板回収用のマガジンMZを基板受け渡し位置に位置させる。そして、振り分けコンベア13を基板受け渡し位置に位置させた基板回収用のマガジンMZと対向させたうえで、基板押し引き部34により、振り分けコンベア13上の基板PBを基板回収用のマガジンMZ内に引き寄せ、振り分けコンベア13から基板回収用のマガジンMZ内に基板PBを受け渡させる。
【0026】
このように、本実施の形態における液剤塗布装置である塗布ヘッド15は、液剤圧出部26aから液剤Qを圧出するシリンジ26、シリンジ26の液剤圧出部26aに繋がる液剤流路27を有した接続部材25、接続部材25の液剤流路27を通ってシリンジ26から送られてきた液剤Qが流入する上下方向に延びた筒状路21aを有したケーシング21、ケーシング21の筒状路21a内に設けられた液剤送出部材としてのプランジャ22、ケーシング21の筒状路21a内でプランジャ22を作動(往復)させてケーシング21の下端の液剤吐出口24aから液剤Qを吐出させるプランジャ駆動手段としてのプランジャ駆動部23を備えたものとなっている。
【0027】
ここで制御装置16は、作業実行部2への基板PBの供給と、作業実行部2からの基板PBの回収とを交互に実行することから、基板供給用のマガジンMZと基板回収用のマガジンMZをひとつずつ一組にしてリフタ33によって同時に昇降させる。このとき基板回収用のマガジンMZは、最初は基板回収用の専用品としての空のマガジンMZが用意されるが、基板供給用のマガジンMZが空になり、これと同時に基板回収用のマガジンMZが基板PB(液剤Qが塗布された基板PB)でいっぱいになったときには、制御装置16はリフタ33によって基板回収用のマガジンMZを搬出コンベア32に受け渡させ、それまで基板供給用であったマガジンMZを今度は基板回収用として扱う(新たな基板供給用のマガジンMZには搬入コンベア31から送られてきたものを用いる)。
【0028】
制御装置16は、リフタ33から搬出コンベア32に基板回収用のマガジンMZを受け渡したら、搬出コンベア32を作動させ、基板回収用のマガジンMZを前方に搬送させて液剤塗布機1の外部に搬出させる。
【0029】
液剤塗布機1が行う基板PBに対する液剤Qの塗布作業の実行手順は上記の通りであるが、シリンジ26内の液剤Qがなくなった場合や使用する液剤Qの種類を変更する場合等、シリンジ26の交換を行う場合には、新しいシリンジ26を接続部材25に取り付けた際、液剤流路27内に空気が混入してプランジャ22の1往復当たりの液剤Qの吐出量が変化してしまうおそれがあることから、オペレータOPは基板PBに対する液剤Qの塗布作業を再開する前に、下記の手順によって液剤Qから空気を抜く空気抜き作業を実行する。
【0030】
空気抜き作業では、制御装置16は、オペレータOPがシリンジ26の交換を行った後、空気抜き作業のための所定の操作を行ったことを検知したときには、シリンジ26内に正圧を供給する前に、プランジャ駆動部23の作動制御を行ってプランジャ22を筒状路21a内で移動させ、プランジャ22により液剤流路27から筒状路21a内への液剤Qの流入を遮断する(液剤流入遮断工程)。
【0031】
制御装置16は、プランジャ22により液剤流路27から筒状路21a内への液剤Qの流入を遮断したら、図示しないディスプレイ等の報知手段を介してオペレータOPに空気抜きの準備が整った旨の報知を行う。そして、その報知に接したオペレータOPは、めくら栓29を接続部材25(空気抜き管路28)から取り外して、空気抜き管路28を外気に開放する(外気開放工程)。そして、制御装置16は、オペレータOPが所定の操作を行ったことを検知したときには、正圧供給管26tからシリンジ26内に正圧を供給(シリンジ26内を加圧)し、シリンジ26内の液剤Qが液剤圧出部26aから液剤流路27内に押し出されるようにする。これによりシリンジ26の取り付け時に液剤流路27内に混入した空気は液剤流路27における液剤Qの流れ方向の途中に設けられた空気抜き管路28から液剤Qとともに接続部材25の外部に放出される。
【0032】
なお、本実施の形態のように、空気抜き管路28が液剤流路27の水平路27bの中間部から分岐して延びるものでなく、水平路27bとは反対の方向に延びる管路(図3中に一点鎖線で示す管路27c参照)を形成してこれを空気抜き管路として用いることも考えられるが、垂直路27a、水平路27b及び管路27cは丁字型の分岐流路を構成しており、その分岐点では液剤Qの流れに淀みが生じ易いので、液剤流路27内に混入した空気は必ずしも管路27cから外気に放出されるとは限らず、混入した空気を完全に除去できることを期待しにくい。
【0033】
制御装置16は、上記空気抜き(シリンジ26内の加圧)を一定時間実行し、オペレータOPによる所定の操作が行われたことを検知したら、シリンジ26内の加圧を停止したうえで、前述の報知手段を介してオペレータOPにめくら栓29を取り付けるべき旨の指示を行う。オペレータOPは、報知手段を介してめくら栓29を取り付けるべき旨の指示を受けたら、めくら栓29を接続部材25の空気抜き管路28に取り付けたうえで、所定の作業開始操作を行う。
【0034】
制御装置16は、オペレータOPが上記作業開始操作を行ったことを検知したら、前述の手順による基板PBに対する液剤Qの塗布作業を開始する。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態における液剤塗布装置である塗布ヘッド15では、液剤流路27から分岐して延びて接続部材25のシリンジ26とケーシング21の間の外表面に開口した空気抜き管路28と、空気抜き管路28を閉塞し、液剤流路27内に混入した空気を外気に放出する空気抜きが行われる際に空気抜き管路28から取り外されて空気抜き管路28を外気に開放するめくら栓29を備えており、ケーシング21の下端の液剤吐出口24aを閉止した状態で空気抜き管路28からめくら栓29を取り外して空気抜き管路28を外気に開放することによって、液剤流路27内に混入した空気をケーシング21の下端の液剤吐出口24aよりも手前側のシリンジ26とケーシング21との間の位置から液剤Qとともに外気に放出させることができる。このため、混入した空気を液剤吐出口24aまで移動させるために液剤Qの吐出動作を何度も繰り返す必要がなく、空気抜きのために無駄になる液剤Qの量を少なく抑えることができ、また、空気の移動距離が格段に短くなるので、混入した空気を外気に確実に放出させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
無駄になる液剤の量を少なく抑えつつ、液剤流路内に混入した空気を確実に外気に放出させることができる液剤吐出装置及び液剤吐出装置における空気抜き方法を提供する。
【符号の説明】
【0037】
15 塗布ヘッド(液剤塗布装置)
21 ケーシング
21a 筒状路
22 プランジャ(液剤送出部材)
23 プランジャ駆動部(プランジャ駆動手段)
24a 液剤吐出口
25 接続部材
26 シリンジ
26a 液剤圧出部
27 液剤流路
28 空気抜き管路
29 めくら栓(空気抜き管路開閉手段)
Q 液剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液剤圧出部から液剤を圧出するシリンジと、
シリンジの液剤圧出部に繋がる液剤流路を有した接続部材と、
前記接続部材の前記液剤流路を通ってシリンジから送られてきた液剤が流入する上下方向に延びた筒状路を有したケーシングと、
ケーシングの前記筒状路内に設けられたプランジャと、
ケーシングの前記筒状路内でプランジャを往復させてケーシングの下端の液剤吐出口から液剤を吐出させるプランジャ駆動手段と、
前記液剤流路から分岐して延びて前記接続部材のシリンジとケーシングの間の外表面に開口した空気抜き管路と、
前記空気抜き管路に取り付けられて前記空気抜き管路を閉塞し、前記液剤流路内に混入した空気を外気に放出する空気抜きが行われる際に前記空気抜き管路から取り外されて前記空気抜き管路を外気に開放する空気抜き管路開閉手段とを備えたことを特徴とする液剤塗布装置。
【請求項2】
液剤圧出部から液剤を圧出するシリンジと、シリンジの液剤圧出部に繋がる液剤流路を有した接続部材と、前記接続部材の前記液剤流路を通ってシリンジから送られてきた液剤が流入する上下方向に延びた筒状路を有したケーシングと、ケーシングの前記筒状路内に設けられたプランジャと、ケーシングの前記筒状路内でプランジャを往復させてケーシングの下端の液剤吐出口から液剤を吐出させるプランジャ駆動手段と、前記液剤流路から分岐して延びて前記接続部材のシリンジとケーシングの間の外表面に開口した空気抜き管路と、前記空気抜き管路に取り付けられて前記空気抜き管路を閉塞する空気抜き管路開閉手段とを備えた液剤塗布装置における空気抜き方法であって、
前記プランジャにより前記液剤流路からケーシングの前記筒状路内への液剤の流入を遮断する工程と、
前記液剤流路からケーシングの前記筒状路内への液剤の流入を遮断した状態で前記空気抜き管路から空気抜き管路開閉手段を取り外して前記空気抜き管路を外気に開放する工程とを含むことを特徴とする液剤塗布装置における空気抜き方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−107035(P2013−107035A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253498(P2011−253498)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】