説明

液化バイオマスから合成ガスを生成する方法

本発明は、高い乾物含量を有する前処理されたバイオマスから、合成ガスの形成を通した石油やディーゼル、化学物質、プラスチックなどの電気または油ベースの生成物への変換を可能にする、バイオマスから合成ガスを生成する方法に関する。バイオマスは、加圧ガス生成器での最適な供給およびガス化のために、適切な粒度および乾物含量を有するバイオマススラリーに変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスから合成ガスを生成する方法に関する。本発明による方法は、典型的には、アルカリ化合物の除去を含む前熱処理の後、高乾物含量のバイオマスを酵素処理することによって小粒子をもたらし、これを引き続き高圧ポンプで加圧ガス生成器に送出して、後続の合成ガス生成を行う工程を含むことになる。このように、本発明による方法は、木材や藁、植物堆積物などの高乾物含量を有する前処理されたバイオマスを、ガス生成器の使用による合成ガスの形成を通して、石油やディーゼル、化学物質、プラスチックなどの油ベースの製品に変換することができるようにする。本発明による方法の前処理は、典型的には、所望により酸、塩基、または酸化剤の添加と組み合わせた、加圧高温水蒸気および/またはマイクロ波を使用する170〜220℃へのバイオマスの熱的加熱からなる。本発明による方法の酵素処理は、セルロースからポリマーおよびオリゴマーへの変換を可能にし、バイオマスの液化をもたらす。本発明による方法は、バイオマスから塩化物やナトリウム、カリウムなどのアルカリ塩を除去する工程を含んでよく、これを後に、農業で使用される食物栄養素として販売することができる。本発明による方法の前処理および酵素処理から得られるバイオマススラリーは、典型的には1mm未満の粒子からなり、それにより、望ましくないタールを生成することなく滞留時間がわずか数秒と短い、ガス生成器での最適な利用に適したものになる。得られるガスは、電力、燃料、化学物質、および熱を生成するのに、引き続き使用することができる。
【背景技術】
【0002】
石炭、油、およびガスに対する依存性を最小限に抑え、COの放出を削減するという要求は、合成ガスの形成を通した、石油やディーゼル、化学物質、プラスチックなどの油ベースの製品における木材や藁、植物堆積物などの再生可能なバイオマスの活用に関する分野での研究を、活発化させてきた。
【0003】
数多くの工業および農業プロセス、例えば自治体業務、食物および飼料加工、および林業は、バイオマス、廃棄物、および例えばデンプンやセルロース、ヘミセルロースなどの形をとるポリマー状の糖を含有する副生成物を発生させる。アグリビジネスおよび化学工業、並びに公共団体は、そのようなバイオマスをより高い価値の材料に変換するプロセスの開発に、かなりの関心を持っている。しかし、今日知られているプロセスの大多数は、その生産コストが高くかつエネルギー需要が高く、したがってその経済的実現可能性が元々不確かであるので、依然として大規模な商業的実践に至っていない。
【0004】
食物および飼料として重要であることに加え、合成ガスの生成を通したバイオマスからの炭水化物は、石油やディーセル、化学物質、プラスチックなどの油ベースの製品の生産において価値ある製品を生産するいくつかの工業プロセス用の供給原料として、使用することができる。
【0005】
したがって、低コストで豊富な炭水化物の資源を、例えば比較的低いエネルギー消費で合成ガスに加工することができ、それによって工業プロセスに利用することができる場合、かなりの経済的可能性があることが明らかである。
【0006】
木材や藁、植物堆積物などのバイオマスは、ガス生成器の使用による合成ガスの形成を通して、石油やディーゼル、化学物質、プラスチックなどの油ベースの製品に変換することができる。合成ガスは、CO、CO、H、N、CH、HO、およびHSやタールなどの不純物からなる。ガス化は周知の技術であり、酸素および水蒸気を添加した状態で、好ましくは高圧および高温下で炭化水素結合が破壊されて、合成ガスを生成する。ガス生成器は、比較的少量の燃料しか完全燃焼しないように、このガス生成器内で利用可能な空気または酸素の量が慎重に制御されるという点が、燃焼器とは異なっている。酸素レベルは、炭化水素が燃焼してCOにならないように、しかし一部しか酸化しないように制御される。
【0007】
石炭と比較した、バイオマスのガス化の完全な利益を得るための主な障害は、経済的にガス化するのに適した方法で、バイオマスをどのように前処理するかである(ECN、2004)。石炭のガス化からの合成ガスの生成は、50年以上にもわたって商業的に利用可能な技術であった。石炭は、粉砕し、加圧ガス生成器に供給することが比較的容易であるが、通常、バイオマスを粉砕して加圧ガス生成器に供給することはしばしば非常に面倒である。これは、ほとんどのバイオマスが石炭に比べて非常に不均質であることに起因し、したがって、滞留時間が数秒程度と非常に短い噴流ガス化に必要とされる、比較的均質な粒度に粉砕することは難しい。さらに、非常に不均一でかなり大きな粒度の固体材料を加圧することは、非常に面倒である。
【0008】
伝統的に、ガス生成器に供給されるバイオマスの前処理は、直接微粉化、燃焼および微粉化、フラッシュ熱分解を通した炭化スラッジの生成、または低温流動床ガス化を通したガス状燃料の生成などの方法を使用して行われてきたが、これらは全て、エネルギーコストおよび/または経済コストに関する種々の欠点を併せ持っている。
【0009】
本発明は、かなり小さい粒度を有する「均質化液体」になり、かつ、それでもかなり高い乾物含量(20%よりも高い)を有する方法であって、バイオマスを液化するための方法に関する。均質化液体は、商用ポンプを使用して経済的に加圧することができ、その結果、バガスや藁などのバイオマスを、加圧噴流ガス生成器に供給することが可能になる。
【0010】
使用することが意図されるバイオマスのタイプに応じて、バイオマスを液化するためのいくつかの異なる「前処理」の選択肢が存在する。
【0011】
前処理は、後続の多糖の加水分解(例えば、酵素加水分解)が、植物材料の他の点では保護構造であるもの(例えばリグニン)を分解する必要がある場合に、必要とされる。いくつかの前処理技法が知られている。穀類および穀物の場合、この前処理は、その表面に触れることができるように、単純な乾式ミリングの形を取ってよいが、リグノセルロースバイオマスの場合には、熱および/または化学処理が同様に必要である。例えば精製デンプンからなるバイオマスを含有する多糖は、酵素処理の前に、前記前処理法を必要としない。前処理プロセスは、酸性加水分解、水蒸気爆発、酸化、アルカリまたはエタノールなどによる抽出を基にすることができる。前処理技法の一般的な特徴は、可能性ある添加された反応体の動作と併せて、100℃よりも高い温度で生ずる植物材料の軟化およびほぐれを利用することである。
【0012】
デンプンとは別に、植物バイオマス中の3つの主成分は、セルロース、ヘミセルロース、およびリグニンであり、これらを一般に、リグノセルロースという総称で呼ぶ。総称として多糖を含有するバイオマスは、デンプンおよびリグノセルロースバイオマスの両方を含む。
【0013】
セルロース、ヘミセルロース、およびリグニンは、種々の植物中および植物の種々の部分に様々な量で存在し、これらは、植物の構造的枠組を形成するために密接に結び付いている。
【0014】
セルロースは、全体が、β−1,4−グルコシド結合によって一緒に結合され、かつ、重合度が10000までのD−グルコースからなるホモ多糖である。セルロースの線状構造により、分子内水素結合と分子間水素結合の両方の形成が可能になり、その結果、セルロース鎖がミクロフィブリルへと凝集する。秩序正しいミクロフィブリル内の領域を結晶と呼び、それほど秩序正しくない領域を非晶質と呼ぶ。ミクロフィブリルを集めてフィブリルにし、次いでセルロース繊維を形成する。セルロースの部分結晶構造は、ミクロフィブリルの配置構成と共に、セルロースに対して高い引張り強さを与え、セルロースをほとんどの溶媒に対して不溶性にし、それが、微生物分解、即ち酵素加水分解に対してセルロースが耐性を有することの、部分的な原因となっている。
【0015】
ヘミセルロースは、いくつかのモノマー残基:D−グルコース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−キシロース、L−アラビノース、D−グルクロン酸、および4−O−メチル−D−グルクロン酸からなる複合不均質多糖である。ヘミセルロースは、200よりも低い重合度を有し、側鎖を有し、アセチル化されていてもよい。モミやマツ、トウヒなどの針葉樹では、ガラクトグルコマンナンおよびアラビノ−4−O−メチル−グルクロノキシランが主なヘミセルロース画分である。カバやポプラ、アスペン、オークなどの広葉樹では、4−O−アセチル−4−メチル−グルクロノキシランおよびクルコマンナンがヘミセルロースの主成分である。米や小麦、オート麦、スイッチグラスなどの草類は、主にグルクロノアラビノキシランからなるヘミセルロースを有する。
【0016】
リグニンは、フェニルプロパン単位の重合によって形成された複合網状構造であり、リグノセルロース中で最も豊富な非多糖画分を構成する。リグニン中の3種のモノマーは、p−クマリルアルコール、コニフェリルアルコール、およびシナピルアルコールであり、これらは、アリールグリセリル−β−アリールエーテル結合を通して最も頻繁に接合される。リグニンは、ヘミセルロースに結合し、炭水化物を埋め込み、それによって微生物分解および化学分解に対する保護をもたらす。
【0017】
デンプンは、最も広く行き渡った植物の貯蔵炭水化物であり、そのサイズおよび物理的特性が種ごとに著しく異なる顆粒の形で生ずる。デンプン顆粒は、同じ分子内およびその他の隣接する分子と水素結合を形成するので、一般に、水および加水分解酵素の両方による浸透に対して非常に耐性がある。しかし、これらの水素間および水素内結合は、懸濁液の温度が上昇するにつれて弱くなる可能性がある。デンプンの水性懸濁液が加熱されると、水素結合は弱くなり、水が吸収され、デンプン顆粒が膨潤する。このプロセスは、形成された溶液が、ゼラチン状の非常に粘度の高い粘り気を有するので、一般にゼラチン化と呼ばれている。化学的にデンプンは、一般に室温では水に不溶であるが分散性があり、セルロースの場合と同様の反復単位で構成され、セルロースのβ−1,4−グルコシド結合とは対照的なα−1,4およびα−1,6グルコシド結合によって一緒に結合された、グルコースの天然ポリマーである。これらの単位は、アミロースと呼ばれる直鎖成分、またはアミロペクチンと呼ばれる分枝鎖成分を形成する。ほとんどの植物種子、穀物、および塊茎は、約20〜25%のアミロースを含有する。しかし、例えばエンドウ豆のデンプンなどは60%のアミロースを有し、ある種類のトウモロコシは80%のアミロースを有する。米などのろう様の穀物種は、アミロースが少ない。
【0018】
前処理の後、合成ガスを生成するために多糖含有バイオマスを利用する際の次の工程は、遊離デンプン、セルロース、およびヘミセルロースからポリマーおよびオリゴマーへの加水分解である。
【0019】
これは、種々の動作形態を有する種々の酵素で得ることができる。酵素は、外部から添加することができ、またはバイオマス上で成長する微生物が酵素を提供してもよい。
【0020】
セルロースは、炭水化物分解セルラーゼによってグルコースに加水分解される。セルロース分解系に関する広く行き渡った理解によれば、セルラーゼは3種類に分けられ、即ち、セロビオース単位をセルロース鎖の端部から切断するエキソ−1,4−β−D−グルカナーゼまたはセロビオヒドロラーゼ(CBH)(EC 3.2.1.91);セルロース鎖内でランダムに内部β−1,4−グルコシド結合を加水分解するエンド−1,4−β−D−グルカナーゼ(EG)(EC 3.2.1.4);セロビオースをグルコースに加水分解しかつグルコース単位をセロオリゴ糖からも切り離す1,4−β−D−グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21)である。
【0021】
ヘミセルロース内の種々の糖は、ヘミセルラーゼによって遊離される。ヘミセルロース分解系は、ヘミセルロースの異種性により、セルロース分解系よりも複雑である。この系は、とりわけ、キシラン鎖中の内部結合を加水分解するエンド−1,4−β−D−キシラナーゼ(EC 3.2.1.8);非還元末端からキシロオリゴ糖を攻撃しかつキシロースを遊離する1,4−β−D−キシロシダーゼ(EC 3.2.1.37);内部結合を切断するエンド−1,4−β−D−マンナナーゼ(EC 3.2.1.78);マンノオリゴ糖をマンノースに切断する1,4−β−D−マンノシダーゼ(EC 3.2.1.25)を含む。側基は、いくつかの酵素、即ち、α−D−ガラクトシダーゼ(EC 3.2.1.22)、α−L−アラビノフラノシダーゼ(EC 3.2.1.55)、α−D−グルクロニダーゼ(EC 3.2.1.139)、シンナモイルエステラーゼ(EC 3.1.1.−)、アセチルキシランエステラーゼ(EC 3.1.1.6)、およびフェルロイルエステラーゼ(EC 3.1.1.73)によって除去される。
【0022】
デンプン加水分解に使用される最も重要な酵素は、α−アミラーゼ(1,4−α−D−グルカングルカノヒドロラーゼ(EC 3.2.1.1))である。これらは、1,4−α−D−グルコシド結合を切断し、かつ1,6−α−D−グルコシド分岐点を迂回することができるが加水分解することのできないエンド作用ヒドロラーゼである。しかし、β−アミラーゼ(EC 3.2.1.2)やプルラナーゼ(EC 3.2.1.41)などのエキソ作用グリコアミラーゼも、デンプンの加水分解に使用することができる。デンプン加水分解の結果は、主にグルコース、マルトース、マルトトリオース、α−デキストリン、および様々な量のオリゴ糖である。
【0023】
バイオマスの酵素による液化および加水分解については、既に記述されている。しかし、前処理されたリグノセルロースバイオマスの場合、繊維および平均サイズが1インチ(25.4mm)よりも小さい粒子からなりかつ比較的低い乾物含量、即ち20%(w/w)よりも低い乾物含量をさらに有する材料だけが、そのような方法によって首尾良く液化された。
【0024】
US2004/0262220は、バイオガスを生成する目的で、バイオマスの嫌気性消化方法について記述する。この方法は嫌気的であり、かつ、主にCHおよびCOからなる合成ガスとは対照的なバイオガスを生成するようさらに設計されているので、合成ガスの生成には適していない。バイオマスの前処理は、熱前処理および加水分解を含むが、本発明とは対照的に、バイオマスの熱前処理は100℃を超えず、加水分解は主に、発酵に適した単糖をもたらす。
【0025】
米国特許第5424417号は、別の発酵に適したバイオマスを得るための、リグノセルロースの前加水分解の方法に関する。この方法は、貫流系におけるアルカリまたは酸の添加と組み合わせた120〜240℃の熱処理に基づき、固形分を除去する工程を含む。そのような貫流系は、スラリー全体がガス生成器にポンプ送出されるので、合成ガス生成用のバイオマスの前処理に有益ではない。
【0026】
米国特許第4645541号は、リグノセルロース材料から微結晶性セルロースおよびグルコースを生成する多工程の方法に関する。この方法は、材料を爆発的に追い出す185〜240℃の熱前処理、有機溶媒を使用したリグニンの抽出、この材料の濾過と、セルロースおよびヘミセルロース画分への分離を含む。この処理の目的は、セルロースおよびヘミセルロースからリグニンを分離することであるので、前処理は、合成ガスの生成に必要とされるよりも非常に労力を要しかつエネルギーを消費し、既に爆発工程の後に1〜10ミクロンの粒子をもたらす。
【0027】
米国特許第4916242号は、フルフラルを生成する目的で、リグノセルロース含有バイオマスを熱的および化学的に処理するプロセスに関する。この方法は、ペントースを含有する蒸解液中でバイオマスを加熱することを含む。蒸解液を、フルフラルを生成する個別の生産プラントで蒸留し、熱で処理されたバイオマスは放出され、したがって、例えば合成ガスのさらなる生成には使用されない。
【0028】
ガス化は、炭素含有材料が酸素および水蒸気に加えて容器内に供給される、周知の技術である。伝統的に、微粉炭は、炭化水素供給原料として好ましいものであった。過剰な熱を発する反応が生じ、炭素結合は破壊され、合成ガスが生成される。合成ガスのさらなる使用に応じて、硫黄やアルカリ、水銀などの粒子から洗い落とすことが必要になる可能性がある。合成ガスがガスタービンで燃焼される場合、ガスの清浄化は、FTディーゼルや石油、メタノールなどの合成製品を生産するのに使用される場合ほど重要ではない。ガス化は、直接燃焼に比べてフレキシブルで、効率的であり、環境に優しい。ガス生成器は、統合ガス化複合サイクル(IGCC)発電所でも使用され、通常の石炭ボイラおよび水蒸気ボイラとは対照的に、電力生産でのより高い効率を可能にする。
【0029】
典型的には、石炭、原油、高硫黄燃料油、石油、およびその他の精製残留物は、ガス化に好ましい原材料であった。現代のガス生成器では、石炭を高温水蒸気に曝し、高温および高圧下で空気または酸素の量を慎重に制御する。これらの条件は、石炭中の炭素分子を粉々にし、水素、一酸化炭素、およびその他のガス状化合物の混合物を生成する化学反応を開始させる(RRI、2005)。石炭のガス化に最も重要な期間は、1980年代および1990年代中であった。石炭燃焼に関する環境問題に動かされて、ガス化は、電力を生成するクリーンな方法として知られるようになった。最初の石炭ガス化発電所は、現在商用として運転されている(RRI、2005)。
【0030】
しかし、減少していく化石燃料の代わりに、再生可能なエネルギーおよびリグノセルロースバイオマスなどの炭素資源を利用することが、将来は有利になるであろう。農業からの草類の副生成物、主に穀類の藁および藁状残留物は、安価な再生可能物である。木材は比較的クリーンな燃料であり、木材燃焼およびガス化のための伝統的な技術が十分に開発されているのに対し、草類バイオマスの使用はより複雑で、十分に開発されていない(HenrichおよびDinjus、2002)。バイオマスは、多くの点で石炭とは異なる。最も関連のある相違は、灰の挙動、供給および加圧特性である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
特許文献1:US2004/0262220
特許文献2:米国特許第5424417号
特許文献3:米国特許第4645541号
特許文献4:米国特許第4916242号
【非特許文献】
【0032】
非特許文献1:Three abstracts form the 28th Symposium on Biotechnology for Fuels an Chemicals: Oral presentation 1A-08, Oral presentation 6-05 and Oral presentation 1A-35 (hhtp://www.simhq.org/meetings/SIM_28th_Symposium.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
バイオマスは、一般に、構造、水の含量、アルカリの含量、および粒度に関して非常にばらつきがある。これが、特に加圧条件下で処理する場合、バイオマスの処理を複雑にする。したがって、ガス化からの最適な利益に対する最大の課題の1つは、ガス生成器への供給に適切なものにする方法でバイオマスを前処理することである。合成ガス生成用のその他の潜在的なバイオマスと比較すると、本発明によって得られた酵素により液化されたリグノセルロースバイオマスは、既に部分的に処理がなされておりかつポンプ送出が可能な限定サイズ(典型的には1mmよりも小さい)の懸濁粒子を含んだ液体の形で存在するという、大きな利点を有する。
【0034】
バイオマスの発熱量は、含水量に非常に左右され、したがってこの含水量は、発生する合成ガスの品質の制限因子である。より高い燃焼温度は、より少ない量のタール生成物およびメタンを含有する合成ガスをもたらす。一方、高含水量は、煤の発生を抑制し、CHスリップがガス生成器から出て行くのを制限する点で熱力学的に好ましい。藁などのバイオマスは、カリウムやナトリウムなどの高含量のアルカリを有する。
【0035】
ガス化中、この一部が気相に放出され、ガスの冷却中に引き続き凝縮し、その結果、付着物および腐食に関連した問題が生ずることになる。酸素ベースの噴流ガス生成器では、燃焼ゾーンが2500℃の温度に到達することができ、バイオマス中の鉱物の大部分が、スラグに融合することになり、したがって環境への再デリバリーに利用することができない。
【0036】
いくつかのガス化方法が利用可能であるが、高温高圧で純粋な酸素を使用するガス化の結果、最高の効率および最良の品質の合成ガスが得られる(Hamelinckら、2003)。中心の構成要素は、炭化水素がCOになるまで完全燃焼せずに一部のみを酸化するように、酸素流を規制するガス生成器である。
【0037】
ガス化プロセスは、400バール程度までの動作圧力を含む4つの主なクラスに分けることができ、即ち
−移動床/移動固定床、
−流動床、
−噴流、
−超臨界ガス化
である。
【0038】
移動床ガス生成器はかなり流通しているが、主に固体燃料に適している。このガス生成器は、酸化剤ガスおよび水蒸気をガス生成器の底部から導入しながら、ガス生成器の上部で粗製固形分を導入することからなる。ガス生成器の熱効率は高いが、ガス生成器はタールおよび油を生成するので、ガスの浄化が複雑である。藁や液化バイオマスなどのバイオマスは、この種類のガス生成器に適していない。
【0039】
流動床ガス生成器は、流動する空気中に懸濁した加熱済み粒子の床で、炭化水素供給原料を燃焼する。十分に高い空気速度で、この床は流体として作用し、その結果、粒子の素早い混合がもたらされる。流動化動作は、比較的低い温度(760〜1040℃)で完全燃焼を促進させ、燃焼熱効率を床から水蒸気管に伝達する手段を提供する。石灰石やドロマイトなどの硫黄吸収化学物質の使用が不可欠である。しかし、吸収剤はバイオマスのアルカリ化合物と反応して、ガス生成器を詰まらせる危険性のある低融点懸濁液を形成する可能性があるので、ガス生成器に供給する前にバイオマスからアルカリを除去することが、有利になるであろうと言われている。低温が原因で、流動床ガス生成器からの残留物は、移動床ガス生成器で生成される灰ほど不活性ではなく、環境上安全な容器内に処分することに、より注意を払う必要があると考えられる。
【0040】
噴流ガス生成器は、商業的な目的で、最も広く行き渡ったガス生成器である。そのようなガス生成器には、通常、石炭および水のスラリーが供給されるが、空気式および/またはロック式ホッパを使用することによって乾性炭でも動作することができる。噴流反応器を使用することの最大の利点は、高い出口温度の結果、タールおよびメタンの含量が非常に低い合成ガスが得られることである。噴流ガス生成器は、例えば1〜2秒という非常に短い滞留時間を有することも特徴とする。そのような短い滞留時間の利点は、非常に多量の石炭/バイオマスを、比較的小さなガス生成器容量で変換できることであり、これが、大規模な商業的用途のために噴流ガス生成器を選択する原動力となっている。一方、欠点は、ガス生成器から離れる前に化学反応を終了させるため、石炭/バイオマスを非常に小さい粒子に粉砕しなければならないことである。噴流ガス生成器は、水素および合成ガス製品の生産に非常に適している。この種類のガス生成器での燃焼は、バイオマスの潜在的な灰の含量に応じて、スラグ残留物をもたらす可能性がある。スラグガス生成器では、灰を形成する成分がガス生成器内で融解し、反応器の壁面を流下し、最後に液体スラグとして反応器から離れる(ECN、2004)。
【0041】
石炭ベースの従来のおよび十分に試験がなされた系は、40〜100μmの粒子をもたらす石炭の事前の微粉化を必要とする。木材などのバイオマスの、同様の機械的前処理は、許容できない高い値である約20%の一次エネルギーに相当する、最大0.08kW電気/kW木材を使用する(ECN、2004)。
【0042】
噴流ガス生成器内で変換されるバイオマスの異なる前処理については、あぶりおよびその後の微粉化による脆弱な固体の直接木材微粉化生産、フラッシュ熱分解による油/木炭−スラリーの生産、および低温流動床ガス化によるガス状燃料の生産も含めて、試験がなされてきた(ECN、2004)。一般に、石炭を燃料とする噴流ガス生成器は、典型的には50〜100μmのサイズの石炭粉末で動作する。このため、完全な変換が確実になる。バイオマスは石炭よりもさらに反応性があるので、バイオマスに対するサイズ要求はそれほど厳しくない。ECN(2004)報告は、完全な変換がなされる限り、バイオマス粒子を1mm程度の大きさにできることを述べている。
【0043】
高速またはフラッシュ熱分解は、リグノセルロースバイオマスの約半分またはそれ以上を熱分解液に変換する、比較的簡単な方法である。脆弱な熱分解木炭を微粉化し、油に懸濁させて、ポンプ送出可能なスラリーを生成する(HenrichおよびDinjus、2002)。しかし高速熱分解は、バイオマスを乾燥し、細断し、ハンマーミルを使用してサイズをさらに縮小させて、熱分解中の高速加熱を確実に行うことを必要とする。高速熱分解に適したほとんどの反応器は、砂などの固体の熱媒体を使用する。流動化は、機械的手段によって得られる。バイオ燃料粒子を、500℃よりも高い過剰な高温の砂と混合し、低軸および良好なラジアル混合を行いながら、並流に移送する(HendrichおよびDinjus、2002)。
【0044】
低温熱分解または燃焼でのバイオマスの前処理は、ガス生成器内で問題を引き起こす可能性のある塩が材料中に残ることを示唆する。あるいは、しばしば有用な肥料である塩は残留物に結合し、それによって環境に再循環させる可能性が失われる。さらに、熱分解に基づく前処理は、効率が低いので、非常に魅力ある方法というわけではない。
【0045】
噴流ガス生成器へのバイオマスの供給は、ロック式ホッパまたはピストンフィーダを使用して行ってもよい。ロック式ホッパシステムでは、ロック式ホッパに大気圧でバイオマスを充填し、不活性ガスを使用して4000psiに加圧し、ロータリーフィーダ(LLC、2006)、スクリュフィーダの助けを借りて、または圧気輸送によって、反応器に固形分を供給する。
【0046】
ピストン供給は、ロック式ホッパシステムの代替例であり、容量がほとんどなくかつ不活性ガスの消費が少ないという利点がある。この方法は、あぶった木材チップに関して試験がなされている(ECN、2004)。このピストンフィーダは、大気供給バンカ、ピストンフィーダ、および加圧タンクからなるものであった。その後、バイオマスを、スクリュによってガス生成器に供給することができる。実験は、ピストンフィーダがロック式ホッパに取って代わった場合、不活性ガスの消費が減少し、エネルギーペナルティは、1mmの固形分に関して3%よりも低かったことを示した。
【0047】
しかし液化バイオマスの場合、加圧システムを、最新技術のスラリーポンプに置き換えることができる。液体燃料を引き続き噴霧化し、固体燃料粉末と同様にバーナに供給する(ECN、2004)。
【0048】
超臨界ガス生成は、供給原料を加熱し、水の臨界点よりも高い値に加圧する(221バール、および375℃)プロセスである。供給原料が十分に加熱され加圧される場合、有機部分は、水素、メタン、一酸化炭素、および二酸化炭素の混合物に分解する。水の量が有機材料の量に比べて比較的多い場合、全てのCOは、水性ガスシフト反応によって、水素および二酸化炭素に変換されることになる。現在のところ、即ちForschungszentrum Karlsruhe(DE10210178)によって、臨界ガス化が開発中である。バイオマスは、300バール程度まで加圧する必要があるので、このバイオマスは、ポンプ送出可能である必要がある。これまで上記必要性は、バイオマスを微小細断し、水で希釈し、それによって、重量に基づく乾物含量がわずか10%程度のバイオマス水スラリーを得ることによって解決されてきた。効率および経済的な観点から、乾物含量を20〜30%程度に増加させることは、本発明により可能なことであるが大きな利点になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0049】
本発明は、バイオマスから合成ガスを生成する方法に関する。この方法は、多糖を含有し、高乾物含量を有し、好ましくは平均サイズが大きい繊維および粒子を保有するバイオマスを液化するプロセスと、そのような処理済みのバイオマスを、石油、プラスチック、および化学物質への加工に適しておりまたは電力生産のためにガスタービンに使用することができる合成ガスに、引き続きガス化するのにさらに利用することを含む。
【0050】
本発明は、比較的高い乾物含量を有し、好ましくはその乾物含量が20%よりも多い多糖含有バイオマスを、液化しかつそこから引き続き合成ガスを生成するプロセスに関する。さらにこのプロセスは、主にデンプン、精製デンプン、セルロース、ヘミセルロース、およびリグニン、例えば穀物または麦藁からなる多糖含有バイオマスの液化、およびその後に行われる合成ガスの生成に、特に適している。リグノセルロースバイオマスの場合、これらは、酵素とセルロースとを確実に接触させる手法で、110〜250℃の間の温度に1〜60分間曝すことにより前処理することが好ましい。熱前処理では、加圧水蒸気および所望によりマイクロ波を使用する。前処理したバイオマスの洗浄は、同時にまたは後で行うことができ、栄養塩類およびC5糖などのより小さい糖が洗い落とされる。これらの栄養素を収集することができ、飼料への添加剤として使用するのに適しているが、本明細書では自然に再循環させる。前処理は、例えば発酵を阻害する生成物の発生を心配せずに実施することができ、したがって、これら(またはその添加から生ずる副生成物)が例えば後続の発酵工程に悪影響を与えるか否か考える必要なく、リグニン分解速度を上昇させる化学物質を添加することが可能である。本発明は、炭素加水分解酵素と、機械力、主に剪断力および引裂き力を確実に加える重力の原理に依拠した混合タイプとの組合せに基づいた、酵素加水分解を、バイオマスと組み合わせる。好ましいタイプの混合は、例えば、ドラムミキサやタンブルミキサ、同様の混合装置などのフリーフォールミキサである。
【0051】
液化バイオマスは、20〜50%の乾物含量を有し、噴流ガス生成器などの加圧ガス生成器または超臨界ガス化に適したガス生成器にポンプ送出される。液化バイオマスの発熱量が、ガス生成器から出る高い出口温度を得るのに低くすぎる場合、いくらかの「過剰な」炭化水素をガス生成器に添加する必要があると考えられる。そのような炭化水素は、石油もしくはディーゼル製品、またはその他の安価な炭化水素製品から再循環された副生成物でよい。
【0052】
一般に、スラリーの乾物含量は高いことが好ましい。乾物含量が高いと、粘度が上昇し、ポンプ送出能が低下する可能性がある。粘度の調節は、発熱量の調節と併せて、液化バイオマスに油を添加することによって行うことができる。同じ効果を得るための別の方法は、乾燥と長時間の液化とを組み合わせることである。
【0053】
バイオマスから合成ガスへの加工を、図1に示す。合成ガスは、例えばメタノール、合成燃料を生成するのに使用することができ、またはFischer−Tropsch合成で使用することができる。合成ガスを、ディーゼルまたは石油に変換する場合、最終生成物の20%は使用できないガスからなる。これらのガスは高い発熱量を有するので、ガス生成器に再循環して高温を得るのに有益になる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明によるバイオマスから合成ガスへの工程を示す図である。(1)バイオマスを、リグニンを最終的に破壊するために、およびアルカリなどの不純物を洗い出すために、最終的に前処理する。(2)バイオマスを、酵素を使用して液化することにより、乾物含量が20%よりも多いポンプ送出可能なスラリーにする。(3)スラリーを、市販のポンプを使用して加圧する。(4)粘度および/または発熱量を、必要に応じて石炭、油、またはその他の炭化水素を添加することによって調節する。(5)スラリーを、好ましくは加圧酸素噴出噴流ガス生成器内でガス化する。(6)合成ガスを冷却し、清浄化する。(7)合成ガスを液体燃料、その他のガス、化学物質、プラスチック、または電気に変換する。
【図2】5チャンバ加水分解反応器の縦断面および横断面を示す図である。
【図3】乾物含量が様々な前処理された麦藁の、液化および加水分解中のグルコースの濃度を示す図である。
【図4】弁なしの油圧作動移送管を有する複式単動ピストンポンプを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の詳細な説明
本明細書で使用される「バイオマス」という用語は、工業および家庭からの廃棄物の生分解性部分と共に、農業(植物および動物の両方に由来する化合物を含む)および林業から、および密接に関連する産業からの生成物、廃棄物、および残留物の生分解性部分を指す。
【0056】
本発明のプロセスは、典型的には30〜50%の酵素加水分解度を提供する。液化バイオマスは、結果的に、比較的多量のグルコース、キシロース、セロビオース、リグニン、非分解性セルロース、およびヘミセルロースを含有することになる。
【0057】
多糖含有バイオマスがリグノセルロースである場合、前処理は、リグノセルロース分の構造が酵素にさらに接触しやすくなるように、確実に行わなければならない。これを実現するいくつかの戦略があり、それらは全て、リグノセルロース材料を110〜250℃の間の温度に1〜60分間曝すことを示唆しており、例えば
・温水抽出、
・多段階希釈酸加水分解、
・比較的低い重度条件での希釈酸加水分解、
・アルカリ湿式酸化、
・水蒸気爆発
である。
【0058】
本発明による多糖含有バイオマスは、ポリマー状の糖を、例えばデンプン並びに精製デンプン、セルロース、およびヘミセルロースの形で含有する任意の材料を含む。
【0059】
本発明による酵素加水分解および混合に関係のあるタイプのバイオマスは、例えば
・デンプン、例えばデンプンを含有する穀物および精製デンプン、
・DGS(従来のエタノール生成物からの残留物)
・トウモロコシの茎葉
・バガス
・藁、例えば米、小麦、ライ麦、オート麦、大麦、ライ麦、菜種、ソルガムから
・針葉樹、例えばオーシュアカマツ(Pinus sylvestris)、ラジアータマツ(Pinus radiata)
・広葉樹、例えばヤナギ種(Salix spp.)、ユーカリ種(Eucalyptus spp.)
・塊茎、例えばビート、ポテト
・例えば米、小麦、ライ麦、オート麦、大麦、ライ麦、菜種、ソルガム、およびトウモロコシからの穀類
・紙くず、バイオガス加工からの繊維画分、肥やし、油ヤシ加工からの残留物、または都市ごみなどであって、同様の乾物含量を有するもの
などの、農作物から得られたバイオマスを含むことができる。
【0060】
多糖含有バイオマスがリグノセルロースである場合、材料を小片に切断することができ、このバイオマスの20%(w/w)は、前処理の前に26〜70mmの範囲内であることが好ましい。前処理された材料は、液化用の混合装置に進入する前に、20%よりも高い乾物含量を有することが好ましい。バイオマスから炭水化物を遊離することに加え、前処理プロセスは、バイオマスを殺菌しかつ部分的に溶解し、同時に塩化カリウムを洗い落とす。
【0061】
本発明による液化プロセスで実施される混合は、少なくとも4つの目的にかなう。
【0062】
第1に、使用される酵素と多糖含有バイオマス(基質)との間の密接な接触を確実にするが、これはほとんどの場合に不溶性になり、またはごくわずかしか溶解しなくなるからである。
【0063】
第2に、混合中に材料に対して行われる機械的作業は、より大きなバイオマス繊維および粒子を引き離すのを助け、したがって、材料の表面積を増大させるのを補助することになる。このため、例えばセルロースおよびヘミセルロースと使用される酵素との接触可能性が増大することになる。材料に対する機械的作業をさらに増加させるため、鋼球または材料と衝突することになる同様の手段を、ドラムに付加してもよい。
【0064】
第3に、材料の混合によって、高セロビオース濃度の局所蓄積が防止され、これは当業者に周知のように、例えばセルラーゼ酵素、特にセロビオヒドロラーゼを阻害することができるものである。
【0065】
第4に、セルラーゼ酵素の重要な特徴は、セルロース結合ドメイン(CBD)が酵素性能に及ぼす影響である。CBDは、セルロース分解酵素の機能的部分である。CBDは、不溶性基質表面(セルロース)への水溶性酵素の接着を可能にする。CBDによって得られた酵素とセルロースとの間の密接な結び付きは、触媒反応速度および酵素の安定性を高める。セルロースを加水分解するには、酵素が、セルロース鎖状のCBDの位置を変化させなければならない。機械的動作、即ち混合は、CBDの移動、およびその結果としてのセルロース鎖に沿った酵素の酵素作用に、重要であると考えられる。
【0066】
上記事項に加え、バイオマスの酵素加水分解は、発酵産業で使用されるものと同様の、中心に配置されたインペラシャフトに取り付けられた、インペラ(例えば、ラッシュトン型タービン (Rushton turbine)またはインテミグ型インペラ (Intemig impeller))を備えた撹拌タンク反応器内で、伝統的に実施されてきたことに留意すべきである。この装置によって、高粘度であり、非常に粘着性があり、または非常に乾燥した材料の溶液を十分に撹拌することはできず、混合が非常に不十分でありまたは全く行われないゾーンが得られることになる。さらに、そのような溶液の撹拌は、プロセスの経済性に有害な非常に大きなエネルギー入力を必要とする。多糖含有バイオマスによる動作では、以前は可能性ある上限が、約20%に制限されていた。本発明による重力ベースの混合原理は、この問題を克服し、乾物含量が最大80%、好ましくは20〜50%の多糖含有バイオマスに使用することができる。本発明による重力混合原理は、容易に規模を拡大することができ、最大80%超のセルロースを含有する、精製デンプンの他の全ての種類のバイオマスに適用することができる。
【0067】
酵素加水分解に伝統的に使用されてきた従来の撹拌タンク反応器とは異なって、重力ベースの混合原理、即ちドラムミキサ、バイオマスを持ち上げる回転軸を備えたミキサ、または自由落下原理を利用する同様の混合装置は、小さな電力入力および高い乾物含量であっても同時に効率的な混合を可能にし、さらに、材料とドラムとの間の剪断力および引張り力を含む重力、並びに落下する材料とドラムの底面との間の衝撃から得られる力を通して機械式加工/分解を行い、同時に、酵素性能に対するセルロース結合ドメイン(CBD)の効果が良い方向に発揮される。
【0068】
例えば、比較的高い乾物含量と平均サイズが大きい繊維および粒子を有する多糖含有バイオマスなどの、非混和性植物材料の加工は、タンブルタイプのミキサがブレンド作業に使用される固相発酵またはバイオリアクタにより知られているが(Giovanozziら、2002)、この原理は、後続の合成ガス生成に専用の液化プロセスで、これまで実現されてこなかった。
【0069】
本発明は、乾物含量が比較的高いバイオマス、例えば乾物含量が20〜80%の間、好ましくは20〜50%の間のバイオマスを液化するプロセスを提供する。さらに、本発明によるプロセスは、効率的な液化と、ガス生成器での最終生成物の直接使用とを組み合わせる。
【0070】
デンプン、セルロース、およびヘミセルロース、またはこれらの部分からオリゴマーおよびポリマーへの変換を行うことが可能な酵素を、自然の形で、またはそのような酵素の蓄積を引き起こす微生物の形でバイオマスに添加する。バイオマスのpHおよび温度は、利用される酵素に最適なpHおよび最適な温度を基準にして調節される。
【0071】
投入される酵素に応じて、バイオマスは、大きな繊維および粒子を全くまたは少ししか残すことなく、3〜24時間以内に液体に液化されることになる。放出された糖を引き続き発酵させるための液化および加水分解プロセスと比較すると、酵素負荷が低下することを予測することができる。
【0072】
高重力液化は、ガス生成器へのポンプ送出に適切な、乾物含量が20〜50%のスラリーをもたらす。バイオマスが家庭廃棄物から得られる場合はいつでも、ガス生成器にスラリーをポンプ送出する前に、液相から扱い難い固形分を分離することが特に有利になると考えられる。
【0073】
スラリーは、噴流ガス生成器にポンプ送出することが最適である。そのようなガス生成器には高温が必要であるので、下流プロセスからの副生成物由来の炭化水素は、ガス生成器に再循環することができる。
【0074】
このプロセスは、ごく小さな腐食問題があるだけで冷却することができ、その後、硫黄およびその他の粒子を清浄化することができる、低アルカリ含量を有するガスをもたらす。清浄化されたガスは、ディーゼル、メタノール、石油、もしくはその他の化学物質用の合成ガスとして使用することができ、または電力生産のためにガスタービンで燃焼することができる。
【0075】
この方法は、経済的に好ましく、非常に多様なバイオマスの取扱いに適しており、合成ガスの効率的な生成を可能にする。本発明の利点は、液化バイオマスが、ガス生成器内での最適な供給およびガス化のために、適切な粒度および乾物含量を有することである。熱前処理、酵素加水分解、およびガス化のこの組合せは、以前可能であったよりも効率的な炭素の利用によって、バイオ燃料を発生させる。さらに、アルカリ化合物を、食材添加物の形で環境に再デリバリーすることが可能である。
【0076】
本発明によるプロセスは、下記の好ましい技術的パラメータを使用して行うことができる。
・重量ベースの液化プロセスに進入するバイオマスの乾物含量:20〜80%、好ましくは25〜70%、より好ましくは25〜60%、さらにより好ましくは25〜50%または25〜40%、最も好ましくは25〜35%。リグノセルロースバイオマスの繊維および粒子のサイズの分布:0〜150mm、好ましくは5〜125mm、より好ましくは10〜100mm、さらにより好ましくは15〜90mmまたは20〜80mm、最も好ましくは26〜70mm。繊維および粒子のサイズの好ましい分布は、好ましい区間内におよぶリグノセルロースバイオマスの少なくとも20%(w/w)と定義される。
【0077】
多糖含有バイオマスがリグノセルロースである場合、例えば温水抽出によって前処理しなければならない。熱水前処理が選択される場合、下記の技術的設定が好ましい。
・前処理温度:110〜250℃、好ましくは120〜240℃、より好ましくは130〜230℃、より好ましくは140〜220℃、より好ましくは150〜210℃、より好ましくは160〜200℃、さらにより好ましくは170〜200℃、最も好ましくは180〜200℃。
・前処理時間:1〜60分、好ましくは2〜55分、より好ましくは3〜50分、より好ましくは4〜45分、より好ましくは5〜40分、より好ましくは5〜35分、より好ましくは5〜30分、より好ましくは5〜25分、より好ましくは5〜20分、最も好ましくは5〜15分。
・前処理後の乾物含量:少なくとも20w/w%、好ましくは25〜45%。
【0078】
重力ミキサ内での多糖含有バイオマスの酵素処理:
バイオマスを上に揚げる、水平に配置されたスターラシャフトを備えた反応器の形をとる、自由落下混合の概念に基づいた容器または類似の混合装置を使用する場合、下記の技術的設定が好ましい。
・回転速度:0〜30rpm、好ましくは0〜20rpm、より好ましくは0〜15rpm、さらにより好ましくは0〜10rpm、最も好ましくは0〜5rpm。
・周期的に交互に入れ替わる回転方向での回転。
・事前に定められた間隔での回転。
【0079】
最適な回転速度は容器の容量に依存することになり、したがって好ましい回転速度は、プロセスが比較的小さい容器で実施される場合に比較的速くなるが、プロセスが比較的大きな容器で実施される場合には、比較的遅くなる。
・リグノセルロースバイオマスに関する酵素:
−セロビアーゼ(例えば、Novozym 188)
−セルラーゼ(例えば、Celluclast 1.5FGL)
・フィルタペーパーユニット(FPU)/g DMで表す酵素負荷。1 FPUは、当業者に周知の特定の条件下、Whatmann#1濾紙上で、1μmol/分のグリコシド結合を加水分解するのに必要な酵素の量に等しい。しかし酵素活性は、原理上、所望の酵素活性を引き起こす微生物の添加によることも含めた、任意の考えられる形で供給することができ:0.001〜15FPU/g乾物、好ましくは0.01〜10FPU/g乾物、より好ましくは0.1〜8FPU/g乾物、より好ましくは1〜4FPU乾物、最も好ましくは3FPU/g乾物未満に相当する。
・デンプン含有バイオマスの酵素:
−デンプンの処理中の酵素:α−アミラーゼおよびグルコアミラーゼ
・酵素加水分解の処理時間:0〜72時間、好ましくは1〜60時間、より好ましくは2〜48時間、より好ましくは3〜24時間、例えば4〜24時間、例えば6〜24時間、例えば8〜24時間、例えば10〜24時間、例えば12〜24時間、例えば18〜24時間、または22時間など。酵素加水分解の温度。適用される酵素活性の最適な温度を基準に調節される。
・バイオマスのpH。適用される酵素活性の最適なpHを基準に調節される:好ましくは4〜12、例えば3〜11、例えば5〜10、例えば6〜9、例えば7〜8など。
・リグニンの破壊を増大させるため、酸素や水素などの化学物質を添加。
【0080】
酵素処理は、バッチ式、流加バッチ式、または連続式プロセスとして実施することができる。得られた液状のポンプ送出可能なスラリーは、噴流ガス生成器などの加圧ガス生成器にポンプ送出するのに適している。このように、前記バイオマススラリーは、主に、サイズが1mmよりも小さい粒子のみを含有し、好ましくは0.9mmよりも小さく、より好ましくは0.8mmよりも小さく、例えば0.7mmよりも小さく、好ましくは0.6mmよりも小さく、より好ましくは0.5mmよりも小さく、例えば0.4mmよりも小さく、好ましくは0.3mmよりも小さく、より好ましくは0.2よりも小さく、例えば0.1mmよりも小さい。ガス生成器から出る高い出口温度を得るために、液化バイオマスの発熱量が低すぎる場合、いくらか「過剰な」炭化水素をガス生成器に添加することが必要と考えられる。そのような炭化水素は、石油もしくはディーゼル製品からの生成物、またはその他の安価な炭化水素製品によって、再循環することができる。
【0081】
一般に、スラリーの乾物含量は高いことが好ましい。高い乾物含量は、粘度を増大させかつポンプ送出性を低下させる可能性がある。粘度の調節は、発熱量の調節と組み合わせて、油を液化バイオマスに添加することによって行うことができる。同じ効果を得るための別の方法は、乾燥と長時間の液化とを組み合わせることである。
【実施例】
【0082】
実施例1:前処理した麦藁の酵素的液化
7kg DW(=20kgの前処理した藁)に相当する、約40mmの平均サイズを有する加圧した前処理済み麦藁(180〜200℃で5〜10分間、向流水抽出によって前処理し、その水および乾物の流量比は5:1である)を、水平軸が約10°傾いている従来のロータリーセメントミキサに入れた。ミキサは、材料の混合を確実にするために、長軸に沿って2個の内部リブを有していた。開口に蓋を取り付けて、ミキサから蒸発しないようにした。ミキサドラムは、29rpmの速度で水平軸に沿って回転した。
【0083】
Celluclast 1.5 FG L 200〜1150mL、およびNovozym 188 40〜225mLを、藁に添加した。この結果、最終的な乾物含量は30%になった。酵素負荷は、3〜15 FPU/g DMに相当した。pHは、炭酸ナトリウムを添加することによって4.8から5.0に調節した。
【0084】
セメントミキサを、ファンヒータを使用することによって40〜45℃に加熱した。材料の混合/加水分解を22時間行った。酵素負荷に応じて、大きな繊維を全く残さずに、多かれ少なかれ粘性をもたらした。前処理された藁は、約3〜5時間でペーストに分解した。混合から5〜24時間後、ペーストは粘性の液体に変化した。前処理した麦藁のみによる、または160℃でのみ前処理したが同じ酵素負荷を使用した麦藁による対照実験は、藁の液化の兆候を示さなかった。
【0085】
得られた材料を、2500rpmで15分間遠心分離した。上澄みを、0.45μmのフィルタに通して濾過し、HPLCで糖に関して分析した。15 FPU/g DMの酵素負荷では、上澄みが、加水分解の24時間後に、グルコースを70g/L、キシロースを30g/L含有していた。これは、藁の中にもともと存在するセルロースおよびヘミセルロースの50%の加水分解に相当する。
【0086】
実施例2:20〜40%DMでの酵素的液化および加水分解
加水分解反応器は、20%DMよりも高い液化および加水分解固体濃度で実験が行われるように設計した。反応器(図2)は、それぞれ幅20cmおよび直径60cmの5つの個別のチャンバに分けられた、水平に配置されたドラムからなるものであった。各チャンバ内に3個のパドラが取り付けられた水平回転シャフトを、混合/撹拌に使用した。1.1kWモータを駆動装置として使用し、その回転速度は、2.5から16.5rpmの範囲内で調節可能にした。回転方向は、時計回りと反時計回りとの間で1分間に2回シフトするようにプログラムした。外側の水充填型加熱ジャケットにより、温度を80℃まで制御することが可能になった。
【0087】
チャンバに、平均サイズが約40mmの加圧した前処理済み麦藁(180〜200℃で5〜10分間、向流水抽出によって前処理し、水と乾物との流量比は5:1であった。)と、水を充填することにより、20から40%の初期DM含量が得られた。比が5:1のCelluclast 1.5 FG LおよびNovozym 188を添加して、DM 1g当たり7FPUの酵素負荷を得た。液化および加水分解を50℃で、およびpH4.8から5.0で行った。混合速度は6.6rpmであった。液化および加水分解は、40%DMまでの初期DM含量で可能であった(図3)。
【0088】
実施例3:ホールクロップの液化(デンプンおよびリグノセルロース)
リグノセルロースおよびデンプン含有バイオマスは、重力混合と、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、およびアミラーゼの混合物を使用して、同時に処理することができる。リグノセルロースバイオマスは、例えばトウモロコシの茎葉、藁、例えば米、小麦、ライ麦、オート麦、大麦、ライ麦、菜種、およびソルガムからのもの、塊茎、例えばビート、ポテト、穀類、例えば米、小麦、ライ麦、オート麦、大麦、ライ麦、菜種、ソルガムからのものからなる農作物、針葉樹、例えばオーシュアカマツ(Pinus sylvestris)、ラジアータマツ(Pinus radiata)、と、広葉樹、例えばヤナギ種(Salix spp.)、ユーカリ種(Eucalyptus spp.)からなる木材、都市ごみ、紙くず、および同様のバイオマスから得ることができる。
【0089】
実施例3で記述される加水分解反応器を、実験で使用した。麦藁(主にリグノセルロース源)を、180〜220℃で5〜10分間、向流水抽出を使用して前処理し、このときの水と乾物との流量比は5:1であった。小麦(主にデンプン源)を、Kongskildeローラミルを使用して乾式ミリングした。平均サイズが約40mmの小麦および前処理した麦藁を、乾燥ベースで1:1の比で混合した。DMは、水を添加することによって、30から40%DMの間に調節した。5:1の比のCelluclast 1.5 FG LおよびNovozym 188を添加して、藁のg DM当たり7FPUの酵素負荷が得られた。デンプンの加水分解は、小麦kg当たり3.5gの負荷で、低温マッシュ酵素NS50033(Novozymes A/S、Bagsvard、デンマーク)を使用して実施した。液化および加水分解は、50℃およびpH4.8から5.0で行った。藁と小麦とを混合した結果、藁のみを利用した場合に比べて素早いグルコースの液化および蓄積が生じた。
【0090】
合成ガスは、引き続き、得られた液化バイオマススラリーを、パイロット規模の5MW加圧噴流ガス生成器などのスラグ噴流ガス生成器にポンプ送出することによって、得ることができる。特殊なナイフエッジ付きばね荷重コーン弁を備えたプランジャポンプを使用して、必要な圧力を発生させることができる。能動的な開閉動作をもたらす、機械的にまたは電気的に動作する吸気および放出弁を有するポンプは、詰まりの問題を最小限に抑えることになる。26バール加圧ガス生成器チャンバへのスラリーの一定の流れは、スクリュポンプによって維持することができる。市販のポンプを図4に示す(http://www.directindustry.com/prod/weir−minerals−division/dry−mounted−slurry−pump−23306−56832.html)。スラリーを、加圧した純粋なOによって空気圧で噴霧化する。所望により、天然ガスによる口火は、安全性の理由からおよび放射スクリーンでの熱損失を補償するために、保つことができる。これは、商用規模のガス生成器では取るに足らないことである。
【0091】
生成された合成ガスは、実際にはタールおよびCHを含まない。合成ガスは、例えば:
CO 40〜50容量%;H 25〜30容量%;CO 15〜20容量%;N 7〜11容量%;CH 0.1容量%未満;HS 15〜30ppm
を含む。特に、NおよびHSの含量は、使用されるバイオマスのタイプに非常に左右される。
【0092】
商用のスラグ噴流ガス生成器では、40バールおよび1300〜1500℃の圧力が十分である。スラグおよび灰は再生利用される。ガス生成器から出る高い出口温度を得るのに、液化バイオマスの発熱量が低過ぎる場合、いくらか「過剰の」炭化水素をガス生成器に添加することが必要と考えられる。そのような炭化水素は、石油またはディーゼル製品からの生成物によって、またはその他の安価な炭化水素生成物によって、再循環することができる。
【0093】
一般に、スラリーの乾物含量は高いことが好ましい。高い乾物含量は、粘度を増大させかつポンプ送出性を低下させる可能性がある。粘度の調節は、発熱量の調節と組み合わせて、液化バイオマスに油を添加することによって行うことができる。同じ効果を得るための別の方法が、乾燥と長時間の液化とを組み合わせることである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多糖含有バイオマスから合成ガスを生成する方法であって、前記バイオマスを、
20%よりも高い乾物含量で酵素的液化および加水分解にかけてオリゴマーまたはポリマーにし、それによって、20から50%の間の乾物含量を有するバイオマススラリーをもたらす工程;および
その後、前記バイオマススラリーを、ポンプ送出によって加圧ガス生成器に移し、引き続き合成ガスを生成するための工程
を含む方法。
【請求項2】
さらに、液相をポンプ送出する前に、固相の少なくとも一部が前記バイオマススラリーから除去されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酵素加水分解から得られる前記液体バイオマススラリーが、1mm未満のサイズの粒子のみを含有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記バイオマススラリーの粘度が、前記加圧ガス生成器にポンプ送出される前に変更される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記粘度の変更が、乾燥によってまたは油の添加によって得られる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
炭化水素がバイオマスと共に加圧ガス生成器に添加される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記炭化水素が、オフガスなどの下流の副生成物の再循環を介して得られる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
スラグ添加剤が、前記加圧ガス生成器に移される前に前記バイオマススラリーに添加される、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記バイオマススラリーが前記加圧ガス生成器に移される前に、アルカリ塩が前記バイオマスから除去される、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記アルカリ塩が、飼料への栄養添加剤に適した形で糖と共に除去され収集される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記液化および加水分解が、高重力条件下で行われる、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記液化および加水分解中の、多糖含有バイオマスの混合が、ドラムミキサ、タンブルミキサ、または同様の混合装置などの自由落下ミキサに依拠する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
20%よりも高い乾物含量を有する前記多糖含有バイオマススラリーが、農業(植物および動物の両方に由来する化合物を含む)または林業、および密接に関連する産業からの生成物、廃棄物、および残留物の生分解性部分から、または工業および家庭からの廃棄物の性分解性部分から得られる、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
20%よりも高い乾物含量を有する前記多糖含有バイオマススラリーが、例えばトウモロコシの茎葉、バガス、藁、例えば米、小麦、ライ麦、オート麦、大麦、ライ麦、菜種、およびソルガムからのもの、塊茎、例えばビート、ポテト、穀類、例えば米、小麦、ライ麦、オート麦、大麦、ライ麦、菜種、ソルガムからのものからなる農作物、針葉樹、例えばオーシュアカマツ(Pinus sylvestris)、ラジアータマツ(Pinus radiata)、と、広葉樹、例えばヤナギ種(Salix spp.)、ユーカリ種(Eucalyptus spp.)からなる木材、または都市ごみ、紙くず、バイオマスの処理から得られる繊維画分、肥料、および同様のバイオマスから得られるリグノセルロースバイオマスまたはその部分である、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
20%よりも高い乾物含量を有する前記多糖含有バイオマススラリーが、デンプン、例えばデンプン含有穀物または精製デンプンである、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
20%よりも高い乾物含量を有する前記多糖含有バイオマススラリーが、デンプン、例えばデンプン含有穀物または精製デンプンと、例えばトウモロコシの茎葉、藁、例えば米、小麦、ライ麦、オート麦、大麦、ライ麦、菜種、およびソルガムからのもの、塊茎、例えばビート、ポテト、穀類、例えば米、小麦、ライ麦、オート麦、大麦、ライ麦、菜種、ソルガムからのものからなる農作物、針葉樹、例えばオーシュアカマツ(Pinus sylvestris)、ラジアータマツ(Pinus radiata)、および広葉樹、例えばヤナギ種(Salix spp.)、ユーカリ種(Eucalyptus spp.)からなる木材、都市ごみ、紙くず、同様のバイオマスから得られるリグノセルロースバイオマスとの混合物である、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
20%よりも高い乾物含量を有する前記多糖含有バイオマススラリーが、熱前処理にかけられている、請求項12から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記熱前処理が、リグニンの分解を含む化学物質の添加を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前処理および液化後の多糖含有バイオマスの乾物含量が、25〜80%の間である、請求項1から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
バッチ式、流加バッチ式、連続式または同様のプロセスとして実施される、請求項1から19のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−538388(P2009−538388A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512737(P2009−512737)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051962
【国際公開番号】WO2007/138534
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(508349469)エルサム・クラフト・アクティーゼルスカブ (1)
【氏名又は名称原語表記】ELSAM KRAFT A/S
【Fターム(参考)】