液圧成形装置及び液圧成形方法
加圧した液状媒体(2)で素材板(1)を押圧する第1金型(10)と、所定形状の成形用凹面(21)を設けた第2金型(20)とで前記素材板(1)を挟持し、前記液状媒体(2)で前記素材板(1)を押圧して前記素材板(1)を前記成形用凹面(21)に当接させることにより所定形状の成形体を形成する液圧成形装置(A)及び液圧成形方法において、第2金型(20)には、前記素材板(1)の変形抵抗を局部的に異ならせる変形抵抗調整手段(22,23)を設ける。この変形抵抗調整手段(22,23)は、前記素材板(1)を局部的に冷却する局部冷却手段(22)、または前記素材板(1)を局部的に加熱する局部加熱手段(23)とする。さらに、変形抵抗調整手段(22,23)は、前記第2金型(20)に対して進退自在とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の素材板を所定形状に押圧加工する液圧成形装置及び液圧成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属板等の板材からなる素材板を所定形状に成形する成形方法の一つとして、金型を用いて素材板をプレスするプレス加工が行われている。
【0003】
このようなプレス加工の一つとして、特開平6−304672号公報のような液圧成形装置が用いられている。
【0004】
この液圧成形装置では、第1の金型には素材板を押圧するための液状媒体を高圧力状態として供給可能とし、第2の金型には素材板と当接する当接面に所定形状の成形用凹面を設け、第1の金型と第2の金型とで素材板を挟持して、第1の金型に液状媒体を注入することにより液状媒体で素材板を成形用凹面側に押圧して当接させ、所定形状の成形体を形成している。
【0005】
しかしながら、このような液圧成形装置では大きな変形量を与えることができるものの、大きな変形量を与えるためには素材板を全体的に均質に歪ませる必要があり、成形可能な形状に限りがあるという問題があった。
【0006】
特に、昨今、軽量化を目的としてアルミニウム合金の利用が図られているが、アルミニウム合金は破断限界歪みが小さいために上記した液圧成形装置を用いても十分な成形性を得ることが困難であった。
【0007】
本発明者らはこのような現状に鑑み、成形性をさらに向上させた液圧成形装置を開発すべく研究を行い、本発明を成すに至ったものである。
【発明の開示】
【0008】
請求項1記載の液圧成形装置では、加圧した液状媒体で素材板を押圧する第1金型と、所定形状の成形用凹面を設けた第2金型とで素材板を挟持し、液状媒体で素材板を押圧して素材板を成形用凹面に当接させることにより所定形状の成形体を形成する液圧成形装置において、第2金型には、素材板の変形抵抗を局部的に異ならせる変形抵抗調整手段を設けた。したがって、液圧成形装置による成形時に、成形体には局部的に大きく変形させた構造を形成することができ、形成可能な形状を多様化することができる。特に、通常では不可能であった複数部材の一体成形を可能とすることができる。
【0009】
請求項2記載の液圧成形装置では、請求項1記載の液圧成形装置において、素材板を局部的に冷却する局部冷却手段で変形抵抗調整手段を構成した。したがって、変形抵抗調整手段と当接した部分の素材板の強度を向上させることができるので、その部分において周囲からの引っ張りに対する抵抗を向上させることができ、素材板に破断が生じることを防止できる。
【0010】
請求項3記載の液圧成形装置では、請求項1記載の液圧成形装置において、素材板を局部的に加熱する局部加熱手段で変形抵抗調整手段を構成した。したがって、変形抵抗調整手段と当接した部分の素材板の延性を向上させることができるので、その部分において張出し性を向上させることができ、素材板に破断が生じることを防止できる。
【0011】
請求項4記載の液圧成形装置では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液圧成形装置において、変形抵抗調整手段を第2金型に対して進退自在とした。したがって、液圧成形装置による成形時に変形抵抗調整手段を進退させることにより、変形抵抗調整手段をパンチとみなしたバルジ加工による仕上げ加工を行うことができるので、より複雑な形状の成形体を形成することができる。
【0012】
請求項5記載の液圧成形装置では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液圧成形装置において、液状媒体を所定温度に加熱するとともに、第1金型及び第2金型もそれぞれ液状媒体と略同一の温度に加熱した。したがって、素材板を加熱して素材板の成形限界を向上させることができるとともに、素材板の変形抵抗を全体的に略均一とする一方で変形抵抗調整手段による変形抵抗の異なる領域の形成を局部領域としやすくすることができ、素材板の加工性を向上させることができる。
【0013】
請求項6記載の液圧成形方法では、加圧した液状媒体で素材板を押圧する第1金型と、所定形状の成形用凹面を設けた第2金型とで素材板を挟持し、液状媒体を加圧して素材板を押圧することにより素材板を成形用凹面に当接させて所定形状の成形体を形成する液圧成形方法において、第2金型に設けた変形抵抗調整手段によって素材板の変形抵抗を局部的に異ならせることとした。したがって、第1金型と第2金型とによる素材板の成形にともなって、成形体には局部的に大きく変形させた構造を形成することができるので、形成可能な形状を多様化することができる。特に、通常では不可能であった複数部材の一体成形を可能とすることができる。
【0014】
請求項7記載の液圧成形方法では、請求項6記載の液圧成形方法において、変形抵抗調整手段で素材板を局部的に冷却することとした。したがって、変形抵抗調整手段と当接した部分の素材板の強度を向上させることができるので、その部分において周囲からの引っ張りに対する抵抗を向上させることができ、素材板に破断が生じることを防止できる。
【0015】
請求項8記載の液圧成形方法では、請求項6記載の液圧成形方法において、変形抵抗調整手段で素材板を局部的に加熱することとした。したがって、変形抵抗調整手段と当接した部分の素材板の延性を向上させることができるので、その部分において張出し性を向上させることができ、素材板に破断が生じることを防止できる。
【0016】
請求項9記載の液圧成形方法では、請求項6〜8のいずれか1項に記載の液圧成形方法において、変形抵抗調整手段を第2金型に対して前進または後退させることとした。したがって、素材板を成形用凹面に当接させて所定形状の成型を行う際に変形抵抗調整手段を前進または後退させることにより、変形抵抗調整手段をパンチとみなした仕上げ加工を行うことができるので、より複雑な形状の成形体を形成できる。
【0017】
請求項10記載の液圧成形方法では、請求項6〜9のいずれか1項に記載の液圧成形方法において、液状媒体を所定温度に加熱するとともに、第1金型及び第2金型もそれぞれ液状媒体と略同一の温度に加熱することとした。したがって、加熱にともなって素材板の成形限界を向上させることができるとともに、素材板の変形抵抗を全体的に略均一とする一方で変形抵抗調整手段による変形抵抗の異なる領域の形成を局部領域としやすくすることができるので、素材板の加工性を向上させることができる。
【0018】
請求項11記載の液圧成形方法では、請求項10記載の液圧成形方法において、液状媒体を150〜350℃に加熱することとした。したがって、素材板と第2金型との間に塗布する液体潤滑剤による素材板と第2金型との摩擦抵抗を低くすることができるので、素材板の加工性を向上させることができる。
【0019】
請求項12記載の液圧成形方法では、請求項6〜11のいずれか1項に記載の液圧成形方法において、素材板を第1金型と第2金型とで挟持する前に、素材板を予備加熱手段で加熱することとした。したがって、第1金型及び第2金型によって素材板を所定温度にまで加熱するのに要する時間を短縮することができるので、成形体の形成に要する実質的なタクト時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0020】
請求項13記載の液圧成形方法では、請求項6〜12のいずれか1項に記載の液圧成形方法において、素材板を第1金型と第2金型とで挟持押圧して形成した成形体を、同成形体と重合する重合面を設けた支持台に載置して剪断成形する場合に、支持台で成形体を冷却することとした。したがって、成形体の形成にともなって加熱された成形体を効率よく冷却することができ、剪断成形にともなうバリの生起を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にかかる液圧成形装置の概略説明図である。
【図2】アルミニウム合金の伸びの温度依存性を示したグラフである。
【図3】アルミニウム合金の耐力の温度依存性を示したグラフである。
【図4】アルミニウム合金の引張り強さの温度依存性を示したグラフである。
【図5】液圧成形装置による素材板の成形工程を説明する説明図である。
【図6】液圧成形装置による素材板の成形工程を説明する説明図である。
【図7】液圧成形装置による素材板の成形工程を説明する説明図である。
【図8】液圧成形装置による素材板の成形工程を説明する説明図である。
【図9】液圧成形装置による素材板の成形工程を説明する説明図である。
【図10】成形体のトリミング工程を説明する説明図である。
【図11】成形体のトリミング工程を説明する説明図である。
【図12】予備加熱装置の概略模式図である。
【図13】予備加熱工程を説明する説明図である。
【図14】予備加熱工程を説明する説明図である。
【図15】予備加熱工程を説明する説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の液圧成形装置及び液圧成形方法は、第1金型と第2金型とで素材板を挟持して所望の形状を形成するものであり、第2金型には所望の形状を形成するための所定形状の成形用凹面を設けるとともに、第1金型には液状媒体を収容し、この液状媒体を加圧することにより液状媒体で素材板を成形用凹面に向けて押圧し、素材板を成形用凹面に当接させることによって所定形状の成形体を形成するものである。
【0023】
特に、第2金型には素材板の変形抵抗を局部的に異ならせる変形抵抗調整手段を設けており、第1金型と第2金型とによって素材板を液状媒体で絞り加工する一方で、絞り加工されている素材板の一部の変形抵抗を変形抵抗調整手段によって局部的に調整して所望の形状の形成を可能としているものである。
【0024】
このような変形抵抗調整手段を設けたことによって、形成可能な形状を多様化することができ、特に、通常では不可能であった複数部材の一体成形を可能とすることができる。
【0025】
すなわち、第1金型と第2金型とによって素材板の絞り加工を行いながら、変形抵抗調整手段によって素材板の変形抵抗を局部的に調整してバルジ加工あるいは張り出し加工を複合的に行うことができるので、変形量が大きく、かつ複雑な形状の成形体を形成することができる。
【0026】
以下において図面に基づいて本発明の実施形態を詳説する。図1は、本実施形態の液圧成形装置Aの要部概略図である。
【0027】
液圧成形装置Aは、金属板からなる素材板1を挟持する第1金型10と第2金型20とを有しており、本実施形態では、第2金型20の上方位置に第1金型10を昇降自在に位置させて、第1金型10を昇降操作することにより素材板1を第1金型10と第2金型20とで挟持するようにしている。
【0028】
第1金型10には、液状媒体2を収容するための液状媒体収容空間11を形成しており、この液状媒体収容空間11を第1金型10の下面に張設したダイアフラム12で閉塞している。また、液状媒体収容空間11は、供給配管13を介して図示しない供給ポンプと連通連結し、この供給ポンプによって液状媒体2を液状媒体収容空間11に加圧しながら供給可能としている。液状媒体収容空間11に液状媒体2を送給することによってダイアフラム12は後述するように下方に向けて膨出して素材板1を押圧するようにしている。
【0029】
さらに、第1金型10には図示しない加熱ヒータを装着し、第1金型10を所定温度に加熱可能としており、液状媒体2も図示しない加熱ヒータによって所定温度に加熱可能としている。加熱ヒータによって液状媒体2が所定温度となることによって、素材板1と重合するダイアフラム12の温度も液状媒体2と略等しくなるようにしている。
【0030】
第2金型20には、第1金型10と重合する上面に所要形状の成形用凹面21を形成している。
【0031】
特に、成形用凹面21の所要の位置には、局部冷却体22と局部加熱体23とを設けている。本実施形態では、説明の便宜上、第2金型20に局部冷却体22と局部加熱体23とをそれぞれ1つずつ設けているが、必要に応じて局部冷却体22だけであってもよいし、局部加熱体23だけであってもよく、それぞれ複数設けてもよい。
【0032】
局部冷却体22が局部冷却手段であって、素材板1を局部的に冷却することによって冷却した領域の変形抵抗を大きくする変形抵抗調整手段である。また、局部加熱体23が局部加熱手段であって、素材板1を局部的に加熱することによって加熱した領域の変形抵抗を小さくする変形抵抗調整手段である。
【0033】
第2金型20には図示しない加熱ヒータを装着し、第2金型20を所定温度に加熱可能としており、局部冷却体22では第2金型20よりも低い温度となるようにし、局部加熱体23では第2金型20よりも高い温度となるようにしている。具体的には、局部冷却体22の内部には冷却水を導入して冷却しており、局部加熱体23の内部には図示しない加熱ヒータを装着して加熱している。
【0034】
局部冷却体22と第2金型20との間、及び局部加熱体23と第2金型20との間にはそれぞれ図示しない断熱材を設けて、局部冷却体22及び局部加熱体23が所定温度を維持できるようにしている。
【0035】
特に、図1に示すように、局部冷却体22は、成形用凹面21において上方に向けて凸状となる領域、すなわち、周囲よりも先に素材板1と当接する領域に設け、局部加熱体23は、成形用凹面21において下方に向けて凹状となる領域、すなわち、周囲よりも後に素材板1と当接する領域に設けている。このように局部冷却体22及び局部加熱体23を設けることによって、素材板1の張り出し加工あるいはバルジ加工を効果的に行うことができる。
【0036】
さらに、局部冷却体22及び/または局部加熱体23は第2金型20に対して進退自在としている。局部冷却体22及び/または局部加熱体23を進退自在とすることにより、局部冷却体22及び/または局部加熱体23をパンチとすることができるので、素材板1の張り出し加工あるいはバルジ加工をより効果的に行うことができる。
【0037】
上記した第1金型10と第2金型20は上下を逆転させて配置してもよく、その場合第1金型10には必ずしもダイアフラム12を設ける必要はない。
【0038】
以下において、このように形成した液圧成形装置Aによる素材板1の成形について説明する。
【0039】
ここで、素材板1はアルミニウム合金からなる金属板としている。図2〜4には、5種類のアルミニウム合金(A1100−O,A3003−O,A5083−O,A6061−T6,A6063−T5)の伸び、耐力、引張り強さの温度依存データを示しており、150℃以上に加熱することによって伸びが向上するとともに、耐力及び引張り強さが低下して、絞り加工が可能であることから、素材板1を150℃以上に加熱することが望ましい。
【0040】
ただし、350℃以上に加熱しても素材板1の絞り加工は可能であるが、金属板からなる素材板1の金属結晶の粗大化が生じて硬度の低下が生じやすくなるとともに、素材板1と第2金型20との間に塗布する液体潤滑剤(図示せず)の選定が困難となるために現実的ではなく、素材板1の加熱は150〜350℃が望ましい。この温度範囲の加熱であれば、金属結晶の粗大化を抑制することができ、超塑性金属等のような微細な金属結晶を有する素材板1に対しても本発明の液圧成形装置Aを用いることができる。しかも、液体潤滑剤による素材板1と第2金型20との摩擦抵抗を低くすることができるので、素材板の加工性を向上させることができる。
【0041】
このことから、本実施形態では、液状媒体2は200〜300℃程度に加熱して、第1金型10及び第2金型20もそれぞれ液状媒体と同様に200〜300℃程度に加熱している。液状媒体2、第1金型10、第2金型20をそれぞれ略同等な温度に加熱することにより、素材板1を全体的に均一に加熱して、素材板1の変形抵抗を全体的に略均一とするようにしている。
【0042】
さらに、第2金型20に設けた局部冷却体22は、第2金型20よりも50℃程度温度が低くなるように調整している。一方、第2金型20に設けた局部加熱体23は、第2金型20よりも50℃程度温度が高くなるように調整している。なお、局部冷却体22及び局部加熱体23の第2金型20との温度差は50℃程度に限定するものではなく、さらに大きくてもよいし、小さくてもよく、素材板1の素材に合わせた温度としてよい。
【0043】
本実施形態では、素材板1をアルミニウム合金からなる金属板として説明しているが、素材板1はアルミニウム合金に限定するものではなく、適宜の金属板に対して適用することができる。本実施形態では、通常、破断限界歪みが小さいことによって従来の成形装置では十分な成形を行うことができなかったアルミニウム合金にも適用可能であることを明確に示すために、素材板1をアルミニウム合金からなる金属板として説明しているものである。
【0044】
図5に示すように、液圧成形装置Aでは所定温度に加熱した第1金型10と第2金型20とによって素材板1をクランプし、ダイアフラム12を素材板1に重合させて素材板1を200〜300℃程度に加熱している。アルミニウム合金からなる素材板1は熱伝導率が比較的高いために、極めて短時間で所要の温度に加熱することができる。
【0045】
そして、素材板1が所定温度に達するのに十分な時間が経過した後に、供給ポンプによって液状媒体2を液状媒体収容空間11に送給して、図6に示すようにダイアフラム12によって素材板1を押下する。このとき、素材板1の周縁部分は、第1金型10と第2金型20とによって加熱されながら挟持されていることにより、素材板1に皺が形成されることを抑止できる。
【0046】
ダイアフラム12による素材板1の押下にともなって、図6に示すように、素材板1の一部が第2金型20の局部冷却体22と当接すると、当接部分の素材板1は局部冷却体22によって冷却されることにより強度が向上して変形抵抗が大きくなる。
【0047】
したがって、この局部冷却体22と当接した素材板1の部分は、周囲からの引っ張りに対する抵抗を向上させることができるので、素材板1に破断が生じることを防止できる。
【0048】
このように、引っ張りに対する抵抗を向上させる部分を、成形用凹面21の上方に向けて凸状となる領域に設けていることにより、素材板1に破断を生じさせることなく素材板1に凸形状、または逆さに見た場合の凹形状を形成することができる。
【0049】
液圧成形装置Aは、さらに供給ポンプによって液状媒体収容空間11内に液状媒体2を圧送することにより、素材板1はダイアフラム12によってさらに押下され、図7に示すように、局部冷却体22以外の部分においても素材板1が成形用凹面21と当接する。
【0050】
このとき、成形用凹面21に設けた微小な凹形状領域21aの部分では素材板1の当接は生じず、液状媒体収容空間11内へのさらなる液状媒体2の圧送が必要である。
【0051】
この凹形状領域21aは上記したように局部加熱体23としているので、凹形状領域21aの外周縁と当接した素材板1は局部加熱体23による加熱にともなって延性が向上することにより変形抵抗が低下し、張出し性が向上することによって、図8に示すように、素材板1に破断を生じさせることなく比較的容易に素材板1を凹形状領域21aの成形用凹面21に当接させて所要の凹形状、または逆さに見た場合の凸形状を形成することができる。
【0052】
さらに、このように素材板1を成形用凹面21に当接させた状態で、局部冷却体22及び/または局部加熱体23は第2金型20に対して前進または後退させることにより、局部冷却体22及び/または局部加熱体23をパンチとして、素材板1の張り出し加工あるいはバルジ加工をより効果的に行うことができる。
【0053】
なお、素材板1の成形が完了したかどうかは、液状媒体収容空間11への送給にともなって加圧された液状媒体2の圧力及び送給総流量で判定している。
【0054】
素材板1の成形が完了すると、液状媒体収容空間11内の液状媒体2への加圧を解除して、第1金型10を上昇させて、図9に示すように所要の成形体1’となった素材板1を取り出している。
【0055】
通常、上記したように成形加工された成形体1’には外周縁部分にブランクが残存しているため、液圧成形装置Aによる所定形状への成形加工後、図10に概略的に示した剪断装置Bを用いてブランクの剪断除去によるトリミングを行って完全な成形体1’を形成している。
【0056】
特に、本実施形態の剪断装置Bでは、成形体1’を載置する支持台30の上面を成形体1’と重合する凹状の重合面31として、成形体1’を安定的に支持可能としている。しかも、支持台30には適宜の冷却機構を設けて、成形体1’を支持台30に載置した場合に、支持台30によって成形体1’を冷却している。
【0057】
したがって、液圧成形装置Aにおいて加熱された成形体1’を効率よく冷却することができ、成形体1’の延性を低下させて、図11に示すように、剪断用パンチ32によってトリミングを行うことができるので、バリの生起を抑制できる。図10及び図11中、33はブランクを支持するブランク支持台であり、34は剪断用パンチ32のガイド体である。ブランク支持台33は、剪断用パンチ32の動作に追従して昇降するようにしている。
【0058】
支持台30を冷却する冷却機構としては、支持台30に冷却水を導入し、成形体1’を冷却できればよい。
【0059】
上記した液圧成形装置Aで素材板1の成形を行う場合に、液圧成形装置Aのダイアフラム12、第1金型10、第2金型20による素材板1の加熱温度が高い場合には、図12に示す予備加熱装置Cを用いて素材板1をあらかじめ所定温度に加熱してもよい。このとき、予備加熱装置Cでは、予備加熱装置Cから液圧成形装置Aへの搬送時における素材板1の自然冷却を考慮して、液圧成形装置Aによる素材板1の加熱温度よりも高い温度に加熱していることが望ましい。ここで、予備加熱装置Cが予備加熱手段である。
【0060】
予備加熱装置Cによって素材板1を所定温度に加熱していることによって、ダイアフラム12、第1金型10、第2金型20によって素材板1を所定温度にまで加熱するのに要する時間を短縮することができるので、成形体1’の形成に要する実質的なタクト時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0061】
本実施形態の予備加熱装置Cは、搬送時に撓みやすい大判の素材板1を取り扱うことができるように専用の搬送機構を設けているものであり、以下において予備加熱装置Cについて説明する。
【0062】
予備加熱装置Cは、図12に示すように、第1支持柱41と第2支持柱42との間に加熱部43を架設しているものであり、この加熱部43の上面に素材板1を載置して加熱するようにしているものである。
【0063】
さらに、加熱部43の上方位置には加熱部43上に載置した素材板1を加熱部43に押下して加熱効率を向上させる加圧板44を設けており、この加圧板44は第1支持柱41と第2支持柱42との上端間に架設した上部フレーム45に装着した昇降シリンダ46のロッド47の先端に装着して昇降自在としている。特に、加圧板44は、軟質の弾性材料で構成しており、素材板1の全面を加熱部43に略均等に押下するようにしている。
【0064】
加熱部43は、本実施形態では、図13〜15に示すように、ヒータ収容空間を設けた上部開口の箱形形状とした断熱シェル43aと、ヒータ収容空間内に設けた加熱ヒータ43bと、この加熱ヒータ43bによって加熱されるホットプレート43cとから構成している。
【0065】
第1支持柱41と第2支持柱42との間であって、加熱部43の上方には、棒状としたリフトアーム48を複数並設して素材板1の支持面を形成している。このリフトアーム48は図示しない昇降機構によって昇降させるようにしており、リフトアーム48を降下させた場合には、各リフトアーム48は、ホットプレート43cの上面に設けた挿入溝内に挿入されて、リフトアーム48の上面に載置された素材板1を、ホットプレート43cに載置可能としている。
【0066】
さらに、リフトアーム48に素材板1を送給する送給手段として、棒状としたリフトアーム48の伸延方向と略平行に伸延させた搬送アーム49を複数並設して支持面を構成した送給機構を設けている。各搬送アーム49は、隣り合った2本のリフトアーム48,48間に挿入可能としており、適宜の昇降機構及び水平移動機構とによって搬送アーム49からなる搬送機構を次のように動作させるようにしている。
【0067】
はじめに、図12に示すように搬送アーム49を初期位置に位置させておき、適宜の搬送手段で搬送してきた素材板1を搬送アーム49で形成した支持面の所定位置に載置する。
【0068】
次いで、図13に示すように、搬送アーム49を加熱部43の上方に移動させることにより、素材板1を加熱部43の上方に位置させる。このとき、搬送アーム49はリフトアーム48よりもそれぞれ高く位置させておくことによって、リフトアーム48が障害となることなく素材板1を加熱部43の上方に位置させている。
【0069】
次いで、図14に示すように、搬送アーム49を降下させることにより素材板1を搬送アーム49からリフトアーム48上に載置する。このとき、搬送アーム49を降下させるのではなく、リフトアーム48を上昇させることによって素材板1をリフトアーム48上に載置してもよい。
【0070】
素材板1をリフトアーム48に載置した後、図15に示すように、搬送アーム49を平行移動させることにより同搬送アーム49を加熱部43の上方領域から退避させ、リフトアーム48を降下させることにより素材板1をホットプレート43cに載置している。そして、加圧板44を降下させて同加圧板44で素材板1を押下することにより、素材板1を加熱部43で加熱している。
【0071】
加熱部43で素材板1を所定温度に加熱した後は、上記した動作とは逆の動作を行うことにより、素材板1を取出している。加熱部43から取出した素材板1は、適宜の搬送手段によって液圧成形装置Aに搬送している。
【産業上の利用可能性】
【0072】
大面積の金属板を液圧成形により所定形状に成形する場合に、より多様性のある形状の成形を可能とすることができ、特に、複数部材の一体成形を可能とすることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の素材板を所定形状に押圧加工する液圧成形装置及び液圧成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属板等の板材からなる素材板を所定形状に成形する成形方法の一つとして、金型を用いて素材板をプレスするプレス加工が行われている。
【0003】
このようなプレス加工の一つとして、特開平6−304672号公報のような液圧成形装置が用いられている。
【0004】
この液圧成形装置では、第1の金型には素材板を押圧するための液状媒体を高圧力状態として供給可能とし、第2の金型には素材板と当接する当接面に所定形状の成形用凹面を設け、第1の金型と第2の金型とで素材板を挟持して、第1の金型に液状媒体を注入することにより液状媒体で素材板を成形用凹面側に押圧して当接させ、所定形状の成形体を形成している。
【0005】
しかしながら、このような液圧成形装置では大きな変形量を与えることができるものの、大きな変形量を与えるためには素材板を全体的に均質に歪ませる必要があり、成形可能な形状に限りがあるという問題があった。
【0006】
特に、昨今、軽量化を目的としてアルミニウム合金の利用が図られているが、アルミニウム合金は破断限界歪みが小さいために上記した液圧成形装置を用いても十分な成形性を得ることが困難であった。
【0007】
本発明者らはこのような現状に鑑み、成形性をさらに向上させた液圧成形装置を開発すべく研究を行い、本発明を成すに至ったものである。
【発明の開示】
【0008】
請求項1記載の液圧成形装置では、加圧した液状媒体で素材板を押圧する第1金型と、所定形状の成形用凹面を設けた第2金型とで素材板を挟持し、液状媒体で素材板を押圧して素材板を成形用凹面に当接させることにより所定形状の成形体を形成する液圧成形装置において、第2金型には、素材板の変形抵抗を局部的に異ならせる変形抵抗調整手段を設けた。したがって、液圧成形装置による成形時に、成形体には局部的に大きく変形させた構造を形成することができ、形成可能な形状を多様化することができる。特に、通常では不可能であった複数部材の一体成形を可能とすることができる。
【0009】
請求項2記載の液圧成形装置では、請求項1記載の液圧成形装置において、素材板を局部的に冷却する局部冷却手段で変形抵抗調整手段を構成した。したがって、変形抵抗調整手段と当接した部分の素材板の強度を向上させることができるので、その部分において周囲からの引っ張りに対する抵抗を向上させることができ、素材板に破断が生じることを防止できる。
【0010】
請求項3記載の液圧成形装置では、請求項1記載の液圧成形装置において、素材板を局部的に加熱する局部加熱手段で変形抵抗調整手段を構成した。したがって、変形抵抗調整手段と当接した部分の素材板の延性を向上させることができるので、その部分において張出し性を向上させることができ、素材板に破断が生じることを防止できる。
【0011】
請求項4記載の液圧成形装置では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液圧成形装置において、変形抵抗調整手段を第2金型に対して進退自在とした。したがって、液圧成形装置による成形時に変形抵抗調整手段を進退させることにより、変形抵抗調整手段をパンチとみなしたバルジ加工による仕上げ加工を行うことができるので、より複雑な形状の成形体を形成することができる。
【0012】
請求項5記載の液圧成形装置では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液圧成形装置において、液状媒体を所定温度に加熱するとともに、第1金型及び第2金型もそれぞれ液状媒体と略同一の温度に加熱した。したがって、素材板を加熱して素材板の成形限界を向上させることができるとともに、素材板の変形抵抗を全体的に略均一とする一方で変形抵抗調整手段による変形抵抗の異なる領域の形成を局部領域としやすくすることができ、素材板の加工性を向上させることができる。
【0013】
請求項6記載の液圧成形方法では、加圧した液状媒体で素材板を押圧する第1金型と、所定形状の成形用凹面を設けた第2金型とで素材板を挟持し、液状媒体を加圧して素材板を押圧することにより素材板を成形用凹面に当接させて所定形状の成形体を形成する液圧成形方法において、第2金型に設けた変形抵抗調整手段によって素材板の変形抵抗を局部的に異ならせることとした。したがって、第1金型と第2金型とによる素材板の成形にともなって、成形体には局部的に大きく変形させた構造を形成することができるので、形成可能な形状を多様化することができる。特に、通常では不可能であった複数部材の一体成形を可能とすることができる。
【0014】
請求項7記載の液圧成形方法では、請求項6記載の液圧成形方法において、変形抵抗調整手段で素材板を局部的に冷却することとした。したがって、変形抵抗調整手段と当接した部分の素材板の強度を向上させることができるので、その部分において周囲からの引っ張りに対する抵抗を向上させることができ、素材板に破断が生じることを防止できる。
【0015】
請求項8記載の液圧成形方法では、請求項6記載の液圧成形方法において、変形抵抗調整手段で素材板を局部的に加熱することとした。したがって、変形抵抗調整手段と当接した部分の素材板の延性を向上させることができるので、その部分において張出し性を向上させることができ、素材板に破断が生じることを防止できる。
【0016】
請求項9記載の液圧成形方法では、請求項6〜8のいずれか1項に記載の液圧成形方法において、変形抵抗調整手段を第2金型に対して前進または後退させることとした。したがって、素材板を成形用凹面に当接させて所定形状の成型を行う際に変形抵抗調整手段を前進または後退させることにより、変形抵抗調整手段をパンチとみなした仕上げ加工を行うことができるので、より複雑な形状の成形体を形成できる。
【0017】
請求項10記載の液圧成形方法では、請求項6〜9のいずれか1項に記載の液圧成形方法において、液状媒体を所定温度に加熱するとともに、第1金型及び第2金型もそれぞれ液状媒体と略同一の温度に加熱することとした。したがって、加熱にともなって素材板の成形限界を向上させることができるとともに、素材板の変形抵抗を全体的に略均一とする一方で変形抵抗調整手段による変形抵抗の異なる領域の形成を局部領域としやすくすることができるので、素材板の加工性を向上させることができる。
【0018】
請求項11記載の液圧成形方法では、請求項10記載の液圧成形方法において、液状媒体を150〜350℃に加熱することとした。したがって、素材板と第2金型との間に塗布する液体潤滑剤による素材板と第2金型との摩擦抵抗を低くすることができるので、素材板の加工性を向上させることができる。
【0019】
請求項12記載の液圧成形方法では、請求項6〜11のいずれか1項に記載の液圧成形方法において、素材板を第1金型と第2金型とで挟持する前に、素材板を予備加熱手段で加熱することとした。したがって、第1金型及び第2金型によって素材板を所定温度にまで加熱するのに要する時間を短縮することができるので、成形体の形成に要する実質的なタクト時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0020】
請求項13記載の液圧成形方法では、請求項6〜12のいずれか1項に記載の液圧成形方法において、素材板を第1金型と第2金型とで挟持押圧して形成した成形体を、同成形体と重合する重合面を設けた支持台に載置して剪断成形する場合に、支持台で成形体を冷却することとした。したがって、成形体の形成にともなって加熱された成形体を効率よく冷却することができ、剪断成形にともなうバリの生起を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にかかる液圧成形装置の概略説明図である。
【図2】アルミニウム合金の伸びの温度依存性を示したグラフである。
【図3】アルミニウム合金の耐力の温度依存性を示したグラフである。
【図4】アルミニウム合金の引張り強さの温度依存性を示したグラフである。
【図5】液圧成形装置による素材板の成形工程を説明する説明図である。
【図6】液圧成形装置による素材板の成形工程を説明する説明図である。
【図7】液圧成形装置による素材板の成形工程を説明する説明図である。
【図8】液圧成形装置による素材板の成形工程を説明する説明図である。
【図9】液圧成形装置による素材板の成形工程を説明する説明図である。
【図10】成形体のトリミング工程を説明する説明図である。
【図11】成形体のトリミング工程を説明する説明図である。
【図12】予備加熱装置の概略模式図である。
【図13】予備加熱工程を説明する説明図である。
【図14】予備加熱工程を説明する説明図である。
【図15】予備加熱工程を説明する説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の液圧成形装置及び液圧成形方法は、第1金型と第2金型とで素材板を挟持して所望の形状を形成するものであり、第2金型には所望の形状を形成するための所定形状の成形用凹面を設けるとともに、第1金型には液状媒体を収容し、この液状媒体を加圧することにより液状媒体で素材板を成形用凹面に向けて押圧し、素材板を成形用凹面に当接させることによって所定形状の成形体を形成するものである。
【0023】
特に、第2金型には素材板の変形抵抗を局部的に異ならせる変形抵抗調整手段を設けており、第1金型と第2金型とによって素材板を液状媒体で絞り加工する一方で、絞り加工されている素材板の一部の変形抵抗を変形抵抗調整手段によって局部的に調整して所望の形状の形成を可能としているものである。
【0024】
このような変形抵抗調整手段を設けたことによって、形成可能な形状を多様化することができ、特に、通常では不可能であった複数部材の一体成形を可能とすることができる。
【0025】
すなわち、第1金型と第2金型とによって素材板の絞り加工を行いながら、変形抵抗調整手段によって素材板の変形抵抗を局部的に調整してバルジ加工あるいは張り出し加工を複合的に行うことができるので、変形量が大きく、かつ複雑な形状の成形体を形成することができる。
【0026】
以下において図面に基づいて本発明の実施形態を詳説する。図1は、本実施形態の液圧成形装置Aの要部概略図である。
【0027】
液圧成形装置Aは、金属板からなる素材板1を挟持する第1金型10と第2金型20とを有しており、本実施形態では、第2金型20の上方位置に第1金型10を昇降自在に位置させて、第1金型10を昇降操作することにより素材板1を第1金型10と第2金型20とで挟持するようにしている。
【0028】
第1金型10には、液状媒体2を収容するための液状媒体収容空間11を形成しており、この液状媒体収容空間11を第1金型10の下面に張設したダイアフラム12で閉塞している。また、液状媒体収容空間11は、供給配管13を介して図示しない供給ポンプと連通連結し、この供給ポンプによって液状媒体2を液状媒体収容空間11に加圧しながら供給可能としている。液状媒体収容空間11に液状媒体2を送給することによってダイアフラム12は後述するように下方に向けて膨出して素材板1を押圧するようにしている。
【0029】
さらに、第1金型10には図示しない加熱ヒータを装着し、第1金型10を所定温度に加熱可能としており、液状媒体2も図示しない加熱ヒータによって所定温度に加熱可能としている。加熱ヒータによって液状媒体2が所定温度となることによって、素材板1と重合するダイアフラム12の温度も液状媒体2と略等しくなるようにしている。
【0030】
第2金型20には、第1金型10と重合する上面に所要形状の成形用凹面21を形成している。
【0031】
特に、成形用凹面21の所要の位置には、局部冷却体22と局部加熱体23とを設けている。本実施形態では、説明の便宜上、第2金型20に局部冷却体22と局部加熱体23とをそれぞれ1つずつ設けているが、必要に応じて局部冷却体22だけであってもよいし、局部加熱体23だけであってもよく、それぞれ複数設けてもよい。
【0032】
局部冷却体22が局部冷却手段であって、素材板1を局部的に冷却することによって冷却した領域の変形抵抗を大きくする変形抵抗調整手段である。また、局部加熱体23が局部加熱手段であって、素材板1を局部的に加熱することによって加熱した領域の変形抵抗を小さくする変形抵抗調整手段である。
【0033】
第2金型20には図示しない加熱ヒータを装着し、第2金型20を所定温度に加熱可能としており、局部冷却体22では第2金型20よりも低い温度となるようにし、局部加熱体23では第2金型20よりも高い温度となるようにしている。具体的には、局部冷却体22の内部には冷却水を導入して冷却しており、局部加熱体23の内部には図示しない加熱ヒータを装着して加熱している。
【0034】
局部冷却体22と第2金型20との間、及び局部加熱体23と第2金型20との間にはそれぞれ図示しない断熱材を設けて、局部冷却体22及び局部加熱体23が所定温度を維持できるようにしている。
【0035】
特に、図1に示すように、局部冷却体22は、成形用凹面21において上方に向けて凸状となる領域、すなわち、周囲よりも先に素材板1と当接する領域に設け、局部加熱体23は、成形用凹面21において下方に向けて凹状となる領域、すなわち、周囲よりも後に素材板1と当接する領域に設けている。このように局部冷却体22及び局部加熱体23を設けることによって、素材板1の張り出し加工あるいはバルジ加工を効果的に行うことができる。
【0036】
さらに、局部冷却体22及び/または局部加熱体23は第2金型20に対して進退自在としている。局部冷却体22及び/または局部加熱体23を進退自在とすることにより、局部冷却体22及び/または局部加熱体23をパンチとすることができるので、素材板1の張り出し加工あるいはバルジ加工をより効果的に行うことができる。
【0037】
上記した第1金型10と第2金型20は上下を逆転させて配置してもよく、その場合第1金型10には必ずしもダイアフラム12を設ける必要はない。
【0038】
以下において、このように形成した液圧成形装置Aによる素材板1の成形について説明する。
【0039】
ここで、素材板1はアルミニウム合金からなる金属板としている。図2〜4には、5種類のアルミニウム合金(A1100−O,A3003−O,A5083−O,A6061−T6,A6063−T5)の伸び、耐力、引張り強さの温度依存データを示しており、150℃以上に加熱することによって伸びが向上するとともに、耐力及び引張り強さが低下して、絞り加工が可能であることから、素材板1を150℃以上に加熱することが望ましい。
【0040】
ただし、350℃以上に加熱しても素材板1の絞り加工は可能であるが、金属板からなる素材板1の金属結晶の粗大化が生じて硬度の低下が生じやすくなるとともに、素材板1と第2金型20との間に塗布する液体潤滑剤(図示せず)の選定が困難となるために現実的ではなく、素材板1の加熱は150〜350℃が望ましい。この温度範囲の加熱であれば、金属結晶の粗大化を抑制することができ、超塑性金属等のような微細な金属結晶を有する素材板1に対しても本発明の液圧成形装置Aを用いることができる。しかも、液体潤滑剤による素材板1と第2金型20との摩擦抵抗を低くすることができるので、素材板の加工性を向上させることができる。
【0041】
このことから、本実施形態では、液状媒体2は200〜300℃程度に加熱して、第1金型10及び第2金型20もそれぞれ液状媒体と同様に200〜300℃程度に加熱している。液状媒体2、第1金型10、第2金型20をそれぞれ略同等な温度に加熱することにより、素材板1を全体的に均一に加熱して、素材板1の変形抵抗を全体的に略均一とするようにしている。
【0042】
さらに、第2金型20に設けた局部冷却体22は、第2金型20よりも50℃程度温度が低くなるように調整している。一方、第2金型20に設けた局部加熱体23は、第2金型20よりも50℃程度温度が高くなるように調整している。なお、局部冷却体22及び局部加熱体23の第2金型20との温度差は50℃程度に限定するものではなく、さらに大きくてもよいし、小さくてもよく、素材板1の素材に合わせた温度としてよい。
【0043】
本実施形態では、素材板1をアルミニウム合金からなる金属板として説明しているが、素材板1はアルミニウム合金に限定するものではなく、適宜の金属板に対して適用することができる。本実施形態では、通常、破断限界歪みが小さいことによって従来の成形装置では十分な成形を行うことができなかったアルミニウム合金にも適用可能であることを明確に示すために、素材板1をアルミニウム合金からなる金属板として説明しているものである。
【0044】
図5に示すように、液圧成形装置Aでは所定温度に加熱した第1金型10と第2金型20とによって素材板1をクランプし、ダイアフラム12を素材板1に重合させて素材板1を200〜300℃程度に加熱している。アルミニウム合金からなる素材板1は熱伝導率が比較的高いために、極めて短時間で所要の温度に加熱することができる。
【0045】
そして、素材板1が所定温度に達するのに十分な時間が経過した後に、供給ポンプによって液状媒体2を液状媒体収容空間11に送給して、図6に示すようにダイアフラム12によって素材板1を押下する。このとき、素材板1の周縁部分は、第1金型10と第2金型20とによって加熱されながら挟持されていることにより、素材板1に皺が形成されることを抑止できる。
【0046】
ダイアフラム12による素材板1の押下にともなって、図6に示すように、素材板1の一部が第2金型20の局部冷却体22と当接すると、当接部分の素材板1は局部冷却体22によって冷却されることにより強度が向上して変形抵抗が大きくなる。
【0047】
したがって、この局部冷却体22と当接した素材板1の部分は、周囲からの引っ張りに対する抵抗を向上させることができるので、素材板1に破断が生じることを防止できる。
【0048】
このように、引っ張りに対する抵抗を向上させる部分を、成形用凹面21の上方に向けて凸状となる領域に設けていることにより、素材板1に破断を生じさせることなく素材板1に凸形状、または逆さに見た場合の凹形状を形成することができる。
【0049】
液圧成形装置Aは、さらに供給ポンプによって液状媒体収容空間11内に液状媒体2を圧送することにより、素材板1はダイアフラム12によってさらに押下され、図7に示すように、局部冷却体22以外の部分においても素材板1が成形用凹面21と当接する。
【0050】
このとき、成形用凹面21に設けた微小な凹形状領域21aの部分では素材板1の当接は生じず、液状媒体収容空間11内へのさらなる液状媒体2の圧送が必要である。
【0051】
この凹形状領域21aは上記したように局部加熱体23としているので、凹形状領域21aの外周縁と当接した素材板1は局部加熱体23による加熱にともなって延性が向上することにより変形抵抗が低下し、張出し性が向上することによって、図8に示すように、素材板1に破断を生じさせることなく比較的容易に素材板1を凹形状領域21aの成形用凹面21に当接させて所要の凹形状、または逆さに見た場合の凸形状を形成することができる。
【0052】
さらに、このように素材板1を成形用凹面21に当接させた状態で、局部冷却体22及び/または局部加熱体23は第2金型20に対して前進または後退させることにより、局部冷却体22及び/または局部加熱体23をパンチとして、素材板1の張り出し加工あるいはバルジ加工をより効果的に行うことができる。
【0053】
なお、素材板1の成形が完了したかどうかは、液状媒体収容空間11への送給にともなって加圧された液状媒体2の圧力及び送給総流量で判定している。
【0054】
素材板1の成形が完了すると、液状媒体収容空間11内の液状媒体2への加圧を解除して、第1金型10を上昇させて、図9に示すように所要の成形体1’となった素材板1を取り出している。
【0055】
通常、上記したように成形加工された成形体1’には外周縁部分にブランクが残存しているため、液圧成形装置Aによる所定形状への成形加工後、図10に概略的に示した剪断装置Bを用いてブランクの剪断除去によるトリミングを行って完全な成形体1’を形成している。
【0056】
特に、本実施形態の剪断装置Bでは、成形体1’を載置する支持台30の上面を成形体1’と重合する凹状の重合面31として、成形体1’を安定的に支持可能としている。しかも、支持台30には適宜の冷却機構を設けて、成形体1’を支持台30に載置した場合に、支持台30によって成形体1’を冷却している。
【0057】
したがって、液圧成形装置Aにおいて加熱された成形体1’を効率よく冷却することができ、成形体1’の延性を低下させて、図11に示すように、剪断用パンチ32によってトリミングを行うことができるので、バリの生起を抑制できる。図10及び図11中、33はブランクを支持するブランク支持台であり、34は剪断用パンチ32のガイド体である。ブランク支持台33は、剪断用パンチ32の動作に追従して昇降するようにしている。
【0058】
支持台30を冷却する冷却機構としては、支持台30に冷却水を導入し、成形体1’を冷却できればよい。
【0059】
上記した液圧成形装置Aで素材板1の成形を行う場合に、液圧成形装置Aのダイアフラム12、第1金型10、第2金型20による素材板1の加熱温度が高い場合には、図12に示す予備加熱装置Cを用いて素材板1をあらかじめ所定温度に加熱してもよい。このとき、予備加熱装置Cでは、予備加熱装置Cから液圧成形装置Aへの搬送時における素材板1の自然冷却を考慮して、液圧成形装置Aによる素材板1の加熱温度よりも高い温度に加熱していることが望ましい。ここで、予備加熱装置Cが予備加熱手段である。
【0060】
予備加熱装置Cによって素材板1を所定温度に加熱していることによって、ダイアフラム12、第1金型10、第2金型20によって素材板1を所定温度にまで加熱するのに要する時間を短縮することができるので、成形体1’の形成に要する実質的なタクト時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0061】
本実施形態の予備加熱装置Cは、搬送時に撓みやすい大判の素材板1を取り扱うことができるように専用の搬送機構を設けているものであり、以下において予備加熱装置Cについて説明する。
【0062】
予備加熱装置Cは、図12に示すように、第1支持柱41と第2支持柱42との間に加熱部43を架設しているものであり、この加熱部43の上面に素材板1を載置して加熱するようにしているものである。
【0063】
さらに、加熱部43の上方位置には加熱部43上に載置した素材板1を加熱部43に押下して加熱効率を向上させる加圧板44を設けており、この加圧板44は第1支持柱41と第2支持柱42との上端間に架設した上部フレーム45に装着した昇降シリンダ46のロッド47の先端に装着して昇降自在としている。特に、加圧板44は、軟質の弾性材料で構成しており、素材板1の全面を加熱部43に略均等に押下するようにしている。
【0064】
加熱部43は、本実施形態では、図13〜15に示すように、ヒータ収容空間を設けた上部開口の箱形形状とした断熱シェル43aと、ヒータ収容空間内に設けた加熱ヒータ43bと、この加熱ヒータ43bによって加熱されるホットプレート43cとから構成している。
【0065】
第1支持柱41と第2支持柱42との間であって、加熱部43の上方には、棒状としたリフトアーム48を複数並設して素材板1の支持面を形成している。このリフトアーム48は図示しない昇降機構によって昇降させるようにしており、リフトアーム48を降下させた場合には、各リフトアーム48は、ホットプレート43cの上面に設けた挿入溝内に挿入されて、リフトアーム48の上面に載置された素材板1を、ホットプレート43cに載置可能としている。
【0066】
さらに、リフトアーム48に素材板1を送給する送給手段として、棒状としたリフトアーム48の伸延方向と略平行に伸延させた搬送アーム49を複数並設して支持面を構成した送給機構を設けている。各搬送アーム49は、隣り合った2本のリフトアーム48,48間に挿入可能としており、適宜の昇降機構及び水平移動機構とによって搬送アーム49からなる搬送機構を次のように動作させるようにしている。
【0067】
はじめに、図12に示すように搬送アーム49を初期位置に位置させておき、適宜の搬送手段で搬送してきた素材板1を搬送アーム49で形成した支持面の所定位置に載置する。
【0068】
次いで、図13に示すように、搬送アーム49を加熱部43の上方に移動させることにより、素材板1を加熱部43の上方に位置させる。このとき、搬送アーム49はリフトアーム48よりもそれぞれ高く位置させておくことによって、リフトアーム48が障害となることなく素材板1を加熱部43の上方に位置させている。
【0069】
次いで、図14に示すように、搬送アーム49を降下させることにより素材板1を搬送アーム49からリフトアーム48上に載置する。このとき、搬送アーム49を降下させるのではなく、リフトアーム48を上昇させることによって素材板1をリフトアーム48上に載置してもよい。
【0070】
素材板1をリフトアーム48に載置した後、図15に示すように、搬送アーム49を平行移動させることにより同搬送アーム49を加熱部43の上方領域から退避させ、リフトアーム48を降下させることにより素材板1をホットプレート43cに載置している。そして、加圧板44を降下させて同加圧板44で素材板1を押下することにより、素材板1を加熱部43で加熱している。
【0071】
加熱部43で素材板1を所定温度に加熱した後は、上記した動作とは逆の動作を行うことにより、素材板1を取出している。加熱部43から取出した素材板1は、適宜の搬送手段によって液圧成形装置Aに搬送している。
【産業上の利用可能性】
【0072】
大面積の金属板を液圧成形により所定形状に成形する場合に、より多様性のある形状の成形を可能とすることができ、特に、複数部材の一体成形を可能とすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧した液状媒体で素材板を押圧する第1金型と、所定形状の成形用凹面を設けた第2金型とで前記素材板を挟持し、前記液状媒体で前記素材板を押圧して前記素材板を前記成形用凹面に当接させることにより所定形状の成形体を形成する液圧成形装置において、
前記第2金型には、前記素材板の変形抵抗を局部的に異ならせる変形抵抗調整手段を設けたことを特徴とする液圧成形装置。
【請求項2】
前記変形抵抗調整手段は、前記素材板を局部的に冷却する局部冷却手段であることを特徴とする請求項1記載の液圧成形装置。
【請求項3】
前記変形抵抗調整手段は、前記素材板を局部的に加熱する局部加熱手段であることを特徴とする請求項1記載の液圧成形装置。
【請求項4】
前記変形抵抗調整手段は、前記第2金型に対して進退自在としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液圧成形装置。
【請求項5】
前記液状媒体は所定温度に加熱するとともに、前記第1金型及び前記第2金型もそれぞれ前記液状媒体と略同一の温度に加熱したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液圧成形装置。
【請求項6】
加圧した液状媒体で素材板を押圧する第1金型と、所定形状の成形用凹面を設けた第2金型とで前記素材板を挟持し、前記液状媒体を加圧して前記素材板を押圧することにより前記素材板を前記成形用凹面に当接させて所定形状の成形体を形成する液圧成形方法において、
前記第2金型に設けた変形抵抗調整手段によって前記素材板の変形抵抗を局部的に異ならせていることを特徴とする液圧成形方法。
【請求項7】
前記変形抵抗調整手段では、前記素材板を局部的に冷却していることを特徴とする請求項6記載の液圧成形方法。
【請求項8】
前記変形抵抗調整手段では、前記素材板を局部的に加熱していることを特徴とする請求項6記載の液圧成形方法。
【請求項9】
前記変形抵抗調整手段は、前記第2金型に対して前進または後退させることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の液圧成形方法。
【請求項10】
前記液状媒体は所定温度に加熱するとともに、前記第1金型及び前記第2金型もそれぞれ前記液状媒体と略同一の温度に加熱していることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の液圧成形方法。
【請求項11】
前記液状媒体は150〜350℃に加熱していることを特徴とする請求項10記載の液圧成形方法。
【請求項12】
前記素材板は、前記第1金型と前記第2金型とで挟持する前に、予備加熱手段で加熱していることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載の液圧成形方法。
【請求項13】
前記素材板を前記第1金型と前記第2金型とで挟持押圧して形成した成形体を、同成形体と重合する重合面を設けた支持台に載置して剪断成形する場合に、前記支持台で前記成形体を冷却することを特徴とする請求項6〜12に記載の液圧成形方法。
【請求項1】
加圧した液状媒体で素材板を押圧する第1金型と、所定形状の成形用凹面を設けた第2金型とで前記素材板を挟持し、前記液状媒体で前記素材板を押圧して前記素材板を前記成形用凹面に当接させることにより所定形状の成形体を形成する液圧成形装置において、
前記第2金型には、前記素材板の変形抵抗を局部的に異ならせる変形抵抗調整手段を設けたことを特徴とする液圧成形装置。
【請求項2】
前記変形抵抗調整手段は、前記素材板を局部的に冷却する局部冷却手段であることを特徴とする請求項1記載の液圧成形装置。
【請求項3】
前記変形抵抗調整手段は、前記素材板を局部的に加熱する局部加熱手段であることを特徴とする請求項1記載の液圧成形装置。
【請求項4】
前記変形抵抗調整手段は、前記第2金型に対して進退自在としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液圧成形装置。
【請求項5】
前記液状媒体は所定温度に加熱するとともに、前記第1金型及び前記第2金型もそれぞれ前記液状媒体と略同一の温度に加熱したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液圧成形装置。
【請求項6】
加圧した液状媒体で素材板を押圧する第1金型と、所定形状の成形用凹面を設けた第2金型とで前記素材板を挟持し、前記液状媒体を加圧して前記素材板を押圧することにより前記素材板を前記成形用凹面に当接させて所定形状の成形体を形成する液圧成形方法において、
前記第2金型に設けた変形抵抗調整手段によって前記素材板の変形抵抗を局部的に異ならせていることを特徴とする液圧成形方法。
【請求項7】
前記変形抵抗調整手段では、前記素材板を局部的に冷却していることを特徴とする請求項6記載の液圧成形方法。
【請求項8】
前記変形抵抗調整手段では、前記素材板を局部的に加熱していることを特徴とする請求項6記載の液圧成形方法。
【請求項9】
前記変形抵抗調整手段は、前記第2金型に対して前進または後退させることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の液圧成形方法。
【請求項10】
前記液状媒体は所定温度に加熱するとともに、前記第1金型及び前記第2金型もそれぞれ前記液状媒体と略同一の温度に加熱していることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の液圧成形方法。
【請求項11】
前記液状媒体は150〜350℃に加熱していることを特徴とする請求項10記載の液圧成形方法。
【請求項12】
前記素材板は、前記第1金型と前記第2金型とで挟持する前に、予備加熱手段で加熱していることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載の液圧成形方法。
【請求項13】
前記素材板を前記第1金型と前記第2金型とで挟持押圧して形成した成形体を、同成形体と重合する重合面を設けた支持台に載置して剪断成形する場合に、前記支持台で前記成形体を冷却することを特徴とする請求項6〜12に記載の液圧成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【国際公開番号】WO2005/021178
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【発行日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513490(P2005−513490)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012408
【国際出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(506253067)有限会社リナシメタリ (8)
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【発行日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/012408
【国際出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(506253067)有限会社リナシメタリ (8)
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