説明

液循環装置、及び、測定装置

【課題】供給される液体の濃度変化を抑制することの可能な液循環装置、及び、この液循環装置を備えた測定装置を提供する。
【解決手段】バッファー液循環装置71は、ボトル72、バッファタンク74、ポンプ75、供給路76、及び、返還路77を備えている。ボトル72とバッファタンク74は、供給路76及び返還路77と各々連結され、返還路77にポンプ75が接続されている。供給路76及び返還路77は、バッファー液の流路となるチューブで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路中の液体を置換するための液循環装置、及び、この液循環装置を備えた測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、固定されたリガンドを流路中に露出させ、流路にアナライトを供給してリガンドとアナライトとの相互作用を測定する測定装置が知られている(特許文献1参照)。このような測定装置で測定を行う場合、所定の濃度に調整された緩衝液が大量に使用される場合がある。
【0003】
緩衝液をピペットなどのアクセス部材を用いて自動的に供給する場合、ピペットなどがアクセス可能とされた容器に緩衝液を貯留しておく必要がある。また、緩衝液の濃度を一定に保つ必要もある。しかしながら、アクセス口が形成された容器に緩衝液を貯留しておくと、蒸発等により濃度が変化してしまう。
【特許文献1】特許3294605号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、供給される液体の濃度変化を抑制することの可能な液循環装置、及び、この液循環装置を備えた測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の液循環装置は、液体が貯留され内部が密閉される液体ボトルと、アクセス部材によるアクセスを可能とされたアクセス口が構成された液体タンクと、前記液体ボトル及び前記液体タンクと連結され、前記液体ボトルから前記液体タンクへ前記液体を送液する供給送液路と、前記液体ボトル及び前記液体タンクと連結され、前記液体タンクから前記液体ボトルへ前記液体を送液する返還送液路と、前記供給送液路または前記返還送液路のいずれか一方に接続され、前記液体を送液する送液ポンプと、を備え、前記液体ボトル、前記液体タンク、前記供給送液路、及び、前記返還送液路、を含む液循環経路内で液体を循環させるものである。
【0006】
上記構成によれば、また、液体タンク内に液体が滞留せず、液体ボトルとの間で循環されているので、液体タンク内の液体の濃度変化を抑制することができる。
【0007】
また、液体ボトル内が密閉されるので、送液ポンプを1個使用することで、液循環経路内で液体を循環させることができる。
【0008】
本発明の請求項2の液循環装置は、前記液体タンクが、前記アクセス部材による非アクセス時に前記アクセス口を閉鎖する閉鎖蓋を備えていること、を特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、アクセス部材による非アクセス時には、液体タンクのアクセス口が閉鎖蓋によって閉鎖されるので、安定して液循環経路内で液体を循環させることができる。
【0010】
なお、閉鎖蓋としては、例えば、アクセス口にスリットの入った弾性シートなどを用いることができる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の液循環装置は、前記液体タンクの流路内で前記アクセス口よりも前記返還送液路との連結側に配置され、前記液体タンク内の液体を堰き止める堰部材、をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
ここでの堰部材は、液体タンク内の液体が所定の高さに達するまで下流側へ流出することを防ぐものである。このように、堰部材を設けることにより、液体タンクの流路内での液面の高さをほぼリブ堰の高さと同レベルにして一定に保つことができる。
【0013】
本発明の請求項4に記載の液循環装置は、前記液体ボトルが、前記液体ボトル内を密閉するボトルキャップを備え、前記ボトルキャップが、前記供給送液路と連結される供給接続口及び前記返還送液路と連結される返還接続口を有すると共に、前記液体ボトルへ着脱可能とされていること、を特徴とする。
【0014】
このようなボトルキャップを備えることにより、供給送液路及び返還送液路と連結された状態でボトルキャップを取り外すことにより、容易に液体ボトルの交換を行うことができる。
【0015】
本発明の請求項4に記載の液循環装置は、前記ボトルキャップが、前記供給接続口、前記返還接続口、及び、前記液体ボトルとの間をシーリングするシーリング部材を備えた内側部材と、環状とされ内側に前記内側部材が係合され前記液体ボトルと螺合により締結される外側部材と、を含んで構成されていること、を特徴とする。
【0016】
上記構成のボトルキャップとすることにより、容易に液体ボトルの交換を行うことができる。
【0017】
本発明の請求項5に記載の測定装置は、測定チップに固定された被検査対象物質へ検査対象物質を供給して両者の反応を測定する測定装置であって、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液循環装置を備え、前記アクセス部材のアクセスにより前記液体タンク内の液体が吸引され、前記液体が前記測定チップへ供給されるものである。
【0018】
上記測定装置によれば、液体タンク内の液体濃度を一定に保つことができ、正確な測定を行うことができる。
【0019】
本発明の請求項6に記載の測定装置は、前記液体が緩衝液として用いられていること、を特徴とする。
【0020】
緩衝液は、試料と比較して大量に使用されることから、本発明の液循環装置を好適に使用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上記構成としたので、供給する液体の濃度変化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0023】
本発明に係る測定装置としてのバイオセンサー10は、金属膜の表面に発生する表面プラズモン共鳴を利用して、タンパクTaと試料Aとの相互作用を測定する、いわゆる表面プラズモンセンサーである。
【0024】
図1及び図2に示すように、バイオセンサー10は、分注ヘッド20、測定部30、試料ストック部40、ピペットチップストック部42、バッファストック部70、冷蔵部46、及び、測定スティックストック部48を備えている。
【0025】
測定部30には測定スティック50がセットされる。測定スティック50上に固定されたタンパクTaへ試料を供給して信号変化を検出することにより、バイオセンサー10での測定が行われる。
【0026】
測定スティック50は、図3及び図4に示すように、誘電体ブロック52、流路部材54、及び、保持部材56、で構成されている。
【0027】
誘電体ブロック52は、長尺とされ、上面に平坦な測定面が形成されている。測定面には、金属膜57が形成され、金属膜57上にリンカー層57Aが形成されている。このリンカー層57A上にタンパクTaが固定される。
【0028】
流路部材54は、6個のベース部材54Aを備えている。ベース部材54Aには、底面側に略S字状の2本の流路溝が形成されている。流路溝の端部の各々は1の円筒部材54Bの中空部と連通されている。ベース部材54Aの底面が誘電体ブロック52の測定面と密着されて、流路溝と測定面との間に液体流路55が構成される。各々の液体流路55において、円筒部材54Bの上端面に液体流路55の出入口53が構成される。
【0029】
保持部材56は、断面コ字状の長尺とされ、流路部材54をコ字の間に挟んで一体成形されている。保持部材56には、流路部材54の円筒部材54Bに対応する位置に、受部59が形成されている。保持部材56により流路部材54が誘電体ブロック52上に密着されて取り付けられる。
【0030】
図1に示すように、分注ヘッド20は、水平駆動機構22により矢印X方向に移動可能とされている。水平駆動機構22は、ボールねじ22A、モータ22B、ガイドレール22Cにより構成されている。ボールねじ22A及びガイドレール22Cは、X方向に配置されている。ガイドレール22Cは平行に2本配置され、そのうちの1本はボールねじ22Aの下側に所定間隔離れて配置されている。分注ヘッド20は、ボールねじ22Aの回転により、ガイドレール22Cに沿ってX方向に移動される。
【0031】
分注ヘッド20には、分注ヘッド20を矢印Z方向に移動させる鉛直駆動機構24が設けられている。鉛直駆動機構24は、図5に示すように、モータ24A及びZ方向に配置された駆動軸24Bを含んで構成され、分注ヘッド20をZ方向に移動させる。
【0032】
分注ヘッド20は、12本の分注管20Aを備えている。分注管20Aは、X方向と直交する矢印Y方向に沿って1列に配置されている。測定時には、分注管20Aにより、測定スティック50へ試料やバッファー液が供給される。分注管20Aは、隣り合う2本で一対とされ、1の液体流路55の出入り口に1本ずつ対応させて使用される。分注管20Aの先端には、ピペットチップCPが取り付けられている。
【0033】
分注管20Aに取り付けられたピペットチップCPは、後述するピペットチップストッカー42Pにストックされており、必要に応じて交換可能とされている。
【0034】
図6に示すように、測定部30は、光学定盤32、光出射部34、受光部36を含んで構成されている。図6では、測定スティック50の誘電体ブロック52と流路部材54以外の部材は省略されている。光学定盤32には、側方向から見て、上部中央の水平平面で構成される定盤レール部32L、定盤レール部32Lから離れる方向に向かって低くなる出射傾斜部32B、定盤レール部32Lを挟んで出射傾斜部32Bと逆側に配置される受光傾斜部32Cが形成されている。定盤レール部32Lには、Y方向沿って測定スティック50がセットされる。光学定盤32の出射傾斜部32Bには、測定スティック50へ向かって光ビームを出射する光出射部34が設置されている。また、受光傾斜部32Cには、受光部36が設置されている。
【0035】
光出射部34には、光源34A、レンズユニット34Bが備えられている。また、受光部36には、レンズユニット36A、CCD36Bが備えられている。光源34Aは制御部60と接続され、CCD36Bは信号処理部38及び制御部60と接続されている。
【0036】
光源34Aから測定スティック50へ向かって光ビームが出射され、金属膜57と誘電体ブロック52との界面で反射された反射光をCCD36Bで受光し、光電変換された光検出信号が信号処理部38へ出力される。信号処理部38では、入力された光検出信号に基づいて所定の処理が行なわれ、測定データが求められる。
【0037】
図2に示すように、試料ストック部40は、試料積層部40A及び試料セット部40Bで構成されている。試料積層部40Aには、個々のセルに各々異なるアナライト溶液をストックする試料プレート40Pが、Z方向に積層されて収容されている。試料セット部40Bには、1枚の試料プレート40Pが、図示しない搬送機構により試料積層部40Aから搬送されてセットされる。
【0038】
ピペットチップストック部42は、ピペットチップ積層部42A及びピペットチップセット部42Bで構成されている。ピペットチップ積層部42Aには、複数のピペットチップを保持するピペットチップストッカー42Pが、Z方向(鉛直方向)に積層されて収容されている。ピペットチップセット部42Bには、1枚のピペットチップストッカー42Pが、図示しない搬送機構によりピペットチップ積層部42Aから搬送されてセットされる。
【0039】
バッファストック部70は、ボトル収容部70A及びバッファ供給部70Bで構成されている。ボトル収容部70Aには、バッファー液が貯留された複数本のボトル72が収容されている。バッファ供給部70Bには、バッファタンク74がセットされている。バッファストック部70には、ボトル72に貯留されたバッファー液をバッファタンク74との間で循環させるバッファー液循環装置71が構成されている。バッファー液循環装置71の詳細については後述する。
【0040】
バッファ供給部70Bの隣には、補正用プレート45が配置され、その隣に冷蔵部46が配置されている。補正用プレート45は、バッファー液の濃度調整を行うためのプレートであり、マトリクス状に複数セルが構成されている。冷蔵部46には、冷蔵の必要な試料が配置される。冷蔵部は低温とされており、この上で試料は低温状態に保たれる。
【0041】
測定スティックストック部48には、測定スティック収容プレート48Pがセットされている。測定スティック収容プレート48Pには、測定チップとしての測定スティック50が複数本収納されている。測定スティック50は、測定スティック搬送機構49により測定部30に搬送されセットされる。
【0042】
次に、バッファー液循環装置71の詳細について説明する。
【0043】
図7に示すように、バッファー液循環装置71は、ボトル72、バッファタンク74、ポンプ75、供給路76、及び、返還路77を備えている。ボトル72とバッファタンク74は、供給路76及び返還路77と各々連結され、返還路77にポンプ75が接続されている。供給路76及び返還路77は、バッファー液の流路となるチューブで構成されている。
【0044】
ボトル72のボトル口72Aには、ボトルキャップ80が取り付けられている。ボトルキャップ80は、図8及び図9に示すように、内側部材81と外側部材82とで構成されている。内側部材81は、円盤状の本体部81Aを備えている。本体部81Aには、供給路76と連結される供給口ノズル83A、及び、返還路77と連結される返還口ノズル83Bが挿通されている。供給口ノズル83A及び返還口ノズル83Bは、本体部81Aの円盤面に対して垂直に挿通され、本体部81Aよりも上側で直角に屈曲されている。直角に屈曲された先端部分83C、83Dは、先端に向かって小径となるテーパー部が3段構成された竹の子形状とされている。この竹の子形状により、チューブが取り付けられた際にチューブと先端部分83C、83Dとのシール性が確保される。供給口ノズル83Aは、ボトル72の底面付近まで伸びる長尺とされ、返還口ノズル83Bは、供給口ノズル83Aよりも短い長さとされている。
【0045】
図9に示すように、本体部81Aの下側には、本体部81Aよりも大径かつボトル口72Aの内径よりも大径の係合板81Bが設けられている。係合板81Bの下側には、供給口ノズル83A及び返還口ノズル83Bとの間の隙間を塞ぐノズルシール部材84と、ボトル口72Aとの間の隙間をシールするボトル口シール部材85とが設けられている。ボトル口シール部材85は、ボトル口72Aよりも僅かに小径とされ、ボトル口72A内に挿入可能とされている。
【0046】
外側部材82は、環状とされ内側にボトル口72Aの外側のねじ部72Nと螺合されるねじ溝82Nが構成されている。外側部材82の上部には、下部よりも小径の内係合部82Aが形成されている。内係合部82Aの内径は、内側部材81の本体部81Aの外径よりも大径で、係合板81Bの外径よりも小径とされている。外側部材82の下部の内径は、内側部材81の係合板81Bよりも大径とされており、係合板81Bが外側部材82内で自由に回転可能とされている。
【0047】
ボトルキャップ80をボトル口72Aに取り付ける際には、内側部材81の供給口ノズル83A、返還口ノズル83B、及びボトル口シール部材85をボトル口72A内に挿入し、外側部材82を内側部材81の上側から被せ、ねじ溝82Nとねじ部72Nとを螺合させる。これにより、係合板81Bがボトル口72Aの先端面と内係合部82Aとの間に挟み込まれて、ボトル口72Aが密閉される。本体部81Aは外側部材82の上側に突出される。ボトルキャップ80をボトル口72Aから取り外す際には、ねじ溝82Nとねじ部72Nとの螺合を解除する。このとき、係合板81Bは外側部材82と相対回転可能とされていることから、外側部材82の回転に追従しない。したがって、供給路76、返還路77のチューブを接続したまま、容易にボトル72の交換を行うことができる。
【0048】
バッファタンク74は、図10及び11に示すように、下側から順に、プレート90、閉鎖シート94、及び、蓋板92が積層されて構成されている。プレート90は、複数筋に区画され、各々の区画でバッファー液を貯留するタンク部90Aが構成されている。各々のタンク部90Aには、各々異なるボトル72からのバッファー液が供給される。プレート90には、供給路76のチューブを連結する連結口90C、及び、返還路77のチューブを連結する連結口90Dが、各々のタンク部90A毎にタンク部90Aと連通するように形成されている。タンク部90Aの連結口90D側には、堰部材としてのリブ90Bが構成されている。
【0049】
リブ90Bは、タンク部90Aに供給されたバッファー液を堰き止めて、液面がリブ90Bを乗り越える高さに達するまで、下流側へ流れ出さないようにしている。これにより、タンク90Aには所定量のバッファー液が貯留され、ピペットチップCPでの吸引時に、タンク90内のバッファー液が不足しないようにすることができる。
【0050】
蓋板92は、プレート90の上面を覆う板状とされ、ピペットチップCPを挿入可能なアクセス口Hが形成されている。アクセス口Hは、各々のタンク部90Aに沿って6個ずつ並べて形成されている。ボトル72、供給路76タンク部90A、及び、返還路77により液循環経路が構成されている。
【0051】
閉鎖シート94は、プレート90と蓋板92との間に挟み込まれるシート状とされ、ピペットチップCPを挿入可能な十字状に切り込まれたスリットSが形成されている。スリットSはアクセス口Hに対応する位置に形成されている。閉鎖シート94は、弾性変形可能な樹脂などで構成され、ピペットチップCPの差し込み時には下側へ屈曲するように変形し、引き抜かれた後はアクセス口Hを塞ぐように復元する。
【0052】
ピペットチップCPは、上側からバッファタンク74へアクセスし、アクセス口H及びスリットSを通ってタンク部90Aへ挿入される。挿入されたピペットチップCPでバッファー液が吸引される。このとき、バッファー液の吸引によりタンク90A内が減圧されてスリットSの隙間からタンク90A内へ空気が入り込む。この空気は、返還路77を経由してボトル72へ供給され、ボトル72からは供給路76へバッファー液が送出される。このようにして、液循環経路内の圧力が一定に保たれつつ、バッファー液の循環が行われる。
【0053】
ピペットチップCPで吸引されたバッファー液は、測定部30にセットされた測定スティック50へバッファー液が供給される。ピペットチップCPがバッファタンク74から離間すると、スリットSが復元してアクセス口Hが閉鎖される。スリットSでのアクセス口Hの閉鎖は、1個のボトル72、このボトル72と連結されたタンク部90A、供給路76、及び、返還路77により構成された液循環経路内を、1個のポンプ75でバッファー液の循環が可能な程度に密閉するものである。
【0054】
バッファー液循環装置71でのバッファー液の循環は、ポンプ75により行われる。ポンプ75は、返還路77に接続され、バッファー液をバッファタンク74側からボトル72側へ送液する。前述したように、液循環経路はある程度密閉された空間とされているので、1個のポンプ75により、バッファー液の循環を行うことができる。
【0055】
本実施形態では、バッファー液循環装置71により、バッファタンク74内とボトル72との間でバッファー液が循環されているので、バッファタンク74内に滞留されている場合と比較して、バッファー液の濃度変化を少なくすることができる。したがって、所望の濃度のバッファー液を用いて正確な測定を行うことができる。
【0056】
なお、本実施形態では、ポンプ75を返還路77に接続した例について説明したが、供給路76へ接続してもよい。
【0057】
また、本実施形態では、バッファタンク74のタンク部90Aにリブ90Bを構成することにより、バッファ液の液面を所定の高さになるようにしたが、リブ90Bは必ずしも必要ではなく、図12に示すように、連結口90Dをリブ90Bが配置されていた高さに構成することによっても、バッファ液の液面を所定の高さに保つことができる。
【0058】
また、本実施形態では、連通口90C、90Dをバッファタンク74(プレート90)の側面に構成したが、供給路76、返還路77へ各々連通する連通口は、図13に示すように、バッファタンク74の下面に構成してもよい。この場合には、プレート90の供給路76側に連通口90Cを構成すると共に、プレート90の返還路77側に連通口90Dを構成する。そして、連通口90Dの上流にバッファ液の液面を所定位置に保つためのリブ90Eを構成する。リブ90Eは、図13(A)に示すように連通口90D自体を延長するように構成されていてもよいし、図13(B)に示すように連通口90Eの上部に開放空間Fを構成するように構成されていてもよい。そして、連通口90C、90Dの下側に、供給路76、返還路77との接続部98を設けると共に、接続部98とプレート90との間にてシールブロック96を配置して、供給路76、返還路77との間をシールする。
【0059】
図13に示す構成によれば、バッファタンク74の側面外周に十分なスペースがない場合でも、供給路76、返還路77を下側に接続することにより、容易にセットすることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、測定装置として、バイオセンサーを一例として説明したが、本発明の液循環装置は、液循環の必要な他の装置に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態のバイオセンサーの内部の斜視図である。
【図2】本実施形態のバイオセンサーの内部の上面図である。
【図3】本実施形態の測定スティックの斜視図である。
【図4】本実施形態の測定スティックの分解斜視図である。
【図5】本実施形態のバイオセンサーの分注ヘッドの鉛直駆動機構を示す斜視図である。
【図6】本実施形態のバイオセンサーの測定部付近の概略図である。
【図7】本実施形態の液循環装置の概略構成を示す図である。
【図8】本実施形態のボトルキャップの斜視図である。
【図9】本実施形態のボトルキャップの分解斜視図である。
【図10】本実施形態のバイオセンサーのバッファタンクの分解斜視図である。
【図11】本実施形態のバイオセンサーのバッファタンクの側断面図である。
【図12】本実施形態のバイオセンサーのバッファタンクの変形例の側断面図である。
【図13】本実施形態のバイオセンサーのバッファタンクの他の変形例の側断面図である。
【符号の説明】
【0062】
10 バイオセンサー
20 分注ヘッド
20A 分注管
30 測定部
50 測定スティック
70 バッファストック部
70B バッファ供給部
70A ボトル収容部
71 バッファー液循環装置
72 ボトル
72A ボトル口
74 バッファタンク
75 ポンプ
76 供給路
77 返還路
80 ボトルキャップ
81 内側部材
82 外側部材
84 ノズルシール部材
85 ボトル口シール部材
90A タンク部
90 プレート
92 蓋板
94 閉鎖シート
CP ピペットチップ
H アクセス口
S スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が貯留され、内部が密閉される液体ボトルと、
アクセス部材によるアクセスを可能とされたアクセス口が構成された液体タンクと、
前記液体ボトル及び前記液体タンクと連結され、前記液体ボトルから前記液体タンクへ前記液体を送液する供給送液路と、
前記液体ボトル及び前記液体タンクと連結され、前記液体タンクから前記液体ボトルへ前記液体を送液する返還送液路と、
前記供給送液路または前記返還送液路のいずれか一方に接続され、前記液体を送液する送液ポンプと、
を備え、
前記液体ボトル、前記液体タンク、前記供給送液路、及び、前記返還送液路、を含む液循環経路内で液体を循環させる液循環装置。
【請求項2】
前記液体タンクが、前記アクセス部材による非アクセス時に前記アクセス口を閉鎖する閉鎖蓋を備えていること、を特徴とする請求項1に記載の液循環装置。
【請求項3】
前記液体タンクの流路内で前記アクセス口よりも前記返還送液路との連結側に配置され、前記液体タンク内の液体を堰き止める堰部材、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液循環装置。
【請求項4】
前記液体ボトルは、前記液体ボトル内を密閉するボトルキャップを備え、
前記ボトルキャップは、前記供給送液路と連結される供給接続口及び前記返還送液路と連結される返還接続口を有すると共に、前記液体ボトルへ着脱可能とされていること、を特徴とする請求項1〜請求項3に記載の液循環装置。
【請求項5】
前記ボトルキャップは、前記供給接続口、前記返還接続口、及び、前記液体ボトルとの間をシーリングするシーリング部材を備えた内側部材と、環状とされ内側に前記内側部材が係合され前記液体ボトルと螺合により締結される外側部材と、を含んで構成されていること、を特徴とする請求項4に記載の液循環装置。
【請求項6】
測定チップに固定された被検査対象物質へ検査対象物質を供給して両者の反応を測定する測定装置であって、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液循環装置を備え、前記アクセス部材のアクセスにより前記液体タンク内の液体が吸引され、前記液体が前記測定チップへ供給される測定装置。
【請求項7】
前記液体が緩衝液として用いられていること、を特徴とする請求項6に記載の測定装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【公開番号】特開2008−107318(P2008−107318A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158609(P2007−158609)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】