説明

液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム

【課題】反射フイルム高輝度化のみならず周辺部材の耐久性を向上させること、および、埃など微細な異物の付着を防ぐことによって製造ロスを軽減する。
【解決手段】
ガラス転移温度(Tg)が180℃以上220℃以下であり、MVRが2〜50cm/10min(ASTM D1238)(260℃、2.16kg)であるポリエステルに非相溶な樹脂を用いてなる白色ポリエステルフィルムであって、400〜700nmの光の波長域における平均相対反射率がフイルムの少なくとも片面で97%以上であることを特徴とする液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色ポリエステルフイルムに関し、特に、液晶ディスプレイで最適な白色ポリエステルフイルムで、液晶画面をサイドライト(エッジライトとも言う)により照明した場合や、反射フイルムの真上に蛍光管を配置する様な(直下型という)構成で、より明るい画面が得られる反射板用基材を構成することが可能なディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、テレビ、携帯電話などの表示装置として、液晶を利用したディスプレイが数多く用いられている。これらの液晶ディスプレイを照明する際に、従来、ディスプレイの背面からライトをあてるバックライト方式や、特許文献1に示されているようなサイドライト方式が、薄型で均一に照明できるメリットから、広く用いられている。サイドライト方式とは、ある厚みを持ったアクリル板などの透明基材の片面に網点印刷やシボ加工など各種処理を施し、該アクリル板などのエッジより冷陰極管などの照明を当てる方式で照明光が均一に分散され、均一な明るさを持った画面が得られる。また、画面の背面でなく、エッジ部に照明を設置するため、バックライト方式より薄型にできる。また、照明光の画面背面への逃げを防ぐため、画面の背面に反射板を設置する必要があるが、この反射板には薄さと、光の高反射性が要求されることから、フイルム内部に微細な気泡を含有させ、該気泡で光を散乱させることにより白色化された、白色フイルムなどが主に用いられる。
【0003】
一方、液晶テレビのような大画面用では、直下型ライト方式が採用されてきている。この方式は、液晶画面の下部に冷陰極線管を並列に並べられる。反射板は平面状もしくは、冷陰極線管の部分を半円凹状に成形したものなどが用いられる。従来、白色顔料を添加したフイルムや内部に微細な気泡を含有させたフイルム単独、もしくは、これらのフイルムと金属板、プラスチック板などを張り合わせたものが使用されてきた。特に内部に微細な気泡を含有させたフイルムを使用した場合には、輝度の向上効果や均一性に優れることから広く使用されている(特許文献2)。
【0004】
この微細な気泡の形成は、フイルム母材、たとえばポリエステル中に、高融点の非相溶ポリマーを細かく分散させ、それを延伸(たとえば二軸延伸)することにより達成される。延伸に際して、非相溶ポリマー粒子周りにボイド(気泡)が形成され、これが光に散乱作用を発揮するため、白色化され、高反射率を得ることが可能となる。
【0005】
さらに、特許文献2の技術では、波長400〜700nmの光の反射率を確保すると共に、波長400nm未満の光の反射率向上も目的としており、この目的を、空洞含有フイルムに蛍光増白剤を含有させる構造をとることによって達成している。
また、特許文献3では、70〜270℃のガラス転移温度をもつ、シクロオレフィン共重合体を使用した白色ポリエステルフィルムが紹介されているが、これらの分散状態では、十分な反射率ひいては、画面輝度が達成出来ず改善が要望されている。
【0006】
また、近年では、液晶ディスプレイパネルのような表示機器にも、写真画像や動画の表示に関して、従来にない高度な表示能力が求められており、これに伴って、バックライトの高輝度化や白再現性の向上など、高性能化の要求が高まってきている。これらの要求に応えるため、反射板に要求される紫外線吸収性や各種耐久性への要望も、さらに高まってきている。
【0007】
例えば、長期間使用しても劣化が抑えられており、安定に使用できることが求められている。そのため、例えば特許文献4では、安定性を確保するために光安定剤を含有させた空洞含有ポリエステルフイルムが開示されている。
【0008】
さらに、特許文献5では、シクロオレフィン共重合体と紫外線安定剤を使用して、コストと性能の両立を図ろうとしたが、紫外線による反射率の劣化と画面輝度が十分に両立できておらず改善が求められている。
【0009】
また、一般的に二軸延伸ポリエステルフイルムは静電気が発生しやすく、製膜、加工工程および使用時に塵埃が付着するという問題を有している。近年、画面の大型化に伴って、前記塵埃が製造ロスに大きく影響するため、該ポリエステルフイルムが用いられる液晶モニタ製造工程中において、各部材に対する汚れ防止性への要望が高まってきている。この要望から、特許文献6では、フイルムに帯電防止性を持たせることで、汚れ防止効果を得ている。しかし、特許文献6で提供されるフイルムは、光安定性が要求される液晶表示装置への適用は出来ず、光安定性と汚れ防止性を両立する光学フイルムが求められている。
【特許文献1】特開昭63−62104号公報
【特許文献2】特開平4−239540号公報
【特許文献3】特開2001−64492号公報
【特許文献4】特開2002−098808号公報
【特許文献5】特開2001−288284号公報
【特許文献6】特開平10−278204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記問題点を解決するために、液晶ディスプレイの画面輝度を向上させること、紫外線を吸収することによって反射フイルムのみならず周辺部材の耐久性を向上させること、さらに、埃など微細な異物の付着を防ぐことによって、高付加価値を有するフイルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる問題点を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。すなわち、
(1)ポリエステル層(A)および(B)を含む積層構造を有し、その芯層部がポリエステル層(A)、片側または両側の表層部がポリエステル層(B)であって、
ポリエステル層(A)にガラス転移温度(Tg)が180℃以上220℃以下、MVRが2〜50cm/10min(ASTM D1238)であるポリエステルに非相溶な樹脂を含有し、
400〜700nmの光の波長域における平均相対反射率がフイルムの少なくとも片面で99%以上である
液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム、
(2)前記ポリエステルに非相溶な樹脂がシクロオレフィン共重合体樹脂である(1)記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム、
(3)ポリエステル層(A)にポリアルキレングリコール共重合ポリエステルを含有する(1)または(2)に記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム、
(4)ポリエステル層(A)にシクロヘキサジメタノール共重合ポリエステルを含有する(1)〜(3)いずれかに記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム、
(5)前記ポリエステル層(B)に硫酸バリウム粒子及び/または炭酸カルシウム粒子をポリエステル層(B)に対して5〜25重量%含有する(1)〜(4)いずれかに記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム、
(6)ポリエステル層(B)に光安定剤を含有する(1)〜(5)いずれかに記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフィルム、
(7)(1)〜(6)いずれかに記載の白色ポリエステルフィルムに、さらに帯電防止剤を含有する層(C)を積層してなり、該フイルムの少なくとも片側の表面の平均反射率が99%以上、かつ(C)層の表面比抵抗値が1×1013Ω/□以下である液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム、
(8)前記ポリエステル層(B)に含有される光安定剤の含有量が、ポリエステル層(B)の総重量に対し0.1〜5重量%である(6)いずれかに記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム、
(9)前記ポリエステル層(B)に含有される光安定剤が、トリアジン誘導体である(8)に記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム、
(10)前記シクロオレフィン共重合体を、ポリエステル層(A)の総重量に対して5〜40重量%含有せしめてなる(2) に記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム、
である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高反射率・高輝度を併せ持つことができ、さらに光安定性剤を含有せしめる構成によって、光安定性を得、帯電防止層を設けることによって汚れ防止性を併せ持つ液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルムを得ることができる。これにより、該ポリエステルフイルムおよび液晶パネル内の他の周辺部材の耐久性を向上させることができ、さらに異物付着による製造ロスを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を構成するポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって得られるポリマーであり、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、などで代表されるものであり、またジオールとは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。具体的には例えば、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどがあげられる。本発明の場合、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
【0014】
もちろん、これらのポリエステルはホモポリエステルであっても、コポリエステルであっても良く、共重合成分としてはたとえば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分があげられる。
【0015】
また、このポリエステルの中には、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤などが添加されていても良い。本発明に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートフイルムは耐水性、耐久性、耐薬品性などに優れているものである。
【0016】
本発明においては、400〜700nmの光の波長域における平均反射率がフイルムの少なくとも片面で99%以上である必要がある。99%未満であると、バックライトとしての輝度が不足することがあるからである。本発明において平均反射率とは、日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U―3310)に積分球を取り付け、標準白色板(酸化アルミニウム)を100%とした時の反射率を400〜700nmにわたって測定し、得られたチャートより波長を5nm間隔で反射率を読み取り、平均した値である。
【0017】
反射率を99%以上とするためには、フイルム内部に微細な気泡および不活性無機粒子を含有させ白色化されていることが重要であり、これが光の散乱作用を発揮するため反射率を向上させることができる。好ましくは、反射率は100%以上であり、より好ましくは101%以上である。反射率については特に上限はないが、反射率を上げるためには、核剤添加量を上げる必要があり、その場合製膜性が不安定になることがあるため、110%以下であることが好ましい。
【0018】
本発明はフイルム内部に微細な気泡を含有することによって白色化されていることが好ましい。微細な気泡の形成は、フイルム母材、たとえばポリエステル中に、高融点のポリエステルと非相溶なポリマーを細かく分散させ、それを延伸(たとえば二軸延伸)することにより達成される。延伸に際して、この非相溶ポリマー粒子周りにボイド(気泡)が形成され、これが光に散乱作用を発揮するため、白色化され、高反射率を得ることが可能となる。非相溶ポリマーは、例えば、ポリ−3−メチルフテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルロールトリアセテート、セルロールトリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィンがポリノルボルネン、ポリジメチルオクタヒドロナフタレン、ポリシクロペンテン、ポリ(5−メチル)ノルボルネン単位から生成している誘導体などから選ばれた融点200℃以上のポリマーである。中でもポリエステル母材に対して、ポリオレフィン、とくにシクロポリオレフィン誘導体を用いることが好ましい。非相溶ポリマーのガラス転移温度は、180℃以上220℃以下が好ましく、更に好ましくは、190℃以上220℃以下である。ガラス転移温度については、ガラス転移温度が180℃よりも低い領域では、フィルム製造工程における熱処理工程において、延伸時に発現したボイドが変形し、潰れてしまうことがあるためである。特に、微分散し小径化したボイドでは小さな変形がボイド消失の原因となり、白色ポリエステルフィルムの反射率の低下、ひいては、輝度の低下に影響を与えることがある。
【0019】
ガラス転移点は非晶質固体材料にガラス転移が起きる温度であり、Tgと略記する。本発明においてTgの測定は、DSC曲線におけるベースラインの接線及びガラス転移による吸熱領域の急峻な下降位置の接線との交点とを読みとる。
【0020】
Tgを制御する方法は、直鎖のオレフィン部(エチレン部)とシクロオレフィン部(メチルーノルボルネン部)の共重合比率を制御することによって、任意に変更することができ、Tgを上げるためには、シクロオレフィンの比率をあげることによって達成できる。直鎖オレフィン部:シクロオレフィン部=3:7よりもシクロオレフィン部の比率をさらに上げることで185℃以上とすることができる。
【0021】
Tgが上記の範囲にあると、熱処理時にボイドが消失しにくくなる効果がある他、延伸時にボイドを発現させる際に核となるシクロオレフィンの剛性が高く、ボイド生成率が格段に上がるため良好である。ボイドを微細に多重に積層することができることによって反射率の向上ひいては、輝度向上に有効である。
【0022】
シクロオレフィン共重合体樹脂の添加量としては、好ましくは、非相溶ポリマーを含有する層全体を100重量%としたときに、5重量%以上40重量%以下である。更に好ましくは10重量%以上30重量%以下であることが好ましい。これより少なすぎると白色化の効果が薄れ、高反射率が得られにくくなり、高すぎると、フイルム自体の強度等機械特性が低くなりすぎる恐れがある。
【0023】
本発明におけるポリエステルに非相溶な樹脂のMVRとはメルトボリュームレートの事で、樹脂温度を260℃に加熱し、測定荷重を2.16kgにし、他の条件はASTM D 1238に従って測定した値である。数値が高いほど、粘度が低いことを示している。本発明では、MVRが2〜50cm/10minである。2cm/10min以上から、従来よりも微細効果が現れ、厚み辺りの界面が増える効果が見られる。また、MVRの増加とともに、微細効果も更に促進される。上限はないがMVRが50cm/10minを越えると実質上生産することができないことがある。好ましくは、MVRが2〜30cm/10min、更に好ましくは、MVRが3〜15cm/10minが好適に使用できる範囲である。
【0024】
MVRをコントロールする方法は、重合時の重合時間(分子量)に依存するため、重合時間を変更することによって自由に目的のMVRを得ることが可能である。
【0025】
この非相溶ポリマーは均一に分散されている程好ましい。均一分散により、フイルム内部に均一に気泡が形成され、白色化の度合、ひいては反射率が向上する。非相溶ポリマーを均一分散させるには、ポリアルキレングリコールは、分散助剤として必要である。非相溶ポリマーを均一分散させるには、低比重化剤を分散助剤として添加することが有効である。低比重化剤とは、比重を小さくする効果を持つ化合物のことであり、特定の化合物にその効果が認められる。例えば、ポリエステルに対しては、ポリエチレングリコール、シクロヘキサジメタノール共重合ポリエステル、メトキシポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、エチレノキサイド/プロピレノキサイド共重合体、さらにはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホネートナトリウム塩、グリセリンモノステアレート、テトラブチルホスホニウムパラアミノベンゼンスルホネートなどで代表されるものである。本発明の場合、特にポリアルキレングリコール、中でもポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合体が特に好ましい。
【0026】
更に、本発明では、ポリエステル層(A)にシクロヘキサジメタノール共重合ポリエステルを用いることが好ましいが、特に、シクロヘキサジメタノール共重合ポリエステルと上記ポリアルキレングリコールとの併用系では、顕著に分散性を向上させるのに好ましい。これは、ベースポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)とシクロヘキサジメタノール共重合ポリエステルとの相溶性が高く、更にシクロヘキサジメタノール共重合ポリエステルとポリアルキレングリコールの相溶性が近いために分散性がよく、シクロオレフィンの分散性に寄与するためである。ポリアルキレングリコールの添加量としては、非相溶ポリマーを含有する層全体を100重量%として、10重量%以上25重量%以下が好ましい。少なすぎると、添加の効果が薄れ、多すぎると、フイルム母材本来の特性を損なうおそれがある。このような低比重化剤は、予めフイルム母材ポリマー中に添加してマスターポリマ(マスターチップ)として調整可能である。
【0027】
前述の如く、白色ポリエステルフイルムが微細な気泡を含有することにより、該ポリエステルフイルムの見かけ比重は通常のポリエステルフイルムよりも低くなる。さらに低比重化剤を添加すれば、さらに比重は低くなる。つまり、白くて軽いフイルムが得られる。この白色ポリエステルフイルムを、液晶ディスプレイ反射板用基材としての機械的特性を保ちながら、軽量にするには、比重が0.5以上1.2以下であることが好ましい。
【0028】
比重を0.5以上1.2以下とするためには、上記のごとく低比重化剤、例えば比重1.03のシクロオレフィンを用いた場合、層全体に対して10重量%以上30重量%以下含有させ、縦方向・横方向の各延伸倍率を2.5〜4.5とすることにより達成することができる。見かけ比重が本発明の範囲にあると、フイルム強度を保ったまま微細な気泡を多数存在させることが出来、高反射率を得ることが出来る。すなわち、液晶ディスプレイ反射板として使用した場合、画面の明るさにおいて、顕著に優れた輝度を発揮する。
【0029】
また、本発明の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルムの比重は0.5以上1.2以下、好ましくは0.5以上1.1以下、より好ましくは0.55以上1.0以下であることが、より高反射率を得るために好ましい。
【0030】
本発明の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルムの構成は、ポリエステル層(A)および(B)を用いた積層構造であり、該A層が前記微細気泡を含有した層であることが、高反射率と製膜性を両立させるのに好ましい。また、ポリエステル層(A)の片側または両側の表層がポリエステル層(B)である。無機粒子および/または有機粒子を、ポリエステル層(B)(無機粒子および/または有機粒子を含有させる層)の全重量に対して0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.6重量%以上含有させた層であることが、きしみ音を低減させるために都合がよい。きしみ音とは、液晶バックライトユニット内に白色ポリエステルフィルムと他部材とが蛍光管の熱によって膨張したり、消灯時に収縮する際にこすれ合うために発生する音で、前記液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルムの平均表面粗さ(Ra)が100nm以上450nm以下、10点平均粗さ(Rz)が1μm以上3μm以下である表面を形成すると、好適にきしみ音が軽減する。更に好ましくは、平均表面粗さ(Ra)が150nm以上400nm以下、10点平均粗さ(Rz)が1μm以上2μm以下である。
【0031】
また、光拡散性を要求されるバックライトシステムでは、数平均粒径0.5〜1.5μmの硫酸バリウムや数平均粒径0.5〜2.0μmの炭酸カルシウムを使用し、表面形状を粗らすことにより光拡散性を得ることが出来る。バックライトシステムによって、必要な光拡散性は異なるがポリエステル層(B)(無機粒子および/または有機粒子を含有させる層)の全重量に対して、上記硫酸バリウム、炭酸カルシウム、又はその両者を5重量%以上、好ましくは7重量%以上、より好ましくは10重量%以上含有させた層であることが、好ましい。また、25重量%を超える含有量では、フィルム破れが頻発し生産性を悪化させるため、好ましくない。
【0032】
本発明の白色ポリエステルフイルムは、保管時は装置外部からの紫外線に曝され、使用時はバックライトユニットに付属する蛍光管からの紫外線に曝されることから、光安定剤の使用が好ましい。更に好ましくは、耐光性を向上させる効果がある粒子、例えば二酸化チタンをポリエステル層(B)に対して5〜20重量%添加することによって、耐光性の効果は向上する。
【0033】
本発明では、ポリエステル層(B)に光安定剤を有することが好ましく、光安定剤の含有量は、ポリエステル層(B)の総重量に対して0.1〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%、更には1〜5重量%であることが最も好ましい。光安定剤の含有量が0.1重量%未満の場合は、耐光性が不十分となり、長時間使用している間にフイルムが劣化して、その反射特性が低下しやすくなることがある。一方、5重量%を超える場合には、光安定剤による着色によって反射特性が低下することがあり、好ましくない。
【0034】
液晶ディスプレイ反射板用ポリエステルフイルムは、製膜後、塗布、乾燥、蒸着など後加工工程における熱工程が入ることがある。さらに、設置後にバックライトユニットに付属する蛍光管からの発熱を直接受けるフイルムであること、ロール状態での長期保管に耐え得るために、本発明で使用する光安定剤は、耐熱性に優れ、前述のポリエステルとの相溶性が良く均一分散できると共に、着色が少なく樹脂およびフイルムの反射特性に悪影響を及ぼさないものの選択が望ましい。先の条件を満たす光安定剤であれば特に限定されないが、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等の紫外線安定剤の各種のものが適用可能である。より具体的な適用例は以下の通りである。
【0035】
(紫外線吸収剤)
サリチル酸系:p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート
ベンゾフェノン系:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン
ベンゾトリアゾール系:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2(2’ヒロドキシ−5’−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’メチルフェニル]ベンゾトリアゾール
シアノアクリレート系:エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート
トリアジン系: 2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
上記以外:2−エトキシ−2’−エチルオキザックアシッドビスアニリド、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニル
(紫外線安定剤)
ヒンダードアミン系:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物
上記以外:ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)]−n−ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸モノエチレート、ニッケル−ジブチルジチオカーバメート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ハイドロキシベンゾエート
これらの光安定剤の中でも、ポリエステルとの相溶性に優れる2,2’−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールの適用が好ましい。上記の光安定剤は、単独でも2種以上の併用であっても良い。特に好ましくは、トリアジン誘導体が性能面で優れている。
【0036】
ポリエステル層(B)の厚みは、好ましくは、0.1〜15μmであり、更に好ましくは0.5〜10μm、0.7〜8μmである。反射面側のポリエステル層が薄い程、黄変部位が少なくなるため黄変度を低減することができるが、(B)層を薄くしすぎると生産性が悪くなる弊害がある。
【0037】
本発明では、ポリエステル層(B)に蛍光増白剤を有することが好ましく、光安定剤との併用が特に好ましい。蛍光増白剤は、光安定剤による着色を低減できるだけでなく、ランプからの紫外光を可視光に変換し放出できることから、輝度向上にも効果があることが分かっている。蛍光増白剤の含有量は、ポリエステル層(B)の総重量に対して0.01〜0.5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3重量%、更には0.05〜0.1重量%であることが最も好ましい。
【0038】
本発明の白色ポリエステルフイルムは、その用途から、特に加工、組み立て工程において、塵埃が付着することは好ましくない。そのため、白色ポリエステルフイルムの少なくとも片面には帯電防止剤を含有する層(C)を設置することが好ましい。
【0039】
本発明において、帯電防止剤を含有する層(C)は、フイルム製造時における環境汚染防止や防爆性の点から、水性塗液を塗布乾燥後少なくとも一方向に延伸されて形成される塗膜層であることが好ましく、ポリエステル層(A)とポリエステル層(B)からなる基材フイルムを二軸配向する製造工程内で形成されることが好ましい。該延伸のタイミングは特に限定されないが、水性塗液を塗布した後に二軸延伸する方法、あるいは、縦(フイルムの長手方向)延伸後に水性塗液を塗布し、さらに横延伸する方法が好ましく用いられる。該水性塗液の塗布方法としては、各種の塗布方法、例えばリバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、およびスプレーコート法などを好ましく用いることが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0040】
帯電防止性を発現させるために帯電防止層に添加する帯電防止剤としては、金属粉、酸化スズ−アンチモン系導電剤、帯電防止性を有する界面活性剤などが挙げられるが、使用する帯電防止剤には、上に述べた光安定剤の選択時に必要とされる要求事項と同じ要請から、耐熱性があり、着色が少なく樹脂およびフイルムの反射特性に悪影響を及ぼさないものの選択が望ましい。先の条件を満たす帯電防止剤であれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンスルホン酸塩基を含む化合物や、カルボン酸塩基を含む化合物を含む共重合ポリエステルであることが好ましい。スルホン酸塩基のカチオン成分としては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸などがあげられるが、これらに限定されるものではない。カルボン酸塩基のカチオン成分としては、例えばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらのスルホン酸およびカルボン酸の中でも、耐熱性および後述するポリエステル層(A)または(B)との密着性に優れた、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸の適用が最も好ましい。
【0041】
塩基のアニオン成分としては、アンモニウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオンなどが挙げられるが、帯電防止性や造膜性の点で、アンモニウムイオン、リチウムイオンを用いることが好ましい。帯電防止剤の添加量は、帯電防止剤を含有する層(C)の総重量に対し、5質量部から40質量部が好ましい。5質量部以下であると、帯電防止性が低くなり、一方、40質量部以上であると、帯電防止剤を有する層(C)が不安定化し、凝集、亀裂などが発生し、フイルムが白濁・帯電防止性が低下し、耐熱性も低下しやすくなる。
【0042】
また、帯電防止剤を有する層(C)のビヒクル材としては、ポリエステル層(A)または(B)との界面密着性を持つ成分を選ぶことにより、造膜性が飛躍的に向上する。この条件を満たす成分であれば特に限定されないが、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂およびフェノール樹脂などを挙げることが出来る。さらに、共重合ポリエステルの中でも特に、イソフタル酸およびジエチレングリコールを含有する共重合ポリエステルを選択することで、界面の密着性が最適化され、また、耐溶剤性を持たせることが出来、さらには、製膜時のフイルムの回収性も優れていることから、好適に利用できる。該重合成分としてのイソフタル酸量は65〜95モル%が好ましく、さらに好ましくは70〜95モル%である。また、該重合成分としてのジエチレングリコール量は50〜95モル%が好ましく、さらに好ましくは60〜90モル%である。その他の共重合成分として、公知のジカルボン酸およびジオールを用いることが出来るが、それらに限定されるものではない。該重合ポリエステルの好ましいガラス転移点の範囲は0〜60℃であり、さらに好ましくは10〜45℃である。
【0043】
イソフタル酸およびジエチレングリコールを共重合成分として含む共重合ポリエステルの含有量は、帯電防止剤を有する層(C)を形成する樹脂の総量に対して60〜95重量%が好ましい。該含有量が少なすぎると、耐溶剤性やポリエステル層(A)やポリエステル層(B)との界面密着性に劣る場合があり、多すぎると帯電防止性に劣る場合がある。
【0044】
帯電防止剤を有する層(C)の厚みは、0.01〜2μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。厚みが薄すぎると耐溶剤性や帯電防止性が不足する場合があり、厚みが厚すぎると易滑性が劣る場合がある。
【0045】
本発明においては、層(C)を積層してなり、表面比抵抗値は1013Ω/□以下であることが好ましく、好ましくは10Ω/□以上1013Ω/□以下である。表面比抵抗値が10Ω/□未満であると、界面密着性に劣る場合があり、表面比抵抗値が1013Ω/□よりも大きいと、帯電防止性が不足し、結果として汚れ防止性が不足する場合がある。本発明において表面比抵抗値は例えば、以下の方法で測定されるものである。川口電機製作所製表面比抵抗測定器(MMAII−17A)を使用する場合、23℃×50%RHの雰囲気下で試料を1日放置した後、500Vの電圧を引加して1分間放置後、塗布面の表面比抵抗を測定する。ここで電極の型は、同社製(型番P−618)であり、主電極の外径90mm、対電極の内径45mmの同心円電極とする。また、表面比抵抗値を1013Ω/□以下とするには、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸または4−スルホイソフタル酸から選ばれる1種以上を含む共重合ポリエステルのアンモニウム塩および/またはリチウム塩を使用し、ヒビクル材を混合して生成した塗布液を、メタリングバーを用いたバーコート方式で塗布し、その後に少なくとも1軸方向に延伸して層を形成する方法がある。
【0046】
次に本発明の白色ポリエステルフイルムの製造方法について説明するが、かかる例に限定されるものではない。非相溶ポリマーとしてシクロオレフィン共重合体を、低比重化剤としてポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレートおよびポリテトラメチレングリコール共重合物を、ポリエチレンテレフタレートに混合し、それを十分に混合・乾燥させて270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに供給する。光安定剤および、必要な場合は、TiOなどの無機物添加剤を含んだポリエチレンテレフタレートを常法により押出機Bに供給して、Tダイ3層口金内でポリエステル層(B)のポリマーが両表層にくるようポリエステル層(B)/ポリエステル層(A)/ポリエステル層(B)の3層構成にラミネートしてもよい。
【0047】
この溶融されたシートを、ドラム表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気力にて密着冷却固化し、該未延伸フイルムを80〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向に2.0〜5.0倍縦延伸し、20〜50℃のロール群で冷却する。続いて、帯電防止剤を含有する層(C)を形成する塗布液を、メタリングバーを用いたバーコート方式で塗布し、その後に、縦延伸したフイルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き90〜140℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に横延伸する。延伸倍率は、縦、横それぞれ2.5〜4.5倍に延伸するが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜16倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると得られるフイルムの白さが不良となり、逆に16倍を越えると延伸時に破れを生じやすくなり製膜性が不良となる傾向がある。こうして二軸延伸されたフイルムの平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で150〜230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り本発明の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルムを得る。
【0048】
かくして得られた本発明の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルムは、少なくとも片面の表面に帯電防止層があり、表層部に光安定剤を含有した層があり、かつフイルム内部に微細な気泡が形成され高反射率が達成されており、液晶ディスプレイの反射板として使用された場合に高い輝度を得ることができる。
【0049】
〔物性の測定ならびに効果の評価方法〕
本発明の物性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
【0050】
(1)ガラス転移温度(Tg)
セイコーインスツルメント製 示差走査熱量計(DSC6200)を用い、試料サンプルを10mg試験容器に入れ、装置を20℃/分の速度で300℃まで昇温し、室温まで戻した後20℃/分の速度で300℃まで再度昇温した際のデータを読みとる。Tgは、2回目の昇温DSC曲線におけるベースラインの接線及びガラス転移による吸熱領域の急峻な下降位置の接線との交点であり、これを読みとる。
【0051】
(2)MVR
ASTM D1238に準じ、樹脂温度260℃、荷重2.16kgとして測定した。
【0052】
(3)平均反射率
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U―3310)に積分球を取り付け、標準白色板(酸化アルミニウム、本測定器に付属のもの)の反射を100%とした時の相対反射率を400〜700nmにわたって測定し、反射率とする。得られたチャートより5nm間隔で反射率を読み取り、平均値を計算し、平均反射率とする。
【0053】
(4)表面比抵抗
川口電機製作所製表面比抵抗測定器(MMAII−17A)を使用し、23℃×50%RHの雰囲気下で試料を1日放置。500Vの電圧を引加して1分間放置後、塗布面の表面比抵抗を測定した。ここで使用した電極の型は、同社製(型番P−618)であり、主電極の外径90mm、対電極の内径45mmの同心円電極である。
【0054】
(5)画面の明るさ(輝度)
図4に示したようにサムソン(株)製液晶モニタ(750B)の4灯型バックライトの反射フイルム12を各実施例、比較例にて作製した反射フイルムに変更し測定した。輝度測定は、家庭用電源100Vを使用し、ON/OFFスイッチを切り替えることで電圧を印加。冷陰極管の明るさが均一・一定になるのに1時間待機した。その後に、輝度計15(topcon製BM−7fast)にて、測定距離500mmで輝度を測定した。測定回数は3回とし、その平均値を読みとる。輝度の値の評価には、東レ製反射フイルムE6SL(フイルム各層合計厚み250μm)を100とした相対評価を用いた。
【0055】
(6)光沢度
スガ試験機製・デジタル変角光沢計(UGU―4D)を用いて、JIS K7105に準じ、入射角および受光角を60°に合わせて評価した。
【0056】
(7)層厚み
フイルムを5mm×1cmにサンプリングし、ミクロトームを用いて氷中で断面方向にカットした。透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、カットしたサンプルのポリエステル層(A)、および、ポリエステル層(B)の断面を観察し250倍に拡大した断面写真から積層厚みを換算し求めた。
【0057】
(8)各層合計厚み
定圧厚み測定器として、マイクロメーターM−30(SONY(株)製)を使用し、反射フイルムの層合計厚みを計測した。
【0058】
(9)色調
スガ試験機製カラーメーターSM−6を使用し、C光・2°視野における反射モードでLab色調を測定した。
【0059】
(10)紫外線照射試験
岩崎電気製アイスーパーUVテスター(型番:SUV−W131)を用いてサンプルに紫外線を照射し、照射前後の色調b値を測定することで、耐光性の評価を行った。なお、本発明において、その照射UV量は、波長365nmで100mW/cm2であり、UV照射時間は48時間とした。
【0060】
(11)比重
フイルムを10cm×10cmに正確にサンプリングし、電子天秤(Mettler製AC100)にて0.1mg単位まで正確に秤量する。秤量したサンプルを取りだした後、定圧厚み測定器を使用して、フイルムの各層合計厚みを測定し、以下の式に当てはめて比重を算出した。
比重=(秤量値(g))/(各層合計厚み(μm))×100。
【実施例】
【0061】
本発明を実施例に基づいて説明する。
【0062】
参考例1 層(A)原料の作製
ポリエチレンテレフタレートのチップ(東レ(株)製F20G)、シクロヘキサジメタノール共重合物(イーストマンケミカル社製“PET−G6763”)、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(東レデュポン(株)製“ハイトレル”)を以下の配合量にしたがって、ポリエチレンテレフタレートの重合時に添加したマスターチップを180℃で3時間真空乾燥したのちに、押出し温度を270〜290℃に設定し、ガラス転移温度(Tg)が190℃のシクロオレフィン共重合体(ポリ(5−メチル)ノルボルネン)を以下の配合量で混合し、270〜290℃に加熱された押出機Aに供給することで、ポリエステル層(A)の原料ポリマーを作製した。
・ポリエチレンテレフタレートのチップ(東レ(株)製F20G)51.5質量部
・ガラス転移温度(Tg)が190℃、MVRが10cm/10minのシクロオレフィン共重合体(ポリ(5−メチル)ノルボルネン)を23.5質量部
・シクロヘキサジメタノール共重合物(イーストマンケミカル社製“PET−G6763”)18質量部
・ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(東レデュポン(株)製“ハイトレル”)7質量部
シクロオレフィン共重合体は、共重合比率(モル比)を、Tg190℃にするために、直鎖オレフィン部:シクロオレフィン部=2:8とし、Tg185℃にするために、直鎖オレフィン部:シクロオレフィン部=3:7とし、Tg180℃にするために、直鎖オレフィン部:シクロオレフィン部=3.5:6.5とし、Tg220℃にするために、直鎖オレフィン部:シクロオレフィン部=0:10とした。MVRの変更は、重合時間により分子量を変更することによって目的のMVRのシクロオレフィン共重合体を得た。
【0063】
参考例2 層(B)原料の作製
一方、ポリエチレンテレフタレートのチップを86.32質量部に、トリアジン系光安定剤を3質量部、二酸化チタン粒子を10質量部、蛍光増白剤(イーストマンケミカル社製OB−1)を0.08質量部混合および、平均粒子径が3.2μmのシリカ粒子を0.6質量部、混合し180℃で3時間真空乾燥した後、280℃に加熱された押出機Bに供給することで、ポリエステル層(B)の原料ポリマーを作製した。
【0064】
参考例3 層(C)原料の作製
最後に、帯電防止剤を含有する層(C)を形成する塗布液を、日本カーバイド(株)製塗剤ニカゾールRX−7013ED(アクリル酸系ポリエステル樹脂エマルジョン)および日本NSC製塗剤バーサYE−910(ポリエステルスルホン酸リチウム塩系帯電防止剤)を、固形分質量比において、RX−7013ED/YE−910=90/10で混合したものを水で希釈し、互応化学製界面活性剤RY−2を総液比0.1重量%添加することにより、作製した。
【0065】
[実施例1]
積層構造が、ポリエステル層(B)/ポリエステル層(A)/ポリエステル層(B)となるようにポリマーを積層し、厚み比率で1:23:1となるように積層装置を通して積層し、Tダイによりシート状に成形した。さらにこのフイルムを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フイルムを85〜98℃に加熱温度調整をした7本のロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、帯電防止剤を含有する層(C)を形成する塗布液を、メタリングバーを用いたバーコート方式で塗布し、C層を形成した。得られた塗布フイルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で190℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表1の通りである。
【0066】
[実施例2]
実施例1において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィンのガラス転移温度を(Tg)220℃に変更し、他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表1の通りである。
【0067】
[実施例3]
実施例1において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィンのガラス転移温度を(Tg)185℃に変更し、C層を設けない他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1016Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表1の通りである。
【0068】
[実施例4]
実施例1において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィンの添加量を5質量部に変更し、他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は97%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表1の通りである。
【0069】
[実施例5]
実施例1において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィンの添加量を40質量部に変更し、厚み比は、22:1.5とし、その他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は102%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表1の通りである。
【0070】
[実施例6]
実施例1において、押出機Aに送る原料のシクロヘキサジメタノール(CHDM)共重合体の添加量を0質量部に変更し、他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表1の通りである。
【0071】
[実施例7]
実施例1において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィンをガラス転移温度(Tg)180℃に変更し、他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は99%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表1の通りである。
【0072】
[実施例8]
実施例1において、押出機Aに送る原料中の光安定剤及び二酸化チタンを0質量%に変更し、他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表1の通りである。
【0073】
[比較例1]
実施例1において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィンのガラス転移温度を(Tg)80℃のポリメチルペンテンに変更し、C層を設けない、押出機Bに送る原料中の光安定剤の量を1.5質量部に変更し、その他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は97%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1016Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表1の通りである。
【0074】
[比較例2]
実施例1において、シクロオレフィンのガラス転移温度(Tg)170℃とし、他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は93%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表1の通りである。
【0075】
[比較例3]
実施例1において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィンのガラス転移温度を(Tg)230℃に変更しようと試みたが、Tgが230℃シクロオレフィンは、現時点では重合することができなかった。
【0076】
【表1】

【0077】
表1から分かるとおり、シクロオレフィンのTgが185℃以上の場合、特に反射率・輝度ともに向上することがわかる。また、最終的な輝度を得るためには、シクロオレフィンの添加量は、5重量%〜40重量%が好適である。また、ランプからの耐紫外線(耐光性)を考慮すると光安定剤の効果があることが分かる。
【0078】
[実施例9]
実施例1において、押出機Bに送る原料中の、シリカ粒子の量を0.08質量部に変更し、その他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表2の通りである。
【0079】
[実施例10]
実施例1において、押出機Bに送る原料中の、シリカ粒子の量を0.9質量部に変更し、その他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表2の通りである。
【0080】
[実施例11]
実施例1において、押出機Bに送る原料中の、シリカ粒子の量を2.5質量部に変更し、その他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表2の通りである。
【0081】
[実施例12]
実施例1において、押出機Bに送る原料中の二酸化チタン粒子の量を0質量部に変更し、その他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表2の通りである。
【0082】
[実施例13]
実施例1において、押出機Bに送る原料中の、二酸化チタン粒子の量を5質量部に変更し、その他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表2の通りである。
【0083】
[実施例14]
実施例1において、押出機Bに送る原料中の、光安定剤の量を0.5質量部に変更し、その他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表2の通りである。
【0084】
[実施例15]
実施例1において、押出機Bに送る原料中の、蛍光増白剤の量を0.01質量部に変更し、その他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表2の通りである。
【0085】
[実施例16]
実施例1において、押出機Bに送る原料中の、蛍光増白剤の量を0.5質量部に変更し、その他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表2の通りである。
【0086】
[実施例17]
実施例1において、押出機Bに送る原料中の、光安定剤の量を5質量部に変更し、ポリエステル層(B)の厚みを1μmとし、その他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は102%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表2の通りである。
【0087】
【表2】

【0088】
きしみ音を低減するには、表面を荒らす必要があり、SRaで100nm以上、SRzで1μm以上が好ましい範囲であり、この観点においては、実施例9では好ましくない。また、二酸化チタンと光安定剤の併用系で特に顕著にΔb値を低減することができる。光安定剤の量についても添加量との相関が大きいが、フィルムへの着色及びコストの懸念から5質量部程度が好ましい範囲である。
【0089】
[実施例18]
実施例1の形態から、層(A)の原料作製の際にMVRが2cm/10minのシクロオレフィン共重合体(ポリ(5−メチル)ノルボルネン)を23.5質量部使用し、層(B)には、平均粒径0.7μmの硫酸バリウムとポリエチレンテレフタレート−イソフタル酸共重合体とを含有した層を厚み比率で1:23:1となるように積層装置を通して積層し、Tダイによりシート状に成形した。さらにこのフイルムを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フイルムを85〜98℃に加熱温度調整をした7本のロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、帯電防止剤を含有する層(C)を形成する塗布液を、メタリングバーを用いたバーコート方式で塗布し、C層を形成した。得られた塗布フイルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で190℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は102%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表3の通りである。
【0090】
[実施例19]
実施例18において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィンのMVRを50cm/10minに変更し、他は同様とした。これを、実施例18と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は102%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表3の通りである。
【0091】
[実施例20]
実施例18において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィン共重合体のMVRを3cm/10minに変更し、C層を設けない他は同様とした。これを、実施例1と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1016Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表3の通りである。
【0092】
[実施例21]
実施例1において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィン共重合体のMVRを15cm/10minに変更し、他は同様とした。これを、実施例18と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は102%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表3の通りである。
【0093】
[実施例22]
実施例18において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィン共重合体のMVRを5cm/10minに変更し、他は同様とした。これを、実施例18と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は102%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表3の通りである。
【0094】
[実施例23]
実施例18において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィン共重合体のMVRを7cm/10minに変更し、硫酸バリウム粒子の変わりに平均粒径1μmの炭酸カルシウムを14質量部使用した。その他は同様とした。これを、実施例18と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表3の通りである。
【0095】
[実施例24]
実施例18において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィン共重合体のMVRを5cm/10minに変更し、硫酸バリウム粒子の変わりに平均粒径1μmの炭酸カルシウムを14質量部使用した。その他は同様とした。これを、実施例18と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は101%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表3の通りである。
【0096】
[比較例4]
実施例18において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィン共重合体のMVRを1cm/10minに変更し、他は同様とした。これを、実施例18と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は98%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表3の通りである。
【0097】
[比較例5]
実施例18において、押出機Aに送る原料中のシクロオレフィン共重合体のMVRを55cm/10minに変更し、他は同様とした。これを、実施例18と同様の手法で製膜し、厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの平均反射率は98%、層(C)の表面比抵抗値は1.0×1011Ω/□であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表3の通りであったが、シクロオレフィン共重合体が脆く、加工性に問題があった。
【0098】
【表3】

【0099】
シクロオレフィン共重合体のMVRは、2〜50cm/10minが好適に使用できる範囲である。中でも3〜15cm/10minの範囲が特に高輝度化できる。MVRが50cm/minよりも高い領域では、シクロオレフィン共重合体自体が脆く割れてしまうため、加工性に乏しく好ましくない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、高輝度、耐光性、および除塵性能が要求される反射フイルム用基材及び太陽電池用裏面封止材として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】3層フィルム構成の概念図である。
【図2】2層フィルム構成の概念図である。
【図3】非対称3層フィルム構成の概念図である。
【図4】輝度測定システムの概念図である。
【符号の説明】
【0102】
1.ポリエステルA層
2.ポリエステルB層
3.帯電防止C層
4.蛍光管
5.反射フイルム
6.導光板
7.拡散フイルム
8.輝度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル層(A)および(B)を含む積層構造を有し、その芯層部がポリエステル層(A)、片側または両側の表層部がポリエステル層(B)であって、
ポリエステル層(A)にガラス転移温度(Tg)が180℃以上220℃以下、MVRが2〜50cm/10min(ASTM D1238)であるポリエステルに非相溶な樹脂を含有し、
400〜700nmの光の波長域における平均相対反射率がフイルムの少なくとも片面で99%以上である
液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。
【請求項2】
前記ポリエステルに非相溶な樹脂がシクロオレフィン共重合体樹脂である請求項1記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。
【請求項3】
ポリエステル層(A)にポリアルキレングリコール共重合ポリエステルを含有する請求項1または2に記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。
【請求項4】
ポリエステル層(A)にシクロヘキサジメタノール共重合ポリエステルを含有する請求項1〜3いずれかに記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。
【請求項5】
前記ポリエステル層(B)に硫酸バリウム粒子及び/または炭酸カルシウム粒子をポリエステル層(B)に対して5〜25重量%含有する請求項1〜4いずれかに記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。
【請求項6】
ポリエステル層(B)に光安定剤を含有する請求項1〜5いずれかに記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフィルム。
【請求項7】
請求項1〜6いずれかに記載の白色ポリエステルフィルムに、さらに帯電防止剤を含有する層(C)を積層してなり、該フイルムの少なくとも片側の表面の平均反射率が99%以上、かつ(C)層の表面比抵抗値が1×1013Ω/□以下である液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。
【請求項8】
前記ポリエステル層(B)に含有される光安定剤の含有量が、ポリエステル層(B)の総重量に対し0.1〜5重量%である請求項6に記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。
【請求項9】
前記ポリエステル層(B)に含有される光安定剤が、トリアジン誘導体である請求項8に記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。
【請求項10】
前記シクロオレフィン共重合体を、ポリエステル層(A)の総重量に対して5〜40重量%含有せしめてなる請求項2に記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−42421(P2009−42421A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206195(P2007−206195)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】