液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法
【課題】均一な条件で光を照射できる液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、処理槽と、窓部と、液体流動部と、光照射部と、を備えた液晶パネル製造装置が提供される。前記処理槽は、内部に液体を溜め、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを前記液体中に収容する。前記窓部は、前記処理槽に付設され、前記液体に接し、透光性である。前記液体流動部は、前記被処理パネルと前記窓部との間の前記液体を前記被処理パネルの主面に沿って流動させる。前記光照射部は、前記処理槽の前記内部に収容された前記被処理パネルに、前記窓部を介して、前記光重合性材料が重合する光を照射する。
【解決手段】実施形態によれば、処理槽と、窓部と、液体流動部と、光照射部と、を備えた液晶パネル製造装置が提供される。前記処理槽は、内部に液体を溜め、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを前記液体中に収容する。前記窓部は、前記処理槽に付設され、前記液体に接し、透光性である。前記液体流動部は、前記被処理パネルと前記窓部との間の前記液体を前記被処理パネルの主面に沿って流動させる。前記光照射部は、前記処理槽の前記内部に収容された前記被処理パネルに、前記窓部を介して、前記光重合性材料が重合する光を照射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光重合性材料と液晶とが混合されている液晶層を用いる液晶パネルがある。例えば、高分子分散型液晶においては、高分子のマトリクス中に液晶粒が分散される。さらに、配向性を付与するために、このような液晶層を用いる構成もある。さらに、例えばネマティック液晶とカイラル剤とを混合した液晶と、光重合性材料と、を混合した層に紫外線を照射することで、高分子安定化ブルー相を得ることもできる。
【0003】
このような液晶パネルの製造において、光重合の硬化のために紫外線ランプにより、紫外線を照射する方式がある。この紫外線照射時の液晶パネルの温度はパネル面内で均一であることが望まれている。特に、高分子安定化ブルー相を用いる構成においては、光照射時のパネル面内の温度むらが表示特性のむらに与える影響が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−251338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、略均一な条件で光を照射できる液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、処理槽と、窓部と、液体流動部と、光照射部と、を備えた液晶パネル製造装置が提供される。前記処理槽は、内部に液体を溜め、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを前記液体中に収容する。前記窓部は、前記処理槽に付設され、前記液体に接し、透光性である。前記液体流動部は、前記被処理パネルと前記窓部との間の前記液体を前記被処理パネルの主面に沿って流動させる。前記光照射部は、前記処理槽の前記内部に収容された前記被処理パネルに、前記窓部を介して、前記光重合性材料が重合する光を照射する。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、液晶パネルの製造方法が提供される。前記製造方法は、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを、透光性を有する窓部が付設された処理槽の内部に導入した液体中に収容することを含む。前記製造方法は、前記被処理パネルと前記窓部とに接する前記液体を前記被処理パネルの主面に沿って流動させつつ、前記被処理パネルに前記窓部を介して前記光重合性材料が重合する光を照射することをさらに含む。
【発明の効果】
【0008】
実施形態によれば、略均一な条件で光を照射できる液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
【図2】第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的平面図である。
【図3】液晶パネル製造装置の特性を例示するグラフ図である。
【図4】図4(a)及び図4(b)は、参考例の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
【図5】第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の一部の構成を例示する模式的斜視図である。
【図6】第1の実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の特性を例示するグラフ図である。
【図8】第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の一部の構成を例示する模式的断面図である。
【図9】第1の実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
【図10】第2の実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
【図11】第3の実施形態に係る液晶パネルの製造方法を例示するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
図1においては、構成要素の一部の断面が図示され、他の一部が模式的に図示されている。
図2は、第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的平面図である。
なお、図2においては、図1に例示された要素の一部が省略されている。
【0012】
図1及び図2に表したように、実施形態に係る液晶パネル製造装置110は、処理槽10と、窓部12と、液体流動部20と、光照射部30と、を備える。
【0013】
処理槽10は、処理槽10の内部に液体50を溜める。処理槽10は、被処理パネル40を液体50中に収容する。窓部12は、処理槽10に付設される。窓部12は、液体50に接する。窓部12は、透光性である。
【0014】
処理槽10には、例えば、ステンレス鋼などを用いることができる。窓部12として、紫外線透過性のガラスを用いることができる。窓部12として、例えば、石英ガラス及びホウ珪酸ガラスの少なくともいずれかを用いることができる。窓部12として、例えば、PYREX(登録商標)を用いることができる。
【0015】
この例では、処理槽10は、容器11と窓部12とを含む。容器11は、容器11の内部に液体50を溜める。容器11は、液体50中に被処理パネル40を収容する。
【0016】
例えば、処理槽10は、被処理パネル40を保持するパネル保持部15を含む。パネル保持部15は、例えば、ベース部15aと、軸部15bと、アーム部15cと、載置部15dと、を含む。ベース部15aは、容器11の底部に固定される。軸部15bは、ベース部15aに固定される。アーム部15cは、載置部15dと軸部15bとを結合する。例えば、アーム部15cの長さは可変である。載置部15dの上に被処理パネル40が載せられる。被処理パネル40の上面及び下面には空間がある。その空間に、液体50が充填される。
【0017】
窓部12は、液体50を介して被処理パネル40に対向する。すなわち、窓部12と被処理パネル40との間の液体50は、窓部12と被処理パネル40とに接する。
【0018】
被処理パネル40は、液晶層43を含む。液晶層43は、光重合性材料と液晶組成物とを含む。液晶組成物は、例えばネマティック液晶とカイラル剤とを含む。光重合性材料は、例えば紫外線硬化型のモノマーを含む。光重合性材料は、例えばアクリル系のモノマーを含む。実施形態は、これに限らず、任意の光重合性材料を用いることができ、任意の液晶組成物を用いることができる。
【0019】
被処理パネル40は、例えば、第1基板41と、第2基板42と、をさらに含む。第2基板42は、第1基板41に対向する。第1基板41と第2基板42との間に液晶層43が配置される。第1基板41と第2基板42との間において、液晶層43の周囲にシール剤(図示しない)が設けられる。これにより、液晶層43は、第1基板41、第2基板42及びシール剤により密閉されている。
【0020】
被処理パネル40は、第1主面40a(主面)と、第2主面40bと、を有する、第1主面40aは、窓部12に対向する側の面である。第2主面40bは、第1主面40aとは反対の側の面である。
【0021】
液体流動部20は、被処理パネル40と窓部12との間の液体50を被処理パネル40の主面(例えば第1主面40a)に沿って流動させる。すなわち、液体流動部20は、被処理パネル40と窓部12との間に液体50を流す。さらに、液体流動部20は、被処理パネル40の第2主面40b(窓部12とは反対側の面)に接する液体50をさらに流動させることができる。
【0022】
これにより、液体50は、被処理パネル40の第1主面40aに沿って流れる。また、液体50は、被処理パネル40の第2主面40bに沿って流れる。このように、被処理パネル40の主面に沿って液体50が流れることで、被処理パネル40の温度の均一性が高まる。
【0023】
光照射部30は、処理槽10の内部に収容された被処理パネル40に、窓部12を介して、光重合性材料が重合する光30Lを照射する。
【0024】
上記のように、実施形態においては、被処理パネル40の主面に沿って液体50が流れることで、被処理パネル40の温度の均一性が高い。これにより、被処理パネル40の温度の均一性が高い状態で、被処理パネル40に光が照射される。そして、光重合性材料が重合し、液晶パネルが作製される。
【0025】
液晶パネル製造装置110によれば、均一な条件(具体的には均一な温度分布)で光を照射できる。
【0026】
図1に表したように、液晶パネル製造装置110においては、光照射部30から窓部12に向かう軸(光照射部30から、窓部12のうちで光照射部30に最も近い部分に向かう方向の軸)は、重力の方向(Z方向)に対して、実質的に平行である。例えば、窓部12の主面は、Z方向に対して実質的に垂直である。被処理パネル40の主面は、Z方向に対して実質的に垂直である。
【0027】
液体流動部20は、例えば、液体50の温度を制御する温度制御部23を含むことができる。液体流動部20は、例えば、供給部21と、供給配管21pと、排出部22と、排出配管22pと、をさらに含むことができる。
【0028】
供給部21は、液体50を処理槽10内に供給する。排出部22は、処理槽10内から液体50を排出する。供給配管21pは、温度制御部23と供給部21とを連結する。排出配管22pは、排出部22と温度制御部23とを連結する。
【0029】
供給部21から処理槽10の内部に供給された液体50は、被処理パネル40の第1主面40aに沿って流れ、排出部22から排出される。また、液体50は、被処理パネル40の第2主面40bに沿って流れ、排出部22から排出される。排出部22により排出された液体50は、温度制御部23に到達する。
【0030】
温度制御部23は、液体50の温度を制御する。温度制御部23は、液体50を加熱する。または、温度制御部23は、液体50を冷却する。これにより、液体50の温度は所望の温度に制御される。温度制御部23を出た液体50は、供給配管21pを経由して供給部21に到達する。そして、液体50は、供給部21から処理槽10に再度供給される。このように、液体50は、処理槽10の外部に設けられる温度制御部23を経由しながら循環される。
【0031】
ただし、上記は、一例であり、実施形態において液体流動部20の構成は任意である。例えば、液体50は、処理槽10の内部だけで流動しても良い。
【0032】
液体50は、例えば水である。液体50として、例えば、紫外線透過性に優れる純水または超純水を用いることができる。実施形態はこれに限らず液体50には、技術的に可能な任意の材料を用いることができる。液体50の温度は制御される。例えば液体50の温度は、25℃以上90℃以下である。
【0033】
図2に表したように、供給部21は、複数の開口部21oを有することができる。また、排出部22は、複数の開口部22oを有することができる。複数の開口部21oから液体50を供給し、複数の開口部22oから液体50を排出することで、液体50の流れがより均一化される。
【0034】
開口部22oが複数の場合には、中央側の流れが速く、端部側の流れは遅くなりやすく、中央と端部とで温度差が生じやすくなる。これに対し、例えば、端部側の穴を中央側の穴よりも大きくしても良い。また、端部側の穴の数を中央側の穴の数よりも多くしても良い。このような構成により、上記の流れのむらを抑制することができる。
【0035】
処理槽10内において、供給部21と排出部22との間に被処理パネル40が配置される。均一な流れの液体50に被処理パネル40が接することで、被処理パネル40の温度の面内の均一性がさらに高まる。
【0036】
これにより、被処理パネル40の温度の均一性が高い状態で、被処理パネル40に光が照射される。
【0037】
被処理パネル40と窓部12との間の液体50の流れの速度は、例えば1m/s(メートル/秒)以上、10m/s以下である。流れの速度が高いと、被処理パネル40の温度の均一性が高まる。
【0038】
図1に例示したように、光照射部30は、例えば、光源31と、リフレクタ32と、長波長光カットフィルタ33と、短波長光カットフィルタ34と、を含むことができる。光源31は、光重合性材料が重合する光を生成する。光源31は、リフレクタ32と窓部12との間に配置される。リフレクタ32は、光源31から出射した光の一部を反射し、その光を窓部12に向かわせる。
【0039】
長波長光カットフィルタ33は、光源31と、処理槽10の被処理パネル40の収容の位置と、の間に設けられる。長波長光カットフィルタ33は、例えば赤外線を減衰させる赤外線カットフィルタである。長波長光カットフィルタ33は、例えば例えば400ナノメートル(nm)以上の波長の光を減衰させる。これにより、光30Lが照射される被処理パネル40の温度の上昇が抑制される。
【0040】
短波長光カットフィルタ34は、光源31と、処理槽10の被処理パネル40の収容の位置と、の間に設けられる。短波長光カットフィルタ34は、例えば340nm以下の波長の光を減衰させる。これにより、例えば、被処理パネル40に含まれる材料(例えば有機材料)が光30Lにより劣化することが抑制される。
なお、処理槽10の窓部12は、光30Lに対して透過性を有する。
【0041】
これにより、光重合性材料が重合するために必要な波長の光が効率良く、被処理パネル40に照射される。
ただし、上記のようなフィルタを設けた場合においても、光30Lの照射によって被処理パネル40の温度は完全には一定にはし難く、被処理パネル40の温度は上昇する。
【0042】
図3は、液晶パネル製造装置の特性を例示するグラフ図である。
図3は、液晶パネルの製造において被処理パネル40に光30Lを照射したときの被処理パネル40の温度変化を例示している。この図には、実施形態に係る液晶パネル製造装置110における特性と、第1参考例の液晶パネル製造装置119aにおける特性と、が示されている。第1参考例の液晶パネル製造装置119aにおいては、被処理パネル40と窓部12との間の液体50が流動していない。すなわち、液体流動部20が設けられていない。それ以外の構成は、液晶パネル製造装置110と同じである。
【0043】
光30Lを照射する時間は30秒(s)である。図3の横軸は、時間tである。時間tが0〜30秒の期間は、光30Lが照射されている期間に相当する。時間tが30秒よりも長い期間は、光30Lの照射の期間が終了した後の期間に相当する。
【0044】
図3の縦軸は、被処理パネル40の温度Tpを示す。図3においては、液晶パネル製造装置110において2本の曲線が示されている。この2本の曲線は、被処理パネル40の面内で温度が高い領域の温度Tpと、温度が低い領域の温度Tpと、にそれぞれ対応する。同様に、液晶パネル製造装置119aにおいて2本の曲線が示されている。この2本の曲線は、被処理パネル40の面内で温度が高い領域の温度Tpと、温度が低い領域の温度Tpと、にそれぞれ対応する。図3において、温度Tpは、基準温度Tsを用いて表示されている。
【0045】
図3に表したように、第1参考例の液晶パネル製造装置119aにおいては、時間tの経過と共に温度Tpが大きく上昇している。例えば、光30Lの照射の前の温度Tpに比べて、光照射の終了時(時間tが30秒のとき)の温度Tpは、約3.5℃上昇している。さらに、温度が高い領域の温度Tpと、温度が低い領域の温度Tpと、の差は、約1.5℃であり、大きい。
【0046】
第1参考例においては、被処理パネル40と窓部12との間の液体50が流動していないため、光30Lの照射によって、被処理パネル40が加熱され、温度の上昇が大きいと考えられる。さらに、被処理パネル40の内において放熱性が不均一であるため、被処理パネル40の面内での温度のばらつきも大きいと考えられる。
【0047】
一方、実施形態に係る液晶パネル製造装置110においては、温度Tpの変化は小さい。例えば、光30Lの照射の前の温度Tpから、光照射の終了時(時間tが30秒のとき)の温度Tpへの温度の上昇は、約1.0℃である。さらに、温度が高い領域の温度Tpと、温度が低い領域の温度Tpと、の差は、約0.3℃であり、非常に小さい。
【0048】
実施形態においては、被処理パネル40と窓部12との間の液体50が流動しているので、被処理パネル40の温度が液体50により奪われ、温度の上昇が小さいと考えられる。さらに、被処理パネル40内において均一に放熱されるため、被処理パネル40の面内での温度のばらつきが小さいと考えられる。
【0049】
液晶パネル製造装置110によれば、被処理パネル40に光30Lが照射されるときの被処理パネル40内の最高温度と最低温度との差は、例えば、5℃以下、好ましくは1℃以下にできる。
このように、実施形態によれば、均一な条件で光を照射できる。
【0050】
図4(a)及び図4(b)は、参考例の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
すなわち、図4(a)は、第2参考例の液晶パネル製造装置119bに対応し、図4(b)は、第3参考例の液晶パネル製造装置119cに対応する。
【0051】
図4(a)に表したように、液晶パネル製造装置119bにおいては、窓部12が設けられていない。このため、液晶パネル製造装置119bにおいては、被処理パネル40の上の液体50が流動するときに、液体50の表面に波が発生し易い。また、液体50の表面に泡が発生し易い。このような波や泡が発生すると、被処理パネル40の面内の温度が不均一になり易い。さらに、波や泡により、光30Lの光路が変化し、被処理パネル40に照射される光30Lの強度にむらが発生し易い。このように、第2参考例においては、光30Lを被処理パネル40に照射する際に、温度や光の強度が不均一である。
【0052】
これに対し、液晶パネル製造装置110においては、窓部12を設けているので、波や泡の発生が抑制できる。これにより、光30Lを被処理パネル40に照射する際の温度や光の強度が均一にできる。
【0053】
図4(b)に表したように、液晶パネル製造装置119cにおいては、光源31が液体50中に埋没している。このため、光源31の熱が、液体50を介して被処理パネル40に伝わり易い。このため、第3参考例においては、被処理パネル40の温度が上昇し易い。そして、面内の温度も不均一になり易い。
【0054】
これに対し、液晶パネル製造装置110においては、光源31(光照射部30)は、窓部12の外に設けられる。このため、窓部12と光源31(光照射部30)との間に例えば空気が介在できる。これにより、熱の伝達を抑制できる。これにより、被処理パネル40の温度が上昇し難く、温度は面内で均一である。
【0055】
なお、窓部12と液体50とが接触せず、窓部12と液体50との間に間隙が存在する構成も考えられる。この構成においては、光の均一性を妨げる水滴が窓部12に付着する。液体50の温度が高いときは、湯気となって曇らせさらに透過性を妨げる。
【0056】
これに対し、液晶パネル製造装置110においては、窓部12が、液体50に接触しているので、波及び泡の発生を抑制し、さらに、曇りの発生も抑制する。これにより、さらに光30Lの強度の均一性が維持される。
【0057】
液体50の温度は、例えば室温よりも高い。液体50の温度は、例えば40℃以上である。すなわち、被処理パネル40に光30Lが照射されるときの被処理パネル40の温度は、例えば40℃以上である。このように、液体50の温度が40℃のときに液体50は蒸発し易い。実施形態においては、このような条件においても、曇りの発生が抑制される。
【0058】
図5は、第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の一部の構成を例示する模式的斜視図である。
同図は、窓部12の構成の例を示している。図5に表したように、窓部12は、内側部12cと、枠部12pと、を有することができる。枠部12pの厚さは、内側部12cよりも厚い。窓部12の液体50に接する側の面(下面)は窓部12の全体に渡って平面である。すなわち、内側部12cの下面と枠部12pの下面とは、同一平面上にある。枠部12pは、内側部12cよりも上面側に突出している。このような構成を用いることで、窓部12の上面、特に内側部12cに液体50(または液滴)がのることが抑制できる。窓部12の上面に液体50がのると、光の照射が不均一になることがあるが、上記の構成を用いることで均一に光を照射できる。
【0059】
図6は、第1の実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
図6に表したように、実施形態に係る別の液晶パネル製造装置111においては、窓部12が液体50を覆っている。すなわち、液体50は、処理槽10により実質的に密閉されている。これにより、例えば、液体50の蒸発により、液体50のガスが処理槽10の外部に流出することが抑制できる。これにより、液体50の温度の制御の精度が向上する。さらに、液晶パネル製造装置111を設置した場所の周囲への悪影響が抑制できる。
【0060】
図7(a)及び図7(b)は、第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の特性を例示するグラフ図である。
すなわち、図7(a)は、光源31で生成された光(長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34を通過する前)の特性を例示している。図7(b)は、光源31から出射した光が、長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34を通過した後の光(光30L)の特性を例示している。これらの図の横軸は、波長λである。図7(a)の縦軸は、光の相対強度LIである。図7(b)の縦軸は、光の相対強度LIである。この例では、光源として鉄メタルハライドランプが用いられている。
【0061】
図7(a)に表したように、光源31から生成された光は、300nm〜340nm程度の短波長領域と、400nm〜460nm程度の長波長領域においても光の相対強度LIが大きい。
【0062】
これに対し、図7(b)に表したように、長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34を通過した後の光(光30L)においては、波長が340nm以下の領域、及び、波長が400nmの以上の領域の相対強度LIが非常に低くなっている。
【0063】
このように、長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34を用いることで、被処理パネル40の光重合性材料が重合するために必要な波長の光が効率良く、被処理パネル40に照射される。
【0064】
図8は、第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の一部の構成を例示する模式的断面図である。
同図は、光照射部30の構成の別の例を示している。
図8に表したように、この例においては、光照射部30は、光源31と、2重管液冷部35と、を含む。光源31は、光重合性材料が重合する光(例えば紫外線)を放出する。
【0065】
2重管液冷部35は、内管35iと、外管35oと、中間壁35mと、を含む。内管35iは、光源31と離間し光源31を内包する。外管35oは、内管35iの外側に設けられる。中間壁35mは、内管35iと外管35oとの間に設けられる。内管35iと中間壁35mとの間には、冷却液35lが導入可能である。外管35oと中間壁35mとの間には、冷却液35lが導入可能である。冷却液35lは、内管35iと中間壁35mとの間の空間、及び、外管35oと中間壁35mとの間の空間を相互に循環可能である。これにより、冷却効率が高い。
【0066】
また、中間壁35mは、長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34の少なくともいずれかの機能を有することができる。例えば、中間壁35mは、赤外線カットフィルタである。窓部12をフィルタの機能を兼ねさせるようにしてもよい。特に、赤外線カットフィルタや熱線吸収フィルタを形成するのが望ましい。これにより、中間壁35mを省略できる。また、赤外線により温度が上昇する窓部12を処理槽10の液体50によって水冷することができる。
【0067】
また、内管35i及び外管35oの少なくともいずれかは、長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34の少なくともいずれかの機能を有することができる。これにより、長波長光カットフィルタ33または短波長光カットフィルタ34を別途設けることが省略できる。
【0068】
図9は、第1の実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
図9に表したように、実施形態に係る別の液晶パネル製造装置112においては、処理槽10は、被処理パネル40を保持するパネル保持部15を含む。パネル保持部15は、被処理パネル40の主面(例えば第1主面40a)に対して垂直な方向を軸にして、被処理パネル40を回転させる。例えば、軸部15bを軸にして、アーム部15cが回転する。これにより、載置部15dに載せられた被処理パネル40が軸部15bを軸にして回転する。
【0069】
すなわち、液晶パネル製造装置112においては、被処理パネル40を回転しつつ被処理パネル40に光30Lを照射可能である。
【0070】
これにより、被処理パネル40の温度が面内でさらに均一化される。そして、被処理パネル40へ照射される光30Lの強度が面内でさらに均一化される。
【0071】
(第2の実施の形態)
図10は、第2の実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
図10に表したように、実施形態に係る液晶パネル製造装置120は、処理槽10と、窓部12と、液体流動部20と、光照射部30と、を備える。
【0072】
液晶パネル製造装置120においては、光照射部30から窓部12に向かう軸(光照射部30から、窓部12のうちで光照射部30に最も近い部分に向かう方向の軸)は、重力の方向(Z方向)に対して実質的に垂直である。例えば、窓部12の主面は、Z方向に対して実質的に平行である。被処理パネル40の主面は、Z方向に対して実質的に平行である。
【0073】
例えば、処理槽10の上部分に供給部21が設けられ、下部分に排出部22が設けられる。供給部21から液体50が供給され、液体50は下に向かって流動し、液体50は排出部22から排出される。
【0074】
被処理パネル40と窓部12との間の液体50は、被処理パネル40の主面(第1主面40a)に沿って流動する。さらに、被処理パネル40の窓部12とは反対側の面(第2主面40b)に接する液体50が流動する。
【0075】
液晶パネル製造装置120においても、被処理パネル40の面内の温度の均一性が高い。すなわち、均一な条件で光30Lを照射できる。液晶パネル製造装置120においては、例えば、装置の設置面積を小さくすることができる。
【0076】
なお、液晶パネル製造装置120において、例えば、処理槽10の下部分に供給部21が設けられ、上部分に排出部22が設けられても良い。
【0077】
第1の実施形態においては、被処理パネル40の主面は、Z方向に対して実質的に垂直であり、第2の実施形態においては、被処理パネル40の主面は、Z方向に対して実質的に平行であるが、実施形態はこれに限らない。実施形態において、被処理パネル40の主面は、Z方向に対して傾斜していても良い。被処理パネル40の主面がZ方向に対して傾斜することで、例えば、被処理パネル40の液体50への導入及び取り出しが容易になる。
【0078】
(第3の実施の形態)
図11は、第3の実施形態に係る液晶パネルの製造方法を例示するフローチャート図である。
図11に表したように、実施形態に係る液晶パネルの製造方法においては、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層43を含む被処理パネル40を、透光性を有する窓部12が付設された処理槽10の内部に導入した液体50中に収容する(ステップS110)。
【0079】
被処理パネル40と窓部12とに接する液体50を被処理パネル40の主面(例えば第1主面40a)に沿って流動させつつ、被処理パネル40に窓部12を介して光重合性材料が重合する光30Lを照射する(ステップS120)。
これにより、被処理パネル40の面内の温度の均一性が高い。この製造方法によれば、均一な条件で光を照射できる。
【0080】
図11に表したように、例えば、ステップS110とステップS120との間において、液晶層43の温度が制御される。例えば、被処理パネル40の温度を均一にし、被処理パネルの全体にブルー相を出現させる。このように、ステップS120の光30Lの照射は、例えば、液晶層43の全体にブルー相が出現するように液晶層43の温度を制御した後に実施される。これにより、均一な特性を有する高分子安定化ブルー相の液晶パネルが得られる。
【0081】
本製造方法においては、液体50の温度は制御される(ステップS115)。また、光30Lの照射は、被処理パネル40の主面に対して垂直な方向を軸にして前記被処理パネルを回転させつつ行われることができる。
【0082】
光30Lの照射は、被処理パネル40の窓部12とは反対側の面(第2主面40b)に接する液体50をさらに流動させつつ行われることができる。
【0083】
被処理パネル40の主面は、重力の方向に対して実質的に垂直である。または、被処理パネル40の主面は、重力の方向に対して実質的に平行である。または、被処理パネル40の主面は、重力の方向に対して傾斜している。
【0084】
被処理パネル40に光30Lが照射されるときの被処理パネル40の温度は、例えば40℃以上である。曇りの発生を抑制する効果が特に発揮される。
【0085】
光30Lの照射は、340nm以下の波長の光を減衰させる短波長光カットフィルタ34、及び、光重合性材料が重合する光の波長よりも長い波長の光を減衰させる長波長光カットフィルタ33の少なくともいずれかを介した照射を含む。
【0086】
液晶層43は、ブルー相を有することができる。高分子安定化ブルー相においては、光30Lを照射するときの温度が高い精度で制御されていることが特に要求される。高分子安定化ブルー相に本製造方法を適用することで均一な条件で光を照射でき、所望の特性の液晶パネルが製造できる。
【0087】
ブルー相は、例えば2重ねじれ構造のフラストレーション系の構成を有する。ブルー相の液晶層43は、例えば、可視光の波長に対応する長さの3次元周期構造を有する。ブルー相においては、例えばフォトニクスの特性が得られる。ブルー相においては、高速の電気光学応答が得られる。
ただし、実施形態において、被処理パネル40の構成は任意である。
【0088】
被処理パネル40において、例えば、第1基板41は、複数の薄膜トランジスタ(TFT)を含む。複数の薄膜トランジスタのそれぞれに画素電極が接続される。第1基板41及び第2基板42のいずれかにカラーフィルタが設けられる。光30Lは、カラーフィルタが設けられない基板を介して液晶層43に照射されることが望ましい。これにより、例えば、光30Lがカラーフィルタで吸収されることが抑制できる。これにより、温度の上昇が抑制できる。また、カラーフィルタの特性が劣化することが抑制できる。
【0089】
このように、被処理パネル40は、カラーフィルタを有するカラーフィルタ基板と、カラーフィルタ基板に対向する対向基板(例えばTFT基板)と、カラーフィルタ基板と対向基板との間に設けられた液晶層と、を含むことができる。対向基板には、例えば、複数の薄膜トランジスタを設けることができる。また、複数の薄膜トランジスタが設けられた基板にカラーフィルタを設けても良い。
【0090】
光照射部30は、対向基板の側から被処理パネル40に光を照射する。そして、液体流動部20は、被処理パネル40の側の面に接する液体50を流動させ、さらに、被処理パネル40の窓部12とは反対側の面に接する液体50をさらに流動させることができる。対向基板の側から光を照射することで温度の上昇が抑制できる。対向基板の側から光を照射しても温度は上昇するため、カラーフィルタ基板の側の液体50を流動させることで、温度の上昇が抑制できる。
【0091】
被処理パネル40において、例えば、第2基板42に画素電極に対向する対向電極が設けられる。液晶層43には、第1基板41から第2基板42に向かう軸に沿った電界が印加される。
【0092】
または、例えば、第1基板41に画素電極に対向する対向電極が設けられる。液晶層43には、第1基板41から第2基板42に向かう軸に対して垂直な成分を有する電界が印加される。
【0093】
実施形態によれば、均一な条件で光を照射できる液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法が提供される。
【0094】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0095】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、液晶パネル製造装置に含まれる処理槽、窓部、液体流動部、光照射部、光源などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0096】
その他、本発明の実施の形態として上述した液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0097】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
10…処理槽、 11…容器、 12…窓部、 12c…内側部、 12p…枠部、 15…パネル保持部、 15a…ベース部、 15b…軸部、 15c…アーム部、 15d…載置部、 20…液体流動部、 21…供給部、 21o…開口部、 21p…供給配管、 22…排出部、 22i…開口部、 22p…排出配管、 23…温度制御部、 30…光照射部、 30L…光、 31…光源、 32…リフレクタ、 33…長波長光カットフィルタ、 34…短波長光カットフィルタ、 35…2重管液冷部、 35i…内管、 35l…冷却液、 35m…中間壁、 35o…外管、 40…被処理パネル、 40a…第1主面(主面)、 40b…第2主面、 41…第1基板、 42…第2基板、 43…液晶層、 50…液体、 110、111、112、119a、119b、119c、120…液晶パネル製造装置、 λ…波長、 LI…光の相対強度、 Tp…温度、 Ts…基準温度、 t…時間
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光重合性材料と液晶とが混合されている液晶層を用いる液晶パネルがある。例えば、高分子分散型液晶においては、高分子のマトリクス中に液晶粒が分散される。さらに、配向性を付与するために、このような液晶層を用いる構成もある。さらに、例えばネマティック液晶とカイラル剤とを混合した液晶と、光重合性材料と、を混合した層に紫外線を照射することで、高分子安定化ブルー相を得ることもできる。
【0003】
このような液晶パネルの製造において、光重合の硬化のために紫外線ランプにより、紫外線を照射する方式がある。この紫外線照射時の液晶パネルの温度はパネル面内で均一であることが望まれている。特に、高分子安定化ブルー相を用いる構成においては、光照射時のパネル面内の温度むらが表示特性のむらに与える影響が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−251338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、略均一な条件で光を照射できる液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、処理槽と、窓部と、液体流動部と、光照射部と、を備えた液晶パネル製造装置が提供される。前記処理槽は、内部に液体を溜め、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを前記液体中に収容する。前記窓部は、前記処理槽に付設され、前記液体に接し、透光性である。前記液体流動部は、前記被処理パネルと前記窓部との間の前記液体を前記被処理パネルの主面に沿って流動させる。前記光照射部は、前記処理槽の前記内部に収容された前記被処理パネルに、前記窓部を介して、前記光重合性材料が重合する光を照射する。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、液晶パネルの製造方法が提供される。前記製造方法は、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを、透光性を有する窓部が付設された処理槽の内部に導入した液体中に収容することを含む。前記製造方法は、前記被処理パネルと前記窓部とに接する前記液体を前記被処理パネルの主面に沿って流動させつつ、前記被処理パネルに前記窓部を介して前記光重合性材料が重合する光を照射することをさらに含む。
【発明の効果】
【0008】
実施形態によれば、略均一な条件で光を照射できる液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
【図2】第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的平面図である。
【図3】液晶パネル製造装置の特性を例示するグラフ図である。
【図4】図4(a)及び図4(b)は、参考例の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
【図5】第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の一部の構成を例示する模式的斜視図である。
【図6】第1の実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の特性を例示するグラフ図である。
【図8】第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の一部の構成を例示する模式的断面図である。
【図9】第1の実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
【図10】第2の実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
【図11】第3の実施形態に係る液晶パネルの製造方法を例示するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
図1においては、構成要素の一部の断面が図示され、他の一部が模式的に図示されている。
図2は、第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的平面図である。
なお、図2においては、図1に例示された要素の一部が省略されている。
【0012】
図1及び図2に表したように、実施形態に係る液晶パネル製造装置110は、処理槽10と、窓部12と、液体流動部20と、光照射部30と、を備える。
【0013】
処理槽10は、処理槽10の内部に液体50を溜める。処理槽10は、被処理パネル40を液体50中に収容する。窓部12は、処理槽10に付設される。窓部12は、液体50に接する。窓部12は、透光性である。
【0014】
処理槽10には、例えば、ステンレス鋼などを用いることができる。窓部12として、紫外線透過性のガラスを用いることができる。窓部12として、例えば、石英ガラス及びホウ珪酸ガラスの少なくともいずれかを用いることができる。窓部12として、例えば、PYREX(登録商標)を用いることができる。
【0015】
この例では、処理槽10は、容器11と窓部12とを含む。容器11は、容器11の内部に液体50を溜める。容器11は、液体50中に被処理パネル40を収容する。
【0016】
例えば、処理槽10は、被処理パネル40を保持するパネル保持部15を含む。パネル保持部15は、例えば、ベース部15aと、軸部15bと、アーム部15cと、載置部15dと、を含む。ベース部15aは、容器11の底部に固定される。軸部15bは、ベース部15aに固定される。アーム部15cは、載置部15dと軸部15bとを結合する。例えば、アーム部15cの長さは可変である。載置部15dの上に被処理パネル40が載せられる。被処理パネル40の上面及び下面には空間がある。その空間に、液体50が充填される。
【0017】
窓部12は、液体50を介して被処理パネル40に対向する。すなわち、窓部12と被処理パネル40との間の液体50は、窓部12と被処理パネル40とに接する。
【0018】
被処理パネル40は、液晶層43を含む。液晶層43は、光重合性材料と液晶組成物とを含む。液晶組成物は、例えばネマティック液晶とカイラル剤とを含む。光重合性材料は、例えば紫外線硬化型のモノマーを含む。光重合性材料は、例えばアクリル系のモノマーを含む。実施形態は、これに限らず、任意の光重合性材料を用いることができ、任意の液晶組成物を用いることができる。
【0019】
被処理パネル40は、例えば、第1基板41と、第2基板42と、をさらに含む。第2基板42は、第1基板41に対向する。第1基板41と第2基板42との間に液晶層43が配置される。第1基板41と第2基板42との間において、液晶層43の周囲にシール剤(図示しない)が設けられる。これにより、液晶層43は、第1基板41、第2基板42及びシール剤により密閉されている。
【0020】
被処理パネル40は、第1主面40a(主面)と、第2主面40bと、を有する、第1主面40aは、窓部12に対向する側の面である。第2主面40bは、第1主面40aとは反対の側の面である。
【0021】
液体流動部20は、被処理パネル40と窓部12との間の液体50を被処理パネル40の主面(例えば第1主面40a)に沿って流動させる。すなわち、液体流動部20は、被処理パネル40と窓部12との間に液体50を流す。さらに、液体流動部20は、被処理パネル40の第2主面40b(窓部12とは反対側の面)に接する液体50をさらに流動させることができる。
【0022】
これにより、液体50は、被処理パネル40の第1主面40aに沿って流れる。また、液体50は、被処理パネル40の第2主面40bに沿って流れる。このように、被処理パネル40の主面に沿って液体50が流れることで、被処理パネル40の温度の均一性が高まる。
【0023】
光照射部30は、処理槽10の内部に収容された被処理パネル40に、窓部12を介して、光重合性材料が重合する光30Lを照射する。
【0024】
上記のように、実施形態においては、被処理パネル40の主面に沿って液体50が流れることで、被処理パネル40の温度の均一性が高い。これにより、被処理パネル40の温度の均一性が高い状態で、被処理パネル40に光が照射される。そして、光重合性材料が重合し、液晶パネルが作製される。
【0025】
液晶パネル製造装置110によれば、均一な条件(具体的には均一な温度分布)で光を照射できる。
【0026】
図1に表したように、液晶パネル製造装置110においては、光照射部30から窓部12に向かう軸(光照射部30から、窓部12のうちで光照射部30に最も近い部分に向かう方向の軸)は、重力の方向(Z方向)に対して、実質的に平行である。例えば、窓部12の主面は、Z方向に対して実質的に垂直である。被処理パネル40の主面は、Z方向に対して実質的に垂直である。
【0027】
液体流動部20は、例えば、液体50の温度を制御する温度制御部23を含むことができる。液体流動部20は、例えば、供給部21と、供給配管21pと、排出部22と、排出配管22pと、をさらに含むことができる。
【0028】
供給部21は、液体50を処理槽10内に供給する。排出部22は、処理槽10内から液体50を排出する。供給配管21pは、温度制御部23と供給部21とを連結する。排出配管22pは、排出部22と温度制御部23とを連結する。
【0029】
供給部21から処理槽10の内部に供給された液体50は、被処理パネル40の第1主面40aに沿って流れ、排出部22から排出される。また、液体50は、被処理パネル40の第2主面40bに沿って流れ、排出部22から排出される。排出部22により排出された液体50は、温度制御部23に到達する。
【0030】
温度制御部23は、液体50の温度を制御する。温度制御部23は、液体50を加熱する。または、温度制御部23は、液体50を冷却する。これにより、液体50の温度は所望の温度に制御される。温度制御部23を出た液体50は、供給配管21pを経由して供給部21に到達する。そして、液体50は、供給部21から処理槽10に再度供給される。このように、液体50は、処理槽10の外部に設けられる温度制御部23を経由しながら循環される。
【0031】
ただし、上記は、一例であり、実施形態において液体流動部20の構成は任意である。例えば、液体50は、処理槽10の内部だけで流動しても良い。
【0032】
液体50は、例えば水である。液体50として、例えば、紫外線透過性に優れる純水または超純水を用いることができる。実施形態はこれに限らず液体50には、技術的に可能な任意の材料を用いることができる。液体50の温度は制御される。例えば液体50の温度は、25℃以上90℃以下である。
【0033】
図2に表したように、供給部21は、複数の開口部21oを有することができる。また、排出部22は、複数の開口部22oを有することができる。複数の開口部21oから液体50を供給し、複数の開口部22oから液体50を排出することで、液体50の流れがより均一化される。
【0034】
開口部22oが複数の場合には、中央側の流れが速く、端部側の流れは遅くなりやすく、中央と端部とで温度差が生じやすくなる。これに対し、例えば、端部側の穴を中央側の穴よりも大きくしても良い。また、端部側の穴の数を中央側の穴の数よりも多くしても良い。このような構成により、上記の流れのむらを抑制することができる。
【0035】
処理槽10内において、供給部21と排出部22との間に被処理パネル40が配置される。均一な流れの液体50に被処理パネル40が接することで、被処理パネル40の温度の面内の均一性がさらに高まる。
【0036】
これにより、被処理パネル40の温度の均一性が高い状態で、被処理パネル40に光が照射される。
【0037】
被処理パネル40と窓部12との間の液体50の流れの速度は、例えば1m/s(メートル/秒)以上、10m/s以下である。流れの速度が高いと、被処理パネル40の温度の均一性が高まる。
【0038】
図1に例示したように、光照射部30は、例えば、光源31と、リフレクタ32と、長波長光カットフィルタ33と、短波長光カットフィルタ34と、を含むことができる。光源31は、光重合性材料が重合する光を生成する。光源31は、リフレクタ32と窓部12との間に配置される。リフレクタ32は、光源31から出射した光の一部を反射し、その光を窓部12に向かわせる。
【0039】
長波長光カットフィルタ33は、光源31と、処理槽10の被処理パネル40の収容の位置と、の間に設けられる。長波長光カットフィルタ33は、例えば赤外線を減衰させる赤外線カットフィルタである。長波長光カットフィルタ33は、例えば例えば400ナノメートル(nm)以上の波長の光を減衰させる。これにより、光30Lが照射される被処理パネル40の温度の上昇が抑制される。
【0040】
短波長光カットフィルタ34は、光源31と、処理槽10の被処理パネル40の収容の位置と、の間に設けられる。短波長光カットフィルタ34は、例えば340nm以下の波長の光を減衰させる。これにより、例えば、被処理パネル40に含まれる材料(例えば有機材料)が光30Lにより劣化することが抑制される。
なお、処理槽10の窓部12は、光30Lに対して透過性を有する。
【0041】
これにより、光重合性材料が重合するために必要な波長の光が効率良く、被処理パネル40に照射される。
ただし、上記のようなフィルタを設けた場合においても、光30Lの照射によって被処理パネル40の温度は完全には一定にはし難く、被処理パネル40の温度は上昇する。
【0042】
図3は、液晶パネル製造装置の特性を例示するグラフ図である。
図3は、液晶パネルの製造において被処理パネル40に光30Lを照射したときの被処理パネル40の温度変化を例示している。この図には、実施形態に係る液晶パネル製造装置110における特性と、第1参考例の液晶パネル製造装置119aにおける特性と、が示されている。第1参考例の液晶パネル製造装置119aにおいては、被処理パネル40と窓部12との間の液体50が流動していない。すなわち、液体流動部20が設けられていない。それ以外の構成は、液晶パネル製造装置110と同じである。
【0043】
光30Lを照射する時間は30秒(s)である。図3の横軸は、時間tである。時間tが0〜30秒の期間は、光30Lが照射されている期間に相当する。時間tが30秒よりも長い期間は、光30Lの照射の期間が終了した後の期間に相当する。
【0044】
図3の縦軸は、被処理パネル40の温度Tpを示す。図3においては、液晶パネル製造装置110において2本の曲線が示されている。この2本の曲線は、被処理パネル40の面内で温度が高い領域の温度Tpと、温度が低い領域の温度Tpと、にそれぞれ対応する。同様に、液晶パネル製造装置119aにおいて2本の曲線が示されている。この2本の曲線は、被処理パネル40の面内で温度が高い領域の温度Tpと、温度が低い領域の温度Tpと、にそれぞれ対応する。図3において、温度Tpは、基準温度Tsを用いて表示されている。
【0045】
図3に表したように、第1参考例の液晶パネル製造装置119aにおいては、時間tの経過と共に温度Tpが大きく上昇している。例えば、光30Lの照射の前の温度Tpに比べて、光照射の終了時(時間tが30秒のとき)の温度Tpは、約3.5℃上昇している。さらに、温度が高い領域の温度Tpと、温度が低い領域の温度Tpと、の差は、約1.5℃であり、大きい。
【0046】
第1参考例においては、被処理パネル40と窓部12との間の液体50が流動していないため、光30Lの照射によって、被処理パネル40が加熱され、温度の上昇が大きいと考えられる。さらに、被処理パネル40の内において放熱性が不均一であるため、被処理パネル40の面内での温度のばらつきも大きいと考えられる。
【0047】
一方、実施形態に係る液晶パネル製造装置110においては、温度Tpの変化は小さい。例えば、光30Lの照射の前の温度Tpから、光照射の終了時(時間tが30秒のとき)の温度Tpへの温度の上昇は、約1.0℃である。さらに、温度が高い領域の温度Tpと、温度が低い領域の温度Tpと、の差は、約0.3℃であり、非常に小さい。
【0048】
実施形態においては、被処理パネル40と窓部12との間の液体50が流動しているので、被処理パネル40の温度が液体50により奪われ、温度の上昇が小さいと考えられる。さらに、被処理パネル40内において均一に放熱されるため、被処理パネル40の面内での温度のばらつきが小さいと考えられる。
【0049】
液晶パネル製造装置110によれば、被処理パネル40に光30Lが照射されるときの被処理パネル40内の最高温度と最低温度との差は、例えば、5℃以下、好ましくは1℃以下にできる。
このように、実施形態によれば、均一な条件で光を照射できる。
【0050】
図4(a)及び図4(b)は、参考例の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
すなわち、図4(a)は、第2参考例の液晶パネル製造装置119bに対応し、図4(b)は、第3参考例の液晶パネル製造装置119cに対応する。
【0051】
図4(a)に表したように、液晶パネル製造装置119bにおいては、窓部12が設けられていない。このため、液晶パネル製造装置119bにおいては、被処理パネル40の上の液体50が流動するときに、液体50の表面に波が発生し易い。また、液体50の表面に泡が発生し易い。このような波や泡が発生すると、被処理パネル40の面内の温度が不均一になり易い。さらに、波や泡により、光30Lの光路が変化し、被処理パネル40に照射される光30Lの強度にむらが発生し易い。このように、第2参考例においては、光30Lを被処理パネル40に照射する際に、温度や光の強度が不均一である。
【0052】
これに対し、液晶パネル製造装置110においては、窓部12を設けているので、波や泡の発生が抑制できる。これにより、光30Lを被処理パネル40に照射する際の温度や光の強度が均一にできる。
【0053】
図4(b)に表したように、液晶パネル製造装置119cにおいては、光源31が液体50中に埋没している。このため、光源31の熱が、液体50を介して被処理パネル40に伝わり易い。このため、第3参考例においては、被処理パネル40の温度が上昇し易い。そして、面内の温度も不均一になり易い。
【0054】
これに対し、液晶パネル製造装置110においては、光源31(光照射部30)は、窓部12の外に設けられる。このため、窓部12と光源31(光照射部30)との間に例えば空気が介在できる。これにより、熱の伝達を抑制できる。これにより、被処理パネル40の温度が上昇し難く、温度は面内で均一である。
【0055】
なお、窓部12と液体50とが接触せず、窓部12と液体50との間に間隙が存在する構成も考えられる。この構成においては、光の均一性を妨げる水滴が窓部12に付着する。液体50の温度が高いときは、湯気となって曇らせさらに透過性を妨げる。
【0056】
これに対し、液晶パネル製造装置110においては、窓部12が、液体50に接触しているので、波及び泡の発生を抑制し、さらに、曇りの発生も抑制する。これにより、さらに光30Lの強度の均一性が維持される。
【0057】
液体50の温度は、例えば室温よりも高い。液体50の温度は、例えば40℃以上である。すなわち、被処理パネル40に光30Lが照射されるときの被処理パネル40の温度は、例えば40℃以上である。このように、液体50の温度が40℃のときに液体50は蒸発し易い。実施形態においては、このような条件においても、曇りの発生が抑制される。
【0058】
図5は、第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の一部の構成を例示する模式的斜視図である。
同図は、窓部12の構成の例を示している。図5に表したように、窓部12は、内側部12cと、枠部12pと、を有することができる。枠部12pの厚さは、内側部12cよりも厚い。窓部12の液体50に接する側の面(下面)は窓部12の全体に渡って平面である。すなわち、内側部12cの下面と枠部12pの下面とは、同一平面上にある。枠部12pは、内側部12cよりも上面側に突出している。このような構成を用いることで、窓部12の上面、特に内側部12cに液体50(または液滴)がのることが抑制できる。窓部12の上面に液体50がのると、光の照射が不均一になることがあるが、上記の構成を用いることで均一に光を照射できる。
【0059】
図6は、第1の実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
図6に表したように、実施形態に係る別の液晶パネル製造装置111においては、窓部12が液体50を覆っている。すなわち、液体50は、処理槽10により実質的に密閉されている。これにより、例えば、液体50の蒸発により、液体50のガスが処理槽10の外部に流出することが抑制できる。これにより、液体50の温度の制御の精度が向上する。さらに、液晶パネル製造装置111を設置した場所の周囲への悪影響が抑制できる。
【0060】
図7(a)及び図7(b)は、第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の特性を例示するグラフ図である。
すなわち、図7(a)は、光源31で生成された光(長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34を通過する前)の特性を例示している。図7(b)は、光源31から出射した光が、長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34を通過した後の光(光30L)の特性を例示している。これらの図の横軸は、波長λである。図7(a)の縦軸は、光の相対強度LIである。図7(b)の縦軸は、光の相対強度LIである。この例では、光源として鉄メタルハライドランプが用いられている。
【0061】
図7(a)に表したように、光源31から生成された光は、300nm〜340nm程度の短波長領域と、400nm〜460nm程度の長波長領域においても光の相対強度LIが大きい。
【0062】
これに対し、図7(b)に表したように、長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34を通過した後の光(光30L)においては、波長が340nm以下の領域、及び、波長が400nmの以上の領域の相対強度LIが非常に低くなっている。
【0063】
このように、長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34を用いることで、被処理パネル40の光重合性材料が重合するために必要な波長の光が効率良く、被処理パネル40に照射される。
【0064】
図8は、第1の実施形態に係る液晶パネル製造装置の一部の構成を例示する模式的断面図である。
同図は、光照射部30の構成の別の例を示している。
図8に表したように、この例においては、光照射部30は、光源31と、2重管液冷部35と、を含む。光源31は、光重合性材料が重合する光(例えば紫外線)を放出する。
【0065】
2重管液冷部35は、内管35iと、外管35oと、中間壁35mと、を含む。内管35iは、光源31と離間し光源31を内包する。外管35oは、内管35iの外側に設けられる。中間壁35mは、内管35iと外管35oとの間に設けられる。内管35iと中間壁35mとの間には、冷却液35lが導入可能である。外管35oと中間壁35mとの間には、冷却液35lが導入可能である。冷却液35lは、内管35iと中間壁35mとの間の空間、及び、外管35oと中間壁35mとの間の空間を相互に循環可能である。これにより、冷却効率が高い。
【0066】
また、中間壁35mは、長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34の少なくともいずれかの機能を有することができる。例えば、中間壁35mは、赤外線カットフィルタである。窓部12をフィルタの機能を兼ねさせるようにしてもよい。特に、赤外線カットフィルタや熱線吸収フィルタを形成するのが望ましい。これにより、中間壁35mを省略できる。また、赤外線により温度が上昇する窓部12を処理槽10の液体50によって水冷することができる。
【0067】
また、内管35i及び外管35oの少なくともいずれかは、長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34の少なくともいずれかの機能を有することができる。これにより、長波長光カットフィルタ33または短波長光カットフィルタ34を別途設けることが省略できる。
【0068】
図9は、第1の実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
図9に表したように、実施形態に係る別の液晶パネル製造装置112においては、処理槽10は、被処理パネル40を保持するパネル保持部15を含む。パネル保持部15は、被処理パネル40の主面(例えば第1主面40a)に対して垂直な方向を軸にして、被処理パネル40を回転させる。例えば、軸部15bを軸にして、アーム部15cが回転する。これにより、載置部15dに載せられた被処理パネル40が軸部15bを軸にして回転する。
【0069】
すなわち、液晶パネル製造装置112においては、被処理パネル40を回転しつつ被処理パネル40に光30Lを照射可能である。
【0070】
これにより、被処理パネル40の温度が面内でさらに均一化される。そして、被処理パネル40へ照射される光30Lの強度が面内でさらに均一化される。
【0071】
(第2の実施の形態)
図10は、第2の実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
図10に表したように、実施形態に係る液晶パネル製造装置120は、処理槽10と、窓部12と、液体流動部20と、光照射部30と、を備える。
【0072】
液晶パネル製造装置120においては、光照射部30から窓部12に向かう軸(光照射部30から、窓部12のうちで光照射部30に最も近い部分に向かう方向の軸)は、重力の方向(Z方向)に対して実質的に垂直である。例えば、窓部12の主面は、Z方向に対して実質的に平行である。被処理パネル40の主面は、Z方向に対して実質的に平行である。
【0073】
例えば、処理槽10の上部分に供給部21が設けられ、下部分に排出部22が設けられる。供給部21から液体50が供給され、液体50は下に向かって流動し、液体50は排出部22から排出される。
【0074】
被処理パネル40と窓部12との間の液体50は、被処理パネル40の主面(第1主面40a)に沿って流動する。さらに、被処理パネル40の窓部12とは反対側の面(第2主面40b)に接する液体50が流動する。
【0075】
液晶パネル製造装置120においても、被処理パネル40の面内の温度の均一性が高い。すなわち、均一な条件で光30Lを照射できる。液晶パネル製造装置120においては、例えば、装置の設置面積を小さくすることができる。
【0076】
なお、液晶パネル製造装置120において、例えば、処理槽10の下部分に供給部21が設けられ、上部分に排出部22が設けられても良い。
【0077】
第1の実施形態においては、被処理パネル40の主面は、Z方向に対して実質的に垂直であり、第2の実施形態においては、被処理パネル40の主面は、Z方向に対して実質的に平行であるが、実施形態はこれに限らない。実施形態において、被処理パネル40の主面は、Z方向に対して傾斜していても良い。被処理パネル40の主面がZ方向に対して傾斜することで、例えば、被処理パネル40の液体50への導入及び取り出しが容易になる。
【0078】
(第3の実施の形態)
図11は、第3の実施形態に係る液晶パネルの製造方法を例示するフローチャート図である。
図11に表したように、実施形態に係る液晶パネルの製造方法においては、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層43を含む被処理パネル40を、透光性を有する窓部12が付設された処理槽10の内部に導入した液体50中に収容する(ステップS110)。
【0079】
被処理パネル40と窓部12とに接する液体50を被処理パネル40の主面(例えば第1主面40a)に沿って流動させつつ、被処理パネル40に窓部12を介して光重合性材料が重合する光30Lを照射する(ステップS120)。
これにより、被処理パネル40の面内の温度の均一性が高い。この製造方法によれば、均一な条件で光を照射できる。
【0080】
図11に表したように、例えば、ステップS110とステップS120との間において、液晶層43の温度が制御される。例えば、被処理パネル40の温度を均一にし、被処理パネルの全体にブルー相を出現させる。このように、ステップS120の光30Lの照射は、例えば、液晶層43の全体にブルー相が出現するように液晶層43の温度を制御した後に実施される。これにより、均一な特性を有する高分子安定化ブルー相の液晶パネルが得られる。
【0081】
本製造方法においては、液体50の温度は制御される(ステップS115)。また、光30Lの照射は、被処理パネル40の主面に対して垂直な方向を軸にして前記被処理パネルを回転させつつ行われることができる。
【0082】
光30Lの照射は、被処理パネル40の窓部12とは反対側の面(第2主面40b)に接する液体50をさらに流動させつつ行われることができる。
【0083】
被処理パネル40の主面は、重力の方向に対して実質的に垂直である。または、被処理パネル40の主面は、重力の方向に対して実質的に平行である。または、被処理パネル40の主面は、重力の方向に対して傾斜している。
【0084】
被処理パネル40に光30Lが照射されるときの被処理パネル40の温度は、例えば40℃以上である。曇りの発生を抑制する効果が特に発揮される。
【0085】
光30Lの照射は、340nm以下の波長の光を減衰させる短波長光カットフィルタ34、及び、光重合性材料が重合する光の波長よりも長い波長の光を減衰させる長波長光カットフィルタ33の少なくともいずれかを介した照射を含む。
【0086】
液晶層43は、ブルー相を有することができる。高分子安定化ブルー相においては、光30Lを照射するときの温度が高い精度で制御されていることが特に要求される。高分子安定化ブルー相に本製造方法を適用することで均一な条件で光を照射でき、所望の特性の液晶パネルが製造できる。
【0087】
ブルー相は、例えば2重ねじれ構造のフラストレーション系の構成を有する。ブルー相の液晶層43は、例えば、可視光の波長に対応する長さの3次元周期構造を有する。ブルー相においては、例えばフォトニクスの特性が得られる。ブルー相においては、高速の電気光学応答が得られる。
ただし、実施形態において、被処理パネル40の構成は任意である。
【0088】
被処理パネル40において、例えば、第1基板41は、複数の薄膜トランジスタ(TFT)を含む。複数の薄膜トランジスタのそれぞれに画素電極が接続される。第1基板41及び第2基板42のいずれかにカラーフィルタが設けられる。光30Lは、カラーフィルタが設けられない基板を介して液晶層43に照射されることが望ましい。これにより、例えば、光30Lがカラーフィルタで吸収されることが抑制できる。これにより、温度の上昇が抑制できる。また、カラーフィルタの特性が劣化することが抑制できる。
【0089】
このように、被処理パネル40は、カラーフィルタを有するカラーフィルタ基板と、カラーフィルタ基板に対向する対向基板(例えばTFT基板)と、カラーフィルタ基板と対向基板との間に設けられた液晶層と、を含むことができる。対向基板には、例えば、複数の薄膜トランジスタを設けることができる。また、複数の薄膜トランジスタが設けられた基板にカラーフィルタを設けても良い。
【0090】
光照射部30は、対向基板の側から被処理パネル40に光を照射する。そして、液体流動部20は、被処理パネル40の側の面に接する液体50を流動させ、さらに、被処理パネル40の窓部12とは反対側の面に接する液体50をさらに流動させることができる。対向基板の側から光を照射することで温度の上昇が抑制できる。対向基板の側から光を照射しても温度は上昇するため、カラーフィルタ基板の側の液体50を流動させることで、温度の上昇が抑制できる。
【0091】
被処理パネル40において、例えば、第2基板42に画素電極に対向する対向電極が設けられる。液晶層43には、第1基板41から第2基板42に向かう軸に沿った電界が印加される。
【0092】
または、例えば、第1基板41に画素電極に対向する対向電極が設けられる。液晶層43には、第1基板41から第2基板42に向かう軸に対して垂直な成分を有する電界が印加される。
【0093】
実施形態によれば、均一な条件で光を照射できる液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法が提供される。
【0094】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0095】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、液晶パネル製造装置に含まれる処理槽、窓部、液体流動部、光照射部、光源などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0096】
その他、本発明の実施の形態として上述した液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0097】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
10…処理槽、 11…容器、 12…窓部、 12c…内側部、 12p…枠部、 15…パネル保持部、 15a…ベース部、 15b…軸部、 15c…アーム部、 15d…載置部、 20…液体流動部、 21…供給部、 21o…開口部、 21p…供給配管、 22…排出部、 22i…開口部、 22p…排出配管、 23…温度制御部、 30…光照射部、 30L…光、 31…光源、 32…リフレクタ、 33…長波長光カットフィルタ、 34…短波長光カットフィルタ、 35…2重管液冷部、 35i…内管、 35l…冷却液、 35m…中間壁、 35o…外管、 40…被処理パネル、 40a…第1主面(主面)、 40b…第2主面、 41…第1基板、 42…第2基板、 43…液晶層、 50…液体、 110、111、112、119a、119b、119c、120…液晶パネル製造装置、 λ…波長、 LI…光の相対強度、 Tp…温度、 Ts…基準温度、 t…時間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を溜め、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを前記液体中に収容する処理槽と、
前記処理槽に付設され、前記液体に接する透光性の窓部と、
前記被処理パネルと前記窓部との間の前記液体を前記被処理パネルの主面に沿って流動させる液体流動部と、
前記処理槽の前記内部に収容された前記被処理パネルに、前記窓部を介して、前記光重合性材料が重合する光を照射する光照射部と、
を備えたことを特徴とする液晶パネル製造装置。
【請求項2】
前記被処理パネルは、
カラーフィルタを有するカラーフィルタ基板と、
前記カラーフィルタ基板に対向する対向基板と、
前記カラーフィルタ基板と対向基板との間に設けられた液晶層と、
を含み、
前記光照射部は、前記対向基板の側から前記被処理パネルに前記光を照射し、
前記液体流動部は、前記被処理パネルの前記窓部とは反対側の面に接する前記液体をさらに流動させることを特徴とする請求項1記載の液晶パネル製造装置。
【請求項3】
前記光照射部は、
前記光重合性材料が重合する前記光を放出する光源と、
前記光源と離間し前記光源を内包する内管と、前記内管の外側に設けられた外管と、前記内管と前記外管との間に設けられた中間壁と、を含む2重管液冷部と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項4】
前記被処理パネルに前記光が照射されるときの前記被処理パネル内の最高温度と最低温度との差は5℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の液晶パネル製造装置。
【請求項5】
前記光照射部から前記窓部に向かう軸は、重力の方向に対して垂直であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の液晶パネル製造装置。
【請求項6】
前記液晶層は、ブルー相を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の液晶パネル製造装置。
【請求項7】
光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを、透光性を有する窓部が付設された処理槽の内部に導入した液体中に収容し、
前記被処理パネルと前記窓部とに接する前記液体を前記被処理パネルの主面に沿って流動させつつ、前記被処理パネルに前記窓部を介して前記光重合性材料が重合する光を照射することを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項8】
前記光の照射は、前記液晶層の全体にブルー相が出現するように前記液晶層の温度を制御した後に実施されることを特徴とする請求項7記載の液晶パネルの製造方法。
【請求項1】
内部に液体を溜め、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを前記液体中に収容する処理槽と、
前記処理槽に付設され、前記液体に接する透光性の窓部と、
前記被処理パネルと前記窓部との間の前記液体を前記被処理パネルの主面に沿って流動させる液体流動部と、
前記処理槽の前記内部に収容された前記被処理パネルに、前記窓部を介して、前記光重合性材料が重合する光を照射する光照射部と、
を備えたことを特徴とする液晶パネル製造装置。
【請求項2】
前記被処理パネルは、
カラーフィルタを有するカラーフィルタ基板と、
前記カラーフィルタ基板に対向する対向基板と、
前記カラーフィルタ基板と対向基板との間に設けられた液晶層と、
を含み、
前記光照射部は、前記対向基板の側から前記被処理パネルに前記光を照射し、
前記液体流動部は、前記被処理パネルの前記窓部とは反対側の面に接する前記液体をさらに流動させることを特徴とする請求項1記載の液晶パネル製造装置。
【請求項3】
前記光照射部は、
前記光重合性材料が重合する前記光を放出する光源と、
前記光源と離間し前記光源を内包する内管と、前記内管の外側に設けられた外管と、前記内管と前記外管との間に設けられた中間壁と、を含む2重管液冷部と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項4】
前記被処理パネルに前記光が照射されるときの前記被処理パネル内の最高温度と最低温度との差は5℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の液晶パネル製造装置。
【請求項5】
前記光照射部から前記窓部に向かう軸は、重力の方向に対して垂直であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の液晶パネル製造装置。
【請求項6】
前記液晶層は、ブルー相を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の液晶パネル製造装置。
【請求項7】
光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを、透光性を有する窓部が付設された処理槽の内部に導入した液体中に収容し、
前記被処理パネルと前記窓部とに接する前記液体を前記被処理パネルの主面に沿って流動させつつ、前記被処理パネルに前記窓部を介して前記光重合性材料が重合する光を照射することを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項8】
前記光の照射は、前記液晶層の全体にブルー相が出現するように前記液晶層の温度を制御した後に実施されることを特徴とする請求項7記載の液晶パネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−189795(P2012−189795A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53133(P2011−53133)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【出願人】(501358079)友達光電股▲ふん▼有限公司 (220)
【氏名又は名称原語表記】AU Optronics Corporation
【住所又は居所原語表記】No.1,Lt−Hsin Rd,II,Science−Based Industrial Park,Hsinchu,Taiwan,R.O.C.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【出願人】(501358079)友達光電股▲ふん▼有限公司 (220)
【氏名又は名称原語表記】AU Optronics Corporation
【住所又は居所原語表記】No.1,Lt−Hsin Rd,II,Science−Based Industrial Park,Hsinchu,Taiwan,R.O.C.
【Fターム(参考)】
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