説明

液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法

【課題】被処理パネルに光を照射する実用的な液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、処理槽と、光照射部と、液体除去部と、を備えた液晶パネル製造装置が提供される。前記処理槽は、内部に液体を溜め、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを前記液体中に収容する。前記光照射部は、前記処理槽の前記内部に収容された前記被処理パネルに、前記光重合性材料が重合する光を照射する。前記液体除去部は、前記被処理パネルのうちで少なくとも前記液体から取り出された部分に付着した前記液体を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光重合性材料と液晶とが混合されている液晶層を用いる液晶パネルがある。例えば、高分子分散型液晶においては、高分子のマトリクス中に液晶粒が分散される。さらに、配向性を付与するために、このような液晶層を用いる構成もある。さらに、例えばネマティック液晶とカイラル剤とを混合した液晶と、光重合性材料と、を混合した層に紫外線を照射することで、高分子安定化ブルー相を得ることもできる。
【0003】
このような液晶パネルの製造において、光重合性材料の硬化のための光を照射するときの温度を制御するために、被処理パネルを液体中に入れ、その状態で光を照射する構成がある。例えば、光の照射後に被処理パネルを液体から取り出したときに被処理パネルに液体が付着していると、後の工程に悪影響を与えることがあり、実用的に問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−251338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、被処理パネルに光を照射する実用的な液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、処理槽と、光照射部と、液体除去部と、を備えた液晶パネル製造装置が提供される。前記処理槽は、内部に液体を溜め、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを前記液体中に収容する。前記光照射部は、前記処理槽の前記内部に収容された前記被処理パネルに、前記光重合性材料が重合する光を照射する。前記液体除去部は、前記被処理パネルのうちで少なくとも前記液体から取り出された部分に付着した前記液体を除去する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態によれば、被処理パネルに光を照射する実用的な液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的平面図である。
【図2】実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的断面図である。
【図3】実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
【図4】図4(a)〜図4(c)は、実施形態に係る液晶パネル製造装置の一部の構成を例示する模式図である。
【図5】実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的平面図である。
【図6】実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的断面図である。
【図7】実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
【図8】実施形態に係る液晶パネル製造装置の一部の構成を例示する模式的断面図である。
【図9】実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
(実施の形態)
図1は、実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的平面図である。
図2は、実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的断面図である。
すなわち、図2は、図1のA1−A2線断面を例示している。
【0011】
図3は、実施形態に係る液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
すなわち、図3においては、構成要素の一部の断面(図1のB1−B2線断面)が図示され、他の一部が模式的に図示されている。
なお、図1においては、図2及び図3に例示された要素の一部が省略されている。
【0012】
図1〜図3に表したように、実施形態に係る液晶パネル製造装置110は、処理槽10と、光照射部30と、液体除去部60と、を備える。
【0013】
処理槽10は、処理槽10の内部に液体50を溜める。処理槽10は、被処理パネル40を液体50中に収容する。
【0014】
光照射部30は、処理槽10の内部に収容された被処理パネル40に、光重合性材料が重合する光30Lを照射する。
【0015】
液体除去部60は、被処理パネル40のうちで少なくとも液体50から取り出された部分に付着した液体50を除去する。液体除去部60は、被処理パネル40が液体50から取り出された後に被処理パネル40に付着した液体50を除去する。または、液体除去部60は、液体50から取り出されつつある被処理パネル40において、液体50から取り出された部分に付着している液体50を除去する。例えば、被処理パネル40の一部が液体50中に入っており、他の一部が液体50から取り出されているときに、その他の一部に付着した液体50を除去する。
【0016】
処理槽10は、容器11を含む。容器11は、容器11の内部に液体50を溜める。容器11は、液体50中に被処理パネル40を収容する。
【0017】
例えば、処理槽10は、被処理パネル40を保持するパネル保持部15を含む。パネル保持部15は、例えば、ベース部15aと、軸部15bと、アーム部15cと、載置部15dと、を含む。ベース部15aは、容器11の底部に固定される。軸部15bは、ベース部15aに固定される。アーム部15cは、載置部15dと軸部15bとを結合する。例えば、アーム部15cの長さは可変である。載置部15dの上に被処理パネル40が載せられる。被処理パネル40の上面及び下面には空間がある。その空間に、液体50が充填される。
【0018】
被処理パネル40は、液晶層43を含む。液晶層43は、光重合性材料と液晶組成物とを含む。液晶組成物は、例えばネマティック液晶とカイラル剤とを含む。光重合性材料は、例えば紫外線硬化型のモノマーを含む。光重合性材料は、例えばアクリル系のモノマーを含む。実施形態は、これに限らず、任意の光重合性材料を用いることができ、任意の液晶組成物を用いることができる。
【0019】
被処理パネル40は、例えば、第1基板41と、第2基板42と、をさらに含む。第2基板42は、第1基板41に対向する。第1基板41と第2基板42との間に液晶層43が配置される。第1基板41と第2基板42との間において、液晶層43の周囲にシール剤(図示しない)が設けられる。これにより、液晶層43は、第1基板41、第2基板42及びシール剤により密閉されている。
【0020】
被処理パネル40は、第1主面40a(主面)と、第2主面40bと、を有する、第1主面40aは、光照射部30の側の面である。第2主面40bは、第1主面40aとは反対の側の面である。
【0021】
図1及び図3に表したように、液晶パネル製造装置110は、液体流動部20をさらに備えることができる。液体流動部20は必要に応じて設けられる。
【0022】
液体流動部20は、被処理パネル40の第1主面40aに沿って液体50を流動させる。さらに、液体流動部20は、被処理パネル40の第2主面40b(被処理パネル40の光照射部30とは反対の側の面)に接する液体50をさらに流動させることができる。
【0023】
このように、被処理パネル40の主面に沿って液体50が流れることで、被処理パネル40の温度の均一性が高まる。実施形態においては、被処理パネル40の主面に沿って液体50が流れることで、被処理パネル40の温度の均一性が高い。これにより、被処理パネル40の温度の均一性が高い状態で、被処理パネル40に光が照射される。そして、光重合性材料が重合し、液晶パネルが作製される。
【0024】
図1〜図3に表したように、液晶パネル製造装置110においては、光照射部30から、処理槽10の被処理パネル40の収容の位置に向かう軸(光照射部30から、処理槽10の被処理パネル40の収容の位置のうちで光照射部30に最も近い部分に向かう方向の軸)は、重力の方向(Z方向)に対して、実質的に平行である。例えば、被処理パネル40の主面は、Z方向に対して実質的に垂直である。
【0025】
図3に表したように、液体流動部20は、例えば、液体50の温度を制御する温度制御部23を含むことができる。液体流動部20は、例えば、供給部21と、供給配管21pと、排出部22と、排出配管22pと、をさらに含むことができる。
【0026】
供給部21は、液体50を処理槽10内に供給する。排出部22は、処理槽10内から液体50を排出する。供給配管21pは、温度制御部23と供給部21とを連結する。排出配管22pは、排出部22と温度制御部23とを連結する。
【0027】
供給部21から処理槽10の内部に供給された液体50は、被処理パネル40の第1主面40aに沿って流れ、排出部22から排出される。また、液体50は、被処理パネル40の第2主面40bに沿って流れ、排出部22から排出される。排出部22により排出された液体50は、温度制御部23に到達する。
【0028】
温度制御部23は、液体50の温度を制御する。温度制御部23は、液体50を加熱する。または、温度制御部23は、液体50を冷却する。これにより、液体50の温度は所望の温度に制御される。温度制御部23を出た液体50は、供給配管21pを経由して供給部21に到達する。そして、液体50は、供給部21から処理槽10に再度供給される。このように、液体50は、処理槽10の外部に設けられる温度制御部23を経由しながら循環される。
【0029】
ただし、上記は、一例であり、実施形態において液体流動部20の構成は任意である。例えば、液体50は、処理槽10の内部だけで流動しても良い。
【0030】
液体50は、例えば水である。実施形態はこれに限らず液体50には、技術的に可能な任意の材料を用いることができる。液体50の温度は制御される。例えば液体50の温度は、25℃以上90℃以下である。
【0031】
図1に表したように、供給部21は、複数の開口部21oを有することができる。また、排出部22は、複数の開口部22oを有することができる。複数の開口部21oから液体50を供給し、複数の開口部22oから液体50を排出することで、液体50の流れがより均一化される。
【0032】
処理槽10内において、供給部21と排出部22との間に被処理パネル40が配置される。均一な流れの液体50に被処理パネル40が接することで、被処理パネル40の温度の面内の均一性がさらに高まる。
【0033】
これにより、被処理パネル40の温度の均一性が高い状態で、被処理パネル40に光が照射される。
【0034】
被処理パネル40の主面に沿った液体50の流れの速度は、例えば1m/s(メートル/秒)以上、10m/s以下である。流れの速度が高いと、被処理パネル40の温度の均一性が高まる。
【0035】
図3に例示したように、光照射部30は、例えば、光源31と、リフレクタ32と、長波長光カットフィルタ33と、短波長光カットフィルタ34と、を含むことができる。光源31は、光重合性材料が重合する光を生成する。光源31は、リフレクタ32と、被処理パネル40の収容の位置との間に配置される。リフレクタ32は、光源31から出射した光の一部を反射し、その光を、被処理パネル40の収容の位置に向かわせる。
【0036】
長波長光カットフィルタ33は、光源31と、処理槽10の被処理パネル40の収容の位置と、の間に設けられる。長波長光カットフィルタ33は、例えば赤外線を減衰させる赤外線カットフィルタである。長波長光カットフィルタ33は、例えば400ナノメートル(nm)以上の波長の光を減衰させる。これにより、光30Lが照射される被処理パネル40の温度の上昇が抑制される。
【0037】
短波長光カットフィルタ34は、光源31と、処理槽10の被処理パネル40の収容の位置と、の間に設けられる。短波長光カットフィルタ34は、例えば340nm以下の波長の光を減衰させる。これにより、被処理パネル40に含まれる材料(例えば有機材料)が光30Lにより分解することが抑制される。
【0038】
長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34を用いることで、被処理パネル40の光重合性材料が重合するために必要な波長の光が効率良く、被処理パネル40に照射される。
【0039】
実施形態に係る液晶パネル製造装置110によれば、液体除去部60により、被処理パネル40に付着した液体50を除去できる。これにより、光30Lの照射の後の工程に悪影響を与えることが抑制できる。実施形態によれば、被処理パネル40に光30Lを照射する実用的な液晶パネル製造装置が提供できる。
【0040】
実施形態において、被処理パネル40に付着した液体50はできるだけ早く除去することが望ましい。これにより、液体50の液滴の跡が残り難くなる。例えば、被処理パネル40を液体50から出しながらエアジェットによる空気を当て、液体50を除去する。例えば、被処理パネル40の取り出し動作において、液体50を吹き飛ばすことができる。なお、除去した液体50は、処理槽10に戻すのが望ましい。
【0041】
以下、液体除去部60の例について説明する。
図4(a)〜図4(c)は、実施形態に係る液晶パネル製造装置の一部の構成を例示する模式図である。
図4(a)に表したように、実施形態に係る液晶パネル製造装置111においては、液体除去部60は、被処理パネル40に気体流61を吹き付ける。具体的には、液体除去部60は、第1気体吐出部61aと第2気体吐出部61bとを含む。第1気体吐出部61aは、被処理パネル40の第1主面40aに気体流61を吹き付ける。第2気体吐出部61bは、被処理パネル40の第2主面40bに気体流61を吹き付ける。気体流61は、例えば空気である。第1気体吐出部61a及び第2気体吐出部61bは、例えばエアブロワである。気体流61により、被処理パネル40に付着した液体50の液滴51を除去できる。
【0042】
図4(b)に表したように、実施形態に係る液晶パネル製造装置112においては、液体除去部60は、被処理パネル40を加熱する。具体的には、液体除去部60は、第1加熱部62aと第2加熱部62bとを含む。第1加熱部62aは、被処理パネル40の第1主面40aに赤外線62を照射する。第2加熱部62bは、被処理パネル40の第2主面40bに赤外線62を照射する。赤外線62により、被処理パネル40に付着した液体50の液滴51を除去できる。
【0043】
図4(c)に表したように、実施形態に係る液晶パネル製造装置113においては、液体除去部60は、被処理パネル40に高温かつ高圧の気体流61を吹き付ける。具体的には、液体除去部60は、第1高温気体吐出部63aと第2高温気体吐出部63bとを含む。第1高温気体吐出部63aは、被処理パネル40の第1主面40aに高温の気体流63を吹き付ける。第2高温気体吐出部63bは、被処理パネル40の第2主面40bに高温の気体流63を吹き付ける。高温の気体流63は、例えば高温の空気である。高温の気体流63により、被処理パネル40に付着した液体50の液滴51を除去できる。液晶パネル製造装置113においては、液体除去部60は、被処理パネル40を加熱しつつ、被処理パネル40に気体流(高温の気体流63)を吹き付ける。
【0044】
また、液体除去部60として、例えば、機械的な方法で液体50を除去する構成を用いることができる。例えば、液体除去部60として、被処理パネル40に接触する、可撓性の構造体を用いることができる。具体的には、液体除去部60として、例えばゴム状の材料によるへら(スキージ、ワイパブレード)などを用いることができる。
【0045】
上記の液体除去部60に関する各種の構成は、組み合わせて使用することができる。例えば、液体除去部60は、気体吐出部と加熱部とを含むことができる。例えば、被処理パネル40に付着した液体50の大半をエアジェットで除去した後、残った僅かな液体50をヒータで確実に除去することができる。液体除去部60として、任意の複数の構成を含むことができる。
【0046】
図5は、実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的平面図である。
図6は、実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的断面図である。
すなわち、図6は、図5のA1−A2線断面を例示している。
図5のB1−B2線断面は、図3と同様なので図示を省略する。
【0047】
図5及び図6に表したように、実施形態に係る液晶パネル製造装置120は、濡れ性向上部70をさらに備える。濡れ性向上部70は、液体50に被処理パネル40を収容する前に、被処理パネル40の表面の濡れ性を向上させる。
【0048】
これにより、被処理パネル40を液体50中に収容したときに、被処理パネル40の表面に気泡などが付着することが抑制できる。もし、被処理パネル40の表面に気泡などが付着している状態で、光30Lが照射されると、照度分布が不均一になる場合がある。また、温度分布が不均一になる場合がある。
【0049】
これに対し、濡れ性向上部70によって被処理パネル40の表面に気泡などが付着することが抑制できるため、照度の均一性が向上できる。また、温度の均一性が向上できる。
【0050】
例えば、濡れ性向上部70は、被処理パネル40の表面をプラズマで処理する。例えば、濡れ性向上部70は、常圧プラズマ処理を実施する。例えば、濡れ性向上部70は、被処理パネル40の表面に紫外線を照射する。例えば、濡れ性向上部70は、被処理パネル40の表面を洗浄液で処理する。これらの処理により、被処理パネル40の表面の濡れ性が向上できる。
【0051】
濡れ性向上部70が被処理パネル40に紫外線を照射する場合は、濡れ性向上のための紫外線の波長は、液体50中でパネルに照射する紫外線の波長よりも短いことが望ましい。すなわち、濡れ性向上部70が被処理パネル40に照射する紫外線の波長は、光照射部30が被処理パネル40に照射する光30L(紫外線)の波長よりも短いことが望ましい。濡れ性向上部70が照射する紫外線の波長(主波長)は、例えば、185nmまたは254nmである。光照射部30が照射する紫外線の波長(主波長)は、例えば、約340nmである。これにより、濡れ性向上部70が照射する紫外線により、光重合性材料の重合が進行することが抑制できる。例えば、濡れ性向上部70が照射する紫外線のエネルギーは、光照射部30が照射する光30Lのエネルギーよりも低いことが望ましい。
【0052】
図7は、実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式図である。
すなわち、図7においては、構成要素の一部の断面が図示され、他の一部が模式的に図示されている。
図7に表したように、実施形態に係る液晶パネル製造装置130においては、処理槽10には窓部12が付設されている。なお、図7には図示しないが、液晶パネル製造装置130は、液体除去部60を備える。さらに、液晶パネル製造装置130は、濡れ性向上部70をさらに備えても良い。
【0053】
窓部12は、液体50に接する。窓部12は、透光性である。具体的には、窓部12は、光照射部30から照射される光30Lに対して透過性である。
【0054】
液体流動部20は、被処理パネル40と窓部12との間の液体50を被処理パネル40の主面(例えば第1主面40a)に沿って流動させる。光照射部30は、窓部12を介して被処理パネル40に、光重合性材料が重合する光30Lを照射する。
【0055】
この例では、処理槽10は、容器11と窓部12とを含む。容器11は、容器11の内部に液体50を溜める。容器11は、液体50中に被処理パネル40を収容する。
【0056】
窓部12は、液体50を介して被処理パネル40に対向する。すなわち、窓部12と被処理パネル40との間の液体50は、窓部12と被処理パネル40とに接する。
【0057】
液晶パネル製造装置130においては、光源31(光照射部30)は、窓部12の外に設けられる。このため、窓部12と光源31(光照射部30)との間に例えば空気が介在できる。これにより、熱の伝達を抑制できる。これにより、被処理パネル40の温度が上昇し難く、温度は面内で均一である。
【0058】
窓部12が、液体50に接触しているので、液体50の表面における波及び泡の発生が抑制される。さらに、曇りの発生も抑制される。これにより、光30Lの強度の均一性が維持される。
【0059】
液体50の温度は、例えば室温よりも高い。液体50の温度は、例えば40℃以上である。すなわち、被処理パネル40に光30Lが照射されるときの被処理パネル40の温度は、例えば40℃以上である。このように、液体50の温度が40℃のときに液体50は蒸発し易い。実施形態においては、このような条件においても、曇りの発生が抑制される。
【0060】
なお、窓部12が液体50を覆っても良い。液体50は、処理槽10により実質的に密閉されることができる。
【0061】
図8は、実施形態に係る液晶パネル製造装置の一部の構成を例示する模式的断面図である。
図8に表したように、光照射部30は、光源31と、2重管液冷部35と、を含むことができる。光源31は、光重合性材料が重合する光(例えば紫外線)を放出する。
【0062】
2重管液冷部35は、内管35iと、外管35oと、中間壁35mと、を含む。内管35iは、光源31と離間し光源31を内包する。外管35oは、内管35iの外側に設けられる。中間壁35mは、内管35iと外管35oとの間に設けられる。内管35iと中間壁35mとの間には、冷却液35lが導入可能である。外管35oと中間壁35mとの間には、冷却液35lが導入可能である。冷却液35lは、内管35iと中間壁35mとの間の空間、及び、外管35oと中間壁35mとの間の空間を相互に循環可能である。これにより、冷却効率が高い。
【0063】
また、中間壁35mは、長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34の少なくともいずれかの機能を有することができる。例えば、中間壁35mは、赤外線カットフィルタである。
【0064】
また、内管35i及び外管35oの少なくともいずれかは、長波長光カットフィルタ33及び短波長光カットフィルタ34の少なくともいずれかの機能を有することができる。これにより、長波長光カットフィルタ33または短波長光カットフィルタ34を別途設けることが省略できる。
【0065】
実施形態に係る液晶パネル製造装置において、パネル保持部15は、被処理パネル40の主面(例えば第1主面40a)に対して垂直な方向を軸にして、被処理パネル40を回転させても良い。例えば、軸部15bを軸にして、アーム部15cが回転する。これにより、載置部15dに載せられた被処理パネル40が軸部15bを軸にして回転する。すなわち、被処理パネル40を回転しつつ被処理パネル40に光30Lを照射しても良い。これにより、被処理パネル40の温度が面内でさらに均一化される。そして、被処理パネル40へ照射される光30Lの強度が面内でさらに均一化される。
【0066】
図9は、実施形態に係る別の液晶パネル製造装置の構成を例示する模式的断面図である。
図9に表したように、実施形態に係る液晶パネル製造装置140においては、光照射部30から、処理槽10の被処理パネル40の収容の位置に向かう軸(光照射部30から、処理槽10の被処理パネル40の収容の位置のうちで光照射部30に最も近い部分に向かう方向の軸)は、重力の方向(Z方向)に対して、実質的に垂直である。例えば、被処理パネル40の主面は、Z方向に対して実質的に平行である。
【0067】
例えば、処理槽10の上部分に供給部21が設けられ、下部分に排出部22が設けられる。供給部21から液体50が供給され、液体50は下に向かって流動し、液体50は排出部22から排出される。
【0068】
被処理パネル40と窓部12との間の液体50は、被処理パネル40の主面(第1主面40a)に沿って流動する。さらに、被処理パネル40の窓部12とは反対側の面(第2主面40b)に接する液体50が流動する。液体50の温度は、温度制御部23により制御される。液晶パネル製造装置140においては、例えば、装置の設置面積を小さくすることができる。
【0069】
なお、液晶パネル製造装置140において、例えば、処理槽10の下部分に供給部21が設けられ、上部分に排出部22が設けられても良い。
【0070】
被処理パネル40の主面は、Z方向に対して実質的に垂直でもよく、実質的に平行でも良い。さらに、実施形態において、被処理パネル40の主面は、Z方向に対して傾斜していても良い。被処理パネル40の主面がZ方向に対して傾斜することで、例えば、被処理パネル40の液体50への導入及び取り出しが容易になる。
【0071】
被処理パネル40において、例えば、第1基板41は、複数の薄膜トランジスタ(TFT)を含む。複数の薄膜トランジスタのそれぞれに画素電極が接続される。第1基板41及び第2基板42のいずれかにカラーフィルタが設けられる。光30Lは、カラーフィルタが設けられない基板を介して液晶層43に照射されることが望ましい。これにより、例えば、光30Lがカラーフィルタで吸収されることが抑制できる。これにより、温度の上昇が抑制できる。また、カラーフィルタの特性が劣化することが抑制できる。
【0072】
例えば、第2基板42に画素電極に対向する対向電極が設けられる。液晶層43には、第1基板41から第2基板42に向かう軸に沿った電界が印加される。
【0073】
または、例えば、第1基板41に画素電極に対向する対向電極が設けられる。液晶層43には、第1基板41から第2基板42に向かう軸に対して垂直な成分を有する電界が印加される。
【0074】
液晶層43は、例えばブルー相を有することができる。ブルー相は、例えば2重ねじれ構造のフラストレーション系の構成を有する。ブルー相の液晶層43は、例えば、可視光の波長に対応する長さの3次元周期構造を有する。ブルー相においては、例えばフォトニクスの特性が得られる。ブルー相においては、高速の電気光学応答が得られる。実施形態において、被処理パネル40の構成は任意である。
【0075】
(第2の実施の形態)
第2の実施形態は、液晶パネルの製造方法に関する。
本製造方法は、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層43を含む被処理パネル40を処理槽10の内部に導入した液体50中に収容する(ステップS110)を含む。
【0076】
本製造方法は、被処理パネル40に光重合性材料が重合する光30Lを照射する(ステップS120)ことをさらに含む。
【0077】
本製造方法は、被処理パネル40のうちで少なくとも液体50から取り出された部分に付着した液体50を除去する(ステップS130)ことをさらに含む。
【0078】
この除去においては、例えば、図4(a)〜図4(c)に関して説明した各種の方法、及び、機械的な方法の少なくともいずれかを用いることができる。そして、複数の手法を組み合わせて用いることができる。
【0079】
実施形態によれば、被処理パネルに光を照射する実用的な液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法が提供される。
【0080】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0081】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、液晶パネル製造装置に含まれる処理槽、窓部、液体流動部、光照射部、光源などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0082】
その他、本発明の実施の形態として上述した液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0083】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
10…処理槽、 11…容器、 12…窓部、 15…パネル保持部、 15a…ベース部、 15b…軸部、 15c…アーム部、 15d…載置部、 20…液体流動部、 21…供給部、 21o…開口部、 21p…供給配管、 22…排出部、 22i…開口部、 22p…排出配管、 23…温度制御部、 30…光照射部、 30L…光、 31…光源、 32…リフレクタ、 33…長波長光カットフィルタ、 34…短波長光カットフィルタ、 35i…内管、 35l…冷却液、 35m…中間壁、 35o…外管、 40…被処理パネル、 40a…第1主面(主面)、 40b…第2主面、 41…第1基板、 42…第2基板、 43…液晶層、 50…液体、 51…液滴、 60…液体除去部、 61…気体流、 61a、61b…第1、第2気体吐出部、 62…赤外線、 62a、62b…第1、第2加熱部、 63…高温の気体流、 63a、63b…第1、第2高温気体吐出部、 70…濡れ性向上部、 110、111、112、113、120、130、140…液晶パネル製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を溜め、光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを前記液体中に収容する処理槽と、
前記処理槽の前記内部に収容された前記被処理パネルに、前記光重合性材料が重合する光を照射する光照射部と、
前記被処理パネルのうちで少なくとも前記液体から取り出された部分に付着した前記液体を除去する液体除去部と、
を備えたことを特徴とする液晶パネル製造装置。
【請求項2】
前記液体除去部は、前記被処理パネルに気体流を吹き付けることを特徴とする請求項1記載の液晶パネル製造装置。
【請求項3】
前記液体に前記被処理パネルを収容する前に、前記被処理パネルの表面の濡れ性を向上させる濡れ性向上部をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項4】
光重合性材料と液晶組成物とを含む液晶層を含む被処理パネルを処理槽の内部に導入した液体中に収容し、
前記被処理パネルに前記光重合性材料が重合する光を照射し、
前記被処理パネルのうちで少なくとも前記液体から取り出された部分に付着した前記液体を除去することを特徴とする液晶パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−189796(P2012−189796A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53134(P2011−53134)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【出願人】(501358079)友達光電股▲ふん▼有限公司 (220)
【氏名又は名称原語表記】AU Optronics Corporation
【住所又は居所原語表記】No.1,Lt−Hsin Rd,II,Science−Based Industrial Park,Hsinchu,Taiwan,R.O.C.
【Fターム(参考)】