説明

液晶ポリエステル含浸基材の製造方法、液晶ポリエステル含浸基材

【課題】液晶ポリエステルを形成材料とし、高い難燃性を発現することができる液晶ポリエステル含浸基材の製造方法を提供する。
【解決手段】液晶ポリエステルと、該液晶ポリエステルを溶解させる有機溶媒と、を含む液状組成物を繊維シートに含浸させ、前記繊維シートに含まれる前記液状組成物から前記有機溶媒を除去して仮成形体を形成する工程と、前記仮成形体を260℃以上、且つ前記液晶ポリエステルの熱分解温度未満の温度条件下で熱処理する工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ポリエステル含浸基材の製造方法、液晶ポリエステル含浸基材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々の電子機器に用いられるプリント配線板の形成材料として、樹脂を有機溶媒で溶かしたワニスを繊維シートに含浸させ、有機溶媒を除去して硬化させたプリプレグが使用されている。従来、このようなプリプレグに用いる樹脂として、エポキシ樹脂を用いたものが好適に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−12464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプリプレグには、エポキシ樹脂に難燃性を付与するために、例えば臭素化変性樹脂や臭素系難燃剤を添加したエポキシ樹脂組成物が多く用いられている。
【0005】
しかし、欧州連合(EU)では、電気製品の部品として有害物質が使われることを規制するためのRoHS指令が発効されている。そのため、欧州では、難燃性付与のために臭素系の化合物を使用する配合が好まれない状況となってきており、代替技術が望まれている。
【0006】
一方、プリント配線板の絶縁層の材料として、液晶ポリエステルを用いることが検討されている。液晶ポリエステルは、耐熱性や強度が高く、吸湿性や誘電損失が低いという特性を有することから、プリント配線板の材料として適すると考えられている。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、液晶ポリエステルを形成材料とし、高い難燃性を発現することができる液晶ポリエステル含浸基材の製造方法を提供することを目的とする。また、このような製造方法で製造することにより、高い難燃性を有する液晶ポリエステル含浸基材を提供することを合わせて目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の液晶ポリエステル含浸基材の製造方法は、液晶ポリエステルと、該液晶ポリエステルを溶解させる有機溶媒と、を含む液状組成物を繊維シートに含浸させ、前記繊維シートに含まれる前記液状組成物から前記有機溶媒を除去して仮成形体を形成する工程と、前記仮成形体を260℃以上、且つ前記液晶ポリエステルの熱分解温度未満の温度条件下で熱処理する工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明においては、前記繊維シートが、ガラスクロスであることが望ましい。
【0011】
本発明においては、前記液晶ポリエステルが、下記式(1)で表される繰返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位と、下記式(3)で示される繰返し単位とを有する液晶ポリエステルであることが望ましい。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−X−Ar−Y−
(Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar−Z−Ar
(Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
【0012】
本発明においては、前記液晶ポリエステルが、自身を構成する全繰返し単位の合計量に対して、前記式(1)で表される繰返し単位を30モル%以上80モル%以下、前記式(2)で表される繰返し単位を10モル%以上35モル%以下、前記式(3)で示される繰返し単位を10モル%以上35モル%以下有することが望ましい。
【0013】
本発明においては、前記式(3)で示される繰返し単位において、X及びYのいずれか一方または両方が、イミノ基であることが望ましい。
【0014】
本発明においては、前記熱処理する工程では、290℃以上の温度条件で、且つ3時間以上の熱処理を行うことが望ましい。
【0015】
また、本発明の液晶ポリエステル含浸基材は、上述の液晶ポリエステル含浸基材の製造方法によって得られることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、液晶ポリエステルを形成材料とし、高い難燃性を発現することができる液晶ポリエステル含浸基材の製造方法を提供することができる。あわせて、高い難燃性を有する液晶ポリエステル含浸基材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る液晶ポリエステル含浸基材の製造方法について説明する。なお、本明細書において「液晶ポリエステル含浸基材」とは、液晶ポリエステルを有機溶媒で溶かしたワニスを繊維シートに含浸させ、有機溶媒を除去したものを指している。
【0018】
(液晶ポリエステル)
本実施形態で用いる液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
【0019】
液晶ポリエステルの典型的な例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合(重縮合)させてなるもの、複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合させてなるもの、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを重合させてなるものが挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
【0020】
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
【0021】
液晶ポリエステルは、下記式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有することが好ましく、繰返し単位(1)と、下記式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)と、下記式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)と、を有することがより好ましい。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−X−Ar−Y−
(Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(−NH−)を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar−Z−Ar
(Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
【0022】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは1〜10である。前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは6〜20である。前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される前記基毎に、それぞれ独立に、好ましくは2個以下であり、より好ましくは1個以下である。
【0023】
前記アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基が挙げられ、その炭素数は好ましくは1〜10である。
【0024】
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、及びArが2,6−ナフチレン基であるもの(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
【0025】
繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する繰返し単位)、Arがm−フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが2,6−ナフチレン基であるもの(2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位)、及びArがジフェニルエ−テル−4,4’−ジイル基であるもの(ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
【0026】
繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p−アミノフェノール又はp−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位)、及びArが4,4’−ビフェニリレン基であるもの(4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジアミノビフェニルに由来する繰返し単位)が好ましい。
【0027】
繰返し単位(1)の含有量は、全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量をその各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30モル%以上80モル%以下、さらに好ましくは30モル%以上60モル%以下、よりさらに好ましくは30モル%以上40モル%以下である。
【0028】
同様に、繰返し単位(2)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上35モル%以下、よりさらに好ましくは30モル%以上35モル%以下である。
【0029】
同様に、繰返し単位(3)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上35モル%以下、よりさらに好ましくは30モル%以上35モル%以下である。
【0030】
これらは、繰返し単位(1)の含有量が多いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶媒に対する溶解性が低くなり易い。
【0031】
繰返し単位(2)の含有量と繰返し単位(3)の含有量との割合は、[繰返し単位(2)の含有量]/[繰返し単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1〜1/0.9、より好ましくは0.95/1〜1/0.95、さらに好ましくは0.98/1〜1/0.98である。
【0032】
なお、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)を、それぞれ独立に、2種以上有してもよい。また、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)以外の繰返し単位を有してもよいが、その含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
【0033】
液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、XとYとのいずれか一方または両方がイミノ基であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ヒドロキシルアミンに由来する繰返し単位と、芳香族ジアミンに由来する繰返し単位と、のいずれか一方または両方を有することが、溶媒に対する溶解性が優れるので、好ましく、繰返し単位(3)として、XとYとのいずれか一方または両方がイミノ基であるもののみを有することが、より好ましい。
【0034】
液晶ポリエステルは、それを構成する繰返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(プレポリマー)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度・剛性が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよく、この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
【0035】
液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、好ましくは250℃以上、より好ましくは250℃以上350℃以下、さらに好ましくは260℃以上330℃以下である。流動開始温度が高いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり高いと、溶媒に対する溶解性が低くなり易かったり、液状組成物の粘度が高くなり易かったりする。
【0036】
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
【0037】
(液晶ポリエステル含有液状組成物)
本実施形態の液晶ポリエステル含浸基材の製造方法用いる液晶ポリエステル含有液状組成物は、前述のような液晶ポリエステルに加えて、有機溶媒を含むものである。有機溶媒としては、用いる液晶ポリエステルが溶解可能なもの、具体的には50℃にて1質量%以上の濃度([液晶ポリエステル]/[液晶ポリエステル+有機溶媒])で溶解可能なものが、適宜選択して用いられる。
【0038】
有機溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;p−クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;トリエチルアミン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環芳香族化合物;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒(アミド結合を有する有機溶媒)、テトラメチル尿素等の尿素化合物;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;及びヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸等のリン化合物が挙げられる。また、2種以上の有機溶媒を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
有機溶媒としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物、特にハロゲン原子を有しない非プロトン性化合物を主成分とする溶媒が好ましい。溶媒全体に占める非プロトン性化合物の割合は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下である。また、前記非プロトン性化合物としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒を用いることが好ましく、ハロゲン原子を有しないアミド系溶媒を用いることがより好ましい。
【0040】
また、有機溶媒としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、双極子モーメントが3〜5である化合物を主成分とする溶媒が好ましい。溶媒全体に占める双極子モーメントが3〜5である化合物の割合は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下である。本発明においては、特に、前記非プロトン性化合物として、双極子モーメントが3〜5である化合物を用いることが好ましい。
【0041】
また、有機溶媒としては、除去し易いことから、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を主成分とするとする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める1気圧における沸点が220℃以下である化合物の割合は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下であり、前記非プロトン性化合物として、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を用いることが好ましい。
【0042】
液晶ポリエステル含有液状組成物中の液晶ポリエステルの含有量は、液晶ポリエステル及び有機溶媒の合計量に対して、好ましくは5質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは15質量%以上45質量%以下であり、所望の粘度の液状組成物が得られるように、適宜調整される。
【0043】
また、液晶ポリエステル含有液状組成物は、充填材、添加剤、液晶ポリエステル以外の樹脂等の成分を1種以上含んでもよい。
【0044】
充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の無機充填材;及び硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリル樹脂等の有機充填材が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0質量部以上100質量部以下である。
【0045】
添加剤の例としては、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤及び着色剤が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0質量部以上5質量部以下である。
【0046】
液晶ポリエステル以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂;及びフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0質量部以上20質量部以下である。
【0047】
液状組成物は、液晶ポリエステル、溶媒、必要に応じて用いられる他の成分を、一括で又は適当な順序で混合することにより調製することができる。他の成分として充填材を用いる場合は、液晶ポリエステルを溶媒に溶解させて、液晶ポリエステル溶液を得た後、この液晶ポリエステル溶液に充填材を分散させることにより調製することが好ましい。
【0048】
(液晶ポリエステル含浸基材の製造方法)
本実施形態の液晶ポリエステル含浸基材の製造方法は、上述の液晶ポリエステル含有液状組成物を繊維シートに含浸させた後に、繊維シートに含まれる液状組成物から有機溶媒を除去して仮成形体を形成する工程と、仮成形体を260℃以上、且つ前記液晶ポリエステルの熱分解温度未満の温度条件下で熱処理する工程と、を有する。
【0049】
(繊維シート)
本実施形態で用いる繊維シートとしては、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維等の無機繊維、及び芳香族ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリゼンザゾール繊維、又は液晶ポリマー繊維などの有機繊維を用いて構成されたシートが挙げられる。有機繊維は、上記熱処理温度では溶融しない程度の耐熱性を有するものが好ましい。これらの繊維は、2種類以上を併用してもよい。中でもガラス繊維が好ましい。ガラス繊維の例としては、含アルカリガラス繊維、無アルカリガラス繊維、及び低誘電ガラス繊維が挙げられる。
【0050】
繊維シートは、織物(織布)であってもよいし、編物であってもよいし、不織布であってもよいが、樹脂含浸シートの寸法安定性が向上し易いことから、織物であることが好ましい。織物の織り方の例としては、平織り、朱子織り、綾織及びななこ織りが挙げられる。織物の織り密度は、好ましくは10〜100本/25mmである。
【0051】
繊維シートの厚さは、好ましくは10μm以上200μm以下、好ましくは10μm以上180μm以下である。繊維シートの単位面積あたりの質量は、好ましくは10g/m以上300g/m以下である。
【0052】
また、繊維シートは、含浸させる液状組成物に含まれる液晶ポリエステルとの密着性が向上するように、あらかじめシランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理されていてもよい。
【0053】
これらの繊維からなる繊維シートを製造する方法としては、繊維シートを形成する繊維を水中に分散し、必要に応じてアクリル樹脂等の糊剤を添加して、抄紙機にて抄造後、乾燥させることで不織布を得る方法や、公知の織成機を用いる方法を挙げることが出来る。
【0054】
また、市場から容易に入手できる繊維シートとして、ガラスクロスを用いることも可能である。ガラスクロスとしては、電子部品の絶縁含浸基材として種々のものが市販されており、旭シュェーベル(株)、日東紡績(株)、有沢製作所(株)等から入手することができる。なお市販のガラスクロスにおいて、好適な厚みのものは、IPC呼称で1035、1078、2116、7628などが挙げられる。
【0055】
(液晶ポリエステル含浸基材の製造)
繊維シートに液状組成物を含浸させる方法としては、典型的には該液状組成物を仕込んだ浸漬槽を準備し、この浸漬槽に繊維シートを含浸する方法を示すことができる。このような方法においては、繊維シートに付着する液晶ポリエステルの量は、用いた液状組成物の液晶ポリエステル含有量、浸漬槽に繊維シートを含浸する条件、繊維シートに付着した余分な液状組成物を除去する条件、などを制御することにより調節することができる。
【0056】
なお、「浸漬槽に繊維シートを含浸する条件」としては、例えば、浸漬槽に浸漬する時間や、液状組成物が含浸された繊維シートを引き上げる速度、を挙げることができる。また、「繊維シートに付着した余分な液状組成物を除去する条件」としては、例えば、液状組成物を含浸させた繊維シートを一対のロール間に通して絞ることで余分な液状組成物を除去する場合に、当該ロール間の間隔、を挙げることができる。
【0057】
このようにして、液状組成物を含浸させた繊維シートは、溶媒を除去することで、液晶ポリエステルを含有した繊維シート(仮成形体)を製造することが出来る。溶媒を除去する方法は特に限定されないが、操作が簡便である点で、溶媒を蒸発させて除去することが好ましい。このような溶媒の除去の際には、加熱、減圧、通風又はこれらを組み合わせることで、溶媒の蒸発を促進することが好ましい。
【0058】
また、本実施形態の液晶ポリエステル含浸基材の製造方法では、溶媒を除去した後、更に熱処理を行う。このような熱処理によると、仮成形体に含まれる液晶ポリエステルを高分子量化することができ、耐熱性、及び強度の向上を図ることができる。
【0059】
この熱処理に係る条件は、処理温度が260℃以上且つ用いる液晶ポリエステルの熱分解温度未満であり、処理時間が1時間以上30時間以下である。処理温度が260℃よりも低いと、目的とする液晶ポリエステルの高分子量化(重合反応)が起こりにくく、耐熱性の付与が不十分となる。また、処理温度が液晶ポリエステルの熱分解温度よりも高いと、当然のことながら用いる液晶ポリエステルが熱分解し、所望の液晶ポリエステル含浸基材が得られない。
【0060】
なお、より良好な耐熱性を有する液晶ポリエステル含浸基材を得るといった観点からは、熱処理の処理条件としては、好ましくは処理温度が270℃以上であり、より一層好ましくは処理温度が280℃以上330℃以下の範囲である。
【0061】
また、熱処理の処理時間は、1時間以上10時間以下であることが、生産性の点で好ましい。
【0062】
本実施形態の液晶ポリエステル含浸基材の製造方法では、このような熱処理を、酸素濃度が500ppm(0.05体積%)未満の雰囲気下で行うことが好ましい。これにより、熱処理中の液晶ポリエステルの酸化を抑制し、物性低下を防ぐことができる。熱処理工程開始時の酸素濃度は、より好ましくは100ppm(0.01体積%)未満であり、さらに好ましくは50ppm(0.005体積%)未満である。
【0063】
このような酸素濃度の処理環境は、例えば、熱処理を行う処理炉内を不活性ガスで置換することにより整えることができる。不活性ガスとしては、窒素や、ヘリウム、アルゴン等の希ガスを用いることができる。
【0064】
具体的には、窒素で処理炉内を置換する場合、処理炉内に窒素を導入しながら処理炉内の空気を押し出して排出することで置換することができる。また、予め処理炉内を脱気した上で窒素を導入する操作を繰り返すことで置換してもよい。これらの置換操作は、処理炉を運転しながら(例えば、処理炉内を100℃に加熱しながら)行うこととしてもよい。そして、処理炉内の酸素濃度を測定し、これら窒素による置換操作により酸素濃度が所望の値以下になったこと確認した上で、処理炉を上述の熱処理温度に加熱し、熱処理を行うとよい。
【0065】
以上のような製造方法によれば、難燃性が高い液晶ポリエステル含浸基材が得られる。
【0066】
また、こうして得られる液晶ポリエステル含浸基材は、必要に応じて複数枚積層した後、その少なくとも一方の面に金属薄膜などの導電層を形成することにより、導電層付きの液晶ポリエステル含浸基材を得ることができる。
【0067】
導電層の形成は、金属箔を接着剤による接着、熱プレスによる融着等により積層することにより行ってもよいし、金属粒子をメッキ法、スクリーン印刷法、スパッタリング法等によりコートすることにより行ってもよい。金属箔又は金属粒子を構成する金属の例としては、銅、アルミニウム及び銀が挙げられるが、導電性やコストの点から、銅が好ましく用いられる。
【0068】
導電層付きの液晶ポリエステル含浸基材を形成する場合、液晶ポリエステル含浸基材は、複数枚を熱プレスによって張り合わせ多層化して使用してもよい。特に、液晶ポリエステル含浸基材1枚(1層)では、基材としての剛性が足りない場合は、多層化することで剛性を獲得することが好ましい。このような場合、予め導電層を形成した液晶ポリエステル含浸基材と、導電層を形成していない液晶ポリエステル含浸基材とを積層してもよく、予め多層化した液晶ポリエステル含浸基材に対して、前述の通り導電層を形成してもよい。
【0069】
液晶ポリエステル含浸基材を多層化する時の熱プレスの温度は、好ましくは300℃以上360℃以下、より好ましくは320℃以上340℃以下である。また、プレスの圧力は、好ましくは1MPa以上20MPa以下、より好ましくは3MPa以上10MPa以下である。さらに、プレスの時間は、好ましくは5分間以上60分間以下、より好ましくは10分間以上50分間以下である。プレスを行う際は、プレスを行う環境を5kPa以下に減圧して、減圧下にて行うことが好ましい。
【0070】
以上のようにして得られる導電層付きの液晶ポリエステル含浸基材は、液晶ポリエステル含浸基材作成時において上述のように耐熱性を向上させる熱処理が行われている。そのため、導電層に所定の配線パターンを形成することにより、難燃性の高い絶縁層を有したプリント配線板を得ることができる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【実施例】
【0072】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0073】
〔液晶ポリエステルの流動開始温度の測定〕
液晶ポリエステルの流動開始温度は、フローテスター((株)島津製作所製、CFT−500型)を用いて測定した。液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を、流動開始温度として測定した。
【0074】
〔液晶ポリエステルの製造〕
トルクメーターを有する攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1976g(10.5モル)、4−ヒドロキシアセトアニリド1474g(9.75モル)、イソフタル酸1620g(9.75モル)及び無水酢酸2374g(23.25モル)を入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から150℃まで15分かけて昇温し、150℃で3時間還流させた。
【0075】
次いで、上記還流中に副生する酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から300℃まで2時間50分かけて昇温し、300℃で1時間保持した後、反応器から内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状のプレポリマーを得た。このプレポリマーの流動開始温度は、235℃であった。
【0076】
次いで、このプレポリマーを粉砕し粉末状としたものを、金属トレーに敷き詰め、熱風式乾燥機(エスペック社製、IPHH−201M)に入れた。窒素雰囲気下、室温から223℃まで6時間かけて昇温し、223℃で3時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステルを得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は、270℃であった。
【0077】
〔液状組成物Aの作成〕
上記液晶ポリエステル22質量部を、通風オーブンにより120℃で2時間乾燥した後、N,N−ジメチルアセトアミド78質量部に加え、窒素雰囲気下、100℃で2時間加熱した後、冷却することで、液晶ポリエステルを含有する液状組成物Aを得た。
【0078】
〔液状組成物Bの作成〕
上記液状組成物Aの100質量部に対して、シリカフィラー(韓国半導体社製、CA−0020)を9質量部、及び分散メディアであるガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ(株)製、EGB503MM)11質量部を混合容器に投入し、攪拌脱泡機((株)シンキー社製、AR−500)を用いて1000rpmで10分攪拌し、その後1500rpmで5分脱泡し、分散メディアを濾過して除去することで、液状組成物Bを得た。
【0079】
(実施例1)
〔液晶ポリエステル含浸基材の製造〕
繊維シートとしてガラスクロス(ユニチカ(株)製、厚さ96μm、IPC名称2116)を用い、これに液状組成物Aを含浸した後、熱風式乾燥機を用いて、160℃で溶媒を蒸発させ、液晶ポリエステルを含有した繊維シート(仮成形体)を得た。
【0080】
得られた仮成形体を、熱風式乾燥機(エスペック社製(IPHH−201M))内に配置し、庫内を窒素ガスで置換した後に、窒素雰囲気下320℃で10時間熱処理することで、液晶ポリエステル含浸基材を得た。
【0081】
〔UL94燃焼試験〕
上記方法で得られた液晶ポリエステル含浸基材を用い、UL94規格(Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances)に準拠した垂直燃焼試験を実施した。
【0082】
まず、液晶ポリエステル含浸基材を打抜き加工して、短冊試験片(長さ:127mm×幅12.7mm×厚み0.2mm)を作製した。試験片の状態調整(23℃±2℃、50±5%RH×48時間)を行った後、20℃且つ65%RHの条件下で、長辺が鉛直方向となるように試験片を垂直に保持し、試験片の下端に10秒間ガスバーナーの炎を接炎させた。燃焼が30秒以内に止まった場合、さらに10秒間接炎させた。このような試験を、5本の試験片に対して行った。
【0083】
(実施例2)
実施例2は、液晶ポリエステル含浸基材の製造時に熱処理の温度を290℃とし、熱処理時間を3時間としたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例3)
実施例3は、液晶ポリエステル含浸基材の製造時に液状組成物Bを用いたこと以外は、実施例2と同様に行った。
【0084】
(比較例1)
比較例1は、液晶ポリエステル含浸基材の製造時に熱処理の温度を260℃としたこと以外は、実施例2と同様に行った。
【0085】
実施例1〜3、および比較例1について、結果を下表1に示す。
【0086】
【表1】

【0087】
測定の結果、実施例1から3は、いずれも難燃性の等級がUL94規格でV−0であることが分かった。対して、比較例1は、難燃性の等級がUL94規格外であることが分かった。これらの結果から、本発明の有用性が確かめられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ポリエステルと、該液晶ポリエステルを溶解させる有機溶媒と、を含む液状組成物を繊維シートに含浸させ、前記繊維シートに含まれる前記液状組成物から前記有機溶媒を除去して仮成形体を形成する工程と、
前記仮成形体を260℃以上、且つ前記液晶ポリエステルの熱分解温度未満の温度条件下で熱処理する工程と、を有することを特徴とする液晶ポリエステル含浸基材の製造方法。
【請求項2】
前記繊維シートが、ガラスクロスであることを特徴とする請求項1に記載の液晶ポリエステル含浸基材の製造方法。
【請求項3】
前記液晶ポリエステルが、下記式(1)で表される繰返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位と、下記式(3)で示される繰返し単位とを有する液晶ポリエステルであることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶ポリエステル含浸基材の製造方法。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−X−Ar−Y−
(Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar−Z−Ar
(Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
【請求項4】
前記液晶ポリエステルが、自身を構成する全繰返し単位の合計量に対して、前記式(1)で表される繰返し単位を30モル%以上80モル%以下、前記式(2)で表される繰返し単位を10モル%以上35モル%以下、前記式(3)で示される繰返し単位を10モル%以上35モル%以下有することを特徴とする請求項3に記載の液晶ポリエステル含浸基材の製造方法。
【請求項5】
前記式(3)で示される繰返し単位において、X及びYのいずれか一方または両方が、イミノ基であることを特徴とする請求項3または4に記載の液晶ポリエステル含浸基材の製造方法。
【請求項6】
前記熱処理する工程では、290℃以上の温度条件で、且つ3時間以上の熱処理を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶ポリエステル含浸基材の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶ポリエステル含浸基材の製造方法によって得られることを特徴とする液晶ポリエステル含浸基材。



【公開番号】特開2012−162671(P2012−162671A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24840(P2011−24840)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】