説明

液晶ポリマーフィルムの製造方法、及びプリント配線板用基板

【課題】液晶ポリマーフィルム同士又は液晶ポリマーとプレプリグとの間に、優れた接着性を発現する液晶ポリマーフィルムの製造方法を提供し、当該製造方法で得られる液晶ポリマーフィルムを備えた(多層)プリント配線板用基板を提供する。
【解決手段】液晶ポリマーフィルムの少なくとも一方の主面に、紫外線を照射する照射工程を有する液晶ポリマーフィルムの製造方法であって、紫外線照射後の液晶ポリマーフィルムの平均粗さRaが、紫外線照射前の液晶ポリマーフィルムの平均粗さRaに対して1.1倍以上10.0倍以下であることを特徴とする液晶ポリマーフィルムの製造方法、該製造方法により得られる液晶ポリマーフィルム、該液晶ポリマーフィルムを備えた(多層)プリント配線板用基板の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ポリマーフィルムの製造方法、及び当該製造方法により得られる液晶ポリマーフィルムを備える、積層基板、プリント配線板用基板及び多層プリント配線板用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、吸水性が低く電気特性に優れる液晶ポリマーを高分子絶縁体材料として用いたプリント配線板用基板が検討されている。中でも、液晶ポリマーからなるフィルムと、回路(導体パターン)を構成し得る金属箔とを積層させた積層基板は、該積層基板をさらに多層化させて多層プリント配線板を得たとき、配線の高密度が可能であり適用範囲が広いという利点があるため、特に検討されている。多層プリント配線板は、高分子絶縁材料からなる層(以下、「高分子層」という。)と導体層とからなる積層基板同士を張り合わせる方法や、このような積層基板を2つ用い、いわゆるプレプリグと呼ばれる成形中間材料を挟持するように張り合わせて製造される。しかしながら、積層基板同士を張り合わせる場合の高分子層同士の接着力、またはプレプリグを用いる場合のプレプリグ表面と高分子層との接着性は必ずしも十分でないため、従来の液晶ポリマーフィルムを用いてなる多層プリント配線板は、層間剥離が生じて、その特性が著しく低下するか、誤作動が生じる場合があった。
そのため、液晶ポリマーの優れた低吸水性及び電気特性を維持したまま、液晶ポリマーからなる高分子層同士の接着性、又は液晶ポリマーからなる高分子層とプレプリグとの間の接着性を向上させる技術が切望されていた。
【0003】
このような接着性を向上させる技術として、液晶ポリマーに紫外線を照射するといった技術が散見されている。例えば、液晶ポリマーフィルムに対し、アルカリ溶液を接触させる工程と、紫外線を照射する工程とを有する方法(例えば、特許文献1、2参照)や、液晶ポリマーフィルムに波長175nmを主波長として含む高エネルギー線を照射する方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−221456号公報(段落[0006]〜[0008])
【特許文献2】特開2006−351646号公報(段落[0051]〜[0066])
【特許文献3】特開2007−19338号公報(段落[0055])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に開示されている、紫外線照射とアルカリ溶液接触とを組合わせる方法では液晶ポリマー分子中に親水基が発生しやすくなることから液晶ポリマーフィルムの吸水性が悪化する傾向がある。また、高エネルギー線を照射する方法においても、液晶ポリマー自体が劣化しやすく、その操作も極めて煩雑になるといった問題があった。
このような事情に鑑み、本発明の目的は、液晶ポリマーの優れた特性を維持したまま、液晶ポリマーフィルム(液晶ポリマーからなる高分子層)同士、又は液晶ポリマーフィルム(液晶ポリマーからなる高分子層)とプレプリグとの間に高度の接着性を発現し得る、液晶ポリマーフィルムの製造方法を提供し、さらに当該製造方法により得られる、プリント配線板用基板及び多層プリント配線板用基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決する液晶ポリマーフィルムの製造方法を見出すべく、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
[1]液晶ポリマーフィルムの少なくとも一方の主面に、紫外線を照射する照射工程を有する液晶ポリマーフィルムの製造方法であって、紫外線照射後の液晶ポリマーフィルムの平均粗さRaが、紫外線照射前の液晶ポリマーフィルムの平均粗さRaに対して1.1倍以上10.0倍以下である、液晶ポリマーフィルムの製造方法
を提供するものである。
本発明者等は、液晶ポリマーフィルムの平均粗さRaの変化量を、前記の範囲とするように紫外線照射を行うと、液晶ポリマーフィルムの優れた特性を損なうことなく、高度の接着性を発現する液晶ポリマーフィルムが得られることを見出し、当該液晶ポリマーフィルムは、後述の多層プリント配線板用基板として好適であることを見出した。
【0008】
また、本発明は[1]に係る好適な実施態様として、下記の[2]〜[7]を提供する。
[2]前記液晶ポリマーフィルムが、液晶ポリマーと溶媒とを含有する液晶ポリマー溶液を基材に流延塗工し、該溶媒を除去して得られる液晶ポリマーフィルムである、[1]の液晶ポリマーフィルムの製造方法
[3]前記液晶ポリマーフィルムが、以下の式(1)、(2)及び(3)で示される構造単位からなり、全構造単位の合計[(1)+(2)+(3)]に対して、式(1)で示される構造単位が30〜80モル%、式(2)で示される構造単位が10〜35モル%、式(3)で示される構造単位が10〜35モル%である液晶ポリマーを含む、[1]又は[2]の液晶ポリマーフィルムの製造方法
−O−Ar1−CO− (1)
−CO−Ar2−CO− (2)
−X−Ar3−X− (3)
(式中、Ar1は、フェニレン、ナフチレン又はビフェニリレンを表し、Ar2は、フェニレン、ナフチレン及び下記式(4)で表される2価の基からなる群から選ばれる基であり、Ar3はフェニレン及び下記式(5)で表される2価の基からなる群から選ばれる基であり、Xは、O又はNHを表わし、2つのXは同一でも異なっていてもよい。)

(式中、Ar5、Ar6はそれぞれ独立に、フェニレン又はナフチレンを表し、Yは単結合、酸素原子、硫黄原子又は−O−(CH2)i−O−[iは1〜3の整数を表わす]を表し、nは1〜3の整数を表わし、nが2以上のとき、複数あるAr5は同一でも異なっていてもよく、複数あるYは同一でも異なっていてもよい。)

(式中、Ar7は、フェニレン又はナフチレンを表し、mは1〜3の整数を表わし、mが2以上のとき、複数あるAr7は同一でも異なっていてもよい。)
[4]前記式(3)で示される構造単位の一部又は全部が、2つのXのうち、少なくとも一方がNHの構造単位である、[3]の液晶ポリマーフィルムの製造方法
[5]前記照射工程が、下記の原子濃度比測定方法で求められる酸素原子濃度比が紫外線を照射する前後で増加し、且つ下記の原子濃度比測定方法で求められる窒素原子濃度比が紫外線を照射する前後で実質的に変化しないようにして、液晶ポリマーフィルムに紫外線を照射する工程である、[4]の液晶ポリマーフィルムの製造方法
<原子濃度比測定方法>
液晶ポリマーフィルム表面に対して、X線光電子分光分析におけるワイドスキャンスペクトルを測定して求められる、C(1s)、O(1s)及びN(1s)の表面組成の原子濃度をそれぞれ、Xc、Xo及びXnとしたとき、Xo/(Xc+Xo+Xn)を酸素原子濃度比、Xn/(Xc+Xo+Xn)を窒素原子濃度比として求める測定方法
[6]前記照射工程が、空気中で300nm以上の波長を主波長として含む紫外線を照射する工程である、[1]〜[5]いずれかの液晶ポリマーフィルムの製造方法
[7]前記照射工程が、積算光量100〜100,000mJ/cm2の範囲で紫外線を照射する工程である、[1]〜[6]いずれかの液晶ポリマーフィルムの製造方法
【0009】
さらに本発明は、前記いずれかの製造方法により得られる液晶ポリマーフィルムを用いてなる下記の[8]〜[14]を提供する。
[8]前記いずれかの製造方法により得られる液晶ポリマーフィルムと、金属箔とからなる積層基板
[9]前記金属箔が銅箔、ステンレス箔及びアルミニウム箔から選ばれる金属箔である[8]の積層基板
[10][8]又は[9]の積層基板の、金属箔の一部を除去することにより導体パターンを形成してなるプリント配線板用基板
[11][8]〜[9]のいずれかの積層基板又は[10]のプリント配線板用基板を備える多層プリント配線板用基板
[12][8]〜[9]のいずれかの積層体又は[10]のプリント配線板用基板と、[1]〜[7]のいずれかの製造方法により得られる液晶ポリマーフィルムとを、それぞれの紫外線照射を行った面同士が接するようにして張り合わせてなる多層プリント配線板用基板
[13][8]〜[9]のいずれかの積層体及び[10]のプリント配線板用基板から選ばれる基板を2つ準備し、それぞれ紫外線を照射した面同士が接するようにして張り合わせてなる多層プリント配線板用基板
[14][8]〜[9]のいずれかの積層体及び[10]のプリント配線板用基板から選ばれる基板を2つと、プレプリグを1つと、を準備し、該プレプリグの主面の表裏に、2つの基板の紫外線を照射した面が、プレプリグの主面の表裏に、それぞれ接するようにして張り合わせてなる多層プリント配線板用基板
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液晶ポリマーの優れた低吸水性と電気特性とを維持したまま、多層プリント配線板に適用する上で、優れた接着性を発現し得る液晶ポリマーフィルムが得られる。当該液晶ポリマーフィルムを備えた、プリント配線板用基板又は多層プリント配線板用基板、これらを用いてなる多層プリント配線板は、層間剥離によって生じる誤作動等を十分に防止し得るものであり、工業的に極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を、必要に応じて図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
本発明に適用する液晶ポリマーとは、光学的異方性を有する溶融相を形成しうるポリマーであり、良好な耐熱性が得られる点で、高分子主鎖が芳香族基からなり、これらの芳香族基がエステル結合(−C(O)O−又は−OC(O)−)、アミド結合(−C(O)NH−又は−NHC(O)−)とで連結されてなる、液晶ポリエステル又は液晶ポリエステルアミドが好ましい。なお、前記芳香族基とは、単環芳香族基、縮合環芳香族基に加え、単環芳香族基又は縮合環芳香族基が直接結合するか、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜6のアルキレン基、スルホニル基及びカルボニル基から選ばれる連結基を介して連結してなる基も含む概念である。
【0013】
このような液晶ポリマーの中でも、以下の式(1)、(2)及び(3)で示される構造単位からなり、全構造単位の合計[(1)+(2)+(3)]に対して、式(1)で示される構造単位が30〜80モル%、式(2)で示される構造単位が10〜35モル%、式(3)で示される構造単位が10〜35モル%である液晶ポリエステル又は液晶ポリエステルアミドが好ましい。
−O−Ar1−CO− (1)
−CO−Ar2−CO− (2)
−X−Ar3−X− (3)
(式中、Ar1は、フェニレン、ナフチレン又はビフェニレンを表し、Ar2は、フェニレン、ナフチレン及び下記式(4)で表される2価の基からなる群から選ばれる基であり、Ar3はフェニレン及び下記式(5)で表される2価の基からなる群から選ばれる基であり、Xは、O又はNHを表わし、2つのXは同一でも異なっていてもよい。)

(式中、Ar5、Ar6はそれぞれ独立に、フェニレン又はナフチレンを表し、Yは単結合、酸素原子、硫黄原子または−O−(CH2)i−O−[iは1〜3の整数を表わす]を表し、nは1〜3の整数を表わし、nが2以上のとき、複数あるAr5は同一でも異なっていてもよく、複数あるYは同一でも異なっていてもよい。)

(式中、Ar7は、フェニレン又はナフチレンを表し、mは1〜3の整数を表わし、mが2以上のとき、複数あるAr7は同一でも異なっていてもよい。)
液晶ポリマーが、このような構造単位からなるものであると、好適な電気特性及び機械強度を備えた液晶ポリマーフィルムが得られることに加え、溶液キャスト法を用いることで、より簡便に液晶ポリマーフィルムを形成できるといった利点がある。なお、該溶液キャスト法による液晶ポリマーフィルムの形成方法に関しては後述する。
【0014】
式(1)で示される構造単位は芳香族ヒドロキシカルボン酸から誘導される構造単位であり、この芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸及び4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸が挙げられる。
式(2)で示される構造単位は芳香族ジカルボン酸から誘導される構造単位であり、この芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が挙げられる。
式(3)で示される構造単位は、芳香族ジオール、水酸基を有する芳香族アミン又は芳香族ジアミンから誘導される構造単位であり、芳香族ジオールとしては、ヒドロキノン、レゾルシン及び4,4’―ジヒドロキシビフェニルが挙げられ、水酸基を有する芳香族アミンとしては、3−アミノフェノール及び4−アミノフェノールが挙げられ、芳香族ジアミンとしては、1,4−フェニレンジアミン及び1,3−フェニレンジアミンが挙げられる。
【0015】
具体的に好適な構造単位の組合わせからなる液晶ポリマーとしては、下記の(PA)、(PB)又は(PC)で示される、液晶ポリエステル又は液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。
(PA)p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位及び/又は2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位と、イソフタル酸、テレフタル酸及びジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する構造単位と、4,4’―ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位との組合わせからなる液晶ポリエステル
(PB)p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位及び/又は2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位と、イソフタル酸、テレフタル酸及びジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する構造単位と、4−アミノフェノール由来の構造単位との組合わせからなる液晶ポリエステルアミド
(PC)p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位及び/又は2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位と、イソフタル酸、テレフタル酸及びジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する構造単位と、4,4’−ジオキシジフェニルエーテル由来の構造単位との組合わせからなる液晶ポリエステル
【0016】
液晶ポリエステル又は液晶ポリエステルアミドは、上述したような各構造単位に誘導される原料化合物(モノマー)を、特開2002−220444号公報、特開2002−146003号公報等に記載された公知の方法で重合することによって製造することができる。具体的に説明すると、まず、式(1)の構造単位を誘導するモノマーである芳香族ヒドロキシカルボン酸における水酸基と、式(3)の構造単位を誘導するモノマーである芳香族ジオール、芳香族ジアミン又は水酸基を有する芳香族アミンにおける水酸基やアミノ基とを、過剰量の脂肪酸無水物と反応させてアシル化し、アシル化物を生じさせる(アシル化反応)。次いで、得られたアシル化物と、式(2)の構造単位を誘導するモノマーである芳香族ジカルボン酸との間でエステル交換・アミド交換(重縮合)反応を生じさせて溶融重合する方法が挙げられる。
【0017】
アシル化反応に続くエステル交換・アミド交換反応においては、アシル化物のアシル基の合計が、芳香族ジカルボン酸の、カルボキシル基の合計の0.8〜1.2倍当量とすることが好ましい。また、エステル交換・アミド交換反応は、例えば、室温程度から400℃まで0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行うことが好ましく、350℃まで0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行うとより好ましい。なお、反応時には、平衡を移動させて液晶ポリマーの生成を有利にするため、副生する脂肪酸や未反応の脂肪酸無水物を、蒸発させる等によって反応系から取り除くことが好ましい。
また、このような溶融重合を行った後、さらなる高分子量化を目指して固相重合を行ってもよい。固相重合とは、溶融重合で得られたポリマーを、さらに粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、窒素などの不活性雰囲気下、150〜350℃で、1〜30時間程度、固相状態で重合する方法である。
【0018】
なお、アシル化反応、エステル交換・アミド交換反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、ポリエステルの重合用の触媒として公知のものが適用可能である。中でも、金属塩触媒や、N−メチルイミダゾール等の有機化合物触媒などが好ましく、有機化合物触媒がより好ましく、有機化合物触媒の中でも、N−メチルイミダゾール等の窒素原子を2個以上含む複素環状化合物が特に好ましい。これらの触媒を用いる場合、触媒は、通常アシル化反応前に投入され、アシル化反応後に除去せずに、そのままエステル交換・アミド交換反応を行うことができる。
【0019】
次に、前記のような液晶ポリマーから液晶ポリマーフィルムを形成する方法について説明する。
液晶ポリマーフィルムを得るには、これを構成する液晶ポリマーの特性に応じた公知の成膜法を採用すればよい。具体的には、Tダイ成膜法、インフレーション成膜法又は溶液キャスト法を挙げることができる。さらに、このような成膜法により得られたフィルムを一軸延伸又は二軸延伸で延伸してもよい。
かかる成膜法の中でも、Tダイ成膜法又はインフレーション成膜法によって得られる液晶ポリマーフィルムは紫外線照射により、平均粗さRaを増加させることが比較的困難になる場合がある。このため、本発明に適用する液晶ポリマーフィルムを得る成膜法としては、溶液キャスト法が特に好ましい。Tダイ成膜法又はインフレーション成膜法に代表される液晶ポリマーを溶融させて得られるフィルムであると、本発明の製造方法が比較的困難となるおそれがある。その理由として、本発明者は次のように推定している。溶融成形して得られる液晶ポリマーフィルムは、その表面にスキン層と呼ばれる液晶ポリマー分子が高度に配向した層が生成しやすい傾向があり、このようなスキン層を有する液晶ポリマーフィルムの平均粗さRaを増加させることが比較的困難になると推定される。このようなスキン層を有する液晶ポリマーフィルムの平均粗さRaを増加させるために紫外線照射を行う場合、照射時間が長時間化したり、より高エネルギー線(より短波長を主成分として有する紫外線)の照射が必要であったりする。特に、高エネルギー線の照射を用いると、工業的生産が煩雑になることに加え、液晶ポリマー自体が劣化して、その特性が損なわれるおそれがある。このため、溶液キャスト法によって得られる液晶ポリマーフィルムが特に好適である。
【0020】
ここで、好適な液晶ポリマーフィルム製造方法である、溶液キャスト法について詳述する。
溶液キャスト法とは、液晶ポリマーと溶媒とを含有する液晶ポリマー溶液を基材に流延塗工し、該溶媒を除去して液晶ポリマーフィルムを得る方法である。
【0021】
まず、液晶ポリマーと溶媒とを含有する液晶ポリマー溶液を調製する。該液晶ポリマー溶液は、液晶ポリマーが溶媒に溶解していて形態、液晶ポリマーの一部又は全部が溶媒に分散している状態で含まれている分散液のいずれも使用可能であるが、より均一な液晶ポリマーフィルムを得る上で、液晶ポリマーが溶媒に溶解してなる液晶ポリマー溶液が好ましい。また、液晶ポリマー溶液を調製する際、適用した液晶ポリマーを著しく損なわない範囲で加温処理等を行ってもよい。なお、液晶ポリマーを溶媒に溶解させるには、使用する液晶ポリマーの溶媒に対する溶解性を勘案して溶媒を選択する必要があるが、前記に例示した好適な液晶ポリマーである、液晶ポリエステル及び/又は液晶ポリエステルアミドを用いる場合、p−クロロフェノール(以下、「PCP」という)、パーフルオロフェノール等のフェノール系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」という)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒が好ましく使用される。これらの溶媒は2種以上を混合してなる混合溶媒でもよく、液晶ポリマーの溶解性を損なわない範囲で、他の溶媒を混合してもよい。
【0022】
このような液晶ポリマー溶液を調製するに当たり、液晶ポリマーの溶媒に対する溶解性をより向上させる観点からは、前記式(2)で示される構造単位として、イソフタル酸由来の構造単位等の、液晶ポリマー分子に屈曲性を与える構造単位を用いたり、前記式(3)で示される構造単位の一部又は全部が、2つのXのうち、少なくとも一方がNHの構造単位であると、好ましい。具体的には、液晶ポリマーが下記式(3A)及び/又は式(3B)で示される構造単位を含んでいると、好ましい。
−O−Ar3−NH− (3A)
−NH−Ar3−NH− (3B)
(式(3A)、(3B)中、Ar3は前記と同義である。)
さらに液晶ポリマー溶液に用いる溶媒の中でも、非プロトン性極性溶媒は環境負荷を低減する観点から好ましく、このような非プロトン性極性溶媒に対する液晶ポリマーの溶解性を向上させる点では、前記式(3A)及び/又は式(3B)で示される構造単位を有する液晶ポリマーを用いることが好ましく、上述の例示の中では(PB)の液晶ポリエステルアミドが特に好ましい。
【0023】
さらに、本発明に適用する液晶ポリマーフィルムは、機能付与を目的として、従来広範に使用されているフィラーを液晶ポリマーフィルムに含有させることができる。フィラーは有機フィラー、無機フィラーのいずれでもよい。
また、シランカップリング剤、酸化防止剤に代表される添加剤を用いてもよい。
これらのフィラー又は添加剤は、前記溶液キャスト法を用いて液晶ポリマーフィルムを得る際、使用する液晶ポリマー溶液に混合することにより、容易に液晶ポリマーフィルム中に含有させることができる。
【0024】
上述のようにして得られた液晶ポリマー溶液を基材上に流延塗工する。かかる流延塗工には公知の方法を採用することができ、例えば、ローラーコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、ブレードコート法、ロッドコート法、ディップコート法、スプレイコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法等を挙げることができる等が挙げられる。
基材としては、適用する液晶ポリマー溶液に対する耐性を有するものが好ましく、ガラス基板、金属基板、金属箔又はセラミック基板等が使用できる。
【0025】
このようにして基材上に流延塗工された液晶ポリマー溶液から、該液晶ポリマー溶液中の溶媒等の揮発成分を除去する。かかる揮発成分除去の方法は特に制限されないが、例えば、揮発成分を蒸発させることによって行うことが好ましい。揮発成分を蒸発させる方法としては、加熱、減圧、通風等の方法が挙げられる。なかでも、生産効率が良く、操作性が良好であることから、加熱による蒸発が好ましく、通風しつつ加熱することにより蒸発させることがより好ましい。なお、前記に例示した好適な溶媒は、このような加熱、又は加熱と通風を組合わせることにより、容易に除去されて、基材上に液晶ポリマーフィルムが得られる。
次いで、当該基材を剥離して液晶ポリマーフィルムを得る。このようにして得られた液晶ポリマーフィルムは、前記スキン層を有しないものとなるので、紫外線照射により容易に平均粗さRaを増加させることができる。加えて、溶液キャスト法で得られる液晶ポリマーフィルムを本発明の製造方法に適用した際、その接着性が向上する原因としては、溶液キャスト法を用いてなる液晶ポリマーフィルムにおいては、前記のようにして揮発成分を除去しても、液晶ポリマーフィルムの表面に微量の揮発成分が残存しやすい傾向があり、紫外線を照射することにより、このような残存する揮発成分が効率よく除去されて、接着性もより向上すると推定される。
【0026】
本発明に適用する液晶ポリマーフィルムは、予め導体層となり得る金属箔とを備えた積層基板とした後、該積層基板の液晶ポリマーフィルムに紫外線を照射してもよい。このような積層基板を得る手段としては、Tダイ成膜法、インフレーション成膜法又は溶液キャスト法を用いて得られる液晶ポリマーフィルムを金属箔にラミネートする方法や、該液晶ポリマーフィルムに蒸着法等により金属層を形成させた後、メッキ法によって金属層を成長させる方法、前記溶液キャスト法を用いて金属箔上に直接液晶ポリマーフィルムを形成させる方法が挙げられる。
また、市販の液晶ポリマーフィルムや液晶ポリマーフィルムを備えた銅張積層板を用いることもできる。このような市販品としては、例えば、ジャパンゴアテックス社製の「BIAC(登録商標)」、クラレ社製の「ベクスター(登録商標)」や新日鐵化学社製の「エスパネックスL(登録商標)」等が挙げられる。
【0027】
このような積層基板の中でも、上述のように液晶ポリマーフィルムがスキン層を有しない点で、溶液キャスト法を用いてなるフィルムが好ましく、操作上の容易さを合わせると、溶液キャスト法を用いて、金属箔上に直接液晶ポリマーフィルムを形成させて得られる積層基板が好ましい。
【0028】
前記積層基板における液晶ポリマーフィルムの厚さは、機械特性がより良好となる観点から0.5〜500μmであることが好ましく、取扱い性の観点から1〜100μmであることがより好ましい。なお、溶液キャスト法を用いて、金属箔上に液晶ポリマーフィルムを形成させる場合、塗工膜厚を制御することで、容易に所望の厚さのフィルムが得られる。
【0029】
前記積層基板に用いる金属箔は、後述する(多層)プリント配線板用基板において導体層となりうるものであり、かかる導体層の電気特性がより良好であることと、入手の容易さから、銅箔、ステンレス箔又はアルミニウム箔であることが好ましく、銅箔が特に好ましい。
【0030】
<紫外線の照射処理>
本発明の製造方法においては、紫外線を照射する照射工程を有するものであり、液晶ポリマーフィルムの平均粗さRaが、紫外線照射の前後で1.1倍以上10.0倍以下となるようにする。すなわち紫外線照射前の液晶ポリマーフィルムの平均粗さRaをRa0、紫外線照射後の平均粗さRaをRa1としたとき、
1.1≦Ra1/Ra0≦10.0
が成立するように、紫外線を液晶ポリマーフィルムに照射する。
Ra1/Ra0が1.1以上であると、強固な接着性を発揮できる。一方、Ra1/Ra0の上限は、液晶ポリマーフィルムの低吸水性、電気特性が維持できる観点から10.0以下であり、より好ましくは9.0以下であり、さらに好ましくは8.5以下であり、特に好ましくは8.0以下である。
なお、かかる平均粗さRaは、原子間力顕微鏡AFMで23℃、50%RH、測定面積10μm2の条件で測定される。この原子間力顕微鏡AFMとして、本発明では島津製作所製 走査型プローブ顕微鏡SPM−9500を用いる。
【0031】
本発明における照射工程に係る紫外線の照射条件は、前記Ra1/Ra0が前記の範囲となるようであれば特に限定されるものではないが、より実用的な処理時間で処理するためには、275nm以上を主波長とする紫外線を用いると好ましく、300nm以上を主波長とする紫外線を用いると、さらに好ましい。また照射工程に係る雰囲気は、真空下、空気中、窒素等の不活性気体雰囲気下のいずれでもよいが、空気中であると操作が簡便であり、液晶ポリマーフィルムにダメージを与える波長200nm以下の高エネルギー線が遮蔽されることから、好ましい。より一層好ましい照射工程は、空気中で、300nm以上を主波長とする紫外線を液晶ポリマーフィルムに照射する工程であり、かかる照射工程によれば、効率的に前記Ra1/Ra0を1.1以上にすることができる。
また、従来の短波長(200nm以下)を主波長とする高エネルギー線を用いた照射処理では、Ra1/Ra0を10.0以下にするには、制御できない程度の短時間処理となるので好ましくない。このため、300nmの波長を主成分とする紫外線を用いることが、より一層好ましい。なお、ここでいう主波長とは、適用する紫外線の波長に関するエネルギー分布で最大のエネルギーに相当する波長を意味する。
【0032】
紫外線の照射装置としては、例えば、(株)有我工業所社製の「MUA−165」や「shp165−50%」等が挙げられる。
【0033】
前記照射工程で照射する紫外線の積算光量としては、100〜100,000mJ/cm2の範囲が好適である。100mJ/cm2未満では、十分にRa1/Ra0を増加させることが比較的困難であり、100,000mJ/cm2を超えると、Ra1/Ra0が前記の上限を越えて、液晶ポリマーフィルムの劣化を招く恐れがあり、さらには経済的に不利である。この積算光量は、市販の照射量測定装置を用いて測定することが可能であり、例えば(株)トプコンテクノハウス社製の「UVR−T1」等が使用される。また、紫外線強度(mW/cm2)と照射時間(秒)との積から求めることもできるので、紫外線の強度や照射時間により容易に調整することが可能である。かかる積算光量は、Ra1/Ra0の値と、液晶ポリマーフィルムの劣化を、予備実験等を行って決定することができる。なお、上述のようにRa1/Ra0の上限を前記の範囲で維持すれば、液晶ポリマーフィルムの劣化を十分に防止することができる。
【0034】
また、液晶ポリマーフィルムが、好適な液晶ポリマーである、前記の式(3A)及び式(3B)の構造単位を含む液晶ポリエステルアミドからなる場合、X線電子分光分析(以下、「XPS」という)を用いた各原子濃度を指標とすることもできる。
XPSで、ワイドスキャン測定して得られるスペクトル(ワイドスキャンスペクトル)から着目元素の高分解能測定を行い、C(1s)、O(1s)及びN(1s)の表面組成の原子濃度、Xc、Xo及びXnを求め、このようにして求められる各元素の原子濃度から、酸素原子濃度比[Xo/(Xc+Xo+Xn)]と窒素原子濃度比[Xn/(Xc+Xo+Xn)]が前記照射工程の指標となる。すなわち、紫外線を照射する前後で、酸素原子濃度比が増加するように、かつ窒素原子濃度比が実質的に変化しないようにすると、得られる液晶ポリマーフィルムは、液晶ポリマーの優れた性能を十分に維持したまま、接着性を向上させたフィルムとなり得る。なお、本発明においては、XPSとしては、SSI社製SSX−100(照射X線Al Kα線 1486.6eV、X線スポット 1000μm、帯電防止法 中和電子銃)を用いる。
【0035】
前記照射工程を経て得られた積層基板は、その金属箔の一部を除去することによって導体パターンが形成されたプリント配線板用基板として好適に用いることができる。また、該積層基板において、予め金属箔に導体パターンを形成させた後、液晶ポリマーフィルムに対して、本発明の紫外線の照射処理を施してもよい。
また、導体パターンが形成されて液晶ポリマーフィルムが露出した面に、本発明の紫外線の照射処理を行うこともできる。
【0036】
本発明の製造方法により得られる液晶ポリマーフィルムの好適な実施態様は、紫外線が照射されてなる表面を有する液晶ポリマーフィルムを高分子層として備え、さらに金属箔を導体層として備える積層基板である。該積層基板は、金属箔に導体パターンを形成させて、さらに必要に応じて保護層を形成させることによりプリント配線板用基板とすることができる。かかる保護層としても、本発明の製造方法により得られる液晶ポリマーフィルムを用い、その紫外線照射を行った表面を、導体パターンが形成されている積層基板の面と接するようにして張り合わせれば、前記導体パターンの露出した液晶ポリマーフィルム表面と、液晶ポリマーフィルムとの間に高度の接着性を発現して、優れたプリント配線板を得ることができる。
【0037】
図1は、本発明の第1の実施態様を工程別に模式的に表す断面図である。まず、金属箔2上に形成された液晶ポリマーフィルム1に紫外線(UV)を照射する(図1(1a))。このようにすることで、液晶ポリマーフィルム表面に平均粗さRaが増加した表面層10が形成された積層基板100が得られる。この積層基板100から金属箔2を除去することにより、紫外線が照射された表面層10を備えた液晶ポリマーフィルム110(図1(1c))が得られる。
図2は、本発明の第2の実施態様を工程別に模式的に表す断面図である。工程(2b)までは、第1の実施態様を表す図1(1b)と同様であり、得られた積層基板100の金属箔の一部を除去して導体パターン20を形成させ、多層プリント配線板用基板120を得る。
【0038】
また、本発明は、図1に示す製造方法のようにして得られる積層基板100を2つ準備し、この積層基板同士を、それぞれの液晶ポリマーフィルムの紫外線照射を行った面(表面層10)同士が接するようにして張り合わせると、好適な多層プリント配線板用基板が得られる。
図3は、この多層プリント配線板用基板を得る実施態様を工程別に模式的に表す断面図である。まず、前記図1で示したような製造工程において、2つの積層基板100を得、2つの積層基板100の紫外線照射を行った面(表面層10)同士が接するようにして張り合わせることで多層プリント配線板用基板200が得られる。なお、このようにして積層基板100同士を張り合わせる際には、使用した積層基板100を著しく損なわない範囲で、加熱処理を行ってもよく、加圧処理を行ってもよい。
図4は、このようにして得られた多層プリント配線板用基板200の両面にある金属箔の一部を除去して導体パターン21を形成させた多層プリント配線板用基板300の断面を模式的に表す図である。
【0039】
また、かかる積層基板を2つと、プレプリグ1つを準備し、プレプリグの表裏面に、2つの積層基板を、それぞれの液晶ポリマーフィルムの紫外線照射を行った面を張り合わせるようにして接合することで、プレプリグを備えた多層プリント配線板用基板が得られる。プレプリグとしては、当業分野で広範に用いられるものが使用可能であり、例えば、エポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂を、ガラスクロスやLCP不織布に含浸させてなるプレプリグが用いられる。また、プレプリグとして市場から容易に入手できる市販品を用いてもよく、かかる市販品としては、例えば、日立化成工業(株)社製の「GEA−67N」、「GEA−679N」、「GXA−67Y」等が挙げられる。本発明の製造方法で得られる液晶ポリマーフィルムは、紫外線照射によりプレプリグ表面との間においても高度の接着性を発現するので、プレプリグを用いてなる多層プリント配線板用基板においても、層間の剥離を十分に防止して、優れた特性を有する多層プリント配線板用基板となり得る。
図5は、このようにして得られる多層プリント配線板用基板の製造工程を工程別に模式的に表す断面図である。2つの積層基板100と、1つのプレプリグ3とを準備し、プレプリグ3の表裏面に、2つの積層基板100を、それぞれの紫外線を照射してなる面(表面層10)が接するようにして張り合わせることにより、多層プリント配線板用基板400が得られる。この多層プリント配線板用基板の製造方法においても、使用した積層基板100及びプレプリグ3を著しく損なわない範囲で、加熱処理を行ってもよく、加圧処理を行ってもよい。
図6はこのようにして得られる多層プリント配線板用基板400の両面にある金属箔の一部を除去して導体パターン22を形成させた多層プリント配線板用基板500の断面を模式的に表す図である。
【0040】
なお、前記いずれかの多層プリント配線板用基板を得るときに用いる2つの積層基板は、同一の条件で製造されたものであってもよく、異なった条件で製造されたものであってもよい。2つの積層基板に配される液晶ポリマーフィルムがいずれも、紫外線照射前後での平均粗さRaの増加度(前記のRa1/Ra0)が1.1〜10.0の範囲であれば、この液晶ポリマーフィルム同士又は液晶ポリマーフィルムとプレプリグとの間に高度の接着性を発現し、その液晶ポリマーフィルム自身は低吸水性、電気特性等で優れた特性を維持できるので、得られる多層プリント配線板用基板は電気特性においても、実用性に十分優れたものとなり得る。
また、前記の多層プリント配線板用基板を複数用いてなる多層プリント配線板は、従来の液晶ポリマーフィルムを備えた多層プリント配線板と比して、層間剥離に起因する誤作動等が生じることなく信頼性の高いものとなる。
【0041】
図7は、図2(2c)で得られる導体パターン20を有するプリント配線板用基板120に、保護フィルムとして図1(1c)で得られる液晶ポリマーフィルムを用いてなるプリント配線板用基板の製造方法を工程別に模式的に表す断面図である。
まず、プリント配線板用基板120の導体パターン20が形成されている面に紫外線(UV)を照射し、液晶ポリマーフィルムが露出している部分に紫外線を照射した層2’を形成して、プリント配線板用基板130を得る。次いでプリント配線板用基板130と、液晶ポリマーフィルム110を、それぞれの紫外線を照射した面が接するようにして張り合わせることで、プリント配線板用基板150を得ることができる。
【0042】
以上説明したように、本発明の製造方法により得られた液晶ポリマーフィルムは、種々の方法により、液晶ポリマーフィルムからなる高分子層同士又は液晶ポリマーフィルムからなる高分子層とプレプリグとの、接着性に優れた(多層)プリント配線板用基板を製造することができ、これらの(多層)プリント配線板用基板は、プリント配線板、特に多層プリント配線板として極めて優れたものを得ることができる。
また、本発明の製造方法により得られる液晶ポリマーフィルムは、前記の用途のみならず、近年注目されているビルドアップ工法などにより得られる半導体パッケージやマザーボード用の多層プリント基板、テープオートメーティッドボンディング用フィルム等にも好適に用いることもできる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明について実施例を用いて説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないことは言うまでもない。
【0044】
<平均粗さRaの測定>
後述する実施例において、紫外線照射前後の液晶ポリマーフィルムの平均粗さRaは下記のように走査型プローブ顕微鏡AFMを用いて測定した。
測定装置 島津製作所社製 走査型プローブ顕微鏡SPM−9500
測定条件 温度23℃ 湿度50%RHの条件下 測定面積10μm2
【0045】
(製造例1)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸847g(4.5モル)、4−アミノフェノール416g(2.75モル)、イソフタル酸125g(0.75モル)、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸517g(2.0モル)及び無水酢酸817g(11モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて140℃まで昇温し、温度を保持して4時間攪拌させた。
【0046】
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた樹脂は、粗粉砕機で粉砕後、249℃、3時間窒素雰囲気下で固相重合を実施して、液晶ポリマーの粉末を得た。
【0047】
次いで、得られた液晶ポリマーの粉末10gを、NMP90gに加え、さらに、NMP重量に対して水重量が0.03重量%になるように、純水を添加した。この混合物を120℃で4時間加熱することで液晶ポリマーが完全に溶解し、褐色透明な液晶ポリマー溶液が得られた。この溶液を攪拌及び脱泡し、市販の電解銅箔(商品名:HLB、日本電解社製、厚さ18μ)上にフィルムアプリケーターを用いて塗布(塗布厚み400μ)し、ホットプレート上で80℃、6時間乾燥した。
その後、窒素雰囲気下の熱風オーブン中で昇温速度3.2℃/分で30℃から320℃まで昇温し、320℃にて3時間保持する熱処理を行った。さらに室温まで放冷後して銅張板1を得た。この銅張板1にある液晶ポリマーフィルムの平均粗さRa(Ra0)を測定したところ、0.54nmであった。
【0048】
(製造例2)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸941g(5.0モル)、4,4’―ジヒドロキシビフェニル466g(2.5モル)、イソフタル酸415g(2.5モル)及び無水酢酸1123g(11モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて140℃まで昇温し、温度を保持して4時間攪拌させた。
【0049】
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた樹脂は、粗粉砕機で粉砕後、260℃、3時間窒素雰囲気下で固相重合を実施して、液晶ポリマーの粉末を得た。
【0050】
次いで、得られた液晶ポリマーの粉末10gを、PCP90gに加え、この混合物を120℃で8時間加熱することで液晶ポリマーが完全に溶解し、褐色透明な液晶ポリマー溶液が得られた。この溶液を攪拌及び脱泡し、市販の電解銅箔(商品名:F2−WS、古河サーキットフォイル社製、厚さ18μ)上にフィルムアプリケーターを用いて塗布(塗布厚み400μ)し、ホットプレート上で80℃、6時間乾燥した。
その後、窒素雰囲気下の熱風オーブン中で昇温速度3.2℃/分で30℃から320℃まで昇温し、320℃にて3時間保持する熱処理を行った。さらに室温まで放冷後して銅張板2を得た。この銅張板2にある液晶ポリマーフィルムの平均粗さRa(Ra0)を測定したところ、4.47nmであった。
【0051】
(製造例3)
製造例2において市販の電解銅箔から圧延銅箔(商品名:BHY−22B−T、日鉱金属社製、厚さ18μ)に変更する以外すべて同じ操作を行って、銅張板3を得た。この銅張板3にある液晶ポリマーフィルムの平均粗さRa(Ra0)を測定したところ、1.06nmであった。
【0052】
(製造例4)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸940.9g(5.0モル)、4−アセトアミノフェン377.9g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)及び無水酢酸867.8g(11モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて140℃まで昇温し、温度を保持して4時間攪拌させた。
【0053】
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた樹脂は、粗粉砕機で粉砕後、260℃、3時間窒素雰囲気下で固相重合を実施して、液晶ポリマーの粉末を得た。
【0054】
次いで、得られた液晶ポリマーの粉末8gを、NMP92gに加え、さらに、NMP重量に対して水重量が0.03重量%になるように、純水を添加した。この混合物を160℃で4時間加熱することで液晶ポリマーが完全に溶解し、褐色透明な液晶ポリマー溶液が得られた。この液晶ポリマー溶液に無機フィラーとしてホウ酸アルミニウム(アルボレックスM20C:四国化成社製、比重3.0g/cm3)を液晶ポリマーに対して19.6重量%となるように加え、分散・脱泡を行った後に、市販の電解銅箔(商品名:3EC−VLP、三井金属鉱業社製、厚さ18μ)上にフィルムアプリケーターを用いて塗布(塗布厚み400μ)し、ホットプレート上で80℃、6時間乾燥した。
その後、窒素雰囲気下の熱風オーブン中で昇温速度3.2℃/分で30℃から320℃まで昇温し、320℃にて3時間保持する熱処理を行った。さらに室温まで放冷後して銅張板4を得た。この銅張板4にある液晶ポリマーフィルムの平均粗さRa(Ra0)を測定したところ、3.26nmであった。
【0055】
(実施例1)
製造例1で得られた銅張板1に対して液晶ポリマーフィルム表面に高圧水銀灯((株)有我工業所社製、MUA−165、主波長375nm)を使用して2411mJ/cm2の積算光量((株)トプコンテクノハウス社製の「UVR−T1」、受光器モード:UD−T36)で紫外線照射処理を行った。得られたフレキシブルプリント配線板用基板1の平均粗さRa(Ra1)を測定した。
この紫外線照射処理を行ったプリント配線板用基板1を2つ調製し、この2つのフレキシブルプリント配線板用基板1を、市販のプリプレグ(日立化成工業(株)社製、GEA−67N VAJN、0.1mm厚)の両面側から最高圧力3.5MPa、保持温度180℃、保持時間60分で真空プレスを行い評価用両面銅張積層板を作製した。
得られた両面銅張積層板から10mm幅の剥離試験片を切出し、50mm/分の剥離速度にて90°ピール強度(島津製作所製オートグラフAG−5000D)を測定することで、評価用両面銅張積層板のMD方向とTD方向の接着性を測定した。なお、MD方向とは、フィルムアプリケーターを用いて液晶ポリマーフィルムを得る際のアプリケーターの移動方向を意味するものであり、TD方向とは、得られた液晶ポリマーの面方向において、MD方向に直交する方向を意味する。
液晶ポリマーフィルムの紫外線照射前後の平均粗さRa(Ra0及びRa1)と接着性の結果を表1に示す。
【0056】
(実施例2)
実施例1において積算光量を57852mJ/cm2に変更した以外は同様の実験を行った。紫外線照射処理後の平均粗さRa(Ra1)及び接着性を測定した。結果を表1に示す。
【0057】
(実施例3)
実施例1で用いた銅張板1を、製造例2で得られた銅張板2に変更し、さらに積算光量を2893mJ/cm2に変更することで、プリント配線板用基板3を得、このフレキシブルプリント配線板用基板2を2枚調製して、実施例1と同様の実験を行い、紫外線照射処理後の平均粗さRa(Ra1)及び接着性を測定した。結果を表1に示す。
【0058】
(実施例4)
実施例3で積算光量を4822mJ/cm2に変更した以外は、実施例3と同様の実験を行い、紫外線照射処理後の平均粗さRa(Ra1)及び接着性を測定した。結果を表1に示す。
【0059】
(実施例5)
実施例1で用いた銅張板1を、製造例4で得られた銅張板4に変更し、さらに積算光量を57852mJ/cm2に変更してプリント配線板用基板5を得、このフレキシブルプリント配線板用基板5を2枚調製して、以外は、実施例1と同様の実験を行い、紫外線照射処理後の平均粗さRa(Ra1)及び接着性を測定した。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
(比較例1)
実施例1において、2つのフレキシブルプリント配線板用基板1を、製造例1で得られた紫外線処理を行っていない銅張板1に置き換えて、実施例1と同様にして評価用両面銅張積層板を作製し、接着性を測定した。結果を表2に示す。
【0062】
(比較例2)
実施例3において、2つのフレキシブルプリント配線板用基板3を、製造例1で得られた紫外線処理を行っていない銅張板1に置き換えて、実施例3と同様にして評価用両面銅張積層板を作製し、接着性を測定した。結果を表2に示す。
【0063】
(比較例3)
実施例5において、2つのフレキシブルプリント配線板用基板5を、製造例4で得られた紫外線処理を行っていない銅張板4に置き換えて、実施例5と同様にして評価用両面銅張積層板を作製し、接着性を測定した。結果を表2に示す。
【0064】
【表2】

【0065】
(実施例6)
製造例3で得られた銅張板3に対して液晶ポリマーフィルム表面に高圧水銀灯((株)有我工業所社製、MUA−165、主波長375nm)を使用して9642mJ/cm2の積算光量((株)トプコンテクノハウス社製の「UVR−T1」、受光器モード:UD−T36)で紫外線照射処理を行い、フレキシブルプリント配線板用基板6を得た。
別に、製造例3で得た銅張板3を塩化第二鉄水溶液(ボーメ度40°、木田株式会社製)に浸漬することで、銅箔をエッチングした後、水洗して液晶ポリエステルフィルム3を得、このフィルムの表面に高圧水銀灯((株)有我工業所社製、MUA−165、主波長375nm)を使用して9642mJ/cm2の紫外線処理を行って液晶ポリエステルフィルム3’を得た。
フレキシブルプリント配線板用基板6と、液晶ポリエステルフィルム3’とを張り合わせ、液晶ポリエステルフィルム3’のフレキシブルプリント配線板用基板6と接していない面に、さらに圧延銅箔(商品名:BHY−22B−T、日鉱金属社製、厚さ18μ)を貼り合せ、最高圧力5.0MPa、保持温度320℃、保持時間20分で真空プレスを行い両面銅張積層板を作製した。
得られた両面銅張積層板から剥離試験片を切出し、10mm幅の貼り合せた圧延銅箔を50mm/分の剥離速度にて90°ピール強度(島津製作所製オートグラフAG−5000D)を測定することで銅張積層板のMD方向とTD方向の接着性を評価した。
また、得られた両面銅張積層板を5cm2に切り出し、貼り合わせた銅箔側をはんだに浸漬して、液晶ポリマーフィルム表面の膨れの発生を目視で判定し、はんだ耐熱性を評価した。
接着性、はんだ耐熱性の結果を表3に示す。
【0066】
(比較例4)
実施例6において、フレキシブルプリント配線板用基板6を、紫外線照射処理を行っていない銅張板3に変更した以外は、実施例6と同様の実験を行った。接着性、はんだ耐熱性の結果を表3に示す。
【0067】
【表3】

【0068】
(実施例7)
実施例2における液晶ポリマーフィルムの紫外線照射前後で、XPSにより照射前後の酸素原子濃度比、窒素原子濃度比を求めた。結果を表4に示す。なお、XPSの分析条件は下記のとおりである。
装置 SSI社製SSX−100
X線 Al Kα線(1486.6eV)
X線スポット 1000μm
帯電防止法 中和電子銃
【0069】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の、液晶ポリマーフィルム製造に係る第1の実施態様を工程別に表す模式断面図である。
【図2】本発明の、液晶ポリマーフィルム製造に係る第2の実施態様を工程別に表す模式断面図である。
【図3】多層プリント配線板用基板を得る実施態様を工程別に表す模式断面図である。
【図4】導体パターンを形成させた多層プリント配線板用基板の模式断面図である。
【図5】プレプリグを用いた多層プリント配線板用基板の製造方法を工程別に表す模式断面図である。
【図6】プレプリグを用いた多層プリント配線板用基板の模式断面図である。
【図7】本発明の、プリント配線板用基板の製造方法を工程別に表す模式断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1・・・液晶ポリマーフィルム,2・・・金属箔(基材),
10・・・平均粗さRaを増加させた表面層
20,21,22・・・導体パターン
100,120・・・積層基板
110・・・平均粗さRaを増加させた層を有する液晶ポリマーフィルム
150・・・プリント配線板用基板
200,300,400,500・・・多層プリント配線板用基板
UV・・・紫外線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ポリマーフィルムの少なくとも一方の主面に、紫外線を照射する照射工程を有する液晶ポリマーフィルムの製造方法であって、紫外線照射後の液晶ポリマーフィルムの平均粗さRaが、紫外線照射前の液晶ポリマーフィルムの平均粗さRaに対して1.1倍以上10.0倍以下である、液晶ポリマーフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記液晶ポリマーフィルムが、液晶ポリマーと溶媒とを含有する液晶ポリマー溶液を基材に流延塗工し、該溶媒を除去して得られる液晶ポリマーフィルムである、請求項1記載の液晶ポリマーフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記液晶ポリマーフィルムが、以下の式(1)、(2)及び(3)で示される構造単位からなり、全構造単位の合計[(1)+(2)+(3)]に対して、式(1)で示される構造単位が30〜80モル%、式(2)で示される構造単位が10〜35モル%、式(3)で示される構造単位が10〜35モル%である液晶ポリマーを含む、請求項1又は2に記載の液晶ポリマーフィルムの製造方法。
−O−Ar1−CO− (1)
−CO−Ar2−CO− (2)
−X−Ar3−X− (3)
(式中、Ar1は、フェニレン、ナフチレン又はビフェニリレンを表し、Ar2は、フェニレン、ナフチレン及び下記式(4)で表される2価の基からなる群から選ばれる基であり、Ar3はフェニレン及び下記式(5)で表される2価の基からなる群から選ばれる基であり、Xは、O又はNHを表わし、2つのXは同一でも異なっていてもよい。)

(式中、Ar5、Ar6はそれぞれ独立に、フェニレン又はナフチレンを表し、Yは単結合、酸素原子、硫黄原子又は−O−(CH2)i−O−[iは1〜3の整数を表わす]を表し、nは1〜3の整数を表わし、nが2以上のとき、複数あるAr5は同一でも異なっていてもよく、複数あるYは同一でも異なっていてもよい。)

(式中、Ar7は、フェニレン又はナフチレンを表し、mは1〜3の整数を表わし、mが2以上のとき、複数あるAr7は同一でも異なっていてもよい。)
【請求項4】
前記式(3)で示される構造単位の一部又は全部が、2つのXのうち、少なくとも一方がNHの構造単位である、請求項3記載の液晶ポリマーフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記照射工程が、下記の原子濃度比測定方法で求められる酸素原子濃度比が紫外線を照射する前後で増加し、且つ下記の原子濃度比測定方法で求められる窒素原子濃度比が紫外線を照射する前後で実質的に変化しないようにして、液晶ポリマーフィルムに紫外線を照射する工程である、請求項4記載の液晶ポリマーフィルムの製造方法。
<原子濃度比測定方法>
液晶ポリマーフィルム表面に対して、X線光電子分光分析におけるワイドスキャンスペクトルを測定して求められる、C(1s)、O(1s)及びN(1s)の表面組成の原子濃度をそれぞれ、Xc、Xo及びXnとしたとき、Xo/(Xc+Xo+Xn)を酸素原子濃度比、Xn/(Xc+Xo+Xn)を窒素原子濃度比として求める測定方法。
【請求項6】
前記照射工程が、空気中で300nm以上の波長を主波長として含む紫外線を照射する工程である、請求項1〜5のいずれかに記載の液晶ポリマーフィルムの製造方法。
【請求項7】
前記照射工程が、積算光量100〜100,000mJ/cm2の範囲で紫外線を照射する工程である、請求項1〜6のいずれかに記載の液晶ポリマーフィルムの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られる液晶ポリマーフィルムと、金属箔とからなる積層基板。
【請求項9】
前記金属箔が銅箔、ステンレス箔及びアルミニウム箔から選ばれる金属箔である請求項8記載の積層基板。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の積層基板の、金属箔の一部を除去することにより導体パターンを形成してなるプリント配線板用基板。
【請求項11】
請求項8〜9のいずれかに記載の積層基板又は請求項10記載のプリント配線板用基板を備える多層プリント配線板用基板。
【請求項12】
請求項8〜9のいずれかに記載の積層基板又は請求項10記載のプリント配線板用基板と、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られる液晶ポリマーフィルムとを、それぞれの紫外線照射を行った面同士が接するようにして張り合わせてなる多層プリント配線板用基板。
【請求項13】
請求項8〜9のいずれかに記載の積層基板及び請求項10記載のプリント配線板用基板から選ばれる基板を2つ準備し、それぞれ紫外線を照射した面同士が接するようにして張り合わせてなる多層プリント配線板用基板。
【請求項14】
請求項8〜9のいずれかに記載の積層基板及び請求項10記載のプリント配線板用基板から選ばれる基板を2つと、プレプリグを1つと、を準備し、2つの基板の紫外線を照射した面が、プレプリグの主面の表裏に、それぞれ接するようにして張り合わせてなる多層プリント配線板用基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−291168(P2008−291168A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140169(P2007−140169)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】