説明

液晶レンズ

【課題】 本発明は、液晶レンズに関する。
【解決手段】 本発明にかかる液晶レンズは、第一の光透過性プレート;第二の光透過性プレート;第一の電極層であって、前記第一の光透過性プレート上に設けられ、前記第一の電極層が、複数の同心電極を含み、外側の2つの隣接する同心電極間のギャップが、内側の2つの隣接する同心電極間のギャップと異なり;第二の電極層であって、前記第二の光透過性プレート上に設けられ;及び液晶層が、前記第一の光透過性プレートと前記第二の光透過性プレートとの間に挟まれる液晶レンズである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶レンズに関する。さらには本発明は、複数の同心電極を持つ液晶レンズであり、2つの隣接する外側の同心電極間のギャップが、2つの隣接する内側の同心電極間のギャップと異なる液晶レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶レンズは、液晶材料のユニークな物理的及び化学的性質を開発するもっとも将来性のある技術のひとつである。従来のガラスレンズとは異なり、LCレンズは、それに供する電場に依存して入射光線を収束させたり発散させたりできる。特に、LCレンズの焦点距離を、適用する電圧を変動させることにより調節することができる。かかる焦点距離を調節するために機械的動きが必要ないことから、LCレンズはガラスレンズに比べて多くの利点を有しすべてのタイプのイメージキャプチャ技術に使用することができる。
【0003】
図1(A)は、従来技術のLCレンズ構造100を説明するダイヤグラムを示す。LCレンズ構造100は、2つのガラス層110及び120、2つのITO(インジウムスズ酸化物)電極層112及び122がそれぞれ、ガラス層110及び120さらにLC層130上に形成される。図1(B)は、かかるITO電極層112の上面図であり、ITO電極層112は円形ホールを持つようにパターン化されている。レンズ効果を達成するために、LC層130内の電場をガラスレンズの曲率と同様に形状化される必要がある。図1(C)で示される電場を参照して説明されるように、しかしながらLCレンズ構造100はLC層130内の電場の要求される形状を提供しない。
【0004】
LCレンズ構造100のレンズ効果を改良するために、図2で示される同心リングデザインが設けられる。図2(A)は、他の従来技術のLCレンズ構造200を説明するダイヤグラムである。LCレンズ構造200は、2つのガラス層210及び220、2つのITO電極層212及び222を含み、それぞれがガラス層210及び220、さらにLC層230上に形成される。図2(B)は、ITO電極層212の上面図であり、ITO電極層112は同心リングを有し、かかる同心リングは異なる電圧V1−V3が供給されている。図2(C)で示されるLCレンズ層230内の電場の形状は図1(C)で示されるLCレンズ層130よりも良好であるけれど、LCレンズ構造200のデザインは、より制御電圧V1−V3が要求されることから、より複雑なものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、LCレンズを提供することであり、かかるLCレンズは簡単なデザインでかつLC層内の前記電場の形状が前記ガラスレンズの曲率と非常に類似した形状を持ち、上記問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のひとつの実施態様によれば、液晶レンズは、第一の光透過性プレート、第二の光透過性プレート、前記第一の光透過性プレートに設けた第一の電極層及び前記第二の光透過性プレートに設けた第二の電極層を含み、前記第一の電極層が複数の同心電極を含み、2つの隣接する外側の同心電極間のギャップが、2つの隣接する内側の同心電極間のギャップと異なる。
【0007】
他の本発明の実施態様によれば、液晶レンズは、第一の光透過性プレート、第二の光透過性プレート、前記第一の光透過性プレート上に設けた第一の電極層、前記第二の光透過性プレート上に設けた第二の電極層及び前記第一の光透過性プレートと前記第二の光透過性プレートとの間に挟まれる液晶を含み、前記第一の電極層がスパイラル電極を含む。
【0008】
本発明のこれらの及び他の課題は、以下の種々の図面及び表を参照して説明される好ましい実施態様を読むことで当該技術分野の熟練者においては疑うことなく明らかなものとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)は、従来技術のLCレンズ構造を示すダイヤグラムであり、(B)は、(A)で示されるLCレンズ構造のITO層の上面図であり、(C)は、(A)で示されるLCレンズ構造のLC層内の電場の形状を示す。
【図2】(A)は、従来技術のLCレンズ構造を示すダイヤグラムであり、(B)は、(A)で示されるLCレンズ構造のITO層の上面図であり、(C)は、(A)で示されるLCレンズ構造のLC層内の電場の形状を示す。
【図3】(A)は、本発明のひとつの実施態様によるLCレンズを説明するダイヤグラムであり、(B)は、(A)で示されるLCレンズ構造のITO層の上面図であり、(C)は、(A)で示されるLCレンズ構造のLC層内の電場の形状を示す。
【図4】図4は、本発明のひとつの実施態様による、複数の同心楕円電極を含むITO層の上面図を説明するダイヤグラムである。
【図5】図5は、本発明のひとつの実施態様による、同心楕円電極間に均一に分布されたストリップを含むITO層の上面図を説明するダイヤグラムである。
【図6】図6は、本発明のひとつの実施態様による、スパイラル電極を含むITO層の上面図を説明するダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図3(A)には、本発明のひとつの実施態様によるLCレンズ300を説明するダイヤグラムが示される。図3(A)に示されるように、前記LCレンズ300は2つのガラス層310及び320、それぞれ前記ガラス層310および320上に形成される2つのITO電極層312及び322及びLC層330を含む。図3(B)はITO電極層312の上面図であり、前記ITO電極層が複数の同心リング電極を含み(この実施態様においては、3つの同心リング電極312_1から312_3が存在する)、それぞれ2つの隣接する同心リング電極間のギャップが、前記同心リング電極の外側半径方向に沿って徐々に減少する。ここで用語「ギャップ」とは最小の距離を意味する。加えて、ストリップ350が前記同心リング電極312_1から312_3を結合するために使用され、前記同心リング電極312_1から312_3は単一の電圧Vが供給される。
【0011】
本実施態様において、前記ガラス層310及び320は他のいかなる光透過性プレートと交換可能であること、前記ITO電極層312及び322もいかなる他の透明電極と交換可能であることは留意すべきである。
【0012】
加えて、本実施態様においては、前記同心リング電極312_1から312_2は同じ環状幅を持つようにデザインすることが可能であり、それぞれの同心リング電極の前記環状幅を、2つの同心リング電極間のギャップよりもずっと小さくして前記LCレンズのアパーチャを増加させることが可能である。
【0013】
図3(C)は、前記LC層330内の電場を説明するダイヤグラムを示す。図3(C)を参照すると、前記LC層330内の前記電場の前記形状は従来のガラスレンズの曲率と非常に類似する。従って、前記LC層330は、より好ましいレンズ効果を示す。さらに、前記ITO層310は、単一の電圧供給であるから、前記LCレンズ300のデザイン及び回りの電子回路のデザインが簡単となる。
【0014】
加えて、図3(A)に示される前記ITO層310は複数の同心リング電極を持つようにパターン化されているけれど、このことは本発明を限定するものではない。他の実施態様においては、前記ITO層は他のいかなる同心電極としてもパターン化され得る。例えば、図4で示されるように同心楕円電極412_1から412_3である。これらの変更デザインは本発明の範囲に含まれる。
【0015】
前記同心リング電極312_1から312_3間のストリップ350は、前記LC層330において電気的に妨害となり、前記光線が曲げられてしまう可能性がある。従って、この問題を解決するために、前記ストリップの幅をナノメータサイズにデザインされる。前記光線の望ましくない曲がりが生じることを抑制する他の方法は、図5に示すように、ストリップ550_1及び550_2を均一に同心リング電極512_1から512_3に分配することである。
【0016】
さらに、前記ITO層は図6に示すようにスパイラル電極を持つようにデザインされてもよい。ここで前記スパイラル電極間のギャップ前記スパイラル電極の外側半径方向に沿って徐々に減少する。
【0017】
さらに、図3(B)、図4、図5及び/又は図6に示すように、2又はそれ以上のITOパターンが、前記ガラス層上に並べて設けられ、前記LC層内に特定の形状の電場を形成させてもよい。これらの変更デザインはまた、本発明の範囲に含まれる。
【0018】
まとめると、本発明において、前記LCレンズの前記ITO層は、複数の同心電極又はスパイラル電極を含み、前記電極の外側ギャップが前記電極の内側ギャップよりも小さい。さらに、前記LCレンズの前記ITO層は、単一の電圧が供給される。従って、前記LCレンズ内の電場の形状は従来のガラスレンズの曲率と非常に類似するものであり、前記LCレンズ300のデザインが非常に簡単になる。
【0019】
この技術分野の熟練者にとっては、本発明の教示を保持しつつ、本発明の装置及び方法の多くの変形例や変法が可能であるということは容易に理解されることである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶レンズであり:
第一の光透過性プレート;
第二の光透過性プレート;
第一の電極層であって、前記第一の光透過性プレート上に設けられ、前記第一の電極層が、複数の同心電極を含み、外側の2つの隣接する同心電極間のギャップが、内側の2つの隣接する同心電極間のギャップと異なり;
第二の電極層であって、前記第二の光透過性プレート上に設けられ;及び
液晶層が、前記第一の光透過性プレートと前記第二の光透過性プレートとの間に挟まれる、液晶レンズ。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶レンズであり、前記外側の2つの隣接する同心電極間のギャップが、前記内側の2つの隣接する同心電極間のギャップよりも小さい、液晶レンズ。
【請求項3】
請求項2に記載の液晶レンズであり、それぞれの2つの隣接する同心電極間のギャップが、前記同心電極の半径外側方向に沿って減少する、液晶レンズ。
【請求項4】
請求項1に記載の液晶レンズであり、前記同心電極がお互いに少なくともひとつの少なくともひとつのストリップで結合され、前記同心電極が単一の電圧源により供給される、液晶レンズ。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶レンズであり、前記同心電極がお互いに複数のストリップで結合され、前記ストリップが前記電極に均一に分布される、液晶レンズ。
【請求項6】
請求項1に記載の液晶レンズであり、前記同心電極が同心リングでんきょうである、液晶レンズ。
【請求項7】
請求項1に記載の液晶レンズであり、前記同心電極が楕円電極である、液晶レンズ。
【請求項8】
液晶レンズであり:
第一の光透過性プレート;
第二の光透過性プレート;
第一の電極層であって、前記第一の光透過性プレート上に設けられ、前記第一の電極層が、スパイラル電極を含み;
第二の電極層であって、前記第二の光透過性プレート上に設けられ;及び
液晶層が、前記第一の光透過性プレートと前記第二の光透過性プレートとの間に挟まれる、液晶レンズ。
【請求項9】
請求項8に記載の液晶レンズであり、前記スパイラル電極の外側ギャップが、前記スパイラル電極の内側ギャップとは異なる、液晶レンズ。
【請求項10】
請求項9に記載の液晶レンズであり、前記スパイラル電極の外側ギャップが、前記スパイラル電極の内側ギャップよりも小さい、液晶レンズ。
【請求項11】
請求項10に記載の液晶レンズであり、前記スパイラル電極のギャップが、前記スパイラル電極の半径外側方向に沿って徐々に減少する、液晶レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−234135(P2012−234135A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106161(P2011−106161)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(504427835)點晶科技股▲ふん▼有限公司 (8)
【Fターム(参考)】