説明

液晶性化合物を包含する有機無機複合体

【課題】 柔軟性、伸縮性に富み、伸縮により可逆的に液晶性化合物の配向性、光学異方性を大きく変化させることが可能な液晶性化合物を包含する有機無機複合体を提供する。
【解決手段】 ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して形成された三次元網目の中に液晶性化合物(C)を包含する有機無機複合体であって、前記ラジカル重合性モノマー(A)が下記構造式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(A1)を含むことを特徴とする有機無機複合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶性化合物を含有した柔軟性や伸縮性を有する有機無機複合体に関するものであり、温度変化のみならず伸縮により光学異方性を大きく変化させることが可能であり、電気・電子デバイス、光デバイス、シャッター、レンズなどとして利用される。
【背景技術】
【0002】
液晶は構造異方性と流動性といった結晶と液体の両方の性質を有する機能性材料であり、表示素子や光学材料として広く利用されている。通常、液晶材料はガラスやポリマーフィルムの間に挟み込まれ、電場、温度、或いは光によって液晶性化合物の分子配向が制御される。配向の最も基本的な制御法に延伸による方法がある。高分子材料は延伸により分子配向を誘起することができ、配向フィルムや繊維などの材料として広く利用されている。延伸により屈折率を変化させることが可能であるなら、例えば、眼球レンズのように、力学的な歪みを加えることによりピント調節等を行うことが可能となり有用である。液晶性化合物の分子は一般的に光学異方性が強いため、屈折特性を大きく変化させることが可能である。液状である液晶性化合物を直接延伸することは困難であるが、高分子と複合化した後、高分子の分子配向を利用し液晶性化合物の分子配向を誘起する方法が公知である。高分子マトリックス中に液晶性化合物を分散させた高分子/液晶複合体は良く知られており、多くの報告がある(例えば、特許文献1、2、3など)。これら高分子/液晶複合体は、電場、或いは温度変化により、液晶性化合物の配向性を制御することは可能であるが、材料としての強度は弱く、高分子材料が持つ柔軟性や伸縮性を生かして、液晶性化合物の配向制御を行うことはできなかった。いずれの場合も液晶分子が大きなドメインを作って液晶相と高分子相に相分離した構造を形成しているために材料としての強度が低下しているものと推測される。高分子ゲルのゲル溶液として液晶性化合物を使用する方法も知られている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、一般によく知られているアクリルアミド誘導体などのゲルは十分な強度と延伸性とを併せ持つものは無く、液晶性化合物を溶液とした場合も同様であった。
【0003】
【特許文献1】特開2006−276558号広報
【特許文献2】特開昭63−271233号広報
【特許文献3】特表昭61−502128号広報
【非特許文献1】Kenji Urayama, Macromolecules, Vol. 40, No. 7, page 2277-2288, (2007).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、柔軟性、伸縮性に富み、伸縮により可逆的に液晶性化合物の配向性、光学異方性を大きく変化させることが可能な液晶性化合物を包含する有機無機複合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、ラジカル重合性モノマーからなる重合体と粘土鉱物からなる3次元網目内に液晶性化合物を含有させることにより、良好な柔軟性と伸縮性が付与され、延伸により液晶性化合物の配向に由来する大きな複屈折が誘起されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して形成された三次元網目の中に液晶性化合物(C)を包含する有機無機複合体であって、前記ラジカル重合性モノマー(A)が下記構造式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(A1)を含むことを特徴とする有機無機複合体を提供するものである。
【0007】
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは分岐していても良い炭素数1〜5のアルキレン基、Rは分岐しても良い炭素数1〜4のアルキル基を表す。但し、RとRの炭素数の合計は6以下である。)
更に、本発明は、前記ラジカル重合性モノマー(A)として、構造式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(A1)と、アミド基を有するラジカル重合性モノマー(A2)とを用いることにより得られる上記の有機無機複合体を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により得られる液晶性化合物を包含する有機無機複合体は高分子材料と無機粘土鉱物と液晶性化合物を含むもので伸縮性や柔軟性に富み、変形により液晶性化合物の分子が効率的に配向するために、伸縮などの機械的な変形により非常に大きな光学異方性を誘起し、可逆的に変化させることが可能である。むろん、温度や電場などの変化により、透明性や光学異方性を変化させることも可能である。柔軟性に富むために、屈曲した形状で使用することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の液晶性化合物を包含する有機無機複合体はラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して形成された三次元網目の中に液晶性化合物(C)が包含されているものであり、柔軟性、伸張性、伸縮性に富み伸縮により光学異方性を大きく変化させることが可能である。
【0010】
本発明の複合体は伸張性や伸縮性に富むもので、伸張度(変形長×100/初期長)は、通常50%以上、好ましくは80%以上の延伸性を示すものである。また、伸縮性材料として使用する場合には、(変形長−弛緩後の残留変形長)×100/変形長で定義される伸張回復率が30%以上、好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上のものである。弛緩後の残留変形長は、通常、弛緩後、時間と共に小さくなる。通常、弛緩後3日以内、好ましくは1日以内の残留変形長、特に好ましくは2時間以内の残留変形長が用いられる。また、柔軟性とは、軽い曲げ、捩り、圧縮、引張りに対して、回復性を持つものである。
【0011】
光学異方性とは、光が材料内で進む速度が方向により異なる現象をいい、複屈折等により知ることができる。本発明の場合、複屈折(Δn)は延伸方向とそれに垂直方向に直線偏光を入射させた際に生じる位相差(レターデーション(Γ))を膜厚で割った値(Δn=(na−n)=Γ/d)で与えられる。ここで、naは延伸方向の屈折率、nは延伸に対して垂直方向の屈折率を示し、Γ(nm)はレターデーションを、dは膜厚(nm)を示す。誘起される複屈折の値(複屈折度(Δn))や変化の割合は使用する複合体の組成や延伸倍率などにより異なるため一概には規定できない。通常、5×10−4以上、好ましくは8×10−4以上、特に好ましくは1×10−3以上である。また、伸張時と弛緩時の複屈折の差についても同様で、通常2×10−4以上、好ましくは4×10−4以上、特に好ましくは6×10−4以上である。なお、本発明では弛緩時における複屈折度はゼロでなくとも良い。また、本発明の複合体では延伸倍率により複屈折度が変化することを利用することも可能である。誘起される複屈折度及び伸張時と弛緩時の複屈折の差の上限は特に規定されないが通常、1以下である。
【0012】
レターデーション(Γ)はベレックやセナルモンなどのコンペンセーターを用いる公知のレターデーションの測定方法などにより知ることができる。
【0013】
本発明で使用するラジカル重合性モノマー(A)は、単官能有機モノマーであることが好ましく、溶媒、好ましくは水、又は水を含む有機溶媒に溶解する性質を示すもので、粘土鉱物と相互作用し、液晶性化合物に対して親和性のあるものが好ましい。そのようなものとして、アルキル基、アルコキシ基、アルキル部位や芳香族を有する部位を有するラジカル重合性モノマーが挙げられる。具体的には、ラジカル重合性モノマー(A)は、下記構造式(1)のラジカル重合性モノマー(A1)を必須の成分として含むことが必要である。下記構造を有し、下記炭素数の範囲内であれば、重合体と粘土鉱物との親和性が得られ、目的とする諸物性が良好な複合体を得ることができる。
【0014】
【化2】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは分岐していても良い炭素数1〜5のアルキレン基、Rは分岐しても良い炭素数1〜4のアルキル基を表す。但し、RとRの炭素数の合計は6以下である。)
【0015】
上記構造のラジカル重合性モノマー(A1)は、重合前には親水性の性質を持ち、水に対して可溶であるため、親水性の粘土鉱物と良好な相互作用を示し、重合後には疎水性が強くなり、一般に疎水性の液晶性化合物との相互作用が強くなると考えられ、本発明で使用するラジカル重合性モノマー(A)として適している。
【0016】
ラジカル重合性モノマー(A1)としては、メトキシエチル(メタ)アクリレートやエトキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。本発明では、メトキシエチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0017】
また、本発明ではラジカル重合性モノマー(A)として、粘土鉱物との相互作用に優れるラジカル重合性モノマー(A2)を併用すると複合体の強度が向上し、好ましい。粘土鉱物との相互作用に優れる有機モノマー(A2)としては、粘土鉱物と水素結合、イオン結合、配位結合、共有結合などを形成する官能基を有するものが好ましく、具体的にはアミド基、アミノ基、エステル基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する有機モノマーが挙げられ、中でもアミド基やエステル基などを有する有機モノマーが好ましく、特にアミド基を有するものが好ましい。
【0018】
アミド基を有する有機モノマーとしては、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、アクリルアミド等のアクリルアミド類、または、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、メタクリルアミド等のメタクリルアミド類の中から選択される一つ又は複数を重合して得られる有機高分子が例として挙げられる。
【0019】
粘土鉱物との相互作用に優れるラジカル重合性モノマー(A2)を用いる割合は使用する液晶性化合物の種類や目的より異なるが、通常、上記ラジカル重合性モノマー(A1)50モル%以上、ラジカル重合性モノマー(A2)50モル%未満、好ましくは、ラジカル重合性モノマー(A1)60モル%以上、ラジカル重合性モノマー(A2)40モル%以下である。ラジカル重合性モノマー(A2)が50モル%を越える場合、液晶性化合物との親和性が低下し、柔軟性や伸縮性はかえって損なわれる場合がある。
【0020】
本発明で使用する粘土鉱物(B)は、層状粘土鉱物である。層間が膨潤し易い膨潤性層状粘土鉱物である。該層状粘土鉱物としては水に均一分散可能な水膨潤性層状粘土鉱物や有機化合物で処理され、有機溶媒中で分散可能な膨潤性層状粘土鉱物が挙げられる。本発明では、良好な力学的特性が得られ易いなどの理由から、水に均一分散可能な水膨潤性層状粘土鉱物であり、特に好ましくは水中で分子レベル、すなわち単一層、若しくはそれに近いレベルで剥離し均一分散可能な水膨潤性層状粘土鉱物が好ましく用いられる。該水膨潤性層状粘土鉱物としては、具体的には、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などの膨潤性粘土鉱物が挙げられ、より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
【0021】
膨潤性層状粘土鉱物は前記有機モノマーを含有する溶液中で微細かつ均一に分散することが必要で、特に該溶液中に溶解することが望ましい。ここで溶解とは、粘土鉱物の沈殿を生じるような大きな凝集体が無い状態を意味する。より好ましくは1〜10層程度のナノメーターレベルの厚みで分散しているもの、特に好ましくは1〜2層程度の厚みで分散しているものである。
【0022】
ラジカル重合性モノマー(A)の重合体の質量(Wmono)と粘土鉱物(B)の質量(Wclay)の比(Wclay/Wmono)は0.01〜10であることが好ましく、より好ましくは0.03〜2,特に好ましくは0.05〜1である。かかる重量比はかかる範囲であるならば、本発明の目的とする柔軟性や伸縮性を好ましく得ることができる。
【0023】
本発明で使用する液晶性化合物(C)は、150℃以下、より好ましく120℃以下、特に好ましくは100℃以下で液晶状態を示す液晶性化合物、及び混合物であり、ネマチック、スメクチック、コレステリック液晶性化合物が挙げられる。150℃を越える温度で液晶状態を示す液晶性化合物を使用した場合、ラジカル重合性モノマーの重合体の安定性が損なわれる場合がある。本発明では、特に、ネマチック液晶性化合物が好ましく用いられる。ネマチック液晶性化合物は一般に粘度が低く、良好な柔軟性を発揮させるのに有利に働いているものと推測される。
【0024】
これら液晶性化合物としては、公知の液晶性化合物が使用可能であり、ビフェニル系化合物、ターフェニル系化合物、ビフェニルシクロヘキシル系化合物、アゾメチン系化合物、アゾ系化合物、アゾオキシ系化合物、スチルベン系化合物、ビシクロヘキシル系化合物、コレステロール誘導体、及びピリミジン系化合物などが挙げられる。中でも、フェニル基、ナフチル基、シクロヘキシル基を有するものが好ましく、ビフェニル系化合物、ターフェニル系化合物、ビフェニルシクロヘキシル系化合物、アゾメチン系化合物、アゾベンゼン系化合物、アゾオキシベンゼン系化合物、スチルベン系化合物、ビシクロヘキシル系化合物、及びフェニルピリミジン系化合物などが挙げられる。これらの液晶性化合物は用途目的により選択される。これら液晶性化合物は単独で用いることもできるが、2種以上を混合したものを用いることも可能である。本発明で用いられるラジカル重合性モノマー(A1)の重合物と粘土鉱物(B)からなる複合体は、トルエンやキシレンといった芳香族系有機溶媒に対して、膨潤度や強度などが良好なゲルを形成する。例えば、ジメチルアクリルアミドの重合物と粘土鉱物からなる複合体は水に対してしは良好な膨潤性と力学特性を示す水性ゲルを形成するが、トルエンを含浸させようとしてもゲルの乾燥重量の半分の重量のトルエンを含浸させることもできなかった。一方、本発明で用いられる2−メトキシエチルアクリレートの重合物と粘土鉱物からなる複合体の場合、乾燥重量の5倍以上のトルエンを含浸することが可能であった。上述する液晶性化合物の多くは芳香族環を有するために、ラジカル重合性モノマー(A1)の重合物を用いた複合体に対して、良好な親和性を示し、伸縮性に優れた複合体を提供するものと推測される。
【0025】
また、ネマチック液晶性化合物などに光学活性なキラル化剤を添加してコレステリック液晶とすることも好ましい。キラル化剤はネマチック液晶性化合物に添加することにより、液晶性が損なわれることなく、コレステリック構造が形成される公知の光学活性な有機化合物が使用可能であり、特に制限されない。添加量も液晶性化合物構造が損なわれない範囲で使用可能であり、特に制限されないが、通常、液晶性化合物性化合物100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.2〜80重量部が用いられる。
【0026】
本発明の複合体は、液晶相は勿論のこと、等方相にある液晶に対しても延伸により液晶性化合物の分子を配向させ、大きな複屈折を誘起させることが可能である。なお、液晶相では液晶性化合物の分子は配向構造を形成しているが、通常、液晶性化合物はサブミクロンのドメインを形成し、ミクロなドメインごとに異なる配向を示す。そのため、マクロ的に一方方向に配向した状態が得られない。液晶性化合物が液晶状態で白濁しており、このドメイン形成が原因であると言われている。本発明の複合体はマクロ的スケールで配向性を示す配向構造を提供する。
【0027】
ラジカル重合性モノマー(A)の重合体の質量(Wmono)と粘土鉱物(B)の質量(Wclay)の合計重量に対する液晶性化合物(C)の質量(WLC)の重量比[WLC/(Wmono+Wclay)]は、0.05〜50であることが好ましく、より好ましくは0.1〜30、特に好ましくは0.2〜20である。
【0028】
本発明は、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して形成された三次元網目の中に液晶性化合物(C)が包含されているものである。つまり、粘土鉱物(B)が架橋点となってラジカル重合性モノマー(A)の重合体の三次元網目構造を形成しているものであり、その中に上述した液晶性化合物(C)が含有されているものである。ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して三次元網目を形成していることは、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)との複合体がゲルを形成する能力があることにより確認するができる。
【0029】
本発明の有機無機複合体の製造法は特に制限されないが、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して形成された三次元網目構造体を形成させた後、液晶性化合物(C)を含浸させる方法などが挙げられる。具体的には、ラジカル重合性モノマー(A)と粘土鉱物(B)との均質溶液を調製した後、ラジカル重合性モノマー(A)を重合させて、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化した三次元網目構造体を形成させる。次いで、有機溶媒と混合した液晶性化合物(C)を含浸させた後、有機溶媒を除去する方法を挙げることができる。また、一度、ゲルを有機溶媒に浸漬するなどの方法でゲル中の溶液を有機溶媒に置換した後、液晶性化合物或いは液晶性化合物と有機溶媒との混合溶液に接触或いは浸漬させるなどの方法でゲル中に液晶性化合物を導入する方法、或いは、ゲルを乾燥させた後、液晶性化合物と有機溶媒との混合溶液に接触或いは浸漬させるなどの方法でゲル中に液晶性化合物を導入する方法などの方法を挙げることができる。
【0030】
更に、粘土鉱物と液晶性化合物との相互作用を強くすることなどを目的として、液晶性化合物を導入する前に、界面活性剤の溶液と接触させるなどの方法で界面活性剤を添加することも可能である。
【0031】
ラジカル重合性モノマー(A)と粘土鉱物(B)との均質溶液に使用する溶媒は、水、及び水と水に均質に混合する有機溶媒との混合水溶液が好ましく使用される。水に均質に混合する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒などが挙げられる。溶媒の量は特に規定されないが、通常、ラジカル重合性モノマーと粘土鉱物の合計重量に対する溶媒の量は重量比で1〜50の範囲が用いられる。
【0032】
上述したラジカル重合性モノマー(A)を重合させる重合反応は、例えば、過酸化物の存在、加熱又は紫外線照射などの慣用の方法を用いたラジカル重合により行わせることができる。ラジカル重合開始剤及び触媒としては、慣用のラジカル重合開始剤及び触媒のうちから適宜選択して用いることができる。好ましくは、水に分散性を有し、系全体に均一に含まれるものが用いられる。特に好ましくは層状に剥離した粘土鉱物と強い相互作用を有するカチオン系ラジカル重合開始剤である。
【0033】
具体的には、重合開始剤としては、水溶性の過酸化物、例えば、ペルオキソ二硫化カリウムやペルオキソ二硫化アンモニウム、水溶性のアゾ化合物、例えば、和光純薬工業株式会社製のVA−044、V−50、V−501、VA−057などが好ましく用いられる。その他、ポリエチレンオキシド鎖を有する水溶性のラジカル開始剤なども用いられる。
【0034】
また触媒として、3級アミン化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンやβ−ジメチルアミノプロピオニトリルなどが好ましく用いられる。重合温度は用いる水溶性有機高分子、重合触媒及び開始剤の種類などに合わせて0℃〜100℃の範囲で設定する。重合時間も触媒、開始剤、重合温度、重合溶液量などの重合条件により異なり、一概には規定できないが、一般に数十秒〜数十時間の間で行う。
【0035】
ラジカル重合性モノマー(A)の重合後、ラジカル重合性モノマーの重合体と粘土鉱物とが複合物が三次元網目構造体であるかどうかは、得られる複合体がゲル化していることで容易に確認できる。
【0036】
本発明の複合体は、繊維状、ロット状、フィルム状、塗膜状、袋状、球状など任意の形状が可能である。フィルム状とする場合、より膜厚の薄いフィルムを得るためなどを目的として、有機モノマー(A)の重合後、有機モノマーの重合体と粘土鉱物とが複合化したゲルに液晶性化合物を導入する前に1軸或いは2軸に延伸或いはプレス成形する方法や、液晶性化合物を導入した後、1軸或いは2軸に延伸或いはプレス成形する方法は可能である。
【実施例】
【0037】
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
【0038】
(合成例1)
重合モノマーとして、2−メトキシエチルアクリレート(MEA)(アクリックス C−1:東和合成株式会社製)とジメチルアクリルアミド(DMAA:興人株式会社製)を使用した。粘土鉱物は水膨潤性の合成ヘクトライト(商品名 ラポナイトXLG、日本シリカ株式会社製)を120℃で2時間真空乾燥させて用いた。溶媒は18Ωの超純水を用い、水は使用前に予め3時間以上窒素でバブリングさせて含有酸素を除去してから使用した。
【0039】
内部を窒素置換した100mLの丸底フラスコに純水48g入れたものに、撹拌下で0.8gの合成ヘクトライトと5.2gのMEA、1.0gのDMAAを入れ(MEA/DMAA=8/2 モル/モル)、35℃で撹拌し透明な均質溶液を得た。この溶液を氷浴に入れ、10分間ゆっくりと撹拌した後、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)32μLを加え、次いで、予め調製した純水20gとペルオキソ二硫化カリウム(KPS:関東化学株式会社製)0.2gからなる重合開始剤の水溶液2mLを撹拌下で加えた。厚さ2mm、幅10mmのシリコンゴムをスペーサとし、15cm2のガラス板2枚を用いてゲル調製容器を作成した。溶液を窒素雰囲気下でゲル調製容器中に入れた。尚、ゲル調製容器内への溶液の導入は窒素雰囲気としたグローブボックス内で行った。20℃で24時間保持することで重合を進行させた。得られたゲル1は白濁していたが十分な強度と伸縮性を有するゲルであった。
【0040】
(合成例2)
純水48mL、MEA5.85g、DMAA0.5g、合成ヘクトライドを2.0g用いて、合成例1と同じようにして、35℃で撹拌し透明な均質溶液を得た。この溶液を氷浴に入れ、10分間ゆっくりと撹拌した後、予め調製した純水20gと重合開始剤(VA−057:和光純薬株式会社製)0.2gからなる重合開始剤の水溶液2mLを撹拌下で加えた。合成例1と同じゲル調製容器に同様な方法で重合液を入れ、40℃で1時間、50℃で30分間、60℃で20時間重合させた。厚さ2mmのゲル2のフィルムを調製した。得られたゲル2は白濁していたが十分な強度と伸縮性を有するゲルであった。
【0041】
(合成例3)
MEAの使用量を4.55g、DMAAの使用量を1.5gとする以外は、合成例2と同じ条件で厚さ2mmのゲル3を調製した。得られたゲル3は無色透明であり十分な強度と伸縮性を有するゲルであった。
【0042】
(合成例4)
DMAAを使用しないでMEAの使用量を6.5gとする以外は、合成例1と同じ条件で重合液を調製した。厚さ3mmのゲル調製容器に重合液を入れ、20℃で24時間重合された。ゲル3のフィルムを得た。得られたゲル3は白濁していた。
【0043】
(合成例5)
合成例1において、粘土鉱物を1.2gとする以外は、合成例1と同じ条件で重合液を調製し、同様な方法で2mm厚のゲル3のフィルムを得た。得られたゲル3は白濁していた。
【0044】
(合成例6)
合成例1において、DMAAの代わりに、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPA)を1.13g用いて、合成例1と同じ条件で重合液を調製し、同様な方法で2mm厚のゲル3のフィルムを得た。得られたゲル3は白濁していた。
【0045】
(合成例7)
合成例1において、DMAAの代わりに、ジエチルアクリルアミド(DEAA)を1.27g用いて、合成例1と同じ条件で重合液を調製し、同様な方法で2mm厚のゲル7を得た。得られたゲル7は白濁していた。
【0046】
(合成例8)
粘土鉱物の代わりに有機架橋剤としてN,N−メチレンビスアクリルアミド(和光純薬株式会社製)77mg(0.01モル/水1L)を使用、合成例1と同じようにMEA80モル%、DMAA20モル%の有機架橋ゲル1を調製した。
【0047】
(合成例9)
合成例2において、ラジカル重合性モノマーとして、MEAを用いないで、DMAAのみを5g用いて、合成例1と同じ条件で重合液を調製し、同様な方法で2mm厚のゲル8を調製した。得られたゲル8は無色透明であった。ゲル8は10倍以上伸張させることが可能であり、強度も強いものであった。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

尚、Wclayはクレイの質量、Wmonoはモノマーの全質量、Wwaterは水の質量を表す。
【0050】
(実施例1)
合成例1で得られたゲル1(50×30mm、3.1g、クレイ+ポリマー=0.4g)を500mLのメタノールに1日間浸漬させた。途中メタノールを2度交換した。4−シアノ−4’−ペンチルビフェニル(5CB、和光純薬工業株式会社製)10g、メタノール10g、アセトン1gの5CB溶液を用意し、メタノール置換したゲル1をこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。5CB溶液から取り出した後、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶性化合物複合体1(1.8g)を得た。
【0051】
高分子/液晶性化合物複合体1の質量(1.8g)より求めた高分子/液晶性化合物複合体1中の5CB質量は1.4g(1.8−0.4)であり、液晶性化合物の質量(WLC)とクレイとポリマーの合計質量(Wmono+Wclay)の比(以後、複合体中の液晶性化合物量と呼ぶ)は3.5であった。尚、ポリマーの質量はモノマーの質量とほぼ同じである。高分子/液晶性化合物複合体1は柔軟性と伸縮性に富み、長さ20mmを毎分100mmの速度で延伸したところ、500%まで破断することなく延伸することができた。また、500%延伸させた後、弛緩させた。弛緩後、複合体1は塑性変形していた。伸張回復率((延伸倍率−弛緩後の変形倍率)×100/延伸倍率)は75%程であった。50℃に保持し、320%延伸したところ6.0×10−3の複屈折が誘起された。次いで、弛緩させたところ約80%の歪みが残存した。約75%の伸張回復が見られた。弛緩状態での複屈折は4.5×10−4であり、5×10−3以上の大きな複屈折変化が見られた。
【0052】
尚、延伸は島津製作所製の引張試験機(オートグラフAGS−H)を用いた。複屈折はクロスニコル下での偏光顕微鏡(ニコン株式会社製)でベレックコンペンセーターを用いて求めた。温度コントロールはメトラ株式会社製の温度コントローラーを使用した。
【0053】
(実施例2)
合成例2で得られたゲル2(50×30mm)を500mLのメタノールに1日間浸漬させた。途中メタノールを2度交換した。5CB 10g、メタノール10g、アセトン1gの5CB溶液を用意し、メタノール置換したMD10−NC5ゲルをこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。5CB溶液から取り出した後、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶性化合物複合体2を得た。
【0054】
有機無機複合体2の重量から見積もった複合体中の液晶性化合物量[WLC/(Wmono+Wclay)]は2.3であった。高分子/液晶性化合物複合体2は柔軟性と伸縮性に富み、長さ20mmを毎分100mmの速度で延伸したところ、500%まで破断することなく延伸することができた。また、弛緩させたところ、伸張回復率は60%程であった。50℃に保持し、430%延伸したところ1.9×10−2の非常に大きな複屈折が誘起された。次いで、弛緩させたところ複屈折は3.5×10−3ほどであり、15×10−3以上の大きな複屈折変化が見られた。
【0055】
(実施例3)
合成例3で得られたゲル3(50×30mm)を500mLのメタノールに1日間浸漬させた。途中メタノールを2度交換した。N−(4−メトキシベンジリデン)4−ブチルアニリン(MBBA、アルドリッチ株式会社製)10g、メタノール10gのMBBA溶液を用意し、メタノール置換したゲル3をこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。MBBA溶液から取り出した後、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶性化合物複合体3を得た。
【0056】
高分子/液晶性化合物複合体3の質量から見積もった複合体中の液晶性化合物量は6.5であった。高分子/液晶性化合物複合体3は柔軟性と伸縮性に富み、長さ20mmを毎分100mmの速度で延伸したところ、400%破断することなく延伸することができた。また、弛緩させたところ、伸張回復率は60%であった。50℃に保持し、430%延伸したところ1.9×10−2の非常に大きな複屈折が誘起された。次いで、弛緩させたところ複屈折は3.5×10−3ほどであり、15×10−3以上の大きな複屈折変化が見られた。
【0057】
(実施例4)
合成例4で得られたゲル4を乾燥させ、厚さ約0.5mmのフィルムを得た。乾燥フィルムを(50×30mm)をMBBA10g、メタノール10gのMBBA溶液に浸漬させて、室温で1日間保持させた。MBBA溶液から取り出した後、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶性化合物複合体4を得た。高分子/液晶性化合物複合体4はオレンジ色に着色していたが、透明性に優れるものであった。
【0058】
高分子/液晶性化合物複合体4の質量から見積もった複合体中の液晶性化合物量は0.8であった。高分子/液晶性化合物複合体4は柔軟性と伸縮性に富み、50℃に保持し、300%延伸したところ8.0×10−3の非常に大きな複屈折が誘起された。次いで、弛緩させたところ伸張回復率は80%、複屈折は1.0×10−3ほどであり、良好な伸張回復と6×10−3以上の大きな複屈折変化が見られた。この操作を5回繰り返したが、いずれも70%以上の高い伸張回復と6×10−3以上の大きな複屈折変化が見られた。
【0059】
(実施例5)
合成例3で得られたゲル3(2mm厚)を、90℃で熱プレスした。厚さ100ミクロンの薄いフィルムが得られた。該プレスフィルム(50×30mm)を500mLのメタノールに1日間浸漬させた。途中メタノールを2度交換した。MBBA10g、メタノール10gのMBBA溶液を用意し、メタノール置換したフィルムをこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。MBBA溶液から取り出した後、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶性化合物複合体5を得た。フィルムの厚みは65ミクロンであった。
【0060】
高分子/液晶性化合物複合体5の質量から見積もった複合体中の液晶性化合物量は約1.0であった。50℃に保持し、300%延伸したところ、7×10−3の複屈折が誘起された。次いで、弛緩させたところ複屈折は8×10−4ほどであり、6×10−3以上の複屈折変化が見られた。弛緩させたフィルムの残留変形量は80%ほどであり、70%以上の伸張回復が見られた。
【0061】
(実施例6)
合成例5で得られたゲル5(50×30mm)を実施例5と同じように90℃でプレスし、100ミクロンの薄いフィルムを得た。該プレスフィルム(50×30mm)を500mLのメタノールに1日間浸漬させた。途中メタノールを2度交換した。5CB 10g、メタノール10g、アセトン1gの5CB溶液を用意し、メタノール置換したプレスフィルムをこの中に浸漬させて、室温で8時間保持させた。5CB溶液から取り出した後、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶性化合物複合体6を得た。
【0062】
高分子/液晶性化合物複合体6の質量より見積もった複合体中の液晶性化合物量は1.4であった。高分子/液晶性化合物複合体6は柔軟性と伸縮性に富み、長さ20mmを毎分100mmの速度で延伸したところ、500%まで破断することなく延伸することができた。また、延伸後、弛緩させたところ、伸張回復率は80%以上であった。50℃に保持し、300%延伸したところ8.0×10−3の複屈折が誘起された。300%伸張し10分間保持したが、複屈折は8.0×10−3で変化は見られなかった。次いで、弛緩させたところ約60%の歪みが残存した。約80%の伸張回復が見られた。複屈折は5.0×10−4ほどであり、7×10−3以上の大きな複屈折変化が見られた。300%伸張し10分間保持、弛緩10分間保持のサイクルを5回繰り返したが、複屈折の変化はほぼ同じ挙動を示した。
【0063】
300%で伸張させた状態で温度を25℃に低下させた。複屈折は1.7×10−2と向上した。300%伸張状態で、25℃で10保持した後、50℃で10分間保持するサイクルを5回繰り返したが、25℃では複屈折は1.7×10−2であり、50℃では複屈折は8.0×10−3であった。温度変化に伴って、可逆的に複屈折変化を繰り返した。
【0064】
(実施例7)
合成例6で得られたゲル6を乾燥させて、乾燥フィルムを得た。5CB 10g、テトラヒドロフラン(THF)10gの5CB溶液を用意し、ゲル6の乾燥物をこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。5CB溶液から取り出した後、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶性化合物複合体7を得た。
【0065】
有機無機複合体7の質量から見積もった複合体中の液晶性化合物量は4であった。高分子/液晶性化合物複合体7は柔軟性と伸縮性に富み、長さ20mmを毎分100mmの速度で延伸したところ、400%まで破断することなく延伸することができた。また、弛緩させたところ、伸張回復率は60%程であった。伸縮性に優れた液晶性化合物含有複合体が得られた。
【0066】
(実施例8)
合成例7で得られたゲル7を乾燥させて、乾燥フィルムを得た。5CB 10g、THF10gの5CB溶液を用意し、ゲル7の乾燥物をこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。5CB溶液から取り出した後、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶性化合物複合体8を得た。
【0067】
有機無機複合体8の質量より見積もった複合体中の液晶性化合物量は3.5であった。高分子/液晶性化合物複合体8は柔軟性と伸縮性に富み、長さ20mmを毎分100mmの速度で延伸したところ、450%まで破断することなく延伸することができた。また、弛緩させたところ、伸張回復率は63%程であった。伸縮性に優れた液晶性化合物含有複合体が得られた。
【0068】
(実施例9−10)
合成例6、7で得たゲル6(実施例9)、7(実施例10)を乾燥させて、乾燥フィルムを得た。ネマチック性の混合液晶3323(大日本インキ化学工業株式会社製)10g、THF10gの液晶溶液をし、ゲル6、7の乾燥物をこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。液晶溶液から取り出した後、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶性化合物複合体9(実施例9)、10(実施例10)を得た。
有機無機複合体9、10の質量より見積もった複合体中の液晶性化合物量はそれぞれ1.2、1.4であった。高分子/液晶性化合物複合体9、10は柔軟性と伸縮性に富み、長さ20mmを毎分100mmの速度で延伸したところ、複合体9、10はいずれも300%まで破断することなく延伸することができた。また、弛緩させたところ、伸張回復率は複合体9が約80%、複合体10が約70%であった。伸縮性に優れた液晶性化合物含有複合体が得られた。
【0069】
(比較例1)
合成例8で得られた有機架橋ゲル1を実施例1と同じようにメタノール1日間浸漬させた。次いで、実施例1と同じように5CBのメタノール溶液に1日間浸漬させた後、乾燥させて、有機高分子と液晶性化合物の複合体9を得た。複合体9の質量から見積もった複合体中の液晶性化合物量は約1.0であった。延伸を試みたが脆く、全く引き延ばすことができなかった。
【0070】
(比較例2)
合成例9で得られたゲル8を実施例1と同じようにメタノール1日間浸漬させた。次いで、実施例1と同じように5CBのメタノール溶液に1日間浸漬させた後、乾燥させて、高分子/液晶性化合物複合体10を得た。複合体の質量から見積もった複合体中の液晶性化合物量は約4.5であった。非常に固く脆いものあり、全く引き延ばすことができなかった。
【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して形成された三次元網目の中に液晶性化合物(C)を包含する有機無機複合体であって、前記ラジカル重合性モノマー(A)が下記構造式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(A1)を含むことを特徴とする有機無機複合体。
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは分岐していても良い炭素数1〜5のアルキレン基、Rは分岐しても良い炭素数1〜4のアルキル基を表す。但し、RとRの炭素数の合計は6以下である。)
【請求項2】
前記ラジカル重合性モノマー(A)として、構造式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(A1)と、アミド基を有するラジカル重合性モノマー(A2)とを用いる請求項1記載の有機無機複合体。
【請求項3】
前記液晶性化合物(C)が、ネマチック液晶性の液晶化合物である請求項1記載の有機無機複合体。
【請求項4】
前記液晶性化合物(C)が、ビフェニル系化合物又はアゾメチン系化合物である請求項2記載の有機無機複合体。

【公開番号】特開2010−1354(P2010−1354A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160330(P2008−160330)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000173751)財団法人川村理化学研究所 (206)
【Fターム(参考)】