説明

液晶滴下工法用液晶シール剤、それを用いた液晶表示パネルの製造方法及び液晶表示パネル

【解決手段】一液光及び/又は熱硬化性樹脂組成物であって、せん断速度20S-1 における25℃での粘度が、50〜300Pa・sであり、チキソトロピー指数=(せん断速度2S-1における25℃粘度)/(せん断速度20 S-1における25℃粘度)で定義されるチキソトロピー指数が2.0〜8.0である液晶滴下工法用液晶シール剤。
【効果】従来の液晶滴下工法用液晶シール剤では達成困難であった、シールディスペンス塗布性及びスクリーン印刷適性に優れ、かつ、シール外観が良好な、液晶滴下工法用液晶シール剤、該液晶滴下工法用液晶シール剤を用いた液晶表示パネルの製造法及び液晶表示パネルを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルの製造において、シールディスペンス性、シールスクリーン印刷性に優れ、さらに、シール外観が良好な液晶滴下工法用液晶シール剤、それを用いた液晶表示パネルの製造方法及び液晶表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話をはじめ各種機器の表示パネルとして軽量、高精細の特徴を有した液晶表示パネルが広く使用されるようになってきている。これらのこのような液晶表示パネルの製造方法としては、エポキシ樹脂を主体とする熱硬化性のシール剤組成物を液晶表示用のガラス基板に塗布して、プレキュア処理を行った後、対向基板を貼り合わせて加熱圧締接着し、液晶封入用セルを形成した後、真空中で液晶を注入する。その後、液晶注入口を封孔し、液晶表示パネルを製造するといった方法が従来から広く行われてきた。このような液晶表示パネルの製造に用いられるシール剤としては、例えば、特許文献1のように、エポキシ樹脂を主体とする熱硬化性シール剤が提案されている。しかしながら、このような熱硬化性シール剤は、硬化させるために、120℃〜150℃の温度で数時間の時間を要し、さらに、液晶の注入に時間がかかることから、生産性を向上させることが困難となっていた。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献2、3等に記載のように、光及び熱硬化性液晶シール剤を用いた、液晶滴下工法と呼ばれる液晶表示パネルの製造方法が提案されている。
液晶滴下工法では、まず、液晶表示パネルを構成する2枚の基板の一方にディスペンサーまたはスクリーン印刷により四角形のシールパターンを形成する、次いで、その基板のシール枠内又は対となる基板に、液晶の微小滴を滴下塗布しシール剤未硬化の状態で2枚の基板を高真空下で重ね合わせ後、シール部に紫外線を照射して仮硬化を行う。その後、加熱によりアフターキュアを行い、液晶表示パネルを製造する。
この液晶滴下工法において、近年、液晶テレビ等の液晶表示パネルの大型化に伴い、生産性向上のため、液晶表示パネル用基板へのシールパターンニング時間を短縮するために、ディスペンスの塗布速度を高速化する動きがある。また、一方で、携帯電話等の小型パネルのシールパターンニング時間を短縮するため、スクリーン印刷により液晶表示パネル基板上に一括してシールパターンニングを行う動きがある。
【0004】
しかしながら、従来の液晶滴下工法用液晶シール剤は、一般に25℃で300Pa・s〜400Pa・s程度と高粘度で、かつ、ニュートニアンな流体であるため、ディスペンスの塗布速度を高速化すると、塗布安定性、シールの直線性が悪化したり、スクリーン印刷が困難であるという問題点があった。ディスペンス時の塗布安定性、シール直線性を良好にしたり、スクリーン印刷適性を向上させるため、予めシール剤の粘度を低くする方法が考えられるが、従来の液晶滴下工法用液晶シール剤の設計粘度をそのまま低くすると、ディスペンス塗布性、スクリーン印刷性は改善されるが、真空下で基板の重ね合わせを行う際に、液晶が拡散する圧力により未硬化状態シール剤のシールパターン内側のシール直線性が低下するという問題点、シール剤が破壊し液晶が漏れ出すという問題点、また、高真空での重ね合わせ後、圧力を大気圧に開放する際に、大気圧により、シールパターン外側のシール直線性が低下するという問題点等があり、液晶表示パネル用基板上へのシールパターンニング時間の短縮化と、製造される液晶表示パネルのシール外観の良好性を両立することが困難となっている。
【特許文献1】WO2004/039885号公報
【特許文献2】特開2001−133794号公報、
【特許文献3】特開2002−214626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記現状に鑑み、液晶滴下工法により液晶表示パネルを製造する場合において、従来の液晶滴下工法用液晶シール剤では達成困難であった、シールディスペンス塗布性及びスクリーン印刷適性に優れ、かつ、シール外観が良好な、液晶滴下工法用液晶シール剤、該液晶滴下工法用液晶シール剤を用いた液晶表示パネルの製造法及び液晶表示パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、一液光及び/又は熱硬化性樹脂組成物であって、せん断速度20S-1 における25℃での粘度が、50〜300Pa・sであり、チキソトロピー指数=(せん断速度2S-1における25℃粘度)/(せん断速度20 S-1における25℃粘度)で定義されるチキソトロピー指数が2.0〜8.0である液晶滴下工法用液晶シール剤を見出した。
また、本発明のシール剤は、(1)エポキシ樹脂と、(2)アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマーと、(3)一分子内にエポキシ基及び(メタ)アクリル基を少なくともそれぞれ1個有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂と、(4)潜在性エポキシ硬化剤と、(5)光ラジカル重合開始剤と、(6)フィラーと、を含むものが好ましい。更に、(6)フィラーは、平均一次粒子径1.5μm以下で、その比表面積が10m2/g〜500m2/gであることが好ましい。また、(6)フィラーを、フィラー成分を除く液晶シール剤組成物100重量部に対して、1〜40重量部含有することが好ましい。
【0007】
本発明のシール剤を使用した液晶表示パネルの製造方法は、一方の液晶表示パネル用基板にシールパターンを形成する工程と、該液晶シール剤が未硬化の状態で液晶の微小液滴を該パネル基板のシールパターンの枠内に滴下塗布する工程と、他方の該パネル用基板と液晶の微小液滴が塗布された透明基板とを重ね合わせる工程と、からなる方法である。また、一方の液晶表示パネル用基板にシールパターンを形成する工程と、他方の該パネル用基板に液晶の微小液滴を滴下塗布し、該液晶シール剤が塗布されたパネル基板とを、該液晶シール剤が未硬化の状態で重ね合わせる工程と、からなる製造方法である。更に、ディスペンサー又はスクリーン印刷によりシールパターンを形成する工程を有する製造方法である。そして、これら製造方法によって得られる液晶表示パネルである。
【発明の効果】
【0008】
従来の液晶滴下工法用液晶シール剤では達成困難であった、シールディスペンス塗布性及びスクリーン印刷適性に優れ、かつ、シール外観が良好な、液晶滴下工法用液晶シール剤、該液晶滴下工法用液晶シール剤を用いた液晶表示パネルの製造法及び液晶表示パネルを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明を詳述する。
発明の液晶滴下工法用液晶シール剤は、一液光及び/又は熱硬化性樹脂組成物であって、せん断速度20S-1 における25℃での粘度が、50〜300Pa・sであり、チキソトロピー指数=(せん断速度2S-1における25℃粘度)/(せん断速度20 S-1における25℃粘度)で定義されるチキソトロピー指数が2.0〜8.0である。
好ましくは、せん断速度20S-1 における25℃での粘度が、100〜250Pa・sであり、チキソトロピー指数が2.5〜5.0である。せん断速度20S-1 における25℃での粘度及びチキソトロピー指数がこの範囲であれば、シール剤の脱泡性が維持でき、真空重ね合わせ後のシール外観が良好となりまた、ディスペンス性やスクリーン印刷特性に優れるので良好である。
【0010】
この粘度は、E型回転粘度計、例えば、ブルックフィールド社製のデジタルレオメータ型式DV−3+なる回転型粘度計を使用し、半径12mm、角度3°のCPE−52型コーンプレート型センサーを使用し、回転数1rpm(せん断速度2S−1)での25℃粘度、及び、回転数10rpm(せん断速度20S−1)における粘度である。
本発明の液晶滴下工法用液晶シール剤は、一液光及び/又は熱硬化性樹脂として、(1)エポキシ樹脂と、(2)アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマーと、(3)一分子内にエポキシ基及び(メタ)アクリル基を少なくともそれぞれ1個有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂と、(4)潜在性エポキシ硬化剤と、(5)光ラジカル重合開始剤と、(6)フィラーと、を含有する硬化性樹脂組成物からなる。また、必要に応じてシランカップリング剤等の従来公知の(7)その他の添加剤を含有しても良い。その構成成分について具体的に説明する。
【0011】
(1)エポキシ樹脂
本発明で使用するエポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等で代表される芳香族ジオール類及びそれらをエチレングリコール、プロピレングリコール、アルキレングリコール変性したジオール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルエーテル化合物;、フェノール又はクレゾールとホルムアルデヒドとから誘導されたノボラック樹脂、ポリアルケニルフェノールやそのコポリマー等で代表されるポリフェノール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られたノボラック型多価グリシジルエーテル化合物;、キシリレンフェノール樹脂のグリシジルエーテル化合物類、等が具体的な例として挙げられる。
該エポキシ樹脂の好ましい具体的には例としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールエタン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂の群から選ばれる少なくとも一つの樹脂又はその混合物が挙げられる。
【0012】
本発明に用いるエポキシ樹脂は、環球法による軟化点が40℃以上でかつ、重量平均分子量が1000〜10000のものであればより好ましい。エポキシ樹脂の軟化点や重量平均分子量が上記範囲内にあると、エポキシ樹脂の液晶に対する溶解性、拡散性が低く、得られる液晶表示セルパネルの表示特性が良好であり、また(2)アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマーに対する相溶性が良好で好ましい。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定できる。これらのエポキシ樹脂としては分子蒸留法などにより高純度化を行ったものを使用することが好ましい。
【0013】
(2)アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマー
アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマーとしては以下のものが例示される。
ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジアクリレート及び/又はジメタクリレート;、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジアクリレート及び/又はジメタクリレート、;ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレート及び/又はジメタクリレート、;ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレート及び/又はジメタクリレート、;トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリアクリレート及び/又はジ又はトリメタクリレート、;ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレート及び/又はジメタクリレート、;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及び/又はトリメタクリレート、;トリメチロールプロパントリアクリレート及び/又はトリメタクリレート、又は、そのオリゴマー;、ペンタエリスリトールトリアクリレート及び/又はトリメタクリレート、又は、そのオリゴマー;、ジペンタエリスリトールのポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート、;トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、;カプロラクトン変性トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、;アルキル変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート、;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート、;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート及び/又はジメタクリレート、;カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート及び/又はジメタクリレート、;エチレンオキサイド変性リン酸アクリレート及び/又はジメタクリレート、;エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸アクリレート及び/又はジメタクリレート;ネオペンチルグルコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのオリゴアクリレート及び/又はオリゴメタクリレート等が挙げられる。
また、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールエタン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂の(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0014】
本発明に使用する(2)アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマーは、数平均分子量が300〜2000の範囲にありで、かつ、Fedorsの理論溶解度パラメータ(sp値)が10.0〜13.0(cal/cm31/2での範囲にあることが好ましい。数平均分子量が、この範囲であると、(2)アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマーの、液晶に対する溶解性、拡散性が低く、得られる液晶表示セルパネルの表示特性が良好であり、また前記(1)エポキシ樹脂に対する相溶性が良好である。尚、数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定できる。
【0015】
溶解度パラメータ(sp値)の算出方法にはさまざまな手法や計算方法が存在するが、本明細書において用いられる理論溶解度パラメータはFedorsが考案した計算法に基づくものである(日本接着学会誌、vol.22、no.10(1986)(53)(566)など参照)。この計算法では、密度の値を必要としないため、溶解度パラメータを容易に算出することができる。上記Fedorsの理論溶解度パラメータ(sp値)は、以下の式で算出されるものである。

【0016】
溶解度パラメータ(sp値)が上記範囲内にあるとであれば、(2)アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又あるいはこれらのオリゴマーの液晶に対する溶解性が小さく、液晶に対する汚染性が小さく抑制され、得られる液晶表示セルパネルの表示特性が良好となり好ましい。
【0017】
本願発明では(2)アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマーとして上述したものを数種類組み合わせて組成物として使用することも可能である。また、この場合には、これらの混合組成物の全体としての理論溶解度パラメータ(sp値)は、混合される各(2)アクリル酸エステルモノマー、及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又、あるいはこれらのオリゴマーのモル分率の和に基づき算出することができる。なお、これらの(2)アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又あるいはこれらのオリゴマーとして、前記組成物を用いる場合にも、該組成物混合物全体の理論溶解度パラメータについてもが10.0〜13.0(cal/cm31/2の範囲内であることが好ましい。
【0018】
数平均分子量が300〜2000で、かつ、Fedorsの理論溶解度パラメータ(sp値)が10.0〜13.0(cal/cm31/2の範囲内である(2)アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマーの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(数平均分子量:352、sp値12.1)等が挙げられる。 (2)アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマー100重量部に対して、前記(1)エポキシ樹脂の使用量は、20〜200重量部であることが望ましい。成分(2)に対する成分(1)の割合がこの範囲内であれば、光硬化後、及び、光及び熱硬化後の硬化体のガラス転移温度(Tg)が良好である。
(2)アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマーは、水洗法などにより、高純度化を行っているたものを使用することが好ましい。
【0019】
(3)一分子内にエポキシ基及び(メタ)アクリル基を少なくともそれぞれ1個有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂
本発明に用いる一分子内にエポキシ基及び(メタ)アクリル基を少なくともそれぞれ1個有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、一分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上併せ持つ化合物であれば特に限定されない。
上記一分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上併せ持つ化合物としては例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸やフェニルメタクリレートを例えば、塩基性触媒下で反応することにより得られる。
【0020】
上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールエタン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これら一分子内にエポキシ基及び(メタ)アクリル基を少なくともそれぞれ1個有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、樹脂骨格内にエポキシ基と(メタ)アクリル基を併せ持っているので、液晶シール剤組成物中の成分(1)と成分(2)との相溶性が高くなり、光硬化後の硬化体のガラス転移温度(Tg)が高くなり、さらに接着信頼性を発現することが可能となる。成分(3)は、分子蒸留法、洗浄法等により高純度化を行なったものを使用することが好ましい。
【0021】
(4)潜在性エポキシ硬化剤
潜在性エポキシ硬化剤としては、公知のものが使用できるが一液型で粘度安定性が良好な配合物を与えることができる点からは、その融点、または、環球法による軟化点温度が、100℃以上のアミン系硬化剤であるものが好ましい。潜在性エポキシ硬化剤として、具体的には有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾール及びその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン等が好ましく挙げられる。これらは単独で用いても組み合わせて使用しても良い。また、アミン系潜在性硬化剤の融点又は環球法による軟化点温度が、100℃以上であると、室温での粘度安定性を良好に保持でき、スクリーン印刷やディスペンサー塗布により長時間使用することが可能となる。
【0022】
アミン系潜在性硬化剤であって、かつ、その融点、または、環球法による軟化点温度が100℃以上である(5)潜在性エポキシ硬化剤の具体例としては、例えば、ジシアンジアミド(融点209℃)等のジシアンジアミド類;、アジピン酸ジヒドラジド(融点181℃)、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(融点120℃)等の有機酸ジヒドラジド;、2,4−ジアミノ―6―[2’−エチルイミダゾリル−(1’)]−エチルトリアジン(融点215℃〜225℃)、2−フェニルイミダゾール(融点137〜147℃)等のイミダゾール誘導体等が挙げられる。
【0023】
潜在性エポキシ硬化剤は、液晶シール剤組成物100重量部中に、通常1〜25重量部、好ましくは5〜15重量部の量で含有される。この範囲で潜在性エポキシ硬化剤が含まれていると、得られる液晶表示パネルの接着信頼性が発現され、また、液晶シール剤組成物の粘度安定性も維持できる。本発明に使用される潜在性エポキシ硬化剤は、水洗法、再結晶法などにより、高純度化処理を行ったものを使用することが好ましい。
【0024】
(5)光ラジカル重合開始剤
本発明に使用する光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、公知の材料を使用することが可能である。具体的には例えば以下のものが挙げられる。具体例としては、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサトン類、α−アシロキシムエステル類、フェニルグリオキシレート類、ベンジル類、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、有機色素系化合物、鉄−フタロシアニン系、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、アントラキノン類等の化合物が挙げられる。これらの使用量は該光ラジカル重合開始剤は、液晶シール剤組成物100重量部中に、通常0.01重量部〜5重量部の量で用いられる。0.01重量部以上の量とすることにより光照射による硬化性を与え、5重量部以下とすることにより、液晶シール剤組成物の塗布安定性が良好で、光硬化の際に均質な硬化体を得ることができる。
【0025】
(6)フィラー
液晶シール剤の粘性の制御を容易にしたり、硬化後の液晶シール剤の強度を向上し、また、線膨張性を抑えて接着信頼性を向上させるためにフィラーを使用する。
このフィラーには通常電子材料分野で使用可能なのものであればいずれでもよい。具体的には例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機フィラー、また、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン及びこれらと共重合可能なモノマー類を共重合した共重合体、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ゴム微粒子等の公知の有機フィラーも使用可能である。
上記フィラーの形状としては、特に限定されず、球状、板状、針状等の定形物または非定形物が挙げられる。上記フィラーの中では、線膨張率、形状保持性の観点で無機フィラーが好ましく、UV透過性の観点から二酸化ケイ素、タルクがより好ましい。
【0026】
上記フィラーの一次粒子径としては1.5μm以下、でかつ、その比表面積が10m2/g〜500m2/gであることが好ましい。フィラーの一次粒子径や比表面積が上記範囲内であれば、せん断速度と粘度の範囲を容易に制御できより好ましい。フィラーの一次粒子径の測定方法は、JIS Z8825−1に記載のレーザー回折法、また、比表面積測定は、JIS Z8830に記載のBET法により測定できる。液晶シール剤中のフィラーの使用量は、フィラー成分を除く液晶シール剤組成物100重量部に対して、通常1〜40重量部の含有量、好ましくは10〜30重量部の含有量である。液晶シール剤中のフィラーの使用量が上記範囲内であれば、(せん断速度2 S-1の25℃粘度)と(せん断速度20 S-1の25℃粘度)との粘度比(チキソトロピー指数)が2.0〜8.0に制御することが容易で、かつ、硬化後の液晶シール剤の接着強度が良好となるので好ましい。
【0027】
(7)その他の添加剤
本発明では必要に応じて更に、熱ラジカル発生剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、イオントラップ剤、イオン交換剤、レベリング剤、顔料、染料、可塑剤、消泡剤等の添加剤の使用が可能である。また、所望のセルギャップを確保するためスペーサー等を配合しても良い。
【0028】
[液晶シール剤の調整方法]
本発明の液晶シール剤の調整は特に限定はない。混合には、例えば、双腕式攪拌機、ロール混練機、2軸押出機、ボールミル混練機、遊星式撹拌機等すでに公知の混練機械を介して行って良く、最終的にフィルターを用いてろ過を実施し、真空脱泡処理後にガラス瓶やポリ容器に密封充填され、貯蔵、輸送される。
本発明によって得られた液晶表示パネル用シール剤は、液晶滴下工法にて液晶表示パネルを製造した場合、シールディスペンス性、シールスクリーン印刷性に優れ、シール直線性に優れた液晶表示パネルを製造することが可能である。従来の液晶シール剤では、シールディスペンス性に、シールスクリーン印刷性を向上させるために、低粘度にすると得られた液晶表示パネルのシール直線性低下することが問題であったが、本発明の液晶シール剤を使用することで、高速でのディスペンス性、またはスクリーン印刷適性に優れ、かつ、良好なシール外観が得られる液晶表示パネルを得ることができるので、液晶滴下工法における、液晶表示パネルの生産性のさらなる向上が可能となった。
【0029】
本発明の液晶滴下工法用液晶表示パネル用シール剤を用いて、液晶表示パネルを製造する方法としては特に限定されず、例えば、一方の液晶表示パネル用基板の外周付近に本発明の液晶滴下工法用シール剤を使用してシールパターンを形成する工程と、液晶滴下工法用液晶表示パネル用シール剤が未硬化の状態で液晶の微小液滴を液晶表示パネル用基板のシールパターンの枠内に滴下塗布する工程と、他方の液晶表示パネル用基板と、液晶の微小液滴が塗布された液晶表示パネル用基板とを重ね合わせる工程と、液晶滴下工法用液晶表示パネル用シール剤に光及び/又は熱を与えて硬化させる工程とを有する方法;一方の液晶表示用パネルの外周付近に本発明の液晶滴下工法用シール剤を用いてシールパターンを形成する工程と、液晶滴下工法用液晶表示パネル用シール剤が未硬化の状態でシールパターンが形成される液晶表示パネル用基板と、液晶の微小液滴が塗布された液晶表示パネル用基板とを重ねあわせる工程と液晶滴下工法用シール剤に光及び/又は熱を与えて効果させる工程とを有する方法等が挙げられる。これらの液晶表示パネルの製造方法も本発明に包含される。
【0030】
本発明に用いる液晶表示パネル用基板の対向する面には、配向膜が形成されていても良い。上記配向膜としては特に限定されず、例えば、公知の有機配向剤や無機配向剤からなるものを用いることができる。本発明の液晶滴下工法用シール剤を用い、本発明の製造方法によって製造された液晶表示パネルは、シール外観に優れた液晶表示パネルを与えることができる。これらの液晶表示パネルも本発明に包含される。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、これに限定されたものではない。
例中記載の%、部とはそれぞれ重量%、重量部を意味する。
[使用原材料等]
(1)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂として、O−クレゾールノボラック型固形エポキシ樹脂である日本化薬社製品・商品名「EOCN−1020−75」を使用した。
(2)アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマービスフェノールA型樹脂のジメタクリレートである共栄社化学社製・商品名「エポキシエステル3000M」を、トルエン、及び、超純水を用いた、希釈、洗浄方法を12回繰り返して、高純度化処理して使用した。
(3)一分子内にエポキシ基及び(メタ)アクリル基を少なくともそれぞれ1個有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂合成例1の変性樹脂を使用した。
[合成例1](メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の合成
攪拌機、気体導入管、温度計、冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコにビスフエノールF型エポキシ樹脂:「東都化成社製・商品名エポトートYDF−8170C」を160g、メタクリル酸:43g、トリエタノールアミン:0.2gを混合し、乾燥エア気流下、110℃、5時間加熱攪拌してメタクリル変性エポキシ樹脂を得た。得られた材料を超純水にて12回洗浄処理を繰り返した。
【0032】
(4)潜在性エポキシ硬化剤
潜在性エポキシ硬化剤として1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントインである、味の素社製・商品名「アミキュアVDH−J」、及び、2,4−ジアミノ―6―[2’−エチル―4’―メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル―s―トリアジンである、四国化成社製・商品名「キュアゾール2E4MZ−A」を使用した。
(5)光ラジカル重合開始剤
光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンであるチバスペシャリティ・ケミカルズ社製・商品名「イルガキュア184」を使用した。
(6)フィラー
フィラーとして、日本触媒製球状シリカ、「シーフォスターS−30」(一次平均粒子径0.3μm、比表面積11m/g)、日本タルク社製タルク「SG−2000」(一次平均粒子径0.9μm、比表面積36.6m/g)、日本アエロジル社製、「アエロジル200」(一次平均粒子径0.012μm、比表面積200m/g)を使用した。
(7)添加剤
添加剤として、シランカップリングを使用した。γ−グリシドキシトリメトキシシラン:「信越化学工業社製・商品名KBM403」を使用した。
【0033】
[試験方法]
(液晶表示パネルのシール外観テスト)
透明電極及び、配向膜を付した40mm×45mmガラス基板(EHC社製、RT−DM88PIN)上に、5μmのガラスファイバーを1重量部添加した液晶シール剤を、ディスペンサー(ショットマスター;武蔵エンジニアリング社製)にて0.5mmの線幅、50μmの厚みで35mm×40mmの枠型に描画し、貼り合わせ後のパネル内容量に相当する液晶材料(MLC−11900−000:メルク社製)をディスペンサーを使用して精密に滴下した。さらに対となるガラス基板を90Paの減圧下で重ね合わせ、荷重をかけ固定した。その後、ウシオ電機製紫外線照射装置を使用し、100mW/cm2の紫外線照射照度で2000mJの照射エネルギーで光硬化を行った。光源にはメタルハライドランプを使用し、積算光量の測定には300nm〜390nmの測定波長範囲を有し、ピーク感度波長が365nmの紫外線積算光量計(トプコン社・UVR−T35)を使用した。
紫外線硬化後、さらに、120℃、60分加熱硬化した後の液晶表示パネルのシール直線性を評価した。その液晶表示パネルのシール直線性を以下の式ような評価法で判定した。
(シールの最大幅と最小幅の比率)(%)=(シールの最少幅)×(シールの最大幅)×100
シールの最大幅と最小幅の比率が95%以上のものをシール直線性が優れているものとして○の判定を、50%以上95%未満であるものをシール直線性が劣るものとして△の判定を、50%未満であるものをシール直線性が劣るものとして×の判定を行った。
【0034】
(シール剤のディスペンス塗布性テスト)
300mm×400mmの液晶表示パネル用ガラス基板(日本電気硝子社製)に、5μmのガラスファイバーを1重量%添加した液晶シール剤を、針先口径0.4mmのシリンジに真空下で充填し、ディスペンサー(ショットマスター;武蔵エンジニアリング社製)にて吐出圧力0.3MPa、塗布厚み20μm、塗布速度100mm/secで35mm×40mmの枠型に50個描画し、描画したシールパターンのシール形状を以下のような評価法で観察した。300mm×400mmのガラス基板上に35mm×40mmの長方形に描画したシール枠内にシール切れ、シールかすれが全くない枠型が45個〜50個のものをディスペンス塗布性に優れるものとし○の判定を、シール切れ、シールかすれが発生した枠型が44個未満であるものをディスペンス塗布性が劣るものとし×の判定を行った。
【0035】
(実施例1)
O−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−75 日本化薬社製)15部を、エポキシエステル3000Mを20部に加熱溶解させて均一溶液とし、冷却後、合成例1のメタクリル変性エポキシ樹脂 30部、光ラジカル開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184 チバスペシャティケミカル製)2部、潜在性エポキシ硬化剤として、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(アミキュアVDH−J 味の素社製)11部、及び、2,4−ジアミノ―6―[2’−エチル―4’―メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル―s―トリアジン(キュアゾール2E4MZ−A 四国化成製)1部、フィラーとして球状シリカ(シーフォスターS−30、日本触媒製)10部、及び、無定形シリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製)10部、添加剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1部を加え、ミキサーで予備混合し、次に3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練し、目開き10μmのフィルター(ADVANTEC社製、MSP−10−E10S)でろ過した後、真空脱泡処理して液晶シール剤(P1)を得た。この得られた、液晶シール剤(P1)のせん断速度2S-1における25℃粘度は、820Pa・s、せん断速度20S−1における25℃粘度が210Pa・s、(せん断速度2S-1における25℃粘度)と(せん断速度20 S-1における25℃粘度)との粘度比(チキソトロピー指数)が3.90であった。
【0036】
(実施例2)
フィラーとして球状シリカ(シーフォスターS−30、日本触媒製)5部、及び、タルク(SG−2000、日本タルク社製)15部を使用した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤(P2)を得た。この得られた、液晶シール剤(P2)の、せん断速度2S-1における25℃粘度は700Pa・s、せん断速度20S−1における25℃粘度が130Pa・s、(せん断速度2S-1における25℃粘度)と(せん断速度における20 S-1の25℃粘度)との粘度比(チキソトロピー指数)は5.38であった。
【0037】
(比較例1)
フィラーとして本発明請求範囲外である球状シリカ(AO−800、アドマテックス社製、平均一次粒子径2〜7μm、比表面積2〜3m/g)を20部使用した以外は、実施例1と同様にして液晶シール剤(C1)を得た。この得られた、液晶シール剤(P2)の、せん断速度2S-1における25℃粘度は300Pa・s、せん断速度20S−1における25℃粘度は280Pa・s、(せん断速度2S-1における25℃粘度)と(せん断速度20 S-1における25℃粘度)との粘度比(チキソトロピー指数)は1.07であった。
【0038】
(比較例2)
O−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−75 日本化薬社製)10部、合成例1のメタクリル変性エポキシ樹脂 35部、フィラーとして本発明請求範囲外である球状シリカ(AO−800、タツモリ社製、平均一次粒子径2〜7μm、比表面積2〜3m/g)を20部、使用した以外は、実施例1と同様にして液晶シール剤(C2)を得た。この得られた、液晶シール剤(C2)の、せん断速度2S-1における25℃粘度は105Pa・s、せん断速度20S−1における25℃粘度は80Pa・s、(せん断速度2S-1における25℃粘度)と(せん断速度20 S-1における25℃粘度)との粘度比(チキソトロピー指数)は1.31であった。
【0039】
(比較例3)
O−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−75 日本化薬社製)10部、合成例1のメタクリル変性エポキシ樹脂 35部、フィラーとしてシリカ(日本アエロジル社製、アエロジル380、平均一次粒子径0.05μm、比表面積350〜410m/g)を20部、使用した以外は、実施例1と同様にして液晶シール剤(C3)を得た。この得られた、液晶シール剤(C3)の、せん断速度2S-1における25℃粘度は1200Pa・s、せん断速度20S−1における25℃粘度は117Pa・s、(せん断速度2S-1における25℃粘度)と(せん断速度20 S-1における25℃粘度)との粘度比(チキソトロピー指数)は10.3であった。

実施例1、2、比較例1〜3で作成した液晶滴下工法用シール剤のディスペンス塗布性テスト、液晶表示パネルのシール外観テストの結果を表1に示した。
【0040】
【表1】

【0041】
[表1]の結果から明らかなように、本発明の液晶シール剤は、シール直線性、及び、シール外観に優れることが確認された。一方、比較例1、比較例3は本発明範囲外のチキソトロピー指数を有する液晶シール剤であり、シール直線性、及び、シール外観が劣っている。比較例2は粘度が本発明範囲外で低いため、ディスペンス特性に優れるが、液晶表示パネルのシール直線性が著しく劣っている。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一液光及び/又は熱硬化性樹脂組成物であって、
せん断速度20S-1 における25℃での粘度が、50〜300Pa・sであり、チキソトロピー指数=(せん断速度2S-1における25℃粘度)/(せん断速度20 S-1における25℃粘度)で定義されるチキソトロピー指数が2.0〜8.0であることを特徴とする、液晶滴下工法用液晶シール剤。
【請求項2】
(1)エポキシ樹脂と、(2)アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマーと、(3)一分子内にエポキシ基及び(メタ)アクリル基を少なくともそれぞれ1個有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂と、(4)潜在性エポキシ硬化剤と、(5)光ラジカル重合開始剤と、(6)フィラーと、を含む請求項1記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
【請求項3】
(6)フィラーが、平均一次粒子径1.5μm以下で、その比表面積が10m2/g〜500m2/gであることを特徴とする請求項2記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
【請求項4】
(6)フィラーを、フィラー成分を除く液晶シール剤組成物100重量部に対して、1〜40重量部含有する請求項2記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
【請求項5】
請求項1記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を用い、一方の液晶表示パネル用基板にシールパターンを形成する工程と、該液晶シール剤が未硬化の状態で液晶の微小液滴を該パネル基板のシールパターンの枠内に滴下塗布する工程と、他方の該パネル用基板と液晶の微小液滴が塗布された透明基板とを重ね合わせる工程と、からなることを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を用い、一方の液晶表示パネル用基板にシールパターンを形成する工程と、他方の該パネル用基板に液晶の微小液滴を滴下塗布し、該液晶シール剤が塗布されたパネル基板とを、該液晶シール剤が未硬化の状態で重ね合わせる工程と、からなることを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
【請求項7】
請求項1記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を用いて、ディスペンサー又はスクリーン印刷によりシールパターンを形成する工程を有することを特徴とする請求項5又は6記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載の液晶表示パネルの製造方法により得られた液晶表示パネル。

【公開番号】特開2007−225773(P2007−225773A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45249(P2006−45249)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】