液晶素子の駆動方法
【目的】 選択期間に波高値が変化する選択パルスによって、液晶のオン状態又はオフ状態を選択する新たな液晶素子の駆動方法を提供すること。
【構成】 波高値の絶対値が途中で高くなる選択パルス波形821を液晶に印加すると、実線824に示すように、正、負のしきい値はVth11、Vth12であり、正、負の飽和値はVsat11、Vsat12である。一方、波高値の絶対値が小さくなるように変化する選択パルス波形822を液晶に印加すると、破線825に示すように、正、負のしきい値Vth21、Vth22と、正、負の飽和値Vsat21、Vsat22が、選択パルス821の場合に比べて絶対値が大きくなる。選択パルス波形が変化することで、液晶素子のしきい値及び飽和値が変化することを利用し、選択パルス波形821又は822を液晶に印加して、液晶のオン、オフ状態を選択することができる。
【構成】 波高値の絶対値が途中で高くなる選択パルス波形821を液晶に印加すると、実線824に示すように、正、負のしきい値はVth11、Vth12であり、正、負の飽和値はVsat11、Vsat12である。一方、波高値の絶対値が小さくなるように変化する選択パルス波形822を液晶に印加すると、破線825に示すように、正、負のしきい値Vth21、Vth22と、正、負の飽和値Vsat21、Vsat22が、選択パルス821の場合に比べて絶対値が大きくなる。選択パルス波形が変化することで、液晶素子のしきい値及び飽和値が変化することを利用し、選択パルス波形821又は822を液晶に印加して、液晶のオン、オフ状態を選択することができる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶素子の駆動方法、特に強誘電性液晶を用いた電気光学素子のマルチプレックス駆動方法。
【0002】
【従来の技術】特開昭56−107216号公報に記載されているように、カイラルスメクチックC相もしくはカイラルスメクチックH相を示す強誘電性液晶を用いた電気光学素子は、印加電圧に対して非常に高速で応答し、かつメモリ性があるという特徴を有することが知られており、画素数が多くなる大型大容量ディスプレイ、高速電子シャッタ、偏光器などへの応用が期待されている。
【0003】従来、このような強誘電性液晶素子の駆動方法としては、特開昭58−179890号公報に記載されているような、液晶素子の光透過状態を定めるパルス電圧を所定周期で印加し、かつこの所定周期内に印加される電圧の平均値を零にして強誘電性液晶の劣化を防止する駆動方法が知られている。しかし前記特開昭58−179890号公報に開示されている具体的な駆動方法は、スタティック駆動方法であり、大容量素子の駆動に最適なマルテプレックス駆動方法は何ら開示されていない。また、強誘電性液晶素子は、印加される電圧パルスのパルス幅によって、しきい値電圧が変化するという、いわゆるパルス幅依存性を有することが知られているが、前記特開昭58−179890号公報に記載された駆動方法は、このパルス幅依存性について何の考慮もしておらず、実際の駆動は困難である。
【0004】そこで我々は、特願昭和59−119680号(特開昭60−263124号公報参照)および特願昭60−177818号(特開昭61−55630号公報参照)において、前述のパルス幅依存性を考慮した、実用的なマルチプレックス駆動方法を提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】しかしこの駆動方法では、強誘電性液晶に印加される電圧の平均値について格別の考慮がはらわれていないため、印加される電圧の平均値が正もしくは負のどちらかに偏る可能性があり、強誘電性液晶の劣化を促進して液晶素子の寿命を短くするという欠点を有している。
【0006】本発明は、前述のような問題点を解決するもので、その目的とするところは、前述のパルス幅依存性を充分考慮し、しかも強誘電性液晶の劣化を防止するために、強誘電性液晶に印加される電圧の平均値を零にすることができる強誘電性液晶素子に最適なマルチプレックス駆動方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、走査電極群を有する基板と信号電極群を有する基板との間に強誘電性液晶を挟持してなる液晶素子を線順次走査によりマルチプレックス駆動する液晶素子の駆動方法において、前記走査電極群には選択信号と非選択信号を印加し、前記信号電極群には平均電位が前記信号電極群に印加される電圧パルスの中間電位と等しくなる電圧パルスを印加することにより、前記強誘電性液晶には選択期間の前半もしくは非選択期間に前記強誘電性液晶の分子をオンもしくはオフのどちらかの状態するための所定の配列方向に揃える少なくとも1個の飽和値以上の電圧パルスを印加し、前記選択期間の後半もしくは前記非選択期間後の選択期間にオンもしくはオフ状態を選択する電圧パルスを印加することを特徴とする。特開昭58−179890号公報に記載されているように、強誘電性液晶の分子は、電界を印加しない状態では、螺旋軸に対してθの角度を有して螺旋状に配列しているが、第1図(a)に示すように、例えば負の極性の電界−Eを印加すると、強誘電性液晶の分子1は、電界−Eの方向と垂直な平面上に螺旋軸2に対して角度θを有して一定方向に配列する。また、電界の極性を反転させると、第1図(b)に示すように、螺旋軸2を中心として第1図(a)の方向とは対称な方向に角度θを有して配列する。この時、第1図(a)および(b)に示すように、2枚の偏光板を強誘電性液晶の上下に設け、上偏光板の偏光軸の方向が3の方向、下偏光板の偏光軸の方向が4の方向となるように互いに直交させると、強誘電性液晶の分子が第1図の方向に配列している場合は、光の透過量が最も少なくなり、第1図(b)の方向に配列している場合は、光の透過量が最も多くなる。またこのような強誘電性液晶の分子の配列状態は、次に逆極性のしきい値以上の電圧が印加されるまで、そのままで安定している。これが、メモリー性と言われている強誘電性液晶の特色の1つである。
【0008】本発明では、第1図(a)に示すような方向に強誘電性液晶の分子を配列させる電圧の極性を負(−)、第1図(b)に示すような方向に配列させる電圧の極性を正(+)と定義し、分子の配列方向と偏光板の偏光軸の方向とが第1図(a)に示すような関係になっていて、光の透過量が最も少ない状態をオフ状態(または単にオフ)、第1図(b)に示すような関係になっていて、光の透過量が最も多い状態をオン状態(または単にオン)と定義する。
【0009】もちろん、分子の配列方向と偏光軸の方向の関係を第1図(a)と(b)とで逆にすれば、正の電圧を印加すれば、光の透過量が最大となり、負の電圧を一印加すれば最少となるが、これは単に電圧の極性とオン、オフ状態の組み合わせの関係が逆になるだけで、実質的に同じ駆動方法で駆動できるものであり、本発明の範囲に含まれるものである。
【0010】
【実施例】第2図(a)は、以下に述べる本発明の各実施例で用いた液晶素子の一例を示す断面図である。ガラスあるいはプラスチックからなる透明な基板11、12の互いに対向する内側表面には、酸化インジウムあるいは酸化スズからなる複数の透明な走査電極13および信号電極14が形成されている。必要に応じてこれらの電極上に酸化シリコンなどからなる絶縁層を設けた後、ポリイミド、ナイロンなどからなる配向膜15を設け、少なくとも一方の基板の配向膜の表面をラビングして強誘電性液晶16を所定の方向に配向させた。19は、エポキシ接着剤からなるシール剤である。また、一対の基板11および12の電極が形成されていない外側表面には偏光板17および18をそれそれ隣接させた。この時、偏光板17の偏光軸と偏光板18の偏光軸とは互いに略直交させ、かつ強誘電性液晶16に負の極性を有する飽和値以上の電圧を印加した時の強誘電性液晶分子の配列方向とどちらか一方の偏光板の偏光軸の方向とが平行になるように偏光板の偏光軸の方向を設定した。
【0011】基板間のすき間、すなわち液晶層の厚みは、約1.3μm、使用した強誘電性液晶は、P−テトラデシロキシベンジリデン−P’−アミノ−(2−メチル)−ブチル−(α−シアノ)−シンナメート(TDOBAMBCC)である。この液晶は、パルス幅が200μsecの時のしきい値電圧が6.5V、飽和電圧が8Vであり、またパルス幅が400μsecの時のしきい値電圧が4.2V、飽和電圧が6.3Vであった。この値は、極性を逆にしてもほぼ同じであつた。
【0012】走査電極13と信号電極14とは、第2図(b)に示すように、それぞれストライプ状に形成し、かつ互い直交するように形成した。この走査電極と信号電極が、平面的に重なり合った部分が画素となる。なお、第2図(b)は、以下の説明をわかり易くするために、代表的なる種類のオン、オフパタ−ンを示しており、走査電極Xnの本数が6、信号電極Ynの本数が3となっているが、もちろん本発明は、この電極数に限定されるものではなく、必要な画素数に応じて電極数を決定すればよい。第2図(b)において、斜線を付した画素はオフ状態、それ以外の画素はオン状態であることを示している。
【0013】以下にこの液晶素子を駆動する具体的な駆動方法の例を示す。
【0014】実施例1第3図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするために走査電極X1上にある各画素に印加される本実施例における駆動波形と光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレ−ム周期では、全画素のオン、オフ状態を反転させた。
【0015】第3図において、t13は最初のフレ−ム周期、t23は次のフレ−ム周期を示す。又、t11及びt21は選択期間を、t12およびt22は非選択期間をそれぞれ示す。さらにt14、t15、t16、t17、t24、t25、t26およびt27はそれぞれ200μsecのパルス幅を示しており、波高値を示すV1は6V、V2 は3Vである。
【0016】走査電極X1には、選択期間t11(t21)は±V1 を、非選択期間t12(t22)は0Vを印加し、信号電極Y1 、Y2 、Y3 には、画素をオンさせたい場合は波高値V2でパルス幅200μsecのパルスを正、負、正、負の順に印加し、オフさせたい場合は負、正、負、正の順に印加すると、各画素に印加される電圧パルスは、オンの場合は(+V1 −V2 )、(−V1 +V2 )、(−V1 −V2)、(+V1 +V2 )の順序になり、オフの場合は(+V1 +V2 )、(−V1−V2 )、(−V1 +V2 )、(+V1 −V2 )の順序になる。この時、(十V1 −V2 )および(−V1 +V2 )は、液晶のしきい値電圧より小さい値であるため、液晶は応答せず、飽和値以上である(+V1 +V2 )および(−V1 −V2 )に応答する。しかし、強誘電性液晶は高速で応答し、かつメモリー性があるため、見かけ上は選択期間の最後に印加された飽和値以上のパルスの極性に応じてオン又はオフ状態になったように認識される。
【0017】非選択期間には(+V1 一V2 )および(−V1 +V2 )のパルスが印加され、そのパルス幅は最大400μsecとなるが、波高値は液晶の400μsec時のしきい値電圧より小さいため、光透過特性にはほとんど影響を与えない。またオン、オフのコントラスト比は、面素(X1 Y1 )で18:1、(X1 Y2 )で16:1、(X1 Y3 )で18:1であり、オン、オフパターンにかかわらずほぼ一定のコントラスト比が得られた。
【0018】本実施例における駆動方法は、液晶に選択期間t11(t21)内に少なくとも液晶の飽和値以上の波高値、パルス幅を有する正及び負の電圧パルスを印加し、前記正、負の電圧パルスは波高値及びパルス幅が等しく、更に飽和値以上の正又は負の電圧パルスを印加する順序でオン又はオフを選択し、更に正負の電圧パルスは数が等しく又、非選択期間t12(t22)は、しきい値以下の波高値及びパルス幅を有する正・負の電圧パルスを印加しているため、第3図に示す如く、直流成分の平均値は零となり直流成分が全く存在しない。そのため液晶素子の劣化が生じることはなかつた。
【0019】第4図は、第3図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例の回路ブロック図である。111はトランスミッションゲート、112はフリップフロップ、113は液晶素子である。d、h、e、f、g、j、k、lは、トランスミッションゲート111を選択し、走査電極信号Vt及び信号電極信号Vdを作り、液晶素子113に印加される。
【0020】又±V1 及び零V、±V2 は走査電極及び信号電極の電源電圧である。第5図は、第4図に示した回路の走査電極信号Vt及び信号電極信号Vdを作るための各点における信号である。
【0021】実施例2第6図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1および信号電極Y1に印加される駆動波形と、面素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23では、オン、オフ状態を反転させた。
【0022】第6図において、t11〜t27はいずれも第3図と同じことを示しており、波高値V1 、V2 、V3 、V4 、V5 、V6 は、それぞれ8V、6V、5V、3V、2V、0Vである。またVmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は4Vになる。
【0023】実施例1と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低下させるため、走査電極と信号電極の電圧レベルを同じにしたことにある。
【0024】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、200μsecのパルス幅でV1 、V6 、V6 、V1 の順に印加し、非選択期間t12(t22)はV2 、V5 を図に示すような順序に印加する。また信号電極Y1 には、画素をオンさせたい場合は、200msecのパルス幅でV4 、V3 、V1 、V6 の順に印加し、オフさせたい場合は、これと逆の順序で印加する。この時画素(X1 Y1 )に印加される電圧は、オンの場合は(V1 −V4 )、(V6 −V3 )、(V6 −V1 )、(V1 −V6 )の順になりオフの場合は(V1 −V6 )、(V6 −V1 )、(V6−V3 )、(V1 −V4 )の順になり、飽和値以上のパルスで後から印加されるパルスの極性によつてオンまたはオフ状態となる。なお、選択期間に印加される(V1 −V4 )および(V6 −V3 )は、それぞれ+5Vおよび−5Vで、パルス幅400μsec時の液晶のしきい値より大きいが、このパルスはパルス幅が200μsecであるため、200μsec時のしきい値よりは小さく、液晶は応答しない。また、非選択期間には(V5 −V6 )と(V2 −V1 )のパルスが印加され、オン、オフパタ−ンによつてはパルス幅が400μsecになる場合もあるが、波高値が400μsec時の液晶のしきい値より小さいため、光透過特性にはほとんど影響を与えない。
【0025】本実施例による駆動方法は、実施例1と同様の良好なコントラスト比が得られた。
【0026】本実施例における駆動方法は、液晶に選択期間t11(t21)内に少なくとも液晶の飽和値以上の波高値、パルス幅を有する正及び負の電圧パルスを印加し、前記正、負の電圧パルスは波高値及びパルス幅が等しく、更に飽和値以上の正又は負の電圧パルスを印加する順序でオン又はオフを選択し、更に正負の電圧パルスは数が等しく又、非選択期間はt12(t22)は、しきい値以下の波高値及びパルス幅を有する正、負の電圧パルスを印加しているため、オン、オフパターンにかかわらず印加される電圧の平均値が零となり、液晶素子の劣化が生ずることはなかった。
【0027】第7図は、第6図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。■、■の信号により、トランスミッションゲート111を選択し、■の走査電極データで、■の選択時走査電極波形及び■の非選択走査電極波形を選択し走査電極波形を作る。一方信号電極波形は、■、■の信号によりトランスミッションゲート111を選択し、■の信号電極データで、■のオン波形及び■のオフ波形を選択し、信号電極波形を作り液晶素子113に印加される。又、V1、V2 、V3 、V4 、V5 、V6 は走査電極及び信号電極の電源電圧である。第8図は、第7図に示した回路の各点における信号である。
【0028】実施例3第9図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 上の各画素に印加される駆動波形と、光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23では、オン、オフ状態を反転させた。
【0029】第9図において、t11〜t27はいずれも第3図と同じことを示しており、波高値V1 は9V、V2 は4Vである。
【0030】実施例1および2と異なるのは、コントラスト比を向上させるために、非選択期間に印加されるパルスのパルス幅が、液晶のオン、オフ状態を選択するために印加される飽和値以上のパルスよりも大きくならないようにした点にある。
【0031】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、±V1 を、非選択期間には0Vを印加し、信号電極には、画素をオンさせたい場合は0Vを、オフさせたい場合は、最初の400μsecは0V、次の400μsecでは200μsecずつ−V2 、+V2 の順に印加する。
【0032】この時各画素に印加される電圧パルスは、オンの場合は(+V1 )、(−V1)、(−V1 )、(+V1 )の順序になり、オフの場合は(+V1 )、(−V1)、(−V、+V2 )、(+V1 −V2 )の順序になる。(−V1 十V2 )および(+V1 −V2 )は、パルス幅200μsec時の液晶のしきい値より小さい値であるため、液晶は応答せず、t11の選択期間では、オン、オフをくり返してt17で最後に印加される+V1 に応答してオン状態となり、t21の選択期間では、t24でオンとなつた後t25で印加される−V1 に応答してオフ状態となる。また非選択期間には0Vもしくはパルス巾200μsecの+V2 または−V2 が印加されるが、V2 は液晶のしきい値より小さいため、光透過特性にはほとんど影響を与えない。
【0033】本実施例により得られるコントラスト比は、画素(X1 Y1 )で24:1、(X1 Y2 )で22:1、(X1 Y3 )で20:1で、実施例1および2よりもさらに良好なコントラスト比が得られた。
【0034】本実施例における駆動方法は、液晶に選択期間t11(t21)内に少なくとも液晶の飽和値以上の波高値、パルス幅を有する正及び負の電圧パルスを印加し、前記正、負の電圧パルスは波高値及びパルス幅が等しく、更に飽和値以上の正又は負の電圧パルスを印加する順序でオン又はオフを選択し、更に正負の電圧パルスは数が等しく又、非選択期間t12(t22)は、しきい値以下の波高値及びパルス幅を有する正、負の電圧パルスを印加しているため、オン、オフパタ−ンにかかわらず、液晶素子に印加きれる平均値は零となり、液晶素子の劣化は生じなかった。
【0035】第10図は、第9図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例の回路ブロック図である。(a)、(c)、(i)の信号により、トランスミッションゲート111を選択する信号を作り、それらの信号によりトランスミッションゲート111を選択し、走査電極信号Vt及び信号電極信号Vdを作り、液晶素子113に印加される。又、±V1 、±V2 、0Vは走査電極及び信号電極の電源電圧である。
【0036】第11図は、第10図に示した回路の各点における信号である。
【0037】実施例4第12図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 および信号電極Y1 に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0038】第12図において、t11〜t27はいずれも第3図と同じことを示しており、波高値V1 、V2 、V3 、V4 、V5 、V6 は、それぞれ10V、8V、6V、4V、2V、0Vである。またVmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は5Vになる。
【0039】実施例3と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低下させるために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことにある。
【0040】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、V1 とV6 を、V1 、V6 、V6 、V1 の順に、非選択期間t12(t22)は、V2 とV5 をV2 、V5 、V5 、V2 の順に印加し、信号電極Y1 には、画素をオンさせたい場合は、V5 、V2、V2 、V5 の順に、オフさせたい場合はV5 、V2 、V3 、V4 の順に印加する。いずれもパルス幅は200μsecである。この時画素(X1 Y1 )に印加される電圧パルスは、波高値が異なるのみで第9図に示すような実施例3の駆動方法と同様の波形となる。すなわち(V1 −V5 )および(V6 一V2 )はそれぞれ+8Vおよび−8Vで液晶の飽和値以上、(V1 −V4 )および(V6 −V3 )はそれぞれ十6Vおよび−6Vでパルス幅200μsec時のしきい値より小さく、(V2 −V3 )および(V5 −V4 )はそれぞれ十2Vおよび−2Vで液晶のしきい値より充分小さい値となっている。したがって液晶素子は実施例3と同じように応答し、同じように良好なコントラスト比が得られた。
【0041】第13図は〜第12図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例の回路ブロック図である。■、■の信号により、トランスミッションゲート111を選択し、■の走査電極データで、■の選択時走査電極波形及び■の非選択走査電極波形を選択し走査電極波形を作る。一方信号電極波形は、■、■の信号によりトランスミッションゲート111を選択し、■の信号電極データで、■のオン波形及び■のオフ波形を選択し、信号電極波形を作り、液晶素子113に印加される。又、V1 、V2 、V3 、V4 、V5 、V6 は走査電極及び信号電極の電源電圧である。第14図は、第13図に示した回路の各点における信号である。
【0042】実施例5第15図に第2図のに示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 上の各画素に印加される駆動波形と、光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23では、オン、オフ状態を反転させた。
【0043】第15図において、t13は最初のフレーム周期、t23は次のフレーム周期を示す。またt11およびt21は選択期間、t12およびt22は非選択期間を示し、さらに非選択期間t12およびt22は、第1の非選択期間t16とt26および次の選択期間の直前すなわちフレーム周期の最後に設けられた第2の非選択期間t15とt25の2つの期間に区分けされている。t05は最初のフレーム周期t13の直前の第2の非選択期間を示している。t14は200μsecのパルス幅を示す。
【0044】また、波高値V1は11V、V2 は6V、V3 は2.5Vである。
【0045】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、±V2 第1の非選択期間t16(t26)は0V、第2の非選択期間t05(t15、t25)は、±V1 を印加し、信号電極Y1 、Y2 、Y3 には、画素をオンさせたい場合は、±V3 を正、負の順に、オフさせたい場合は、負、正の順に印加する。この時各画素には、選択期間t11(t21)の直前の第2の非選択期間t05(t15、t25)では、いずれも飽和値以上の(+V1 −V3 )および(−V1 +V3 )もしくは(+V1 +V3 )および(−V1 −V3 )が印加され、選択期間t11(t21)では、オンの場合(−V1 +V3 )および(十V1 −V3 )が、オフの場合(−V2 +V3 )および(+V2 −V3 )が印加され、第1の非選択期間t16(t26)では、オン、オフパターンによつて±V3 が200μsecまたは400μsecのパルス幅で印加される。±V3 は400μsec時のしきい値より小さい値であるため、パルス幅が400μsecになっても、光透過特性にはほとんど影響を与えない。
【0046】本実施例の駆動方法は、選択期間の直前で画素をいったんオンさせてからオフ状態にし、その直後の選択期間内に正の飽和値以上のパルスを印加するか、しきい値以下のパルスを印加するかで、オン状態に反転させるか、オフ状態をそのまま保持するかを選択しているため、実施例1〜4の駆動方法に比べて選択期間の時間を半分にすることができ、より高速の駆動を必要とする場合や走査電極を多くする場合に有効な駆動方法である。
【0047】また、第2の非選択期間t05(t15、t25)に印加されるパルスの波高値は、オン、オフパタ−ンによって異なるが、どちらも飽和値以上であるため、光透過量は変わらない。さらに本実施例では、非選択期間内で液晶の飽和値以上のパルスを印加してオン、オフさせているため、若干コントラスト比が低下するが、走査電極数が多くなるほどコントラスト比の低下率が少なくなり、良好なコントラスト比が得られる。本実施例の場合は、画素(X1 、Y1 )で17:1、(X1Y2 )で16:1、(X1 、Y3 )で17:1のコントラスト比が得られた。
【0048】また本実施例においても液晶に印加される電圧の平均値は零となり、液晶素子の劣化が生ずることはなかつた。
【0049】なお、本実施例では第2の非選択期間をフレーム周期の最後すなわち次の選択期間の直前に設けたが、表示装置に応用する場合は、人間の目が識別できない時間の範囲内であれば、選択期間の直前である必要はない。
【0050】第16図は、第15図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す回路ブロック図であり■、■の信号により、トランスミッションゲート111を選択し、■の走査電極データで、■の選択時走査電極波形及び0Vの非選択時走査電極波形を選択し、走査電極波形を作る。一方信号電極波形は、■の信号によりトランスミッションゲート111を選択し、■の信号電極データで、■のオン波形及び■のオフ波線を選択し、信号電極波形を作り、液晶素子113に印加される。又、±V1 、±V2 、±V3 、0V、は走査電極及び信号電極の電源電圧である。第17図は、第16図に示した回路の各点における信号である。
【0051】実施例6第18図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 、X2 および信号電極Y1に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0052】第18図において、t05〜t26はいずれも第15図と同じことを示しており、t’05およびt’15は走査電極X2 における第2の非選択期間、t’11およびt’21は同じく選択期間、t’16は第1の非選択期間、t′12は第1および第2の非選択期間を含むフレーム周期内の非選択期間を示している。
【0053】波高値V1 、V2 、V5 、V6 はそれぞれ12V、10V、2V、0Vであり、V3 およびV5 は8V、V4 およびV9 は4Vである。Vmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は6Vである。
【0054】実施例5と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低下させるために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことにある。
【0055】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、V4 およびV3 を、第1の非選択期間t16(t26)は、V2 およびV5 を、第2の非選択期間t05(t15、t25)は、V1 およびV6 を印加する。走査電極X1 を奇数番目の走査電極とすると、偶数番目の走査電極であるX2 には、第18図に示すように、X1 とは位相が逆のパルス列を印加する。これは、走査電極X1 上の画素が選択期間t11(t21)である時、走査電極X2 上の画素は、第2の非選択期間t’05(t’15)でありこの時に画素をオンおよびオフさせるための飽和値以上のパルスを印加するためである。すなわち、本実施例では各走査電極に、交互に逆位相のパルスを印加する必要がある。また、この結果信号電極Y1 に印加されるパルスは、画素をオンさせるパルスとオフさせるパルスを、奇数番目の走査電極上の画素と偶数番目の走査電極上の画素とでは異なる波形にする必要がある。すなわち、奇数番目の走査電極(例えばX1 )上の画素をオンさせる場合は、V1 およびV6 をV1 、V6 の順に、オフさせる場合はV8 およびV9 をV8 、V9 の順に印加し、偶数番目の走査電極(例えばX2 )上の画素をオンさせる場合はV8 およびV9 をV9 、V8 の順に、オフさせる場合は、V1 およびV6 をV6 、V1 の順に印加する。この時、画素(X1 Y1 )に印加されるパルスは実施例5と波高値が異なるのみで、実質的に同一のパルスが印加される。すなわち、オンの場合、選択期間t11では(V4 −V1 )および(V3 −V6 )の負、正の飽和値以上のパルスが印加され、オフの場合、選択期間t21では(V4 −V8 )および(V3 −V9 )の負、正のしきい値より小さい値のパルスが印加される。また、選択期間の直前の第2の選択期間t05(t15、t25)では、(V1 −V4 )および(V6 −V8)もしくは(V1 −V6 )および(V6 −V1 )のいずれも飽和値以上のパルスが正、負の順に印加され、画素はいったんオン状態となった後オフ状態となり、次の選択期間で、オンに反転するか、そのままオフ状態を保持するかを選択される。
【0056】第1の選択期間t16(t26)では、実施例5と同じように、オン、オフパターンによつて、パルス幅が200μsecまたは400μsecの(V5 −V6 )および(V2 −V1 )もしくは(V2 −V8 )および(V5 −V9 )のいずれもパルス幅400μsec時のしきい値より小さい値のパルスが印加される。
【0057】本実施例の駆動方法は、実施例5と同様、より高速の駆動を必要とする場合や走査電極を多くする幅合に有効な駆動方法であり、実施例5と同様のコントラスト比が得られた。
【0058】第19図は、第18図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。■、■の信号によりトランスミッションゲート111を選択し、■の走査電極データで、■の選択時走査電極波形及び■の非選択時走査電極波形を選択し、走査電極波形を作る。尚■は偶数番目の走査電極選択波形である。一方信号電極波形は、■、■の信号によりトランスミッションゲート111を選択し、■の信号電極データで、■のオン波形及び10のオフ波形を選択し、信号電極波形を作り、液晶素子113に印加される。又、V1 、V2 、V3 、V4 、V5、V6 、V8 、V9 は走査電極及び信号電極の電源電圧である。第20図は、第19図に示した回路の各点における信号である。
【0059】実施例7第21図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 上の各画素に印加される駆動波形と、光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23では、オン、オフ状態を反転させた。
【0060】第21図において、t05〜t26は、いずれも第15図と同じことを示しており、波高値V1 は8V、V2 は4Vである。
【0061】実施例5および6と異なるのは、コントラスト比を向上させるために、非選択期間に印加されるパルスのパルス幅が、液晶をオン、オフさせるために印加される飽和値以上のパルスよりも大きくならないようにした点にある。
【0062】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、±V1 、第1の非選択期間t16(t26)は0V、第2の非選択期間t05(t15、t25)は、±V1 を選択期間とは逆の順序で印加し、信号電極Y1 、Y2 、Y3 には、画素をオンさせたい場合は0V、オフさせたい場合は±V2 を負、正の順に印加する。この時各画素には、選択期間t11(t21)の直前の第2の非選択期間t05(t15、t25)では、いずれも飽和値以上の±V1 もしくは(+V1 +V2 )および(−V1 −V2 )が印加され、選択期間t11(t21)では、オンの場合±V1 が、オフの場合(−V1 +V2 )および(+V1 −V2 )が印加され、第1の非選択期間t16(t26)では、オン、オフパターンによつて、(+V1 −V2 )および(−V1 十V2 )もしくは0Vが印加される。このように非選択期間には、200μsecより大きいパルス幅のパルスが印加されることはなく、光透過特性に与える影響がより小さくなる。
【0063】本実施例の駆動方法も、実施例5および6と同様、選択期間の直前で画素をいったんオンさせてからオフ状態にし、その直後の選択期間内に正の飽和値以上のパルスを印加するか、しきい値以下のパルスを印加するかで、オン状態に反転させるか、オフ状態をそのまま保持するかを選択しているため、実施例1〜4の駆動方法に比べて選択期間の時間を半分にすることができ、より高速の駆動を必要とする場合や走査電極を多くする場合に有効な駆動方法である。
【0064】本実施例の場合は、画素(X1 Y1 )で22:1、(X1 Y2 )で21:1、(X1 Y3 )で20:1のコントラスト比が得られた。また本実施例においても液晶に印加される電圧の平均値は零となり、液晶素子の劣化が生ずることはなかつた。
【0065】なお、本実施例でも第2の非選択期間をフレーム周期の最後すなわち次の選択期間の直前に設けたが、表示装置に応用する場合は、人間の目が識別できない時間の範囲内であれば、選択期間の直前である必要はない。
【0066】第22図は、第21図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す回路ブロック図であり、■、■の信号により、トランスミッションゲート111を選択し、■の走査電極データで、■の選択時走査電極波形及び0Vの非選択時走査電極波形を選択し、走査電極波形を作る。一方信号電極波形は、■の信号によりトランスミッツョンゲート111を選択し、■の信号電極データで、■のオン波形及び■のオフ波形を選択し、信号電極波形を作り、液晶素子113に印加される。又、±V1 、±V2 、0V、は走査電極及び信号電極の電波電圧である。第23図は、第22図に示した回路の各点における信号である。
【0067】実施例8第24図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 、X2 および信号電極Y1 に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0068】第24図において、t05〜t26およびt’05〜t’21はいずれも第18図と同じことを示す。
【0069】波高値V1 、V2 、V3 、V4 、V5 、V6 はそれぞれ1OV、9V、7V、3V、1V、0Vである。Vmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は5Vである。
【0070】実施例7と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低下させるために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことにある。
【0071】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、V4 およびV3 を、第1の非選択期間t16(t26)は、V2 およびV5 を、第2の非選択期間t05(t15、t25)は、V1 およびV6 を印加する。走査電極X1 を奇数番目の走査電極とすると、偶数番目の走査電極であるX2 には、第24図に示すように、X1 とは位相が逆のパルス列を印加する。これは、走査電極X1 上の画素が選択期間t11(t21)である時、走査電極X2 上の画素は、第2の非選択期間t’25(t’15)であり、この時に画素をオンおよびオフさせるための飽和値以上のパルスを印加するためである。すなわち、本実施例では各走査電極に、交互に逆位相のパルスを印加する必要がある。またこの結果、信号電極Y1 に印加されるパルスは、画素をオンさせるパルスとオフさせるパルスを、奇数番目の走査電極上の画素と偶数番目の走査電極上の画素とでは異なる波形にする必要がある。すなわち、奇数番目の走査電極(例えばX1 )上の画素をオンさせる場合は、V1 およびV6 をV1、V6 の順に、オフさせる場合はV2 およびV5 をV2 、V5 の順に印加し、偶数番目の走査電極(例えばX2 )上の画素をオンさせる場合はV2 およびV5 をV5 、V2 の順に、オフさせる場合は、V1 およびV6 をV6 、V1 の順に印加する。この時画素(X1 Y1 )に印加されるパルスは、オンの場合、選択期間t11では(V4 −V1 )および(V3 −V6 )の負、正の飽和値以上のパルスが印加され、オフの場合、選択期間t21では(V4 −V2 )および(V3 −V5 )の負、正のしきい値より小さい値のパルスが印加される。また、選択期間の直前の第2の選択期間t05(t15、t25)では、(V1 −V5 )および(V6 −V2 )もしくは(V1 −V6 )および(V6 −V1 )のいずれも飽和値以上のパルスが正、負の順に印加され、画素はいったんオン状態となった後オフ状態となり、次の選択期間で、オンに反転するか、そのままオフ状態を保持するかを選択される。
【0072】第1の選択期間t16(t26)では、実施例7と同じように、オン、オフパターンによつて、0Vもしくは(V5 −V6 )および(V2 −V1 )の液晶のしきい値より充分小さい値の正、負のパルスが印加される。
【0073】実施例の駆動方法も、実施例5〜7と同様、より高速の駆動を必要とする場合や走査電極を多くする場合に有効な駆動方法であり、実施例7と同様のコントラスト比が得られた。
【0074】第25図は、第24図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。■、■の信号によりトランスミッションゲート111を選択し、■の走査電極データで、■の選択時走査電極波形及び■の非選択時走査電極波形を選択し、走査電極波形を作る。尚■は偶数番目の走査電極選択波形である。一方信号電極波形は、■、■の信号によりトランスミッションゲート111を選択し、■の信号電極データで、■のオン波形及び10のオフ波形を選択し、信号電極波形を作り、液晶素子113に印加される。又、V1 、V2 、V3 、V4 、V5は走査電極及び信号電極の電極電圧である。第26図は、第25図に示した回路の各点における信号である。
【0075】実施例9第27図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 上の各画素に印加される駆動波形と、光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23は、オン、オフ状態を反転させた。
【0076】第27図において、t13は最初のフレーム周期、t23は次のフレーム周期を示す。またt11およびt21は選択期間、t12およびt22は非選択期間を示し、t14は200μsecのパルス幅を示す。またt15およびt25は次の選択期間の直前すなわちフレーム周期の最後に設けられた平均値補正用のパルスを印加するための期間を示す。この場合は、200μsecの期間である。
【0077】また、波高値V1 は1OV、V2 は8V、V3 およびV4 は2Vである。
【0078】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、+V1 、−V2 の順に、非選択期間t12(t22)は0Vを印加し、フレーム周期の最後の期間t15(t25)は補正用パルスとして−V3 を印加する。信号電極Y1 、Y2 、Y3 には、画素をオンさせたい場合は、±4Vを正、負の順に、オフさせたい場合は、負、正の順に印加する。この時各画素には、オンの場合は、飽和値以上のパルス(+V1 −V4 )が印加された後しきい値より小さいパルス(−V2 +V4 )が印加され、オフの場合はいずれも飽和値以上のパルス(+V1 +V4 )および(−V2 −V4)が正、負の順に印加される。また非選択期間t12(t22)は、オン、オフパターンによって±V4 が200μsecまたは400μsecのパルス幅で印加されるが、フレーム周期の最後の期間t15(t25)のみは、補正用パルス−V3 が加えられるため、(−V3 −V4 )または(−V3 +V4 )すなわち−4Vまたは0Vが印加される。
【0079】本実施例では、選択期間の最初に画素をオンさせる正の極性の飽和値以上の第1のパルスを印加した後、それと逆極性でかつ波高値の異なる第2のパルスを印加し、この第2のパルスをしきい値以下とするか、飽和値以上とするかでオン、オフを選択している。この時、オン、オフにかかわりなく、第1のパルスの波高値と第2のパルスの波高値の差を等しくしておき、この差分をt15(t25)の期間で補正してやることにより、1フレーム周期内に印加される電圧の平均値を零にしている。
【0080】なお、本実施例では補正用パルスのパルス幅、前記第1のパルスおよび第2のパルスのパルス幅を等しくしているが、必ずしもこれに限られるものではなく、|V1 ・t1 |−|V2 ・t2 |=|V3 ・t3 |(ただし、t1 、t2 、t3はそれぞれのパルスのパルス幅を示す)を満足するように、各パルスの波高値およびパルス幅を設定してやれば良い。
【0081】本実施例の駆動方法も、実施例5〜8と同様、実施例1〜4の駆動方法に比べて選択期間の時間を半分にすることができるため、より高速の駆動を必要とする場合や走査電極を多くする場合に有効な駆動方法である。また、実施例5〜8の駆動方法のように、非選択期間に画素がオン、オフすることがないため、ごく短時間での光の透過量の変化でも品質上問題となるような液晶シャッターなどに応用する場合、有効な駆動方法である。
【0082】本実施例の場合は、画素(X1 Y1 )で20:1、(X1 Y2 )で17:1、(X1 Y3 )で20:1のコントラスト比が得られた。また本実施例では、補正用パルスをフレーム周期の最後すなわち次の選択期間の直前に印加するようにしているが、この補正用パルスは、光透過特性にほとんど影響を与えないので、非選択期間内であれば、任意のタイミンクで印加しても良い。
【0083】第28図は、第27図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。走査電極には、走査電極データ信号121を、走査電極シフトクロック信号120でシフトレジスタ115に転送し、選択期間にdの波形、非選択期間に0V、選択期間直前の直流成分を補正する電圧を切り換えて、走査電極波形を出力する。一方信号電極には、信号電極データ信号117を信号電極シフトクロック118でシフトレジスタ114に転送して、一走査線分のデータを転送したらラッチ信号119でラッチ116し、その出力でトランスミッションゲート111を切り換えて、オン又はオフ(b又はcの波形)を出力する。V1 、−V2 、−V3 、±V4 は、走査電極及び信号電極の駆動電圧である。
【0084】第29図は、第28図に示した回路の信号波形を示したタイミングチャート図である。
【0085】実施例10第30図に、第2図のに示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1および信号電極Y1 に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0086】第30図において、t11〜t25はいずれも第27図と同じことを示す。
【0087】波高値V1 、V2 、V3 、V4 、V5 、V6 、V7 は、それぞれ12V、10V、8V、6V、4V、2V、0Vである。Vmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は5Vである。
【0088】実施例9と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低下させるために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことにある。
【0089】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、V1 、V7 の順に、非選択期間t12(t22)は、V5 、V3 の順に印加し、t15(t25)の期間は、補正用パルスとしてV4 を印加する。信号電極Y1 には、画素をオンさせたい場合は、V5、V4 の順に、オフさせたい場合は、V7 、V2 の順に印加する。この時各画素には、オンの場合は、飽和値以上のパルス(V1 −V5 )が印加された後、しきい値より小さいパルス(V7 −V4 )が印加され、オフの場合はいずれも飽和値以上のパルス(V1 −V7 )および(V7 −V2 )が図のような順に印加される。また非選択期間t12(t22)は、オン、オフパ夕ーンによって(V6 −V7 )および(V3 −V2 )が200μsecまたは400μsecのパルス幅で印加されるが、フレーム周期の最後の期間t15(t25)のみは、補正用パルスV4 が加えられるため、(V4 −V2 )または(V4 −V4 )すなわち−4Vまたは0Vが印加される。
【0090】本実施例も、実施例9と同様、選択期間に印加される正および負のパルスの波高値の差分をt15(t25)の期間で補正し、1フレーム周期内に印加される電圧の平均値を零にしている。
【0091】本実施例の駆動方法も、実施例9と同様、液晶シャッターなどに応用する場合、有効な駆動方法であり、実施例9と同様のコントラスト比が得られた。
【0092】第31図は、第30図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。■の信号により、トランスミッションゲート111を選択し、■の走査電極テータで■の選択時走査電極波形及び■の非選択時走査電極波形を選択し、走査電極波形を作る。一方信号電極波形は、■の信号によりトランスミッションゲート111を選択し■の信号電極データで■のオン波形、■のオフ波形を選択し、信号電極波形を作り、液晶素子113に印加される。又、V1 、V2、V3 、V4 、V5 、V6 、V7 は走査電極及び信号電極の電源電圧である。第32図は、第31図に示した回路の各点における信号である。
【0093】実施例11第33図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 上の各画素に印加される駆動波形と、光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23では、オン、オフ状態を反転させた。
【0094】第33図において、t11〜t25は、いずれも第27図と同じことを示しており、波高値V1 は8V、V2 は6V、V3 およびV4 は2Vである。
【0095】実施例9および10と異なるのは、コントラスト比を向上させるために、非選択期間に印加されるパルスのパルス幅が、液晶をオン、オフさせるために印加される飽和値以上のパルスよりも大きくならないようにした点にある。
【0096】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、十V1 、−V2 の順に、非選択期間t12(t21)は0Vを印加し、t15(t25)の期間は補正用パルスとして−V3 を印加する。信号電極Y1 、Y2 、Y3 には、画素をオンさせたい場合は0V、オフさせたい場合は±V4 を負、正の順に印加する。この時各画素には、オンの場合は、飽和値以上のパルス+V1 が印加された後、しきい値より小さいパルス−V2 が印加され、オフの場合はいずれも飽和値以上のパルスが(+V1 +V4 )、(−V2 −V4 )の順に印加される。また非選択期間t12(t22)は、オン、オフパターンによって、パルス幅200μsecのパルス±V4 もしくは0Vが印加されるが、フレーム周期の最後の期間t15(t25)のみは、補正用パルス−V3 が加えられるため、(−V3 −V4 )もしくは−V3 が印加される。本実施例でも、選択期間の最初に画素をオンさせる正の極性の飽和値以上の第1のパルスを印加した後、それと逆極性でかつ波高値の異なる第2のパルスを印加し、この第2のパルスをしきい値以下とするか、飽和値以上とするかでオン、オフを選択している。この時、オン、オフにかかわりなく、第1のパルスの波高値と第2のパルスの波高値の差を等しくしておき、この差分をt15(t25)の期間で補正してやることにより、1フレーム周期内に印加される電圧の平均値を零にしている。
【0097】なお、本実施例では補正用パルスのパルス幅、前記第1のパルスおよび第2のパルスのパルス幅を等しくしているが、必ずしもこれに限られるものではなく、|V1 ・t1 |−|V2 ・t2 |=|V3 ・t3 |(ただし、t1 、t2 、t3はそれぞれのパルスのパルス幅を示す。)を満足するように、各パルスの波高値およびパルス幅を設定してやれば良い。
【0098】本実施例の駆動方法も、実施例9および10と同様実施例1〜4の駆動方法に比べて選択期間の時間を半分にすることができるため、より高速の駆動を必要とする場合や走査電極を多くする場合に有効な駆動方法である。また実施例5〜8の駆動方法のように、非選択期間に画素がオン、オフすることがないため、ごく短時間での光の透過量の変化でも品質上問題となるような液晶シャッターなどに応用する場合、有効な駆動方法である。
【0099】本実施例の場合は、画素(X1 Y1 )で24:1、(X1 Y2 )で23:1、(X1 Y3 )で23:1のコントラスト比が得られた。また本実施例の場合も、補正用パルスを印加するタイミングは、選択期間の直前に限定されない。
【0100】第34図は、第33図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。走査電極には、走査電極データ信号121を、走査電極シフトクロック信号120でシフトレジスタ115に転送し、選択期間にdの波形、非選択期間に0V、選択期間直前の直流成分を補正する電圧を切り換えて、走査電極波形を出力する。一方信号電極には、信号電極データ信号117を信号電極シフトクロック118でシフトレジスタ114に転送して、一走査線分のデータを転送したらラッチ信号119でラッチ116し、その出力でトランスミッションゲート111を切り換えて、オン又はオフ(b又はcの波形)を出力する。V1 、−V2 、−V3 、士V4 は、走査電極及び信号電極の駆動電圧である。
【0101】第35図は、第34図に示した回路の信号波形を示したタイミングチャート図である。
【0102】実施例12第36図は、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 および信号電極Y1 に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0103】第36図において、t11〜t25はいずれも第27図と同じことを示す。
【0104】波高値V1 、V2 、V3 、V4 、V6 、V7 は、それぞれ10V、8V、6V、4V、2V、0Vである。Vmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は4Vである。
【0105】実施例11と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低下させるために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことにある。
【0106】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、V1 、V7 の順に、非選択期間t12(t22)は、V6 、V3 の順に印加し、t15(t25)の期間は、補正用パルスとしてV4 を印加する。信号電極Y1 には、画素をオンさせたい場合はV6 、V3 の順に、オフさせたい場合は、V7 、V1 の順に印加する。この時各画素には、オンの場合は、飽和値以上のパルス(V1 −V6 )が印加された後、しきい値より小さいパルス(V7 −V3 )が印加され、オフの場合はいずれも飽和値以上のパルス(V1 −V7 )および(V7 −V2 )が、図のような順に印加される。また非選択期間t12(t22)は、オン、オフパターンによって、(V6 −V7)および(V3 −V2 )もしくは0Vが印加されるが、フレーム周期の最後の期間t15(t25)のみは、補正用パルスV3 が加えられるため、(V4 −V2 )もしくは(V4 −V3 )が印加される。
【0107】本実施例も、実施例11と同様、選択期間に印加される正および負のパルスの波高値の差分をt15(t25)の期間で補正し、1フレーム周期内に印加される電圧の平均値を零にしている。
【0108】本実施例の駆動方法も、実施例11と同様、液晶シャッターなどに応用する場合、有効な駆動方法であり、実施例11と同様のコントラスト比が得られた。
【0109】第37図は、第36図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。■の信号により、トランスミッションゲート111を選択し、■の走査電極データで■の選択時走査電極波形及び■の非選択時走査電極波形を選択し、走査電極波形を作る。一方信号電極波形は、■の信号によりトランスミッションゲート111を選択し■の信号電極データで■のオン波形、■のオフ波形を選択し、信号電極波形を作り、液晶素子113に印加される。又、V1 、V2、V3 、V4 、V6 、V7 は走査電極及び信号電極の電源電圧である。第38図は、第37図に示した回路の各点における信号である。
【0110】実施例13第39図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 および信号電極Y1 に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0111】第39図において、t13は最初のフレーム周期、t23は次のフレーム周期を示し、t11およびt21は選択期間、t12およびt22は非選択期間を示す。また、t14は200μsecのパルス幅を示す。
【0112】波高値V1 は30V、V2 は12Vである。
【0113】本実施例の特徴は、非選択期間に周波数10KHzという、高周波の交流パルスを印加して液晶素子のメモリ性を改善することにより、コントラスト比を向上させたことにある。
【0114】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は0Vを、非選択期間t12(t22)は、±V1 の交流パルスを印加し、信号電極Y1 には±V2 を、画素をオンさせたい場合は正、負の順に、オフさせたい楊合は負、正の順に印加する。
【0115】この時、画素(X1 Y1 )に印加されるパルスは、オンの場合は±V2 が負、正の順に、オフの場合は正、負の順に印加され、非選択期間には、正の波高値が(+V1 +V2 )で負の波高値が(−V1 +V2 )の交流パルスと正の波高値が(+V1 −V2 )で負の波高値が(−V1 十V2 )の交流パルスとがt14の期間ずつ交互に印加される。選択期間に印加されるパルスは、いずれも飽和値以上であるが、最後に印加されたパルスの極性によってオン、オフが選択される。また非選択期間に印加される交流パルスは、波高値は非常に大きい値となっているが、パルス幅が50μsecと非常に小さいため、液晶素子は応答せず、逆にメモりー性が改善されて、コントラスト比が向上する。本実施例では40:1というきわめてすぐれたコントラスト比が得られた。
【0116】また、液晶素子に印加される電圧パルスの平均値は零であり、液晶素子の劣化を生ずることもなかった。
【0117】第40図は、第39図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例の回路ブロック図である。■、■の信号により、トランスミッションゲート111を選択し、■の走査電極データで、0Vの選択時走査電極波形及び■の非選択時走査電極波形を選択し、走査電極波形を作る。一方信号電極波形は■の信号によりトランスミッションゲート111を選択し■の信号電極データで■のオン波形、■のオフ波形を選択し、信号電極波形を作り、液晶素子113に印加される。±V1 、±V2 、0Vは走査電極及び信号電極の電源電圧である。第41図は、第40図に示した回路の各点における信号である。
【0118】実施例14第42図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 および信号電極Y1 に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0119】第42図において、t13は最初のフレーム周期、t23は次のフレーム周期を示し、t11およびt21は選択期間、t12およびt22は非選択期間を示す。
【0120】また、t14は200μsecのパルス幅を示す。
【0121】実施例13と異なるのは、選択期間t11(t21)に印加される正、負のパルスの波高値の差分を、非選択期間t12(t22)に印加される高周波の交流パルスで補正する点にあり、そのため、この交流パルスの波高値V1 およびV4 は、|V3 ・t14|−|V2 ・t14|=1/2(|V1 ・t12|−|V4 ・t12|)を満足するように設定される。本実施例の場合、t12=10t14となるので、波高値V1 、V2 、V3 、V4 をそれぞれ30V、10V、20V、28Vとした。また、V5 は5Vである。
【0122】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は−V3 およびV2 が負、正の順に、非選択期間t12(t22)は、正の波高値がV1 、負の波高値がV4 で周波数10KHzの交流パルスを印加し、信号電極Y1 には、±V5 を、画素をオンさせたい場合は正、負の順にオフさせたい場合は負、正の順に印加する。この時、画素(X1 Y1 )には、オンの場合は飽和値以上の(−V3 −V5 )および(十V2 十V5 )が印加され、オフの場合は飽和値以上の負のパルス(−V3 +V5 )およびしきい値より小さい(+V2 −V5 )が印加される。また、非選択期間には、正の波高値が(+V1 +V5 )で負の波高値が(−V4 +V5 )の交流パルスと正の波高値が(+V1 −V5 )で負の波高値が(−V4 −V5 )の交流パルスとがt14の期間ずつ交互に印加される。選択期間に印加される正および負のパルスの波高値の差は、オン、オフにかかわらず(V3 −V2 )であり、その差分は非選択期間に印加される交流パルスによって補正され、液晶素子に印加される電圧パルスの平均値は零となる。本実施例においても、液晶素子のメモリー性が改善され、実施例13と同様のすぐれたコントラスト比が得られた。
【0123】第43図は、第42図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例の回路ブロック図である。■、■の信号により、トランスミッションゲート111を選択し、■の走査電極データで、■の選択時走査電極波形及び■の非選択時走査電極波形を選択し、走査電極波形を作る。一方信号電極波形は、■の信号によりトランスミッツョンゲート111を選択し■の信号電極データで■のオン波形、■のオフ波形を選択し、信号電極波形を作り、液晶素子113に印加される。V1 、V2 、−V3 、−V4 、±V5 は走査電極及び信号電極の電源電圧である。
【0124】第44図は、第43図に示した回路の各点における信号である。
【0125】実施例15第45図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。451はフレーム信号、452は極性切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチングしてV1 、V2 、−V3 、−V4 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形453を作る。また、V5 、−V6 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形454およびオフ波形455を作る。第46図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。
【0126】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形453を8101および8102に、非選択波形として0Vを8103に、オン波形454を8105に、オフ波形455を8104にそれぞれ印加する。
【0127】第81図において、121は走査電極データで、これを走査電極シフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形454およびオフ波形455を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0128】第46図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。t13、t23、t33およびt43は、それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t21、t22、t32およびt42はそれぞれ非選択期間を示す。またt14、t15、t24、t25、t34、t35、t44およびt45は、パルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも200μsecである。
【0129】また、波高値V1 およびV4 は10V、V2 およびV3 は8V、V5 およびV6 は2Vである。
【0130】走査電極X1 には、第46図461に示すように、選択期間t11(t21、t31、t41)は、1フレームごとに交互に、第1の選択波形として+V2 および−V4 が負、正の順に、また第2の選択波形として+V1 および−V3 が正、負の順に印加され、非選択期間t12(t22、t32、t42)は、0Vが印加される。また、信号電極Y1 には、第46図462に示すように、画素をオンさせたい場合は十V5 および−V6 が正、負の順に、オフさせたい場合は+V5 および−V6 が負、正の順に印加される。
【0131】この時画素(X1 Y1 )に印加される合成波形は、第46図463に示すように、走査電極X1 に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(−V4 −V5 )および(V2 +V6 )が負、正の順に、オフの場合は(−V4 +V6 )および(V2 −V5 )が負、正の順に印加され、第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(V1 −V5 )および(−V3 +V6 )が正、負の順に、オフの場合は(V1 +V6 )および(−V3 −V5 )が正、負の順に印加される。また非選択期間は−V5 および+V6 が印加される。
【0132】本実施例の駆動方法は、選択期間の最初に正または負の飽和値以上のパルスを印加してオンまたはオフ状態とし、次に印加するパルスを逆極性の飽和値以上のパルスとしてオン、オフ状態を反転させるか、逆極性のしきい値より小さいパルスとしてそのまま保持させるかでオン、オフを選択している。また、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの波高値の差が(V4 −V2 )すなわち−2Vとなっているが、第2の選択波形が印加されたフレームでは、(V1 −V3 )すなわち十2Vとなっていて、互いに相殺される。すなわち、本実施例では2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値を零にして液晶素子の劣化を防止しているものである。なお、画素8111の光透過特性を第46図464に示す。
【0133】実施例16第47図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。471はフレーム信号、472は極性切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチングしてV1 、−V2 、−V7 、−V8 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形473を作り、−V3 、−V6 の電圧を切り換えて走査電極の非選択波形474を作る。また、−V2 、−V4 、−V5 、−V7 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形475およびオフ波形476を作る。第48図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。
【0134】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形473を8101および8102に、非選択波形474を8103に、オン波形475を8105に、オフ波形476を8104にそれぞれ印加する。
【0135】第81図において、121は走査電極データでこれを走査電極シフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形475およびオフ波形476を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0136】第49図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。t13、t23、t33およびt43は、それそれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t12、t22、t32およびt42はそれぞれ非選択期間を示す。またt14、t15、t24、t25、t34、t35、t44およびt45は、パルス幅を示し、本実施例の場合はいすれも200μsecである。
【0137】波高値V1 は0V、V2 は2V、V3 は4V、V4 は6V、V5 は8V、V6は10V、V7 は12V、V8 は14Vである。また、−Vmは信号電極に印加する電圧パルスの中間電位を示し、この場合は−7Vである。
【0138】実施例15と異なるのは、走査電極に印加する電圧を低くするために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことと、信号電極のオンおよびオフ波形を走査電極に印加する選択波形によって変えた点である。
【0139】すなわち走査電極8109には、第49図491に示すように、選択期間t11(t21、t31、t41)は、1フレームごとに交互に、第1の選択波形として−V8 および−V2 が−V8 、−V2 の順に、また第2の選択波形としてV1 および−V7 がV1 、−V7 の順に印加され、非選択期間t12(t22、t32、t42)は、第1の選択波形が印加されたフレームでは−V3 および−V6 が−V3 、−V6 の順に、また第2の選択波形が印加されたフレームでは−V6 、−V3 の順に印加される。
【0140】信号電極8110には、第49図492に示すように、第1の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として−V2 および−V7 が−V2 、−V7 の順に印加され、オフ波形として−V4 および−V5 が−V4 、−V5 の順に印加される。また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として−V4 および−V5 が−V5 、−V4 の順に印加され、オフ波形として−V2 および−V7 が−V7 、−V2 の順に印加される。
【0141】この時画素8111に印加される合成波形は、第49図493に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(−V8 +V2 )および(−V2 +V7 )が負、正の順に、オフの場合は(−V8 +V4 )および(−V2 +V5 )が負、正の順に印加され、第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(V1 十V5 )および(−V7 十V4 )が正、負の順に、オフの場合は(V1 +V7 )および(−V8 +V2 )が正・負の順に印加される。また非選択期間は、(−V6 +V7 )および(−V3 +V2 )もしくは(−V3 十V4 )および(−V6 十V5 )が印加される。
【0142】本実施例の駆動方法も、選択期間の最初に正または負の飽和値以上のパルスを印加してオンまたはオフ状態とし、次に印加するパルスを逆極性の飽和値以上のパルスとしてオン、オフ状態を反転させるか、逆極性のしきい値より小さいパルスとしてそのまま保持させるかでオン、オフを選択している。また、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの波高値の差が(V7 −V8 )もしくは(V4 +V5 −V2 −V8 )すなわち−2Vとなっているが、第2の選択波形が印加されたフレームでは、V2 もしくは(V4 +V5 −V7)すなわち十2Vとなつていて、互いに相殺される。すなわち、本実施例でも2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値を零にして液晶素子の劣化を防止しているものである。なお、画素8111の光透過特性を第49図494に示す。
【0143】実施例17第50図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。
【0144】501はフレーム信号、502は極性切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッンョンゲート111をスイッチングしてV1 、V2 、−V3 、−V4 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形503を作る。また、V5 、−V6 、0Vの電圧を切り換えて信号電極のオン波形504およびオフ波形505を作る。第51図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。
【0145】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形503を8101および8102に、非選択波形として0Vを8103に、オン波形504を8105に、オフ波形505を8104にそれぞれ印加する。
【0146】第81図において、121は走査電極データで、これを走査電極シフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイツチングし、オン波形504およびオフ波形505を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0147】第51図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。t13、t23、t33およびt43それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t12、t22、t32およびt42はそれぞれ非選択期間を示す。また、t14、t15、t24、t25、t34、t35、t44およびt45は、パルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも200μsecである。
【0148】波高値V1 およびV4 は8V、V2 およびV3 は6V、V5 およびV6 は2Vである。
【0149】走査電極8109には、第51図511に示すように、選択期間t11(t21、t31、t41)は、1フレームごとに交互に、第1の選択波形としてV2 および−V4 が負、正の順に、また第2の選択波形としてV1 および−V3 が正、負の順に印加され、非選択期間t12(t22、t32、t42)は、0Vが印加される。
【0150】信号電極8110には、第51図512に示すように、第1の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形としてV5 および−V6 が正、負の順に印加され、オフ波形として0Vが印加される。
【0151】また、第2の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として0Vが印加され、オフ波形としてV5 および−V6 が負、正の順に印加される。
【0152】この時画素8111に印加される合成波形は、第51図513に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(−V4 −V5 )および(V2 +V6 )が負、正の順に、オフの場合は−V4 およびV2 が負、正の順に印加され、第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合はV1 および−V3 が正、負の順に、オフの場合は(V1 +V6 )および(−V3 −V5 )が正、負の順に印加される。
【0153】また非選択期間は、0VもしくはV5 および−V6 が印加される。
【0154】本実施例の駆動方法も、選択期間の最初に正または負の飽和値以上のパルスを印加してオンまたはオフ状態とし、次に印加するパルスを逆極性の飽和値以上のパルスとしてオン、オフ状態を反転させるか、逆極性のしきい値より小さいパルスとしてそのまま保持させるかでオン、オフを選択している。また、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの波高値の差が(V2 −V4 )すなわち−2Vとなつているが、第2の選択波形が印加されたフレームでは、(V1 −V3 )すなわち+2Vとなっていて、互いに相殺される。すなわち、本実施例でも2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値を零にして液晶素子の劣化を防止しているものである。なお、画素8111の光透過特性を第51図514に示す。
【0155】実施例18第52図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。521はフレーム信号、522は極性切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチンクしてV1 、−V2 、−V7 、−V8 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形523を作り、−V3 、−V6 の電圧を切り換えて走査電極の非選択波形524を作る。また、−V2 、−V3 、−V6 、−V7 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形525およびオフ波形526を作る。第53図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。
【0156】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形523を8101および8102に、非選択波形524を8103に、オン波形525を8105に、オフ波形526を8104にそれぞれ印加する。
【0157】第81図において、121は走査電極データでこれを走査電極シフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極テータで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形525およびオフ波形526を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0158】第54図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と、画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。
【0159】t13、t23、t33およびt43は、それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t12、t22、t33およびt42はそれぞれ非選択期間を示す。またt14、t15、t24、t25、t34、t35、t44およびt45は、パルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも200μsecである。
【0160】波高値V1 は0V、V2 は2V、V3 は4V、V6 は8V、V7 は10V、V8 は12Vである。また、Vmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は6Vである。
【0161】実施例17と異なるのは、走査電極に印加する電圧を低くするために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことにある。
【0162】走査電極8109には、第54図541に示すように、選択期間t11(t21、t31、t41)は、1フレームごとに交互に、第1の選択波形として−V8 および−V2 が−V8 、−V2 の順に、また第2の選択波形としてV1 および−V7 がV1 、−V7 の順に印加され、非選択期間t12(t22、t32、t42)は、第1の選択波形が印加されたフレームでは−V3 および−V6 が−V3 、−V6 の順に印加され、また第2の選択波形が印加されたフレームでは−V6 、−V3 の順に印加される。
【0163】信号電極8110には、第54図542に示すように、第1の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として−V2 および−V7 が−V2 、−V7 の順に、オフ波形として−V3 および−V6 が−V3 、−V6 の順に印加され、また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として−V3 および−V6が−V6 、−V3 の順に、オフ波形として−V2 および−V7 が−V7 、−V2の順に印加される。
【0164】この時画素8111に印加される合成波形は、第54図543に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(−V8 +V2 )および(−V2 +V7 )が負、正の順に、オフの場合は、(−V8 +V3)および(−V2 +V6 )が負、正の順に印加され、第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(−V2 +V7 )および(−V7 +V3 )が正、負の順に、オフの場合は(V1 +V7 )および(−V7 +V2 )が正、負の順に印加される。
【0165】また非選択期間は、0Vもしくは(−V6 +V7 )および(−V3 +V2 )が印加される。
【0166】本実施例の駆動方法も、選択期間の最初に正または負の飽和値以上のパルスを印加してオンまたはオフ状態とし、次に印加するパルスを逆極性の飽和値以上のパルスとしてオン、オフ状態を反転させるか、逆極性のしきい値より小さいパルスとしてそのまま保持させるかでオン、オフを選択している。また、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの波高値の差が(V7 −V8 )もしくは(V6 −V7 )すなわち−2Vとなっているが、第2の選択波形が印加されたフレームでは、(V3 −V2 )もしくはV2 すなわち+2Vとなっていて、互いに相殺される。すなわち、本実施例でも2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値を零にして液晶素子の劣化を防止しているものである。なお、画素8111の光透過特性を第54図544に示す。
【0167】実施例19第55図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。551はフレーム信号、552は極性切り換え信号、553は書き込みパルス切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチングしてV1 、V2 、V3 、−V4、−V5 、−V6 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形554を作る。また、V7 、−V8 、0Vの電圧を切り換えて信号電極のオン波形555およびオフ波形556を作る。第56図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形554を8101および8102に、非選択波形としてOVを8103に、オン波形555を8105に、オフ波形556を8104にそれぞれ印加する。
【0168】第81図において、121は走査電極データで、これを走査電極シフトクロック120によつて走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形555およびオフ波形556を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0169】第56図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と、画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。
【0170】t13、t23、t33、およびt43は、それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t12、t22、t32およびt42はそれそれ非選択期間を示す。またt14、t15、t24、t25、t34、t35、t44およびt45は、パルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも200μsecである。また、書き込みパルス切り換え信号のパルス幅(以下t/4と言う)は、前記パルス幅の1/4すなわち50μsecである。
【0171】波高値V1 およびV4 は9V、V2 およびV5 は6V、V3 およびV6 は11V、V7 およびV8 は3Vである。
【0172】本実施例では、駆動波形に書き込みパルス切り換え信号を重畳させて、非選択期間に画素に印加されるパルスのパルス幅を小さくし、光透過特性への影響をより小さくしている。
【0173】走査電極8109には、第56図561に示すように、選択期間t11(t21、t31、t41)は、1フレームごとに交互に、第1の選択波形として−V6 およびV2 に書き込みパルス切り換え信号が重畳されたパルスが負、正の順に、第2の選択波形としてV1 および−V5 に書き込みパルス切り換え信号が重畳されたパルスが正、負の順に印加され、非選択期間t12(t22、t32、t42)は0Vが印加される。
【0174】信号電極8110には、第56図562に示すように、オン波形として、まずt/4のパルス幅で0VおよびV7 が交互に2個ずつ印加された後、同じパルス幅で−V8 および0Vが交互に2個ずつ印加される。またオフ波形としてオン波形と逆位相のパルスが印加される。
【0175】この時画素8111に印加される合成波形は、第56図563に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合−V6 に一部−V7 が重畳されたパルスおよび(V2 十V8 )=V1 が印加され、オフの場合−V6 に一部V8 が重畳されたパルスおよび(V1 −V7 )=V2 が印加される。また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合V3 に一部−V7が重畳されたパルスおよび(−V4 十V8 )=−V5 が印加され、オフの場合はV3 に一部V8 が重畳されたパルスおよび(−V5 −V7 )=−V4 が印加される。
【0176】非選択期間は、0V、V7 および−V8 がt/4のパルス幅で印加される。
【0177】本実施例では、選択期間の最初に印加される、V3 または−V6 に一部±V7もしくは±V8 が重畳されたパルスは、いずれも飽和値以上であるため、画素はいったんオンまたはオフ状態となり、次に印加される最初のパルスと逆極性のパルスが飽和値以上かしきい値より小さいかで、オン、オフ状態を反転させるか、そのまま保持させるかでオン、オフを選択している。また、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの差が(−V6 +V7 /2−V1 )=(V6 −V8 /2−V2 )、すなわち−3.5Vとなっているが、第2の選択波形が印加されたフレームでは、(V3 −V7 /2−V5 )=(V3 +V8 /2−V4 )すなわち十3.5Vとなって互いに相殺される。すなわち本実施例でも、2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値を零にして液晶素子の劣化を防止しているものである。なお、画素8111の光透過特性を第56図564に示す。
【0178】また本実施例では、駆動波形に重畳するパルスのパルス幅をt/4としたが、本発明はこれに限られるものではなく、よりパルス幅を小さくして重畳パルスの個数を増やしても良い。
【0179】実施例20第57図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。571はフレーム信号、572は極性切り換え信号、573は書き込みパルス切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチングしてV1 、−V2 、−V3 、−V6 、−V7 、−V8 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形574を作り、−V3 、−V6 の電圧を切り換えて走査電極の非選択波形575を作る。また、−V2 、−V3 、−V4 、−V6 、−V7 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形576およびオフ波形577を作る。第58図に、これらの信号波形のタイミングチヤートを示す。
【0180】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形574を8101および8102に、非選択波形575を8103に、オン波形576を8105に、オフ波形577を8104にそれぞれ印加する。
【0181】第81図において121は走査電極データで、これを走査電極ソフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8607に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形576およびオフ波形577を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0182】第59図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。t13、t23、t33およびt43は、それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t12、t22、t32およびt42は、それぞれ非選択期間を示す。またt14、t15、t24、t25、t34、t44およびt45は、パルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも200μsecである。また、書き込みパルス切り換え信号のパルス幅(以下t/4と言う)は、前記パルス幅の1/4すなわち50μsecである。
【0183】波高値V1 は0V、V2 は2V、V3 は4V、V4 は6V、V5 は8V、V6は10V、V7 は12V、V8 は14Vであり、Vmは信号電極に印加されるパルスの中間電位を示し、この場合は7Vである。
【0184】実施例19と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低くするために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことと、オン、オフ波形を選択波形に応じて変えたことである。
【0185】走査電極8109には、第59図591に示すように、選択期間t11、(t21、t31、t41)は、1フレームごとに交互に、第1の選択波形として−V8 および−V3 に書き込みパルス切り換え信号が重畳されたパルスが、第2の選択波形としてV1 および−V7 に書き込みパルス切り換え信号が重畳きれたパルスが印加され、非選択期間t12(t22、t32、t42)は−V3 および−V6 が、−V3、−V6 の順もしくは−V6 、−V3 の順に印加される。
【0186】信号電極8110には、第59図592に示すように、第1の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として−V2 および−V3 がt/4のパルス幅で交互に2個ずつ印加された後、同じパルス幅で、−V7 および−V6 が2個ずつ交互に印加され、オフ波形としては同じパルス幅で−V3 および−V4 が交互に2個ずつ印加された後、−V6 および−V5 が同じパルス幅で交互に2個ずつ印加される。
【0187】また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として前記のオフ波形と逆位相のパルスが印加され、オフ波形として前記のオン波形と逆位相のパルスが印加される。
【0188】この時画素8111に印加される合成波形は、第59図593に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合(−V8 +V3 )に一部(V2 −V3 )が重畳されたパルスおよび(−V3 +V7 )=(−V2 +V6 )が印加され、オフの場合(−V8 +V4 )に一部(V3 −V4 )が重畳されたパルスおよび(−V3 +V6 )=(−V2 +V5 )が印加される。また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合(V1 +V6 )に一部(V5 −V6 )が重畳されたパルスおよび(−V6 十V3 )=(−V7 十V4 )が印加され、オフの場合(V1 十V7 )に一部(V6 −V7 )が重畳されたパルスおよび(−V6 +V2 )=(−V7 +V3 )が印加される。
【0189】非選択期聞は、OV、(−V6 +V7 )および(−V3 +V2 )がt/4のパルス幅で印加される。
【0190】本実施例の駆動方法により画素に印加される合成波形は、基本的には実施例19と同一であり、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの差が(V8 −V2 /2−V3 /2−V6 +V2 )=(V8 −V3 /2−V4 /2−V5 +V2 )すなわち−3V、第2の選択波形が印加されたフレームでは、(V6 /2十V7 /2+V3 −V7 )=(V5 /2+V6 /2+V4 −V7 )すなわち十3Vで互いに相殺され、同じように2フレームごとに平均値が零となる。画素8111の光透過特性を第59図594に示す。
【0191】なお、これまで説明した実施例では、強誘電性液晶TDOBAMBCCのしきい値特性に合わせて各電圧レベルを設定したが、もちろん本発明はこれに限定されるものではなく、各電圧レベルは使用する強誘電性液晶のしきい値特性に応じて適切な値を設定すれば良い。
【0192】実施例21第82図(a)および(b)は、印加電圧パルスの波形と光透過特性との関係を示す図である。強誘電液晶のしきい値および飽和値電圧は、パルス幅によって変化することは先に述べたが、我々は印加するパルスによっても変化することを見出した。すなわち第82図の824に実線で示したように、第82図の821に示すような波形のパルスを印加した場合は、正負のしきい値がVth11およびVth12、飽和値がVsat11およびVsat12であるが、第82図(b)822に示すようなパルスを印加すると、第82図(a)825に点線で示したように、正負のしきい値がVth21およびVth22、飽和値がVsat21およびVsat22と、821の波形を印加した時より絶対値が大きくなり、823に示すような波形のパルスを印加すると、826に一点鎖線で示したように、正負のしきい値がVth1 およびVth2 、飽和値がVsat1 およびVsat2 と絶対値が小さくなる。
【0193】特に、Vth21>Vsat11および|Vth22|>|Vsat21|であるため、821の波形のパルスを印加した時には飽和値以上となる電圧レベルであっても、822の波形のパルスを印加した時には、しきい値よりも小さくなり、液晶素子は応答しない。したがって、同じ電圧レベルで応答、非応答を制御することが可能となる。本実施例は、このような強誘電性液晶のしきい値特性を利用した駆動方法である。
【0194】第60図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。601はフレーム信号、602は極性切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチングしてV1 、V2 、−V3 、−V4 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形604を作る。また極性切り換え信号602とクロックパルス603とにより、0V、V5 、−V5 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形605およびオフ波形606を作る。第61図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。
【0195】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形604を8101および8102に、非選択波形として0Vを8103に、オン波形605を8105に、オフ波形606を8104にそれぞれ印加する。
【0196】第81図において、121は走査電極データで、これを走査電極シフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形605およびオフ波形606を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0197】第62図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。t13、t23、t33およびt43は、それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t12、t22、t32およびt42は、それぞれ非選択期間を示す。またt14、t24、t34およびt44は、それぞれ選択期間の前半に印加されるパルスのパルス幅、t15、t25、t35およびt45は、それぞれ選択期間の後半に印加されるパルスのパルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも等しいパルス幅となっている。さらにt0 は、前記t15(t25、t35、t45)の1/2のパルス幅を示す。
【0198】波高値V1 〜V5 は、以下の条件を満足するように設定する。
【0199】V1 =V4 >Vsat1 、|Vsat2 |V5 <Vth1 、|Vth2 ||V2 |=|−V3 |Vth21>(V2 +V5 )>Vsat11|Vth22|>(V3 +V5 )>|Vsat12|走査電極8109には、第62図621に示すように、選択期間は第1の選択波形として−V4 およびV2 が負、正の順に、第2の選択波形としてV1 および−V3 が正・負の順に、1フレームごとに交互に印加され、非選択期間はOVが印加される。
【0200】信号電極8110には、第62図622に示すように、オンさせたい場合は2t0 の期間0Vが印加された後パルス幅t0 のV5 および−V5 が正・負の順に印加され、オフさせたい場合は同じく2t0 の期間0Vが印加された後パルス幅t0 のV5 および−V5 が負・正の順に印加される。
【0201】この時画素8111に印加される合成波形は、第62図623に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合まず−V4 が印加された後、前半のt0 の波高値が(V2 −V5 )で後半のt0 の波高値が(V2 +V5 )であるパルスが印加され、オフの場合は同じくまず−V4 が印加された後、前半のt0 の波高値が(V2 十V5 )で後半のt0 の波高値が(V2 −V5 )であるパルスが印加される。また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合まずV1 が印加された後、前半のt0 の波高値が(−V3 −V5)で後半のt0 の波高値が(−V3 +V5 )であるパルスが印加され、オフの場合は同じくまずV1 が印加された後、前半のt0 の波高値が(−V3 +V5 )で後半のt0 の波高値が(−V3 −V5 )であるパルスが印加される。非選択期間には0Vおよびパルス幅t0 の±V5 が印加される。
【0202】本実施例では、第82図(a)および(b)に示したように、選択期間t11およびt21の後半に印加されるパルスは、飽和値以上であるが、t31およびt41の後半に印加されるパルスは、同じ波高値を有しているにもかかわらず、波形が異なるため、しきい値より小さい値となつている。その結果、本実施例の駆動方法も、選択期間の最初に印加された正または負の飽和値以上のパルスによってオンまたはオフ状態とし、次に印加する逆極性のパルスによってその状態を反転させるかそのまま保持するかを選択してオン、オフを選択することができる。
【0203】また、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの波高値の差が、(V2 +V3 )/2+(V2 −V5 )/2−V4 =V2 −V4、第2の選択波形が印加されたフレームでは(−V3 −V5 )/2十(−V3 +V5 )/2+V1 =V1 −V3 となり、V1 =V4 およびV2 =V3 であるから、互いに相殺される。すなわち、本実施例でも2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値が零となり、液晶素子の劣化を防止することができる。なお、画素8111の光透過特性を第62図624に示す。
【0204】実施例22本実施例も、第82図(a)および(b)に示すような強誘電性液晶のしきい値特性を利用した駆動方法である。
【0205】第63図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。631はフレーム信号、632は極性切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチングしてV1 、−V2 、−V7 、−V8 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形634を作り、−V3 、−V6 の電圧を切り換えて走査電極の非選択波形635を作る。また、極性切り換え信号632とクロックパルス633とにより、−V2 、−V3 、−V4 、−V5 、−V6 、−V7 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形636およびオフ波形637を作る。第64図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。
【0206】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形634を8101および8102に、非選択波形635を8103に、オン波形636を8105に、オフ波形637を8104にそれそれ印加する。
【0207】第81図において、121は走査電極データでこれを走査電極シフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形636およびオフ波形637を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0208】第65図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と、画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。
【0209】t13、t23、t33およびt43は、それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それそれ選択期間、t12、t22、t32、およびt42は、それぞれ非選択期間を示す。またt14、t24、t34およびt44は、それぞれ選択期間の前半に印加されるパルスのパルス幅t15、t25、t35およびt45は、それそれ選択期間の後半に印加されるパルスのパルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも等しいパルス幅となっている。さらにt0 は、前記t15(t25、t35、t45)の1/2のパルス幅を示す。
【0210】実施例21と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低くするために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことと、そのためにオン波形およびオフ波形を、選択波形に応じて変えた点にある。
【0211】波高値V1 〜V8 およびVmは以下の条件を満足するように設定する。
【0212】V1 =0(V1 +V6 )>Vsat1(V8 −V3 )>|Vsat2 |(V7 −V6 )=(V4 −V3 )<Vth1(V6 −V5 )=(V3 −V2 )<|Vth2 |Vth21>(V7 −V2 )>Vsat11|Vth22|>(V7 −V2 )>|Vsat12|(Vm−V2 )=(V7 −Vm)
走査電極8109には、第65図651に示すように、選択期間は第1の選択波形として前半は−V8 、後半は−V2 が、第2の選択波形として前半はV1 、後半は−V7 が印加され、非選択期間は−V6 および−V3 が−V6 、−V3 の順もしくは−V3 、−V6 の順に印加される。
【0213】信号電極8110には、第65図652に示すように、第1の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形としてまず−V3 が、その後パルス幅t0 の−V5 および−V7 が−V5 、−V7 の順に印加され、オフ波形として同じく−V3の後に、−V7 、−V5 の順に印加される。また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形としてまず−V6 が、後半はパルス幅t0 の−V4 および−V2 が−V2 一V4 の順に印加され、オフ波形として同じく−V6 の後に、−V4 、−V2 の順に印加される。
【0214】この時画素8111に印加される合成波形は、第65図653に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合まず(−V8+V3 )が印加された後、前半のt0 の波高値が(−V2 +V5 )で後半のt0の波高値が(−V2 +V7 )であるパルスが印加され、オフの場合は、同じくまず(−V8 +V3 )が印加された後、前半のt0 の波高値が(−V2 十V7 )で後半のt0 の波高値が(−V2 +V5 )であるパルスが印加される。また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合まず(V1 +V6 )が印加された後、前半のt0 の波高値が(−V7 十V2 )で後半のt0 の波高値が(−V7+V4 )であるパルスが印加され、オフの場合同じく(V1 +V6 )が印加された後、前半のt0 の波高値が(−V7 +V4 )で後半のt0 の波高値が(−V7+V2 )であるパルスが印加される。非選択期間にはOV、(−V6 +V7 )および(−V6 +V5 )が印加される。
【0215】本実施例による合成波形は、実施例21と実質的に同じであり、同じようにオン、オフの選択ができると共に、2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値が零となる。なお、画素8111の光透過特性を第65図654に示す。
【0216】実施例23本実施例も、第82図(a)および(b)に示すような強誘電性液晶のしきい値特性を利用した駆動方法である。
【0217】第66図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、661はフレーム信号で、662は極性切り換え信号である。また664はフレーム信号661の遅延信号、665は極性切り換え信号662の回転信号である。これらの信号によりトランスミッションゲート111をスイッチングして、V1 、V2 、−V3 −V4 の電圧を切り換えて666の奇数走査電極選択波形と、667の偶数走査電極選択波形を作っている。また、クロックパルス663によりトランスミッションゲート111をスイッチングして、V5 、−V5 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形668と信号電極オフ波形669を作っている。
【0218】これらの波形のタイミングチャートを第67図に示す。第66図666、667、668、669の信号を第81図の駆動回路に入力し、666は8101と、667は8102と、668は8105と、669は8104と、8103は0ボルトとそれぞれ接線する。第81図121は走査電極データで、これを120のシフトクロツクによって115の走査電極側シフトレジスターに転送して一走査線ずつ順次選択信号を出す。この選択信号によって111のトランミッツョンゲートをスイッチングして8107の奇数走査電極波形や、8108の偶数走査電極波形を作っている。第81図117は、信号電極データで、これを118のシフトクロックによって114の信号電極側シフトレジスターに転送し、一走査線分のデータを転送したときに119のラッチ信号によって116のラッチ回路にラッチする。このラッチ回路の出力によって111のトランスミッンョンゲートをスイッチングして8104と8105の信号を切り換えて8106の信号電極波形を作っている。8107、8108、8106の波形及び、この合成波形を第68図の681、682、683、684のタイミングチャートに示す。この駆動波形の駆動条件を示すとつぎのようになる。
【0219】
(V1 +V5 )>Vsat21 (V2 +V5 )>Vsat11(V2 +V5 )>Vth21 |−V3 −V5 |>|Vsat12| |−V3 −V5 |<|Vth22| |−V4 −V5 |>|Vsat22| V5 <Vth1 |−V5 |<|Vth2 | |V1 |=|−V4 | |V2 |=|−V3 | t04=t11 t16=t17 第81図8111の画素について液晶素子の動作を説明すると、第68図t04の間が奇数フレームの直前に印加される消去パルスで、|−V4 −V5 |>|Vsat22|の電圧パルスを印加して液晶素子の前のメモリー状態を消してオフ状態とし、t11の間が奇数フレームの選択期間で、信号電極に印加る波形がオン波形であるか、オフ波形であるかによって、走査電極波形との合成電圧が、第82図の821で示す波形か、822で示す波形かを選択し、821で示す波形であれば液晶素子はオン状態となり、822で示す波形であればオフ状態のままとなる。そして、非選択期間t12の間は、しきい電圧より絶対値の小さなV5 、−V5 の電圧しか液晶素子に印加されないので、t11の間に書き込まれた状態を保持する。また、選択期間t11に液晶素子にデータを書き込んでいるときに、それと同時に、次に選択される液晶素子には、682で示すように消去パルスが印加されて前のメモリー状態を消去している。
【0220】次に、偶数フレームについてみると、t14が偶数フレーム直前に印加される消去パルスで、奇数フレーム直前のt04のときは逆極性のパルスで、(V1 +V5)>Vsat21の電圧パルスを印加して液晶素子の前のメモリー状態を消してオン状態とし、t21の間が選択期間で、信号電極に印加される波形がオン波形であるか、オフ波形であるかによって走査電極波形との合成電圧が、第82図の821で示す波形か、822で示す波形かを選択し、821で示す波形であれば液晶素子はオフ状態となり、822で示す波形であればオン状態のままとなる。そして、非選択期間t22の間は、奇数フレームのときと同様でt21の間に書き込まれた状態を保持する。また、選択期間t21中に液晶素子にデータを書き込んでいるときに、それと同時に、次に選択される液晶素子には、682で示すように消去パルスが印加されて前のメモリー状態を消去している。このように、液晶素子にデータを書き込むのと同時に、次に選択される液晶素子には消去パルスを印加することによって選択期間を従来の半分とすることができる。また、この実施例では、液晶素子を選択する直前に消去パルスを印加しているが、この消去パルスは、選択期間の直前に出す必要はなく、選択期間よりある時間前に消去パルスを印加してもよい。
【0221】実施例24本実施例も、第82図(a)および(b)に示すような強誘電性液晶のしきい値特性を利用した駆動方法である。
【0222】第69図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、691はフレーム信号で、692は極性切り換え信号である。この691、692の信号によってトランスミッションゲート111をスイッチングして、V1 、−V2 、−V7 、−V8 、−V3 、−V6 の電圧を切り換えて奇数走査電極選択波形694と、偶数走査電極選択波形695と、走査電極非選択波形696を作っている。
【0223】また、691、692およびクロックパルス693の信号によって、トランスミッションゲート111をスイッチングして、−V2 、−V4 、−V5 、−V7の電圧を切り換えて信号電極オン波形697と信号電極オフ波形698を作っている。
【0224】これらの波形のタイミングチャートを第70図に示す。第70図694、695、696、697、698の各波形を第81図の駆動回路に入力し、694は8101と、695は8102と、696は8103と、697は8105と、698は8105と、それぞれ接続する。そして、第81図117、118、119、120、121の各信号によって、実施例23と同様の動作で、第71図711の奇数走査電極波形と、712の偶数走査電極波形と、713の信号電極波形を作り、液晶素子に印加する。その合成波形を714に示す。この駆動波形の駆動条件を示すとつぎのようになる。
【0225】
V1 =0 |−V8 +V2 |>|Vsat22|(−V2 +V7 )>Vsat11 (−V2 +V7 )<Vth21(V1 十V7 )>Vsat21 |−V7 +V2 |>|Vsat12||−V7 十V2 |<|Vth22| (−V2 十V3 )<Vth1 |−V4 +V3 |<|Vth2 | (−V2 +V3 )=(−V5 +V6 )
(−V4 +V3 )=(−V7 +V6 ) (−V2 +Vm)=(−Vm+V7 )
t14=t11(V8 −V3 )=(V6 −V1 ) (V6 −V2 )=(V7 −V3 )
第81図8111の画素について液晶素子の動作を説明すると、第71図t04の間が奇数フレームの直前に印加される消去パルスで、711の走査電極波形と713の信号電極波形の合成電圧で常に|−V8 +V2 |>|Vsat22|の電圧パルスを印加して液晶素子の前のメモリー状態を消去してオフ状態とし、t11の間が奇数フレームの選択期間で、信号電極に印加される波形がオン波形であるか、オフ波形であるかによって、走査電極波形との合成電圧が、第82図の821で示す波形か822で示す波形かを選択し、821で示す波形であれば液晶素子はオン状態となり、822で示す波形であればオフ状態のままとなる。
【0226】そして、非選択期間は、走査電極波形711は、−V3 と−V6 の電圧が交互に印加されて、713の信号電極波形との合成波形では、714で示すように常にしきい電圧より絶対値の小さな電圧しか液晶素子に印加されないためt11の間に書き込まれた状態を保持する。また、選択期間t11中に液晶素子にデータを書き込んでいるときに、それと同時に、次に選択される液晶素子には、712で示す走査電極波形が印加されているため、t04の間とは逆極性の消去パルスが印加されて前のメモリー状態を消去してオン状態としている。次に、偶数フレームについてみると、直前のt14の間が消去パルスで、奇数フレーム直前のt04のときとは逆極性のパルスで、(V1 +V7 )>Vsat21の電圧パルスを印加して液晶素子の前のメモリー状態を消去してオン状態とし、t21の間が選択期間で、信号電極に印加される波形がオン波形であるか、オフ波形であるかによって、走査電極波形との合成電圧が第82図の821で示す波形か、822で示す波形かを選択し、821で示す波形であれば液晶素子はオフ状態となり、822で示す波形であればオン状態のままとなる。そして、非選択期間は、奇数フレームと同様でt21の間に書き込まれた状態を保持する。また、選択期間t21中に液晶素子にデータを書き込んでいるときに、それと同時に次に選択される液晶素子は、712で示す走査電極波形が印加されているため、t14の間とは逆極性の消去パルスが印加されて前のメモリー状態を消去してオフ状態としている。このように、液晶素子にデータを書き込むのと同時に、次に選択される液晶素子には消去パルスを印加し、しかも、奇数番目に選択される液晶素子と、偶数番目に選択される液晶素子では、印加する消去パルスと選択パルスとの極性が逆であることによって選択期間を従来の半分にすることができる。また、走査電極に印加する電圧を低くすることができる駆動方法である。
【0227】この実施例では、液晶素子を選択する直前に消去パルスを印加しているが、この消去パルスは、選択期間の直前に出す必要はなく、選択期間よりある時間前に消去パルスを印加してもよい。
【0228】実施例25第72図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図である。721はフレーム信号で、722はクロック信号である。この721、722の信号によってトランスミッションゲート111をスイッチングして、V1 、V2 、−V3 、−V4 の電圧を切り換えて走査電極選択波形725を作っている。また、V5 、−V5 の電圧を切り換えて信号電極オン波形726と信号電極オフ波形727を作っている。これらの波形のタイミングチャートを第73図に示す。第73図725、726、727の信号を第81図の駆動回路に入力して、725は8101、8102と、726は8105と、727は8104と、8103は0ボルトと、それぞれ接続する。
【0229】第81図121は走査電極データで、これをシフトクロック120によって走査電極側シフトレジスター115に伝送して、一走査線ずつ順次選択信号を出す。この選択信号によつてトランスミッションゲート111をスイッチングして8107の走査電極波形を作っている。第81図117は信号電極データで、これをシフトクロック118によって、信号電極側シフトレジスター114に転送し、一走査線分のデータを転送したときに119のラッチ信号によって116のラッチ回路にラッチする。このラッチ出力によって111のトランスミッションゲートをスイッチングして、8104、8105の信号を切り換えて8106の信号電極波形を作っている。8107、8106の波形及び、この合成波形を第74図741、742、743のタイミングチャートに示す。この駆動波形の駆動条件を示すとつぎのようになる。
【0230】
V1 >Vsat1 (V2 +V5 )>Vsat1 (V2 −V5 )<Vth1 (−V3 −V5 )>|Vsat2 ||−V3 +V5 |<|Vth2 | |−V4 |>|Vsat2 ||V1 |=|−V4 | |V2 |=|−V3 |V5 <Vth1 |−V5 |<|Vth2 |t14=t15=t16第81図8111の画素について液晶素子の動作を説明すると、第74図t11の間が奇数フレームの選択期間であり、t14の間が消去パルスで、負の飽和電圧より絶対値の大きな電圧パルスが印加されて液晶素子は前のメモリー状態が消去されてオフ状態となる。そして、t15の間が書き込みパルスで、信号電極波形がオン波形であれば、液晶素子に印加される電圧は正の飽和電圧以上となり、液晶素子はオン状態となり、信号電極波形がオフ波形であれば、液晶素子に印加される電圧は正のしきい電圧以下となり、液晶素子はオフ状態のままとなる。そして、t16の間に走査電極に印加する電圧はゼロボルトとする。また、非選択期間t12は、しきい電圧より絶対値の小さなV5 、−V5 の電圧しか液晶素子に印加されないので、t15の間に書き込まれた状態を保持する。
【0231】次に、偶数フレームの選択期間についてみるとt21の間が選択期間で、t24の間が消去パルスであり、奇数フレームのときとは逆極性の電圧の正の飽和電圧以上の電圧パルスが印加されて液晶素子はオン状態となる。そして、t25の間が書き込みパルスで、信号電極波形がオン波形であれば、液晶素子に印加される電圧は、負のしきい電圧より絶対値が小さくなり、液晶素子は消去されたままのオン状態となり、信号電極波形がオフ波形であれば、液晶素子に印加される電圧は、負の飽和電圧より絶対値の大きな電圧パルスが印加されて液晶素子はオフ状態となる。そして、t26の間に走査電極に印加する電圧はゼロボルトとする。
【0232】また、非選択期間t22の間は、奇数フレームのときと同様で、t25の間に書き込まれた状態を保持する。このような駆動にすることによって非選択期間に印加される電圧パルスのパルス幅が常にt14の幅で一定であり、コントラストむらがなくなる。
【0233】実施例26第75図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図である。751はフレーム信号で、752はクロック信号である。この751、752の信号によってトランスミッションゲート111をスイッチングして、V1 、−V2 、−V3 、−V6 、−V7 、−V8 の電圧を切り換えて走査電極選択波形755を作り、−V3 、−V6 の電圧を切り換えて走査電極非選択波形756を作っている。また、−V2 、−V3 、−V4 、−V5 、−V6 、−V7 の電圧を切り換えて信号電極オン波形757と、信号電極オフ波形758を作っている。これらの波形のタイミングチャートを第76図に示す。第76図755、756、757、758の信号を第81図の駆動回路に入力し、755は8101、8102と、756は8103と、757は8105と、758は8104と、それぞれ接続する。そして、第81図117、118、119、120、121の各信号によって、実施例25と同様の動作で、第77図771の走査電極波形と、772の信号電極波形を作り、液晶素子に印加し、その合成波形を773に示す。この駆動波形の駆動条件を示すとつぎのようになる。
【0234】
V1 =0 |−V8 +V3 |>|Vsat2 |(−V2 +V5 )<Vth1 (−V2 +V7 )>Vsat1 (V1 +V6 )>Vsat1 |−V7 十V2 |>|Vsat2 ||−V7 +V3 |<|Vth2 | (−V2 +V3 )<Vth1 |−V4 +V3 |<|Vth2 | (−V2 +V3 )=(−V5 +V6 )
(−V4 +V3 )=(−V7 +V6 )(−V2 +Vm)=(−Vm+V7 )
t14=t15=t16(V8 −V3 )=(V6 −V1 ) (V6 −V2 )=(V7 −V3 )
第81図8111の画素について液晶素子の動作を説明すると、第77図t11の間が奇数フレームの選択期間であり、t14の間が消去パルスで、負の飽和電圧より絶対値の大きな電圧パルスが印加されて液晶素子は前のメモリー状態が消去されてオフ状態となる。そして、t15の間が書き込みパルスで、信号電極波形がオン波形であれば、液晶素子に印加される電圧は正の飽和電圧以上となり、液晶素子はオン状態となり、信号電極波形がオフ波形であれば、液晶素子に印加される電圧は正のしきい電圧以下となり、液晶素子はオフ状態のままとなる。そして、t16の間に走査電極に印加する電圧は−V3 とする。また、非選択期間t12は、走査電極波形771は、−V3 、−V6 の電圧が交互に印加されて、772との合成波形では、773で示すように常にしきい電圧より絶対値の小さな電圧しか液晶素子に印加されないためt15の間の状態を保持する。次に、偶数フレームについてみると、t21の間が選択期間で、t24の間が消去パルスであり、奇数フレームのときとは逆極性の正の飽和電圧以上の電圧パルスが印加されて液晶素子はオン状態となる。そして、t25の間が書き込みパルスで、信号電極波形がオン波形であれば、液晶素子に印加される電圧は、負のしきい電圧より絶対値が小さくなり、液晶素子は消去されたままのオン状態となり、信号電極波形がオフ波形であれば、液晶素子に印加される電圧は、負の飽和電圧より絶対値の大きな電圧パルスが印加されて、液晶素子はオフ状態となる。そして、t26の間に走査電極に印加する電圧は−V6 とする。
【0235】また、非選択期間t22の間は、奇数フレームと同様にt25の間の状態を保持する。このような駆動の場合、液晶素子に印加される合成波形としては、実施例25と同じであるが、走査電極に印加する電圧を低くすることができる駆動方法である。
【0236】実施例27第83図に交流バイアスによるメモリー状態保持の効果図を示す。Vは、液晶素子に印加する電圧で、Iは、液晶素子の透過状態を示している。液晶素子にV1 の電圧を印加して、I1 の状態にしてその後印加電圧を0ボルトとすると液晶素子は、I1 の状態から次第にメモリーが悪くなつて点線で示すようにI5 までメモリーが落ちてゆく。しかし、交流バイアスを印加することによってメモリー性の悪さを改善してI3 の状態に保持することができる。第78図はこの交流バイアスの効果を利用した本実施例の駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図である。781はフレーム信号で、782は極性切り換え信号である。この781、782の信号によって、トランスミッンョンゲート111をスイッチングして、V2 、V3 、−V4 、−V5 の電圧を切り換えて走査電極選択波形784を作り、783の信号によって、V1 、−V6 の電圧を切り換えて走査電極非選択波形785を作っている。
【0237】また、V7 、−V8 の電圧を切り換えて信号電極オン波形786と、信号電極オフ波形787を作っている。これらの波形のタイミングチャートを第79図に示す。第79図784、785、786、787の信号を第81図の駆動回路に入力し、784は8101、8102と、785は81l03と、786は8105と、787は8104と、それぞれ接続する。第81図121は走査電極データで、これをシフトクロック120によって走査電極側シフトレジスター115に転送して一走査線づつ順次選択信号を出し、この選択信号によってトランスミッションゲート111をスイッチングして8107の走査電極波形を作っている。
【0238】第81図117は信号電極データで、これをシフトクロック118によって信号電極側シフトレジスター114に転送し、一走査線分のデータを転送したときにラッチ信号119によってラッチ回路116にラッチし、このラッチの出力によってトランスミッションゲート111をスイッチングして、8104と8105の信号を切り換えて8106の信号電極波形を作っている。この8107と8106の波形及び、この波形の合成波形のタイミングチャートを第80図801、802、803に示す。この波形の駆動条件を示すとつぎのようになる。
【0239】
|V1 |=|−V6 | |V7 |=|−V8 ||−V5 +V7 |>|Vsat2 | (V3 +V8 )>Vsat1 (V3 −V7 )<Vth1 (V2 −V7 )>Vsat1 |−V4 十V8 |<|Vth2 | (−V4 −V7 )>|Vsat2 |V7 <Vth1 |−V8 |<|Vth2 ||V2 |=|−V5 | |V3 |=|−V4 |t14=t15第81図8111の画素について液晶素子の動作を説明すると、第80図t11の間が奇数フレームの選択期間で、この期間中のt14の間が消去パルスで、負の飽和電圧より絶対値の大きな電圧パルスが印加されて、前のメモリー状態が消去されてオフ状態となる。そして、t15の間が書き込みパルスで、信号電極波形がオン波形であれば、液晶素子に正の飽和電圧以上の電圧パルスが印加されて液晶素子はオン状態となり、信号電極波形がオフ波形であれば、液晶素子に正のしきい電圧以下の電圧パルスが印加されて液晶素子はオフ状態のままとなる。そして、t12の間が非選択期間で高周波交流バイアスを印加する。この高周波交流バイアスの周波数と電圧は、液晶分子が応答できる限度ぎりぎりの周波数と電圧であり、周波数は数KHz〜数100KHz、電圧は数10ボルトである。この非選択期間の交流バイアスによって液晶素子のメモリー性を良くしてデータを保持している。次に、偶数フレームについてみると、t21の間が選択期間で、この期間中のt24の間が消去パルスで、奇数フレームのときとは逆極性の正の飽和電圧以上の電圧パルスが印加されて液晶素子はオン状態となる。そして、t25の間が書き込みパルスで、信号電極波形がオン波形であれば、液晶素子に負のしきい電圧より絶対値の小さな電圧パルスが印加されて液晶素子はオン状態のままとなり、信号電極波形がオフ波形であれば、液晶素子は負の飽和電圧より絶対値の大きな電圧パルスが印加されて液晶素子はオフ状態となる。そして非選択期間は、奇数フレームのときと同様で高周波交流バイアスによってメモリー状態を保持する。なお、上記各実施例では、2値表示における駆動方法について説明したが、階調表示についても同じように駆動することができ、走査電極に印加する波形については、上記実施例と同じでよく、信号電極に印加する電圧を階調データによって変化させて、書き込みパルスの間に液晶素子に印加する電圧をしきい電圧から飽和電圧の間で変化させればよい。また、階調データによって、信号電極波形のパルス幅を変化させることによって階調表示をすることもできる。
【0240】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、強誘電液晶素子特有のパルス幅依存性を充分に考慮し、しかも液晶には、画素の選択内容及び多重度に関係なく、常に平均値が零となるように電圧パルスが印加されるため、直流成分による液晶素子の劣化を防止し、長期にわたり良好な光透過特性を維持できるという効果を有する。更に、用途も表示素子に限定されず、電子シャッター、偏光器等にも応用が可能である。
【0241】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図(a)および(b)は、強誘電性液晶の分子の配列状態を示す図。
【図2】第2図(a)は、本発明の各実施例で用いた液晶素子の一例を示す断面図であり、第2図(b)は、第2図(a)に示す液晶素子の電極構造を示す図。
【図3】第3図は本発明の実施例1に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図4】第4図は第3図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図5】第5図は第4図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図6】第6図は本発明の実施例2に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図7】第7図は第6図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図8】第8図は第7図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図9】第9図は本発明の実施例3に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図10】第10図は第9図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図11】第11図は第10図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図12】第12図は本発明の実施例4に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図13】第13図は第12図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図14】第14図は第13図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図15】第15図は本発明の実施例5に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図16】第16図は第15図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図17】第17図は第16図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図18】第18図は本発明の実施例6に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図19】第19図は第18図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図20】第20図は第19図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図21】第21図は本発明の実施例7に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図22】第22図は第21図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図23】第23図は第22図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図24】第24図は本発明の実施例8に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図25】第25図は第24図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図26】第26図は第25図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図27】第27図は本発明の実施例9に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図28】第28図は第27図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図29】第29図は第28図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図30】第30図は本発明の実施例10に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図31】第31図は第30図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図32】第32図は第31図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図33】第33図は本発明の実施例11に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図34】第34図は第33図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図35】第35図は第34図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図36】第36図は本発明の実施例12に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図37】第37図は第36図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図38】第38図は第37図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図39】第39図は本発明の実施例13に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図40】第40図は第39図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図41】第41図は第40図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図42】第42図は本発明の実施例14に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図43】第43図は第42図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図44】第44図は第43図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図45】第45図は本発明の実施例15に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図46】第46図は第45図に示す回路の各点における信号波形のタイミングチャートおよび駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図47】第47図は本発明の実施例16に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図48】第48図は第47図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図49】第49図は本発明の実施例16に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図50】第50図は本発明の実施例17に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図51】第51図は第50図に示す回路の各点における信号波形のタイミングチャートおよび駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図52】第52図は本発明の実施例18に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図53】第53図は第52図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図54】第54図は本発明の実施例18に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図55】第55図は本発明の実施例19に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図56】第56図は第55図に示す回路の各点における信号波形のタイミングチャートおよび駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図57】第57図は本発明の実施例20に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図58】第58図は第57図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図59】第59図は本発明の実施例20に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図60】第60図は本発明の実施例21に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図61】第61図は第60図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図62】第62図は本発明の実施例21に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図63】第63図は本発明の実施例22に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図64】第64図は第63図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図65】第65図は本発明の実施例22に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図である。
【図66】第66図は本発明の実施例23に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図67】第67図は第66図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図68】第68図は本発明の実施例23に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図69】第69図は本発明の実施例24に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図70】第70図は第69図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図71】第71図は本発明の実施例24に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図72】第72図は本発明の実施例25に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図73】第73図は第72図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図74】第74図は本発明の実施例25に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図である。
【図75】第75図は本発明の実施例26に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図76】第76図は第75図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図77】第77図は本発明の実施例26に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図78】第78図は本発明の実施例27に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図79】第79図は第78図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図80】第80図は本発明の実施例27に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図81】第81図は本発明の各実施例で用いた駆動回路の一例を示す図。
【図82】第82図(a)および(b)は印加電圧の波形による光透過特性の変化を示す図。
【図83】第83図は交流バイアス電圧印加時の駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【符号の説明】
11・12…基板
13…走査電極
14…信号電極
15…配向膜
16…強誘電性液晶
17・18…偏光板
19…シール剤
111…トランスミッションゲート
112…フリップフロップ
113…液晶素子
114…信号電極側ソフトレジスタ
115…走査電極側ソフトレジスタ
116…ラッチ回路
117…信号電極データ
118…信号電極ソフトクロック
119…ラッチ信号
120…走査電極シフトクロック
121…走査電極データ
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶素子の駆動方法、特に強誘電性液晶を用いた電気光学素子のマルチプレックス駆動方法。
【0002】
【従来の技術】特開昭56−107216号公報に記載されているように、カイラルスメクチックC相もしくはカイラルスメクチックH相を示す強誘電性液晶を用いた電気光学素子は、印加電圧に対して非常に高速で応答し、かつメモリ性があるという特徴を有することが知られており、画素数が多くなる大型大容量ディスプレイ、高速電子シャッタ、偏光器などへの応用が期待されている。
【0003】従来、このような強誘電性液晶素子の駆動方法としては、特開昭58−179890号公報に記載されているような、液晶素子の光透過状態を定めるパルス電圧を所定周期で印加し、かつこの所定周期内に印加される電圧の平均値を零にして強誘電性液晶の劣化を防止する駆動方法が知られている。しかし前記特開昭58−179890号公報に開示されている具体的な駆動方法は、スタティック駆動方法であり、大容量素子の駆動に最適なマルテプレックス駆動方法は何ら開示されていない。また、強誘電性液晶素子は、印加される電圧パルスのパルス幅によって、しきい値電圧が変化するという、いわゆるパルス幅依存性を有することが知られているが、前記特開昭58−179890号公報に記載された駆動方法は、このパルス幅依存性について何の考慮もしておらず、実際の駆動は困難である。
【0004】そこで我々は、特願昭和59−119680号(特開昭60−263124号公報参照)および特願昭60−177818号(特開昭61−55630号公報参照)において、前述のパルス幅依存性を考慮した、実用的なマルチプレックス駆動方法を提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】しかしこの駆動方法では、強誘電性液晶に印加される電圧の平均値について格別の考慮がはらわれていないため、印加される電圧の平均値が正もしくは負のどちらかに偏る可能性があり、強誘電性液晶の劣化を促進して液晶素子の寿命を短くするという欠点を有している。
【0006】本発明は、前述のような問題点を解決するもので、その目的とするところは、前述のパルス幅依存性を充分考慮し、しかも強誘電性液晶の劣化を防止するために、強誘電性液晶に印加される電圧の平均値を零にすることができる強誘電性液晶素子に最適なマルチプレックス駆動方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、走査電極群を有する基板と信号電極群を有する基板との間に強誘電性液晶を挟持してなる液晶素子を線順次走査によりマルチプレックス駆動する液晶素子の駆動方法において、前記走査電極群には選択信号と非選択信号を印加し、前記信号電極群には平均電位が前記信号電極群に印加される電圧パルスの中間電位と等しくなる電圧パルスを印加することにより、前記強誘電性液晶には選択期間の前半もしくは非選択期間に前記強誘電性液晶の分子をオンもしくはオフのどちらかの状態するための所定の配列方向に揃える少なくとも1個の飽和値以上の電圧パルスを印加し、前記選択期間の後半もしくは前記非選択期間後の選択期間にオンもしくはオフ状態を選択する電圧パルスを印加することを特徴とする。特開昭58−179890号公報に記載されているように、強誘電性液晶の分子は、電界を印加しない状態では、螺旋軸に対してθの角度を有して螺旋状に配列しているが、第1図(a)に示すように、例えば負の極性の電界−Eを印加すると、強誘電性液晶の分子1は、電界−Eの方向と垂直な平面上に螺旋軸2に対して角度θを有して一定方向に配列する。また、電界の極性を反転させると、第1図(b)に示すように、螺旋軸2を中心として第1図(a)の方向とは対称な方向に角度θを有して配列する。この時、第1図(a)および(b)に示すように、2枚の偏光板を強誘電性液晶の上下に設け、上偏光板の偏光軸の方向が3の方向、下偏光板の偏光軸の方向が4の方向となるように互いに直交させると、強誘電性液晶の分子が第1図の方向に配列している場合は、光の透過量が最も少なくなり、第1図(b)の方向に配列している場合は、光の透過量が最も多くなる。またこのような強誘電性液晶の分子の配列状態は、次に逆極性のしきい値以上の電圧が印加されるまで、そのままで安定している。これが、メモリー性と言われている強誘電性液晶の特色の1つである。
【0008】本発明では、第1図(a)に示すような方向に強誘電性液晶の分子を配列させる電圧の極性を負(−)、第1図(b)に示すような方向に配列させる電圧の極性を正(+)と定義し、分子の配列方向と偏光板の偏光軸の方向とが第1図(a)に示すような関係になっていて、光の透過量が最も少ない状態をオフ状態(または単にオフ)、第1図(b)に示すような関係になっていて、光の透過量が最も多い状態をオン状態(または単にオン)と定義する。
【0009】もちろん、分子の配列方向と偏光軸の方向の関係を第1図(a)と(b)とで逆にすれば、正の電圧を印加すれば、光の透過量が最大となり、負の電圧を一印加すれば最少となるが、これは単に電圧の極性とオン、オフ状態の組み合わせの関係が逆になるだけで、実質的に同じ駆動方法で駆動できるものであり、本発明の範囲に含まれるものである。
【0010】
【実施例】第2図(a)は、以下に述べる本発明の各実施例で用いた液晶素子の一例を示す断面図である。ガラスあるいはプラスチックからなる透明な基板11、12の互いに対向する内側表面には、酸化インジウムあるいは酸化スズからなる複数の透明な走査電極13および信号電極14が形成されている。必要に応じてこれらの電極上に酸化シリコンなどからなる絶縁層を設けた後、ポリイミド、ナイロンなどからなる配向膜15を設け、少なくとも一方の基板の配向膜の表面をラビングして強誘電性液晶16を所定の方向に配向させた。19は、エポキシ接着剤からなるシール剤である。また、一対の基板11および12の電極が形成されていない外側表面には偏光板17および18をそれそれ隣接させた。この時、偏光板17の偏光軸と偏光板18の偏光軸とは互いに略直交させ、かつ強誘電性液晶16に負の極性を有する飽和値以上の電圧を印加した時の強誘電性液晶分子の配列方向とどちらか一方の偏光板の偏光軸の方向とが平行になるように偏光板の偏光軸の方向を設定した。
【0011】基板間のすき間、すなわち液晶層の厚みは、約1.3μm、使用した強誘電性液晶は、P−テトラデシロキシベンジリデン−P’−アミノ−(2−メチル)−ブチル−(α−シアノ)−シンナメート(TDOBAMBCC)である。この液晶は、パルス幅が200μsecの時のしきい値電圧が6.5V、飽和電圧が8Vであり、またパルス幅が400μsecの時のしきい値電圧が4.2V、飽和電圧が6.3Vであった。この値は、極性を逆にしてもほぼ同じであつた。
【0012】走査電極13と信号電極14とは、第2図(b)に示すように、それぞれストライプ状に形成し、かつ互い直交するように形成した。この走査電極と信号電極が、平面的に重なり合った部分が画素となる。なお、第2図(b)は、以下の説明をわかり易くするために、代表的なる種類のオン、オフパタ−ンを示しており、走査電極Xnの本数が6、信号電極Ynの本数が3となっているが、もちろん本発明は、この電極数に限定されるものではなく、必要な画素数に応じて電極数を決定すればよい。第2図(b)において、斜線を付した画素はオフ状態、それ以外の画素はオン状態であることを示している。
【0013】以下にこの液晶素子を駆動する具体的な駆動方法の例を示す。
【0014】実施例1第3図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするために走査電極X1上にある各画素に印加される本実施例における駆動波形と光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレ−ム周期では、全画素のオン、オフ状態を反転させた。
【0015】第3図において、t13は最初のフレ−ム周期、t23は次のフレ−ム周期を示す。又、t11及びt21は選択期間を、t12およびt22は非選択期間をそれぞれ示す。さらにt14、t15、t16、t17、t24、t25、t26およびt27はそれぞれ200μsecのパルス幅を示しており、波高値を示すV1は6V、V2 は3Vである。
【0016】走査電極X1には、選択期間t11(t21)は±V1 を、非選択期間t12(t22)は0Vを印加し、信号電極Y1 、Y2 、Y3 には、画素をオンさせたい場合は波高値V2でパルス幅200μsecのパルスを正、負、正、負の順に印加し、オフさせたい場合は負、正、負、正の順に印加すると、各画素に印加される電圧パルスは、オンの場合は(+V1 −V2 )、(−V1 +V2 )、(−V1 −V2)、(+V1 +V2 )の順序になり、オフの場合は(+V1 +V2 )、(−V1−V2 )、(−V1 +V2 )、(+V1 −V2 )の順序になる。この時、(十V1 −V2 )および(−V1 +V2 )は、液晶のしきい値電圧より小さい値であるため、液晶は応答せず、飽和値以上である(+V1 +V2 )および(−V1 −V2 )に応答する。しかし、強誘電性液晶は高速で応答し、かつメモリー性があるため、見かけ上は選択期間の最後に印加された飽和値以上のパルスの極性に応じてオン又はオフ状態になったように認識される。
【0017】非選択期間には(+V1 一V2 )および(−V1 +V2 )のパルスが印加され、そのパルス幅は最大400μsecとなるが、波高値は液晶の400μsec時のしきい値電圧より小さいため、光透過特性にはほとんど影響を与えない。またオン、オフのコントラスト比は、面素(X1 Y1 )で18:1、(X1 Y2 )で16:1、(X1 Y3 )で18:1であり、オン、オフパターンにかかわらずほぼ一定のコントラスト比が得られた。
【0018】本実施例における駆動方法は、液晶に選択期間t11(t21)内に少なくとも液晶の飽和値以上の波高値、パルス幅を有する正及び負の電圧パルスを印加し、前記正、負の電圧パルスは波高値及びパルス幅が等しく、更に飽和値以上の正又は負の電圧パルスを印加する順序でオン又はオフを選択し、更に正負の電圧パルスは数が等しく又、非選択期間t12(t22)は、しきい値以下の波高値及びパルス幅を有する正・負の電圧パルスを印加しているため、第3図に示す如く、直流成分の平均値は零となり直流成分が全く存在しない。そのため液晶素子の劣化が生じることはなかつた。
【0019】第4図は、第3図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例の回路ブロック図である。111はトランスミッションゲート、112はフリップフロップ、113は液晶素子である。d、h、e、f、g、j、k、lは、トランスミッションゲート111を選択し、走査電極信号Vt及び信号電極信号Vdを作り、液晶素子113に印加される。
【0020】又±V1 及び零V、±V2 は走査電極及び信号電極の電源電圧である。第5図は、第4図に示した回路の走査電極信号Vt及び信号電極信号Vdを作るための各点における信号である。
【0021】実施例2第6図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1および信号電極Y1に印加される駆動波形と、面素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23では、オン、オフ状態を反転させた。
【0022】第6図において、t11〜t27はいずれも第3図と同じことを示しており、波高値V1 、V2 、V3 、V4 、V5 、V6 は、それぞれ8V、6V、5V、3V、2V、0Vである。またVmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は4Vになる。
【0023】実施例1と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低下させるため、走査電極と信号電極の電圧レベルを同じにしたことにある。
【0024】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、200μsecのパルス幅でV1 、V6 、V6 、V1 の順に印加し、非選択期間t12(t22)はV2 、V5 を図に示すような順序に印加する。また信号電極Y1 には、画素をオンさせたい場合は、200msecのパルス幅でV4 、V3 、V1 、V6 の順に印加し、オフさせたい場合は、これと逆の順序で印加する。この時画素(X1 Y1 )に印加される電圧は、オンの場合は(V1 −V4 )、(V6 −V3 )、(V6 −V1 )、(V1 −V6 )の順になりオフの場合は(V1 −V6 )、(V6 −V1 )、(V6−V3 )、(V1 −V4 )の順になり、飽和値以上のパルスで後から印加されるパルスの極性によつてオンまたはオフ状態となる。なお、選択期間に印加される(V1 −V4 )および(V6 −V3 )は、それぞれ+5Vおよび−5Vで、パルス幅400μsec時の液晶のしきい値より大きいが、このパルスはパルス幅が200μsecであるため、200μsec時のしきい値よりは小さく、液晶は応答しない。また、非選択期間には(V5 −V6 )と(V2 −V1 )のパルスが印加され、オン、オフパタ−ンによつてはパルス幅が400μsecになる場合もあるが、波高値が400μsec時の液晶のしきい値より小さいため、光透過特性にはほとんど影響を与えない。
【0025】本実施例による駆動方法は、実施例1と同様の良好なコントラスト比が得られた。
【0026】本実施例における駆動方法は、液晶に選択期間t11(t21)内に少なくとも液晶の飽和値以上の波高値、パルス幅を有する正及び負の電圧パルスを印加し、前記正、負の電圧パルスは波高値及びパルス幅が等しく、更に飽和値以上の正又は負の電圧パルスを印加する順序でオン又はオフを選択し、更に正負の電圧パルスは数が等しく又、非選択期間はt12(t22)は、しきい値以下の波高値及びパルス幅を有する正、負の電圧パルスを印加しているため、オン、オフパターンにかかわらず印加される電圧の平均値が零となり、液晶素子の劣化が生ずることはなかった。
【0027】第7図は、第6図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。
【0028】実施例3第9図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 上の各画素に印加される駆動波形と、光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23では、オン、オフ状態を反転させた。
【0029】第9図において、t11〜t27はいずれも第3図と同じことを示しており、波高値V1 は9V、V2 は4Vである。
【0030】実施例1および2と異なるのは、コントラスト比を向上させるために、非選択期間に印加されるパルスのパルス幅が、液晶のオン、オフ状態を選択するために印加される飽和値以上のパルスよりも大きくならないようにした点にある。
【0031】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、±V1 を、非選択期間には0Vを印加し、信号電極には、画素をオンさせたい場合は0Vを、オフさせたい場合は、最初の400μsecは0V、次の400μsecでは200μsecずつ−V2 、+V2 の順に印加する。
【0032】この時各画素に印加される電圧パルスは、オンの場合は(+V1 )、(−V1)、(−V1 )、(+V1 )の順序になり、オフの場合は(+V1 )、(−V1)、(−V、+V2 )、(+V1 −V2 )の順序になる。(−V1 十V2 )および(+V1 −V2 )は、パルス幅200μsec時の液晶のしきい値より小さい値であるため、液晶は応答せず、t11の選択期間では、オン、オフをくり返してt17で最後に印加される+V1 に応答してオン状態となり、t21の選択期間では、t24でオンとなつた後t25で印加される−V1 に応答してオフ状態となる。また非選択期間には0Vもしくはパルス巾200μsecの+V2 または−V2 が印加されるが、V2 は液晶のしきい値より小さいため、光透過特性にはほとんど影響を与えない。
【0033】本実施例により得られるコントラスト比は、画素(X1 Y1 )で24:1、(X1 Y2 )で22:1、(X1 Y3 )で20:1で、実施例1および2よりもさらに良好なコントラスト比が得られた。
【0034】本実施例における駆動方法は、液晶に選択期間t11(t21)内に少なくとも液晶の飽和値以上の波高値、パルス幅を有する正及び負の電圧パルスを印加し、前記正、負の電圧パルスは波高値及びパルス幅が等しく、更に飽和値以上の正又は負の電圧パルスを印加する順序でオン又はオフを選択し、更に正負の電圧パルスは数が等しく又、非選択期間t12(t22)は、しきい値以下の波高値及びパルス幅を有する正、負の電圧パルスを印加しているため、オン、オフパタ−ンにかかわらず、液晶素子に印加きれる平均値は零となり、液晶素子の劣化は生じなかった。
【0035】第10図は、第9図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例の回路ブロック図である。(a)、(c)、(i)の信号により、トランスミッションゲート111を選択する信号を作り、それらの信号によりトランスミッションゲート111を選択し、走査電極信号Vt及び信号電極信号Vdを作り、液晶素子113に印加される。又、±V1 、±V2 、0Vは走査電極及び信号電極の電源電圧である。
【0036】第11図は、第10図に示した回路の各点における信号である。
【0037】実施例4第12図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 および信号電極Y1 に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0038】第12図において、t11〜t27はいずれも第3図と同じことを示しており、波高値V1 、V2 、V3 、V4 、V5 、V6 は、それぞれ10V、8V、6V、4V、2V、0Vである。またVmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は5Vになる。
【0039】実施例3と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低下させるために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことにある。
【0040】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、V1 とV6 を、V1 、V6 、V6 、V1 の順に、非選択期間t12(t22)は、V2 とV5 をV2 、V5 、V5 、V2 の順に印加し、信号電極Y1 には、画素をオンさせたい場合は、V5 、V2、V2 、V5 の順に、オフさせたい場合はV5 、V2 、V3 、V4 の順に印加する。いずれもパルス幅は200μsecである。この時画素(X1 Y1 )に印加される電圧パルスは、波高値が異なるのみで第9図に示すような実施例3の駆動方法と同様の波形となる。すなわち(V1 −V5 )および(V6 一V2 )はそれぞれ+8Vおよび−8Vで液晶の飽和値以上、(V1 −V4 )および(V6 −V3 )はそれぞれ十6Vおよび−6Vでパルス幅200μsec時のしきい値より小さく、(V2 −V3 )および(V5 −V4 )はそれぞれ十2Vおよび−2Vで液晶のしきい値より充分小さい値となっている。したがって液晶素子は実施例3と同じように応答し、同じように良好なコントラスト比が得られた。
【0041】第13図は〜第12図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例の回路ブロック図である。
【0042】実施例5第15図に第2図のに示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 上の各画素に印加される駆動波形と、光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23では、オン、オフ状態を反転させた。
【0043】第15図において、t13は最初のフレーム周期、t23は次のフレーム周期を示す。またt11およびt21は選択期間、t12およびt22は非選択期間を示し、さらに非選択期間t12およびt22は、第1の非選択期間t16とt26および次の選択期間の直前すなわちフレーム周期の最後に設けられた第2の非選択期間t15とt25の2つの期間に区分けされている。t05は最初のフレーム周期t13の直前の第2の非選択期間を示している。t14は200μsecのパルス幅を示す。
【0044】また、波高値V1は11V、V2 は6V、V3 は2.5Vである。
【0045】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、±V2 第1の非選択期間t16(t26)は0V、第2の非選択期間t05(t15、t25)は、±V1 を印加し、信号電極Y1 、Y2 、Y3 には、画素をオンさせたい場合は、±V3 を正、負の順に、オフさせたい場合は、負、正の順に印加する。この時各画素には、選択期間t11(t21)の直前の第2の非選択期間t05(t15、t25)では、いずれも飽和値以上の(+V1 −V3 )および(−V1 +V3 )もしくは(+V1 +V3 )および(−V1 −V3 )が印加され、選択期間t11(t21)では、オンの場合(−V1 +V3 )および(十V1 −V3 )が、オフの場合(−V2 +V3 )および(+V2 −V3 )が印加され、第1の非選択期間t16(t26)では、オン、オフパターンによつて±V3 が200μsecまたは400μsecのパルス幅で印加される。±V3 は400μsec時のしきい値より小さい値であるため、パルス幅が400μsecになっても、光透過特性にはほとんど影響を与えない。
【0046】本実施例の駆動方法は、選択期間の直前で画素をいったんオンさせてからオフ状態にし、その直後の選択期間内に正の飽和値以上のパルスを印加するか、しきい値以下のパルスを印加するかで、オン状態に反転させるか、オフ状態をそのまま保持するかを選択しているため、実施例1〜4の駆動方法に比べて選択期間の時間を半分にすることができ、より高速の駆動を必要とする場合や走査電極を多くする場合に有効な駆動方法である。
【0047】また、第2の非選択期間t05(t15、t25)に印加されるパルスの波高値は、オン、オフパタ−ンによって異なるが、どちらも飽和値以上であるため、光透過量は変わらない。さらに本実施例では、非選択期間内で液晶の飽和値以上のパルスを印加してオン、オフさせているため、若干コントラスト比が低下するが、走査電極数が多くなるほどコントラスト比の低下率が少なくなり、良好なコントラスト比が得られる。本実施例の場合は、画素(X1 、Y1 )で17:1、(X1Y2 )で16:1、(X1 、Y3 )で17:1のコントラスト比が得られた。
【0048】また本実施例においても液晶に印加される電圧の平均値は零となり、液晶素子の劣化が生ずることはなかつた。
【0049】なお、本実施例では第2の非選択期間をフレーム周期の最後すなわち次の選択期間の直前に設けたが、表示装置に応用する場合は、人間の目が識別できない時間の範囲内であれば、選択期間の直前である必要はない。
【0050】第16図は、第15図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す回路ブロック図であり
【0051】実施例6第18図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 、X2 および信号電極Y1に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0052】第18図において、t05〜t26はいずれも第15図と同じことを示しており、t’05およびt’15は走査電極X2 における第2の非選択期間、t’11およびt’21は同じく選択期間、t’16は第1の非選択期間、t′12は第1および第2の非選択期間を含むフレーム周期内の非選択期間を示している。
【0053】波高値V1 、V2 、V5 、V6 はそれぞれ12V、10V、2V、0Vであり、V3 およびV5 は8V、V4 およびV9 は4Vである。Vmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は6Vである。
【0054】実施例5と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低下させるために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことにある。
【0055】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、V4 およびV3 を、第1の非選択期間t16(t26)は、V2 およびV5 を、第2の非選択期間t05(t15、t25)は、V1 およびV6 を印加する。走査電極X1 を奇数番目の走査電極とすると、偶数番目の走査電極であるX2 には、第18図に示すように、X1 とは位相が逆のパルス列を印加する。これは、走査電極X1 上の画素が選択期間t11(t21)である時、走査電極X2 上の画素は、第2の非選択期間t’05(t’15)でありこの時に画素をオンおよびオフさせるための飽和値以上のパルスを印加するためである。すなわち、本実施例では各走査電極に、交互に逆位相のパルスを印加する必要がある。また、この結果信号電極Y1 に印加されるパルスは、画素をオンさせるパルスとオフさせるパルスを、奇数番目の走査電極上の画素と偶数番目の走査電極上の画素とでは異なる波形にする必要がある。すなわち、奇数番目の走査電極(例えばX1 )上の画素をオンさせる場合は、V1 およびV6 をV1 、V6 の順に、オフさせる場合はV8 およびV9 をV8 、V9 の順に印加し、偶数番目の走査電極(例えばX2 )上の画素をオンさせる場合はV8 およびV9 をV9 、V8 の順に、オフさせる場合は、V1 およびV6 をV6 、V1 の順に印加する。この時、画素(X1 Y1 )に印加されるパルスは実施例5と波高値が異なるのみで、実質的に同一のパルスが印加される。すなわち、オンの場合、選択期間t11では(V4 −V1 )および(V3 −V6 )の負、正の飽和値以上のパルスが印加され、オフの場合、選択期間t21では(V4 −V8 )および(V3 −V9 )の負、正のしきい値より小さい値のパルスが印加される。また、選択期間の直前の第2の選択期間t05(t15、t25)では、(V1 −V4 )および(V6 −V8)もしくは(V1 −V6 )および(V6 −V1 )のいずれも飽和値以上のパルスが正、負の順に印加され、画素はいったんオン状態となった後オフ状態となり、次の選択期間で、オンに反転するか、そのままオフ状態を保持するかを選択される。
【0056】第1の選択期間t16(t26)では、実施例5と同じように、オン、オフパターンによつて、パルス幅が200μsecまたは400μsecの(V5 −V6 )および(V2 −V1 )もしくは(V2 −V8 )および(V5 −V9 )のいずれもパルス幅400μsec時のしきい値より小さい値のパルスが印加される。
【0057】本実施例の駆動方法は、実施例5と同様、より高速の駆動を必要とする場合や走査電極を多くする幅合に有効な駆動方法であり、実施例5と同様のコントラスト比が得られた。
【0058】第19図は、第18図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。
【0059】実施例7第21図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 上の各画素に印加される駆動波形と、光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23では、オン、オフ状態を反転させた。
【0060】第21図において、t05〜t26は、いずれも第15図と同じことを示しており、波高値V1 は8V、V2 は4Vである。
【0061】実施例5および6と異なるのは、コントラスト比を向上させるために、非選択期間に印加されるパルスのパルス幅が、液晶をオン、オフさせるために印加される飽和値以上のパルスよりも大きくならないようにした点にある。
【0062】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、±V1 、第1の非選択期間t16(t26)は0V、第2の非選択期間t05(t15、t25)は、±V1 を選択期間とは逆の順序で印加し、信号電極Y1 、Y2 、Y3 には、画素をオンさせたい場合は0V、オフさせたい場合は±V2 を負、正の順に印加する。この時各画素には、選択期間t11(t21)の直前の第2の非選択期間t05(t15、t25)では、いずれも飽和値以上の±V1 もしくは(+V1 +V2 )および(−V1 −V2 )が印加され、選択期間t11(t21)では、オンの場合±V1 が、オフの場合(−V1 +V2 )および(+V1 −V2 )が印加され、第1の非選択期間t16(t26)では、オン、オフパターンによつて、(+V1 −V2 )および(−V1 十V2 )もしくは0Vが印加される。このように非選択期間には、200μsecより大きいパルス幅のパルスが印加されることはなく、光透過特性に与える影響がより小さくなる。
【0063】本実施例の駆動方法も、実施例5および6と同様、選択期間の直前で画素をいったんオンさせてからオフ状態にし、その直後の選択期間内に正の飽和値以上のパルスを印加するか、しきい値以下のパルスを印加するかで、オン状態に反転させるか、オフ状態をそのまま保持するかを選択しているため、実施例1〜4の駆動方法に比べて選択期間の時間を半分にすることができ、より高速の駆動を必要とする場合や走査電極を多くする場合に有効な駆動方法である。
【0064】本実施例の場合は、画素(X1 Y1 )で22:1、(X1 Y2 )で21:1、(X1 Y3 )で20:1のコントラスト比が得られた。また本実施例においても液晶に印加される電圧の平均値は零となり、液晶素子の劣化が生ずることはなかつた。
【0065】なお、本実施例でも第2の非選択期間をフレーム周期の最後すなわち次の選択期間の直前に設けたが、表示装置に応用する場合は、人間の目が識別できない時間の範囲内であれば、選択期間の直前である必要はない。
【0066】第22図は、第21図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す回路ブロック図であり、
【0067】実施例8第24図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 、X2 および信号電極Y1 に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0068】第24図において、t05〜t26およびt’05〜t’21はいずれも第18図と同じことを示す。
【0069】波高値V1 、V2 、V3 、V4 、V5 、V6 はそれぞれ1OV、9V、7V、3V、1V、0Vである。Vmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は5Vである。
【0070】実施例7と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低下させるために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことにある。
【0071】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、V4 およびV3 を、第1の非選択期間t16(t26)は、V2 およびV5 を、第2の非選択期間t05(t15、t25)は、V1 およびV6 を印加する。走査電極X1 を奇数番目の走査電極とすると、偶数番目の走査電極であるX2 には、第24図に示すように、X1 とは位相が逆のパルス列を印加する。これは、走査電極X1 上の画素が選択期間t11(t21)である時、走査電極X2 上の画素は、第2の非選択期間t’25(t’15)であり、この時に画素をオンおよびオフさせるための飽和値以上のパルスを印加するためである。すなわち、本実施例では各走査電極に、交互に逆位相のパルスを印加する必要がある。またこの結果、信号電極Y1 に印加されるパルスは、画素をオンさせるパルスとオフさせるパルスを、奇数番目の走査電極上の画素と偶数番目の走査電極上の画素とでは異なる波形にする必要がある。すなわち、奇数番目の走査電極(例えばX1 )上の画素をオンさせる場合は、V1 およびV6 をV1、V6 の順に、オフさせる場合はV2 およびV5 をV2 、V5 の順に印加し、偶数番目の走査電極(例えばX2 )上の画素をオンさせる場合はV2 およびV5 をV5 、V2 の順に、オフさせる場合は、V1 およびV6 をV6 、V1 の順に印加する。この時画素(X1 Y1 )に印加されるパルスは、オンの場合、選択期間t11では(V4 −V1 )および(V3 −V6 )の負、正の飽和値以上のパルスが印加され、オフの場合、選択期間t21では(V4 −V2 )および(V3 −V5 )の負、正のしきい値より小さい値のパルスが印加される。また、選択期間の直前の第2の選択期間t05(t15、t25)では、(V1 −V5 )および(V6 −V2 )もしくは(V1 −V6 )および(V6 −V1 )のいずれも飽和値以上のパルスが正、負の順に印加され、画素はいったんオン状態となった後オフ状態となり、次の選択期間で、オンに反転するか、そのままオフ状態を保持するかを選択される。
【0072】第1の選択期間t16(t26)では、実施例7と同じように、オン、オフパターンによつて、0Vもしくは(V5 −V6 )および(V2 −V1 )の液晶のしきい値より充分小さい値の正、負のパルスが印加される。
【0073】実施例の駆動方法も、実施例5〜7と同様、より高速の駆動を必要とする場合や走査電極を多くする場合に有効な駆動方法であり、実施例7と同様のコントラスト比が得られた。
【0074】第25図は、第24図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。
【0075】実施例9第27図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 上の各画素に印加される駆動波形と、光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23は、オン、オフ状態を反転させた。
【0076】第27図において、t13は最初のフレーム周期、t23は次のフレーム周期を示す。またt11およびt21は選択期間、t12およびt22は非選択期間を示し、t14は200μsecのパルス幅を示す。またt15およびt25は次の選択期間の直前すなわちフレーム周期の最後に設けられた平均値補正用のパルスを印加するための期間を示す。この場合は、200μsecの期間である。
【0077】また、波高値V1 は1OV、V2 は8V、V3 およびV4 は2Vである。
【0078】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、+V1 、−V2 の順に、非選択期間t12(t22)は0Vを印加し、フレーム周期の最後の期間t15(t25)は補正用パルスとして−V3 を印加する。信号電極Y1 、Y2 、Y3 には、画素をオンさせたい場合は、±4Vを正、負の順に、オフさせたい場合は、負、正の順に印加する。この時各画素には、オンの場合は、飽和値以上のパルス(+V1 −V4 )が印加された後しきい値より小さいパルス(−V2 +V4 )が印加され、オフの場合はいずれも飽和値以上のパルス(+V1 +V4 )および(−V2 −V4)が正、負の順に印加される。また非選択期間t12(t22)は、オン、オフパターンによって±V4 が200μsecまたは400μsecのパルス幅で印加されるが、フレーム周期の最後の期間t15(t25)のみは、補正用パルス−V3 が加えられるため、(−V3 −V4 )または(−V3 +V4 )すなわち−4Vまたは0Vが印加される。
【0079】本実施例では、選択期間の最初に画素をオンさせる正の極性の飽和値以上の第1のパルスを印加した後、それと逆極性でかつ波高値の異なる第2のパルスを印加し、この第2のパルスをしきい値以下とするか、飽和値以上とするかでオン、オフを選択している。この時、オン、オフにかかわりなく、第1のパルスの波高値と第2のパルスの波高値の差を等しくしておき、この差分をt15(t25)の期間で補正してやることにより、1フレーム周期内に印加される電圧の平均値を零にしている。
【0080】なお、本実施例では補正用パルスのパルス幅、前記第1のパルスおよび第2のパルスのパルス幅を等しくしているが、必ずしもこれに限られるものではなく、|V1 ・t1 |−|V2 ・t2 |=|V3 ・t3 |(ただし、t1 、t2 、t3はそれぞれのパルスのパルス幅を示す)を満足するように、各パルスの波高値およびパルス幅を設定してやれば良い。
【0081】本実施例の駆動方法も、実施例5〜8と同様、実施例1〜4の駆動方法に比べて選択期間の時間を半分にすることができるため、より高速の駆動を必要とする場合や走査電極を多くする場合に有効な駆動方法である。また、実施例5〜8の駆動方法のように、非選択期間に画素がオン、オフすることがないため、ごく短時間での光の透過量の変化でも品質上問題となるような液晶シャッターなどに応用する場合、有効な駆動方法である。
【0082】本実施例の場合は、画素(X1 Y1 )で20:1、(X1 Y2 )で17:1、(X1 Y3 )で20:1のコントラスト比が得られた。また本実施例では、補正用パルスをフレーム周期の最後すなわち次の選択期間の直前に印加するようにしているが、この補正用パルスは、光透過特性にほとんど影響を与えないので、非選択期間内であれば、任意のタイミンクで印加しても良い。
【0083】第28図は、第27図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。走査電極には、走査電極データ信号121を、走査電極シフトクロック信号120でシフトレジスタ115に転送し、選択期間にdの波形、非選択期間に0V、選択期間直前の直流成分を補正する電圧を切り換えて、走査電極波形を出力する。一方信号電極には、信号電極データ信号117を信号電極シフトクロック118でシフトレジスタ114に転送して、一走査線分のデータを転送したらラッチ信号119でラッチ116し、その出力でトランスミッションゲート111を切り換えて、オン又はオフ(b又はcの波形)を出力する。V1 、−V2 、−V3 、±V4 は、走査電極及び信号電極の駆動電圧である。
【0084】第29図は、第28図に示した回路の信号波形を示したタイミングチャート図である。
【0085】実施例10第30図に、第2図のに示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1および信号電極Y1 に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0086】第30図において、t11〜t25はいずれも第27図と同じことを示す。
【0087】波高値V1 、V2 、V3 、V4 、V5 、V6 、V7 は、それぞれ12V、10V、8V、6V、4V、2V、0Vである。Vmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は5Vである。
【0088】実施例9と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低下させるために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことにある。
【0089】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、V1 、V7 の順に、非選択期間t12(t22)は、V5 、V3 の順に印加し、t15(t25)の期間は、補正用パルスとしてV4 を印加する。信号電極Y1 には、画素をオンさせたい場合は、V5、V4 の順に、オフさせたい場合は、V7 、V2 の順に印加する。この時各画素には、オンの場合は、飽和値以上のパルス(V1 −V5 )が印加された後、しきい値より小さいパルス(V7 −V4 )が印加され、オフの場合はいずれも飽和値以上のパルス(V1 −V7 )および(V7 −V2 )が図のような順に印加される。また非選択期間t12(t22)は、オン、オフパ夕ーンによって(V6 −V7 )および(V3 −V2 )が200μsecまたは400μsecのパルス幅で印加されるが、フレーム周期の最後の期間t15(t25)のみは、補正用パルスV4 が加えられるため、(V4 −V2 )または(V4 −V4 )すなわち−4Vまたは0Vが印加される。
【0090】本実施例も、実施例9と同様、選択期間に印加される正および負のパルスの波高値の差分をt15(t25)の期間で補正し、1フレーム周期内に印加される電圧の平均値を零にしている。
【0091】本実施例の駆動方法も、実施例9と同様、液晶シャッターなどに応用する場合、有効な駆動方法であり、実施例9と同様のコントラスト比が得られた。
【0092】第31図は、第30図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。
【0093】実施例11第33図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 上の各画素に印加される駆動波形と、光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23では、オン、オフ状態を反転させた。
【0094】第33図において、t11〜t25は、いずれも第27図と同じことを示しており、波高値V1 は8V、V2 は6V、V3 およびV4 は2Vである。
【0095】実施例9および10と異なるのは、コントラスト比を向上させるために、非選択期間に印加されるパルスのパルス幅が、液晶をオン、オフさせるために印加される飽和値以上のパルスよりも大きくならないようにした点にある。
【0096】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、十V1 、−V2 の順に、非選択期間t12(t21)は0Vを印加し、t15(t25)の期間は補正用パルスとして−V3 を印加する。信号電極Y1 、Y2 、Y3 には、画素をオンさせたい場合は0V、オフさせたい場合は±V4 を負、正の順に印加する。この時各画素には、オンの場合は、飽和値以上のパルス+V1 が印加された後、しきい値より小さいパルス−V2 が印加され、オフの場合はいずれも飽和値以上のパルスが(+V1 +V4 )、(−V2 −V4 )の順に印加される。また非選択期間t12(t22)は、オン、オフパターンによって、パルス幅200μsecのパルス±V4 もしくは0Vが印加されるが、フレーム周期の最後の期間t15(t25)のみは、補正用パルス−V3 が加えられるため、(−V3 −V4 )もしくは−V3 が印加される。本実施例でも、選択期間の最初に画素をオンさせる正の極性の飽和値以上の第1のパルスを印加した後、それと逆極性でかつ波高値の異なる第2のパルスを印加し、この第2のパルスをしきい値以下とするか、飽和値以上とするかでオン、オフを選択している。この時、オン、オフにかかわりなく、第1のパルスの波高値と第2のパルスの波高値の差を等しくしておき、この差分をt15(t25)の期間で補正してやることにより、1フレーム周期内に印加される電圧の平均値を零にしている。
【0097】なお、本実施例では補正用パルスのパルス幅、前記第1のパルスおよび第2のパルスのパルス幅を等しくしているが、必ずしもこれに限られるものではなく、|V1 ・t1 |−|V2 ・t2 |=|V3 ・t3 |(ただし、t1 、t2 、t3はそれぞれのパルスのパルス幅を示す。)を満足するように、各パルスの波高値およびパルス幅を設定してやれば良い。
【0098】本実施例の駆動方法も、実施例9および10と同様実施例1〜4の駆動方法に比べて選択期間の時間を半分にすることができるため、より高速の駆動を必要とする場合や走査電極を多くする場合に有効な駆動方法である。また実施例5〜8の駆動方法のように、非選択期間に画素がオン、オフすることがないため、ごく短時間での光の透過量の変化でも品質上問題となるような液晶シャッターなどに応用する場合、有効な駆動方法である。
【0099】本実施例の場合は、画素(X1 Y1 )で24:1、(X1 Y2 )で23:1、(X1 Y3 )で23:1のコントラスト比が得られた。また本実施例の場合も、補正用パルスを印加するタイミングは、選択期間の直前に限定されない。
【0100】第34図は、第33図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。走査電極には、走査電極データ信号121を、走査電極シフトクロック信号120でシフトレジスタ115に転送し、選択期間にdの波形、非選択期間に0V、選択期間直前の直流成分を補正する電圧を切り換えて、走査電極波形を出力する。一方信号電極には、信号電極データ信号117を信号電極シフトクロック118でシフトレジスタ114に転送して、一走査線分のデータを転送したらラッチ信号119でラッチ116し、その出力でトランスミッションゲート111を切り換えて、オン又はオフ(b又はcの波形)を出力する。V1 、−V2 、−V3 、士V4 は、走査電極及び信号電極の駆動電圧である。
【0101】第35図は、第34図に示した回路の信号波形を示したタイミングチャート図である。
【0102】実施例12第36図は、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 および信号電極Y1 に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0103】第36図において、t11〜t25はいずれも第27図と同じことを示す。
【0104】波高値V1 、V2 、V3 、V4 、V6 、V7 は、それぞれ10V、8V、6V、4V、2V、0Vである。Vmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は4Vである。
【0105】実施例11と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低下させるために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことにある。
【0106】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は、V1 、V7 の順に、非選択期間t12(t22)は、V6 、V3 の順に印加し、t15(t25)の期間は、補正用パルスとしてV4 を印加する。信号電極Y1 には、画素をオンさせたい場合はV6 、V3 の順に、オフさせたい場合は、V7 、V1 の順に印加する。この時各画素には、オンの場合は、飽和値以上のパルス(V1 −V6 )が印加された後、しきい値より小さいパルス(V7 −V3 )が印加され、オフの場合はいずれも飽和値以上のパルス(V1 −V7 )および(V7 −V2 )が、図のような順に印加される。また非選択期間t12(t22)は、オン、オフパターンによって、(V6 −V7)および(V3 −V2 )もしくは0Vが印加されるが、フレーム周期の最後の期間t15(t25)のみは、補正用パルスV3 が加えられるため、(V4 −V2 )もしくは(V4 −V3 )が印加される。
【0107】本実施例も、実施例11と同様、選択期間に印加される正および負のパルスの波高値の差分をt15(t25)の期間で補正し、1フレーム周期内に印加される電圧の平均値を零にしている。
【0108】本実施例の駆動方法も、実施例11と同様、液晶シャッターなどに応用する場合、有効な駆動方法であり、実施例11と同様のコントラスト比が得られた。
【0109】第37図は、第36図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示すブロック図である。
【0110】実施例13第39図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 および信号電極Y1 に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0111】第39図において、t13は最初のフレーム周期、t23は次のフレーム周期を示し、t11およびt21は選択期間、t12およびt22は非選択期間を示す。また、t14は200μsecのパルス幅を示す。
【0112】波高値V1 は30V、V2 は12Vである。
【0113】本実施例の特徴は、非選択期間に周波数10KHzという、高周波の交流パルスを印加して液晶素子のメモリ性を改善することにより、コントラスト比を向上させたことにある。
【0114】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は0Vを、非選択期間t12(t22)は、±V1 の交流パルスを印加し、信号電極Y1 には±V2 を、画素をオンさせたい場合は正、負の順に、オフさせたい楊合は負、正の順に印加する。
【0115】この時、画素(X1 Y1 )に印加されるパルスは、オンの場合は±V2 が負、正の順に、オフの場合は正、負の順に印加され、非選択期間には、正の波高値が(+V1 +V2 )で負の波高値が(−V1 +V2 )の交流パルスと正の波高値が(+V1 −V2 )で負の波高値が(−V1 十V2 )の交流パルスとがt14の期間ずつ交互に印加される。選択期間に印加されるパルスは、いずれも飽和値以上であるが、最後に印加されたパルスの極性によってオン、オフが選択される。また非選択期間に印加される交流パルスは、波高値は非常に大きい値となっているが、パルス幅が50μsecと非常に小さいため、液晶素子は応答せず、逆にメモりー性が改善されて、コントラスト比が向上する。本実施例では40:1というきわめてすぐれたコントラスト比が得られた。
【0116】また、液晶素子に印加される電圧パルスの平均値は零であり、液晶素子の劣化を生ずることもなかった。
【0117】第40図は、第39図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例の回路ブロック図である。
【0118】実施例14第42図に、第2図(b)に示すようなオン、オフ状態にするための走査電極X1 および信号電極Y1 に印加される駆動波形と、画素(X1 Y1 )の光透過特性を示す。なお、光透過特性の変化をわかりやすくするために、次のフレーム周期t23ではオン、オフ状態を反転させた。
【0119】第42図において、t13は最初のフレーム周期、t23は次のフレーム周期を示し、t11およびt21は選択期間、t12およびt22は非選択期間を示す。
【0120】また、t14は200μsecのパルス幅を示す。
【0121】実施例13と異なるのは、選択期間t11(t21)に印加される正、負のパルスの波高値の差分を、非選択期間t12(t22)に印加される高周波の交流パルスで補正する点にあり、そのため、この交流パルスの波高値V1 およびV4 は、|V3 ・t14|−|V2 ・t14|=1/2(|V1 ・t12|−|V4 ・t12|)を満足するように設定される。本実施例の場合、t12=10t14となるので、波高値V1 、V2 、V3 、V4 をそれぞれ30V、10V、20V、28Vとした。また、V5 は5Vである。
【0122】走査電極X1 には、選択期間t11(t21)は−V3 およびV2 が負、正の順に、非選択期間t12(t22)は、正の波高値がV1 、負の波高値がV4 で周波数10KHzの交流パルスを印加し、信号電極Y1 には、±V5 を、画素をオンさせたい場合は正、負の順にオフさせたい場合は負、正の順に印加する。この時、画素(X1 Y1 )には、オンの場合は飽和値以上の(−V3 −V5 )および(十V2 十V5 )が印加され、オフの場合は飽和値以上の負のパルス(−V3 +V5 )およびしきい値より小さい(+V2 −V5 )が印加される。また、非選択期間には、正の波高値が(+V1 +V5 )で負の波高値が(−V4 +V5 )の交流パルスと正の波高値が(+V1 −V5 )で負の波高値が(−V4 −V5 )の交流パルスとがt14の期間ずつ交互に印加される。選択期間に印加される正および負のパルスの波高値の差は、オン、オフにかかわらず(V3 −V2 )であり、その差分は非選択期間に印加される交流パルスによって補正され、液晶素子に印加される電圧パルスの平均値は零となる。本実施例においても、液晶素子のメモリー性が改善され、実施例13と同様のすぐれたコントラスト比が得られた。
【0123】第43図は、第42図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例の回路ブロック図である。
【0124】第44図は、第43図に示した回路の各点における信号である。
【0125】実施例15第45図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。451はフレーム信号、452は極性切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチングしてV1 、V2 、−V3 、−V4 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形453を作る。また、V5 、−V6 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形454およびオフ波形455を作る。第46図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。
【0126】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形453を8101および8102に、非選択波形として0Vを8103に、オン波形454を8105に、オフ波形455を8104にそれぞれ印加する。
【0127】第81図において、121は走査電極データで、これを走査電極シフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形454およびオフ波形455を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0128】第46図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。t13、t23、t33およびt43は、それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t21、t22、t32およびt42はそれぞれ非選択期間を示す。またt14、t15、t24、t25、t34、t35、t44およびt45は、パルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも200μsecである。
【0129】また、波高値V1 およびV4 は10V、V2 およびV3 は8V、V5 およびV6 は2Vである。
【0130】走査電極X1 には、第46図461に示すように、選択期間t11(t21、t31、t41)は、1フレームごとに交互に、第1の選択波形として+V2 および−V4 が負、正の順に、また第2の選択波形として+V1 および−V3 が正、負の順に印加され、非選択期間t12(t22、t32、t42)は、0Vが印加される。また、信号電極Y1 には、第46図462に示すように、画素をオンさせたい場合は十V5 および−V6 が正、負の順に、オフさせたい場合は+V5 および−V6 が負、正の順に印加される。
【0131】この時画素(X1 Y1 )に印加される合成波形は、第46図463に示すように、走査電極X1 に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(−V4 −V5 )および(V2 +V6 )が負、正の順に、オフの場合は(−V4 +V6 )および(V2 −V5 )が負、正の順に印加され、第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(V1 −V5 )および(−V3 +V6 )が正、負の順に、オフの場合は(V1 +V6 )および(−V3 −V5 )が正、負の順に印加される。また非選択期間は−V5 および+V6 が印加される。
【0132】本実施例の駆動方法は、選択期間の最初に正または負の飽和値以上のパルスを印加してオンまたはオフ状態とし、次に印加するパルスを逆極性の飽和値以上のパルスとしてオン、オフ状態を反転させるか、逆極性のしきい値より小さいパルスとしてそのまま保持させるかでオン、オフを選択している。また、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの波高値の差が(V4 −V2 )すなわち−2Vとなっているが、第2の選択波形が印加されたフレームでは、(V1 −V3 )すなわち十2Vとなっていて、互いに相殺される。すなわち、本実施例では2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値を零にして液晶素子の劣化を防止しているものである。なお、画素8111の光透過特性を第46図464に示す。
【0133】実施例16第47図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。471はフレーム信号、472は極性切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチングしてV1 、−V2 、−V7 、−V8 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形473を作り、−V3 、−V6 の電圧を切り換えて走査電極の非選択波形474を作る。また、−V2 、−V4 、−V5 、−V7 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形475およびオフ波形476を作る。第48図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。
【0134】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形473を8101および8102に、非選択波形474を8103に、オン波形475を8105に、オフ波形476を8104にそれぞれ印加する。
【0135】第81図において、121は走査電極データでこれを走査電極シフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形475およびオフ波形476を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0136】第49図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。t13、t23、t33およびt43は、それそれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t12、t22、t32およびt42はそれぞれ非選択期間を示す。またt14、t15、t24、t25、t34、t35、t44およびt45は、パルス幅を示し、本実施例の場合はいすれも200μsecである。
【0137】波高値V1 は0V、V2 は2V、V3 は4V、V4 は6V、V5 は8V、V6は10V、V7 は12V、V8 は14Vである。また、−Vmは信号電極に印加する電圧パルスの中間電位を示し、この場合は−7Vである。
【0138】実施例15と異なるのは、走査電極に印加する電圧を低くするために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことと、信号電極のオンおよびオフ波形を走査電極に印加する選択波形によって変えた点である。
【0139】すなわち走査電極8109には、第49図491に示すように、選択期間t11(t21、t31、t41)は、1フレームごとに交互に、第1の選択波形として−V8 および−V2 が−V8 、−V2 の順に、また第2の選択波形としてV1 および−V7 がV1 、−V7 の順に印加され、非選択期間t12(t22、t32、t42)は、第1の選択波形が印加されたフレームでは−V3 および−V6 が−V3 、−V6 の順に、また第2の選択波形が印加されたフレームでは−V6 、−V3 の順に印加される。
【0140】信号電極8110には、第49図492に示すように、第1の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として−V2 および−V7 が−V2 、−V7 の順に印加され、オフ波形として−V4 および−V5 が−V4 、−V5 の順に印加される。また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として−V4 および−V5 が−V5 、−V4 の順に印加され、オフ波形として−V2 および−V7 が−V7 、−V2 の順に印加される。
【0141】この時画素8111に印加される合成波形は、第49図493に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(−V8 +V2 )および(−V2 +V7 )が負、正の順に、オフの場合は(−V8 +V4 )および(−V2 +V5 )が負、正の順に印加され、第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(V1 十V5 )および(−V7 十V4 )が正、負の順に、オフの場合は(V1 +V7 )および(−V8 +V2 )が正・負の順に印加される。また非選択期間は、(−V6 +V7 )および(−V3 +V2 )もしくは(−V3 十V4 )および(−V6 十V5 )が印加される。
【0142】本実施例の駆動方法も、選択期間の最初に正または負の飽和値以上のパルスを印加してオンまたはオフ状態とし、次に印加するパルスを逆極性の飽和値以上のパルスとしてオン、オフ状態を反転させるか、逆極性のしきい値より小さいパルスとしてそのまま保持させるかでオン、オフを選択している。また、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの波高値の差が(V7 −V8 )もしくは(V4 +V5 −V2 −V8 )すなわち−2Vとなっているが、第2の選択波形が印加されたフレームでは、V2 もしくは(V4 +V5 −V7)すなわち十2Vとなつていて、互いに相殺される。すなわち、本実施例でも2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値を零にして液晶素子の劣化を防止しているものである。なお、画素8111の光透過特性を第49図494に示す。
【0143】実施例17第50図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。
【0144】501はフレーム信号、502は極性切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッンョンゲート111をスイッチングしてV1 、V2 、−V3 、−V4 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形503を作る。また、V5 、−V6 、0Vの電圧を切り換えて信号電極のオン波形504およびオフ波形505を作る。第51図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。
【0145】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形503を8101および8102に、非選択波形として0Vを8103に、オン波形504を8105に、オフ波形505を8104にそれぞれ印加する。
【0146】第81図において、121は走査電極データで、これを走査電極シフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイツチングし、オン波形504およびオフ波形505を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0147】第51図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。t13、t23、t33およびt43それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t12、t22、t32およびt42はそれぞれ非選択期間を示す。また、t14、t15、t24、t25、t34、t35、t44およびt45は、パルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも200μsecである。
【0148】波高値V1 およびV4 は8V、V2 およびV3 は6V、V5 およびV6 は2Vである。
【0149】走査電極8109には、第51図511に示すように、選択期間t11(t21、t31、t41)は、1フレームごとに交互に、第1の選択波形としてV2 および−V4 が負、正の順に、また第2の選択波形としてV1 および−V3 が正、負の順に印加され、非選択期間t12(t22、t32、t42)は、0Vが印加される。
【0150】信号電極8110には、第51図512に示すように、第1の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形としてV5 および−V6 が正、負の順に印加され、オフ波形として0Vが印加される。
【0151】また、第2の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として0Vが印加され、オフ波形としてV5 および−V6 が負、正の順に印加される。
【0152】この時画素8111に印加される合成波形は、第51図513に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(−V4 −V5 )および(V2 +V6 )が負、正の順に、オフの場合は−V4 およびV2 が負、正の順に印加され、第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合はV1 および−V3 が正、負の順に、オフの場合は(V1 +V6 )および(−V3 −V5 )が正、負の順に印加される。
【0153】また非選択期間は、0VもしくはV5 および−V6 が印加される。
【0154】本実施例の駆動方法も、選択期間の最初に正または負の飽和値以上のパルスを印加してオンまたはオフ状態とし、次に印加するパルスを逆極性の飽和値以上のパルスとしてオン、オフ状態を反転させるか、逆極性のしきい値より小さいパルスとしてそのまま保持させるかでオン、オフを選択している。また、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの波高値の差が(V2 −V4 )すなわち−2Vとなつているが、第2の選択波形が印加されたフレームでは、(V1 −V3 )すなわち+2Vとなっていて、互いに相殺される。すなわち、本実施例でも2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値を零にして液晶素子の劣化を防止しているものである。なお、画素8111の光透過特性を第51図514に示す。
【0155】実施例18第52図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。521はフレーム信号、522は極性切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチンクしてV1 、−V2 、−V7 、−V8 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形523を作り、−V3 、−V6 の電圧を切り換えて走査電極の非選択波形524を作る。また、−V2 、−V3 、−V6 、−V7 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形525およびオフ波形526を作る。第53図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。
【0156】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形523を8101および8102に、非選択波形524を8103に、オン波形525を8105に、オフ波形526を8104にそれぞれ印加する。
【0157】第81図において、121は走査電極データでこれを走査電極シフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極テータで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形525およびオフ波形526を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0158】第54図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と、画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。
【0159】t13、t23、t33およびt43は、それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t12、t22、t33およびt42はそれぞれ非選択期間を示す。またt14、t15、t24、t25、t34、t35、t44およびt45は、パルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも200μsecである。
【0160】波高値V1 は0V、V2 は2V、V3 は4V、V6 は8V、V7 は10V、V8 は12Vである。また、Vmは信号電極に印加される電圧パルスの中間電位を示し、この場合は6Vである。
【0161】実施例17と異なるのは、走査電極に印加する電圧を低くするために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことにある。
【0162】走査電極8109には、第54図541に示すように、選択期間t11(t21、t31、t41)は、1フレームごとに交互に、第1の選択波形として−V8 および−V2 が−V8 、−V2 の順に、また第2の選択波形としてV1 および−V7 がV1 、−V7 の順に印加され、非選択期間t12(t22、t32、t42)は、第1の選択波形が印加されたフレームでは−V3 および−V6 が−V3 、−V6 の順に印加され、また第2の選択波形が印加されたフレームでは−V6 、−V3 の順に印加される。
【0163】信号電極8110には、第54図542に示すように、第1の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として−V2 および−V7 が−V2 、−V7 の順に、オフ波形として−V3 および−V6 が−V3 、−V6 の順に印加され、また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として−V3 および−V6が−V6 、−V3 の順に、オフ波形として−V2 および−V7 が−V7 、−V2の順に印加される。
【0164】この時画素8111に印加される合成波形は、第54図543に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(−V8 +V2 )および(−V2 +V7 )が負、正の順に、オフの場合は、(−V8 +V3)および(−V2 +V6 )が負、正の順に印加され、第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合は(−V2 +V7 )および(−V7 +V3 )が正、負の順に、オフの場合は(V1 +V7 )および(−V7 +V2 )が正、負の順に印加される。
【0165】また非選択期間は、0Vもしくは(−V6 +V7 )および(−V3 +V2 )が印加される。
【0166】本実施例の駆動方法も、選択期間の最初に正または負の飽和値以上のパルスを印加してオンまたはオフ状態とし、次に印加するパルスを逆極性の飽和値以上のパルスとしてオン、オフ状態を反転させるか、逆極性のしきい値より小さいパルスとしてそのまま保持させるかでオン、オフを選択している。また、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの波高値の差が(V7 −V8 )もしくは(V6 −V7 )すなわち−2Vとなっているが、第2の選択波形が印加されたフレームでは、(V3 −V2 )もしくはV2 すなわち+2Vとなっていて、互いに相殺される。すなわち、本実施例でも2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値を零にして液晶素子の劣化を防止しているものである。なお、画素8111の光透過特性を第54図544に示す。
【0167】実施例19第55図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。551はフレーム信号、552は極性切り換え信号、553は書き込みパルス切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチングしてV1 、V2 、V3 、−V4、−V5 、−V6 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形554を作る。また、V7 、−V8 、0Vの電圧を切り換えて信号電極のオン波形555およびオフ波形556を作る。第56図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形554を8101および8102に、非選択波形としてOVを8103に、オン波形555を8105に、オフ波形556を8104にそれぞれ印加する。
【0168】第81図において、121は走査電極データで、これを走査電極シフトクロック120によつて走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形555およびオフ波形556を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0169】第56図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と、画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。
【0170】t13、t23、t33、およびt43は、それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t12、t22、t32およびt42はそれそれ非選択期間を示す。またt14、t15、t24、t25、t34、t35、t44およびt45は、パルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも200μsecである。また、書き込みパルス切り換え信号のパルス幅(以下t/4と言う)は、前記パルス幅の1/4すなわち50μsecである。
【0171】波高値V1 およびV4 は9V、V2 およびV5 は6V、V3 およびV6 は11V、V7 およびV8 は3Vである。
【0172】本実施例では、駆動波形に書き込みパルス切り換え信号を重畳させて、非選択期間に画素に印加されるパルスのパルス幅を小さくし、光透過特性への影響をより小さくしている。
【0173】走査電極8109には、第56図561に示すように、選択期間t11(t21、t31、t41)は、1フレームごとに交互に、第1の選択波形として−V6 およびV2 に書き込みパルス切り換え信号が重畳されたパルスが負、正の順に、第2の選択波形としてV1 および−V5 に書き込みパルス切り換え信号が重畳されたパルスが正、負の順に印加され、非選択期間t12(t22、t32、t42)は0Vが印加される。
【0174】信号電極8110には、第56図562に示すように、オン波形として、まずt/4のパルス幅で0VおよびV7 が交互に2個ずつ印加された後、同じパルス幅で−V8 および0Vが交互に2個ずつ印加される。またオフ波形としてオン波形と逆位相のパルスが印加される。
【0175】この時画素8111に印加される合成波形は、第56図563に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合−V6 に一部−V7 が重畳されたパルスおよび(V2 十V8 )=V1 が印加され、オフの場合−V6 に一部V8 が重畳されたパルスおよび(V1 −V7 )=V2 が印加される。また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合V3 に一部−V7が重畳されたパルスおよび(−V4 十V8 )=−V5 が印加され、オフの場合はV3 に一部V8 が重畳されたパルスおよび(−V5 −V7 )=−V4 が印加される。
【0176】非選択期間は、0V、V7 および−V8 がt/4のパルス幅で印加される。
【0177】本実施例では、選択期間の最初に印加される、V3 または−V6 に一部±V7もしくは±V8 が重畳されたパルスは、いずれも飽和値以上であるため、画素はいったんオンまたはオフ状態となり、次に印加される最初のパルスと逆極性のパルスが飽和値以上かしきい値より小さいかで、オン、オフ状態を反転させるか、そのまま保持させるかでオン、オフを選択している。また、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの差が(−V6 +V7 /2−V1 )=(V6 −V8 /2−V2 )、すなわち−3.5Vとなっているが、第2の選択波形が印加されたフレームでは、(V3 −V7 /2−V5 )=(V3 +V8 /2−V4 )すなわち十3.5Vとなって互いに相殺される。すなわち本実施例でも、2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値を零にして液晶素子の劣化を防止しているものである。なお、画素8111の光透過特性を第56図564に示す。
【0178】また本実施例では、駆動波形に重畳するパルスのパルス幅をt/4としたが、本発明はこれに限られるものではなく、よりパルス幅を小さくして重畳パルスの個数を増やしても良い。
【0179】実施例20第57図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。571はフレーム信号、572は極性切り換え信号、573は書き込みパルス切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチングしてV1 、−V2 、−V3 、−V6 、−V7 、−V8 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形574を作り、−V3 、−V6 の電圧を切り換えて走査電極の非選択波形575を作る。また、−V2 、−V3 、−V4 、−V6 、−V7 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形576およびオフ波形577を作る。第58図に、これらの信号波形のタイミングチヤートを示す。
【0180】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形574を8101および8102に、非選択波形575を8103に、オン波形576を8105に、オフ波形577を8104にそれぞれ印加する。
【0181】第81図において121は走査電極データで、これを走査電極ソフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8607に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形576およびオフ波形577を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0182】第59図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。t13、t23、t33およびt43は、それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t12、t22、t32およびt42は、それぞれ非選択期間を示す。またt14、t15、t24、t25、t34、t44およびt45は、パルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも200μsecである。また、書き込みパルス切り換え信号のパルス幅(以下t/4と言う)は、前記パルス幅の1/4すなわち50μsecである。
【0183】波高値V1 は0V、V2 は2V、V3 は4V、V4 は6V、V5 は8V、V6は10V、V7 は12V、V8 は14Vであり、Vmは信号電極に印加されるパルスの中間電位を示し、この場合は7Vである。
【0184】実施例19と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低くするために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことと、オン、オフ波形を選択波形に応じて変えたことである。
【0185】走査電極8109には、第59図591に示すように、選択期間t11、(t21、t31、t41)は、1フレームごとに交互に、第1の選択波形として−V8 および−V3 に書き込みパルス切り換え信号が重畳されたパルスが、第2の選択波形としてV1 および−V7 に書き込みパルス切り換え信号が重畳きれたパルスが印加され、非選択期間t12(t22、t32、t42)は−V3 および−V6 が、−V3、−V6 の順もしくは−V6 、−V3 の順に印加される。
【0186】信号電極8110には、第59図592に示すように、第1の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として−V2 および−V3 がt/4のパルス幅で交互に2個ずつ印加された後、同じパルス幅で、−V7 および−V6 が2個ずつ交互に印加され、オフ波形としては同じパルス幅で−V3 および−V4 が交互に2個ずつ印加された後、−V6 および−V5 が同じパルス幅で交互に2個ずつ印加される。
【0187】また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形として前記のオフ波形と逆位相のパルスが印加され、オフ波形として前記のオン波形と逆位相のパルスが印加される。
【0188】この時画素8111に印加される合成波形は、第59図593に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合(−V8 +V3 )に一部(V2 −V3 )が重畳されたパルスおよび(−V3 +V7 )=(−V2 +V6 )が印加され、オフの場合(−V8 +V4 )に一部(V3 −V4 )が重畳されたパルスおよび(−V3 +V6 )=(−V2 +V5 )が印加される。また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合(V1 +V6 )に一部(V5 −V6 )が重畳されたパルスおよび(−V6 十V3 )=(−V7 十V4 )が印加され、オフの場合(V1 十V7 )に一部(V6 −V7 )が重畳されたパルスおよび(−V6 +V2 )=(−V7 +V3 )が印加される。
【0189】非選択期聞は、OV、(−V6 +V7 )および(−V3 +V2 )がt/4のパルス幅で印加される。
【0190】本実施例の駆動方法により画素に印加される合成波形は、基本的には実施例19と同一であり、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの差が(V8 −V2 /2−V3 /2−V6 +V2 )=(V8 −V3 /2−V4 /2−V5 +V2 )すなわち−3V、第2の選択波形が印加されたフレームでは、(V6 /2十V7 /2+V3 −V7 )=(V5 /2+V6 /2+V4 −V7 )すなわち十3Vで互いに相殺され、同じように2フレームごとに平均値が零となる。画素8111の光透過特性を第59図594に示す。
【0191】なお、これまで説明した実施例では、強誘電性液晶TDOBAMBCCのしきい値特性に合わせて各電圧レベルを設定したが、もちろん本発明はこれに限定されるものではなく、各電圧レベルは使用する強誘電性液晶のしきい値特性に応じて適切な値を設定すれば良い。
【0192】実施例21第82図(a)および(b)は、印加電圧パルスの波形と光透過特性との関係を示す図である。強誘電液晶のしきい値および飽和値電圧は、パルス幅によって変化することは先に述べたが、我々は印加するパルスによっても変化することを見出した。すなわち第82図の824に実線で示したように、第82図の821に示すような波形のパルスを印加した場合は、正負のしきい値がVth11およびVth12、飽和値がVsat11およびVsat12であるが、第82図(b)822に示すようなパルスを印加すると、第82図(a)825に点線で示したように、正負のしきい値がVth21およびVth22、飽和値がVsat21およびVsat22と、821の波形を印加した時より絶対値が大きくなり、823に示すような波形のパルスを印加すると、826に一点鎖線で示したように、正負のしきい値がVth1 およびVth2 、飽和値がVsat1 およびVsat2 と絶対値が小さくなる。
【0193】特に、Vth21>Vsat11および|Vth22|>|Vsat21|であるため、821の波形のパルスを印加した時には飽和値以上となる電圧レベルであっても、822の波形のパルスを印加した時には、しきい値よりも小さくなり、液晶素子は応答しない。したがって、同じ電圧レベルで応答、非応答を制御することが可能となる。本実施例は、このような強誘電性液晶のしきい値特性を利用した駆動方法である。
【0194】第60図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。601はフレーム信号、602は極性切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチングしてV1 、V2 、−V3 、−V4 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形604を作る。また極性切り換え信号602とクロックパルス603とにより、0V、V5 、−V5 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形605およびオフ波形606を作る。第61図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。
【0195】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形604を8101および8102に、非選択波形として0Vを8103に、オン波形605を8105に、オフ波形606を8104にそれぞれ印加する。
【0196】第81図において、121は走査電極データで、これを走査電極シフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走査電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形605およびオフ波形606を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0197】第62図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。t13、t23、t33およびt43は、それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それぞれ選択期間、t12、t22、t32およびt42は、それぞれ非選択期間を示す。またt14、t24、t34およびt44は、それぞれ選択期間の前半に印加されるパルスのパルス幅、t15、t25、t35およびt45は、それぞれ選択期間の後半に印加されるパルスのパルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも等しいパルス幅となっている。さらにt0 は、前記t15(t25、t35、t45)の1/2のパルス幅を示す。
【0198】波高値V1 〜V5 は、以下の条件を満足するように設定する。
【0199】V1 =V4 >Vsat1 、|Vsat2 |V5 <Vth1 、|Vth2 ||V2 |=|−V3 |Vth21>(V2 +V5 )>Vsat11|Vth22|>(V3 +V5 )>|Vsat12|走査電極8109には、第62図621に示すように、選択期間は第1の選択波形として−V4 およびV2 が負、正の順に、第2の選択波形としてV1 および−V3 が正・負の順に、1フレームごとに交互に印加され、非選択期間はOVが印加される。
【0200】信号電極8110には、第62図622に示すように、オンさせたい場合は2t0 の期間0Vが印加された後パルス幅t0 のV5 および−V5 が正・負の順に印加され、オフさせたい場合は同じく2t0 の期間0Vが印加された後パルス幅t0 のV5 および−V5 が負・正の順に印加される。
【0201】この時画素8111に印加される合成波形は、第62図623に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合まず−V4 が印加された後、前半のt0 の波高値が(V2 −V5 )で後半のt0 の波高値が(V2 +V5 )であるパルスが印加され、オフの場合は同じくまず−V4 が印加された後、前半のt0 の波高値が(V2 十V5 )で後半のt0 の波高値が(V2 −V5 )であるパルスが印加される。また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合まずV1 が印加された後、前半のt0 の波高値が(−V3 −V5)で後半のt0 の波高値が(−V3 +V5 )であるパルスが印加され、オフの場合は同じくまずV1 が印加された後、前半のt0 の波高値が(−V3 +V5 )で後半のt0 の波高値が(−V3 −V5 )であるパルスが印加される。非選択期間には0Vおよびパルス幅t0 の±V5 が印加される。
【0202】本実施例では、第82図(a)および(b)に示したように、選択期間t11およびt21の後半に印加されるパルスは、飽和値以上であるが、t31およびt41の後半に印加されるパルスは、同じ波高値を有しているにもかかわらず、波形が異なるため、しきい値より小さい値となつている。その結果、本実施例の駆動方法も、選択期間の最初に印加された正または負の飽和値以上のパルスによってオンまたはオフ状態とし、次に印加する逆極性のパルスによってその状態を反転させるかそのまま保持するかを選択してオン、オフを選択することができる。
【0203】また、第1の選択波形が印加されたフレームでは、正のパルスと負のパルスとの波高値の差が、(V2 +V3 )/2+(V2 −V5 )/2−V4 =V2 −V4、第2の選択波形が印加されたフレームでは(−V3 −V5 )/2十(−V3 +V5 )/2+V1 =V1 −V3 となり、V1 =V4 およびV2 =V3 であるから、互いに相殺される。すなわち、本実施例でも2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値が零となり、液晶素子の劣化を防止することができる。なお、画素8111の光透過特性を第62図624に示す。
【0204】実施例22本実施例も、第82図(a)および(b)に示すような強誘電性液晶のしきい値特性を利用した駆動方法である。
【0205】第63図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、第81図は、この回路で作られた駆動波形を、液晶素子に印加するための駆動回路の一例を示す図である。631はフレーム信号、632は極性切り換え信号であり、これらの信号により、トランスミッションゲート111をスイッチングしてV1 、−V2 、−V7 、−V8 の電圧を切り換え、走査電極の選択波形634を作り、−V3 、−V6 の電圧を切り換えて走査電極の非選択波形635を作る。また、極性切り換え信号632とクロックパルス633とにより、−V2 、−V3 、−V4 、−V5 、−V6 、−V7 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形636およびオフ波形637を作る。第64図に、これらの信号波形のタイミングチャートを示す。
【0206】これらの信号波形を第81図に示す駆動回路に印加し、走査電極および信号電極に印加する駆動波形を作る。すなわち、選択波形634を8101および8102に、非選択波形635を8103に、オン波形636を8105に、オフ波形637を8104にそれそれ印加する。
【0207】第81図において、121は走査電極データでこれを走査電極シフトクロック120によって走査電極側シフトレジスタ115に転送し、一走電極ずつ順次選択信号を出力してトランスミッションゲート111をスイッチングし、走査電極駆動波形を8107に印加する。また117は信号電極データで、これを信号電極シフトクロック118によって信号電極側シフトレジスタ114に転送し、一走査電極分のデータを転送したらラッチ信号119によりラッチ回路116にラッチする。このラッチ回路116の出力によりトランスミッションゲート111をスイッチングし、オン波形636およびオフ波形637を切り換えて信号電極駆動波形を8106に印加する。
【0208】第65図に、第81図に示す走査電極8109および信号電極8110に印加される駆動波形と、画素8111に印加される合成波形および光透過特性を示す。
【0209】t13、t23、t33およびt43は、それぞれ1フレーム周期、t11、t21、t31およびt41は、それそれ選択期間、t12、t22、t32、およびt42は、それぞれ非選択期間を示す。またt14、t24、t34およびt44は、それぞれ選択期間の前半に印加されるパルスのパルス幅t15、t25、t35およびt45は、それそれ選択期間の後半に印加されるパルスのパルス幅を示し、本実施例の場合は、いずれも等しいパルス幅となっている。さらにt0 は、前記t15(t25、t35、t45)の1/2のパルス幅を示す。
【0210】実施例21と異なるのは、走査電極に印加される電圧を低くするために、走査電極と信号電極の電圧レベルを共通化したことと、そのためにオン波形およびオフ波形を、選択波形に応じて変えた点にある。
【0211】波高値V1 〜V8 およびVmは以下の条件を満足するように設定する。
【0212】V1 =0(V1 +V6 )>Vsat1(V8 −V3 )>|Vsat2 |(V7 −V6 )=(V4 −V3 )<Vth1(V6 −V5 )=(V3 −V2 )<|Vth2 |Vth21>(V7 −V2 )>Vsat11|Vth22|>(V7 −V2 )>|Vsat12|(Vm−V2 )=(V7 −Vm)
走査電極8109には、第65図651に示すように、選択期間は第1の選択波形として前半は−V8 、後半は−V2 が、第2の選択波形として前半はV1 、後半は−V7 が印加され、非選択期間は−V6 および−V3 が−V6 、−V3 の順もしくは−V3 、−V6 の順に印加される。
【0213】信号電極8110には、第65図652に示すように、第1の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形としてまず−V3 が、その後パルス幅t0 の−V5 および−V7 が−V5 、−V7 の順に印加され、オフ波形として同じく−V3の後に、−V7 、−V5 の順に印加される。また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オン波形としてまず−V6 が、後半はパルス幅t0 の−V4 および−V2 が−V2 一V4 の順に印加され、オフ波形として同じく−V6 の後に、−V4 、−V2 の順に印加される。
【0214】この時画素8111に印加される合成波形は、第65図653に示すように、走査電極に第1の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合まず(−V8+V3 )が印加された後、前半のt0 の波高値が(−V2 +V5 )で後半のt0の波高値が(−V2 +V7 )であるパルスが印加され、オフの場合は、同じくまず(−V8 +V3 )が印加された後、前半のt0 の波高値が(−V2 十V7 )で後半のt0 の波高値が(−V2 +V5 )であるパルスが印加される。また第2の選択波形が印加されたフレームでは、オンの場合まず(V1 +V6 )が印加された後、前半のt0 の波高値が(−V7 十V2 )で後半のt0 の波高値が(−V7+V4 )であるパルスが印加され、オフの場合同じく(V1 +V6 )が印加された後、前半のt0 の波高値が(−V7 +V4 )で後半のt0 の波高値が(−V7+V2 )であるパルスが印加される。非選択期間にはOV、(−V6 +V7 )および(−V6 +V5 )が印加される。
【0215】本実施例による合成波形は、実施例21と実質的に同じであり、同じようにオン、オフの選択ができると共に、2フレームごとに画素に印加される電圧パルスの平均値が零となる。なお、画素8111の光透過特性を第65図654に示す。
【0216】実施例23本実施例も、第82図(a)および(b)に示すような強誘電性液晶のしきい値特性を利用した駆動方法である。
【0217】第66図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、661はフレーム信号で、662は極性切り換え信号である。また664はフレーム信号661の遅延信号、665は極性切り換え信号662の回転信号である。これらの信号によりトランスミッションゲート111をスイッチングして、V1 、V2 、−V3 −V4 の電圧を切り換えて666の奇数走査電極選択波形と、667の偶数走査電極選択波形を作っている。また、クロックパルス663によりトランスミッションゲート111をスイッチングして、V5 、−V5 の電圧を切り換えて信号電極のオン波形668と信号電極オフ波形669を作っている。
【0218】これらの波形のタイミングチャートを第67図に示す。第66図666、667、668、669の信号を第81図の駆動回路に入力し、666は8101と、667は8102と、668は8105と、669は8104と、8103は0ボルトとそれぞれ接線する。第81図121は走査電極データで、これを120のシフトクロツクによって115の走査電極側シフトレジスターに転送して一走査線ずつ順次選択信号を出す。この選択信号によって111のトランミッツョンゲートをスイッチングして8107の奇数走査電極波形や、8108の偶数走査電極波形を作っている。第81図117は、信号電極データで、これを118のシフトクロックによって114の信号電極側シフトレジスターに転送し、一走査線分のデータを転送したときに119のラッチ信号によって116のラッチ回路にラッチする。このラッチ回路の出力によって111のトランスミッンョンゲートをスイッチングして8104と8105の信号を切り換えて8106の信号電極波形を作っている。8107、8108、8106の波形及び、この合成波形を第68図の681、682、683、684のタイミングチャートに示す。この駆動波形の駆動条件を示すとつぎのようになる。
【0219】
(V1 +V5 )>Vsat21 (V2 +V5 )>Vsat11(V2 +V5 )>Vth21 |−V3 −V5 |>|Vsat12| |−V3 −V5 |<|Vth22| |−V4 −V5 |>|Vsat22| V5 <Vth1 |−V5 |<|Vth2 | |V1 |=|−V4 | |V2 |=|−V3 | t04=t11 t16=t17 第81図8111の画素について液晶素子の動作を説明すると、第68図t04の間が奇数フレームの直前に印加される消去パルスで、|−V4 −V5 |>|Vsat22|の電圧パルスを印加して液晶素子の前のメモリー状態を消してオフ状態とし、t11の間が奇数フレームの選択期間で、信号電極に印加る波形がオン波形であるか、オフ波形であるかによって、走査電極波形との合成電圧が、第82図の821で示す波形か、822で示す波形かを選択し、821で示す波形であれば液晶素子はオン状態となり、822で示す波形であればオフ状態のままとなる。そして、非選択期間t12の間は、しきい電圧より絶対値の小さなV5 、−V5 の電圧しか液晶素子に印加されないので、t11の間に書き込まれた状態を保持する。また、選択期間t11に液晶素子にデータを書き込んでいるときに、それと同時に、次に選択される液晶素子には、682で示すように消去パルスが印加されて前のメモリー状態を消去している。
【0220】次に、偶数フレームについてみると、t14が偶数フレーム直前に印加される消去パルスで、奇数フレーム直前のt04のときは逆極性のパルスで、(V1 +V5)>Vsat21の電圧パルスを印加して液晶素子の前のメモリー状態を消してオン状態とし、t21の間が選択期間で、信号電極に印加される波形がオン波形であるか、オフ波形であるかによって走査電極波形との合成電圧が、第82図の821で示す波形か、822で示す波形かを選択し、821で示す波形であれば液晶素子はオフ状態となり、822で示す波形であればオン状態のままとなる。そして、非選択期間t22の間は、奇数フレームのときと同様でt21の間に書き込まれた状態を保持する。また、選択期間t21中に液晶素子にデータを書き込んでいるときに、それと同時に、次に選択される液晶素子には、682で示すように消去パルスが印加されて前のメモリー状態を消去している。このように、液晶素子にデータを書き込むのと同時に、次に選択される液晶素子には消去パルスを印加することによって選択期間を従来の半分とすることができる。また、この実施例では、液晶素子を選択する直前に消去パルスを印加しているが、この消去パルスは、選択期間の直前に出す必要はなく、選択期間よりある時間前に消去パルスを印加してもよい。
【0221】実施例24本実施例も、第82図(a)および(b)に示すような強誘電性液晶のしきい値特性を利用した駆動方法である。
【0222】第69図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図であり、691はフレーム信号で、692は極性切り換え信号である。この691、692の信号によってトランスミッションゲート111をスイッチングして、V1 、−V2 、−V7 、−V8 、−V3 、−V6 の電圧を切り換えて奇数走査電極選択波形694と、偶数走査電極選択波形695と、走査電極非選択波形696を作っている。
【0223】また、691、692およびクロックパルス693の信号によって、トランスミッションゲート111をスイッチングして、−V2 、−V4 、−V5 、−V7の電圧を切り換えて信号電極オン波形697と信号電極オフ波形698を作っている。
【0224】これらの波形のタイミングチャートを第70図に示す。第70図694、695、696、697、698の各波形を第81図の駆動回路に入力し、694は8101と、695は8102と、696は8103と、697は8105と、698は8105と、それぞれ接続する。そして、第81図117、118、119、120、121の各信号によって、実施例23と同様の動作で、第71図711の奇数走査電極波形と、712の偶数走査電極波形と、713の信号電極波形を作り、液晶素子に印加する。その合成波形を714に示す。この駆動波形の駆動条件を示すとつぎのようになる。
【0225】
V1 =0 |−V8 +V2 |>|Vsat22|(−V2 +V7 )>Vsat11 (−V2 +V7 )<Vth21(V1 十V7 )>Vsat21 |−V7 +V2 |>|Vsat12||−V7 十V2 |<|Vth22| (−V2 十V3 )<Vth1 |−V4 +V3 |<|Vth2 | (−V2 +V3 )=(−V5 +V6 )
(−V4 +V3 )=(−V7 +V6 ) (−V2 +Vm)=(−Vm+V7 )
t14=t11(V8 −V3 )=(V6 −V1 ) (V6 −V2 )=(V7 −V3 )
第81図8111の画素について液晶素子の動作を説明すると、第71図t04の間が奇数フレームの直前に印加される消去パルスで、711の走査電極波形と713の信号電極波形の合成電圧で常に|−V8 +V2 |>|Vsat22|の電圧パルスを印加して液晶素子の前のメモリー状態を消去してオフ状態とし、t11の間が奇数フレームの選択期間で、信号電極に印加される波形がオン波形であるか、オフ波形であるかによって、走査電極波形との合成電圧が、第82図の821で示す波形か822で示す波形かを選択し、821で示す波形であれば液晶素子はオン状態となり、822で示す波形であればオフ状態のままとなる。
【0226】そして、非選択期間は、走査電極波形711は、−V3 と−V6 の電圧が交互に印加されて、713の信号電極波形との合成波形では、714で示すように常にしきい電圧より絶対値の小さな電圧しか液晶素子に印加されないためt11の間に書き込まれた状態を保持する。また、選択期間t11中に液晶素子にデータを書き込んでいるときに、それと同時に、次に選択される液晶素子には、712で示す走査電極波形が印加されているため、t04の間とは逆極性の消去パルスが印加されて前のメモリー状態を消去してオン状態としている。次に、偶数フレームについてみると、直前のt14の間が消去パルスで、奇数フレーム直前のt04のときとは逆極性のパルスで、(V1 +V7 )>Vsat21の電圧パルスを印加して液晶素子の前のメモリー状態を消去してオン状態とし、t21の間が選択期間で、信号電極に印加される波形がオン波形であるか、オフ波形であるかによって、走査電極波形との合成電圧が第82図の821で示す波形か、822で示す波形かを選択し、821で示す波形であれば液晶素子はオフ状態となり、822で示す波形であればオン状態のままとなる。そして、非選択期間は、奇数フレームと同様でt21の間に書き込まれた状態を保持する。また、選択期間t21中に液晶素子にデータを書き込んでいるときに、それと同時に次に選択される液晶素子は、712で示す走査電極波形が印加されているため、t14の間とは逆極性の消去パルスが印加されて前のメモリー状態を消去してオフ状態としている。このように、液晶素子にデータを書き込むのと同時に、次に選択される液晶素子には消去パルスを印加し、しかも、奇数番目に選択される液晶素子と、偶数番目に選択される液晶素子では、印加する消去パルスと選択パルスとの極性が逆であることによって選択期間を従来の半分にすることができる。また、走査電極に印加する電圧を低くすることができる駆動方法である。
【0227】この実施例では、液晶素子を選択する直前に消去パルスを印加しているが、この消去パルスは、選択期間の直前に出す必要はなく、選択期間よりある時間前に消去パルスを印加してもよい。
【0228】実施例25第72図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図である。721はフレーム信号で、722はクロック信号である。この721、722の信号によってトランスミッションゲート111をスイッチングして、V1 、V2 、−V3 、−V4 の電圧を切り換えて走査電極選択波形725を作っている。また、V5 、−V5 の電圧を切り換えて信号電極オン波形726と信号電極オフ波形727を作っている。これらの波形のタイミングチャートを第73図に示す。第73図725、726、727の信号を第81図の駆動回路に入力して、725は8101、8102と、726は8105と、727は8104と、8103は0ボルトと、それぞれ接続する。
【0229】第81図121は走査電極データで、これをシフトクロック120によって走査電極側シフトレジスター115に伝送して、一走査線ずつ順次選択信号を出す。この選択信号によつてトランスミッションゲート111をスイッチングして8107の走査電極波形を作っている。第81図117は信号電極データで、これをシフトクロック118によって、信号電極側シフトレジスター114に転送し、一走査線分のデータを転送したときに119のラッチ信号によって116のラッチ回路にラッチする。このラッチ出力によって111のトランスミッションゲートをスイッチングして、8104、8105の信号を切り換えて8106の信号電極波形を作っている。8107、8106の波形及び、この合成波形を第74図741、742、743のタイミングチャートに示す。この駆動波形の駆動条件を示すとつぎのようになる。
【0230】
V1 >Vsat1 (V2 +V5 )>Vsat1 (V2 −V5 )<Vth1 (−V3 −V5 )>|Vsat2 ||−V3 +V5 |<|Vth2 | |−V4 |>|Vsat2 ||V1 |=|−V4 | |V2 |=|−V3 |V5 <Vth1 |−V5 |<|Vth2 |t14=t15=t16第81図8111の画素について液晶素子の動作を説明すると、第74図t11の間が奇数フレームの選択期間であり、t14の間が消去パルスで、負の飽和電圧より絶対値の大きな電圧パルスが印加されて液晶素子は前のメモリー状態が消去されてオフ状態となる。そして、t15の間が書き込みパルスで、信号電極波形がオン波形であれば、液晶素子に印加される電圧は正の飽和電圧以上となり、液晶素子はオン状態となり、信号電極波形がオフ波形であれば、液晶素子に印加される電圧は正のしきい電圧以下となり、液晶素子はオフ状態のままとなる。そして、t16の間に走査電極に印加する電圧はゼロボルトとする。また、非選択期間t12は、しきい電圧より絶対値の小さなV5 、−V5 の電圧しか液晶素子に印加されないので、t15の間に書き込まれた状態を保持する。
【0231】次に、偶数フレームの選択期間についてみるとt21の間が選択期間で、t24の間が消去パルスであり、奇数フレームのときとは逆極性の電圧の正の飽和電圧以上の電圧パルスが印加されて液晶素子はオン状態となる。そして、t25の間が書き込みパルスで、信号電極波形がオン波形であれば、液晶素子に印加される電圧は、負のしきい電圧より絶対値が小さくなり、液晶素子は消去されたままのオン状態となり、信号電極波形がオフ波形であれば、液晶素子に印加される電圧は、負の飽和電圧より絶対値の大きな電圧パルスが印加されて液晶素子はオフ状態となる。そして、t26の間に走査電極に印加する電圧はゼロボルトとする。
【0232】また、非選択期間t22の間は、奇数フレームのときと同様で、t25の間に書き込まれた状態を保持する。このような駆動にすることによって非選択期間に印加される電圧パルスのパルス幅が常にt14の幅で一定であり、コントラストむらがなくなる。
【0233】実施例26第75図は、本実施例における駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図である。751はフレーム信号で、752はクロック信号である。この751、752の信号によってトランスミッションゲート111をスイッチングして、V1 、−V2 、−V3 、−V6 、−V7 、−V8 の電圧を切り換えて走査電極選択波形755を作り、−V3 、−V6 の電圧を切り換えて走査電極非選択波形756を作っている。また、−V2 、−V3 、−V4 、−V5 、−V6 、−V7 の電圧を切り換えて信号電極オン波形757と、信号電極オフ波形758を作っている。これらの波形のタイミングチャートを第76図に示す。第76図755、756、757、758の信号を第81図の駆動回路に入力し、755は8101、8102と、756は8103と、757は8105と、758は8104と、それぞれ接続する。そして、第81図117、118、119、120、121の各信号によって、実施例25と同様の動作で、第77図771の走査電極波形と、772の信号電極波形を作り、液晶素子に印加し、その合成波形を773に示す。この駆動波形の駆動条件を示すとつぎのようになる。
【0234】
V1 =0 |−V8 +V3 |>|Vsat2 |(−V2 +V5 )<Vth1 (−V2 +V7 )>Vsat1 (V1 +V6 )>Vsat1 |−V7 十V2 |>|Vsat2 ||−V7 +V3 |<|Vth2 | (−V2 +V3 )<Vth1 |−V4 +V3 |<|Vth2 | (−V2 +V3 )=(−V5 +V6 )
(−V4 +V3 )=(−V7 +V6 )(−V2 +Vm)=(−Vm+V7 )
t14=t15=t16(V8 −V3 )=(V6 −V1 ) (V6 −V2 )=(V7 −V3 )
第81図8111の画素について液晶素子の動作を説明すると、第77図t11の間が奇数フレームの選択期間であり、t14の間が消去パルスで、負の飽和電圧より絶対値の大きな電圧パルスが印加されて液晶素子は前のメモリー状態が消去されてオフ状態となる。そして、t15の間が書き込みパルスで、信号電極波形がオン波形であれば、液晶素子に印加される電圧は正の飽和電圧以上となり、液晶素子はオン状態となり、信号電極波形がオフ波形であれば、液晶素子に印加される電圧は正のしきい電圧以下となり、液晶素子はオフ状態のままとなる。そして、t16の間に走査電極に印加する電圧は−V3 とする。また、非選択期間t12は、走査電極波形771は、−V3 、−V6 の電圧が交互に印加されて、772との合成波形では、773で示すように常にしきい電圧より絶対値の小さな電圧しか液晶素子に印加されないためt15の間の状態を保持する。次に、偶数フレームについてみると、t21の間が選択期間で、t24の間が消去パルスであり、奇数フレームのときとは逆極性の正の飽和電圧以上の電圧パルスが印加されて液晶素子はオン状態となる。そして、t25の間が書き込みパルスで、信号電極波形がオン波形であれば、液晶素子に印加される電圧は、負のしきい電圧より絶対値が小さくなり、液晶素子は消去されたままのオン状態となり、信号電極波形がオフ波形であれば、液晶素子に印加される電圧は、負の飽和電圧より絶対値の大きな電圧パルスが印加されて、液晶素子はオフ状態となる。そして、t26の間に走査電極に印加する電圧は−V6 とする。
【0235】また、非選択期間t22の間は、奇数フレームと同様にt25の間の状態を保持する。このような駆動の場合、液晶素子に印加される合成波形としては、実施例25と同じであるが、走査電極に印加する電圧を低くすることができる駆動方法である。
【0236】実施例27第83図に交流バイアスによるメモリー状態保持の効果図を示す。Vは、液晶素子に印加する電圧で、Iは、液晶素子の透過状態を示している。液晶素子にV1 の電圧を印加して、I1 の状態にしてその後印加電圧を0ボルトとすると液晶素子は、I1 の状態から次第にメモリーが悪くなつて点線で示すようにI5 までメモリーが落ちてゆく。しかし、交流バイアスを印加することによってメモリー性の悪さを改善してI3 の状態に保持することができる。第78図はこの交流バイアスの効果を利用した本実施例の駆動波形を実現する具体的回路を示すブロック図である。781はフレーム信号で、782は極性切り換え信号である。この781、782の信号によって、トランスミッンョンゲート111をスイッチングして、V2 、V3 、−V4 、−V5 の電圧を切り換えて走査電極選択波形784を作り、783の信号によって、V1 、−V6 の電圧を切り換えて走査電極非選択波形785を作っている。
【0237】また、V7 、−V8 の電圧を切り換えて信号電極オン波形786と、信号電極オフ波形787を作っている。これらの波形のタイミングチャートを第79図に示す。第79図784、785、786、787の信号を第81図の駆動回路に入力し、784は8101、8102と、785は81l03と、786は8105と、787は8104と、それぞれ接続する。第81図121は走査電極データで、これをシフトクロック120によって走査電極側シフトレジスター115に転送して一走査線づつ順次選択信号を出し、この選択信号によってトランスミッションゲート111をスイッチングして8107の走査電極波形を作っている。
【0238】第81図117は信号電極データで、これをシフトクロック118によって信号電極側シフトレジスター114に転送し、一走査線分のデータを転送したときにラッチ信号119によってラッチ回路116にラッチし、このラッチの出力によってトランスミッションゲート111をスイッチングして、8104と8105の信号を切り換えて8106の信号電極波形を作っている。この8107と8106の波形及び、この波形の合成波形のタイミングチャートを第80図801、802、803に示す。この波形の駆動条件を示すとつぎのようになる。
【0239】
|V1 |=|−V6 | |V7 |=|−V8 ||−V5 +V7 |>|Vsat2 | (V3 +V8 )>Vsat1 (V3 −V7 )<Vth1 (V2 −V7 )>Vsat1 |−V4 十V8 |<|Vth2 | (−V4 −V7 )>|Vsat2 |V7 <Vth1 |−V8 |<|Vth2 ||V2 |=|−V5 | |V3 |=|−V4 |t14=t15第81図8111の画素について液晶素子の動作を説明すると、第80図t11の間が奇数フレームの選択期間で、この期間中のt14の間が消去パルスで、負の飽和電圧より絶対値の大きな電圧パルスが印加されて、前のメモリー状態が消去されてオフ状態となる。そして、t15の間が書き込みパルスで、信号電極波形がオン波形であれば、液晶素子に正の飽和電圧以上の電圧パルスが印加されて液晶素子はオン状態となり、信号電極波形がオフ波形であれば、液晶素子に正のしきい電圧以下の電圧パルスが印加されて液晶素子はオフ状態のままとなる。そして、t12の間が非選択期間で高周波交流バイアスを印加する。この高周波交流バイアスの周波数と電圧は、液晶分子が応答できる限度ぎりぎりの周波数と電圧であり、周波数は数KHz〜数100KHz、電圧は数10ボルトである。この非選択期間の交流バイアスによって液晶素子のメモリー性を良くしてデータを保持している。次に、偶数フレームについてみると、t21の間が選択期間で、この期間中のt24の間が消去パルスで、奇数フレームのときとは逆極性の正の飽和電圧以上の電圧パルスが印加されて液晶素子はオン状態となる。そして、t25の間が書き込みパルスで、信号電極波形がオン波形であれば、液晶素子に負のしきい電圧より絶対値の小さな電圧パルスが印加されて液晶素子はオン状態のままとなり、信号電極波形がオフ波形であれば、液晶素子は負の飽和電圧より絶対値の大きな電圧パルスが印加されて液晶素子はオフ状態となる。そして非選択期間は、奇数フレームのときと同様で高周波交流バイアスによってメモリー状態を保持する。なお、上記各実施例では、2値表示における駆動方法について説明したが、階調表示についても同じように駆動することができ、走査電極に印加する波形については、上記実施例と同じでよく、信号電極に印加する電圧を階調データによって変化させて、書き込みパルスの間に液晶素子に印加する電圧をしきい電圧から飽和電圧の間で変化させればよい。また、階調データによって、信号電極波形のパルス幅を変化させることによって階調表示をすることもできる。
【0240】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、強誘電液晶素子特有のパルス幅依存性を充分に考慮し、しかも液晶には、画素の選択内容及び多重度に関係なく、常に平均値が零となるように電圧パルスが印加されるため、直流成分による液晶素子の劣化を防止し、長期にわたり良好な光透過特性を維持できるという効果を有する。更に、用途も表示素子に限定されず、電子シャッター、偏光器等にも応用が可能である。
【0241】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図(a)および(b)は、強誘電性液晶の分子の配列状態を示す図。
【図2】第2図(a)は、本発明の各実施例で用いた液晶素子の一例を示す断面図であり、第2図(b)は、第2図(a)に示す液晶素子の電極構造を示す図。
【図3】第3図は本発明の実施例1に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図4】第4図は第3図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図5】第5図は第4図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図6】第6図は本発明の実施例2に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図7】第7図は第6図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図8】第8図は第7図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図9】第9図は本発明の実施例3に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図10】第10図は第9図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図11】第11図は第10図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図12】第12図は本発明の実施例4に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図13】第13図は第12図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図14】第14図は第13図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図15】第15図は本発明の実施例5に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図16】第16図は第15図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図17】第17図は第16図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図18】第18図は本発明の実施例6に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図19】第19図は第18図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図20】第20図は第19図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図21】第21図は本発明の実施例7に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図22】第22図は第21図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図23】第23図は第22図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図24】第24図は本発明の実施例8に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図25】第25図は第24図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図26】第26図は第25図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図27】第27図は本発明の実施例9に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図28】第28図は第27図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図29】第29図は第28図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図30】第30図は本発明の実施例10に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図31】第31図は第30図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図32】第32図は第31図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図33】第33図は本発明の実施例11に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図34】第34図は第33図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図35】第35図は第34図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図36】第36図は本発明の実施例12に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図37】第37図は第36図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図38】第38図は第37図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図39】第39図は本発明の実施例13に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図40】第40図は第39図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図41】第41図は第40図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図42】第42図は本発明の実施例14に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図43】第43図は第42図に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図44】第44図は第43図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図45】第45図は本発明の実施例15に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図46】第46図は第45図に示す回路の各点における信号波形のタイミングチャートおよび駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図47】第47図は本発明の実施例16に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図48】第48図は第47図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図49】第49図は本発明の実施例16に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図50】第50図は本発明の実施例17に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図51】第51図は第50図に示す回路の各点における信号波形のタイミングチャートおよび駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図52】第52図は本発明の実施例18に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図53】第53図は第52図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図54】第54図は本発明の実施例18に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図55】第55図は本発明の実施例19に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図56】第56図は第55図に示す回路の各点における信号波形のタイミングチャートおよび駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図57】第57図は本発明の実施例20に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図58】第58図は第57図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図59】第59図は本発明の実施例20に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図60】第60図は本発明の実施例21に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図61】第61図は第60図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図62】第62図は本発明の実施例21に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図63】第63図は本発明の実施例22に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図64】第64図は第63図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図65】第65図は本発明の実施例22に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図である。
【図66】第66図は本発明の実施例23に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図67】第67図は第66図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図68】第68図は本発明の実施例23に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図69】第69図は本発明の実施例24に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図70】第70図は第69図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図71】第71図は本発明の実施例24に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図72】第72図は本発明の実施例25に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図73】第73図は第72図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図74】第74図は本発明の実施例25に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図である。
【図75】第75図は本発明の実施例26に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図76】第76図は第75図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図77】第77図は本発明の実施例26に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図78】第78図は本発明の実施例27に示す駆動波形を実現する具体的回路の一例を示す図。
【図79】第79図は第78図に示す回路の各点における信号波形を示すタイミングチャート図。
【図80】第80図は本発明の実施例27に示す駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【図81】第81図は本発明の各実施例で用いた駆動回路の一例を示す図。
【図82】第82図(a)および(b)は印加電圧の波形による光透過特性の変化を示す図。
【図83】第83図は交流バイアス電圧印加時の駆動波形と光透過特性の関係を示す図。
【符号の説明】
11・12…基板
13…走査電極
14…信号電極
15…配向膜
16…強誘電性液晶
17・18…偏光板
19…シール剤
111…トランスミッションゲート
112…フリップフロップ
113…液晶素子
114…信号電極側ソフトレジスタ
115…走査電極側ソフトレジスタ
116…ラッチ回路
117…信号電極データ
118…信号電極ソフトクロック
119…ラッチ信号
120…走査電極シフトクロック
121…走査電極データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走査電極群を有する基板と信号電極群を有する基板との間にメモリ性を有する液晶を挟持してなる液晶素子を線順次走査によりマルチプレックス駆動する液晶素子の駆動方法において、前記液晶の表示状態を選択する選択期間の前半期間に、前記液晶の分子を所定の配列方向に揃える、前記液晶素子の飽和値以上の少なくとも1個の消去パルスを前記液晶に印加し、前記選択期間の後半期間に前記液晶の分子を、表示状態に対応する配列方向に設定する、前記消去パルスとは逆極性の選択パルスを前記液晶に印加し、前記選択パルスは、前記後半期間中に波高値が変化する波形とされ、前記選択パルスの波形を変化させることで、前記液晶素子の飽和値、しきい値を変化させて、前記液晶のオン、オフ状態を選択することを特徴とする液晶素子の駆動方法。
【請求項2】 走査電極群を有する基板と信号電極群を有する基板との間にメモリ性を有する液晶を挟持してなる液晶素子を線順次走査によりマルチプレックス駆動する液晶素子の駆動方法において、前記液晶の表示状態を選択する選択期間の直前の期間に、前記液晶の分子を所定の配列方向に揃える、前記液晶素子の飽和値以上の少なくとも1個の消去パルスを前記液晶に印加し、前記選択期間に前記液晶の分子を、表示状態に対応する配列方向に設定する、前記消去パルスとは逆極性の選択パルスを前記液晶に印加し、前記選択パルスは、前記選択期間中に波高値が変化する波形とされ、前記選択パルスの波形を変化させることで、前記液晶素子の飽和値、しきい値を変化させて、前記液晶のオン、オフ状態を選択することを特徴とする液晶素子の駆動方法。
【請求項1】 走査電極群を有する基板と信号電極群を有する基板との間にメモリ性を有する液晶を挟持してなる液晶素子を線順次走査によりマルチプレックス駆動する液晶素子の駆動方法において、前記液晶の表示状態を選択する選択期間の前半期間に、前記液晶の分子を所定の配列方向に揃える、前記液晶素子の飽和値以上の少なくとも1個の消去パルスを前記液晶に印加し、前記選択期間の後半期間に前記液晶の分子を、表示状態に対応する配列方向に設定する、前記消去パルスとは逆極性の選択パルスを前記液晶に印加し、前記選択パルスは、前記後半期間中に波高値が変化する波形とされ、前記選択パルスの波形を変化させることで、前記液晶素子の飽和値、しきい値を変化させて、前記液晶のオン、オフ状態を選択することを特徴とする液晶素子の駆動方法。
【請求項2】 走査電極群を有する基板と信号電極群を有する基板との間にメモリ性を有する液晶を挟持してなる液晶素子を線順次走査によりマルチプレックス駆動する液晶素子の駆動方法において、前記液晶の表示状態を選択する選択期間の直前の期間に、前記液晶の分子を所定の配列方向に揃える、前記液晶素子の飽和値以上の少なくとも1個の消去パルスを前記液晶に印加し、前記選択期間に前記液晶の分子を、表示状態に対応する配列方向に設定する、前記消去パルスとは逆極性の選択パルスを前記液晶に印加し、前記選択パルスは、前記選択期間中に波高値が変化する波形とされ、前記選択パルスの波形を変化させることで、前記液晶素子の飽和値、しきい値を変化させて、前記液晶のオン、オフ状態を選択することを特徴とする液晶素子の駆動方法。
【図1】
【図4】
【図2】
【図3】
【図8】
【図5】
【図6】
【図7】
【図12】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図17】
【図22】
【図15】
【図16】
【図24】
【図18】
【図19】
【図20】
【図31】
【図21】
【図23】
【図32】
【図25】
【図27】
【図38】
【図26】
【図28】
【図40】
【図43】
【図45】
【図29】
【図30】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図39】
【図53】
【図60】
【図41】
【図42】
【図63】
【図44】
【図46】
【図48】
【図47】
【図49】
【図50】
【図61】
【図51】
【図52】
【図57】
【図66】
【図54】
【図55】
【図72】
【図56】
【図58】
【図67】
【図59】
【図62】
【図64】
【図65】
【図73】
【図68】
【図69】
【図75】
【図70】
【図71】
【図78】
【図74】
【図76】
【図79】
【図77】
【図80】
【図81】
【図83】
【図82】
【図4】
【図2】
【図3】
【図8】
【図5】
【図6】
【図7】
【図12】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図17】
【図22】
【図15】
【図16】
【図24】
【図18】
【図19】
【図20】
【図31】
【図21】
【図23】
【図32】
【図25】
【図27】
【図38】
【図26】
【図28】
【図40】
【図43】
【図45】
【図29】
【図30】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図39】
【図53】
【図60】
【図41】
【図42】
【図63】
【図44】
【図46】
【図48】
【図47】
【図49】
【図50】
【図61】
【図51】
【図52】
【図57】
【図66】
【図54】
【図55】
【図72】
【図56】
【図58】
【図67】
【図59】
【図62】
【図64】
【図65】
【図73】
【図68】
【図69】
【図75】
【図70】
【図71】
【図78】
【図74】
【図76】
【図79】
【図77】
【図80】
【図81】
【図83】
【図82】
【公開番号】特開平7−175042
【公開日】平成7年(1995)7月14日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−284161
【分割の表示】特願昭61−179346の分割
【出願日】昭和61年(1986)7月30日
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【公開日】平成7年(1995)7月14日
【国際特許分類】
【分割の表示】特願昭61−179346の分割
【出願日】昭和61年(1986)7月30日
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
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