説明

液晶組成物、高分子/液晶複合体、液晶素子、および液晶表示装置

【課題】高分子/液晶複合体における配向状態の乱れを低減させることができる液晶組成物を提供する。
【解決手段】ブルー相を発現する液晶材料、下記一般式(G1)で示される液晶性モノマーを含む液晶組成物である。なお、液晶組成物には、非液晶性モノマー、及び重合開始剤が含まれていてもよい。


(但し、一般式(G1)中、Xは、メソゲン骨格を示す。また、一般式(G1)中、Y、Yは、液晶性が維持できる程度であり、またブルー相を発現する液晶材料との相溶性が低下しない程度の長さであるとして、それぞれ独立して炭素及び酸素の合計が1〜20のアルキレン基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子安定化ブルー相を実現する液晶組成物、液晶組成物を高分子安定化して得られる高分子/液晶複合体、液晶素子、および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイが実用化され、従来のブラウン管を用いたディスプレイからの置き換えが進んでいる。フラットパネルディスプレイには、液晶表示素子を有する液晶表示装置をはじめ、エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)を有するEL表示装置や、プラズマディスプレイなどが存在しており、市場においてはこれらが競合している。現在のところ、様々な技術による欠点の克服、生産コストの抑制などにより、液晶表示装置が市場において優位な立場にある。
【0003】
上述の液晶表示装置が、他のフラットパネルディスプレイと比較して劣っている点の一つに、素子の応答速度(表示の切り替え速度)がある。応答速度の欠点を克服すべく、これまでにも様々な技術が提案されてきた。従来の、いわゆるTN(Twisted Nematic)モードと呼ばれる液晶駆動方式を採用する液晶素子では、その応答速度が10ms程度であったが、OCB(Optical Compensated Bend)モードやFLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モードといった方式を用いることで、1ms程度までの応答速度の向上が実現されている。
【0004】
このような液晶の駆動方式と並んで注目される技術として、ブルー相と呼ばれる状態を液晶表示素子に用いる技術がある(例えば、特許文献1参照)。ブルー相は、例えばコレステリック相と等方相との間に出現する液晶相で、極めて応答速度が速いという特徴を備えている。このブルー相を用いることで、液晶表示装置の応答時間を1ms以下とすることが可能である。
【0005】
ブルー相は、数℃程度の狭い温度範囲でしか配向状態を維持できないという特徴を有しているが、ブルー相を発現する液晶材料と重合性モノマーとを含む液晶組成物を重合させて得られる高分子/液晶複合体を用いることによって、ブルー相の発現温度範囲が改善されるという報告がなされている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2005/090520号公報
【特許文献2】特開2003−327966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、高分子/液晶複合体を得るためにブルー相を発現する液晶材料と重合性モノマーとを含む液晶組成物を高分子安定化処理によって重合させる際、ブルー相の配向状態を維持できない場合のあることが確認されている。これらの配向状態の乱れは、高分子/液晶複合体により得られる高分子安定化ブルー相を利用した液晶素子や、これらを用いた液晶パネルなどの表示パネルにおける欠陥となるため、歩留まりの低下などを招く。したがって、上記問題を鑑み、開示される本発明の一態様では、高分子/液晶複合体における配向状態の乱れを低減させることができる液晶組成物を提供することを課題の一とする。また、高分子/液晶複合体における配向状態の乱れを低減するために、ブルー相を発現する温度範囲が拡大された高分子/液晶複合体を得るための、高分子安定化処理の温度範囲を拡大することが可能な液晶組成物を提供することを課題の一とする。また、上記液晶組成物を重合して得られる高分子/液晶複合体を有する液晶素子を提供することを課題の一とする。また、上記液晶素子の駆動電圧を低下させることを課題とする。また、上記液晶組成物を重合して得られる高分子/液晶複合体を有する液晶表示装置を提供することを課題の一とする。また、上記液晶素子を用いて作製される液晶表示装置の駆動電圧を低下させることを課題とする。また、上記液晶組成物に含まれる新規な材料を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、ブルー相を発現する液晶材料と、下記一般式(G1)で示される液晶性モノマーとを含む液晶組成物である。なお、液晶組成物には、非液晶性モノマー、及び重合開始剤が含まれていてもよい。
【化1】

【0009】
但し、一般式(G1)中、Xは、メソゲン骨格を示す。また、一般式(G1)中、Y、Yは、液晶性が維持できる程度であり、またブルー相を発現する液晶材料との相溶性が低下しない程度の長さであるとして、それぞれ独立して炭素及び酸素の合計が1〜20のアルキレン基を示す。アルキレン基は側鎖としてアルキル基を有していても良い。また、当該アルキレン基、及び当該アルキル基はカルボニル基を含んでいても良く、エーテル結合を有していても良い。また、当該カルボニル基と当該エーテル結合とが連続してエステル構造となってもよい。また、一般式(G1)中、Z、Zはそれぞれ独立してアクリロイル基又はメタクリロイル基を示す。
【0010】
なお、上記構成において、一般式(G1)中のY、Yは、それぞれ独立して炭素及び酸素の合計が奇数のアルキレン基であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の別の一態様は、ブルー相を発現する液晶材料、下記一般式(G1−1)で示される液晶性モノマー、非液晶性モノマー、及び重合開始剤を含む液晶組成物である。
【化2】

【0012】
但し、一般式(G1−1)中、Xは、メソゲン骨格を示す。また、一般式(G1−1)中、R、Rは、それぞれ独立に水素またはメチル基のいずれか一を示す。また、一般式(G1−1)中、n、mは、液晶性が維持できる程度であり、またブルー相を発現する液晶材料との相溶性が低下しない程度の長さであるとして、それぞれ独立に1〜19のいずれか一である。
【0013】
なお、上記構成において、一般式(G1−1)中のXは、下記構造式(s11)〜(s18)のいずれか一であることを特徴とする。
【0014】
【化3】

【0015】
但し、構造式(s11)中のR〜R、構造式(s12)中のR〜R10、構造式(s13)中のR11〜R14、構造式(s15)中のR15〜R18は、それぞれ独立に水素、メチル基、またはフッ素のいずれか一である。
【0016】
また、上記各構成において、一般式(G1)または一般式(G1−1)で示される液晶性モノマーは、下記構造式(104)であることを特徴とする。
【0017】
【化4】

【0018】
また、上記各構成において、一般式(G1)で示される液晶性モノマーは、下記構造式(102)であることを特徴とする。
【0019】
【化5】

【0020】
なお、本発明の一態様である液晶組成物において、上記一般式(G1)および上記一般式(G1−1)で示される液晶性モノマーは、液晶性が維持できる程度であり、またブルー相を発現する液晶材料との相溶性が低下しない程度の長さであるとして、アルキレン基の長さ(酸素及び炭素の合計数)を1〜20とすることにより、高分子安定化処理(重合処理)の際、Xで示されるメソゲン骨格間の分子間相互作用を抑えるとともに、液晶組成物内での相分離を容易にすることができる。そのため、ブルー相を発現する温度範囲が拡大された高分子/液晶複合体を得るための、高分子安定化処理の温度範囲を拡大することが可能となる。これにより、高分子安定化ブルー相を発現する高分子/液晶複合体における配向状態の乱れを低減させることができる。なお、アルキレン基の長さ(酸素及び炭素の合計数)が上記範囲よりも長くなる場合であっても、液晶性が維持できる程度であり、またブルー相を発現する液晶材料との相溶性が低下しない程度の長さであれば本発明に含まれることとする。なお、本明細書中において、ブルー相を発現する液晶組成物とは、光学的変調作用を有し、電圧無印加時には光学的に等方性であるが、電圧印加によって配向秩序が変化して光学的に異方性となるものをいう。
【0021】
また、上記構成において、液晶組成物に含まれるブルー相を発現する液晶材料としては、ネマチック性液晶性化合物、スメクチック性液晶性化合物が挙げられ、ネマチック性液晶性化合物が好ましい。なお、ネマチック性液晶性化合物としては特に制限されず、ビフェニル系化合物、ターフェニル系化合物、フェニルシクロヘキシル系化合物、ビフェニルシクロヘキシル系化合物、フェニルビシクロヘキシル系化合物、安息香酸フェニル系化合物、シクロヘキシル安息香酸フェニル系化合物、フェニル安息香酸フェニル系化合物、ビシクロヘキシルカルボン酸フェニル系化合物、アゾメチン系化合物、アゾおよびアゾオキシ系化合物、スチルベン系化合物、ビシクロヘキシル系化合物、フェニルピリミジン系化合物、ビフェニルピリミジン系化合物、およびピリミジン系化合物などが挙げられる。
【0022】
また、上記構成において、液晶組成物に含まれる非液晶性モノマーとしては、分子構造中にアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、エポキシ基、フマレート基、シンナモイル基等の重合性基を含むモノマーなどが挙げられる。
【0023】
また、上記構成において、液晶組成物に含まれる重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、ベンジル類、ミヒラーケトン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、およびチオキサントン類などが挙げられる。
【0024】
また、本発明の別の一態様は、ブルー相を発現する液晶材料、液晶性モノマーを含む液晶組成物を用いて形成された高分子/液晶複合体である。なお、液晶組成物は、非液晶性モノマー、および重合開始剤を含んでいてもよい。
【0025】
また、本発明の別の一態様は、ブルー相を発現する液晶材料、液晶性モノマーを含む液晶組成物を用いて形成された液晶素子である。なお、液晶組成物は、非液晶性モノマー、および重合開始剤を含んでいてもよい。
【0026】
また、本発明の別の一態様は、ブルー相を発現する液晶材料、液晶性モノマーを含む液晶組成物を重合させて得られる高分子/液晶複合体を有する液晶素子である。なお、液晶組成物は、非液晶性モノマー、および重合開始剤を含んでいてもよい。
【0027】
また、本発明の別の一態様は、ブルー相を発現する液晶材料、液晶性モノマーを含む液晶組成物を用いて形成された液晶表示装置である。なお、液晶組成物は、非液晶性モノマー、および重合開始剤を含んでいてもよい。
【0028】
また、本発明の別の一態様は、ブルー相を発現する液晶材料、液晶性モノマーを含む液晶組成物を重合させて得られる高分子/液晶複合体を有する液晶表示装置である。なお、液晶組成物は、非液晶性モノマー、および重合開始剤を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様である液晶組成物を用いることにより、ブルー相を発現する温度範囲が拡大された高分子/液晶複合体を得るための、高分子安定化処理の温度範囲を拡大することが可能となり、高分子安定化ブルー相を示す高分子/液晶複合体における配向状態の乱れを低減させることができる。したがって、これらの液晶組成物を用いて作製された高分子安定化ブルー相を利用した液晶素子や液晶表示装置の歩留まりを向上させることができる。また、本発明の一態様である液晶組成物を用いることにより液晶素子の駆動電圧を低下させることができるので、液晶表示装置の駆動電圧を低下させることができる。また、上記液晶組成物に含まれる液晶性モノマーとして新規な材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】液晶性モノマーについて説明する図。
【図2】液晶素子の一態様を示す図。
【図3】液晶表示装置の一態様を示す図
【図4】液晶表示装置の一態様を示す図
【図5】液晶表示装置の応用例を示す図。
【図6】液晶表示装置の応用例を示す図。
【図7】RM−O7(略称)のNMRチャート図。
【図8】RM−O7(略称)のNMRチャート図。
【図9】RM−O7(略称)の吸収スペクトル。
【図10】実施例1で説明する高分子安定化処理可能な温度範囲を示す図。
【図11】実施例3で説明する液晶素子の電圧−透過率特性を示す図。
【図12】実施例4で説明する高分子安定化処理可能な温度範囲を示す図。
【図13】実施例1で作製された液晶素子の配向写真を示す図。
【図14】実施例4で作製された液晶素子の配向写真を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることが可能である。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0032】
また、本明細書中で説明する液晶表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て液晶表示装置に含むものとする。
【0033】
(実施の形態1)
本実施の形態では、高分子安定化ブルー相を発現する液晶組成物、および液晶組成物を高分子安定化処理(重合処理)して得られる高分子/液晶複合体について説明する。
【0034】
本実施の形態で示す液晶組成物は、ブルー相を発現する液晶材料、液晶性モノマー、非液晶性モノマー、および重合開始剤を含んで構成される。
【0035】
ブルー相を発現する液晶材料とは、光を実質的に散乱せずかつ光学的に等方性の状態である、いわゆるブルー相を発現することが可能な液晶材料をいう。ブルー相を発現する液晶材料としては、ネマチック性液晶性化合物、スメクチック性液晶性化合物等が挙げられ、ネマチック性液晶性化合物が好ましい。なお、ネマチック性液晶性化合物としては特に制限されず、ビフェニル系化合物、ターフェニル系化合物、フェニルシクロヘキシル系化合物、ビフェニルシクロヘキシル系化合物、フェニルビシクロヘキシル系化合物、安息香酸フェニル系化合物、シクロヘキシル安息香酸フェニル系化合物、フェニル安息香酸フェニル系化合物、ビシクロヘキシルカルボン酸フェニル系化合物、アゾメチン系化合物、アゾおよびアゾオキシ系化合物、スチルベン系化合物、ビシクロヘキシル系化合物、フェニルピリミジン系化合物、ビフェニルピリミジン系化合物、ピリミジン系化合物、およびビフェニルエチン系化合物等が挙げられる。
【0036】
液晶性モノマーは、液晶性を示し、例えば、光重合又は熱重合によって重合することができるモノマーである。具体的には、図1(a)に示すようにメソゲン骨格101と2つのアルキレン基102、103を有する構造である。なお、本明細書中におけるメソゲン骨格とは、芳香環などの環を2環以上有する構造の剛直性に富むユニットのことを言う。また、図1(a)において、アルキレン基102の鎖長をra1で示し、アルキレン基103の鎖長をra2で示す。なお、アルキレン基102とアルキレン基103は、同じであっても異なっていてもよい。
【0037】
図1(a)に示す液晶性モノマーを重合して得られる重合体は、例えば図1(b)に示すような構造をとる。すなわち、液晶性モノマー100aと液晶性モノマー100bを重合すると、液晶性モノマー100aのメソゲン骨格101aと、液晶性モノマー100bのメソゲン骨格101bとの間の長さ(距離)は、r(=ra2+rb1)で示される。
【0038】
なお、本発明の一態様において、液晶組成物の高分子安定化処理(重合処理)の際、液晶組成物に含まれる液晶性モノマーの重合時のメソゲン骨格間の長さ(r)を、一定の範囲にすることが好ましい。液晶性モノマーの側鎖が長い方が、液晶組成物の(粘度が下がり)液晶組成物内での相分離が容易となる。また、高分子安定化処理(重合処理)の際、重合過程において、メソゲン骨格間の長さ(r)が短すぎると、メソゲン骨格間の分子間相互作用により(液晶性モノマーの重合時における粘度が高くなり、相分離しにくくなるので)高分子安定化を図ることが難しくなる。また、重合した際のメソゲン骨格間の長さ(r)が長すぎると、液晶材料との相溶性が低下するなどの問題が生じる。
【0039】
以上のことから、メソゲン骨格間の長さ(r)を、一定の範囲にすることで、液晶組成物内での相分離を容易にし、ブルー相を発現する温度範囲が拡大された高分子/液晶複合体を得るための、高分子安定化処理の温度範囲を拡大することができる。これにより、高分子安定化ブルー相を示す高分子/液晶複合体における配向状態の乱れを低減することができる。なお、図1(a)に示す2つのアルキレン基102、103は、同一の構造であっても異なる構造であってもよい。
【0040】
上記メソゲン骨格間の分子間相互作用は、メソゲン骨格間の長さ(r)によって影響を受けることから、メソゲン骨格間の長さ(r)を、一定の範囲とした本発明の一態様における液晶性モノマーは、下記一般式(G1)で示される。
【0041】
【化6】

【0042】
但し、一般式(G1)中、Xは、メソゲン骨格を示す。また、一般式(G1)中、Y、Yは、液晶性が維持できる程度であり、またブルー相を発現する液晶材料との相溶性が低下しない程度の長さであるとして、それぞれ独立して鎖長(酸素及び炭素の合計)が1〜20のアルキレン基を示す。アルキレン基は側鎖としてアルキル基を有していても良い。また、当該アルキレン基、及び当該アルキル基はカルボニル基を含んでいても良く、エーテル結合を有していても良い。また、当該カルボニル基と当該エーテル結合とが連続してエステル構造となってもよい。また、一般式(G1)中、Z、Zはそれぞれ独立してアクリロイル基又はメタクリロイル基を示す。
【0043】
なお、上記一般式(G1)中のY、Yは、それぞれ独立して鎖長(酸素及び炭素の合計)が奇数のアルキレン基であることが好ましい。
【0044】
また、一般式(G1)中のXで表される構造として、具体的には、下記構造式(s1)〜(s8)等が挙げられる。
【0045】
【化7】

【0046】
但し、構造式(s1)〜(s8)中に示す(Y)は、一般式(G1)中のY、またはYのいずれかとの結合部位を示す。また、構造式(s1)中のR〜R、構造式(s2)中のR〜R10、構造式(s3)中のR11〜R14は、それぞれ独立に水素、メチル基、またはフッ素のいずれか一である。
【0047】
また、一般式(G1)中のY、Yで表される構造として、具体的には、下記構造式(t1)〜(t48)等が挙げられる。
【0048】
【化8】

【0049】
【化9】

【0050】
但し、構造式(t1)〜(t48)中に示す(X)は、一般式(G1)中のXとの結合部位を示し、構造式(t1)〜(t48)中に示す(Z)は、一般式(G1)中のZ、またはZのいずれかとの結合部位をそれぞれ示す。また、構造式(t1)〜(t48)で表されるアルキレン基は、(X)で表される部分に(Z)が結合され、(Z)で表される部分に(X)が結合される構造であっても良い。
【0051】
また、一般式(G1)中のZ、Zで表される構造として、具体的には、下記構造式(u1)、(u2)等が挙げられる。
【0052】
【化10】

【0053】
また、本発明の一態様における液晶性モノマーは、下記一般式(G1−1)で示される構造であってもよい。
【0054】
【化11】

【0055】
但し、一般式(G1−1)中、Xは、メソゲン骨格を示す。また、一般式(G1−1)中、R、Rは、それぞれ独立に水素またはメチル基のいずれか一を示す。また、一般式(G1−1)中、n、mは、液晶性が維持できる程度であり、またブルー相を発現する液晶材料との相溶性が低下しない程度の長さであるとして、それぞれ独立に1〜19のいずれか一である。
【0056】
また、一般式(G1−1)中のXで表される構造として、具体的には、下記構造式(s11)〜(s18)等が挙げられる。
【0057】
【化12】

【0058】
但し、構造式(s11)中のR〜R、構造式(s12)中のR〜R10、構造式(s13)中のR11〜R14、構造式(s15)中のR15〜R18は、それぞれ独立に水素、メチル基、またはフッ素のいずれか一である。
【0059】
一般式(G1)または一般式(G1−1)で表される液晶性モノマーの具体例としては、構造式(100)〜構造式(110)で表される液晶性モノマーが挙げられる。ただし、本発明は、これらに限定されない。
【0060】
【化13】

【0061】
【化14】

【0062】
なお、構造式(100)で示す液晶性モノマーは、鎖長(酸素及び炭素の合計)が3のアルキレン基を有し、1,4−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:MeRM−O2)である。
【0063】
構造式(101)で示す液晶性モノマーは、鎖長(酸素及び炭素の合計)が4のアルキレン基を有し、1,4−ビス[4−(3−アクリロイルオキシ−n−プロピル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O3)である。
【0064】
構造式(102)で示す液晶性モノマーは、鎖長(酸素及び炭素の合計)が5のアルキレン基を有し、1,4−ビス[4−(4−アクリロイルオキシ−n−ブチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O4)である。
【0065】
構造式(103)で示す液晶性モノマーは、鎖長(酸素及び炭素の合計)が6のアルキレン基を有し、1,4−ビス[4−(5−アクリロイルオキシ−n−ペンチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O5)である。
【0066】
構造式(104)で示す液晶性モノマーは、鎖長(酸素及び炭素の合計)が7のアルキレン基を有し、1,4−ビス[4−(6−アクリロイルオキシ−n−へキシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O6)である。
【0067】
構造式(105)で示す液晶性モノマーは、鎖長(酸素及び炭素の合計)が8のアルキレン基を有し、1,4−ビス[4−(7−アクリロイルオキシ−n−ヘプチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O7)である。
【0068】
構造式(106)で示す液晶性モノマーは、鎖長(酸素及び炭素の合計)が9のアルキレン基を有し、1,4−ビス[4−(8−アクリロイルオキシ−n−オクチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O8)である。
【0069】
構造式(107)で示す液晶性モノマーは、鎖長(酸素及び炭素の合計)が10のアルキレン基を有し、1,4−ビス[4−(9−アクリロイルオキシ−n−ノニル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O9)である。
【0070】
構造式(108)で示す液晶性モノマーは、鎖長(酸素及び炭素の合計)が11のアルキレン基を有し、1,4−ビス[4−(10−アクリロイルオキシ−n−デシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O10)である。
【0071】
構造式(109)で示す液晶性モノマーは、鎖長(酸素及び炭素の合計)が12のアルキレン基を有し、1,4−ビス[4−(11−アクリロイルオキシ−n−ウンデシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O11)である。
【0072】
構造式(110)で示す液晶性モノマーは、鎖長(酸素及び炭素の合計)が7のアルキレン基を有し、4,4’−ビス(6−アクリロイルオキシ−n−へキシル−1−オキシ)−1,1’−ビフェニル(略称:Dac−PP−O6)である。
【0073】
非液晶性モノマーは、液晶性を示さず、光重合又は熱重合等によって重合することができるモノマーであって、棒状の分子構造(例えば、ビフェニル基、又はビフェニル・シクロヘキシル基等の末端にアルキル基、シアノ基、フッ素などが付いたような分子構造)を有さないモノマーをいう。具体的には、分子構造中にアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、エポキシ基、フマレート基、シンナモイル基等の重合性基を含むモノマーが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0074】
重合反応としては、光重合反応や熱重合反応が可能であるが、光重合反応が好ましく、紫外線による光重合反応が特に好ましい。従って、重合開始剤としては、例えばアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、ベンジル類、ミヒラーケトン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、およびチオキサントン類などから適宜選択して用いることができる。なお、重合開始剤は、高分子安定化処理後の高分子/液晶複合体中では液晶表示装置の動作に寄与しない不純物となるため可能な限り少量とすることが望ましい。従って、例えば、液晶組成物に対して0.5wt%以下とするのが好ましい。
【0075】
また、上記液晶組成物には、上述したブルー相を発現する液晶材料、液晶性モノマー、非液晶性モノマー、重合開始剤の他に、カイラル剤を含んでいてもよい。なお、カイラル剤とは、液晶材料にねじれ構造を生じさせるものである。また、カイラル剤の添加量はブルー相を発現する液晶材料の回折波長に影響する。従って、カイラル剤の添加量は、ブルー相を発現する液晶材料の回折波長が可視領域(380〜750nm)外となるように調整するのが好ましい。カイラル剤としては、S−811(メルク社製)、S−1011(メルク社製)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−2,5−ビス[4−(n−ヘキシル−1−オキシ)安息香酸]ソルビトール(略称:ISO−(6OBA))(みどり化学株式会社製)などを適宜選択して用いることができる。
【0076】
本発明の一態様である液晶組成物は、以上の材料を含んで構成される。そして、この液晶組成物を高分子安定化処理(重合処理)することにより、高分子安定化ブルー相を発現する高分子/液晶複合体を得ることができる。
【0077】
なお、液晶組成物の高分子安定化処理(重合処理)において、光重合反応を用いる場合の処理温度は、高分子安定化処理(重合処理)により得られる高分子/液晶複合体が、高分子安定化ブルー相を示す温度であることが好ましい。より好ましくは液晶組成物および高分子/液晶複合体が(等方相または)ブルー相の状態を維持できる温度とするのが好ましい。また、液晶組成物が等方相であっても高分子安定化処理(重合処理)後の高分子/液晶複合体がブルー相の状態を維持できる温度であればよい。また高分子安定化処理(重合処理)中において温度を変化させてもよく、この場合、液晶組成物が等方相またはブルー相を発現する温度で重合を開始し、高分子/液晶複合体がブルー相を示す温度であればよい。
【0078】
上記温度範囲において、紫外線などを照射することにより、光重合反応を行う。なお、重合させる時間については、液晶組成物に含まれる材料に応じて適宜調節すればよい。
【0079】
本発明の一態様である液晶組成物を用いることにより、ブルー相を発現する温度範囲が拡大された高分子/液晶複合体を得るための、高分子安定化処理の温度範囲を拡大することが可能となり、高分子/液晶複合体における配向状態の乱れを低減させることができる。
【0080】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0081】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した液晶組成物を重合させて得られる高分子/液晶複合体を用いた液晶素子について、その一例を図2を用いて説明する。図2は液晶素子の断面図である。
【0082】
図2において、第1の基板200と第2の基板201との間には、液晶層202が設けられており、液晶層202には実施の形態1で説明した高分子/液晶複合体を用いている。また、第1の基板200上には、画素電極層203と、共通電極層204とが隣接して設けられている。
【0083】
本実施の形態に示す液晶素子は、基板に概略平行(すなわち水平な方向)な電界を生じさせて、基板と平行(すなわち水平な方向)に液晶分子を動かして、階調を制御する方式である。
【0084】
なお、液晶層202を介して隣接する画素電極層203と、共通電極層204との距離a(図2に示す)は、画素電極層203及び共通電極層204にそれぞれ所定の電圧を印加した時、液晶層202に含まれる液晶のうち、画素電極層203と共通電極層204との間に介在する液晶が応答する距離とする。なお、距離aの長さに応じて印加する電圧を適宜制御するものとする。
【0085】
第1の基板200、および第2の基板201にはバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、プラスチック基板などを用いることができる。
【0086】
また、画素電極層203、および共通電極層204は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛(ZnO)を混合したインジウム亜鉛酸化物(indium zinc oxide)、酸化インジウムに酸化シリコン(SiO)を混合した導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、またはタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、又はその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、又は複数種を用いてそれぞれ形成することができる。
【0087】
また、液晶層202は、実施の形態1で説明した液晶組成物を滴下法(ODF)や、液晶注入法などにより、第1の基板200と第2の基板201との間に備えた後、重合して高分子/液晶複合体とすることにより得られる。なお、得られる液晶層202の厚さ(膜厚)は、1μm以上20μm以下とすることが好ましい。
【0088】
以上により得られる液晶素子は、画素電極層203と共通電極層204との間に水平方向の電界が形成されるため、第1の基板201に対して水平方向に液晶層202中の液晶分子を制御することができる。
【0089】
本実施の形態に示す液晶素子は、高分子安定化ブルー相を発現することができる液晶素子であり、液晶層202に用いた高分子/液晶複合体は、高速応答が可能で、高いコントラストを付与することができる液晶素子である。
【0090】
また、本実施の形態に示す液晶素子には、偏光板、位相差板、反射防止膜などの光学フィルムなどを適宜組み合わせて用いることができる。例えば、偏光板及び位相差板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライトなどを用いてもよい。
【0091】
なお、本実施の形態に示す液晶素子は、光源の光を透過することによって表示を行う透過型の液晶表示装置、入射する光を反射することによって表示を行う反射型の液晶表示装置、又は透過型と反射型を両方有する半透過型の液晶表示装置に適用することができる。
【0092】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である液晶組成物を液晶層に用いて作製された液晶表示装置について説明する。なお、本実施の形態で示す液晶表示装置は、表示素子として実施の形態2で説明したような液晶素子(液晶表示素子ともいう)を含む。また、液晶表示装置としては、パッシブマトリクス型の液晶表示装置でもアクティブマトリクス型の液晶表示装置でも適用可能であるが、本実施の形態では、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に適用した場合について、図3を用いて説明する。
【0093】
図3(A)は液晶表示装置の平面図であり、1画素分の画素を示している。また、図3(B)は図3(A)のX1−X2における断面図を示す。
【0094】
図3(A)において、複数のソース配線層305(配線層305aを含む)が互いに平行(図3(A)中、上下方向に延伸)かつ互いに離間した状態で配置されている。複数のゲート配線層301(ゲート電極層301aを含む)は、ソース配線層305とほぼ直交する方向(図3(A)中、左右方向)に延伸し、かつ互いに離間するように配置されている。また、複数の共通配線層308は、複数のゲート配線層301とそれぞれ隣接する位置に配置されており、ゲート配線層301に平行して、つまり、ソース配線層305とほぼ直交する方向(図3(A)中、左右方向)に延伸している。また、ソース配線層305、共通配線層308、及びゲート配線層301によって囲まれる空間には、液晶表示装置の画素電極層347及び共通電極層346が配置されている。なお、画素電極層347は、トランジスタ320と電気的に接続されており、トランジスタ320は、画素ごとにそれぞれ配置されている。
【0095】
また、図3(A)の液晶表示装置において、画素電極層347と共通配線層308によって容量が形成されている。共通配線層308は、フローティング状態(電気的に孤立した状態)で動作させることも可能だが、固定電位、好ましくはコモン電位(データとして送られる画像信号の中間電位)近傍でフリッカーの生じないレベルに設定してもよい。
【0096】
図3に示す液晶表示装置の電極構成は、画素電極層347と共通電極層346が基板と平行な同一面内に形成された構造であり、基板と水平方向に電界を発生させて、基板と平行な面内で液晶分子を動かして、階調を制御する方式(いわゆるIPSモード)に適用することができる。
【0097】
次に、図3(B)に示す液晶表示装置の断面構造について説明する。図3(B)に示す液晶表示装置は、トランジスタ320、画素電極層347、共通電極層346などを有する第1の基板341と、第2の基板342との間に液晶層344を挟んでなる構造である。また、第1の基板341と第2の基板342のそれぞれに接して、偏光板(343a、343b)が備えられている。
【0098】
なお、トランジスタ320は逆スタガ型の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である第1の基板341上に形成され、ゲート電極層301a、ゲート絶縁層302、半導体層303、ソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層305a、305bを含む。
【0099】
本実施の形態に示す液晶表示装置に適用できるトランジスタの構造は特に限定されず、例えばトップゲート構造、又はボトムゲート構造のスタガ型及びプレーナ型などを用いることができる。また、トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、2つ形成されるダブルゲート構造もしくは3つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、チャネル領域の上下にゲート絶縁層を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型でもよい。
【0100】
図3(B)において、第1の基板341上には、ゲート電極層301aが形成されている。ゲート電極層301aとしては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。ゲート電極層301aに遮光性を有する導電膜を用いると、バックライトからの光(第1の基板341から入射する光)が、半導体層303へ入射することを防止することができる。
【0101】
また、ゲート電極層301aは積層構造を有していてもよく、例えば、ゲート電極層301aが、2層の積層構造の場合には、アルミニウム層上にモリブデン層が積層された2層の積層構造、または銅層上にモリブデン層を積層した2層構造、または銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタル層を積層した2層構造、窒化チタン層とモリブデン層とを積層した2層構造とすることが好ましい。また、3層の積層構造の場合には、タングステン層または窒化タングステン層と、アルミニウムとシリコンの合金またはアルミニウムとチタンの合金と、窒化チタン層またはチタン層とを積層した積層構造とすることが好ましい。
【0102】
なお、絶縁膜からなる下地膜を第1の基板341とゲート電極層301aとの間に設けてもよい。下地膜は、第1の基板341からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜による単層、又は積層構造により形成することができる。
【0103】
ゲート絶縁層302は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層又は窒化酸化シリコン層を単層で又は積層して形成することができる。また、ゲート絶縁層302として、有機シランガスを用いてCVD法により形成された酸化シリコン層を用いることも可能である。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(化学式SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(化学式SiH(N(CH)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
【0104】
半導体層303に用いる材料は、特に限定されず、トランジスタ320に要求される特性に応じて適宜設定すればよい。半導体層303に用いることのできる材料としては、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質(アモルファスともいう。)半導体、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いは微結晶半導体、酸化物半導体などを用いることができる。
【0105】
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて、非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、微結晶半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
【0106】
また、酸化物半導体としては、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系、In−Sn−Zn−O系、In−Al−Zn−O系、Sn−Ga−Zn−O系、Al−Ga−Zn−O系、Sn−Al−Zn−O系や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系、Sn−Zn−O系、Al−Zn−O系、Zn−Mg−O系、Sn−Mg−O系、In−Mg−O系、In−Ga−O系や、In−O系、Sn−O系、Zn−O系などを用いることができる。また、上記酸化物半導体にSiOを含んでもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体とは、少なくともInとGaとZnを含む酸化物であり、その組成比に特に制限はない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでもよい。
【0107】
また、酸化物半導体としては、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を用いることができる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、またはGa及びCoなどがある。また、酸化物半導体として、単結晶構造ではなく、非晶質構造でもない構造であり、C軸配向を有した結晶性酸化物半導体(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor; CAACとも呼ぶ)を用いることができる。
【0108】
なお、半導体層303は、スパッタリング法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等により成膜することができる。また、半導体層303を所望の形状に加工するために用いるエッチング工程としては、ドライエッチングやウエットエッチングを用いることができる。
【0109】
なお、ドライエッチングに用いるエッチング装置としては、反応性イオンエッチング法(RIE法)を用いたエッチング装置や、ECR(Electron Cyclotron Resonance)やICP(Inductively Coupled Plasma)などの高密度プラズマ源を用いたドライエッチング装置を用いることができる。また、ICPエッチング装置と比べて広い面積に渡って一様な放電が得られやすいドライエッチング装置としては、上部電極を接地させ、下部電極に13.56MHzの高周波電源を接続し、さらに下部電極に3.2MHzの低周波電源を接続したECCP(Enhanced Capacitively Coupled Plasma)モードのエッチング装置がある。このECCPモードのエッチング装置であれば、例えば基板として、第10世代の3mを超えるサイズの基板を用いる場合にも対応することができる。
【0110】
トランジスタ320のソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層305a、305bの材料としては、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)から選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、熱処理を行う場合には、この熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。例えば、アルミニウム(Al)単体では耐熱性が劣り、また腐蝕しやすい等の問題点があるので耐熱性導電性材料と組み合わせて形成する。Alと組み合わせる耐熱性導電性材料としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)から選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜、または上述した元素を成分とする窒化物で形成する。
【0111】
なお、ゲート絶縁層302、半導体層303、配線層305a、305bを大気に触れさせることなく連続的に形成してもよい。大気に触れさせることなく連続成膜することで、大気成分や大気中に浮遊する汚染不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成することができるので、トランジスタ特性のばらつきを低減することができる。
【0112】
絶縁膜307、絶縁膜309には、乾式法や湿式法で形成される無機絶縁膜、有機絶縁膜を用いることができる。例えば、CVD法やスパッタリング法などを用いて得られる窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜などを用いることができる。また、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の有機材料を用いることができる。また、上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。また、絶縁膜307として酸化ガリウム膜を用いてもよい。
【0113】
なお、シロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂の置換基としては、有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を有していても良い。シロキサン系樹脂は塗布法により成膜し、焼成することによって用いることができる。
【0114】
なお、絶縁膜307、絶縁膜309は、上述した材料により形成される絶縁膜を複数積層させることにより形成してもよい。例えば、無機絶縁膜上に有機樹脂膜を積層する構造としてもよい。
【0115】
層間膜313は、上述した絶縁膜307、絶縁膜309と同様の材料を用いることができる。また、層間膜313の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等を用いることができる。
【0116】
また、画素電極層347及び共通電極層346には、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。その他にも、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、又はその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、又は複数種を用いて形成することができる。
【0117】
さらに、画素電極層347及び共通電極層346には、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極は、シート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。なお、導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、若しくはアニリン、ピロールおよびチオフェンなどの2種以上からなる共重合体またはその誘導体などがあげられる。
【0118】
液晶層344には、本発明の一態様である液晶組成物を用いる。なお、液晶組成物には、ブルー相を発現する液晶材料、液晶性モノマー、非液晶性モノマー、及び重合開始剤が含まれており、液晶層344には、この液晶組成物を高分子安定化処理(重合処理)して得られる高分子/液晶複合体を用いる。
【0119】
なお、ここでは図示しないが、第1の基板341と対向基板である第2の基板342との間に液晶層344を形成する液晶組成物を挟持させた後、シール材で固着する。液晶組成物を挟持させる方法として、ディスペンサ法(滴下法)や、第1の基板341と第2の基板342とを貼り合わせてから毛細管現象等を用いて注入する方法を用いることができる。
【0120】
また、シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。代表的には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン樹脂などを用いることができる。また、光(代表的には紫外線)重合開始剤、熱硬化剤、フィラー、カップリング剤を含んでもよい。
【0121】
また、液晶組成物を第1の基板341と第2の基板342との間に充填した後、光を照射して高分子安定化処理(重合処理)を行い、液晶層344を形成する。照射する光は、液晶組成物に含まれる液晶性モノマー、非液晶性モノマー、及び重合開始剤が反応する波長の光とする。この光照射による高分子安定化処理(重合処理)により、液晶層344が得られる。なお、シール材に光硬化樹脂を用いる場合には、高分子安定化処理と同時にシール材の硬化を行ってもよい。
【0122】
なお、本実施の形態で示す液晶表示装置の電極構造により、液晶層344に含まれる液晶分子は水平方向の電界により制御される。なお、高分子/液晶複合体は、ブルー相を呈するように配向しており、基板と平行な方向で制御できるため、視野角を広くすることができる。
【0123】
また、本実施の形態では、第1の基板341の外側(液晶層344と反対側)に偏光板343aを、第2の基板342の外側(液晶層344と反対側)に偏光板343bを設けている。なお、偏光板の他、位相差板、反射防止膜などの光学フィルムなどを設けてもよい。例えば、偏光板及び位相差板による円偏光を用いてもよい。
【0124】
また、図示しないが、本実施の形態に示す液晶表示装置の光源としては、バックライト、サイドライトなどを用いることができる。なお、光源からの光は、第1の基板341側から、視認側である第2の基板342へと透過するように照射される。
【0125】
また、大型の基板を用いて複数の液晶表示装置を作製する場合(所謂多面取り)、その分断工程は、高分子安定化処理の前か、偏光板を設ける前に行うことができるが、分断工程による液晶層への影響(分断工程時にかかる力などによる配向乱れなど)を考慮すると、第1の基板341と第2の基板342とを貼り合わせた後、高分子安定化処理の前が好ましい。
【0126】
本実施の形態に示す液晶表示装置において、本発明の一態様である液晶組成物を用いることにより、ブルー相を発現する温度範囲が拡大された高分子/液晶複合体を得るための、高分子安定化処理の温度範囲を拡大することが可能となり、高分子安定化ブルー相を示す高分子/液晶複合体における配向状態の乱れを低減させることができる。これにより、液晶表示装置におけるパネルの欠陥を低減させることができるので、液晶表示装置の歩留まりを向上させることができる。また、本発明の一態様である液晶組成物を用いることにより液晶素子の駆動電圧を低下させることができるので、液晶表示装置の駆動電圧を低下させることができる。
【0127】
また、本実施の形態に示す液晶表示装置において、高分子安定化ブルー相を発現することが可能であるため、高いコントラストを付与することができ、視認性のよい高画質な液晶表示装置を提供することができる。また、高速応答が可能であるため、液晶表示装置の高性能化も可能となる。
【0128】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0129】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様である液晶組成物を液晶層に用いて作製された液晶表示装置について説明する。なお、本実施の形態で示す液晶表示装置は、表示素子として実施の形態2で説明したような液晶素子(液晶表示素子ともいう)を含む。
【0130】
液晶表示装置の一形態に相当する液晶表示パネルの外観及び断面について、図4を用いて説明する。図4(A1)(A2)は、第1の基板4001上に形成されたトランジスタ4010、4011、及び液晶素子4013を、第2の基板4006との間にシール材4005によって封止した、パネルの上面図であり、図4(B)は、図4(A1)(A2)のM−Nにおける断面図に相当する。
【0131】
第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、走査線駆動回路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、走査線駆動回路4004は、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006によって、液晶層4008と共に封止されている。
【0132】
また、図4(A1)は第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。なお、図4(A2)は信号線駆動回路の一部を第1の基板4001上に設けられたトランジスタで形成する例であり、第1の基板4001上に信号線駆動回路4003bが形成され、かつ別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路4003aが実装されている。
【0133】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。図4(A1)は、COG方法により信号線駆動回路4003を実装する例であり、図4(A2)は、TAB方法により信号線駆動回路4003を実装する例である。
【0134】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は、トランジスタを複数有しており、図4(B)では、画素部4002に含まれるトランジスタ4010と、走査線駆動回路4004に含まれるトランジスタ4011とを例示している。トランジスタ4010、4011上には絶縁層4020、層間膜4021が設けられている。
【0135】
トランジスタ4010、4011には、公知のトランジスタを適用することができる。
【0136】
また、層間膜4021、又は絶縁層4020上において、駆動回路用のトランジスタ4011の半導体層のチャネル形成領域と重なる位置に導電層を設けてもよい。導電層は、電位がトランジスタ4011のゲート電極層と同じでもよいし、異なっていても良く、第2のゲート電極層として機能させることもできる。また、導電層の電位がGND、0V、或いはフローティング状態であってもよい。
【0137】
また、層間膜4021上に画素電極層4030及び共通電極層4031が形成され、画素電極層4030はトランジスタ4010と電気的に接続されている。液晶素子4013は、画素電極層4030、共通電極層4031及び液晶層4008を含む。なお、第1の基板4001、第2の基板4006の外側にはそれぞれ偏光板4032a、4032bが設けられている。
【0138】
液晶層4008には、実施の形態1で示した液晶組成物を用いる。
【0139】
なお、画素電極層4030と共通電極層4031との間に電界を形成することで、液晶層4008の液晶分子を制御する。液晶層4008には水平方向の電界が形成されるため、その電界により液晶分子が制御される。実施の形態1で示した液晶組成物は、高分子安定化処理(重合処理)により高分子/液晶複合体となっており、高分子/液晶複合体に含まれる液晶は、ブルー相を呈するように配向しており、基板と平行な方向で制御できるため、視野角を広くすることができる。
【0140】
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、透光性を有するガラス、プラスチックなどを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0141】
また、柱状のスペーサ4035は絶縁層を選択的にエッチングすることで得られ、液晶層4008の膜厚(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。液晶表示装置において、液晶層4008の厚さであるセルギャップは1μm以上20μm以下とすることが好ましい。なお、本明細書においてセルギャップとは、液晶層4008の厚さ(膜厚)の最大値とする。
【0142】
図4に示す液晶表示装置は、透過型液晶表示装置であるが、本発明における液晶表示装置は半透過型液晶表示装置でも、反射型液晶表示装置でもよい。
【0143】
また、図4の液晶表示装置では、基板の外側(視認側)に偏光板を設ける例を示すが、偏光板は基板の内側に設けてもよい。偏光板の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。また、ブラックマトリクスとして機能する遮光層を設けてもよい。
【0144】
また、層間膜4021の一部としてカラーフィルタ層や遮光層を形成してもよい。図4においては、トランジスタ4010、4011上方を覆うように第2の基板4006側に遮光層4034が設けられている。なお、遮光層4034を設けることにより、コントラスト向上やトランジスタの安定化を図ることができる。
【0145】
絶縁層4020を設けることにより、トランジスタの保護膜として機能させる構成としてもよいが、特に限定されない。この場合の保護膜とは、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜が好ましい。保護膜は、スパッタリング法を用いて、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜の単層、又は積層で形成すればよい。
【0146】
また、平坦化絶縁膜として透光性の絶縁層をさらに形成する場合には、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また、上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させて絶縁層を形成してもよい。
【0147】
また、積層する絶縁層の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタリング法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等を用いることができる。
【0148】
画素電極層4030及び共通電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。その他にも、画素電極層4030及び共通電極層4031はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、又はその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、又は複数種を用いて形成することができる。
【0149】
さらに、画素電極層4030及び共通電極層4031には、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。
【0150】
また別途形成された信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004または画素部4002に与えられる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている。
【0151】
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、ゲート線またはソース線に対して、駆動回路保護用の保護回路を同一基板上に設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
【0152】
図4では、接続端子電極4015が、画素電極層4030と同じ導電膜から形成され、端子電極4016は、トランジスタ4010、4011のソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電膜で形成されている。また、接続端子電極4015は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
【0153】
また図4においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4001に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実装しても良い。
【0154】
本実施の形態に示す液晶表示装置において、本発明の一態様である液晶組成物を用いることにより、ブルー相を発現する温度範囲が拡大された高分子/液晶複合体を得るための、高分子安定化処理の温度範囲を拡大することが可能となり、高分子安定化ブルー相を示す高分子/液晶複合体における配向状態の乱れを低減させることができる。これにより、液晶表示装置におけるパネルの欠陥を低減させることができるので、液晶表示装置の歩留まりを向上させることができる。また、本発明の一態様である液晶組成物を用いることにより液晶素子の駆動電圧を低下させることができるので、液晶表示装置の駆動電圧を低下させることができる。
【0155】
また、本実施の形態に示す液晶表示装置において、高分子安定化ブルー相を発現することが可能であるため、高いコントラストを付与することができ、視認性のよい高画質な液晶表示装置を提供することができる。また、高速応答が可能であるため、液晶表示装置の高性能化も可能となる。
【0156】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0157】
(実施の形態5)
本明細書に開示する液晶表示装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0158】
図5(A)は電子書籍(E−bookともいう)であり、筐体5000、表示部5001、操作キー5002、太陽電池5003、充放電制御回路5004を有することができる。図5(A)に示した電子書籍は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報を操作又は編集する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。なお、図5(A)では充放電制御回路5004の一例としてバッテリー5005、DCDCコンバータ(以下、コンバータと略記)5006を有する構成について示している。実施の形態3または実施の形態4のいずれかで示した液晶表示装置を表示部5001に適用することにより、高コントラストで視認性がよく、高速応答で高性能、さらには、低駆動電圧を実現した電子書籍とすることができる。
【0159】
図5(A)に示す構成とすることにより、表示部5001として半透過型、又は反射型の液晶表示装置を用いる場合、比較的明るい状況下での使用も予想され、太陽電池5003による発電、及びバッテリー5005での充電を効率よく行うことができ、好適である。なお太陽電池5003は、筐体5000の空きスペース(表面や裏面)に適宜設けることができるため、効率的なバッテリー5005の充電を行う構成とすることができるため好適である。なおバッテリー5005としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0160】
また、図5(A)に示す充放電制御回路5004の構成、及び動作について図5(B)にブロック図を示し説明する。図5(B)には、太陽電池5003、バッテリー5005、コンバータ5006、コンバータ5007、スイッチSW1乃至SW3、表示部5001について示しており、バッテリー5005、コンバータ5006、コンバータ5007、スイッチSW1乃至SW3が充放電制御回路5004に対応する箇所となる。
【0161】
ここで、外光により太陽電池5003により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池5003で発電した電力は、バッテリー5005を充電するための電圧となるようコンバータ5006で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部5001の動作に太陽電池5003からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ5007で表示部5001に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部5001での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー5005の充電を行う構成とすればよい。
【0162】
次に、外光により太陽電池5003により発電がされない場合の動作の例について説明する。バッテリー5005に蓄電された電力は、スイッチSW3をオンにすることでコンバータ5007により昇圧または降圧がなされる。そして、表示部5001の動作にバッテリー5005からの電力が用いられることとなる。
【0163】
なお、太陽電池5003については、充電手段の一例として示したが、他の手段によるバッテリー5005の充電を行う構成であってもよい。また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
【0164】
図6(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、本体6001、筐体6002、表示部6003、キーボード6004などによって構成されている。実施の形態3または実施の形態4のいずれかで示した液晶表示装置を表示部6003に適用することにより、高コントラストで視認性がよく、高速応答で高性能、さらには、低駆動電圧を実現したノート型のパーソナルコンピュータとすることができる。
【0165】
図6(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体6011には表示部6012と、外部インターフェイス6013と、操作ボタン6014等が設けられている。また操作用の付属品としてスタイラス6015がある。実施の形態3または実施の形態4のいずれかで示した液晶表示装置を表示部6012に適用することにより、高コントラストで視認性がよく、高速応答で高性能、さらには、低駆動電圧を実現した携帯情報端末(PDA)とすることができる。
【0166】
図6(C)は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍6021は、筐体6022および筐体6023の2つの筐体で構成されている。筐体6022および筐体6023は、軸部6024により一体とされており、該軸部6024を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
【0167】
筐体6022には表示部6025が組み込まれ、筐体6023には表示部6026が組み込まれている。表示部6025および表示部6026は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図6(C)では表示部6025)に文章を表示し、左側の表示部(図6(C)では表示部6026)に画像を表示することができる。実施の形態3または実施の形態4のいずれかで示した液晶表示装置を表示部6025、表示部6026に適用することにより、高コントラストで視認性がよく、高速応答で高性能、さらには、低駆動電圧を実現した電子書籍6021とすることができる。
【0168】
また、図6(C)では、筐体6022に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体6022において、電源6027、操作キー6028、スピーカー6029などを備えている。操作キー6028により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍6021は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
【0169】
また、電子書籍6021は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0170】
図6(D)は、携帯電話であり、筐体6031及び筐体6032の二つの筐体で構成されている。筐体6031には、表示パネル6033、スピーカー6034、マイクロフォン6035、ポインティングデバイス6036、カメラ用レンズ6037、外部接続端子6038などを備えている。また、筐体6032には、携帯型情報端末の充電を行う太陽電池セル6039、外部メモリスロット6040などを備えている。また、アンテナは筐体6031内部に内蔵されている。実施の形態3または実施の形態4のいずれかで示した液晶表示装置を表示パネル6033に適用することにより、高コントラストで視認性がよく、高速応答で高性能、さらには、低駆動電圧を実現した携帯電話とすることができる。
【0171】
また、表示パネル6033はタッチパネルを備えており、図6(D)には映像表示されている複数の操作キー6041を点線で示している。なお、太陽電池セル6039で出力される電圧を各回路に必要な電圧に昇圧するための昇圧回路も実装している。
【0172】
表示パネル6033は、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル6033と同一面上にカメラ用レンズ6037を備えているため、テレビ電話が可能である。スピーカー6034及びマイクロフォン6035は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生などが可能である。さらに、筐体6031と筐体6032は、スライドし、図6(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。
【0173】
外部接続端子6038はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット6040に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応できる。
【0174】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであってもよい。
【0175】
図6(E)は、デジタルビデオカメラであり、本体6051、表示部(A)6052、接眼部6053、操作スイッチ6054、表示部(B)6055、バッテリー6056などによって構成されている。実施の形態3または実施の形態4のいずれかで示した液晶表示装置を表示部(A)6052、表示部(B)6055に適用することにより、高コントラストで視認性がよく、高速応答で高性能、さらには、低駆動電圧を実現したデジタルビデオカメラとすることができる。
【0176】
図6(F)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置6061は、筐体6062に表示部6063が組み込まれている。表示部6063により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド6064により筐体6062を支持した構成を示している。実施の形態3または実施の形態4のいずれかで示した液晶表示装置を表示部6063に適用することにより、高コントラストで視認性がよく、高速応答で高性能、さらには、低駆動電圧を実現したテレビジョン装置6061とすることができる。
【0177】
テレビジョン装置6061の操作は、筐体6062が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機により行うことができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
【0178】
なお、テレビジョン装置6061は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0179】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0180】
本実施例では、本発明の一形態である液晶組成物として10種類の液晶組成物を作製し、これらについて高分子安定化処理(重合処理)を行った結果を示す。
【0181】
本実施例で作製する液晶組成物では、ブルー相を発現する液晶材料としてE−8(略称)(メルク社製、または株式会社LCC製)、4−(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)−3’,4’−ジフルオロ−1,1’−ビフェニル(略称:CPP−3FF)、4−n−ペンチル安息香酸4−シアノ−3−フルオロフェニル(略称:PEP−5CNF)、非液晶性モノマーとしてメタクリル酸ドデシル(略称:DMeAc)(東京化成工業株式会社製)、重合開始剤としてDMPAP(略称)(東京化成工業株式会社製)、カイラル剤として1,4:3,6−ジアンヒドロ−2,5−ビス[4−(n−ヘキシル−1−オキシ)安息香酸]ソルビトール(略称:ISO−(6OBA))(みどり化学株式会社製)をそれぞれ用い、液晶性モノマーとしては、表1に示す10種類の材料のうちのいずれかを用いて10種類の液晶組成物を作製した。なお上述した物質の構造式を以下に示す。
【0182】
【化15】

【0183】
また、本実施例において、作製した液晶組成物の構成を表1に示す。混合比は全て重量比(wt%)で表す。
【0184】
【表1】

【0185】
また、本実施例では、液晶組成物の高分子安定化処理を行うために、一対のガラス基板間に液晶組成物を備え、シール材で封止して得られる液晶セルを作製した。なお、各液晶セル(液晶セル1〜液晶セル10)に用いた液晶性モノマーを表2に示す。
【0186】
【表2】

【0187】
液晶セル1〜10の作製は、一対のガラス基板間に空隙(4μm)を有してシール材で貼り合わせた後、注入法によって表1に示す割合で混合された液晶組成物を基板間に注入し、作製した。
【0188】
なお、シール材は紫外線及び熱硬化型シール材を用い、硬化処理として、90秒間の紫外線(放射照度100mW/cm)照射処理を行った。その後120℃で1時間加熱処理を行った。
【0189】
次に、液晶セルの高分子安定化評価を行った。高分子安定化評価には、偏光顕微鏡(MX−50 オリンパス株式会社製)及び温調器(MK1000 INSTEC社製)を用いた。
【0190】
液晶セル内の液晶組成物を等方相となる温度まで加熱した後、降温させ、任意の温度において恒温とし、紫外線(波長365nm、放射照度11mW/cm)を、6分間照射することによって高分子安定化処理を行った。なお、UV照射時の任意の温度については1℃刻みで評価を行った。
【0191】
上記観察の際の測定条件は、偏光顕微鏡において、測定モードを反射とし、偏光子にクロスニコルを用い、倍率を200倍として室温環境で測定した。
【0192】
高分子安定化ブルー相を発現する温度範囲が拡大された高分子/液晶複合体を得るための高分子安定化処理(ここでは、UV照射による重合処理)が可能な温度の上限、及び下限を図10に示す。
【0193】
図10の結果から、メソゲン骨格を有する液晶性モノマーにおいて、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)がある程度の長さを有していることで、通常に比べて高分子安定化処理(ここでは、UV照射による重合処理)が可能な温度範囲を拡大できることがわかる。
【0194】
従って、メソゲン骨格を有する液晶性モノマーにおいて、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)を20以下とすることは、高分子安定化処理(ここでは、UV照射による重合処理)が可能な温度範囲を拡大する上で好ましいが、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)を12以下とすることが、より好ましい。
【0195】
また、図10の結果から、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)が奇数となる液晶性モノマーを使用した場合、高分子安定化処理が可能な温度の範囲(上限−下限)が拡大する傾向が見られる。中でもアルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)が7となる液晶性モノマーを用いた場合、前後のアルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)が6や8の液晶性モノマーを使用した場合に比べて高分子安定化処理が可能な温度範囲がもっとも拡大することがわかった。
【0196】
具体的には、本実施例に示すメソゲン骨格の両端に鎖長(酸素及び炭素の合計数)が奇数(特に7が好ましい)であるアルキレン基を有し、両側のアルキレン基の末端にアクリロイル基を有する液晶性モノマーを含む液晶組成物を使用した場合にブルー相を発現する温度範囲が拡大された高分子/液晶複合体を得るための、高分子安定化処理が可能な温度範囲を拡大できることがわかった。
【0197】
一般に、高分子安定化ブルー相において、ブルー相を発現する温度範囲が拡大する要因として、UV照射によるモノマーの高分子安定化処理(重合処理)過程において、液晶材料と、重合により得られたポリマーとが相分離し、このポリマーがブルー相の欠陥領域へと濃縮(重合)されるためと考えられている。
【0198】
従って、本実施例においては、本実施例に示すメソゲン骨格の両側に鎖長(酸素及び炭素の合計数)が奇数(特に7が好ましい)であるアルキレン基を有し、両側のアルキレン基の末端にアクリロイル基を有する液晶性モノマーを含む液晶組成物を用いた場合、液晶材料とポリマーの相分離がより効率的に行われるために高分子安定化処理が可能となる処理温度が拡大しているものと考えられる。
【0199】
さらに、本実施例に示すメソゲン骨格を有する液晶性モノマーを使用した場合において、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)が奇数の場合と、偶数の場合で、それぞれ高分子安定化ブルー相を発現させた場合の配向状態について図13に示す。なお、図13の(A)、図13(B)には、液晶性モノマーのアルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)がそれぞれ4、6と偶数の場合について示し、図13の(C)、図13(D)には、液晶性モノマーのアルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)がそれぞれ5、7と奇数の場合について示す。
【0200】
この結果からは、液晶性モノマーのアルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)がそれぞれ4、6と偶数の場合には、プレートレット状組織が見られるが、液晶性モノマーのアルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)がそれぞれ5、7と奇数の場合には、プレートレット状組織が見られなかった。
【0201】
また、本実施例の結果からは、本発明の一態様である液晶組成物を用いることにより、ブルー相を発現する温度範囲が拡大された高分子/液晶複合体を得るための、高分子安定化処理の温度範囲を拡大することが可能となることがわかる。
【0202】
なお、高分子安定化ブルー相を発現できる液晶組成物において、高分子安定化処理が可能な温度範囲の拡大を図ることは、大面積の液晶表示装置などの作製において、UV照射時の面内温度の制御が難しい場合にとても有効である。
【実施例2】
【0203】
本実施例では、本発明の一態様である液晶組成物に含まれる液晶性モノマーであり、実施の形態1において構造式(105)で表される1,4−ビス[4−(7−アクリロイルオキシ−n−ヘプチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O7)の合成方法について具体的に説明する。
【0204】
【化16】

【0205】
[ステップ1:4−(7−ヒドロキシ−n−ヘプチル−1−オキシ)安息香酸エチルの合成]
【0206】
【化17】

【0207】
200mLのナスフラスコに3.5g(21mmol)の4−ヒドロキシ安息香酸エチルと、4.9g(25mmol)の7−ブロモ−1−ヘプタノールと、1.0g(25mol)の水酸化ナトリウムと、3.2g(21mmol)のよう化ナトリウムと、120mLの2−ブタノンを加え、この混合物を窒素気流下、60℃で11時間、撹拌した。その後、TLCにより反応が終了していることを確認した後、得られた混合物を自然濾過し、濾物を水に溶かして、この溶液をトルエンで3回抽出し、抽出液と濾液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥した。この混合物を自然濾過し得られた濾液を濃縮して白色固体を得た。
【0208】
得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=1:2を1000mL)により精製した。得られた目的物を含むフラクションを濃縮したところ、無色油状物質を5.0g、収率85%で得た。
【0209】
[ステップ2:4−(7−ヒドロキシ−n−ヘプチル−1−オキシ)安息香酸の合成]
【0210】
【化18】

【0211】
500mLのナスフラスコに5.0g(18mmol)の4−(7−ヒドロキシ−n−ヘプチル−1−オキシ)安息香酸エチルと、150mLの水酸化カリウム水溶液(0.5mol/L)を加え、この混合物を窒素気流下、100℃で10時間、撹拌した。その後、TLCにより反応が終了していることを確認した。得られた溶液へジエチルエーテルと希塩酸を加え、水層をジエチルエーテルで3回抽出した。有機層と抽出液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、この混合物を自然濾過により濾別し、濾液を濃縮して目的物の淡黄色固体を3.3g、粗収率73%で得た。
【0212】
[ステップ3:4−(7−アクリロイルオキシ−n−ヘプチル−1−オキシ)安息香酸の合成]
【0213】
【化19】

【0214】
500mLのナスフラスコに3.3g(13mmol)の4−(7−ヒドロキシ−n−ヘプチル−1−オキシ)安息香酸と、100mLの1,4−ジオキサンと、1.9g(16mmol)のN,N−ジメチルアニリンを加え撹拌した。この溶液に、1.4g(15mmol)アクリロイルクロリドをゆっくり加えた後、この溶液を窒素気流下、60℃で4時間撹拌した。その後、TLCにより反応が終了していることを確認した。得られた溶液を、約800mLの水にゆっくり加えたところ白色固体が析出した。白色固体を吸引濾過により回収し、濾物を乾燥したところ目的物の白色固体を3.5g、粗収率88%で得た。
【0215】
[ステップ4:1,4−ビス[4−(7−アクリロイルオキシ−n−ヘプチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(RM−O7)の合成]
【0216】
【化20】

【0217】
300mLのナスフラスコに3.5g(11mmol)の4−(7−アクリロイルオキシ−n−ヘプチル−1−オキシ)安息香酸と、0.71g(5.7mmol)のメチルヒドロキノンと、0.21g(1.7mmol)の4−(N,N−ジメチル)アミノピリジン(DMAP)と、80mLのアセトンと40mLのジクロロメタンを加え、大気下で撹拌した。この混合物に2.2g(11mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩(EDC)を加えたところ材料が全て溶け溶液となった。この溶液を大気下、室温で20時間攪拌した。
【0218】
その後、TLCにより反応が終了していることを確認し、この溶液に約40mLのクロロホルムを加えた。この溶液を約60mLまで濃縮し、得られた溶液へ飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水を加えた。この混合物の水層をクロロホルムで3回抽出し、得られた抽出液と有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥した。この混合物を自然濾過により濾別し、濾液を濃縮して油状物質を得た。
【0219】
この油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=1:1を700mL)により精製した。得られた目的物を含むフラクションを濃縮して無色油状物質を得た。得られた無色油状物質を、HPLC(高速液体クロマトグラフィー、展開溶媒;クロロホルム)により精製したところ、目的物の白色固体を0.38g、収率14%で得た。
【0220】
核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が、1,4−ビス[4−(7−アクリロイルオキシ−n−ヘプチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(RM−O7)であることを確認した。
【0221】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=1.38−1.51(m、12H)、1.68−1.86(m、8H)、2.24(s、3H)、4.05(t、J=5.4Hz、4H)、4.17(t、J=6.6Hz、4H)、5.82(dd、J1=10Hz、J2=1.5Hz、2H)、6.13(dd、J1=10Hz、J2=17Hz、2H)、6.41(dd、J1=1.5Hz、J2=17Hz、2H)、6.95−7.00(m、4H)、7.06−7.19(m、3H)、8.12−8.18(m、4H)。
【0222】
また、H NMRチャートを図7、図8(A)(B)に示す。なお、図8(A)は図7における1.0ppmから5.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。図8(B)は図7における5.5ppmから8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。測定結果から、上述の構造式(105)で表される1,4−ビス[4−(7−アクリロイルオキシ−n−ヘプチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O7)が得られたことがわかった。
【0223】
また、RM−O7(略称)のジクロロメタン溶液の吸収スペクトルを図9に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。RM−O7(略称)のジクロロメタン溶液中における吸収スペクトルの測定は、RM−O7(略称)のジクロロメタン溶液を石英セルに入れて測定し、石英とジクロロメタンの吸収スペクトルを差し引いて行った。
【0224】
図9において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。ジクロロメタン溶液の場合では263nm付近に吸収ピークが見られた。
【0225】
なお、実施の形態1で示す1,4−ビス[4−(5−アクリロイルオキシ−n−ペンチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O5)及び1,4−ビス[4−(11−アクリロイルオキシ−n−ウンデシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O11)の合成は、本実施例で示すRM−O7(略称)の合成において、反応式(A−1)で表されるステップで、7−ブロモ−1−ヘプタノールの代わりにそれぞれ、5−ブロモ−1−ペンタノール、11−ブロモ−1−ウンデカノールを用いて行った。次いで、(A―2)〜(A−4)に相当する反応を行うことで、RM−O5及びRM−O11を得た。
【0226】
また、実施の形態1で示す1,4−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:MeRM−O2)、及び1,4−ビス[4−(4−アクリロイルオキシ−n−ブチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2−メチルベンゼン(略称:RM−O4)の合成は、本実施例で示すRM−O7(略称)の合成において、反応式(A−4)で表されるステップで、4−(7−アクリロイルオキシ−n−ヘプチル−1−オキシ)安息香酸の代わりに、それぞれ4−(2−メタクリロイルオキシ−1−オキシ)安息香酸、4−(4−アクリロイルオキシ−n−ブチル−1−オキシ)安息香酸を用いて行った。
【実施例3】
【0227】
本実施例では、本発明の一形態である液晶組成物を用いて作製した液晶素子、およびその特性について示す。
【0228】
本実施例で示す液晶素子1には、実施例1において液晶セル1に用いた液晶組成物を用い、液晶素子2には、実施例1において液晶セル2に用いた液晶組成物を用い、液晶素子4には、実施例1において液晶セル4に用いた液晶組成物を用いて、それぞれ作製した。
【0229】
液晶素子1、液晶素子2、液晶素子4の作製においては、画素電極層及び共通電極層が櫛歯状に形成されたガラス基板と、別のガラス基板とを、間に空隙(4μm)を有してシール材によって貼り合わせた後、注入法によってそれぞれの液晶組成物を基板間に注入し、作製した。画素電極層及び共通電極層は、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法により成膜し、形成した。なお、その膜厚は110nmとし、画素電極層と共通電極層の各幅、及び画素電極層と共通電極層との間隔は2μmとした。
【0230】
なお、シール材には、紫外線及び熱硬化型シール材を用い、硬化処理として、90秒間の紫外線(放射照度100mW/cm)照射処理を行い、その後120℃で1時間加熱処理を行った。
【0231】
次に、液晶素子内の液晶組成物を等方相となる温度まで加熱した後、降温させ、任意の温度において恒温とし、紫外線(波長365nm、放射照度11mW/cm)を、6分間照射することによって高分子安定化処理を行った。
【0232】
液晶素子1、液晶素子2、液晶素子4のUV照射時の温度については実施例1においてそれぞれ液晶セル1、液晶セル2、液晶セル4の高分子安定化が可能であった温度とした。
【0233】
以上により得られた液晶素子1、液晶素子2、および液晶素子4について、電圧−透過率特性について測定を行った。電圧−透過率特性についての測定結果を図11に示す。
【0234】
なお、電圧透過率測定にはLCD−7200(大塚電子社製)を用いて、測定モードを透過とし、偏光子にクロスニコルを用いて行った。
【0235】
図11の結果より、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)が長い液晶性モノマーを使用することで駆動電圧が低下していることがわかる。
【0236】
従って、本実施例の結果からは、本発明の一態様であるメソゲン骨格を有する液晶性モノマーにおいて、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)が長い液晶性モノマーを使用することで、この液晶性モノマーを用いて作製される液晶素子の駆動電圧の低下を実現できることがわかる。
【実施例4】
【0237】
本実施例では、本発明の一形態である液晶組成物として、実施例1に用いたのとは異なるブルー相を発現する液晶材料を用いて10種類の液晶組成物を作製し、これらについて高分子安定化処理(重合処理)を行った結果を示す。
【0238】
本実施例で作製する液晶組成物では、ブルー相を発現する液晶材料としてMDA−00−3506(略称)(メルク社製)、NEDO LC−C(略称)(メルク社製)、4−(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)−3’,4’−ジフルオロ−1,1’−ビフェニル(略称:CPP−3FF)、4−n−ペンチル安息香酸4−シアノ−3−フルオロフェニル(略称:PEP−5CNF)、非液晶性モノマーとしてメタクリル酸ドデシル(略称:DMeAc)(東京化成工業株式会社製)、重合開始剤としてDMPAP(略称)(東京化成工業株式会社製)、カイラル剤として1,4:3,6−ジアンヒドロ−2,5−ビス[4−(n−ヘキシル−1−オキシ)安息香酸]ソルビトール(略称:ISO−(6OBA))(みどり化学株式会社製)をそれぞれ用い、液晶性モノマーとしては、表3に示す10種類の材料のうちのいずれかを用いて10種類の液晶組成物を作製した。なお上述した物質の構造式を以下に示す。
【0239】
【化21】

【0240】
また、本実施例において、作製した液晶組成物の構成を表3に示す。混合比は全て重量比(wt%)で表す。
【0241】
【表3】

【0242】
また、本実施例では、液晶組成物の高分子安定化処理を行うために、一対のガラス基板間に液晶組成物を備え、シール材で封止して得られる液晶セルを作製した。なお、各液晶セル(液晶セル11〜液晶セル20)に用いた液晶性モノマーを表4に示す。
【0243】
【表4】

【0244】
液晶セル11〜20の作製は、一対のガラス基板間に空隙(4μm)を有してシール材で貼り合わせた後、注入法によって表1に示す割合で混合された液晶組成物を基板間に注入し、作製した。
【0245】
なお、シール材は紫外線及び熱硬化型シール材を用い、硬化処理として、90秒間の紫外線(放射照度100mW/cm)照射処理を行った。その後120℃で1時間加熱処理を行った。
【0246】
次に、液晶セルの高分子安定化評価を行った。高分子安定化評価には、偏光顕微鏡(MX−50 オリンパス株式会社製)及び温調器(MK1000 INSTEC社製)を用いた。
【0247】
液晶セル内の液晶組成物を等方相となる温度まで加熱した後、降温させ、任意の温度において恒温とし、紫外線(波長365nm、放射照度11mW/cm)を、6分間照射することによって高分子安定化処理を行った。なお、UV照射時の任意の温度については1℃刻みで評価を行った。
【0248】
上記観察の際の測定条件は、偏光顕微鏡において、測定モードを反射とし、偏光子にクロスニコルを用い、倍率を200倍として室温環境で測定した。
【0249】
高分子安定化ブルー相を発現する温度範囲が拡大された高分子/液晶複合体を得るための高分子安定化処理(ここでは、UV照射による重合処理)が可能な温度の上限、及び下限を図12に示す。
【0250】
図12の結果から、メソゲン骨格を有する液晶性モノマーにおいて、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)がある程度の長さを有していることで、通常に比べて高分子安定化処理(ここでは、UV照射による重合処理)が可能な温度範囲を拡大できることがわかる。
【0251】
従って、メソゲン骨格を有する液晶性モノマーにおいて、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)を20以下とすることは、高分子安定化処理(ここでは、UV照射による重合処理)が可能な温度範囲を拡大する上で好ましいが、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)を12以下とすることが、より好ましい。
【0252】
また、図12の結果から、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)が奇数となる液晶性モノマーを使用した場合、高分子安定化処理が可能な温度の範囲(上限−下限)が拡大する傾向が見られる。中でもアルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)が9となる液晶性モノマーを用いた場合、前後のアルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)が6や10の液晶性モノマーを使用した場合に比べて高分子安定化処理が可能な温度範囲がもっとも拡大することがわかった。
【0253】
具体的には、本実施例に示すメソゲン骨格の両端にアクリロイル基を有し、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)が奇数であり、特に9となる液晶性モノマーを使用した場合において、高分子安定化処理が可能な温度範囲を拡大できることがわかった。
【0254】
一般に、高分子安定化ブルー相において、ブルー相を発現する温度範囲が拡大する要因として、UV照射によるモノマーの高分子安定化処理(重合処理)過程において、液晶材料と、重合により得られたポリマーとが相分離し、このポリマーがブルー相の欠陥領域へと濃縮(重合)されるためと考えられている。
【0255】
従って、本実施例の結果からは、本実施例に示すメソゲン骨格を有する液晶性モノマーを使用した場合において、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)が奇数であり、特に9となる側鎖を有する液晶性モノマーを含む液晶組成物を用いた場合、液晶材料とポリマーの相分離がより効率的に行われるために高分子安定化処理が可能となる処理温度が拡大しているものと考えられる。
【0256】
さらに、本実施例に示すメソゲン骨格を有する液晶性モノマーを使用した場合において、アルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)が奇数の場合と、偶数の場合で、それぞれ高分子安定化ブルー相を発現させた場合の配向状態について図14に示す。なお、図14の(A)、図14(B)には、液晶性モノマーのアルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)がそれぞれ4、6と偶数の場合について示し、図14の(C)、図14(D)には、液晶性モノマーのアルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)がそれぞれ5、7と奇数の場合について示す。
【0257】
この結果からは、液晶性モノマーのアルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)がそれぞれ4、6と偶数の場合にも、液晶性モノマーのアルキレン基の鎖長(酸素及び炭素の合計数)がそれぞれ5、7と奇数の場合にも、それぞれプレートレット状組織が見られるが、奇数の場合には、プレートレットのサイズが大きくなっていることが確認された。
【0258】
また、本実施例の結果からは、本発明の一態様である液晶組成物を用いることにより、ブルー相を発現する温度範囲が拡大された高分子/液晶複合体を得るための、高分子安定化処理の温度範囲を拡大することが可能となることがわかる。
【0259】
なお、高分子安定化ブルー相を発現できる液晶組成物において、高分子安定化処理が可能な温度範囲の拡大を図ることは、大面積の液晶表示装置などの作製において、UV照射時の面内温度の制御が難しい場合にとても有効である。
【符号の説明】
【0260】
100 液晶性モノマー
100a、100b 液晶性モノマー
101 メソゲン骨格
101a、101b メソゲン骨格
102 アルキレン基
102a、102b アルキレン基
103a、103b アルキレン基
200 第1の基板
201 第2の基板
202 液晶層
203 画素電極層
204 共通電極層
301 ゲート配線層
301a ゲート電極層
302 ゲート絶縁層
303 半導体層
305 ソース配線層
305a 配線層
307 絶縁膜
308 共通配線層
309 絶縁膜
313 層間膜
320 トランジスタ
341 第1の基板
342 第2の基板
344 液晶層
346 共通電極層
347 画素電極層
5000 筐体
5001 表示部
5002 操作キー
5003 太陽電池
5004 充放電制御回路
5005 バッテリー
5006 コンバータ(DCDCコンバータ)
6001 本体
6002 筐体
6003 表示部
6004 キーボード
6011 本体
6012 表示部
6013 外部インターフェイス
6014 操作ボタン
6015 スタイラス
6021 電子書籍
6022 筐体
6023 筐体
6024 軸部
6025 表示部
6026 表示部
6027 電源
6028 操作キー
6029 スピーカー
6031 筐体
6032 筐体
6033 表示パネル
6034 スピーカー
6035 マイクロフォン
6036 ポインティングデバイス
6037 カメラ用レンズ
6038 外部接続端子
6039 太陽電池セル
6040 外部メモリスロット
6041 操作キー
6051 本体
6052 表示部(A)
6053 接眼部
6054 操作スイッチ
6055 表示部(B)
6056 バッテリー
6061 テレビジョン装置
6062 筐体
6063 表示部
6064 スタンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブルー相を発現する液晶材料、および下記一般式(G1)で示される液晶性モノマー
を含む液晶組成物。
【化1】


(但し、一般式(G1)中、Xは、メソゲン骨格を示す。また、一般式(G1)中、Y、Yは、それぞれ独立して炭素及び酸素の合計が1〜20のアルキレン基を示す。アルキレン基は側鎖としてアルキル基を有していても良い。また、当該アルキレン基、及び当該アルキル基はカルボニル基を含んでいても良く、エーテル結合を有していても良い。また、当該カルボニル基と当該エーテル結合とが連続してエステル構造となってもよい。また、一般式(G1)中、Z、Zはそれぞれ独立してアクリロイル基又はメタクリロイル基を示す。)
【請求項2】
請求項1において、
前記一般式(G1)中のY、Yは、それぞれ独立して炭素及び酸素の合計が奇数のアルキレン基であることを特徴とする液晶組成物。
【請求項3】
ブルー相を発現する液晶材料、および下記一般式(G1−1)で示される液晶性モノマー、を含む液晶組成物。
【化2】


(但し、一般式(G1−1)中、Xは、メソゲン骨格を示す。また、一般式(G1−1)中、R、Rは、それぞれ独立に水素またはメチル基のいずれか一を示す。また、一般式(G1−1)中、n、mは、それぞれ独立に1〜19のいずれか一である。)
【請求項4】
請求項3において、
前記一般式(G1−1)中のXは、下記構造式(s11)〜(s18)のいずれか一であることを特徴とする液晶組成物。
【化3】


(但し、構造式(s11)中のR〜R、構造式(s12)中のR〜R10、構造式(s13)中のR11〜R14、構造式(s15)中のR15〜R18は、それぞれ独立に水素、メチル基、またはフッ素のいずれか一である。)
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記一般式(G1)または前記一般式(G1−1)で示される液晶性モノマーは、下記構造式(104)であることを特徴とする液晶組成物。
【化4】

【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
前記一般式(G1)または前記一般式(G1−1)で示される液晶性モノマーは、下記構造式(102)であることを特徴とする液晶組成物。
【化5】

【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
非液晶性モノマー及び重合開始剤を含むことを特徴とする液晶組成物。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の液晶組成物を用いて形成された高分子/液晶複合体。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の液晶組成物を用いて形成された液晶素子。
【請求項10】
請求項8に記載の高分子/液晶複合体を有する液晶素子。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の液晶素子を有する液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−131987(P2012−131987A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260083(P2011−260083)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】