説明

液晶表示パネルのバックライトシャーシ

【課題】液晶表示パネルのバックライトシャーシの裏面2箇所に配置した点灯回路部をワイヤハーネスで接続するものにおいて、ハーネスクランプでワイヤハーネスを保持する作業を労力少なく行い得るようにする。
【解決手段】液晶表示パネル6のバックライトシャーシ1は、表面に複数の光源ランプ3を配置し、裏面には離れた2箇所に光源ランプ3の点灯回路部10L、10Rを配置している。点灯回路部10L、10Rを接続するワイヤハーネス13は、中間部をハーネスクランプ14で保持される。ハーネスクランプ14は、少なくとも一部がバックライトシャーシ1に一体成形されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示パネルのバックライトシャーシに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルのバックライトシャーシは、表面に光源ランプ群を配置し、裏面に光源ランプ群の点灯回路部を配置する。この時、光源ランプの左右の端の一方のみで点灯回路部に接続されると、液晶表示パネルの左右で明るさのバランスがとれなくなる。このため、バックライトシャーシの裏面の左右2箇所に点灯回路部を配置し、左側の点灯回路部に左端で接続する光源ランプと、右側の点灯回路部に右端で接続する光源ランプを交互に並べ、画面の左右で明るさに差が生じないようにしている。
【0003】
液晶表示パネルの構造例を図6−10に基づき説明する。図6は液晶表示装置の分解斜視図、図7はバックライトシャーシの裏面図、図8は光源ランプの中間部を保持するクリップの拡大正面図、図9は従来構造に係るバックライトシャーシの部分拡大断面図、図10は図9の箇所の部分拡大正面図である。
【0004】
図6の分解斜視図は、表示面が上向きとなるように液晶表示装置を組み立てるものとして構成要素が配置されている。最下部に位置するのはバックライトシャーシ1であり、その表面(上面)には反射シート2が重ねられ、その上に光源ランプ3が複数配置される。バックライト用の光源ランプとしては一般的に直管状の冷陰極管が使用されるが、それ以外の種類のランプ、例えば熱陰極管やキセノンランプなども使用可能である。
【0005】
ランプ3の上には拡散板、レンズシート、偏光反射シート、拡散シートなどの光学シート群4が配置される。光学シート群4は光源ランプ3が発する光の特性を調整するのに用いられる。
【0006】
光学シート群4は額縁状のフレーム5によってバックライトシャーシ1に取り付けられる。フレーム5の上には液晶表示パネル6が配置される。最上段には額縁状のベゼル7が配置される。ベゼル7は、液晶表示パネル6をバックライトシャーシ1に対し固定し、また液晶表示装置全体の外観を整える役割を担う。
【0007】
バックライトシャーシ1は、平面形状が矩形で、周囲に縁が立ち上がったトレイ形状となっている。バックライトシャーシ1には、光源ランプ3の両端を保持するソケット8の取付部9が形成される。取付部9は所定形状の貫通穴であって、ソケット8が2個ずつ差し込まれるものであり、バックライトシャーシ1の短辺に沿って一列に並ぶ形で複数形成されている。ソケット8はバックライトシャーシ1の裏面(下面)の離れた2箇所に設けられた点灯回路部(図8参照)に電気的に接続される。
【0008】
図7において左側に位置する点灯回路部を点灯回路部10Lとし、右側に位置する点灯回路部を点灯回路部10Rとする。光源ランプ3は、点灯回路部10Lに左端で接続するものと、点灯回路部10Rに右端で接続するものとが交互に並ぶ形になる。これは、前述の通り、画面の左右で明るさに差が生じないようにするためである。
【0009】
光源ランプ3は長尺であり、振動が伝わると鳴動する。これを避けるため、光源ランプ3の中間部をクリップ11でバックライトシャーシ1に固定する。クリップ11の構造を図8に示す。クリップ11は、平面形状矩形の平板状のベース11aの上面に、上方に開いたC字形状のランプホルダ11bを設けている。ランプホルダ11bは弾性で光源ランプ3を抱えるものであり、ベース11aの長手方向の両端に1個ずつ、計2個設けられる。ベース11aの下面には、膨らんだ頭部と割溝を有するスナップピン11cが、ベース11aの長手方向に間隔を置いて2個形成されている。クリップ11は全体が弾力性のある合成樹脂で一体成形される。
【0010】
バックライトシャーシ1及びその上面に貼り付けられる反射シート2にはクリップ11の取付部12が形成される。スナップピン11cを通す貫通穴が2個1組となって1個の取付部12を構成する。取付部12に上方からスナップピン11cを押し付けると、スナップピン11cの膨らんだ頭部が縮んで穴を通り抜ける。スナップピン11cの頭部はバックライトシャーシ1の下面に出るとスプリングバックして膨らみ、これによりクリップ11は取付状態となる。
【0011】
光源ランプ3は中間の2箇所をクリップ11で保持される。1個のクリップ11が2本の光源ランプ3を保持するので、2本1組の光源ランプ3に対し、取付部12が光源ランプ3の長さ方向に間隔を置いて2箇所に設けられることになる。
【0012】
点灯回路部10L、10Rはワイヤハーネス13で接続される。ワイヤハーネス13は2本設けられている。
【0013】
ワイヤハーネス13がたるまないよう、ワイヤハーネス13の中間部をハーネスクランプ14で保持する。ハーネスクランプ14は1本のワイヤハーネス13につき3個設けられている。図9、10に示すように、ハーネスクランプ14は2個の部品により構成される。2個の部品の1個は受け部15であり、他の1個は門型部材16である。これらはいずれも弾力のある合成樹脂で形成される。
【0014】
受け部15はバックライトシャーシ1の裏面に固定されるものであり、あり溝15aを有している。門型部材16は、図9の状態では門を倒立させた形になっており、一方の脚部の先端には受け部15のあり溝15aに係合するT字形係合部16aを有し、他方の脚部の先端にはバックライトシャーシ1の貫通穴17に係合する係合片16bを有している。バックライトシャーシ1と門型部材16の間にワイヤハーネス13を挟み、T字形係合部16aをあり溝15aに係合させ、係合片16bを貫通穴17に係合させれば、ハーネスクランプ14によるワイヤハーネス13の保持が達成される。
【0015】
上述のハーネスクランプのように、何らかの部材で配線を保持することは、電気機械や電子機械で広く実施されている。その例を特許文献1に見ることができる。
【特許文献1】特開2004−39533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
液晶表示パネルのバックライトシャーシの裏面の2箇所に光源ランプ群の点灯回路部を配置し、その点灯回路部をワイヤハーネスで接続するにあたり、ワイヤハーネスの中間部の保持を、バックライトシャーシと別体のハーネスクランプで行うこととすると、ハーネスクランプの2箇所をバックライトシャーシに係合させる必要が生じていた。1個のハーネスクランプにつき2回の係合作業が必要ということは、ハーネスクランプの数が多くなればなるほど作業者に多大の労力を強いることになる。最近のテレビ用液晶表示パネルは大型化が進み、ハーネスクランプの数も増えており、何らかの労力軽減策が求められる。本発明はこの点に鑑みなされたものであり、ハーネスクランプでワイヤハーネスを保持する作業を労力少なく行い得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明は、表面に光源ランプ群を配置し、裏面には離れた2箇所に前記光源ランプ群の点灯回路部を配置してなる液晶表示パネルのバックライトシャーシにおいて、前記2箇所の点灯回路部を接続するワイヤハーネスの中間部を保持するハーネスクランプの少なくとも一部をバックライトシャーシに一体成形したことを特徴としている。
【0018】
この構成によると、ハーネスクランプの少なくとも一部をバックライトシャーシに一体成形したことにより、ハーネスクランプでワイヤハーネスを保持する工程で必要な係合作業の回数が減り、作業者の労力軽減と作業のスピードアップを実現できる。
【0019】
また本発明は、上記構成の液晶表示パネルのバックライトシャーシにおいて、前記ハーネスクランプは、一端がバックライトシャーシに一体的に連結された門型部材と、バックライトシャーシに一体成形されて前記門型部材の他端の自由端を受ける受け部からなることを特徴としている。
【0020】
この構成によると、門型部材と受け部の両方がバックライトシャーシへの一体成形で得られ、製造コストと組み付けコストを低減できる上、部品紛失のおそれもない。
【0021】
また本発明は、上記構成の液晶表示パネルのバックライトシャーシにおいて、前記ハーネスクランプは、一端がバックライトシャーシに一体的に連結された門型部材と、バックライトシャーシに固定されて前記門型部材の他端の自由端を受ける、別部品の受け部からなることを特徴としている。
【0022】
この構成によると、門型部材がバックライトシャーシへの一体成形で得られ、製造コストと組み付けコストを低減できる上、部品紛失のおそれもない。
【0023】
また本発明は、上記構成の液晶表示パネルのバックライトシャーシにおいて、前記ハーネスクランプは、両端がバックライトシャーシに一体的に連結された門型部材からなることを特徴としている。
【0024】
この構成によると、門型部材がバックライトシャーシへの一体成形で得られ、製造コストと組み付けコストを低減できる上、部品紛失のおそれもない。また門型部材の両端がバックライトシャーシに一体的に連結されているので、十分な強度を得ることができる。
【0025】
また本発明は、上記構成の液晶表示パネルのバックライトシャーシにおいて、前記ハーネスクランプは、バックライトシャーシに一体成形されたあり溝と、前記あり溝に一端を差し込んで保持される、別部品の門型部材からなることを特徴としている。
【0026】
この構成によると、門型部材によるワイヤハーネスの保持を簡単に行うことができる。
【0027】
また本発明は、上記構成の液晶表示パネルのバックライトシャーシにおいて、前記ハーネスクランプは、バックライトシャーシに一体成形されたC字形クリップからなることを特徴としている。
【0028】
この構成によると、C字形クリップにはめ込むだけでワイヤハーネスを保持でき、ワイヤハーネス保持作業が著しくスピードアップされる。
【0029】
また本発明は、上記構成の液晶表示パネルのバックライトシャーシを合成樹脂製としたことを特徴としている。
【0030】
この構成によると、バックライトシャーシとハーネスクランプに所要の弾性を与えることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、液晶表示パネルのバックライトシャーシの裏面2箇所に配置した点灯回路部を接続するワイヤハーネスの中間部をハーネスクランプで保持する際の係合作業の回数を減らし、作業者の労力を軽減し、また作業をスピードアップすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下本発明の実施形態を図1−5に基づき説明する。図1−5の各図は図9と同様のバックライトシャーシの部分拡大断面図であり、1個の図が1個の実施形態に対応している。図9の構成要素と機能的に共通する構成要素については図9で用いたのと同じ符号を付し、支障のないかぎり説明は省くものとする。
【0033】
図1の第1実施形態では、門型部材16と受け部15がバックライトシャーシ1に一体成形されている。すなわちバックライトシャーシ1は合成樹脂製であり、門型部材16は図10において係合片16aとなっていた側の端でバックライトシャーシ1に一体的に連結されている。
【0034】
第1実施形態の構成によると、門型部材16と受け部15の両方がバックライトシャーシ1への一体成形で得られ、製造コストと組み付けコストを低減できる上、部品紛失のおそれもない。
【0035】
図2の第2実施形態では、門型部材16を第1実施形態の手法でバックライトシャーシ1に一体成形した上、別部品の受け部15をバックライトシャーシ1に固定した。
【0036】
第2実施形態の構成によると、門型部材16がバックライトシャーシ1への一体成形で得られ、製造コストと組み付けコストを低減できる上、部品紛失のおそれもない。
【0037】
図3の第3実施形態では、門型部材16の両端をバックライトシャーシ1に一体的に連結している。ワイヤハーネス13は少なくとも一端を点灯回路部10に接続しないままにしておき、門型部材16をくぐらせてから点灯回路部10に接続する。
【0038】
第3実施形態の構成によると、門型部材16がバックライトシャーシ1への一体成形で得られ、製造コストと組み付けコストを低減できる上、部品紛失のおそれもない。また門型部材16の両端がバックライトシャーシ1に一体的に連結されているので、十分な強度を得ることができる。
【0039】
図4の第4実施形態では、ハーネスクランプ14は、バックライトシャーシ1に一体成形されたあり溝15aと、あり溝15aに一端のT字形係合部16aを差し込んで保持される、別部品の門型部材16からなる。
【0040】
第4実施形態の構成によると、門型部材16によるワイヤハーネス13の保持を簡単に行うことができる。
【0041】
図5の第5実施形態では、ハーネスクランプ14は、バックライトシャーシ1に一体成形されたC字形クリップ18からなる。C字形クリップ18は、Cの字の開いた側がバックライトシャーシ1のある側と反対側を向いている。
【0042】
第5実施形態の構成によると、C字形クリップ18にはめ込むだけでワイヤハーネス13を保持でき、ワイヤハーネス保持作業が著しくスピードアップされる。
【0043】
第1実施形態と同様、第2〜第5実施形態においてもバックライトシャーシ1は合成樹脂製とされる。これにより、バックライトシャーシ1とハーネスクランプ14に所要の弾性を与えることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は大型液晶表示パネルのバックライトシャーシに広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施形態を示すバックライトシャーシの部分拡大断面図
【図2】第2実施形態を示すバックライトシャーシの部分拡大断面図
【図3】第3実施形態を示すバックライトシャーシの部分拡大断面図
【図4】第4実施形態を示すバックライトシャーシの部分拡大断面図
【図5】第5実施形態を示すバックライトシャーシの部分拡大断面図
【図6】液晶表示装置の分解斜視図
【図7】バックライトシャーシの裏面図
【図8】光源ランプの中間部を保持するクリップの拡大正面図
【図9】従来構造に係るバックライトシャーシの部分拡大断面図
【図10】図9の箇所の部分拡大正面図
【符号の説明】
【0047】
1 バックライトシャーシ
2 反射シート
3 光源ランプ
6 液晶表示パネル
10L、10R 点灯回路部
13 ワイヤハーネス
14 ハーネスクランプ
15 受け部
15a あり溝
16 門型部材
16a T字形係合部
18 C字形クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に光源ランプ群を配置し、裏面には離れた2箇所に前記光源ランプ群の点灯回路部を配置してなる液晶表示パネルのバックライトシャーシにおいて、
前記2箇所の点灯回路部を接続するワイヤハーネスの中間部を保持するハーネスクランプの少なくとも一部をバックライトシャーシに一体成形したことを特徴とする液晶表示パネルのバックライトシャーシ。
【請求項2】
前記ハーネスクランプは、一端がバックライトシャーシに一体的に連結された門型部材と、バックライトシャーシに一体成形されて前記門型部材の他端の自由端を受ける受け部からなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネルのバックライトシャーシ。
【請求項3】
前記ハーネスクランプは、一端がバックライトシャーシに一体的に連結された門型部材と、バックライトシャーシに固定されて前記門型部材の他端の自由端を受ける、別部品の受け部からなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネルのバックライトシャーシ。
【請求項4】
前記ハーネスクランプは、両端がバックライトシャーシに一体的に連結された門型部材からなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネルのバックライトシャーシ。
【請求項5】
前記ハーネスクランプは、バックライトシャーシに一体成形されたあり溝と、前記あり溝に一端を差し込んで保持される、別部品の門型部材からなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネルのバックライトシャーシ。
【請求項6】
前記ハーネスクランプは、バックライトシャーシに一体成形されたC字形クリップからなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネルのバックライトシャーシ。
【請求項7】
合成樹脂製であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の液晶表示パネルのバックライトシャーシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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