説明

液晶表示板用接着性スペーサー

【課題】 熱可塑性樹脂微粒子どうしの固着および凝集を防止し、粒子本体への被覆効率を高め、未被覆の熱可塑性樹脂微粒子を容易に除去することが可能で、液晶表示板用スペーサーとして用いた場合に良好な分散性が得られる、新規な液晶表示板用接着性スペーサーを提供することにある。
【解決手段】本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーは、粒子本体の表面の少なくとも一部が熱可塑性樹脂からなる接着層で被覆された液晶表示板用の接着性スペーサーにおいて、前記接着層は熱可塑性樹脂の微粒子で構成され、前記熱可塑性樹脂微粒子は、前記粒子本体とは反対のイオン電荷を持つことにより、前記粒子本体とのヘテロ凝集により前記粒子本体の表面に付着している、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着層の被覆効率が高く、接着層単独の凝集物による液晶表示板の画質低下などを低減した、液晶表示板用接着性スペーサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テレビ、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、PHS(携帯情報端末)、カーナビゲーションシステム等の画像表示素子として、液晶表示板(LCD)が広く用いられている。なかでもTFT−LCDと呼ばれる液晶表示板は、高速応答や視野角拡大への対応が可能なため、ブラウン管(CRT)からの置き換えを目的に、13インチ以上の大画面TFT−LCDとする開発が検討されてきた。
しかし、特に大画面TFT−LCDを製造する際には、液晶パネルの製造工程時、すなわち、基板搬送時、基板切断時、および液晶パネルの輸送時等に、振動や衝撃が加わって液晶パネル内部のスペーサーが動き、1)液晶配向の乱れや配向膜の損傷による、光抜けの増加およびコントラストの低下、2)ギャップムラおよび色ムラの発生等の、液晶パネルの品質低下を生じさせる問題があったため、スペーサーの移動・脱落の防止を目的として、スペーサー粒子表面を熱可塑性樹脂による接着層でコートした接着性スペーサーの開発や検討がなされてきた。
【0003】
なかでも、接着性スペーサーにおける接着層の被覆工程では、簡便に実施できるという観点から、衝撃(摩擦)力(例えば、奈良機械製作所(株)製ハイブリダイゼーションシステムを用いた高速気流中衝撃法など)を用いることによって、粒子本体表面に熱可塑性樹脂を被覆するという方法(特許文献1〜4参照)がよく採用されている。
しかしながら、前記従来の方法・技術のみでは、粒子本体を被覆するために用いる熱可塑性樹脂のうち、未被覆のまま樹脂単独で残存するものが多く、熱可塑性樹脂粉末どうしの合着あるいは凝集によって被覆工程後も未被覆の樹脂単独のものが異物として多く存在し、なかには生成したスペーサーと同程度の粒子径を有するものも異物として副生することがある。これら異物は除去・精製することが非常に困難で、これらがスペーサーと共に電極基板上に散布されると、加熱・加圧時に溶融して画素内の配向膜を広範囲に覆ってしまうため、液晶が配向せず、バックライトの光が透過してしまい、コントラストが低下して表示品位の低い液晶表示板しか得られないという問題があった。加えて、上記問題に関連し、用いる熱可塑性樹脂の被覆効率についても、現時点ではまだ非常に低いため、十分な接着層膜厚を得るためには熱可塑性樹脂の使用量を増やさなければならず、さらに異物が増えてしまうという問題があり、現状のレベルではまだ十分ではなく、さらなる向上が望まれている。
【特許文献1】特開昭63−94224号広報
【特許文献2】特開平1−154028号広報
【特許文献3】特開平8−328022号広報
【特許文献4】特開平9−235527号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、熱可塑性樹脂微粒子どうしの固着および凝集を防止し、粒子本体への被覆効率を高め、未被覆の熱可塑性樹脂微粒子を容易に除去することが可能で、液晶表示板用スペーサーとして用いた場合に良好な分散性が得られる、新規な液晶表示板用接着性スペーサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、粒子本体と熱可塑性樹脂微粒子とのヘテロ凝集、および、ヘテロ凝集に関与しなかった熱可塑性樹脂微粒子の除去等に着目した。そして、粒子本体と熱可塑性樹脂微粒子との間に理想的なオーダードミクスチャーを完成させ、ヘテロ凝集により粒子本体の表面の少なくとも一部に熱可塑性樹脂微粒子を付着させた、新規な液晶表示板用の接着性スペーサーおよびその製造方法が上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーは、粒子本体の表面の少なくとも一部が熱可塑性樹脂からなる接着層で被覆された液晶表示板用の接着性スペーサーにおいて、前記接着層は熱可塑性樹脂の微粒子で構成され、前記熱可塑性樹脂微粒子は、前記粒子本体とは反対のイオン電荷を持つことにより、前記粒子本体とのヘテロ凝集により前記粒子本体の表面に付着している、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、熱可塑性樹脂微粒子どうしの付着および凝集を防止し、スペーサー粒子本体となる原料粒子表面への熱可塑性樹脂微粒子の被覆効率を高め、未被覆(非付着)の熱可塑性樹脂微粒子の除去が容易に可能で、液晶表示板用の接着性スペーサーとして用いた場合に良好な分散性が得られる、新規な液晶表示板用接着性スペーサーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の液晶表示板用接着性スペーサーとその製造方法を具体的に説明する。
〔液晶表示板用接着性スペーサー〕
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーについては、その粒子構造は、スペーサー粒子本体となる原料粒子と、その表面の少なくとも一部に付着させた熱可塑性樹脂微粒子とを含んでいることが好ましい。
以下、前記粒子本体(原料粒子)、熱可塑性樹脂微粒子およびスペーサーに分けて詳しく説明する。
(粒子本体(原料粒子))
本発明において用いられる原料粒子は、たとえば、液晶表示板に使用する場合に、液晶層をはさむ両電極板の隙間距離を決めるものであって、液晶層の厚みを均一かつ一定に保持するために必要であり、その平均粒子径は、1〜30μmであることが好ましく、より好ましくは1〜20μm、最も好ましくは1〜15μmである。原料粒子の平均粒子径が上記範囲を外れる場合は、液晶表示板用の接着性スペーサーとしては通常用いられない領域である。
【0008】
原料粒子の粒子径の変動係数(CV)は、10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下である。前記粒子径の変動係数が10%を超えると、液晶表示板用接着性スペーサーとして用いた場合に、液晶層の厚みを均一かつ一定に保持することが困難となり、画像ムラを起こしやすくなるおそれがあるので好ましくない。
なお、前記平均粒子径および前記粒子径の変動係数の定義や測定方法は、後述の実施例に記載のものを採用することが好ましい。
原料粒子としては、特に限定されるわけではないが、種々のものがあり、例えば、有機架橋重合体粒子、無機系粒子、有機質無機質複合体粒子等を好ましく挙げることができる。これらの中でも、有機架橋重合体粒子および/または有機質無機質複合体粒子が、電極基板、配向膜またはカラーフィルターの損傷防止や両電極基板間の隙間距離(ギャップ)の均一性を得やすいという点で好ましく、有機質無機質複合体粒子が最も好ましい。
【0009】
原料粒子の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、粉砕状、俵状、まゆ状、金平糖状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されるわけではないが、両電極基板間の隙間距離を均一に一定とする上で球状が好ましい。これは、球状であると、すべてまたはほぼすべての方向について一定またはほぼ一定の粒形を有するからである。
原料粒子は、染料および/または顔料を含むことで好ましく着色されていてもよい。
前記有機架橋重合体粒子としては、特に限定されるわけではないが、例えば、ベンゾグアナミン、メラミンおよび尿素からなる群の中から選ばれた少なくとも1種のアミノ化合物とホルムアルデヒドとから縮合反応により得られるアミノ樹脂の硬化粒子(特開昭62−068811号公報参照);ジビニルベンゼンを単独で重合あるいは他のビニル単量体と共重合させて得られるジビニルベンゼン架橋樹脂粒子(特開平1−144429号公報参照)等を好ましく挙げることができる。
【0010】
前記無機系粒子としては、特に限定されるわけではないが、例えば、ガラス、シリカ、アルミナ等の球状微粒子等を好ましく挙げることができる。
前記有機質無機質複合体粒子は、好ましくは、有機質部分と無機質部分とを含む複合粒子である。この有機質無機質複合体粒子において、前記無機質部分の割合は、特に限定されるわけではないが、例えば、前記有機質無機質複合体粒子の重量に対して、無機酸化物換算で、10〜90wt%の範囲であることが好ましく、より好ましくは25〜85wt%、さらに好ましくは30〜80wt%である。前記無機酸化物換算とは、好ましくは、有機質無機質複合体粒子を空気中などの酸化雰囲気中で高温(たとえば1000℃)で焼成した前後の重量を測定することにより求めた重量百分率で示される。前記有機質無機質複合体粒子の前記無機質部分の割合が、無機酸化物換算で10wt%を下回ると、前記有機質無機質複合体粒子は軟らかくなり、電極基板への散布個数が増えることになるので好ましくなく、また、90wt%を上回ると、硬すぎて配向膜の損傷やTFTの断線が生じやすくなるおそれがあるので好ましくない。
【0011】
このような有機質無機質複合体粒子としては、特に限定されるわけではないが、例えば、有機ポリマー骨格と、前記有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子内に有するポリシロキサン骨格とを含み、前記ポリシロキサン骨格を構成するSiOの量が10wt%以上である、有機質無機質複合体粒子A等を好ましく挙げることができる。有機ポリマー骨格としては、ビニル系ポリマーがギャップコントロールを制御できる高復元性を与えるため好ましい。ここで、前記有機質無機質複合体粒子Aが、G≧14・Y1.75(ここで、Gは破壊強度〔kg〕を示し;Yは粒子径〔mm〕を示す)を満足する破壊強度であると好ましく、10%圧縮弾性率が300〜2000kg/mm、10%変形後の残留変位が0〜5%であるとさらに好ましい。
【0012】
前記有機質無機質複合体粒子Aの製造方法については、特に限定されるわけではないが、例えば、下記に示す縮合工程と重合工程と熱処理工程とを含む製造方法を好ましく挙げることができる。
前記縮合工程とは、ラジカル重合性基含有第1シリコン化合物を用いて加水分解・縮合する工程であることが好ましく、この縮合工程では、触媒としてアンモニア等の塩基性触媒を好ましく用いても良い。
ラジカル重合性基含有第1シリコン化合物は、次の一般式(1):
【0013】
【化1】

【0014】
(ここで、Rは水素原子またはメチル基を示し;Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の有機基を示し;Rは、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す。Rは、炭素数1〜5のアルキル基とフェニル基とからなる群から選ばれた少なくとも1種の1価の基を示す。lは1または2であり、pは0または1である。)
と、次の一般式(2):
【0015】
【化2】

【0016】
(ここで、Rは水素原子またはメチル基を示し;Rは、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す。Rは、炭素数1〜5のアルキル基とフェニル基とからなる群から選ばれた少なくとも1種の1価の基を示す。mは1または2であり、qは0または1である。)
と、次の一般式(3):
【0017】
【化3】

【0018】
(ここで、Rは水素原子またはメチル基を示し;Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の有機基を示し;Rは、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す。Rは、炭素数1〜5のアルキル基とフェニル基とからなる群から選ばれた少なくとも1種の1価の基を示す。nは1または2であり、rは0または1である。)
とからなる群から選ばれる少なくとも1つの一般式で表される化合物またはその誘導体であることが好ましい。
前記重合工程は、前記縮合工程中および/または前記縮合工程後に、ラジカル重合性基をラジカル重合反応させて粒子を得る工程であることが好ましい。
【0019】
前記熱処理工程は、前記重合工程で生成した重合体粒子を800℃以下、より好ましくは100〜600℃の温度で乾燥および焼成する工程であり、たとえば、10容量%以下の酸素濃度を有する雰囲気中や減圧下で行われることが好ましい。
上記の縮合工程、重合工程および熱処理工程から選ばれる少なくとも1つの工程中および/または後に、生成した前記原料粒子を着色する着色工程をさらに含んでいてもよく、詳しくは、前記原料粒子は染料および顔料からなる群から選ばれる少なくとも1つ等を含むことで着色されていてもよい。その色は、光が透過しにくいか、または、透過しない色が、接着性スペーサー自身の光抜けを防止でき画質のコントラストを向上できる点で好ましい。光が透過しにくいか、または、透過しない色としては、たとえば、黒、濃青、紺、紫、青、濃緑、緑、茶、赤等の色を好ましく挙げることができるが、特に好ましくは、黒、濃青、紺色である。なお、染料および/または顔料は、単に原料粒子に含まれるものでもよく、あるいは、染料および/または顔料と原料粒子を構成するマトリックスとが化学結合によって結び付けられた構造を有するものでもよいが、特にこれらに限定されない。
【0020】
前記染料は、着色しようとする色に応じて適宜選択して使用され、たとえば、染色方法によって分類された、分散染料、酸性染料、塩基性染料、反応染料、硫化染料等が挙げられる。これらの染料の具体例は、「化学便覧応用化学編 日本化学会編」(1986年丸善株式会社発行)の1399頁〜1427頁、「日本化薬染料便覧」(1973年日本化薬株式会社発行)に記載されている。
原料粒子を染色する方法としては、従来公知の方法がとられる。たとえば、上記の「化学便覧応用化学編 日本化学会編」や「日本化薬染料便覧」に記載されている方法等で行うことができる。
【0021】
前記顔料としては、特に限定はされないが、たとえば、カーボンブラック、鉄黒、クロムバーミリオン、モリブデン赤、べんがら、黄鉛、クロム緑、コバルト緑、群青、紺青などの無機顔料;フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系などの有機顔料が挙げられる。なお、前記顔料は、その平均粒子径が0.4μm以下でないと、原料粒子中に導入されない場合があるので、この場合は染料を使用する方が好ましい。前記原料粒子が着色されている場合、液晶表示板用スペーサーとして用いると、バックライトの光抜けを防止でき、液晶表示板の画質向上を達成することができる。
上記の縮合工程、重合工程および熱処理工程から選ばれた少なくとも1種の工程中および/または後に、生成した前記原料粒子を表面処理する表面処理工程をさらに含んでいても良い。
【0022】
前記表面処理に用いる表面処理剤としては、特に限定されないが、下記一般式(4)〜(6)から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物が好ましい。
SiX (4)
SiX (5)
SiX (6)
(ここで、Xは塩素原子、水素原子、炭素数1〜5のアルコキシ基および炭素数2〜5のアシロキシ基から選ばれた少なくとも1種;RおよびRは、いずれも、炭素数1〜22のアルキル基および炭素数6〜22のアリール基から選ばれる少なくとも1種であり、その基の中の1つ以上の水素原子が、アミノ基、メルカプト基、アルキレンオキシド基、エポキシ基、シアノ基、塩素原子およびフッ素原子から選ばれる少なくとも1種で置換されていても良い;Rは、炭素数1〜5のアルキル基とフェニル基とからなる群から選ばれる少なくとも1種の1価の基である。)
前記シラン化合物のうち、一般式(4)で示されるシラン化合物や、RやRがアミノ基を置換基として有するものである一般式(5)または(6)で示されるシラン化合物で表面処理されると、特に乾式散布性に優れるため好ましい。
【0023】
本発明における原料粒子は、例えば、水相中においては、その水相のpHを調整した場合、ゼータ電位としてプラスおよびマイナスのどちらもとり得ることが好ましい。例えば、原料粒子が上述した有機質無機質複合体粒子の場合、pHが3以下においてプラス、pHが3〜14おいてマイナスとなる。
また、水相のpHを調整して、このゼータ電位をさらに詳細に調製し、原料粒子に所望の電荷符号および所望の電荷量を持たせるためには、原料粒子を適当なイオン性の処理剤で処理する、あるいは適当なイオン性の単量体、重合開始剤および乳化剤から選ばれる少なくとも1種の成分を含む原料を使用することが好ましい。
【0024】
前記イオン性の単量体としては、特に限定されるわけではないが、後述の熱可塑性樹脂微粒子の合成に好ましく用いるイオン性単量体と同様であることが好ましく、原料粒子を合成するための単量体成分中に、0.001〜100wt%含まれることが好ましく、より好ましくは0.1〜30wt%、さらに好ましくは0.1〜10wt%である。イオン性単量体は過剰であっても不足であっても、ヘテロ凝集の際に問題となるため好ましくない。
前記イオン性の重合開始剤および乳化剤としては、特に限定されるわけではないが、アニオン性やカチオン性等の各種イオン性の重合開始剤および乳化剤を好ましく挙げることができる。
【0025】
前記イオン性の処理剤としては、特に限定されるわけではないが、各種のイオン性界面活性剤、イオン性ポリマーおよびシランカップリング剤等を好ましく挙げることができる。これらイオン性の処理剤は、原料粒子の合成時に添加してもよいし、合成後の表面処理の際に用いられてもよい。
また前記イオン性単量体および前記イオン性界面活性剤は、両性単量体および両性界面活性剤でもよい。
(熱可塑性樹脂微粒子)
本発明にかかる接着性スペーサーについて、前記接着層は熱可塑性樹脂微粒子からなることが好ましく、前記熱可塑性樹脂微粒子を溶融させてなるものがより好ましい。前記接着層は、本発明の接着性スペーサーが加熱・加圧処理された場合、電極基板等に対する接着剤として好ましく作用する。
【0026】
熱可塑性樹脂微粒子に含まれる熱可塑性樹脂としては、上記のように接着剤として作用するものであれば特に限定されるわけではないが、例えば、エチレン性不飽和単量体の単独重合体または共重合体を含む樹脂等を好ましく挙げることができる。
前記エチレン性不飽和単量体としては、特に限定はされないが、たとえば、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル(たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート等を好ましく挙げることができる。これらの中でも、エチレン性不飽和単量体が、芳香族残基(たとえば、フェニル基等)、水素結合可能な残基(エステル基等)を含有していると、配向膜との分子間力が大きくなり、前記電極基盤基板等への接着性が高くなるため好ましく、(メタ)アクリル酸エステルおよび/またはスチレンを含むことがさらに好ましい。
【0027】
熱可塑性樹脂としては、接着性をより向上させる観点からは、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレートをモノマー成分に含む(メタ)アクリル系樹脂、スチレン化合物をモノマー成分に含むスチレン系樹脂、および、スチレン化合物と(メタ)アクリレートとをモノマー成分に含む(メタ)アクリル−スチレン系樹脂からなる各種ポリマー群の中から選ばれた少なくとも1種を含んでなることが特に好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステルおよび/またはスチレンを重合して熱可塑性樹脂微粒子を製造する場合、ソープフリー重合(ソープフリー乳化重合)して得られるものが好ましく、理由としては、前記ソープフリー重合(ソープフリー乳化重合)では界面活性剤等の導電性不純物を使用しないため、液晶表示板の信頼性が向上し易いからである。
【0028】
前記熱可塑性樹脂としては、上記のものに限定されるわけではなく、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート等のポリエステル;各種ポリアミド;各種ポリカーボネート;各種エポキシ樹脂等も好ましく挙げることができる。
熱可塑性樹脂微粒子に用いる前記熱可塑性樹脂としては、これらを1種のみ使用しても、2種以上併用してもよい。また、熱可塑性樹脂微粒子からなる前記接着層は1層であっても2層以上であってもよい。
熱可塑性樹脂微粒子に用いる熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度(Tg(℃))が、40〜150℃であることが好ましく、より好ましくは50〜130℃、特に好ましくは60〜120℃である。前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg(℃))が、上記範囲である場合、液晶表示板を組み立てる際には短時間の加熱・加圧であっても電極基板に強く固着させることができるので好ましいが、150℃を超える場合は、加熱・加圧時に、熱可塑性樹脂微粒子が溶融しにくく、そのため電極基板との接着性が不十分となるおそれがあるので好ましくなく、また、40℃未満では、スペーサーに用いた場合に貯蔵中に粒子どうしで融着を起こしたり、電極基板上へ散布時の分散性が悪くなるおそれがあるので好ましくない。
【0029】
前記熱可塑性樹脂の融解開始温度は、好ましくは50〜160℃、より好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜140℃である。融解開始温度が50℃未満では、スペーサーに用いた場合に貯蔵中に融着等を起こしたり、電極基板上に散布する際の分散性が悪くなるおそれがあるので好ましくなく、一方、融解開始温度が160℃を超えると、液晶表示板を組み立てる際の加熱加圧時に、熱可塑性樹脂が溶融しにくく、そのため電極基板との接着性が不充分となるおそれがあるので好ましくない。
本発明における熱可塑性樹脂微粒子は、染料および顔料からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことで着色されていてもよく、特に限定はされないが、たとえば、スペーサーの原料粒子の着色に使用できる染料および顔料として前述したもの等を好ましく挙げることができる。またその色は、光が透過しにくいか、または、透過しない色が、光抜けを防止でき画質のコントラストを向上できる点で好ましい。光が透過しにくい、または、透過しない色としては、例えば、黒、濃青、紺、紫、青、濃緑、緑、茶、赤等の色が挙げられるが、特に好ましくは、黒、濃青、紺色である。
【0030】
本発明における熱可塑性樹脂微粒子の平均粒子径については、特に限定されるわけではないが、2μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下、最も好ましくは0.7μm以下である。前記熱可塑性樹脂微粒子の平均粒子径が2μmを超えると、スペーサーにおける前記原料粒子を被覆するのが困難になるおそれがあるので好ましくない。なお、この熱可塑性樹脂微粒子の平均粒子径の測定方法も、前記原料粒子の平均粒子径の測定と同様の方法を採用することが好ましい。
本発明の接着性スペーサーにおける熱可塑性樹脂微粒子からなる前記接着層の厚みは、特に限定されるわけではないが、通常、0.01〜2μmが好ましく、より好ましくは0.05〜1μmである。この厚みが上記範囲より小さい場合、接着性が低下するおそれがあり、また、厚みが上記範囲より大きい場合、配向膜やカラーフィルター等を覆う面積が広くなって、液晶表示板の表示品位が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0031】
本発明における熱可塑性樹脂微粒子は、例えば、水相中において、水相のpHを調整した場合に所望の電荷符号および所望の電荷量にするために、イオン性界面活性剤での後処理により分散させたもの、および/または、イオン性の単量体、重合開始剤および乳化剤の群から選ばれる少なくとも1種を含む原料から合成したものを使用することが好ましい。
前記イオン性の単量体、重合開始剤および乳化剤としては、特に限定されるわけではないが、アニオン性またはカチオン性の単量体、重合開始剤および乳化剤の群から選ばれる少なくとも1種のイオン性の原料であることが好ましく、熱可塑性樹脂微粒子を合成するための原料中に、0.001〜100wt%含まれることが好ましく、より好ましくは0.01〜70wt%、さらに好ましくは0.1〜25wt%である。0.001wt%未満の場合は、イオン性が低くヘテロ凝集が困難となるため好ましくない。
【0032】
前記アニオン性の単量体、重合開始剤および乳化剤としては、特に限定されるわけではないが、カルボキシル基あるいはスルホン基を有するモノマー、ラジカル重合開始剤および界面活性剤等を好ましく挙げることができ、代表的なモノマーとしては、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸およびスルホスチレン等を好ましく挙げることができる。
前記カチオン性の単量体、重合開始剤および乳化剤としては、特に限定されるわけではないが、アミノ基、アミド基、第四級アンモニウム塩基等を好ましく挙げることができ、具体的には、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−メチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノメチルメタクリレート、p−N,N−ジメチルアミノフェニルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N−メチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノメチルアクリレート、p−N,N−ジメチルアミノフェニルアクリレート;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリルアミド、N−メチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノフェニルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルアクリルアミド、N−メチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノメチルアクリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノフェニルアクリルアミド;N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド;p−N,N−ジメチルアミノスチレン、p−N,N−ジエチルアミノスチレン、p−N,N−ジプロピルアミノスチレン、p−N,N−メチルアミノスチレン;N−ビニルジメチルアミン、N−ビニルジエチルアミン、N−ビニルジプロピルアミン、N−ビニルプロピルアミン;各々メタまたはパラ位にアミノ基が付いたビニルベンジルアルキルアミン(アルキル基は、炭素数1〜22の置換または未置換アルキル基)、ビニルフェネチルジアルキルアミン(アルキル基は、炭素数1〜22の置換または未置換アルキル基);4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール;イソプロペニルオキサゾリン等を好ましく挙げることができる。
【0033】
さらに、上記化合物に対し、第四級アンモニウム塩の形にしたものも好ましく用いることができる。例えば、炭素数1〜22のアルキル基、ベンジル基、シクロアルキル基等を有しているものが好ましい。
また、前記イオン性の乳化剤(イオン性の界面活性剤)および前記イオン性の単量体は、両性界面活性剤および両性単量体であってもよい。
(スペーサー)
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーにおいて、その粒子構造は、粒子本体となる原料粒子と、その表面の少なくとも一部に付着した接着層を形成するための熱可塑性樹脂微粒子とを含む構造であることが好ましく、この構造は、粒子本体となる原料粒子と熱可塑性樹脂微粒子とが粒子表面に互いに異なる符合の電荷(ゼータ電位)を有し、その際生じる静電引力によりヘテロ凝集してなる。また、ヘテロ凝集後に、未被覆(未付着)の熱可塑性樹脂微粒子を除去しておくことが、その後の工程において、熱可塑性樹脂微粒子単独の凝集物が存在しないために重要である。さらには、ヘテロ凝集後、原料粒子に付着した熱可塑性樹脂微粒子の少なくとも一部を溶融させてなることが好ましいが、特に限定されるわけではない。ここで、上述の溶融は、衝撃力、特に、高速気流中衝撃法による衝撃力を加えることによってなされる溶融であることが好ましく、熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂微粒子)が原料粒子の表面により強固に付着した接着性スペーサーとなるため好ましい。
【0034】
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーにおいて、原料粒子と熱可塑性樹脂微粒子の重さの割合〔(熱可塑性樹脂微粒子/原料粒子)×100〕(wt%)については、特に限定されるわけではないが、0.1〜250wt%であることが好ましく、より好ましくは1〜150wt%、最も好ましくは2〜100wt%である。上記熱可塑性樹脂粒子の割合が250wt%を超える場合は、得られる接着性スペーサーの接着層が厚くなりすぎて、溶融した際に電極基板や配向膜やカラーフィルターを覆う面積が大きくなり、液晶表示板の画質低下を招く恐れがあるので好ましくなく、他方、熱可塑性樹脂粉末の割合が0.1wt%未満の場合は、接着性が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0035】
本発明により得られる液晶表示板用接着性スペーサーの平均粒子径は、特に限定されるわけではないが、この平均粒子径は原料粒子に熱可塑性樹脂微粒子からなる接着層の厚みが付与されたものであり、1μm〜32μmが好ましく、より好ましくは1μm〜22μm、さらに好ましくは1.2μm〜17μmである。
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーを、液晶表示板用の接着性スペーサーとして用いた場合、粒子本体となる原料粒子に未被覆(未付着)の熱可塑性樹脂微粒子どうしの凝集の防止と、未被覆(未付着)の熱可塑性樹脂微粒子の除去をすることができるため、熱可塑性樹脂微粒子単独の凝集物(異物)が無く、また、原料粒子への熱可塑性樹脂微粒子の被覆効率が高いため、電極基板上に効率的に接着・固定され、スペーサー自身の移動の防止と、液晶表示板のコントラストが高くなる等の画質向上を達成することができる。
〔液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法〕
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法としては、粒子本体となる原料粒子と熱可塑性樹脂微粒子とを水相中でヘテロ凝集させる工程と、ヘテロ凝集に関与しなかった前記熱可塑性樹脂微粒子を除去する工程とを含むものであり、これらの工程によって粒子本体となる前記原料粒子の表面の少なくとも一部を前記熱可塑性樹脂微粒子からなる接着層で被覆させることが好ましい。
【0036】
一般的に、ヘテロ凝集とは、粒子径および電荷の符号が異なる2種類の球状粒子を混合すると、両粒子間の凝集が優先して起こり、一方が他方によって取り囲まれた複合凝集体が形成されることをいい、通常、小さい方の粒子によって大きい方の粒子を取り囲むようにする場合が多いが、両粒子の粒子数比の範囲を広くとる場合、大きい方の粒子によって小さい方の粒子を取り囲むようにすることも可能である。
本発明の液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法におけるヘテロ凝集を含む工程については、上記「粒子径および電荷の符号が異なる2種類の球状粒子」が、原料粒子と熱可塑性樹脂微粒子であり、両粒子間の静電引力によるヘテロ凝集によって、原料粒子が熱可塑性樹脂微粒子に取り囲まれるように被覆されることが好ましく、この場合、前記原料粒子および前記熱可塑性樹脂微粒子は、粒子そのものであってもよいし、粒子をイオン性の処理剤などで何らかの処理をされたものであってもよい。
【0037】
詳しくは、たとえば、水相をpH調整した場合、イオン性界面活性剤(a)を用いて分散させた原料粒子(A1)と、このイオン性界面活性剤(a)と反対の電荷を有するイオン性界面活性剤(b)で分散させた熱可塑性樹脂微粒子(B1)あるいはこのイオン性界面活性剤と反対の電荷を有するイオン性単量体を必須とする単量体成分から合成されたもので好ましくはこのイオン性単量体由来の官能基・電荷を粒子表面に有する前記熱可塑性樹脂微粒子(B2)の少なくとも一方とが混合した水相では、両粒子間の静電的相互作用により生じる静電引力によって両粒子間にヘテロ凝集が生じ、前期原料粒子の表面の少なくとも一部が前記熱可塑性樹脂微粒子に取り囲まれるように被覆される。
【0038】
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法においては、熱可塑性樹脂微粒子と原料粒子との平均粒子径の比(熱可塑性樹脂微粒子/原料粒子)は、1/10000〜2/5を採用することが好ましく、より好ましくは1/1000〜3/10、さらに好ましくは1/100〜1/5である。前記平均粒子径の比が、上記範囲外となる場合は、熱可塑性樹脂微粒子によって原料粒子を被覆するのが困難になるおそれがあるので好ましくない。
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法においては、熱可塑性樹脂微粒子と原料粒子のゼータ電位は互いに異符号となるようにすることが好ましく、両粒子間のゼータ電位の差は、2〜300mVにすることが好ましく、より好ましくは10〜150mVである。前記ゼータ電位の差が300mVを超える場合は、系が安定でヘテロ凝集が起こらないため好ましくなく、2mV未満の場合は、ヘテロ凝集が生じてもスペーサー粒子が単分散で得られないため好ましくない。
【0039】
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法において、上記ゼータ電位の条件および数値範囲に関しては、これらを満たすように水相の(分散液の)pHを調整することで達成するのが好ましく、用いる熱可塑性樹脂微粒子と原料粒子とは、ヘテロ凝集時に異符号の電荷を有していることが好ましい。また、前記原料粒子に関しては、原料粒子を水相中に分散させるために用いるイオン性異面活性剤について、一方、前記熱可塑性樹脂微粒子に関しては、熱可塑性樹脂微粒子を分散させるイオン性界面活性剤および/またはこの粒子表面に官能基を導入するためのイオン性の単量体や重合開始剤について、適宜最適なものを選択し、水相のpH調整後に各粒子ともに所望の電荷符号およびゼータ電位となるようにすることが好ましい。このイオン性の単量体や重合開始剤としては、熱可塑性樹脂微粒子の合成に用いるイオン性の単量体や重合開始剤として前述したものが好ましい。
【0040】
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法において、原料粒子(この分散液も含む)と熱可塑性樹脂微粒子(この分散液も含む)との水相での混合は、前者に後者を加えても、その逆でもあるいは同時でもよい。また、前記水相のpH調整については、両者の混合前あるいは混合後のいずれで行ってもよい。
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法においては、水相中にさらに電解質を添加するという工程を含む場合、熱可塑性樹脂微粒子を原料粒子により強固に付着させ被覆させることができる。
前記電解質としては、1価、2価、3価の金属の塩が好ましく用いられるが、より好ましくは1価の金属の塩であり、特に限定されるわけではないが、具体的には、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム等を好ましく挙げることができる。また、前記電解質の添加量としては、特に限定されるわけではなく任意であるが、1mol/L以下が好ましく、より好ましくは1×10−5〜1×10−1mol/Lである。ただし、上記のような金属塩を用いた場合、液晶表示板内ではイオン性の不純物として液晶の配向などに悪影響を与えるため、スペーサー粒子の洗浄過程で除去することが好ましい。
【0041】
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法においては、上記へテロ凝集をさせる工程において、ヘテロ凝集中および/または凝集後、室温(約20℃)以上、(Tg+50℃)以下で加熱することが好ましい(ここで、Tgは、本発明における熱可塑性樹脂微粒子に用いる熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg(℃))である)。この理由としては、原料粒子と熱可塑性樹脂微粒子との親和力を高めるためであり、特に、前記Tg(℃)以上の加熱をした場合は、熱可塑性樹脂微粒子はその少なくとも一部が溶融して原料粒子表面に強固に付着するため、本発明の接着性スペーサーを単離する際に、熱可塑性樹脂微粒子の剥離を低減することができる。
【0042】
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法においては、上記ヘテロ凝集させる工程の後、さらに、水相中の未被覆(未付着)の残余熱可塑性樹脂微粒子を除去する工程を含むことが好ましい。本発明においては、用いる熱可塑性樹脂微粒子はすべて同符号の電荷を好ましく有するので、未被覆のものとして水相中に遊離している場合、静電気的効果により互いに反発し合うため、前記原料粒子の表面に付着し接着性スペーサーとなった粒子と未被覆の粒子との粒子径は明確に区別できる。
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法においては、水相中の未被覆の残余熱可塑性樹脂微粒子の除去には電成ふるいを備えた分級装置を用いることが好ましい。
【0043】
前記電成ふるいとは、メッキによって矩形の孔を有するスクリーンを作製したものである。電成ふるいの製造方法としては、高精度にクロスライン状に腐食させたガラス原板上に、真空蒸着、スパッタリング等の物理メッキ、あるいは電解メッキ、無電解メッキ等の化学メッキにより導電性被膜を形成した後、腐食部分の溝以外のメッキ層を除去し、これに電解メッキ等の方法でメッシュを形成し、ガラス原板から剥離する方法が挙げられる。このようにして作製されたメッシュはガラス原板から剥離後、必要に応じてさらに電解メッキを施してもかまわない。また、他の製造方法として、ガラス平板上に真空蒸着、スパッタリング等の物理メッキ、あるいは電解メッキ、無電解メッキ等の化学メッキにより導電性被膜を形成し、その被膜上にレジストを塗布した後、所定の形状のパターンを形成し、その後エッチングによりパターン以外の部分を除去し、ガラス原板から剥離後、電解メッキを施す方法も挙げられる。
【0044】
前記電成ふるいの材質としては、金、白金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル及びこれらをベースとする種々の合金が用いられるが、ふるいの耐久性、耐蝕性やメッキ作業の容易さからニッケルを主成分とするものが特に好ましく用いられる。
前記電成ふるいは、開孔径、単位あたりの開孔数の調整が容易であるばかりでなく、開孔径分布が非常に良好であるため、ふるいとして用いた場合、非常に精度良く分級することが可能となる。
前記電成ふるいは非常に薄いため簡単に傷ついたり、破れたりし、分級された粒子へ金属系不純物の混入のおそれがある。特に分級された粒子を本発明の液晶表示板用接着性スペーサー等の電子材料の用途に用いる場合、金属系不純物の混入は品質および信頼性の低下の原因となるため重大な問題である。そのため、電成ふるいの片面あるいは両面に格子状あるいはリング状等のサポートを設けて強度を上げることが好ましい。
【0045】
前記電成ふるいの分級装置への取り付けに関しては、特に超音波振動を印加する場合など、電成ふるいと分級装置とが擦れて電成ふるいが破損し分級された粒子へ金属系不純物が混入するおそれがあるため、エラストマーからなる部材を介して取り付けることが好ましい。
前記電成ふるいを用いた分級工程においては、粒子の分散液を電成ふるいを備えた分級装置に通すことによって湿式法により分級を行うことが好ましい。媒体として不活性ガスや空気などを用いる乾式法と比較して、湿式法による場合の方が超音波の照射効率、分散の安定性が高く、また電成ふるいへの粒子の付着が少ない。特に液晶表示板用の接着性スペーサーなどに用いる粒子径の小さいものは凝集力が強いため、乾式法では分散が不十分になる場合がある。前記湿式法において、粒子を分散させる液状媒体としては、用いる電成ふるいの材質、開孔径、線数および粒子の性状あるいは粒子径分布などによって適切に選択することができる。また、分級に際しては、分級装置内に超音波照射チップを挿入した場合、水等の液状媒体に超音波照射を行うことで、分級の効率を好ましく向上させることができる。
【0046】
本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法においては、原料粒子と熱可塑性樹脂微粒子とをヘテロ凝集させ、残余熱可塑性樹脂微粒子を除去した後、さらに、前記熱可塑性樹脂微粒子の少なくとも一部を溶融する溶融工程を含むことが好ましいが、特に限定されるわけではない。溶融する方法としては、ガラス転移温度Tg(℃)から(Tg+50℃)の温度範囲で加熱処理をする、および、衝撃力を加える等の方法を好ましく挙げることができ、衝撃力を加える方法がより好ましく、なかでも、高速気流中衝撃法により衝撃力を加える方法が特に好ましい。前記高速気流中衝撃法を採用するにあたっては、特に限定されるわけではないが、奈良機械製作所製「ハイブリダイゼーションシステム」、ホソカワミクロン株式会社製「メカノフージョンシステム」、および、川崎重工株式会社製「クリプトロンシステム」等を用いることが好ましく、なかでも、奈良機械製作所製「ハイブリダイゼーションシステム」が特に好ましい。このような高速気流中衝撃法による処理によって熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂微粒子)を原料粒子の表面により強固に付着させることができるので好ましい。
【0047】
また、本発明にかかる液晶表示板用接着性スペーサーの製造方法においては、得られた接着性スペーサーを精製するため、上述した「残余熱可塑性樹脂微粒子を除去する工程」と同じ方法で分級精製してもよい。
【実施例】
【0048】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。
まず、以下の製造例1〜5により、実施例および比較例に用いる各種粒子成分を合成する。また、これら製造例1〜5の記載中に示す、各種粒子の平均粒子径(および粒子径の標準偏差、粒子径の変動係数)は下記の方法により測定した。
〔平均粒子径と粒子径の変動係数〕
試料を電子顕微鏡により観察して、その撮影像の任意の試料200個の粒子径を実測し、次式に従って、平均粒子径、粒子径の標準偏差および粒子径の変動係数を求めた。
【0049】
【数1】

【0050】
【数2】

【0051】
【数3】

【0052】
−製造例1−
(有機質無機質複合体粒子)
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよびビニルトリメトキシシラン(45/55重量比)を使用して、アルコキシシリル基の共加水分解・重縮合と、二重結合のラジカル重合を行うことにより、白色の有機質無機質複合体粒子を得て、これを原料粒子(A)とした。
原料粒子(A)の粒子径を電子顕微鏡により観察し、粒子径を測定したところ、平均粒子径5.5μm、粒子径変動係数2.9%であり、ポリシロキサン骨格の割合は、原料粒子(A)の重量に対して、SiO換算量で54wt%(空気中1000℃で焼成した場合)であった。
【0053】
−製造例2−
(アミノ基含有熱可塑性樹脂微粒子分散液)
撹拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、脱イオン水782.4部およびハイテノールN−08(第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩)の15%水溶液128部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら70℃に加熱した。そこへ、過硫酸カリウムの5%水溶液を64部注入し、予め調製しておいたアクリル酸ブチル288部、スチレン288部およびジメチルアミノエチルメタクリレート64部からなる単量体混合物を3時間にわたって滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を70±1℃に保った。滴下終了後も2時間同じ温度に保った後、内温を80℃に昇温させて1時間撹拌を続けて反応を完結させた。その後、冷却し、不揮発分39.8wt%、pH8.0のアミノ基含有熱可塑性樹脂微粒子分散液(B)を得た。また、得られた熱可塑性樹脂微粒子分散液(B)の粒子径をDLS700(大塚電子株式会社製)およびゼータ電位をELS−800(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、平均粒子径は85nm、ゼータ電位は+53mV(pH8.0)であった。
【0054】
−製造例3−
(カルボキシル基含有熱可塑性樹脂微粒子)
撹拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、脱イオン水640部およびハイテノールN−08(第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩)の15%水溶液128部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら70℃に加熱した。そこへ、過硫酸カリウムの5%水溶液を64部注入し、予め調製しておいたアクリル酸ブチル320部、メタクリル酸メチル294.4部、およびアクリル酸25.6部からなる単量体混合物を3時間にわたって滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を70±1℃に保った。滴下終了後も2時間同じ温度に保った後、内温を80℃に昇温させて1時間撹拌を続けて反応を完結させた。その後、冷却し、不揮発分45.1wt%、pH2.3のカルボキシル基含有熱可塑性樹脂微粒子分散液(C)を得た。また、得られた熱可塑性樹脂微粒子分散液(C)の粒子径をDLS700(大塚電子株式会社製)およびゼータ電位をELS−800(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、平均粒子径は103nm、ゼータ電位は−41mV(pH2.3)であった。
【0055】
−製造例4−
(オキサゾリン基含有熱可塑性樹脂微粒子)
撹拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、脱イオン水782.4部およびハイテノールN−08(第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩)の15%水溶液128部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら70℃に加熱した。そこへ、過硫酸カリウムの5%水溶液を64部注入し、予め調製しておいたアクリル酸ブチル288部、スチレン288部および2−イソプロペニル−2−オキサゾリン64部からなる単量体混合物を3時間にわたって滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を70±1℃に保った。滴下終了後も2時間同じ温度に保った後、内温を80℃に昇温させて1時間撹拌を続けて反応を完結させた。その後、冷却し、不揮発分39.8wt%、pH8.0のオキサゾリン基含有熱可塑性樹脂微粒子分散液分散液(D)を得た。また、得られた熱可塑性樹脂微粒子分散液(D)の粒子径をDLS700(大塚電子株式会社製)およびゼータ電位をELS−800(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、平均粒子径は85nm、ゼータ電位は+53mV(pH8.0)であった。
【0056】
−製造例5−
(アニオン性熱可塑性樹脂微粒子分散液)
撹拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、脱イオン水576部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら70℃に加熱した。そこへ、過硫酸カリウムの20%水溶液を64部注入し、予め調製しておいたアクリル酸ブチル80部、メタクリル酸メチル75部およびアクリル酸5部からなる単量体混合物を2時間にわたって滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を70±1℃に保った。滴下終了後も2時間同じ温度に保った後、内温を80℃に昇温させて1時間撹拌を続けて反応を完結させた。その後、冷却し、不揮発分19.8wt%、pH2.3のアニオン性の熱可塑性樹脂微粒子分散液分散液(E)を得た。また、得られた熱可塑性樹脂微粒子分散液(E)の粒子径をDLS700(大塚電子株式会社製)およびゼータ電位をELS−800(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、平均粒子径は450nm、ゼータ電位は−56mV(pH2.3)であった。
【0057】
−実施例1−
原料粒子(A)50部を水150部に超音波分散させた際のpHは4.0であり、ゼータ電位は−20mVであった。この原料粒子分散液200部にカチオン性の熱可塑性樹脂微粒子分散液(B)200部を添加した。その混合液のpHは7.0、ゼータ電位は+23mVであった。この混合分散液を、撹拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら、70℃にて2時間加熱した。得られた分散混合液を光学顕微鏡で観察したところ、系の凝集ならびに熱可塑性樹脂微粒子からなる原料粒子程度の凝集物は観察されず、熱可塑性樹脂微粒子の単体、および原料粒子が熱可塑性樹脂微粒子に被覆されてなる接着性スペーサー(1)のみが観察された。
【0058】
分級工程においては、まず、細孔径1ミクロンのメンブランフィルターを利用して、上記工程で得た分散混合液の濾過を行った。フィルターを透過した濾過後の液には、熱可塑性樹脂微粒子のみが存在した。この濾過によってフィルター側に残存した接着性スペーサー(1)を、分散媒としてメタノールを用いて再度分散させ、電成ふるいを備えた分級装置によって分級した。分級装置内の粒子濃度は5〜20wt%を保つよう適宜メタノールの補給を行った。
分級するに際し、電成ふるいとしてニッケル系で開孔径2.0μmのものを用いて分級を行ったあと、ふるい上部に残存した液を回収し、さらに、これをニッケル系で開孔径10.0μmのものを用いて再び分級を行い、ふるい下部に流出した、分級後の接着性スペーサー(1)の分散液を回収した。
【0059】
−実施例2−
原料粒子(A)100部をメタノール500部および水20gに超音波分散させた系に、カチオン性のシランカップリング剤(信越シリコーン製、品名:X−12−614)20部、触媒としてイオン交換樹脂1gを加えて、60℃メタノール還流下で2時間反応を行った。反応後のカチオン性の原料粒子をメタノールでよく洗浄した後、100℃の減圧乾燥器で一晩乾燥させた。
カチオン性の原料粒子50部を水150部に超音波分散させた際のpHは8.8であり、ゼータ電位は+26mVであった。この原料粒子分散液200部にアニオン性の熱可塑性樹脂微粒子分散液(C)200部を添加した。その混合液のpHは6.5、ゼータ電位は−16mVであった。この混合分散液を、撹拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら、70℃にて2時間加熱した。得られた分散混合液を光学顕微鏡で観察したところ、系の凝集ならびに熱可塑性樹脂微粒子からなる原料粒子程度の凝集物は観察されず、熱可塑性樹脂微粒子の単体、および原料粒子が熱可塑性樹脂微粒子に被覆されてなる接着性スペーサー(2)のみが観察された。
【0060】
分級工程においては実施例1と同様の方法により、濾過、懸濁および分級を行い、分級後の接着性スペーサー(2)の分散液を回収した。
−実施例3−
原料粒子(A)100部をメタノール500部および水20gに超音波分散させた系に、カチオン性のシランカップリング剤(信越シリコーン製、品名:X−12−614)20部、触媒としてイオン交換樹脂1gを加えて、60℃メタノール還流下で2時間反応を行った。反応後のカチオン性の原料粒子をメタノールでよく洗浄した後、100℃の減圧乾燥器で一晩乾燥させた。
【0061】
カチオン性の原料粒子100部をpH3に調製した酢酸水溶液300部に分散させ、アニオン性の熱可塑性樹脂微粒子分散液分散液(E)100部と混合し、ヘテロ凝集を行った。この得られたヘテロ凝集分散液を細孔径1μmのメンブランフィルターを利用して濾過により分別した。その後、濾別粒子を40℃の減圧乾燥下で一晩乾燥させた。乾燥した粒子36部を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−0型を用いた高速気流中衝撃法により衝撃力を加えて、熱可塑性樹脂微粒子からなる接着層を溶融させ、均一被覆を行い、実施例3の接着性スペーサー(3)を得た。
分級工程においては実施例1と同様の方法により、濾過、懸濁および分級を行い、分級後の接着性スペーサー(3)の分散液を回収した。
【0062】
−実施例4−
実施例1において用いたカチオン性の熱可塑性樹脂微粒子分散液(B)の代わりに、製造例4のオキサゾリン基含有熱可塑性樹脂微粒子分散液分散液(D)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の接着性スペーサー(4)を得た。
分級工程においても実施例1と同様の方法により、濾過、懸濁および分級を行い、分級後の接着性スペーサー(4)の分散液を回収した。
−比較例1−
原料粒子(A)30gと、製造例3で合成した熱可塑性樹脂微粒子分散液(C)をドライアップして得た熱可塑性樹脂微粒子6gとを混合した後、奈良機械製作所(株)製、ハイブリダイゼーションシステムNHS−0型を使用し、高速気流中衝撃法により、原料粒子の表面を熱可塑性樹脂微粒子で被覆処理することにより、比較例1の接着スペーサー(比較接着性スペーサー(1))を得た。
【0063】
分級工程においては、実施例1の濾過工程を除いた工程と同様に、比較接着性スペーサー(1)を分散媒としてメタノールを用いて再度分散させ、電成ふるいを用いて行い、分級後の比較接着性スペーサー(1)の分散液を回収した。

上記実施例1〜4および比較例1より得られた接着性スペーサー(1)〜(4)および比較接着性スペーサー(1)について、固着力試験および樹脂異物評価を行った。
(固着力試験)
加熱処理後の接着性スペーサーの基板への固着力(接着力)を、エアブロー法によりエアブロー前後の粒子残存率を計算し、評価した。その結果を表1に示す。残存率は3回測定後の平均値である。
【0064】
基板:スライドガラス
加熱:ホットプレートにより、150℃あるいは180℃で10分間加熱した。
エアブロー法:スライドガラスに直角にエアーガンをセットし、圧力2kg/cmにて10秒エアブローをした。
粒子数:測定した粒子数は5000個である。
【0065】
【表1】

【0066】
(樹脂異物評価)
濾別・乾燥したサンプルをSEM(日立製:S3500)にて任意の5視野(倍率:1000倍、粒子総数:約5000)を観察し、熱可塑性樹脂微粒子単体等が凝集した接着性スペーサー以外の樹脂異物の個数を計測した。
【0067】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、液晶表示板用の接着性スペーサーとして好適に用いることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子本体の表面の少なくとも一部が熱可塑性樹脂からなる接着層で被覆された液晶表示板用の接着性スペーサーにおいて、前記接着層は熱可塑性樹脂の微粒子で構成され、前記熱可塑性樹脂微粒子は、前記粒子本体とは反対のイオン電荷を持つことにより、前記粒子本体とのヘテロ凝集により前記粒子本体の表面に付着している、ことを特徴とする、液晶表示板用接着性スペーサー。
【請求項2】
前記粒子本体が有機質無機質複合体粒子である、請求項1に記載の液晶表示板用接着性スペーサー。


【公開番号】特開2006−317975(P2006−317975A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200032(P2006−200032)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【分割の表示】特願2000−321669(P2000−321669)の分割
【原出願日】平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】