説明

液晶表示用バックライト装置及びカラー液晶表示装置

【課題】 バックライトを利用したカラー液晶表示装置においては、バックライトとして白色光源を使用して、この白色光源からカラーフィルタによって三原色の各色を取出して光の加色法によってカラー画像を表示しているが、バックライトの光を効率良く利用することができずにいたが、このバックライトの光を効率良く利用することを可能にした液晶表示用バックライト装置及びそれを使用したカラー液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 夫々青、緑、赤色を発光する発光素子29B,29G,29Rをストライプ状に配列した発光素子層29を形成したバックライト装置26を使用し、この各発光素子29B,29G,29Rに対向してアレイ基板15の画素電極13を同一ピッチで対向配置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3原色を夫々発光する発光素子をストライプ状に配列させた液晶表示用バックライト装置及びそれを使用したカラー液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のカラー液晶表示装置としては、隣接画素間でのクロストークがなく、良好な表示画像の実現が可能なことから、アクティブマトリクス型カラー液晶表示装置が主流となっている。このアクティブマトリクス型カラー液晶表示装置は、図4に示すように、透明なガラス材からなる基板41上にマトリクス状にスイッチング素子、例えばアモルファスシリコンを半導体層とした薄膜トランジスタ(TFT)42を設け、このTFT42と接続される複数のITO(Indium Tin Oxide)等から構成される透明な画素電極43を基板41上に配置し、更に、この画素電極43面上にポリイミド等から構成される配向膜44を形成したアレイ基板45を有している。
【0003】
このアレイ基板45と対向して配置される対向基板46は、同様に透明なガラス材にて形成された基板47を有し、この基板47のアレイ基板45と対向する対向面上には、アクリル材等から構成される青、緑、赤の3色カラーフィルタ48を形成する複数の着色層48B,48G,48Rが設けられている。更に、このカラーフィルタ48上には、ITO等から構成される透明な共通電極49が設けられ、この共通電極49上には、ポリイミド等から構成される配向膜50が設けられている。
【0004】
このアレイ基板45と対向基板46間は、両基板45,46間に介在されるスペーサ(図示せず)によって、そのギャップが規定されており、両基板45,46は所定の間隙を持って対向配置されるとともに、その周辺部を熱または紫外線硬化型のアクリル系あるいはエポキシ系の接着剤から構成されるシール材51を介して貼合わされており、この間隙部分には液晶層52が封止されるとともに、このアレイ基板45上から対向基板46へ電圧を印加する電極転移材として、銀ペースト(図示せず)等が画面周辺部に配置され、この電極転移材によってアレイ基板45と対向基板46間を電気的に接続するようになされて液晶パネル(セル)53が構成されている。
【0005】
更に、この液晶パネル53の両外表面には、偏光板54,55が接着剤によって貼付され、アレイ基板45側の偏光板54の外方にはバックライト装置56が配置されて、カラー液晶表示装置を構成している。
【0006】
このバックライト装置56は、偏光板54と対向するように配置されたガラス材からなる基板57を有し、この基板57の偏光板54とは反対側平面上に透明電極58を配置し、この透明電極58上に青、緑、赤夫々の波長成分を含んだ白色の発光素子59及び背面電極60が順次積層配置されて構成されている。
【0007】
このように構成されたカラー液晶表示装置は、光源となるバックライト装置56の透明電極58及び背面電極60間に電圧を印加することによって発光素子59を発光させることにより点灯させることができる。この点灯に合せてTFT42を駆動することによって画素電極43をスイッチング制御し、画素電極43電圧と対向する共通電極49に供給される電圧との電位差により、各々の画素電極43上の液晶層52を制御して光シャッターの役目を行わせることにより、バックライト装置56からの光を選択的に取出し、更にカラーフィルタ48の各着色層48B,48G,48Rを通して夫々の単色光として発光させ、光の加色法によって所定のカラー画像を表示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように構成されたカラー液晶表示装置においては、比較的簡単にカラー表示をすることが可能で、しかもカラーフィルタ48の採用によって色純度の高いRGB三原色を得ることができる。
【0009】
しかしながら、このようなカラー液晶表示装置においては、バックライト装置56で発光する白色光からカラーフィルタ48によって青、緑、赤の各単色の色彩光を選択的に取出すようにしているために、バックライト装置56の光を効率良く利用することができないという問題点を有している。
【0010】
本発明は、このような課題に対処するためになされたもので、発光素子として夫々青、緑、赤を発光する発光素子をストライプ状に配列させたバックライト装置を用いることにより、バックライト装置にて発光する光を効率良く取出すことを可能とした液晶表示用バックライト装置及びそれを使用したカラー液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、透明な基板の一平面上に透明電極及び背面電極によって挟持された所定の単色を発光する複数色の発光素子を順次所定のピッチでストライプ状に配列して液晶表示用バックライト装置を構成している。
【0012】
また、基板の主面上に配置されたストライプ状の画素電極を有するアレイ基板と、このアレイ基板の前記主面に対向して配置された共通電極を有する対向基板と、この対向基板とアレイ基板との間隙部分に充填された液晶層とを有する液晶表示パネルを備え、この液晶パネルの外側に各発光素子と画素電極とが夫々対となるように同一ピッチで配列されたバックライト装置を配置してカラー液晶表示装置を構成している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カラーフィルタを使用しないでも簡単な構成でバックライト光を効率良く利用してカラー表示することが可能であり、またカラーフィルタを使用した場合にあっては、色純度の更なる向上を図ることができるとともに、カラーフィルタにおける減衰光量を低減させることが可能で、バックライト光をより効率的に利用し得る液晶表示用バックライト装置及びそれを使用したカラー液晶表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る液晶表示用バックライト装置及びそれを使用したカラー液晶表示装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
本発明に係るカラー液晶表示装置は、図1に示すように、透明なガラス材から構成される基板11の主面上に、成膜、パターニング等の微細技術を駆使して電極配線とスイッチング素子、例えばTFT12がマトリクス状に設けられる。
【0016】
更に、この基板11上には、TFT12と接続されるITO(Indium Tin Oxide)等の透過性導電部材をスパッタリング法によって成膜し、フォトリソグラフィ法によってパターニングすることによって、ストライプ状の透明な画素電極13を形成している。この画素電極13上には、ポリイミド等からなる薄膜の配向膜14を設けてアレイ基板15が構成されている。
【0017】
一方、このアレイ基板15に対向して対向基板16が配置される。この対向基板16は、同じく透明なガラス材から構成される基板17の対向面上に、ITO膜をスパッタリング法を用いて成膜して共通電極18を形成するとともに、この共通電極18上には、ポリイミド等を塗布して形成した配向膜19が配置されており、この配向膜19及びアレイ基板15の配向膜14は、いずれもラビング処理が施されている。
【0018】
この対向基板16とアレイ基板15とは、スペーサ20によって所定の間隙を保ちながら、例えば注入口を除いて熱硬化性エポキシ系接着剤からなるシール材21によって周辺部を加熱接着して固定している。またアレイ基板15から対向基板16に電圧を印加するための電極転移材を、シール材21の周辺の電極転移電極(図示せず)上に形成している。この間隙部分には、液晶化合物からなる液晶部材を注入口から注入して液晶層22を形成し、その後に、この注入口を紫外線硬化樹脂によって封止して液晶パネル(セル)23を形成している。
【0019】
更に、この液晶パネル23のアレイ基板15及び対向基板16の外表面には、夫々偏光板24,25が接着固定されるとともに、アレイ基板15側の偏光板24の外側には、面光源としてのバックライト装置26が配置されて、カラー液晶表示装置が構成されている。
【0020】
このバックライト装置26は、図2に示すように構成される。
【0021】
即ち、その一平面を偏光板24に対向させた透明なガラス材からなる基板27の他平面上に、透明な導電材料をコーティングして透明電極28を形成し、この透明電極28上に夫々液晶パネル23に形成した画素電極13の配列と一致するように夫々同じピッチで対向するストライプ状の有機または無機電界発光素子からなる発光素子層29が配置される。この発光素子層29は、夫々の画素電極13と対をなすように対向配置された青色発光素子29B,緑色発光素子29G,及び赤色発光素子29Rから構成され、夫々の発光素子29B,29G,29Rが規則的に順序だって配列されており、この発光素子層29の反対面には背面電極30が形成されてバックライト装置26が構成されている。
【0022】
このように構成されたカラー液晶表示装置によれば、液晶パネル22内のTFT12は、画素電極13の行に沿って形成される走査線Y(図示せず)とゲート電極が、また画素電極13の列に沿って形成される信号線X(図示せず)にソース電極が夫々接続されており、走査線駆動回路(図示せず)から走査線Yを介して供給される駆動電圧によってTFT12が導通し、信号線駆動回路(図示せず)からの信号電圧をTFT12のソース・ドレイン通路を通して画素電極13に印加するように動作しており、また、共通電極18には、共通電極駆動回路(図示せず)からの駆動電圧が供給されて、この画素電極13と共通電極18により液晶層21を制御している。
【0023】
このとき、バックライト装置26の透明電極28と背面電極30間に所定の電圧を印加することにより発光素子層29を構成している各青、緑、赤用の発光素子29B,29G,29Rに電子または正孔を注入することにより、夫々の発光素子29B,29G,29Rを発光させることによって三原色を構成している青、緑、赤の単色光を得ている。そして、これらの発光色の光を選択的に液晶層22を通過させることで、カラー画像を光の加色法によって表示することができる。
【0024】
このようにカラー液晶表示装置を構成することで、カラーフィルタを使用することなくカラー表示を行わせることが可能となり、バックライト装置26の光を効率良く利用することができる。
【0025】
以上説明した実施の形態の場合には、液晶パネル23にカラーフィルタを設けずにカラー表示させる場合について説明しているが、図3に示すように、液晶パネル23内にカラーフィルタを形成した場合においても、同様に構成することが可能である。
【0026】
なお、上記した実施の形態の構成と同じ構成部分には同一符号を付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0027】
即ち、対向基板16のアレイ基板15と対向する平面上にカラーフィルタ31を形成し、バックライト装置26の夫々の各発光素子29B,29G,29Rと対向する位置に、夫々青色用、緑色用及び赤色用の着色層31B,31G,31Rを各発光素子29B,29G,29Rの配列ピッチと同じピッチにてストライプ状に配列形成する。
【0028】
この着色層29R,29G,29Bは、例えば第1色を赤で構成する場合には、まず赤色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストをスピンナーにて基板17の全面に均一になるように塗布し、次いで赤を着色したい部分に光が照射されるような1色目に対応するストライプ形状のパターン部分を有するフォトマスクパターンを介して紫外線を照射することにより露光する。その後、これを現像して当該パターン部分に所定膜厚の赤の着色層31Rを形成する。引続き緑の着色層31G及び青の着色層31Bを同様にして夫々形成することにより、カラーフィルタ31を形成することができる。
【0029】
この各着色層31B,31G,31R間には、光を遮光するブラックストライプ層32を形成することも可能である。
【0030】
そして、これら着色層31B,31G,31R及びブラックストライプ層32の上に共通電極18を構成するようにする。
【0031】
このように構成することによって、青、緑、赤の色純度をより一層改善することが可能であり、しかも各発光素子29B,29G,29Rと各着色層31B,31G,31Rとが夫々同色で対になるように配列されているので、各発光素子31B,31G,31Rから発光されるバックライト光のうち、カラーフィルタ31によって減衰する光量も低減させることが可能となるので、バックライト光を効率良く利用することができる。
【0032】
なお、本発明は、上述した実施の形態にとらわれることなく種々の変更が可能であり、例えば、カラーフィルタ31を対向基板16側ではなくアレイ基板15側の基板11面上に形成し、このカラーフィルタ31面上に画素電極13を形成することも可能である。
【0033】
また、スペーサ20は柱状のものに限らず、ビーズ状のスペーサ20の使用も可能であり、柱状のスペーサ20を採用する場合には、カラーフィルタ31を構成する着色層31G,31B,31Rと同じ材料を使用して積層形成することが可能なので、着色層31G,31B,31Rの形成時にスペーサ20を同時に同じ材料を使用して、フォトリソグラフィ法によって作り込むことで、スペーサ20形成工程の削減を図ることも可能となる。
【0034】
また、液晶表示装置としてもアクティブマトリクス型に限らず単純マトリクス型にも適用が可能であって、カラー液晶表示装置を構成するその他の構成、形状、大きさ及び材質等は、これら実施の形態のものに限定されないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るカラー液晶表示装置の構成を示す分解断面図。
【図2】本発明に係るカラー液晶表示装置を構成するバックライト装置の構成を示す斜視図。
【図3】同じく本発明に係るカラー液晶表示装置の他の構成を示す分解断面図。
【図4】従来のカラー液晶表示装置を示す分解断面図。
【符号の説明】
【0036】
11:基板
13:画素電極
15:アレイ基板
16:対向基板
17:基板
18:共通電極
22:液晶層
26:バックライト装置
27:基板
28:透明電極
29:発光素子層
29B,29G,29R:発光素子
30:背面電極
31:カラーフィルタ
31B,31G,31R:着色層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な基板の一平面上に透明電極及び背面電極によって挟持された所定の単色を発光する複数色の発光素子を順次所定のピッチでストライプ状に配列したことを特徴とする液晶表示用バックライト装置。
【請求項2】
基板の主面上に配置されたストライプ状の画素電極を有するアレイ基板と、このアレイ基板の前記主面に対向して配置された共通電極を有する対向基板と、この対向基板と前記アレイ基板との間隙部分に充填された液晶層とを有する液晶表示パネルを備え、この液晶パネルの外側に前記バックライト装置を配置したカラー液晶表示装置であって、
前記各発光素子と前記画素電極とが夫々対となるように同一ピッチで配列されていることを特徴とするカラー液晶表示装置。
【請求項3】
前記液晶パネルはストライプ状のカラーフィルタを備え、このカラーフィルタを構成する各着色層と前記各発光素子とが前記画素電極を挟んで同色同士が対称的に配列されていることを特徴とする請求項2記載のカラー液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−98523(P2006−98523A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282246(P2004−282246)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】