液晶表示素子の搬送装置
【課題】 従来の液晶表示素子の搬送装置は、バキュームパッド28で一個づつ液晶表示素子Hを搬送するため、作業性が悪く、生産性が悪いという問題がある。
【解決手段】 本発明の液晶表示素子の搬送装置は、複数個の凹凸部9cを設けた第1の挟持部材7と複数個の凹凸部13bを設けた第2の挟持部材10とで、複数個の液晶表示素子Hの両側端面を挟持して搬送するようにしたため、一度に、多数の液晶表示素子Hの搬送が出来、作業性が良く、生産性の良好な搬送装置を提供できる。
【解決手段】 本発明の液晶表示素子の搬送装置は、複数個の凹凸部9cを設けた第1の挟持部材7と複数個の凹凸部13bを設けた第2の挟持部材10とで、複数個の液晶表示素子Hの両側端面を挟持して搬送するようにしたため、一度に、多数の液晶表示素子Hの搬送が出来、作業性が良く、生産性の良好な搬送装置を提供できる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子の製造に置いて使用される液晶表示素子の搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、液晶表示素子は図11、図12に示すように、二枚のガラス基板21は、開口部22を残して周囲が接着剤23で接着され、また、二枚のガラス21間に形成された空洞部24には液晶25が充填されると共に、開口部22がUV硬化樹脂等の封止剤26で塞がれ、液晶25が封止されて液晶表示素子Hが構成されている。
【0003】また、このような液晶表示素子Hを製造する工程に置いて、図13、図14にに示すような、複数個の溝27に整列状態で液晶表示素子Hを保持するためのコ字状のカセットKが使用される。そして、例えば、液晶注入工程では、二枚のガラス基板21を接着剤23で接着した複数個の液晶表示素子HがカセットKに整列して保持され、この状態で開口部22より複数個の液晶表示素子Hを同時に液晶25を注入する。また、この注入工程が完了すると、次に、開口部22を塞ぐ封止工程が行われるが、この封止工程を行う際、注入工程の完了した液晶表示素子Hは、注入工程用のカセットから搬送されて封止工程用のカセットに移されるようになっている。
【0004】そして、このような液晶表示素子の搬送に使用される従来の液晶表示素子の搬送装置は、図15に示すように、注入工程用のカセットK1には、液晶25の注入が完了した液晶表示素子Hが整列して配置され、また、封止工程用のカセットK2には、液晶表示素子Hが未配列状態となっていて、搬送部材であるバキュームパッド28を、注入が完了した最端にある液晶表示素子Hに当て、バキュームパッド28で液晶表示素子Hを吸着し、カセットK1の溝27から液晶表示素子Hを抜き出して、この液晶表示素子Hを封止工程用のカセットK2の溝27に差し込むようになっている。即ち、従来の搬送装置は、バキュームパッド28で、液晶表示素子Hを一個づつ注入工程用のカセットK1から封止工程用のカセットK2に搬送するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の液晶表示素子の搬送装置は、バキュームパッド28で一個づつ液晶表示素子Hを搬送するため、作業性が悪く、生産性が悪いという問題がある。また、バキュームパッド28を使用すると、搬送途上において液晶表示素子Hがフラツキ、封止工程用のカセットK2の溝27に液晶表示素子Hを挿入するのが難しく、作業に手間取り、生産性が悪いという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための第1の解決手段として、挟持面に複数個の凹凸部を設けた第1の挟持部材と、複数個の凹凸部を有し、バネ部材により弾圧された移動挟持部を前記凹部に配設させた第2の挟持部材とを備え、前記第1と第2の挟持部材の前記凹部に、液晶表示素子を位置させ、該液晶表示素子の両側端面を、前記第1と第2の挟持部材で挟持するようにした構成とした。また、第2の解決手段として、前記第1の挟持部材には複数個の第1の挟持部を、また、前記第2の挟持部材には複数個の第2の挟持部をそれぞれ上下方向に配設し、複数個の前記第1と前記第2の挟持部とで前記液晶表示素子の両側端面を挟持するようにした構成とした。また、第3の解決手段として、前記移動挟持部が隣り合う前記凹部において、上下互い違いの位置に配設された構成とした。また、第4の解決手段として、前記第1と第2の挟持部材の少なくとも一方には、前記凸部と同方向に伸びて前記凸部よりも長く形成された前記液晶表示素子間挿入用の複数個の突片を設けた構成とした。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明の液晶表示素子の搬送装置を図1〜図10に基づいて説明すると、図1は本発明の液晶表示素子の搬送装置の正面図、図2は本発明の液晶表示素子の搬送装置の下面図、図3は本発明の液晶表示素子の搬送装置に係る第1の挟持部の斜視図、図4R>4は本発明の液晶表示素子の搬送装置に係る第2の挟持部の斜視図、図5は本発明の液晶表示素子の搬送装置に係る第2の挟持部の裏面図、図6は図5のA−A線における断面図、図7は図5のB−B線における断面図、図8R>8は本発明の液晶表示素子の搬送装置の動作を説明するための説明図、図9は本発明の液晶表示素子の搬送装置の動作を説明するための要部の説明図、図10は本発明の液晶表示素子の搬送装置の他の実施形態を示す第1の挟持部の斜視図である。
【0008】そして、前述したように、液晶表示素子は図11、図12に示すように、二枚のガラス基板21は、開口部22を残して周囲が接着剤23で接着され、また、二枚のガラス21間に形成された空洞部24には液晶25が充填されると共に、開口部22がUV硬化樹脂等の封止剤26で塞がれ、液晶25が封止されて液晶表示素子Hが構成されている。
【0009】また、このような液晶表示素子Hを製造する工程に置いて、図13、図14に示すような、複数個の溝27に整列状態で液晶表示素子Hを保持するためのコ字状のカセットKが使用される。そして、例えば、液晶注入工程では、二枚のガラス基板21を接着剤23で接着した複数個の液晶表示素子HがカセットKに整列して保持され、この状態で開口部22より複数個の液晶表示素子Hを同時に液晶25を注入する。また、この注入工程が完了すると、次に、開口部22を塞ぐ封止工程が行われるが、この封止工程を行う際、注入工程の完了した液晶表示素子Hは、注入工程用のカセットから搬送されて封止工程用のカセットに移されるようになっている。
【0010】そして、このような液晶表示素子の搬送に使用される本発明の液晶表示素子の搬送装置は、図1〜図9に示すように、コ字状の基台1は、平板状の基体1aと、基体1aの両端に間隔をおいて合い対向する一対の取付部1b,1cとを有している。また、円柱のガイド棒2、3は、それぞれその両側において互いに向きの異なるネジ2a、2b、3a、3bが設けられ、二つのガイド棒2、3は、間隔を置いて取付部1b,1c間に回転可能に橋架されている。また、ガイド棒2には歯車4が、また、ガイド棒3には歯車5が取り付けられ、この歯車4と5との間には中間歯車6が配設され、一方のガイド棒2が回転した時、このガイド棒2が回転すると共に、歯車4、中間歯車6、及び歯車5を介して他方のガイド棒3を回転するようになっている。
【0011】また、ガイド棒2、3に移動可能に取り付けられた第1の挟持部材7は、矩形状の可動体8と、可動体8に対して上下方に間隔を置いて取り付けられた複数個の第1の挟持部9とで構成されている。そして、挟持部9は、図3に示すように、挟持面9aを有する支持部9bと、挟持面9aから直角方向に突出する櫛歯状の複数個の凹凸部9cとを備え、この挟持部9は、支持部9bが可動体8に取り付けられて、凹凸部9cが内方に突出した状態となっている。また、凹凸部9cの凹部の幅は、前記液晶表示素子Hの厚みよりやや大きく、また、凸部の厚みは、カセットKに配列された液晶表示素子H間の幅と同等程度に形成されている。そして、このような挟持部9を取り付けた可動体8は、ガイド棒2、3のネジ2a、3aに螺合された状態で、基体1aに対して直角方向に配設され、ガイド棒2、3の回転により矢印X方向、及び矢印Y方向に移動するようになっている。
【0012】また、ガイド棒2、3に移動可能に取り付けられた第2の挟持部材10は、矩形状の可動部11と、可動体11に対して上下方向に間隔を置いて取り付けられた複数個の第2の挟持部12とで構成されている。そして、挟持部12は、図4〜図7に示すように、板状部13aと、板状部13aから直角方向に突出する櫛歯状の複数個の凹凸部13bと、板状部13aから凹凸部13bの凹部に跨り、互いに隣り合う凹部において上下に互い違いに位置して設けられた窪み部13cとを備えた支持部13と、窪み部13c内に収納された移動挟持部14と、窪み部13c内に収納され、移動挟持部14を常時弾圧するバネ部材15と、支持部13にネジ込み等で取り付けられ、バネ部材15の抜け止めを行う抜け防止部16とで構成されている。
【0013】そして、この挟持部10は、支持部13の板状部13aが可動体11に取り付けられて、凹凸部13bが内方に突出した状態となっている。また、凹凸部13bの凹部の幅は、前記液晶表示素子Hの厚みよりやや大きく、また、凸部の厚みは、カセットKに配列された液晶表示素子H間の幅と同等程度に形成されていると共に、凹凸部13bの凹部には、バネ部材15に弾圧された移動挟持部14が位置し、バネ部材15に抗して凹部内で移動するようになっている。そして、このような挟持部12を取り付けた可動体11は、もう一方の可動体8に対向した状態でガイド棒2、3のネジ2b、3bに螺合され、且つ、基体1aに対して直角方向に配設され、ガイド棒2、3の回転により矢印X方向、及び矢印Y方向に移動するようになっている。
【0014】また、ガイド棒2を回転すると、歯車4、中間歯車6、歯車5を介してガイド棒3が回転し、そして、第1と第2の挟持部材7、10は、ガイド棒2、3が、例えば時計方向に回転した時、間隔を狭める方向の矢印X方向に同時に移動し、また、反時計方向に回転した時、間隔を広める方向の矢印Y方向に同時に移動するようになっている。
【0015】次に、本発明の液晶表示素子の搬送装置の動作を説明すると、図8、図9に示すように、先ず、液晶の注入工程の完了したカセット27に整列状態にある液晶表示素子H上に、搬送装置を移動して、第1と第2の挟持部材7、10を液晶表示素子Hの両側部に配置する。次に、ガイド棒2を回転して、歯車4、6、5を介してガイド棒3を同時に回転する。すると、第1と第2の挟持部材7、10は、ガイド棒2、3のネジ2a、3aとネジ2b,3bとによって間隔を狭める方向の矢印X方向に移動し、第1と第2の挟持部9、12の凹凸部9c,13bの凸部が、液晶表示素子H間に挿入されながら凹部に液晶表示素子Hを受け入れる。
【0016】更に、第1と第2の挟持部材7、10の移動を続けると、第1の挟持部9の挟持面9aと第2の挟持部12の移動挟持部14が液晶表示素子Hの両側端面に当接し、また、更に移動すると、移動挟持部14がバネ部材15に抗して後退して、これによって、挟持面9aと移動挟持部14とで、液晶表示素子Hに対して搬送可能な所望の挟持力を持たせ、この状態で第1と第2の挟持部材7、10の移動を停止する。この時、複数個の液晶表示素子Hが、上下方向に複数個配設された第1と第2の挟持部材7、10とで挟持された状態となっている。
【0017】次に、第1と第2の挟持部材7、10で複数個の液晶表示素子Hを挟持した搬送装置を上方に移動して、注入工程のカセットKの溝27から液晶表示素子Hを抜き出して、この搬送装置を次工程である封止工程のカセットK上まで移動し、しかる後、搬送装置を下方に移動して、複数個の液晶表示素子HをカセットKの溝27に挿入する。次に、ガイド棒2を反対方向に回転すると、歯車4、6、5を介してガイド棒3も同方向に回転する。すると、第1と第2の挟持部材7、10は、ガイド棒2、3のネジ2a、3aとネジ2b,3bとによって間隔を広める方向の矢印Y方向に移動し、挟持面9aと移動挟持部14とによる液晶表示素子Hの挟持が解除されると共に、第1と第2の挟持部9、12の凹凸部9c,13bが液晶表示素子Hの両側から離れ、また、この時、移動挟持部14はバネ部材15により元の状態に戻る。そして、搬送装置は、再び、注入工程のカセットKの位置に戻されて、上述したような動作により液晶表示素子Hの搬送を行うようになる。
【0018】また、図10は、本発明の液晶表示素子の搬送装置の他の実施形態に係る第1の挟持部材を示し、第1の挟持部材7を構成する第1の挟持部7に、凹凸部7cの凸部と同方向に伸びて凸部よりも長い複数個の突片9dを設けたものである。そして、この突片9dが凹凸部9cの凸部よりも早く、カセットKに整列された液晶表示素子H間に介入して、傾き等で不揃いな液晶表示素子H間の間隔を一定にし、液晶表示素子Hの凹凸部9cへの挿入を容易、且つ、確実にするものである。また、その他の構成は上記と同様であるので、同一部品に同一番号を付し、ここではその説明を省略する。なお、突片9dは、第1の挟持部9に設けたもので説明したが、これに代えて、第2の挟持部12の支持部13に設けても良く、更に、突片9dは、第1と第2の挟持部9、12の双方に設けても良い。
【0019】
【発明の効果】本発明の液晶表示素子の搬送装置は、複数個の凹凸部9cを設けた第1の挟持部材7と複数個の凹凸部13bを設けた第2の挟持部材10とで、複数個の液晶表示素子Hの両側端面を挟持して搬送するようにしたため、一度に、多数の液晶表示素子Hの搬送が出来、作業性が良く、生産性の良好な搬送装置を提供できる。また、凹凸部9cと13bとで、複数個の液晶表示素子Hを位置決めして挟持するようにしたため、液晶表示素子Hを確実に挟持出来て、搬送途上においてフラツキを抑えることが出来、封止工程用のカセットの溝に液晶表示素子Hを挿入するのが容易となって、生産性の良好な搬送装置を提供できる。また、複数個の第1と第2の挟持部9と12とで、液晶表示素子Hの両側端面を挟持するようにしたため、液晶表示素子Hの保持がより確実となり、液晶表示素子Hのより多くの搬送が出来ると共に、搬送途上の液晶表示素子Hのフラツキも無く、生産性の良好な搬送装置を提供できる。
【0020】また、移動挟持部14が隣り合う凹部において、上下互い違いの位置に配設されているため、移動挟持部材14間の横方向の間隔を狭めることが出来て、凹凸部13bの間隔を小さく出来、従って、小さい間隔で配列された液晶表示素子Hに対応出来る搬送装置を提供できる。また、凹凸部9cよりも長い突片9dを設けることにより、この突片9dが凹凸部9cよりも早く液晶表示素子H間に介入して、傾き等で不揃いな液晶表示素子H間の間隔を一定に出来、液晶表示素子Hの凹凸部9cへの挿入を容易、且つ、確実にして、第1と第2の挟持部材7、10による液晶表示素子Hの挟持の確実な搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の搬送装置の正面図。
【図2】本発明の液晶表示素子の搬送装置の下面図。
【図3】本発明の液晶表示素子の搬送装置に係る第1の挟持部の斜視図。
【図4】本発明の液晶表示素子の搬送装置に係る第2の挟持部の斜視図。
【図5】本発明の液晶表示素子の搬送装置に係る第2の挟持部の裏面図。
【図6】図5のA−A線における断面図。
【図7】図5のB−B線における断面図。
【図8】本発明の液晶表示素子の搬送装置の動作を説明するための説明図。
【図9】本発明の液晶表示素子の搬送装置の動作を説明するための要部の説明図。
【図10】本発明の液晶表示素子の搬送装置の他の実施形態を示す第1の挟持部の斜視図。
【図11】搬送装置の搬送に使用される液晶表示素子の平面図。
【図12】図11のC−C線における断面図。
【図13】搬送装置に使用されるカセットの正面図。
【図14】搬送装置に使用されるカセットの平面図。
【図15】従来の液晶表示素子の搬送装置、並びに搬送装置の動作を示す説明図。
【符号の説明】
1 基台
1a 基体
1b、1c 取付部
2 ガイド棒
2a、2b ネジ
3 ガイド棒
3a、3b ネジ
4、5 歯車
6 中間歯車
7 第1の挟持部材
8 可動体
9 第1の挟持部
9a 挟持面
9b 支持部
9c 凹凸部
9d 突片
10 第2の挟持部材
11 可動体
12 第2の挟持部
13 支持部
13a 板状部
13b 凹凸部
13c 窪み部
14 移動挟持部材
15 バネ部材
16 抜け防止部
H 液晶表示素子
21 ガラス基板
22 開口部
23 接着剤
24 空洞部
25 封止剤
K カセット
27 溝
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子の製造に置いて使用される液晶表示素子の搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、液晶表示素子は図11、図12に示すように、二枚のガラス基板21は、開口部22を残して周囲が接着剤23で接着され、また、二枚のガラス21間に形成された空洞部24には液晶25が充填されると共に、開口部22がUV硬化樹脂等の封止剤26で塞がれ、液晶25が封止されて液晶表示素子Hが構成されている。
【0003】また、このような液晶表示素子Hを製造する工程に置いて、図13、図14にに示すような、複数個の溝27に整列状態で液晶表示素子Hを保持するためのコ字状のカセットKが使用される。そして、例えば、液晶注入工程では、二枚のガラス基板21を接着剤23で接着した複数個の液晶表示素子HがカセットKに整列して保持され、この状態で開口部22より複数個の液晶表示素子Hを同時に液晶25を注入する。また、この注入工程が完了すると、次に、開口部22を塞ぐ封止工程が行われるが、この封止工程を行う際、注入工程の完了した液晶表示素子Hは、注入工程用のカセットから搬送されて封止工程用のカセットに移されるようになっている。
【0004】そして、このような液晶表示素子の搬送に使用される従来の液晶表示素子の搬送装置は、図15に示すように、注入工程用のカセットK1には、液晶25の注入が完了した液晶表示素子Hが整列して配置され、また、封止工程用のカセットK2には、液晶表示素子Hが未配列状態となっていて、搬送部材であるバキュームパッド28を、注入が完了した最端にある液晶表示素子Hに当て、バキュームパッド28で液晶表示素子Hを吸着し、カセットK1の溝27から液晶表示素子Hを抜き出して、この液晶表示素子Hを封止工程用のカセットK2の溝27に差し込むようになっている。即ち、従来の搬送装置は、バキュームパッド28で、液晶表示素子Hを一個づつ注入工程用のカセットK1から封止工程用のカセットK2に搬送するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の液晶表示素子の搬送装置は、バキュームパッド28で一個づつ液晶表示素子Hを搬送するため、作業性が悪く、生産性が悪いという問題がある。また、バキュームパッド28を使用すると、搬送途上において液晶表示素子Hがフラツキ、封止工程用のカセットK2の溝27に液晶表示素子Hを挿入するのが難しく、作業に手間取り、生産性が悪いという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための第1の解決手段として、挟持面に複数個の凹凸部を設けた第1の挟持部材と、複数個の凹凸部を有し、バネ部材により弾圧された移動挟持部を前記凹部に配設させた第2の挟持部材とを備え、前記第1と第2の挟持部材の前記凹部に、液晶表示素子を位置させ、該液晶表示素子の両側端面を、前記第1と第2の挟持部材で挟持するようにした構成とした。また、第2の解決手段として、前記第1の挟持部材には複数個の第1の挟持部を、また、前記第2の挟持部材には複数個の第2の挟持部をそれぞれ上下方向に配設し、複数個の前記第1と前記第2の挟持部とで前記液晶表示素子の両側端面を挟持するようにした構成とした。また、第3の解決手段として、前記移動挟持部が隣り合う前記凹部において、上下互い違いの位置に配設された構成とした。また、第4の解決手段として、前記第1と第2の挟持部材の少なくとも一方には、前記凸部と同方向に伸びて前記凸部よりも長く形成された前記液晶表示素子間挿入用の複数個の突片を設けた構成とした。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明の液晶表示素子の搬送装置を図1〜図10に基づいて説明すると、図1は本発明の液晶表示素子の搬送装置の正面図、図2は本発明の液晶表示素子の搬送装置の下面図、図3は本発明の液晶表示素子の搬送装置に係る第1の挟持部の斜視図、図4R>4は本発明の液晶表示素子の搬送装置に係る第2の挟持部の斜視図、図5は本発明の液晶表示素子の搬送装置に係る第2の挟持部の裏面図、図6は図5のA−A線における断面図、図7は図5のB−B線における断面図、図8R>8は本発明の液晶表示素子の搬送装置の動作を説明するための説明図、図9は本発明の液晶表示素子の搬送装置の動作を説明するための要部の説明図、図10は本発明の液晶表示素子の搬送装置の他の実施形態を示す第1の挟持部の斜視図である。
【0008】そして、前述したように、液晶表示素子は図11、図12に示すように、二枚のガラス基板21は、開口部22を残して周囲が接着剤23で接着され、また、二枚のガラス21間に形成された空洞部24には液晶25が充填されると共に、開口部22がUV硬化樹脂等の封止剤26で塞がれ、液晶25が封止されて液晶表示素子Hが構成されている。
【0009】また、このような液晶表示素子Hを製造する工程に置いて、図13、図14に示すような、複数個の溝27に整列状態で液晶表示素子Hを保持するためのコ字状のカセットKが使用される。そして、例えば、液晶注入工程では、二枚のガラス基板21を接着剤23で接着した複数個の液晶表示素子HがカセットKに整列して保持され、この状態で開口部22より複数個の液晶表示素子Hを同時に液晶25を注入する。また、この注入工程が完了すると、次に、開口部22を塞ぐ封止工程が行われるが、この封止工程を行う際、注入工程の完了した液晶表示素子Hは、注入工程用のカセットから搬送されて封止工程用のカセットに移されるようになっている。
【0010】そして、このような液晶表示素子の搬送に使用される本発明の液晶表示素子の搬送装置は、図1〜図9に示すように、コ字状の基台1は、平板状の基体1aと、基体1aの両端に間隔をおいて合い対向する一対の取付部1b,1cとを有している。また、円柱のガイド棒2、3は、それぞれその両側において互いに向きの異なるネジ2a、2b、3a、3bが設けられ、二つのガイド棒2、3は、間隔を置いて取付部1b,1c間に回転可能に橋架されている。また、ガイド棒2には歯車4が、また、ガイド棒3には歯車5が取り付けられ、この歯車4と5との間には中間歯車6が配設され、一方のガイド棒2が回転した時、このガイド棒2が回転すると共に、歯車4、中間歯車6、及び歯車5を介して他方のガイド棒3を回転するようになっている。
【0011】また、ガイド棒2、3に移動可能に取り付けられた第1の挟持部材7は、矩形状の可動体8と、可動体8に対して上下方に間隔を置いて取り付けられた複数個の第1の挟持部9とで構成されている。そして、挟持部9は、図3に示すように、挟持面9aを有する支持部9bと、挟持面9aから直角方向に突出する櫛歯状の複数個の凹凸部9cとを備え、この挟持部9は、支持部9bが可動体8に取り付けられて、凹凸部9cが内方に突出した状態となっている。また、凹凸部9cの凹部の幅は、前記液晶表示素子Hの厚みよりやや大きく、また、凸部の厚みは、カセットKに配列された液晶表示素子H間の幅と同等程度に形成されている。そして、このような挟持部9を取り付けた可動体8は、ガイド棒2、3のネジ2a、3aに螺合された状態で、基体1aに対して直角方向に配設され、ガイド棒2、3の回転により矢印X方向、及び矢印Y方向に移動するようになっている。
【0012】また、ガイド棒2、3に移動可能に取り付けられた第2の挟持部材10は、矩形状の可動部11と、可動体11に対して上下方向に間隔を置いて取り付けられた複数個の第2の挟持部12とで構成されている。そして、挟持部12は、図4〜図7に示すように、板状部13aと、板状部13aから直角方向に突出する櫛歯状の複数個の凹凸部13bと、板状部13aから凹凸部13bの凹部に跨り、互いに隣り合う凹部において上下に互い違いに位置して設けられた窪み部13cとを備えた支持部13と、窪み部13c内に収納された移動挟持部14と、窪み部13c内に収納され、移動挟持部14を常時弾圧するバネ部材15と、支持部13にネジ込み等で取り付けられ、バネ部材15の抜け止めを行う抜け防止部16とで構成されている。
【0013】そして、この挟持部10は、支持部13の板状部13aが可動体11に取り付けられて、凹凸部13bが内方に突出した状態となっている。また、凹凸部13bの凹部の幅は、前記液晶表示素子Hの厚みよりやや大きく、また、凸部の厚みは、カセットKに配列された液晶表示素子H間の幅と同等程度に形成されていると共に、凹凸部13bの凹部には、バネ部材15に弾圧された移動挟持部14が位置し、バネ部材15に抗して凹部内で移動するようになっている。そして、このような挟持部12を取り付けた可動体11は、もう一方の可動体8に対向した状態でガイド棒2、3のネジ2b、3bに螺合され、且つ、基体1aに対して直角方向に配設され、ガイド棒2、3の回転により矢印X方向、及び矢印Y方向に移動するようになっている。
【0014】また、ガイド棒2を回転すると、歯車4、中間歯車6、歯車5を介してガイド棒3が回転し、そして、第1と第2の挟持部材7、10は、ガイド棒2、3が、例えば時計方向に回転した時、間隔を狭める方向の矢印X方向に同時に移動し、また、反時計方向に回転した時、間隔を広める方向の矢印Y方向に同時に移動するようになっている。
【0015】次に、本発明の液晶表示素子の搬送装置の動作を説明すると、図8、図9に示すように、先ず、液晶の注入工程の完了したカセット27に整列状態にある液晶表示素子H上に、搬送装置を移動して、第1と第2の挟持部材7、10を液晶表示素子Hの両側部に配置する。次に、ガイド棒2を回転して、歯車4、6、5を介してガイド棒3を同時に回転する。すると、第1と第2の挟持部材7、10は、ガイド棒2、3のネジ2a、3aとネジ2b,3bとによって間隔を狭める方向の矢印X方向に移動し、第1と第2の挟持部9、12の凹凸部9c,13bの凸部が、液晶表示素子H間に挿入されながら凹部に液晶表示素子Hを受け入れる。
【0016】更に、第1と第2の挟持部材7、10の移動を続けると、第1の挟持部9の挟持面9aと第2の挟持部12の移動挟持部14が液晶表示素子Hの両側端面に当接し、また、更に移動すると、移動挟持部14がバネ部材15に抗して後退して、これによって、挟持面9aと移動挟持部14とで、液晶表示素子Hに対して搬送可能な所望の挟持力を持たせ、この状態で第1と第2の挟持部材7、10の移動を停止する。この時、複数個の液晶表示素子Hが、上下方向に複数個配設された第1と第2の挟持部材7、10とで挟持された状態となっている。
【0017】次に、第1と第2の挟持部材7、10で複数個の液晶表示素子Hを挟持した搬送装置を上方に移動して、注入工程のカセットKの溝27から液晶表示素子Hを抜き出して、この搬送装置を次工程である封止工程のカセットK上まで移動し、しかる後、搬送装置を下方に移動して、複数個の液晶表示素子HをカセットKの溝27に挿入する。次に、ガイド棒2を反対方向に回転すると、歯車4、6、5を介してガイド棒3も同方向に回転する。すると、第1と第2の挟持部材7、10は、ガイド棒2、3のネジ2a、3aとネジ2b,3bとによって間隔を広める方向の矢印Y方向に移動し、挟持面9aと移動挟持部14とによる液晶表示素子Hの挟持が解除されると共に、第1と第2の挟持部9、12の凹凸部9c,13bが液晶表示素子Hの両側から離れ、また、この時、移動挟持部14はバネ部材15により元の状態に戻る。そして、搬送装置は、再び、注入工程のカセットKの位置に戻されて、上述したような動作により液晶表示素子Hの搬送を行うようになる。
【0018】また、図10は、本発明の液晶表示素子の搬送装置の他の実施形態に係る第1の挟持部材を示し、第1の挟持部材7を構成する第1の挟持部7に、凹凸部7cの凸部と同方向に伸びて凸部よりも長い複数個の突片9dを設けたものである。そして、この突片9dが凹凸部9cの凸部よりも早く、カセットKに整列された液晶表示素子H間に介入して、傾き等で不揃いな液晶表示素子H間の間隔を一定にし、液晶表示素子Hの凹凸部9cへの挿入を容易、且つ、確実にするものである。また、その他の構成は上記と同様であるので、同一部品に同一番号を付し、ここではその説明を省略する。なお、突片9dは、第1の挟持部9に設けたもので説明したが、これに代えて、第2の挟持部12の支持部13に設けても良く、更に、突片9dは、第1と第2の挟持部9、12の双方に設けても良い。
【0019】
【発明の効果】本発明の液晶表示素子の搬送装置は、複数個の凹凸部9cを設けた第1の挟持部材7と複数個の凹凸部13bを設けた第2の挟持部材10とで、複数個の液晶表示素子Hの両側端面を挟持して搬送するようにしたため、一度に、多数の液晶表示素子Hの搬送が出来、作業性が良く、生産性の良好な搬送装置を提供できる。また、凹凸部9cと13bとで、複数個の液晶表示素子Hを位置決めして挟持するようにしたため、液晶表示素子Hを確実に挟持出来て、搬送途上においてフラツキを抑えることが出来、封止工程用のカセットの溝に液晶表示素子Hを挿入するのが容易となって、生産性の良好な搬送装置を提供できる。また、複数個の第1と第2の挟持部9と12とで、液晶表示素子Hの両側端面を挟持するようにしたため、液晶表示素子Hの保持がより確実となり、液晶表示素子Hのより多くの搬送が出来ると共に、搬送途上の液晶表示素子Hのフラツキも無く、生産性の良好な搬送装置を提供できる。
【0020】また、移動挟持部14が隣り合う凹部において、上下互い違いの位置に配設されているため、移動挟持部材14間の横方向の間隔を狭めることが出来て、凹凸部13bの間隔を小さく出来、従って、小さい間隔で配列された液晶表示素子Hに対応出来る搬送装置を提供できる。また、凹凸部9cよりも長い突片9dを設けることにより、この突片9dが凹凸部9cよりも早く液晶表示素子H間に介入して、傾き等で不揃いな液晶表示素子H間の間隔を一定に出来、液晶表示素子Hの凹凸部9cへの挿入を容易、且つ、確実にして、第1と第2の挟持部材7、10による液晶表示素子Hの挟持の確実な搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の搬送装置の正面図。
【図2】本発明の液晶表示素子の搬送装置の下面図。
【図3】本発明の液晶表示素子の搬送装置に係る第1の挟持部の斜視図。
【図4】本発明の液晶表示素子の搬送装置に係る第2の挟持部の斜視図。
【図5】本発明の液晶表示素子の搬送装置に係る第2の挟持部の裏面図。
【図6】図5のA−A線における断面図。
【図7】図5のB−B線における断面図。
【図8】本発明の液晶表示素子の搬送装置の動作を説明するための説明図。
【図9】本発明の液晶表示素子の搬送装置の動作を説明するための要部の説明図。
【図10】本発明の液晶表示素子の搬送装置の他の実施形態を示す第1の挟持部の斜視図。
【図11】搬送装置の搬送に使用される液晶表示素子の平面図。
【図12】図11のC−C線における断面図。
【図13】搬送装置に使用されるカセットの正面図。
【図14】搬送装置に使用されるカセットの平面図。
【図15】従来の液晶表示素子の搬送装置、並びに搬送装置の動作を示す説明図。
【符号の説明】
1 基台
1a 基体
1b、1c 取付部
2 ガイド棒
2a、2b ネジ
3 ガイド棒
3a、3b ネジ
4、5 歯車
6 中間歯車
7 第1の挟持部材
8 可動体
9 第1の挟持部
9a 挟持面
9b 支持部
9c 凹凸部
9d 突片
10 第2の挟持部材
11 可動体
12 第2の挟持部
13 支持部
13a 板状部
13b 凹凸部
13c 窪み部
14 移動挟持部材
15 バネ部材
16 抜け防止部
H 液晶表示素子
21 ガラス基板
22 開口部
23 接着剤
24 空洞部
25 封止剤
K カセット
27 溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】 挟持面に複数個の凹凸部を設けた第1の挟持部材と、複数個の凹凸部を有し、バネ部材により弾圧された移動挟持部を前記凹部に配設させた第2の挟持部材とを備え、前記第1と第2の挟持部材の前記凹部に、液晶表示素子を位置させ、該液晶表示素子の両側端面を、前記第1と第2の挟持部材で挟持するようにしたことを特徴とする液晶表示素子の搬送装置。
【請求項2】 前記第1の挟持部材には複数個の第1の挟持部を、また、前記第2の挟持部材には複数個の第2の挟持部をそれぞれ上下方向に配設し、複数個の前記第1と前記第2の挟持部とで前記液晶表示素子の両側端面を挟持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子の搬送装置。
【請求項3】 前記移動挟持部が隣り合う前記凹部において、上下互い違いの位置に配設されたことを特徴とする請求項1、又は2記載の液晶表示素子の搬送装置。
【請求項4】 前記第1と第2の挟持部材の少なくとも一方には、前記凸部と同方向に伸びて前記凸部よりも長く形成された前記液晶表示素子間挿入用の複数個の突片を設けたことを特徴とする請求項1、又は2、又は3記載の液晶表示素子の搬送装置。
【請求項1】 挟持面に複数個の凹凸部を設けた第1の挟持部材と、複数個の凹凸部を有し、バネ部材により弾圧された移動挟持部を前記凹部に配設させた第2の挟持部材とを備え、前記第1と第2の挟持部材の前記凹部に、液晶表示素子を位置させ、該液晶表示素子の両側端面を、前記第1と第2の挟持部材で挟持するようにしたことを特徴とする液晶表示素子の搬送装置。
【請求項2】 前記第1の挟持部材には複数個の第1の挟持部を、また、前記第2の挟持部材には複数個の第2の挟持部をそれぞれ上下方向に配設し、複数個の前記第1と前記第2の挟持部とで前記液晶表示素子の両側端面を挟持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子の搬送装置。
【請求項3】 前記移動挟持部が隣り合う前記凹部において、上下互い違いの位置に配設されたことを特徴とする請求項1、又は2記載の液晶表示素子の搬送装置。
【請求項4】 前記第1と第2の挟持部材の少なくとも一方には、前記凸部と同方向に伸びて前記凸部よりも長く形成された前記液晶表示素子間挿入用の複数個の突片を設けたことを特徴とする請求項1、又は2、又は3記載の液晶表示素子の搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図12】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図12】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開平11−147612
【公開日】平成11年(1999)6月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−319457
【出願日】平成9年(1997)11月20日
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【公開日】平成11年(1999)6月2日
【国際特許分類】
【出願日】平成9年(1997)11月20日
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
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