説明

液晶表示素子の製造方法、液晶表示素子、及び、ネガ型レジスト組成物

【課題】半透過反射型液晶表示素子基板上に液晶配向用突起とカラムスペーサとを同時に形成することができ、かつ、レジストの塗工ムラの発生を抑制することができる液晶表示素子の製造方法を提供する。また、該液晶表示素子の製造方法を用いて製造される液晶表示素子を提供する。更に、該液晶表示素子の製造方法に用いるネガ型レジスト組成物を提供する。
【解決手段】半透過反射型液晶表示素子基板上に、ネガ型レジスト組成物を用いて液晶配向用突起とカラムスペーサとを同時に形成する液晶表示素子の製造方法であって、前記ネガ型レジスト組成物を前記半透過反射型液晶表示素子基板に塗工してレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜に、液晶配向用突起形成部及びカラムスペーサ形成部に対応するパターンの開口部が形成されたマスクを介して活性光線を照射する工程と、前記活性光線を照射した後のレジスト膜を現像することにより、カラムスペーサ及び液晶配向用突起を同時に形成する工程とを有し、前記ネガ型レジスト組成物は、アルカリ可溶性樹脂、重合性単量体、光重合開始剤、及び、フルオロ基を有するレベリング剤を含有し、前記フルオロ基を有するレベリング剤の配合量が前記アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して0.2〜1.0重量部であり、E型粘度計を用いて25℃、30rpmの条件で測定したときの粘度が4.5〜10mPa・sである液晶表示素子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半透過反射型液晶表示素子基板上に液晶配向用突起とカラムスペーサとを同時に形成することができ、かつ、レジストの塗工ムラの発生を抑制することができる液晶表示素子の製造方法に関する。また、本発明は、該液晶表示素子の製造方法を用いて製造される液晶表示素子に関する。更に、該液晶表示素子の製造方法に用いるネガ型レジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の視野角を改善するために、透明電極上にアーチ状の突起を形成し、一画素内で液晶を多方向に分割し配向させる方法が用いられている。
液晶表示装置の製造過程において、透明電極上に液晶を分割配向するための突起を形成する工程に用いることのできるネガ型レジスト組成物として、例えば、特許文献1には、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤及び光重合性モノマーを主成分とするネガ型レジスト組成物が開示されている。また、特許文献2には、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂を主成分とするネガ型レジスト組成物が開示されている。
これらのネガ型レジスト組成物を用いることで、液晶配向用突起とカラムスペーサとを同時に形成することができ、液晶表示装置の製造を簡略化することができる。
【0003】
反射型表示部分及び透過型表示部分それぞれにおける発色性を向上させ、かつ、リタデーションの最適化を図ることができる半透過反射型液晶表示装置が公知の技術により実用化されている(特許文献3)。一般的に、この装置の製造方法としては、レジスト組成物を用いてカラーフィルター上にマルチギャップという段差部分を形成した後、液晶層の厚みを保つために同様にしてマルチギャップ上又はマルチギャップ間(カラーフィルター上)にネガ型のレジスト組成物を用いてカラムスペーサを形成させる。
しかしながら、このような半透過反射型液晶表示素子基板に特許文献1や特許文献2に開示されているネガ型レジスト組成物を塗工すると、放射スジ等の塗工ムラが発生してセルギャップにバラツキが生じ、歩留まりが低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−330011号公報
【特許文献2】特開2006−11359号公報
【特許文献3】特開2005−077941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、半透過反射型液晶表示素子基板上に液晶配向用突起とカラムスペーサとを同時に形成することができ、かつ、レジストの塗工ムラの発生を抑制することができる液晶表示素子の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該液晶表示素子の製造方法を用いて製造される液晶表示素子を提供することを目的とする。更に、該液晶表示素子の製造方法に用いるネガ型レジスト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
半透過反射型液晶表示素子基板上に、ネガ型レジスト組成物を用いて液晶配向用突起とカラムスペーサとを同時に形成する液晶表示素子の製造方法であって、上記ネガ型レジスト組成物を上記半透過反射型液晶表示素子基板に塗工してレジスト膜を形成する工程と、上記レジスト膜に、液晶配向用突起形成部及びカラムスペーサ形成部に対応するパターンの開口部が形成されたマスクを介して活性光線を照射する工程と、上記活性光線を照射した後のレジスト膜を現像することにより、カラムスペーサ及び液晶配向用突起を同時に形成する工程とを有し、上記ネガ型レジスト組成物は、アルカリ可溶性樹脂、重合性単量体、光重合開始剤、及び、フルオロ基を有するレベリング剤を含有し、上記フルオロ基を有するレベリング剤の配合量が上記アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して0.2〜1.0重量部であり、E型粘度計を用いて25℃、30rpmの条件で測定したときの粘度が4.5〜10mPa・sである液晶表示素子の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0007】
本発明者らは、放射スジ等の塗工ムラの発生を抑制するために、用いるネガ型レジスト組成物にレベリング剤を配合することを検討した。しかしながら、一般的に用いられている多くのレベリング剤では、充分な効果が得られなかった。
そこで本発明者らは、更に鋭意検討した結果、用いるネガ型レジスト組成物に、分子量が特定の範囲内であるフッ素系のレベリング剤を少量配合し、更に、該ネガ型レジスト組成物の粘度を特定の範囲内とすることにより、用いる基板が半透過反射型液晶表示素子基板であっても、塗工ムラをほとんど発生させることなく液晶配向用突起とマルチギャップ上のカラムスペーサとを同時に形成することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の液晶表示素子の製造方法は、ネガ型レジスト組成物を用いて液晶配向用突起とカラムスペーサとを同時に形成するものである。上記ネガ型レジスト組成物の粘度、並びに、含有するレベリング剤の構造及び含有量を規定することにより、塗工時の放射スジやモヤムラの発生を抑制することができる。
【0009】
E型粘度計を用いて25℃、30rpmの条件で測定したときの上記ネガ型レジスト組成物の粘度の下限は4.5mPa・s、上限は10mPa・sである。上記ネガ型レジスト組成物の粘度が4.5mPa・s未満であると、塗工した際の膜厚が不充分となる。上記ネガ型レジスト組成物の粘度が10mPa・sを超えると、塗工した際にモヤムラが生じる。上記ネガ型レジスト組成物の粘度の好ましい下限は5.0mPa・s、好ましい上限は9.5mPa・sである。
【0010】
上記ネガ型レジスト組成物は、フルオロ基を有するレベリング剤を含有する。
上記レベリング剤の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は3000である。上記レベリング剤の重量平均分子量が3000未満であると、得られるネガ型レジスト組成物を塗工した際に放射スジやモヤムラが生じることがある。上記レベリング剤の重量平均分子量のより好ましい下限は3500である。
【0011】
上記レベリング剤のうち、市販されているものとしては、例えば、メガファックR−08(DIC社製)、PF−3320(オムノバ社製)等が挙げられる。
【0012】
上記ネガ型レジスト組成物における上記レベリング剤含有量は、後述するアルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、下限が0.2重量部、上限が1.0重量部である。上記レベリング剤の含有量が0.2重量部未満であると、得られるネガ型レジスト組成物を塗工した際にモヤムラが生じる。上記レベリング剤の含有量が1.0重量部を超えると、得られるネガ型レジスト組成物を塗工した際に放射スジが生じる。上記レベリング剤の含有量の好ましい下限は0.25重量部、好ましい上限は0.9重量部である。
【0013】
上記ネガ型レジスト組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含有する。
上記アルカリ可溶性樹脂は特に限定されないが、分子内に重合性二重結合を有するものが好適に用いられる。具体的には例えば、カルボキシル基含有単官能不飽和化合物と不飽和二重結合を有する単官能化合物とを共重合した共重合体等のアルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物が挙げられる。
【0014】
上記カルボキシル基含有単官能不飽和化合物は特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
上記不飽和二重結合を有する単官能化合物は特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)、ジシクロペンタニルオキシエチ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートの(メタ)アクリル酸エステル系単量体が挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0015】
上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物は、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル化合物、不飽和ジカルボン酸無水物、芳香族置換マレイミド、アルキル置換マレイミド等に由来する他の共重合成分を含有してもよい。
上記芳香族ビニル系単量体は特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等が挙げられる。
上記シアン化ビニル化合物は特に限定されず、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
上記不飽和ジカルボン酸無水物は特に限定されず、例えば、無水マレイン酸等が挙げられる。
上記芳香族置換マレイミドは特に限定されず、例えば、フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミド、o−クロロフェニルマレイミド等が挙げられる。
上記アルキル置換マレイミドは特に限定されず、例えば、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド等が挙げられる。
【0016】
また、上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物は、現像時の溶解性を制御する等の目的で、水酸基を有する単官能不飽和化合物に由来する他の共重合成分を含有してもよい。
上記水酸基を有する単官能不飽和化合物は特に限定されず、例えば、分子内に水酸基を1つ有するモノマーとして、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。
【0017】
上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物の製造方法は特に限定されないが、上記カルボキシル基含有単官能不飽和化合物、上記不飽和二重結合を有する単官能化合物、及び、必要に応じて添加される他の共重合成分を、ラジカル重合開始剤並びに必要に応じて分子量調整剤を用いて塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法等の従来公知の方法により共重合する方法等が挙げられる。なかでも、溶液重合法が好適である。
【0018】
上記溶液重合法により上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物を製造する場合の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリコール等の脂肪族アルコール類や、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類や、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類や、酢酸セロソルブ、酢酸カルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類や、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類や、テトラヒドロフラン等の環状エーテル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類や、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の極性を有する有機溶剤等を用いることができる。
【0019】
また、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の非水系の分散重合により上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物を製造する場合の媒体としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等の液状の炭化水素や、その他の非極性の有機溶剤等を用いることができる。
【0020】
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ開始剤等の従来公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。また、上記分子量調節剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン系の連鎖移動剤等を用いることができる。
【0021】
上記ネガ型レジスト組成物において、上記アルカリ可溶性樹脂としては、なかでも、側鎖に(メタ)アクリル基とカルボキシル基とを有するアルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体が好適である。上記アルカリ可溶性樹脂として、側鎖に(メタ)アクリル基とカルボキシル基とを有するアルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体を選択した場合には、上記ネガ型レジスト組成物は高い感度を有し、かつ、上記ネガ型レジスト組成物を硬化させてなる液晶配向用突起は、解像度や基板に対する密着性に優れる。この理由としては、アルカリ可溶性樹脂の側鎖のアクリル基が露光時に反応することでアルカリ可溶性樹脂自体も架橋構造の中に取り込まれる結果、パターン剥がれが抑制されるためであると考えられる。
また、上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体は、セグメントの極性が低いため、上記ネガ型レジスト組成物の他の成分との相溶性に優れる。これにより、液晶配向用突起の製造時の現像処理において現像ムラ等の不具合が生じることもない。
【0022】
上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体としては、下記式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、及び、(1e)で表される構造単位からなる共重合体が好適である。
【0023】
【化1】

【0024】
式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、及び、(1e)中、A及びAは、水素、下記式(2a)、(2b)、(2c)、又は、(2d)を表し、A又はAのいずれか一方が水素である場合、他方は下記式(2a)、(2b)、(2c)、又は、(2d)のいずれかである。Rは、水素又はメチル基を表し、Rは、アルキル基、フェニル基、アルキル基若しくはアルコキシ基を含むフェニル基、ヒドロキシアルキル基、又は、脂環式炭化水素を表し、Rは、ニトリル基又はフェニル基を表し、Rは、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はラジカル重合性基含有脂肪族炭化水素を表す。また、a、b、c、d、及び、eは、各成分のモル比率(%)を表し、a+b+c+d+e=100とするとき、a、b、及び、dは0〜90、cは5〜50、eは5〜60である。
【0025】
【化2】

【0026】
上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は3000、好ましい上限は10万である。上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量が3000未満であると、上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体を用いてなる液晶配向用突起の密着性が低下することがあり、10万を超えると、解像度が低下することがある。上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は5万である。
なお、本明細書において、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
【0027】
上記アルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体の製造方法は特に限定されず、例えば、側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物を開環付加重合させてカルボキシル基の一部を変性し、更に、変性により生じた水酸基及び/又は残存しているカルボキシル基の一部にイソシアネート化合物、エポキシ化合物、ラクトン化合物、アルコール化合物等を反応させる方法が挙げられる。
【0028】
上記側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体の製造方法は特に限定されず、例えば、カルボキシル基含有単官能不飽和化合物と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とをラジカル重合開始剤及び必要に応じて分子量調整剤を用いて塊状重合、溶液重合法、懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法等の従来公知の方法により共重合する方法が挙げられる。
【0029】
上記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては特に限定されないが、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。
【0030】
上記イソシアネート化合物としては特に限定されないが、例えば、炭素数が2〜18のアルキルイソシアネート、重合性基含有イソシアネートが好適に用いられる。上記重合性基含有イソシアネートを用いると、光硬化時の感度の上昇や、耐熱性、耐薬品性、タックフリー性等の様々な物性の更なる向上が実現される。
上記重合性基含有イソシアネートは特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基と結合したものを使用することが好ましい。具体的には例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルエチルイソシアネート、2−アクリロイルエチルイソシアネート等が挙げられ、2−メタクリロイルエチルイソシアネート、及び、2−アクリロイルエチルイソシアネートは、それぞれ、カレンズMOI、及び、カレンズAOI(いずれも昭和電工社製)として市販されている。
【0031】
上記変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に上記イソシアネート化合物を反応させる方法は特に限定されず、少量の触媒存在下、上記イソシアネート化合物を、上記変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体の溶液中に滴下又は混合する方法等が挙げられる。
この際に用いられる触媒としては特に限定されず、例えば、ラウリン酸、ジブチル錫等が挙げられる。
また、必要に応じて、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等の重合禁止剤を用いてもよい。
更に、増粘等を抑制する目的で、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール等のアルコールによる処理を行ってもよい。
【0032】
上記製造方法に従い、上記変性により生じた側鎖に水酸基及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に上記イソシアネート化合物を反応させた場合には、式(2b)に示される構造単位が形成される。
【0033】
上記エポキシ化合物は特に限定されず、例えば、炭素数2〜18のアルキルエポキシ化合物、炭素数が2〜18のアルコキシエポキシ化合物や重合性基含有エポキシ化合物が挙げられる。
【0034】
上記エポキシ化合物として、上記重合性基含有エポキシ化合物を用いると、光硬化時の感度の上昇や、耐熱性、耐薬品性、タックフリー性等の様々な物性の更なる向上が実現される。
上記重合性基含有エポキシ化合物は特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してエポキシ基と結合したものが好ましい。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
【0035】
上記変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に上記エポキシ化合物を反応させる方法は特に限定されず、少量の触媒存在下、上記エポキシ化合物を、上記変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体の溶液中に滴下又は混合する方法が挙げられる。
この際に用いられる触媒としては特に限定されず、例えば、トリエチルアミン、トリプロミルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルラウリルアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリフェニルホスフィン、トリメチルブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
また、必要に応じて、p−メトキシフェノール、メチルヒドロキノン、ヒドロキノン、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等の重合禁止剤を用いてもよい。
【0036】
上記製造方法に従い、上記変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に上記エポキシ化合物を反応させた場合には、式(2c)及び(2d)に示される構造単位が形成される。
【0037】
上記変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に、上記イソシアネート化合物、上記エポキシ化合物、上記ラクトン化合物、上記アルコール化合物等を反応させる際には、上記(メタ)アクリル共重合体中に含まれる水酸基のうち0〜100モル%に相当する量を反応させることができる。
【0038】
また、変性により生じた側鎖に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体に上記イソシアネート化合物、上記エポキシ化合物、上記ラクトン化合物、上記アルコール化合物等を反応させる際には、上記(メタ)アクリル共重合体中に含まれるカルボキシル基のうち、0〜90モル%に相当する量を反応させることができる。上記(メタ)アクリル共重合体中に含まれるカルボキシル基の90モル%を超える量を反応させると、残存するカルボキシル基の量が少なくなりすぎるため、アルカリ可溶性が損なわれ、現像性が低下することがある。
【0039】
上記式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、及び、(1e)中のa、b、c、d、及び、eは各成分のモル比率を表し、a+b+c+d+e=100とするとき、a、b、及び、dの下限は0、上限は90である。
また、a+b+c+d+e=100とするとき、cの下限は5、上限は50である。cが5未満、すなわち、カルボキシル基含有の構造単位のモル比率が5%未満であると、アルカリ可溶性を付与することが困難となる。cが50を超えると、現像時の膨潤が著しく、パターンの形成が困難となる。
また、a+b+c+d+e=100とするとき、eの下限は5、上限は60である。eが5未満であるとアルカリ可溶性樹脂の架橋構造への取り込みが不充分となり架橋密度が低下した結果、現像工程でのけずれが大きくなりすぎて、液晶配向用突起の高さにばらつきが生じる。eが60を超えると、架橋構造の架橋密度が高くなりすぎて、アーチ状の形状を安定して形成しづらくなる。
【0040】
また、上記アルカリ可溶性樹脂は、分子内に芳香環を有する共重合成分を含有することが好ましい。分子内に芳香環を有する共重合成分を含有することで、得られるネガ型レジスト組成物を用いた液晶表示装置の焼きつきを好適に防止することができる。
芳香環を有するアルカリ可溶性樹脂としては特に限定されないが、ベンジル(メタ)アクリレート共重合体が密着性、現像性が良好であることから好適である。
【0041】
上記アルカリ可溶性樹脂の酸価の好ましい下限は50mgKOH/gである。上記アルカリ可溶性樹脂の酸価が50mgKOH/g未満であると、上記ネガ型レジストの解像性が低下してしまい、アーチ形状の液晶配向用突起を安定的に形成することができないことがある。上記アルカリ可溶性樹脂の酸価の上限としては特に限定されないが、好ましい上限は150mgKOH/gである。上記アルカリ可溶性樹脂の酸価が150mgKOH/gを超えると、上記ネガ型レジストを用いてなる液晶配向用突起の基板に対する密着性が低下することがある。上記アルカリ可溶性樹脂の酸価のより好ましい下限は60mgKOH/g、より好ましい上限は140mgKOH/gである。
なお、本明細書において上記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ可溶性樹脂1gを有機溶剤へ溶かし、フェノールフタレインを指示薬として水酸化カリウムで滴定するとき、中和までに要する水酸化カリウムのmg数で示される。
【0042】
上記ネガ型レジスト組成物中における上記アルカリ可溶性樹脂の含有量は特に限定されないが、全固形分に対して、好ましい下限は20重量%、好ましい上限は80重量%である。上記アルカリ可溶性樹脂の含有量が20重量%未満であると、耐熱性や現像溶解速度が低下することがある。上記アルカリ可溶性樹脂の含有量が90重量%を超えると感度が低下したり、画像断面形状の再現性不良が生じたりすることがある。上記アルカリ可溶性樹脂の含有量のより好ましい下限は25重量%、より好ましい上限は80重量%である。
【0043】
上記ネガ型レジスト組成物は、重合性単量体を含有する。
上記重合性単量体は、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味する。
【0044】
エチレン性不飽和結合を分子内に1個有する化合物は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン等が挙げられる。
【0045】
エチレン性不飽和結合を分子内に2個有する化合物は特に限定されず、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール(メタ)アクリレートや、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
エチレン性不飽和結合を分子内に3個以上有する化合物は特に限定されず、例えば、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらのエチレン性不飽和結合を分子内に3個以上有する化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから特に好適である。
【0047】
上記重合性単量体は特に限定されないが、芳香環を重量比で20%以上含有するものが好適である。このような重合性単量体を用いることにより、得られるネガ型レジスト組成物を用いて液晶配向用突起を設けた液晶表示装置は、焼きつきを防止できる。
【0048】
なお、本明細書において、重合性単量体が芳香環を重量比で20%以上含有するとは、上記重合性単量体の分子量と上記重合性単量体に含まれる芳香環の分子量とを用いて下記式により算出される値が20%以上であることを示す。
芳香環の重量比(%)=(芳香環の分子量/重合性単量体の分子量)×100
ここで、上記重合性単量体は、複数種組み合わせて用いることも可能であり、その場合、重合性単量体が芳香環を重量比で20%以上含有するとは、含有する複数種の重合性単量体の総分子量と、該複数種の重合性単量体に含まれる芳香環の総分子量とを用いて上記式に従って算出される値が20%以上であることを示す。
【0049】
上記重合性単量体は単位構造中に芳香環を豊富に含むノボラック骨格を有することが好ましい。
上記ノボラック骨格を有する重合性単量体は特に限定されず、例えば、フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、o−クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、m−クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、p−クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、ナフトール変性ノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、ハロゲン化フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート等のノボラックエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートを表す一般式を下記式(3)に示した。
【0050】
【化3】

【0051】
式(3)中、R、Rは水素又はメチル基を表し、mは0又は正の整数を表す。
【0052】
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、ノボラックエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とのエステル化反応により得ることができる。
上記ノボラックエポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂、m−クレゾールノボラックエポキシ樹脂、p−クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ナフトール変性ノボラックエポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラックエポキシ樹脂が挙げられる。
【0053】
上記不飽和一塩基酸としては、反応性の面からエチレン性二重結合とカルボキシル基とを有する化合物が好ましい。具体的には例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられる。なかでも(メタ)アクリル酸が好適である。
【0054】
上記エステル化反応させる方法は特に限定されず、例えば、エポキシエステル化触媒、重合禁止剤、酸化防止剤等の安定剤の存在下にて、30〜150℃の温度にて上記ノボラックエポキシ樹脂と上記不飽和一塩基酸とを反応させる方法等が挙げられる。
上記エステル化触媒は特に限定されず、例えば、第三級アミン類、イミダゾール化合物類、リン化合物類、有機金属類等が挙げられる。
上記重合禁止剤は特に限定されず、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4−メトキシフェノール等が挙げられる。
上記酸化防止剤は特に限定されず、例えば、亜リン酸系、亜リン酸エステル類、亜リン酸ジエステル類等が挙げられる。
【0055】
上記(メタ)アクリレートの変性率は特に限定されず、ノボラックエポキシ樹脂の一部を(メタ)アクリレート変性してもよいし、全部を(メタ)アクリレート変性してもよい。
【0056】
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートは、アルカリ可溶性官能基を有することが好ましい。上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートが上記アルカリ可溶性官能基を有することにより、得られる上記ネガ型レジストの現像性が向上する。上記アルカリ可溶性官能基はノボラックエポキシ(メタ)アクリレートに含有される水酸基に多塩基酸無水物を反応させることにより導入することができる。反応方法としては、例えば、上記エステル化反応と同様な条件下で継続反応させる方法を用いることができる。
上記アルカリ可溶性官能基を有するノボラックエポキシ(メタ)アクリレートを表す一般式を下記式(4)に示した。
【0057】
【化4】

【0058】
式(4)中、R、Rは、水素又はメチル基を表し、Rは、多塩基酸無水物に由来しカルボキシル基を有する原子団を表す。また、m、nは、0又は正の整数を表す。
【0059】
上記多塩基酸無水物は特に限定されず、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。なかでも反応性の面から無水コハク酸又は無水フタル酸が好適である。
【0060】
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートがアルカリ可溶性官能基を有する場合、上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの酸化の好ましい上限は250mgKOH/gである。上記アルカリ可溶性官能基を有するノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの酸化が250mgKOH/gを超えると、密着性が低下することがある。上記アルカリ可溶性官能基を有するノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの酸化のより好ましい上限は200mgKOH/gである。
【0061】
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートは、重量平均分子量の好ましい下限が600、好ましい上限が2000である。上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの重量平均分子量が600未満であると、樹脂中の未反応の低分子化合物の量が多くなり、残存した低分子化合物が液晶中に溶出してパネルの表示不良を引き起こすことがある。上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの重量平均分子量が2000を超えると、現像時に残渣が発生したり、得られる突起がアーチ状とならなかったりすることがある。上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの重量平均分子量のより好ましい下限は800、より好ましい上限は1800である。
【0062】
上記ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートの市販品は特に限定されず、例えば、EA−1020、EA−1025、EA−1026、EA−1028、EA−6320、EA−6340(以上、いずれも新中村化学工業社製)、Ebecryl 150、Ebecryl 1150(以上、いずれもダイセル・サイテック社製)、M−208、M−210(以上、いずれも東亜合成社製)、PNA−161H、CNA−142H、PCR−1169H、CCR−1159H(以上、いずれも日本化薬社製)、エピクロンN−695、エピクロンN−775(以上、いずれもDIC社製)、PR−300、PR−310、PR−320、HRM−1004、HRM−1005、HRM−1011、HRM−1013、HRM−2019、HRM−2021、HRM−2027、HRM−2031(以上、いずれも昭和高分子社製)等が挙げられる。
【0063】
上記ネガ型レジスト組成物における上記重合性単量体の含有量は特に限定されないが、全固形分に対して、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は80重量%である。上記重合性単量体の含有量が10重量%未満であると、感度の低下や画像断面形状の再現性不良を招きやすくなる。上記重合性単量体の含有量が80重量%を超えると、耐熱性の低下や現像溶解速度の低下を招きやすくなる。上記重合性単量体の含有量のより好ましい下限は15重量%、より好ましい上限は75重量%である。
【0064】
上記ネガ型レジストは、光重合開始剤を含有する。
上記光重合開始剤は特に限定されず、従来公知のものが挙げられ、例えば、紫外線によりエチレン性不飽和基を重合させるラジカルを発生させることのできる化合物、及び、紫外線により酸を発生させる化合物等が挙げられる。
【0065】
上記光重合開始剤は特に限定されず、例えば、ハロメチル化トリアジン誘導体、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体、ベンズアンスロン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、安息香酸エステル誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、チタノセン誘導体、α−アミノアルキルフェノン系化合物、オキシム誘導体等が挙げられる。
上記ハロメチル化トリアジン誘導体は特に限定されず、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
上記イミダゾール誘導体は特に限定されず、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
上記ベンゾインアルキルエーテル類は特に限定されず、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。
上記アントラキノン誘導体は特に限定されず、例えば、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等が挙げられる。
上記ベンゾフェノン誘導体は特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
上記アセトフェノン誘導体は特に限定されず、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1,−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等が挙げられる。
上記チオキサントン誘導体は特に限定されず、例えば、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
上記安息香酸エステル誘導体は特に限定されず、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等が挙げられる。
上記アクリジン誘導体は特に限定されず、例えば、9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等が挙げられる。
上記フェナジン誘導体は特に限定されず、例えば、9,10−ジメチルベンズフェナジン等が挙げられる。
上記チタノセン誘導体は特に限定されず、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等が挙げられる。
上記α−アミノアルキルフェノン系化合物は特に限定されず、例えば、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエート、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエート、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
上記オキシム誘導体は特に限定されず、例えば、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0066】
上記ネガ型レジスト組成物において、上記光重合開始剤の含有量は特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂及び重合性単量体の合計100重量部に対して、好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は20重量部である。上記光重合開始剤の含有量が0.1重量部未満であると、光硬化が不充分となって、液晶配向用突起の基板に対する密着性が低下することがある。上記光重合開始剤の含有量が20重量部を超えると、光硬化反応が進みすぎて現像残渣が生じたり、得られる液晶配向用突起の形状がカラムスペーサに近いものとなり、液晶配向異常を生じる原因となったりすることがある。上記光重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.2重量部、より好ましい上限は15重量部である。上記光重合開始剤の含有量の更に好ましい下限は0.5重量部、更に好ましい上限は10重量部である。
【0067】
上記ネガ型レジスト組成物は、酸素による反応障害を軽減するために反応助剤を含有してもよい。このような反応助剤と水素引き抜き型の光重合開始剤とを併用することにより光を照射したときの硬化速度を向上させることができる。
【0068】
上記反応助剤は特に限定されず、例えば、アミン系、ホスフィン系、スルホン酸系の反応助剤等が挙げられる。
上記アミン系の反応助剤は特に限定されず、例えば、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられる。
上記ホスフィン系の反応助剤は特に限定されず、例えば、トリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記スルホン酸系の反応助剤は特に限定されず、例えば、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート等が挙げられる。これらの反応助剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0069】
上記ネガ型レジスト組成物は、必要に応じてシランカップリング剤を含有してもよい。
上記シランカップリング剤は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。なかでも、官能基としてアクリロキシ基又はメタクリロキシ基を有するものが好ましい。官能基としてアクリロキシ基又はメタクリロキシ基を有するシランカップリング剤を含有することで、上記ネガ型レジスト組成物の基材との密着性を大幅に向上させることができる。
【0070】
上記アクリロキシ基を有するシランカップリング剤は特に限定されず、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記メタクリロキシ基を有するシランカップリング剤は特に限定されず、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0071】
上記ネガ型レジスト組成物は、通常、有機溶剤を用いて、固形分濃度の下限が5重量%、上限が50重量%、好ましくは下限が10重量%、上限が40重量%の範囲となるように調液して使用される。
上記有機溶剤としては、上述の各成分を溶解又は分散させることができ、取り扱い性に優れるものであれば特に限定されない。具体的には例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラハイドロフラン等が挙げられる。
また、上記有機溶剤としては、沸点が100〜200℃の範囲のものが好適に用いられ、より好ましくは沸点が120〜180℃の範囲のものが用いられる。
【0072】
上記ネガ型レジスト組成物を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記アルカリ可溶性樹脂、重合性単量体、光重合開始剤、レベリング剤、有機溶剤、及び、任意の添加剤を攪拌槽に入れて攪拌翼等を用いて混合する方法等が挙げられる。
【0073】
本発明の液晶表示素子の製造方法では、まず、上記ネガ型レジスト組成物を半透過反射型液晶表示素子基板に塗工してレジスト膜を形成する工程を行う。
上記レジスト膜の厚さは、液晶配向用突起やカラムスペーサの形状によって所望の厚みに調整する。
【0074】
上記塗工の方法は特に限定されず、例えば、スピンコート法、スリット&スピンコート法、スリットコート法、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法等の従来公知の塗工法を用いることができる。なかでも、スピンコート法、スリット&スピンコート法が好適である。
【0075】
上記スピンコート法においては、回転数が高くなる程レジストが中央から広がっていく遠心力が強くなるため、放射スジとよばれる基板中央部分から端部へかけて放射状に発生する膜厚ムラが生じやすくなる。一方、回転数が低くなる程基板全体でモヤムラとよばれるモヤ状に発生する膜厚ムラが発生しやすくなる。これらの膜厚ムラはスリット&スピンコート法でも同様に発生する。
【0076】
本発明の液晶表示素子の製造方法では、次いで、上記レジスト膜の液晶配向用突起形成部分及びカラムスペーサ形成部分に対応するパターンの開口部が形成されたマスクを介して活性光線を照射する工程を行う。この工程により、光照射部においては、上記ネガ型レジスト組成物に含まれる重合性単量体が硬化する。
【0077】
上記活性光線は特に限定されず、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等が挙げられる。なかでも、紫外線が好適である。
上記活性光線の露光方法としては特に限定されないが、近接露光法が一般的に用いられる。
【0078】
上記活性光線の照射量の好ましい下限は50mJ/cm、好ましい上限は1000mJ/cmである。上記活性光線の照射量が50mJ/cm未満であると、光硬化が不充分となり、現像工程でパターンが流れることがある。上記活性光線の照射量が1000mJ/cmを超えると、現像残渣が生じやすくなる。上記活性光線の照射量のより好ましい下限は100mJ/cm、より好ましい上限は500mJ/cmである。
【0079】
本発明の液晶表示素子の製造方法では、次いで、上記活性光線を照射した後のレジスト膜を現像することにより、カラムスペーサ及び液晶配向用突起を同時に形成する工程を行う。
上記現像を行うための溶剤としては、塗工膜の未硬化部を溶解させる能力のある溶剤であれば特に限定されず、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物や、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド等の有機アルカリ化合物を含有する水溶液からなるアルカリ現像液が挙げられる。
【0080】
上記アルカリ現像液には、必要に応じて、界面活性剤、水溶性の有機溶剤、湿潤剤、水酸基又はカルボン酸基を有する低分子化合物等を含有させてもよい。特に、界面活性剤は現像性、解像性、地汚れ等に対して改良効果を有するものが多いため添加することが好ましい。
【0081】
上記アルカリ現像液に使用する界面活性剤は特に限定されず、例えば、ナフタレンスルホン酸ナトリウム基、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基を有するアニオン性界面活性剤、ポリアルキレンオキシ基を有するノニオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム基を有するカチオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0082】
上記現像の方法は特に限定されないが、通常、10〜50℃、好ましくは15〜45℃の現像温度で、ディップ現像、スプレー現像、パドル現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法により行われる。
【0083】
現像後、乾燥オーブン等で充分に乾燥させることが好ましい。
上記乾燥温度としては220℃以下であることが好ましく、乾燥時間は30分以下であることが好ましい。乾燥温度が220℃を超え、乾燥時間が30分を超えると、液晶配向用突起、カラムスペーサをカラーフィルター上に形成した場合、開口部の着色顔料又は染料にダメージを与えてしまい表示品質を低下させるおそれがある。
【0084】
本発明の液晶表示素子の製造方法を用いて製造される液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
【発明の効果】
【0085】
本発明によれば、半透過反射型液晶表示素子基板上に液晶配向用突起とカラムスペーサとを同時に形成することができ、かつ、レジストの塗工ムラの発生を抑制することができる液晶表示素子の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶表示素子の製造方法を用いて製造される液晶表示素子を提供することができる。更に、該液晶表示素子の製造方法に用いるネガ型レジスト組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0086】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0087】
(実施例1)
(1)アルカリ可溶性樹脂の合成
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、ガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)150重量部を入れ、窒素置換しながら攪拌し110℃に昇温した。
次に、メタクリル酸16、4重量部(0.19モル)、メチルメタクリレート49.2重量部(0.49モル)からなるモノマー混合物を加え、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製、「パーブチルO」)3.6重量部を滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、更に、110℃で3時間攪拌し続け反応させた。反応は空気/窒素雰囲気下で行った。これにより、酸価100mgKOH/g、重量平均分子量15000のアルカリ可溶性樹脂溶液(固形分40重量%)を得た。
【0088】
(2)ネガ型レジスト組成物の調製
得られたアルカリ可溶性樹脂100重量部と、重合性単量体としてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学社製、「PE−3A」)50重量部と、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン社製、「IRGACURE819」)5重量部及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・ジャパン社製、「IRGACURE907」)5重量部と、シランカップリング剤として3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM−5103」)5重量部と、フルオロ基を有するレベリング剤としてメガファックR−08(DIC社製)0.5重量部と、溶剤としてPGMEA550重量部とを混合して液晶配向用突起形成用ネガ型レジスト組成物を調製した。
【0089】
(3)液晶配向用突起及びカラムスペーサの形成
得られたネガ型レジスト組成物を、マルチギャップを有するITO付カラーフィルター基板上に500rpmでスピンコートした後、80℃で2分間乾燥してレジスト膜を得た。得られたレジスト膜に、近接露光法(プリントギャップ100μm)により、液晶配向用突起を形成させる部分としてi線透過率50%、マスク径10μmの円型の開口部とカラムスペーサを形成する部分としてi線透過率100%、マスク径15×25μmの四角型の開口部を有するマスクを介して、高圧水銀等を用いてi線換算で100mJ/cmの紫外線を照射した。紫外線照射後のレジスト膜を0.1%炭酸ナトリウム水溶液により60秒間現像し、純水にて30秒間洗浄した。次いで、230℃、60分のベーキング処理を行って、液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成された基板を得た。さらに、得られた液晶配向用突起を有するカラーフィルター基板を用いてMVA−LCDを作製した。
【0090】
(実施例2)
ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を600重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0091】
(実施例3)
ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を750重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0092】
(実施例4)
重合性単量体としてペンタエリスリトールトリアクリレート50重量部の代わりにノボラックエポキシアクリレート(新中村化学工業社製、「EA−6340」、芳香環の重量比30%)50重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0093】
(実施例5)
重合性単量体としてペンタエリスリトールトリアクリレート50重量部の代わりにノボラックエポキシアクリレート50重量部を用い、ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を600重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0094】
(実施例6)
重合性単量体としてペンタエリスリトールトリアクリレート50重量部の代わりにノボラックエポキシアクリレート50重量部を用い、ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を750重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0095】
(実施例7)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、ガス導入管を備えたフラスコにPGMEA150重量部を入れ、窒素置換しながら攪拌し110℃に昇温した。
次に、メタクリル酸16、4重量部(0.19モル)、メチルメタクリレート6.6重量部(0.066モル)、及び、ベンジルメタクリレート42.6重量部(0.43モル)からなるモノマー混合物を加え、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製、「パーブチルO」)3.6重量部を滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、更に、110℃で3時間攪拌し続け反応させた。反応は空気/窒素雰囲気下で行った。これにより、酸価100mgKOH/g、重量平均分子量25000のアルカリ可溶性樹脂溶液(固形分40重量%)を得た。
得られたアルカリ可溶性樹脂を用い、重合性単量体としてペンタエリスリトールトリアクリレート50重量部の代わりにノボラックエポキシアクリレート50重量部を用い、ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を600重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0096】
(実施例8)
フルオロ基を有するレベリング剤として0.5重量部のメガファックR−08の代わりにPF−3320(オムノバ社製)0.5重量部を用い、ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を600重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0097】
(実施例9)
ネガ型レジスト組成物中のメガファックR−08の含有量を0.25重量部とし、ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を600重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0098】
(実施例10)
ネガ型レジスト組成物中のメガファックR−08の含有量を0.9重量部とし、ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を600重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0099】
(比較例1)
ネガ型レジスト組成物中のメガファックR−08の含有量を0.15重量部とし、ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を600重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0100】
(比較例2)
ネガ型レジスト組成物中のメガファックR−08の含有量を1.2重量部とし、ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を600重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0101】
(比較例3)
0.5重量部のメガファックR−08の代わりにフルオロ基を有さないレベリング剤としてDOW CORNING 11 ADDITIVE(東レ・ダウコーニング社製)0.5重量部を用い、ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を600重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0102】
(比較例4)
0.5重量部のメガファックR−08の代わりにフルオロ基を有さないレベリング剤としてDISPERLON UVX−270(楠本化成社製)0.5重量部を用い、ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を600重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0103】
(比較例5)
0.5重量部のメガファックR−08の代わりにフルオロ基を有さないレベリング剤としてTA−411(日油社製)0.5重量部を用い、ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を600重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0104】
(比較例6)
0.5重量部のメガファックR−08の代わりにフルオロ基を有さないレベリング剤としてリケマールP−100(理研ビタミン社製)0.5重量部を用い、ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を600重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0105】
(比較例7)
0.5重量部のメガファックR−08の代わりにフルオロ基を有さないレベリング剤としてソルボンS−20(東邦化学社製)0.5重量部を用い、ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を600重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0106】
(比較例8)
ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を500重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0107】
(比較例9)
ネガ型レジスト組成物中のPGMEAの含有量を850重量部としたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向用突起及びカラムスペーサが形成されたMVA−LCDを得た。
【0108】
<評価>
実施例及び比較例で得られたネガ型レジスト組成物、並びに、MVA−LCDについて以下の評価を行った。結果を表1〜4に示した。
なお、比較例9については、膜厚不足のため、放射スジ、モヤムラ、及び、焼きつきの評価は行っていない。
【0109】
(1)粘度の測定
得られたネガ型レジスト組成物の粘度を、E型粘度計(東京計器社製、「DVM−E」)を用いて、25℃、30rpmの条件で測定した。
【0110】
(2)放射スジ
マルチギャップを有するITO付カラーフィルター基板にレジストを塗布した際に、中央部分から端部へかけて発生した放射状の膜厚ムラを、Naランプを用いて目視により観察を行った。
以下の基準で評価した。
○:放射スジがほとんど発生しなかった
△:放射スジがやや発生した(○よりも顕著に発生)
×:放射スジがかなり発生した(△よりも顕著に発生)
【0111】
(3)モヤムラ
マルチギャップを有するITO付カラーフィルター基板にレジストを塗布した際に、基板全体へモヤ状に発生した膜厚ムラを、Naランプを用いて目視により観察を行った。
以下の基準で評価した。
○:モヤムラがほとんど発生しなかった
△:モヤムラがやや発生した(○よりも顕著に発生)
×:モヤムラがかなり発生した(△よりも顕著に発生)
【0112】
(4)焼きつき
得られたMVA−LCDを長時間にわたって電圧を印加して画像表示を行った。
以下の基準で評価した。
◎:極めて良好な表示性能を示した
○:良好な表示性能を示した
×:焼きつきが発生し、表示性能が不良であった
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

【0116】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明によれば、半透過反射型液晶表示素子基板上に液晶配向用突起とカラムスペーサとを同時に形成することができ、かつ、レジストの塗工ムラの発生を抑制することができる液晶表示素子の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶表示素子の製造方法を用いて製造される液晶表示素子を提供することができる。更に、該液晶表示素子の製造方法に用いるネガ型レジスト組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透過反射型液晶表示素子基板上に、ネガ型レジスト組成物を用いて液晶配向用突起とカラムスペーサとを同時に形成する液晶表示素子の製造方法であって、
前記ネガ型レジスト組成物を前記半透過反射型液晶表示素子基板に塗工してレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜に、液晶配向用突起形成部及びカラムスペーサ形成部に対応するパターンの開口部が形成されたマスクを介して活性光線を照射する工程と、
前記活性光線を照射した後のレジスト膜を現像することにより、カラムスペーサ及び液晶配向用突起を同時に形成する工程とを有し、
前記ネガ型レジスト組成物は、アルカリ可溶性樹脂、重合性単量体、光重合開始剤、及び、フルオロ基を有するレベリング剤を含有し、前記フルオロ基を有するレベリング剤の配合量が前記アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して0.2〜1.0重量部であり、E型粘度計を用いて25℃、30rpmの条件で測定したときの粘度が4.5〜10mPa・sである
ことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
【請求項2】
重合性単量体は、芳香環を重量比で20%以上含有することを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子の製造方法。
【請求項3】
重合性単量体は、ノボラックエポキシアクリレートを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示素子の製造方法。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の液晶表示素子の製造方法を用いて製造されたものであることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項5】
半透過反射型液晶表示素子基板上に、ネガ型レジスト組成物を用いて液晶配向用突起とカラムスペーサとを同時に形成する液晶表示素子の製造方法に用いるネガ型レジスト組成物であって、
アルカリ可溶性樹脂、重合性単量体、光重合開始剤、及び、フルオロ基を有するレベリング剤を含有し、前記フルオロ基を有するレベリング剤の配合量が前記アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して0.2〜1.0重量部であり、
E型粘度計を用いて、25℃、30rpmの条件で測定したときの粘度が4.5〜10mPa・sである
ことを特徴とするネガ型レジスト組成物。
【請求項6】
重合性単量体は、芳香環を重量比で20%以上含有することを特徴とする請求項5記載のネガ型レジスト組成物。
【請求項7】
重合性単量体は、ノボラックエポキシアクリレートを含有することを特徴とする請求項5又は6記載のネガ型レジスト組成物。

【公開番号】特開2010−230757(P2010−230757A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75617(P2009−75617)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】