説明

液晶表示素子の製造方法

【課題】サファイア基板プロジェクション用液晶表示素子を分断するとき、直接サファイア基板にレーザー照射すると分断面に発生する凸部を、サファイア基板の表面に出さないための製造方法の提供。
【解決手段】2枚のマザー透明基板で構成された液晶表示パネルにおいて、少なくとも一方にサファイアを使用して、マザー透明基板上に複数の液晶表示素子を形成し、個々の液晶表示素子に分断する液晶表示素子の製造方法であって、サファイア基板2の切断は、切断線に沿って、ダイシング装置にて溝16を形成し、更にその溝上にレーザースクライバーを使用して分断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビの大型化がすすみ、画像表示部が40インチ、50インチ、65インチと大きくなってきている。液晶テレビも要求に対応するべく大型化してきているが、液晶表示素子が大型化すると液晶表示素子の製造はいろいろな面で困難になり、液晶テレビは高価なものになっている。
【0003】
液晶表示素子の大型化を避け、表示部を大型化するためにプロジェクションテレビが開発されている。これは小さな液晶表示素子を光学レンズで拡大してスクリーンに映し出すものであり、液晶表示素子は1インチ以下で100インチの表示部が達成可能である。
【0004】
液晶表示素子は2枚のガラス基板で、一方のガラス基板には多数の画素電極を形成し、他方のガラス基板に多数の画素電極領域に対向した共通電極を形成し、2枚のガラス基板が液晶層を介して貼付され製造される。
【0005】
小型の液晶表示素子は2枚のマザー基板に複数の小型液晶表示素子領域を形成し、各小型液晶表示素子領域の外周部にシール剤を配置し、2枚のマザー基板を貼り合わせ、その後分断して個々の空小型液晶表示素子に形成されている。空小型液晶表示素子に液晶を注入し、注入口を封止して小型液晶表示素子が完成する。
【0006】
2枚の基板の材料は用途に応じて選択される。一般的なのは両基板ともガラスであり、透過型液晶表示素子として使用される。上基板がガラスで、下基板が単結晶シリコンのものは反射型液晶表示素子として使用される。特殊なものとしてはプラスッチック基板や、SOS基板、SOQ基板なども使用されている。
【0007】
プロジェクターやプロジェクションテレビに使用する小型液晶表示素子は、投射のために強い光が照射されるので、小型液晶表示素子が高温になるのを防止するため冷却しなければならない。冷却方法はいろいろと開発されているが、一長一短がある。小型液晶表示素子に放熱のためのヒートシンクを装着することもあるが、基板そのものに放熱性の高いサファイア基板を使用する試みがなされている。
【0008】
図2(A)は従来技術による液晶表示素子の分断前の断面図であり、図2(B)は従来技術による液晶表示素子の分断後の断面図であり、第二電極基板2をレーザースクライバー8にて分断したときの断面図である。液晶表示パネルは、第一電極基板1(ガラス基板 以下ガラス基板とする)と第二電極基板2(サファイア基板 以下サファイア基板とする)で構成され、ガラス基板1にはITO電極3と液晶4を配向させる為の配向膜5が形成されている。またサファイア基板2も同様に画素電極6上にITO電極3が形成され、さらに液晶4を配向させるための配向膜5が形成され、最後に両基板を周辺接着剤7により接着されている。この状態からガラス基板1とサファイア基板2を分断するが、ガラス基板1に関してはスクライブ装置にて一般的な方法で分断を行う。サファイア基板2はレーザースクライバー8にてレーザー照射を行い、その熱衝撃でサファイア基板2を分断する。
【特許文献1】特開平10−44139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術でのサファイア基板2の分断は、図2の様にレーザースクライバー8にてレーザー照射を行い、サファイア基板2を熱衝撃にて分断するが、レーザー照射をした際にサファイア基板2の表面が溶け上面に凸部9が発生する。凸部9はレーザーの出力にもよるが、約0.1mm〜0.2mm程度の高さで凸部9が発生する。又凸部9の高さは全て一定ではなくバラツキを持って発生する。
【0010】
図3は従来技術でサファイア基板を分断した、液晶パネル10を回路基板11に実装した時の断面図である。回路基板11は補強基板15と接着されている。液晶パネル10は両面Tape14を介して回路基板11に実装されている。回路基板11と液晶パネル10との電気的接続は、ガラス基板1のオフセット部18のITO電極3とを導電性接着剤12で接続し、サファイア基板2はワイヤー13で回路基板11と接続している。液晶パネル10の回路基板11への実装時に、サファイア基板2を分断した際に発生した凸部9が邪魔となり、液晶パネル10と回路基板11とが平行に固定する事が出来ない。その結果、回路基板11に実装された液晶パネル10をプロジェクター等に搭載する際、補強基板15の面を基準にプロジェクターへ搭載すが、液晶パネル10が補強基板15に対して傾いているため、プロジェクターの光源からの光は液晶パネル10へ垂直に照射されない。その結果プロジェクターで投影された絵に輝度のバラツキが発生する。
【0011】
本発明は、レーザー照射によりサファイア基板を分断する際の、分断面に発生する凸部をサファイア基板表面に凸部として出さない為の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
2枚のマザー透明基板で構成された液晶表示パネルにおいて、少なくとも一方にサファイアを使用して、マザー透明基板上に複数の液晶表示素子を形成し、個々の液晶表示素子に分断する液晶表示素子の製造方法であって、サファイア基板の切断は、切断線に沿って、ダイシング装置にて溝を形成し、更にその溝上にレーザースクライバーを使用して分断する液晶表示素子の製造方法とする。
【0013】
前記ダイシング装置で形成する溝は、深さ200μm以上である液晶表示素子の製造方法とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、レーザースクライブを用いて熱衝撃によりサファイア基板を分断する際に、レーザー照射された部分が溶け、サファイア基板表面に凸形状となって突起が出ず、回路基板へ実装する際に、回路基板と液晶パネルが平行に実装できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
2枚のマザー透明基板で構成された液晶表示パネルにおいて、少なくとも一方にサファイアを使用して、マザー透明基板上に複数の液晶表示素子を形成し、個々の液晶表示素子に分断する液晶表示素子の製造方法であって、サファイア基板の切断は、切断線に沿って、ダイシング装置にて溝を形成し、更にその溝上にレーザースクライバーを使用して分断する液晶表示素子の製造方法とする。
【実施例1】
【0016】
図1(A)は本発明によるに液晶表示素子の製造方法を示す断面図で、サファイア面にダイシングによる溝を形成する前の断面図であり、図1(B)は本発明によるによる液晶表示素子の製造方法を示す断面図で、サファイア面にダイシングの溝を形成した後の断面図である、又図1(C)は本発明によるによる液晶表示素子の製造方法を示す断面図で、ガラス基板1とサファイア基板2を分断した断面図である。従来技術と同じ物は同じ符号を付し、説明は省略する。図1(B)のように、サファイア基板2をレーザースクライブにて分断するライン上に、先にダイシングにて溝16を形成する。溝16はダイシング装置を使用してハーフカットにて形成するが、もともとサファイア基板2は硬度が高くダイシング装置にてサファイア基板2へ深く切り込むことが難しく、ダイシングの条件によってはダイシングブレードが破損する可能性もある。この為サファイア基板2への切り込み深さは必要最小限の深さで実施する事が望ましく、またダイシングブレードへの負担も考慮すると、ダイシングブレードも可能な限り厚い物を使用することが望ましい。今回の結果では、レーザースクライブの凸発生状況から、溝16の深さは0.2mm以上必要となり、又溝16の幅に関してはダイシングブレードの強度面から溝幅0.2mm以上が必要であった。しかし実際はこのあと実施するレーザースクライブのレーザー焦点が溝16の段差部17に蹴られない程度の幅が最低限あれば問題は無い為、今後耐久性のあるダイシングブレードが開発されれば、より細いダイシングブレードでのハーフカットも十分可能である。
【0017】
次に図1(C)のように、ダイシングにて形成した溝16の中をレーザースクライバー8にてレーザー照射を行い、熱衝撃によりサファイア基板2を分断する。
【0018】
これによりサファイア基板2へのレーザー照射時に発生する、サファイア基板2が溶けて出来る凸部9は前記ダイシングにて形成した溝16の溝部内に収まり、サファイア基板2の表面に凸部9は出てこない。
【0019】
この結果液晶パネル10の回路基板11と接する面に凸部9が発生せず、前記従来技術による技術課題がクリアーとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による液晶表示素子の製造方法を示す断面図(実施例1)
【図2】従来技術による液晶パネルを分断した際の断面図
【図3】従来技術により分断された液晶パネルを回路基板に実装した時の図
【符号の説明】
【0021】
1 第一電極基板(ガラス基板)
2 第二電極基板(サファイア基板)
3 ITO電極
4 液晶
5 配向膜
6 画素電極
7 周辺接着剤
8 レーザースクライバー
9 凸部
10 液晶パネル
11 回路基板
12 導電性接着剤
13 ワイヤー
14 両面Tape
15 補強基板
16 溝
17 段差部
18 オフセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のマザー透明基板で構成された液晶表示パネルに関して、少なくとも一方にサファイアを使用して、マザー透明基板上に複数の液晶表示素子を形成し、個々の液晶表示素子に分断する液晶表示素子の製造方法であって、サファイア基板の切断は、切断線に沿って、ダイシング装置にて溝を形成し、更にその溝の中にレーザースクライバーを使用して分断する事を特徴とする液晶表示素子の製造方法。
【請求項2】
前記ダイシング装置で形成する溝は、深さ200μm以上である事を特徴とする請求項1記載の液晶表示素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−8536(P2010−8536A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165486(P2008−165486)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000166948)シチズンファインテックミヨタ株式会社 (438)
【Fターム(参考)】