説明

液晶表示装置、及びマルチディスプレイ

【課題】効果的な放熱、低コスト化、薄型化、軽量化を実現する。
【解決手段】液晶表示装置100は、裏面側の一部に液晶表示パネル106を支持するシャーシ102を備え、シャーシ102の一部に支柱104が設けられている。液晶表示パネル106の裏面側から光を照射するLEDチップ125a・125bは、支柱104の内部に設けられた空間144内に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED等の点光源を用いたバックライトユニットを備えた液晶表示装置、及びマルチディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特徴を有することから、OA機器や情報端末機器、パーソナルコンピュータ(PC)、テレビ受像機(TV)、カーナビゲーションシステム、そのほか携帯機器などの様々な分野の表示装置として広く用いられている。このような液晶表示装置に用いられている液晶表示素子(以下、液晶表示パネルと記載)は、自ら発光するものではないので表示のためにバックライト装置を必要とする。バックライト装置の一つとしては、光源にLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を用いたものがある。このような液晶表示装置では、バックライト装置を液晶表示パネルの背面に配置し、背面側から光を照射して透過光により表示を行う方式が採用されている。LED等の点光源は、光源自体が小さいが故に局部的に大きな発熱を伴う。このような液晶表示装置では、LED等の点光源の発熱をどのように放熱するかが問題となる。それと共に、液晶表示パネル自体が従来のCRTよりも格段に薄く構成できるというメリットから、バックライト装置を含めた液晶表示装置全体の薄型化が求められる。
【0003】
液晶表示装置の一例としては、例えば特許文献1及び2の液晶表示装置が挙げられる。図17は、特許文献1の透過型液晶表示装置の構成を示す断面図である。図17に示された透過型液晶表示装置1は、液晶パネルユニット2と、この液晶パネルユニット2の背面側に組み合わされて表示光を供給するバックライトユニット3とを備えている。
【0004】
バックライトユニット3は、発光ユニット7と、放熱ユニット8と、バックパネル9とを備えている。発光ユニット7は、液晶パネルユニット2の背面側に配置されており、光源から表示光を出射する。放熱ユニット8は、発光ユニット7内に発生した熱を放熱する。バックパネル9は、これら発光ユニット7及び放熱ユニット8を保持し、前面フレーム部材4や背面フレーム部材6と組み合わされて筐体(不図示)に対する取り付け部材を構成する。放熱ユニット8内部には、放熱ために必要なヒートパイプ25が内蔵され、形状が大きくなるとともに、コストの掛かる大掛かりな放熱対策となっている。
【0005】
また、透過型液晶表示装置1においては、透過型液晶表示素子(以下、液晶表示パネルと記載)5に対してLED12から出射した光を光学シートブロック10によって均一な状態で供給するようになっている。それと共に、光学シートブロック10の拡散導光プレート14と拡散プレート15と反射プレート16とを、バックパネル9に取り付けたを複数の光学スタッド部材17によって、相互に位置決めするとともに対向間隔を規定して保持するようになっている。
【0006】
さらに、特許文献2の技術は、LED光源の発生熱を効率よく放散させて温度上昇を抑え、発光効率の低下を抑制し輝度の低下を防ぎ、装置の小型化、薄型化を狙った技術である。図18は、特許文献2の液晶表示装置の概略構成を示す断面図である。
【0007】
図18に示されるように、液晶表示装置40には、サイドエッジ型LEDバックライト42が搭載されている。サイドエッジ型LEDバックライト42は、一主面を光の出射面44aとし、この出射面44aと略直交する面を光の入射側端面44cとする方形状の導光板44と、導光板44の入射側端面44cに沿って、発光面43aが入射側端面44cに対向するよう配置された複数のLED光源43と、導光板44及びLED光源43を支持する内フレーム51(不図示)及び内フレーム53と、を備えている。
【0008】
サイドエッジ型LEDバックライト42においては、複数のLED光源43が、導光板44の厚さと同幅の配線板45にアレイ状をなすように実装されている。そして、配線板45の両面に第1及び第2の放熱体46・48が設けられ、かつ放熱体46,48が内フレーム51(不図示),53に直接接触している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−352427(2005年12月22日公開)
【特許文献2】特開2006−216244(2006年8月17日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に開示された透過型液晶表示装置1では、発光ユニット7内で発生した熱を放熱する放熱ユニット8がLEDごとに設けられている。さらに、放熱ユニット8内部にはヒートパイプ25が内蔵されている。
【0011】
よって、放熱のための部材点数の増加、それに伴うコスト増加、重量増加等の問題がある。さらに、バックライトユニット3部分においては、LED12を含む発光ユニット7の直下にヒートパイプ25を内蔵した放熱ユニット8が配置されている、このため、バックライトユニット3の厚みが増加するという問題がある。
【0012】
また、LED12から出射した光は、液晶表示パネル5対し均一な状態で供給される必要がある。このため、透過型液晶表示装置1では、液晶表示パネル5とバックライトユニット3との間に光学シートブロック10を配置することで、LED12から出射光を均一な状態で液晶表示パネル5に照射するようになっている。
【0013】
光学シートブロック10は、LED12からの出射光をできるだけ多く液晶表示パネル5側に照射するための反射プレート16、液晶表示パネル5側に照射された光を効率良く拡散するための拡散プレート15、拡散プレート15で拡散した光をさらに均一化するための拡散導光プレート14を含む。これら、反射プレート16、拡散プレート15、及び拡散導光プレート14は、光学スタッド部材17によって、相互に位置決めするとともに対向間隔を規定して保持されている。
【0014】
このように、LED12からの出射光を均一な状態で液晶表示パネル5に照射するために、LED12と液晶表示パネル5との間に、間隔をあけて反射プレート16、拡散プレート15、拡散導光プレート14等の複数の部材を配置している。このために、LED12から液晶表示パネル5までの距離を長くとる必要があり、液晶表示装置1の厚さが厚くなってしまうという問題がある。
【0015】
従来の特許文献2に開示された液晶表示装置40は、LED光源43の発生熱を効率よく放散させると共に、装置の小型化、薄型化を狙った構成である。
【0016】
まず、放熱性の点では、アレイ状に形成されたLED光源43は、第1の放熱体46の裏面と4側面、第2の放熱体48の4側面のそれぞれを、例えばステンレス鋼等の金属材料で形成された断面形状が略コ字状で、両端に一部閉塞壁53aを有する第2の内フレーム53の内底面や内側面に直接接触するようにして保持している。
【0017】
さらに、薄型化の点では、複数のLED光源43をアレイ上にし、その発光面43aが導光板44の入射側端面44cに対向するように導光板44の入射側端面44cに沿って配置した構成である。
【0018】
このように、第1の放熱体46や第2の放熱体48は、アルミニウムや銅、銀あるいはそれらの合金等の金属材料や、窒化アルミニウム等のセラミック材料で形成されているために、コスト高になる。また、液晶表示装置の重量が増すという問題がある。さらに、LED光源43を導光板44の入射側端面44cに対向するよう配置しているため、液晶表示装置40の額縁部分Fの幅が大きくなるという問題があった。
【0019】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、効果的な放熱、低コスト化、薄型化、軽量化が達成される液晶表示装置、及びマルチディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の液晶表示装置は、上記の課題を解決するために、裏面側の一部に液晶パネルを支持するシャーシを備え、該シャーシの一部に支柱が設けられた液晶表示装置であって、上記液晶パネルの裏面側から光を照射する光源は、上記支柱の内部に設けられた空間内に配置されていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、上記液晶パネルの裏面側から光を照射する光源は、上記支柱の内部に設けられた空間内に配置されているので、前記光源で発生した熱を前記支柱の内部に形成された空間を利用して伝播することができる。このため、液晶表示装置内部に前記光源で発生した熱を充満せず、効果的に放熱が可能となる。また、上記支柱に設けられた空間を光源の配置部分として有効利用しているので、低コスト化、薄型化、軽量化を実現できる。
【0022】
したがって、上記の構成によれば、効果的な放熱、低コスト化、薄型化、軽量化が達成される液晶表示装置を実現することができる。
【0023】
本発明の液晶表示装置では、上記光源を備えたバックライトを備え、上記バックライトは、さらに、上記光源からの光を上記液晶パネルに照射する平板状の導光板と、上記導光板と上記光源との間に配置され、上記光源からの光を導光板に結合する光結合部材と、を備え、上記光結合部材は、上記導光板における上記液晶パネルと反対側の一主面に固定されていることが好ましい。上記導光板は、上記液晶パネルに向けて、光源からの光を面状に照射するための部材である。
【0024】
上記の構成によれば、バックライトの構成要素である光結合部材が、導光板における液晶パネルと反対側の一主面に固定されている。このため、導光板の一主面の一部を利用して、上記光源から上記導光板への光を入射することが可能となる。それゆえ、上記の構成によれば、導光板の側面から光源からの光を入射する従来のサイドエッジ方式の液晶表示装置と比較して、液晶表示装置の額縁寸法を小さくすることができ、さらなる小型化を実現することができるとともに、デザイン性を高めることが可能となる。
【0025】
本発明の液晶表示装置では、光源から発生する熱を放熱する放熱手段を備え、上記光源は、光源基板上に配置されており、上記光源基板は、上記放熱手段を介して、上記支柱に固定されていることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、上記光源は、光源基板上に配置されており、上記光源基板は、上記放熱手段を介して、上記支柱に固定されているので、光源で発生した熱は前記光源基板を介して放熱板等の放熱手段に伝播し、放熱手段に伝播した熱がシャーシに伝播することになる。これにより、上記の構成によれば、液晶表示装置の背面への円滑な放熱が可能となり、熱によって液晶表示装置の画像を乱す等の不具合がなくなる。
【0027】
また、上記の構成によれば、光源が配置された光源基板が、液晶表示装置の背面に設置されているため、額縁寸法が小さくすることができる。また、上記空間に光源基板が収容された支柱以外の部分は、主に上記液晶パネルと略同寸法の部材(例えば、導光板、プリズムシート、拡散シート、反射シート、シャーシ等)を互いに間隔を空けずに配置することが可能になり、これらの部材の搭載部分を薄くできる。このため、全体として、薄型でデザイン性の良い液晶表示装置を実現できる。
【0028】
本発明の液晶表示装置では、上記光源は、ベアチップ状の光源であることが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、上記光源は、ベアチップ状の光源であるので、光源自体を小さくすることができる。それゆえ、光源のパッケージ等のコストが低減されると共に、光源の間隔を狭めて配置することができる。これにより、比較的近い距離で光源(ベアチップ)同士の出射光を混じり合わせることが可能となる。
【0030】
よって、特許文献1の液晶表示装置のように、LED12からの出射光を均一な状態で液晶表示パネル5に照射するために、LED12と液晶表示パネル5との間に、反射プレート16、拡散プレート15、拡散導光プレート14等の部材を、間隔をあけて配置し、その間の距離を確保する必要がなくなる。その結果、上記の構成によれば、特許文献1の液晶表示装置と比較して、光源から液晶パネルまでの距離を短くすることが可能となり、さらなる薄型化を実現することができる。
【0031】
また、ベアチップ状の極めて小さい光源が上記支柱の空間に配置されているので、光源で発生した熱を効率良く放熱すると共に、支柱も薄型化が可能となる。このため、全体として、薄型でデザイン性の良い液晶表示装置を実現できる。
【0032】
本発明の液晶表示装置では、上記光源を備えたバックライトを備え、上記バックライトは、さらに、上記光源からの光を上記液晶パネルに照射する平板状の導光板と、上記導光板と上記光源との間に配置され、上記光源からの光を導光板に結合する光結合部材と、を備え、上記光結合部材は、二股構造であり、光源からの光を、平板状の導光板に対して斜めに入射させる第1及び第2の股部を備えたことが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、上記光結合部材は、二股構造であり、光源からの光を、平板状の導光板に対して斜めに入射させる第1及び第2の股部を備えた構成、すなわち、ロッドレンズ状であるために、液晶表示装置を全体として薄くすることができる。また、光源で発生した熱を液晶パネルと反対側、すなわち液晶表示装置の裏面側に放熱することができる。このため、液晶パネルの映像に乱れを生じさせる等の悪影響がなくなると共に、液晶表示装置の画面を視聴している人にも熱さを感じさせないという利点がある。
【0034】
上記光結合部材は、上記第1及び第2の股部が、上記光源側から上記導光板へ向かうに従い互いの離間距離が小さくなるように設けられ、上記第1及び第2の股部の両方、または何れか一方から上記光源からの光を入射し、上記第1及び第2の股部の連結部分である頭部は、上記導光板における上記液晶パネルと反対側の一主面に固定されている構成であってもよい。
【0035】
また、上記光結合部材は、上記第1及び第2の股部が、上記光源側から上記導光板へ向かうに従い、互いの離間距離が大きくなるように設けられ、上記離間距離が最も小さい部分に、上記光源からの光が入射するようになっている構成であってもよい。
【0036】
本発明の液晶表示装置では、上記支柱は、上記液晶パネルの下側から上側へ向けて延びており、上記空間は、下側から上側へ向けて連通していることが好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、上記支柱は、上記液晶パネルの下側から上側へ向けて延びており、上記空間は、下側から上側へ向けて連通しているので、支柱内部で熱を誘導しやすくなり、さらに一層効果的に放熱が可能となる。
【0038】
本発明の液晶表示装置では、上記光源を備えたバックライトを備え、上記バックライトは、さらに、上記光源からの光を上記液晶パネルに照射する平板状の導光板と、上記導光板と上記光源との間に配置され、上記光源からの光を導光板に結合する光結合部材と、を備え、上記光結合部材は、上記空間に、上記支柱の長手方向に配列して配置されていることが好ましい。
【0039】
上記の構成によれば、上記光結合部材は、上記空間に、上記支柱の長手方向に配列して配置されているので、光結合部材の上記長手方向の両側に渡って連通した空間が、液晶表示装置の縦方向に形成されることになる、それゆえ、支柱内部において、下側から上側に渡り、熱の移動がスムーズに行われ、より一層効果的に放熱が可能となる。
【0040】
本発明の液晶表示装置では、上記支柱は、その長手方向に垂直な断面形状がコの字形状であることが好ましい。
【0041】
上記の構成によれば、上記支柱は、その長手方向に垂直な断面形状がコの字形状であり、簡易な形状である。このため、例えば支柱を金属の平板等から成型する場合、成型金型を簡単に製作することができるので、コストの低減が可能となる。また、支柱内部に光源を含む光源モジュール等を搭載するときや、支柱をシャーシに取り付けるときに、作業が簡単になるので、工数の低減を実現することができる。
【0042】
本発明の液晶表示装置では、上記支柱の長手方向の上側には、上記空間内の空気を通気する第1の通気口が設けられていることが好ましい。
【0043】
上記の構成によれば、上記支柱の長手方向の上側には、上記空間内の空気を通気する第1の通気口が設けられているので、支柱内の空間における上側に伝わった熱を上記第1の通気口から液晶表示装置の外部に放出することができる。このため、上記の構成によれば、光源から発生した熱を支柱内の空間によりスムーズに伝播させることができ、効果的な放熱が可能となる。
【0044】
本発明の液晶表示装置では、上記支柱の長手方向の下側には、上記空間内の空気を通気する第2の通気口が設けられていることが好ましい。
【0045】
上記の構成によれば、上記支柱の長手方向の下側には、上記空間内の空気を通気する第2の通気口が設けられているので、光源から発生した熱を支柱内の空間によりスムーズに伝播させることができ、効果的な放熱が可能となる。特に、上記支柱の長手方向の上側イ及び下側の両方に、第1及び第2の通気口が設けられている場合、支柱内の空間における上側に伝わった熱を上記第1の通気口から液晶表示装置の外部に放出するとともに、上記第2の通気口を介して、液晶表示装置の外部の、支柱内部よりも相対的に冷たい空気を支柱内に供給することができる。このため、下側から上側に渡って空気の移動をより円滑に誘導でき、さらに一層放熱効果を高めることが可能となる。
【0046】
また、本発明の液晶表示装置では、上記光源は、上記空間内に、複数の列を成して配置されていることが好ましい。
【0047】
上記の構成によれば、上記光源は、上記空間内に、複数の列を成して配置されているので、複数の光源列同士に挟まれた内側部分は、複数の光源列の外側部分よりも液晶パネルに照射する光の強度が強くなる。それゆえ、上記の構成によれば、液晶表示装置の中央部の明るさを効果的に高めることができる。
【0048】
本発明の液晶表示装置では、上記支柱は、複数の列を成してシャーシに設けられていることが好ましい。
【0049】
上記の構成によれば、上記支柱は、複数の列を成してシャーシに設けられているので、これらの支柱を後述するスタンドに連結することで、液晶表示装置の安定感をより増すことが可能となる。
【0050】
本発明の液晶表示装置では、上記液晶パネルを支持する支持台を備え、上記支柱は、上記支持台に連結されていることが好ましい。
【0051】
上記の構成によれば、液晶表示装置の自立構造を簡単に形成できると共に、簡単な構造で安定感を増すことが可能となる。
【0052】
本発明の液晶表示装置では、上記支持台に、上記液晶パネルの駆動回路及び制御回路が内蔵されていることが好ましい。
【0053】
上記の構成のように、上記支持台に、上記液晶パネルの駆動回路及び制御回路が内蔵されているので、上記駆動回路及び制御回路等が液晶表示装置の厚さの増加に影響することはない。
【0054】
本発明のマルチディスプレイは、上記の課題を解決するために、上述の液晶表示装置が複数配列されたことを特徴としている。
【0055】
上記液晶表示装置は、額縁寸法が極めて小さくなる。それゆえ、当該液晶表示装置を複数配列させたマルチディスプレイは、視聴の際に液晶表示装置の額縁部分が目立たなくなるという効果を奏する。
【0056】
本発明のマルチディスプレイでは、各液晶表示装置に設けられた上記支柱は互いに連結し、上記空間は、下側から上側へ向けて連通していることが好ましい。
【0057】
上記の構成によれば、各液晶表示装置に設けられた上記支柱は互いに連結し、上記空間は、下側から上側へ向けて連通しているので、マルチディスプレイの下部に設けられた液晶表示装置の熱も、マルチディスプレイの上部に放出することができる。
【発明の効果】
【0058】
本発明の液晶表示装置は、以上のように、裏面側の一部に液晶パネルを支持するシャーシを備え、該シャーシの一部に支柱が設けられた液晶表示装置であって、上記液晶パネルの裏面側から光を照射する光源は、上記支柱の内部に設けられた空間内に配置されている構成である。
【0059】
また、本発明のマルチディスプレイは、以上のように、上記液晶表示装置が複数配列された構成である。
【0060】
それゆえ、効果的な放熱、低コスト化、薄型化、軽量化が達成される液晶表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第一の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示し、(a)は上面図であり、(b)は裏面側から見た平面図であり、(c)は側面図である。
【図2】図1(a)におけるA部の内部構成を示す断面図である。
【図3】図1の液晶表示装置に搭載されるバックライト115の概略構成を示す断面図である。
【図4】図1の液晶表示装置に搭載される光源モジュールの構成を示し、(a)は分解斜視図であり、(b)は組立後の光源モジュールを示す斜視図である。
【図5】図1の液晶表示装置に搭載されるLED基板の構成を示す平面図である。
【図6】図4の光源モジュールが支柱に搭載される様子を示し、(a)は搭載前の状態を示す斜視図であり、(b)は搭載後の状態を示す斜視図である。
【図7】12個の光源モジュールが支柱に搭載された状態を示す斜視図である。
【図8】図1の液晶表示装置の放熱機構を説明するための図であり、(a)は裏面側から見た平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は(b)における上側部分を拡大した側面図である。
【図9】第二の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示し、(a)は裏面側から見た平面図であり、(b)は側面図である。
【図10】第三の実施形態に係る液晶表示装置に備えられたシャーシの構成を示す斜視図である。
【図11】第四の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図12】第五の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図13】第六の実施形態に係る液晶表示装置の構成を説明するための図であり、(a)は第一の実施形態に係る液晶表示装置の表面側から見た構成を示す平面図であり、(b)は第六の実施形態に係る液晶表示装置の表面側から見た構成を示す平面図である。
【図14】比較例の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図15】比較例の液晶表示装置におけるLEDの配置を示す平面図である。
【図16】比較例の液晶表示装置を裏面側から見た正面図である。
【図17】特許文献1の透過型液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図18】特許文献2の液晶表示装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態を、図1〜図8を参照して以下に説明する。なお、本願明細書において、液晶表示装置の「裏面側」とは、液晶表示装置の表示面を表側としたときの反対側面側を意味する。
【0063】
(液晶表示装置100の構成)
図1は、本実施形態の液晶表示装置100の構成を示し、図1(a)は上面図であり、図1(b)は裏面側から見た平面図であり、図1(c)は側面図である。
【0064】
液晶表示装置100は、図1(a)〜(c)に示されるように、液晶表示パネル、拡散シート、プリズムシート、及びバックライトといった内蔵部品が、シャーシ102、及びベゼル103によって覆われた構成となっている。シャーシ102には、支柱104が設置されており、当該支柱104の内部は、空間になっている。また、支柱104は、下方でスタンド(支持台)105に連結されており、液晶表示装置100を支える構造体となっている。ここで、液晶表示装置100において、スタンド105が設けられた側を「下側」とし、スタンド105と反対側を「上側」とする。そして、下側から上側へ向かう方向をZ方向とする。なお、シャーシ102及び支柱104は、鉄板をプレス等で成形加工して形成される。また、支柱104はZ方向に延びており(長手方向がZ方向である)、Z方向に垂直な断面形状が略コの字形状になっている。
【0065】
図2は、図1(a)におけるA部の内部構成を示す断面図である。液晶表示装置100は、図2に示されるように、表面側から裏面側へ向かって、ベゼル103、液晶表示パネル106、プリズムシート107、拡散シート108、導光板109、及び反射シート110がこの順に配設されて、シャーシ102内部に収納された構成になっている。また、シャーシ102に形成された支柱104には空間144が設けられている。この空間144には、液晶表示パネル106の裏面側から光を照射するバックライトに備えられる、光源モジュール112が内蔵されている。
【0066】
液晶表示装置100において、光源モジュール112が収納された支柱104以外の部分は、主に液晶表示パネル106、導光板109、プリズムシート107、拡散シート108、反射シート110、シャーシ102等で構成されている。ここで、液晶表示パネル106、光源モジュール112の図示せぬ駆動回路、制御回路等は、スタンド105内部に内蔵されている。このため、上記駆動回路及び制御回路等が液晶表示装置100の厚さの増加に影響することはない。このため、液晶表示装置100においては、支柱104以外の部分は薄くすることができる。その結果、全体として、薄型でデザイン性の良い液晶表示装置を実現できる。
【0067】
ここで、プリズムシート107、拡散シート108、及び反射シート110は、透明の樹脂性光学用シートにプリズム機能、拡散機能、及び反射機能を有する形状に形成されたり、パターンが印刷されたり、機能膜が形成されている。また、導光板109は、アクリル樹脂で構成されている。
【0068】
図3は、液晶表示装置100に搭載されるバックライト115の概略構成を示す断面図である。図3に示されるように、バックライト115は、光源モジュール112及び導光板109で構成されている。
【0069】
光源モジュール112は、LED基板124a・124bと、光結合部材113と、放熱板122とを備えている。LED基板124a・124bそれぞれには、光源としてのLEDチップ(Light Emitting Diode:発光ダイオード)125a・125bが搭載されている。また、光結合部材113は、LEDチップ125a・125bから発した光をその内部で伝搬させ、導光板109に対して所定の角度で入射させるための光学素子である。この光結合部材113は、LED基板124a・124bと導光板109との間に配設されている。また、放熱板122には、LED基板124a・124bが搭載されている。また、光結合部材113の下端面の一部には、LEDチップ125a・125bが損傷しないようにスペーサ123a・123bが形成されている。
【0070】
光結合部材113は、頭部113cを有する。この頭部113cは、光結合部材113の下端面131a・131bと平行な平面になるように形成されている。導光板109は、平板状の部材であり、液晶表示パネル106側(表面側)の一主面109a、及び液晶表示パネル106と反対側(裏面側)の一主面106bを有する。導光板109は、光結合部材113の一主面109bに接触して固定されている。ここで、光結合部材113と導光板109とは、同一の屈折率であることが好ましい。光結合部材113の頭部113cと導光板109とは、レーザ溶着等で固定される、あるいは両者間に光学用途の接着剤を介在させて固定される。
【0071】
光結合部材113は、Z方向の寸法が相対的に大きい長尺部材であり、外肩部133a・133b(第1及び第2の股部)を有する二股構造を有している。換言すれば、光結合部材113は、その断面(Z方向に垂直な断面)がドーム形状(略U字形状)になっている。外肩部133a及び外肩部133bは、LEDチップ125a・125b側から導光板109へ向かうに従い互いの離間距離が小さくなるように設けられている。そして、外肩部133a及び外肩部133bの両方、または何れか一方からLEDチップからの光を入射するようになっている。外肩部133a及び外肩部133bは、互いの離間距離が最も小さい部分で連結している。この連結部分が頭部113cに対応する。
【0072】
LEDチップ125aから出射した光は、光結合部材113の下端面131aに入射する。そして、光結合部材113内部を伝搬して、外肩部133aにて全反射し、頭部113cへ向かう。そして、頭部113cまで到達した光は、該頭部113cに接触した一主面109bを介して、導光板109に入射する(図3の点線1250aで示される光路)。
【0073】
上記のように光結合部材113から出射した光が導光板109に入射すると、入射光は、導光板109内部を全反射しながら矢印A1の方向に伝搬する。矢印A1方向に伝搬している光は、導光板109の下部(裏面側)に設けられた反射シート110等の反射手段により反射される。そして、一部の光は、全反射条件が崩れ、導光板109の一主面109aから液晶表示パネル106側(矢印A2方向)に出射する。
【0074】
また、LEDチップ125bから出射した光は、光結合部材113の下端面131bに入射する。そして、光結合部材113内部を伝搬して、外肩部133bにて全反射し、頭部113cへ向かう。そして、頭部113cまで到達した光は、該頭部113cに接触した一主面109bを介して、導光板109に入射する(図3の点線1250bで示される光路)。
【0075】
上記のように光結合部材113から出射した光が導光板109に入射すると、入射光は、導光板109内部を全反射しながら矢印B1の方向に伝搬する。矢印B1方向に伝搬している光は、導光板109の下部(裏面側)に設けられた反射シート110等の反射手段により反射される。そして、一部の光は、全反射条件が崩れ、導光板109の一主面109aから液晶表示パネル106側(矢印B2方向)に出射する。LEDチップ125aから出射した光とLEDチップ125bから出射した光とは、導光板109内を互いに対称に進む。
【0076】
光結合部材113は、その断面がドーム形状(略U字形状)になっていることにより、LEDチップ125a・125bから出射した光を、光結合部材113内部で曲げながら伝搬し、平板状の導光板109に対して斜めに入射させるように機能する。このため、LEDチップ125a・125bから出射した光を殆ど導光板109に結合させることができる。
【0077】
バックライト115は、LEDチップ125a・125bが導光板109の下方に設けられた光源直下型のバックライトとなっている。
【0078】
ここで、上記反射手段は、反射シート110に限定されず、導光板109内を全反射しながら伝搬する光を導光板109の一主面109aへ反射する機能を有していればよい。例えば、導光板109の一主面109bに印刷・加工等によって反射パターンや反射用凹凸形状が形成された構成や、導光板109の一主面109bに光学反射膜が設けられた構成が挙げられる。
【0079】
(光源モジュール112の詳細な構成)
次に、光源モジュール112の詳細な構成について、図4〜図7を参照して説明する。
【0080】
図4は、光源モジュール112の構成を示し、図4(a)は分解斜視図であり、図4(b)は組立後の光源モジュール112を示す斜視図である。図4(a)に示されたLED基板124a・124bそれぞれには、点光源としてのLEDチップ125a・125bが配置されている。これらLEDチップ125a・125bは、2列に整列して配置されている。光結合部材113は、二股構造を構成する外肩部133a・133bそれぞれがLEDチップ125a・125b上方に載るように、配置される。また、LED基板124a・124bは、接着剤や図示しないビスによって、放熱板122に固定されている。
【0081】
また、LEDチップ125a・125bは、ベアチップ状の光源であり、光源自体が小さくなっている。それゆえ、光源のパッケージ等のコストが低減されると共に、光源の間隔を狭めて配置することができる。これにより、比較的近い距離で光源(ベアチップ)同士の出射光を混じり合わせることが可能となる。
【0082】
また、図4(a)及び(b)に示されるように、放熱板122には、締結用長穴122aが形成されている。この締結用長穴122aは、光源モジュール112を支柱104へ取り付けるに際し、図示しないビスを挿入するための穴として利用される。
【0083】
図5は、LED基板124aの構成を示す平面図である。図5に示されるように、LED基板124aは、プリント基板124c上に、点光源であるLEDチップ125aが直線状にZ方向に整列して配置された構成になっている。プリント基板124cには、配線やLEDチップのダイボンド領域が示されている。また、整列したLEDチップ125aを取り囲むように、白色系樹脂で構成されたダム126aが形成されている。ダム126aの内部で、LEDチップ125aは、蛍光体を含む透明樹脂によって封止されている。ダム126aの外周には、アライメントマーク127aが設けられている。アライメントマーク127aは、LEDチップ125aをダイボンドする際の位置決め、及び光結合部材113との位置調整に用いられている。
【0084】
プリント基板124cとしては、ガラスエポキシ基板、セラミック基板、アルミベース基板、アルミコア基板等が用いられる。本実施の形態では、LED基板124aは、アルミベース基板で構成されており、その厚さは2mmである。LED基板124bも、同様にアルミベース基板で構成されており、その厚さは2mmである。
【0085】
図6は、光源モジュール112が支柱104に搭載される様子を示し、図6(a)は搭載前の状態を示す斜視図であり、図6(b)は搭載後の状態を示す斜視図である。なお、図6(a)及び(b)では、2つの光源モジュール112が搭載される様子が示されている。しかし、支柱104に搭載される光源モジュール112の数は、2つに限定されず、液晶表示装置に必要な数量に応じ適宜設定される。
【0086】
図6(a)及び(b)に示されるように、光源モジュール112は、Z方向(点線方向)に連なって支柱104に搭載されている。支柱104は、板状部材が折り曲げられることにより形成された空間144を有する。この空間144内に光源モジュール112が収納される。
【0087】
空間144を形成する支柱104の3面のうち底面には、複数の光源モジュール112の各々に対応して、光源モジュール112を取り付けるためのビス128aが挿入される雌ネジ129aが形成されている。
【0088】
光源モジュール112は、ビス128aによって、支柱104に取り付けられている。より具体的には、ビス128aが放熱板122に形成された締結用長穴122aに挿入されて雌ネジ129aに螺合されることによって、支柱104に取り付けられる。
【0089】
放熱板122のサイズとしては、例えば、光源モジュール112においてZ方向に対応する方向の長さが54mm、放熱板122の平面内でZ方向に対し直交する方向の長さが100mm、厚さ2mmのアルミ板(1050系)の寸法が挙げられる。
【0090】
また、支柱104は、鍔部104aを有する。この鍔部104aが図1(a)等で示したシャーシ102に取り付けられることで、支柱104は、液晶表示装置100に取り付けられる。
【0091】
図7は、12個の光源モジュール112が支柱104に搭載された状態を示す斜視図である。図7において、矢印は、図1で示した液晶表示装置100における縦方向(Z方向)を示している。また、Uは、光源モジュール112が液晶表示装置100に搭載された際の上側、Lは、下側を示す。図7に示されるように、支柱104には、Z方向に連通した空間144が形成されている。この空間144に、光結合部材113がZ方向に互いに接触するように光源モジュール112がZ方向に整列している。
【0092】
ここで、光源モジュール112におけるLEDで発生した熱は、放熱板122を介して支柱104に伝播する。そして、さらに、支柱104からシャーシ102に伝播することによって、外部へ放熱される。
【0093】
また、上記の放熱に加え、LEDで発生した熱の一部は、支柱104内部の空間144がL側からU側に連通して形成されていることによって、L側からU側へ向けて空間144内を対流することでも放熱される。すなわち、支柱104内部の空間144は、LEDで発生した熱を対流により通過させる作用がある。液晶表示装置100は、光源モジュール112から発生する熱を下側(L側)から上側(U側)へ向けて効率的に移動させ外部へ放熱する構造になっている。
【0094】
図8は、液晶表示装置100の放熱機構を説明するための図であり、図8(a)は裏面側から見た平面図であり、図8(b)は側面図であり、図8(c)は図8(b)における上側部分を拡大した側面図である。なお、支柱104内部の空間144には、上述したように、(図示せぬ)バックライト用の光源モジュール112が内蔵されている。また、LEDチップ125a・125b等も搭載されている。
【0095】
図8(a)及び(b)に示されるように、支柱104の上側部分には、上部通気口141が設けられている。上部通気口141は、図8(c)に示されるように、格子状に設けられた複数の細いスリット(隙間)で構成されている。ここで、上部通気口141の形状は、格子状に設けられた複数の細いスリットに限られず、形状、大きさは適宜設計される。また、上部通気口141の位置も、図8(a)及び(b)に示された位置に限定されず、適宜設計される。上部通気口141は、支柱104の上面に形成されていてもよい。
【0096】
LEDで発生した熱の一部は、図6(b)等で示した放熱板122を介して、支柱104に伝播し、図8(a)及び(b)で示すシャーシ102に伝わり外部へ放熱される。
【0097】
また、発生した熱の一部は、LED自体や放熱板からの輻射によって、支柱104の空間(図7で示した空間144)内の空気に伝わり、空間144内の空気が温まる。そして、温まった空気は、空間144内を上側へ上昇し、支柱104上部に設けられた上部通気口141から外部へ放出される。なお、図8(a)及び(b)に示された矢印は、LEDの発熱により温められた空気が支柱104内部を上部通気口141に向かい移動し、上部通気口141から外部に放出される方向を簡易的に示す。点線矢印は、支柱104の上部通気口141までの空気の移動を示し、実線矢印は上部通気口141から外部への空気の移動を示している。
【0098】
また、支柱104は、シャーシ102に固定されているが、完全に密閉されていない。このため、液晶表示装置100外部の空気(空間144内で温まった空気よりも温度が低い空気)は、密閉されていない隙間から入り、支柱104内に供給される。
【0099】
このように液晶表示装置100外部と支柱104の空間144との間で空気の循環が起こる。よって、支柱104内部に空間144を設けるとともに、支柱104上部に上部通気口141を設けることで、一層効果的に放熱可能となる。
【0100】
本実施形態の液晶表示装置100では、支柱104が2本設けられていた。しかしながら、支柱104の数は、2本に限定されず、液晶表示装置の画面サイズ、構成等に応じて適宜設定できる。支柱104が3本以上であっても、本実施形態の液晶表示装置100に適用可能である。これら支柱をスタンド105に連結することで、液晶表示装置100の安定感をより増すことが可能になる。
【0101】
(第二の実施形態)
本発明の他の実施形態について、図9を参照して説明する。図9は、第二の実施形態に係る液晶表示装置200の構成を示し、図9(a)は裏面側から見た平面図であり、図9(b)は側面図である。なお、液晶表示装置200の基本構成、及び液晶表示装置200に備えられる光源モジュールの構成は、第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0102】
第一の実施形態に係る液晶表示装置100では、支柱104の上側側面にのみ上部通気口141が設けられていた。本実施形態の液晶表示装置200は、図9(a)及び(b)に示されるように、支柱204の上側側面及び下側側面の両方に、上部通気口241及び下部通気口242が設けられている。
【0103】
液晶表示装置200において、支柱204の空間244の上側に集まった熱は、シャーシ202に伝搬するとともに、上部通気口241から支柱204外部へ放出される。
【0104】
ここで、液晶表示装置200の支柱204には下部通気口242が設けられていることによって、空間244内で温まった空気よりも温度が低い空気が、外部から下部空気口242を介して供給される。これにより、支柱204内で、空気が下側から上側へ移動する対流がより生じやすくなり、LEDで発生した熱を効果的に放熱することができる。
【0105】
ここで、図9(a)及び(b)に示された矢印は、支柱204内部と液晶表示装置200外部との間の空気の循環を簡易的に示す。点線矢印は、LEDの発熱により温められた空気が上部通気口141まで移動する方向を示している。また、図面上側の実線矢印は上部通気口141から外部への空気の移動を示し、図面下側の実線矢印は外部から下部通気口242を介して供給される空気の移動を示している。
【0106】
ここで、上部通気口241及び下部通気口242は、第一の実施形態と同様に、格子状に設けられた複数の細いスリット(隙間)で構成されている。しかし、上部通気口241及び下部通気口242は、この構成に限定されず、下側から上側へ移動する空気の対流を生じやすくする構成であればよい。
【0107】
また、本実施形態の液晶表示装置200では、支柱204が2本設けられていた。しかしながら、支柱204の数は、2本に限定されず、液晶表示装置の画面サイズ、構成等に応じて適宜設定できる。支柱204が3本以上であっても、本実施形態の液晶表示装置200に適用可能である。
【0108】
(第三の実施形態)
本発明のさらに他の実施形態について、図10を参照して説明する。図10は、第三の実施形態に係る液晶表示装置に備えられたシャーシ302の構成を示す斜視図である。なお、シャーシ302以外の液晶表示装置の構成は、第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0109】
第一の実施形態に係る液晶表示装置100では、支柱104は鍔部104aを介してシャーシ102に固定されていた。本実施形態の液晶表示装置は、図10に示されるように、支柱部分304がシャーシ302と一体的に構成されている。
【0110】
すなわち、シャーシ302は、第一の実施形態のように、支柱104と鍔部104aを介して取り付けられていない。シャーシ302には、予め支柱部分304が一体的に形成されている。支柱部分304と一体となったシャーシ302は、平板状の鉄板、ステンレス板、またはアルミ板をプレス等で成形することによって製造される。このように、本実施形態では、1枚の平板を成形加工することによって支柱部分304と一体となったシャーシ302を製造するので、製造コストを低減することが可能になる。また、部材調達、管理も簡易になるので、さらなるコスト低減が可能になる。
【0111】
本実施形態の液晶表示装置においては、シャーシ302と一体的に形成された支柱部分304の空間344に光源モジュール112が収納される。なお、光源モジュール112の構成は、第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0112】
また、本実施形態の液晶表示装置では、支柱部分304が2か所設けられていた。しかしながら、支柱部分304の形成箇所は、2か所に限定されず、液晶表示装置の画面サイズ、構成等に応じて適宜設定できる。支柱部分304が3か所以上であっても、本実施形態の液晶表示装置に適用可能である。
【0113】
(第四の実施形態)
本発明のさらに他の実施形態について、図11を参照して説明する。図11は、第四の実施形態に係る液晶表示装置400の構成を示す断面図である。
【0114】
液晶表示装置400は、図11に示されるように、表面側から裏面側へ向かって、ベゼル103、液晶表示パネル106、プリズムシート107、拡散シート108、導光板109、及び反射シート110がこの順に配設されて、シャーシ402内部に収納された構成になっている。また、シャーシ402には、支柱部分403が形成されている。つまり、第三の実施形態と同様に、支柱部分403は、シャーシ402と一体的に形成されている。
【0115】
支柱部分404は、第三の実施形態における支柱部分304よりも幅広になっている。支柱部分403内の空間444には、複数列(図11では2列)の光源モジュール112が配置されている。空間444は、複数列の光源モジュール112を収容可能な体積になっており、光源モジュール112間や、光源モジュール112と支柱部分404の側壁との間に渡っている。
【0116】
空間444は、上述した実施形態で説明したように、液晶表示装置400の下部から上部にかけ連通して形成されている。そして、LEDによって発生した熱が支柱部分404の空間444を伝播するようになっており、効率的な放熱を実現している。光源モジュール112の列の数や、空間444の形成状態は図11の構成に限定されない。より多くの光源モジュール112が1つの支柱部分404に内蔵され、空間444がより多く形成されても構わない。
【0117】
このように、空間444内に、光源モジュール112が複数の列を成して配置されているので、光源モジュール112の複数の列同士に挟まれた内側部分は、光源モジュール112の複数の列の外側部分よりも、液晶表示パネル106に照射する光の強度が強くなる。それゆえ、液晶表示装置400の中央部の明るさを効果的に高めることができる。
【0118】
また、液晶表示装置400は、複数の光源モジュール112が内蔵された1つの支柱部分444が複数本形成された構成であってもよい。このような液晶表示装置は、屋外用や、会場用の大型表示装置に適用しやすい。
【0119】
(第五の実施形態)
本発明のさらに他の実施形態について、図12を参照して説明する。図12は、第五の実施形態に係る液晶表示装置500の構成を示す断面図である。
【0120】
図12に示されるように、液晶表示装置500は、表面側から裏面側へ向かって、ベゼル203、液晶表示パネル206、プリズムシート207、拡散シート208、導光板209、及び反射シート210がこの順に配設されて、シャーシ202内部に収納された構成になっている。導光板209における液晶表示パネル206と反対側の一主面には、光結合部材213が接合されている。
【0121】
シャーシ202には、支柱203が固定されている。支柱203内の空間244には、液晶表示パネル206を裏面から光を照射するバックライト用の光源モジュール212が内蔵されている。
【0122】
ここで、プリズムシート207、拡散シート208、及び反射シート110の材料、形成形態は、第一の実施形態と同様である。また、導光板209は、アクリル樹脂で構成され、第一の実施形態と同様である。
【0123】
本実施形態においては、光源モジュール212に備えられた光結合部材213の形状が第一〜第四の実施形態と異なる。以下、光結合部材213の構造について、説明する。
【0124】
光結合部材213は、Z方向の寸法が相対的に大きい長尺部材であり、2股の光導光部213a・213b(第1及び第2の股部)を有する二股構造を有している。換言すれば、光結合部材113は、その断面(Z方向に垂直な断面)がY字形状になっている。また、光結合部材213は、下側部分に台座部214が形成されており、この台座部214も光を透過する。光結合部材213では、2つの光導光部213a・213bは、台座部214から中央部を軸として対称に延びている。また、2つの光導光部213a・213bは、LEDチップ225から導光板209へ向かうに従い互いの離間距離が大きくなるように設けられている。
【0125】
台座部214の下側には、1つのLEDチップ225が配置されている。LEDチップ225は、光導光部213a・213bにより構成される二股構造の中央に配置されている。1つのLEDチップ225の出射光は、台座部214に入射し、2つの光導光部213a・213bに伝搬するようになっている。このように構成することで、LEDチップ225として、汎用で安価のラージチップを採用できる。その結果、光源モジュール、それを搭載するバックライト、及び液晶表示装置の低コスト化を実現できる。
【0126】
さらには、光結合部材213では、2つの光導光部213a・213bの間、すなわち、2股構造となっている。の中央部分に隙間が設けられている。換言すると、光導光部213aと台座部214との連結部分、及び光導光部213bと台座部214との連結部分は離間している。2つの光導光部213a・213bは、1つの連結部分で台座部214と連結しているのではない。光結合部材213では、この隙間からLEDチップ225の直接光が拡散しながら導光板209に照射されることになる。その結果、二股部(光導光部213a・213bの離間部分)の輝度低下を防止することができる。
【0127】
また、空間244は、上述した実施形態で説明したように、液晶表示装置500の下部から上部にかけ連通して形成されている。そして、LEDによって発生した熱が支柱204の空間244を伝播するようになっており、効率的な放熱を実現している。
【0128】
また、液晶表示装置500は、第一の実施形態にて説明したような、支柱204の上側側面、下側側面、またはその両方の側面に図示しない通気口が設けられた放熱構造も採用することができる。
【0129】
(第六の実施形態)
本発明のさらに他の実施形態について、図13を参照して説明する。図13は、第六の実施形態に係る液晶表示装置(マルチディスプレイ)600の構成を説明するための図であり、図13(a)は第一の実施形態に係る液晶表示装置100の表面側から見た構成を示す平面図であり、図13(b)は第六の実施形態に係るマルチディスプレイ600の表面側から見た構成を示す平面図である。
【0130】
第一の実施形態から第五の実施形態に係る液晶表示装置は、光源モジュール及び光源モジュールを内蔵した支柱が液晶表示パネルの裏面側に複数列配置されている。すなわち、導光板の直下にLEDが配置された直下型バックライト方式の液晶表示装置である。この点でサイドエッジ型バックライト方式の液晶表示装置と異なり、液晶表示装置の四辺すべてが狭額縁化可能となる。
【0131】
図13(a)に示されるように、液晶表示装置100は、サイドエッジ型バックライト方式のように、額縁部分にLEDを配置する領域が存在しない。それゆえ、四辺全てにおいて額縁寸法を極めて小さくすることができる。その結果、四辺全てにおいて狭額縁化を実現することができる。
【0132】
さらに、四辺全てにおいて狭額縁化が可能であるので、液晶表示装置100を複数配列したマルチディスプレイ600としての構成を実現することができる。このようなマルチディスプレイ600は、展示会場や屋外等の広いエリアで遠くから視聴可能な表示装置として近年市場が拡大しつつある。
【0133】
マルチディスプレイ600は、例えば図13(b)に示されるように、液晶表示装置100が上下2段、4列配列した構成になっている。このようなマルチディスプレイ600は、液晶表示装置100の四辺全てにおいて狭額縁化が可能となり、視聴の際に額縁部分が目立たなくなることから実現できる。また、マルチディスプレイ600の下方の端部にはスタンド105’が設けられている。このスタンド105’には、液晶表示パネル、光源モジュールの図示せぬ駆動回路、制御回路等が内蔵されている。
【0134】
また、マルチディスプレイ600の構成によれば、各液晶表示装置に設けられた支柱104は下側から上側に向かって延びており、互いに連結している。そして、支柱104に形成された空間は、マルチディスプレイ600の下側から上側へ向かって連通している。このため、マルチディスプレイ600の下側に配された液晶表示装置100の熱も、マルチディスプレイ600の上側に放出することができる。
【0135】
以下実施例を示し、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0136】
(実施例1)
まず、比較例として特許文献1に開示された従来技術に係る液晶表示装置を用い、本発明の液晶表示装置と放熱性の比較を行った。図14〜図16に、特許文献1に開示された液晶表示装置1’を模式的に示す。図14は、比較例の液晶表示装置1’の構成を示す断面図である。なお、図14では、液晶表示装置1’に本来必要な筺体や、液晶表示パネルを駆動するコントローラーや電源等を省略している。
【0137】
また、本発明の液晶表示装置との放熱性の比較を容易にするため、特許文献1の液晶表示装置で必要とされているヒートパイプ25は用いられない。ヒートパイプ25の代りに、放熱プレート24’に厚さ2mmのアルミベース基板からなるLED基板8’を設けた。
【0138】
液晶表示装置1’は、図14に示されるように、液晶パネルユニット2と、この液晶パネルユニット2の背面側に組み合わされて表示光を供給するバックライトユニット3とを備えている。液晶パネルユニット2は、枠状の前面フレーム部材(ベゼル部材)4と、液晶表示パネル5と、この液晶表示パネル5の外周縁部を前面フレーム部材4との間に挟み込んで保持する枠状の背面フレーム部材6とから構成される。液晶表示パネルとフレーム部材との間のスペーサやガイド部材等は図面の煩雑を防ぐために図示を省略している。
【0139】
バックライトユニット3は、上述した液晶パネルユニット2の背面側に配置された光源としてのLED12と、LED12で発生した熱を放熱するための放熱プレート24’と、バックパネル9とを備えている。バックパネル9は、LED12及び放熱ユニット8等を保持し、前面フレーム部材4や背面フレーム部材6と組み合わされている。図14中、14は拡散導光プレート(導光板)であり、13は光学機能シート積層体である。また、17は拡散導光プレート(導光板)14を支える光学スタッド部材である。34は支柱であり、35は液晶表示装置1’のスタンドである。
【0140】
図15は、比較例の液晶表示装置1’におけるLED12の配置を示す平面図である。また、図16は比較例の液晶表示装置1’を裏面側から見た正面図である。比較例の液晶表示装置1’において、支柱34は、スタンド35に嵌合等によって固定されており、液晶表示装置1’全体を支える役割のみを果たす。
【0141】
本発明の第二の実施形態に係る液晶表示装置200と比較例の液晶表示装置1’とについて、次の条件で放熱性能の比較を行った。なお、液晶表示装置の寸法は、液晶表示装置200と及び液晶表示装置1’共に、液晶表示パネルの大きさが横幅1152mm、高さ800mmである。支柱の幅は140mmであり、2つの支柱間の間隔(各支柱の幅方向の中心同士の間隔)が400mmである。液晶表示装置200における支柱204内部の空間244を構成する溝(光源モジュール112が収納される溝)の深さは20mmである。支柱204は、厚さ2mmの鉄板が折り曲げられて形成されている。
【0142】
全LEDチップへの投入電力は、両者とも同一条件であり、136.8Wである。外気温度は20℃であり、液晶表示装置以外の発熱体は存在しない。
【0143】
液晶表示装置200と液晶表示装置1’とにおいて、発熱した熱が自然対流によって大気中へ放出される熱量を熱流体シミュレーションによって確認をした。シミュレーション上の解析モデルにおいて、主要部品の物性は次の通りである。
【0144】
LED基板124a・124b、及びLED基板8’は、熱伝導率が170W/(m・K)であり、比熱が905J/(kg・K)とする。
【0145】
放熱板122及び放熱プレート24’は、熱伝導率が222W/(m/K)であり、比熱が920J/(kg・K)とする。
【0146】
LEDチップ125a・125b、及びLED12は、熱伝導率が54W/(m・K)であり、比熱が325J/(kg・K)とする。
【0147】
支柱204及び支柱34は、熱伝導率が43W/(m・K)であり、比熱が465J/(kg・K)とする。
【0148】
バックライトシャーシ202及びバックパネル9は、熱伝導率が43W/(m・K)であり、比熱が465J/(kg・K)とする。
【0149】
導光板109及び導光板14は、熱伝導率が0.23W/(m・K)であり、比熱が1050J/(kg・K)とする。
【0150】
光学シート(プリズムシート107、拡散シート108)及び、光学機能シート積層体13は、機能を考慮すると概ね同様の類の部材の集合であると想定した。そして、両者とも、熱伝導率が0.23W/(m・K)であり、比熱が1050J/(kg・K)とする。
【0151】
液晶表示パネル106及び液晶表示パネル5は、熱伝導率が1.38W/(m・K)であり、比熱が740J/(kg・K)とする。
【0152】
放熱性の比較方法は、シミュレーションにより実施し、定常解析で各部位の温度変化が一定値になるまで計算を行う方法である。そして、液晶表示装置200及び液晶表示装置1’について、大気へ放熱される熱量を比較した。シミュレーションの結果は次の通りである。
【0153】
比較例の液晶表示装置1’では、全投入電力136.8Wに対して、大気中へ放出される熱量は68.2Wであった。一方、液晶表示装置200では、全投入電力136.8Wに対して、大気中へ放出される熱量は93.7Wであった。この放熱量の比較結果から、液晶表示装置200は、比較例の液晶表示装置1’に対して1.37倍の放熱性能を有していることがわかる。
【0154】
いうまでもなく、同じ投入電力の時は放熱量が大きい程、部品の温度上昇を防ぐことが可能であり、例えばLEDを始めとして、液晶表示装置に搭載される各種部品の寿命を延ばすことが可能である。また、液晶表示装置が熱変形する等の問題や、熱による映像の乱れ、また発火などの不慮の事故の発生率を下げることになり、製品自体の品質向上に繋がるものである。
【0155】
(実施例2)
本発明の第四の実施形態に係る液晶表示装置400と、図14〜図16に示される比較例の液晶表示装置1’とについて、次の条件で放熱性能の比較を行った。
【0156】
液晶表示装置の寸法は、液晶表示装置400と及び液晶表示装置1’共に、液晶表示パネルの大きさが横幅1152mm、高さ800mmである。支柱の幅は540mmである。支柱部分404内の空間444を構成する溝(光源モジュール112が収納される溝)の深さは20mmである。支柱部分404は厚さ2mmの鉄板が折り曲げられ、シャーシ402と一体で形成されている。
【0157】
全LEDチップへの投入電力は、両者とも同一条件であり、136.8Wである。外気温度は20℃であり、液晶表示装置以外の発熱体は存在しない。
【0158】
液晶表示装置400と液晶表示装置1’とにおいて、発熱した熱が自然対流によって大気中へ放出される熱量を熱流体シミュレーションによって確認をした。シミュレーション上の解析モデルにおいて、主要部品の物性は次の通りである。
【0159】
LED基板124a・124b、及びLED基板8’は、熱伝導率が170W/(m・K)であり、比熱が905J/(kg・K)とする。
【0160】
放熱板122及び放熱プレート24’は、熱伝導率が222W/(m/K)であり、比熱が920J/(kg・K)とする。
【0161】
LEDチップ125a・125b、及びLED12は、熱伝導率が54W/(m・K)であり、比熱が325J/(kg・K)とする。
【0162】
支柱204及び支柱34は、熱伝導率が43W/(m・K)であり、比熱が465J/(kg・K)とする。
【0163】
バックライトシャーシ202及びバックパネル9は、熱伝導率が43W/(m・K)であり、比熱が465J/(kg・K)とする。
【0164】
導光板109及び導光板14は、熱伝導率が0.23W/(m・K)であり、比熱が1050J/(kg・K)とする。
【0165】
光学シート(プリズムシート107、拡散シート108)及び、光学機能シート積層体13は、機能を考慮すると概ね同様の類の部材の集合であると想定した。そして、両者とも、熱伝導率が0.23W/(m・K)であり、比熱が1050J/(kg・K)とする。
【0166】
液晶表示パネル106及び液晶表示パネル5は、熱伝導率が1.38W/(m・K)であり、比熱が740J/(kg・K)とする。
【0167】
放熱性の比較方法は、シミュレーションにより実施し、定常解析で各部位の温度変化が一定値になるまで計算を行う方法である。そして、液晶表示装置200及び液晶表示装置1’について、大気へ放熱される熱量を比較した。シミュレーションの結果は次の通りである。
【0168】
比較例の液晶表示装置1’では、全投入電力136.8Wに対して、大気中へ放出される熱量は68.2Wであった。一方、液晶表示装置400では、全投入電力136.8Wに対して、大気中へ放出される熱量は101.9Wであった。この放熱量の比較結果から、液晶表示装置400は、比較例の液晶表示装置1’に対して1.5倍の放熱性能を有していることがわかる。
【0169】
いうまでもなく、同じ投入電力の時は放熱量が大きい程、部品の温度上昇を防ぐことが可能であり、例えばLEDを始めとして、液晶表示装置に搭載される各種部品の寿命を延ばすことが可能である。また、液晶表示装置が熱変形する等の問題や、熱による映像の乱れ、また発火などの不慮の事故の発生率を下げることになり、製品自体の品質向上に繋がるものである。
【0170】
以上のように、本発明の液晶表示装置は、放熱面で格段に優れると共に、薄型、低コストを実現するものである。
【0171】
本発明の液晶表示装置は、液晶表示パネルを背面から照明するバックライトの構成要素である光源を基板上に配置すると共に、該基板と、光源の光をバックライトの別の構成要素である導光板に結合する光結合部材とを支柱の内部に収納する構成となっている。このため、液晶表示装置全体として薄型化が可能になると共に、支柱の内部に空気が移動する連通した空間を有することで、光源からの熱が支柱の内部空間を伝わり効果的に放熱される効果がある。また、液晶表示装置の背面に効果的に放熱が可能となる。
【0172】
これによって、光源の発光効率の低下を抑制し輝度の低下を防ぐと共に、光源を含め、液晶表示装置に搭載される各種部品の寿命を延ばし、また映像の乱れや、液晶表示装置が熱変形する等の虞をなくすことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明は、テレビ、モニター等の液晶表示装置に用いることができ、特に、光源直下型のバックライトを用いた液晶表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0174】
102、202、302 シャーシ
103 ベゼル
104 支柱
105 スタンド(支持台)
105’ スタンド(支持台)
106 液晶表示パネル(液晶パネル)
107 プリズムシート
108 拡散シート
109 導光板
110 反射シート
112 光源モジュール
125a・125b LEDチップ(光源)
124a・124b LED基板(光源基板)
113 光結合部材
133a 外肩部(第1の股部)
133b 外肩部(第2の股部)
122 放熱板(放熱手段)
144、244、344 空間
213 光結合部材
213a 光導光部(第1の股部)
213b 光導光部(第2の股部)
141、241 上部通気口(第1の通気口)
242 下部通気口(第2の通気口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面側の一部に液晶パネルを支持するシャーシを備え、該シャーシの一部に支柱が設けられた液晶表示装置であって、
上記液晶パネルの裏面側から光を照射する光源は、上記支柱の内部に設けられた空間内に配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
上記光源を備えたバックライトを備え、
上記バックライトは、さらに、
上記光源からの光を上記液晶パネルに照射する平板状の導光板と、
上記導光板と上記光源との間に配置され、上記光源からの光を導光板に結合する光結合部材と、を備え、
上記光結合部材は、上記導光板における上記液晶パネルと反対側の一主面に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
光源から発生する熱を放熱する放熱手段を備え、
上記光源は、光源基板上に配置されており、
上記光源基板は、上記放熱手段を介して、上記支柱に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
上記光源は、ベアチップ状の光源であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
上記光源を備えたバックライトを備え、
上記バックライトは、さらに、
上記光源からの光を上記液晶パネルに照射する平板状の導光板と、
上記導光板と上記光源との間に配置され、上記光源からの光を導光板に結合する光結合部材と、を備え、
上記光結合部材は、二股構造であり、光源からの光を、平板状の導光板に対して斜めに入射させる第1及び第2の股部を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
上記光結合部材は、上記第1及び第2の股部が、上記光源側から上記導光板へ向かうに従い互いの離間距離が小さくなるように設けられ、上記第1及び第2の股部の両方、または何れか一方から上記光源からの光を入射し、
上記第1及び第2の股部の連結部分である頭部は、上記導光板における上記液晶パネルと反対側の一主面に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
上記光結合部材は、上記第1及び第2の股部が、上記光源側から上記導光板へ向かうに従い、互いの離間距離が大きくなるように設けられ、
上記離間距離が最も小さい部分に、上記光源からの光が入射するようになっていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
上記支柱は、上記液晶パネルの下側から上側へ向けて延びており、
上記空間は、下側から上側へ向けて連通していることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
上記光源を備えたバックライトを備え、
上記バックライトは、さらに、
上記光源からの光を上記液晶パネルに照射する平板状の導光板と、
上記導光板と上記光源との間に配置され、上記光源からの光を導光板に結合する光結合部材と、を備え、
上記光結合部材は、上記空間に、上記支柱の長手方向に配列して配置されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
上記支柱は、その長手方向に垂直な断面形状がコの字形状であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
上記支柱の長手方向の上側には、上記空間内の空気を通気する第1の通気口が設けられていることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
上記支柱の長手方向の下側には、上記空間内の空気を通気する第2の通気口が設けられていることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
上記光源は、上記空間内に、複数の列を成して配置されていることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
上記支柱は、複数の列を成してシャーシに設けられていることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
上記液晶パネルを支持する支持台を備え、
上記支柱は、上記支持台に連結されていることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
上記支持台に、上記液晶パネルの駆動回路及び制御回路が内蔵されていることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項17】
請求項1〜16の何れか1項に記載の液晶表示装置が複数配列されたことを特徴とするマルチディスプレイ。
【請求項18】
各液晶表示装置に設けられた上記支柱は互いに連結し、
上記空間は、下側から上側へ向けて連通していることを特徴とすることを特徴とする請求項17に記載のマルチディスプレイ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−113942(P2013−113942A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258314(P2011−258314)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】