説明

液晶表示装置及びその製造方法

【課題】フォトリソグラフィ技術による選択エッチングの回数を増やさず、しかも、表示画素の設計上の制約を抑えて、補助的な役割をする支柱状スペーサを形成可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置は、第1の基板1と、第1の基板1に対して対向して配置され、第1の基板1とともに液晶を挟持する第2の基板2と、第1の基板1又は第2の基板2上に設けられ、第1の基板1と第2の基板2とを所定間隔に保持する支柱状スペーサと、を備え、支柱状スペーサは、本柱51と、本柱51よりも断面積が小さい補助柱52、53と、を有し、支柱状スペーサの本柱51と補助柱52、53は、画素の、少なくとも映像信号線上又は走査信号線上に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、液晶表示装置は、相互に対向して配置され液晶を挟持する第1及び第2の基板を備えている。
【0003】
近年では、液晶表示装置の表示品質の向上に伴い、液晶を挟持する第1及び第2の基板の間隔には、より高い面内均一性が要求されるようになってきている。
現在、第1及び第2の基板の間隔を面内で均一化する技術としては、均一な高さの複数の支柱状スペーサをフォトリソグラフィ技術により何れかの基板面に形成し、両基板の間隔の液晶層の厚さを基板の面内において均一にすることが主流となっている。
【0004】
ところで、支柱状スペーサを多く配置した場合、第1及び第2の基板を互いに重ね合わせて互いの位置を合わせる際における基板面方向のズレ応力が支柱状スペーサに大きく加わることにより、配向異常を起こしたり、或いは、支柱状スペーサが破損する場合がある。
【0005】
逆に、支柱状スペーサが少ない場合は、液晶表示パネル(第1の基板と第2の基板とを相互に貼り合わせたもの)が出来上がった後の外部応力によって、支柱状スペーサが可塑変形領域まで変形してしまうことがある。
【0006】
そのため、支柱状スペーサは、その全てが均一な高さであるよりも、例えば、第1の高さである支柱状スペーサに、それよりも若干低い第2の高さの支柱状スペーサを補助的に混在させることが望まれるようになった。
【0007】
図16は2種類の高さの支柱状スペーサを備える従来の液晶表示装置の模式的な断面図である。
【0008】
図16に示すように、従来の液晶表示装置は、相互に対向して配置された第1及び第2の基板1001、1002と、第1の基板1001と第2の基板1002との間隔に形成された液晶層1003と、第1の基板1001と第2の基板1002との間隔に設けられ第1の基板1001と第2の基板1002との間隔を所定間隔に維持させる複数の支柱状スペーサ1004,1005と、を備えている。
【0009】
ここで、支柱状スペーサ1004と支柱状スペーサ1005とは、互いに異なる高さを有している。
【0010】
このため、図16に示す液晶表示装置を製造するには、支柱状スペーサ1004を形成するためのフォトリソグラフィ工程による選択的エッチングと、支柱状スペーサ1005を形成するための選択的エッチングと、を別個に行う必要がある。
【0011】
次に、図17は、図16に示すのとは別の従来の液晶表示装置が備えるTFT基板上における支柱状スペーサの配置を示す平面図であり、一部の支柱状スペーサ1010を台座1011上に配置したことにより、該一部の支柱状スペーサ1010の実質的な高さを他の支柱状スペーサ1012よりも高くした例を示す。
【0012】
図17に示す液晶表示装置の場合、一部の支柱状スペーサ1010のみを台座1011上に配置するため、フォトリソグラフィ工程による選択エッチングの回数を増やさずに、実質的に、第1及び第2の高さの支柱状スペーサを形成したのと同様の効果を得ることができる。
【0013】
また、特許文献1には、同じ高さの支柱状スペーサを形成する場合に、基板上における層構造の厚さ(層厚)が異なる領域へ選択的に特定の支柱状スペーサを形成することにより、フォトリソグラフィ工程による選択エッチングの回数を増やさずに、実質的に、第1及び第2の高さの支柱状スペーサを形成したのと同様の効果を得る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−198847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図16に示す従来技術では、フォトリソグラフィ工程による選択的エッチングを少なくとも2回以上行う必要があるため、製造コストや手間がかかるという問題がある。
また、図17に示す従来技術では、フォトリソグラフィ工程による選択的エッチングは1回で済むものの、台座1011を形成する必要があるため、やはり、製造コストや手間がかかるという問題がある。しかも、図17に示す従来技術では、台座1011上に選択的に特定の支柱状スペーサ1010を配置する必要があるため、表示画素の設計上の制約が大きくなってしまうという問題もある。
【0016】
また、特許文献1の技術では、基板上における層構造の厚さ(層厚)が異なる領域に選択的に特定の支柱状スペーサを配置する必要があるため、やはり、表示画素の設計上の制約が大きくなってしまうという問題がある。
【0017】
このように、従来の技術では、第1の基板と第2の基板との間隔をそれらの全面において高い均一性に維持するには、コスト面や設計面での問題があった。
【0018】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、フォトリソグラフィ技術による選択エッチングの回数を増やさず、しかも、表示画素の設計上の制約を大きくする台座パターンなどの形成を行うことなく、補助的な役割をする支柱状スペーサを形成することが可能な液晶表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明の液晶表示装置は、第1の基板と、前記第1の基板に対して対向して配置され、前記第1の基板とともに液晶を挟持する第2の基板と、前記第1の基板又は前記第2の基板上に設けられ、前記第1の基板と前記第2の基板とを所定間隔に保持する支柱状スペーサと、前記第2の基板上に形成された複数の映像信号線と複数の走査信号線と、前記映像信号線と前記走査信号線とで区切られた複数の画素と、を備えている液晶表示装置であって、前記支柱状スペーサは、本柱と、前記本柱よりも断面積が小さい補助柱と、を有し、前記支柱状スペーサの前記本柱と前記補助柱は、前記画素の、少なくとも前記映像信号線上又は前記走査信号線上に配置されることを特徴とする。
【0020】
本発明の液晶表示装置においては、前記補助柱には、複数種類の断面積の柱が含まれていることとしても良い。
【0021】
本発明の液晶表示装置においては、前記支柱状スペーサは、その全てが略同一の高さで形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、支柱状スペーサには、少なくとも2種類以上の断面積のものが含まれているので、その断面積と配置を適宜に調整することにより、各柱状スペーサに掛かる圧力を調整することができる。
【0023】
通常、支柱状スペーサをフォトリソグラフィ技術による選択エッチングにより形成する場合、その先端部は基端部よりも多くエッチングされるため、先端面は平坦とはならず、やや丸みを帯びる。また、セル工程での熱履歴により、角張った部分はさらに丸くなる。
【0024】
このため、断面積が小さい支柱状スペーサ(補助柱)の場合、先端形状が鋭角的となり、先端部の表面積は非常に小さくなる。
【0025】
このため、断面積が小さい支柱状スペーサ(補助柱)は、第1又は第2の基板との接触面積が非常に小さく、第1の基板と第2の基板とを互いに重ね合わせて位置合わせをする動作時のズレ応力はほとんど受けないため、断面積が小さい支柱状スペーサの数が多くても、その重ね合わせ工程において不具合は生じない。
【0026】
そして、液晶表示パネルの完成後に大きな応力がかかった場合、断面積が小さい支柱状スペーサ(補助柱の先端部の表面積が増し、垂直応力の抗力を大きくするため、断面積が大きい支柱状スペーサ(本柱)が可塑変形領域まで変形し不可逆変形することを抑える役割をする。
【0027】
また、支柱状スペーサは、その全てを、第1又は第2の基板における略同一の高さの面に形成するので、フォトリソグラフィ技術による1回の選択エッチングにより、少なくとも2種類以上の断面積の支柱状スペーサを、ほぼ同一の高さに形成することができる。
【0028】
なお、断面積が小さい支柱状スペーサ(補助柱)の径をさらに小さくすることにより、選択エッチングによる先端面のエッチングが進行しやすくなるため、断面積が小さい支柱状スペーサ(補助柱)の高さを、断面積が大きい支柱状スペーサ(本柱)よりも低くすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施形態に係る液晶表示装置が備えるTFT基板上における支柱状スペーサの配置を示す平面図である。
【図2】第1の実施形態に係る液晶表示装置の断面図であり、特に、図1のA−B線と対応する部位を示す。
【図3】第1の実施形態に係る液晶表示装置の断面図であり、特に、図1のC−D線と対応する部位を示す。
【図4】第1の実施形態に係る液晶表示装置の表示領域における支柱状スペーサの平面的な配置を示す模式図である。
【図5】第1の実施形態に係る液晶表示装置の周縁部における支柱状スペーサの平面的な配置を示す模式図である。
【図6】第1の実施形態の変形例の場合のTFT基板上における支柱状スペーサの配置を示す平面図である。
【図7】第1の実施形態の変形例の場合のTFT基板上における支柱状スペーサの配置を示す平面図である。
【図8】第1の実施形態の変形例の場合の支柱状スペーサの平面的な配置を示す模式図である。
【図9】第1の実施形態の変形例の場合の支柱状スペーサの平面的な配置を示す模式図である。
【図10】第2の実施形態に係る液晶表示装置の周縁部における支柱状スペーサの平面的な配置を示す模式図である。
【図11】第2の実施形態に係る液晶表示装置の周縁部における支柱状スペーサの平面的な配置を示す模式図である。
【図12】第3の実施形態に係る液晶表示装置の模式的な断面図である。
【図13】第3の実施形態に係る液晶表示装置における支柱状スペーサの平面的な配置を示す模式図である。
【図14】第4の実施形態に係る液晶表示装置の周縁部における支柱状スペーサの平面的な配置を示す模式図である。
【図15】第4の実施形態に係る液晶表示装置の周縁部における支柱状スペーサの平面的な配置を示す模式図である。
【図16】2種類の高さの支柱状スペーサを備える従来の液晶表示装置の模式的な断面図である。
【図17】従来の液晶表示装置が備えるTFT基板上における支柱状スペーサの配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。
【0031】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る液晶表示装置100(図2)が備えるTFT基板1上における支柱状スペーサの配置を示す平面図、図2及び図3は第1の実施形態に係る液晶表示装置100の断面図、図4及び図5は第1の実施形態に係る液晶表示装置100における支柱状スペーサの平面的な配置(分布)を示す模式図である。
【0032】
図1は、TFT基板1において、隣り合う2つの表示画素と対応する部位を示す。図2は図1のA−B線と対応する部位の断面図、図3は図1のC−D線と対応する部位の模式的断面図である。また、図4は液晶表示装置100の表示領域(表示画素が配設された領域)60における支柱状スペーサの分布を示し、図5は液晶表示装置100の周縁部における支柱状スペーサの分布を示す。
【0033】
なお、本実施形態では、図1及び図2に示すように、横電界モード或いはIPS(in−plane−switching)モードの液晶表示装置100に本発明を適用した例を示しているが、本発明は、その他のタイプの液晶表示装置にも同様に適用可能である。
【0034】
図2に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置100は、例えば、TFT基板(第1の基板)1と、このTFT基板1と対向して配置され、該TFT基板1と貼り合わされたカラーフィルター基板(第2の基板)2と、TFT基板1とカラーフィルター基板2との間に充填された液晶層(液晶セルを備える)3と、を備えている。
【0035】
このうちTFT基板1は、平板なガラス基板4と、このガラス基板4上に形成された共通電極配線6及び走査信号線7と、これら共通電極配線6及び走査信号線7を覆うようにガラス基板4上に成膜された第1絶縁膜5と、この第1絶縁膜5上に形成されたデータ線(映像信号線)8、画素電極9の蓄積容量形成部9b及び薄膜トランジスタ(TFT)14と、これら蓄積容量形成部9b、データ線8及び薄膜トランジスタ14を覆うように第1絶縁膜5上に成膜された第2絶縁膜10と、この第2絶縁膜10上に形成された表層共通電極11及び画素電極9の画素電極櫛歯9aと、これら表層共通電極11及び画素電極櫛歯9aを覆うように第2絶縁膜10上に成膜された配向膜12と、を備えている。
【0036】
より具体的には、ガラス基板4上には、図1に示すように、それぞれ行方向(図1のX方向)に延在する複数本の共通電極配線6が所定間隔で形成されている。
【0037】
更に、ガラス基板4上には、それぞれ行方向に延在する複数本の走査信号線7が、各共通電極配線6に沿うように所定間隔で形成されている。
【0038】
第1絶縁膜5上には、それぞれ行方向に対して直交する列方向(図1のY方向)に延在する複数本のデータ線8が所定間隔で形成されている。
【0039】
なお、共通電極配線6、走査信号線7及びデータ線8は、例えば、金属膜からなる。
【0040】
液晶表示装置100においては、共通電極配線6、走査信号線7、データ線8、画素電極9、薄膜トランジスタ14及び表層共通電極11などにより画定されて、それぞれ表示エリア13を有する表示画素が構成され、この表示画素が行方向及び列方向にマトリクス状に配列されている。
【0041】
画素電極9は、櫛歯状の画素電極櫛歯9aと、蓄積容量形成部9bと、からなる。
【0042】
画素電極櫛歯9aは、図1に示すように、共通電極配線6と走査信号線7との間隔で、且つ、隣り合うデータ線8の間隔、すなわち、表示エリア13に位置する。
【0043】
画素電極櫛歯9aは、薄膜トランジスタ14がオンとなると、該薄膜トランジスタ14を介してデータ線8と電気的に接続され、データ線8から薄膜トランジスタ14を介して画素電極櫛歯9aに画素電位が印加される。
【0044】
蓄積容量形成部9bは、共通電極配線6上で、且つ、表層共通電極11の格子状部11a(後述)の下に位置し、行方向に延在している。
【0045】
この蓄積容量形成部9bは、表層共通電極11との間で容量を形成する。
【0046】
また、表層共通電極11には、図1及び図2に示すように、各表示エリア13と対応する位置に、開口11cが形成されている。すなわち、表層共通電極11には、開口11cが行方向及び列方向にマトリクス状に形成されている。
【0047】
このような表層共通電極11は、図1及び図2に示すように、格子状部11aと共通電極櫛歯11bとからなる。
【0048】
このうち格子状部11aは、データ線8及び共通電極配線6を覆い、各表示エリア13を囲むような、略格子状のパターン形状の部分である。
【0049】
この格子状部11aは、共通電位を各表示画素毎の共通電極櫛歯11bに供給する機能と、データ線8から液晶層3への電界漏れを防止する機能と、を有する。
【0050】
表層共通電極11の格子状部11aは、図示しないコンタクトホールを介して、共通電極配線6と相互に電気的に接続されている。
【0051】
また、共通電極櫛歯11bは、例えば、格子状部11aにおいて共通電極配線6を覆う部位から、表示エリア13側に櫛歯状に張り出した部分であり、各表示エリア13毎に形成されている。
【0052】
一方、カラーフィルター基板2は、平板なガラス基板20と、このガラス基板20上に形成されたブラックマトリクス層21と、このブラックマトリクス層21を覆うようにしてガラス基板20上に形成された色層22と、この色層22上に成膜された配向膜24と、を備えている。
【0053】
このうちブラックマトリクス層21は、TFT基板1のデータ線8、走査信号線7及び共通電極配線6と対向してこれらを覆うような略格子状の形状の平面形状に形成され、遮光機能を有する。なお、ブラックマトリクス層21に代えて、遮光機能を有するその他の遮光層を形成しても良い。
【0054】
色層22は、カラー表示を行うために各表示エリア13毎に設定された表示色(例えば、赤、青、緑のうちの何れか1色)と対応する色の塗料を含む。なお、色層22上には、該色層22を覆うオーバーコート(図示略)が更に形成されていても良い。
【0055】
表層共通電極11及び画素電極9は、金属などの不透明膜であっても、ITOなどの透明膜であっても良い。
【0056】
また、本実施形態に係る液晶表示装置100においては、図1、図3乃至図5に示すように、TFT基板1とカラーフィルター基板2との間隔には、これらTFT基板1とカラーフィルター基板2との間隔を所定間隔に維持させる複数の支柱状スペーサ(以下に説明する支柱状スペーサ51,52)が設けられている。
【0057】
本実施形態に係る液晶表示装置100の場合、支柱状スペーサとして、主として荷重を受ける本柱51と、この本柱51よりも径が小さい(従って、断面積が小さい)補助柱52と、の2種類のものを備えている。
【0058】
本柱51及び補助柱52は、1回のフォトリソグラフィ工程の選択的エッチングにより、TFT基板1上、又は、カラーフィルター基板2上に形成される。
【0059】
図3に示すように、本柱51と補助柱52は、互いに略等しい高さに形成される。
【0060】
ただし、補助柱52は、本柱51よりも径が小さいため、補助柱52の先端部は、フォトリソグラフィ工程における選択的エッチングにより、本柱51の先端部と比べると非常に細く形成されることとなる。
【0061】
なお、本柱51及び補助柱52の先端部の形状は、フォトリソグラフィ工程における選択的エッチング時及びセル工程における熱履歴に応じて異なる形状となる。
【0062】
本柱51と補助柱52は、TFT基板1上、又は、カラーフィルター基板2上において、同一の高さの面に形成される。具体的には、例えば、図1に示すように、カラーフィルター基板2の配向膜24上において、走査信号線7と対向する部位に、本柱51及び補助柱52を形成することが挙げられる。
【0063】
なお、図1では本柱51及び補助柱52を走査信号線7上に配置した例を示しているが、本柱51及び補助柱52は、表示エリア13外であり、且つ、同一の高さの面であれば、データ線8上、表層共通電極11上、或いは、薄膜トランジスタ14上など、どこに配置しても良い。
【0064】
また、本実施形態の場合、例えば、図1に示すように、1つの表示画素内には支柱状スペーサ(本柱51又は補助柱52)を1つのみ配置するとともに、図4に示すように、液晶表示装置100の表示領域(表示画素が配設された領域)60における本柱51と補助柱52との配置密度の比を1:7とした例を示している。
【0065】
更に、本実施形態の場合、例えば、図5に示すように、液晶表示装置100の表示領域60と、その外側の領域70とで、支柱状スペーサの配置(分布)が互いに同じである例を示している。
【0066】
本実施形態に係る液晶表示装置100を製造するには、TFT基板1とカラーフィルター基板2とをそれぞれ作成した後で、TFT基板1上、又は、カラーフィルター基板2上に、1回のフォトリソグラフィ工程による選択的エッチングによって、本柱51及び補助柱52を形成する。
【0067】
その後、TFT基板1とカラーフィルター基板2とを貼り合わせ、それらの周縁部において、シール材(後述する第4の実施形態参照)により相互に接着する。これにより、TFT基板1上又はカラーフィルター基板2上に形成された本柱51及び補助柱52の先端が、他方の基板に接する。その後、TFT基板1とカラーフィルター基板2との間に液晶層3を封入する。
【0068】
ここで、TFT基板1とカラーフィルター基板2とをシール材により相互に貼り合わせる(接着する)際には、TFT基板1とカラーフィルター基板2とを互いに重ね合わせ、互いの位置合わせをする。
【0069】
以上のような第1の実施形態によれば、支柱状スペーサには、径が大きく主として荷重を受ける本柱51と、この本柱51よりも径が小さい補助柱52と、が含まれているので、本柱51及び補助柱52の径と配置を適宜に調整することにより、各支柱状スペーサに掛かる圧力を調整することができる。
【0070】
補助柱52は先端形状が鋭角的であり、先端部の表面積は非常に小さくなる。そのため、補助柱52は、TFT基板1とカラーフィルター基板2とを重ね合わせて互いに位置合わせする工程において、水平方向(TFT基板1及びカラーフィルター基板2の板面方向)のズレ応力はほとんど受けないため、高い密度で配置しても、そのズレ応力に起因する不具合は大きくならない。そして、液晶表示パネル(TFT基板1とカラーフィルター基板2とを互いに貼り合わせたもの)の完成後に大きな応力がかかった場合、補助柱52は弾性変形することによりその先端部の表面積が増し、垂直応力(TFT基板1及びカラーフィルター基板2の板面方向に対して直交する方向の応力)の抗力を大きくする。また、補助柱52は高い密度で配置できるため、本柱51が可塑変形領域まで変形し不可逆変形することを抑える役割をする。
【0071】
更に、本柱51と補助柱52とは柱径が異なるだけであり、一回のフォトリソグラフィ技術による選択エッチングによって、全ての支柱状スペーサを形成することができ、しかも、台座を形成(図17の従来技術)する必要もないため、製造コストを低減することができる。
【0072】
加えて、台座上に選択的に特定の支柱状スペーサを配置(図17の従来技術)したり、或いは、基板上における層構造の厚さが異なる領域に選択的に特定の支柱状スペーサを配置(特許文献1の技術)したりする必要がないため、表示画素の設計上の自由度が向上する。
【0073】
<第1の実施形態の変形例>
図6及び図7は第1の実施形態の変形例の場合のTFT基板1上における支柱状スペーサの配置を示す平面図である。また、図8及び図9は第1の実施形態の変形例の場合の支柱状スペーサの平面的な配置(分布)を示す模式図である。なお、図8及び図9は液晶表示装置の表示領域(表示画素が配設された領域)60における支柱状スペーサの分布を示す。
【0074】
上記の第1の実施形態では、1つの表示画素内には支柱状スペーサ(本柱51又は補助柱52)を1つのみ配置した例(図1)を説明したが、支柱状スペーサの配置密度は、支柱状スペーサの耐荷重強度などの条件に応じて自由に変更することができ、1つの表示画素内に複数(例えば、2つ)の支柱状スペーサを配置しても良い。
【0075】
具体的には、例えば、図6及び図7に示すように、1つの表示画素内に本柱51と補助柱52とを1つずつ配置することが挙げられるが、1つの表示画素内に3つ以上の支柱状スペーサを配置しても良い。
【0076】
なお、図6には、上記の第1の実施形態と同様に、カラーフィルター基板2の配向膜24上において走査信号線7と対向する部位に支柱状スペーサを形成した例を示しているのに対し、図7には、カラーフィルター基板2の配向膜24上においてデータ線8と対向する部位に支柱状スペーサを形成した例を示している。表示画素内における支柱状スペーサの形成位置は、これらの例に限らず、表示エリア13を避けて、各支柱状スペーサを同一の高さの面に形成する限り、任意である。
【0077】
また、上記の第1の実施形態では、表示領域60における本柱51と補助柱52との配置密度の比を1:7とした例(図4)を説明したが、表示領域60における本柱51と補助柱52との配置密度の比についても適宜に変更して良い。
【0078】
具体的には、例えば、図8に示すように表示領域60における本柱51と補助柱52との配置密度の比を1:15としたり、図9に示すように表示領域60における本柱51と補助柱52との配置密度の比を1:1としたり、或いは、その他の任意の配置密度としても良い。
【0079】
〔第2の実施形態〕
図10及び図11は第2の実施形態に係る液晶表示装置における支柱状スペーサの平面的な配置(分布)を示す模式図である。なお、図10及び図11は液晶表示装置の周縁部における支柱状スペーサの分布を示す。
【0080】
上記の第1の実施形態では、表示領域60とその外側の領域70とで支柱状スペーサの配置が互いに同じである例(図5)を説明したが、第2の実施形態では、表示領域60における支柱状スペーサの配置密度よりも、表示領域60の外側の領域70における支柱状スペーサの配置密度を小さくする例を説明する。
【0081】
具体的には、例えば、図10に示すように、表示領域60には本柱51及び補助柱52を配置するのに対し、表示領域60の外側の領域70では補助柱52を配置せず本柱51のみ表示領域60におけるのと同様に配置することが挙げられる。
【0082】
或いは、図11に示すように、本柱51の配置は表示領域60とその外側の領域70とで同一とし、表示領域60における補助柱52の配置密度よりも、表示領域60の外側の領域70における補助柱52の配置密度を小さくしても良い。
【0083】
表示領域60の外側の領域70においては補助柱52を設置しない構造(図10)としたり、補助柱52の配置密度を小さくした構造(図12)としても良いのは、この領域70は表示領域ではなく、面内均一性が重要でないためである。
【0084】
以上のような第2の実施形態によれば、表示領域60の外側の領域70における支柱状スペーサの数を減らすことにより、ラビング工程での摩擦力を低減したり、配向異常が発生する可能性を低減させることができる。
【0085】
〔第3の実施形態〕
図12は第3の実施形態に係る液晶表示装置300の模式的な断面図、図13は第3の実施形態に係る液晶表示装置300における支柱状スペーサの平面的な配置(分布)を示す模式図である。
【0086】
上記の第1の実施形態では、補助柱の径が1種類である例を説明したが、第3の実施形態では、補助柱の径が複数種類である例を説明する。
【0087】
本実施形態に係る液晶表示装置300の場合、具体的には、例えば、図12及び図13に示すように、補助柱として、上記の第1の実施形態と同様の補助柱52と、この補助柱52よりは径が大きく本柱51よりは径が小さい補助柱53と、を備えている。
【0088】
なお、補助柱53の高さも、本柱51及び補助柱52と同一であり、これら本柱51,補助柱52,53は、互いに同一の高さの面に形成される。
【0089】
以上のような第3の実施形態によれば、複数種類の径の補助柱(例えば、補助柱52及び53の2種類の補助柱)を組み合わせて配置することにより、各支柱状スペーサ(本柱51,補助柱52,53)の変形特性を細かく調整することが可能となる。
【0090】
〔第4の実施形態〕
図14及び図15は第4の実施形態に係る液晶表示装置における支柱状スペーサの平面的な配置(分布)を示す模式図である。なお、図14及び図15は液晶表示装置の周縁部における支柱状スペーサの分布を示す。
【0091】
図14及び図15に示すように、液晶表示装置のTFT基板1とカラーフィルター基板2とは、それらの周縁部において、シール材80を介して相互に接着されているとともに、このシール材80により液晶材が液晶層3内に封じ込められている。
【0092】
第4の実施形態では、そのシール材80の配置領域を避けて支柱状スペーサを形成する。
【0093】
具体的には、例えば、図14に示すようにシール材80の配置領域の外側にも支柱状スペーサ(本柱51及び補助柱52)を配置しても良いし、或いは、例えば、図15に示すようにシール材80の配置領域の外側には支柱状スペーサを配置しないようにしても良い。
【0094】
以上のような第4の実施形態によれば、シール材80の配置領域には支柱状スペーサを形成しないので、例えば、シール材80内に、TFT基板1とカラーフィルター基板2との間隔を一定に保つスペーサ材(図示略)を混入させる場合などに、支柱状スペーサ(本柱51及び補助柱52)と、シール材80内のスペーサ材とが干渉してしまうことを回避できる。
【0095】
なお、上記の各実施形態で説明した技術思想は、任意の組み合わせとすることができる。
【0096】
すなわち、例えば、上記の第2の実施形態の場合にも、第3の実施形態のように、複数種類の断面積の補助柱52,53を形成しても良い。
【0097】
また、例えば、上記の第2及び第3の実施形態の場合にも、第4の実施形態のように、シール材80の配置領域を避けて支柱状スペーサ(本柱51,補助柱52,53)を配置することも好ましい。
【0098】
また、上記の各実施形態では、各支柱状スペーサ51,52,53が全て同じ高さである例を説明したが、断面積が小さい支柱状スペーサ(補助柱52,53)の径をさらに小さくすることにより、選択エッチングの際における先端面のエッチングがさらに進行しやすくなるため、補助柱52,53の高さを本柱51の高さよりも若干小さくすることも可能である。この場合、補助柱52,53は、液晶表示パネルの完成後に大きな応力がかかった場合にのみ、これら補助柱52,53が形成されている基板と対向する基板に接するようにできる。
【符号の説明】
【0099】
1 TFT基板(第1の基板)
2 カラーフィルター基板(第2の基板)
3 液晶層(液晶セルを備える)
51 本柱(支柱状スペーサ)
52 補助柱(支柱状スペーサ)
53 補助柱(支柱状スペーサ)
60 表示領域
70 表示領域の外側の領域
80 シール材
100 液晶表示装置
300 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板に対して対向して配置され、前記第1の基板とともに液晶を挟持する第2の基板と、
前記第1の基板又は前記第2の基板上に設けられ、前記第1の基板と前記第2の基板とを所定間隔に保持する支柱状スペーサと、
前記第2の基板上に形成された複数の映像信号線と複数の走査信号線と、
前記映像信号線と前記走査信号線とで区切られた複数の画素と、
を備えている液晶表示装置であって、
前記支柱状スペーサは、本柱と、前記本柱よりも断面積が小さい補助柱と、を有し、
前記支柱状スペーサの前記本柱と前記補助柱は、前記画素の、少なくとも前記映像信号線上又は前記走査信号線上に配置されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記補助柱には、複数種類の断面積の柱が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記支柱状スペーサは、その全てが略同一の高さで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−109380(P2013−109380A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−50598(P2013−50598)
【出願日】平成25年3月13日(2013.3.13)
【分割の表示】特願2007−280675(P2007−280675)の分割
【原出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】