説明

液晶表示装置

【課題】動画特性,色再現性,信頼性を同時に達成できる動画対応液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】発光色が青色系である青色蛍光体と、緑色系である緑色蛍光体と、赤色系である赤色蛍光体を備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有する白色光源と、白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とから構成される液晶表示装置において、青色蛍光体,緑色蛍光体,赤色蛍光体のうち少なくとも一つは、母体材料組成が異なる少なくとも2種以上の蛍光体を混合して形成される混合蛍光体を用い、同色の蛍光体混合には発光中心が同一の元素を有する蛍光体を利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合蛍光体を備えた白色光源と、それを用いた液晶表示装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、図2に示すようにバックライトユニット1と液晶素子2とから構成される。さらにバックライトユニットは、白色光源(図2では冷陰極管5),白色光源を駆動するインバータ9,反射板4,金属筐体3,拡散板6,プリズムシート7(7A,7B),偏光反射板8から構成される。
【0003】
液晶表示装置における白色光源としては、一般に三波長の冷陰極管5(CCFL:Cold
Cathode Fluorescent Lamp)が利用される。CCFLの構造は図3(a)に示す通りである。図ではCCFLの長軸方向に平行な面での断面図を示している。図に示すように、
CCFLは、ガラス管11内に水銀ガス,希ガスが封入され、管内壁に蛍光体12を、管両端に電極13を備えている。蛍光体は、発光色が青色系(主発光ピーク波長が400から500nm程度)である青色蛍光体と、緑色系(主発光ピーク波長が500から600nm程度)である緑色蛍光体と、赤色系(主発光ピーク波長が600から650nm程度)である赤色蛍光体の粉末を混合したものである。蛍光体は各色1種類ずつ利用する。一般には、青色蛍光体BaMgAl1017:Eu ,緑色蛍光体LaPO4:Tb,赤色蛍光体Y23:Euが利用されている。なお、ここで、蛍光体材料の通例表記として、「:」より前方は母体材料組成を示し、母体材料の一部の原子を「:」後方に示す発光中心で置換していることを意味する。例えば、緑色蛍光体ではLaPO4 が母体材料であり、ランタンLaの一部を発光中心テルビウムTbで置換している。CCFLの点灯は電極13に高電圧を印加することにより行う。電圧印加により管内部では水銀原子の励起による紫外光を発光する。そして、この紫外光により蛍光体が励起され可視光を放射する。ここで放射された可視光は、CCFL直上に設けられた拡散板,プリズムシート,偏光反射板を透過して液晶素子に入射する。また、CCFLからの光をできるだけ液晶素子側へ導光するために反射板を配置している。
【0004】
一方、液晶素子は図4に示す断面構造を有する。すなわち一対の偏光板17と基板16(例えばガラス)が配置され、基板間に液晶21と、カラーフィルタ22が挟持された構造である。液晶は、配向膜20により一様な配向をしており、画素毎に形成された複数の電極18からなる電極群に電圧が印加されることにより駆動される。そして、液晶に電圧が印加されると、液晶分子が回転し、その屈折率が変化することで、バックライトユニットからの光の透過量を調整する。また、カラーフィルタはバックライトユニットからの白色光Wを画素毎に青色光B,緑色光G,赤色光Rに分光し、いずれかの光を透過する。液晶表示装置は、このように、バックライトユニット(または白色光源)からの光を画素毎に透過量調整し、分光することによりカラー表示を行う。
【0005】
近年、このような液晶表示装置は、静止画像だけでなく、例えば液晶テレビのような動画像を表示する装置として開発が進んでいる。このような開発の中で、動画像を表示した場合に、表示画像がぼやけるという画質劣化(「動画ぼやけ」と称する)が指摘された。この動画ぼやけは液晶表示装置がホールド型表示であることに起因し、これを改善する手段としてブリンクバックライト方式が、例えば下記非特許文献1で提案されている。
【0006】
ブリンクバックライト方式は、図5に示すように、光源を1フレーム(一般の液晶表示装置では60Hz)内で点灯状態と消灯状態を繰り返す方式である。通常、この点灯状態と消灯状態はインバータ内に組み込まれた回路からのタイミング信号Vsig により制御される(図5(a))。そして、理想的な光源では、このタイミング信号Vsig の変化に追随した輝度変化となる(図5(b))。しかしながら、実際のCCFLでは、タイミング信号Vsig に十分に追随せず、遅延を生じる(図5(c))。本方式は今後の動画性能向上技術として大きく期待されている技術であるが、現行のCCFLの応答特性をさらに改善できれば、液晶表示装置の動画性能をさらに向上することが可能である。
【0007】
CCFLの遅延を引き起こす要因として、CCFLに電力を供給するインバータ回路の遅延,CCFL内部で発生する紫外光の応答,蛍光体の応答などが考えられるが、最も律速となっているのは緑蛍光体の輝度応答である。表1に現行のCCFLで利用している蛍光体材料の応答特性評価結果をまとめた。ここで輝度応答時間は、各蛍光体材料において、最大輝度を100%とし、その90%変化率の時間として定義した。すなわち、90%輝度立ち上り時間τonは輝度0%から90%まで立ち上がるのに要する時間であり、10%輝度立ち下り時間τoff は輝度100%から10%まで立ち下がるのに要する時間である。この結果からわかるように、緑蛍光体LaPO4 :Tb,Ceの応答が青色蛍光体や赤色蛍光体に比べて特に遅い。そして、例えばCCFLを1フレーム(60Hz=16.7
msec) の半分(Duty 50%)の時間で点灯した場合、タイミング信号に追随できない。
CCFLの輝度が完全に立ち上がる(輝度100%に達する)前に消灯状態(Vsig =0)となり、立ち下がる(輝度0%に達する)前に点灯状態(Vsig =V)となる。従って、今後のさらなる動画質改善には、CCFLの高速応答化、すなわち、緑蛍光体の高速応答化が必須である。さらには、赤蛍光体の高速応答化も望まれている。
【0008】
【表1】

【0009】
最近、これを解決できる高速応答可能な緑蛍光体材料として、SrAl24:Euが注目され、例えば下記特許文献1乃至6にその利用が提案されている。
【0010】
これらの文献の中では、SrAl24:Eu単独での利用、あるいは現行の緑蛍光体材料LaPO4 :Tb,Ceと混合して利用することにより、CCFLの高速応答化を図っている。実際、この蛍光体材料の応答特性を評価すると、τon,τoffともに0.1msec未満であり、非常に速い輝度応答特性が得られる。
【0011】
【非特許文献1】「ホールド型ディスプレイにおける動画表示の画質」電子情報通信学会技報、EID99−10,p55
【0012】
【特許文献1】特開平8−190894号公報
【特許文献2】特開平10−49073号公報
【特許文献3】特開平11−109893号公報
【特許文献4】特開2002−313282号公報
【特許文献5】特開2001−351578号公報
【特許文献6】特開2002−105447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、このSrAl24:EuのCCFLへの適用に際しては以下に示す二つの大きな課題を生じ、実用化が困難であることが本発明者による検討の結果わかった。
【0014】
第1の課題は色再現性の低下である。これは主に青色純度の低下である。第2の課題は信頼性(輝度劣化)の問題である。
【0015】
第1の課題である色再現性の低下について図6を用いて説明する。図6(a)には
LaPO4:Tb,CeとSrAl24:Eu の発光スペクトルとカラーフィルタの分光(B_CF,G_CF,R_CF)特性を示した。これからわかるようにSrAl24:Euの発光スペクトルは、波長が520nm近傍を最大として、半値幅80nm程度と非常にブロードな形状である。このとき、青色カラーフィルタの分光特性がシャープでないために、SrAl24:Euの主たる発光波長領域の光が青色画素を透過できることになり、現行のLaPO4 :Tb,Ceに比べ青色の色純度が大きく低下する。実際、緑蛍光体としてLaPO4 :Tb,Ceを用いた液晶表示装置と、SrAl24:Euを用いた液晶表示装置の色再現範囲を図6(b)に示す。SrAl24:Euを用いることにより、青色色度点のv′が大きくなり、NTSCで規定されている青色色度点より緑色側へずれているのがわかる。人間の視角感度はΔ(u,v) =0.2以上の変化は認識できるとされており、この青色色度の変化は大きな問題である。また、特開2002−3132828に提案されているLaPO4:Tb,CeとSrAl24 :Euの混合物を利用した場合を考えれば、SrAl24:Euの混合比率を高めることで、青色の色純度が低下していくことは容易に考えられる。このような色純度低下の解決策として、カラーフィルタの分光特性をシャープ(急峻)にすることが考えられる。しかし、カラーフィルタは耐光性と透過特性の両立から、染料と顔料を混合することにより形成されるため、分光特性は必ずブロードな形状となる。従って、このような色純度の低下を抑制するためには緑蛍光体の発光スペクトルで調整することが望ましい。
【0016】
第2の課題は、SrAl24:Euの信頼性の問題である。本材料は水がある環境雰囲気、あるいは湿度の高い環境雰囲気において、100℃程度の熱が加わると母体の結晶構造が変化し、輝度が大きく低下する。すなわち、CCFL製造プロセスにより、初期の粉末状態に比べ輝度が大きく劣化する。さらに、本材料は水銀を吸着しやすいという特性もあり、CCFL管内に封入された水銀ガスを吸着して、紫外発光効率を大きく低下させる。このように化学的に不安定な材料では、液晶表示装置の信頼性を確保することができない。
【0017】
今後の液晶TVではバックライト技術としてブリンク方式が期待されているが、現行の緑蛍光体材料LaPO4:Tb,Ceでは応答特性に課題を有し、また、SrAl24:Euでは、色再現性や信頼性に大きな課題を生じる。すなわち、従来技術においては、動画特性(特にCCFL応答特性),色再現性,信頼性の3点を同時に満たす液晶表示装置を得ることは不可能である。
【0018】
以上、本発明では、動画特性,色再現性,信頼性を同時に達成できる動画対応液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明では、液晶テレビのような動画像を表示する液晶表示装置において、動画ぼやけを生じない液晶表示装置を提供することにある。特に、動画対応液晶表示装置の白色光源に利用する緑蛍光体の応答を改善し、高速応答化,色再現性,信頼性の3点を同時に達成するために、本発明では以下の手段を用いる。また、本発明では赤蛍光体の応答を以下の手段で改善し、高速応答化,色再現性,信頼性の3点を同時に達成する。
【0020】
まず第一の手段として、発光色が青色系である青色蛍光体と、緑色系である緑色蛍光体と、赤色系である赤色蛍光体を備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有する白色光源と、白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とを有して構成される液晶表示装置であって、青色蛍光体,緑色蛍光体,赤色蛍光体のうち少なくとも一つは、母体材料組成が異なる少なくとも2種以上の蛍光体を混合して形成される混合蛍光体であり、混合に用いる蛍光体の発光中心が同一の元素である構成とする。
【0021】
また、上記第一の手段に加え、緑色蛍光体が混合緑蛍光体であり、混合に用いる蛍光体の発光中心がテルビウム(Tb)である構成でもよい。
【0022】
さらには、緑色蛍光体は、材料組成の異なる少なくとも2種以上の蛍光体を混合して形成される混合緑蛍光体であり、混合に用いる蛍光体のピーク波長は545±15nmの波長領域にあることを特徴とする構成でもよい。
【0023】
一方、赤色蛍光体のうち少なくとも一つは、母体材料組成が異なる少なくとも2種以上の蛍光体を混合して形成される混合赤蛍光体であり、混合に用いる蛍光体の発光中心がユーロピウム(Eu)である構成とする。
【0024】
また次の構成でもよい。赤色蛍光体は、材料組成の異なる少なくとも2種以上の蛍光体を混合して形成される混合赤蛍光体であり、混合に用いる蛍光体のピーク波長は615±15nmの波長領域にあることを特徴とする構成でもよい。
【0025】
さらに青色蛍光体については、次の構成がよい。
【0026】
青色蛍光体は、材料組成の異なる少なくとも2種以上の蛍光体を混合して形成される混合青蛍光体であり、混合に用いる蛍光体のピーク波長は450±15nmの波長領域にあることを特徴とする構成がよい。
【0027】
さらに以上で述べた基本的な構成に加え、青色蛍光体,緑色蛍光体,赤色蛍光体は、それぞれ応答時間が次の範囲であることが望ましい。
【0028】
消灯状態から点灯状態への90%輝度立ち上がり時間と、点灯状態から消灯状態への
10%輝度立ち下り時間の和が、1フレーム以内の時間である。
【0029】
消灯状態から点灯状態への90%輝度立ち上がり時間と、点灯状態から消灯状態への
10%輝度立ち下り時間が、それぞれ1/2フレーム以内の時間である。
【0030】
消灯状態から点灯状態への90%輝度立ち上がり時間と、点灯状態から消灯状態への
10%輝度立ち下り時間が、それぞれ4msec以下である。
【0031】
さらには、消灯状態から点灯状態への90%輝度立ち上がり時間と、点灯状態から消灯状態への10%輝度立ち下り時間が、それぞれ3msec以下であることが望ましい。
【0032】
また、本構成で用いる緑蛍光体材料の母体材料としては、次のような組成を有する蛍光体材料が望ましい。
【0033】
混合緑蛍光体を形成する緑蛍光体の少なくとも1種は、母体材料が珪素Siと酸素Oを含むケイ酸塩であることが望ましい。さらには、化学式LnxSiyz(Ln=La,Y,Gd,Ga)で表されるケイ酸塩であることが望ましい。具体的には、化学式Ln2SiO5またはLn2Si27(Ln=La,Y,Gd) で表される蛍光体材料が望ましい。
【0034】
また、化学式(Ln(I)aLn(II)1-a)xSiyz(Ln(I),Ln(II)=La,Y,Gd,Ga)で表される蛍光体材料でもよく、さらには、化学式
(Ln(I)aLn(II)1-a)2SiO5または(Ln(I)aLn(II)1-a)2Si27(Ln(I),
Ln(II)=La,Y,Gd,Ga) で表される蛍光体材料が望ましい。具体的には、化学式Y2SiO5,(Y,Gd)2SiO5,(Y,La)2SiO5,LaSiO5,Y2Si27のいずれかである母体材料を有する蛍光体材料が望ましい。
【0035】
また次のような蛍光体材料でもよい。
【0036】
混合緑色蛍光体を形成する緑蛍光体の少なくとも1種は、母体材料がハロゲンX(X=F,Cl,Br)と酸素Oを含むハライド化合物であることが望ましい。さらには、化学式LnOX(Ln=La,Y,Gd,Ga)(X=F,Cl,Br)で表されるハライド化合物であることが望ましい。具体的には、化学式LaOClで表される母体材料を有する蛍光体材料が望ましい。
【0037】
さらには、次のような蛍光体材料でもよい。
【0038】
混合緑蛍光体を形成する緑蛍光体の少なくとも1種は、母体材料が化学式Ln23
(Ln=La,Y,Gd)で表される酸化物であることが望ましい。具体的には化学式
23で表される母体材料を有する蛍光体材料が望ましい。
【0039】
混合緑蛍光体を形成する緑蛍光体の少なくとも1種は、母体材料がアルミニウムAlと酸素Oを含むアルミン酸塩であることが望ましい。さらには、化学式LnxAlyz
(Ln=La,Y,Gd,Ga)で表されるアルミン酸塩であることが望ましい。そして、化学式Ln3Al512(Ln=La,Y,Gd,Ga)で表される蛍光体材料が望ましい。具体的には、化学式Y3Al512,Y3(Al,Ga)512,Gd3(Al,Ga)512,(Y,Gd)3(Al,Ga)512のいずれかである母体材料を有する蛍光体材料が望ましい。
【0040】
また、混合蛍光体を形成する緑蛍光体として、輝度を補償する点から次のような母体材料を有する蛍光体が望ましい。
【0041】
混合緑蛍光体を形成する緑蛍光体の少なくとも1種は、発光中心がテルビウムTbであり、母体材料組成がLaPO4 である蛍光体材料が望ましい。また、緑蛍光体の少なくとも1種は、発光中心がテルビウムTbであり、母体材料組成がCeMgAl1119である蛍光体材料が望ましい。
【0042】
さらに、先に述べた各緑蛍光体において、増感剤としてセリウムCeを含んでいることが望ましい。
【0043】
一方、本構成で用いる赤蛍光体材料の母体材料としては、次のような組成を有する蛍光体材料が望ましい。
【0044】
混合赤蛍光体を形成する蛍光体の少なくとも1種は、母体材料がリンPとバナジウムVと酸素Oを含むリン・バナジン酸塩であることが望ましい。具体的には化学式
xGdy(Pz1-z)O4で表される母体材料を有する蛍光体が望ましい。また、輝度を補償する点から、混合赤蛍光体を形成する蛍光体の少なくとも1種は、発光中心がユーロピウムEuであり、母体材料組成がY23である蛍光体が望ましい。
【0045】
本発明を実施するためのもう一つの構成として、以下のように、混合緑蛍光体を用いずに、単一の緑蛍光体を用いる構成でもよい。
【0046】
発光色が青色系である青色蛍光体と、緑色系である緑色蛍光体と、赤色系である赤色蛍光体を備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有する白色光源と、白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とから構成される液晶表示装置において、緑色蛍光体は、発光中心がテルビウムTbであり、母体材料組成がY2SiO5,(Y,Gd)2SiO5
(Y,La)2SiO5,La2SiO5のいずれか1種類で形成されている。
【0047】
発光色が青色系である青色蛍光体と、緑色系である緑色蛍光体と、赤色系である赤色蛍光体を備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有する白色光源と、白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とから構成される液晶表示装置において、緑色蛍光体は、発光中心がテルビウムTbであり、母体材料組成がY3(Al,Ga)512の1種類で形成されている。
【0048】
発光色が青色系である青色蛍光体と、緑色系である緑色蛍光体と、赤色系である赤色蛍光体を備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有する白色光源と、白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とから構成される液晶表示装置において、緑色蛍光体は、発光中心がテルビウムTbであり、母体材料組成がLaOClの1種類で形成されている。
【0049】
そして、先に述べた緑色蛍光体は、増感剤としてセリウムCeを含んでいることが望ましい。
【0050】
一方、光源としては以下の構成であることが望ましい。
【0051】
白色光源は、冷陰極管,熱陰極管、さらには紫外線を放射するLED(Light EmittingDiode)と蛍光体を組み合わせた白色LEDであることが望ましい。
【0052】
なお、本発明は、上記構成及び後述する実施形態で説明する構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【発明の効果】
【0053】
以上の手段により本発明では動画特性,色再現性,信頼性を同時に達成できる動画対応液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
本発明の実施の形態につき、添付の図面を参照にして詳細に説明する。
【0055】
まずここで、液晶表示装置は以下の構成とする。
【0056】
発光色が青色系(主発光ピーク波長400から500nm程度)である青色蛍光体と、緑色系(主発光ピーク波長500から600nm程度)である緑色蛍光体と、赤色系(主発光ピーク波長600から650nm程度)である赤色蛍光体を備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有するブリンクバックライト方式の白色光源と、その白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とから構成される液晶表示装置において、青色蛍光体,緑色蛍光体,赤色蛍光体のうち少なくとも一つは、母体材料組成が異なる少なくとも2種以上の蛍光体を混合して形成される混合蛍光体であり、このとき各色の蛍光体においては、発光中心が同一の元素である蛍光体だけで混合する。
【0057】
具体的には、緑色蛍光体は、母体材料組成が異なる少なくとも2種以上の蛍光体を混合して形成される混合緑蛍光体であり、混合には、すべて発光中心がテルビウムTbである蛍光体を用いる。一方、赤色蛍光体は、母体材料組成が異なる少なくとも2種以上の蛍光体を混合して形成される混合赤蛍光体であり、混合にはすべての発光中心がユーロピウムEuである蛍光体を用いる。
【0058】
一方、発光中心が同一でない緑色の蛍光体を混合する場合には、各蛍光体の発光ピーク波長は545±15nmの波長領域にある蛍光体だけで混合する。また、赤色の蛍光体を混合する場合には、各蛍光体の発光ピーク波長は615±15nmの波長領域にある蛍光体だけで混合する。さらに、青色の蛍光体を混合する場合には、各蛍光体の発光ピーク波長は450±15nmの波長領域にある蛍光体だけで混合する。
【0059】
理想的には、各色につき1種の蛍光体材料を用いればよい。しかし、蛍光体材料に要求される特性は、高輝度,高速応答,高信頼性,高色再現性など多岐に渡り、1種の蛍光体材料だけで全ての特性を満足することは困難な場合がある。特に緑色蛍光体については、先に述べたように従来技術においては、高速応答,高信頼性,高色再現性を同時に満足することはできない。そこで、本発明では、母体材料組成の異なる少なくとも2種以上の緑蛍光体を混合し、混合緑蛍光体として、すべての要求特性を満足させる。さらには、母体材料組成の異なる少なくとも2種以上の赤蛍光体を混合し、混合赤蛍光体として、すべての要求特性を満足させる。
【0060】
そして、各色における蛍光体の混合する条件として、先に述べた、(1)発光中心が同一であること、(2)発光ピーク波長が規定の波長領域にあることが重要となる。これらの混合条件の少なくとも一方を満足することにより、液晶表示装置の色再現範囲を確保できる。特に緑蛍光体については、以下の理由のために色再現範囲を狭めることなく、高速応答,高信頼性の要求特性を満足できる。
【0061】
緑蛍光体の混合は、発光中心がテルビウムTbである緑蛍光体だけで混合する。本発明の第一のポイントはこの点にある。一般に蛍光体の発光色、すなわち発光スペクトルは発光中心に大きく左右され、緑色系の発光としては、Tb,Eu(2価),Ceなどが発光中心として考えられる。この中で、Tbを発光中心とする蛍光体材料は母体材料の組成にほとんど影響されることなく、545nm近傍に主ピーク(エネルギー遷移5475)をもち、その両サイド490nm近傍(5476),590nm近傍(5474),625nm近傍(5473)にサブピークを有するスペクトル形状となる。従って、
Tbを発光中心とする緑蛍光体材料を2種以上混合してもほとんど色は変化しない。すなわち、1976CIE色度座標におけるu′,v′値はほとんど変わらない。また、発光中心がTbである蛍光体において、母体材料の違いにより応答特性は大きく異なり、材料をうまく選択することにより、色変化(特に青色純度の低下)なく高速応答化を実現することが可能である。Tbを発光中心とする高速緑蛍光体材料については、本発明者の応答特性評価により数種類の蛍光体を見出した。これらは従来品であるLaPO4 :Tb,
Ceに比べ応答特性が良い。材料の詳細については後述する。
【0062】
本発明では、発光中心がTbの蛍光体だけで混合緑蛍光体を形成し、色変化、特に青色純度の低下を生じることなく、応答特性を改善する。応答特性は母体材料組成を変化させた蛍光体材料を混合することで実現する。
【0063】
次にこれら混合緑蛍光体の応答特性について考える。先に述べたように動画対応液晶表示装置では、今後ブリンクバックライト方式が大きく期待され、白色光源の高速応答化が必須である。従って、一つの画像を書き込む1フレーム内で点灯と消灯を繰り返すためには、混合緑蛍光体の輝度応答立ち上り時間と立ち下り時間の和が少なくとも1フレーム内で完結する必要がある。現行の液晶表示装置では1フレームは60Hz(=16.7msec) である。1フレーム以上の時間を要する場合には理想的な点滅ができず、ブリンクバックライト方式を導入しても動画性能は期待される以上に向上しない。なおここで輝度応答時間は、各蛍光体材料において、最大輝度を100%とし、その90%変化率の時間として定義した。すなわち、90%輝度立ち上り時間τonは輝度0%から90%まで立ち上がるのに要する時間であり、10%輝度立ち下り時間τoff は輝度100%から10%まで立ち下がるのに要する時間である。
【0064】
さらに、蛍光体材料の輝度立ち上り時間と輝度立ち下り時間がほぼ等しいことを考えると、輝度立ち上り時間と輝度立ち下り時間は、それぞれ1フレームの半分の時間であることが望ましい。また、液晶表示装置における動画評価の結果より、現在の60Hz表示では、その1/4の時間だけ点灯した場合(Duty25%)には、動画質の劣化は人間の視覚で検知できないと報告されている。このことから、輝度立ち上り及び輝度立ち下り時間はそれぞれ4msec以下であることが望ましい。さらに、人間の視神経のパルスは、1秒間に300回出力されることを考えると、輝度立ち上り時間と立ち下り時間がそれぞれ3msec以下であることが望ましい。
【0065】
次に以上のような時間制限を満足する高速応答緑蛍光体について述べる。先に述べたように本発明者は、発光中心にTbを有する緑蛍光体に着目し、母体材料の異なる種々の緑蛍光体について、応答特性を評価した。その結果、以下に述べる母体材料組成を有する蛍光体において、高速応答化が実現できることを見出した。母体材料の組成で分類すると、ケイ酸塩,アルミン酸塩,ハライド化合物,酸化物を母体材料とする蛍光体である。表2にその代表的な蛍光体とそれぞれの応答特性をまとめた。本発明の第2のポイントは、以下に示すTbを発光中心とする高速応答可能な緑蛍光体を利用することにある。
【0066】
ケイ酸塩は、組成として珪素Siや酸素Oを含む化合物である。そして、それらケイ酸塩の中でも、特に化学式Ln2SiO5 またはLn2Si27(Ln=La,Y,Gd)で表されるものが望ましい。また、2種類のLnを用いた(Ln(I)aLn(II)1-a)2SiO5または(Ln(I)aLn(II)1-a)2Si27でもよい。具体的には、Y2SiO5
(Y,Gd)2SiO5,(Y,La)2SiO5,La2SiO5,Y2Si27を母体材料とする発光中心Tbの蛍光体材料がよい。
【0067】
なお、ここで示す組成は基本組成であり、組成比率は±5%を許容範囲として、同じ組成物として考えてよい。例えば、Y2Si0.955及びY2Si1.055はY2SiO5と考えてよい。また、ここで示す組成は、微量の不純物を考慮した記述ではない。一般に蛍光体を合成する時にフラックス(融材)を利用し、合成後の蛍光体にはその光学特性には無関係な不純物として、微量なフラックス構成元素が存在する。しかし、本明細での記述はこれら不純物を考慮した記述ではない。例えばY2SiO5蛍光体には、不純物陽イオンとして微量のLi,Sc,Baなどが微量に存在する場合がある。このような場合でも、本明細ではY2SiO5と記述している。
【0068】
アルミン酸塩は、組成としてアルミニウムAlと酸素Oを含む化合物である。そして、それらアルミン酸塩の中でも、特に化学式Ln3Al512(Ln=La,Y,Gd,Ga)で表されるものが望ましい。具体的には、Y3Al512,Y3(Al,Ga)512
Gd3(Al,Ga)512,(Y,Gd)3(Al,Ga)512を母体材料とする発光中心Tbの蛍光体材料がよい。なお、組成比の記述については先に述べた通りである。
【0069】
さらに、ハロゲンX(X=F,Cl,Br)と酸素Oを含むハライド化合物LnOX
(Ln=La,Y,Gd,Ga)や、Ln23(Ln=La,Y,Gd)で表される酸化物でも応答速度の速い蛍光体材料を得ることができる。特に、LaOClやY23を母体材料とする発光中心Tbの蛍光体材料では、表2に示すようにτon,τoff ともに2msec以下の値が得られている。
【0070】
ただし、これら蛍光体において、高速応答が実現できる理由の詳細は今のところ不明であるが、母体材料の結晶構造の対称性、あるいは母体結晶構造中でのTb原子の位置対称性が起因していると考えられる。
【0071】
【表2】

【0072】
表2に示した各蛍光体材料の発光スペクトルを図7から図10に示した。これらからわかるように、母体材料を変化させても現行のLaPO4 :Tb,Ceとほとんど発光スペクトル形状が変化しないことがわかる。このことは、液晶表示装置として考えた場合に、色度変化がほとんどないことを意味する。特に青色純度の低下を生じないことになる。
【0073】
さらに、緑蛍光体混合の場合には先に述べたように応答特性だけでなく輝度も重要な特性の一つである。現行ではLaPO4 :Tb,Ceが利用されているが、これは輝度が非常に高いためである。そこで、本発明においても輝度特性を考慮して、混合緑蛍光体を形成する緑蛍光体の少なくとも1種はLaPO4 を母体材料とする蛍光体を混合する。また、CeMgAl1119:Tbも応答特性はそれほどよくはないが、非常に輝度の高い蛍光体材料であり、これを用いてもよい。さらに、Tbを発光中心とする蛍光体を紫外線励起で発光させる場合には、Ceを増感剤として含有させることで輝度を向上できる。これは、Ceを導入することで、CeからTbへのエネルギー伝達を生じ、励起スペクトルが長波長側まで広がるためである。従って、先に述べたケイ酸塩,ハライド化合物,酸化物,アルミン酸塩などを母体材料とするTb蛍光体においても、Ceを含有させることで輝度は向上する。なお、Ceを増感剤として添加することにより、応答特性が悪くなることはない。
【0074】
さらに、これらの蛍光体は化学的にも非常に安定であり、プロセスによる輝度劣化の心配はない。従って、これらの蛍光体を利用することにより、高速応答,色再現性,信頼性の3点を同時に達成することが可能となる。
【0075】
以上、各種同色蛍光体を混合することにより応答特性など諸特性を満足させる手段について述べたが、コストやプロセス簡略化の観点から考えれば、1種の緑蛍光体だけで構成するという要求が生じる。蛍光体の輝度はTb濃度に大きく依存し、その最適化によって輝度向上は可能である。特にY2SiO5,(Y,Gd)2SiO5,(Y,La)2SiO5
LaSiO5,Y3(Al,Ga)512,LaOCl ではTb濃度の最適化と増感剤であるCeの添加により現行品と同程度の輝度を得ることが可能である。この場合には、混合緑蛍光体ではなく、単一で利用することも可能である。
【0076】
すなわち、発光色が青色系である青色蛍光体と、緑色系である緑色蛍光体と、赤色系である赤色蛍光体を備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有する白色光源と、その白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とから構成される液晶表示装置において、緑色蛍光体は、発光中心がテルビウムTbであり、母体材料組成がY2SiO5
(Y,Gd)2SiO5,(Y,La)2SiO5,La2SiO5のいずれか1種類で形成されていることが望ましい。また、母体材料組成がY3(Al,Ga)512で形成されている液晶表示装置でもよい。さらには、母体材料組成がLaOClで形成されている液晶表示装置でもよい。以上の構成を有する液晶表示装置により、高速応答、色再現性、信頼性の3点を同時に達成できる。
【0077】
次に白色光源の型式について述べる。通常これら蛍光体を利用する液晶表示装置の白色光源としては、図3(a)に示す冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp) を利用している。しかし、今後の液晶テレビの大型化を考えれば、管径の大きな熱陰極管(HCFL:Hot Cathode Fluorescent Lamp)を用いてもよい。HCFLは図3(b)に示すように、CCFLと比較して、管両端にフィラメント14を有する点が特徴である。このフィラメントを利用することで、CCFLのような小型化はできない。しかし、CCFLに比較して発光効率が高いために液晶テレビのような高輝度化を要求される液晶表示装置には有利である。さらに、図3(c)に示すような紫外光を放射するLED(Light
Emitting Diode)と組み合わせた白色LEDを白色光源として利用してもよい。
【0078】
以下、詳細な実施例について説明する。なお、従来から緑蛍光体として利用されているLaPO4:Tb,Ce を用いて作製した液晶表示装置について比較例1で述べる。また、すでに公開されているLaPO4:Tb,CeとSrAl24:Eu の混合緑蛍光体を用いた液晶表示装置について比較例2で述べる。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0079】
(実施例1)
本実施例における液晶表示装置は、従来と同じ構造であり、その概略は図2に示す通りである。従来と異なるのは、CCFLに用いる緑蛍光体材料が異なる点である。本実施例では、緑蛍光体材料として、混合緑蛍光体を利用し、具体的には、LaPO4 :Tb,
CeとY2SiO5:Tb,Ceを用いる。以下、これら蛍光体を用いたCCFLの作製と、このCCFLを用いた液晶表示装置の作製について述べる。
【0080】
CCFLの作製手順の概略は図11に示す通りである。また、作製後のCCFLの構造は図3(a)に示す。まず、ビークルと呼ばれる有機溶剤にアルミナなどの結着材、各種蛍光体材料を混合する。本実施例では、青色蛍光体と赤色蛍光体にはそれぞれ従来から使用されているBaMgAl1017:EuとY23:Euを用いる。また、緑蛍光体には先に述べたようにLaPO4:Tb,CeとY2SiO5:Tb,Ce の混合緑蛍光体を用いる。なお、2種の緑蛍光体は、モル比LaPO4:Tb,Ce/Y2SiO5 :Tb,Ce=0.2/0.8の割合で混合する。なお、これら混合緑蛍光体の発光スペクトルを図1
(a)に示す。スペクトル形状は従来から利用されているLaPO4 :Tb,Ceとほぼ同様の形状を有する。また、応答特性はτon=2.9msec,τoff=3.6msec であり、従来のLaPO4:Tb,Ceに比べおよそ6割に短縮される。
【0081】
これらを混合したサスペンジョンに、すでに洗浄したガラス管の片側を浸し、毛細管現象によりガラス管内壁に蛍光体を塗布する。ガラス管の材質はコパールガラスであり、管径は3mmとする。次にこれらガラス管をベーキング(焼成)することにより、蛍光体を管内壁に固着させる。その後、電極を取り付け、ガラス管の片側を封止する。封止した側の逆側からアルゴンArやネオンNeなどの希ガスを注入し、排気することでガス圧を調整する。さらに水銀を注入後、ガラス管をシールする。このガラス管を一定時間点灯させてエージング処理を行う。
【0082】
このようにして完成したCCFLを図2に示す金属筐体3に配置する。液晶テレビのような高輝度を要求される液晶表示装置では、CCFL複数本を平面的に並べて配置する直下方式が採用される。金属筐体3とCCFL5との間には、CCFLから筐体側に出射した光を効率よく利用するための反射板4を配置する。また、液晶表示装置の輝度面内分布を小さくするために、CCFLの直上に拡散板6を配置する。さらに、輝度を向上させるためにプリズムシート7や偏光反射板8を配置する。CCFLにはインバータ9が接続され、CCFLの点灯制御はインバータの駆動によって行われる。なお、これらをまとめてバックライトユニットと称する。
【0083】
バックライトユニット1の直上には、バックライト(白色光源CCFL)からの光の透過量を調整し、画素毎に赤色,緑色,青色に光を分光するカラーフィルタを有する液晶素子2を配置する。液晶素子の断面の概略図を図4に示す。基板16には、通常厚みが0.5
mmのガラス基板を利用する。一方の基板16A上には、画素毎に電極18を形成し、また、これら電極に電圧を供給する薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)19を形成する。そして、他方の基板16Bには、画素毎にカラーフィルタ22を形成する。このような一対の基板の内側の表面には液晶分子を配列させるための配向膜20を形成し、これら基板間に液晶21を挟持する。また、基板の外側には偏光板17を配置する。なお、本実施例におけるカラーフィルタの分光特性は図6(a)に示す特徴を有する。
【0084】
カラー画像表示は、画素毎のTFTを制御して行う。すなわち、画素毎に電極に電圧を供給し、この電圧印加により液晶分子の配向方向が変化、すなわち、液晶層の屈折率を変化させることで、バックライトからの光透過量を調整し、その光をカラーフィルタで分光することにより行う。本実施例では、液晶素子として、横電界方式(IPS:In-Plane
Switching )の液晶素子について述べているが、本発明の実施には、特に液晶の表示モードは限定されず、TNモード,VAモード,OCBモードなどでもよい。
【0085】
最後に、バックライトユニットと液晶素子を組み合わせ、筐体10でカバーすることにより液晶表示装置を得る。
【0086】
このようにして得られる液晶表示装置の色再現範囲を図1(b)に示す。後述する比較例1での液晶表示装置の特性と比べると、色再現範囲はほとんど変わらない。青色の色度変化もΔu′,v′=0.008 と非常に小さく、人間の視覚検知以下(Δu′,v′<0.02)である。
【0087】
本実施例により、緑色蛍光体の応答特性を大きく改善でき、さらに色度変化もほとんどない液晶表示装置を得る。このことから、動画性能の向上,色度変化抑制,信頼性の3点を同時に達成できることがわかる。
【0088】
(実施例2)
本実施例は、実施例1と比較して、利用する混合緑蛍光体が異なる。その他の構成は実施例1と同様である。本実施例では混合緑蛍光体として、LaPO4:Tb,Ceと
3Al512:Tb,Ceの混合緑蛍光体を用いる。混合比は、モル比LaPO4 :Tb,Ce/Y3Al512:Tb,Ce=0.1/0.9とする。
【0089】
これら混合緑蛍光体の発光スペクトルを図12(a)に示す。スペクトル形状は従来から利用されているLaPO4:Tb,Ce とほぼ同様の形状を有する。また、応答特性はτon=2.8msec,τoff=4.0msecであり、従来のLaPO4:Tb,Ceよりおよそ6割に短縮される。
【0090】
また、本実施例で得られる液晶表示装置の色再現範囲を図12(b)に示す。後述する比較例1での液晶表示装置特性と比べると、色再現範囲はほとんど変わらない。青色の色度変化もΔu′,v′=0.008と非常に小さく、人間の視覚検知以下(Δu′,v′<0.02)である。
【0091】
本実施例により、緑色蛍光体の応答特性を大きく改善でき、さらに色度変化もほとんどない液晶表示装置を得る。このことから、動画性能の向上,色度変化抑制,信頼性の3点を同時に達成できることがわかる。
【0092】
(実施例3)
本実施例は、実施例1と比較して、利用する混合緑蛍光体が異なる。その他の構成は実施例1と同様である。本実施例では混合緑蛍光体として、LaPO4 :Tb,Ceと
LaOCl:Tb,Ceの混合緑蛍光体を用いる。混合比は、モル比LaPO4 :Tb,Ce/LaOCl:Tb,Ce=0.3/0.7とする。
【0093】
これら混合緑蛍光体の発光スペクトルを図13(a)に示す。スペクトル形状は従来から利用されているLaPO4 :Tb,Ceとほぼ同様の形状を有する。また、応答特性はτon=2.4msec,τoff=3.0msecであり、従来のLaPO4:Tb,Ceよりおよそ5割に短縮される。
【0094】
また、本実施例で得られる液晶表示装置の色再現範囲を図13(b)に示す。後述する比較例1での液晶表示装置特性と比べると、色再現範囲はほとんど変わらない。青色の色度変化もΔu′,v′=0.001 と非常に小さく、人間の視覚検知以下(Δu′,v′<0.02)である。
【0095】
本実施例により、緑色蛍光体の応答特性を大きく改善でき、さらに色度変化もほとんどない液晶表示装置を得る。このことから、動画性能の向上,色度変化抑制,信頼性の3点を同時に達成できることがわかる。
【0096】
(実施例4)
本実施例は、実施例1と比較して、利用する混合緑蛍光体が異なる。その他の構成は実施例1と同様である。本実施例では混合緑蛍光体として、LaPO4 :Tb,Ceと
(Y,La)2SiO5:Tb,Ceの混合緑蛍光体を用いる。混合比は、モル比LaPO4:Tb,Ce/(Y,La)2SiO5:Tb,Ce=0.2/0.8とする。
【0097】
これら混合緑蛍光体の発光スペクトルを図14(a)に示す。スペクトル形状は従来から利用されているLaPO4 :Tb,Ceとほぼ同様の形状を有する。また、応答特性はτon=2.9msec,τoff=3.8msecであり、従来のLaPO4:Tb,Ceよりおよそ6割に短縮される。
【0098】
また、本実施例で得られる液晶表示装置の色再現範囲を図14(b)に示す。後述する比較例1での液晶表示装置特性と比べると、色再現範囲はほとんど変わらない。青色の色度変化もΔu′,v′=0.017 と非常に小さく、人間の視覚検知以下(Δu′,v′<0.02)である。
【0099】
本実施例により、緑色蛍光体の応答特性を大きく改善でき、さらに色度変化もほとんどない液晶表示装置を得る。このことから、動画性能の向上,色度変化抑制,信頼性の3点を同時に達成できることがわかる。
【0100】
(実施例5)
本実施例は、実施例1と比較して、利用する混合緑蛍光体が異なる。その他の構成は実施例1と同様である。本実施例では混合緑蛍光体として、LaPO4:Tb,CeとY23:Tbの混合緑蛍光体を用いた。混合比は、モル比でLaPO4:Tb,Ce/Y23:Tb=0.3/0.7とする。
【0101】
これら混合緑蛍光体の発光スペクトルを図15(a)に示す。スペクトル形状は従来から利用されているLaPO4 :Tb,Ceとほぼ同様の形状を有する。また、応答特性はτon=2.0msec,τoff=2.8msecであり、従来のLaPO4:Tb,Ceよりおよそ
4.5割に短縮される。
【0102】
また、本実施例で得られる液晶表示装置の色再現範囲を図15(b)に示す。後述する比較例1での液晶表示装置特性と比べると、色再現範囲はほとんど変わらない。青色の色度変化もΔu′,v′=0.009 と非常に小さく、人間の視覚検知以下(Δu′,v′<0.02)である。
【0103】
本実施例により、緑色蛍光体の応答特性を大きく改善でき、さらに色度変化もほとんどない液晶表示装置を得る。このことから、動画性能の向上,色度変化抑制,信頼性の3点を同時に達成できることがわかる。
【0104】
(実施例6)
本実施例は、実施例1と比較して、利用する混合緑蛍光体が異なる。その他の構成は実施例1と同様である。本実施例では混合緑蛍光体として、CeMgAl1119:Tbと
2SiO5:Tb,Ceの混合緑蛍光体を用いる。混合比は、モル比CeMgAl1119:Tb/Y2SiO5:Tb,Ce=0.4/0.6とする。
【0105】
これら混合緑蛍光体の発光スペクトルを図16(a)に示した。スペクトル形状は従来から利用されているLaPO4 :Tb,Ceとほぼ同様の形状を有する。また、応答特性はτon=3.0msec,τoff=3.8msecであり、従来のLaPO4:Tb,Ceよりおよそ6.5割に短縮される。
【0106】
また、本実施例で得られる液晶表示装置の色再現範囲を図16(b)に示す。後述する比較例1での液晶表示装置特性と比べると、色再現範囲はほとんど変わらない。青色の色度変化もΔu′,v′=0.005 と非常に小さく、人間の視覚検知以下(Δu′,v′<0.02)である。
【0107】
本実施例により、緑色蛍光体の応答特性を大きく改善でき、さらに色度変化もほとんどない液晶表示装置を得る。このことから、動画性能の向上,色度変化抑制,信頼性の3点を同時に達成できることがわかる。
【0108】
(実施例7)
本実施例は、実施例1と比較して、利用する混合緑蛍光体が異なる。その他の構成は実施例1と同様である。本実施例では混合緑蛍光体として、Y2SiO5:Tb,Ceと
LaOCl:Tb,Ceの混合緑蛍光体を用いる。混合比は、モル比Y2SiO5:Tb,Ce/LaOCl:Tb,Ce=0.5/0.5とする。
【0109】
これら混合緑蛍光体の発光スペクトルを図17(a)に示す。スペクトル形状は従来から利用されているLaPO4 :Tb,Ceとほぼ同様の形状を有する。また、応答特性はτon=1.9msec,τoff=2.5msecであり、従来のLaPO4:Tb,Ceよりおよそ4割に短縮される。
【0110】
また、本実施例で得られる液晶表示装置の色再現範囲を図17(b)に示す。後述する比較例1での液晶表示装置特性と比べると、色再現範囲はほとんど変わらない。青色の色度変化もΔu′,v′=0.006 と非常に小さく、人間の視覚検知以下(Δu′,v′<0.02)である。
【0111】
本実施例により、緑色蛍光体の応答特性を大きく改善でき、さらに色度変化もほとんどない液晶表示装置を得る。このことから、動画性能の向上,色度変化抑制,信頼性の3点を同時に達成できることがわかる。
【0112】
(実施例8)
本実施例は、実施例1と比較して、利用する緑蛍光体が異なる。その他の構成は実施例1と同様である。本実施例では緑蛍光体は混合緑蛍光体ではなく、Y2SiO5:Tb,
Ceを単一で用いる。
【0113】
この緑蛍光体の発光スペクトルを図18(a)に示す。スペクトル形状は従来から利用されているLaPO4:Tb,Ceとほぼ同様の形状を有する。また、応答特性はτon =2.4msec,τoff=3.1msecであり、従来のLaPO4:Tb,Ceよりおよそ5割に短縮される。
【0114】
また、本実施例で得られる液晶表示装置の色再現範囲を図18(b)に示す。後述する比較例1での液晶表示装置特性と比べると、色再現範囲はほとんど変わらない。青色の色度変化もΔu′,v′=0.011 と非常に小さく、人間の視覚検知以下(Δu′,v′<0.02)である。
【0115】
本実施例により、緑色蛍光体の応答特性を大きく改善でき、さらに色度変化もほとんどない液晶表示装置を得る。このことから、動画性能の向上,色度変化抑制,信頼性の3点を同時に達成できることがわかる。
【0116】
(実施例9)
本実施例は、実施例1と比較して、利用する緑蛍光体が異なる。その他の構成は実施例1と同様である。本実施例では緑蛍光体は混合緑蛍光体ではなく、LaOCl:Tb,
Ceを単一で用いる。
【0117】
この緑蛍光体の発光スペクトルを図19(a)に示す。スペクトル形状は従来から利用されているLaPO4 :Tb,Ceとほぼ同様の形状を有する。また、応答特性はτon=1.3msec,τoff=1.8msecであり、従来のLaPO4:Tb,Ceよりおよそ3割に短縮される。
【0118】
また、本実施例で得られる液晶表示装置の色再現範囲を図19(b)に示す。後述する比較例1での液晶表示装置特性と比べると、色再現範囲はほとんど変わらない。青色の色度変化もΔu′,v′=0.002 と非常に小さく、人間の視覚検知以下(Δu′,v′<0.02)である。
【0119】
本実施例により、緑色蛍光体の応答特性を大きく改善でき、さらに色度変化もほとんどない液晶表示装置を得る。このことから、動画性能の向上,色度変化抑制,信頼性の3点を同時に達成できることがわかる。
【0120】
(実施例10)
本実施例は、実施例1と比較して、利用する赤蛍光体が異なる。その他の構成は実施例1と同様である。本実施例では赤蛍光体は混合赤蛍光体を利用し、具体的にはY23
Euと(Y,Gd)(P,V)O4:Euの混合赤蛍光体を用いる。混合比は、モル比Y23:Eu/(Y,Gd)(P,V)O4:Eu=0.5/0.5とする。本実施例における緑蛍光体は実施例と同様の混合緑蛍光体である。なお、赤色蛍光体(Y,Gd)(P,V)O4
Euが従来品Y23:Euに比べ応答特性が速いことは本実施例で見出した。
【0121】
これら混合赤蛍光体の発光スペクトルを図20(a)に示す。また、応答特性はτon=1.5msec,τoff=1.5msecであり、従来のY23:Eu 単体の場合よりおよそ9割に短縮される。
【0122】
また、本実施例で得られる液晶表示装置の色再現範囲を図20(b)に示す。後述する比較例1での液晶表示装置特性と比べると、色再現範囲はほとんど変わらない。赤色の色度変化はΔu′,v′=0.009 と非常に小さく、さらに従来以上にNTSCで規定された赤色色度に近づくことがわかる。また、混合緑蛍光体を利用することによる青色色度変化も人間の視覚検知以下(Δu′,v′<0.02)である。
【0123】
本実施例により、緑色蛍光体及び赤色蛍光体の応答特性を大きく改善でき、さらに色度変化もほとんどない液晶表示装置を得る。このことから、動画性能の向上,色度変化抑制,信頼性の3点を同時に達成できることがわかる。
【0124】
(実施例11)
本実施例は、実施例1と比較して、利用する白色光源が異なる。実施例1では白色光源としてCCFLを用いたが、本実施例では紫外光を放射するLEDと3色の蛍光体を用いた白色LEDを利用する。
【0125】
白色LEDは図3(c)に示す構造をしており、主には半導体発光素子15と蛍光体
12から構成される。半導体発光素子にはガリウムナイトライドGaN系のチップを利用し、近紫外光を発光する。そして、この近紫外光により蛍光体を励起し、3色の可視光を放射する。蛍光体にはそれぞれ、赤色蛍光体Y2OS:Eu,混合緑色蛍光体LaPO4:Tb,Ce/Y2SiO5:Tb,Ce,青色蛍光体BaMgAl1017:Euを用いる。
【0126】
また、このとき白色LEDを利用するために、実施例1に比較してバックライトユニットの構造が異なる。本実施例におけるバックライトユニットの構造を図21に示す。すなわち、白色LED24はパネルの両端に配置され、導光板23により前面へ光が導かれる。導光板からの光は拡散シート6,プリズムシート7,偏光反射板8を透過し液晶素子2に入射される。液晶素子に入射した後の光路は実施例1と同様である。
【0127】
本実施例で得られる液晶表示装置の色再現範囲は実施例1とほぼ同じであり、後述する比較例1での液晶表示装置特性と比べると、色再現範囲はほとんど変わらない。青色の色度変化も人間の視覚検知以下(Δu′,v′<0.02)である。また、緑蛍光体は実施例1と同じであるから、その発光スペクトルは図1(a)に示すとおりであり、応答特性も同じである。
【0128】
本実施例により、緑色蛍光体の応答特性を大きく改善でき、さらに色度変化もほとんどない液晶表示装置を得る。このことから、動画性能の向上,色度変化抑制,信頼性の3点を同時に達成できることがわかる。
【0129】
(比較例1)
本比較例は、従来技術であり、実施例1と比較すると、利用する緑蛍光体が異なる。その他の構成は実施例1と同様である。本実施例では緑蛍光体は混合緑蛍光体ではなく、
LaPO4 :Tb,Ceを単一で用いる。また、赤色蛍光体においても、混合蛍光体ではなく、Y23:Euを単一で用いる。なお、青色蛍光体はBaMgAl1017:Euを単一で利用する。
【0130】
この緑蛍光体及び赤色蛍光体の発光スペクトルを図22(a)に示す。また、緑色蛍光体の応答特性はτon=4.8msec,τoff=5.8msec であり、赤色蛍光体の応答特性は
τon=1.7msec,τoff=1.7msec である。さらに、本実施例で得られる液晶表示装置の色再現範囲を図22(b)に示す。
(比較例2)
本比較例は、実施例1と比較して、利用する混合緑蛍光体が異なる。その他の構成は実施例1と同様である。本比較例では混合緑蛍光体として、LaPO4 :Tb,Ceと
SrAl24:Euの混合緑蛍光体を用いる。混合比は、モル比LaPO4:Tb,Ce/SrAl24:Eu=0.5/0.5とする。
【0131】
この緑蛍光体の発光スペクトルを図23(a)に示す。スペクトル形状は従来から利用されているLaPO4 :Tb,Ceと大きく異なり、特に500nm近傍の波長領域でスペクトル形状が異なる。また、応答特性はτon=2.5msec,τoff=3.0msec であり、従来のLaPO4:Tb,Ceよりおよそ5割に短縮される。
【0132】
本比較例で得られた液晶表示装置の色再現範囲を図23(b)に示す。前述する比較例1での液晶表示装置特性と比べると、色再現範囲は大きく異なる。特に青色色度はv′値が大きくなり、青色の色度変化もΔu′,v′=0.054 と非常に大きい。この変化は、人間の視覚検知以上(Δu′,v′>0.02)であり、十分に色の違いを認識できる。
【0133】
本比較例では、緑色蛍光体の応答特性を大きく改善できるが、青色純度が大きく低下する液晶表示装置を得る。このことから、本比較例では動画性能の向上,色度変化,信頼性の3点を同時に達成できないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】実施例1で用いる混合緑蛍光体の発光スペクトルとそれを用いて得られる液晶表示装置の色再現範囲を示す色度座標である。
【図2】実施例1から実施例9及び比較例1,比較例2における液晶表示装置の分解斜視図である。
【図3】白色光源の構造を説明するための各白色光源の断面図である。
【図4】液晶表示素子の構造を説明するための断面図である。
【図5】ブリンクバックライト方式を説明するための図である。
【図6】従来技術における緑蛍光体の発光スペクトルとそれら蛍光体を利用する場合の液晶表示装置の色再現範囲を示す図である。
【図7】本発明で高速応答特性を見出した発光中心Tbのケイ酸塩蛍光体の発光スペクトルである。
【図8】本発明で高速応答特性を見出した発光中心Tbのアルミン酸塩蛍光体の発光スペクトルである。
【図9】本発明で高速応答特性を見出した発光中心Tbのハライド蛍光体の発光スペクトルである。
【図10】本発明で高速応答特性を見出した発光中心Tbの酸化物蛍光体の発光スペクトルである。
【図11】白色光源CCFLの製造プロセスフローを示す図である。
【図12】実施例2で用いる混合緑蛍光体の発光スペクトルとそれを用いて得られる液晶表示装置の色再現範囲を示す色度座標である。
【図13】実施例3で用いる混合緑蛍光体の発光スペクトルとそれを用いて得られる液晶表示装置の色再現範囲を示す色度座標である。
【図14】実施例4で用いる混合緑蛍光体の発光スペクトルとそれを用いて得られる液晶表示装置の色再現範囲を示す色度座標である。
【図15】実施例5で用いる混合緑蛍光体の発光スペクトルとそれを用いて得られる液晶表示装置の色再現範囲を示す色度座標である。
【図16】実施例6で用いる混合緑蛍光体の発光スペクトルとそれを用いて得られる液晶表示装置の色再現範囲を示す色度座標である。
【図17】実施例7で用いる混合緑蛍光体の発光スペクトルとそれを用いて得られる液晶表示装置の色再現範囲を示す色度座標である。
【図18】実施例8で用いる緑蛍光体の発光スペクトルとそれを用いて得られる液晶表示装置の色再現範囲を示す色度座標である。
【図19】実施例9で用いる緑蛍光体の発光スペクトルとそれを用いて得られる液晶表示装置の色再現範囲を示す色度座標である。
【図20】実施例10で用いる混合赤蛍光体の発光スペクトルとそれを用いて得られる液晶表示装置の色再現範囲を示す色度座標である。
【図21】実施例11における液晶表示装置の分解斜視図である。
【図22】比較例1で用いる緑蛍光体及び赤色蛍光体の発光スペクトルとそれを用いて得られる液晶表示装置の色再現範囲を示す色度座標である。
【図23】実施例2で用いる混合緑蛍光体の発光スペクトルとそれを用いて得られる液晶表示装置の色再現範囲を示す色度座標である。
【符号の説明】
【0135】
1…バックライトユニット、2…液晶素子、3…金属筐体、4…反射板、5…冷陰極管(CCFL)、6…拡散板または拡散シート、7(7A,7B)…プリズムシート、8…偏光反射板、9…インバータまたは光源駆動回路、10…筐体、11…ガラス管、12…蛍光体、13…電極、14…フィラメント、15…半導体発光素子、16…ガラス基板、17…偏光板、18…画素電極、19…薄膜トランジスタ(TFT)、20…配向膜、
21…液晶、22(22A,22B,22C)…カラーフィルタ、23…導光板、24…LED。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色蛍光体と、緑色蛍光体と、赤色蛍光体を備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有する白色光源と、
前記白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とを有して構成される液晶表示装置であって、
前記青色蛍光体,緑色蛍光体,赤色蛍光体のうち少なくとも一つは、母体材料の組成が異なる少なくとも2種以上の蛍光体を混合して形成される混合蛍光体であり、混合に用いる蛍光体の発光中心が同一の元素であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記緑色蛍光体が前記混合蛍光体であって、混合に用いる蛍光体の発光中心がテルビウムであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
青色蛍光体と、緑色蛍光体と、赤色蛍光体を備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有する白色光源と、
前記白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とを有して構成される液晶表示装置であって、
前記緑色蛍光体は、材料組成の異なる少なくとも2種以上の蛍光体を混合して形成される混合蛍光体であり、混合に用いる蛍光体の発光ピーク波長は545±15nmの波長領域にあることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
前記赤色蛍光体が前記混合蛍光体であって、混合に用いる蛍光体の発光中心がユーロピウムであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
青色蛍光体と、緑色蛍光体と、赤色蛍光体とを備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有する白色光源と、
前記白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とを有して構成される液晶表示装置であって、
前記赤色蛍光体は、材料組成の異なる少なくとも2種以上の蛍光体を混合して形成される混合蛍光体であり、混合に用いる蛍光体の発光ピーク波長は615±15nmの波長領域にあることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
青色蛍光体と、緑色蛍光体と、赤色蛍光体を備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有する白色光源と、
前記白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とを有して構成される液晶表示装置であって、
前記青色蛍光体は、材料組成の異なる少なくとも2種以上の蛍光体を混合して形成される混合蛍光体であり、混合に用いる蛍光体の発光ピーク波長は450±15nmの波長領域にあることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
前記青色蛍光体,前記緑色蛍光体,前記赤色蛍光体は、消灯状態から点灯状態への90%輝度立ち上がり時間と、点灯状態から消灯状態への10%輝度立ち下がり時間の和が、1フレーム以内の時間であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記青色蛍光体,前記緑色蛍光体,前記赤色蛍光体は、消灯状態から点灯状態への90%輝度立ち上がり時間と、点灯状態から消灯状態への10%輝度立ち下がり時間が、それぞれ1/2フレーム以内の時間であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記青色蛍光体,前記緑色蛍光体,前記赤色蛍光体は、消灯状態から点灯状態への90%輝度立ち上がり時間と、点灯状態から消灯状態への10%輝度立ち下がり時間が、それぞれ4msec以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記青色蛍光体,前記緑色蛍光体,前記赤色蛍光体は、消灯状態から点灯状態への90%輝度立ち上がり時間と、点灯状態から消灯状態への10%輝度立ち下がり時間が、それぞれ3msec以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記混合蛍光体を形成する蛍光体の少なくとも1種は、母体材料が珪素と酸素を含むケイ酸塩であることを特徴とする請求項1から請求項3、または請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記ケイ酸塩は、化学式LnxSiyz(Ln=La,Y,Gd,Ga) で表されることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記ケイ酸塩は、化学式Ln2SiO5またはLn2Si27(Ln=La,Y,Gd)で表されることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記ケイ酸塩は、化学式(Ln(I)aLn(II)1-a)xSiyz(Ln(I),Ln(II)=La,Y,Gd,Ga)で表されることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記ケイ酸塩は、化学式(Ln(I)aLn(II)1-a)2SiO5または
(Ln(I)aLn(II)1-a)2Si27(Ln(I),Ln(II)=La,Y,Gd,Ga) で表されることを特徴とする請求項14に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記ケイ酸塩は、化学式Y2SiO5,(Y,Gd)2SiO5,(Y,La)2SiO5
La2SiO5,Y2Si27 のいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項17】
前記混合蛍光体を形成する蛍光体の少なくとも1種は、母体材料がハロゲン(X(X=F,Cl,Br))と酸素を含むハライド化合物であることを特徴とする請求項1から請求項3、または請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
前記ハライド化合物は、化学式LnOX(Ln=La,Y,Gd,Ga)(X=F,
Cl,Br)で表されることを特徴とする請求項17に記載の液晶表示装置。
【請求項19】
前記ハライド化合物は、化学式LaOClで表されることを特徴とする請求項17に記載の液晶表示装置。
【請求項20】
前記混合蛍光体を形成する蛍光体の少なくとも1種は、母体材料が化学式Ln23
(Ln=La,Y,Gd)で表される酸化物であることを特徴とする請求項1から請求項3、または請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項21】
前記酸化物は、化学式Y23で表されることを特徴とする請求項20に記載の液晶表示装置。
【請求項22】
前記混合蛍光体を形成する蛍光体の少なくとも1種は、母体材料がアルミニウムと酸素を含むアルミン酸塩であることを特徴とする請求項1から請求項3、または請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項23】
前記アルミン酸塩は、化学式LnxAlyz(Ln=La,Y,Gd,Ga) で表されることを特徴とする請求項22に記載の液晶表示装置。
【請求項24】
前記アルミン酸塩は、化学式Ln3Al512(Ln=La,Y,Gd,Ga)で表されることを特徴とする請求項23に記載の液晶表示装置。
【請求項25】
前記アルミン酸塩は、化学式Y3Al512,Y3(Al,Ga)512
Gd3(Al,Ga)512,(Y,Gd)3(Al,Ga)512のいずれかであることを特徴とする請求項22に記載の液晶表示装置。
【請求項26】
前記混合蛍光体を形成する蛍光体の少なくとも1種は、発光中心がテルビウムであり、母体材料組成がLaPO4 であることを特徴とする請求項1から請求項3、または請求項7から請求項25のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項27】
前記混合蛍光体を形成する蛍光体の少なくとも1種は、発光中心がテルビウムであり、母体材料組成がCeMgAl1119であることを特徴とする請求項1から請求項3、または請求項7から請求項25のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項28】
前記混合蛍光体を形成する蛍光体の少なくとも1種は、増感剤としてセリウムを含むことを特徴とする請求項1から請求項3、または請求項7から請求項27のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項29】
前記混合蛍光体を形成する蛍光体の少なくとも1種は、母体材料がリンとバナジウムと酸素を含むリン・バナジン酸塩であることを特徴とする請求項1,請求項4から請求項5、または請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項30】
前記リン・バナジン酸塩は、化学式YxGdy(Pz1-z)O4 で表されることを特徴とする請求項29に記載の液晶表示装置。
【請求項31】
前記混合蛍光体を形成する蛍光体の少なくとも1種は、発光中心がユーロピウムであり、母体材料組成がY23であることを特徴とする請求項1,請求項4から請求項5,請求項7から請求項10、または請求項29から請求項30のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項32】
青色蛍光体と、緑色蛍光体と、赤色蛍光体を備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有する白色光源と、
前記白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とを有して構成される液晶表示装置であって、
前記緑色蛍光体は、発光中心がテルビウムであり、母体材料組成がY2SiO5,(Y,Gd)2SiO5,(Y,La)2SiO5,La2SiO5 のいずれか1種類で形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項33】
青色蛍光体と、緑色蛍光体と、赤色蛍光体を備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有する白色光源と、
前記白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とを有して構成される液晶表示装置であって、
前記緑色蛍光体は、発光中心がテルビウムであり、母体材料組成がY3(Al,Ga)512の1種類で形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項34】
青色蛍光体と、緑色蛍光体と、赤色蛍光体を備え、1フレーム内で点灯状態と消灯状態を有する白色光源と、
前記白色光源からの光の透過量を画素毎に調整し、かつ画素毎に青色,緑色,赤色のいずれかの光を透過するカラーフィルタを有する液晶素子とを有して構成される液晶表示装置であって、
前記緑色蛍光体は、発光中心がテルビウムであり、母体材料組成がLaOClの1種類で形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項35】
前記緑色蛍光体は、増感剤としてセリウムを含むことを特徴とする請求項32から請求項34のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項36】
前記白色光源は、冷陰極管であることを特徴とする請求項1から請求項35のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項37】
前記白色光源は、熱陰極管であることを特徴とする請求項1から請求項35のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項38】
前記白色光源は、紫外線を放射する発光ダイオードと前記蛍光体を組み合わせた白色発光ダイオードであることを特徴とする請求項1から請求項35のいずれか一項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−10790(P2006−10790A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184383(P2004−184383)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】