説明

液晶表示装置

【課題】入力信号の輝度レベルが低い時に、黒レベル領域の青みを効果的に補正する。
【解決手段】入力された映像信号を表示する液晶パネルと、色温度を調整することが可能な構造を有し液晶パネルを照射するバックライトと、入力された映像信号の輝度の情報を検出し、輝度レベル信号を生成する信号輝度レベル検出部と、信号輝度レベル検出部で得た輝度レベル信号が所定値よりも低い場合には、バックライトの色温度を低くなるように制御するバックライト制御信号生成部から構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の色温度を調整する技術に関し、さらに詳しくは液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示装置としては、透過型の液晶が広く普及している。液晶表示装置は、ブラウン管のような自発光型の表示装置ではなく、液晶表示パネルの背面にあるバックライトを用いて表示を行う構造になっており、このバックライトには蛍光管や、発光ダイオードが用いられている。
【0003】
現在、液晶表示装置は、軽量、薄型といった特徴を活かして、デジタルカメラ、ノートPC、携帯情報端末等さまざまな用途で使用されている。輝度、色再現性、視野角特性といった表示特性がより向上したことで、液晶表示装置は、上述の用途に加え液晶テレビにも多く使用されている。このように液晶表示装置は、表示装置として今後更なる発展が期待できる。
【0004】
しかしながら、特開2000−75838号公報に記載されているように、液晶表示装置においては、液晶駆動電圧と透過率の関係に光の波長依存性がある。すなわち、図9に示すように、3原色の赤、緑、青ごとにその特性がずれている。このため、入力映像の信号レベルが下がった時には、表示画像において黒レベル領域の青みが発生するという問題点がある。この課題を、液晶パネル単独で改善することは非常に困難であった。
【0005】
これに対して、輝度信号レベルが低くなるにつれて、利得制御回路を制御し、青信号の利得を減衰させることで、入力信号のレベル低下による黒レベル領域の青みが発生する現象を補正していた。
【特許文献1】特開2000−75838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特開2000−75838号公報においては、利得制御回路を設ける必要があるために、回路の増加が避けられないという課題がある。更には、入力信号が暗い場合に利得制御回路を用いると、信号の階調性が失われてしまうという課題も有していた。
【0007】
本発明は上述のような課題を改善するためになされたもので、入力映像信号の信号レベルが低下した場合に、黒レベル領域の青みを効果的に補正する液晶画像表示装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために本発明の液晶表示装置は、入力された映像信号を表示する液晶パネルと、前記液晶パネルを照射するバックライトと、映像信号の輝度レベル情報を検出し、輝度レベル信号を生成する輝度レベル検出手段と、輝度レベル信号に基づいて、前記バックライトの色温度を制御するバックライト制御信号を生成するバックライト制御信号生成手段と、を有し、前記バックライトは、バックライト制御信号に基づいて、色温度が調整されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液晶画像表示装置によれば、入力映像信号の輝度レベルが低い時にバックライトで色温度を低くし、液晶表示における黒レベル領域の青みが生ずる現象を補正する。これにより、回路の増大を招くことなく、入力映像信号の輝度レベルにより発生する色調の変化を抑制することができる。その結果、液晶パネル側において色温度を改善することが可能となり、良好な表示性能を得ることができ、ディスプレイの表現力を大幅に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に関するいくつかの例について、図面を参照しながら説明する。なお、図面において、実質的に同一の構成、動作、および効果を表す要素については、同一の符号を付す。また、以下において記述される数字は、すべて本発明を具体的に説明するために例示したものであり、本発明は例示された数字に制限されない。さらに、構成要素間の接続関係は、本発明を具体的に説明するために例示したものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されるものではない。
(実施の形態1)
【0011】
図1は、実施の形態1による液晶表示装置を示すブロック図である。図1において、液晶パネル1は、背面に配置されたバックライト2を光源として照射することにより、入力された映像信号S0を表示させる。バックライト2はその色温度を調整することが可能な構成を有している。信号輝度レベル検出部3は、入力された映像信号S0の輝度レベルを検出し、平均輝度レベル、最大輝度レベル、および最小輝度レベル等の映像信号S0の輝度レベル情報を表す輝度レベル信号S3を、制御パラメータ演算部4に出力する。平均輝度レベルは、映像信号S0の輝度レベルの平均値を表す。最大輝度レベルは、映像信号S0の輝度レベルの最大値を表す。最小輝度レベルは、映像信号S0の輝度レベルの最小値を表す。信号輝度レベル検出部3は、輝度レベル検出部とも呼ばれる。
【0012】
制御パラメータ演算部4は、輝度レベル信号S3を用いてバックライト2の色温度情報を表す制御パラメータ信号S4を生成する。制御パラメータ演算部4は、制御パラメータ信号生成部とも呼ばれる。バックライト制御部5は、制御パラメータ信号S4により、バックライト2の色温度を制御するバックライト制御信号S5を生成し、バックライト2に出力する。バックライト2は、バックライト制御信号S5に基づいて、色温度が調整される。制御パラメータ演算部4およびバックライト制御部5は、バックライト制御信号生成部を構成する。
【0013】
上述のように構成された実施の形態1に示されるように、制御パラメータ演算部4は、輝度レベル信号S3を用いて、バックライト2の制御データを演算する。このとき、輝度レベル信号S3が所定値よりも小さい場合には、バックライト2の色温度を低くするようにバックライト制御信号S5を生成する。これにより、バックライト2が発光する光の色温度を下げて青みを減少させ、液晶画面内の黒レベル近傍を示す領域(以下、黒レベル領域と呼ぶ)で生じている青みの補正を、バックライト2の制御で実現する。
【0014】
以下、実施の形態1の動作を説明する。制御の基本的な構成は、次の通りである。輝度レベル信号S3に基づいて、輝度レベルが低い状態、即ち低輝度レベル状態の場合、液晶表示で生じている黒レベル領域の青みを補正するため、バックライト2の色温度が低くなるように制御パラメータ信号S4を設定する。輝度レベルが低くない、すなわち非低輝度レベル状態の場合、バックライト2の制御パラメータ信号S4は色温度を低くしない標準の値を設定し、この標準値を通常の制御値として用いる。
【0015】
ここで、映像信号S0および液晶パネル1の画面の輝度レベルは、輝度レベルが低い低輝度レベルと、低輝度レベルよりも輝度レベルが高い非低輝度レベル、に分けられる。黒レベルは、低輝度レベルのうち最下位レベルを表す。高輝度レベルは、非低輝度レベルのうち、白レベルと黒レベルの中間付近のレベルを含んで、それ以上の上位レベルを表す。低輝度レベルの状態を低輝度レベル状態、非低輝度レベルの状態を非低輝度レベル状態、とそれぞれ呼ぶ。黒レベルを含めて黒レベル近傍の状態を、黒レベル状態と呼ぶ。高輝度レベルを含めて高輝度レベル近傍の状態を、高輝度レベル状態と呼ぶ。また、画面内の低輝度レベル状態を示す領域を低輝度レベル領域、非低輝度レベル状態を示す領域を非低輝度レベル領域、黒レベル状態を示す領域を黒レベル領域、高輝度レベル状態を示す領域を高輝度レベル領域、とそれぞれ呼ぶ。
【0016】
以上のように、輝度レベル信号S3に応じてバックライト2の色温度を適応処理で補正することにより、映像信号処理では不可避であった低輝度レベル状態におけるコントラストの劣化を生ずることなく、黒レベル領域の青みを改善することができる。画面内に非低輝度レベル領域が含まれる場合も含めて、常に色温度を補正する場合、非低輝度レベル領域で赤みがかってしまい、画面全体の色合いが変化する。画面全体が低輝度レベル状態の場合のみ色温度を変えることで、黒レベル領域の青みだけを効果的に補正することができる。
【0017】
上述したバックライト2による色温度の変化の様子を、図2の色度図で示す。バックライト2の制御パラメータ信号S4を、輝度レベル信号S3により変化させることで、色温度は図2のA点からB点へ移動する。B点では、A点よりも青の成分が弱くなっており、液晶画面内の黒レベル領域で生じている青みが補正できることがわかる。
【0018】
図1の制御パラメータ演算部4において、輝度レベル信号S3に基づいて画面が暗いと判断する単純な構成は、輝度レベル信号S3の平均輝度レベルの大小判定を行う構成である。平均輝度レベルを表す輝度レベル信号S3が所定の平均輝度レベル閾値以下の場合に画面が暗いと判断し、バックライト2の色温度を下げるように制御パラメータ信号S4を設定すればよい。
【0019】
平均輝度レベルのみを用いる場合、平均輝度レベルが黒レベル近傍にあれば、画面全体も黒レベル状態にあると判断できる。しかし、平均輝度レベルが低輝度レベルの場合、画面内には非低輝度レベル領域が含まれる可能性がある。この状態で色温度を下げると、液晶画面において黒レベル領域の青みが発生していないにもかかわらず色調を変えることになり、弊害が発生する。
【0020】
このように、画面の中に黒レベル領域が存在することをより正確に判断することが、色温度の調整に必要となる。黒レベル領域をより正確に把握するために、平均輝度レベルに加え最小輝度レベルを明るさの判断に用いる。
【0021】
平均輝度レベルが最小輝度レベルに近く、ともに低輝度レベルの場合、画面全体が黒レベルという特殊な例を除いて、画面内には黒レベル領域は存在しないことになる。この場合、バックライト2の色温度を低くしても、黒レベル領域の青みを補正する効果は得られない。これに対して、平均輝度レベルが低輝度レベルで、最小輝度レベルが黒レベルに近い場合、黒レベル領域が画面内に部分的に存在すると判断できる。この場合、黒レベル領域の青みを補正する効果を、充分得ることができる。
【0022】
平均輝度レベルに加えて最小輝度レベルを用いる場合、平均輝度レベルのみを用いる場合と比較すると、画面内に小さな面積で黒レベル近傍の領域が存在しても、黒レベル領域があると判断できる。これにより、平均輝度レベルのみを用いる場合に比べ、画面の明るさの判断を的確に行うことができる。この結果を用いてバックライト2の色温度を低くすれば、画面の黒レベル領域の青み補正を、効果的に実施することができる。
【0023】
このように、輝度レベル信号S3の平均輝度レベルが所定の平均輝度レベル閾値以下で、なおかつ最小輝度レベルが平均輝度レベル閾値よりも小さい所定の最小輝度レベル閾値以下の場合、輝度の値が低いデータが多く画面に黒レベル領域の青みが生じているので、このときにバックライト2の色温度を下げることは、画面の画質改善として有効であることは明らかである。
【0024】
更に最小輝度レベル閾値は、1カンデラ/平方メートル付近が特に有効である。この値の近辺よりも輝度レベルが小さい値である場合には特に黒レベル領域の青みが発生しやすい領域である。したがって、最小輝度レベルの値が1カンデラ/平方メートル付近以下の場合には、バックライト2の色温度を低くする割合を強めにかけることで黒レベル領域の青みの補正を効果的に実施することが可能である。
(実施の形態2)
【0025】
実施の形態2では、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。その他の構成、動作、および効果は、実施の形態1と同等であるので、説明を省略する。
【0026】
バックライト2の色温度を制御するに際して、図3に示すような画面の場合はバックライト2の色温度制御は注意を要する。図3は全体が暗い画面で黒レベル領域の青みが発生していることに加えて、小さい面積で白色の領域がある場合、つまり最大輝度レベルの高い高輝度レベル領域が存在する画を示している。
【0027】
輝度情報としては、平均輝度レベルと最小輝度レベルはともに低い値を示すが、更にこの場合には最大輝度レベルは高い値を示す。この場合、実施の形態1に示した構成を用いて、平均輝度レベルと最小輝度レベルの値を用いて判断を行った場合には、平均輝度レベルも最小輝度レベルも低いのでバックライト2の色温度を低くして黒レベル領域の青みを補正する制御を行うことになる。しかしながら、図3に示すように画面の一部に高輝度レベル領域がある場合には、黒レベル領域の青みを補正するためにバックライト2の色温度を低くすると、高輝度レベル領域の色温度も下がってしまう。高輝度レベル領域の色温度の低下が画面に与える影響は大きく、図3における2つの白色の領域の色調の変化が目立ってしまう。
【0028】
従って、このような画面に対しては、以下のような構成にすれば良い。画面に高輝度レベル領域を含む画であることを判断するために、輝度情報として平均輝度レベル及び最小輝度レベルに加えて、映像信号S0の輝度レベルの最大値を表す最大輝度レベルの検出も行うようにする。実施の形態1では、輝度情報として平均輝度レベルと最小輝度レベルの2つを用い、これらの値が共に低い場合、画面の輝度レベルが低いと判断し、液晶画面上の黒レベル領域の青みを補正するためにバックライト2の色温度を低くした。一方、実施の形態2では、輝度情報として平均輝度レベル及び最小輝度レベルに加えて、最大輝度レベルの検出も行う。
【0029】
平均輝度レベルが平均輝度レベル閾値以下で、最小輝度レベルが最小輝度レベル閾値以下の場合に加えて、最大輝度レベルが平均輝度レベル閾値よりも大きい所定の最大輝度レベル閾値以上の場合、図3のように低輝度レベルの領域もあるが、高輝度レベル領域も存在すると判断する。このときの液晶画面上での黒レベル領域の青み補正のための制御は、実施の形態1ではバックライト2の色温度を低くした。実施の形態2では、バックライト2の色温度を下げるのではなく、信号処理部7において輝度レベル信号S3により映像信号S0の色温度を制御し、高輝度レベル領域付近以外の色温度を低くして黒レベル領域の青みを補正する。
【0030】
このような映像信号処理により、高輝度レベル領域以外は色温度が低くなり、これにより輝度レベルが上昇する。しかし、高輝度レベル領域との差が大きく、つまり高輝度レベル領域はもともと明るいため、高輝度レベル領域以外の輝度レベルが上昇しても、画面に与える影響は少ない。これにより、高輝度レベル領域の色温度の低下を招くことなく、黒レベル領域の青みの補正ができる。このように、黒レベル領域の青みが発生しているが、高輝度レベル領域を含む画には、平均輝度レベル、最小輝度レベルに加え最大輝度レベルを検出することにより、所望の動作を実現できることがわかる。
【0031】
次に、画面の一領域の最大輝度レベルが上述したほど高くない場合、すなわち最大輝度レベルが最大輝度レベル閾値よりも小さく、たとえば白レベルと黒レベルの中間付近のレベルの場合を説明する。この場合、バックライト2の色温度を低くして画面全体の色温度が低くなっても、最大輝度レベルが最大輝度レベル閾値よりも小さい領域の色調の変化は、最大輝度レベルが最大輝度レベル閾値以上の場合と比較すると少ない。従って、黒レベル領域の青みはバックライト2の色温度を下げることにより補正し、高輝度レベル領域の色温度の低下は、映像信号処理により高輝度レベル領域の色温度を上げて、青の成分を上げることで対応すればよい。
【0032】
このように、バックライト2の制御により色温度を変化させるに際して、色温度を変えることにより、本来補正したい低輝度レベル領域以外も色温度が下がってしまう。特に画面内に高輝度レベル領域が存在すると、その領域の影響は大きくなってしまう。これを回避するために、高輝度レベル領域は映像信号処理により色温度を上げるように補正する。これにより、バックライト2の色温度を低くすることによる黒レベル領域の青みの補正のみが効果として表れるようにして、色温度の補正が不要である画面の領域は影響を受けないようにする。つまり、低輝度レベル領域以外に影響を与える弊害を発生させることなく、低輝度レベル領域における黒レベル領域の青み補正のみを実施し、その効果を高めることが可能である。
【0033】
以上説明した信号処理により色温度を変える構成を、図4に示す。信号処理部7は、輝度レベル信号S3を用いて、映像信号S0の全体の色温度を下げるか、あるいは高輝度レベル領域のみの色温度を上げることにより、映像処理信号S7を生成する。信号処理部7は、映像信号処理部とも呼ばれる。図4の信号処理部7は、輝度情報により青の信号のゲインを上げる、あるいは青の信号のγ特性を調整することにより、映像信号の青の成分を高くする、あるいは低くする処理を行うことで、映像信号の色温度を変える。この様に、高輝度レベル領域を含む信号が入力した場合には、バックライト制御信号S5による色温度制御に加えて、信号処理部7において映像信号処理を行うことで、液晶画面において生じている黒レベル領域の青みに対して、補正が可能である。
(実施の形態3)
【0034】
実施の形態3では、実施の形態1および2と異なる点を中心に説明する。その他の構成、動作、および効果は、実施の形態1および2と同等であるので、説明を省略する。
【0035】
実施の形態3では、色温度を調整することが可能なバックライト2の構成について説明する。その構成として、まず図5において、バックライト50は、R光源52、G光源53、およびB光源54から構成される。バックライト制御部51からのバックライト制御信号S51により、R、G、Bの発光比率を変えることで、色温度の調整が行われる。バックライト50の色温度を下げる場合にはBの発光比率を低くする、あるいはRの発光比率を高くすれば良い。R光源52、G光源53、およびB光源54は、いずれも発光ダイオードで構成される。
【0036】
図6において、バックライト60は、冷陰極管62および青LED63から構成される。この構成において、通常時は冷陰極管62と青LED63の両方を点灯させた状態で使用する。これに対して、上述したように輝度レベル信号S3により画面が暗いと判断し、画面の黒レベル領域の青みを補正するためにバックライト60の色温度を下げる場合、青LED63の輝度レベルを低下させる。バックライト60を構成する冷陰極管62と青LED63において、冷陰極管62の輝度は通常時と同様の状態であるので、青LED63の輝度を低下させることにより、バックライト60全体では青の成分を弱める。これに伴って画面の青の成分も弱められて黒レベル領域の青みが補正できる。
【0037】
また、図7に冷陰極管72と赤LED73から構成されるバックライト70の構成例を示す。この構成において、通常時は冷陰極管72のみを点灯させた状態で使用する。これに対して、上述したように輝度レベル信号S3により画面が暗いと判断し、画面の黒レベル領域の青みを補正するために、バックライト70の色温度を下げる場合は、赤LED73を点灯させる。バックライト70を構成する冷陰極管72と赤LED73において、冷陰極管72は通常時と同様に点灯しているので輝度は通常時と同様の状態である。したがって、赤LED73の点灯により、バックライト70全体では赤の成分を強める、即ち青の成分を弱めるので、画面の青の成分が弱められて黒レベル領域の青みが補正できる。
【0038】
また、冷陰極管と青LEDと赤LEDからバックライト2を構成しても良い。この構成において、通常時は冷陰極管と青LEDの両方を点灯させ、赤LEDは消灯した状態で使用する。画面の黒レベル領域の青みを補正するためにバックライト2の色温度を下げる場合は、青LEDの輝度を低下させると同時に、赤LEDを点灯させればよい。
【0039】
また、簡易的な構成例として、色温度の高い冷陰極管と色温度の低い冷陰極管の2本でバックライト2を構成し、発光させる。この2本の冷陰極管を切り替えて点灯させても色温度の制御は可能である。映像信号S0の輝度レベル信号S3が低くない時は、色温度の高い冷陰極管を点灯させる。入力信号の輝度レベル情報から輝度レベルが低い即ち画面が暗いと判断した場合には、色温度の低い冷陰極管を点灯させてバックライト2の色温度を下げる。このように、バックライト2の色温度が下がることで、液晶に表示されている黒レベル領域の青みが補正される。
(実施の形態4)
【0040】
実施の形態4では、実施の形態1ないし3と異なる点を中心に説明する。その他の構成、動作、および効果は、実施の形態1ないし3と同等であるので、説明を省略する。
【0041】
テレビなどにおいてユーザー設定等でシネマモードに設定した場合には、映像信号処理で色調を変えていたが、この動作はこれまで説明したバックライト2による色温度の制御でも実現できる。従って、バックライト2の色温度設定の判断に、画面の輝度情報に加えてユーザー情報を用いても良い。ユーザー設定の情報を用いて映像信号S0に全体的に暗い画が入力するものと判断して、バックライト2の色温度を下げる。映像信号処理による色調の調整に対し、バックライト2の色温度の制御のみで色調の調整が実現でき、有効な手法である。
【0042】
図8は、ユーザー情報をバックライト2の色温度制御に用いる構成例である。ユーザー設定部6は、ユーザーにより設定されるシネマモード等のテレビモード情報を表すユーザー設定信号S6を生成する。制御パラメータ演算部4は、輝度レベル信号S3とユーザー設定信号S6を両方用いて、バックライト2の色温度設定を行う。
【0043】
以上説明したように、実施の形態1ないし4では、入力映像信号の輝度レベルが低い時にバックライトで色温度を低くし、液晶表示における黒レベル領域の青みが生ずる現象を補正する。これにより、回路の増大を招くことなく、入力映像信号の輝度レベルにより発生する色調の変化を抑制することができる。その結果、液晶パネル側において色温度を改善することが可能となり、良好な表示性能を得ることができ、ディスプレイの表現力を大幅に高めることができる。
【0044】
以上、実施の形態におけるこれまでの説明は、すべて本発明を具体化した一例であって、本発明はこれらの例に限定されず、本発明の技術を用いて当業者が容易に構成可能な種々の例に展開可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、画像表示装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1による液晶表示装置を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態1による色温度制御の説明図。
【図3】本発明の実施の形態2による映像画面の説明図。
【図4】本発明の実施の形態2による液晶表示装置を示すブロック図。
【図5】本発明の実施の形態3によるバックライトの構成を示す説明図。
【図6】本発明の実施の形態3によるバックライトの構成を示す説明図。
【図7】本発明の実施の形態3によるバックライトの構成を示す説明図。
【図8】本発明の実施の形態4による液晶表示装置を示すブロック図。
【図9】従来例による液晶の駆動電圧と透過率を示すブロック図。
【符号の説明】
【0047】
1 液晶パネル
2 バックライト
3 信号輝度レベル検出部
4 制御パラメータ演算部
5 バックライト制御部
6 ユーザー設定部
7 信号処理部
50 バックライト
51 バックライト制御部
52 R光源
53 G光源
54 B光源
60 バックライト
61 バックライト制御部
62 冷陰極管
63 青LED
70 バックライ
71 バックライト制御部
72 冷陰極管
73 赤LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像信号を表示する液晶パネルと、
前記液晶パネルを照射するバックライトと、
映像信号の輝度レベル情報を検出し、輝度レベル信号を生成する輝度レベル検出手段と、
輝度レベル信号に基づいて、前記バックライトの色温度を制御するバックライト制御信号を生成するバックライト制御信号生成手段と、を有し、
前記バックライトは、バックライト制御信号に基づいて、色温度が調整されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記バックライト制御信号生成手段は、
輝度レベル信号に基づいて、前記バックライトの色温度情報を表す制御パラメータ信号を生成する制御パラメータ信号生成手段と、
制御パラメータ信号に基づいて、前記バックライトの色温度を制御するバックライト制御信号を生成するバックライト制御手段と、を含むことを特徴とする、請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記輝度レベル検出手段は、映像信号の輝度レベルの平均値を表す平均輝度レベル、および映像信号の輝度レベルの最小値を表す最小輝度レベルを検出することを特徴とする、請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記バックライト制御信号生成手段は、輝度レベル信号の平均輝度レベルが第1所定値以下で、かつ最小輝度レベルが第1所定値よりも小さい第2所定値以下の場合、前記バックライトの色温度を低く制御することを特徴とする、請求項3記載の液晶表示装置。
【請求項5】
第2所定値は、大略1カンデラ/平方メートルであることを特徴とする、請求項4記載の液晶表示装置。
【請求項6】
さらに、輝度レベル信号に基づいて、映像信号の色温度を制御し、映像処理信号を生成する映像信号処理手段を有し、
前記液晶パネルは、映像処理信号を表示し、
前記輝度レベル検出手段は、平均輝度レベル、最小輝度レベル、および映像信号の輝度レベルの最大値を表す最大輝度レベルを検出し、
前記映像信号処理手段は、輝度レベル信号の平均輝度レベルが第1所定値以下で、最小輝度レベルが第2所定値以下で、かつ最大輝度レベルが第1所定値よりも大きい第3所定値以上の場合、映像信号の色温度を制御し、
前記バックライト制御信号生成手段は、輝度レベル信号の平均輝度レベルが第1所定値以下で、最小輝度レベルが第2所定値以下で、かつ最大輝度レベルが第3所定値未満の場合、前記バックライトの色温度を制御することを特徴とする、請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記バックライトは、
大略、赤を発光する発光ダイオードと、
大略、緑を発光する発光ダイオードと、
大略、青を発光する発光ダイオードと、を含むことを特徴とする、請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記バックライトは、
大略、赤を発光する発光ダイオード、または大略、青を発光する発光ダイオードのうち、少なくともいずれかと、
冷陰極管と、を含むことを特徴とする、請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記バックライトは、色温度が互いに異なる2個の冷陰極管を含むことを特徴とする、請求項1記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−152008(P2008−152008A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339821(P2006−339821)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】