説明

液晶表示装置

【課題】利用者が周囲の明るさ等に応じて表示モードを選択することができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1の偏光板21および第2の偏光板22は、液晶表示パネル100に直接接着されずに、段付き回転ローラ40によって保持される。第1の偏光板21および第2の偏光板22は、その平面の中心を回転中心として、平面内で抵抗なく回転可能に保持される。また、第1の偏光板21および第2の偏光板22の側面に、つまみ30が設けられる。つまみ30は、ホルダ等の筐体50に設けられ、回転可能に保持される。つまみ30を回転させることにより、第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とが直交すると、電圧を印加しない状態で白く表示されるポジティブ表示(ノーマリホワイト)となり、各偏光軸が平行になると、電圧を印加しない状態で黒く表示されるネガティブ表示(ノーマリブラック)となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、ノーマリホワイトモードとノーマリブラックモードとを切り替えることができる液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文字や図形などの各種の画像を表示する表示装置として液晶表示装置が広く用いられている。液晶表示装置の表示部として、2枚の透明基板の間に液晶が封入された液晶表示パネルが用いられる。
【0003】
図3は、一般的な液晶表示装置の例を示す断面図である。ここでは、液晶表示装置がアクティブマトリクス型液晶表示装置である場合を例示して説明する。図3に示すように、一般的な液晶表示装置は、液晶表示パネル100の下部に第1の偏光板201が設けられ、液晶表示パネル100の上部に第2の偏光板202が設けられた構造を有する。以下の説明では、第1の偏光板201が存在する側を背面側、第2の偏光板202が存在する側を正面側と記す。また、本明細書では、第1の偏光板201と第2の偏光板202とを除いた部分を液晶表示パネル100とする。
【0004】
液晶表示パネル100は、透明基板101および透明基板102を備える。透明基板101および透明基板102として、例えば、透明なガラスが用いられる。
【0005】
透明基板101には、互いに直交するゲート配線(図示せず。)およびデータ配線(図示せず。)が形成され、ゲート線とデータ線との交差部分近傍に、画素毎に画素電極111とTFT(図示せず。)とが形成されている。画素電極111は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)等からなる透明電極であって、TFTを介してデータ配線に接続される。
【0006】
透明基板102には、各画素電極111に対向する1枚の対向電極112が形成されている。対向電極112は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)等からなる透明電極である。また、透明基板102と対向電極112との間にカラーフィルタ113が設けられていてもよい。カラーフィルタ113は、画素電極111に対向する位置に設けられる。
【0007】
画素電極111が形成された透明基板101には、液状の配向剤が塗布され、それを固化することにより、第1の配向膜121が形成されている。同様に、対向電極112が形成された透明基板102には、第2の配向膜122が形成されている。第1の配向膜121および第2の配向膜122には、液晶分子の配列方向を決めるためのラビングなどの配向処理が施されている。画素電極111および第1の配向膜121が形成された透明基板101と、対向電極112および第2の配向膜122が形成された透明基板102との間には、液晶131が挟持される。
【0008】
なお、透明基板101の端部には、液晶駆動ケーブル(図示せず。)の一端が接続される。液晶駆動ケーブルとして、例えば、フレキシブル配線基板(FPC:Flexible Printed Circuit)が用いられる。液晶駆動ケーブルを介して、駆動電圧を伝達する駆動回路基板と液晶表示パネル100とが接続される。
【0009】
第1の偏光板201は、透明基板101に接着される。同様に、第2の偏光板202は、透明基板102に接着される。
【0010】
TN(Twisted Nematic:ツイステッドネマティック)モードの場合、第1の配向膜121と第2の配向膜122とには、それぞれ90度異なる方向に配向処理がなされる。配向処理により、液晶131の分子の配向方向は、連続的に回転しねじれている。
【0011】
図4は、一般的な液晶表示装置の例を示す正面図である。図4(a)を参照して、ポジティブ表示について説明する。図4(a)に示すように、透明基板101の正面側に透明基板102が設けられる。さらに、透明基板102の正面側に、第2の偏光板202が接着される。また、図4(a)では図示省略されているが、透明基板101の背面側に、第1の偏光板201が接着される。透明基板101の端部には、液晶駆動ケーブル132の一端が接続される。なお、図示していないが、液晶層の配向方向、すなわちラビング方向は、図4(a)に示す偏光軸201−1,202−1と平行に形成されている。
【0012】
図4(a)に例示するように、第1の偏光板201の偏光軸201−1と第2の偏光板202の偏光軸202−1とが直交する場合、電圧を印加しない状態で、第1の偏光板201から入射した直線偏光の光は、液晶表示パネル100を通過する際に90度旋光され、光の振動方向が第2の偏光板202の偏光軸202−1と一致するため、第2の偏光板202を透過する。したがって、電圧を印加しない状態で白く表示されるポジティブ表示(ノーマリホワイト)となる。
【0013】
次に、図4(b)を参照して、ネガティブ表示について説明する。なお、液晶層の配向方向は、ポジティブ表示と同一の方向である。図4(b)には、第1の偏光板201の偏光軸201−1と第2の偏光板202の偏光軸202−1とが、それぞれ平行に配置される場合を例示する。この場合には、第1の偏光板201から入射した直線偏光の光は、電圧を印加しない状態で液晶表示パネル100を通過する際に90度旋光され、光の振動方向が第2の偏光板202の偏光軸202−1と直交するため、第2の偏光板202で吸収される。したがって、電圧を印加しない状態で黒く表示されるネガティブ表示(ノーマリブラック)となる。
【0014】
なお、背景表示盤としての液晶パネルと機械的に駆動される回転指針とを組み合わせた液晶表示装置において、指針の動きに合わせて指針の色や模様が変化する新規な表示形態を備えた液晶表示装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、指針として、装飾用偏光板が取り付けられた透明板を用いることが記載されている。装飾用偏光板は、軸角度の異なる4種類の偏光チップ片の組み合わせからなることから、指針の動きに合わせて、装飾用偏光板がモザイク的に変化することが記載されている。
【0015】
【特許文献1】特開2003−43471号公報(段落0013−0016)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記のように、第1の偏光板201の偏光軸と第2の偏光板202の偏光軸とを直交させることによって、電圧が印加されない状態で白く表示されるノーマリホワイトの液晶表示装置が得られ、第1の偏光板201の偏光軸と第2の偏光板202の偏光軸とを平行にすることによって、電圧が印加されない状態で黒表示されるノーマリホワイトの液晶表示装置が得られる。
【0017】
例えば、周囲が暗い環境では、黒地に白い文字等が表示されるネガティブ表示がなされると、観察者は文字等を視認しやすい。また、周囲が明るい環境では、白地に黒い文字等が表示されるポジティブ表示がなされると、観察者は文字等を視認しやすい。さらに、観察者によっては、暗い環境では黒い文字等の方が視認しやすく、明るい環境では白い文字等の方が視認しやすいと感ずることも考えられる。しかし、一般的な液晶表示装置においては、2枚の偏光板はそれぞれ透明基板に接着されて固定されるため、ポジティブ表示かネガティブ表示かの表示モードが予め定められてしまう。すなわち、一つの液晶表示装置の表示モード(ノーマリホワイトモードとノーマリブラックモード)を状況に応じて切り替えることは難しい。
【0018】
なお、特許文献1に記載された方式では、装飾用偏光板が回転指針に取り付けられていることから、色や模様の変化は、計器パネルや時計等の回転指針の動きに応じて定まる。したがって、指針としての偏光板の色や模様を、ユーザが自由に選択することはできない。
【0019】
そこで、本発明は、利用者が周囲の明るさ等に応じて表示モードを選択することができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明による液晶表示装置は、液晶表示パネルの下部に第1の偏光板が設けられ、上部に第2の偏光板が設けられた液晶表示装置において、第1の偏光板もしくは第2の偏光板を、または第1の偏光板および第2の偏光板を回転させて、第1の偏光板の偏光軸と第2の偏光板の偏光軸とが成す角度を変更する回転機構を備えたことを特徴とする。
【0021】
回転機構は、第1の偏光板と第2の偏光板との間に設けられ、第1の偏光板および第2の偏光板と接触し、回転駆動されることにより第1の偏光板と第2の偏光板とをそれぞれ別方向に回転させる駆動ローラを含むことが望ましい。そのような構成によれば、第1の偏光板および第2の偏光板を同時に別方向に回転させることができ、少ない回転量で第1の偏光板の偏光軸と第2の偏光板の偏光軸とが成す角度を選択することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、利用者がポジティブ表示またはネガティブ表示を選択することができるため、周囲の明るさ等に応じた表示を選択することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明による液晶表示装置を示す斜視図である。図1に示す液晶表示装置は、液晶表示パネル100と、液晶駆動ケーブル132と、第1の偏光板21と、第2の偏光板22と、つまみ30と、段付き回転ローラ40と、筐体50とを備える。以下の説明では、第1の偏光板21が存在する側を背面側、第2の偏光板22が存在する側を正面側と記す。なお、筐体50は、説明の便宜上、一部のみを示しており、液晶表示パネル100、液晶駆動ケーブル132、偏光板21,22を覆う形状である。
【0024】
第1の偏光板21および第2の偏光板22は、円形の偏光板であって、第1の偏光板21と第2の偏光板22との間には、液晶表示パネル100が設けられる。第1の偏光板21および第2の偏光板22は、液晶表示パネル100に直接接着されずに、段付き回転ローラ40によって保持される。第1の偏光板21および第2の偏光板22は、その平面の中心を回転中心として、平面内で抵抗なく回転可能に保持される。
【0025】
また、第1の偏光板21および第2の偏光板22の側面に、つまみ30が設けられる。つまみ30は、ホルダ等の筐体50に設けられ、回転可能に保持される。なお、図1には、筐体50の一部のみが示されており、液晶表示パネル100の表示領域に対応する開口部が設けられている。
【0026】
液晶表示パネル100は、透明基板101および透明基板102を備える。なお、液晶表示パネル100の構成は、一般的な液晶表示装置における構成(図3参照。)と同様であるため、説明を省略する。また、本実施の形態では、液晶表示パネル100が矩形である場合を例示したが、円形であればなお良い。
【0027】
段付き回転ローラ40は、押さえ部材であって、ホルダ等の筐体に設けられ、第1の偏光板21および第2の偏光板22を保持する。
【0028】
図2は、図1におけるA−A断面を示す断面図である。図2に示す液晶表示装置は、第1の偏光板21と、第2の偏光板22と、回転ローラ31と、回転ローラ32と、回転ローラ33とを含む。なお、図1では、回転ローラ31,32,33は記載省略されていた。
【0029】
回転ローラ31は、第1の偏光板21と第2の偏光板22との間に設けられ、それぞれと接触している。回転ローラ32は、第1の偏光板21の背面側に第1の偏光板21と接触して設けられる。また、回転ローラ33は、第2の偏光板22の正面側に第2の偏光板22と接触して設けられる。すなわち、第1の偏光板21は、回転ローラ31,32に挟持され、第2の偏光板22は、回転ローラ31,33に挟持される。
【0030】
つまみ30は、回転ローラ31と一体となっていて、つまみ30を回すことにより、回転ローラ31を回転させることが可能である。すなわち、回転ローラ31は、つまみ30により回転駆動され、第1の偏光板21および第2の偏光板22を同時に逆方向に回転させる駆動ローラである。回転ローラ31の長さは、第1の偏光板21および第2の偏光板22を回転させるのに十分な長さであって、液晶表示パネル100の表示領域にかからない長さである。
【0031】
また、回転ローラ32は、駆動ローラである回転ローラ31に加圧され、回転ローラ31に従動して回転ローラ31とともに第1の偏光板21を回転させる従動ローラである。同様に、回転ローラ33は、駆動ローラである回転ローラ31に加圧され、回転ローラ31に従動して回転ローラ31とともに第2の偏光板22を回転させる従動ローラである。回転ローラ32,33は、回転軸を有する。回転ローラ32,33の回転軸は、ホルダ等の筐体に設けられ、回転可能に保持される。
【0032】
例えば、つまみ30を右に回転させた場合、つまみ30と一体となって回転ローラ31が右に回転するため、正面側から見た場合に、第1の偏光板21は右に回転し、第2の偏光板22は左に回転する。また、つまみ30を左に回転させた場合、つまみ30と一体的に回転ローラ31が左に回転するため、正面側から見た場合に、第1の偏光板21は左に回転し、第2の偏光板22は右に回転する。
【0033】
第1の偏光板21と第2の偏光板22とが回転して、第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とが直交するように第1の偏光板21と第2の偏光板22とが位置したときに、第1の偏光板21から入射した直線偏光の光は、電圧を印加しない状態で液晶表示パネル100を通過する際に90度旋光され、光の振動方向が第2の偏光板22の偏光軸と一致するため、第2の偏光板22を透過する。したがって、電圧を印加しない状態で白く表示されるポジティブ表示(ノーマリホワイト)となる。例えば、第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とが平行であるネガティブ表示の状態からつまみ30を回転させることにより、第1の偏光板21を右に45度回転させ、同時に第2の偏光板22を左に45度回転させると、第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とは相対的に直交する。
【0034】
また、第1の偏光板21と第2の偏光板22とが回転して、第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とが平行になるように第1の偏光板21と第2の偏光板22とが位置したときに、第1の偏光板21から入射した直線偏光の光は、電圧を印加しない状態で液晶表示パネル100を通過する際に90度旋光され、光の振動方向が第2の偏光板22の偏光軸と直交するため、第2の偏光板22で吸収される。したがって、電圧を印加しない状態で黒く表示されるネガティブ表示(ノーマリブラック)となる。例えば、第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とが直交するポジティブ表示の状態からつまみ30を回転させることにより、第1の偏光板21を右に45度回転させ、同時に第2の偏光板22を左に45度回転させると、第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とは平行となる。
【0035】
したがって、第1の偏光板21と第2の偏光板22とをそれぞれ逆方向に45度回転させることにより、第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とが平行または垂直になるため、ポジティブ表示とネガティブ表示とが切り替えられる。第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とが、平行であることまたは垂直であることは、液晶表示装置の画面の明るさに基づいて判断することができる。また、各偏光板の側面に、第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とが平行または垂直であることを示す目印を設けてもよい。さらに、第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とが直交するように第1の偏光板21と第2の偏光板22とが位置したときに回転ローラ31の回転を止めさせるようなストッパ部材と、第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とが平行になるように第1の偏光板21と第2の偏光板22とが位置したときに回転ローラ31の回転を止めさせるようなストッパ部材とを設けてもよい。
【0036】
なお、上記の実施の形態では、第1の偏光板21および第2の偏光板22を、互いに別方向に回転させる場合を例示したが、どちらか一方のみを回転させてもよい。例えば、第1の偏光板21のみを回転させる場合、回転ローラ31は、第1の偏光板21のみと接触して設けられる。この場合には、例えば、第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とが平行であるネガティブ表示の状態からつまみ30を回転させることにより、第1の偏光板21を90度回転させさせると、第1の偏光板21の偏光軸と第2の偏光板22の偏光軸とは相対的に直交し、ポジティブ表示となる。
【0037】
また、上記の実施の形態において、パッシブ駆動のTNモードの液晶表示装置を用いてもよいし、STN(Super Twisted Nematic )モードの液晶表示装置を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、液晶表示装置に適用でき、例えば、周囲環境に応じて表示モードを切り替えたいという用途に用いられる液晶表示装置に効果的に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による液晶表示装置を示す斜視図。
【図2】図1におけるA−A断面を示す断面図。
【図3】一般的な液晶表示装置の例を示す断面図。
【図4】一般的な液晶表示装置の例を示す正面図。
【符号の説明】
【0040】
100 液晶表示パネル
101 透明基板
102 透明基板
132 液晶駆動ケーブル
21 第1の偏光板
22 第2の偏光板
30 つまみ
40 段付き回転ローラ
50 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルの下部に第1の偏光板が設けられ、上部に第2の偏光板が設けられた液晶表示装置において、
前記第1の偏光板もしくは前記第2の偏光板を、または前記第1の偏光板および前記第2の偏光板を回転させて、前記第1の偏光板の偏光軸と前記第2の偏光板の偏光軸とが成す角度を変更する回転機構を備えた
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
回転機構は、第1の偏光板と第2の偏光板との間に設けられ、前記第1の偏光板および前記第2の偏光板と接触し、回転駆動されることにより前記第1の偏光板と前記第2の偏光板とをそれぞれ別方向に回転させる駆動ローラを含む
請求項1に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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