説明

液晶表示装置

【課題】バックライトのフレームと液晶パネルの隙間から漏れる光を防止し、表示品位を向上させる。
【解決手段】バックライトのフレームと液晶パネルの4辺の隙間の少なくとも1辺に、遮光性樹脂を配置する構成とした。従って、バックライトのフレームと液晶パネルの隙間から光が照射する「光漏れ」を解消し、液晶表示装置の表示品位を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルとバックライトを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などのモバイル通信端末の表示画面は大画面化が進んでいる。タッチパネルを備えたモバイル通信端末機種も増えている。これらに用いられる表示装置には液晶表示装置が多く用いられており、大画面の特徴を生かすために表示画面以外の領域を減らす手法が求められている。
【0003】
従来の液晶表示装置の拡大断面図を図6に示す。液晶パネル1は、上偏光板11、上ガラス12、下ガラス13、下偏光板14から構成されている。バックライト2は導光板18の上方に輝度上昇フィルム15、16、拡散板17が配置され、導光板18の下方に反射板19が配置されている。図示しないが、導光板18の側面にはLEDなどの光源が配置されている。バックライト2の各部材はフレーム3によって保持されており、液晶パネル1とバックライト2は遮光両面テープ4によって接着されている。遮光両面テープ4は中央部には開口があり、開口部がバックライト2の発光エリアとなる。一般的には、遮光両面テープ4の線幅を狭くして、小型かつ大画面化を実現している(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3322579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な液晶表示装置では、光源から出射した光は導光板18の内部を導波し、導光板18の内部に形成された反射構造体によって液晶パネル1側へ出射される。しかし、一部の光は液晶パネル1側へ照射されずに、導光板18の端面から出射する。導光板18の端面から出射した光20は、液晶パネル1とフレーム3の隙間から出射する。この光20は液晶パネル1を通過しないため、表示画面に比べて輝度が高く、光が漏れているように見える。この「光漏れ」が発生すると表示品位を大きく低下することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては、上記の課題を解決するために以下の構成とした。
液晶パネルとバックライトから成る液晶表示装置において、バックライトのフレームと液晶パネルの隙間に遮光性樹脂を配置する構成とした。
【0007】
さらに、バックライトのフレームには遮光性樹脂が液晶パネルへ浸透しないように凹部を形成した。
さらに、バックライトのフレームには遮光性樹脂を流し込むための傾斜壁を形成した。
さらに、遮光性樹脂は黒色や銀色の顔料を含むシリコン樹脂とした。
さらに、遮光性樹脂を別の樹脂にて被覆する構成とした。
さらに、遮光性樹脂の代わりに遮光性材料を凹部に配置し、樹脂にて被覆する構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フレームと液晶パネルの隙間から漏れ光が発生せず、表示品位の高い液晶表示装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の液晶表示装置を説明する正面図である。
【図2】実施例1の液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【図3】実施例2の液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【図4】実施例3の液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【図5】実施例4の液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【図6】従来の液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の液晶表示装置は、液晶パネルとバックライトがフレームに収納された構成である。液晶パネルの端部とフレームとの間に、バックライトから漏れる光を遮光する遮光材が設けられている。さらに、フレームに凹部を設け、この凹部に遮光材を収納することとした。遮光材として遮光性樹脂を用い、凹部に遮光性樹脂を充填することとした。あるいは、遮光材として遮光体を用い、凹部に遮光体を配置し、遮光体を覆うように樹脂を設けてもよい。
また、フレームの内壁を傾斜壁とし、傾斜壁と液晶パネルの間に遮光性樹脂を設けてもよい。
以下、本発明に係る実施例を、図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は実施例1の液晶表示装置を説明する正面図である。図1(a)は液晶表示装置、図1(b)は液晶パネル、図1(c)はバックライトの正面図である。液晶表示装置はバックライト2と液晶パネル1を組み合わせたものである。バックライト2のフレーム3内に液晶パネル1が収納される。バックライト2の最表面に遮光両面テープ4が配置され、遮光両面テープ4によって液晶パネル1とバックライト2が接着される。バックライト2には、図示しないLEDなどの光源が配置されている。LEDはFPC5に実装され、遮光両面テープ4の下方に配置される。遮光両面テープ4は中央部には開口があり、この開口がバックライト2の発光エリアとなる。
【0012】
図2は、図1(a)中のAB断面で切断された液晶表示装置の部分拡大断面図である。液晶パネル1は、上偏光板11、上ガラス12、下ガラス13、下偏光板14から構成されている。バックライト2は導光板18の上方に輝度上昇フィルム15、16、拡散板17が配置され、導光板18の下方に反射板19が配置されている。バックライト2の各部材はフレーム3によって保持される。
【0013】
フレーム3と液晶パネル1の隙間には遮光性樹脂6が配置される。遮光性樹脂6は液晶パネル1とバックライト2を組み合わせた後に塗布される。遮光性樹脂6の塗布量が少ないと遮光性が低下する。また、塗布量が多いと液晶パネル1やバックライト2への廻り込む恐れがあるため、ディスペンサなどを用いて、適量のみ塗布されることが望ましい。
【0014】
遮光性樹脂6は、熱硬化性樹脂やUV硬化性樹脂よりも自然硬化性樹脂を用いるのが望ましい。熱硬化性樹脂を用いる場合は60度以下の比較的低温にて硬化する樹脂を選択することが望ましい。遮光性樹脂6は遮光性を高めるために黒色や銀色の顔料を含む。遮光性を高めることができれば、色は限定されるものではない。遮光性樹脂6は、比較的粘度の高いシリコン樹脂を基材とすることが望ましい。粘度の高い樹脂を用いることで塗布領域、塗布量の制御が容易となる。
【0015】
フレーム3と液晶パネル1の隙間に遮光性樹脂6を配置することを述べたが、液晶表示装置の4辺ともに配置しても良いし、特に光漏れの強い辺にのみ遮光性樹脂6を配置しても良い。
【実施例2】
【0016】
図3は、実施例2の液晶表示装置を説明する部分拡大断面図である。実施例1と同一の構成要素については同一の記号を付して、説明を省略する。
【0017】
フレーム3と液晶パネル1の隙間に遮光性樹脂6を配置している。フレーム3には、遮光性樹脂6が液晶パネル1やバックライト2へ廻り込まないように凹部8が形成される。凹部8は、フレーム3の液晶パネル1が接着される面に形成される。凹部8は液だまりとしての効果があり、遮光性樹脂6は一旦、凹部8に貯まる。遮光性樹脂6が急激に液晶パネル1およびバックライト2側へ流れ込むことを防止する。
【0018】
さらに、フレーム3には傾斜壁7が形成される。遮光性樹脂6は傾斜壁7を伝って塗布される。傾斜壁7を形成することで遮光性樹脂6を塗布する際の「液はね」を防止する。「液はね」とは、樹脂を高い位置から滴下した際の飛散現象のことである。フレーム3に傾斜壁7と凹部8を形成することで遮光性樹脂6の塗布を制御することが容易となる。傾斜壁7の角度は垂直な面から30度から60度で設定されることが望ましい。凹部8の形状は図3に示したものに限定されることなく、遮光性樹脂6を貯める効果がある形状であれば良い。
【0019】
傾斜壁7および凹部8はフレーム3の形成時に射出成形などによって同時に形成することができる。フレーム3には、ポリカーボネートやポリスチレンなどの成形性の良い樹脂が選択される。
【実施例3】
【0020】
図4は、実施例3の液晶表示装置を説明する部分拡大断面図である。他の実施例と同一の構成要素については同一の記号を付して、説明を省略する。
【0021】
傾斜壁7を伝って、凹部8に遮光性樹脂6を塗布する。遮光性樹脂6は光漏れを防止する量があれば良く、フレーム3と液晶パネル1の隙間をすべて埋めなくても良い。遮光性樹脂6を塗布した上に、樹脂9を塗布して、フレーム3と液晶パネル1の隙間を埋める。樹脂9は遮光性樹脂6に比べて線膨張係数が小さく、安価なものを選択する。樹脂9の色は限定されることなく、透明でも良いし、白色、黒色などの着色があっても良い。
【実施例4】
【0022】
図5は、実施例4の液晶表示装置を説明する部分拡大断面図である。他の実施例と同一の構成要素については同一の記号を付して、説明を省略する。
【0023】
ここでは、遮光性樹脂6の代わりに遮光性材料10を用いて、光漏れを防止する。球体もしくはシリンダ形状の遮光性材料10を凹部8に配置し、上から樹脂9を用いて、固定する。遮光性樹脂6を用いる場合は、塗布量の制御および硬化が必要となるが、遮光性材料10を用いる場合には、塗布量制御および硬化が不要である。製品毎の光漏れのばらつきを小さくすることができる。遮光性材料10はシリコン樹脂などの弾力のある樹脂にて形成されていることが望ましい。このようにすることで、液晶パネル1やバックライト2を傷付けることなく配置でき、凹部8にも収まり易い。
【産業上の利用可能性】
【0024】
液晶表示装置を備えた、モバイル通信機器などの電子機器に適応できる。
【符号の説明】
【0025】
1 液晶パネル
2 バックライト
3 フレーム
4 遮光両面テープ
5 FPC
6 遮光性樹脂
7 傾斜壁
8 凹部
9 樹脂
10 遮光性材料
11 上偏光板
12 上ガラス
13 下ガラス
14 下偏光板
15 輝度上昇フィルム
16 輝度上昇フィルム
17 拡散板
18 導光板
19 反射板
20 漏れ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと
背面から前記液晶パネルを照射するバックライトと、
前記バックライトと液晶パネルを収納するフレームと、
前記液晶パネルの端部と前記フレームとの間に設けられた遮光性樹脂を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記フレームの前記液晶パネルと接着する面に前記遮光性樹脂を貯める凹部が形成された請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記フレームの内壁が傾斜壁であり、該傾斜壁と前記液晶パネルの間に前記遮光性樹脂が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記遮光性樹脂を被覆するように樹脂層が形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記遮光性樹脂が自然硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−215621(P2012−215621A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79141(P2011−79141)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】