説明

液晶表示装置

【課題】白表示と黒表示の品質を向上した反射型表示パネルの実現。
【解決手段】対向する面に透明電極13,14が形成された2枚の基板11,12を有し、基板間に液晶材料を充填した液晶表示パネル10と、透明電極に電圧を印加することにより透明電極間の前記液晶材料に電圧を印加する駆動回路41,42と、表示画像に応じて駆動回路を制御する制御回路61と、液晶表示パネルの温度を検出する温度センサ63と、を備え、制御回路は、検出した温度が所定温度以下の場合に、駆動回路を制御して対向する透明電極間に交流信号を印加する加熱処理を行い、検出した温度が所定温度以上になった後に、表示画像に応じて駆動回路を制御して、液晶材料を表示画像に応じた状態にする表示書き込み処理を行う液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、2枚の透明基板上に透明電極を形成し、透明電極が対向するように配置し、基板間に液晶材料を充填した液晶表示パネルを有する。駆動回路により透明電極に電圧を印加することにより、透明電極間の液晶材料に電圧を印加して液晶の配向状態を変化させて表示を行う。駆動回路には制御回路から表示画像に応じた信号が供給され、駆動回路は供給された信号に応じて各電極に電圧を印加する。一般に、液晶材料の分極を防止するため、駆動回路は、透明電極間に正負の電圧、すなわち交流電圧を印加するのが一般的である。
【0003】
液晶材料は、印加電圧に応じて配向状態が変化する必要があり、画像表示が可能な粘度の範囲がある。液晶材料の粘度は、温度により変化し、温度が高いと粘度が低下し、温度が低いと粘度が上昇する。言い換えれば、液晶表示装置は、液晶材料の粘度により、使用可能な温度範囲が規制される。
【0004】
動画表示に使用される液晶表示装置は、室内等の通常の使用環境であれば、使用可能な温度範囲になるように設計されており、使用可能な温度範囲が問題になることは稀である。また、屋外等で使用される動画表示用液晶表示装置は、低温の環境で使用される場合には、液晶表示装置の裏面等にシート状の抵抗体であるシートヒータを設け、シートヒータに通電して発熱させることにより液晶表示パネルを加熱することが行われる。
【0005】
一方、低消費電力の表示装置として、電子ペーパーが考えられている。電子ペーパーは、電源無しに画像を保持できるため、低消費電力であるともに、反射型の表示装置であるため、屋外での利用においては、従来の発光型の表示に比べで明るい画像表示が可能という特徴を持つ。
【0006】
電子ペーパーの材料としては、各種の材料が提案されているが、そのうちのコレステリック液晶材料は、反射型表示パネルに使用され、積層することにより明るいカラー表示を実現できるものである。コレステリック液晶材料も液晶材料であり、温度により粘度が変化し、低温になると粘度が上昇して表示輝度が低下する。この変化を少なくするように駆動電圧を高める等の駆動方法の制御が提案されているが、さらに低温となると、液晶自身が動かなくなるため、駆動不可能となる。コレステリック液晶材料を含む電子ペーパーは、屋外で利用する場合も想定され、環境温度にかかわらず、表示可能であることが要望されている。
【0007】
これらの対策として、上記のように、ヒータを裏面に入れることで対応できるが、部材追加のコストアップに加え、裏面から液晶層までの熱伝達には時間がかかるため、常時、発熱状態を保つ必要があり、低消費電力化が難しいという問題があった。
【0008】
また、液晶材料を利用した素子では、透明電極を発熱体として利用することも検討されている。透明電極を形成する材料は、導電体であり、素子の機能の点では、透明電極の一端に電圧を印加することにより、透明電極の全面に同じ電圧が印加されることが望ましく、透明電極の一端は駆動回路の出力に接続されている。しかし、透明電極を形成する材料は、金属などに比べて抵抗が大きいため、透明電極の両端間にはある程度の抵抗が存在するため、両端に電圧を印加することにより、透明電極に電流が流れ発熱する。この発熱を利用して素子を加熱する。しかし、このような加熱を行うためには、透明電極の両端間に電圧を印加する必要がある。透明電極の他端に電圧を印加する駆動回路が別に必要であり、構成が複雑になるためコストアップとなる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−20028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実施形態によれば、低温でも動作する液晶表示装置が、簡単な構成で実現できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点によれば、対向する面に透明電極が形成された2枚の基板を有し、基板間に液晶材料を充填した液晶表示パネルと、透明電極に電圧を印加することにより、透明電極間の液晶材料に電圧を印加する駆動回路と、表示画像に応じて駆動回路を制御する制御回路と、液晶表示パネルの温度を検出する温度センサと、を備え、制御回路は、温度センサの検出した温度が所定温度以下の場合に、駆動回路を制御して対向する透明電極間に交流信号を印加する加熱処理を行い、温度センサの検出した温度が所定温度以上になった後に、表示画像に応じて駆動回路を制御して、液晶材料を表示画像に応じた状態にする表示書き込み処理を行う液晶表示装置、が提供される。
【発明の効果】
【0012】
実施形態によれば、制御を変更するだけで低温でも動作可能な液晶表示装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態のコレステリック液晶を用いた液晶表示装置の概略構成を示す図である。
【図2】図2は、実施形態で使用される表示パネルの断面構造を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態における加熱処理を説明する図であり、(A)は走査電極駆動回路およびデータ電極駆動回路から走査電極およびデータ電極への電圧印加経路を、(B)は電極間の電圧印加を示す上面図であり、(C)は電極間の電圧印加を示す断面図である。
【図4】図4は、第1実施形態で、切替信号、走査電極に印加される電圧、データ電極に印加される電圧、液晶層に印加される電圧、および電極に流れる電流を示す図である。
【図5】図5は、パネルで、全ての走査電極およびデータ電極間に矩形交流電圧を30秒印加した時の温度上昇量を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態の液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、第2実施形態で、切替信号、走査電極に印加される電圧、データ電極に印加される電圧、および液晶層に印加される電圧を示す図である。
【図8】図8は、第2実施形態の液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第3実施形態の加熱処理における、電源から走査電極駆動回路およびデータ電極駆動回路を経て走査電極およびデータ電極への電圧印加経路を示すである。
【図10】図10は、第3実施形態で、切替信号、走査電極に印加される電圧、データ電極に印加される電圧、および液晶層に印加される電圧を示す図である。
【図11】図11は、第3実施形態の液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】図12は、コレステリック液晶の状態変化を示す図である。
【図13】図13は、第4実施形態の液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施形態のコレステリック液晶を用いた液晶表示装置の概略構成を示す図である。実施形態の液晶表示装置は、コレステリック液晶材料を用いた表示パネル10と、走査(コモン)電極駆動回路41と、データ(セグメント)電極駆動回路42と、制御回路61と、電源62と、表示パネル10に接触して設けた温度センサ63と、を有する。
【0015】
また、図2は、実施形態で使用される表示パネル10の断面構造を示す図である。
【0016】
まず、図1および図2を参照して、コレステリック液晶材料を用いた表示パネル10およびそれを使用した表示装置の概略構成を説明する。
【0017】
表示パネル10は、コレステリック液晶を用いた表示パネルを3枚積層し、裏面側に光吸収層15を設け、観察面側に透明粘着層18で表面側機能層50を接着した構成を有する。表面側機能層50は、AG(Anti Glare)層やAR(anti-reflection)層および保護膜として機能する。
【0018】
積層した3枚のパネルは、同じ構成を有し、反射主波長が、それぞれ480nm(青色)、550nm(緑色)および650nm(赤色)であることが異なる。3枚のパネルは、観察側から順に青色パネル、緑色パネルおよび赤色パネルの順に積層される。
【0019】
図1は、表示パネル10を基板に垂直な方向から見た場合を示している。上記のように、3枚のパネルは、反射波長以外は同じ構成を有するので、図1においては、パネルの各部を、B,G,Rを付さない参照符号で共通に示しており、共通の要素についてはB,G,Rを付さずに説明する。
【0020】
表示パネル10は、複数の平行な走査(コモン)電極13を形成した上側基板11と、複数の平行なデータ(セグメント)電極14を形成した下側基板12を、電極が対向するように配置し、基板間に液晶を充填した構造を有する。
【0021】
複数の走査電極13と複数のデータ電極14は、透明電極で、基板に垂直な方向から見た場合に、直交するように配置され、走査電極13とデータ電極14が交差する領域が画素領域になる。したがって、複数の画素電極はマトリクス状に配置される。上側基板11と下側基板12の間に、画素領域を囲むようにシール材16が設けられ、シール材16で囲まれた内部空間にコレステリック液晶材料が充填され、液晶層17が形成される。参照番号20は、シール材16で囲まれた内部空間にコレステリック液晶材料を充填するための注入口であり、コレステリック液晶材料の注入後に封止される。
【0022】
液晶層17の厚さ(セルギャップ)を均一に保持するため、樹脂製または無機酸化物製の球状スペーサを表示面の全面に散布することが行われるが、格子状の柱状スペーサが設けられる場合もある。液晶層17のセルギャップdは2μm≦d≦8μmの範囲であることが好ましい。セルギャップdがこの範囲より小さいとプレーナ状態での液晶層17の反射率が低くなり、この範囲より大きいと駆動電圧を高くする必要がある。
【0023】
走査(コモン)電極駆動回路41は、例えばTCP(テープキャリアパッケージ)構造の汎用のSTN用ドライバICなどを搭載し、複数の走査電極13を駆動する。走査電極駆動回路41の出力端子は、フレキシブル回路に形成された配線43により、複数の走査電極13に接続される。データ(セグメント)電極駆動回路42は、TCP構造の汎用のSTN用ドライバICなどを搭載し、複数のデータ電極14を駆動する。データ電極駆動回路42の出力端子は、フレキシブル回路に形成された配線44により、複数のデータ電極14に接続される。走査電極駆動回路41およびデータ電極駆動回路42は、制御回路61によりに制御され、電源62から電極に印加する電源電圧が供給される。3枚のパネルに応じて、3個の走査電極駆動回路41を設けることも可能であるが、1個の走査電極駆動回路41を設け、3枚のパネルの走査電極13を共通に駆動することも可能である。
【0024】
温度センサ63は、サーミスタ等で実現され、パッシブ型でもアクティブ型でもよい。温度センサ63は、表示パネル10の上側基板11に接触して設けられるが、液晶層17の近辺であることが望ましい。
【0025】
また、上側基板11にデータ電極14を形成し、下側基板12に走査電極13を形成する変形例も可能である。
【0026】
液晶材料は、ネマティック液晶混合物にカイラル材を10〜40重量%添加したコレステリック液晶である。カイラル材0添加率は、ネマティック液晶成分とカイラル材との合計量を100重量%とした時の値である。ネマティック液晶成分とカイラル材との配合比により、反射する光の色や、その他の各種特性が決定される。
【0027】
ネマティック液晶成分としては、公知のものを用いることができるが、液晶層22の駆動電圧を比較的低くするには、誘電率異方性Δεが20≦Δε≦50であることが望ましい。また、コレステリック液晶の屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.24であることが望ましい。屈折率異方性Δnがこの範囲より小さいと、プレーナ状態での液晶層17の反射率が低くなる。一方、屈折率異方性Δnがこの範囲より大きいと、フォーカルコニック状態での液晶層17の散乱反射が大きくなり、さらに粘度も高くなるため応答速度が低下する。
【0028】
上側基板11および下側基板12は、透明基材で形成される。このような基板としては、ガラスまたは樹脂基材を挙げることができる。例えば、石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラス基材、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリサルフォン(PSF)、ゼオノア、ゼオネックス(以上日本ゼオン製)、アートン(JSR製)といった製品銘柄に代表されるシクロオレフィン系樹脂類を使用することができる。
【0029】
走査電極13およびデータ電極14は、公知の材料で形成でき、例えばインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide;ITO)が代表的であるが、その他インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide;IZO)、酸化錫等の酸化物系の透明導電膜、細長い繊維状にした銀などの金属を網目構造に配した電極、アルミニウムあるいはシリコン等の金属電極を用いることができる。
【0030】
また、コレステリック液晶を反射層に用いた表示パネルの場合は、透明電極の上に機能膜として、それぞれ絶縁膜や液晶分子の配列を制御するための配向膜(いずれも不図示)がコーティングされていることが好ましい。絶縁膜は、対向する電極間の短絡を防止したり、ガスバリア層として表示パネルの信頼性を向上させたりする機能を有している。また、配向膜には、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびアクリル樹脂等の有機膜や、酸化シリコン、酸化アルミニウム等の無機材料を用いることができる。
【0031】
実施形態の表示パネル10では、液晶層17は、走査電極13とデータ電極14間に電圧を印加することにより、画素ごとに、入射光を反射するプレーナ状態や入射光を透過するフォーカルコニック状態など、明るさを自由に設定することができる。
【0032】
したがって、図2に示すように、青色パネルは、複数の平行な走査電極13Bを形成した上側基板11Bと、複数の平行なデータ電極14Bを形成した下側基板12Bを対向して配置し、基板間に液晶を充填して液晶層17Bを形成した構造を有する。上側基板11Bと下側基板12Bの間に、画素領域を囲むようにシール材16Bが設けられ、シール材16Bで囲まれた内部空間にコレステリック液晶材料が充填され、青色用液晶層17Bが形成される。
【0033】
同様に、緑色パネルは、複数の平行な走査電極13Gを形成した上側基板11Gと、複数の平行なデータ電極14Gを形成した下側基板12Gを対向して配置し、基板間に液晶を充填して液晶層17Gを形成した構造を有する。上側基板11Gと下側基板12Gの間に、画素領域を囲むようにシール材16Gが設けられ、シール材16Gで囲まれた内部空間にコレステリック液晶材料が充填され、緑色用液晶層17Gが形成される。
【0034】
さらに、赤色パネルは、複数の平行な走査電極13Rを形成した上側基板11Rと、複数の平行なデータ電極14Rを形成した下側基板12Rを対向して配置し、基板間に液晶を充填して液晶層17Rを形成した構造を有する。上側基板11Rと下側基板12Rの間に、画素領域を囲むようにシール材16Rが設けられ、シール材16Rで囲まれた内部空間にコレステリック液晶材料が充填され、赤色用液晶層17Rが形成される。
【0035】
青色パネル、緑色パネルおよび赤色パネルは、反射状態にすることにより、それぞれ青色、緑色、赤色の反射スペクトルを呈し、それぞれの反射主波長は、480nm(青色)、550nm(緑色)および650nm(赤色)である。
【0036】
1層目の青色パネルと2層目の緑色パネルは、接着機能を有する青カットフィルタ21で接着される。2層目の緑色パネルと3層目の赤色パネルは、接着機能を有する緑カットカットフィルタ22で接着される。
【0037】
以上、コレステリック液晶を用いた表示パネルおよび表示装置の概略構成を説明したが、このような表示パネルおよび表示装置の構成および動作については、温度センサを除けば広く知られているので、これ以上の説明は省略する。
【0038】
実施形態の液晶表示装置は、表示画面を書換える時には、制御回路61が外部から供給される画像データを受信し、画像データに応じて生成した制御信号を、走査電極駆動回路41、データ電極駆動回路42および電源62に供給し、表示書き込み処理を行う。表示書き込み処理は、これまで知られている方法で実現できる。実施形態の液晶表示装置は、表示書き込み処理を行う前に、温度センサ63により表示パネル10の温度を検出し、検出した温度が所定値より高ければ、これまでと同様に表示書き込み処理を行う。検出した温度が所定値より低ければ加熱処理を行う。そして、実施形態の液晶表示装置は、加熱処理により表示パネル10の温度が所定値より高くなった後に、表示書き込み処理を行う。
【0039】
図3は、第1実施形態における加熱処理を説明する図であり、(A)は走査電極駆動回路41およびデータ電極駆動回路42から走査電極13およびデータ電極14への電圧印加経路を、(B)は電極間の電圧印加を示す上面図であり、(C)は電極間の電圧印加を示す断面図である。
【0040】
各画素は、走査電極13とデータ電極14の間に液晶材料が充填された構成を有し、コンデンサとして機能し、コンデンサの基板間に交流信号を印加すると、通電可能であることが知られている。実施形態では、走査電極13とデータ電極14に交流電電圧を印加して通電することにより、走査電極13およびデータ電極14に交流電流を通電する。
【0041】
図3の(A)に示すように、走査電極駆動回路41は、オン・オフを指示するオン・オフ信号を順にシフトするシフトレジスタ45と、シフトレジスタ45の出力に応じて供給される10Vと−10Vのいずれかを選択して各走査電極13に印加するドライバ46の列と、を有する。同様に、データ電極駆動回路42も、シフトレジスタ47と、ドライバ48の列と、を有する。一般に、走査電極駆動回路41およびデータ電極駆動回路42は、汎用のICで実現される。
【0042】
図3の(A)に示すように、シフトレジスタ45にオン・オフ信号として切替信号を、シフトレジスタ47にオン・オフ信号として切替信号の反転信号を入力する。シフトレジスタ45のレジスタがすべて切替信号に、シフトレジスタ47のレジスタがすべて切替信号の反転信号にセットされた状態で、シフトレジスタ45および47がレジスタの値を出力する。これに応じて、ドライバ46とドライバ48は、それぞれ10Vと−10Vを選択して出力する。これにより、各画素の液晶層に20Vの電圧が印加される。ドライバ46とドライバ48が出力を維持している間に、切替信号の極性を切り替えて上記と同じ動作を行うと、シフトレジスタ45および47のレジスタの値がすべて逆になる。シフトレジスタ45および47のレジスタの値を出力すると、ドライバ46とドライバ48は、それぞれ−10Vと10Vになり、前回と反転した電圧を出力する。これにより、各画素の液晶層に−20Vの電圧が印加される。以上の動作を繰り返すことにより、各画素の液晶層に20Vと−20Vの電圧が交互に印加される。
【0043】
これは、図3の(B)および(C)に示すように、走査電極駆動回路41およびデータ電極駆動回路42が、走査電極13とデータ電極14とその間に充填された液晶層17とからなるコンデンサに交流信号を印加することに相当する。
【0044】
図4の(A)から(E)は、切替信号、走査電極13に印加される電圧、データ電極14に印加される電圧、液晶層17に印加される電圧、および電極に流れる電流を示す。
【0045】
図4の(A)に示すように、切替信号はデジタル信号であり、1と0の間で変化する。図4の(B)から(D)に示すように、走査電極13に印加される電圧、データ電極14に印加される電圧、および液晶層17に印加される電圧は、矩形波状に変化する。図4の(E)に示すように、電極に流れる電流は、液晶層17に印加される電圧の変化エッジで変化し、その後徐々にゼロレベルに変化する。
【0046】
前述のように、透明電極はある程度の抵抗を有するので、図4の(E)に示すような電流が流れることにより発熱し、それにより液晶層17の温度、さらには基板11および12などの温度が上昇する。
【0047】
図5は、実際のパネルで、全ての走査電極およびデータ電極間に矩形交流電圧を30秒印加した時の温度上昇量を示す。印加する電圧は、5V、10V、15V、20V(±10V)に変化させ、Xは1kHzで切り替えた場合を、Yは10kHzで切り替えた場合を、それぞれ示す。電圧と周波数を変えると、温度上昇量が変わることがわかる。温度を急に高めたいときには、10kHz程度の高周波数で20Vの矩形交流電圧を加えることで所望の温度変化が実現できる。
【0048】
第1実施形態であれば、温度センサ63を設けるだけで、これまでの一般的なコレステリック液晶を用いた液晶表示装置で、ハードウエアはほとんど変更せずに、シーケンスのみを変更して実現可能であり、部材の追加によりコストアップは生じない。
【0049】
図6は、第1実施形態の液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。
【0050】
ステップS10では、制御回路61が、書換える画像信号を外部から受信する。
【0051】
ステップS11では、制御回路61が、温度センサ63の検出するパネル10の温度Tを読み取る。
【0052】
ステップS12では、制御回路61が、検出した温度Tが、閾値温度T0より高いかを判定し、高ければステップS14に進み、低ければステップS13に進む。
【0053】
ステップS13では、図3で説明した加熱処理を所定時間行い、ステップS11に戻る。加熱処理により、パネル10の温度Tが上昇する。
【0054】
以下、検出した温度Tが、閾値温度T0より低い場合には、ステップS11からS13を繰り返し、温度Tが、閾値温度T0より高くなるとステップS14に進む。
【0055】
ステップS14では、これまでと同様に、表示する画像を書き込む表示書込処理を行う。
【0056】
コレステリック液晶を利用した液晶表示装置は、一旦表示する画像を書き込むと、走査電極駆動回路41およびデータ電極駆動回路42から走査電極13およびデータ電極14に電圧を印加しなくても表示を維持することが可能である。したがって、ステップS14の後、液晶表示装置はスリープモードに移行し、走査電極駆動回路41およびデータ電極駆動回路42への電源供給を停止して消費電力を低減することが望ましい。
【0057】
上記の加熱処理では、液晶層17に直接接触する透明電極(走査電極13およびデータ電極14)で発熱するため、液晶層17の温度を効率よく上昇させることができる。これにより、液晶層17の温度上昇のための消費電力を低減できる。
【0058】
一方、温度センサ63の配置位置によっては、液晶層17の温度上昇と温度センサ63の検出する温度Tの変化の間に時間遅れが生じる。そのため、液晶層17の温度が必要以上に上昇するという問題が発生する。液晶層17の温度が必要以上に上昇すると、液晶材料が劣化するという問題と、消費電力が増加するという問題が発生する。以下に説明する第2および第3実施形態では、パネル温度がほぼ一定となるように制御して、この問題を解決する。
【0059】
第2実施形態の液晶表示装置は、第1実施形態の液晶表示装置と同じハードウエア構成を有し、検出したパネル10の温度Tに応じて、加熱処理時に印加する交流信号の周波数を段階的に変化させることが異なる。図5に示したように、1kHzと10kHzの間であれば、交流信号の周波数が高いほど発熱量が多く、液晶層の温度上昇速度が速い。
【0060】
図7の(A)から(D)は、切替信号、走査電極13に印加される電圧、およびデータ電極14に印加される電圧、液晶層17に印加される電圧を示す。
【0061】
図7の(A)から(D)に示すように、最初の期間では、周波数の高い矩形波信号を液晶層に印加し、その後周波数の低い矩形波信号を液晶層に印加する。
【0062】
図8は、第2実施形態の液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。
【0063】
ステップS20では、制御回路61が、書換える画像信号を外部から受信する。
【0064】
ステップS21では、制御回路61が、温度センサ63の検出するパネル10の温度Tを読み取る。
【0065】
ステップS22では、制御回路61が、検出した温度Tが、第1閾値温度T10より高いかを判定し、高ければステップS24に進み、低ければステップS23に進む。
【0066】
ステップS23では、高い周波数f=f10で加熱処理を所定時間行い、ステップS21に戻る。加熱処理により、パネル10の温度Tが高速に上昇する。
【0067】
以下、検出した温度Tが、第1閾値温度T10より低い場合には、ステップS21からS23を繰り返し、温度Tが、第1閾値温度T10より高くなるとステップS24に進む。
【0068】
ステップS24では、制御回路61が、検出した温度Tが、第2閾値温度T11(T10<T11)より高いかを判定し、高ければステップS26に進み、低ければステップS25に進む。
【0069】
ステップS25では、比較的高い周波数f=f11(f11<f10)で加熱処理を所定時間行い、ステップS21に戻る。加熱処理により、パネル10の温度Tが比較的高速に上昇する。
【0070】
以下、検出した温度Tが、第1閾値温度T10より高いが、第2閾値温度T11より低い場合には、ステップS21、S22、S24およびS25を繰り返し、温度Tが、第2閾値温度T11より高くなるとステップS26に進む。
【0071】
ステップS26では、制御回路61が、検出した温度Tが、第3閾値温度T12(T11<T12)より高いかを判定し、高ければステップS28に進み、低ければステップS27に進む。
【0072】
ステップS27では、低い周波数f=f12(f12<f11)で加熱処理を所定時間行い、ステップS21に戻る。加熱処理により、パネル10の温度Tが低速で上昇する。
【0073】
以下、検出した温度Tが、第2閾値温度T11より高いが、第3閾値温度T12より低い場合には、ステップS21、S22、S24、S26およびS27を繰り返し、温度Tが、第3閾値温度T12より高くなるとステップS28に進む。
【0074】
ステップS28では、これまでと同様に、表示する画像を書き込む表示書込処理を行う。
【0075】
次に説明する第3実施形態の液晶表示装置は、第1実施形態の液晶表示装置とほぼ同じハードウエア構成を有し、検出したパネル10の温度Tに応じて、加熱処理時に印加する交流信号の電圧を段階的に変化させることが異なる。交流信号の電圧を段階的に変化させるため、電源62は、制御回路61からの電圧制御信号に基づいて、加熱処理時に走査電極駆動回路41およびデータ電極駆動回路42に供給する電圧を変化させる。例えば、第1および第2実施形態で供給した10Vと−10Vを最大電圧として、9Vと−9V、8Vと−8V、…という具合に段階的に変化させる。交流信号の電圧が高いほど発熱量が大きく、液晶層の温度上昇速度が速い。
【0076】
図9は、第3実施形態における加熱処理における、電源62から、走査電極駆動回路41およびデータ電極駆動回路42を経て、走査電極13およびデータ電極14への電圧印加経路を示す図である。
【0077】
電源62は、加熱処理時に走査電極駆動回路41に供給する2種類の電圧を出力する出力回路65および66と、データ電極駆動回路42に供給する2種類の電圧を出力する出力回路67および68と、を有する。出力回路65および67が高電位側の電圧を、出力回路66および68が低電位側の電圧を、それぞれ出力する。出力回路65から68は、それぞれ制御回路61からの電圧制御信号に基づいて、出力する電圧を変化させることができる。これは、例えば、複数の異なる電圧を供給するサブ電源を用意しておき、出力回路65から68を形成するスイッチなどが、電圧制御信号に基づいていずれかの電源を選択することにより実現できる。また、出力回路65から68を降圧量の異なる複数の降圧回路で構成して、電圧制御信号に基づいて降圧回路のいずれかを動作させるようにしてもよい。
【0078】
図10の(A)から(D)は、切替信号、走査電極13に印加される電圧、およびデータ電極14に印加される電圧、液晶層17に印加される電圧を示す。
【0079】
図10の(A)から(D)に示すように、最初の期間では、電圧の高い矩形波信号を液晶層に印加し、その後液晶層に印加する電圧を段階的に減少させる。なお、図10では、図示の都合で矩形波信号の1周期ごとに電圧が変化するように示しているが、実際には複数周期ごとに電圧が変化することが望ましい。
【0080】
図11は、第3実施形態の液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。
【0081】
ステップS30では、制御回路61が、書換える画像信号を外部から受信する。
【0082】
ステップS31では、制御回路61が、温度センサ63の検出するパネル10の温度Tを読み取る。
【0083】
ステップS32では、制御回路61が、検出した温度Tが、第1閾値温度T10より高いかを判定し、高ければステップS34に進み、低ければステップS33に進む。
【0084】
ステップS33では、高い電圧V=V10で加熱処理を所定時間行い、ステップS31に戻る。加熱処理により、パネル10の温度Tが高速に上昇する。
【0085】
以下、検出した温度Tが、第1閾値温度T10より低い場合には、ステップS31からS33を繰り返し、温度Tが、第1閾値温度T10より高くなるとステップS34に進む。
【0086】
ステップS34では、制御回路61が、検出した温度Tが、第2閾値温度T11(T10<T11)より高いかを判定し、高ければステップS36に進み、低ければステップS35に進む。
【0087】
ステップS35では、比較的高い電圧V=V11(V11<V10)で加熱処理を所定時間行い、ステップS31に戻る。加熱処理により、パネル10の温度Tが比較的高速に上昇する。
【0088】
以下、検出した温度Tが、第1閾値温度T10より高いが、第2閾値温度T11より低い場合には、ステップS31、S32、S34およびS35を繰り返し、温度Tが、第2閾値温度T11より高くなるとステップS36に進む。
【0089】
ステップS36では、制御回路61が、検出した温度Tが、第3閾値温度T12(T11<T12)より高いかを判定し、高ければステップS38に進み、低ければステップS37に進む。
【0090】
ステップS37では、低い電圧V=V12(V12<V11)で加熱処理を所定時間行い、ステップS31に戻る。加熱処理により、パネル10の温度Tが低速で上昇する。
【0091】
以下、検出した温度Tが、第2閾値温度T11より高いが、第3閾値温度T12より低い場合には、ステップS31、S32、S34、S36およびS37を繰り返し、温度Tが、第3閾値温度T12より高くなるとステップS38に進む。
【0092】
ステップS38では、これまでと同様に、表示する画像を書き込む表示書込処理を行う。
【0093】
図2に示したように、コレステリック液晶を利用する反射型カラー液晶表示装置では、3枚のパネルが積層されている。第1から第3実施形態で説明した加熱処理は、初期温度が閾値温度より低い場合には、3枚のパネルのすべてで加熱処理を行うことが、表示画像の書き込み処理を開始するまでの時間を短縮する上で望ましい。
【0094】
コレステリック液晶は、表示画像の書き込み処理が終了した後は、走査電極13およびデータ電極14に電圧を印加しなくても表示を維持できるという特徴を有する。そのため、表示書き込み処理が終了した後は、省電力の観点からは、走査電極駆動回路41およびデータ電極駆動回路42への電源供給を停止することが望ましい。
【0095】
しかし、加熱処理を行う場合、周囲の環境温度は、表示書き込み処理を開始する閾値温度より低いことが明らかである。そのため、加熱処理および表示書き込み処理が終了した後、走査電極駆動回路41およびデータ電極駆動回路42への電源供給を停止すると、表示パネルの温度は低下し、閾値温度より低く。この状態で再び表示画像を書換え場合、加熱処理が終了するまで表示書込み処理の開始が遅れることになる。
【0096】
次に説明する第4実施形態の液晶表示装置は、比較的短時間の周期で表示画像の書換えを行う場合に適した装置であり、加熱処理および表示書き込み処理が終了した後、表示パネルの温度を維持するための加熱処理を行う。
【0097】
コレステリック液晶を利用した表示装置では、画素ごとにコレステリック液晶を、入射光を反射するプレーナ状態と、入射光を透過するフォーカルコニック状態と、プレーナ状態およびフォーカルコニック状態にすることにより表示を行う。コレステリック液晶の状態を変化させるには、電圧を印加する。
【0098】
図12は、コレステリック液晶の状態変化を示す図である。図12では、所定時間電圧を印加する場合で、電圧を変化させた時の状態変化を示し、縦軸は液晶層の反射率である。図12において、Pは初期状態がプレーナ状態である場合の変化を、Fは初期状態がフォーカルコニック状態である場合の変化を、それぞれ示し、プレーナ状態は反射率が高く、フォーカルコニック状態は反射率が小さい。
【0099】
初期状態がプレーナ状態の場合、電圧V0より小さい電圧では、プレーナ状態が維持され、V0より電圧が大きくなるにしたがって反射率が低下し、さらに電圧が増加すると反射率が最小、すなわちフォーカルコニック状態になる。V1まではこの状態が維持され、V1以上では反射率が徐々に高くなり、V2以上では反射率が最高、すなわちプレーナ状態になる。一方、初期状態がフォーカルコニック状態の場合、V1までの電圧であれば反射率が最小の状態が維持され、V1以上では反射率が徐々に高くなり、V2以上では反射率が最高、すなわちプレーナ状態になる。反射率が最高と最小の中間の状態は、プレーナ状態とフォーカルコニック状態の液晶分子が混在した状態である。
【0100】
したがって、表示書き込み処理が終了した状態では、プレーナ状態、フォーカルコニック状態、およびそれらの混在した状態が存在する。図12から明らかなように、状態にかかわらず、V0以下の電圧は印加しても状態が変化しない。V0を視閾値電圧と称する。
【0101】
そこで、第4実施形態の液晶表示装置では、加熱処理および表示書き込み処理が終了した後、表示パネルの温度を維持するための加熱処理を視閾値電圧V0以下の電圧で行う。これにより、表示されている画像を変化させること無しに、加熱処理を行うことができる。なお、V0以下の電圧での加熱処理では、発熱量が小さいが、表示書き込み処理前の加熱処理によりパネルの温度は既に閾値温度以上であり、この状態が維持できれば良いので、発熱量が小さくても問題は生じない。
【0102】
なお、V0以下の電圧での加熱処理では発熱量が不足する場合には、透明電極のシート抵抗を高くするなどの対策を行うことが望ましい。ただし、透明電極のシート抵抗を高くすると、画素の位置により印加電圧が異なることになるので、それとのトレードオフを考慮して透明電極のシート抵抗を決定することが望ましい。
【0103】
図13は、第4実施形態の液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。
【0104】
ステップS40では、制御回路61が、書換える画像信号を外部から受信する。
【0105】
ステップS41では、制御回路61が、温度センサ63の検出するパネル10の温度Tを読み取る。
【0106】
ステップS42では、制御回路61が、検出した温度Tが、閾値温度T0より高いかを判定し、高ければステップS44に進み、低ければステップS43に進む。
【0107】
ステップS43では、加熱処理を所定時間行い、ステップS41に戻る。加熱処理により、パネル10の温度Tが上昇する。
【0108】
以下、検出した温度Tが、閾値温度T0より低い場合には、ステップS41からS43を繰り返し、温度Tが、閾値温度T0より高くなるとステップS44に進む。
【0109】
ステップS44では、表示する画像を書き込む表示書込処理を行う。
【0110】
ステップS45では、制御回路61が、温度センサ63の検出するパネル10の温度Tを読み取る。
【0111】
ステップS46では、制御回路61が、検出した温度Tが、閾値温度T0より高いかを判定し、高ければステップS45に戻り、低ければステップS47に進む。
【0112】
ステップS47では、電圧V0で加熱処理を所定時間行い、ステップS45に戻る。加熱処理により、パネル10の温度Tが少し上昇する。
【0113】
以下、ステップS45からS47を繰り返すことにより、画像を変化させること無しに、温度を閾値温度T0に維持することができる。
【0114】
第4実施形態の液晶表示装置は、図2に示したような積層構造を有する。電圧V0での加熱処理により得られる発熱量で十分であれば、例えば、積層構造の1番上、すなわち観察面側のパネル(図2では青色パネル)のみ、電圧V0での加熱処理を行うようにしてもよい。
【0115】
また、第1から第3実施形態の加熱処理および第4実施形態の前半の加熱処理で、3枚のパネルすべてで加熱処理を行えば、表示書き込み処理を開始するまでの時間を短縮できる。また、表示書き込み処理を開始するまでの時間について制限が無ければ、3枚のパネルの1枚または2枚で加熱処理を行うことも可能であり、1枚の場合には、例えば2枚目のパネル(図2では緑色パネル)のみで、加熱処理を行うようにしてもよい。
【0116】
以上説明したように、実施形態によれば、部材の増加・コストアップ無しで、寒い屋外でも利用可能な液晶表示装置を実現することができる。
【0117】
なお、実施形態では、コレステリック液晶を利用した液晶表示装置を例として説明したが、どのような液晶を利用した液晶表示装置でも実施形態の構成は有効である。
【0118】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【0119】
以下、実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
対向する面に透明電極が形成された2枚の基板を有し、基板間に液晶材料を充填した液晶表示パネルと、
前記透明電極に電圧を印加することにより、前記透明電極間の前記液晶材料に電圧を印加する駆動回路と、
表示画像に応じて前記駆動回路を制御する制御回路と、
前記液晶表示パネルの温度を検出する温度センサと、を備え、
前記制御回路は、前記温度センサの検出した温度が所定温度以下の場合に、前記駆動回路を制御して対向する前記透明電極間に交流信号を印加する加熱処理を行い、前記温度センサの検出した温度が所定温度以上になった後に、表示画像に応じて前記駆動回路を制御して、前記液晶材料を表示画像に応じた状態にする表示書き込み処理を行うことを特徴とする液晶表示装置。
(付記2)
前記制御回路は、前記加熱処理時に、温度に応じて前記交流信号の周波数を変化するように前記駆動回路を制御する付記1記載の液晶表示装置。
(付記3)
前記制御回路は、前記加熱処理時に、温度に応じて前記交流信号の電圧を変化するように前記駆動回路を制御する付記1記載の液晶表示装置。
(付記4)
前記液晶材料は、コレステリック液晶材料であり、
前記液晶表示パネルは、反射型液晶表示パネルであり、
前記反射型液晶表示パネルの裏面に設けられた光吸収層をさらに備える付記1から3のいずれか1項記載の液晶表示装置。
(付記5)
積層された複数枚の前記反射型液晶表示パネルを備え、カラー表示を行う付記4記載の液晶表示装置。
(付記6)
前記加熱処理時に、前記複数枚の反射型液晶表示パネルのすべてのパネルの前記透明電極間に交流信号を印加する付記5記載の液晶表示装置。
(付記7)
前記制御回路は、前記加熱処理を行い、前記温度センサの検出した温度が所定温度以上になった後に前記表示書き込み処理を行った後、前記透明電極間に印加しても前記コレステリック液晶材料の状態が変化しない電圧の交流信号を印加して、前記温度センサの検出する温度を所定温度以上に維持する付記4から6のいずれか1項記載の液晶表示装置。
【符号の説明】
【0120】
11 上側基板
12 下側基板
13 走査電極
14 データ電極
15 光吸収層
16 シール材
17 液晶層
30 柱状スペーサ(スペーサ部材)
41 走査電極駆動回路
42 データ電極駆動回路
61 制御回路
62 電源
63 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する面に透明電極が形成された2枚の基板を有し、基板間に液晶材料を充填した液晶表示パネルと、
前記透明電極に電圧を印加することにより、前記透明電極間の前記液晶材料に電圧を印加する駆動回路と、
表示画像に応じて前記駆動回路を制御する制御回路と、
前記液晶表示パネルの温度を検出する温度センサと、を備え、
前記制御回路は、前記温度センサの検出した温度が所定温度以下の場合に、前記駆動回路を制御して対向する前記透明電極間に交流信号を印加する加熱処理を行い、前記温度センサの検出した温度が所定温度以上になった後に、表示画像に応じて前記駆動回路を制御して、前記液晶材料を表示画像に応じた状態にする表示書き込み処理を行うことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記加熱処理時に、温度に応じて前記交流信号の周波数を変化するように前記駆動回路を制御する請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記加熱処理時に、温度に応じて前記交流信号の電圧を変化するように前記駆動回路を制御する請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶材料は、コレステリック液晶材料であり、
前記液晶表示パネルは、反射型液晶表示パネルであり、
前記反射型液晶表示パネルの裏面に設けられた光吸収層をさらに備える請求項1から3のいずれか1項記載の液晶表示装置。
【請求項5】
積層された複数枚の前記反射型液晶表示パネルを備え、カラー表示を行う請求項4記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−230327(P2012−230327A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99939(P2011−99939)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】