説明

液晶表示装置

【課題】液晶モジュールの背面にソース基板を固定すると、これにフラットケーブルで接続される液晶パネルなどにて断線などが生じる。
【解決手段】取付金具60は下フレーム金具54の背面にてソース基板56を支持する。取付金具60はピン状部材100とコイルばね102とを有する。ピン状部材100はソース基板56に設けられた開口部104を貫通して先端部108を下フレーム金具54の背面に固定される軸106を有する。コイルばね102は一方端部をピン状部材100に固定され、弾性力により他方端部をソース基板56の表面に押し当てる。ソース基板56はコイルばね102の他方端部が接触する部分に導体パターンを有し、取付金具60を経由して下フレーム金具54に接地される。また、軸106の太さに対して開口部104の大きさに余裕を持たせて、下フレーム金具54の背面に沿って揺動可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に関し、特に液晶パネルにフレキシブル基板を介して接続される回路基板の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶パネル、バックライトユニットを含む液晶モジュールを備える。図6は、従来の液晶モジュール2の下部の模式的な垂直断面図である。図6において左側が液晶表示装置の表面、つまり表示面側であり、右側が背面側である。液晶モジュール2の表面には表示パネルである液晶パネル4が配置され、その背後にバックライトユニット6が配置される。バックライトユニット6にはその背面を覆う下フレーム金具8が取り付けられている。液晶モジュール2の外周は、樹脂成形で形成されたモールドフレーム10で囲まれる。これら液晶パネル4、バックライトユニット6及びモールドフレーム10等を組み立てた液晶モジュール2の主要部は枠型の上フレーム金具12にはめ込まれ、液晶モジュール2の外周側面は上フレーム金具12で覆われる。
【0003】
液晶パネル4はマトリクス状に配列された複数の画素を有し、当該画素の配列に対応して液晶パネル4には、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)やソース信号線及びゲート信号線を含む電子回路が形成される。液晶モジュール2は、液晶パネル4にそれぞれ複数配列されるソース信号線及びゲート信号線を駆動するソースドライバ回路及びゲートドライバ回路を備え、各ドライバ回路の動作は信号処理回路により制御される。液晶パネル4の回路と信号処理回路基板との間には例えばソース基板14が接続される。液晶パネル4にてソース信号線は水平方向に複数配列される。これに対応して、当該ソース信号線を駆動するソースドライバ回路は液晶モジュールの水平方向に沿って配置され、液晶パネル4においてはソース信号線を駆動する回路が例えば、下縁に沿った領域に形成され、ソース基板14も当該下縁に沿って水平方向に細長い形状とされる。液晶パネル4の下縁に形成される回路とソース基板14との間は複数の信号線が配列されたフレキシブル基板16で接続される。画素数が多い場合には複数のフレキシブル基板16が水平方向に配列される。
【0004】
従来、ソース基板14はモールドフレーム10に取り付けられる。例えば、図6に示す構成ではモールドフレーム10の下面に取り付けられている。ソース基板14の回路やこれに接続される液晶パネル4の回路のグランドは信号処理回路基板から電源基板を介して電源コンセントに接続される。ここで、グランドへのインピーダンスを下げることで、不要輻射(EMI:Electromagnetic Interference)や放電等の影響を低減することが可能である。そこで、ソース基板14にグランド接続金具18を設け、当該グランド接続金具18を上フレーム金具12に面接触させるなどして、ソース基板14や液晶パネル4の回路のグランドを低インピーダンスとすることが行われていた。
【0005】
しかし、最近では、狹額縁化や材料費低減のために、上フレーム金具12を削除したりモールドフレーム10を細くしたりすることが行われる。当該構成では、ソース基板を上述の従来の位置に配置することや上フレーム金具12に接地することができなくなる。そこで、この場合には、ソース基板を下フレーム金具8の背面にねじなどで固定すると共に、下フレーム金具8へ接地する構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−75077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
液晶モジュールにおいて液晶パネルは例えば、緩衝材を介して他の部材に当接され支持されるが、一般に完全には固定されておらず、特に表示面に平行な方向に多少の遊びが存在し得る。そのため、液晶パネルが下フレーム金具に対して例えば表示面に水平な方向にずれると、ソース基板は下フレーム金具にねじ等で固定されているため、液晶パネルの水平な縁とこれに平行なソース基板との間を接続するフレキシブル基板をその可撓性が少ない方向である幅方向(水平方向)に曲げようとする力が作用する。これによる応力はフレキシブル基板内や液晶パネルやソース基板との接続部分にて断線を生じさせ得るという問題があった。
【0008】
また、インプレーンスイッチング(In Plane Switching:IPS)方式の液晶パネルは、VA(Vertical Alignment)方式の液晶パネルとは異なり、ガラス基板面に平行な電界成分を用いて液晶分子をガラス基板と平行な面内で回転させ光の透過を制御する。このIPS方式の液晶パネルは、ガラス基板の一部に応力が加わると当該部分にて液晶の向きがガラス基板面に平行な方向に対してずれ、表示画面にて色ずれを生じる。そのため、上述のフレキシブル基板の応力に起因して当該色ずれが発生するという問題があった。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、液晶パネルにフレキシブル基板で接続される回路基板をフレームの背面に取り付ける液晶表示装置において、上記断線や色ずれを回避可能な構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液晶表示装置は、液晶パネルを含むパネル状構造体と、当該パネル状構造体の背面を覆う金属製のフレームと、前記フレームの背面に配置され、前記液晶パネルとの間をフレキシブル基板によって接続された回路基板と、前記フレームの背面にて前記回路基板を支持する支持部品と、を有し、前記支持部品は、前記回路基板に設けられた開口部を貫通して先端部を前記フレームの背面に固定される軸を備えた金属製のピン状部材と、前記軸の周りにて螺旋をなす金属線からなり、一方端部を前記ピン状部材に固定され、弾性力により他方端部を前記回路基板の表面に押し当てるコイルばねと、を有し、前記回路基板は、その表面における前記コイルばねの前記他方端部が接触する部分に導体パターンを有し、前記支持部品を経由して前記フレームに接地されると共に、前記軸の太さに対して前記開口部の大きさに余裕を持たせて、前記フレームの背面に沿って揺動可能に構成される。
【0011】
本発明において、前記コイルばねは、前記回路基板に対して前記フレームとは反対側に配置され、前記回路基板を前記フレームに押し付ける構成とすることができる。
【0012】
他の本発明に係る液晶表示装置においては、前記ピン状部材の前記軸は、前記フレームに形成されるねじ穴と締結する雄ねじを前記先端部に選択的に形成され、当該雄ねじを形成しない前記軸の非先端部は前記先端部より太く形成されている。
【0013】
別の本発明に係る液晶表示装置においては、前記回路基板の前記開口部の前記フレキシブル基板の幅方向に関する前記余裕は、前記フレームに対する前記液晶パネルの当該方向の遊び量に応じた寸法とする。
【0014】
本発明は、前記液晶パネルの表示方式がインプレーンスイッチング方式である液晶表示装置において好適に適用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液晶パネルにフレキシブル基板で接続される回路基板をフレームの背面に取り付ける液晶表示装置において、フレキシブル基板内やその接続部での断線や、液晶パネルの表示画面での色ずれを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の模式的な背面図である。
【図2】図1の線分II-IIにおける液晶モジュールの模式的な垂直断面図である。
【図3】実施形態の液晶モジュールでのソース基板の支持部分に関する垂直方向に沿った模式的な部分断面図である。
【図4】取付金具の軸の中心に沿った模式的な断面図である。
【図5】ソース基板の開口部の模式的な平面図である。
【図6】従来の液晶モジュールの下部の模式的な垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)である液晶表示装置について、図面に基づいて説明する。液晶表示装置50は、液晶モジュールを含む主要部及び、外装のカバー・枠、スタンドなどから構成される。図1は、液晶表示装置50の模式的な背面図であり、具体的には液晶表示装置50のうち液晶モジュール52を後ろから見た状態を示している。液晶パネルに対応して液晶モジュール52も略矩形の平板形状である。液晶モジュール52は、液晶パネル、バックライトユニットなどの部品を組み合わせたパネル状の構造体をフレーム部材で支えた構造を有する。本実施形態では液晶モジュール52の後面は当該フレーム部材の一つである下フレーム金具54で基本的に覆われ、外周には縁を支持するモールドフレームが設けられる。液晶モジュール52は下フレーム金具54の後面上に取り付けられたソース基板56及び信号処理回路基板(図示せず)を備える。これら基板は硬質な材料で作られ、例えば、ガラスエポキシ基板を用いることができる。
【0018】
液晶パネルはマトリクス状に配列された複数の画素を有し、当該画素の配列に対応して液晶パネルには、ソース信号線(データ信号線)及びゲート信号線(走査信号線)がそれぞれ複数配列される。液晶モジュール52は各ソース信号線を駆動するソースドライバ回路、及び各ゲート信号線を駆動するゲートドライバ回路を備え、それらの動作は映像信号に基づいて信号処理回路基板にて生成される制御信号によって制御される。
【0019】
ソース基板56は下フレーム金具54の上辺寄りの背面に水平方向に延在し、当該基板はフラットケーブル58で下フレーム金具54の上辺を経由して液晶パネルの上縁部に接続される。またソース基板56は信号処理回路基板と例えばフラットケーブル(図示せず)によって接続される。本実施形態では、液晶パネルの画素数が多いことに対応して6本のフラットケーブル58が水平方向に配列されている。ソース基板56は取付金具60(支持部品)によって下フレーム金具54に取り付けられる。ソース基板56が水平方向に細長いことに対応して、取付金具60は水平方向に並ぶ複数箇所に設けられソース基板56を支持する。
【0020】
図2は、液晶モジュール52の模式的な垂直断面図であり、図1の線分II−IIの部分での断面図である。図2において左側が液晶表示装置50の表面、つまり表示面側であり、右側が背面側である。液晶モジュール52の表面には表示パネルである液晶パネル80が配置される。液晶パネル80は、図2には示していないが、その背面側のガラス基板であるTFT基板及び前面側のガラス基板である対向基板と、それらの間に挟まれた液晶層とを有する。液晶パネル80は透過型であり、TFT基板の背面には下偏光板が配置され、対向基板の前面には上偏光板が配置され、当該液晶パネル80の背面に対向してバックライトユニット82が配置される。
【0021】
TFT基板の液晶側の面には、TFTが画素配列に対応してマトリクス状に配置される。また、TFT基板にはソース信号線がTFTの垂直列ごとに設けられ、当該垂直列の複数のTFTのソースに共通に接続される。またゲート信号線がTFTの水平列ごとに設けられ、当該水平列の複数のTFTのゲートに共通に接続される。また、各TFTのドレインには当該TFTに対応する画素領域に配置された画素電極が接続される。
【0022】
さらに、TFT基板は画素が配列された有効表示領域の外側に、ソース信号線やゲート信号線に信号を供給する駆動回路を形成される。ゲート信号線を駆動する回路は、各ゲート信号線に順番にゲート信号を出力して、当該ゲート信号線に接続される画素回路をデータ書き込み可能にする。また、ソース信号線を駆動する回路は1走査線を構成する複数の画素それぞれに対応する信号を複数のソース信号線に出力する。各ソース信号線に出力された画素信号は、ゲート信号により書き込み可能とされている画素回路に書き込まれ、各画素回路は書き込まれた画素信号に応じて画素から出射される光量を制御する。
【0023】
対向基板はカラーフィルタを形成され、画像のカラー表示を可能とする。本実施形態の液晶パネル80はIPS方式であり、対向電極には基本的に電極は形成されない。
【0024】
TFT基板上のソース信号線に対応した駆動回路は例えば、当該基板の上縁部に沿って配置され、当該上縁部に形成された回路が上述のようにフラットケーブル58でソース基板56に接続される。フラットケーブル58にはソース信号線に対応して複数の信号線が幅方向に配列される。またフラットケーブル58にはCOF(Chip On Film)技術によりIC(集積回路)等の素子を実装することができる。
【0025】
バックライトユニット82は液晶パネル80へ向かう平面状の光を生成する発光部84と、発光部84の前面に積層された拡散シート等の光学シート類86とを含む。なお、発光部84は例えば、エッジライト方式では導光板や、その側面から光を入射する光源などからなり、また直下型では発光面に沿って配列された複数の光源などからなる。例えば、光源として発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)が用いられる。
【0026】
このバックライトユニット82は背面に下フレーム金具54を配置され、下フレーム金具54にソース基板56が取付金具60で取り付けられる。なお、下フレーム金具54にはソース基板56の他、例えば、信号処理回路基板や液晶表示装置50がテレビジョン受信機である場合における受信回路などの回路基板が取り付けられる。下フレーム金具54はその周縁部が前面側へ折れ曲がった箱形の形状とされ、その内側にバックライトユニット82が収納される。
【0027】
モールドフレーム88、上フレーム金具90は液晶モジュール52の外周に沿った一体の枠に形成される。図2に示すモールドフレーム88、上フレーム金具90はその上辺部分である。モールドフレーム88は樹脂成形により作られ、液晶モジュール52の前後方向に水平な部分88hと、これに垂直な部分88vとを有する。
【0028】
上フレーム金具90は枠の各辺にてL字型の断面を有し、モールドフレーム88の水平部分88hの外側に配置される水平な部分90hと、前方にて枠の内側に折れ曲がる前面部分90vとを有する。この上フレーム金具90の枠内に、上述した液晶パネル80、バックライトユニット82、下フレーム金具54、モールドフレーム88等を組み立てた液晶モジュール52の主要部がはめ込まれ、液晶モジュール52の外周側面は上フレーム金具90の水平部分90hで覆われ、前面外縁部は前面部分90vで覆われる。
【0029】
モールドフレーム88の垂直部分88vは液晶パネル80とバックライトユニット82との間に設けられる間隙に挿入され、液晶パネル80はモールドフレーム88の垂直部分88vと上フレーム金具90の前面部分90vとの間に保持される。液晶パネル80とその外周を囲むモールドフレーム88の水平部分88hとの間には遊び(隙間)が設けられる。液晶パネル80はその面に沿った方向に作用する力に応じて当該遊びの範囲内で変位し応力を緩和する。
【0030】
次に下フレーム金具54の背面におけるソース基板56の支持について説明する。図3はソース基板56の支持部分に関する垂直方向に沿った模式的な部分断面図である。取付金具60はピン状部材100とコイルばね102とを備える。
【0031】
ピン状部材100は金属材料からなり、ソース基板56に設けられた開口部104を貫通して先端部を下フレーム金具54の背面に固定される軸106を有する。本実施形態では軸106の先端部108はねじ切りされ雄ねじになっている。ねじ切りは軸106の先端側だけに施される。軸106の残りの部分(非先端部110)はねじ切りされず、かつ先端部108より太く形成される。非先端部110の長さは、取付金具60を下フレーム金具54に固定しソース基板56を支持した状態(取付状態)にて、ソース基板56から所定長さの非先端部110が突き出るように設定される。この突き出た部分には後述するようにコイルばね102が配置され、当該所定長さは取付金具60の取付状態でのコイルばね102の所望高さに基づいて定められる。
【0032】
下フレーム金具54には先端部108の雄ねじに合わせたねじ穴112が形成される。ソース基板56は一般に細長く、この場合には図1に示したように、その長手方向の複数箇所を取付金具60で支持する構成が好適である。これに対応してソース基板56には複数箇所に開口部104が形成され、またそれら開口部104に対応した配置で複数のねじ穴112が下フレーム金具54に形成される。本実施形態では下フレーム金具54は比較的薄い金属板で形成される。そこで雌ねじを切るためにねじ穴112はバーリング加工で形成される。
【0033】
軸106の先端部108の雄ねじをねじ穴112にねじ込んで締結することで、ピン状部材100は下フレーム金具54に固定される。
【0034】
コイルばね102は弾性を有する金属線で形成される。また当該金属線は錆びにくい材質であることが好ましく、例えばステンレスを用いることができる。コイルばね102は軸106の周りにて螺旋をなすように配置され、一方端部をピン状部材100に固定され、弾性力により他方端部をソース基板56の表面に押し当てる。基本的にコイルばね102はピン状部材100とは別体に作られ、コイル内に軸106を通してピン状部材100と組み合わされ取付金具60とされる。例えば、ピン状部材100には頭部114が設けられる。頭部114は軸106の径方向に非先端部110より突き出ており、ねじ頭として利用されると共に、コイルばね102の一方端部の固定にも用いられる。具体的には、コイルばね102の一方端部におけるコイルの径が頭部114に引っかかるように構成され、これにより取付金具60の取付状態にてコイルばね102の一方端部は軸106と頭部114との境目に留められる。
【0035】
また、ピン状部材100の非先端部110の周に沿ってノッチ(窪み)を形成し、これにコイルばね102の一方端部を係止させる構成としてもよい。図4は当該構造を説明する図であり、取付金具60の軸106の中心に沿った模式的な断面図である。非先端部110の例えば頭部114寄りの位置にノッチ116が形成される。そして、コイルばね102の一方端部を非先端部110より小さい径の輪に形成し、当該輪がその弾性力でノッチ116に留まる構成とする。この構成では、取付金具60が取付状態ではない状態、つまりコイルばね102の他方端部がソース基板56に当接されていない状態でもコイルばね102はピン状部材100に固定される。この構成では、取付金具60を用いてソース基板56を下フレーム金具54に取り付ける作業の際に、コイルばね102をピン状部材100から脱落しないように押さえる必要がないので作業効率が向上する。
【0036】
図5はソース基板56の開口部104の模式的な平面図であり、コイルばね102が配置される側の面を示している。開口部104の縁部には、導体パターン118が配置される。具体的には、当該導体パターン118はソース基板56の表面においてコイルばね102の他方端部が接触する部分に設けられ、導体パターン118上にはソルダーレジストは形成されない。ソース基板56のグランドはEMIが抑制されるように設計され、導体パターン118はそのグランドのパターンにつながっている。そして、コイルばね102が導体パターン118に接触することにより、取付金具60、つまりコイルばね102及びピン状部材100を経由してソース基板56のグランドは下フレーム金具54に接地され、EMIの効果的な抑制が図られる。ここで、基板にて導体パターンを形成する銅箔は露出させたままでは酸化し得る。そこで導体パターン118を例えばハンダにてコーティングして当該酸化による接触抵抗の増加を防止し、取付金具60を介した接地が良好な状態に維持されるようにする。
【0037】
取付金具60によって下フレーム金具54に取り付けられたソース基板56は、コイルばね102により下フレーム金具54へ向けて弾性力を作用される。これによりソース基板56は基本的には下フレーム金具54に押し当てられているが、何らかの外力により下フレーム金具54から一時的に離れた状態にもなり得る。しかし、ソース基板56が軸106方向に変位しても、コイルばね102が導体パターン118に接触した状態は保たれ、取付金具60を介したソース基板56の接地は維持される。
【0038】
開口部104の大きさはそこに通される軸106の非先端部110の太さに対して余裕を持たせて設計される。つまり、開口部104は非先端部110に密接されず、開口部104の縁と非先端部110との間には隙間が設けられ、ソース基板56が軸106に対してずれることを可能としている。
【0039】
略円形の断面を有する線状の金属材で形成されたコイルばね102はそのコイル面に垂直な軸方向と同様にコイル面に沿った横方向にも変形し易い。つまり、ワッシャなどとは異なり比較的小さな力で横方向に撓む。またコイルばね102の他方端部がソース基板56の表面にて摺り動けるように、コイルばね102の軸方向の弾性力が調整される。具体的には、コイルばね102を構成する線材の材質、太さ、断面形状や巻き数により調節することができる。
【0040】
このように開口部104を軸106より大きく形成していることと、コイルばね102の弾性力をソース基板56が下フレーム金具54の背面に沿って容易に変位できるように調整することによって、液晶表示装置50に外力が作用して液晶パネル80が揺動する際にソース基板56も追随して揺動することができる。これにより、液晶パネル80がその保持構造の遊びにより変位してもフラットケーブル58や液晶パネル80における応力の発生が抑制、又は緩和され、断線や色ずれを回避することが可能となる。
【0041】
なお、コイルばね102は、上述のようにソース基板56が変位しても導体パターン118に接触して接地電位を供給することを大きな役目としており、この役目からはコイルばね102の弾性力は比較的弱く設定可能である。つまり、コイルばね102は軸106の方向におけるソース基板56の変位に対してダンパーとして働き下フレーム金具54に押し当てられた状態に復元させる機能も有するが、当該機能の強化のためにコイルばね102の弾性力を強めることはせず、むしろソース基板56の横方向の変位を妨げないように当該弾性力は比較的弱めに調整される。
【0042】
また、ソース基板56の開口部104の縁の導体パターン118は、ソース基板56の変位位置にかかわらずコイルばね102の他方端部と導体パターン118との接触が保たれるように設計される。
【0043】
上述したように非先端部110は先端部108より太いので、ねじ穴112が下フレーム金具54を貫通して形成されていても軸106は先端部108しか下フレーム金具54に入り込まない。すなわち、取付金具60をめいっぱいにねじ込んだ状態ではコイルばね102の高さは所定値となり、その圧縮量は一定値に設定され、そのときの弾性力は上述したコイルばね102の材質等の要素で定まる大きさとなる。
【0044】
コイルばね102の他方端部は導体パターン118に接触させるため、開口部104より大きな径に作られる。また、ソース基板56が横方向に変位する際に、開口部104に当該他方端部が引っかからないように大きさ・形状が設定される。
【0045】
開口部104の水平方向の寸法は、液晶パネル80の水平方向の変位可能量に応じた大きさに設定することが好適である。そのように設定した寸法に基づいて例えば、開口部104は円形に形成することができるし、水平方向を当該寸法とし垂直方向はそれより小さく設定した細長い形状にしてもよい。なお、コイルばね102の一方端部は例えば非先端部110に応じた径に設定され得るのに対し、他方端部は非先端部110より大きな開口部104の縁に接触するので、コイルばね102は例えば、円錐面に沿って線材が螺旋をなす形状とされる。
【0046】
上述の実施形態では、コイルばね102をソース基板56に対して下フレーム金具54とは反対側に配置した。これに対して、コイルばね102をソース基板56と下フレーム金具54との間に配置する構成も可能である。例えば、当該構成では、コイルばね102の下フレーム金具54側に位置する一方端部を非先端部110に設けたノッチ(ノッチ116に相当する構成)に係止させ、他方端部をソース基板56の裏面に設けた導体パターン(導体パターン118に相当)に接触させ、コイルばね102の弾性力で押されるソース基板56を頭部114で係止する。また、一方端部は下フレーム金具54に押し当てる構成としてもよい。これらの構成によっても取付金具60又はコイルばね102を介してソース基板56が下フレーム金具54に接地される。また、導体パターン118は上述の実施形態と同様、ソース基板56の表面に設け、当該導体パターン118をピン状部材100の頭部114に接触させて、ピン状部材100を介してソース基板56を下フレーム金具54に接地することもできる。
【0047】
上述の実施形態において、ソース基板56の表面の導体パターン118に加えて、裏面にもソース基板56のグランドにつながる導体パターンを露出させ、コイルばね102の弾性力で下フレーム金具54に押し当てられるソース基板56の裏面にて当該導体パターンを下フレーム金具54に接触させることもできる。同様に、コイルばね102をソース基板56と下フレーム金具54との間に配置する構成でも、ソース基板56の裏面の導体パターンだけでなく表面の導体パターン118を設け、これを頭部114に接触させることができる。これらの構成では、ソース基板56の両面にて下フレーム金具54への接地をすることができるので、一層の接地抵抗の低減が図れる。なお、接地のため露出される各導体パターンは既に述べた理由からハンダコーティング等の処理が施される。また、下フレーム金具54に接触させる導体パターンや頭部114に接触させる導体パターンは相手との接触を確実にするために、例えばハンダバンプを形成するなどして凸形状としてもよい。
【0048】
上述の実施形態ではピン状部材100を下フレーム金具54に固定する手段として、加工、取付金具60の取付作業や着脱が容易なねじを用いた。他の固定手段として例えば、先端部108に下フレーム金具54の裏面から突き出る部分がねじ穴112の径より広がるラッチ構造などを用いることもできる。
【0049】
上述の実施形態ではねじ穴112は薄い下フレーム金具54に直に形成したため、貫通穴となっている。ここで、下フレーム金具54にボスを立設して当該ボスに形成した雌ねじにピン状部材100をねじ止めする構成とすることもできる。この場合、ねじ穴112を貫通しない穴とすることができ、取付金具60の取付状態をピン状部材100を当該ねじ穴112の深さいっぱいにねじ込んだ状態でソース基板56から所定長さの非先端部110が突き出るように構成することができる。つまり、この場合、ねじ穴112の深さでピン状部材100のねじ込み量が規定されるので、非先端部110を先端部108より太くする必要がなくなり、軸106全体を単一太さとしてその先端部108にねじ加工することによりピン状部材100の製造コスト低減を図ることができる。また非先端部110を細くできる分、ソース基板56にて回路形成上、デッドスペースとなる開口部104の面積を小さくできる。
【符号の説明】
【0050】
50 液晶表示装置、52 液晶モジュール、54 下フレーム金具、56 ソース基板、58 フラットケーブル、60 取付金具、80 液晶パネル、82 バックライトユニット、84 発光部、86 光学シート類、88 モールドフレーム、90 上フレーム金具、100 ピン状部材、102 コイルばね、104 開口部、106 軸、108 先端部、110 非先端部、112 ねじ穴、114 頭部、116 ノッチ、118 導体パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルを含むパネル状構造体と、
当該パネル状構造体の背面を覆う金属製のフレームと、
前記フレームの背面に配置され、前記液晶パネルとの間をフレキシブル基板によって接続された回路基板と、
前記フレームの背面にて前記回路基板を支持する支持部品と、
を有し、
前記支持部品は、
前記回路基板に設けられた開口部を貫通して先端部を前記フレームの背面に固定される軸を備えた金属製のピン状部材と、
前記軸の周りにて螺旋をなす金属線からなり、一方端部を前記ピン状部材に固定され、弾性力により他方端部を前記回路基板の表面に押し当てるコイルばねと、
を有し、
前記回路基板は、その表面における前記コイルばねの前記他方端部が接触する部分に導体パターンを有し、前記支持部品を経由して前記フレームに接地されると共に、前記軸の太さに対して前記開口部の大きさに余裕を持たせて、前記フレームの背面に沿って揺動可能に構成されること、
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記コイルばねは、前記回路基板に対して前記フレームとは反対側に配置され、前記回路基板を前記フレームに押し付けること、を特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の液晶表示装置において、
前記ピン状部材の前記軸は、前記フレームに形成されるねじ穴と締結する雄ねじを前記先端部に選択的に形成され、当該雄ねじを形成しない前記軸の非先端部は前記先端部より太く形成されていること、を特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の液晶表示装置において、
前記回路基板の前記開口部の前記フレキシブル基板の幅方向に関する前記余裕は、前記フレームに対する前記液晶パネルの当該方向の遊び量に応じた寸法であること、を特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の液晶表示装置において、
前記液晶パネルの表示方式はインプレーンスイッチング方式であること、を特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−37062(P2013−37062A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170892(P2011−170892)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】